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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】組換え免疫細胞療法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240216BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240216BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240216BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240216BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240216BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240216BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240216BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240216BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240216BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240216BHJP
   C07K 14/74 20060101ALN20240216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240216BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240216BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240216BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20240216BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20240216BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N5/078 ZNA
C07K19/00
C12N5/0783
A61K48/00
A61K35/17
A61K35/28
A61K35/545
A61K38/19
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/09 100
C12N15/13
C07K14/74
C12N15/12
C12N15/62 Z
C07K14/705
C07K16/00
C07K16/30
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553130
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022019020
(87)【国際公開番号】W WO2022187704
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,332
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514141673
【氏名又は名称】ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ローデ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】コパチ,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジャスミン
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジェームス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB271
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB44
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、部分的には、とりわけ、宿主免疫応答を抑制された組換え免疫細胞に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含む単離免疫細胞を含む組成物であって、前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記組成物。
【請求項2】
前記免疫細胞が、前記B2M遺伝子の、実質的に全てのコピー全ての、遺伝子組み換えによる破壊を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記免疫細胞が、前記B2M遺伝子の機能喪失を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記免疫細胞が、任意選択で、前記免疫細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで引き起こされる、前記B2M遺伝子の両方のアレルの機能喪失を有する、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項5】
前記B2M遺伝子の前記遺伝子組み換えによる破壊が、ヒトB2Mのエクソン3に存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記B2M遺伝子の前記遺伝子組み換えによる破壊が欠失である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記欠失が、約10~約20ヌクレオチドである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記欠失が、約14ヌクレオチドである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記欠失が、前記ヒトB2M遺伝子のヌクレオチド500~550付近にある、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記欠失が、配列TTGACTTACTGAAG(配列番号2)、または、その機能的等価物のものである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記免疫細胞は、MHCクラスI発現及び/または活性が下方制御されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記免疫細胞が、対象への投与の際に、宿主免疫系により実質的に認識されない、請求項1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項13】
前記免疫細胞は、前記B2M遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含まない免疫細胞と比較して、宿主T細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記免疫細胞は、前記B2M遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含む別の免疫細胞と比較して、他の宿主免疫細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記免疫細胞がステルス細胞である、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記免疫細胞は、宿主免疫細胞のフラトリサイド、例えば、NK細胞のフラトリサイドが低下している、または取り除かれている、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記免疫細胞が自己活性化可能である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記免疫細胞は、インターロイキン-2(IL-2)及びインターロイキン-15(IL-15)から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、自己活性化可能である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記免疫細胞が腫瘍細胞傷害性を誘発可能である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記免疫細胞は、IL-2及びIL-15から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、腫瘍細胞傷害性を誘発可能である、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記免疫細胞が、MHC IIトランスアクチベーター(CIITA)遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊をさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記免疫細胞は、MHCクラスII発現及び/または活性が下方制御されている、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記免疫細胞が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記免疫細胞が、B2Mポリペプチド、ならびに、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチドを含む、融合タンパク質を発現する、請求項1~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記融合タンパク質が、修復鋳型を、前記B2M遺伝子の一本鎖または二本鎖切断に挿入することにより発現し;前記修復鋳型が、前記B2M及びHLA遺伝子用のコード配列を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記融合タンパク質が、免疫細胞により発現した、内因性B2M及びHLAペアを置き換えることにより、前記免疫細胞が宿主免疫細胞により減少する、または取り除かれる可能性を低くする、請求項24及び25に記載の組成物。
【請求項27】
前記免疫細胞が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含まない、請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記遺伝子組み換えによる変異が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる低下または除去である、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記遺伝子組み換えによる変異が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる増加である、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記免疫細胞、任意選択でNK細胞を遺伝子組み換えし、細胞内シグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインと、抗原結合領域を含む細胞外ドメインと、を含む、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ、CD28、CD27、CD134(OX40)、及びCD137(4-1BB)のうちの1つに由来する、請求項30または31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記膜貫通ドメインが、CD28またはCD8の1つに由来する、請求項30~32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
前記抗原結合領域が、1つの抗原に結合する、請求項30~33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記抗原結合領域が、2つの抗原に結合する、請求項30~33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
を含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
のうちの2つを含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、及び
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
のそれぞれのうちの1つを含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
前記抗原結合領域が腫瘍抗原に結合する、請求項30~38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
前記抗原結合領域が、
a.腫瘍細胞上で任意選択でHLA-Eに結合する、CD94/NKG2a;
b.腫瘍細胞上で任意選択でCD155に結合するCD96;
c.腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するTIGIT;
d.腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するDNAM-1;
e.腫瘍細胞上で任意選択でHLAクラスIに結合するKIR;
f.腫瘍細胞上で任意選択でNKG2D-Lに結合するNKG2D;
g.任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16aであって、及び/または、前記CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、前記CD16a;
h.腫瘍細胞上で任意選択でB7-H6に結合するNKp30;
i.NKp44;ならびに
j.NKp46
のうちの1つ以上を含む、請求項30~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
前記抗原結合領域が、免疫グロブリンドメイン、任意選択で、HLA-E、CD155、CD112 HLAクラスI、NKG2D-L、またはB7-H6に対して向けられるscFvを含む、請求項30~40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記抗原結合領域が、AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原に結合する、請求項30~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
前記抗原結合領域が2つの抗原に結合し、前記抗原が、
a.AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原、ならびに
b.AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原
である、請求項30~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
前記組換えCARの前記細胞外ドメインが、NK細胞活性化受容体またはscFvの細胞外ドメインを含む、請求項30~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
前記免疫細胞が、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における遺伝子編集を含む、請求項30~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における前記遺伝子編集が、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記遺伝子編集が、IL-6、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAC、PD1、及び/またはHPK1の発現及び/または活性の低下または除去を引き起こす、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記遺伝子編集が、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6R、IL-12、IL-15、及び/またはTRAILの発現及び/または活性の増加を引き起こす、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記リンパ系細胞がT細胞である、請求項1~48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記T細胞がガンマ-デルタT細胞である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記リンパ系細胞がNK細胞である、請求項1~48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記NK細胞がNK-T細胞である、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記NK細胞がヒト細胞である、請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
前記NK細胞が、対象の体細胞に由来する、請求項51~53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記NK細胞が、同種異系または自己由来細胞に由来する、請求項51~54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記NK細胞が、人工多能性幹(iPS)細胞に由来する、請求項51~55のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
前記iPSが、体細胞をiPS細胞にリプログラムすることにより誘導され、前記リプログラムすることが、前記iPS細胞を、任意選択で、Oct4、Sox2、cMyc、及びKlf4から選択される、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記リプログラムすることが、前記iPS細胞を、各Oct4、Sox2、cMyc、及びKlf4をコードする1つ以上のRNAと接触させることを含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記iPS細胞が、同種異系または自己由来細胞に由来する、請求項56または57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記B2Mの上記遺伝子組み換えによる破壊が遺伝子編集を含み、前記遺伝子編集が、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる、請求項1~59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記NK細胞が、CD56及びCD16のうちの1つ以上を発現する、請求項1~60のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
前記NK細胞が、任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16aであって、及び/または、前記CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、前記CD16aを発現する、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記NK細胞がCD3を発現しない、請求項1~62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
前記NK細胞がCD56bright CD16dim/-である、請求項1~63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項65】
前記NK細胞がCD56dim CD16+である、請求項1~64のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
前記NK細胞が、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27- CD11b- NK細胞を含む、NKtolerant細胞である、請求項1~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項67】
前記NK細胞が、任意選択で、CD56dim NK細胞、またはCD11b+ CD27- NK細胞を含む、NKcytotoxic細胞である、請求項1~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項68】
前記NK細胞が、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27+ NK細胞を含む、NKregulatory細胞である、請求項1~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
前記NK細胞が、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である、請求項1~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
前記NK細胞が、インターフェロンガンマ(IFN-g)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-a)、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-b)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、マクロファージ炎症性タンパク質1a(MIP-1a)、及び、マクロファージ炎症性タンパク質1b(MIP-1b)から選択される1つ以上のサイトカインを分泌する、請求項1~69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
前記NK細胞が、自殺遺伝子産物をコード可能な1つ以上の組換え遺伝子をさらに含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
前記自殺遺伝子産物が、チミジンキナーゼ及びアポトーシスシグナル伝達タンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含む、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記遺伝子編集タンパク質が、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、RiboSlice、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列反復(CRISPR)関連タンパク質または天然もしくは組換えバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、これらの断片もしくは融合構築物から選択される、請求項60~72のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
前記RNAがmRNAである、請求項2~73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
前記RNAが修飾mRNAである、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記修飾mRNAが、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記非標準ヌクレオチドが、ピリミジンに対して、2C位、4C位、及び5C位から選択される、または、プリンに対して、6C位、7N位、及び8C位から選択される位置において、1つ以上の置換を有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記非標準ヌクレオチドが、任意選択で、前記非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または100%の量で、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-ホルミルシュードウリジン、及び5-メトキシシュードウリジンのうちの1つ以上を含む、請求項76または77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
前記RNAが、5’キャップ構造を含む、請求項2~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
前記RNA 5’-UTRが、コザックコンセンサス配列を含む、請求項2~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
前記RNA 5’-UTRが、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、前記5’-UTRが、アルファグロビンまたはベータグロビン5’-UTRを含むことができる、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記RNA 3’-UTRが、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、前記3’-UTRが、アルファグロビンまたはベータグロビン3’-UTRを含むことができる、請求項2~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
前記RNAが、3’ポリ(A)テールを含む、請求項2~82のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項84】
前記RNA3’ポリ(A)テールが、約20ヌクレオチド~約250ヌクレオチド長である、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記RNAが、約200ヌクレオチド~約5000ヌクレオチド長である、請求項2~84のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項86】
前記RNAが、インビトロ転写により調製される、請求項2~85のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項87】
前記骨髄細胞がマクロファージである、請求項1~86のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項88】
前記マクロファージが、M1マクロファージまたはM2マクロファージである、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
先行請求項のいずれかに記載の単離NK細胞を含む、医薬組成物。
【請求項90】
組換え免疫細胞の作製方法であって、
a.体細胞をiPS細胞にリプログラムすることであって、前記リプログラムすることは、前記iPS細胞を、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、前記リプログラムすることと、
b.前記iPS細胞内のB2M遺伝子を破壊することであって、前記破壊することは、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、前記細胞を遺伝子編集することを含む、前記破壊することと、
c.前記iPS細胞を免疫細胞に分化させることと、を含み、
d.前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記方法。
【請求項91】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記NK細胞がNK-T細胞である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記NK細胞がヒト細胞である、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
前記リンパ系細胞がT細胞である、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記T細胞がガンマ-デルタT細胞である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記骨髄細胞がマクロファージである、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記マクロファージが、M1マクロファージまたはM2マクロファージである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記体細胞が線維芽細胞またはケラチノサイトである、請求項90~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、iPS細胞の増殖速度の増加をもたらす、請求項90~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の増殖速度の増加をもたらす、請求項90~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の拡大の増加をもたらす、請求項90~100のいずれか1つに記載の方法。
【請求項102】
前記分化が、胚様体に基づく造血関与を含む、請求項90~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記分化が、CD34+細胞の濃縮を含む、請求項90~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記分化が、CD5+/CD7+一般リンパ系前駆細胞への分化を含む、請求項90~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記方法が、CD56dim CD16+NK細胞をもたらす、請求項90~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記RNAが、表A及び/または式I-XVIから選択される1つ以上の脂質と会合している、請求項90~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記免疫細胞が、請求項1~86のいずれか1項に記載の細胞である、請求項90~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
がんの処置方法であって、
a.B2M遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手することと、
b.前記単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することと、を含み、
c.前記免疫細胞が、リンパ系細胞またはCAR骨髄細胞である、前記方法。
【請求項109】
前記免疫細胞がT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞、例えばNK-T細胞;またはマクロファージ、例えばM1マクロファージもしくはM2マクロファージ、及びNK細胞である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記がんが血液癌である、請求項108または109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記がんが充実性腫瘍である、請求項108または109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳癌及び中枢神経系癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(消化器癌を含む);膠芽腫;肝細胞癌;肝癌;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み細胞NHL(high grade small non-cleaved cell NHL);巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他のがん腫及び肉腫;ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびにファコマトーシス、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、及びメーグス症候群に関連する異常な血管増殖から選択される、請求項108~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記免疫細胞が、請求項1~86のいずれか1項に記載の細胞である、請求項108~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
CD16a遺伝子に遺伝子編集を含む単離免疫細胞を含む組成物であって、前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記組成物。
【請求項115】
前記遺伝子編集が、前記CD16aを、CD16aの高親和性バリアントに形質転換させる、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
前記遺伝子編集が、158位に、フェニルアラニンのバリンへの置換(F158V)を導入する、請求項114または115に記載の組成物。
【請求項117】
前記細胞が、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、請求項116に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宿主免疫系による認識及び/またはクリアランスを逃れる、組換え免疫細胞に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月5日に出願された米国仮特許出願第63/157,332号の利益を主張し、上述の特許出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
自己由来キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法などの、自己由来組換え細胞療法は、血液がんの処置に革命を起こしたが、これらは製造時間及び変動性、リンパ球枯渇の要件、ならびに、サイトカイン放出に関連する副作用によって限界がある。遺伝子編集された人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する、同種異系の細胞療法が、自己由来組換え細胞療法に関連する課題に取り組むために開発されている。これらの「オフザシェルフ」細胞療法は、免疫拒絶を軽減し、向上した治療特性及びより大きな安全性を付与するように設計された、特異的編集物を含有する。しかし、iPSC中の画定される座位を、効率的で形跡を残さず、両アレル標的することは、現在の遺伝子編集アプローチでは技術的に課題が残っている。
【0004】
さらに、人工多能性幹細胞(iPSC)は、インビトロ及びインビボの両方で、多種多様の細胞型に速やかに分化するものの、機能性細胞の純粋な集団を確実に入手する、指向された分化手順の開発は、特に、リンパ系または骨髄系列の細胞に分化する際に困難であることが証明されている。iPSC由来の機能性免疫細胞を生成することは、免疫腫瘍学用途のための、オフザシェルフ組換え細胞療法の開発を支える上で特に興味深い。
【0005】
実用的な方法で組み換え及び産生可能な細胞療法を生成するための、改善された組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本開示は、細胞療法用の組成物及び方法、例えば、宿主免疫系による認識及び/またはクリアランスを逃れ、故に、対象の免疫応答により低下しない、または失われない治療効果を有する組換え免疫細胞に関する。
【0007】
一態様では、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊、例えば、任意選択で、B2M遺伝子の両方のアレルにおける機能喪失を含む、単離免疫細胞であって、上記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記免疫細胞を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。実施形態では、免疫細胞は、MHCクラスI発現及び/または活性が下方制御されている。実施形態では、免疫細胞は、B2M遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊を含む別の免疫細胞と比較して、T細胞または他の免疫細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている。実施形態では、免疫細胞は、免疫細胞のフラトリサイド、例えば、NK細胞のフラトリサイドが低下している、または取り除かれている。実施形態では、免疫細胞はステルス細胞であり、例えば、免疫細胞は、対象への投与の際に、免疫系により実質的に認識されない。
【0008】
場合によっては、免疫細胞は、B2Mポリペプチド、ならびに、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチドを含む、融合タンパク質を発現する。融合タンパク質は、修復鋳型を、B2M遺伝子の一本鎖または二本鎖切断に挿入することにより発現することができる;場合によっては、修復鋳型は、B2M及びHLA遺伝子用のコード配列を含む。特に、融合タンパク質は、免疫細胞により発現した、内因性B2M及びHLAペアを置き換えることにより、免疫細胞が宿主免疫細胞により減少する、または取り除かれる可能性を低くする。
【0009】
実施形態では免疫細胞、任意選択でT細胞またはNK細胞を遺伝子組み換えし、細胞内シグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインと、抗原結合領域を含む細胞外ドメインと、を含む、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる。実施形態では、免疫細胞、任意選択でT細胞またはNK細胞を組み換え、ROR1及び/またはCD19に向けさせる。
【0010】
実施形態では、本細胞、例えば、B2Mノックアウト免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、またはマクロファージは、(IL-2及びIL-15などのサイトカインが存在しない中においても)自己殺傷活性、そしてむしろ自己活性化活性が実質的に低下している、または消失している。さらに、本細胞、例えば、B2Mノックアウト免疫、例えば、T細胞、NK細胞、またはマクロファージは、(IL-2及びIL-15などのサイトカインが存在しない中においても)殺腫瘍活性を有し、予想外の拡大及び増殖特性を有する。
【0011】
別の態様では、組換え免疫細胞の作製方法であって、(a)体細胞をiPS細胞にリプログラムすることであって、上記リプログラムすることは、上記iPS細胞を、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、上記リプログラムすることと、(b)上記iPS細胞内のB2M遺伝子を破壊することであって、上記破壊することは、上記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、上記細胞を遺伝子編集することを含む、上記破壊することと、(c)上記iPS細胞を免疫細胞に分化させることと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0012】
別の態様では、がんの処置方法であって、(a)B2M遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手することと、(b)上記単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。免疫細胞はさらに遺伝子組み換えされ、キメラ抗原受容体(CAR)を発現することができる。
【0013】
本開示のさらなる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみを示し説明する以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の及び異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明らかな点で変更が可能である。図面及び説明は、本質的に例示とみなし、制限とはみなさないものとする。具体的な組成物及び/または方法に関する、本明細書におけるいかなる説明も、本明細書で開示する、任意の他の具体的な組成物及び/または方法に適用され、また、これらに対して使用することができる。さらに、本明細書で開示する任意の組成物は、本明細書で開示する任意の方法に適用することができる。換言すると、本明細書に記載される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示のmRNAベースのリプログラミング及び遺伝子編集、その後の分化の非限定的な概略図を示す。
図1B】がん細胞を殺傷する分化した細胞を示す。
図2】ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)に対する遺伝子編集スキームの設計を示す;以下の配列を示す:TCATCCATCCGACATTGA(配列番号50)、AGTTGACTTACTGAAG(配列番号51)、AATGGAGAGAGAATTGAA(配列番号52)。
図3】B2Mの遺伝子編集を示すRNAゲルを示す。
図4】遺伝子編集B2Mからの、14個の塩基対欠失を示す配列決定実験を示す;下から上への以下の配列を示す:ACATTGAAGAATGGAG(配列番号55)、ACATTGAAGTTGACTTACTGAAGAATGGAG(配列番号54)、及びTGAATTGCTATGTGTCTGGGTTTCATCCATCCGACATTGAAGTTGACTTACTGAAGAATGGAGAGAGAATTGAAAAAGTGGAGCATTCAGACTTGT(配列番号53)。
図5】IFNガンマ活性化を伴う、または伴わない、B2MのRNAレベルを示す(「IFNY」;左の2つの棒はB2Mノックアウトであり、右の2つの棒はナイーブ細胞である)。
図6】CD16aの(G147D dbSNP:rs443082、Y158H dbSNP:rs396716、及び、F176V dbSNP:rs396991における)ヘテロ接合性を示す配列決定実験を示す;上から下への以下の配列を示す:GKGRKYFHHNSDFHIPKATLKDS(配列番号56)、GKDRKYFHHNSDFYIPKATLKDS(配列番号57)、KDSGSYFCRGLFGSKNVSSETVN(配列番号58)、及びKDSGSYFCRGLVGSKNVSSETVN(配列番号59)。
図7】A及びBは、K-562腫瘍細胞との共培養における、対照(PMBC単離)NK細胞の画像を示し、腫瘍細胞のNK細胞傷害性を示す(免疫学的血栓形成、または「クランピング」と表す)。
図8】A及びBは、K-562腫瘍細胞との共培養における、本開示の遺伝子編集及び分化細胞(例えば、B2MノックアウトNK細胞)の画像を示し、腫瘍細胞のNK細胞傷害性を示す(免疫学的血栓形成、または「クランピング」と表す)。
図9A】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。インターフェロンガンマを示す。
図9B】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。IL-2を示す。
図9C】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。IL-7を示す。
図9D】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。IL-13を示す。
図9E】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。MIP-1aを示す。
図9F】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。MIP-1bを示す。
図9G】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。TNFaを示す。
図9H】Luminex MAGPIXを用いるサイトカイン放出アッセイの結果を示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、PBMC-NKは、対照NK細胞である。GM-CSFを示す。
図10A】実施例で記載する、本開示の遺伝子編集及び分化細胞(例えば、B2MノックアウトNK細胞)に対するフローサイトメトリーデータを示す。
図10B】実施例で記載する、本開示の遺伝子編集及び分化細胞(例えば、B2MノックアウトNK細胞)に対するフローサイトメトリーデータを示す。
図10C】実施例で記載する、本開示の遺伝子編集及び分化細胞(例えば、B2MノックアウトNK細胞)に対するフローサイトメトリーデータを示す。
図10D】実施例で記載する、本開示の遺伝子編集及び分化細胞(例えば、B2MノックアウトNK細胞)に対するフローサイトメトリーデータを示す。
図11A】B2M-HLA-E修復鋳型の構造を示す。
図11B】B2M-HLA-A修復鋳型に対する理想的な標的部位(配列番号60:MSRSVALAVLALLSLSGLEAIQ;及び配列番号61:ATGTCTCGCTCCGTGGCCTTAGCTGTGCTCGCGCTACTCTCTCTTTCTGGCCTGGAGGCTATCCAGCgtgagtctctcctaccctcccgctc)を示す。
図11C】追加の標的結合部位を示す(配列番号60及び配列番号61を再び示す)。
図11D】B2M-HLA-E修復鋳型が挿入されている、2つのラインのサイズを有するゲルを示す。
図11E図11Dに示すバンドのシグナルの強度及びその比率を示すグラフを含む。
図11F】B2M-HLA-E修復鋳型が挿入されている、2つのラインのサイズを有するゲルを示す。
図11G図11Fに示すバンドのシグナルの強度及びその比率を示すグラフを含む。
図11H】B2M-HLA-E修復鋳型中の、関連する配列を示す。
図12】A及びBは、CD16aの158位におけるフェニルアラニン(F)をバリン(V)で置き換えるための、標的部位配列及び修復鋳型を示す。関連する配列を、これらの図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、部分的には、リンパ系細胞または骨髄系列の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及びマクロファージを、mRNAベース、及びiPSベースの方法を用いて遺伝子編集し、分化させて、免疫抑制されているが、自己活性、増殖性、及び抗腫瘍である治療用細胞を得ることができるという発見に基づく。
【0016】
T細胞及びNK細胞を含む細胞傷害性リンパ球は、血液及び充実性腫瘍の処置のための、同種異系「オフザシェルフ」細胞療法として開発されている。しかし、同種異系リンパ球療法は、宿主免疫拒絶に起因する、限定的な拡大能、及び限定的なインビボ持続性を含む課題に直面している。これらの課題に取り組むために、本開示は、部分的には、mRNAによりコードされた、クロマチン文脈依存性の遺伝子編集エンドヌクレアーゼを用いる、MHCクラスI分子の主要な成分であるベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子が両アレルノックアウトされた、mRNAリプログラミングiPSC株の製造方法に関する。本明細書にて開示するとおり、これらのB2MノックアウトiPSCを次いで、専用のマイクロパターニングされた培養容器をスフェロイド培養工程で置き換える、新規の完全懸濁プロセスを用いて分化させた。得られたリンパ球の表面マーカーを、フローサイトメトリーによって特性決定し、がん細胞でインキュベートして、腫瘍細胞の関与及び細胞傷害性を評価した。特に、親の野生型iPSC株と比較して、B2MノックアウトiPSC株から、一定して高収率のリンパ球が得られた。24時間後、野生型及びB2Mノックアウトリンパ球細胞の両方が、K562細胞の75~90%を殺傷した(エフェクター:標的(E:T)比は5:1)。興味深いことに、B2MノックアウトiPSC由来の細胞傷害性リンパ球は、IL15及びIL2を添加すると、より大きなK562細胞殺傷を示したが、野生型細胞による殺傷は、これらの活性化サイトカインによっては制御されなかった。がん細胞の殺活性は、レベルが低下(活性が15~40%低下)したにもかかわらず、凍結保存の間を通して維持された。したがって、本開示のB2MノックアウトiPSCは、がんの処置のための、実質的な宿主免疫拒絶を伴わない「オフザシェルフ」同種異系細胞療法を開発するための細胞傷害性リンパ球の理想的な源である。
【0017】
一態様では、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊、例えば、任意選択で、B2M遺伝子の両方のアレルにおける機能喪失を含む、単離免疫細胞であって、上記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記免疫細胞を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。
【0018】
本免疫細胞は、本明細書においては場合によっては、「組換え免疫細胞」と呼ばれる。
【0019】
別の態様では、組換え免疫細胞の作製方法であって、(a)体細胞をiPS細胞にリプログラムすることであって、上記リプログラムすることは、上記iPS細胞を、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、上記リプログラムすることと、(b)上記iPS細胞内のB2M遺伝子を破壊することであって、上記破壊することは、上記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、上記細胞を遺伝子編集することを含む、上記破壊することと、(c)上記iPS細胞を免疫細胞に分化させることと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0020】
別の態様では、がんの処置方法であって、(a)B2M遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手することと、(b)上記単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0021】
免疫抑制
実施形態では、本免疫細胞を組み換えて、宿主免疫系による認識及び/またはクリアランスを逃れるようにする。実施形態では、本免疫細胞は、ステルス免疫細胞である。実施形態では、本免疫細胞は、対象への投与の際に、免疫系により実質的に認識されない。
【0022】
実施形態では、本免疫細胞は、B2M遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊を含まない免疫細胞と比較して、T細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている。実施形態では、本免疫細胞は、B2M遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊を含む別の免疫細胞と比較して、他の免疫細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている。
【0023】
実施形態では、本免疫細胞は、B2Mの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、B2Mの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0024】
実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスIの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスIの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0025】
実施形態では、B2M遺伝子は、ヒトB2M遺伝子(例えば、NCBI参照配列:NG_012920)である。様々な実施形態におけるB2M遺伝子の配列を、本明細書の実施例の章で記載する。B2Mは、MHCクラスI分子の軽鎖であり、そのために、主要組織適合性複合体の一体化部分である。ヒトにおいては、B2Mは、第15染色体に位置するb2m遺伝子によりコードされる。ヒトタンパク質は、119個のアミノ酸で構成され、11.8キロダルトンの分子量を有する(例えば、UniProtKB-P61769)。ヒトベータ-2-ミクログロブリン(B2M)のアミノ酸配列は、以下のとおりである:
MSRSVALAVLALLSLSGLEAIQRTPKIQVYSRHPAENGKSNFLNCYVSGFHPSDIEVDLLKNGERIEKVEHSDLSFSKDWSFYLLYYTEFTPTEKDEYACRVNHVTLSQPKIVKWDRDM(配列番号1)。
【0026】
実施形態では、本免疫細胞は、B2M遺伝子の、実質的に全てのコピー全てが、遺伝子組み換えにより破壊されている。実施形態では、本免疫細胞は、B2M遺伝子の機能喪失を有する。実施形態では、本免疫細胞は、B2M遺伝子の両方のアレルの機能喪失を有する。
【0027】
実施形態では、B2M遺伝子の遺伝子組み換えによる破壊は、ヒトB2Mのエクソン3に存在する。実施形態では、B2M遺伝子の遺伝子組み換えによる破壊は、欠失である。実施形態では、欠失は、約10~約20ヌクレオチドである。実施形態では、欠失は、ヒトB2M遺伝子のヌクレオチド500~550付近にある。実施形態では、欠失は、配列TTGACTTACTGAAG(配列番号2)、または、その機能的等価物のものである。
【0028】
実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスI発現及び/または活性が下方制御されている。
【0029】
実施形態では、B2Mの遺伝子組み換えによる破壊は、遺伝子編集を含み、遺伝子編集は、細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる。
【0030】
実施形態では、本免疫細胞は組み換えされ、例えば、B2M(MHCクラスI)破壊に加えて、さらに免疫抑制される。実施形態では、本免疫細胞は、組み換えにより、ヒトMHC IIトランスアクチベーター(CIITA)遺伝子(NCBI参照配列:NG_009628.1)において破壊されている。
【0031】
実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスII発現及び/または活性が下方制御されている。
【0032】
実施形態では、本免疫細胞は、CIITAの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、CIITAの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0033】
実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスIIの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスIIの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0034】
実施形態では、CIITAの遺伝子組み換えによる破壊は、遺伝子編集を含み、遺伝子編集は、細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる。
【0035】
実施形態では、本免疫細胞は、B2M及びCIITAの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、B2M及びCIITAの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0036】
実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスI及びMHCクラスIIの発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、本免疫細胞は、MHCクラスI及びMHCクラスIIの機能が低下している、または阻害されていることを特徴とする。
【0037】
実施形態では、B2M及びCIITAの遺伝子組み換えによる破壊は、遺伝子編集を含み、遺伝子編集は、細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる。
【0038】
実施形態では、本免疫細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含む。
【0039】
実施形態では、免疫細胞は、B2Mポリペプチド、ならびに、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチドを含む、融合タンパク質を発現する。融合タンパク質は、修復鋳型を、B2M遺伝子の一本鎖または二本鎖切断に挿入することにより発現することができる;場合によっては、修復鋳型は、B2M及びHLA遺伝子用のコード配列を含む。特に、融合タンパク質は、免疫細胞により発現した、内因性B2M及びHLAペアを置き換えることにより、免疫細胞が宿主免疫細胞により減少する、または取り除かれる可能性を低くする。
【0040】
実施形態では、本免疫細胞は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含まない。
【0041】
実施形態では、遺伝子組み換えによる変異は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる低下または除去である。
【0042】
実施形態では、遺伝子組み換えによる変異は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる増加である。
【0043】
実施形態では、B2Mの遺伝子組み換えによる破壊は、B2Mまたはその断片と、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子及び/またはそれらの断片との、遺伝子組み換えによる融合の発現と組み合わせられる。
【0044】
実施形態では、B2Mまたはその断片、ならびに、1つ以上の遺伝子及び/またはそれらの断片は、リンカー領域によって分離されている。実施形態では、リンカーは(GS)である。
【0045】
実施形態では、遺伝子組み換えによる変異は、IL-2、IL-15、IL-21から選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる増加である。実施形態では、IL-15は、N72D変異を含有する。実施形態では、IL-15は、IL-15Rαのサイトカイン結合ドメインに融合している。
【0046】
実施形態では、本免疫細胞は、IL-15シグナル伝達の陰性制御因子の発現が低下している、または阻害されていることを特徴とする。実施形態では、IL-15シグナル伝達の陰性制御因子は、CISHタンパク質である。実施形態では、IL-15シグナル伝達の陰性制御因子の減少または阻害は、CISH遺伝子の、遺伝子組み換えによる破壊により達成される。サイトカイン誘発性のSH2含有タンパク質(CISH)遺伝子は、遺伝子ID:NG_023194.1にて見いだされる。
【0047】
実施形態では、CISHの遺伝子組み換えによる破壊は、遺伝子編集を含み、遺伝子編集は、細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる。
【0048】
免疫細胞
実施形態では、本免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞系列のものである。
【0049】
場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞またはガンマ-デルタT細胞である。
【0050】
場合によっては、リンパ系細胞はNK細胞、例えば、NK-T細胞である。NK細胞はヒト細胞であってよい。
【0051】
場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0052】
様々な実施形態において、免疫細胞は、幹細胞、例えばiPSCからリプログラムされ、免疫細胞に分化する。
【0053】
実施形態では、免疫細胞は、そのベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に破壊を有する。
【0054】
実施形態では、免疫細胞は、そのベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に破壊を有し、B2MポリペプチドならびにHLAポリペプチド(例えば、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチド)を含む融合タンパク質を発現する。
【0055】
実施形態では、免疫細胞は、遺伝子編集され、CD16aの高親和性バリアントを発現する(図12A、及び図12Bを参照されたい)。
【0056】
実施形態では、骨髄細胞は、一般的な骨髄前駆細胞に由来する、または由来し得る細胞である。実施形態では、骨髄細胞は、巨核球、赤血球、肥満細胞、または骨髄芽球である。実施形態では、骨髄細胞は、骨髄芽球に由来する、または由来し得る細胞である。実施形態では、骨髄細胞は、好塩基球、好中球、好酸球、または単核細胞である。実施形態では、骨髄細胞は、単核細胞に由来する、または由来し得る細胞である。実施形態では、骨髄細胞はマクロファージである。実施形態では、骨髄細胞は樹状細胞である。
【0057】
実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。実施形態では、NK細胞はヒト細胞である。実施形態では、NK細胞は、対象の体細胞に由来する。実施形態では、NK細胞は、同種異系または自己由来細胞に由来する。実施形態では、NK細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞に由来する。実施形態では、iPSは、体細胞をiPS細胞にリプログラムすることにより誘導され、リプログラムすることは、iPS細胞を、任意選択で、Oct4、Sox2、cMyc、及びKlf4から選択される、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む。実施形態では、iPS細胞は、同種異系または自己由来細胞に由来する。実施形態では、NK細胞は、CD56及びCD16のうちの1つ以上を発現する。
【0058】
実施形態では、NK細胞はCD16aを発現し、これは任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合し、及び/または、CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である(図12A及び図12Bを参照されたい)。
【0059】
実施形態では、NK細胞はCD3を発現しない。
【0060】
実施形態では、NK細胞は、CD56bright CD16dim/-である。実施形態では、NK細胞は、CD56dim CD16+である。実施形態では、NK細胞は、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27- CD11b- NK細胞を含む、NKtolerant細胞である。実施形態では、NK細胞は、任意選択で、CD56dim NK細胞、またはCD11b+ CD27- NK細胞を含む、NKcytotoxicである。実施形態では、NK細胞は、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27+ NK細胞を含む、NKregulatoryである。実施形態では、NK細胞は、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である。
【0061】
実施形態では、NK細胞は、インターフェロンガンマ(IFN-g)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-a)、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-b)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、マクロファージ炎症性タンパク質1a(MIP-1a)、及び、マクロファージ炎症性タンパク質1b(MIP-1b)から選択される1つ以上のサイトカインを分泌する。
【0062】
実施形態では、本免疫細胞は、免疫細胞のフラトリサイド、例えば、NK細胞のフラトリサイドが低下している、または取り除かれている。例えば、実施形態では、本組換えNK細胞は驚くべきことに、NK細胞傷害性に関与せず、それ故、例えば、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)中での破壊にもかかわらず、生き残ることができる。
【0063】
実施形態では、本免疫細胞は、自己活性化可能である。実施形態では、本免疫細胞は、外因的に提供され得るシグナルを含む、細胞外シグナル(例えば、サイトカイン)を必要とすることなく、活性化可能である。実施形態では、本免疫細胞は、活性のためのエキソビボ刺激を必要としない。実施形態では、本免疫細胞は、IL-2及びIL-15から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、自己活性化可能である。
【0064】
実施形態では、本免疫細胞は、腫瘍細胞傷害性を誘発可能である。実施形態では、本免疫細胞は、IL-2及びIL-15から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、腫瘍細胞傷害性を誘発可能である。腫瘍細胞傷害性を評価するためのアッセイとしては、インビボ抗がん応答評価、及び微視的評価、例えば、カルセインアセトキシメチル(AM)染色ベースの微視的方法が挙げられる(実施例、及び、その内容全体が参照により組み込まれている、Chava et al.J Vis Exp.2020 Feb 22;(156):10.3791/60714を参照されたい)。さらに、比色分析乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)測定をベースにする、NK細胞媒介細胞傷害性アッセイを用いることができる(その内容全体が参照により組み込まれている、Chava et al.J Vis Exp.2020 Feb 22;(156):10.3791/60714を参照されたい)。
【0065】
キメラ抗原受容体(CAR)を有する免疫細胞
実施形態では、本免疫細胞(例えば、遺伝子編集され、免疫細胞にリプログラムされた細胞)を、キメラ抗原受容体(CAR)を用いて組み換える、例えば、本免疫細胞は、CAR-NK細胞またはCAR-Tである。
【0066】
実施形態では、免疫細胞、任意選択でNK細胞またはT細胞を遺伝子組み換えし、細胞内シグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインと、抗原結合領域を含む細胞外ドメインと、を含む、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる。実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインを含む。
【0067】
実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ、CD28、CD27、CD134(OX40)、及びCD137(4-1BB)のうちの1つに由来する。
【0068】
実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28またはCD8の1つに由来する。
【0069】
実施形態では、抗原結合領域は、1つの抗原に結合する。実施形態では、結合領域は、2つの抗原に結合する。
【0070】
実施形態では、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは、(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)を含む。実施形態では、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは、(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)の2つを含む。実施形態では、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドまたは受容体、またはその断片、及び、(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)のそれぞれの1つを含む。
【0071】
実施形態では、抗原結合領域は腫瘍抗原に結合する。
【0072】
実施形態では、抗原結合領域は、(i)腫瘍細胞上で任意選択でHLA-Eに結合する、CD94/NKG2a;(ii)腫瘍細胞上で任意選択でCD155に結合するCD96;(iii)腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するTIGIT;(iv)腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するDNAM-1;(v)腫瘍細胞上で任意選択でHLAクラスIに結合するKIR;(vi)腫瘍細胞上で任意選択でNKG2D-Lに結合するNKG2D;(vii)任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16(例えば、CD16aもしくはCD16b)であって、及び/または、CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、上記CD16;(viii)腫瘍細胞上で任意選択でB7-H6に結合するNKp30;(ix)NKp44;ならびに、(x)NKp46のうちの1つ以上を含む。
【0073】
実施形態では、抗原結合領域は、免疫グロブリンドメイン、任意選択で、HLA-E、CD155、CD112 HLAクラスI、NKG2D-L、またはB7-H6に対して向けられるscFv、及び、これらの任意のバリアントを含む。
【0074】
実施形態では、抗原結合領域は、AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1から選択される抗原、加えて、これらの任意のバリアントに結合する。実施形態では、AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1から選択される抗原、及び、これらの任意のバリアントを、単一標的CAR、二重標的CAR、mAb、または、これらのいずれかの任意の組み合わせとして用いることができる。
【0075】
実施形態では、抗原結合領域は2つの抗原に結合し、当該抗原は、(a)AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原、及びこれらの任意のバリアント、ならびに、(b)AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原、及びこれらの任意のバリアントである。
【0076】
実施形態では、抗原結合領域は2つの抗原に結合し、当該抗原は、(a)CD16、CD64、CD78、CD96、CLL1、CD116、CD117、CD71、CD45、CD71、CD123、及びCD138、腫瘍関連表面抗原(ErbB2(HER2/neu)など)、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRバリアントIII(EGFRv111)、CD19、CD20、CD30、CD40、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、gp36、TAG-72、グリコスフィンゴリピド、膠腫関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、hsp-70-2、M-CSF、プロスターゼ、プロスターゼ特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGA-1a、p53、プロステイン、PSMA、生残及びテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF1)-1、IGF-II、IGFI受容体、メソセリン、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、5T4、RORl、Nkp30、N KG2D、腫瘍間質抗原、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)、ならびにテネイシンCのAlドメイン(TnC Al)及び線維芽細胞関連タンパク質(FAP);系列特異的または組織特異的抗原(例えば、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、CD33、CD34、CD133、CD138、CTLA-4、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、GM-CSF)、サイトカイン受容体、エンドグリン、主要組織適合複合体(MHC)分子、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、多発性骨髄腫またはリンパ性白血病抗原(例えば、TNFRSF17、SLAMF7、GPRC5D、FKBP11、KAMP3、ITGA8、及びFCRL5から選択されるもの)、ウイルス特異的表面抗原(例えば、HIV特異的抗原(HIV gpl20など));EBV特異的抗原、CMV特異的抗原、HPV特異的抗原、ラッサウイルス(Lasse virus)特異的抗原、インフルエンザウイルス特異的抗原から選択される抗原、及びこれらの任意のバリアント、ならびに、(b)CD16、CD64、CD78、CD96、CLL1、CD116、CD117、CD71、CD45、CD71、CD123、及びCD138、腫瘍関連表面抗原(ErbB2(HER2/neu)など)、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRバリアントIII(EGFRv111)、CD19、CD20、CD30、CD40、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、gp36、TAG-72、グリコスフィンゴリピド、膠腫関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、hsp-70-2、M-CSF、プロスターゼ、プロスターゼ特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGA-1a、p53、プロステイン、PSMA、生残及びテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGFI)-I、IGF-II、IGFI受容体、メソセリン、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、5T4、RORl、Nkp30、N KG2D、腫瘍間質抗原、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)、ならびにテネイシンCのAlドメイン(TnC Al)及び線維芽細胞関連タンパク質(FAP);系列特異的または組織特異的抗原(例えば、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、CD33、CD34、CD133、CD138、CTLA-4、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、GM-CSF)、サイトカイン受容体、エンドグリン、主要組織適合複合体(MHC)分子、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、多発性骨髄腫またはリンパ性白血病抗原(例えば、TNFRSF17、SLAMF7、GPRC5D、FKBP11、KAMP3、ITGA8、及びFCRL5から選択されるもの)、ウイルス特異的表面抗原(例えば、HIV特異的抗原(HIV gpl20など));EBV特異的抗原、CMV特異的抗原、HPV特異的抗原、ラッサウイルス(Lasse virus)特異的抗原、インフルエンザウイルス特異的抗原から選択される抗原、ならびにこれらの任意のバリアントである。
【0077】
実施形態では、組換えCARの細胞外ドメインは、NK細胞活性化受容体またはscFvの細胞外ドメインを含む。
【0078】
実施形態では、NK細胞は、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における遺伝子編集を含む。
【0079】
実施形態では、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における遺伝子編集は、細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる。実施形態では、遺伝子編集は、IL-6、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAC、PD1、及び/またはHPK1の発現及び/または活性の低下または除去を引き起こす。実施形態では、遺伝子編集は、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6R、IL-12、IL-15、及び/またはTRAILの発現及び/または活性の増加を引き起こす。
【0080】
実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、またはマクロファージは、自殺遺伝子産物をコード可能な1つ以上の組換え遺伝子をさらに含む。実施形態では、自殺遺伝子産物は、チミジンキナーゼ及びアポトーシスシグナル伝達タンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含む。
【0081】
本明細書で開示する(即ち、遺伝子編集を(例えば、B2Mに)含む、高親和性CD16a受容体を発現する、及び/または、B2Mポリペプチド及びHLAポリペプチドを含む融合タンパク質を発現する)任意の免疫細胞を、さらに遺伝子組み換えして、CARを発現させることができる。
【0082】
RNA修飾
実施形態では、本開示は、RNAベースの修飾、例えば、リプログラミング及び/または遺伝子編集に関する。いくつかの実施形態では、RNA分子は、遺伝子編集タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、RNA分子は、リプログラミング因子をコードする。
【0083】
実施形態では、RNAはmRNAである。実施形態では、RNAは修飾mRNAである。実施形態では、修飾mRNAは、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、非標準ヌクレオチドをRNAに組み込み、RNAをタンパク質に翻訳することが可能な効率を増加させ、また、RNAの毒性を低下させることができる。実施形態では、RNA分子は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン脱メチル化経路の、1つ以上の非標準ヌクレオチドメンバーを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-カルボキシシチジン、またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、シュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0085】
実施形態では、非標準ヌクレオチドは、ピリミジンに対して、2C位、4C位、及び5C位から選択される、または、プリンに対して、6C位、7N位、及び8C位から選択される位置において、1つ以上の置換を有する。
【0086】
実施形態では、非標準ヌクレオチドは、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-ホルミルシュードウリジン、及び、5-メトキシシュードウリジンのうちの1つ以上を、任意選択で、非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または100%の量で含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非標準ヌクレオチドは、5-メチルウリジン及び5-メチルシチジン、5-メチルウリジン及び7-デアザグアノシン、5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、及び5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシンから選択される。いくつかの実施形態では、RNA分子は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、または、これらの1つ以上の誘導体のうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、RNA分子は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、または、これらの1つ以上の誘導体のうちの少なくとも3つを含む。実施形態では、mRNAは、2-チオウリジン、5-アザウリジン、シュードウリジン、4-チオウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-アミノウリジン、5-アミノシュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メトキシウリジン、5-メトキシシュードウリジン、5-エトキシウリジン、5-エトキシシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ホルミルシュードウリジン、5-メチル-5-アザウリジン、5-アミノ-5-アザウリジン、5-ヒドロキシ-5-アザウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-アミノシュードウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、4-チオ-5-アザウリジン、4-チオシュードウリジン、4-チオ-5-メチルウリジン、4-チオ-5-アミノウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシウリジン、4-チオ-5-メチル-5-アザウリジン、4-チオ-5-アミノ-5-アザウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザウリジン、4-チオ-5-メチルシュードウリジン、4-チオ-5-アミノシュードウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシシュードウリジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、シュードイソシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アミノシチジン、N4-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-アミノシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-メトキシシチジン、5-エトキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メチル-5-アザシチジン、5-アミノ-5-アザシチジン、5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、5-メチルシュードイソシチジン、5-アミノシュードイソシチジン、5-ヒドロキシシュードイソシチジン、N4-メチル-5-アザシチジン、N4-メチルシュードイソシチジン、2-チオ-5-アザシチジン、2-チオシュードイソシチジン、2-チオ-N4-メチルシチジン、2-チオ-N4-アミノシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシシチジン、2-チオ-5-メチルシチジン、2-チオ-5-アミノシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-5-メチルシュードイソシチジン、2-チオ-5-アミノシュードイソシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチルシュードイソシチジン、N4-メチル-5-メチルシチジン、N4-メチル-5-アミノシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、N4-メチル-5-メチル-5-アザシチジン、N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-メチルシュードイソシチジン、N4-メチル-5-アミノシュードイソシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、N4-アミノ-5-アザシチジン、N4-アミノシュードイソシチジン、N4-アミノ-5-メチルシチジン、N4-アミノ-5-アミノシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシシチジン、N4-アミノ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-メチルシュードイソシチジン、N4-アミノ-5-アミノシュードイソシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシシュードイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチルシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチルシュードイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシュードイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチルシュードイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノシュードイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノシュードイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチルシュードイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノシュードイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシシュードイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチルシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチルシュードイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アミノシュードイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシュードイソシチジン、N6-メチルアデノシン、N6-アミノアデノシン、N6-ヒドロキシアデノシン、7-デアザアデノシン、8-アザアデノシン、N6-メチル-7-デアザアデノシン、N6-メチル-8-アザアデノシン、7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-メチル-7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザアデノシン、N6-アミノ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-ヒドロキシアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザアデノシン、N6-ヒドロキシ-8-アザアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザ-8-アザアデノシン、6-チオグアノシン、7-デアザグアノシン、8-アザグアノシン、6-チオ-7-デアザグアノシン、6-チオ-8-アザグアノシン、7-デアザ-8-アザグアノシン、及び6-チオ-7-デアザ-8-アザグアノシンから選択される1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。
【0088】
実施形態では、非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-ホルミルシュードウリジン、及び、5-メトキシシュードウリジンのうちの1つ以上を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、1つ以上のウリジン残基、1つ以上のシチジン残基、及び、1つ以上のグアノシン残基のうちの少なくとも1つを含み、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。一実施形態では、ウリジン残基の約20%~約80%が、5-メチルウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約30%~約50%が、5-メチルウリジン残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約40%が、5-メチルウリジン残基である。一実施形態では、シチジン残基の約60%~約80%が、5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、シチジン残基の約80%~約100が、5-メチルシチジン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%が、5-メチルシチジン残基である。またさらなる実施形態では、シチジン残基の約20%~約100%が、5-ヒドロキシメチルシチジン残基である。一実施形態では、グアノシン残基の約20%~約80%が、7-デアザグアノシン残基である。別の実施形態では、グアノシン残基の約40%~約60%が、7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、グアノシン残基の約50%が、7-デアザグアノシン残基である。一実施形態では、シチジン残基の約20%~約80%、または、約30%~約60%、または約40%が、N4-メチルシチジン及び/またはN4-アセチルシチジン残基である。別の実施形態では、各シチジン残基は、5-メチルシチジン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%が、5-メチルシチジン残基、及び/または5-ヒドロキシメチルシチジン残基、及び/またはN4-メチルシチジン残基、及び/またはN4-アセチルシチジン残基、及び/またはこれらの1つ以上の誘導体である。またさらなる実施形態では、ウリジン残基の約40%が5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約20%~約100%が、N4-メチルシチジン及び/またはN4-アセチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%が5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約100%が5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約40%が5-メチルウリジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%が、5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%が5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約100%が5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約40%が5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約20%~約100%が5-ヒドロキシメチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。いくつかの実施形態では、シチジン残基の100%未満が5-メチルシチジン残基である。他の実施形態では、シチジン残基の100%未満が5-ヒドロキシメチルシチジン残基である。一実施形態では、RNA分子中の各ウリジン残基は、シュードウリジン残基または5-メチルシュードウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約100%が、シュードウリジン残基及び/または5-メチルシュードウリジン残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約100%が、シュードウリジン残基及び/または5-メチルシュードウリジン残基であり、シチジン残基の約100%が5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%が7-デアザグアノシン残基である。
【0090】
5-メチルウリジンの代わりに、または、これと組み合わせて使用可能な他の非標準ヌクレオチドとしては、シュードウリジン及び5-メチルシュードウリジン(別名「1-メチルシュードウリジン」、別名「N1-メチルシュードウリジン」)、または、これらの1つ以上の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。5-メチルシチジン及び/または5-ヒドロキシメチルシチジンの代わりに、または、これらと組み合わせて使用可能な他の非標準ヌクレオチドとしては、シュードイソシチジン、5-メチルシュードイソシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-カルボキシシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、または、これらの1つ以上の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、例えば、1回のトランスフェクションのみを行うとき、または、細胞がトランスフェクトされているときは、トランスフェクション関連毒性、または、先天性免疫シグナル伝達に対して特に感度が高いわけではなく、非標準ヌクレオチドの画分を減らすことができる。非標準ヌクレオチドの画分を減らすことは、部分的には、非標準ヌクレオチドの画分を減らすことで核酸のコストを低下させることができるため、有益である可能性がある。特定の状況では、例えば、最小免疫原性の核酸が所望される場合、非標準ヌクレオチドの画分を増やすことができる。
【0091】
実施形態では、RNA分子は、5’キャップ構造を含む。実施形態では、RNA分子は、コザックコンセンサス配列を含む5’-UTRを含む。実施形態では、RNA分子は、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含む5’-UTRを含む。実施形態では、RNA分子は、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含む3’-UTRを含む。実施形態では、5’-UTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの5’-UTR配列を含む。実施形態では、3’-UTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの3’-UTR配列を含む。実施形態では、RNA分子は、3’ポリ(A)テールを含む。
【0092】
特定の実施形態は、キャップ0、キャップ1、キャップ2、及びキャップ3から選択される5’キャップ構造を含む核酸、またはこれらの誘導体に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以上のUTRを含む。別の実施形態では、1つ以上のUTRは、核酸の安定性を増加させる。さらなる実施形態では、1つ以上のUTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの5’-UTRを含む。またさらなる実施形態では、1つ以上のUTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの3’-UTRを含む。またさらなる実施形態では、RNA分子は、アルファグロビンまたはベータグロビンの5’-UTR、及び、アルファグロビンまたはベータグロビンの3’-UTRを含む。一実施形態では、5’-UTRは、コザックコンセンサス配列に実質的に類似するコザック配列を含む。別の実施形態では、核酸は、3’ポリ(A)テールを含む。さらなる実施形態では、3’ポリ(A)テールは、約20nt~約250nt、または約120nt~約150nt長である。さらなる実施形態では、3’ポリ(A)テールは、約20nt、または約30nt、または約40nt、または約50nt、または約60nt、または約70nt、または約80nt、または約90nt、または約100nt、または約110nt、または約120nt、または約130nt、または約140nt、または約150nt、または約160nt、または約170nt、または約180nt、または約190nt、または約200nt、または約210nt、または約220nt、または約230nt、または約240nt、または約250nt長である。
【0093】
いくつかの実施形態では、RNAは、1つ以上のグアニンを含む複数のアデニンで構成されるテールを含む。
【0094】
実施形態では、RNAは、(a)タンパク質をコードする配列、及び、(b)デオキシアデノシンヌクレオチドと、1つ以上の他のヌクレオチドとを含むテール領域を含む。
【0095】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、デオキシグアノシン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のデオキシグアノシン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるデオキシグアノシン残基を含む。
【0096】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、デオキシシチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のデオキシシチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるデオキシシチジン残基を含む。
【0097】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、デオキシチミジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のデオキシチミジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるデオキシチミジン残基を含む。
【0098】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、デオキシグアノシン残基及びデオキシシチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約99%、約98%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、または約50%のデオキシアデノシン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%未満のデオキシアデノシン残基を含む。
【0099】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、グアノシン残基を含む。
【0100】
実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のグアノシン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるグアノシン残基を含む。
【0101】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、シチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のシチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるシチジン残基を含む。
【0102】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、ウリジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のウリジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、50%を超えるウリジン残基を含む。
【0103】
実施形態では、1つ以上の他のヌクレオチドは、グアノシン残基及びシチジン残基を含む。実施形態では、テール領域は、約99%、約98%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、または約50%のアデノシン残基を含む。
【0104】
実施形態では、テール領域は、50%未満のアデノシン残基を含む。
【0105】
実施形態では、テールは(A)150である。実施形態では、テールは(A39G)(A)30である。実施形態では、テールは(A19G)(A)10である。実施形態では、テールは(AG)15である。
【0106】
実施形態では、テール領域の長さは、約80%ヌクレオチド~約120ヌクレオチド、約120ヌクレオチド~約160ヌクレオチド、約160ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約200ヌクレオチド~約240ヌクレオチド、約240ヌクレオチド~約280ヌクレオチド、または、約280ヌクレオチド~約320ヌクレオチドである。
【0107】
実施形態では、テール領域の長さは、320ヌクレオチドより大きい。
【0108】
実施形態では、RNAは、5’キャップ構造を含む。実施形態では、RNA 5’-UTRは、コザックコンセンサス配列を含む。実施形態では、RNA 5’-UTRは、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、5’-UTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの5’-UTRを含むことができる。
【0109】
実施形態では、RNA 3’-UTRは、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、3’-UTRは、アルファグロビンまたはベータグロビンの3’-UTRを含むことができる。実施形態では、RNAは、3’ポリ(A)テールを含む。実施形態では、RNA3’ポリ(A)テールは、約20ヌクレオチド~約250ヌクレオチド長である。
【0110】
実施形態では、RNAは、約200ヌクレオチド~約5000ヌクレオチド長である。
【0111】
実施形態では、RNAは、インビトロ転写により調製される。実施形態では、RNAは合成である。
【0112】
遺伝子編集タンパク質
実施形態では、本開示は、遺伝子、例えば、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)において、遺伝子組み換えによる破壊をもたらすための遺伝子編集に関する。実施形態では、遺伝子編集は、遺伝子編集タンパク質をコードするRNA分子を用いて実施される。
【0113】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、RiboSlice、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列反復(CRISPR)関連タンパク質または天然もしくは組換えバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、これらの断片または融合構築物から選択される。
【0114】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、(i)複数の反復配列を含むDNA結合ドメイン、及び、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインを含む。実施形態では、反復配列のうちの少なくとも1つは、アミノ酸配列LTPvQVVAIAwxyzα(配列番号3)を含み、任意選択で、36~39アミノ酸長であり、式中、
vはQ、D、またはEであり、
wはSまたはNであり、
xはI、H、N、またはIであり、
yはD、A、I、N、H、K、S、Gであるか、または存在せず、
zはGGRPALE(配列番号4)、GGKQALE(配列番号5)、GGKQALETVQRLLPVLCQDHG(配列番号6)、GGKQALETVQRLLPVLCQAHG(配列番号7)、GKQALETVQRLLPVLCQDHG(配列番号8)、GKQALETVQRLLPVLCQAHG(配列番号9)、GGKQALETVQRLLPVLCQD(配列番号10)、またはGGKQALETVQRLLPVLCQA(配列番号11)であり、
αは、連続する4つのアミノ酸である。
【0115】
実施形態では、αは、少なくとも1つのグリシン(G)残基を含む。実施形態では、αは、少なくとも1つのヒスチジン(H)残基を含む。実施形態では、αは、33、34、または35位のいずれか1つにおいて、少なくとも1つのヒスチジン(H)残基を含む。実施形態では、αは、少なくとも1つのアスパラギン酸(D)残基を含む。実施形態では、αは、グリシン(G)残基、ヒスチジン(H)残基、及び、アスパラギン酸(D)残基のうちの少なくとも1つ、または2つ、または3つを含む。
【0116】
実施形態では、αは、任意選択で、アルギニン(R)及びリシン(K)から選択される、極性で正の電荷を有する親水性アミノ酸;任意選択で、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性で中性の電荷を有する親水性アミノ酸;任意選択で、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性で負の電荷を有する親水性アミノ酸、ならびに、任意選択で、ヒスチジン(H)から選択される、芳香族の、極性で正の電荷を有する親水性アミノ酸から任意選択で選択される、1つ以上の親水性残基を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、αは、アルギニン(R)及びリシン(K)から選択される、1つ以上の極性で正の電荷を有する親水性アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、αは、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、1つ以上の極性で中性の電荷を有する親水性アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、αは、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、1つ以上の極性で負の電荷を有する親水性アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、αは、ヒスチジン(H)から選択される、1つ以上の芳香族の、極性で正の電荷を有する親水性アミノ酸を含む。
【0118】
実施形態では、αは、任意選択で、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸、ならびに、任意選択で、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸から任意選択で選択される、1つ以上の疎水性残基を含む。いくつかの実施形態では、αは、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される1つ以上の疎水性の脂肪族アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、αは、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される1つ以上の芳香族アミノ酸を含む。実施形態では、DNA結合ドメインは、約15、または約16、または約17、または約18、または約18.5個の反復配列を含む。
【0119】
実施形態では、αは、GHGG(配列番号12)、HGSG(配列番号13)、HGGG(配列番号14)、GGHD(配列番号15)、GAHD(配列番号16)、AHDG(配列番号17)、PHDG(配列番号18)、GPHD(配列番号19)、GHGP(配列番号20)、PHGG(配列番号21)、PHGP(配列番号22)、AHGA(配列番号23)、LHGA(配列番号24)、VHGA(配列番号25)、IVHG(配列番号26)、IHGM(配列番号27)、RHGD(配列番号28)、RDHG(配列番号29)、RHGE(配列番号30)、HRGE(配列番号31)、RHGD(配列番号32)、HRGD(配列番号33)、GPYE(配列番号34)、NHGG(配列番号35)、THGG(配列番号36)、GTHG(配列番号37)、GSGS(配列番号38)、GSGG(配列番号39)、GGGG(S配列番号40)、GRGG(配列番号41)、及びGKGG(配列番号42)から選択される。
【0120】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、残基12または13において、DNA結合ドメインを標的DNA分子に向けさせる、反復可変二残基(RVD)を含む。
【0121】
実施形態では、RVDは、核酸分子中で1つの塩基対を認識する。実施形態では、RVDは、核酸分子中でC残基を認識し、HD、N(ヌル)、HA、ND、及びHIから選択される。実施形態では、RVDは、核酸分子中でG残基を認識し、NN、NH、NK、HN、及びNAから選択される。実施形態では、RVDは、核酸分子中でA残基を認識し、NI及びNSから選択される。実施形態では、RVDは、核酸分子中でT残基を認識し、NG、HG、H(ヌル)、及びIGから選択される。
【0122】
実施形態では、核酸分子中でC残基を認識するRVDは、HDである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でC残基を認識するRVDは、N(ヌル)である。いくつかの実施形態では、核酸分子中でC残基を認識するRVDは、HAである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でC残基を認識するRVDは、NDである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でC残基を認識するRVDは、HIである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でG残基を認識するRVDは、NNである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でG残基を認識するRVDは、NHである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でG残基を認識するRVDは、NKである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でG残基を認識するRVDは、HNである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でG残基を認識するRVDは、NAである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でA残基を認識するRVDは、NIである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でA残基を認識するRVDは、NSである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でT残基を認識するRVDは、NGである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でT残基を認識するRVDは、HGである。いくつかの実施形態では、核酸分子中でT残基を認識するRVDは、H(ヌル)である。いくつかの実施形態では、核酸分子中でT残基を認識するRVDは、IGである。
【0123】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、LTPEQVVAIAS*RVD*GGKQALETVQRLLPVLCQAGHGG(配列番号43、「*RVD*」は、配列番号3のジヌクレオチド「xy」に対応する。)の少なくとも1つの反復を有するDNA結合ドメインを有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、反復配列は33または34アミノ酸長である。実施形態では、反復配列は36~39アミノ酸長である。実施形態では、反復配列は36アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、反復配列は37アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、反復配列は38アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、反復配列は39アミノ酸長である。
【0125】
実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、ヌクレアーゼの触媒ドメインを含む。実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、別のヌクレアーゼドメインと二量体を形成することが可能である。実施形態では、ヌクレアーゼは、FokI、StsI、またはそのハイブリッド、反復配列から選択される。実施形態では、触媒ドメインは、Fok1のα1、α2、α3、α4、α5、α6、β1、β2、β3、β4、β5、及びβ6ドメインを含むFokI及びStsIの触媒ドメインと、全体または一部が、StsIのα1、α2、α3、α4、α5、α6、β1、β2、β3、β4、β5、及びβ6ドメインで置換されており、任意選択で少なくとも1つの変異を含む、FokIのドメインの少なくとも1つとのハイブリッドである。
【0126】
いくつかの実施形態では、N末端で切断される断片、C末端で切断される断片、内部欠失を有する断片、ならびに、N末端、C末端、及び/または内部欠失を組み合わせ、完全エンドヌクレアーゼ切断ドメインの触媒活性の一部または全てを維持する断片を含む、エンドヌクレアーゼ切断ドメインの特定の断片を用いる。断片が、完全ドメインの触媒活性の一部または全部を維持することができるか否かを判定することは、例えば、本発明の方法に従い、断片を含有する遺伝子編集タンパク質を合成することと、本発明の方法に従い、細胞が遺伝子編集タンパク質を発現するように誘導することと、遺伝子編集の効率を測定することと、により達成することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集効率の測定値を用いて、任意の特定の断片が、完全エンドヌクレアーゼ切断ドメインの触媒活性の一部または全部を維持するか否かを判定する。特定の実施形態はそれ故、エンドヌクレアーゼ切断ドメインの、生物学的に活性な断片に関する。一実施形態では、エンドヌクレアーゼ切断ドメインは、FokI、StsI、StsI-HA、StsI-HA2、StsI-UHA、StsI-UHA2、StsI-HF、及びStsI-UHF、あるいは、その天然もしくは組換えバリアントまたはその生物学的に活性な断片、または、そのハイブリッドもしくはキメラから選択される。
【0127】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、リンカーを含む。別の実施形態では、リンカーは、DNA結合ドメインをヌクレアーゼドメインに接続する。さらなる実施形態では、リンカーは、約1~約10アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1、約2、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または約9、または約10アミノ酸長である。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、標的DNA分子内でニックまたは二本鎖の切断を生成することが可能である。
【0128】
実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許公報第WO2014/071219号、または米国仮出願第63/023,678号に記載されているもののいずれかである。
【0129】
製剤/投与
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬組成物の形態の、本明細書に記載する組成物に関する。
【0130】
様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載する免疫細胞と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本免疫細胞を含む医薬組成物に関する。
【0131】
脂質/細胞接触/トランスフェクション
実施形態では、本発明は、本RNA分子の、脂質による送達に関する。実施形態では、遺伝子編集タンパク質及び/またはリプログラミング因子をコードする本mRNAは、脂質により送達される。
【0132】
実施形態では、脂質は、式(I)の化合物である:
【0133】
【化1】
[式中、Q、Q、Q、及びQは独立して、正電荷を帯びることが可能な原子または基であり、
及びAは独立して、存在しないか、H、または、任意に置換されたC-Cアルキルであり、
、L、及びLは独立して、存在しないか、結合、(C-C20)アルカンジイル、(ハロ)(C-C20)アルカンジイル、(ヒドロキシ)(C-C20)アルカンジイル、(アルコキシ)(C-C20)アルカンジイル、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルカンジイル、複素環-ジイル、または、エーテル、エステル、無水物、アミド、カルバメート、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム、チオエーテル、尿素、カルボニル、もしくはイミンのうちの1つ以上により任意に連結されている、上述の任意の組み合わせであり、
、R、R、R、R、R、R、及びRは独立して、存在しないか、H、(C-C60)アルキル、(ハロ)(C-C60)アルキル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルキル、(アルコキシ)(C-C60)アルキル、(C-C60)アルケニル、(ハロ)(C-C60)アルケニル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルケニル、(アルコキシ)(C-C60)アルケニル、(C-C60)アルキニル、(ハロ)(C-C60)アルキニル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルキニル、(アルコキシ)(C-C60)アルキニルであり、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの不飽和結合を含み、x、y、及びzは独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。]
【0134】
実施形態では、脂質は、式(II)の化合物である:
【0135】
【化2】
[式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は独立して、H、ハロ、OH、(C1-C6)アルキル、(ハロ)(C1-C6)アルキル、(ヒドロキシ)(C1-C6)アルキル、(アルコキシ)(C1-C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロであり、
i、j、k、m、s、及びtは独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。]
【0136】
実施形態では、脂質は、式(III)の化合物である:
【0137】
【化3】
[式中、L、L、L、及びLは独立して、結合、(C-C20)アルカンジイル、(ハロ)(C-C20)アルカンジイル、(ヒドロキシ)(C-C20)アルカンジイル、(アルコキシ)(C-C20)アルカンジイル、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルカンジイル、複素環-ジイル、-(CHv1-C(O)-、-((CHv1-O)v2-、または-((CHv1-C(O)-O)v2-であり、
29、R30、R31、R32、R33、R34、及びR35は独立して、H、(C-C60)アルキル、(ハロ)(C-C60)アルキル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルキル、(アルコキシ)(C-C60)アルキル、(C-C60)アルケニル、(ハロ)(C-C60)アルケニル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルケニル、(アルコキシ)(C-C60)アルケニル、(C-C60)アルキニル、(ハロ)(C-C60)アルキニル、(ヒドロキシ)(C-C60)アルキニル、(アルコキシ)(C-C60)アルキニルであり、R29、R30、R31、R32、R33、R34、及びR35のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの不飽和結合を含み、
v、v、及びvは独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。]
【0138】
実施形態では、脂質は、式(IV)の化合物である:
【0139】
【化4】
[式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。]
【0140】
実施形態では、脂質は、式(V)の化合物である:
【0141】
【化5】
【0142】
実施形態では、脂質は、式(VI)の化合物である:
【0143】
【化6】
【0144】
実施形態では、脂質は、式(VII)の化合物である:
【0145】
【化7】
【0146】
実施形態では、脂質は、式(VIII)の化合物である:
【0147】
【化8】
【0148】
実施形態では、脂質は、式(IX)の化合物である:
【0149】
【化9】
【0150】
実施形態では、脂質は、式(X)の化合物である:
【0151】
【化10】
【0152】
実施形態では、脂質は、式(XI)の化合物である:
【0153】
【化11】
【0154】
実施形態では、脂質は、式(XII)の化合物である:
【0155】
【化12】
【0156】
実施形態では、脂質は、式(XIII)の化合物である:
【0157】
【化13】
【0158】
実施形態では、脂質は、式(XIV)の化合物である:
【0159】
【化14】
【0160】
実施形態では、脂質は、式(XV)の化合物である:
【0161】
【化15】
[式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。]
【0162】
実施形態では、脂質は、式(XVI)の化合物である:
【0163】
【化16】
【0164】
実施形態では、(例えば、式I-XVIの)本化合物は、医薬組成物、及び/または脂質集合体、及び/または脂質担体、及び/または脂質核酸複合体、及び/またはリポソーム、及び/または脂質ナノ粒子の構成成分である。
【0165】
実施形態では、(例えば、式I-XVIの)本化合物は、追加の脂質、またはヘルパー脂質を必要としない、医薬組成物、及び/または脂質集合体、及び/または脂質担体、及び/または脂質核酸複合体、及び/またはリポソーム、及び/または脂質ナノ粒子の構成成分である。実施形態では、(例えば、式I-XVIの)本化合物は、中性脂質(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、もしくはコレステロール)、及び/または、さらなるカチオン性脂質(例えば、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、もしくは1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP))をさらに含む、医薬組成物、及び/または脂質集合体、及び/または脂質担体、及び/または脂質核酸複合体、及び/またはリポソーム、及び/または脂質ナノ粒子の構成成分である。
【0166】
実施形態では、脂質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許公報第WO2021/003462号に記載されているもののいずれかである。
【0167】
実施形態では、脂質は、表Aのもののいずれかである。
【0168】
【表1-1】
【表1-2】
【0169】
作製方法
態様では、本開示は、組換え免疫細胞の作製方法であって、(a)体細胞をiPS細胞にリプログラムすることであって、上記リプログラムすることは、上記iPS細胞を、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、上記リプログラムすることと、(b)上記iPS細胞内のベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子を破壊することであって、上記破壊することは、上記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、上記細胞を遺伝子編集することを含む、上記破壊することと、(c)上記iPS細胞を免疫細胞に分化させることと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0170】
実施形態では、方法は、iPS細胞内のCIITA遺伝子を破壊することであって、上記破壊することは、上記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、上記細胞を遺伝子編集することを含む、上記破壊することをさらに含む。
【0171】
実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。
【0172】
実施形態では、体細胞は線維芽細胞またはケラチノサイトである。
【0173】
実施形態では、方法は、B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、iPS細胞の増殖速度の増加をもたらす。
【0174】
実施形態では、方法は、B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の増殖速度の増加をもたらす。
【0175】
実施形態では、方法は、B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の拡大の増加をもたらす。
【0176】
実施形態では、分化は、胚様体に基づく造血関与を含む。実施形態では、分化は、CD34+細胞の濃縮を含む。実施形態では、分化は、CD5+/CD7+一般リンパ系前駆細胞への分化を含む。
【0177】
実施形態では、方法は、CD56dim CD16+NK細胞をもたらす。
【0178】
実施形態では、RNAは、及び/または式I-XVIから選択される1つ以上の脂質と会合している。
【0179】
処置方法
態様では、本開示は、がんの処置方法であって、(a)ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手することと、(b)上記単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することと、を含み、上記免疫細胞は、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、上記方法を提供する。
【0180】
場合によっては、リンパ系細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞;またはNK-T細胞である。
【0181】
場合によっては、骨髄細胞はマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである。
【0182】
実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。
【0183】
実施形態では、がんは、血液癌である。実施形態では、がんは、充実性腫瘍である。実施形態では、がんは、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳癌及び中枢神経系癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(消化器癌を含む);膠芽腫;肝細胞癌;肝癌;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み細胞NHL(high grade small non-cleaved cell NHL);巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他のがん腫及び肉腫;ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびにファコマトーシス、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、及びメーグス症候群に関連する異常な血管増殖から選択される。
【0184】
本開示の免疫細胞は、(例えば、静脈もしくは動脈を通して)全身投与することができる、または、腫瘍に、もしくは腫瘍付近に導入することができる。
【0185】
定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用する全ての当該技術分野の用語、表記法、ならびに他の技術的及び科学的用語または専門用語は、請求項に記載の主題が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有することを意図する。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語を、明確性、及び/または、速やかに参照するために本明細書で定義し、そのような定義を本明細書に含めることは、当該技術分野において一般的に理解されるものに対する実質的な差を示すものと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書に使用される用語は、特定の事例を説明する目的のみのためのものであり、制限することを意図するものではない。
【0186】
本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に明らかに別途の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0187】
本明細書で使用する場合、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、及び「及び/または」という語句は、操作において連結的及び離接的の両方である、オープンエンドの表現である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、「A、B、またはCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/またはC」という表現はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、またはAとBとCを意味する。
【0188】
本明細書で使用する場合、「または」とは、「及び」、「または」、または「及び/または」を意味し得、排他的及び包括的の両方で用いることができる。例えば、「AまたはB」という用語は、「AまたはB」、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を意味し得る。場合によっては、文脈により特定の意味が決定される場合もある。
【0189】
本明細書で使用する場合、「約」ある数という用語は、当該数の±10%の数、及び/または、当該数から1標準偏差(±)以内の数を意味する。「約」ある範囲という用語は、当該範囲-その最低値の10%、及び+その最大値の10%、ならびに当該範囲-その最低値の一標準偏差、及び+その最大値の一標準偏差を意味する。
【0190】
本出願を通して、様々な実施形態を範囲形式で提示することができる。範囲形式での記載は単に、便宜上、かつ簡便化のためと理解されるべきであり、本開示の範囲の柔軟性のない限定と解釈してはならない。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された起こりうる全ての部分範囲、及びその範囲内の個別の数値を有するものと考えられなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分範囲、ならびにその範囲内の個別の数字、例えば1、2、3、4、5、及び6を有すると考えられなければならない。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0191】
本開示及び/または特許請求の範囲のいずれかで使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う」という用語、またはこれらの変形は、「含む(comprising)」という用語と同様の形で包括的であることが意図される。
【0192】
「予防すること」とは、少なくとも、疾患の発生を回避すること、及び/または当該疾患に罹患する可能性を低減することを意味する。処置することとは、少なくとも、疾患の徴候または症状を軽減することを含む、当該疾患の影響を緩和または回避することを意味する。
【0193】
「実質的に」という用語は、概して著しい程度であることを意味するか、または本質的に、を意味する。換言すれば、この「実質的に」という用語は、所望の特質に対してほぼ正確であるか、または正確な特質とわずかに異なることを意味し得る。「実質的に」は、所望の特質と区別不能である場合がある。「実質的に」は、所望の特質と区別できる場合があるが、その違いは重要ではないかまたは無視できるものである。
【0194】
本明細書で使用する「増加した」、「増加すること」、または「増加する」という用語は一般的に、参照レベルと比較して、統計的に有意な量の増加を意味する。いくつかの態様では、「増加した」、または「増加する」という用語は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の増加、または100%以下の増加、または10~100%の間の任意の増加を意味する。「増加」の他の例としては、参照レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍以上の増加が挙げられる。
【0195】
「減少した」、「減少すること」、または「減少する」という用語は、本明細書では一般的に、参照レベルと比較しての値の減少を意味するために使用する。いくつかの態様では、「減少した」、または「減少する」とは、参照レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または最大100%以下の減少(例えば、参照レベルと比較して、レベルが存在しないこと、または検出不可能なレベル)、あるいは、参照レベルと比較して、10~100%の間の任意の減少を意味する。
【0196】
本明細書に記載される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0197】
実施形態
実施形態1.ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含む単離免疫細胞を含む組成物であって、前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記組成物。
【0198】
実施形態2.前記免疫細胞が、前記B2M遺伝子の、実質的に全てのコピー全ての、遺伝子組み換えによる破壊を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0199】
実施形態3.前記免疫細胞が、前記B2M遺伝子の機能喪失を有する、実施形態1または2に記載の組成物。
【0200】
実施形態4.前記免疫細胞が、任意選択で、前記免疫細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで引き起こされる、前記B2M遺伝子の両方のアレルの機能喪失を有する、実施形態1~3に記載の組成物。
【0201】
実施形態5.前記B2M遺伝子の前記遺伝子組み換えによる破壊が、ヒトB2Mのエクソン3に存在する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0202】
実施形態6.前記B2M遺伝子の前記遺伝子組み換えによる破壊が、欠失である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0203】
実施形態7.前記欠失が、約10~約20ヌクレオチドである、実施形態6に記載の組成物。
【0204】
実施形態8.前記欠失が、約14ヌクレオチドである、実施形態7に記載の組成物。
【0205】
実施形態9.前記欠失が、前記ヒトB2M遺伝子のヌクレオチド500~550付近にある、実施形態7または実施形態8に記載の組成物。
【0206】
実施形態10.前記欠失が、配列TTGACTTACTGAAG(配列番号2)、または、その機能的等価物のものである、実施形態9に記載の組成物。
【0207】
実施形態11.前記免疫細胞は、MHCクラスI発現及び/または活性が下方制御されている、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0208】
実施形態12.前記免疫細胞が、対象への投与の際に、宿主免疫系により実質的に認識されない、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0209】
実施形態13.前記免疫細胞は、前記B2M遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含まない免疫細胞と比較して、宿主T細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0210】
実施形態14.前記免疫細胞は、前記B2M遺伝子に遺伝子組み換えによる破壊を含む別の免疫細胞と比較して、他の宿主免疫細胞による細胞殺傷に対する感度が低下している、または取り除かれている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0211】
実施形態15.前記免疫細胞がステルス細胞である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物。
【0212】
実施形態16.前記免疫細胞は、宿主免疫細胞のフラトリサイド、例えば、NK細胞のフラトリサイドが低下している、または取り除かれている、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組成物。
【0213】
実施形態17.前記免疫細胞が、自己活性化可能である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0214】
実施形態18.前記免疫細胞は、インターロイキン-2(IL-2)及びインターロイキン-15(IL-15)から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、自己活性化可能である、実施形態17に記載の組成物。
【0215】
実施形態19.前記免疫細胞が、腫瘍細胞傷害性を誘発可能である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組成物。
【0216】
実施形態20.前記免疫細胞は、IL-2及びIL-15から任意に選択されるインターロイキンが存在しない中で、腫瘍細胞傷害性を誘発可能である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の組成物。
【0217】
実施形態21.前記免疫細胞が、MHC IIトランスアクチベーター(CIITA)遺伝子に、遺伝子組み換えによる破壊をさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の組成物。
【0218】
実施形態22.前記免疫細胞は、MHCクラスII発現及び/または活性が下方制御されている、実施形態21に記載の組成物。
【0219】
実施形態23.前記免疫細胞が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0220】
実施形態24.前記免疫細胞が、B2Mポリペプチド、ならびに、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチドを含む、融合タンパク質を発現する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組成物。
【0221】
実施形態25.前記融合タンパク質が、修復鋳型を、前記B2M遺伝子の一本鎖または二本鎖切断に挿入することにより発現し;前記修復鋳型が、前記B2M及びHLA遺伝子用のコード配列を含む、実施形態24に記載の組成物。
【0222】
実施形態26.前記融合タンパク質が、免疫細胞により発現した、内因性B2M及びHLAペアを置き換えることにより、前記免疫細胞が宿主免疫細胞により減少する、または取り除かれる可能性を低くする、実施形態24及び実施形態25に記載の組成物。
【0223】
実施形態27.前記免疫細胞が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子における、遺伝子組み換えによる変異を含まない、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0224】
実施形態28.前記遺伝子組み換えによる変異が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる低下または除去である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組成物。
【0225】
実施形態29.前記遺伝子組み換えによる変異が、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gから選択される1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性の、遺伝子組み換えによる増加である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組成物。
【0226】
実施形態30.前記免疫細胞、任意選択でNK細胞を遺伝子組み換えし、細胞内シグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインと、抗原結合領域を含む細胞外ドメインと、を含む、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる、実施形態1~29のいずれか1つに記載の組成物。
【0227】
実施形態31.前記細胞内シグナル伝達ドメインが、少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインを含む、実施形態30に記載の組成物。
【0228】
実施形態32.前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ、CD28、CD27、CD134(OX40)、及びCD137(4-1BB)のうちの1つに由来する、実施形態30または31のいずれか1つに記載の組成物。
【0229】
実施形態33.前記膜貫通ドメインが、CD28またはCD8の1つに由来する、実施形態30~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0230】
実施形態34.前記抗原結合領域が、1つの抗原に結合する、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0231】
実施形態35.前記抗原結合領域が、2つの抗原に結合する、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0232】
実施形態36.抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
を含む、実施形態30~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0233】
実施形態37.抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
のうちの2つを含む、実施形態30~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0234】
実施形態38.抗原結合領域を含む前記細胞外ドメインが、
a.天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、及び
b.免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)
のそれぞれのうちの1つを含む、実施形態30~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0235】
実施形態39.前記抗原結合領域が腫瘍抗原に結合する、実施形態30~38のいずれか1つに記載の組成物。
【0236】
実施形態40.前記抗原結合領域が、
a.腫瘍細胞上で任意選択でHLA-Eに結合する、CD94/NKG2a;
b.腫瘍細胞上で任意選択でCD155に結合するCD96;
c.腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するTIGIT;
d.腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するDNAM-1;
e.腫瘍細胞上で任意選択でHLAクラスIに結合するKIR;
f.腫瘍細胞上で任意選択でNKG2D-Lに結合するNKG2D;
g.任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16aであって、及び/または、CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、前記CD16a;
h.腫瘍細胞上で任意選択でB7-H6に結合するNKp30;
i.NKp44;ならびに
j.NKp46
のうちの1つ以上を含む、実施形態30~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0237】
実施形態41.前記抗原結合領域が、免疫グロブリンドメイン、任意選択で、HLA-E、CD155、CD112 HLAクラスI、NKG2D-L、またはB7-H6に対して向けられるscFvを含む、実施形態30~40のいずれか1つに記載の組成物。
【0238】
実施形態42.前記抗原結合領域が、AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原に結合する、実施形態30~41のいずれか1つに記載の組成物。
【0239】
実施形態43.前記抗原結合領域が2つの抗原に結合し、前記抗原が、
a.AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原、ならびに
b.AFP、APRIL、BCMA、CD123/IL3Ra、CD133、CD135/FLT3、CD138、CD147、CD19、CD20、CD22、CD239(BCAM)、CD276(B7-H3)、CD30、CD314/NKG2D、CD319/CS1/SLAMF7、CD326/EPCAM/TROP1、CD37、CD38、CD44v6、CD5、CD7、CD70、CLDN18.2、CLDN6、cMET、EGFRvIII、EPHA2、FAP、FRアルファ、GD2、GPC3、IL13Rアルファ2、インテグリンB7、ルイスY(LeY)、MESO、MG7抗原、MUC1、NECTIN4、NKG2DL、PSCA、PSMA/FOL1、ROBO1、ROR1、ROR2、TNFRSF13B/TACI、TRBC1、TRBC2、及びTROP2から選択される抗原
である、実施形態30~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0240】
実施形態44.前記組換えCARの前記細胞外ドメインが、NK細胞活性化受容体またはscFvの細胞外ドメインを含む、実施形態30~43のいずれか1つに記載の組成物。
【0241】
実施形態45.前記免疫細胞が、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における遺伝子編集を含む、実施形態30~44のいずれか1つに記載の組成物。
【0242】
実施形態46.IL-7、CCL17、CCR4、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-15、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAIL、TRAC、PD1、及びHPK1のうちの1つ以上における前記遺伝子編集が、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる、実施形態45に記載の組成物。
【0243】
実施形態47.前記遺伝子編集が、IL-6、NKG2A、NKG2D、KIR、TRAC、PD1、及び/またはHPK1の発現及び/または活性の低下または除去を引き起こす、実施形態46に記載の組成物。
【0244】
実施形態48.前記遺伝子編集が、IL-7、CCL17、CCR4、IL-6R、IL-12、IL-15、及び/またはTRAILの発現及び/または活性の増加を引き起こす、実施形態46に記載の組成物。
【0245】
実施形態49.前記リンパ系細胞がT細胞である、実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物。
【0246】
実施形態50.前記T細胞がガンマ-デルタT細胞である、実施形態49に記載の組成物。
【0247】
実施形態51.前記リンパ系細胞がNK細胞である、実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物。
【0248】
実施形態52.前記NK細胞がNK-T細胞である、実施形態51に記載の組成物。
【0249】
実施形態53.前記NK細胞がヒト細胞である、実施形態51に記載の組成物。
【0250】
実施形態54.前記NK細胞が、対象の体細胞に由来する、実施形態51~53のいずれか1つに記載の組成物。
【0251】
実施形態55.前記NK細胞が、同種異系または自己由来細胞に由来する、実施形態51~54のいずれか1つに記載の組成物。
【0252】
実施形態56.前記NK細胞が、人工多能性幹(iPS)細胞に由来する、実施形態51~55のいずれか1つに記載の組成物。
【0253】
実施形態57.前記iPSが、体細胞をiPS細胞にリプログラムすることにより誘導され、前記リプログラムすることが、前記iPS細胞を、任意選択で、Oct4、Sox2、cMyc、及びKlf4から選択される、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、実施形態56に記載の組成物。
【0254】
実施形態58.前記リプログラムすることが、前記iPS細胞を、各Oct4、Sox2、cMyc、及びKlf4をコードする1つ以上のRNAと接触させることを含む、実施形態57に記載の組成物。
【0255】
実施形態59.前記iPS細胞が、同種異系または自己由来細胞に由来する、実施形態56または57のいずれか1つに記載の組成物。
【0256】
実施形態60.前記B2Mの前記遺伝子組み換えによる破壊が遺伝子編集を含み、前記遺伝子編集が、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることにより引き起こされる、実施形態1~59のいずれか1つに記載の組成物。
【0257】
実施形態61.前記NK細胞が、CD56及びCD16のうちの1つ以上を発現する、実施形態1~60のいずれか1つに記載の組成物。
【0258】
実施形態62.前記NK細胞が、任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16aであって、及び/または、前記CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、前記CD16aを発現する、実施形態61に記載の組成物。
【0259】
実施形態63.前記NK細胞がCD3を発現しない、実施形態1~62のいずれか1つに記載の組成物。
【0260】
実施形態64.前記NK細胞が、CD56bright CD16dim/-である、実施形態1~63のいずれか1つに記載の組成物。
【0261】
実施形態65.前記NK細胞が、CD56dim CD16+である、実施形態1~64のいずれか1つに記載の組成物。
【0262】
実施形態66.前記NK細胞が、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27- CD11b- NK細胞を含む、NKtolerant細胞である、実施形態1~65のいずれか1つに記載の組成物。
【0263】
実施形態67.前記NK細胞が、任意選択で、CD56dim NK細胞、またはCD11b+ CD27- NK細胞を含む、NKcytotoxic細胞である、実施形態1~65のいずれか1つに記載の組成物。
【0264】
実施形態68.前記NK細胞が、任意選択で、CD56bright NK細胞、またはCD27+ NK細胞を含む、NKregulatory細胞である、実施形態1~65のいずれか1つに記載の組成物。
【0265】
実施形態69.前記NK細胞が、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である、実施形態1~65のいずれか1つに記載の組成物。
【0266】
実施形態70.前記NK細胞が、インターフェロンガンマ(IFN-g)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-a)、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-b)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、マクロファージ炎症性タンパク質1a(MIP-1a)、及び、マクロファージ炎症性タンパク質1b(MIP-1b)から選択される1つ以上のサイトカインを分泌する、実施形態1~69のいずれか1つに記載の組成物。
【0267】
実施形態71.前記NK細胞が、自殺遺伝子産物をコード可能な1つ以上の組換え遺伝子をさらに含む、実施形態1~70のいずれか1つに記載の組成物。
【0268】
実施形態72.前記自殺遺伝子産物が、チミジンキナーゼ及びアポトーシスシグナル伝達タンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含む、実施形態71に記載の組成物。
【0269】
実施形態73.前記遺伝子編集タンパク質が、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、RiboSlice、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列反復(CRISPR)関連タンパク質または天然もしくは組換えバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、これらの断片または融合構築物から選択される、実施形態60~72のいずれか1つに記載の組成物。
【0270】
実施形態74.前記RNAがmRNAである、実施形態2~73のいずれか1つに記載の組成物。
【0271】
実施形態75.前記RNAが修飾mRNAである、実施形態74に記載の組成物。
【0272】
実施形態76.前記修飾mRNAが、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む、実施形態75に記載の組成物。
【0273】
実施形態77.前記非標準ヌクレオチドが、ピリミジンに対して、2C位、4C位、及び5C位から選択される、または、プリンに対して、6C位、7N位、及び8C位から選択される位置において、1つ以上の置換を有する、実施形態76に記載の組成物。
【0274】
実施形態78.前記非標準ヌクレオチドが、任意選択で、前記非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または100%の量で、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-ホルミルシュードウリジン、及び5-メトキシシュードウリジンのうちの1つ以上を含む、実施形態76または77のいずれか1つに記載の組成物。
【0275】
実施形態79.前記RNAが、5’キャップ構造を含む、実施形態2~78のいずれか1つに記載の組成物。
【0276】
実施形態80.前記RNA 5’-UTRが、コザックコンセンサス配列を含む、実施形態2~79のいずれか1つに記載の組成物。
【0277】
実施形態81.前記RNA 5’-UTRが、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、前記5’-UTRが、アルファグロビンまたはベータグロビン5’-UTRを含むことができる、実施形態80に記載の組成物。
【0278】
実施形態82.前記RNA 3’-UTRが、インビボでRNA安定性を増加させる配列を含み、前記3’-UTRが、アルファグロビンまたはベータグロビン3’-UTRを含むことができる、実施形態2~81のいずれか1つに記載の組成物。
【0279】
実施形態83.前記RNAが、3’ポリ(A)テールを含む、実施形態2~82のいずれか1つに記載の組成物。
【0280】
実施形態84.前記RNA3’ポリ(A)テールが、約20ヌクレオチド~約250ヌクレオチド長である、実施形態83に記載の組成物。
【0281】
実施形態85.前記RNAが、約200ヌクレオチド~約5000ヌクレオチド長である、実施形態2~84のいずれか1つに記載の組成物。
【0282】
実施形態86.前記RNAが、インビトロ転写により調製される、実施形態2~85のいずれか1つに記載の組成物。
【0283】
実施形態87.前記骨髄細胞がマクロファージである、実施形態1~86のいずれか1つに記載の組成物。
【0284】
実施形態88.前記マクロファージが、M1マクロファージまたはM2マクロファージである、実施形態87に記載の組成物。
【0285】
実施形態89.前記実施形態のいずれかに記載の単離NK細胞を含む、医薬組成物。
【0286】
実施形態90.組換え免疫細胞の作製方法であって、
a.体細胞をiPS細胞にリプログラムすることであって、前記リプログラムすることは、前記iPS細胞を、1つ以上のリプログラミング因子をコードするリボ核酸(RNA)と接触させることを含む、前記リプログラムすることと、
b.前記iPS細胞内のB2M遺伝子を破壊することであって、前記破壊することは、前記細胞を、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードするRNAと接触させることで、前記細胞を遺伝子編集することを含む、前記破壊することと、
c.前記iPS細胞を免疫細胞に分化させることと、を含み、
d.前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記方法。
【0287】
実施形態91.前記免疫細胞がNK細胞である、実施形態90に記載の方法。
【0288】
実施形態92.前記NK細胞がNK-T細胞である、実施形態91に記載の方法。
【0289】
実施形態93.前記NK細胞がヒト細胞である、実施形態91または92に記載の方法。
【0290】
94.前記リンパ系細胞がT細胞である、実施形態90に記載の方法。
【0291】
実施形態95.前記T細胞がガンマ-デルタT細胞である、実施形態94に記載の方法。
【0292】
実施形態96.前記骨髄細胞がマクロファージである、実施形態90に記載の方法。
【0293】
実施形態97.前記マクロファージが、M1マクロファージまたはM2マクロファージである、実施形態96に記載の方法。
【0294】
実施形態98.前記体細胞が線維芽細胞またはケラチノサイトである、実施形態90~97のいずれか1つに記載の方法。
【0295】
実施形態99.前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、iPS細胞の増殖速度の増加をもたらす、実施形態90~98のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
実施形態100.前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の増殖速度の増加をもたらす、実施形態90~99のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
実施形態101.前記方法が、前記B2M遺伝子の破壊を伴わないiPS細胞の速度と比較して、リンパ系列細胞(lymphoid lineage cell)に沿った分化細胞の拡大の増加をもたらす、実施形態90~100のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
実施形態102.前記分化が、胚様体に基づく造血関与を含む、実施形態90~101のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
実施形態103.前記分化が、CD34+細胞の濃縮を含む、実施形態90~102のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
実施形態104.前記分化が、CD5+/CD7+一般リンパ系前駆細胞への分化を含む、実施形態90~103のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
実施形態105.前記方法が、CD56dim CD16+NK細胞をもたらす、実施形態90~104のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
実施形態106.前記RNAが、表A及び/または式I-XVIから選択される1つ以上の脂質と会合している、実施形態90~105のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
実施形態107.前記免疫細胞が、実施形態1~86のいずれか1つに記載の細胞である、実施形態90~106のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
実施形態108.がんの処置方法であって、
a.B2M遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手することと、
b.前記単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することと、を含み、
c.前記免疫細胞が、リンパ系細胞またはCAR骨髄細胞である、前記方法。
【0305】
実施形態109.前記免疫細胞がT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞、例えばNK-T細胞;またはマクロファージ、例えばM1マクロファージもしくはM2マクロファージ、及びNK細胞である、実施形態108に記載の方法。
【0306】
実施形態110.前記がんが血液癌である、実施形態108または109のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
実施形態111.前記がんが充実性腫瘍である、実施形態108または109のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
実施形態112.前記がんが、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳癌及び中枢神経系癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(消化器癌を含む);膠芽腫;肝細胞癌;肝癌;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み細胞NHL(high grade small non-cleaved cell NHL);巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他のがん腫及び肉腫;ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびにファコマトーシス、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、及びメーグス症候群に関連する異常な血管増殖から選択される、実施形態108~111のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
実施形態113.前記免疫細胞が、実施形態1~86のいずれか1つに記載の細胞である、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
実施形態114.CD16a遺伝子に遺伝子編集を含む単離免疫細胞を含む組成物であって、前記免疫細胞が、リンパ系細胞または骨髄細胞から選択される、前記組成物。
【0311】
実施形態115.前記遺伝子編集が、前記CD16aを、CD16aの高親和性バリアントに形質転換させる、実施形態114に記載の組成物。
【0312】
実施形態116.前記遺伝子編集が、158位に、フェニルアラニンのバリンへの置換(F158V)を導入する、実施形態114または実施形態115に記載の組成物。
【0313】
実施形態117.前記細胞が、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、実施形態116に記載の組成物。
【0314】
本発明は、以下の非限定例によりさらに説明される。
【実施例
【0315】
以下の実施例は、例証目的のためのみに含まれており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0316】
実施例1:細胞の調製方法及び結果
図1Aは、本実施例で用いる細胞の製造方法の概略図を示す。mRNAベースの細胞リプログラミング(線維芽細胞からiPS細胞)、及び遺伝子編集(ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)ノックアウト)を用いた。さらに、編集した細胞を、細胞傷害性リンパ系細胞に分化させた。図1Bは、がん細胞を殺傷する、分化した細胞傷害性リンパ系細胞を示す。
【0317】
線維芽細胞はヒト対象から入手し、mRNAベースのリプログラミングを用いて、iPS細胞にリプログラムした。
【0318】
新規のリンカー領域を含有するDNA結合ドメインを含む、メッセンジャーRNA(mRNA)によりコードされた遺伝子編集エンドヌクレアーゼを用いる、iPSC中で画定される座位の効率的な標的化を行った(例えば、LTPEQVVAIAS*RVD*GGKQALETVQRLLPVLCQAGHGG(配列番号43、「*RVD*」は、配列番号3のジヌクレオチド「xy」に対応する。)の少なくとも1つの反復を有するDNA結合ドメインを含む、遺伝子編集タンパク質)。MHCクラスI分子の主要な成分である、B2Mのエクソン3を標的化し、12個の株のうち10個(12個の株のうち6個は、所望の両アレル欠失を含有する。)の標的化編集を確認した。インターフェロンγへの曝露の後、B2M上方制御の観点から、RT-PCR及び免疫蛍光法により、iPSCにおける遺伝子ノックアウトを確認した。
【0319】
より具体的には、以下のベータ-2-ミクログロブリン(B2M)遺伝子を標的化した:
【0320】
【表2】
そして、以下のプライマーを用いた:B2M_Fwd:
CAGAGAAAGGCTCTTAAAAATGCAGCGCAATCTCCAG(配列番号45)及びB2M_Rev:CACTTAACTATCTTGGGCTGTGACAAAGTCACATGGTTCACAC(配列番号46)及びB2M_Rev_RC:
GTGTGAACCATGTGACTTTGTCACAGCCCAAGATAGTTAAGTG(配列番号47)。図2を参照されたい。
【0321】
上記配列において、上から下にかけて、配列は以下を特徴とする:
太字:エクソン。
マークなし:イントロン
下線(一本線):左側遺伝子編集タンパク質結合部位。
下線(二本線):右側遺伝子編集タンパク質結合部位。
大文字。遺伝子編集タンパク質結合部位と切断領域との間の分離領域。
下線(点線):増幅プライマー結合部位。
【0322】
図3は、成功した遺伝子編集を示す。1.2×10個のiPSCをエレクトロポレーションし、rhLaminin-521でコーティングした24ウェルプレートの馴化培地にプレーティングし、48時間増殖させた。細胞をrhLaminin-521でコーティングした6ウェルプレートに継代した。細胞をさらに4日間培養した。細胞を、ゲノムDNA抽出の間で分裂させ、2.0×10個の細胞を、rhLaminin-521でコーティングした6ウェルプレートのウェルに播種した。B2Mのアンプリコンの長さは587bpであり、編集したバンド1は416bp(「*」を参照されたい)であり、編集したバンド2は171bp(「*」を参照されたい)であった。配列決定により、B2Mにおいて14個の塩基対の欠失が確認された(図4を参照されたい)。
【0323】
図5は、IFNガンマ活性化を伴う、または伴わない、B2MのRNAレベルを示す(「IFNY」;左の2つの棒はB2Mノックアウトであり、右の2つの棒はナイーブ細胞である)。1.5×10個のiPSCを、rhLaminin-521でコーティングした24ウェルプレートの馴化培地にプレーティングし、24時間増殖させた。次に、培地を、IFNガンマにより、またはこれを用いずに、25ng/mLの濃度で、馴化培地で置き換えた(t=0)。t=72時間で細胞を回収するまで、毎日培地を交換した。RNAを抽出し、定量して、RT-qPCR分析のために正規化した。ハウスキーピング遺伝子はGAPDHであり、試験遺伝子はB2Mであった。
【0324】
ヒトiPSCを機能性NK細胞に分化させるように指示するための、拡張性のある3D培養系を開発した。本プロセスは、マイクロパターニングしたウェル、または、多層培養容器(StemDiff(商標)T/NK Cellキット→StemSpan T/NK分化キット) 中での、本プロセスの調整版のいずれかで実施する、短い胚様体ベースの造血関与工程を伴った。造血関与に続けて、増殖、CD34+細胞の濃縮、及び、CD5+/CD7+一般リンパ系前駆細胞への分化を行った。次に、本プロセスを、14日間のNK細胞分化期を経て機能性CD56dim/CD16+ NK細胞を得た、または、22日間のT細胞分化期を経て、CD8+ T細胞を得た。
【0325】
下表は、生成した細胞の概要を示す:
【0326】
【表3】
【0327】
本表は、野生型と比較して、B2Mノックアウト細胞が頑健に増殖したこともまた示す。標的部位において14個のbp欠失を有する、B2M-/-iPSC株(図4に示す)は、iPSCとして、及び、野生型iPSC株と比較したときに、リンパ系列に沿っての分化の間の両方において、増殖速度の増加を示した。
【0328】
さらに、例示的な分化細胞型としての、得られたNK細胞を、CD16a(UniProtKB P08637(FCG3A_HUMAN))に対して特性決定すると、G147D dbSNP:rs443082、Y158H dbSNP:rs396716、及びF176V dbSNP:rs396991においてヘテロ接合であることが測定された。F176V dbSNP:rs396991は、IgG1、IgG3、及びIgG4の高い結合能力を示す。図6を参照されたい。gDNAを、2工程PCR:カッパHiFi HotStart(35×/64℃伸長)で増幅した:プライマーは、F:CTGATCTAGAACTTACTGTGAATCCTTGTCACCTGCCAC(配列番号48)、及びR:GATAAGAAGGAGGCCAGCACGATAGGAACATATGACAC(配列番号49)であった。
【0329】
本実施例は、とりわけ、例示的な分化細胞型として、野生型及び組換えiPSCの両方の、機能的NK細胞への分化のための拡張性のある3Dプロセスを示す。本明細書に記載する3Dプロセスは、野生型及び組換えiPSCの両方の、T細胞、例えば、細胞傷害性T細胞またはガンマ-デルタT細胞;NK-T細胞;及びマクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージを含むがこれらに限定されない、リンパ系または骨髄系列の他の機能性免疫細胞への分化にもまた有用である。本プロセスは、免疫腫瘍学用途のための、次世代細胞療法の開発を支える。
【0330】
本明細書で開示する方法は、トランスフェクトしたRNAが、表A及び/または式I~XVIから選択される1つ以上の脂質と関連する際に強化される。
【0331】
実施例2:細胞の特性決定方法及び結果
表現型及び機能特性決定アッセイを用いて、実施例1の細胞を評価した。
【0332】
表現型特性決定では、表面マーカー、特に(例えば、CD56でゲーティングされる)CD56/CD16のフローサイトメトリー染色を用いた。(例えば、CD56でゲーティングされる)CD56/NKG2D、CD56/CD45、CD56/CD3、CD56/CD244、CD56/CD94/NKG2A、CD56/NKp46、CD56/NKp44、CD56/KIR、CD56/TRAIL、及びCD56/FASLもまた評価した。図10A図10C、及び、下表を参照されたい:
【0333】
この最初の表におけるデータは、1ラウンド目の懸濁での、PBMC単離NK細胞とiPSC由来のNK細胞を特性決定する:
【0334】
【表4】
【0335】
この2番目の表におけるデータは、2ラウンド目の懸濁での、iPSC由来のNK細胞-AggreWell(商標)とiPSC由来のNK細胞を特性決定する
【0336】
【表5】
【0337】
例示したB2M編集、分化細胞型、即ち、NK細胞は、CD45+、CD56+、CD16-、NKG2D-、KIR2DL4-、KIR2DL1-、及びCD8-であった。図10もまた参照されたい。
【0338】
機能特性決定は、細胞傷害性、活性化の測定、ならびにサイトカイン放出アッセイ、及び例示的な分化細胞型、即ち、NK細胞に対する増殖アッセイの評価を伴った。
【0339】
カルセインAM(大部分の真核細胞で細胞生存能を測定するために用いる、細胞透過性色素)をロードした標的細胞を用いて、NK細胞傷害性を測定した。生きた細胞では、非蛍光のカルセインAMを、細胞内エステラーゼによるアセトキシメチルエステル加水分解の後に、緑色蛍光カルセインに転換する。様々な、エフェクター(NK細胞):標的(K-562細胞)比(E:T比)を試験し、腫瘍の殺傷を観察した。K-562細胞は、末期の急性転化(骨髄(BM)、末梢血における、30%を超える未成熟細胞、BM中の芽球への大きな集中、または、芽細胞による延髄外浸潤の存在)における、慢性骨髄性白血病(CML)を患う53歳女性由来のがん細胞株である。これらの細胞は一般に、NK活性を阻害するために必要なMHC複合体を欠いているため、細胞傷害性アッセイに用いる。実験は、サイトカインカクテル(IL-15及びIL-2)を用いて、またこれを用いずにインキュベートしたエフェクター細胞もまた含む。
【0340】
K-562細胞に、カルセインAMを1時間ロードし、10%FBSを含む完全RPMI-1640で洗浄した後、NK細胞と共培養した。細胞を、Operattaハイコンテンツイメージャーを用いて、30分毎に撮像しながら18時間共培養した。実行が終了すると、細胞懸濁液を遠心分離し、培地を回収した。馴化培地をLuminex MAGPIXで試験し、IFNg及びTNFaを検出し、これらの濃度を測定した。細胞を再懸濁し、CD56/CD16、及びCD56/CD1074aに対して染色した。
【0341】
本明細書に記載する、及び/または、当該技術分野において周知の方法を用いて、フローサイトメトリーにより活性化マーカーCD107aを測定することにより、活性化を評価した。
【0342】
サイトカイン放出アッセイに関して、細胞傷害性測定の後、培地を回収し、本明細書に記載する、及び/または、当該技術分野において周知の方法を用いて、サイトカイン放出をアッセイした(IFNg及びTNFa)。
【0343】
増殖に関して、細胞を、活性化サイトカインIL-15の存在下でインキュベートし、3日毎に培地を交換した。3日毎に、試料をペレット処理して洗浄し、活性化サイトカインを含有する新鮮な培地に再度播種し、計数して、細胞の数及び生存能を経時的に追跡した。細胞を28日にわたって追跡した。この実験中、培地を、Luminex免疫パネルにより、サイトカイン評価のために保存した。
【0344】
この取扱いで残った細胞を、既知の細胞数及びイメージで、未処理96ウェルプレートに播種し、細胞の計数、及び、培地のIL-15との交換を、3日毎に28日間行った。
【0345】
NK-92細胞は、急速進行性非ホジキンリンパ腫を患う、50歳のコーカサス男性の末梢血単核球細胞(PBMC)に由来する、インターロイキン2(IL-2)依存性ナチュラルキラー細胞株である。NK-92細胞を、NK細胞傷害性実験用の対照細胞として用い、腫瘍細胞の機能性殺傷を証明する。本明細書では、NK-92細胞を、カルセインAMを用いる細胞傷害性アッセイで使用する。NK細胞が関与する際、NK細胞はサイトカイン及びヒストンを培地に分泌する。ヒストンは、細胞の「クランピング」として観察可能な、「免疫学的血栓形成」の発生として知られている、炎症及び凝固メカニズムに非常に関与している。
【0346】
細胞傷害性アッセイ、活性化、及び、サイトカイン放出プレートレイアウトについて、試料を3通りで実行した;細胞混合物を、サイトカインカクテル(IL-15+IL-2)を用いて、またこれを用いずに試験した;単一ドナー由来のPBMC単離NK細胞を対照として用いた;PBMC単離NK細胞、及び3D B2M-/-NK細胞(本開示の方法により作製)を、2つの異なるE:T比(2万個のNK細胞と2万個のK-562細胞(1:1のE:T比)、及び、3万個のNK細胞と2万個のK-562細胞(3:1のE:T比))で試験した;2D野生型及び2D B2M-/-NK細胞(本開示の方法により作製)を、1:1のE:T比で試験した;そして、3D野生型には上記試験を行わず、増殖のためにプレーティングした。
【0347】
NK細胞傷害性アッセイを、図7A~B、及び図8A~Bに示す(時間経過は、1秒当たり5フレームである)。5フレームは、2.5時間に相当する。配向に関しては、K-562細胞が、NK細胞よりも本明細書での図では大きいことに注意されたい。図7A~Bは、0及び18時間後の時点で、サイトカインカクテルなしで、K-562(3:1のE:T)で共培養したPBMC単離NK細胞(即ち、対照細胞)を示す。NK細胞攻撃に起因するK-562細胞のクランピングが観察された。このことは、アッセイが予想通り実施されていることを示している。図8A~Bは、サイトカインカクテルなしで、K-562(3:1のE:T)で共培養した3D B2M-/-NK細胞を示す。NK細胞の攻撃が観察されたため、そして、PMBC単離NK細胞のレベルよりも驚くほどはるかに高いレベルで、K-562細胞のクランピングが観察される(図7B及び図8Bを比較されたい:より多くのクランピング、及びより少ない関与していない(less unengaged)NK細胞に注意されたい)。
【0348】
Luminex MAGPIXを用いたサイトカイン放出アッセイの結果を、図9A~9Hに示す。示さない限り(即ち、「+IL2、IL15」)、条件は、IL-2またはIL-15を加えていないものである。さらに、細胞の比を示す(1:1、または3:1)。本明細書の他の箇所におけるように、野生型PBMC由来NKは、対照NK細胞である。図9Aは、インターフェロンガンマを示す。図9Bは、IL-2を示す。図9Cは、IL-7を示す。図9Dは、IL-13を示す。図9Eは、MIP-1aを示す。図9Fは、MIP-1bを示す。図9Gは、TNFaを示す。図9Hは、GM-CSFを示す。
【0349】
要するに、非限定的に、本明細書のデータは、(IL-2及びIL-15などのサイトカインが存在しない中でも)自己殺傷するのではなく、自己活性化するB2Mノックアウト免疫細胞の場合の生成を示す。さらに、これらのB2Mノックアウト細胞は、(IL-2及びIL-15などのサイトカインが存在しない中でも)腫瘍細胞を殺傷することができ、予想外の拡大及び増殖特性を有する。
【0350】
実施例3:B2M-HLA-Eの挿入
本実施例では、B2Mコード配列及びHLA-E(主要組織適合性複合体クラスI、E)コード配列を含む修復鋳型(B2M-HLA-E修復鋳型)を、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)編集に挿入した。ここでは、本明細書で開示する、B2M遺伝子が編集されたiPSCを、HLA-E用のコード配列を含む修復鋳型と接触させる。あるいは、未編集のiPSCを、遺伝子編集構成要素と接触させ、HLA-E用のコード配列を含む修復鋳型と共にB2M遺伝子を編集する。両方の場合において、得られた細胞(iPSCにおける、または、リンパ系もしくは骨髄系列の免疫細胞に分化した際のいずれか)は、編集されたB2M遺伝子を有し、変更された箇所でHLA-Eを発現することになる。
【0351】
図11Aに示すように、B2Mのエクソン1に完全に含まれる、B2Mシグナルペプチド配列(B2M_sp)は、B2M-HLA-E修復鋳型に含まれる。理論に拘束されることを望むものではないが、B2Mのエクソン1を編集し、B2M CDS全体を含めることによって、融合物を生成するための最も直接的な経路がもたらされる。
【0352】
B2M-HLA-E修復鋳型の理想的な挿入は、図11Bに示すように、B2Mのエクソン1-イントロン1の境界に位置する。遺伝子編集され、B2M-HLA-E修復鋳型をそのゲノムに組み込んだ、実線1/1及び2/2を含む、さらなる結合部位を、図11Cに示す。
【0353】
本明細書で開示する方法を用いて、細胞を遺伝子編集し、修復鋳型をゲノムに挿入した。図11Dは、図11Cの1/1及び2/2位におけるゲノムに修復鋳型を挿入した、B2M-HLA-E修復鋳型(約1.5kb)を有する、2つの株のサイズを有するゲルを示す。本例においては、間葉幹細胞(MSC)細胞を遺伝子編集した。図11Eは、図11Dに示すバンド由来のシグナルの強度、及びその比率を示す。
【0354】
本明細書で開示する方法を用いて、細胞を遺伝子編集し、修復鋳型をゲノムに挿入した。図11Fは、図11Cの2/2位におけるゲノムに修復鋳型を挿入した、B2M-HLA-E修復鋳型(約1.5kb)を有する、1つの株のサイズを有するゲルを示す。本例においては、iPSCを遺伝子編集した。図11Gは、図11Fに示すバンド由来のシグナルの強度、及びその比率を示す。
【0355】
図11Hは、B2M-HLA-E修復鋳型中の、関連する配列を示す。
【0356】
特に、他の細胞、例えば、本明細書に記載する分化細胞は、遺伝子編集され、対象となるコード配列、例えば、HLA-Eコード配列を含む修復鋳型を挿入されていることができる。
【0357】
本実施例の方法により、修復鋳型は、細胞に、B2Mを、B2Mを機能化するために必要なHLA-Eにより、例えば融合タンパク質として、発現させる。したがって、本方法は、ネイティブの内因性B2M遺伝子を破壊して、他のHLAが機能化しないようにすることで、細胞を「ステルス化」させる。
【0358】
本明細書で開示する方法は、トランスフェクトしたRNAが、表A及び/または式I~XVIから選択される1つ以上の脂質と関連する際に強化される。
【0359】
実施例4:高親和性CD16aの挿入
本実施例では、C16aを編集し、高親和性CD16aバリアントのコード配列で置き換える。図12A及び12Bに示すように、CD16aの158位におけるフェニルアラニン(F)は、Fをバリン(V)で置き換えるように遺伝子編集の標的となる。関連する配列を、これらの図に示す。
【0360】
図12Bに示すように、NheI部位は、CD16a用のアンプリコンに現れないため、NheI消化後に、約2127/912bpにおいてバンドが存在することにより、CD16_NheI_ssODN_81及びCD16_NheI_ssODN_81_PTによる修正の成功が示される。
【0361】
本明細書で開示する方法は、トランスフェクトしたRNAが、表A及び/または式I~XVIから選択される1つ以上の脂質と関連する際に強化される。
【0362】
実施例5:遺伝子編集及び分化細胞を、キメラ抗原受容体(CAR)に遺伝子組み換えする
本実施例では、本開示の方法により(例えば、遺伝子編集によりB2M遺伝子を破壊して、幹細胞から細胞を、リンパ系または骨髄系列の免疫細胞に分化させることにより)生成した、本開示の免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を遺伝子組み換えして、組換えキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる。CARは、細胞内シグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインと、抗原結合領域を含む細胞外ドメインと、を含む。実施形態では、本開示の免疫細胞を組み換えて、ROR1及び/またはCD19に向けさせる。細胞を遺伝子組み換えして、組換えCARを発現させる方法は当該技術分野において周知であり、任意のこのような周知の方法を、本開示の免疫細胞と共に用いることができる。
【0363】
場合によっては、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインを含む。
【0364】
場合によっては、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ、CD28、CD27、CD134(OX40)、及びCD137(4-1BB)のうちの1つに由来する。
【0365】
場合によっては、CARの膜貫通ドメインは、CD28またはCD8の1つに由来する。
【0366】
場合によっては、抗原結合領域は、1つの抗原に結合する。実施形態では、結合領域は、2つの抗原に結合する。
【0367】
場合によっては、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)を含む。実施形態では、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、あるいは(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)の2つを含む。実施形態では、抗原結合領域を含む細胞外ドメインは、(a)天然リガンドもしくは受容体、またはその断片、及び(b)免疫グロブリンドメイン、任意選択で、一本鎖可変断片(scFv)のそれぞれの1つを含む。
【0368】
場合によっては、抗原結合領域は、腫瘍細胞上で任意選択でHLA-Eに結合する、CD94/NKG2a;腫瘍細胞上で任意選択でCD155に結合するCD96;腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するTIGIT;腫瘍細胞上で任意選択でCD155またはCD112に結合するDNAM-1;腫瘍細胞上で任意選択でHLAクラスIに結合するKIR;腫瘍細胞上で任意選択でNKG2D-Lに結合するNKG2D;任意選択で、腫瘍細胞上で抗体/抗原複合体に結合するCD16aであって、及び/または、CD16aは、任意選択で高親和性バリアントであり、任意選択で、F158Vに対してホモ接合またはヘテロ接合である、上記CD16a;腫瘍細胞上で任意選択でB7-H6に結合するNKp30;NKp44;ならびにNKp46のうちの1つ以上を含む。
【0369】
実施例6:がんの処置
本実施例では、本開示の免疫細胞を用いてがんを処置する。
【0370】
がんの処置方法は、B2M遺伝子内に、遺伝子組み換えによる破壊を含む、単離免疫細胞を入手する工程と、単離免疫細胞を、それを必要とする対象に投与する工程と、を含む。本方法では、免疫細胞はリンパ系細胞系列または骨髄細胞である。場合によっては、免疫細胞はT細胞、例えば、細胞傷害性T細胞もしくはガンマ-デルタT細胞;NK細胞、例えばNK-T細胞;またはマクロファージ、例えばM1マクロファージもしくはM2マクロファージ、及びNK細胞である。
【0371】
場合によっては、加えて、または代替的に、免疫細胞は、高親和性CD16a受容体を発現する。
【0372】
場合によっては、免疫細胞は、B2Mポリペプチド、ならびに、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gポリペプチドを含む、融合タンパク質を発現する。融合タンパク質は、修復鋳型を、B2M遺伝子の一本鎖または二本鎖切断に挿入することにより発現することができる;場合によっては、修復鋳型は、B2M及びHLA遺伝子用のコード配列を含む。特に、融合タンパク質は、免疫細胞により発現した、内因性B2M及びHLAペアを置き換えることにより、免疫細胞が宿主免疫細胞により減少する、または取り除かれる可能性を低くする。
【0373】
場合によっては、免疫細胞はさらに遺伝子組み換えされ、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する。
【0374】
がんは、血液癌であり得る。
【0375】
がんは、充実性腫瘍であり得る。
【0376】
がんは、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳癌及び中枢神経系癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(消化器癌を含む);膠芽腫;肝細胞癌;肝癌;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み細胞NHL(high grade small non-cleaved cell NHL);巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他のがん腫及び肉腫;ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびにファコマトーシス、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、及びメーグス症候群に関連する異常な血管増殖から選択され得る。
【0377】
均等物
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、さらなる修正が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明の任意の変形、使用、または適応を網羅することを意図するものであり、本発明が属する技術分野において公知の範囲内であるかまたは慣行の範囲内であるような本開示からの逸脱、ならびに本明細書に記載の本質的な特徴に適用され得るような、及び添付の特許請求の範囲に従うような本開示からの逸脱を含むことを理解されたい。
【0378】
当業者であれば、単なる通常の実験を使用して、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態の多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【0379】
参照による援用
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0380】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0381】
本明細書で使用される場合、全ての表題は単に組織化のためのものであり、いかなる形でも本開示を制限することを意図するものではない。任意の個々の節の内容は、全ての節に等しく適用され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図12A
図12B
【国際調査報告】