(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】切断のための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20240216BHJP
A61M 1/14 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61M1/36 100
A61M1/36 121
A61M1/14 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550033
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022053718
(87)【国際公開番号】W WO2022175289
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021103885.5
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ティス マルティン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD01
4C077DD22
4C077DD25
4C077EE01
4C077EE03
4C077EE04
4C077GG02
4C077GG11
4C077KK30
(57)【要約】
本発明は、分離可能流体担持第1ライン部分(3)を受け入れるように設計された医療装置に関する。医療装置は、第1のライン部分(3)に接続されるように設計された第2のライン部分を備え、可動要素(38)が、第2のライン部分に位置し、この可動要素を用いて、第2のライン部分(2)は、第1のサブセクション(2a)と第2のサブセクション(2b)に分離される。これに加えて、医療デバイスは、流体容積を第1のライン部分(3)及び第2のライン部分(2)に封入するための少なくとも第1の及び第2の遮断要素と、第2のライン部分(2)の2つのサブ小部分(2a,2b)の第1のものに真空を発生させ、その結果として弾性変形が2つのサブセクション(2a,2b)の第2のものに及び/又はその上に起こり、かつ可動要素(38)が移動されるようなポンプ(6)と、ポンプ(6)を制御するためのコントローラであって、切断モードでポンプ(6)を作動して真空を発生するようにプログラムされた上記コントローラとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能流体担持第1ラインセクションを受け入れるように構成された医療デバイスであって、
前記第1のラインセクションに接続するように構成された第2のラインセクションであって、変位可能部材が、該第2のラインセクションに配置され、それを用いて該第2のラインセクションが、第1のサブセクションと第2のサブセクションにさらに分割される前記第2のラインセクションと、
流体容積を前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションに封入するための少なくとも第1の及び第2の遮断要素と、
前記第2のラインセクションの前記2つのサブセクションのうちの第1のものに負圧を発生し、それによって前記変位可能部材を移動しながら該2つのサブセクションのうちの第2のものに及び/又はそこで弾性変形を達成するためのポンプと、
前記ポンプを作動するためのコントローラであって、切断モードで前記ポンプを作動して前記負圧を発生するようプログラムされた前記コントローラと、
を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記変位可能部材は、液圧的透過性及び流体的不透過性であり、好ましくは前記ポンプによって発生された前記負圧を前記2つのサブセクションのうちの一方から該2つのサブセクションのうちの他方のものに伝達することを特徴とする請求項1の医療デバイス。
【請求項3】
前記変位可能部材は、医療デバイスの平衡化システムによって少なくとも部分的に形成され、及び/又は好ましくは、好ましくは該平衡化システムの膜を備える又はそれで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記変位可能部材は、可動ボール及び/又はピストンを備える又はそれで構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、前記負圧を発生する前に一方の側で前記流体容積を遮断するために前記遮断要素のうちの1つを閉鎖し、及び/又は該負圧を発生した後で該流体容積を封入するために該遮断要素のうちの1つを閉鎖するようにプログラムされることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第2のラインセクションは、医療デバイスの固定設置式デバイス側流体システムの一部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第2のサブセクションに流体的に接続された流体ソース、特に生理液のための流体ソースと、
任意的に、前記流体ソースと前記第2のサブセクションの間に流体的に配置され、かつこれらに接続された無菌フィルタと、
前記第1のラインセクションの一端に接続するための前記第1のサブセクションの一端での医療デバイス側コネクタと、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
排出ラインであって、前記第1のサブセクションが該排出ラインに流体的に接続される又はその一部である前記排出ライン、
を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの直接接続ラインが、前記第1のサブセクションと前記第2のサブセクションの間に設けられ、バルブが、該接続ラインを開閉するために設けられ、前記コントローラは、前記切断モードで該少なくとも1つの接続ラインを遮断するようにプログラムされることを特徴とする請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記ポンプは、隔膜ポンプであり、任意的に、該ポンプは、前記第1のサブセクションに、特に分枝ラインに配置されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記ポンプは、体外血液処置デバイス、特に透析デバイスの限外濾過ポンプ及び/又は血液ポンプ及び/又は置換ポンプであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
ユーザによる命令の入力のためのユーザインタフェースを備え、
前記コントローラは、前記ユーザインタフェースでの前記命令の入力に応答して前記切断モードを起動するように又は前記ポンプを始動するようにプログラムされ、及び/又は
前記コントローラは、複数のモードを起動するように、かつ該モードのうちの1つから前記切断モードへの切り換えを自動的に実行するようにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
アダプタが、前記第1のラインセクションと前記第2のラインセクションの間に配置され、前記切断モードでは、前記コントローラは、該第1のラインセクションに予め決められた負圧を発生するようにプログラムされ、
前記負圧の印加時の前記第1のラインセクションの容積変化が、好ましくは前記アダプタの容積が一定である該アダプタの内容積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記アダプタは、好ましくは、剛性材料、例えば、硬質プラスチックで作られ、かつ300から600立方ミリメートル、好ましくは、400から600立方ミリメートル、特に、500から600立方ミリメートルの内容積を有し、
前記アダプタのその長手軸線に沿った寸法が、好ましくは、1.5cmと3.5cmの間、好ましくは、2と3cmの間の範囲である、
ことを特徴とする請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、更に、十分な負圧が前記変位可能部材を用いて前記ラインセクションのうちの少なくとも1つのサブセクションに印加されることが保証される時にのみ該第1及び第2のラインセクションの切断を可能にするようになっており、
前記可能にする段階は、圧力センサを用いた前記負圧の検出に基づくか又は十分な負圧が前記切断モードでの前記ポンプの作動後に想定されることになる期間の推定に基づくかのいずれかで実行される、
ことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項16】
分離可能流体担持第1ラインセクションを受け入れるように構成され、かつ該第1のラインセクションに接続するように構成された第2のラインセクションを有し、これらのセクションが互いに分離可能に接続され、変位可能部材が、該第2のラインセクションに配置され、それを用いて該第2のラインセクションが、第1のサブセクションと第2のサブセクションにさらに分割される医療デバイス、特に、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の医療デバイスの2つの流体担持ラインセクションを切断する方法であって、
少なくとも第1の及び第2の遮断要素を用いて前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションに流体容積を封入する段階と、
ポンプを用いて前記第2のラインセクションの前記2つのサブセクションのうちの第1のものに負圧を発生し、それによって前記変位可能部材を移動しながら該2つのサブセクションのうちの第2のものに及び/又はそこで弾性変形を達成する段階と、
前記ポンプを作動する段階であって、コントローラが、切断モードで該ポンプを作動させて前記負圧を発生するようにプログラムされる前記作動する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの2つの流体担持ラインセクションを分離する(切断する)方法にかつ本発明による方法を実行するようになった医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療デバイスの流体担持ラインセクションを体外血液処置機械又は透析機械の単回使用(使い捨て)を意図する流体システムから機械側流体システムのように互いから切断する時に、高い衛生基準は、患者の安全を保証するために維持されなければならない。
【0003】
実際に、例えば、体外血液処置の後でチューブセットが血液処置機械から分断される時に、チューブセットに閉じ込められた液体は、デバイス側流体回路又はデバイスの液圧系に入ってそれらを汚染する可能性があり、血液処置機械に対する入念な殺菌手順を余儀なくさせる。
【0004】
治療の開始前でプライミング処理(生理液を用いた流体ラインシステムの充填及び洗浄処理)の完了後に、例えば気泡の形態の空気は、医療デバイスの流体システム内の液体に存在する場合があり、又は汚染が存在する場合がある。流体システムの一部分を患者に接続するために流体システムが分離される場合に、患者に接続されることになる流体システムの部分に残る空気は、可能な限り少なくするべきである。患者に接続されることになる流体システムの部分に空気又は汚染物質が残る場合に、それらは、患者の血流に入る可能性がある。
【0005】
更に、特に医療分野では、流体担持ラインのいずれの切断中にも衛生上の理由から漏出が回避されることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、本発明の根底にある目的は、従来技術の問題を軽減する又は更に完全に排除することである。特に、本発明の根底にある目的は、流体接続部のより衛生的な切断のための方法及び対応する医療デバイスを提供することである。本発明の更に別の目的は、切断中に少なくとも1つのラインセクションの中への空気の侵入を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な本発明の更に別の発展は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の第1の態様は、分離可能流体担持第1ラインセクションを受け入れるように構成された医療デバイスにおいて、第1のラインセクションに接続するように構成された第2のラインセクションであって、変位可能部材が第2のラインセクションに配置され、それを用いて第2のラインセクションが第1のサブセクションと第2のサブセクションとにさらに分割される上記第2のラインセクションと、第1のラインセクションに及び第2のラインセクションに流体容積を封入するための少なくとも第1の及び第2の遮断要素と、第2のラインセクションの2つのサブセクションの第1のものに負圧を発生し、それによって変位可能部材を移動しながら2つのサブセクションの第2のものに及び/又はそこで弾性変形を達成するためのポンプと、ポンプを作動するためのコントローラであって、切断モードでポンプを作動して負圧を発生するようにプログラムされた上記コントローラとを備える、医療デバイスに関する。
【0009】
例えば、変位可能部材は、第1及び第2のラインセクションの接続点に向けて、この接続点と第2のラインセクション内の変位可能部材との間に負圧が発生した時に変位される。
【0010】
変位可能部材は、ラインセクション、例えば、第2のラインセクションを2つのサブセクションにさらに分割する。変位可能部材の可逆移動は、変位可能部材と第1及び第2のラインセクションの接続点との間の第1のサブセクションの容積を低減する。
【0011】
第1及び第2のラインセクションの切断時に、圧力均等化が発生し、変位可能部材は、その初期位置に向けて又はその初期位置まで後退し、これが、流体が接続点から離れて第1のサブセクションの中に引き込まれるように変位可能部材と第1及び第2のラインセクションの接続点との間の第1のサブセクションの容積が再度増大する理由である。
【0012】
この場合に、変位可能部材は、好ましくは液圧的透過性かつ流体的不透過性であり、好ましくは、ポンプを用いて発生された負圧を2つのサブセクションのうちの一方から2つのサブセクションのうちの他方のものに伝達する。しかし、2つのサブセクションは、好ましくは、ここで変位可能部材によって互いから常に流体的に分離される。変位可能部材による流体分離は、変位可能部材を用いて、新鮮な非汚染液体、例えば、新鮮な水又は新鮮な透析液を有する医療デバイスの回路が使用済みの潜在的に汚染された液体、例えば、使用済みの水又は使用済み透析液を有する医療デバイスの回路から常に分離されることを可能にする。言い換えれば、第1のサブセクションは、第2のサブセクションよりも低い衛生要件が課せられる回路の区域を備える場合がある。
【0013】
変位可能部材が医療デバイスの平衡化システムによって少なくとも部分的に形成される及び/又は好ましくは例えば平衡化システムの膜又は第2のラインセクションを分離する別々に設けられた膜、特に流体的不透過性で弾性変形可能な膜を備える又はそれで構成される場合に実際に有利であることが実証されている。
【0014】
これに代えて又はこれに加えて、変位可能部材は、可動ボール及び/又はピストンを備える又はそれで構成される場合がある。
【0015】
一部の平衡化システムでは、ピストンは、流量センサとの組合せで使用される。しかし、ピストンの使用は、ピストンがその内部で移動する中空シリンダの内壁が、例えばピストンが移動する時に医療デバイスの使用水側と新鮮水側とに交互に露出されるという欠点を有する。これは、使用水側と新鮮水側とを互いから常に完全に流体的に分離する膜の使用とは対照的により高い汚染リスクを課す。言い換えれば、膜を用いると、膜の縁部は、サブセクションの壁の同じ区域に常に接続される。
【0016】
更に、本発明による医療デバイスでは、コントローラは、負圧が発生される前に一方の側で流体容積を遮断するために遮断要素のうちの少なくとも1つを閉鎖するように及び/又は負圧が発生された後に流体容積を封入するために遮断要素のうちの1つを閉鎖するようにプログラムすることができる。これに代えて又はこれに加えて、遮断要素のうちの少なくとも1つは、手動で閉鎖することもできる。
【0017】
一実施形態により、第2のラインセクションは、医療デバイスの固定設置式デバイス側流体システムの一部である。
【0018】
第1及び/又は第2のラインセクションは、1又は2以上の分枝を有することもできる。負圧を発生する又はそれを維持するために、これらの分枝ラインセクションの各分枝は、ラインセクション上に設けられた遮断要素によって遮断することができる。
【0019】
本発明による医療デバイスでは、コントローラは、少なくとも第1の及び第2のラインセクションを備えるラインシステム内に負圧を達成するのに又は言い換えれば回路の負圧領域と別の領域の間の圧力均等化を防止するのに要求される全ての必要な遮断要素を閉鎖するようにプログラムされる場合がある。ラインシステムのセクションを閉め切ってそこの負圧を維持することは当業者に公知である。
【0020】
本発明による医療デバイスは、第2のサブセクションに流体的に接続された流体ソース、特に生理液のための流体ソースと、流体ソースと第2のサブセクションの間に流体的に配置されてこれらに接続された任意的な無菌フィルタと、第1のラインセクションの端部に接続するための第2のサブセクションの端部での医療デバイス側コネクタとを更に備える場合がある。
【0021】
更に、本発明による医療デバイスは、好ましくは排出ラインを更に備える場合があり、第1のサブセクションは、排出ラインに流体的に接続される又はその一部である。
【0022】
更に、本発明による医療デバイスには、第1のサブセクションと第2のサブセクションの間の少なくとも1つの直接接続ラインと、接続ラインを開閉するためのバルブとが設けられる場合があり、コントローラは、切断モードで少なくとも1つの接続ラインを遮断するようにプログラムされる場合がある。
【0023】
言い換えれば、本発明による医療デバイスは、新鮮な非汚染液体、例えば、新鮮な水又は新鮮な透析液を有する医療デバイスの回路と、使用済みで潜在的に汚染された液体、例えば、使用済みの水又は使用済みの透析液を有する医療デバイスの回路との間に1又は2以上の接続ライン又は短絡ラインを備える場合がある。第1及び第2のラインセクションの切断処理中に使用済みで潜在的に汚染された液体を有する医療デバイス回路からの液体による新鮮な非汚染液体を有する医療デバイス回路の潜在的な汚染を回避するために、コントローラは、第1及び第2のラインセクションの切断処理中に存在するいずれの相互接続ライン又は短絡ラインも遮断するようにプログラムされる場合がある。
【0024】
本発明の一実施形態により、本発明の関連に使用されることになるポンプは、蠕動ポンプであり、蠕動ポンプの少なくとも1つのアクチュエータは、第1又は第2の遮断要素の一部である又は第1又は第2の遮断要素である。
【0025】
本発明の一実施形態により、本発明の関連に使用されることになるポンプは、任意的に第1のサブセクション上に、特に分枝ライン上に配置される隔膜ポンプである。言い換えれば、第1のサブセクションは、分枝を有する場合があり、隔膜ポンプは、変位可能部材が配置された分枝以外のサブセクションの分枝に接続されたラインセクションに配置される場合がある。
【0026】
本発明の一実施形態により、ポンプは、体外血液処置デバイス、特に透析デバイスの限外濾過ポンプ、又は流動ポンプ、血液ポンプ、又は置換ポンプ、又は平衡チャンバポンプである。
【0027】
限外濾過ポンプは、隔膜ポンプとすることができ、変位可能部材は、均衡チャンバの膜とすることができる。
【0028】
更に、本発明による医療デバイスは、ユーザによる命令を入力するためのユーザインタフェースを備える場合があり、コントローラは、ユーザインタフェースでの命令の入力に応答して切断モードを起動する又はポンプを始動するようにプログラムされる。
【0029】
切断モードを起動する時に、特殊モードは、コントローラのプログラムコード内で起動することができる。切断モードが起動される時に、プログラムコードの特殊シーケンスを実行することができ、それを用いて医療デバイスは、切断手順を実行する。切断モードは、別のモードの中に統合される場合もある。例えば、プライミングモードは、プログラムコードに格納される場合があり、切断モードは、プライミングモードの最終段階のような段階を表す場合がある。
【0030】
切断モードでは、コントローラは、ポンプを作動させて負圧を発生する及び/又は遮断要素を作動させて対応するラインを遮断することができる。
【0031】
ユーザインタフェースは、ディスプレイ、画面、タッチ画面、キーボード、制御ボタン、音声信号を録音するためのマイクロフォン、ユーザの身ぶりを検出するためのカメラを備えることができる。
【0032】
コントローラは、複数のモードを起動し、これらのモードのうちの1つから切断モードへの切り換えを自動的に実行するようにプログラムすることができる。
【0033】
例えば、いわゆる再注入モードでは、コントローラは、チューブセット内に血液がもはや存在しないことを検出する医療デバイスのセンサ、例えば、光センサに接続することができる。コントローラは、更に別のモードを開始することができるようにコントローラのプログラムコード内でこの信号を処理することができる。このモードは、切断モードとすることができる。これに代えて又はこれに加えて、再注入モードの完了後に、チューブセット、及び/又は透析装置、及び/又は機械側流体システムを空にする段階を備える追加のモードをコントローラのプログラムコード内に設けることができ、コントローラは、予め決められた期間の後又は予め決められた流体容積が搬送された後又は空にされる区域内でセンサによって空気が又は血液と血液以外の光学特性を有する再注入液の間の界面が検出された後又は予め決められた圧が検出された後に、切断モードに切り換わるようにプログラムすることができる。
【0034】
これに代えて又はこれに加えて、治療開始前にチューブセット又はカセットにプライミング液を充填する及び/又はチューブセット又はカセットを液体で洗浄するモード(「プライミングモード」)をコントローラのプログラムコード内に設けることができ、コントローラは、プライミングモードの完了後に切断モードに切り換わるようにプログラムすることができる。コントローラは、プライミングモード中にポンプを作動させ、それによって液体を液体ソースからチューブセット又はカセットに向けて変位させるようにプログラムすることができる。コントローラは、プライミングの終了時に、例えば、予め決められた時間が経過した時に、予め決められた液体容積がチューブセット又はカセットの中に変位した時に、空気がもはや存在しない又は主として液体のみが存在することを空気検出器又は液体センサが示す時を検出するようにプログラムすることができる。
【0035】
コントローラは、最初に自動的に切断モードに切り換わるが、ユーザインタフェースを通じた対応する入力の後に初めてポンプが始動されるようにプログラムすることができる。
【0036】
コントローラは、特に切断モードが起動された時にのみ、ポンプを始動するためのユーザインタフェースを通じた入力を可能にするように更にプログラムすることができる。言い換えれば、コントローラのプログラムコードは、切断モード以外では、ユーザインタフェースを通じた対応する入力にも関わらず、ポンプの始動が発生しないモード又は処理が存在するとして定めることができる。
【0037】
切断手順を開始することを許容することに対するそのような制限により、例えば、治療中に切断手順が開始されることを防止することを可能にすることができる。
【0038】
本発明による医療デバイスは、例えば、第1及び第2のラインセクションの切断を行うことができるか否か又は行うべきであるか否かをユーザに示す出力ユニットを更に備えることができる。例えば、サブセクションに十分な負圧が発生した時又は変位可能部材が変位位置にある時に、第1及び第2のラインセクションを切断することをユーザに促すことができる。これに代えて又はこれに加えて、サブセクションに十分な負圧が発生していない場合又は変位可能部材が変位位置にない場合に、第1及び第2のラインセクションを切断しないようにユーザに忠告することができる。これらの表示は、例えば、画面上のメッセージによって提供することができる。
【0039】
例えば、コントローラは、コンピュータシステムを備えることができ、デジタル回路、コンピュータハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、又はこれらのあらゆる組合せの形態に実施することができる。本発明は、物理的情報担体(例えば、機械可読ストレージ媒体)上のコンピュータプログラムのようなコンピュータプログラム製品の形態に更に実施することができる。コントローラは、個々の処理段階を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号を連続的に処理するためのデジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理要素で構成されるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の集積回路(IC)又はハードウエア構成要素を備えることができる。データ処理プログラム(ソフトウエア)は、処理段階を実行するためのハードウエア構成要素上で実行することができる。これらの構成要素の作動を制御するための複数の様々な構成要素又はその組合せを有することも可能である。
【0040】
コントローラは、プログラムコードが格納されるメモリ、例えば、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又はこれらの両方、磁気光ストレージ媒体、光磁気光ストレージ媒体、光ストレージ媒体、又は固体(SSD)ストレージ媒体、半導体格納要素(例えば、EPROM、EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、磁気ストレージ媒体又は光磁気ストレージ媒体、CD-ROM、DVD-ROM、又はブルーレイディスクのような不揮発性格納要素を更に備えることができる。ストレージは、オンデマンドで設けるか又はインターネットを介してアクセス可能とすることができる(例えば、クラウドコンピュータ)。プログラム命令及びデータを格納するためのストレージ媒体は、半導体メモリ要素(例えば、EPROM、EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、磁気ストレージ媒体又は光磁気ストレージ媒体、CD-ROM、DVD-ROM、又はブルーレイディスクのような全てのタイプの不揮発性メモリ要素を備える。プロセッサ及びメモリ要素は、特殊論理モジュールによって補足されるか又はその一部を形成することができる。
【0041】
好ましくは、本発明による医療デバイスでは、2つのラインセクションのうちの一方のラインセクションは、血液処置の状況に使用される使い捨て用品、特にチューブセット又はカセットの一部であり、又は任意的に両方のラインセクションが、血液処置の状況に使用される1又は2以上の使い捨て用品、特にチューブセット又はカセットシステムの一部である。任意的に、第1のラインセクションのみが、使い捨て用品の一部である又はそれ自体が使い捨て用品である。
【0042】
本発明の別の態様は、本発明による医療デバイスの状況に使用することができる使い捨て用品、特にチューブ又はチューブセットに関する。
【0043】
この使い捨て用品は、上記に示した医療デバイスの特徴との組合せで又は独立型ユニットとして与えることができる。使い捨て用品は、切断時に変位した変位可能部材を有する医療デバイスとの組合せで、更に切断時に変位した変位可能部材を持たない医療デバイスとの組合せで与えることができる。更に、使い捨て用品は、切断時に変位した変位可能部材を有する本発明の医療デバイスを参照して説明するが、この説明は、切断時に変位した変位可能部材を持たない医療デバイスにも同等に当て嵌めることができる。
【0044】
医療デバイスに使用することができる使い捨て用品は、例えば、チューブを有する又はそれを備える又はチューブのサブセクションとすることができる。使い捨て用品は、-200mbarよりも低い負圧が印加された時に1立方ミリメートルから5000立方ミリメートルまで、特に1立方ミリメートルから1000立方ミリメートルまで、特に1立方ミリメートルから500立方ミリメートルまで、特に200立方ミリメートルから500立方ミリメートルまで、特に350立方ミリメートルから475立方ミリメートルまでの容積変化を有することができる。容積変化は、負圧が印加されるチューブのセクション内で発生する場合がある。この値は、使い捨て用品が意図する通りに使用される時に医療デバイスへの接続点とチューブを終端させるチューブクランプの間に配置される使い捨て用品の部分に関連付けることができる。この使い捨て用品は、第1のラインセクションを形成することができ、又は第1のラインセクションをこの使い捨て用品の一部とすることができ、又は使い捨て用品をこの第1のラインセクションの一部とすることができる。特に、容積変化は、下記で説明するチューブの長さにわたって発生する場合がある。
【0045】
チューブは、体外治療中に使用される時に透析装置に接続される一端と患者の血管系に接続される第2の端部とを有する導管とすることができる。チューブは、静脈点滴チャンバを備える又はそれと流体連通することができる。
【0046】
この容積変化が発生する負圧は、医療デバイスコントローラのプログラムコードに格納された予め決められた負圧とすることができ、コントローラは、この予め決められた負圧を第1のラインセクションに発生するようにプログラムすることができる。
【0047】
負圧は、-500mbar、-200mbar、-175mbar、又は-120mbarの値又はそれ未満とすることができる。負圧は、大気圧と比較した圧力を意味することができる。圧力仕様に関して「-」という符号を使用する時に「マイナス」を意味する。
【0048】
本発明による医療デバイスでは、第1のラインセクション及び第2のラインセクション間にアダプタを配置することができ、コントローラは、切断モードで第1のラインセクションに予め決められた負圧を発生するようにプログラムすることができ、負圧の印加時の第1のラインセクションの容積変化は、アダプタの内容積よりも小さく、好ましくは、アダプタの内容積は一定である。言い換えれば、第1のラインセクションの容積は、負圧の印加時に変えることができ、アダプタの内容積は、実質的に一定に留まることができる。本明細書の残余でアダプタの「内容積」又は「容積」に言及する場合に、好ましくは、これらの用語は、アダプタに接続された又は接続されるラインセクションと流体連通している容積を意味する。
【0049】
使い捨て用品、特にチューブは、医療デバイスにアダプタを用いて接続することができ、負圧が印加された第1のラインセクションに属するチューブの部分の容積変化は、チューブが別のラインセクションから切断される時のアダプタの容積よりも小さいように設計することができ、アダプタの容積は、切断中に好ましくは一定であるか又は非常に僅かしか変化しない。アダプタは、チューブよりも低いコンプライアンスを有する材料で製造することができる。アダプタは、単位長さ当たりのチューブのコンプライアンスよりも少なくとも10倍、特に少なくとも20倍だけ低いコンプライアンスを有することができる。
【0050】
アダプタは、その容積が負圧に基づいて変化しないか又は目に見えるほどには変化しないように剛性材料、例えば、硬質プラスチックで製造することができる。アダプタは、2つの開口部の間で直線状とするか、又は、好ましくは直角に、角度付けられたものとすることができ、すなわち、アダプタの2つの開口部は、互いから直角に向けることができる。アダプタは、2つの開口部の間に10mlから10000mlまで、特に200mlから1000mlまで、特に300立方ミリメートルから600立方ミリメートルまで、特に400立方ミリメートルから600立方ミリメートルまで、特に450立方ミリメートルから600立方ミリメートルまでの内容積を有することができる。2つの開口部の間のアダプタの寸法は、4cmと8cmの間、好ましくは、5cmと7cmの間とすることができる。アダプタの内容積の内径に対するアダプタの内容積の長さの比は、3から500の間、特に5から30の間とすることができる。この関連では、内容積は、直線状とするか又は曲げ部、特に直角の曲げ部を有することができる。開口部の一方は、ルアー接続部として構成することができ、チューブとのルアー接続を確立するのに適切とすることができる。開口部のルアー接続部は、全容積でアダプタの内容積の100立方ミリメートルまでを占めることができる。アダプタの内容積は、全体で570立方ミリメートルとすることができ、この内容積から内部ルアー容積を差し引いたものは、全体で約467立方ミリメートルとすることができる。目標がチューブセクションの中に空気を引き込むことなく切断をもたらすことである限り、最終的に内容積が実施形態に依存して異なる場合があるので、これらの値は例示的な値である。
【0051】
本発明の一実施形態により、使い捨て用品、特にチューブは、体外血液処置デバイス、特に透析デバイスの好ましくはポリマー材料で製造された静脈チューブである。チューブは、ポリマー材料としてPVCを備える又はそれで構成される場合がある。チューブの材料は、可塑剤を備えることができる。
【0052】
好ましくは、チューブが切断される時に、-120mbar、特に-175mbar、特に-200mbar、特に-250mbar、特に-1000mbarの負圧が印加された使い捨て用品、特にチューブ、特にそのサブセクションの容積変化は、アダプタの容積よりも小さく、アダプタの容積は、好ましくは一定である。更に別の実施形態では、上述の条件下にある使い捨て用品の容積変化は、アダプタの容積よりも0.5ml又は1mlだけ大きい。この若干より大きい容積変化の場合に、患者内への空気の侵入のリスクが原理的には最小にされないが、一部の規格は、治療中に少量の空気の侵入を許容する。
【0053】
好ましくは、チューブの上述の容積変化は、0℃と50℃の間、特に30℃と42℃の間、特に35℃と42℃の間、特に39℃でのものである。
【0054】
更に、負圧が印加されるチューブ又は使い捨て用品の第1のラインセクションは、1000mmから2000mmまで、特に1500mmと1900mmの間、特に1500mmと1700mmの間の長さを有することができる。負圧が印加されるチューブ又は使い捨て用品の第1のラインセクションは、3mmから10mmまで、特に3mmから5mmまで、特に3.5mmから4.5mmまで、特に4.0mmから4.5mmまでの内径を有することができる。指定した長さは、意図する使用時にチューブ又は使い捨て用品の一端と機械側制御可能クランプとの間に存在するチューブ又は使い捨て用品に沿って測定される長さとすることができる。
【0055】
第1のラインセクション又は使い捨て用品のコンプライアンスは、例えば、アダプタの容積及び印加負圧から構成される全体的なシステムの設計に依存して異なる値を有することができる。例えば、負圧が印加されるチューブの第1のラインセクションのコンプライアンスは、0.1μl/mbarと40μl/mbarの間とすることができる。本明細書に説明する切断方法を使用する透析に使用される適切なチューブセットは、一般的に、0.4μl/mbarから5μl/mbarまでのコンプライアンスを有する。特に、負圧が印加されるチューブの第1のラインセクションは、1μl/mbarから3.5μl/mbarまで、特に1μl/mbarから3μl/mbarまでのコンプライアンスを有することができる。コンプライアンスを回復力と呼ぶ場合もある。コンプライアンス(C)は、例えば、印加充填圧の変化(Δp)毎の壁構造の容積変化(ΔV)として測定することができ、すなわち、ΔC=ΔV/Δpとすることができる。
【0056】
切断中のチューブの容積変化がアダプタの容積よりも小さくするべきであり、切断中にチューブに向けて引き込まれる空気をアダプタの中よりも先に引き込むべきではない点に関してこの容積変化が得られるという本発明の教示を考慮に入れる限り、当業者にはこの出願の文脈からチューブのパラメータ及びその組合せが明らかであろう。言い換えれば、容積変化は、アダプタの内容積に対する下限である。当然ながら、アダプタの内容積を容積変化よりも小さくすることができる。この場合に、システムは、追加の安全マージンを有する。当業者は、圧力変化に関連付けられた容積変化の表現としてコンプライアンスがポリマーの材料特性に起因して温度依存性を有する可能性があることを察知し、この依存性を考慮することは公知であると考えられる。当業者には、絶対体積変化は、圧力(正圧又は負圧)下に置かれたチューブセットの長さ及び直径に依存することも公知であると考えられる。
【0057】
使い捨て用品は、遮断要素として手動作動式チューブクランプを有することができる。手動作動式チューブクランプは、使い捨て用品又はそのチューブに沿って変位可能とすることができる。そのような手動作動可能な変位可能チューブクランプの利点であり、同時に欠点でもあることは、負圧が印加された時の容積変化に変位によって影響を及ぼす可能性がある点である。しかし、そのような手動相互作用は、ユーザが手動作動可能チューブクランプを閉鎖することを忘れる可能性がある点又は正しい位置で閉鎖しない可能性がある点で過誤を招きやすい。従って、負圧に露出される使い捨て用品で網羅される区域は、好ましくは、機械側制御可能チューブクランプによって閉め切られ、上記で提示したパラメータ値を使い捨て用品のこの区域に関連付けることができる。手動作動可能チューブクランプをこれに加えて設けることにより、負圧によって網羅される容積を更に低減することができる。
【0058】
言及したパラメータ値は、任意的に選択されるパラメータ値ではなく、例えば、透析治療の実際の条件を考慮する。例えば、言及した長さは、医療デバイスとして透析デバイスと患者との間で通常必要とされる距離に基づくものである。チューブ直径も、通常使用される直径に対応する。圧力値は、例えば、チューブの完全な圧潰が発生しない時及び/又はチューブラインに沿って、例えば、ラインセクションの1又は2以上の接続点で漏出が発生しない時の圧力値に対応する。
【0059】
更に、本発明により、コントローラは、変位可能部材によってラインセクションのうちの少なくとも一方のサブセクションに十分な負圧が存在することが確実になった時に初めて第1及び第2のラインセクションの切断を可能にするように更に適応され、可能にする段階は、圧力センサを用いた負圧の検出に基づくか、又は切断モードでのポンプの作動後に十分な負圧が想定されることになる期間の推定に基づくかのいずれかを用いて実施されるとすることができる。
【0060】
例えば、第1及び第2のラインセクションの接続点は、コントローラによってこの接続が可能にされない場合にロックすることができる。負圧が増大した後にユーザが十分な素早さで接続を解除しなかった場合に、例えば、少量の漏出に起因して負圧が不十分なレベルまで再度低減する場合がある。例えば、切断は、負圧が第1の閾値に達した時に可能にすることができ、負圧が第2の閾値よりも小さくなるまで降下した時にラインセクション間の接続を再度ロックすることができる。負圧は、圧力センサを用いて検出することができる。
【0061】
これに代えて又はこれに加えて、コントローラは、負圧が第1の閾値に達してプログラムコードに格納された定められた時間を経過した後に切断を可能にすることができる。これを用いて、負圧が低下する可能性を低減することができる。
【0062】
医療デバイスの出力ユニットを用いて、切断が可能になったか否かの表示をユーザに送信することができる。
【0063】
本発明の別の態様は、第1の分離可能流体担持第1ラインセクションを受け入れるように構成された医療デバイスであって、第1のラインセクションに接続するように構成された第2のラインセクションを有し、これらのセクションが互いから分離可能に接続され、第2のラインセクションを第1のサブセクションと第2のサブセクションとにさらに分割する変位可能部材が第2のラインセクションに配置された上記医療デバイス、特に本発明による医療デバイスのこれら2つの流体担持ラインセクションを切断する方法であって、
少なくとも第1の及び第2の遮断要素を用いて第1のラインセクション及び第2のラインセクションに流体容積を封入する段階と、
ポンプを用いて第2のラインセクションの2つのサブセクションのうちの第1のサブセクションに負圧を発生させ、それによって変位可能部材を移動しながら2つのサブセクションのうちの第2のサブセクションに及び/又はこのサブセクションに弾性変形を達成する段階と、
切断モードで負圧を発生するためにコントローラをプログラムすることによって作動するポンプを作動させる段階と、
を備える方法に関する。
【0064】
本発明による方法は、2つのラインセクションが切断される時に医療デバイスを制御する方法と理解することができる。
【0065】
この場合に、医療デバイスは、第1のサブセクションと第2のサブセクションの間の少なくとも1つの直接接続ラインと、この接続ラインを開閉するためのバルブとを備えることができ、本発明による方法の状況では、ラインセクションの接続の解除中に、医療デバイスの少なくとも1つの接続ライン、好ましくは全ての既存のそのような接続ラインが遮断される。
【0066】
本発明による方法の状況では、変位可能部材は、医療デバイスの平衡化システムによって少なくとも部分的に形成され、及び/又は好ましくは平衡化システムの好ましくは膜を備える及び/又はそれから構成される。
【0067】
これに代えて又はこれに加えて、変位可能部材は、少なくとも1つの可動ボール及び/又はピストンを備える又はそれで構成される場合がある。
【0068】
好ましくは、本発明による方法では、第1のラインセクションは、医療デバイスから分離可能な使い捨て用品の一部であり、第2のラインセクションは、特に医療デバイスのデバイス側流体システムの一部である。
【0069】
本発明による方法を実行する時に、セクション的に可能な最も大きい範囲で又は完全に、好ましくは血液ではなく生理体液が第1及び第2のラインに存在する。
【0070】
更に、好ましくは、本方法の実行中に、患者は、医療デバイス、第1のラインセクション、及び/又は第2のラインセクションに接続されない。従って、人体に対する本方法の影響はない。
【0071】
好ましくは、本発明による方法の状況では、第1及び第2のラインセクションの切断は、変位可能部材を有するラインセクションの少なくとも1つのサブセクションに十分な負圧が存在することが確実な場合にのみ可能にされ、可能にする段階は、好ましくは、圧力センサを用いた負圧の検出に基づいて及び/又は切断モードでポンプの作動後に十分な負圧が想定されることになる期間の推定又は切断モードを選択するための対応するユーザ入力に基づいて行われる。
【0072】
更に、本発明による方法の状況では、流体容積を2つのラインセクションに封入する段階は、遮断要素の手動閉鎖段階及び/又は遮断要素の自動閉鎖段階を備えることができる。例えば、チューブクランプは、手動又は自動で閉鎖することができる。
【0073】
本発明の更に別の特徴及び効果は、同等又は類似の構成要素を同じ参照文字で表す添付図面を参照して本発明の代表的な実施形態の以下の説明から明らかであろう。下記で説明する特徴は、上述した実施形態に実施することができる。下記では、上述したこれらの実施形態の全てには再度言及しない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】2つの流体担持ラインセクションを切断する方法の状況に使用される2つのラインセクションの図である。
【
図2】2つの流体担持ラインセクションを切断する方法の状況に使用される2つのラインセクション及び医療デバイスの図である。
【
図3】第1のラインセクションの外側に配置されたポンプを有する実施形態の図である。
【
図5a】ユーザインタフェースの実施形態の図である。
【
図5b】ユーザインタフェースの実施形態の図である。
【
図6】アダプタを用いて医療デバイスに接続された静脈チューブの形態にある本発明による使い捨て用品の図である。
【
図7】第1の実施形態による本発明によるチューブの図である。
【
図8】第2の実施形態による本発明によるチューブの図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1に示す医療デバイス1の一実施形態は、本発明による方法を使用する時に、流体的に接続された2つのラインセクション2、3を有し、これらのラインセクションは、任意的にその2つのコネクタ要素4、5を通じて互いに流体的に接続することができる。
【0076】
更に、医療デバイス1はポンプ6を備える。第1及び第2のラインセクションの各々は、一端に遮断要素7、8を備える。第2のラインセクション2は、第2のラインセクション2を2つのサブセクション2aと2bとにさらに分割する変位可能部材38を備える。変位可能部材38は、ポンプ6と遮断要素7の間に配置される。
【0077】
ポンプ6を用いて、第1のラインセクション2内に、特にそのサブセクション2a内に負圧を発生することができる。負圧は、変位可能部材38を第1の位置又は初期位置38aから第2の位置38bまで移動し、変位可能部材が第2の位置にある場合に第1のサブセクション2aによって封入された流体容積は、初期位置にある変位可能部材によって封入された流体容積よりも小さい。
【0078】
遮断要素7、8は、閉鎖され、それによって流体容積を2つのラインセクション2、3内に封入することができる。遮断要素7、8の閉鎖は、順次又は同時に行うことができ、特に、第1の遮断要素を最初に閉鎖することができ、次に、負圧を発生することができ、その後に第2の遮断要素を閉鎖することができる。
【0079】
負圧と第2のサブセクション2bの弾性変形性とに起因して、変位可能部材38が変位した時に、サブセクション2bの壁部分が変形されるか又は応力作用位置に持ち込まれる。第2のラインセクション2からの第1のラインセクション3の切断時に、第2のサブセクション2bの壁は、その元の位置に戻り、変位可能部材の変位により、第1のサブセクション2a内の液体は、接続点から遠方に第2のサブセクション2bに向けて変位される。言い換えれば、第2のサブセクション2bの変形性と変位可能部材との組合せによって流体変位をもたらすことができる。
【0080】
サブセクション2a自体も、弾性変形性を有することができる。
【0081】
言い換えれば、負圧の印加は、第2のラインセクション2の変形をもたらし、この変形は、第2のサブセクション2bが第1のサブセクション2aとの流体連通状態にないにも関わらず、第2のサブセクション2bの変形も含む。
【0082】
図2に示すように、医療デバイス1は、コントローラ9を備えることができる。コントローラ9は、切断モードで負圧を発生するようにポンプ6を作動させるようにプログラムすることができる。任意的に、コントローラ9は、遮断要素7、8のうちの少なくとも一方又は両方を作動させるようにプログラムすることができる。この目的で、コントローラは、医療デバイス1の信号線10、11、12を介して、作動させるべきそれぞれの構成要素、例えば、ポンプ6、遮断要素7、8に接続することができる。コントローラ9は、例えば、ポンプ6を始動及び/又は停止するようにプログラムすることができる。
【0083】
例えば、コントローラは、負圧が印加されるか又は第2のサブセクション2bが変形される封入容積が生成されるように第1のバルブ7又はバルブ8が閉鎖された状態でポンプ6を始動し、それぞれの他方のバルブ7、8を閉鎖するようにプログラムすることができる。
【0084】
医療デバイス1は、ユーザインタフェース13を備えることができる。ユーザインタフェース13は、ユーザによる命令の入力のために構成することができ、コントローラ9は、ユーザインタフェース13での命令の入力に応答して切断モードを作動させるようにプログラムすることができる。
【0085】
ラインセクション2、3は、両方が必ずしも医療デバイス1の一部とは限らず、医療デバイス1が使用状態にある時にのみラインセクション2、3のうちの一方又は両方をポンプ6及び遮断要素7、8に接続することができる。
【0086】
医療デバイス1は、第1のラインセクション3及び/又は第2のラインセクション2を備えることができる。第1のラインセクション3及び/又は第2のラインセクション2は、医療デバイス1のデバイス側の流体システムの一部とすることができる。
【0087】
第1のラインセクション3及び/又は第2のラインセクション2は、使い捨て用品の一部とすることができる。
【0088】
ポンプ6は、第1のラインセクション3及び/又は第2のラインセクション2に沿って配置するか又は2つのラインセクション2、3の外側でこれらのラインセクション2、3と流体連通している流体システムの場所に配置することができる。例えば、ポンプ6は、遮断要素7、8のコネクタ4、5側以外の側に配置することができる。ポンプ6が、変位可能部材38を有する第2のラインセクション2のサブセクションから液体を除去できることのみが必要である。
【0089】
図3に図示の実施形態では、ポンプ6は、変位可能部材38を備える第2のラインセクション2の分枝ライン内に直接に配置されるのではなく、周囲に対して開放された分枝ライン2c上に配置される。分枝ライン2cを閉め切るために、更に別の遮断要素(図示せず)を設けることができ、又はポンプ6自体が遮断要素としての働きをすることができる。
【0090】
図1から
図3に関して説明する実施形態では、第2のサブセクション2bは、新鮮水ラインシステムの一部又は同等に本発明の目的では医療デバイス1の透析液入口とすることができ、第1のサブセクション2aは、排水ラインシステムの一部又は同等に本発明の目的では透析液出口とすることができる。第2のサブセクション2bは、第1のサブセクション2aと第1のラインセクション3との組合せよりも高いコンプライアンスを有することができる。
【0091】
第1のサブセクション2aに更に別の遮断要素40を設けることができる。この要素は、切断中に開放されている。
【0092】
変位可能部材38は、排水ラインシステムと新鮮水ラインシステムとを互いから流体的に分離するので、第1及び第2のラインセクション2、3内で担持される使用済みの水による新鮮水ラインシステムの汚染が防止される。
【0093】
図4は、透析デバイスの形態にある医療デバイス1の実施形態を略例示している。複数の図では、一部の構成要素は、任意的であり、特に、一部の構成要素は、使い捨て用品として構成することができ、医療デバイス1の一体部分とする必要はない。
【0094】
切断点は、体外血液ラインシステムからの出口にある接続点、例えば、第1のラインセクション3と第2のラインセクション2との接続点、又はその各々の端部に配置されたコネクタ要素4、5とすることができる。本明細書に含まれる実施形態又は設計は、本明細書で明示的に説明する構成要素及び設計なしに存在することができる。
【0095】
医療デバイス1としての透析デバイスは、流体ソース又は液体ソース14、ポンプを有する平衡化システム15、第1の無菌フィルタ(任意的)16、第2の無菌フィルタ(任意的)17、透析装置(任意的)18、脱気チャンバ(任意的)19、限外濾過ポンプ(任意的)6A、例えば、コネクタ要素5’の形態にあるプライミングポート又は置換ポート、プライミングポンプ又は置換ポンプ(任意的)6B、例えば、コネクタ要素4の形態にある流出ポート、血液ポンプ20、コントローラ9、ユーザインタフェース13、信号線(選択部のみ示す)10、11、12、遮断要素8として使用することができる静脈クランプ21、動脈クランプ(任意的)22、透析装置前遮断要素23、透析装置後遮断要素24、第1の排出ライン遮断要素7(任意的)、第1のプライミングライン遮断要素25を医療デバイス1として備えるか又は備えることができる。
【0096】
これらの構成要素は、以下の通りに液体担持ラインに接続することができる。液体、一般的には生理液又は透析液は、液体ソース14から、例えば、平衡チャンバ膜Mの形態にある変位可能部材38を備える平衡化システム15を通して透析液ライン26の中に、更に任意的に第1の無菌フィルタ16を通して透析装置18にポンピングされ、次に、透析装置18から排出ライン2の中に、任意的に脱気チャンバ19を通過し、平衡化システム15を逆方向に通して排出部27(医療デバイス1の一部ではない)の中に廃棄される。
【0097】
透析液ライン26は、例えば、任意的に第2の無菌フィルタ17を経由し、プライミングポート又は置換ポート、すなわち、コネクタ要素5’を介していわゆるプライミングライン又は置換ライン2’に至ることができる入口ライン3’の形態にある分枝ラインを有することができる。このプライミングライン又は置換ライン2’は、動脈血液ライン28に接続することができる。1又は複数の血液ライン28、2’内の液体、例えば、治療中の血液又はプライミング処理でのプライミング液又は濯ぎ洗浄液は、血液ポンプ20を用いてポンピングすることができる。平衡化システム15は、予め決められた量の液体しか患者から引き出されない又は液体が全く引き出されないことを保証する。
【0098】
様々な平衡化システムが公知であり、例えば、流量測定を用いて患者にポンピングされる液体の量及び患者の体外にポンピングされる量を決定することができ、望ましい限外濾過速度、言い換えれば、正味均衡速度が提供されるように指定のデルタを調節することができる。
【0099】
図4は、別の平衡化システムを例示している。この場合に、例えば、容積測定平衡化システム15を使用することにより、患者の体外にポンピングされるのと同じ容積が患者に向けてポンピングされる。並列に接続された限外濾過ポンプ6Aが、更に患者の体外に液体をポンピングし、それによって正味の均衡速度又は限外濾過速度を発生する。そのような平衡化システムでは、容積固定平衡チャンバに配置された膜Mを変位可能部材38として使用することができる。膜Mは、医療デバイスの新鮮水ラインシステムを使用水ラインシステムから分離する。
【0100】
図4に示すように、新鮮水ラインシステム、すなわち、医療デバイス1の新鮮な非汚染液体を有するラインシステムを使用水ラインシステム、すなわち、使用済みで潜在的に汚染された液体を有するラインシステムと接続又は短絡する1又は2以上の直接接続ライン47a、47a’を設けることができる。例えば、そのような接続ラインは、第1の無菌フィルタ16と第2の無菌フィルタ17との間を延びることができる。これらの直接接続ライン47a、47a’は、医療デバイス1の切断モード中に及び/又はラインセクションの切断処理中に新鮮水回路の汚染が防止されるように、接続ライン47a、47a’に配置されたバルブ47b、47b’によって好ましくは完全に遮断される。
【0101】
特に、透析装置18、動脈血液ライン28、静脈ライン3、プライミングライン又は置換ライン2’という構成要素又はラインは、使い捨て用品として構成することができる。これらのラインは、互いにチューブセット又はカセットシステムを形成することができる。カセットシステムは、これらのラインのうちの少なくとも2つが互いから切り離し不能に接続されること、及び/又はこれらのラインが寸法的に安定したチャネルによって少なくとも部分的に形成されることを意味する。
【0102】
例えば、医療デバイス1は、治療の前にチューブセット又はカセットシステムに生理液を充填するように配置することができる。この目的で、例えば、コントローラ9は、例えばプライミングモードとも呼ぶ場合がある充填モードでは、平衡化システム15のポンプを用いて液体を液体ソース14からプライミングポート又は置換ポート又はコネクタ要素4’を通してチューブセット又はカセットシステムの中に移送するようにプログラムすることができる。
【0103】
更に別の方法の段階、例えば、洗浄モードでは、充填後に又は充填段階の一部としても、チューブセット又はカセットシステムを洗浄することができ、それによって液体がチューブセット又はカセットシステムを通して、更に流出ポート又はコネクタ要素5を通して排出ライン2の中に勢いよく流し込まれる。
【0104】
本発明による方法は、例えば、2つのコネクタ要素4及び5を介して互いに接続された排出ライン2からの静脈ライン3からの切り離しに適用することができる。参照文字が反映しているように、この場合に、静脈ライン3は、
図1~
図3の第1の分離可能流体担持ラインセクション3に対応する。この実施形態では、排出ライン2は、
図1~
図3の第2の機械側流体担持ラインセクション2に対応する。この例では、
図1~
図3に全般的に参照文字6に示すポンプ6は、限外濾過ポンプ6Aの形態で実施され、平衡化システム15の膜Mが、変位可能部材38として作用する。
【0105】
これに代えて又はこれに加えて、本発明は、2つの任意的なコネクタ要素4’及び5’を介して互いに接続された入口ライン3’からのプライミングライン2’の切断に適用することができる。この場合に、置換ポンプ6Bが使用される。
【0106】
以下は、2つのコネクタ要素4及び5を介して接続された排出ライン2からの静脈ライン3の切断の例示的な説明である。
【0107】
治療に向けて、静脈ライン3が患者に接続される。この目的で、例えば、
図4の実施形態では、任意的なコネクタ要素5を用いて排出ライン2のコネクタ要素4(流出ポート)に接続された静脈ライン3の端部がコネクタ要素4から切り離される。
【0108】
しかし、手動又は自動で行うことができるこの切り離しを行う前に、コントローラ9は、遮断要素の閉鎖によってライン2及び3内に流体容積を封入する。コントローラは、例えば、限外濾過ポンプ6Aを作動させ、それを用いて負圧が提供されるように液体をポンプで汲み出す。この負圧に起因して変位可能部材、この場合は平衡化システム15の膜Mは、初期位置から第2の位置まで移動する。従って、ポンプ6Aによって排出ライン2内に負圧が発生し、その結果、膜Mのこの変位に起因して透析液ライン26内に負圧が発生する。これは、透析液ライン26又はそれに流体的に接続されたライン要素の弾性変形を発生させることができ、従って、透析液ライン26又はそれに流体的に接続されたライン要素を応力作用位置に移行させることができる。第2のラインセクション、例えば、排出ライン2は、第1のラインセクション、例えば、静脈ライン3よりも高い弾性を有することができる。膜を介して負圧が伝達されるラインシステムは、膜の上流で負圧に露出されるラインセクションの区域よりも高いコンプライアンスを有することができる。コントローラは、少なくとも1つ、任意的に複数の遮断要素を作動させてシステムを上述の応力作用位置に維持することができる。コネクタ要素4からの静脈ライン3の任意的に手動又は自動のその後の切断の場合に、システムは、平衡化システム15の膜Mを変位させながら応力作用位置から弛緩位置に戻って留まることができる。従って、流体は、コネクタ要素4及び5の接続点から排出ライン2の中に引き込まれる。
【0109】
図5a及び
図5bは、ユーザインタフェース13を略例示している。ユーザインタフェース13は、画面29と少なくとも1つのボタン39とを有することができる。
図5aに示すように、画面29は、タッチ画面とすることができ、ボタン39は、タッチ画面上で作動されることになるボタンであるソフトキーとして構成することができる。
図5bに示すように、ボタン39は、画面とは別々に設けられるボタンであるハードキーとして構成することができる。コントローラ9は、ユーザインタフェース13とデータ線を介して命令を送受信するように構成することができる。例えば、ボタン39を作動させた後に、ユーザインタフェース1は、コントローラに切断モードに切り換えさせるか又は切断モードを開始させるようにプログラムすることができる。コントローラ9は、プログラムシーケンスが切断モードの作動を許した状況、切断モードを開始することができる状況、機械側を用いて実施される方法の段階が行われた後に切断を行うことができる状況、例えば治療を準備又は実行することをコントローラが検出したことによって殺菌手順を実行しなければならない状況、又は使い捨て用品の存在を示すセンサ、例えば、ピンが機械側で実行される方法段階が行われないまま使い捨て用品が機械から取り外されたことをコントローラに示す状況のうちの1又は2以上又は全てが発生した時、又はコントローラがプログラムの実行でこれらの点に到達した時に、方法のシーケンスを実行し、ユーザインタフェース13にメッセージ40を例えば表示するために送るようにプログラムすることができる。
【0110】
図6は、医療デバイス1の機械側コネクタ42にアダプタ41を用いて接続された静脈チューブ3の形態にある本発明による使い捨て用品を例示している。
図6では、機械側区域は、垂線の右にある矢印に示している。
図6では、医療デバイス1の外側の区域は、垂線の左にある矢印に示している。静脈ライン3は、静脈ラインをアダプタ41に接続することができる接続部品3a、この実施形態では、例えば、ルアーロックコネクタを一端に有するポリビニルクロリド(PVC)又は別のポリマーで製造されたチューブを備える。
【0111】
例えば、静脈ライン3は、この実施形態では500立方ミリメートルよりも低い、例えば、450立方ミリメートルのコンプライアンスを有する。この場合に、500立方ミリメートル又は450立方ミリメートルのコンプライアンスは、アダプタ41と機械の間の接続が開放される時に静脈ライン3の内容積が変化する時の差容積を意味する。この実施形態では、アダプタ41の容積は、例えば、450立方ミリメートルよりも大きく、特に487立方ミリメートルである。従って、アダプタ41と反対の静脈ライン3の端部では別のラインセクションから静脈ライン3の接続が開放された後のチューブ、特にその負圧による影響を受ける領域の容積変化は、アダプタ41の容積よりも小さい。これは、チューブ、特にその負圧による影響を受ける領域の弛緩に起因して流体が静脈ライン3に向けて引き寄せられる時に、空気が機械側コネクタ42から静脈ライン3に入ることが防止されるという利点を有する。空気は、アダプタ41の容積の領域41aには入ることが許される。静脈ライン3の容積変化は、アダプタ41の容積よりも小さいので、静脈ライン3の方向に吸引される空気が静脈ライン3の中に吸引されず、好ましくは、アダプタ41の容積を完全には充填しないことを保証する。これは、静脈ライン内の気泡のリスクが大きく低減されるので、患者の安全性を高める。
【0112】
静脈ライン3が機械から切り離される時に、静脈ライン3の容積変化は、特に、<-200mbar、好ましくは、<-175mbar、特に好ましくは、<-120mbarの印加負圧ではアダプタ41の容積よりも小さい。本説明の目的では、負圧値の表示は、周囲圧に対する圧力差を意味する。言い換えれば、例えば、「-120mbarの負圧」という表示は、対応するラインセクション内の圧力が、周囲圧よりも120mbar低いことを意味する。
【0113】
容積変化の測定は、この例では39℃の温度で行われるか又は適用される。
【0114】
空気が入ることが許されるアダプタ41の容積の領域41aは、アダプタの機械側端部からそこに取り付けられた静脈ライン又はコネクタが終端する点までの容積に対応することができる。
図6の参照により、これをより詳細に説明することができる。静脈ライン3は、一端にアダプタのコネクタ43に接続されたコネクタ3aを有する。コネクタ43は、アダプタ内に事前にプレス加工されたネジ山とするか又はそれを有することができ、その上にコネクタ3aを捩じ込むことができる。これにより、このコネクタ3aは、コネクタ43の中に又はそれにわたって摺動する。この摺動は、アダプタ41又はコネクタ43と静脈ライン3又はコネクタ3aとの両方によって封入された共通容積を生じさせる。好ましくは、この共通容積は、空気が入ることが許される領域41aには属さない。例えば、この図面に示すアダプタの底部から上部まで、すなわち、機械に接続された管腔に対して垂直な区域の長さは、全体で13mmから14mmとすることができるが、静脈ライン3のコネクタ3aがアダプタと6mmから7mmまでの長さにわたって重なるので、全体の長さのうちの6mmから7mmまでしか領域41aに属すことができない。
【0115】
アダプタ41は、その2つの開口部の間で測定して4cmから8cmまで又は5cmから7cmまでの長さを有する硬質プラスチックの一体的構成要素として構成することができる。アダプタ41のコンプライアンスは、無視することができるほど小さくすることができる。
【0116】
この実施形態では、静脈ライン3は、4.3mmの内径を有することができ、負圧に露出される区域の長さは、ルアーロックコネクタ3aを始端として第2の遮断要素(例えば、チューブクランプ)に至るまで1900mmとすることができる。負圧に露出されるセクションの長さは、1700mmとすることができるが、少なくとも1000mm、好ましくは、少なくとも1500mmとすることができる。このチューブセクションのコンプライアンスは、3.5μl/mbarよりも低く、好ましくは、3μl/mbarよりも低く、好ましくは、0.5μl/mbarよりも高くすることができる。更に別の実施形態では、静脈ライン3は、図の説明に先行する説明に示したパラメータを用いて実行することができる。
【0117】
図7は、本発明によるチューブ、この場合は第1の実施形態による静脈ライン3を例示している。静脈ラインは、第1の端部に静脈ライン3をアダプタ41に接続することができるルアーロックコネクタ3aを備える。静脈ライン3は、その他端に静脈ライン3を例えば透析装置に接続することができる更に別のコネクタ3bを更に備える。静脈ライン3は、空気を静脈ライン3から除去することができる例えば点滴チャンバの形態にある空気分離チャンバ44を備える。この目的で、空気分離チャンバは、例えば、クランプ(図示せず)又はバルブ(図示せず)によって閉鎖可能とすることができる開口部を備える。更に、静脈ライン3は、好ましくは、空気分離チャンバ44内に組み込まれて血塊を捕集する働きをする例えばプラスチックふるいの形態にある血塊捕集器45を有することができる。
【0118】
図8は、本発明によるチューブ、この場合は第2の実施形態による静脈ライン3を例示している。この実施形態による静脈ラインは、好ましくは、遮断要素としての手動作動可能チューブクランプ46と併用される。チューブクランプ46を静脈ライン3上に正確に配置するのに患者を助けるために、静脈ライン3は、それを望ましい位置で、従って、望ましい長さで遮断するためにチューブクランプ46が位置決めされる区域を患者に示す少なくとも1つのマーキング47を有する。チューブクランプ46の複数の定められた位置を患者に提供するための複数のマーキングを設けることを想定することができる。例えば、チューブクランプ46の異なる位置の場合に、負圧が印加されてチューブクランプ46が静脈ライン3を閉め切る時に、静脈ライン3の異なるコンプライアンスを設定することができる。
【0119】
図9は、本発明による方法の流れ図を例示している。最初に、段階S1では、例えば、
図5a及び
図5bに示すユーザインタフェースでの対応するユーザ入力によって、切断モードが選択される。
【0120】
その後に、段階S2では、例えば、互いから分離又は切断される第1のラインセクション及び第2のラインセクションに流体容積が封入されるように、個々のバルブを制御することによって医療デバイスが制御される。この点に関して第2のラインセクションは、移動可能部材によって分離された2つのサブセクションを有することができる。
【0121】
次に、段階S3では、第2のラインセクションの2つのサブセクションのうちの第1のサブセクションに例えばポンプを相応に作動させることによって負圧を発生する。この負圧は、変位可能部材の移動によって2つのサブセクションのうちの第2のサブセクションに伝達される。
【0122】
次に、任意的に、段階S4では、段階S3で発生された負圧が設定値に対応するか又はその周りの許容範囲に収まるかのいずれであるかに関して検査を実行することができる。
【0123】
段階S4での検査が肯定的な結果をもたらした場合に、段階S5では、第1及び第2のラインセクションが互いから切断される。
【0124】
段階S4での検査が否定的な結果をもたらした場合に、段階S3に従って負圧を更に発生する。
【0125】
本明細書で実施形態に言及する場合に、当該実施形態は、本発明による純粋に例示的な性質の実施形態を意味するものと理解されるものとする。
【0126】
本発明による実施形態は、特定の実施形態が技術的に不可能なものとして当業者に認識される可能性がないことを前提として、上述の特徴のうちの1又は2以上をあらゆる組合せで備えることができる。
【0127】
参照符号のリスト
1 医療デバイス、例えば、透析デバイス
2
図4の透析デバイスの排出ラインを備える第2のラインセクション
2’ プライミング/置換ライン
3 例えば、
図4の透析デバイスの静脈ラインを備える第1のラインセクション
3’ 入口ライン
3a 接続部品
4 第1のラインセクション3に接続されたコネクタ要素
4’ 入口ライン3’とプライミング/置換ライン2’との間で使い捨て用品側にあるコネクタ要素
5 第2のラインセクション2に接続されたコネクタ要素
5’ 入口ライン3’とプライミング/置換ライン2’との間で機械側にあるコネクタ要素
6 ポンプ
6A 限外濾過ポンプ
6B プライミング/置換ポンプ
7 遮断要素
8 遮断要素
9 コントローラ
10、11、12 データ線
13 ユーザインタフェース
14 流体ソース
15 平衡化システム
16 第1の無菌フィルタ
17 第2の無菌フィルタ
18 透析装置
19 脱気チャンバ
20 血液ポンプ
21 静脈クランプ
22 動脈クランプ
23 透析装置前遮断要素
24 透析装置後遮断要素
25 第1のプライミングライン遮断要素
26 透析液ライン
27 排出部
28 動脈血液ライン
29 画面
38 変位可能部材
38a 初期位置
38b 応力作用位置
M 膜
39 ボタン
40 メッセージ
41 アダプタ
41a 吸気のための領域
42 コネクタ
43 ルアーロックコネクタ
44 空気分離チャンバ
45 血塊捕集器
46 チューブクランプ
47 マーキング
47a、47a’ 接続ライン
47b、47b’ バルブ
【国際調査報告】