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特表2024-508305機械統合のための可撓性、圧電、小型振動センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】機械統合のための可撓性、圧電、小型振動センサ
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/30 20230101AFI20240216BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20240216BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240216BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H10N30/30
H10N30/857
H10N30/853
H01L29/84 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553187
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022051930
(87)【国際公開番号】W WO2022185272
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/051821
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523328887
【氏名又は名称】ピーマックス エスエーアールエル
【氏名又は名称原語表記】PIEMACS SARL
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ムラルト, ポール
(72)【発明者】
【氏名】マトローブ, ラミン
(72)【発明者】
【氏名】ニゴン, ロビン
【テーマコード(参考)】
4M112
【Fターム(参考)】
4M112AA06
4M112BA08
4M112CA25
(57)【要約】
圧電薄膜、又は圧電材料のスマートカットに基づく振動センサであって、機能的、金属性ハウジング内に統合され、ハウジングは、ハウジングに印加された振動変形を、限定されずに典型的には、1Hz~20kHzの周波数範囲内で、センサに正しく伝送する。センサは、低剛性層、例えばPCB層を備え、低剛性層は、センサ構造体機械部品の間の制御可能な接触力をもたらし、相対運動を、圧電層に作用する機械的応力に変換する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電薄膜、又は圧電材料のスマートカットに基づく振動センサであって、前記センサは、少なくとも1つの基板層と、少なくとも1つの圧電層とを備えた、層状複合体を備え、前記圧電層は、圧電薄膜、又は圧電材料の少なくとも1つのスマートカットと、電極構造体とを備え、前記振動センサは、前記ハウジングに印加された振動変形を、ある周波数範囲内で前記センサに正しく伝送する機能的、金属性ハウジングに統合され、前記センサは、厚さ変化又は横方向歪み変化又は剪断歪み変化に結合した、層状材料の様々な圧電係数を通じて、機械的から電気的への転換を行う、振動センサ。
【請求項2】
前記ハウジング及び前記接続線は、寄生電磁信号に対する遮蔽のために最適化される、請求項1に記載の振動センサ。
【請求項3】
前記周波数範囲は、10Hz~20kHzである、請求項1又は2に記載の振動センサ。
【請求項4】
前記周波数範囲は、100Hz~20kHzである、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項5】
前記センサは、
d.)前記圧電層の厚さに沿った縦方向圧電効果であって、前記ハウジングの変形は、適切なポリマー層によって応力に変換され、電荷又は電圧が、平行電極において、一方は前記圧電層の上側に、一方は前記圧電層の下側に集められる、縦方向圧電効果、又は
e.)前記ハウジングの上面が、前記ハウジングの下面に対して移動するときに得られる、剪断圧電効果であって、この場合、圧電層は、絶縁基板上にあり、前記電極は、互いに入り込んだ電極の形状で、一方の側のみにあることが好ましい、剪断圧電効果、又は
f.)前記ハウジングは、部位1での1つの機械部片からの第1の振動振幅と、部位2での第2の機械部片からの第2の振動振幅とを受け取るように作られ、前記センサは、前記2つの部位を接続するビームの形状であり、前記2つの部位が互いに対して移動するときに変形され、前記圧電層は、前記ビームに取り付けられ、横方向圧電効果に従って、平行な上部及び下部電極の間に電荷及び電圧を発生すること
に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項6】
縦及び横方向圧電効果は、同じデバイス内で同時に活用され、前記横方向センサは、請求項5cで述べられるように働き、又は加速度を、圧電層(膜)で積層された片持ち梁の屈曲運動に変換するための振動質量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項7】
前記センサは、限定されずに典型的には、10~500μmの厚さを有する金属性の、強固な金属板上に接合又は堆積された圧電層に基づき、前記金属板は、限定ではなく典型的には、アルミニウム、鋼、ニッケル、青銅、黄銅、又はシリコンから作られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項8】
前記圧電材料は、a)AlN-ScN合金の薄膜、又はTi、Mo、Nb、Wなどの4~5価イオンと組み合わされたCa及びMgなどの2価イオンからなるイオン対の形でのScドーピングと同様な効果を生じるドーパントを有するAlNであり、他の圧電薄膜は、PZT、LiNbO、及び他の強誘電性材料とすることができる、b)適切に方位付けされた圧電結晶のスマート結晶カットの、金属又は原子層結合による、前記金属板への結晶結合であり、前記結晶はLiNbO、又はスマートカットが作り出され得る任意の他の結晶、圧電材料とすることができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項9】
前記基板層は、PCB基板のポリマー層、又は繊維強化ポリマー層を備えた、低剛性層である、請求項1~8のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項10】
前記基板層は、薄膜堆積のために状態調整された、研磨された金属板を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項11】
他の層及び前記ハウジングの剛性より低い剛性を有する、低剛性層を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項12】
前記センサは、平板の形状を有し、前記ハウジングの2つの平行面の間にしっかりと挟まれている、請求項1~11のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項13】
前記電極構造体は、2つの平行平板電極を備え、前記低剛性層は、前記ハウジングの前記2つの平行面の間の距離変化を、前記複合層に対して一様に作用する応力に変換するように構成される、請求項12に記載の振動センサ。
【請求項14】
前記圧電層上に配置された前記電極構造体は、前記基板層と反対の側に、互いに入り込んだ電極を備え、前記圧電層は、他方の側に、前記基板からの電気絶縁をもたらす絶縁層を備え、前記低剛性層は、前記電極面と、前記平行面の1つとの間に配置され、前記基板層は、前記対向する平行面に固定され、前記低剛性層はそれの互いに入り込んだ電極を用いて、前記剪断変形を、前記圧電層に対して作用する剪断応力に変換するように構成される、請求項12に記載の振動センサ。
【請求項15】
前記圧電層は、前記ハウジング内の2つの固定部位内に橋を形成するベンダの形を有し、前記電極構造体は、前記平行平板幾何形状内の前記圧電層の両側に配置された、2つの電極を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項16】
前記圧電層の厚さと、前記基板層の厚さとの比は、1:10未満である、請求項1~15のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項17】
振動エネルギーハーベスティングのために用いられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項18】
高品質AlN及びAlScNの成長の必要に応じて、及びスマート結晶カットに対して金属-金属結合を行う必要に応じて、低い粗さを有する表面を得るように金属性板を研磨するプロセスであって、前記プロセスは、化学機械研磨(CMP)を適用し、加えて、SiO薄膜など、前記表面を円滑にするために適切な薄膜層を使用する、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【対応する出願】
【0001】
本出願は、PIEMACS Sarlの名前で、2021年3月4日に出願された、以前のPCT特許出願第PCT/IB2021/051821号の優先権を主張するものであり、この以前の出願の内容は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【技術分野及び原理】
【0002】
振動検出は、機械及び飛行機の完全性を制御するため、及び影響を受けやすい測定ツールの正しい動作環境をチェックする、及びその他のための、重要なセンサ用途である。これはまた、所与の故障の前兆として知られている典型的な振動を初期段階で検出するために、ますます用いられている。本発明及びその実施形態は中でも、それを用いて機械部片の振動変位が入力変数として直接用いられ、したがって加速度計内などの振動質量を使用しない新規方法を提案する。このために、圧電薄膜、又は圧電結晶のスマートカットに基づく、小型化されたセンサは、金属板を用いて層状に積み重ねられ、互いに対して振動を呈する隣接した機械部品の間に備え付けられ得る特定の機能的ハウジング内に統合される。目標は、機械又は機械部品内に容易に統合することができ、1立方センチメートル未満の全体積を有する、適応性のあるハウジングをもたらす振動センサである。
【序論-従来技術】
【0003】
振動センサは、センサの重要なカテゴリである。それらは、エンジン、飛行機、ビルディング、橋、モータ、及びその他の、振動を検出する。目標は、例えば、故障を防止するため、又は故障を検出するために、異常なレベルの振動を検出することである。振動の影響を受ける測定セットアップ(原子間力顕微鏡など)の場合は、振動センサは、配置を最適化するための環境データ、及び最適性能を確実にするための減衰装置をもたらす。それらはまた、自動車に対する衝突試験など、実験的セットアップの一部となり得、機械的衝撃のピーク加速度をもたらす。振動センサはまた、同一ではないが、加速度計、動的力センサ、及び振動エネルギーハーベスティング装置に、密に関係する。違いは、出力データ(主として加速度)の、及び電荷又は電圧増幅、エネルギー捕捉、及び保存などの異なる機能をもたらさなければならない電子回路の、精度及び正確さ(較正)である。関心のある振動の周波数は、数Hz~約20kHzの範囲である。
【0004】
圧電材料は、振動センサにおいて重要な役割を果たす。理由は次の通りである。
【0005】
・機械的及び運動的な量(歪み又は応力変化)から、電気信号への効率的な変換
・良好な信号対雑音比
・広い周波数範囲での動作であり、寸法及び振動質量に依存する
・非常に局所的な検出
・高い費用効率
大きなデバイスは、石英、PZT(Pb(Zr,Ti))Oセラミックス、又は鉛(Pb)を有する又は有しない関連するセラミックスなど、圧電バルク材料によって実現される(例えば、参考文献[1]を参照)。
【0006】
本発明では、専ら薄膜の形状での圧電材料を取り扱う。圧電薄膜は、概して、いわゆる微小電気機械システム(MEMS)の製造のために、シリコンデバイス内に統合され、参考文献[2]を参照されたい。最初の薄膜の力センサは、恐らくD.L.Pollaによる会議論文で述べられ、参考文献[3]を参照されたい。最初のMEMS加速度計は、多分1999年に発行され、ECAPD-ISAF-Electroceramics conference 1998年で発表され、参考文献[4]を参照されたい。
【0007】
図1は、シリコン片持ち梁上にPZT薄膜を有する微細加工された加速度計であり、(a)薄くされたシリコンビームと、シリコンの振動質量とを示す背面の図である。(b)概略上面図及び断面図である(参考文献[4]より)。
【0008】
図2は、下部電極と、圧電層と、上部電極とからなる圧電積層体がその上に堆積された、弾性、受動層からなる圧電異形に対する、概略図及びパラメータ定義を示す(参考文献[5]より)。
【0009】
基本的な圧電検知のためのMEMS構造体は、図2に示される。これは、電極を有する圧電膜がその中に統合された、撓みの、弾性ベンダである。内部分極が膜平面に鉛直である場合(上部から下部電極への方向、又はその逆)、縦方向圧電効果は、厚さに沿って作用し(方向3)、横方向効果は平面による(方向1及び2)。圧電薄膜は、自由圧電体と比べて、異なる境界条件を有する。膜は、基板(受動材料)を有する平面内で、歪み変化(図2のx)に従わなければならないが、力が平面に垂直に層の積層体に課された場合(応力σ)を除き、膜平面に垂直には自由である。この混合された境界条件(S=S=0、σ=0)の状況は、修正された圧電係数に繋がり(参考文献[5]を参照)、集められた電荷密度Dは、以下のように書き表され得る。
=εε33,f・E+e31,f・(x+x)+d33,f・σ (1)
ただし、
【数1】
【0010】
これまで、振動センサのために提案された構造のほとんどは、圧電性の積層された弾性ビーム内で生じる横方向効果に基づくものであり、ほとんど、図1に示されるような、ばね質量比によって定義される共振周波数での振動振幅を強化するように働く、振動質量(M)と組み合わせて適用された。自由ビーム構造体は、ばねの役割を有する。
【0011】
固有振動数fは、片持ち梁の自由部分の質量M、長さ(L)、及び幅(w)、片持ち梁全体の厚さ(t)、及び積層の有効弾性率Yによってチューニングされ得る。
【数2】
【0012】
片持ち梁(ビーム)の電荷応答を導き出すために、式1の第2項に従って、より厚い弾性層に積層された圧電層内の歪みを評価しなければならない。これは、例えば参考文献[6]及び[7]で扱われている。追加のパラメータは、圧電層と受動弾性層との厚さ比、及び関連する材料の弾性特性の役割を果たす。このような自由屈曲構造体では、応力σは、常にゼロである。一次近似で、圧電薄膜内の平面内歪みxは、屈曲半径Rに反比例し、圧電膜の中心と、屈曲した片持ち梁内の中立平面(歪みのない平面)との間の距離hpnに比例する。最も簡単なケースでは、圧電膜の厚さtは、受動体、弾性層(t)、及びhpn≒t/2の1つよりずっと小さい。この場合、電荷発生密度は、単に次式のようになる。
【数3】
【0013】
片持ち梁の、幅対厚さ比に応じて、大きすぎない幅対厚さ比に対して、弾性層材料のポアソン比νによる補正を含めなければならない(xはゼロでなく、-νx)。この場合にまた、t≒tが成り立ち、より大きな応答のために厚さを増加させることはまた、より高い共振周波数に繋がることが明らかである。センサ及びエネルギーハーベスティングのために、典型的な厚さ比は、t=t/10である。
【0014】
振動を片持ち梁に結合する1つの方法は、互いに対して振動する2つの部片の間の「橋」として片持ち梁を有することである。これは希にしか実現されず、多目的のセンサとして販売される振動センサに対して新規である。理由は、センサの幾何形状が、具体的な状況に適合されなければならないからである。この概念に従って、片持ち梁は、一方の側(第1の部片)でクランプされ、他方の端部で、第2の部片によって片持ち梁平面に垂直な方向に撓ませられ得る。片持ち梁の厚さは、振動する部片からの力が、センサの硬さに対抗する力より大きい限り、応答を増加させるように、より厚く選ばれ得る。これはまた、測定されることになるシステム内で生じる共振を超える、高い共振周波数をもたらす。したがって、t≪tの場合を検討することができる。この問題は、クランプされた片持ち梁の端部で、規定された偏位を行いながら、屈曲実験においてe31,fを測定するセットアップに対して取り扱われており、参考文献[8]を参照されたい。片持ち梁はl=0までクランプされ、電極は0~lの範囲であり、偏位はl=L(>l)において印加されると仮定する(図3を参照)。
【数4】
【0015】
Aは、電極面積wlである。電荷の符号は、もちろん膜の分極方向(分極)と、外部的に印加された偏位の符号とに依存する。
【0016】
図3は、端部Lでの偏位Zによる、片持ち梁の屈曲を示す。Aは電極面積である。文中で、さらに説明される。
【0017】
縦方向効果の使用、及びしたがって非ゼロσでの動作は、薄膜を用いた研究は希である。それらの構造体は、ずっと硬く、固有振動数はずっと高い。しかし、振動質量と圧電積層体との間の弾性整合層、及び低雑音増幅器を用いて、良好なセンサ性能を達成することが可能である。Nemirowskyらは、PZT薄膜構造体を用いて、32mV/gの感度、及び0.008gの雑音等価加速度を計算しており、参考文献[9]を参照されたい。この文献では、振動質量は圧電層に直接作用することが留意される。ポリマーは、圧電素子の間の圧電膜を除去することによって得られる、これらの素子の間の空隙を埋めるためのみに働く。この面積低減は、動的面積当たりの応力を増加させ、合計の静電容量を低減するのに役立つ。両方の対策は、電圧応答を向上させる。ポリマーによる空隙の充填は、圧電素子アレイ上への平坦な電極の堆積を可能にするために実施される。ポリマーは、無視できる機械的影響を有する。
【0018】
図4は、デバイスの電極により、すなわち膜平面に垂直に、支えられたPZT薄膜の縦方向圧電効果を使用する加速度計を示す(参考文献[9]より)。
【0019】
この原理はまた、動的減衰装置のために提案され、そこでは縦方向効果は、圧電素子の上部電極に直接取り付けられた振動質量を用いて、加速度を検知した。
【0020】
図5は、微小デバイスでの動的減衰と組み合わされた振動質量を有する加速度計で活用される縦方向効果を示し、参考文献[10]を参照されたい。
【0021】
本発明では、センサ積層体が、2つの機械部品の間の全空間を満たすことを保証するため、及び2つの機械部品の、関連のある表面の間の距離及び平行性に影響する機械加工許容差を占めることを保証するように、センサ積層体での圧縮可能層に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0022】
従来技術の薄膜振動センサを用いた、2つのタイプの動作原理がある。
【表1】

本発明の実施形態による、機械、モータなどへの適応性のある統合のための、提案される新規なタイプ
【表2】
【新規な概念及び実現のための動機-技術的問題点】
【0023】
材料:大抵の場合、適用されるMEMS技術は、シリコン技術でのPZT薄膜を使用した。我々は、誤動作を起こしたときに振動を、又は振動を受けたときに誤動作するリスクを引き起こす近代のモータ及び他のデバイスで、用いられることができるバージョンを考案することを求めた。デバイスは衝撃に生き残るために強固でなければならない。この理由から、単結晶シリコンは適切な材料ではない。より丈夫であり、それでも非常に弾性がある金属を用いることが、より良い。加えて、PZTは、鉛を含んだ材料である。これは、優先的に無鉛材料で置き換えられるべきである。
【0024】
全体の設計原理:デバイスは、機械部品内への統合が容易であるべきである。デバイスは、十分に小型で、機械部品の間に統合されるように適合可能な設計を有するべきである。例えばモータハウジングの隅に引っかけられる「独立型」デバイスとするべきではない。
【0025】
電子回路:我々は、かなり高インピーダンスの効果(圧電デバイスは基本的にキャパシタである)に対処するので、振動センサは、電磁環境からの信号を捕捉しやすく、したがってファラデーケージとして働く、カプセル化の中に、良好に遮蔽されなければならない。
【0026】
したがって、解決されるべきいくつかの問題点がある。
【0027】
・機械的安定性をもたらす部品は、例えば金属板の形状の、金属から作られなければならないことが好ましい
・無鉛材料であることが好ましい
・小型の構成であることが好ましい
・機械部品に統合されることが好ましい
・電磁遮蔽をもたらすカプセル化が好ましい
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】シリコン片持ち梁上にPZT薄膜を有する微細加工された加速度計であり、(a)薄くされたシリコンビームと、シリコンの振動質量とを示す背面の図、(b)概略上面図及び断面図である。
図2】部電極と、圧電層と、上部電極とからなる圧電積層体がその上に堆積された、弾性、受動層からなる圧電異形に対する、概略図及びパラメータ定義を示す図である。
図3】端部Lでの偏位Zによる、片持ち梁の屈曲を示す図である。
図4】デバイスの電極により、すなわち膜平面に垂直に、支えられたPZT薄膜の縦方向圧電効果を使用する加速度計を示す図である。
図5】微小デバイスでの動的減衰と組み合わされた振動質量を有する加速度計で活用される縦方向効果を示す図である。
図6】2つの機械部片の間の振動振幅を捕捉する単軸振動センサを示す図である。
図7】互いに対して横方向に振動する機械部品1、2によって誘起される、剪断歪みの検出を示す図である。
図8】互いに対して振動する2つの部分への直接結合を有する、横方向屈曲振動センサの概略断面図である。
図9図6の縦方向振動センサのための金属ハウジング10を示す図である。
図10図8の剪断振動センサのためのハウジングを示す図である。
図11図9の(横方向)ベンダセンサのためのハウジングを示す図である。
図12】縦及び横方向効果を組み合わせた、二重効果センサのためのセンサ及びハウジングの配置を示す図である。
図13】研磨されたCuBe青銅箔(厚さ300μm)上の、AlScN堆積の断面図及び上面図である。
図14】CMPによって研磨され、その後にSiO、Pt、及びAlScNで被覆された、CuBe青銅板の上面図である。
図15】縦方向デバイスの基礎的試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の特徴及び実施形態は、特に以下の通りである。
1.新しいタイプのセンサ:金属平板の垂直方向での変形を捕捉する、金属平板上の層の積層体に埋め込まれた、圧電膜での縦方向効果。振動質量を有しない。
2.センサの基本構造体としての、金属板上の圧電薄膜
3.適切なカプセル化
4.局所的なJFETトランジスタによって読み出される信号
5.異なる振動モード(位相又は振幅差)を識別するための、セグメント化された電極
本開示から理解されるように、本発明は、多くの特徴及び実施形態を包含する。
【0030】
一実施形態において、本発明は、圧電薄膜、又は圧電材料のスマートカットに基づく振動センサに関する。センサは、少なくとも1つの基板層と、少なくとも1つの圧電層とを備えた、層状複合体を備え得る。圧電層は、圧電薄膜、又は圧電材料の少なくとも1つのスマートカットと、電極構造体とを備え得る。振動センサは、ハウジングに印加された振動変形を、ある周波数範囲内でセンサに正しく伝送する機能的、金属性ハウジングに統合され得る。センサはさらに、厚さ変化又は横方向歪み変化又は剪断歪み変化に結合した、層状材料の様々な圧電係数を通じて、機械的から電気的への転換を行う。
【0031】
実施形態において、ハウジング及び接続線は、寄生電磁信号に対する遮蔽のために最適化され得る。
【0032】
実施形態において、周波数範囲は、10Hz~20kHzとすることができる。
【0033】
実施形態において、周波数範囲は、100Hz~20kHzとすることができる。
【0034】
実施形態において、センサは、以下のいずれかに基づき得る。
a.圧電層の厚さに沿った縦方向圧電効果であって、ハウジングの変形は、適切なポリマー層によって応力に変換され、電荷又は電圧が、平行電極において、一方は圧電層の上側に、一方は圧電層の下側に集められる、縦方向圧電効果、又は
b.ハウジングの上面が、ハウジングの下面に対して移動するときに得られる、剪断圧電効果であって、圧電層は、絶縁基板上にあり、電極は、互いに入り込んだ電極の形状で、一方の側のみにあることが好ましい、剪断圧電効果、又は
c.ハウジングは、部位1での1つの機械部片からの第1の振動振幅と、部位2での第2の機械部片からの第2の振動振幅とを受け取るように作られ、センサは、2つの部位を接続するビームの形状であり、2つの部位が互いに対して移動するときに変形され、圧電層は、ビームに取り付けられ、横方向圧電効果に従って、平行な上部及び下部電極の間に電荷及び電圧を発生すること。
【0035】
実施形態において、縦及び横方向圧電効果は、同じデバイス内で同時に活用することができ、横方向センサは、ポイント5cで述べられるように働き、又は加速度を、圧電層(膜)で積層された片持ち梁の屈曲運動に変換するための振動質量を有する。
【0036】
実施形態において、センサは、限定されずに典型的には、10~500μmの厚さを有する金属性の、強固な金属板上に接合又は堆積された圧電層に基づくことができる。
【0037】
実施形態において、金属板は、限定ではなく典型的には、アルミニウム、鋼、ニッケル、青銅、黄銅、又はシリコンから作られ得る。
【0038】
実施形態において、圧電材料は、a)AlN-ScN合金の薄膜、又はTi、Mo、Nb、Wなどの4~5価イオンと組み合わされたCa及びMgなどの2価イオンからなるイオン対の形でのScドーピングと同様な効果を生じるドーパントを有するAlNとすることができ、他の圧電薄膜は、PZT、LiNbO、及び他の強誘電性材料とすることができる。他の等価な材料も、もちろん可能である。
【0039】
実施形態において、圧電材料は、b)適切に方位付けされた圧電結晶のスマート結晶カットの、金属又は原子層結合による、金属板への結晶結合であり、結晶はLiNbO、又はスマートカットが作成され得る任意の他の結晶、圧電材料とすることできる。他の等価な材料も、もちろん可能である。
【0040】
実施形態において、基板層は、PCB基板のポリマー層、又は繊維強化ポリマー層を備えた、低剛性層とすることができる。他の等価な材料も、もちろん可能である。
【0041】
実施形態において、基板層は、薄膜堆積のために状態調整された、研磨された金属板を備え得る。
【0042】
実施形態において、振動センサは、他の層及びハウジングの剛性より低い剛性を有する、低剛性層を備え得る。
【0043】
実施形態において、センサは、平板の形状を有することができ、ハウジングの2つの平行面の間にしっかりと挟まれる。
【0044】
実施形態において、電極構造体は、2つの平行平板電極を備え得る。
【0045】
実施形態において、低剛性層は、ハウジングの2つの平行面の間の距離変化を、複合層に対して一様に作用する応力に変換するように構成され得る。
【0046】
実施形態において、圧電層上に配置された電極構造体は、基板層と反対の側に、互いに入り込んだ電極を備え得る。圧電層は、他方の側に、基板からの電気絶縁をもたらす絶縁層をさらに備え得る。低剛性層は、電極面と、平行面の1つとの間に配置され、基板層は、対向する平行面に固定され得る。低剛性層はそれの互いに入り込んだ電極を用いて、剪断変形を、圧電層に対して作用する剪断応力に変換するように構成され得る。
【0047】
実施形態において、圧電層は、ハウジング内の2つの固定部位内に橋を形成するベンダの形を有することができる。電極構造体は、平行平板幾何形状内の圧電層の両側に配置された、2つの電極を備え得る。
【0048】
実施形態において、圧電層の厚さと、基板層の厚さとの比は、1:10未満とすることができる。
【0049】
実施形態において、振動センサは、振動エネルギーハーベスティングのために用いられ得る。
【0050】
実施形態において、本発明は、高品質AlN及びAlScNの成長の必要に応じて、及びスマート結晶カットに対して金属-金属結合を行う必要に応じて、低い粗さを有する表面を得るように金属性板を研磨するプロセスに関し、プロセスは、化学機械研磨(CMP)を適用することができ、加えて、SiO薄膜など、表面を円滑にするために、適切な薄膜層を使用し得る。
【0051】
慣性質量を有しない縦方向振動センサ(図6を参照)
図6では、以下の参照番号が用いられる。
1:第1の機械部品1
2:第2の機械部品2
3、4:振動伝送器、撓みが一様な領域に集中した硬質材料
5:センサのベースプレート=圧電薄膜積層体の成長のための基板(例えば、CuBe板のような)
6:下部電極と、圧電薄膜と、上部電極とを有する圧電薄膜積層体
7:歪み-応力転換材料
8a:上部電極に接続するための電線
8b:下部電極に接続するための電線
【0052】
振動の主な効果は、機械又は他のデバイスの部品の振動を誘起することである。これは、部品が、時間的に変化する振幅を有する上又は下並進運動を経験することを意味することができ、又は部品が、時間的に変化する変形(例えば、時間的に変化する屈曲)を経験することを意味することができる。局所的に(部片よりずっと小さな寸法で)、この動きは、所与の方向での変位によって近似され得る。局所的変位が、部片の局所的な表面に垂直な強い成分を有する表面を見出す(又は作り出す)ことができる。我々は、2つの機械部品が異なる振動振幅を経験し、結果としてセンサの部位での、2つの部片の間の正味の振動振幅を生じる場合を考察する(図6を参照)。振動は、機械部片1と2との間の、時間的に変化する距離δz(t)として現れる。局所的振幅は、撓みが一様な領域に集中した比較的硬質の材料(例えば、例えば鋼から作られた)からなる、振動伝送器3、4によって、明確な領域に集中される。参照番号5は、センサのベースプレート、例えば、圧電薄膜積層体の成長のための基板を示す。参照番号6は、下部電極と、圧電薄膜と、上部電極とを有する、圧電薄膜積層体を示す。振動は、圧電積層体に直接伝送されることはできない。2つの部品の間に、ゼロの許容差でセンサを適合させることは非常に難しくなる。必要なものは、センサが2つの機械部品の間に挿入されるとき、圧縮に耐える追加の比較的柔らかい弾性材料である(歪み-応力転換材料である図6の層7)。センサ内で、この層7は、1つの機械部品の振動を捕捉する層3又は4と、圧電層(薄膜)及びそれの平行電極を有する圧電積層体6との間にある。層7の材料は、この、より柔らかい層7の内部で、振動の歪み-応力変換を行う(Sは歪み、及びσは応力)。
【0053】
すべての他の層は、ずっと大きな剛性(テンソルc)を有すると仮定すると、応力は、以下のように歪みに関係付けられる。
【数5】
【0054】
歪み-応力転換材料は、2~10GPaの剛性を有するある特定のポリマー膜(略語pm)で実現されるように、低いスティフネス定数
【数6】

を有するべきである。このようにして、すべての他の層は、ずっと大きなスティフネス定数(70GPa以上)を有するので、ほとんど全部の歪みは、この層に集中される。しかし、応力は、積層体の基本厚さモード共振まで、すべての層で同じであり、これは設計により、被試験機械の関連のある共振より、ずっと高い(MHz以上)。
【0055】
一実施形態において、圧電層とポリマー層との間の厚さ比は、1:10未満とすることができる。
【0056】
通常、圧電層とポリマー層との間の厚さ比は、約1:100(1μmのAlN、100μmの受動弾性層又はポリマー層)以下であり、表1の例を参照されたい。
【0057】
図6で、参照番号8a及び8bはそれぞれ、積層体6の上部電極に接続するための電線、及び下部電極に接続するための電線を示す。
【0058】
図6は、2つの機械部片の間の振動振幅を捕捉する単軸振動センサを示す。
【0059】
式1に従って、圧電薄膜の電荷密度応答を次のように書き表すことができる。
【数7】
【0060】
コンプライアンス
【数8】

は負であり、横係数e31,fも同様であることが留意される。これは、これら2つの係数の積は、d33,fと同じ符号を有することを意味する。
【0061】
式5及び6を組み合わせて、次式を得る。
【数9】
【0062】
電極面積A上の電荷Qは、次式として得られる。
【数10】
【0063】
電流Iは、電荷の時間微分である。
【数11】
【0064】
各機械タイプ及びサイズに固有の振動周波数。多くの場合、それらは、数100Hz~数kHzの範囲内である。振動機械部品に留められた商用加速度計を用いてそれらを評価する場合、情報として、ある特定の周波数で測定された加速度(gの単位でのα)を得る。これはセンサ設計のための有し得る唯一の情報であるので、センサ応答を加速度に関係付けることが有用である。静的な部品に対して振動する部品の我々の例では、以下となる。
【数12】

【数13】
【0065】
発生された電圧Uを計算し、信号対雑音比を推定するためには、容量値Cも必要である。
C=εεA/t
【数14】
【0066】
表1:数値的な値は、A=20mm、c33pm=2GPa、tpm=400μm、t=2.0μm(圧電層)、deff=d33,f=15C/m(AlScN 42%)、比誘電率ε=20。
【表3】
【0067】
最後に、デバイスの固有雑音、すなわちジョンソン・ナイキスト雑音が考慮されなければならない。キャパシタはまた、通常、損失正接(tanδ)として定義される誘電損失を呈するので、インピーダンスの実数部を有する。
【数15】
【0068】
表1と同じパラメータに対して、このノイズ電圧は、1kHz~10kHzの範囲の帯域に対して約0.18μVになる。これは、5mg/10kHzでの応答電圧の約1/60に小さくなる。電磁寄生信号の捕捉からのノイズは、この固有雑音よりずっと限定的と考えられる。
【0069】
信号の大きさは重要であり、通常の電子的フロントエンド設計によって直ちに活用され得る。ポリマー層は、依然として顕著な信号出力をもたらしながら、センサの実用的な実装を容易にするために、より柔らかく、より厚くなるように選ばれ得る。
【0070】
圧電層材料
この用途のための積層体6の好ましい圧電薄膜は、Al(1-x)ScNであり、0.15~0.45の組成パラメータxを有する、AlNとScNとの合金である(2009年に発見され、参考文献[11]を参照)。縦係数d33,fは、42%Scで、約15pm/Vに達することができ、参考文献[12]が参照され、及び横係数e31,fは、同じ組成で、2.7C/mに達し、参考文献[13]が参照される。AlN、及びまたAlScNは、(0001)方位(テクスチャ)、すなわち最大圧電応答の方向に成長され得るので、都合がよくなり得る。
【0071】
対照的に、別の無鉛である強い圧電材料6、LiNbOは、大きな縦方向圧電応答の理想的な方位に容易に成長しない。これは特別な結晶カットを必要とし、これは単一結晶に対してスマートカットプロセスを行うことによって、より容易に得られると思われ、参考文献[14]を参照されたい。この用途のために、このような金属板を有するスマートカットを組み立てるために、適切なプロセスが開発される必要がある。可能なプロセスは、金属-金属結合によって実現され得る。
【0072】
柔らかな変換器材料
積層体6内のより硬い材料は、組成に応じて、200~300GPaのスティフネス定数c33を有する、AlScNの圧電層を含む。ハウジングのアルミニウム(Al)板は、少なくとも、69GPaのEモジュールを有する純粋Alほど高い。鋼、ニッケル、又は青銅基板は、AlとAlScNとの間のスティフネス定数を有する。
【0073】
便利な変換器材料7は、PDMSとなり得、なぜならマイクロファブリケーションでの標準のポリマー材料だからである。その弾性率は、0.6MPa~4MPaの範囲であり、架橋剤濃度の量と共に直線的に変化し、参考文献[15]を参照されたい。しかし、これらの量は、非常に低く、信号の大きさは、所望の最も低い検出可能振動での熱雑音に近づくようになる。
【0074】
我々の目的のための正しい範囲は、SU-8フォトレジストである。そのヤング率は、3~6GPaの範囲内であることが報告されている。
【0075】
さらに、プリント回路基板(PCB)で用いられるFR-4のような、ファイバーグラス強化エポキシも関心がもたれ得る。繊維は織られ、PCB平板の平面内にある種の2次元構造体を形成する。これらの材料は、室温で、E11=E22=22.4GPa、及びE33=1.6GPaのモジュール(逆コンプライアンス)を有する高度に異方性の弾性定数を有し、参考文献[16]を参照されたい。結果としての剛性
【数16】

は、3.8GPaとして得られ、これは十分に目標範囲内である。この構造体はまた、このポリマー層が横方向において、より安定なので、寿命を延ばすのに役立ち得る。層をその厚さに沿って圧縮したとき、ポアソン効果から結果として生じる横方向の引張応力によって誘起される、ひび割れが少なくなる。
【0076】
例えば0.5mmの厚さを有する、柔らかい弾性材料の、予想される厚みモード共振は、数MHzの範囲内であると計算され、したがってセンサの計画される動作周波数よりずっと高い。したがって、本発明で提示される縦方向センサは、振動質量を有するセンサがするようなある特定の共振周波数で、選択的に応答を増幅しないようになる。これは、測定結果の解釈をより簡単にし、曖昧さをなくす。
【0077】
慣性質量を有しない剪断振動センサ(図7を参照)
図7では、以下の参照番号が用いられる。
1:第2の機械部品に対して横方向に振動する、第1の機械部品1
2:第2の機械部品
3、4:振動伝送器、撓みが一様な領域に集中した硬質材料
5:センサのベースプレート=圧電薄膜積層体の成長のための基板(例えば、CuBe板のような)
6’:剪断モード原理のために下部電極のない、絶縁層
7’:圧電薄膜(係数d15)、分割された上部電極又は互いに入り込んだ電極
8’:歪み-応力転換材料:剪断応力σ13=σの発生
代替:直接の変位伝送のためのはんだ
9a:上部電極ストライプ1に接続するための電線
9b:上部電極ストライプ2に接続するための電線
【0078】
前のものの変形体は、歪み-応力転換の原理を、剪断変形に適用することである。AlScN材料系では、2.5pC/Nのd15値を期待することができる。電極は、圧電薄膜の平面内の電界を検出するように設計されなければならない。これは、平行のストライプ形状の電極によって実現される。振動方向に垂直なそれらの少なくとも2つ、又は2つずつ接続された複数のもの(互いに入り込んだ電極)が存在しなければならない。膜表面の上部の横方向電極の間に、膜の平面内の電界を取得するために、絶縁層上に膜が堆積されなければならないことに留意されたい。未知の振動方向に対しては、第1のものに対して、90°だけ回転された、第2の電極システムを用いることができる。
【0079】
図7は、互いに対して横方向に振動する機械部品1、2によって誘起される、剪断歪みの検出を示す。歪み-応力転換はまた、例えばより薄い接着剤、又は金属はんだ付けを用いることにより、直接変位伝送によって置き換えられ得る。
【0080】
振動質量を有しない横方向屈曲振動センサ(図8を参照)
図8では、以下の参照番号が用いられる。
1:第1の機械部品1
2:第2の機械部品2
3、4:振動伝送器、撓みが一様な領域に集中した硬質材料
デバイスは、部品2に固定された部片4に接着され得る。
6:下部電極と、圧電薄膜と、上部電極とを有する圧電薄膜積層体
7:歪み-応力転換材料
8a:上部電極に接続するための電線
8b:下部電極に接続するための電線
9:ビームの弾性層、同時に、圧電積層体を成長させるための基板
【0081】
振動振幅に対する直接結合はまた、片持ち梁平面に垂直な、すなわち図8の方向3に沿った、主要振動振幅を有するように、互いに対して振動する2つの部片に橋渡しをする、弾性片持ち梁(ビーム)9によって達成され得る。弾性構造体9は、それ自体が片持ち梁である。これは、片持ち梁の準自由端に振動を伝送する品目番号3(図8)への良好な接触を確実にするためにプレストレスされる。
【0082】
図8:互いに対して振動する2つの部分への直接結合を有する、横方向屈曲振動センサの概略断面図である。
【0083】
理論的には、比較的良好な近似において、e31,f測定を記述する式5を、再使用することができる。弾性層の厚さが、圧電層の1つに近づく場合は、補正が加えられなければならない。これは文献で取り扱われている。振動振幅を、片持ち梁の端部に結合することができ、すなわちZ=δzである。
【数17】
【0084】
上部電極が長さの半分(屈曲が、より強い)に及ぶと仮定して、式の第2の部分で、AはW×L/2、及びlはL/2で置き換えられる。
【0085】
設計に対する性能指数は、w×t/Lである。これは良好な応答のためには、ビームは、幅が広く、厚く、及び短く、すなわち非常に剛性でなければならないことを意味する。以下の数値は、評価のために用いられた:
L=5mm、w=4mm、t=0.3mm、e31,f=2.5C/m、ν=0.3。電流は、1000Hzで、5g及び5mgに対して、それぞれ615nA及び0.615nAとして得られる。これは、同じ電極面積で、縦方向センサに対して計算されたものの約1/25に小さくなる。これは、縦方向効果の信号の大きさを適合させるために、多数の片持ち梁を設計しなければならないことを意味する。ジョンソン・ナイキスト雑音は、面積、圧電材料、及びその厚さが同じである限り、同じままとなる。これは、5mgでは、ノイズレベルの単に5倍であることを意味する。
【0086】
この片持ち梁センサに対して、弾性層9として、PCB構造体(銅層を有する、ガラス繊維強化エポキシの多層)を用いることに関心がもたれ得る。適応されたPCBは、両方の平面内方向に沿ってではなく、平面内の1つの方向(x方向)のみに伸びる、ガラス繊維を有する平板となり得る。このようなxに沿った長軸を有する、単方向性強化エポキシ平板からの片持ち梁を用いて、ポアソン比による応答の低減を避け得る(式5を参照)。
【0087】
振動センサのための機能的ハウジング(図9
センサの周りのハウジング又はパッケージは、変位転送を可能にする、及びセンサを無傷に保つための、非常に重要な役割を果たす。振動機械部品が、センサの振動伝送器と密な接触を有することを確実にしなければならない。
【0088】
加えて、センサの周囲は、例えば電磁モータで見られるような電磁波を放射し得る。この理由から、ハウジングは、ファラデーケージのような、すなわち完全な金属ハウジングでなければならない。センサへの及びそれからの線は、遮蔽されなければならず、すなわち同軸ケーブルが用いられなければならない。後者は、寄生信号の貫通、又は接地ループを避けるために、ハウジングに適切に接続されなければならない。
【0089】
図9は、図6の縦方向振動センサのための金属ハウジング10を示す。
【0090】
振動質量を有しない縦方向センサに対して、ハウジング壁は、振動をセンサに伝送する積層体の一部である。ハウジングの内側には、歪み-応力転換層(図5内の7)に対するプレストレスセットが存在する。機械を備え付けるとき、部品1及び2は、センサハウジングに作用する、規定された力に対して調整されなければならない。密な機械的接続を確実にするために十分大きくなければならないが、センサの破壊を避けるために大きすぎてはならない。正しいプレストレス値に適応するために、2つの可能性がある。
【0091】
1.2つの機械部品は、機械の機能性のための必要に従って、一緒に固定される。センサに対して予想される間隔は、例えば±10μmの精度に正確に機械加工される。次いでセンサは、例えば5~25μmの予備圧縮を受けさせられる。第1の値は、下側許容値(-10μm)に対し、より高い値は、上側許容値(+10μm)に対する。
【0092】
2.正しいプレストレスは、追加のねじによって達成され、その唯一の目的は、これが配置された後に、センサに対する力を調整することである。2つの機械部品は、他のねじによって一緒に固定される。
【0093】
ハウジングの曲線状の側壁は、ばねの機能を有し、センサの良好なプレストレス付与を妨げ得る側壁からの反力を防止する。剪断センサの場合は、これはハウジングの下側に対する、上側の横方向運動を可能にする。
【0094】
2つの機械部品1、2の間のハウジングは、互いに対して方向付けられた(z方向)、部品1と部品2との間の振動の伝送を可能にする。
【0095】
図10は、図8の剪断振動センサのためのハウジングを示す。原理上は、縦方向センサのためのものとすべて同じである。しかし、上部及び下部ハウジング壁は、それぞれ部片1及び2の動きに密に追従しなければならない。このために、ボルト11のような横方向固定が導入される。
【0096】
2つの機械部品1と2との間のハウジング10は、互いに対して方向付けられた(z方向)、部品1と部品2との間の振動の伝送を可能にする。
【0097】
ボルト又はねじ11などの固定手段は、また、振動をハウジング壁に、及びそこからセンサの振動伝送器に横方向に通過させるように、ハウジングを固定し得る。
【0098】
図11は、図9の(横方向)ベンダセンサのためのハウジングを示す。ここで、解決策が、ハウジングの屈曲を可能にすることが重要である。この場合もやはり、これは曲線状の側壁10によって達成される。加えて、構造をより可撓性にするための、ベロー11のような構造体を追加することができる。
【0099】
図11では、以下の参照番号が用いられる。
1:機械部品1
2:機械部品2
3、4:振動伝送器
11:ハウジング、又はハウジングのベロータイプの可撓性部品の、屈曲を可能にするための、ハウジングのベロー状構造体
【0100】
さらなる可能性は、縦及び横方向効果の組み合わせによって与えられる。無機材料では、縦(d33,f>0)及び横係数(e31,f<0)は、符号が反対になる。膜の圧縮(σ<0)は、ポアソン効果による横方向の伸びに繋がり、したがって、x及びx>0である。これは、縦及び横方向効果からの電荷応答は、同じ符号(負)を有することを意味する。接続された電極システムを用いるとき、電荷は合計になる。これは実際、膜平面に垂直に印加された圧力によって縦方向圧電効果が決定され、式1でσのみが変化すると仮定したときの、潜在的測定誤差を説明するときに、参考文献[17]で議論されている。しかし、センサに対して2つの効果が用いられ得ることは、述べられなかった。可能なセットアップは、図12に示される。
【0101】
さらなる変形体は、振動質量を用いて横方向センサを作ることである。これは、高周波応答を向上させること、又は特に所与の周波数をトレースすることを可能にし得る。
【0102】
図12は、縦及び横方向効果を組み合わせた、二重効果センサのためのセンサ及びハウジングの配置を示す。
【0103】
図12の左側では、システムは、機械の部品1及び2と、リングの形状の振動伝送器3と、圧電積層体4(電極を有する圧電層)とを備える。図12の右側は、縦(中心での)及び横方向効果を組み合わせたセンサのための、圧電積層体の上面図である。円板は、柔らかくするためにセグメントに分割される。
【0104】
センサの製造
センサは、異なる技法によって実現され得る。発明者らがすでに習得する特定のものは、ベリリウム青銅から作られた研磨された金属板上へのAlScN層の堆積に基づく。我々は、Al部位上で、37%Scを用いて、-2.4C/mの良好なe31,fを達成した。図13は、研磨されたCuBe青銅箔(厚さ300μm)上の、AlScN堆積の断面図及び上面図を示す。
【0105】
プロセスは、商用のBeCu青銅に基づく。このような板は、ラッピングされ、研磨されていたが、表面の不規則性(小さな穴及び溝)がないわけではない。改善された表面品質のために、箔は、化学機械研磨(CMP)によってさらに研磨された。SiO薄膜がスパッタリングによって堆積され、表面品質をさら向上させ、圧電積層体をCuBe板から電気的に隔離した。後者の点はまた、剪断モード検出の実現のために重要である。その後に、Pt/Ti下部電極が、スパッタリングによって堆積された。AlScN薄膜は、最初に参考文献[18]で述べられたパルス化DC、金属性AlSc合金ターゲットからの反応性マグネトロンスパッタリングによって成長された。
【0106】
図14は、CMPによって研磨され、その後にSiO、Pt、及びAlScNで被覆された、CuBe青銅板の上面図である。
【0107】
図15は、縦方向デバイスの基礎的試験の結果を示す。55mgの重いボールが、センサに打ち当たる前に、20cmの落下を生じる。最初のインパクトの後に、2回の跳ね返りが続く。信号は、1の利得で前置増幅され、オシロスコープによって記録される。
【0108】
上記の説明を考慮に入れた、動作原理及び実施形態の例
第1の動作原理では、振動力センサは、平板の形状を有し、ハウジングの2つの平行面の間にしっかりと挟まれ、図6及び9を参照されたい。
【0109】
圧電膜は、2つの平行平板電極が装備され、複合体は、ハウジングを含む他方の層の剛性よりずっと低い剛性を有する低剛性層を備え、ハウジングの2つの平行面の間の距離変化を、複合積層体全体に対して一様に作用する応力に変換する。
【0110】
圧電効果は、膜平面に垂直な分極方向を有する膜において得られるのに従って、縦方向のもの(クランプされたd33)である。
【0111】
平行平板電極で発生された電荷及び電圧は、センサ出力信号のための電気量をもたらす。
【0112】
第2の動作原理では、振動力センサは、平板の形状を有し、ハウジングの2つの平行面の間にしっかりと挟まれ、図7及び10を参照されたい。
【0113】
圧電膜には、基板と反対側に互いに入り込んだ電極と、他方の側に基板からの電気絶縁をもたらす絶縁層とが装備される。
【0114】
ハウジングを含む他の層の剛性よりずっと低い剛性を有する低剛性層は、電極面と、平行面の1つとの間に位置する。
【0115】
基板側は、他の平行面に固定される。平行面は逆平行方向に移動し、したがって剪断変形を行うとき、低剛性層は、剪断変形を、それの互いに入り込んだ電極によって、圧電層に作用する剪断応力に変換する。
【0116】
圧電効果は、膜平面と、平面内の発生された電界とに垂直な分極方向を有して、膜内で得られるような、剪断のもの(d15)である。
【0117】
互いに入り込んだ電極での発生された電荷は、センサ出力信号のための電流をもたらす。
【0118】
第3の動作原理では、圧電複合構造体は、ハウジング内の2つの固定部位の間に橋を形成するベンダの形を有し、図8及び11を参照されたい。
【0119】
ハウジングは、2つの機械部品の間に備え付けられるので、ハウジングは変形され(引き伸ばされ、ねじられ)、したがって2つの固定部位間の距離を変化させ、ベンダ積層の引き伸ばし、圧縮、又は屈曲に繋がる。
【0120】
電極は、平行平板幾何形状で、圧電層の両側に備え付けられる。
【0121】
層平面に垂直に分極された膜を用いて、横方向圧電効果は、電荷及び電圧差を発生し、これらの両方が、信号出力をもたらすために用いられ得る。
【0122】
実施形態において、本発明は、積層型圧電薄膜振動センサに関し、それによって横方向延伸量は、合計の厚さの少なくとも10倍になり、5Hz~30kHzの周波数範囲内で、厚さ方向と平行に、縦方向振動変形を伝送する、機能的、金属性ハウジングに埋め込まれ、以下を備える。
-)圧電薄膜
-)後者の両面上の2つの平面電極
-)圧電薄膜が堆積される金属性基板
-)積層体内の他の層及びハウジング(収容器、エンクロージャ)壁の剛性の、10%未満の剛性を有し、圧電膜厚さより少なくとも10倍の厚さを有する、柔らかい弾性層
-)硬質材料から作られ、電極の面積を有し、積層体又はハウジングの一部とすることができる、両端での応力集中層
-)積層体の上及び下側に適合するハウジングであり、積層体内の様々な層の間、及びハウジングと積層体との間に、間隔を残さず、応力集中層に隣り合う壁の厚さ方向に、拘束されない運動を可能にするための可撓性側壁を呈する
-)ハウジングは、積層体のプレストレスをもたらす(クランピング)
-)ハウジングは、電磁放射に対して遮蔽する
-)遮蔽された穴を通してハウジングを出て行く、両方の電極への電気的接続であり、完結したデバイスは、互いに対して振動する2つの機械部片の間に適合するように、最適化される。
【0123】
実施形態において、本発明は、積層型圧電薄膜振動センサに関し、それによって横方向延伸量は、合計の厚さの少なくとも10倍になり、機能的、金属性ハウジングに埋め込まれ、5Hz~30kHzの周波数範囲内で、剪断振動変形を伝送し、以下を備える。
-)圧電薄膜
-)後者の1つの面上の互いに入り込んだ電極システム
-)圧電薄膜が堆積される金属性基板
-)圧電膜と基板とを隔離する、基板上の絶縁層
-)積層体内の他の層及びハウジング(収容器、エンクロージャ)壁の剛性の、10%未満の剛性を有し、圧電膜厚さより少なくとも10倍の厚さを有する、柔らかい弾性層
-)硬質材料から作られ、電極の面積を有し、積層体又はハウジングの一部とすることができる、両端での応力集中層
-)積層体の上及び下側に適合する(クランピング)ハウジングであり、積層体内の様々な層の間、及びハウジングと積層体との間に、間隔を残さず、応力集中層に隣り合う壁の厚さ及び横方向に、拘束されない運動を可能にするための可撓性側壁を呈し、
ハウジングは、剪断運動を捕捉するためのアンカーを呈し
ハウジングは、積層体のプレストレスをもたらす(クランピング)
ハウジングは、電磁放射に対して遮蔽する
-)遮蔽された穴を通してハウジングを出て行く、両方の電極への電気的接続であり、完結したデバイスは、反対方向に横方向に振動する2つの機械部片の間に適合するように、最適化される。
【0124】
実施形態において、本発明は、上記に従って縦方向モードで動作する中心部品と、上記に従って屈曲モードで動作する外部部品とを有するデバイスに関し、それによって外部部品は、クランプされず自由に移動し、ハウジング壁の1つ(上又は下)への固定によって屈曲される。
【0125】
実施形態において、優先的にはセンサは、限定されずに典型的には、10~500μmの厚さを有する金属性の、強固な金属板上に接合又は堆積された圧電層に基づき、金属板は、限定ではなく典型的には、アルミニウム、鋼、ニッケル、青銅、又は黄銅から作られる。
【0126】
実施形態において、圧電材料は以下である:a)AlN-ScN合金の薄膜、又はTi、Mo、Nb、Wなどの4~5価イオンと組み合わされたCa及びMgなどの2価イオンからなるイオン対の形でのScドーピングと同様な効果を生じるドーパントを有するAlNであり、他の圧電薄膜は、PZT、LiNbO、及び他の強誘電性材料とすることができる。b)適切に方位付けされた圧電結晶のスマート結晶カットの、金属又は原子層結合による、金属板への結晶結合であり、結晶はLiNbO、又はスマートカットが作り出され得る任意の他の結晶、圧電材料とすることができる。
【0127】
実施形態において、柔らかい弾性層7は、本明細書において定義される簡単なポリマー、又はプリント回路基板のために用いられるような繊維強化ポリマーである。
【0128】
実施形態において、デバイスは、振動エネルギーハーベスティングのために用いられ得る。
【0129】
実施形態において、本発明は、高品質AlN及びAlScNの成長の必要に応じて、及びスマート結晶カットに対して金属-金属結合を行う必要に応じて、低い粗さを有する表面を得るように金属性板を研磨するプロセスに関する。プロセスは、化学機械研磨(CMP)を適用し、加えて、SiO薄膜など、表面を円滑にするために適切な薄膜層を使用する。
【0130】
本記述は、本発明の全容及び範囲を表すものではなく、そのように解釈されるべきでもない。本発明は、本明細書で、及び添付の図面において様々なレベルの詳細で、及び本発明の詳細な説明に記載され、要素、構成要素などの、包含又は非包含によって、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の追加の態様は、特に図面と併せ読めば、詳細な説明から、より容易に明らかになる。
【0131】
さらに、例示的実施形態は、本明細書で開示された、システム及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解をもたらすために述べられた。これらの実施形態の1つ又は複数の例は、添付の図面に示される。当業者は、本明細書で特に述べられ、添付の図面に示されたシステム及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、単に「特許請求の範囲」によって定義されないことを理解するであろう。例示的実施形態に関連して図で示され、述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。また、等価な構造及び/又は材料が用いられ得る。このような修正形態及び変形形態は、本発明の範囲に含まれることが意図される。さらに、本発明は、いくつかの実施形態と一緒に述べられたが、多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が、適用可能な技術分野の業者には明らかになる、又は明らかであることが明白である。したがって、本発明の思想及び範囲内であるすべてのこのような代替形態、修正形態、等価形態、及び変形形態を包含することが意図される。
【0132】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12
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図15
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電薄膜、又は圧電材料のスマートカットに基づく振動センサであって、前記センサは、少なくとも1つの基板層と、少なくとも1つの圧電層と、10GPa以下の剛性を有する少なくとも1つの低剛性層と、を備えた、層状複合体を備え、前記圧電層は、圧電薄膜、又は圧電材料の少なくとも1つのスマートカットと、電極構造体とを備え、前記振動センサは、前記ハウジングに印加された振動変形を、ある周波数範囲内で前記センサに正しく伝送する機能的、金属性ハウジングに統合され、前記低剛性層は、前記変形を機械的応力に変換し、前記センサは、厚さ変化又は横方向歪み変化又は剪断歪み変化に結合した、層状材料の様々な圧電係数を通じて、機械的から電気的への転換を行う、振動センサ。
【請求項2】
前記ハウジング及び前記接続線は、寄生電磁信号に対する遮蔽のために最適化される、請求項1に記載の振動センサ。
【請求項3】
前記周波数範囲は、10Hz~20kHzである、請求項1又は2に記載の振動センサ。
【請求項4】
前記周波数範囲は、100Hz~20kHzである、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項5】
前記センサは、
.)前記圧電層の厚さに沿った縦方向圧電効果であって、前記ハウジングの変形は、適切なポリマー又は複合層によって応力に変換され、電荷又は電圧が、平行電極において、一方は前記圧電層の上側に、一方は前記圧電層の下側に集められる、縦方向圧電効果、又は
.)前記ハウジングの上面が、前記ハウジングの下面に対して移動するときに得られる、剪断圧電効果であって、この場合、圧電層は、絶縁基板上にあり、前記電極は、互いに入り込んだ電極の形状で、一方の側のみにあることが好ましい、剪断圧電効果、又は
.)前記ハウジングは、部位1での1つの機械部片からの第1の振動振幅と、部位2での第2の機械部片からの第2の振動振幅とを受け取るように作られ、前記センサは、前記2つの部位を接続するビームの形状であり、前記2つの部位が互いに対して移動するときに変形され、前記圧電層は、前記ビームに取り付けられ、横方向圧電効果に従って、平行な上部及び下部電極の間に電荷及び電圧を発生すること
に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項6】
縦及び横方向圧電効果は、同じデバイス内で同時に活用され、前記横方向センサは、請求項5cで述べられるように働き、又は加速度を、圧電層(膜)で積層された片持ち梁の屈曲運動に変換するための振動質量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項7】
前記センサは、限定されずに典型的には、10~500μmの厚さを有する金属性の、強固な金属板上に接合又は堆積された圧電層に基づき、前記金属板は、限定ではなく典型的には、アルミニウム、鋼、ニッケル、青銅、黄銅、又はシリコンから作られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項8】
前記圧電材料は、a)AlN-ScN合金の薄膜、又はTi、Mo、Nb、Wなどの4~5価イオンと組み合わされたCa及びMgなどの2価イオンからなるイオン対の形でのScドーピングと同様な効果を生じるドーパントを有するAlNであり、他の圧電薄膜は、PZT、LiNbO、及び他の強誘電性材料とすることができる、b)適切に方位付けされた圧電結晶のスマート結晶カットの、金属又は原子層結合による、前記金属板への結晶結合であり、前記結晶はLiNbO、又はスマートカットが作り出され得る任意の他の結晶、圧電材料とすることができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項9】
前記基板層は、PCB基板のポリマー層、又は繊維強化ポリマー層を備えた、低剛性層である、請求項1~8のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項10】
前記基板層は、AlScN薄膜堆積のために状態調整された、研磨された金属板を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項11】
前記低剛性層がポリマーを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項12】
前記センサは、平板の形状を有し、前記ハウジングの2つの平行面の間にしっかりと挟まれている、請求項1~11のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項13】
前記電極構造体は、2つの平行平板電極を備え、前記低剛性層は、前記ハウジングの前記2つの平行面の間の距離変化を、前記複合層に対して一様に作用する応力に変換するように構成される、請求項12に記載の振動センサ。
【請求項14】
前記圧電層上に配置された前記電極構造体は、前記基板層と反対の側に、互いに入り込んだ電極を備え、前記圧電層は、他方の側に、前記基板からの電気絶縁をもたらす絶縁層を備え、前記低剛性層は、前記電極面と、前記平行面の1つとの間に配置され、前記基板層は、前記対向する平行面に固定され、前記低剛性層はそれの互いに入り込んだ電極を用いて、前記剪断変形を、前記圧電層に対して作用する剪断応力に変換するように構成される、請求項12に記載の振動センサ。
【請求項15】
前記圧電層は、前記ハウジング内の2つの固定部位内に橋を形成するベンダの形を有し、前記電極構造体は、前記平行平板幾何形状内の前記圧電層の両側に配置された、2つの電極を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項16】
前記圧電層の厚さと、前記基板層の厚さとの比は、1:10未満である、請求項1~15のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項17】
振動エネルギーハーベスティングのために用いられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項18】
高品質AlN及びAlScNの成長の必要に応じて、及びスマート結晶カットに対して金属-金属結合を行う必要に応じて、低い粗さを有する表面を得るように金属性板を研磨するプロセスであって、前記プロセスは、化学機械研磨(CMP)を適用し、加えて、SiO薄膜など、前記表面を円滑にするために適切な薄膜層を使用する、プロセス。
【国際調査報告】