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特表2024-508252熱作動構成要素を有する脊椎アライメントシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】熱作動構成要素を有する脊椎アライメントシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240216BHJP
   F04B 43/08 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B17/70
F04B43/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548710
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022016628
(87)【国際公開番号】W WO2022178013
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,059
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522322077
【氏名又は名称】テトラビジョン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダブリュ. マラニー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル モーラン
【テーマコード(参考)】
3H077
4C160
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077CC03
3H077CC07
3H077DD05
3H077DD15
3H077EE31
3H077FF06
3H077FF14
3H077FF23
3H077FF32
4C160LL24
4C160LL62
4C160LL70
(57)【要約】
少なくとも1つの熱作動ポンプ要素を含む脊椎調整システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮状態から伸長状態に、及び前記伸長状態から前記収縮状態に戻るように、膨張するように構成されるローリングブラダと、
前記ローリングブラダに接続され、前記ローリングブラダが前記伸長状態に伸長するように前記ローリングブラダに作動流体を供給し、前記ローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように前記ローリングブラダから作動流体を除去するように構成されるポンプと、
を備え、
前記ポンプは、
前記作動流体で充填された第1の容積と、
前記第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第1の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と、
前記作動流体で充填された第2の容積と、
前記第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第2の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と、
前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通するアキュムレータと、
前記第1のポンプ及び前記第2のポンプと電気的に接続され、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプに選択的に電力を供給するように動作可能な電源と、
を含み、
前記ローリングブラダは、前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通し、作動流体が前記ローリングブラダに流入すると前記膨張状態に膨張し、前記作動流体が前記ローリングブラダから流出すると収縮し、
前記第1のポンプ要素は、電力が前記第1のポンプ要素に供給されると膨張して前記第1の容積内の圧力を増大させて、前記ローリングブラダが前記伸長状態に膨張するように前記作動流体を前記第1の容積から前記ローリングブラダに圧送し、
前記第2のポンプ要素は、電力が前記第2のポンプ要素に供給されると膨張して前記第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を前記第2の容積から前記アキュムレータに圧送し、電力が前記第2のポンプ要素から除去されると、流体が前記ローリングブラダから前記第2の容積に排出されて前記ローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように、収縮する、
脊椎調整システム。
【請求項2】
前記第1の容積と前記ローリングブラダとの間に配置され、前記第1の容積から前記ローリングブラダへの作動流体の流れを制御するように構成される第1のチェックバルブと、
前記第1の容積と前記アキュムレータとの間に配置され、前記第1の容積と前記アキュムレータとの間の作動流体の流れを制御するように構成される第2のチェックバルブと、
前記第2の容積と前記ローリングブラダとの間に配置され、前記ローリングブラダから前記第2の容積への作動流体の流れを制御するように構成される第3のチェックバルブと、
前記第2の容積と前記アキュムレータとの間にあり、前記第2の容積から前記アキュムレータへの作動流体の流れを制御するように構成されるリリーフバルブと、
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のチェックバルブは、前記第1のポンプ要素が膨張すると作動流体が前記第1の容積から前記ローリングブラダに流れることを可能にし、電力が除去された後に前記第1のポンプが収縮すると作動流体が前記第1の容積に逆流することを防止する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のチェックバルブは、電力が除去された後に前記第1のポンプ要素が収縮すると、作動流体が前記アキュムレータから前記第1の容積に流入することを可能にする、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記リリーフバルブは、前記第2のポンプ要素に電力が印加されたときに前記第2のポンプ要素が膨張すると、作動流体が前記第2の容積から前記アキュムレータに流れることを可能にするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3のチェックバルブは、電力が除去された後に前記第2のポンプが収縮すると、前記ローリングブラダが前記収縮状態に戻るように、前記作動流体が前記ローリングブラダから前記第2の容積に流れることを可能にするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記電源はワイヤコイルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のポンプ要素及び前記第2のポンプ要素のうちの一方に選択的に電力を供給するように構成される電源回路をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電源回路は、
第1の極性を有する整流正弦波信号を用いて前記ワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに前記第1の電力ポンプに電力が供給されるように、前記ワイヤコイルと前記第1のポンプ要素との間に配置される第1のダイオードと、
前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する整流正弦波信号を用いて前記ワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに前記第2の電力ポンプに電力が供給されるように、前記ワイヤコイルと前記第2のポンプ要素との間に配置される第2のダイオードと、
を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ワイヤコイルは、外部ワイヤコイルが前記ワイヤコイルに隣接して配置されると前記ワイヤコイルにおいて電流が誘導されるように、前記外部ワイヤコイルと対をなす、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ローリングブラダは、前記ローリングブラダの膨張により第1の椎骨と第2の椎骨との間の間隔が変化するように、前記第1の椎骨と前記第2の椎骨との間に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプと流体連通し、前記膨張状態に膨張し、前記収縮状態に収縮するように構成される別のローリングブラダをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のポンプは、
共晶ワックスを含む第1のベローズと、
前記電源に電気的に接続される第1の加熱要素と、
を備え、
前記第1の加熱要素は、前記第1の加熱要素に電力が供給されると、前記共晶ワックスが融解して前記第1のベローズが膨張し、前記第1の加熱要素から電力が除去されると、前記共晶ワックスが冷えて固化し前記第1のベローズが収縮するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のポンプは、
共晶ワックスを含む第2のベローズと、
前記電源に電気的に接続される第2の加熱要素と、
を備え、
前記第2の加熱要素は、前記第2の加熱要素に電力が供給されると、前記共晶ワックスが融解して前記第2のベローズが膨張し、前記第2の加熱要素から電力が除去されると、前記共晶ワックスが冷えて固化し前記第2のベローズが収縮するように配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
収縮状態から伸長状態に、及び前記伸長状態から前記収縮状態に膨張するように構成される第1のローリングブラダと、
収縮状態から伸長状態に、及び前記伸長状態から前記収縮状態に膨張するように構成される第2のローリングブラダと、
前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダと流体連通し、それぞれ前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダが前記伸長状態に伸長するように前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダに作動流体を供給し、それぞれ前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダから作動流体を除去するように構成されるポンプと、
を備え、
前記ポンプは、
前記作動流体で充填された第1の容積と、
前記第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第1の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と、
前記作動流体で充填された第2の容積と、
前記第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第2の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と、
前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通するアキュムレータと、
前記第1のポンプ及び前記第2のポンプと電気的に接続され、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプに選択的に電力を供給するように動作可能な電源と、
を含み、
前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダは、前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通し、作動流体が前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダに流入すると前記膨張状態に膨張し、前記作動流体が前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダから流出すると収縮し、
前記第1のポンプ要素は、電力が前記第1のポンプ要素に供給されると膨張して前記第1の容積内の圧力を増大させて、前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダが前記伸長状態に膨張するように前記作動流体を前記第1の容積から前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダに圧送し、
前記第2のポンプ要素は、電力が前記第2のポンプ要素に供給されると膨張して前記第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を前記第2の容積から前記アキュムレータに圧送し、電力が前記第2のポンプ要素から除去されると、流体が前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダから前記第2の容積に排出されて前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように、収縮する、
脊椎調整システム。
【請求項16】
前記第1の容積と前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダとの間に配置され、前記第1の容積から前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダへの作動流体の流れを制御するように構成される第1のチェックバルブと、
前記第1の容積と前記アキュムレータとの間に配置され、前記第1の容積と前記アキュムレータとの間の作動流体の流れを制御するように構成される第2のチェックバルブと、
前記第2の容積と前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダとの間に配置され、前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダから前記第2の容積への作動流体の流れを制御するように構成される第3のチェックバルブと、
前記第2の容積と前記アキュムレータとの間にあり、前記第2の容積から前記アキュムレータへの作動流体の流れを制御するように構成されるリリーフバルブと、
をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のチェックバルブは、前記第1のポンプ要素が膨張すると作動流体が前記第1の容積から前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダに流れることを可能にし、電力が除去された後に前記第1のポンプが収縮すると作動流体が前記第1の容積に逆流することを防止する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のチェックバルブは、電力が除去された後に前記第1のポンプ要素が収縮すると、作動流体が前記アキュムレータから前記第1の容積に流入することを可能にする、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記リリーフバルブは、前記第2のポンプ要素に電力が印加されたときに前記第2のポンプ要素が膨張すると、作動流体が前記第2の容積から前記アキュムレータに流れることを可能にするように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第3のチェックバルブは、電力が除去された後に前記第2のポンプが収縮すると、前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダが前記収縮状態に戻るように、前記作動流体が前記第1のローリングブラダ及び前記第2のローリングブラダから前記第2の容積に流れることを可能にするように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記電源はワイヤコイルである、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のポンプ要素及び前記第2のポンプ要素のうちの一方に選択的に電力を供給するように構成される電源回路をさらに備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記電源回路は、
第1の極性を有する整流正弦波信号を用いて前記ワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに前記第1の電力ポンプに電力が供給されるように、前記ワイヤコイルと前記第1のポンプ要素との間に配置される第1のダイオードと、
前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する整流正弦波信号を用いて前記ワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに前記第2の電力ポンプに電力が供給されるように、前記ワイヤコイルと前記第2のポンプ要素との間に配置される第2のダイオードと、
を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
収縮状態から伸長状態に、及び前記伸長状態から前記収縮状態に膨張するように構成される第1のローリングブラダと、
前記第1のローリングブラダと流体連通し、前記第1のローリングブラダが前記伸長状態に伸長するように前記第1のローリングブラダに作動流体を供給し、前記第1のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように前記第1のローリングブラダから作動流体を除去するように構成される第1のポンプであって、
前記第1のポンプは、
前記作動流体で充填された第1の容積と、
前記第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第1の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と、
前記作動流体で充填された第2の容積と、
前記第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第2の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と、
前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通するアキュムレータと、
前記第1のポンプ要素及び前記第2のポンプ要素と電気的に接続され、前記第1のポンプ要素及び前記第2のポンプ要素に選択的に電力を供給するように動作可能な電源と、
を含み、
前記第1のローリングブラダは、前記第1の容積及び前記第2の容積と流体連通し、作動流体が前記第1のローリングブラダに流入すると前記膨張状態に膨張し、前記作動流体が前記第1のローリングブラダから流出すると収縮し、
前記第1のポンプ要素は、電力が前記第1のポンプ要素に供給されると膨張して前記第1の容積内の圧力を増大させて、前記第1のローリングブラダが前記伸長状態に膨張するように前記作動流体を前記第1の容積から前記第1のローリングブラダに圧送し、
前記第2のポンプ要素は、電力が前記第2のポンプ要素に供給されると膨張して前記第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を前記第2の容積から前記アキュムレータに圧送し、電力が前記第2のポンプ要素から除去されると、流体が前記第1のローリングブラダから前記第2の容積に排出されて前記第1のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように、収縮する、
第1のポンプと、
収縮状態から伸長状態に、及び前記伸長状態から前記収縮状態に膨張するように構成される第2のローリングブラダと、
前記第2のローリングブラダと流体連通し、前記第1のローリングブラダが前記伸長状態に伸長するように前記第2のローリングブラダに作動流体を供給し、前記第2のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように前記第2のローリングブラダから作動流体を除去するように構成される第2のポンプであって、
前記第2のポンプは、
前記作動流体で充填された第3の容積と、
前記第3の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第3の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第3のポンプ要素と、
前記作動流体で充填された第4の容積と、
前記第4の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して前記第4の容積から前記作動流体を圧送するように動作可能な第4のポンプ要素と、
前記第3の容積及び前記第4の容積と流体連通する第2のアキュムレータと、
前記第3のポンプ要素及び前記第4のポンプ要素と電気的に接続され、前記第3のポンプ要素及び前記第4のポンプ要素に選択的に電力を供給するように動作可能な第2の電源と、
を含み、
前記第2のローリングブラダは、前記第3の容積及び前記第4の容積と流体連通し、作動流体が前記第2のローリングブラダに流入すると前記膨張状態に膨張し、前記作動流体が前記第2のローリングブラダから流出すると収縮し、
前記第3のポンプ要素は、電力が前記第3のポンプ要素に供給されると膨張して前記第3の容積内の圧力を増大させて、前記第2のローリングブラダが前記伸長状態に膨張するように前記作動流体を前記第3の容積から前記第2のローリングブラダに圧送し、
前記第4のポンプ要素は、電力が前記第4のポンプ要素に供給されると膨張して前記第4の容積内の圧力を増大させて、作動流体を前記第4の容積から前記第2のアキュムレータに圧送し、電力が前記第4のポンプ要素から除去されると、流体が前記第2のローリングブラダから前記第4の容積に排出されて前記第2のローリングブラダが前記収縮状態に収縮するように、収縮する、
第2のポンプと、
を備える脊椎調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月16日に出願された、「SPINAL ALIGNMENT SYSTEM WITH THERMALLY ACTUATED COMPONENT」と題する米国仮特許出願第63/150,059号の利益及び優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2021年2月16日に出願された、「BIDIRECTIONAL THERMALLY ACTUATED COMPONENT FOR USE IN MEDICAL DEVICES」と題する米国非仮特許出願第17/176,732号に関連し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の分野
【0003】
本発明は、熱作動アクチュエータ構成要素を含む脊椎アライメントシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
脊椎アライメントを含むアライメントを駆動、修正、又は維持するために使用される様々な医療デバイス及び機器がある。多くの従来のデバイスは、手動で作動される調整要素に限られている。人間の機械的介入に頼ると、ユーザが適切な調整を行うことができないか、不適切な調整を行う場合に、障害を生じるリスクがある。自動調整を用いる他の装置は、通常、複雑であり、暴走する壊滅的エラーを含むエラーを生じやすい。
【0005】
したがって、これら及び他の問題を解決するアライメントシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、安全であり、構成要素の出力が有限になるように入力に対して制限された出力を有することで、重大又は壊滅的なエラーの危険性を抑制する脊椎アライメントシステムを提供することである。
【0007】
実施形態において、本開示の一実施形態に係る脊椎アライメントシステムは、温度に基づいて固体と流体との間を遷移し、いくつか例を挙げるとクレヨン材料又はパラフィンワックスと同程度に無害であり得る材料を用い得る1つ又は複数の双方向熱作動構成要素を含む。
【0008】
実施形態において、システムは、所与の入力が正しい出力をもたらしたことを確認するために、システムの動作に関するフィードバック情報を含んでよい。
【0009】
本開示の一実施形態に係る脊椎アライメントシステムは、収縮状態から伸長状態に、及び伸長状態から収縮状態に戻るように、膨張するように構成されるローリングブラダと;ローリングブラダに接続され、ローリングブラダが伸長状態に伸長するようにローリングブラダに作動流体を供給し、ローリングブラダが収縮状態に収縮するようにローリングブラダから作動流体を除去するように構成されるポンプと;を含み、ポンプは:作動流体で充填された第1の容積と;第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第1の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と;作動流体で充填された第2の容積と;第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第2の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と;ここで、ローリングブラダは、第1の容積及び第2の容積と流体連通し、作動流体がローリングブラダに流入すると膨張状態に膨張し、作動流体がローリングブラダから流出すると収縮するものであり;第1の容積及び第2の容積と流体連通するアキュムレータと;第1のポンプ及び第2のポンプに電気的に接続され、第1のポンプ及び第2のポンプに選択的に電力を供給するように動作可能な電源と;を含み、ここで、第1のポンプ要素は、電力が第1のポンプ要素に供給されると膨張して第1の容積内の圧力を増大させて、ローリングブラダが伸長状態に膨張するように作動流体を第1の容積からローリングブラダに圧送し;第2のポンプ要素は、電力が第2のポンプ要素に供給されると膨張して第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を第2の容積からアキュムレータに圧送し、電力が第2のポンプ要素から除去されると流体がローリングブラダから第2の容積に排出されてローリングブラダが収縮状態に収縮するように、収縮する。
【0010】
実施形態において、システムは、第1の容積とローリングブラダとの間に配置され、第1の容積からローリングブラダへの作動流体の流れを制御するように構成される第1のチェックバルブと;第1の容積とアキュムレータとの間に配置され、第1の容積とアキュムレータとの間の作動流体の流れを制御するように構成される第2のチェックバルブと;第2の容積とローリングブラダとの間に配置され、ローリングブラダから第2の容積への作動流体の流れを制御するように構成される第3のチェックバルブと;第2の容積とアキュムレータとの間にあり、第2の容積からアキュムレータへの作動流体の流れを制御するように構成されるリリーフバルブと;を含む。
【0011】
実施形態において、第1のチェックバルブは、第1のポンプ要素が膨張すると作動流体が第1の容積からローリングブラダに流れることを可能にし、電力が除去された後に第1のポンプが収縮すると作動流体が第1の容積に逆流することを防止する。
【0012】
実施形態において、第2のチェックバルブは、電力が除去された後に第1のポンプ要素が収縮すると、作動流体がアキュムレータから第1の容積に流入することを可能にする。
【0013】
実施形態において、リリーフバルブは、第2のポンプ要素に電力が印加されたときに第2のポンプ要素が膨張すると、作動流体が第2の容積からアキュムレータに流れることを可能にするように構成される。
【0014】
実施形態において、第3のチェックバルブは、電力が除去された後に第2のポンプが収縮すると、ローリングブラダが収縮状態に戻るように、作動流体がローリングブラダから第2の容積に流れることを可能にするように構成される。
【0015】
実施形態において、電源は、ワイヤコイルである。
【0016】
実施形態において、システムは、第1のポンプ要素及び第2のポンプ要素のうちの一方に選択的に電力を供給するように構成される電源回路を含む。
【0017】
実施形態において、電源回路は、第1の極性を有する整流正弦波信号を用いてワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに第1の電力ポンプに電力が供給されるように、ワイヤコイルと第1のポンプ要素との間に配置される第1のダイオードと;第1の極性とは反対の第2の極性を有する整流正弦波信号を用いてワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに第2の電力ポンプに電力が供給されるように、ワイヤコイルと第2のポンプ要素との間に配置される第2のダイオードと;を含む。
【0018】
実施形態において、ワイヤコイルは、外部ワイヤコイルがワイヤコイルに隣接して配置されるとワイヤコイルにおいて電流が誘導されるように、外部ワイヤコイルと対をなす。
【0019】
実施形態において、ローリングブラダは、ローリングブラダの膨張により第1の椎骨と第2の椎骨との間の間隔が変化するように、第1の椎骨と第2の椎骨との間に配置される。
【0020】
実施形態において、システムは、ポンプと流体連通し、膨張状態に膨張し、収縮状態に収縮するように構成される別のローリングブラダを含む。
【0021】
実施形態において、第1のポンプは、共晶ワックスを含む第1のベローズと;電源に電気的に接続される第1の加熱要素と;を含み、第1の加熱要素は、第1の加熱要素に電力が供給されると、共晶ワックスが融解して第1のベローズが膨張し、第1の加熱要素から電力が除去されると、共晶ワックスが冷えて固化し第1のベローズが収縮するように配置される。
【0022】
実施形態において、第2のポンプは、共晶ワックスを含む第2のベローズと;電源に電気的に接続される第2の加熱要素と;を含み、第2の加熱要素は、2の加熱要素に電力が供給されると、共晶ワックスが融解して第2のベローズが膨張し、第2の加熱要素から電力が除去されると、共晶ワックスが冷えて固化し第2のベローズが収縮するように配置される。
【0023】
本開示の一実施形態に係る脊椎調整システムは、収縮状態から伸長状態に、及び伸長状態から収縮状態に膨張するように構成される第1のローリングブラダと;収縮状態から伸長状態に、及び伸長状態から収縮状態に膨張するように構成される第2のローリングブラダと;第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダと流体連通し、それぞれ第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダが伸長状態に伸長するように第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダに作動流体を供給し、それぞれ第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダが収縮状態に収縮するように第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダから作動流体を除去するように構成されるポンプと;を含み、ポンプは、作動流体で充填された第1の容積と;第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第1の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と;作動流体で充填された第2の容積と;第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第2の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と;ここで、第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダは、第1の容積及び第2の容積と流体連通し、作動流体が第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダに流入すると膨張状態に膨張し、作動流体が第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダから流出すると収縮し;第1の容積及び第2の容積と流体連通するアキュムレータと;第1のポンプ及び第2のポンプと電気的に接続され、第1のポンプ及び第2のポンプに選択的に電力を供給するように動作可能な電源と;を含み、第1のポンプ要素は、電力が第1のポンプ要素に供給されると膨張して第1の容積内の圧力を増大させて、第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダが伸長状態に膨張するように作動流体を第1の容積から第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダに圧送し、第2のポンプ要素は、電力が第2のポンプ要素に供給されると膨張して第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を第2の容積からアキュムレータに圧送し、電力が第2のポンプ要素から除去されると、流体が第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダから第2の容積に排出されて第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダが収縮状態に収縮するように、収縮する。
【0024】
実施形態において、システムは、第1の容積と第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダとの間に配置され、第1の容積から第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダへの作動流体の流れを制御するように構成される第1のチェックバルブと;第1の容積とアキュムレータとの間に配置され、第1の容積とアキュムレータとの間の作動流体の流れを制御するように構成される第2のチェックバルブと;第2の容積と第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダとの間に配置され、第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダから第2の容積への作動流体の流れを制御するように構成される第3のチェックバルブと;第2の容積とアキュムレータとの間にあり、第2の容積からアキュムレータへの作動流体の流れを制御するように構成されるリリーフバルブと;を含む。
【0025】
実施形態において、第1のチェックバルブは、第1のポンプ要素が膨張すると作動流体が第1の容積から第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダに流れることを可能にし、電力が除去された後に第1のポンプが収縮すると作動流体が第1の容積に逆流することを防止する。
【0026】
実施形態において、第2のチェックバルブは、電力が除去された後に第1のポンプ要素が収縮すると、作動流体がアキュムレータから第1の容積に流入することを可能にする。
【0027】
実施形態において、リリーフバルブは、第2のポンプ要素に電力が印加されたときに第2のポンプ要素が膨張すると、作動流体が第2の容積からアキュムレータに流れることを可能にするように構成される。
【0028】
実施形態において、第3のチェックバルブは、電力が除去された後に第2のポンプが収縮すると、第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダが収縮状態に戻るように、作動流体が第1のローリングブラダ及び第2のローリングブラダから第2の容積に流れることを可能にするように構成される。
【0029】
実施形態において、電源は、ワイヤコイルである。
【0030】
実施形態において、システムは、第1のポンプ要素及び第2のポンプ要素のうちの一方に選択的に電力を供給するように構成される電源回路を含む。
【0031】
実施形態において、電源回路は、第1の極性を有する整流正弦波信号を用いてワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに第1の電力ポンプに電力が供給されるように、ワイヤコイルと第1のポンプ要素との間に配置される第1のダイオードと;第1の極性とは反対の第2の極性を有する整流正弦波信号を用いてワイヤコイルにおいて電流が誘導されたときに第2の電力ポンプに電力が供給されるように、ワイヤコイルと第2のポンプ要素との間に配置される第2のダイオードと;を含む。
【0032】
本開示の一実施形態に係る脊椎調整システムは、収縮状態から伸長状態に、及び伸長状態から収縮状態に膨張するように構成される第1のローリングブラダと;第1のローリングブラダと流体連通し、第1のローリングブラダが伸長状態に伸長するように第1のローリングブラダに作動流体を供給し、第1のローリングブラダが収縮状態に収縮するように第1のローリングブラダから作動流体を除去するように構成される第1のポンプであって、第1のポンプは、作動流体で充填された第1の容積と;第1の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第1の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第1のポンプ要素と;作動流体で充填された第2の容積と;第2の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第2の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第2のポンプ要素と;ここで、第1のローリングブラダは、第1の容積及び第2の容積と流体連通し、作動流体が第1のローリングブラダに流入すると膨張状態に膨張し、作動流体が第1のローリングブラダから流出すると収縮するものであり;第1の容積及び第2の容積と流体連通するアキュムレータと;第1のポンプ要素及び第2のポンプ要素と電気的に接続され、第1のポンプ要素及び第2のポンプ要素に選択的に電力を供給するように動作可能な電源と;を含み、第1のポンプ要素は、電力が第1のポンプ要素に供給されると膨張して第1の容積内の圧力を増大させて、第1のローリングブラダが伸長状態に膨張するように作動流体を第1の容積から第1のローリングブラダに圧送し、第2のポンプ要素は、電力が第2のポンプ要素に供給されると膨張して第2の容積内の圧力を増大させて、作動流体を第2の容積からアキュムレータに圧送し、電力が第2のポンプ要素から除去されると、流体が第1のローリングブラダから第2の容積に排出されて第1のローリングブラダが収縮状態に収縮するように、収縮する、第1のポンプと;収縮状態から伸長状態に、及び伸長状態から収縮状態に膨張するように構成される第2のローリングブラダと;第2のローリングブラダと流体連通し、第1のローリングブラダが伸長状態に伸長するように第2のローリングブラダに作動流体を供給し、第2のローリングブラダが収縮状態に収縮するように第2のローリングブラダから作動流体を除去するように構成される第2のポンプであって、第2のポンプは、作動流体で充填された第3の容積と;第3の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第3の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第3のポンプ要素と;作動流体で充填された第4の容積と;第4の容積内に備え付けられ、作動されると膨張して第4の容積から作動流体を圧送するように動作可能な第4のポンプ要素と;第3の容積及び第4の容積と流体連通する第2のアキュムレータと;第3のポンプ要素及び第4のポンプ要素と電気的に接続され、第3のポンプ要素及び第4のポンプ要素に選択的に電力を供給するように動作可能な第2の電源と;を含み、第2のローリングブラダは、第3の容積及び第4の容積と流体連通し、作動流体が第2のローリングブラダに流入すると膨張状態に膨張し、作動流体が第2のローリングブラダから流出すると収縮し、第3のポンプ要素は、電力が第3のポンプ要素に供給されると膨張して第3の容積内の圧力を増大させて、第2のローリングブラダが伸長状態に膨張するように作動流体を第3の容積から第2のローリングブラダに圧送し、第4のポンプ要素は、電力が第4のポンプ要素に供給されると膨張して第4の容積内の圧力を増大させて、作動流体を第4の容積から第2のアキュムレータに圧送し、電力が第4のポンプ要素から除去されると、流体が第2のローリングブラダから第4の容積に排出されて第2のローリングブラダが収縮状態に収縮するように、収縮する、第2のポンプと;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
添付の図面と併せて、本発明の例示的ではあるが好適な実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、本開示の上記の及び関連する目的、特徴及び利点がより完全に理解されるであろう。
【0034】
図1】本出願の一実施形態に係る脊椎アライメントシステムの例示的なブロック図を示す。
【0035】
図2】本出願の一実施形態に係る、ユーザの脊椎における複数の椎骨に設けられた脊椎アライメントシステムの例示的な概略図を示す。
【0036】
図3】本出願の一実施形態に係る、図2の例示的な概略図のより詳細な図を示す。
【0037】
図4A】本出願の一実施形態に係る、収縮位置にある図1図3の脊椎アライメントシステムにおいて用いられる例示的なローリングブラダを示す。
【0038】
図4B】本出願の一実施形態に係る、伸長位置にある図1図3の脊椎アライメントシステムにおいて用いられる例示的なローリングブラダを示す。
【0039】
図4C】本出願の一実施形態に係る、ブラダ機能が湾曲した軌道に沿って膨張することを示す、部分的に伸長した位置にある図1図3の脊椎アライメントシステムにおいて用いられる例示的なローリングブラダを示す。
【0040】
図5A】本出願の一実施形態に係る、伸長位置にある複数のローリングブラダを含む脊椎アライメントシステムを示す。
【0041】
図5B】本出願の一実施形態に係る、収縮位置にある複数のローリングブラダを含む図1の脊椎アライメントシステムを示す。
【0042】
図6】本出願の一実施形態に係る、例示的なハウジングに取り付けられる図1の脊椎アライメントシステムにおける使用に好適なポンプの例示的な実施形態を示す。
【0043】
図7A】本開示の一実施形態に係る、ハウジングに取り付けられるポンプ機構の例示的な側面図を示す。
【0044】
図7B】本開示の一実施形態に係る、図7Aのポンプ機構の例示的な端面図を示す。
【0045】
図7C】本開示の一実施形態に係る、図7Aのポンプ機構の例示的な反対側の端面図を示す。
【0046】
図7D】本開示の一実施形態に係る、図7Aのポンプ機構の別の例示的な反対側の端面図を示す。
【0047】
図8】本開示の一実施形態に係る、線A-Aに沿った図7A図7Cのポンプ機構の例示的な断面図を示す。
【0048】
図9】本開示の一実施形態に係る、線B-Bに沿った図7A図7Cのポンプ機構の例示的な断面図を示す。
【0049】
図10】本開示の一実施形態に係る、線C-Cに沿った図7A図7Dのポンプ機構の例示的な断面図を示す。
【0050】
図11】本開示の一実施形態に係る、図7A図7Dのポンプ機構において用いられる例示的なリリーフバルブの例示的な断面図を示す。
【0051】
図12】本開示の一実施形態に係る、図7A図7Dのポンプ機構において用いられる例示的なチェックバルブの例示的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、ローリングブラダ14に接続されたポンプ機構12を含み得る脊椎アライメントシステム100の例示的なブロック図を示す。実施形態において、ポンプ機構12は、アキュムレータ16からローリングブラダ14に、又はローリングブラダからアキュムレータ16に流体を圧送するように機能する一対の熱作動ポンプ(カートリッジ)10a、10bを含んでよい。実施形態において、アキュムレータ16は、システム100用の作動流体を貯蔵するゼロ圧力基準流体リザーバであってよい。そのような一実施形態において、アキュムレータ16は、カテーテルによりポンプ機構12に接続され、流体ポンプと一体ではなく流体ポンプと共に植え込まれてよい。実施形態において、アキュムレータ16は、外部で使用されるIVバッグのものと同様のポリ塩化ビニル(PVC)製の膨張可能バッグであってもよく、又はそれを含んでもよい。実施形態において、この膨張可能バッグは、作動流体として使用され得る体内の水がアキュムレータ16内の流体供給を補充することを可能にする選択的透過性膜で構成されてもよい。実施形態において、ローリングブラダ14は、設計要件に応じて、作動流体により加圧されると膨張力及びそれに伴う膨張を提供するタイプの液圧要素であってよい。
【0053】
実施形態において、ポンプ機構12、具体的には熱作動ポンプ10a、10bへの電力は、電源18によって供給されてよい。実施形態において、電源18は、例えば図1で見ることができるように誘導結合コイルであってよい。実施形態において、電源18は、マルチターン誘導コイルであってよく、患者の体内において患者の皮膚の真下に配置されてよい。実施形態において、コイルの平面は、外部一次コイル20との効率的な結合を容易にするために、患者の皮膚の表面に実質的に平行である。実施形態において、電源18は、例えばバッテリなどのオンボード電源であってよい。実施形態において、電源18(コイル)は、電力を供給するために患者の外部への実際の物理的接続を必要としない近接場充電システムの一部であってよい。実施形態において、外部一次コイル20は、正又は負の極性の整流正弦波電流により通電されてよい。実施形態において、整流正弦波電流は、ダイオードD1、D2を介して2つの熱作動ポンプ10a、10bの加熱要素116a又は116bに導かれ得る電流を二次コイル18において誘導するために用いられてよい。実施形態において、第1のポンプ10a及び第2のポンプ10bに選択的に電力を供給して、第1のポンプ10a及び第2のポンプ10bを作動させるために、他の適切な電源回路がダイオードD1、D2の代わりに用いられてよい。実施形態において、電源回路は、プロセッサ又は他の制御回路を含んでよい。実施形態において、電源回路は、例えば、電源18が例えばバッテリを含む場合に、電力消費を管理するために用いられてよい。
【0054】
実施形態において、ローリングブラダ14の膨張を制御するために、一次コイル20における正の整流正弦波信号のパルス電流は、コイル18において二次電流を誘導し、この二次電流は、作動流体で充填された容積V1に配置された熱作動ポンプ10aに供給され、それにより熱作動ポンプ10aを膨張させて容積V1内の圧力を増大させ、バルブCV1aを逆止しつつ、貯留された作動流体をチェックバルブCV1bに通す。実施形態において、図4Bで見ることができるように、作動流体は、ローリングブラダ14に流入し、それによりローリングブラダ14を膨張状態に膨張させてよい。実施形態において、チェックバルブCV2bを介して容積V2に圧力が伝達されるが、容積V2内の熱作動ポンプ10bの隆起した性質及び圧力リリーフバルブRV2により、流体がアキュムレータ16に戻るのが防止される。熱作動ポンプ10aが動作停止されると、熱作動ポンプ10aは収縮し、減圧により作動流体がアキュムレータ16からチェックバルブCV1aを通して引き込まれ、一方で、CV1bの逆止状態がローリングブラダ14内の圧力を保持することで、ブラダ14の伸長位置を維持する。
【0055】
実施形態において、図4Aに示すように、ローリングブラダ14を収縮状態に収縮させるために、例えば反対の極性の整流正弦波信号を供給することにより、例えば、一次コイル20におけるパルス電流が反転されてよく、それにより、二次電流がコイル18を介して容積V2内の熱作動ポンプ10bに伝送される。V2内の熱作動ポンプ10bが膨張することに伴い、チェックバルブCV2bが逆止され(閉じられ)、リリーフバルブRV2が容積V2からアキュムレータ16に流体を送る圧力を逃がすまで、容積V2内で圧力が上昇する。電流が除去されると、熱作動ポンプ10bは収縮し、容積V2内の圧力が低下し、それによりリリーフバルブRV2が閉じる。容積V2内の熱作動ポンプ10bのさらなる収縮により、チェックバルブCV2bが開いて流体がローリングブラダ14から再び容積V2に流れ込むことを可能とするまで、V2内の圧力がさらに低下する。ローリングブラダ14から作動流体が除去されることにより、その中の圧力が低下し、その結果、ブラダ14が収縮状態に収縮する。実施形態において、熱作動ポンプ10a、10bは、共晶ワックスなどの熱応答性材料を保持するそれぞれのベローズ構造112a、112b(例えば図1参照)と、作動されるとワックスを加熱して溶融及び膨張させてベローズ構造116a、116bを膨張させるそれぞれの加熱要素116a、116bとを含んでよい。加熱要素116a、116bが動作停止されると、ワックスが冷えて固化し、収縮することで、ベローズ構造112a、112bが収縮する。実施形態において、ベローズ構造112a、112bは、収縮位置へと付勢されてよい。実施形態において、第1の熱作動ポンプ10a及び第2の熱作動ポンプ10bは、2021年2月16日に出願された、「BIDIRECTIONAL THERMALLY ACTUATED COMPONENT FOR USE IN MEDICAL DEVICES」と題する、本出願人の同時係属中の米国非仮特許出願第17/176,732号に記載されている熱作動アクチュエータ構成要素によって具現化されてよく、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態において、電源18は、膨張可能なベローズ構造112a、112b及びそこに含まれる共晶ワックスに熱を加えるために用いられるそれぞれの加熱要素116a、116bに電気的に接続されてよい。
【0056】
実施形態において、ローリングブラダ14は、ユーザの脊椎における1つ又は複数の椎骨に力を印加するために用いられてよい。実施形態において、ローリングブラダ14は、椎骨のアライメントを促すための圧力を提供するために、所望に応じて膨張及び収縮するように制御されてよい。実施形態において、例えば図2図3で見ることができるように、複数の椎骨に圧力を印加するために複数のブラダ14が用いられてよい。実施形態において、ブラダ14は、異なる椎骨に異なる量の圧力を印加するように個別に制御されてよい。実施形態において、締結具50が椎骨に固定されてよく、ローリングブラダ14は締結具の間に配置されてよい。実施形態において、締結具50は、例えば、図5Bに示すように、椎弓根スクリューであってよい。実施形態において、それぞれのポンプ機構12は、要素40を介して接続されてよく、それぞれのローリングブラダ14の膨張及び収縮を制御して、締結具50が取り付けられる椎骨間の間隔を調整するために用いられてよい。実施形態において、それぞれのポンプ機構12の各々は、各ローリングブラダ14が特定の対の椎骨の間に所望の間隔を提供するように個別に制御され得るように、別々に制御されてよい。実施形態において、それぞれのポンプ機構12の各々は、それぞれのポンプ12の各々への動力を別々に制御することにより、別々に制御されてよい。
【0057】
実施形態において、各ローリングブラダ14は、一緒に制御されてもよい。実施形態において、単一のポンプ12が、ローリングブラダ14の各々と流体連通するように設けられてもよい。実施形態において、単一のポンプ機構12は、例えば図6に示すように、ハウジング110内に備え付けられてもよい。実施形態において、単一のポンプ機構12は、例えば、図2図3に示すローリングブラダ14の各々に作動流体を供給するように動作可能であってよい。実施形態において、締結具50は、例えば、図3におけるポンプ機構12から複数のローリングブラダ14への作動流体の流れを可能にするための流体コネクタ(品目40a)を含んでよい。実施形態において、エンドコネクタ40bが、システム100の端部に設けられてよい。
【0058】
図4Aは、収縮状態又は収縮位置にあるローリングブラダ14の例示的な実施形態を示す。図4Bは、伸長状態又は伸長位置にあるローリングブラダ14の例示的な実施形態を示す。図4Cは、部分的に伸長した位置にあるローリングブラダ14の断面図を示す。実施形態において、ローリングブラダ14は、柔軟性のある壁部を含んでよく、図4Aに示す収縮位置へと付勢されてもよい。実施形態において、作動流体がローリングブラダ14に流入することに伴い、ローリングブラダ14内の圧力が増大し、それにより柔軟壁部が伸長状態に膨張する。作動流体がローリングブラダ14から排出されると、ブラダ内の圧力が低下し、柔軟壁部が収縮状態に収縮する。
【0059】
図5Aは、伸長位置において互いに接続された複数のローリングブラダ14を含む脊椎アライメントシステム100の一例を示す。図5Bは、収縮位置において互いに接続された複数のローリングブラダ14を含む脊椎アライメントシステム100の一例を示す。実施形態において、ローリングブラダ14は、接続要素40を介して接続される。実施形態において、接続要素40は、各ローリングブラダが一緒に膨張及び収縮するようにローリングブラダ14間の流体連通を提供する、接続要素40を通して延びる流体導管40aを含む。実施形態において、接続要素40は、椎骨に接続された締結具50であるか又は締結具50を含むものであってよく、それらの間にローリングブラダ14が設けられてもよい。実施形態において、脊椎アライメントシステム100は、システム100の一端部に設けられ、上述のポンプ12とローリングブラダ14との間の流体接続を提供してローリングブラダに作動流体を供給し、ローリングブラダから排出することを可能にするように構成されたポンプコネクタ60を含んでよい。実施形態において、ポンプコネクタ60は、ポンプ機構12及びローリングブラダ14と流体連通する作動流体入口60aを含んでもよい。実施形態において、ローリングブラダ14は、個々のポンプ機構12に接続されてよく、その場合、接続要素40の通路40aは、エルボ形状であり、それぞれのポンプ機構に接続されてもよい。
【0060】
図6は、図1図3及び図5Aのシステム100において用いるためのハウジング110内に備え付けられたポンプ機構12の例示的な概略図を示す。実施形態において、容積V1及び容積V2は、ハウジング110内の別個の区画として一体化されてもよい。実施形態において、ベローズ112aを含むポンプ10aは、容積V1内に備え付けられてよく、ベローズ112bを含むポンプ10bは、容積V2内に備え付けられてよい。実施形態において、アキュムレータ16は、ハウジング110の外側に設けられてよく、上述したように例えばカテーテルを介してポンプ10a、10bに接続されてよい。図7Aは、切断線A-Aと共に、図6に示すハウジング内に備え付けられたポンプ機構12の側面図を示し、詳細が図8に示されている。図7Bはその端面図を示し、図7Cは、切断線B-Bと共に反対側の端面図を示し、詳細が図9に示されている。図7Dは、切断線C-Cを示し、詳細が図10に示されている。
【0061】
図8は、線A-Aに沿った図7Aのポンプ機構12の例示的な断面図を示す。図8は、作動流体がポンプ機構とアキュムレータとの間で流れ得るように、ハウジング110の外側に配置されたアキュムレータ16との流体連通を提供するチューブスタブ又はコネクタ12aを示す。チューブスタブ又はコネクタ12bは、流体がポンプ機構とローリングブラダ14との間で流れ得るように、ローリングブラダ14との流体連通を提供する。図8はまた、容積V1及びV2内に配置された、熱ワックス膨張要素であり得る第1のポンプ10a及び第2のポンプ10bの断面を示す。図8のリリーフバルブRV2は、図11に詳細に示されている。
【0062】
図9は、線B-Bに沿った図7Cのポンプ機構12の断面図を示す。図9はまた、図12に詳細に示されているチェックバルブCV1a、CV1b、及びCV2bの各々の例示的な配置を示す。
【0063】
図10は、V1、RV2及びV2、CV2b及びRV2の間の例示的な流体通路接続、並びにアキュムレータ16へのそれらの接続を示す、線C-Cに沿った図7Dのポンプ機構12の断面図を示す。
【0064】
図11は、リリーフバルブRV2の断面図を示す。実施形態において、図示のように、リリーフバルブRV2は、直動ばね荷重ポペット型リリーフバルブであってもよい。実施形態において、リリーフバルブRV2は、ハウジング120、弁座124、ガイド121及び/又は弁座124内で案内され、ばね123により予荷重がかけられるポペット122を含んでよい。ポペット122に働くばね123の予荷重は、ポペット122を弁座124に押し付け、容積V1及びローリングブラダ14内の流体圧力に対する封止を行う。弁座直径の領域に働くV1、14の圧力がばね123の力以上の力を発生させる場合、リリーフバルブRV2が開き、流体がV1、14からアキュムレータ16に流れることを可能にする。所望の圧力閾値は、ローリングブラダ14における所望の力及びその断面積に応じ、患者の詳細事項に依存する。所望のパッキング及び性能のパラメータに基づいて、他のリリーフバルブの構成が適宜用いられてもよい。
【0065】
図12は、例示的なチェックバルブCV1a、CV1b、CV2bの断面図を示す。リリーフバルブRV2と同様に、図12のチェックバルブは、直動ばね荷重ポペット型チェックバルブとして示されている。実施形態において、各チェックバルブは、ハウジング130、弁座131、弁座131内で案内され、ばね133により予荷重がかけられるポペット132を含んでよい。ハウジング内の組立てを容易にするために、エンドキャップ134が含まれてもよい。実施形態において、チェックバルブCV1a、CV1b、CV2bは、小さいばね力を用いて、ポペット132を閉じるように付勢する。流れ方向とは反対の逆止方向に働く圧力は、チェックバルブを閉じるように働く力をさらに高め、逆止方向への流れを防止する。これらのチェックバルブCV1a、CV1b、CV2bは、図1を参照して説明したように、作動流体の流れを制御するように働く。
【0066】
実施形態において、電源18は、ユーザの皮膚の下に取り付けられてよく、一次コイル20は、外部に設けられてポンプ機構12において電流を誘導してもよい。
【0067】
ここまで本発明の実施形態を示し詳細に説明してきたが、当業者には、様々な修正及び改善が容易に明らかとなり得る。したがって、上記で述べた本発明の例示的実施形態は、限定ではなく例示を意図したものである。本発明の趣旨及び範囲は、広義に解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】