IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特表2024-508291身体パラメータを測定するためのセンサの身体部分への固定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】身体パラメータを測定するためのセンサの身体部分への固定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551697
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022055196
(87)【国際公開番号】W WO2022184735
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,228
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ペルセルス エドゥアルド ヘラルド マリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ケステレン ハンス ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ミュールステッフ イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ウェスホフ ラルフ ウィルヘルム クリスティアヌス ヘンマ ローザ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン アントニウス ペトルス ヘラルドス エマヌエル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KY04
(57)【要約】
被験者の身体パラメータを測定するための装置である。この装置は、前記身体パラメータを測定するためのセンサ、前記被験者の身体部分上に前記センサを位置決めるためのハウジング要素、及び前記身体部分に圧力を加えるための、前記ハウジング要素内にあるアクチュエータシステムを有する。前記アクチュエータシステムは、2つの状態、すなわち、アクチュエータシステムが身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えることに基づく第1の状態、及びアクチュエータシステムが身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えることに基づく第2の状態を有する。前記装置は、異なる時間に第1及び第2の状態を適用するように構成される制御器も有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体パラメータを測定するための装置において、前記装置は、
前記身体パラメータを測定するためのセンサ、
前記被験者の身体部分上に前記センサを位置決めるためのハウジング要素、
前記身体部分に圧力を加えるための、前記ハウジング要素内にあるアクチュエータシステムであり、前記アクチュエータシステムは、2つの状態、すなわち
前記アクチュエータシステムが前記身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えることに基づく第1の状態、及び
前記アクチュエータシステムが前記身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えることに基づく第2の状態
を有する、前記アクチュエータシステム、並びに
前記第1及び第2の状態を異なる時間に適用するように構成される制御器
を有する、装置。
【請求項2】
前記アクチュエータシステムは、少なくとも2つのアクチュエータ要素を有し、前記アクチュエータ要素の各々は、前記アクチュエータ要素が刺激されるとき、体積又は形状が変化するように構成され、
前記制御器は、前記アクチュエータ要素を刺激して、前記アクチュエータシステムの前記状態を定めるようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ要素は、電圧が印加されるとき、体積が膨張するように構成される電気活性ポリマーに基づき、
前記制御器は、前記電気活性ポリマーに電圧を印加するようにさらに構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ要素は、アクチュエータ要素が膨張するとき、膨らむように構成される膨張可能な要素である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記膨張可能な要素を膨張させるためのポンプをさらに有し、
前記制御器は、前記ポンプを作動させるようにさらに構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記アクチュエータシステムによって前記被験者の前記身体部分に加えられる圧力を変更するようにさらに構成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記被験者の姿勢を決定するための加速度計をさらに有し、
前記制御器は、前記被験者の前記姿勢に基づいて、前記アクチュエータシステムによって前記被験者の前記身体部分に加えられる前記圧力を変更するようにさらに構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサは、LEDユニット及び光検出器を有するパルスオキシメータであり、
前記光検出器は、血液中の酸素の飽和度に関する信号を取得するように構成される、請求項1乃至7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記LEDユニットは、第1のアクチュエータ要素の先端に配され、前記光検出器は、第2のアクチュエータ要素の先端に配される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御器は、前記アクチュエータシステムを制御して、前記身体部分に所定の圧力を加えるようにさらに構成され、
前記身体部分に所定の圧力を加えることが、前記光検出器により取得される前記信号に対する静脈の寄与を減らす、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジング要素と前記被験者の前記身体部分との間の境界面に接着層をさらに有し、
前記アクチュエータシステムは、前記センサと前記身体部分との間に圧力を加えるように構成される、請求項1乃至10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記アクチュエータシステムは、
2つ以上の突出部を備える回転要素、及び
前記回転要素と前記被験者の前記身体部分との間にある弾性層
を有し、前記制御器は、状態を変更するとき、前記回転要素を回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置と前記被験者の前記身体部分との間の境界面に摩擦増強層をさらに有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置と前記被験者の前記身体部分との間の境界面に、前記境界面における水分の蓄積を減らすための水分捕捉要素をさらに有する、請求項1乃至13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
被験者の身体パラメータを測定するための方法であって、前記方法は、
アクチュエータシステムを用いて、身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えるステップであり、前記アクチュエータシステムは、ハウジング要素内にあり、前記ハウジング要素は、前記身体部分に固定されている、ステップ、
前記アクチュエータシステムを用いて、前記身体部分の前記第1の領域に前記第1の圧力が加えられるのとは異なる時間に、前記身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えるステップ、及び
前記ハウジング要素によって前記身体部分に位置決められるセンサを用いて前記身体パラメータを測定するステップ
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の身体部分に固定するための装置に関する。特に、本発明は、この装置自身を被験者の身体部分に固定しつつ、被験者の身体パラメータを測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パルスオキシメトリは、酸素によるヘモグロビンの飽和度を測定するための周知の方法である。関連するセンサは、SpOセンサである。ヘモグロビンは、赤血球の成分であり、これら赤血球は、動脈、毛細血管及び静脈を流れる血液中に存在する。この方法は、波長が異なる2つの発光ダイオード(LED)を使用し、光検出器によって光透過率が測定される。透過光の拍動部分から、心拍数、及び結合酸素を持つヘモグロビンと結合酸素を持たないヘモグロビンとの比率を決定することができる。理想的には、測定される酸素飽和度は、動脈酸素飽和度を示している。
【0003】
2つのLED及び光検出器は、ハウジングに組み込まれる。これらのLED及び光検出器は、配線され、これらの配線は、1つのケーブルに集められる。このケーブルは、シールドケーブルであり、例えば、検出器への配線を囲む、及びLEDへの配線を囲む追加のシールドから構成されてもよい。ケーブルの他端は、患者モニタリング器具(患者モニタ)に結合されるコネクタによって終端される。患者モニタは、両方のLEDに電圧を供給し、光検出器からの信号を読み取る。
【0004】
SpOセンサは、例えば、指、鼻孔、額又は耳のような人間の異なる身体位置に配され得る。この身体位置に圧力を加えることによって固定が行われる。例えば指のような身体位置に連続的な圧力を加える中空の弾性ハウジングを持つ再利用可能なセンサがある。他のものは、ヒンジ及びばねを備える、より硬質なハウジングを使用し、身体位置に連続的な圧力を再び加える。さらに、使い捨て可能なSpOセンサは、LED及び検出器が取り付けられる可撓性材料から構成される。この可撓性材料は、センサを指に固定するために指の周りに巻き付けられ、その指に圧力を加えることもできる。固定を提供することに加えて、SpOセンサへの圧力は、SpO信号における脈動する静脈血及び組織液の寄与を抑制又は減らすために使用されることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指用のSpOセンサは、何年にもわたり利用可能であった。しかしながら、指からSpOセンサを取り外すユーザに関するコンプライアンスの問題がある。SpOセンサは、指に連続的な圧力を加え、その結果として、幾人かのユーザは、不快感を覚える。加えて、連続的な圧力を加えることによって固定される、(信頼できる測定のための十分な血液潅流を有する)他の身体位置にある他のセンサは、不快感を引き起こすことがある。
【0006】
連続的な圧力の影響は、皮膚における神経を常に刺激することであり、これは、脳によって不快感に変換される。血流も部分的に制限され、さらに不快感を生じさせる。完全な血流の制限は、局所壊死に至ることさえある。これは、伸張した弾性バンドで固定される額用のSpOセンサにおいて観察されてきた。多くの場合、正確な測定のための十分な圧力と、快適であり、血液潅流の問題を抱えるユーザにとってさえ十分な血流を保証するための十分な低い圧力との間の適切なバランスを見つけることが課題である。
【0007】
従って、身体パラメータ(例えば、心拍数、血圧、血中酸素飽和度など)の測定のために装置を身体部分に固定することを必要とする(又は固定することで恩恵を受ける)装置にとって、快適性、従って被験者のコンプライアンスを向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項によって定義される。
【0009】
本発明の一態様による例によれば、被験者の身体パラメータを測定するための装置が提供され、この装置は、
前記身体パラメータを測定するためのセンサ、
前記被験者の身体部分上に前記センサを位置決めるためのハウジング要素、
前記身体部分に圧力を加えるための、前記ハウジング要素内にあるアクチュエータシステムであり、2つの状態、すなわち、
前記アクチュエータシステムが、前記身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えることに基づく第1の状態、及び
前記アクチュエータシステムが、前記身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えることに基づく第2の状態
を有する、前記アクチュエータシステム、並びに
前記第1及び第2の状態を異なる時間に適用するように構成される制御器
を有する。
【0010】
例えば、血中酸素の飽和パーセンテージを測定するために使用される装置(SpO装置)は通例、これらの装置を不快に思い、これら装置を移動させる又は取り除く被験者が抱えるコンプライアンスの問題を持つ。これは、SpO装置が、測定される身体部分(例えば、指、鼻、額など)に固定されなければならず、この固定が神経を常に刺激し、装置が固定される領域に血流の制限を生じさせるからである。時間の経過と共に、これら常に刺激すること及び血流の連続的な制限は、被験者に不快感を引き起こさせる。
【0011】
本発明は、圧力が身体部分に加えられる領域を変更しながら、装置が身体部分(1つの静止位置)に固定されることを可能にするアクチュエータシステムを備える装置を提供する。このアクチュエータシステムは、2つの状態、すなわち、身体部分のある領域に圧力が加えられている第1の状態、及び身体部分の異なる領域に圧力が加えられている第2の状態を持ち、故に、各領域が刺激される及び血流が制限される時間を制限する。アクチュエータシステムは、第1の状態と第2の状態との間で前記圧力の量を変更することもできる。制御器は、所定の時間期間に基づいてアクチュエータシステムの状態を変更する(例えば、5分毎に状態を変更、30秒毎に状態を変更するなど)ために使用される。
【0012】
前記装置は、この装置が固定される身体部分から身体パラメータ(例えば、脈拍数、呼吸数、フォトプレチソグラムなど)を測定するセンサ、並びに当該センサ及び前記アクチュエータシステムを収容するハウジング要素も持つ。次いで、前記アクチュエータシステムは、前記ハウジング要素(及び/又は前記センサ)と身体部分との間に圧力を生じさせることによって、前記装置を身体部分に固定し、この圧力が装置と身体部分との間の摩擦を増大させる。
【0013】
アクチュエータシステムは、少なくとも2つのアクチュエータ要素を有し、各アクチュエータ要素は、アクチュエータ要素が刺激されるとき、体積又は形状が変化するように構成され、制御器は、アクチュエータ要素を刺激し、アクチュエータシステムの状態を定めるようにさらに構成される。
【0014】
アクチュエータシステムが装置を身体部分に固定する1つの方法は、アクチュエータ要素を使用することである。アクチュエータ要素は、これらアクチュエータ要素が刺激されるとき、体積を増大させる又は形状を変化し、従って、装置と身体部分との間の圧力を増大させる。
【0015】
例えば、装置は、指の上で測定するために設計される。装置は、指の周りに(指を完全に取り囲んで)配されることができ、次いで、第1のアクチュエータ要素が刺激されてもよい。
【0016】
例えば、アクチュエータ要素は、指を完全に取り囲む。作動は、アクチュエータ要素に、体積を増大させる又は形状を変化させ、従って、ハウジング要素と指との間に、装置を指に固定する圧力を生じさせる。例えば、5分後、第1のアクチュエータ要素は不活性化され、第2のアクチュエータ要素が刺激される。
【0017】
指を取り囲むとき、アクチュエータ要素は、ほんの数ミリメートルだけ離間される。アクチュエータシステムは、全体として指を取り囲む偶数個のアクチュエータ要素を持つことができる。アクチュエータシステムは、システムの上半分に第1のn個のアクチュエータ要素を持ち、下半分に等しいn個のアクチュエータ要素を持つことができる。上半分及び下半分に4つのアクチュエータ要素を持つと仮定すると、アクチュエータシステムの第1の状態において、上半分にあるアクチュエータ要素のうちの2つが活性化され(すなわち、刺激され)、下半分にあるアクチュエータ要素のうちの2つも活性化される(すなわち、第1の組のアクチュエータ)。これは、本質的に、装置を指にとどめる(クランプする)4つの方向から加えられる4つの圧力を生じさせる。アクチュエータシステムが第2の状態に変化するとき、アクチュエータ要素は、第1の状態では活性化しなかったアクチュエータ要素(すなわち、第2の組のアクチュエータ)に変わる。両方の状態において、アクチュエータシステムは、圧力が加えられる指の領域を変えながら、指と装置との間に固定する圧力を提供する。
【0018】
しかしながら、アクチュエータ要素は、その代わりとして直線に沿って離間されてもよく、例えば、第2のアクチュエータ要素は、第1のアクチュエータ要素から、指の長さ方向に沿って10~50mmの距離にあり、従って、装置を指に固定した状態を維持しながら、指の異なる領域に圧力を与える。
【0019】
アクチュエータ要素は、電圧が印加されるとき、体積が膨張するように構成される電気活性ポリマーとすることができ、制御器は、これら電気活性ポリマーに電圧を印加するようにさらに構成される。
【0020】
電気活性ポリマーは、印加される電圧を用いて電気活性ポリマーが膨張するので便利である。センサも、このセンサに電力を供給するための電圧を必要とするので、センサ及び電気活性ポリマーの両方に対し、共用の電源及びケーブル機構が使用されてもよい。
【0021】
アクチュエータ要素は、その代わりとしてアクチュエータ要素が膨張するとき、膨らむように構成される膨張可能な要素でもよい。
【0022】
前記膨張可能な要素は、外部の圧力ポンプによって膨張することができる。例えば、血圧カフを膨張させるために通例使用される圧力ポンプを使用することができる。このとき、制御器は、このポンプを作動させるように構成される。
【0023】
制御器は、アクチュエータシステムによって、被験者の身体部分に加えられる圧力を変更するようにさらに構成されてもよい。
【0024】
例えば、被験者の健康、脂肪含有量、身体部分のサイズなどに応じて、異なる被験者に必要とされる圧力が異なってもよい。(アクチュエータシステムの一方又は両方の状態における)特定の圧力は、装置によって快適さを増大させ、この装置によるより正確な測定を保証することもできる。
【0025】
前記装置は、被験者の姿勢を決定するための加速度計をさらに有し、制御器は、この被験者の姿勢に基づいて、アクチュエータシステムによって被験者の身体部分に加えられる圧力を変更するようにさらに構成される。
【0026】
被験者の姿勢は、任意の所与の被験者に最適な圧力にも影響を及ぼす。従って、加速度計(例えば、3D加速度計)は、アクチュエータシステムの前記状態の一方又は両方における圧力を変更するために使用される、被験者の姿勢の示度を与える。
【0027】
センサは、LEDユニット及び光検出器を有するパルスオキシメータでもよく、光検出器は、血中酸素の飽和パーセンテージに関する信号を取得するように構成される。
【0028】
パルスオキシメータは、(血液試料を使って直接的に酸素飽和度を測定するのとは対照的に)患者の血液の酸素飽和度を間接的に監視する。より具体的には、パルスオキシメータは、ヘモグロビン、つまり酸素を運ぶ血液中のタンパク質が何パーセント負荷されているかを測定する。肺病変のない被験者の許容可能な正常範囲は95%から99%である。
【0029】
LEDユニットは通例、異なる波長の光を交互に発する2つのLEDを含む。次いで、光検出器は、両方のLEDからの光が媒体を透過した又は媒体から反射した後に、これら光を検出する。
【0030】
LEDユニットは、第1のアクチュエータ要素の先端に配されることができ、光検出器は、第2のアクチュエータ要素の先端に配されることができる。
【0031】
パルスオキシメータの精度は通例、構成要素(LEDユニット及び光検出器)と身体部分との間に加えられる圧力に依存する。従って、例えば、追加のアクチュエータシステムが、センサの構成要素と身体部分との間に圧力を提供することができ、それによって精度を高めることができる。さらに、この追加のアクチュエータシステムのアクチュエータ要素の先端にセンサの構成要素を持つことによって、制御器は、前記構成要素(すなわち、LEDユニット及び光検出器)と身体部分との間の前記圧力を制御することができる。
【0032】
制御器は、前記アクチュエータシステムを制御して、所定の圧力を身体部分に加えるようにさらに構成されてもよく、この所定の圧力を身体部分に加えることは、光検出器によって取得される信号への静脈の寄与を減らす。
【0033】
装置は、ハウジング要素と被験者の身体部分との間の境界面に接着剤層をさらに有することができ、アクチュエータシステムは、センサと身体部分との間に圧力を加えるように構成される。
【0034】
場合によっては、装置のハウジング要素が、身体部分を取り囲み、この身体部分(例えば、額、胴体など)にとどまることは、不可能である/現実的でないことがある。これらの場合において、ハウジング要素は、このハウジング要素が身体部分に固定されることを可能にする接着剤層から恩恵を受ける。このとき、アクチュエータシステムは、身体部分への圧力をセンサに加えるために使用される(例えば、反射型SpOセンサ)。
【0035】
例えば、アクチュエータシステムの第1の状態は、センサが身体部分への圧力を持つことを保証することができる。この圧力による不快感を減らすために、アクチュエータシステムは、所定の時間期間(例えば、30秒から5分)の後に第2の状態に変更することができる。このとき、第2の状態は、その身体部分の領域に加えられる圧力を減らすか、又は圧力が加えられる領域を変更することができる。
【0036】
アクチュエータシステムは、2つ以上の突出部を備える回転要素、及び前記回転要素と被験者の身体部分との間にある弾性層を有してもよく、制御器は、状態を変更するとき、回転要素を回転させるように構成される。
【0037】
回転要素の突出部は、弾性層を膨らませ、故に、弾性層から身体部分に圧力を与える。このとき、回転要素は、アクチュエータシステムの状態が変更されるとき回転され(例えば、22.5度、45度など)、圧力が加えられる身体部分の領域を変更し、従って、被験者の不快感を減らすことができる。
【0038】
弾性層が回転要素と共に回転する場合、弾性層は、この弾性層が被験者の身体部分を傷つけないように、(回転の方向において)かなり滑らかである必要がある。その代わりに、弾性層は移動せずに、回転要素が弾性層上の膨らむ位置を変更することができる。
【0039】
装置は、当該装置と被験者の身体部分との間の境界面に摩擦増強(friction enhancing)層をさらに有することができる。
【0040】
装置の境界面にある、被験者に対する摩擦増強層、すなわち粗い層は、身体部分上の摩擦を増大させ、従って、身体部分に対する装置の固定を高める。
【0041】
装置は、この装置と被験者の身体部分との間の境界面に、この境界面に蓄積される水分を減らすための水分捕捉(moisture trapping)要素をさらに有する。水分捕捉要素は、この水分捕捉要素が(例えば、異なる被験者のために)交換され得るように、装置に使い捨て可能に接続されることもできる。
【0042】
本発明は、被験者の身体パラメータを測定するための方法も提供し、この方法は、
アクチュエータシステムを用いて身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えるステップであり、前記アクチュエータシステムはハウジング要素内にあり、前記ハウジング要素は、前記身体部分に固定されている、ステップ、
前記第1の圧力が前記身体部分の第1の領域に加えられるのとは異なる時間に、前記前記アクチュエータシステムを用いて前記身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えるステップ、及び
前記ハウジング要素によって前記身体部分上に位置決められるセンサを用いて前記身体パラメータを測定するステップ
を有する。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
図1図1は、アクチュエータ要素として電気活性ポリマーを備えるアクチュエータ装置を示す。
図2図2は、ハウジングの長さ方向に沿った断面を示す。
図3図3は、電極が示されるEAPアクチュエータ要素を示す。
図4図4は、LEDユニット及びアクチュエータ要素の先端に光検出器を備えるアクチュエータ装置を示す。
図5図5は、3つのアクチュエータ装置を備える装置の横断面を示す。
図6図6は、膨張可能なアクチュエータ要素を有する2つのアクチュエータ装置を備える装置の横断面を示す。
図7図7は、8つの膨張可能な要素を備えるアクチュエータ装置を示す。
図8図8は、各々が2つの組の膨張可能な要素を含む2つのアクチュエータ装置、及び弁を備えるマイクロ流体回路の概略図を示す。
図9図9は、回転アクチュエータ装置の断面を示す。
図10図10は、2つの回転アクチュエータ装置を備える装置の長さ方向に沿った断面を示す。
図11図11は、反射型SpOセンサを備える装置の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0046】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、これらは、単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様並びに利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、同じ参照番号が図面全体にわたって使用されることも理解されたい。
【0047】
本発明は、被験者の身体パラメータを測定するための装置を提供する。この装置は、身体パラメータを測定するためのセンサ、被験者の身体部分上に前記センサを位置決めるためのハウジング要素、及び前記身体部分に圧力を加えるための、前記ハウジング要素内にあるアクチュエータシステムを有する。このアクチュエータシステムは、2つの状態、すなわち、アクチュエータシステムが身体部分の第1の領域に第1の圧力を加えることに基づく第1の状態、及びアクチュエータシステムが身体部分の第2の領域に第2の圧力を加えることに基づく第2の状態を有する。前記装置は、異なる時間に前記第1及び第2の状態を適用するように構成される制御器を有する。
【0048】
前記ハウジング要素を固定するために使用される前記身体位置を周期的に変更し、それによって、皮膚接触センサ、動脈及び毛細血管を局所的及び一時的に圧力から解放することによって、アクチュエータシステムによる身体位置への連続的な圧力が回避される。
【0049】
図1は、電気活性ポリマーをアクチュエータ要素106として有するアクチュエータシステムを備えるアクチュエータ装置114を示す。電気活性ポリマー(EAP)のアクチュエータ要素106は、印加した電圧をそのまま体積の膨張に変換し、ハウジング102を身体位置104に固定するために圧力を加える。十分な粗さを持つ摩擦増強層110によってアクチュエータ要素106のグリップ力が強化されてもよい。
【0050】
アクチュエータ装置114は、複数のEAPアクチュエータ要素106を用いて、位置が交互に変わる固定を適用し、それによって、血流の障害を最小限にする。局所的な電子回路を使用して、低い供給電圧を、様々なEAPアクチュエータ要素106を駆動させるのに必要とされるより高い電圧に変換し、EAPアクチュエータ要素106の断続的な及び交互に起こる動作を制御し、並びに必要に応じて、身体部分104上の前記固定する位置を切り替えている間はセンサ測定を中断することができる。固定する位置の切り替えは、ある時間期間中、第1の領域は圧力から解放されるのに対し、第2の領域に圧力が加えられる、逆もまた同様であるように、圧力が加えられる身体部分の領域を、身体部分104の第1の領域から第2の領域に変更する。
【0051】
前記装置は、様々な身体部分104に対して機能することができる。しかしながら、以下の例のために、身体部分104は指であると仮定する。
【0052】
図1aにおいて、ハウジング102及び8つのEAPアクチュエータ要素106の断面が示される。例えば、センサ及び制御器(すなわち、電子回路)のような他の構成要素は、ハウジング102内/上の別の位置に位置決められている(ので、示される断面には見られない)。示される断面において、4つのアクチュエータ要素106からなる組が2つ示される。ハウジング102の断面及び指104の断面の両方が、概略的に表示される。指104の断面は、円形の断面として極めて概略的に表示される。しかしながら、ハウジング102の断面は、指104の断面により良くフィットする形状に適応することができるが、これは、アクチュエータ装置114の機能性にとって必要なことではない。
【0053】
図1bは、第1の組のアクチュエータ要素106が活性化している(すなわち、アクチュエータシステムが第1の状態にある)装置の断面を示す。図1cは、第2の組のアクチュエータ要素106が活性化している(すなわち、アクチュエータシステムが第2の状態にある)装置の断面を示す。指104を覆ってハウジング102を配し、次いで、(例えば、装置を患者モニタに接続することによって)制御器に電力を供給した後、第1の組のアクチュエータ要素106が活性化し、その結果、(第1の組の活性化したアクチュエータ要素106の)電気活性ポリマーが膨張する。EAPアクチュエータ要素106は、硬質ハウジング102及び硬質分離要素108によって境界付けられている。そのため、EPAアクチュエータ要素は、指104に向かって膨らみ、その過程で、規定の粗さを持つ摩擦増強層(すなわち、粗面層)110を指104に押し付ける。粗面層110は、アクチュエータ要素106を指104から隔て、指104を掴む(グリップする)のを助ける粗さも持つ。粗面層110は、指をアクチュエータ要素106に印加される電圧からも絶縁する。
【0054】
EAPアクチュエータ要素106の使用は、これらEAPアクチュエータ要素は、電場に基づいて動作するので安全であり、EAPアクチュエータ要素106の電極を帯電させるために印加される電流は小さく、破損した場合、完全に安全であることに留意されたい。制御器は、この制御器がEAPアクチュエータ要素106に少しの電流(例えば、5mA未満)しか供給しないように設計されることができる。
【0055】
例えば、30秒から5分後、第2の組のアクチュエータ要素106が作動し、次いで、第1の組は、不活性化する。さらに30秒から5分後に、前記第1の組を活性化させ、次いで第2の組を不活性化させることによって、同様の工程が開始される。これらの動作を繰り返すことによって、図1b及び1cに膨張した部分112によって示されるように、圧力が指の異なる領域に交互に位置決められる。この場合、アクチュエータ要素106は、セグメント化され、その結果、指104は、指の全周囲にわたって加圧されず、それによって、指の血流の閉塞を最小限にする。
【0056】
代替的に、アクチュエータ要素106の各組は、示される4つよりも少ない又は多くのアクチュエータ要素106から成ることができる。例えば、各組が、2つのアクチュエータ要素106だけを含むことができる。これは、異なる大きさの指に適切である(例えば、乳幼児及び子供は、比較的小さい指を持ち、故に、より少ないアクチュエータ要素106によって恩恵を受けることができる)。さらに、アクチュエータ要素106の各組は、ハウジングの長さ方向に沿って異なる位置(すなわち、異なる断面)に配されることができる。これらの変形例は、局所的及び一時的な圧力からの解放と同じ原理に基づいて、設計及び快適さをさらに最適化することができる。
【0057】
加えて、ハウジング102の長さ方向に沿って複数のアクチュエータ装置114が設けられることができ、これは、指104上の固定する領域を増大させ、同時に、アクチュエータ要素106の活性化レベルを下げることによって、指104への圧力を低くするという利点を持つ。
【0058】
図2は、ハウジング102の長さ方向に沿った断面を示す。図2において、センサは、被験者の血液中の酸素飽和度を測定(すなわち、SpO測定)するための、LEDユニット204(2つのLED208)及び光検出器206を備えるパルスオキシメータである。例えば、第1のLED208は、660nmの波長の光を発し、第2のLED208は、940nmの波長の光を発する。ハウジング102、制御器202(電子回路)、ケーブル212及びコネクタ214も示される。2つのアクチュエータ装置114が示され、これらアクチュエータ装置は、例えば、上述したアクチュエータ装置114と同等とすることができる。
【0059】
コネクタ214(この場合、オスコネクタ)は、センサの識別に使用される2つのピンを持つ。抵抗値を測定することによって、又は1つの有線の装置からデータを読み取ることによって識別が達成されることができる。患者モニタは、これを用いて、接続されるセンサの種類を識別することができる。これらのピンは、以下に説明されるように2つの機能も果たす。
【0060】
これらのピンは、ケーブル212を介して電子回路202に接続される。これら2つのピンを用いる利点は、パルスオキシメータからのデリケートな信号がアクチュエータ装置を活性化させるための電力に結合されないことである。パルスオキシメータからの信号は、LED208にパルス信号を供給する第1の組のピン、及び光検出器206から前記信号を受信する第2の組のピンによって制御され、第1及び第2の組のピンは、電子回路202に接続されない。
【0061】
電子回路202は、2つの主要な機能を持つ。第1の機能は、センサの種類を識別するために、抵抗値(又は1つのワイヤの読み取り値)を患者モニタに戻すことである。第2の機能は、アクチュエータ要素106の制御を提供することである。この場合、患者モニタは、これらピンを介して例えば5ボルトの電圧を供給し、それによって電子回路202に電力を供給し、前記識別を行う。続いて、電子回路202は、例えば複数の電圧ダブラーのような、昇圧回路を使用することによって、アクチュエータ要素106を駆動させるのに所望される電圧まで前記電圧を増大させる。EAPアクチュエータ要素106の場合、この電圧は通例は200ボルトである。しかしながら、他のアクチュエータ要素106に対しては、すでに5ボルトで十分である。さらに、電子回路202は、各アクチュエータ装置114にある2つの組のアクチュエータ要素106を交互に駆動させるための論理回路を持つ。
【0062】
EAPアクチュエータ要素106は、電場によって駆動し、そのため、これらEAPアクチュエータ要素は、ほんの少しの電流だけを必要とする低キャパシタンスを持つコンデンサのように作用する。
【0063】
電子回路202とEAPアクチュエータ要素106との間の接続(点210)は、EAPアクチュエータ要素106の電極に電力を供給することができる。次いで、これら電極が、膨張する電気活性ポリマー材料に電圧を供給する。
【0064】
図3は、示される電極302を備えるEAPアクチュエータ要素106を示す。最も基本的な構成では、単に電極間に挟まれるEAP材料の層が存在する。しかしながら、EAPアクチュエータ要素106は、電極302によって挟まれる複数の電気活性ポリマー層の積層体を有してもよい。次いで、これら電極302は、電圧供給線に交互に接続され、電気活性ポリマー層を作動させるために200ボルトの電圧が印加される。図3は、基本的な構造の表示であり、故に、電極302の層及び電気活性ポリマー層からなる積層を示していない。電子回路202に接続される外側電極302だけが示されているが、他の電極302が使用されてもよい。
【0065】
幾つかのセンサ(例えば、血圧センサ)は、センサと指104との間に加えられる圧力によって恩恵を受ける。加えて、パルスオキシメトリにとって、LEDユニット204から光検出器206への光路と同じ軸に沿って指104に圧力を加えること、特に、光検出器206の信号精度を向上させることが有利である。
【0066】
図4は、アクチュエータ要素106の選択したアクチュエータ要素の先端にLEDユニット204及び光検出器206を備えるアクチュエータ装置を示す。好ましくは、各々の“圧力方向”に対して、別個のLEDユニット204及び光検出器206(例えば、フォトダイオード)が実装される。様々なLEDユニット204は、これらユニット夫々のEAPアクチュエータ要素106の活性化に同期して活性化される。この場合、LEDユニット204及び光検出器206は、各々がアクチュエータ要素106の頂部に配される。
【0067】
図4aは、アクチュエータ要素106の何れもが活性化されていないときのアクチュエータ装置114を示す。図4bは、一次元的に対向するLED及び光検出器の対が身体部分に押し付けられるように、第1の(例示的な)組のアクチュエータ要素106が活性化されるときのアクチュエータ装置114を示す。
【0068】
光検出器206からの断続的な信号で十分な用途では、1つのLEDユニット204及び1つの光検出器206を備えるセンサが、EAPアクチュエータ要素106と組み合わされる。SpO測定の間、LEDユニット204及び夫々のEAPアクチュエータ要素106は活性化される一方、SpO測定とSpO測定との合間に、他のEAPアクチュエータ要素(の1つ)が活性化されるとき、LEDユニット204は、不活性化される。上述したように、追加のアクチュエータ装置114がハウジング102の長さ方向に沿って設けられることもできる。
【0069】
図5は、3つのアクチュエータ装置114を備える装置の横断面を示す。これらアクチュエータ装置114の1つだけが、指104にLEDユニット204及び光検出器206を押し付けるのに使用される。
【0070】
断続的な測定では不十分である場合、関連するアクチュエータ要素106に取り付けられる2つのLEDユニット204及び2つの光検出器206が使用されてもよい。図5において、1つのLEDユニット204及び1つの光検出器206は、面外にある。
【0071】
2つ(又はそれ以上)の円形のアクチュエータ装置の配置も可能である。例えば、固定するのに必要とされる圧力が比較的低く、血流がわずかだけ制限される場合、1つのアクチュエータ装置114にある全てのアクチュエータ要素106は、同時に全が活性化することができる。これらのアクチュエータ要素106が不活性化するとき、他のアクチュエータ装置114が活性化し、結果的に指が常に固定される。この場合、アクチュエータ要素106は、1つの円形のアクチュエータ要素106に置き換えられてもよい。
【0072】
電気活性ポリマーに基づかない他のアクチュエータ要素106が使用されることもできる。例えば、膨張可能な要素が使用されてもよい。
【0073】
図6は、膨張可能なアクチュエータ要素106を備える2つのアクチュエータ装置114を有する装置の横断面を示す。この状況に対し、LED208、光検出器206、ハウジング102、ケーブル212及びコネクタ214も示される。2つのアクチュエータ装置114が示される。この例において、アクチュエータ要素106は、ハウジング102に隣接して配される小型ポンプ602によって膨張する膨張可能な要素(例えば、バルーン)であり、この小型ポンプは、粗面層110によって強化される、ハウジング102を指104に固定するための圧力を加える。
【0074】
電子回路202は、ポンプ602を駆動させる。加えて、弁を備えるマイクロ流体回路604は、どの膨張可能な要素106が膨張するかを調整し、必要に応じて、固定する位置を切り替えている間、SpO測定を中断する。
【0075】
図7は、8つの膨張可能な要素106を備えるアクチュエータ装置114を示す。図7aにおいて、膨張可能な要素106が作動していないときのアクチュエータ装置114及びハウジング104の断面が示される。例えば、LED208、光検出器206、電子回路202、マイクロ流体回路604及びポンプ602のような他の構成要素は、ハウジング102に沿った異なる断面上に位置決められる。示される断面において、4つの膨張可能な要素106からなる2つの組が示される。図7bは、活性化した第1の組の膨張可能な要素106(すなわち、アクチュエータシステムが第1の状態にある)を示し、図7cは、活性化した第2の組の膨張可能な要素106(すなわち、アクチュエータシステムが第2の状態にある)を示す。ハウジング102の断面及び指104の断面の両方は、再び概略的な様式で表示される。
【0076】
指を覆ってハウジングを配し、その後、例えば患者モニタに接続することによって電子回路202に電力を供給した後、一方の組の膨張可能な要素106が、ポンプ602及びマイクロ流体回路604の弁を活性化させることによって膨張し始める。各々の膨張可能な要素106は、硬質ハウジング102及び硬質分離要素108によって境界付けられているので、膨張可能な要素は、指104に向かって膨らむしかなく、この過程で、粗面層110を指104に押し付ける。図7b及び7cにおける部分112は、第1の組の膨張可能な要素106及び第2の組の膨張可能な要素106夫々の膨張可能な要素106の膨らんでいる部分を示す。
【0077】
粗面層110は、膨張可能な要素106を指104から隔てる、及び指104を掴むのを助ける粗さも持つ。第1の組の膨張可能な要素106が膨張する(図7bに示される)ときから30秒から5分後、第2の組の膨張可能な要素106が膨張し、直後に前記第1の組は収縮する(図7cに示される)。30秒から5分後、前記第1の組を膨張させ、直後に第2の組を収縮させることによって、同様の工程が開始される。これらの動作を繰り返すことによって、圧力が指104の異なる位置に交互に位置決められる。実際、膨張可能な要素106は、セグメント化され、その結果、指104は、指の全周囲にわたって加圧されず、それによって、指の血流の閉塞を最小限にする。必要に応じて、そのようなアクチュエータ装置114は、ハウジング102の長さ方向にわたり繰り返されることができ、これが、指104上の固定する領域を増大させ、同時に、膨張可能な要素106の膨張を減らすことによって、指104への圧力を低くするという利点を持つ。
【0078】
上述したように、電子回路202によって配置され、駆動することができる様々なミニポンプ602がある。ポンプ602を駆動させるためにより高い電圧が有益である場合、上述したように、例えば、電圧ダブラー回路のような昇圧回路が電子回路202に用いられることができる。電子回路202は、膨張可能な要素604の2つの組が交互に膨張するように、ポンプ602、及びマイクロ流体回路604にある弁を駆動させる。
【0079】
ポンプ602は、空気を用いて、膨張可能な要素106を膨張させることができる。しかしながら、空気は圧縮可能であり、ハイドロ空気(ハイドロニューマチック)流体は実質的に非圧縮性であるため、ハイドロニューマチック流体を使用することもできる。しかしながら、膨張可能な要素106は、つぶれることができる容器であるため、空気又はハイドロニューマチック流体の何れかを用いた膨張が可能である。
【0080】
図8は、2つのアクチュエータ装置114a及び114bの概略図を示し、夫々の装置は、2つの組の膨張可能な要素106、及び弁806を備えるマイクロ流体回路604を含む。マイクロ流体回路604は、プランジャ804をシリンジのハウジング802内に動かすモータから作られるミニポンプ602によって誘発される膨張可能な要素106の膨張及び収縮を可能にし、従って、アクチュエータシステムの状態を変更する。前記装置が患者モニタに接続されると、電子回路202が活性化する。続いて、第1の弁806(弁1)が開き、モータがプランジャ804をシリンジのハウジング802内に動かす。その結果、左側の膨張可能な要素106(すなわち、第1のアクチュエータ装置114aの第1の組の膨張可能な要素106及び第2のアクチュエータ装置114bの第1の組の膨張可能な要素106)が膨張し、それによって指104を掴む。
【0081】
ある特定の時間後、通例は30秒から5分後、第2の弁806(弁2)が開き、プランジャ804は、シリンジのハウジング802内にさらに動かされ、それによって、右側の膨張可能な要素106(すなわち、第1のアクチュエータ装置114aの第2の組の膨張可能な要素106、及び第2のアクチュエータ装置114bの第2の組の膨張可能な要素106)も同様に膨張する。直後に、弁2が閉じ、プランジャ804が外方に動かされ、左側の膨張可能な要素106が収縮する。指104は、右側の膨張可能な要素106によって引き続き固定されている。30秒から5分後、プランジャ804は、再び内方に動かされ、左側の膨張可能な要素106を膨張させる。直後に、弁1が閉じ、弁2が開く。その後、プランジャ804は外方に動かされ、右側の膨張可能な要素106が収縮する。このことは、周期的に繰り返される。マイクロ流体回路604、ミニポンプ602、及び/又は弁806は、例えば、電子回路202のPCB(図示せず)上に配される。使用され得る様々な最新技術のミニポンプ602(例えば、モータ及びシリンジ)がある。
【0082】
SpO測定において、LED208から光検出器206への光路と同じ軸に沿って指104に圧力を加えることが有利である。好ましくは、各々の“圧力方向”に対し、別個のLEDユニット204が実装される。夫々の膨張可能な要素106の活性化に従って、様々なLEDユニット204が活性化される。この場合、LED208は、膨張可能な要素106の頂部に配され得る。さらに、光検出器206も、膨張可能な要素106の頂部に配され得る。
【0083】
上述したように、断続的なSpO測定で十分な用途では、1つのLEDユニット204及び光検出器206を備えるセンサが1つの方向に沿って、膨張可能な要素106と組み合わされることができる。SpO測定中、前記LEDユニット及び夫々の膨張可能な要素106は、活性化する一方、SpO測定とSpO測定との合間は、LEDユニットは非アクティブとなり、アクチュエータシステムの他の膨張可能な要素106(の1つ)が活性化する。
【0084】
(液圧を使用するポンプを含む)膨張可能な要素106への圧力を使用する他の任意のポンプ602が、示されるプランジャ804及びシリンジハウジング802の代わりに使用されてもよい。これらは、小型化したMEMSポンプでもよい。その代わりに、カフを膨張させるために通例使用される圧力ポンプ(例えば、患者モニタにある圧力ポンプ)が使用されてもよい。これは、患者モニタへのケーブル212及びコネクタ214に追加の圧力ラインを必要とする。
【0085】
図9は、回転アクチュエータ装置114の断面を示す。この例において、弾性層906を周期的に変形させ、それによって、ハウジング102(図示せず)を指104に固定するために、一連の位置に圧力を加える突出部904を備える回転機械要素902が使用される。回転アクチュエータ装置114は、回転機械要素902、この回転を誘発するモータ(図示せず)、及び指104の皮膚と接触する弾性層906を含む。電子回路202は、回転を誘発するためのモータ及び前記センサを駆動させるために使用される。指104に対してハウジング102が回転するのを防止するために、2つの逆回転機械要素902が同じモータによって駆動することができる。
【0086】
示される断面は、回転機械要素902の1つの位置の断面である。弾性層906を局所的に窪ませて、それによって、局所的な圧力を指104に及ぼす4つの突出部904を備える回転機械要素902が例示される。4つの突出部904は、指104の連続的な固定をもたらす。
【0087】
モータは、ギアボックスを介して、通例は毎分1回転のオーダーで回転速度を制御する。図9aは、如何なる回転前のアクチュエータ装置114を示し(すなわち、アクチュエータシステムが第1の状態にある)、図9bは、22.5度回転した後のアクチュエータ装置114を示し(すなわち、アクチュエータシステムが第2の状態にある)、図9cは、45度回転した後のアクチュエータ装置114を示す(すなわち、アクチュエータシステムが第3の状態にある)。
【0088】
アクチュエータ装置114の断面及び指104の断面の両方が、概略的に表示される。
【0089】
指104を覆ってハウジング102を配し、次いで、例えば、前記装置を患者モニタに接続することによって、電子回路202に電力を供給した後、回転を開始する。弾性層906は、指104の側に、指104の固定を補助するある程度の粗さを持つことができる。連続的な回転が、圧力を指104の異なる位置に交互に位置決める。突出部904により、指104は、指の全周囲にわたって加圧されず、それによって、指の血流の閉塞を最小限にする。そのような回転要素902は、第1の回転要素に対して逆方向に回転する第2の回転要素と連携して動作し、それによって、指104にかかる正味の回転力を最小限にする。
【0090】
回転要素902と指104との間にある弾性層906は、ハウジング102に固定されてもよい(従って、回転要素902上に固定されない)。この場合、回転要素902と弾性層906との間に摩擦が存在する。しかしながら、回転による弾性層906と指104との間に摩擦は存在しない(突出部904から指104への圧力による摩擦のみ存在する)。
【0091】
或いは、弾性層906が回転要素902に固定されることができる(すなわち、ハウジング102に固定されない)。この代替例の場合、回転要素902と弾性層906との間に摩擦は存在しない。しかしながら、弾性層906と指104との間には摩擦が存在する。この場合、弾性層906は、指104の十分な固定を維持しながら、回転摩擦を減らすために滑らかであることが好ましい。
【0092】
突出部906の数もまた、示される4つより少なくても多くてもよい。
【0093】
図10は、2つの回転アクチュエータ装置114を備える前記装置の長さ方向に沿った断面を示す。回転要素902は、互いに反対に回転することができる。参照のために、LED208、光検出器206、ハウジング102、ケーブル212及びコネクタ214が示される。回転要素902とハウジング102との間にベアリング(図示せず)がある。モータ及びギアボックス1002は、電子回路202のPCB上に位置決められる。ギアボックス1002の1つは、回転要素902の1つに逆向きの回転を与える。圧力を加えるために利用される円形の線運動を生成するモータを使用することができる。
【0094】
代替のアクチュエータ装置114は、その後圧力を生成する磁石に力を加えるための電気コイルの使用を含む。形状記憶材料を使用して、電気ヒータを用いてその形状を変化させることにより圧力を生成することもできる。
【0095】
指104の皮膚と直に接触する材料の層は、吸収体(すなわち、水分トラップ要素)を含む環形状のポーチと置き換えられることができる。このポーチは、流体ダイオードとして機能する特定の孔を持つ表面シートから作られる。皮膚に押し付けられない(すなわち、皮膚とポーチとの間に圧力がない)部分については、穴が開いてあり、これらの穴が、ポーチが汗を吸収することを可能にし、それによって皮膚を乾燥状態に保つ。これは、前記装置を着用している被験者の快適さに寄与する。皮膚に押し付けられる部分については、穴は閉じていて、汗が皮膚に戻されるのを防ぐ。
【0096】
上述した例は、指104に使用される。しかしながら、これらの例は、例えば耳のような、対向する力を加えることによって掴むことができる如何なる身体部分104にも使用することができる。しかしながら、これがかなり非実用的である身体部分104がある。例えば、反射型のSpOセンサは、額又は胴体上に位置決められてよい。頭部又は胴体の周りにバンドを使用して圧力を加えてもよいが、これは、快適感に寄与せず、胴体上では、これは、呼吸サイクルに依存する圧力をもたらす。
【0097】
そのような身体位置(例えば、額及び胴体)に対し、局所的及び一時的な圧力の解放のために、代替の圧力装置が必要とされる。
【0098】
図11は、反射型のSpOセンサを備える装置の断面を示す。信頼性のあるSpO測定のために、SpOセンサのLEDユニット204及び光検出器206と指との間に良好な接触が必要とされる。適切な接触は、アクチュエータ要素106からの圧力によって与えることができる。
【0099】
図11において、(サブハウジング内にあるLEDユニット204の2つのLED及び1つの光検出器206からなる)SpOセンサを含む硬質ハウジング102を有する装置の断面が示されている。サブハウジングの頂部には、アクチュエータ要素106(例えば、電気活性ポリマー又は膨張可能なバルーン)がある。この場合、アクチュエータ要素106を膨張させることによって測定が行われるとき(すなわち、アクチュエータシステムが第1の状態にあるとき)にのみ圧力が加えられる。アクチュエータ要素106の不活性化(すなわち、アクチュエータシステムが第2の状態にあること)によって、圧力の解放が得られる。測定は、圧力が加えられるとき(通例は、数十秒から数分間)にのみ実行されることができ、次いで、数十秒から数分間の圧力解放期間を持つ。接着層1102によってハウジング102が取り付けられる領域は、アクチュエータ要素の領域よりも大きいので、接着層1102の下にある身体部分104に及ぼされる表面積当たりの力を最小限にする。
【0100】
図11に示される例のアクチュエータシステムは、1つのアクチュエータ要素106だけを含み、そのため、そのアクチュエータ要素106を周期的に活性化及び不活性化することによって、圧力の解放が得られる。しかしながら、アクチュエータシステムは、同時に活性化させる、又は他方が不活性化するとき、一方(又は複数)を活性化させる2つ以上のアクチュエータ要素106を有することができる。アクチュエータシステムは、上述したように、2つ以上の組のアクチュエータ要素106を有する2つ以上のアクチュエータ装置を有することもできる。
【0101】
正確なSpO測定のために、身体部分104とセンサ(LEDユニット204及び光検出器206)との間に適切な圧力が必要とされる。この“最適な”圧力は、多くのパラメータに依存し、その圧力は人によって異なる。アクティブな圧力最適化は、SpO測定の精度を大幅に改善することができる。例えば、胴体上での測定に対し、異なる姿勢(仰臥位又は横臥位)は、光検出器206によって取得されるPPG(フォトプレチスモグラフィ)信号におけるアーチファクトを抑制するために異なる圧力を必要とする。3D加速度計を使用して、前記姿勢を決定し、それに応じてアクチュエータ要素106の圧力を調整することができる。
【0102】
PPG信号の特徴を使用して、圧力を最適化することもできる。圧力が低すぎると、動脈の拍動に加えて静脈及び皮膚組織の拍動によるアーチファクトが存在する。圧力を増大させると、前記アーチファクトはより小さくなり、(PPG信号からの)SpO測定の精度は増大する。しかしながら、より高い圧力では、動脈の拍動及び潅流が再び減少し始めるので、SpO測定の精度は下がる。加速度計の測定値及び/又はPPG信号の特徴は、最適な圧力を導出し、圧力を調整するためのフィードバック信号を生成するアルゴリズムの入力パラメータとして使用されることができる。
【0103】
PPG信号における心臓成分の振幅が最大となるように、加えられる圧力を制御するフィードバックループも生成される。このPPG信号における心臓成分の振幅を最大にすることは、不快なほど高い圧力をもたらす可能性があるので、前記フィードバックループは、快適さを保証するために超えるべきではない最大圧力限界を持つ。
【0104】
さらに、前記フィードバックループが、PPG信号における心臓成分が最大の振幅を持つ外部圧力を識別すると、この外部圧力は、身体部分104における平均動脈圧の指標となる。従って、このフィードバックループは、同時に接触圧を最適化し、前記平均動脈圧の推定値を提供することが可能である。
【0105】
静脈血酸素飽和度の推定値を取得することもできる。例えば、SpOセンサを固定しているアクチュエータ要素106の組を変更するとき、静脈血酸素飽和度の推定値が取得される。この固定する位置を変更する過程において、ある時点に、両方の組のアクチュエータ要素106が活性化する。この時点において、外部から加えられる圧力は、全円周及び最大であり、これは、センサの固定がLED及びフォトダイオードの近位で行われるのであるならば、静脈還流を減らし、故にPPG信号のベースラインの減少につながる。赤色及び赤外線PPG信号のベースラインの相対的減少間の比率が、静脈血酸素飽和度の推定値を提供することができる。
【0106】
さらに、一方の組のアクチュエータ要素106が再び不活性化されると、これは、その後の静脈還流の増大につながり、PPG信号のベースラインの増大をもたらす。赤色及び赤外線PPG信号のベースラインの相対的増大間の比率が、静脈血酸素飽和度の第2の推定値を提供することができる。両方の推定値を組み合わせて、静脈酸素飽和度の単一の推定値とするか、又は2つの推定値の何れか一方を使用して、静脈酸素飽和度の推定値を提供することができる。両方の組のアクチュエータ要素106は、PPG信号のベースラインの十分な減少を達成するように十分な長さで活性化する必要がある。PPG信号に測定されるベースラインの減少に基づいて、両方の組のアクチュエータ要素106の同時活性化の持続時間が適応されることができる。
【0107】
前記アクチュエータ要素106の組は、既知の周波数の、SpOセンサを固定する圧力の低振幅変動を誘発するためにも使用される。平均圧力及び圧力変動は、静脈血量の変動を誘発するだけで、動脈系には影響を与えないように十分に小さくなければならない。この既知の周波数で起こる赤色及び赤外線PPG信号の変動を抽出すると、動脈酸素飽和度を推定する方法に類似して、静脈血酸素飽和度を推定することが可能である。静脈血酸素飽和度の推定値を取得するための接触圧の変動は、例えば、固定する位置が変更される瞬間の後に、断続的に誘発される。
【0108】
制御器202は、上記の例に述べたように、PPG信号及び3D加速度計信号などの処理を行うように構成される。或いは、上記の例に述べたような処理を行うために、別個の処理器が使用されてもよい。この処理器は、例えば、圧力値、切り替え時間などに関する命令を制御器202に与えるために、制御器202に(有線又は無線)接続される。制御器202及び/又は処理器は、上述した如何なる情報も表示するためのディスプレイに接続されることもできる。
【0109】
上述した例は、SpOセンサを使用して説明されている。しかしながら、前記装置は、身体部分104への固定を必要とする他の如何なるセンサを用いて設計されてもよい。例えば、幾つかの心拍数センサは、心拍数を測定するために、身体部分104への少なくとも幾らかの固定を必要とする。血圧の測定も通例は、身体部分に加えられる圧力を必要とする。或いは、前記センサは、酸素ヘモグロビン(すなわち、結合酸素を持つヘモグロビン)の測定に加えて、又はその代わりとして、一酸化炭素ヘモグロビン及び/又はメトヘモグロビンの量を測定するためのセンサとすることができる。
【0110】
アクチュエータ要素106(又はアクチュエータ要素106の組)を切り替える間の時間は、被験者、身体部分104、加えられる圧力の量、活性化するアクチュエータ要素106の数などに依存する。一般に、前記切り替える間の時間は、1秒未満にしない、及び20分より長くするべきではない。特に、第1の状態と第2の状態との間を切り替える間の時間は、センサが適切に測定を行うことができ、被験者が不必要なレベルの不快を経験しないことを確実にすべきである。
【0111】
上記の例は、アクチュエータシステムに対し2つ(又は3つ)の状態だけを持つ。アクチュエータシステムは、圧力を解放するために少なくとも2つの状態を持つ。しかしながら、アクチュエータシステムは、(例えば、ハウジング102の長さ方向に沿って)さらにより局所的に圧力を解放するために、他の如何なる(2より大きい)数の状態を有することができる。
【0112】
アクチュエータシステムは、血流があまり制限されないのであれば、環状のバンドを有してもよい。身体部分の周囲を取り囲んで血流が制限される場合、固定が別の位置に断続的に変更されたとしても、血流は依然として制限される。例えば、指を取り囲む円形の弾性バンドは、血流を制限する。異なる位置にある2つのそのようなバンドが交互に利用される場合、血流は依然として制限される。従って、ハウジングは、好ましくは、上記に説明したように、指又は他の身体位置の周囲の一部にのみ圧力をかけるアクチュエータシステムを用いて、前記身体位置に固定される。
【0113】
好ましくは、前記装置が使用する電気接続ポートは、電流センサが使用するポート(例えば、4ピン接続ポート)と同じ又は類似である。従って、本発明は、今ある患者モニタと共に使用することができる。次いで、センサは、2つのピンを用いて交互の固定を行わせるために、患者モニタの電流ポートによって提供されるのと同じ機能性で動作することができる。患者モニタの内部ソフトウェアは、既存のセンサの種類との互換性を保ちつつ、新しい装置の使用を可能にするために更新されることができる。
【0114】
上述したように、実施形態は、制御器202を利用する。制御器202は、必要とされる様々な機能を行うために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて多くの方法で実装されることができる。処理器は、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いて、前記必要とされる機能を行うようにプログラムされる1つ以上のマイクロプロセッサを用いる制御器の一例である。しかしながら、制御器202は、処理器の有無にかかわらず実装されることができ、幾つかの機能を行うための専用ハードウェアと、他の機能を行うための処理器(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組合せとして実装されてもよい。
【0115】
本開示の様々な実施形態に用いられる制御器の構成要素の例は、これらに限定されないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0116】
様々な実装形態において、処理器又は制御器202は、1つ以上の記憶媒体、例えばRAM、PROM、EPROM及びEEPROMのような揮発性並びに不揮発性のコンピュータメモリに関連付けられる。この記憶媒体は、1つ以上の処理器及び/又は制御器上で実行されると、前記必要とされる機能を行う1つ以上のプログラムで符号化されてもよい。様々な記憶媒体は、処理器又は制御器202内に取り付けられてもよいし、又は媒体に記憶される1つ以上のプログラムが処理器或いは制御器に読み込まれるように搬送可能でもよい。
【0117】
開示される実施形態に対する変形例は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求される本発明を実施する当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、“有する”という言葉は、他の要素又はステップを排除するものではなく、それが複数あることを述べなくとも、それが複数あることを排除するものではない。
【0118】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0119】
“に適応する”という用語が請求項又は明細書に用いられる場合、“に適応する”という用語は、“ように構成される”という用語と同等であることを意味する。
【0120】
請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図5
図6
図7a)】
図7b)】
図7c)】
図8
図9a)】
図9b)】
図9c)】
図10
図11
【国際調査報告】