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特表2024-508259ナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材
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  • 特表-ナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240216BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240216BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20240216BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20240216BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E04F15/02 A
C08G18/42
C08G18/67 010
C08G18/75 010
C08F290/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548938
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2022000398
(87)【国際公開番号】W WO2022177152
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0020434
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523306852
【氏名又は名称】株式会社ノバスマートコリア
【氏名又は名称原語表記】NOVA SMART KOREA CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3ho 1F, 1430, Yuseong-daero Yuseong-gu Daejeon 34101 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】イム ソング ビン
(72)【発明者】
【氏名】ベク ビョン ギョ
【テーマコード(参考)】
2E220
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
2E220AA07
2E220AA11
2E220AA19
2E220AA33
2E220BA04
2E220BB02
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2E220DB03
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2E220GB34X
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4J127DA66
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4J127FA08
4J127FA48
(57)【要約】
本発明は建築物の床を仕上げるために使用され、美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を有するように製造された床材に関するものであり、床材の基本骨格を形成する床ボード層と、前記床ボード層の上面部にラミネートされ、多様な柄及び色によって美的外観を提供する装飾フィルム層と、耐スクラッチ性及び耐汚染性を有するように上面部にナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているフィルムであって、前記装飾フィルム層の上面部にラミネートされて床材の最上層を形成するUVコーティングフィルム層とを含むことを特徴とする発明である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVコーティング層が形成された床材であって、
板状に形成され、床材(1)の基本骨格を形成する床ボード層(2)と、
前記床ボード層(2)の上面部にラミネートされ、多様な柄及び色によって美的外観を提供する装飾フィルム層(6)と、
耐スクラッチ性及び耐汚染性を有するように上面部にナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているフィルム形態を有し、前記装飾フィルム層(6)の上面部にラミネートされて床材(1)の最上層を形成するUVコーティングフィルム層(7)と、を含むことを特徴とする、ナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項2】
前記床ボード層(2)は、石粉70~90重量部と、バインダー10~30重量部とが混合されて形成されることを特徴とする、請求項1に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項3】
前記床ボード層(2)は、下面部にIXPE材質からなった1~2mm厚さの吸音材層(5)が付着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項4】
フィルム状の前記UVコーティングフィルム層(7)は、基本フィルム層とナノシリカとがハイブリッドされたUVコーティング層から構成され、
前記ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層は、UVコーティング液を基本フィルム層の上面部にコーティング処理することによって形成されたものであり、
前記UVコーティング液は、ウレタンアクリレート樹脂をベース樹脂として製造されたコーティング液であることを特徴とする、請求項1に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項5】
前記UVコーティング液のベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂は、ポリエステルポリオール400~520重量部と、イソホロンジイソシアネート280~350重量部と、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレート520~630重量部と、所定量の粘度調節剤、消泡剤、分散剤、反応触媒及びスリップ剤(Slip agent)とを添加及び混合することによって製造されたものであり、
前記ポリエステルポリオールは、アジピン酸(adipic acid)200~250重量部と、プロピレングリコール(propylene glycol)55~75重量部と、ジエチレングリコール(diethylene glycol)80~96重量部と、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)70~90重量部とを縮合反応させることによって製造されることを特徴とする、請求項4に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項6】
前記ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートは、酸性系シリカゾル内に含有された金属イオンを陽イオン交換樹脂で吸着して除去した後、有機溶媒及びシランカップリング剤を添加及び混合して疎水性に改質処理し、水分を除去して濃縮した後、チタン酸塩カップリング剤で表面処理した後、2-ヒドロキシエチルアクリレートと混合し、シリカゾル粒子の表面に2-ヒドロキシエチルアクリレートをコーティング処理することによってハイブリッドされたことを特徴とする、請求項5に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【請求項7】
前記UVコーティング液は、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂450~550重量部と、粘度調節剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート160~200重量部と、消泡剤5~10重量部と、分散剤4~8重量部と、消光剤75~95重量部と、UV開始剤70~90重量部と、スリップ剤としてシリコンアクリレート5~9重量部と、平滑性添加剤3~5重量部とを添加及び混合することによって製造されたことを特徴とする、請求項4に記載のナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築物の床を仕上げるために使用され、美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を有するように製造された床材に関し、より詳しくは、板状に形成され、床材の基本骨格を形成する床ボード層と、前記床ボード層の上面部にラミネートされ、多様な柄及び色で美的外観を提供する装飾フィルム層と、耐スクラッチ性及び耐汚染性を有するように上面部にナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているフィルムであって、前記装飾フィルム層の上面部にラミネートされて床材の最上層を形成するUVコーティングフィルム層とを含むことを特徴とするナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、住居文化を向上させるように室内を高級化し、居住空間全体が自然な木質感を有するようにするために室内の床に別途の床材を付着して木材の木質感をそのまま表現する施工が一般的に施行されている。このような床材は、その材質によって、強化床、合板床、原木床などに区分される。
【0003】
前記強化床は繊維板などを基材として使用した床であり、耐磨耗性、耐久性、及び耐汚染性が強く、維持管理が便利であるが、装飾紙の限界及び表面のメラニンラミネートなどによって木材の質感が少し落ちる。前記強化床は、上部のラミネート層と、中間の基材層と、底面からの湿気を遮断するための下層とから構成されている。これは、木材から繊維質を分離して採取し、防水樹脂を添加した後、高温及び高圧で圧縮成形したHDF(high-density fiberboard)を基材とし、表面はHPL(high-pressure laminate)またはLPL(law-pressure laminate)で強化処理したものである。
【0004】
また、前記強化床は、装飾紙(decorative paper)の種類によって色相やデザインを多様に飾ることができるが、装飾紙の限界及び表面のメラニンラミネートなどによって木材の質感が原木床や合板床に比べて少し落ちる。
【0005】
前記原木床は天然の原木をそのまま床板に加工したものであり、形状によって縁側床板と板張り床板とに区分される。幅18~68mm、厚さ8~25mmの原木床板を縁側床板と言い、幅75~175mm、厚さ8~22mmの板状床を板張り床板と言う。板張り床板が質感や文様の状態でより優れ、衝撃吸水性が良いので、教室などに床材として使用されている。
【0006】
このような原木床は、原木をそのまま用いることによって質感が優れるので、最高級床材と認識されており、材料としては、楓、白華、木犀などの広葉樹が主に使用されるが、原木の大部分を輸入に依存しているので、値段が高く、耐磨耗性が弱くて表面がよく損傷され、騷音がひどく、変色及び色焼けのおそれがあり、他の床に比べて熱伝導度が低く、周期的にワニス塗りを実施しなければならないので、管理が不便であるという問題点がある。
【0007】
一方、合板床は合板を基材として使用し、表面につき板を付けたものであり、表面につき板を付けることにより、質感が自然であり、水分や熱による変形が少ないが、原木床のように表面が強くなくてスクラッチ、汚染、紫外線による変色、色焼けなどの問題点を有している。
【0008】
このような強化床、原木床、合板床などを含む床材に対する従来技術として、韓国登録特許公報第10-1725863号公報には、厚さ0.1~3mmの集成木材またはMLH(Mixed Light Hardwood)合板、厚さ2~7mmの積層された3枚のベニヤ、及びHPMシートを順次積層した後、温度50~100℃、圧力10~15kgf/cmで低温熱圧することで製造され、前記HPMシートは印刷されたグラビア紙、厚さ0.1mm~1mmの不織布または紙または合成樹脂材布のうちのいずれか一つ、及び厚さ0.2~3mmの集成木材が順次結合され、前記HPMシートの下部には厚さ2~7mmの積層された3枚のベニヤが備えられ、前記3枚のベニヤの下部には厚さ0.1~3mmの集成木材またはMLH(Mixed Light Hardwood)合板が順次結合されてなることを特徴とする重合板からなった強化床材が開示されている。
【0009】
しかし、前記従来技術による床材は、温度差によって底から上昇する水分が染み込み、染み込んだ水分によって下部に位置するベニヤに水が浸透して変形が発生するかまたは水につかって膨張するなど、水分に脆弱であり、表面の耐スクラッチ性が低くて傷やクラックなどが発生しやすく、特に従来技術による床材は、製作された床材の上面に耐スクラッチ性を与えるためにコーティング液でコーティング層を形成するが、製作された床材の表面自体の不均一及びコーティング不均一によってデコボコした不均一なコーティング層が形成されるから、床の使用による外部物体との接触の際、コーティング層が容易に剥げる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような従来の問題点を改善するためのものであり、美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を有するようにフィルム状のUVコーティングフィルム層が最上層に位置するように、床ボード層、装飾フィルム層及びUVコーティングフィルム層が上下に積層された床材であって、床ボード層は石粉とバインダーとを混合して製造したものを使用して耐水性及び耐久性を高め、多様な柄及び色相を有する装飾フィルム層によって美的外観を向上させ、ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているUVコーティングフィルム層を床材の最上層に形成して耐スクラッチ性、表面硬度、及び耐汚染性を向上させた優れた品質の床材を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するためのUVコーティング層が形成された床材は、板状に形成され、床材の基本骨格を形成する床ボード層と、前記床ボード層の上面部にラミネートされ、多様な柄及び色によって美的外観を提供する装飾フィルム層と、耐スクラッチ性及び耐汚染性を有するように上面部にナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているフィルム形態を有し、前記装飾フィルム層の上面部にラミネートされて床材の最上層を形成するUVコーティングフィルム層とから構成されることに本発明の特徴がある。
【0012】
本発明の他の特徴は、前記床ボード層は石粉80~90重量部とバインダー10~20重量部とが混合されて形成されることにある。
【0013】
また、本発明のさらに他の特徴は、前記ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層は、アジピン酸、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及び1,6-ヘキサンジオールを縮合反応させることによって製造されたポリエステルポリオールと、イソホロンジイソシアネートと、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートとを混合することによって製造されたウレタンアクリレート樹脂をベース樹脂としてUVコーティング液を製造した後、前記UVコーティング液を基本フィルム層の上面部にコーティング処理することによって形成されることにある。
【0014】
また、本発明のさらに他の特徴は、前記ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートは、酸性系シリカゾル内に含有された金属イオンを陽イオン交換樹脂で吸着して除去した後、有機溶媒及びシランカップリング剤を添加及び混合して疎水性に改質処理し、水分を除去して濃縮した後、チタン酸塩カップリング剤で表面処理した後、2-ヒドロキシエチルアクリレートと混合し、シリカゾル粒子の表面に2-ヒドロキシエチルアクリレートをコーティング処理することによってハイブリッドされたことにある。
【発明の効果】
【0015】
前記のように、本発明によれば、床ボード層、装飾フィルム層及びUVコーティングフィルム層がラミネートされた床材であって、床ボード層は、石粉とバインダーとを一定の割合で混合して製造した床ボード層を使用して耐水性及び耐久性を高めることができ、多様な柄及び色相を有する装飾フィルム層によって美的外観を向上させることができ、ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているUVコーティングフィルムを床材の最上層に付着してUVコーティングフィルム層を形成することで、床の使用による外部物体との接触の際、耐スクラッチ性、表面硬度などを向上させることができ、美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を有する床材を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による床材の分解状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の構成を詳細に説明すると次のようである。
【0018】
本発明による床材1は建築物の床を仕上げるために使用されて美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を提供するものであり、図1に示すように、板状に形成されて床材1の基本骨格を形成する床ボード層2と、前記床ボード層2の上面部にラミネートされ、多様な柄及び色によって美的外観を提供する装飾フィルム層6と、耐スクラッチ性及び耐汚染性を有するように上面部にナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているフィルム形態を有し、前記装飾フィルム層6の上面部にラミネートされて床材1の最上層を形成するUVコーティングフィルム層7と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記床ボード層2は板状に形成されて床材1の基本骨格を形成する構成であり、床ボード層2が他の床材に形成された床ボード層と互いに挿合されるように、床ボード層2の周面のいずれか一方には挿入突条3が突設され、他方には挿入突条3が挿合される挿入溝4が形成されることで、床材が互いに平面上で挿合されるようにする。
【0020】
また、前記床ボード層2は4~10mm程度の厚さを有するように形成され、石粉70~90重量部とバインダー10~30重量部とが混合されたものから形成されることで、耐水性及び耐久性を高めるようになっている。
【0021】
一方、前記床ボード層2の下面部にIXPE(irradiation crosslinked polyethylene foam)材質からなった1~2mm厚さの吸音材層5が付着されることで、床材1の吸音性を向上させて階間騷音を減少させるようになっている。
【0022】
前記装飾フィルム層6は床ボード層2の上面部にラミネーション加工法(lamination treatment)で接合され、床材1が多様な柄及び色を有するように美的外観を提供するとともに、前記装飾フィルム層6はPVCなどのような合成樹脂材のフィルムに木目柄などが印刷されることによって天然木のような美観を付与する。
【0023】
前記UVコーティングフィルム層7は床材に耐スクラッチ性及び耐汚染性を提供するためのフィルム状の構成であり、前記装飾フィルム層6の上面部にラミネーション加工法(lamination treatment)で接合されて床材1の最上層を形成し、基本フィルム層とナノシリカとがハイブリッドされたUVコーティング層から構成される。
【0024】
前記ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層はUVコーティング液を基本フィルム層の上面部にコーティング処理することによって形成されたものであり、前記UVコーティング液はウレタンアクリレート樹脂をベース樹脂として製造されたコーティング液であることを特徴とする。
【0025】
前記UVコーティングフィルム層7を構成する基本フィルム層は0.08~0.5mmの厚さを有するPVC材質から形成されることが好ましい。
【0026】
また、前記UVコーティングフィルム層7を構成するナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層の形成に使用されるUVコーティング液はウレタンアクリレート樹脂をベース樹脂として製造されたコーティング液であり、ベース樹脂製造段階及びUVコーティング液製造段階によって製造される。したがって、製造されたUVコーティング液を基本フィルム層の上面部に塗布し、UV硬化させることで、ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層を形成する。
【0027】
UVコーティング液を製造する過程及び製造されたUVコーティング液を用いて基本フィルム層の上面部にUVコーティング層を形成する過程を段階別に詳細に説明すると次のようである。
【0028】
1.ベース樹脂製造段階
まず、前記ベース樹脂製造段階は、ポリエステルポリオール(polyester polyol)と、イソホロンジイソシアネート(Isophorone diisocyanate、IPDI)と、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxy eathylacrylate)と、その他の添加剤とを添加及び混合することで、UVコーティング液のベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂を製造する過程である。
【0029】
前記ポリエステルポリオールはUVコーティング層の引張強度、伸び率及び強靭性を向上させるためのものであり、アジピン酸(adipic acid)200~250重量部と、プロピレングリコール(propylene glycol)55~75重量部と、ジエチレングリコール(diethylene glycol)80~96重量部と、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)70~90重量部とを縮合反応させることによって製造される。縮合反応に使用される反応触媒には米国PMC社のfascat4100製品0.3~0.6重量部を添加して混合する。
【0030】
前記のように製造されたポリエステルポリオール400~520重量部に、イソホロンジイソシアネート280~350重量部と、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレート520~630重量部と、所定量の粘度調節剤、消泡剤、分散剤、反応触媒及びスリップ剤(Slip agent)とを添加して混合することで、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂を製造するようになる。
【0031】
一方、前記ポリエステルポリオールは、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して400~520重量部が添加及び混合される。ここで、ポリエステルポリオールが400重量部未満で添加される場合は、UVコーティング層の引張強度、伸び率及び強靭性が低下する問題点が発生し、520重量部を超えて添加される場合は、UVコーティング層が過軟質化する問題点が発生する。
【0032】
前記イソホロンジイソシアネートは脂環式ジイソシアネート化合物であって、UVコーティング層の引張強度、伸び率及び強靭性を向上させるためのものであり、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して280~350重量部が添加及び混合される。ここで、イソホロンジイソシアネートが280重量部未満で添加される場合は、反応基の不足によってウレタンアクリレート樹脂が合成されず、350重量部を超えて添加される場合は、ウレタンアクリレート樹脂の貯蔵安全性を阻害する問題点が発生する。
【0033】
前記ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートは脂肪族アクリレート化合物であって、UVコーティング層の耐スクラッチ性及び表面硬度を向上させ、UV硬化性を発現させるためのものであり、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して520~630重量部が添加及び混合される。ここで、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートが520重量部未満で添加される場合は、耐スクラッチ性及び耐久性が低下する問題点があり、630重量部を超えて添加される場合は、基本フィルム層からUVコーティング層が剥離しやすい問題点が発生する。
【0034】
また、前記ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートは、
【0035】
酸性系シリカゾル内に含有された金属イオンを陽イオン交換樹脂で吸着して除去する段階と、
【0036】
金属イオンが除去されたシリカゾルに有機溶媒及びシランカップリング剤を添加及び混合して疎水性に改質処理する段階と、
【0037】
疎水性に改質処理されたシリカゾルの水分を除去して濃縮した後、チタン酸塩カップリング剤で表面処理する段階と、
【0038】
表面処理されたシリカゾルを2-ヒドロキシエチルアクリレートと混合し、シリカゾル粒子の表面に2-ヒドロキシエチルアクリレートをコーティング処理してハイブリッド化させる段階とによって製造され、
【0039】
前記ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレートはシリカ成分によってUVコーティング層の耐スクラッチ性及び耐久性を向上させる効果を発生させる。
【0040】
特に、前記酸性系シリカゾルは、粒子の平均直径が10~20nm範囲内のナノ(nano)粒子が使用される。
【0041】
前記ウレタンアクリレート樹脂の製造過程で、その他の添加剤として、所定量の粘度調節剤、消泡剤、分散剤、反応触媒及びスリップ剤(Slip agent)を添加及び混合する。
【0042】
前記粘度調節剤は、ポリエステルポリオールとイソホロンジイソシアネートとの反応の際、粘度を低めて撹拌及び反応を活性化させるとともに、UVコーティング層の引張強度、伸び率及び硬度を向上させ、UV硬化性を発現させるものであり、本発明では、粘度調節剤として、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)がウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して100~150重量部で添加及び混合される。ここで、前記粘度調節剤が100重量部未満で添加されると、粘度があまりにも高くてイソシアネート変性反応やアクリレート変性反応が正常にならず、UVコーティング層の伸び率及び強靭性が減少し、150重量部を超えて添加されると、UVコーティング層が過軟質化して使用が不可な問題点が発生する。
【0043】
前記消泡剤は撹拌及び反応過程で発生する気泡を除去するために使用されるものであり、ウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して0.007~0.01重量部が添加され、前記分散剤はウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して0.3~0.6重量部が添加される。
【0044】
前記イソシアネート反応触媒として、ジブチルスズジラウレート(Dibutyltin dilaurate)がウレタンアクリレート樹脂の総重量に対して0.2~0.4重量部で添加及び混合される。
【0045】
前記スリップ剤(Slip agent)はUVコーティング層の耐汚染性を向上させるためのものであり、ウレタンアクリレート樹脂の総重量に対してスリップ剤としてシリコンアクリレート0.4~0.6重量部が添加及び混合される。
【0046】
また、前記ウレタンアクリレート樹脂の製造過程で、通常のメタノールなどのような有機溶剤を4~6重量部で添加して未反応残留イソシアネートを除去することによってウレタンアクリレート樹脂を安定化させる。
【0047】
ベース樹脂である前記ウレタンアクリレート樹脂の具体的な製造工程は次のようである。
【0048】
まず、反応容器に、アジピン酸200~250重量部、プロピレングリコール55~75重量部、ジエチレングリコール80~96重量部、1,6-ヘキサンジオール70~90重量部、及びポリエステルポリオール反応触媒0.3~0.6重量部を投入し、140~150℃で1~2時間加熱し後、200~220℃に昇温させて4~6時間加熱し、110~130℃で1.5~2.5時間脱水反応させることで、ポリエステルポリオールを縮合反応によって製造する。
【0049】
次に、常温でポリエステルポリオール400~520重量部に、粘度調節剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート100~150重量部を添加した後、イソホロンジイソシアネート280~350重量部、消泡剤0.007~0.01重量部及び分散剤0.3~0.6重量部を添加して撹拌及び混合し、イソシアネート反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.2~0.4重量部を添加し、1.5~2.5時間イソシアネート変性反応を実施した後、ナノシリカがハイブリッドされた2-ヒドロキシエチルアクリレート520~630重量部、スリップ剤としてシリコンアクリレート0.4~0.6重量部、及び有機溶剤としてメタノール4~6重量部を添加及び混合し、1~2時間のアクリレート変性反応によってウレタンアクリレート樹脂を製造する。製造されたウレタンアクリレート樹脂はUVコーティング液のベース樹脂として使用される。
【0050】
2.UVコーティング液製造段階
前記ベース樹脂製造段階で製造されたベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂に、粘度調節剤、消泡剤、分散剤、消光剤、UV開始剤、スリップ剤(Slip agent)及び平滑性添加剤(Levelin gagent)を所定量で添加及び混合してUVコーティング液を製造する。
【0051】
前記UVコーティング液は、ベース樹脂であるウレタンアクリレート樹脂450~550重量部と、粘度調節剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート160~200重量部と、消泡剤5~10重量部と、分散剤4~8重量部と、表面光沢を除去するための消光剤75~95重量部と、紫外線硬化のためのUV開始剤70~90重量部と、表面の耐汚染性向上のためのスリップ剤としてシリコンアクリレート5~9重量部と、UVコーティング液の平滑度向上のための平滑性添加剤3~5重量部とを添加及び混合することによって製造される。
【0052】
また、必要に応じて前記UVコーティング液は、ポリエチレングリコールジアクリレート30~40重量部をさらに添加及び混合することで、UVコーティング層の強靭性を向上させることができる。
【0053】
3.UVコーティング層形成段階
PVC材質からなった基本フィルム層の上面部に略10~30μmの厚さでUVコーティング液を塗布し、紫外線を照射してUV硬化させることで、ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層を形成する。
【0054】
このように本発明によって製造されたナノハイブリッドUVコーティング層が形成された床材1の試作品を製作し、耐水性、耐化学性、耐熱性、耐汚染性、耐磨耗性及び耐スクラッチ性をそれぞれ測定した。ここで、各試験ごとに3個の同じ試作品を使用して測定し、各試験は韓国建設生活環境試験研究院に依頼して実施した。
【0055】
(1)耐水性試験
各試作品を乾燥する前と24時間乾燥した後の重さをそれぞれ測定して含水率を求め、各試作品を20℃の水中に24時間浸漬し、浸水前と浸水後の厚さ変化を測定して吸収厚さ膨張率を求めた。
【0056】
(2)耐化学性試験
各試作品を5%濃度の酢酸に6時間浸漬した後、水洗し、24時間乾燥した後、変形を観察して耐酸性をテストし、各試作品を1%濃度の炭酸ナトリウムに6時間浸漬した後、水洗し、24時間乾燥した後、変形を観察して耐アルカリ性をテストし、各試作品を通常のシンナーに6時間浸漬した後、水洗し、24時間乾燥した後、変形を観察して耐シンナー性をテストした。
【0057】
(3)耐熱性試験
各試作品を加温容器の内部に入れ、80±13℃で2時間維持した後、常温で2時間冷却させる過程を4回繰り返することで耐熱性をテストした。
【0058】
(4)耐汚染性試験
各試作品の表面に、黒色インク、赤色インク、青色インク及びクレパスを10mm塗った後、4時間経過の後、表面を濡れ雑巾で拭いた後、表面にインクが残留しているかを肉眼で観察した。
【0059】
(5)耐磨耗性試験
テーバー式摩耗試験機(Taber’s Abration Resistance Test)を用いて各試作品の表面摩耗性を測定した。
【0060】
(6)耐スクラッチ性
各試作品をクレメンス型ひっかき硬度試験機(Clemens scratch hardness tester)を用い、ニードルに所定の荷重を載せ、段々荷重を増やしながらコーティング表面にスクラッチまたは傷が発生する最小荷重を測定した。
【0061】
(7)試験結果
【表1】
【0062】
前記表1の試験結果から、本発明による床材1は、平均含水率が0.43%、吸収厚さ膨張率が0.23%であり、含水率及び吸収厚さ膨張率が低くて耐水性に優れたことが分かり、耐酸性、耐アルカリ性及び耐シンナー性の試験結果、試作品に異常が発生しないことから耐化学性に優れたことが分かる。
【0063】
また、耐熱性と耐汚染性の試験結果からも試作品に異常がなくて耐熱性及び耐汚染性に優れたことが分かり、特に耐磨耗性の場合、摩耗値及び摩耗量が0であり、耐スクラッチ性が3Nの低い数値を表すことから、本発明の床材1の最上位表面層を形成するナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層によって高い表面硬度、強靭性及び引張強度などを示すので、耐スクラッチ性及び耐磨耗性に優れたことが分かる。
【0064】
以上では、本発明の実施例を説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、本発明の実施例から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等なものと認められる範囲のすべての変更及び修正を含む。
【産業上の利用可能性】
【0065】
前記のように、本発明によれば、床ボード層、装飾フィルム層及びUVコーティングフィルム層がラミネートされた床材を提供する。ここで、床ボード層は石粉及びバインダーを所定の比で混合して製造した床ボード層を使用することによって耐水性及び耐久性を高めることができ、多様な柄及び色相を有する装飾フィルム層によって美的外観を向上させることができ、ナノシリカがハイブリッドされたUVコーティング層が形成されているUVコーティングフィルムを床材の最上層に付着してUVコーティングフィルム層を形成することにより、床の使用による外部物体との接触の際、耐スクラッチ性及び表面硬度などを向上させることができ、美的外観、耐水性、耐久性、耐化学性、耐スクラッチ性、及び耐汚染性を有する床材を提供することができる効果があるので、産業上利用可能性も高い。
【符号の説明】
【0066】
1 床材
2 床ボード層
3 挿入突条
4 挿入溝
5 吸音材層
6 装飾フィルム層
7 UVコーティングフィルム層
図1
【国際調査報告】