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特表2024-508239CHA様骨格構造を有するゼオライト材料及びその合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】CHA様骨格構造を有するゼオライト材料及びその合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20240216BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240216BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20240216BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20240216BHJP
   B01J 35/70 20240101ALI20240216BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240216BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240216BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240216BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J37/04 102
B01J29/76 A ZAB
B01J35/61
B01J35/70
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
F01N3/08 B
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547229
(86)(22)【出願日】2022-01-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022075138
(87)【国際公開番号】W WO2022166911
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/075060
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チー,シヤオトー
(72)【発明者】
【氏名】シー,リーホワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッティパリ,ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイタオ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB05
3G091BA14
3G091GA16
3G091GB01W
3G091GB09W
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148BA11X
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BB03
4G073BB12
4G073BB44
4G073CZ03
4G073CZ17
4G073FB30
4G073FC12
4G073FC18
4G073FC30
4G073FD08
4G073FD23
4G073FF04
4G073GA03
4G073UA05
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01C
4G169BA02C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA07C
4G169BA15C
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA21C
4G169BA32A
4G169BB04B
4G169BB06C
4G169BC01C
4G169BC02C
4G169BC16C
4G169BC17C
4G169BC18C
4G169BC22C
4G169BC23C
4G169BC31B
4G169BC50C
4G169BC51C
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD01C
4G169BD02C
4G169BD03C
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD04C
4G169BD05C
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BE06C
4G169BE09C
4G169BE15A
4G169BE15B
4G169BE15C
4G169CA03
4G169CA08
4G169CA13
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC04Y
4G169EC05X
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB05
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC02
4G169FC08
4G169ZA14A
4G169ZA14B
4G169ZB03
4G169ZB08
4G169ZC02
4G169ZC07
4G169ZD01
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
本発明は、その合成されたままの形態で、以下の表1に示すピークを含むX線回折パターンを有するCHA様ゼオライト材料、このゼオライト材料の調製方法、及びNOxの選択的触媒還元のためのこのゼオライト材料の使用方法に関する。
【表1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成されたままの形態で、以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表1】
好ましくは以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表2】
特に以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する、
【表3】
CHA様ゼオライト材料。
【請求項2】
焼成した形態で、以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表4】
請求項1に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項3】
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、一部の結晶が立方八面体の形態を示し、他の結晶が非凸多面体の形態を示す混合形態を有する、請求項1又は2に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項4】
合成されたままの形態で、イミダゾリウムカチオン、特に式(I)のイミダゾリウムカチオン
【化1】
(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、直鎖又は分岐状アルキル、及びモノ-、ビ-又はトリシクロアルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない);
好ましくは式(I)のイミダゾリウムカチオン(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない);
より好ましくは式(Ia)のイミダゾリウムカチオン
【化2】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルからなる群から選択され、
は、直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択される)
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項5】
前記イミダゾリウムカチオンが、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリエチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム及び1,3,4-トリエチルイミダゾリウムからなる群から選択される、請求項4に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項6】
少なくとも1つの以下の表面積:
(1)60m/g以下、又は50m/g以下、又は45m/g以下、例えば10~60m/g、又は10~50m/g、又は10~45m/gのメソ細孔表面積(MSA)、及び
(2)少なくとも約400m/g、又は少なくとも450m/g、例えば400~650m/g、又は450~650m/gの範囲のゼオライト表面積(ZSA)
を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項7】
アルミノシリケートゼオライトである、請求項1から6のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【請求項8】
CHA様ゼオライト材料、特に請求項1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料を調製する方法であって、
(1)以下のもの、
(a)Xの源(Xは3価の骨格元素である)、
(b)YOの源(Yは4価の骨格元素である)、及び
(c)イミダゾリウムベースの有機構造指向剤
を含む合成混合物を提供する工程と
(2)前記合成混合物を加熱してゼオライト材料を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項9】
Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、XがAlである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、YがSiである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
XがAlであり、Alの源が、アルミナ、アルミネート、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム塩、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
YがSiであり、YOの源が、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ケイ酸、シリコンアルコキシド、アルカリ金属シリケート、ナトリウムメタシリケート水和物、セスキシリケート、ジシリケート、ケイ酸エステル、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、式(I)
【化3】
(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、直鎖又は分岐状アルキル、及びモノ-、ビ-又はトリシクロアルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物から選択される、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
、R、R、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つがHではない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、式(Ia)
【化4】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルからなる群から選択され、
は、直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択される)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rが、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rが、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
、R及びRが、互いに独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択され、Rが、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリエチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム及び1,3,4-トリエチルイミダゾリウムからなる群から選択されるイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される、請求項8から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記合成混合物が、以下の1つ以上:
(a)5~80、例えば15~40、例えば20~35、又は例えば60~80、例えば65~75の範囲の、YOとして計算されるYOの源とXとして計算されるXの源とのモル比;
(b)0.01~2、好ましくは0.05~1.5、より好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8、最も好ましくは0.2~0.6、特に0.4~0.6の範囲の、イミダゾリウムカチオン(Q)とYOとして計算されるYOの源とのモル比、
(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオンを含み、0.01~1.0、好ましくは0.1~0.8の範囲の、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオンとYOとして計算されるYOの源とのモル比;
(d)OHを含み、0.1~2、より好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.5~1.2、最も好ましくは0.6~1.2の範囲の、OHとYOとして計算されるYOの源とのモル比;
(e)HOを含み、3~60、好ましくは10~35、より好ましくは10~25、最も好ましくは10~20の範囲の、HOとYOとして計算されるYOの源とのモル比
によって特徴付けられる、請求項8から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(3)ゼオライト材料を焼成する工程をさらに含む、請求項8から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(4)工程(2)又は(3)で得られたゼオライト材料に含有される1種以上のイオン性非骨格元素を、H及び/又はNH4+、好ましくはNH4+に交換する工程をさらに含む、請求項8から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(5)工程(3)又は(4)で得られたゼオライト材料上及び/又はその中に、プロモーター金属カチオンを担持する工程をさらに含む、請求項8から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒及び/又は触媒成分としての、請求項1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料、又は請求項8から23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られるCHA様ゼオライト材料の使用方法。
【請求項25】
基材上に触媒コーティングを含む触媒物品であって、前記触媒コーティングが、請求項1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料、又は請求項8から23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られるCHA様ゼオライト材料を含む、触媒物品。
【請求項26】
内燃機関、及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、請求項25に記載の触媒物品が前記排気ガス導管内に存在する、排気ガス処理システム。
【請求項27】
(A)NOxを含むガス流を提供する工程と、
(B)前記ガス流を、請求項1から7のいずれか一項に記載のゼオライト材料、又は請求項8から23のいずれか一項に記載の方法によって得られるCHA様ゼオライト材料と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CHA様(CHA-like)骨格構造を有するゼオライト材料、このゼオライト材料を調製する方法、及びこのゼオライト材料の、NOxの選択的触媒還元のための使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトのようなモレキュラーシーブは、特定の反応、例えばアンモニア、尿素又は炭化水素などの還元剤による窒素酸化物(NOx)の選択的接触還元(SCR)のための触媒として有用である。
【0003】
ゼオライトは天然に存在するが、合成もされている。ゼオライト材料を合成するための典型的なプロセスの1つは、骨格構造のための1つ以上の原料物質、及び構造指向剤及び任意に種結晶の1つ以上を含む合成混合物(合成ゲルとしても知られる)を提供することと、ゼオライト材料を結晶化させるために合成混合物に水熱条件を適用することを含む。ゼオライト材料の合成に関する広範な要約は、教科書であるVerified Syntheses of Zeolitic Materials,Harry Robson,第2改訂版,Elsevier,Amsterdam(2001)に記載されている。
【0004】
国際ゼオライト協会のオンラインデータベースによると、ゼオライト合成にかかる労力のおかげで、2020年8月までに、異なる骨格構造又は部分的に不規則な構造を有する252種のゼオライトが承認された。しかし、コンピューター計算では、何百万種の仮想ゼオライト構造が可能であると予測されている。可能性のごく一部しか実現しなかったのも事実である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Verified Syntheses of Zeolitic Materials,Harry Robson,第2改訂版,Elsevier,Amsterdam(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既知のゼオライト材料とは異なる骨格及び/又は組成を有する新規なゼオライト材料、特に窒素酸化物(NOx)の選択的触媒還元に有用なゼオライト材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚いたことには、この目的は、有機構造指向剤(OSDA)としてイミダゾリウムカチオン含有化合物を用いてゼオライト材料を調製する方法によって達成されることが見出された。
【0008】
したがって、1つの態様において、本発明は、CHA様ゼオライト材料を調製する方法に関し、この方法は以下の工程、
(1)以下のもの、
(a)Xの源(Xは3価の骨格元素である)、
(b)YOの源(Yは4価の骨格元素である)、及び
(c)イミダゾリウムベースの有機構造指向剤
を含む合成混合物を提供する工程と
(2)この合成混合物を加熱してゼオライト材料を形成する工程と
を含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、CHA様ゼオライト材料、特に、合成されたままの形態で、以下のピークを含むX線回折パターンを有するCHA様ゼオライト材料に関する。
【0010】
【表1】
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒及び/又は触媒成分としての、本明細書に記載のCHA様ゼオライト材料の使用方法に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、基材上に触媒コーティングを含む触媒物品に関し、ここで、触媒コーティングが、CHA様ゼオライト材料を含む。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、内燃機関、及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関し、ここで、本明細書に記載の触媒物品が排気ガス導管内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、それぞれ実施例1.1、1.2、2、3及び4からのゼオライト材料のSEM画像を示す。
図2図2は、実施例1.2及び実施例2、3及び4からの、それぞれ合成されたままの形態でのゼオライト材料のXRDパターンを示す。
図3図3は、実施例1.2及び実施例2、3及び4からの、それぞれ焼成した形態でのゼオライト材料のXRDパターンを示す。
図4図4は、実施例1.1からののCHA様ゼオライト材料をベースとしたCuで促進した触媒のNOx除去性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、多くの異なる方法で具体化されるものであり、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるものではないことを理解されたい。
【0016】
本明細書において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段に明記されていない限り、複数の参照語を含む。「含む」、「含み」等の用語は、「含有する」、「含有し」等と互換的に使用され、非限定的で開放的な形態で解釈される。すなわち、例えば、さらなる成分又は要素が存在してもよい。「からなる」又は「本質的にからなる」又は同義語の表現は、「含む」又は同義語の中に包含されてもよい。
【0017】
本明細書で使用する「CHA」という用語は、国際ゼオライト協会(IZA)構造委員会によって認定されたCHA骨格タイプを指す。
【0018】
本明細書で使用される「CHA様ゼオライト材料」、「CHA様ゼオライト」、「CHA様骨格」などの用語は、焼成した形態でのCHA骨格構造のXRDパターンを示し、合成されたままの形態でのCHA骨格構造とは異なるXRDパターンを示す材料を指すことを意図している。また、CHA様ゼオライト材料という用語は、特に指定のない限り、例えば、合成されたままの形態、焼成した形態、NH-形態、H-形態及び金属を担持したH-形態を含む、任意の形態のゼオライトを含むことを意図している。
【0019】
本明細書で使用される「合成されたまま」という用語は、結晶化及び乾燥した後、有機テンプレートを除去する前の形態のゼオライト材料を指すことを意図している。
【0020】
工程(1)に関して、本発明によるCHA様ゼオライト材料の調製に有用な合成混合物は、以下のもの:
(a)Xの源(Xは3価の骨格元素である)、
(b)YOの源(Yは4価の骨格元素である)、及び
(c)イミダゾリウムベースの有機構造指向剤
を含んでもよい。
【0021】
本発明の文脈において、Xは任意の3価の元素であってよい。好ましくは、Xは、Al、B、In、Ga、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、Alがより好ましい。本発明の文脈において、Yは任意の4価の元素であってよい。好ましくは、Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、Siがより好ましい。
【0022】
本発明による方法の特定の実施形態では、XはAlであり、YはSiである。したがって、特定の実施形態による方法により、CHA様アルミノシリケートゼオライト材料が提供される。
【0023】
好適なXの源は、ゼオライト合成中に3価の骨格元素を提供するのに有用な任意の既知の材料であってよい。XがAlである特定の実施形態において、Alの源の好適な例としては、アルミナ、アルミネート、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム塩、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト、及びそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは、アルミナ、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム塩、FAUゼオライト及びそれらの任意の組合せ、より好ましくは、アルミナ、アルミニウムトリ(C~C)アルコキシド、AlO(OH)、Al(OH)、ハロゲン化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、フルオロケイ酸アルミニウム、FAUゼオライト及びそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、FAUゼオライトは、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、[Al-Ge-O]-FAU、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Ge-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、CSZ-1、Na-X、US-Y、ECR-30、LZ-210、Li-LSX、SAPO-37、Na-Y、ZSM-20、ZSM-3、ゼオライトX及びゼオライトYからなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、Na-X、US-Y、LZ-210、ゼオライトX及びゼオライトYからなる群から選択されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、ゼオライトY及び/又はUS-Yは、Xの源として特に有用であり、ゼオライトYは最も有用である。
【0025】
好適なYOの源は、ゼオライト合成中に4価の骨格元素を提供するのに有用な任意の既知の材料であってよい。YがSiである特定の実施形態において、好適なYOの源としては、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ケイ酸、シリコンアルコキシド、アルカリ金属シリケート、ナトリウムメタシリケート水和物、セスキシリケート、ジシリケート、ケイ酸エステル、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくはヒュームドシリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、FAUゼオライト及びそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはヒュームドシリカ、FAUゼオライト及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、FAUゼオライトは、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、[Al-Ge-O]-FAU、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Ge-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、CSZ-1、Na-X、US-Y、ECR-30、LZ-210、Li-LSX、SAPO-37、Na-Y、ZSM-20、ZSM-3、ゼオライトX及びゼオライトYからなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、Na-X、US-Y、LZ-210、ゼオライトX及びゼオライトYからなる群から選択されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ゼオライトY及びUS-Yからなる群から選択される1種以上の材料が、YOの源として特に有用である。
【0027】
好ましくは、工程(1)で提供される合成混合物は、5~80、例えば15~40、例えば20~35、又は例えば60~80、例えば65~75の範囲の、YOとして計算されるYOの源とXとして計算されるXの源とのYO:Xモル比を有する。
【0028】
イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、任意に置換されたイミダゾリウムカチオン(Q)を含有する化合物であれば特に制限はない。好ましくは、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(I)
【化1】
(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、直鎖又は分岐状アルキル、及びモノ-、ビ-又はトリシクロアルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される。
【0029】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖、分岐状、又は環状の飽和炭化水素基を指す。本明細書において、直鎖又は分岐状 アルキル基は、典型的には、1~10個の炭素原子を有し、例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル及びデシルが挙げられる。本明細書において、シクロアルキル基は、典型的には、各環に3~8個の炭素原子を有し、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びアダマンチルが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(I)のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択され、式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない。
【0031】
いくつかのさらなる実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(Ia)
【化2】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルからなる群から選択され、
は、直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択される)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの特定の実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(Ia)のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択され、式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rは、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(Ia)のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択され、式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rは、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される。
【0034】
いくつかのより好ましい実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、式(Ia)のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択され、式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択され、Rは、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択される。
【0035】
いくつかの最も好ましい実施形態において、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリエチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム及び1,3,4-トリエチルイミダゾリウムからなる群から選択されるイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される。
【0036】
イミダゾリウムベースの有機構造指向剤に含有される対イオンとして有用なアニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物などのハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、及び酢酸塩などのカルボン酸塩からなる群から選択され、好ましくは、塩化物、臭化物、水酸化物、及び硫酸塩からなる群から選択されてもよい。
【0037】
好ましくは、イミダゾリウムベースの有機構造指向剤は、水酸化物、塩化物又は臭化物、特に、本明細書で上述した式(I)又は(Ia)のイミダゾリウムカチオンの水酸化物である。
【0038】
好ましくは、工程(1)で提供される合成混合物は、0.01~2、好ましくは0.05~1.5、より好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8、最も好ましくは0.2~0.6、特に0.4~0.6の範囲の、イミダゾリウムカチオン(Q)と、YOとして計算されるYOの源とのQ:YOモル比を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、工程(1)で提供される合成混合物は、少なくとも1種の溶媒、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水をさらに含む。好ましくは、工程(1)で提供される合成混合物は、3~60、好ましくは10~35、より好ましくは10~25、最も好ましくは10~20の範囲の、水とYOとして計算されるYOの源とのHO:YOモル比を有する。溶媒は、Xの源、YOの源及びイミダゾリウムベースの有機構造子鋼材のような合成混合物の出発原料の1つ以上に含まれ、その後に合成混合物に組み込まれてもよく、及び/又は個別に合成混合物に組み込まれてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、工程(1)で提供される合成混合物は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の源、好ましくはアルカリ金属カチオンの源をさらに含む。アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Cs及びそれらの任意の組み合わせからなる群、より好ましくはNa及び/又はK、最も好ましくはNaから選択される。アルカリ土類金属は、好ましくは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の対イオンとして有用なアニオンは、典型的には、フッ化物、塩化物及び臭化物のようなハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩のようなカルボン酸塩、及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくは塩化物、臭化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水酸化物である。
【0041】
工程(1)で提供される合成混合物は、0.01~1.0、好ましくは0.1~0.8の範囲の、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とYOとして計算されるYOの源とのAM:YOモル比を有する。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、工程(1)で提供される合成混合物は、アルカリ金属カチオンの源を含み、0.01~1.0、好ましくは0.1~0.8、より好ましくは0.3~0.7、最も好ましくは0.3~0.55の範囲の、アルカリ金属カチオンとYOとして計算されるYOの源とのAM:YOモル比を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、工程(1)で提供される合成混合物は、アニオンOHの源をさらに含む。有用なアニオンOHの源は、例えば、アルカリ金属水酸化物又は水酸化アンモニウムのような金属水酸化物であり得る。好ましくは、アニオンOHは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオンの源、及び/又はイミダゾリウムベースの有機構造指向剤の源に由来してもよい。
【0044】
工程(1)で提供される合成混合物は、0.1~2、より好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.5~1.2、最も好ましくは0.6~1.2の範囲の、OHとYOとして計算されるYOの源とのOH:YOモル比を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、工程(1)で提供される合成混合物は、CHA様ゼオライトの種結晶の量をさらに含んでもよい。CHA様ゼオライトの種結晶は、種結晶を使用せずに、本明細書に記載の方法から得ることができる。
【0046】
工程(2)に関して、合成混合物は、好ましくは80~250℃、より好ましくは90~230℃、より好ましくは100~200℃、より好ましくは110~190℃、より好ましくは120~170℃、最も好ましくは130~155℃の範囲の温度で加熱される。加熱は、0.25~12日間、より好ましくは0.5~10日間、より好ましくは1~7日間、より好ましくは2~6日間の範囲の期間行われてもよい。好ましくは、加熱は自生圧力下で、より特に気密容器、より好ましくはオートクレーブで行われる。さらに、好ましくは、加熱は撹拌下で行われる。
【0047】
特定の実施形態において、工程(2)の加熱は、120~170℃、より好ましくは130~155℃の範囲の温度で、1~7日間、好ましくは2~6日間の期間、自生圧力下、気密容器、より好ましくはオートクレーブで行われる。
【0048】
一般に、工程(2)で形成されたゼオライト材料は、例えば濾過による分離、任意に洗浄、及び乾燥を含むワークアップ手順に供されてもよい。したがって、本発明による方法におけるス工程(2)は、任意に、ワークアップ手順をさらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、工程(2)からのゼオライト材料は、焼成手順に供されてもよい。したがって、本発明による方法は、
(3)ゼオライト材料を焼成する工程
をさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、ゼオライト材料は、ゼオライト材料に含有される1種以上のイオン性非骨格元素がH及び/又はNH4+に交換されるようなイオン交換手順に供されてもよい。したがって、本発明による方法は、
(4)工程(2)又は(3)で得られたゼオライト材料に含有される1種以上のイオン性非骨格元素を、H及び/又はNH4+、好ましくはNH4+に交換する工程
をさらに含む。
【0051】
一般に、工程(4)においてH及び/又はNH4+に交換されたゼオライト材料は、例えば濾過による分離、任意に洗浄及び乾燥を含むワークアップ手順に供され、及び/又は焼成手順に供されてもよい。したがって、本発明による方法における工程(4)は、任意に、ワークアップ手順及び/又は焼成手順をさらに含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、ゼオライト材料は、ゼオライト材料上及び/又はその中にプロモーター金属を担持させることに供されてもよい。したがって、本発明による方法は、
(5)工程(3)又は(4)で得られたゼオライト材料上及び/又はその中に、好ましくはイオン交換又は含浸、より好ましくは初期湿潤含浸によって、プロモーター金属の前駆体を担持する工程
をさらに含む。
【0053】
プロモーター金属は、例えば、貴金属、例えば白金族金属、Au及びAg、遷移金属及びアルカリ土類金属を含む、触媒用途におけるゼオライトの触媒活性を向上させるのに有用であることが知られている任意の金属であってよい。好ましくは、プロモーター金属は、Ca、Mg、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Mn、V、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au及びそれらの任意の組み合わせからなる群から、好ましくは、Ca、Mg、Sr、Cr、Mo、Fe、Mn、V、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの任意の組み合わせからなる群から、より好ましくはCa、Mn、Fe、Mn、Ni、Cu、Zn及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、Cu及び/又はFeが最も好ましい。プロモーター金属の有用な前駆体は、例えば、プロモーター金属の可溶性塩、プロモーター金属の可溶性錯体及びそれらの組み合わせであり得る。
プロモーター金属は、酸化物基準で、金属で促進したゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~約10質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~10質量%、特に3~7質量%の量で、ゼオライト材料上及び/又はその中に担持されてもよい。あるいは、プロモーター金属は、ゼオライト材料中の3価元素、すなわちゼオライト材料の3価骨格元素の1モル当たり、0.1~1.0モル、好ましくは0.15~0.7モル、より好ましくは0.2~0.6モル、最も好ましくは0.3~0.5モルの量で、ゼオライト材料上及び/又はその中に担持されてもよい。
【0054】
一般に、工程(5)においてプロモーター金属が担持されたゼオライト材料は、分離、任意に洗浄及び乾燥を含むワークアップ手順に供され、及び/又は焼成手順に供されてもよい。したがって、本発明による方法における工程(5)は、任意に、ワークアップ手順及び/又は焼成手順をさらに含む。
【0055】
工程(3)で行われ、任意に工程(4)及び(5)で行われる焼成に関して、加熱は、300~900℃、好ましくは350~700℃、より好ましくは400~650℃、より好ましくは450~600℃の範囲の温度で行われる。特に、焼成は、空気、酸素、窒素、又はそれらの2種以上の混合物であってよい、上記の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われてもよい。好ましくは、焼成は、0.5~10時間、好ましくは3~7時間、より好ましくは4~6時間の範囲の時間行われる。
【0056】
本発明はさらに、本明細書に記載の方法から得ることができる又は得られるCHA様ゼオライト材料に関する。ゼオライト材料は、本明細書で記載の方法において実際に行われる工程に応じて、工程(3)、工程(4)又は工程(5)から直接得ることができる又は得られる生成物であってもよいことが理解されたい。
【0057】
さらに、本発明は、合成されたままの形態で、少なくとも以下の表1に記載されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するCHA様ゼオライト材料に関する。
【0058】
【表2】
【0059】
本発明によるCHA様ゼオライト材料は、特に、合成されたままの形態で、少なくとも以下の表2に記載されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0060】
【表3】
【0061】
より特に、本発明によるCHA様ゼオライト材料は、合成されたままの形態で、少なくとも以下の表3に記載されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0062】
【表4】
【0063】
本発明によるCHA様ゼオライト材料は、その焼成形態で、少なくとも以下の表4に記載されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0064】
【表5】
【0065】
本発明によるCHA様ゼオライト材料は、好ましくは、その焼成したH-形態で決定されるように、5~50、好ましくは5~35、より好ましくは5~25、より好ましくは10~24、最も好ましくは10~20の範囲のYO:Xモル比を有する。
【0066】
本発明によるCHA様ゼオライト材料の結晶は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、混合形態を示し、すなわち、一部の結晶は立方八面体の形態を示し、他の結晶は非凸多面体の形態を示す。
【0067】
合成されたままの形態での本発明によるCHA様ゼオライト材料は、イミダゾリウムカチオン、特に本明細書に記載される式(I)のイミダゾリウムカチオン、より特に本明細書に記載される式(Ia)のイミダゾリウムカチオンを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明によるCHA様ゼオライト材料は、60m/g以下、又は50m/g以下、又は45m/g以下、例えば10~60m/g、又は10~50m/g、又は10~45m/gのメソ細孔表面積(MSA)を有する。代替的に又はさらに、本発明によるCHA様ゼオライト材料は、少なくとも約400m/g、又は少なくとも450m/g、例えば400~650m/g、又は450~650m/gの範囲のゼオライト表面積(ZSA)を有する。メソ細孔表面積及びゼオライトの表面積は、N-吸着ポロシメトリーによって決定することができる。
【0069】
本発明によるCHA様ゼオライト材料は、典型的に、1μm以下、又は200nm~1μm、又は400nm~1μm、又は600nm~1μmの範囲の平均結晶サイズを有する。平均結晶サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって決定することができる。特に、平均結晶サイズは、SEMによって、サンプルの異なる領域をカバーする複数の画像からランダムに選択された少なくとも30個の異なる結晶について結晶サイズを測定することにより決定された。
【0070】
本発明によるゼオライト材料は、例えばモレキュラーシーブとして、吸着剤として、イオン交換のために、又は触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒として;COの貯蔵及び/又は吸着のため;NHの酸化のために、特にディーゼルシステムにおけるNHスリップの酸化のために;NOの分解のために;流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤として;及び/又は有機転化反応、好ましくはアルコールのオレフィンへの転化における触媒として(これらに限定されない)の目的を含む考えられるあらゆる目的に使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、本発明によるゼオライト材料は、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために使用され、より好ましくは、燃焼エンジンからの排気ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために使用される。
【0072】
SCR用途では、本発明によるゼオライト材料は、押出成形体の形態であってもよいし、好ましくは基材上のウォッシュコートであってもよい。「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野における通常の意味を有し、それは、基材に適用された触媒材料又は他の材料の薄い付着性コーティングである。「基材」という用語は、一般に、触媒コーティングが配置されるモノリス材料、例えばモノリスハニカム基材、特にフロースルーモノリス基材及びウォールフローモノリス基材を指す。本発明によるゼオライト材料は、特に制限されることなく、公知のプロセスによって塗布形態に加工することができる。
【0073】
したがって、本発明は、基材上に触媒コーティングを含む触媒物品に関し、ここで、この触媒コーティングが、本発明によるゼオライト材料を含む。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、内燃機関、及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関し、ここで、上記の触媒物品が排気ガス導管内に存在する。
【0075】
実施形態NOx転換率
様々な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙する実施形態は、本発明の範囲に従って、全ての態様及び他の実施形態と組み合わせることができることが理解されるであろう。
【0076】
1.合成されたままの形態で、以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表6】
好ましくは以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表7】
特に以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する、
【表8】
CHA様ゼオライト材料。
【0077】
2.焼成した形態で、以下のピークを含むX線回折パターンを有する、
【表9】
実施形態1に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0078】
3.走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、一部の結晶が立方八面体の形態を示し、他の結晶が非凸多面体の形態を示す混合形態を有する、実施形態1又は2に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0079】
4.合成されたままの形態で、イミダゾリウムカチオン、特に式(I)のイミダゾリウムカチオン
【化3】
(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、直鎖又は分岐状アルキル、及びモノ-、ビ-又はトリシクロアルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない);
好ましくは式(I)のイミダゾリウムカチオン(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない);
より好ましくは式(Ia)のイミダゾリウムカチオン
【化4】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルからなる群から選択され、
は、直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択される)
を含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0080】
5.前記イミダゾリウムカチオンが、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリエチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム及び1,3,4-トリエチルイミダゾリウムからなる群から選択される、実施形態4に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0081】
6.少なくとも1つの以下の表面積:
(1)60m/g以下、又は50m/g以下、又は45m/g以下、例えば10~60m/g、又は10~50m/g、又は10~45m/gのメソ細孔表面積(MSA)、及び
(2)少なくとも約400m/g、又は少なくとも450m/g、例えば400~650m/g、又は450~650m/gの範囲のゼオライト表面積(ZSA)
を有する、実施形態1から5のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0082】
7.アルミノシリケートゼオライトである、実施形態1から6のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料。
【0083】
8.CHA様ゼオライト材料、特に実施形態1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料を調製する方法であって、
(1)以下のもの、
(a)Xの源(Xは3価の骨格元素である)、
(b)YOの源(Yは4価の骨格元素である)、及び
(c)イミダゾリウムベースの有機構造指向剤
を含む合成混合物を提供する工程と
(2)この合成混合物を加熱してゼオライト材料を形成する工程と
を含む、方法。
【0084】
9.Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、XがAlである、実施形態8に記載の方法。
【0085】
10.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、YがSiである、実施形態8又は9に記載の方法。
【0086】
11.XがAlであり、Alの源が、アルミナ、アルミネート、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム塩、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態8から10のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
12.YがSiであり、YOの源が、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ケイ酸、シリコンアルコキシド、アルカリ金属シリケート、ナトリウムメタシリケート水和物、セスキシリケート、ジシリケート、ケイ酸エステル、FAUゼオライト、LTAゼオライト、LTLゼオライト、BEAゼオライト、MFIゼオライト、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態8から11のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
13.前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、式(I)
【化5】
(式中、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、直鎖又は分岐状アルキル、及びモノ-、ビ-又はトリシクロアルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つはHではない)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物から選択される、実施形態8から12のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
14.R、R、R、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択されるが、R及びRの少なくとも1つがHではない、実施形態13に記載の方法。
【0090】
15.前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、式(Ia)
【化6】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~C10アルキルからなる群から選択され、
は、直鎖又は分岐状のC~C10アルキルから選択される)
のイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される、実施形態13又は14に記載の方法。
【0091】
16.R、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rが、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される、実施形態15に記載の方法。
【0092】
17.R、R及びRが、互いに独立して、H、及び直鎖又は分岐状のC~Cアルキルからなる群から選択され、Rが、直鎖又は分岐状のC~Cアルキルから選択される、実施形態16に記載の方法。
【0093】
18.R、R及びRが、互いに独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択され、Rが、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルからなる群から選択される、実施形態17に記載の方法。
【0094】
19.前記イミダゾリウムベースの有機構造指向剤が、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリエチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム及び1,3,4-トリエチルイミダゾリウムからなる群から選択されるイミダゾリウムカチオンを含有する化合物からなる群から選択される、実施形態8から18のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
20.前記合成混合物が、以下の1つ以上:
(a)5~80、例えば15~40、例えば20~35、又は例えば60~80、例えば65~75の範囲の、YOとして計算されるYOの源とXとして計算されるXの源とのモル比;
(b)0.01~2、好ましくは0.05~1.5、より好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8、最も好ましくは0.2~0.6、特に0.4~0.6の範囲の、イミダゾリウムカチオン(Q)とYOとして計算されるYOの源とのモル比、
(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオンを含み、0.01~1.0、好ましくは0.1~0.8の範囲の、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオンとYOとして計算されるYOの源とのモル比;
(d)OHを含み、0.1~2、より好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.5~1.2、最も好ましくは0.6~1.2の範囲の、OHとYOとして計算されるYOの源とのモル比;
(e)HOを含み、3~60、好ましくは10~35、より好ましくは10~25、最も好ましくは10~20の範囲の、HOとYOとして計算されるYOの源とのモル比
によって特徴付けられる、実施形態8から19のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
21.(3)ゼオライト材料を焼成する工程をさらに含む、実施形態8から20のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
22.(4)工程(2)又は(3)で得られたゼオライト材料に含有される1種以上のイオン性非骨格元素を、H及び/又はNH4+、好ましくはNH4+に交換する工程をさらに含む、実施形態8から21のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
23.(5)工程(3)又は(4)で得られたゼオライト材料上及び/又はその中に、プロモーター金属カチオンを担持する工程をさらに含む、実施形態8から22のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
24.触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒及び/又は触媒成分としての、実施形態1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料、又は実施形態8から23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られるCHA様ゼオライト材料の使用方法。
【0100】
25.基材上に触媒コーティングを含む触媒物品であって、前記触媒コーティングが、実施形態1から7のいずれか一項に記載のCHA様ゼオライト材料、又は実施形態8から23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られるCHA様ゼオライト材料を含む、触媒物品。
【0101】
26.内燃機関、及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、実施形態25に記載の触媒物品が前記排気ガス導管内に存在する、排気ガス処理システム。
【0102】
27.(A)NOxを含むガス流を提供する工程と、
(B)前記ガス流を、実施形態1から7のいずれか一項に記載のゼオライト材料、又は実施形態8から23のいずれか一項に記載の方法によって得られるCHA様ゼオライト材料と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元方法。
【0103】
本発明は、特に有利な実施形態を示す以下の実施例によってさらに説明される。実施例は本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0104】
走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、走査型電子顕微鏡(日立SU1510)で行った。
【0105】
X線粉末回折(XRD)パターンは、サンプル1.2、2、3及び4についてはCuKα(λ=1.5406Å)放射を用いてPANalytical X’Pert Pro MPD Diffractometer(45kV,40mA)で測定し、その他の試料についてはCuKα(λ=1.5406Å)放射を用いてPANalytical X’pert Powder Diffractometer(40kV,40mA)で測定し、Bragg-Brentanoジオメトリーでデータを収集した。
【0106】
光路は、1/8°の発散スリット、0.04のラジアンソーラースリット、15mmのマスク、1/84°の散乱防止スリット、1/8°の散乱防止スリット、0.04のラジアンソーラースリット、Ni°フィルター、及びX’Celeratorリニア位置検出器からなった。0.0167°2θのステップサイズ、及び1ステップあたり60秒のカウント時間を用いて、3°~70°2θからデータを収集した。
【0107】
実施例1 OSDAとしてトリメチルイミダゾリウムヒドロキシドを用いたゼオライト材料の調製
実施例1.1(サンプル1.1)
75.2gの1,2,3-トリメチルイミダゾリウムヒドロキシド溶液(19.6質量%、1,2,3-TMI)を1.62gのD.I.水と混合し、続いて4.65gのNaOH(99%、固体)を添加した。NaOHが溶解した後、1.38gのHY(SAR(シリカ対アルミナの比)=5.2、Shandong Duoyou製)を添加した。その後、13.89gのヒュームドシリカをゆっくりと添加した。室温で30分間撹拌した後、ゲルをオートクレーブに移した。ゲルを140℃で3日間、回転させながら結晶化させた。室温まで冷却し圧力を解放した後、生成物を濾過し、DI水で洗浄し、120℃で一晩乾燥させた。合成されたままのゼオライトを空気中、550℃の炉で6時間焼成し、14.4のSARを有するゼオライトを得た。図1に示すSEM画像から観察されるように、焼成されたゼオライトは結晶形態を有していた。
【0108】
実施例1.2(サンプル1.2)
75.2gの1,2,3-トリメチルイミダゾリウムヒドロキシド溶液(19.6質量%)を1.62gのD.I.水と混合し、続いて4.65gのNaOH(99%、固体)を添加した。NaOHが溶解した後、4.14gのHY(SAR=5.2、Shandong Duoyou製)を添加した。その後、13.89gのヒュームドシリカをゆっくりと添加した。室温で30分間撹拌した後、ゲルをオートクレーブに移した。ゲルを140℃で3日間、回転させながら結晶化させた。室温まで冷却し圧力を解放した後、生成物を濾過し、DI水で洗浄し、120℃で一晩乾燥させた。合成されたままのゼオライトを空気中、550℃の炉で6時間焼成し、14のSAR、37m/gのMSA及び527m/gのZSAを有するゼオライトを得た。図1に示すSEM画像から観察されるように、焼成されたゼオライトは結晶形態を有していた。
【0109】
このサンプルの合成されたままの形態の固有のXRDパターンを図2に示し、ピークを下記の表にまとめている。
【0110】
【表10】
【0111】
このサンプルの焼成した形態のXRDパターンを図3に示し、CHA骨格の典型的なピークを下記の表にまとめている。
【0112】
【表11】
【0113】
実施例1.3~1.8
実施例1.2に記載の工程を繰り返して、サンプル1.3~1.8を提供した。合成混合物及び生成物を以下の表にまとめている。
【0114】
【表12】
【0115】
これらのサンプルでは、合成されたままの形態の固有のXRDパターン及び焼成した形態のCHA XRDパターンも観察した。
【0116】
実施例2 OSDAとしてトリメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを用いたゼオライト材料の調製(サンプル2)
44.2gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド(TMChAOH)の20質量%の溶液を4.7gのD.I.水と混合し、続いて12.5gのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH)の25質量%の溶液を添加した。その後、5.6gのアルミニウムイソプロポキシドを添加し、室温で1時間撹拌した。続いて、57.2gのLudox(登録商標)AS-40を添加し、室温で30分間撹拌し、その後、0.85gの焼成したCHAゼオライトをシードとして添加してゲルをオートクレーブに移し、このゲルを170℃で3日間、回転させながら結晶化させた。室温まで冷却し圧力を解放した後、生成物を濾過し、DI水で洗浄し、90℃で一晩乾燥させた。合成されたままのゼオライトを空気中、540℃の炉で6時間焼成し、26.3のSAR、44m/gのMSA及び527m/gのZSAを有するゼオライトを得た。図1に示すSEM画像から観察されるように、焼成されたゼオライトは結晶形態を有していた。
【0117】
典型的なCHA骨格である、このゼオライト材料の合成されたままの形態及び焼成した形態のXRDパターンをそれぞれ図2及び3に示している。
【0118】
実施例3 OSDAとしてN,N,N-トリメチルアダマントアンモニウムヒドロキシドを用いたゼオライト材料の調製(サンプル3)
25.6gのN,N,N-トリメチルアダマントアンモニウムヒドロキシド(TMAdaOH)の20質量%の溶液を12.4gのD.I.水と混合し、続いて3.5gの50質量%のNaOH溶液を添加した。その後、7.1gのアルミニウムイソプロポキシドを添加し、室温で1時間撹拌した。続いて、51.4gのLudox(登録商標)AS-40を添加し、室温で30分間撹拌した。その後、ゲルをオートクレーブに移し、170℃で3日間、回転させながら結晶化させた。室温まで冷却し圧力を解放した後、生成物を濾過し、純水で洗浄し、90℃で一晩乾燥させた。合成されたままのゼオライトを空気中、540℃の炉で6時間焼成し、19.4のSAR、43m/gのMSA及び512m/gのZSAを有するゼオライトを得た。図1に示すSEM画像から観察されるように、焼成されたゼオライトは結晶形態を有していた。
【0119】
典型的なCHA骨格である、このゼオライト材料の合成されたままの形態及び焼成した形態のXRDパターンをそれぞれ図2及び3に示している。
【0120】
実施例4 OSDAとしてN,N,N-トリメチルアダマントアンモニウムヒドロキシドを用いたゼオライト材料の調製(サンプル4)
77.3gのD.I.水、5.3gのTMAdaOHの20質量%の溶液、1gの硫酸ナトリウム及び0.8gの50質量%のNaOH溶液の溶液を室温で10分間撹拌した。その後、3.2gのFAUゼオライト(CBV100、SAR=5.1)を添加し、45分間撹拌し、その後、32.4gのケイ酸ナトリウムを添加し、30分間撹拌した。その後、ゲルを0.3Lのオートクレーブに移し、140℃で3日間、回転させながら結晶化させた。室温まで冷却し圧力を解放した後、生成物を濾過し、純水で洗浄し、90℃で一晩乾燥させた。合成されたままのゼオライトを空気中、540℃の炉で6時間焼成し、11.1のSAR、3m/gのMSA及び535m/gのZSAを有するゼオライトを得た。図1に示すSEM画像から観察されるように、焼成されたゼオライトは結晶形態を有していた。
【0121】
典型的なCHA骨格である、このゼオライト材料の合成されたままの形態及び焼成した形態のXRDパターンをそれぞれ図2及び3に示している。
【0122】
イミダゾリウム系有機構造指向剤を用いることにより、合成されたままの形態では典型的なCHA骨格とは異なるXRDパターンを示すが、焼成した形態では典型的なCHA骨格のXRDを示す、新規なCHA様ゼオライト材料を合成することができることが見出された。
【0123】
実施例5 触媒性能の試験
銅担持ゼオライト材料の調製
粉砕した実施例1.1のゼオライト材料を、10質量%のNHCl水溶液に、10:1の液体対固体の質量比で添加した。得られたスラリーを80℃に加熱し、2時間保持した後、濾過し、D.I.水で洗浄し、110℃で一晩乾燥させた。イオン交換手順を1回繰り返し、乾燥した生成物を450℃で6時間焼成し、H形ゼオライトを得た。
【0124】
初期湿潤含浸により、このH形ゼオライトの粉末に硝酸銅(II)水溶液を含浸させ、密閉容器中50℃で20時間保存した。得られた固体を乾燥させ、空気中450℃の炉で5時間焼成し、5.1質量%のCuOを有するCu担持ゼオライトを得た(Cu/Al比は約0.33)。
【0125】
エージングした触媒サンプルの試験
Cu担持ゼオライトをZr-酢酸塩の水溶液でスラリー化することにより、試験サンプルを調製し、その後、攪拌下、空気中、室温で乾燥させ、その後、550℃で1時間焼成して、生成物の量に基づいて5質量%のZrOをバインダーとして含有する生成物を提供した。得られた生成物を粉砕し、その後、250~500ミクロンの部分を10体積%の水蒸気/空気流中、650℃で50時間エージングさせた。
【0126】
選択的触媒還元(SCR)測定は、約1mLの床容積に希釈剤として同じふるい画分のコランダムとともに120mgの試験サンプルの担持量を有する固定床反応器で、以下の条件に従って行った:
ガス供給:500ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残りのN、80,000h-1のガス空間速度(GHSV)で;
温度:RUN1-200、400、575℃(脱グリーニングのための第1ラン)
RUN2-175、200、225、250、350、450、550、575℃。
【0127】
様々な温度でのRUN2の結果を以下の表にまとめ、図4にも示している。本発明によるCuで促進したゼオライトがNOx除去に有効であることがわかる。
【0128】
【表13】
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】