IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イエール ユニバーシティの特許一覧 ▶ ジェンナオ バイオ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-508309骨格筋疾患を治療するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】骨格筋疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20240216BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K47/68
C07K16/00 ZNA
C12N15/12
A61K39/395 L
A61K31/7105
A61K48/00
A61P21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553216
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022018780
(87)【国際公開番号】W WO2022187543
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/297,504
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/156,060
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503469393
【氏名又は名称】イエール ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】523069049
【氏名又は名称】ジェンナオ バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】クイジャーノ イライアス
(72)【発明者】
【氏名】グレイザー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ターナー ブルース シー.
(72)【発明者】
【氏名】スキント スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC09
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA94
4C085AA14
4C085CC23
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA94
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
治療用mRNAポリヌクレオチドと3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片との間に形成された複合体を投与することによって、ミオパチーを治療するための組成物及び方法が提供される。いくつかの事例では、本複合体は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約2:1のモル比によって安定化される。
【選択図】図12B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要がある対象において遺伝性骨格筋疾患を治療するための方法であって、
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片と(ii)骨格筋タンパク質をコードする治療用mRNAポリヌクレオチドとの間に形成された複合体を含む組成物の治療有効量を、非経口投与する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記治療用mRNAポリヌクレオチドが、
骨格筋ポリペプチドであって、その機能喪失型変異を前記対象が有する、骨格筋ポリペプチド
をコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片が、以下:
(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、
(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、
(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、
(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び
(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記遺伝性骨格筋疾患が、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝性骨格筋疾患が、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記非経口投与が、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも2:1のモル比を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも5:1のモル比を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも20:1のモル比を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも50:1のモル比を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも100:1のモル比を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、200:1以下のモル比を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、100:1以下のモル比を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~200:1のモル比を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~200:1のモル比を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~50:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、2000ヌクレオチド長以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~30:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、1000ヌクレオチド長以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~200:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、少なくとも2000ヌクレオチド長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、骨格筋タンパク質をコードする遺伝子についての少なくとも1つのバリアント形態を担持する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記骨格筋ポリペプチドが、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、Oグリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)からなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH(配列番号2)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH(配列番号2)と同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体又はその断片が、以下:
N末端からC末端へとVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を含む、重鎖、及び
N末端からC末端へとVL-CLを含む、軽鎖
を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒンジ-CH2-CH3が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4由来のFcドメインからなる群から選択されるFcドメインである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
その必要がある対象において遺伝性骨格筋疾患を治療するための方法であって、
前記方法が、
(i)核酸に結合する抗体又はその抗原結合断片と(ii)骨格筋ポリペプチドをコードする治療用mRNAポリヌクレオチドとの間に形成された複合体の治療有効量を、非経口投与する工程
を含み、
前記抗体又はその断片が、以下:
(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2、
(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3、
(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、
(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び
(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む、
前記方法。
【請求項28】
前記治療用mRNAポリヌクレオチドが、骨格筋ポリペプチドをコードする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記遺伝性骨格筋疾患が、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記遺伝性骨格筋疾患が、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記非経口投与が、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約2:1のモル比を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約5:1のモル比を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約20:1のモル比を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、約50:1以下のモル比を含む、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、約30:1以下のモル比を含む、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、約2:1~約50:1のモル比を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、約2:1~約30:1のモル比を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、骨格筋タンパク質をコードする遺伝子についての少なくとも1つのバリアント形態を担持する、請求項27~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記治療用ポリヌクレオチドが、前記骨格筋タンパク質に対応する骨格筋ポリペプチドをコードするmRNA分子である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記骨格筋ポリペプチドが、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、Oグリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)からなる群から選択される、請求項28~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記VL CDR1が、3E10-VL-CDR1m(配列番号61)のアミノ酸配列を有する、請求項27~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記VL CDR1が、3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を有する、請求項27~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記VL CDR2が、3E10-VL-CDR2m(配列番号62)のアミノ酸配列を有する、請求項27~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記VL CDR2が、3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を有する、請求項27~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記VL CDR3が、3E10-VL-CDR3m(配列番号63)のアミノ酸配列を有する、請求項27~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記VL CDR3が、3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を有する、請求項27~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記VH CDR1が、3E10-VH-CDR1m(配列番号58)のアミノ酸配列を有する、請求項27~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記VH CDR1が、3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を有する、請求項27~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記VH CDR2が、3E10-VH-CDR2m(配列番号59)から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項27~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記VH CDR2が、3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を有する、請求項27~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記VH CDR3が、3E10-VH-CDR3m(配列番号60)のアミノ酸配列を有する、請求項27~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記VH CDR3が、3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を有する、請求項27~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
3E10-VL(配列番号8)中の対応するVL CDRの配列と比較した、VL CDR中の任意のアミノ酸置換が、3E10-VL(配列番号8)中に存在する対応するアミノ酸と同じ電荷を有するアミノ酸への置換である、請求項27~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
3E10-VH_D31N(配列番号14)中の対応するVH CDRの配列と比較した、VH CDR中の任意のアミノ酸置換が、3E10-VH(配列番号14)中に存在する対応するアミノ酸と同じ電荷を有するアミノ酸への置換である、請求項27~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項27~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項27~41又は48~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項27~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項27~47、56、又は57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記抗体又はその断片が、以下:
N末端からC末端へとVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を含む、重鎖、及び
N末端からC末端へとVL-CLを含む、軽鎖
を含む、請求項27~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記ヒンジ-CH2-CH3が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4由来のFcドメインからなる群から選択されるFcドメインである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片と(ii)治療用ポリヌクレオチドとの間に形成された複合体を含む、医薬組成物であって、
(a)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(b)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも2:1のモル比
を含む、前記医薬組成物。
【請求項63】
前記治療用mRNAポリヌクレオチドが、骨格筋ポリペプチドをコードする、請求項62に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片が、以下:
(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、
(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、
(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、
(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び
(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む、請求項62又は63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも5:1のモル比を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも20:1のモル比を含む、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項67】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも50:1のモル比を含む、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項68】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも100:1のモル比を含む、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項69】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、200:1以下のモル比を含む、請求項62~68のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項70】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、100:1以下のモル比を含む、請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項71】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~200:1のモル比を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項72】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~200:1のモル比を含む、請求項71に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~50:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、2000ヌクレオチド長以下である、請求項62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~30:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、1000ヌクレオチド長以下である、請求項62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~200:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、少なくとも2000ヌクレオチド長である、請求項62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記骨格筋ポリペプチドが、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、Oグリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)からなる群から選択される、請求項63~75のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項62~76のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項62~76のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項79】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項62~78のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項80】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項62~78のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項81】
前記抗体又はその断片が、以下:
N末端からC末端へとVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を含む、重鎖、及び
N末端からC末端へとVL-CLを含む、軽鎖
を含む、請求項62~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項82】
前記ヒンジ-CH2-CH3が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4由来のFcドメインからなる群から選択されるFcドメインである、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
非経口投与用に製剤化されている、請求項62~82のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項84】
前記非経口投与が、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与である、請求項83に記載の医薬組成物。
【請求項85】
(i)核酸に結合する抗体又はその抗原結合断片と(ii)治療用mRNAポリヌクレオチドとの間に形成された複合体を含む、医薬組成物であって、
前記抗体又はその断片が、以下:
(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2、
(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3、
(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、
(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び
(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含み、かつ
前記医薬組成物が、
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも2:1のモル比
を含む、
前記医薬組成物。
【請求項86】
前記治療用mRNAポリヌクレオチドが、骨格筋ポリペプチドをコードする、請求項85に記載の医薬組成物。
【請求項87】
(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも5:1のモル比を含む、請求項85又は86に記載の医薬組成物。
【請求項88】
(i)前記抗体又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも20:1のモル比を含む、請求項87に記載の医薬組成物。
【請求項89】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも50:1のモル比を含む、請求項87に記載の医薬組成物。
【請求項90】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも100:1のモル比を含む、請求項87に記載の医薬組成物。
【請求項91】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、200:1以下のモル比を含む、請求項85~90のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項92】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、100:1以下のモル比を含む、請求項91に記載の医薬組成物。
【請求項93】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~200:1のモル比を含む、請求項85又は86に記載の医薬組成物。
【請求項94】
(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~200:1のモル比を含む、請求項93に記載の医薬組成物。
【請求項95】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~50:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、2000ヌクレオチド長以下である、請求項85又は86に記載の医薬組成物。
【請求項96】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~30:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、1000ヌクレオチド長以下である、請求項85又は86に記載の医薬組成物。
【請求項97】
前記組成物が、(i)3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、(ii)治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~200:1のモル比を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが、少なくとも2000ヌクレオチド長である、請求項85又は86に記載の医薬組成物。
【請求項98】
前記骨格筋ポリペプチドが、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、Oグリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)からなる群から選択される、請求項86~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項99】
前記VL CDR1が、3E10-VL-CDR1m(配列番号61)のアミノ酸配列を有する、請求項85~98のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項100】
前記VL CDR1が、3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を有する、請求項85~98のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項101】
前記VL CDR2が、3E10-VL-CDR2m(配列番号62)のアミノ酸配列を有する、請求項85~100のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項102】
前記VL CDR2が、3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を有する、請求項85~100のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項103】
前記VL CDR3が、3E10-VL-CDR3m(配列番号63)のアミノ酸配列を有する、請求項85~102のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項104】
前記VL CDR3が、3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を有する、請求項85~102のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項105】
前記VH CDR1が、3E10-VH-CDR1m(配列番号58)のアミノ酸配列を有する、請求項85~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項106】
前記VH CDR1が、3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を有する、請求項85~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項107】
前記VH CDR2が、3E10-VH-CDR2m(配列番号58)のアミノ酸配列を有する、請求項85~106のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項108】
前記VH CDR2が、3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を有する、請求項85~106のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項109】
前記VH CDR3が、3E10-VH-CDR3m(配列番号59)のアミノ酸配列を有する、請求項85~108のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項110】
前記VH CDR3が、3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を有する、請求項85~108のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項111】
3E10-VL(配列番号8)中の対応するVL CDRの配列と比較した、VL CDR中の任意のアミノ酸置換が、3E10-VL(配列番号8)中に存在する対応するアミノ酸と同じ電荷を有するアミノ酸への置換である、請求項85~110のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項112】
3E10-VH_D31N(配列番号14)中の対応するVH CDRの配列と比較した、HL CDR中の任意のアミノ酸置換が、3E10-VH_D31N(配列番号14)中に存在する対応するアミノ酸と同じ電荷を有するアミノ酸への置換である、請求項85~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項113】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項85~112のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項114】
前記抗体又はその断片が、3E10-VL(配列番号8)と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項85~98又は105~113のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項115】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項85~114のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項116】
前記抗体又はその断片が、3E10-VH_D31N(配列番号14)と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項85~104、113、又は114のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項117】
前記抗体又はその断片が、以下:
N末端からC末端へとVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を含む、重鎖、及び
N末端からC末端へとVL-CLを含む、軽鎖
を含む、請求項85~116のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項118】
前記ヒンジ-CH2-CH3が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4由来のFcドメインからなる群から選択されるFcドメインである、請求項117に記載の医薬組成物。
【請求項119】
非経口投与用に製剤化されている、請求項85~118のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項120】
前記非経口投与が、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与である、請求項119に記載の医薬組成物。
【請求項121】
遺伝性骨格筋疾患の治療のための薬剤の調製のための、請求項62~120のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項122】
前記遺伝性骨格筋疾患が、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項121に記載の使用。
【請求項123】
前記遺伝性骨格筋疾患が、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項121に記載の使用。
【請求項124】
遺伝性骨格筋疾患の治療のための、請求項62~120のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項125】
前記遺伝性骨格筋疾患が、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項124に記載の医薬組成物。
【請求項126】
前記遺伝性骨格筋疾患が、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項124に記載の医薬組成物。
【請求項127】
障害の治療において使用するための、請求項62~120のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項128】
遺伝性骨格筋障害の治療のための薬剤として使用するための、請求項62~120のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項129】
前記遺伝性骨格筋障害が、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項130】
前記遺伝性骨格筋障害が、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである、請求項128に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮特許出願第63/156,070号及び2022年1月7日に出願された米国仮特許出願第63/297,504号に対する優先権を主張するものであり、これらの内容は、全ての目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦支援の研究に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所により授与されたR35CA197574下で政府支援により作製されたものである。政府は、本発明にある特定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本開示は、概して、mRNAの骨格筋組織への標的送達によって骨格筋疾患を治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
ミオパチーは、骨格筋の臨床障害である。これらの障害は、典型的には、筋細胞構造及び/又は代謝の異常を特徴とし、筋力低下及び機能不全の様々なパターンをもたらす。大規模な遺伝子セットのうちの1つ以上における変異によって引き起こされる、多くのタイプの遺伝性ミオパチーが存在する。遺伝性ミオパチーを有する対象は、一般に、筋力低下、運動遅延、呼吸機能障害、及び延髄性筋機能不全に罹患している。多くの異なる形態の遺伝性ミオパチーの病因が十分に特徴付けられているため、タンパク質の機能的バージョンをコードする遺伝子又は転写物を罹患組織に送達する核酸ベースの療法を含むタンパク質補充療法は、これらの障害を治療するための魅力的な選択肢を提供する。実際に、かかる戦略の臨床試験がいくつかの遺伝性ミオパチーに対して開始されている。
【0005】
治療的mRNA送達は、遺伝子療法の適用を制限し、かつ予防的遺伝子療法の可能性を妨げる、生産の複雑さ、限定されたパッケージング能力、及び好ましくない免疫学的特徴を含む、ウイルスベクター及び合成リポソームベースの遺伝子療法に関連する制限及びリスクの多くを回避する可能性があるため、ミオパチーを治療するための魅力的な選択肢である(Seow and Wood,Mol Ther.17(5):767-777(2009)(非特許文献1))。
【0006】
しかしながら、mRNA療法は、改善された送達系の必要性によって制限される。例えば、mRNAは、細胞膜を容易に通過しない。この障害を克服するための従来のアプローチには、DNAベースの療法と同様の免疫学的課題を提示するリポソームベースの送達ビヒクルにmRNAをパッケージングすることが含まれる。更に、mRNAは、皮膚、組織、及び血液中に存在する細胞外リボヌクレアーゼによって容易に分解される。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Kowalski PS et al.,Mol Ther.,27(4):710-28(2019)(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Seow and Wood,Mol Ther.17(5):767-777(2009)
【非特許文献2】Kowalski PS et al.,Mol Ther.,27(4):710-28(2019)
【発明の概要】
【0008】
概要
上記の背景技術を考慮して、骨格筋疾患を治療するための改善された方法が必要である。mRNA療法は、骨格筋疾患の病因の根底にある遺伝学が十分に特徴付けられているため、これらの疾患の治療に有望な道を提示する。例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれる、Muscle Cell and Tissue-Current Status of Research Field,Edited by Kunihiro Sakuma,Chapter 6“Genetic Myopathies”(2018)を参照されたい。有利には、本開示は、リポソーム又はウイルスベクターベースの核酸送達に依存しない骨格筋疾患のmRNA療法のための組成物及び方法を提供する。いくつかの態様では、これらの組成物及び方法は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片を使用して、治療用mRNA分子をインビボで骨格筋組織に効率的に送達することができるという発見に少なくとも部分的に基づく。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法の有利な特性は、以下に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片が、全身投与又は筋肉内投与後に(他の組織又は器官との関連で)インビボで骨格筋組織に局在するという発見に少なくとも部分的に基づく。例えば、実施例3に記載され、図10に説明されるように、静脈内投与後、親3E10抗体及び3E10(D31N)バリアント抗体の両方が、他の非肝組織、例えば、脳組織、肺組織、心臓組織、脾臓組織、及び腎組織よりも骨格筋により高い濃度で蓄積した。有利には、骨格筋組織に対するこの指向性は、本明細書に記載の組成物及び方法で利用され、治療用mRNA分子を骨格筋組織に送達して、様々なミオパチーを治療する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法の有利な特性は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、mRNA分子に対するより高いモル比の使用により、mRNA分子のRNA分解からの保護がより一層高められるという発見に少なくとも部分的に基づく。例えば、実施例6に記載され、図13A及び図13Bに説明されるように、親3E10抗体及び3E10(D31N)バリアント抗体は、2:1及び20:1のモル比でmRNAをRNAse A媒介性RNA分解から保護し、20:1のモル比で得られた保護は、2:1で得られた保護を上回った。有利には、より高い3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片濃度で増加したmRNA保護を得たmRNAが本明細書に記載の組成物及び方法で利用され、インビボでmRNAを送達する治療用組成物の薬物動態特性を改善する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法の有利な特性は、治療用mRNAからの骨格筋組織における持続的なタンパク質発現が、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片と、治療用mRNAとの複合体の投与によって実現されるという発見に少なくとも部分的に基づく。例えば、実施例5に記載され、図12A~12Bに説明されるように、3E10(D31N)バリアント抗体-mRNA複合体の筋肉内投与により、少なくとも5日間にわたるmRNAによってコードされるルシフェラーゼの持続的な発現がもたらされた。有利には、これらの複合体の投与に起因する骨格筋組織における持続的な発現が本明細書に記載の組成物及び方法で利用され、長時間作用型組成物を用いてミオパチーを治療する。
【0012】
したがって、本開示の一態様は、治療用mRNAポリヌクレオチドと3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片との間に形成された複合体を含む組成物の治療有効量を、非経口投与することによって、その必要がある対象において遺伝性骨格筋疾患を治療するための方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、骨格筋ポリペプチドをコードする治療用mRNAポリヌクレオチドと3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片との間に形成された複合体の医薬組成物であって、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも2:1のモル比を有する、医薬組成物を提供する。
【0014】
本明細書に記載の方法及び組成物のいくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0015】
本明細書に記載の方法及び組成物のいくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、(a)3E10-VL-CDR1(配列番号9)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、(b)3E10-VL-CDR2(配列番号10)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2、(c)3E10-VL-CDR3(配列番号11)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3、(d)3E10-VH-CDR1a(配列番号16)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、(e)3E10-VH-CDR2(配列番号4)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び(f)3E10-VH-CDR3(配列番号5)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0016】
本明細書に記載の方法及び組成物のいくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、(a)3E10-VL-CDR1m(配列番号61)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、(b)3E10-VL-CDR2m(配列番号62)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、(c)3E10-VL-CDR3m(配列番号63)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、(d)3E10-VH-CDR1m(配列番号58)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、(e)3E10-VH-CDR2m(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び(f)3E10-VH-CDR3m(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本特許又は出願ファイルには、カラーで作成される少なくとも1つの図面が含まれる。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開の写しは、要請に応じて、かつ必要な料金の支払いを済ませた後に、特許商標庁によって提供される。
【0018】
図1】親3E10モノクローナル抗体のアミノ酸配列を説明する。
図2A図2A図2B、及び図2Cは、本開示のいくつかの実施形態による、3E10モノクローナル抗体のD31Nバリアント(図2A)、他のCDRバリアント(図2B)、及び追加で企図されるCDRバリアント(図2C)のアミノ酸配列を説明する。
図2B図2Aの説明を参照のこと。
図2C図2Aの説明を参照のこと。
図3】本開示の様々な実施形態による、3E10モノクローナル抗体の電荷保存CDRバリアントの例を説明する。
図4】本開示の様々な実施形態による、3E10モノクローナル抗体のアミノ酸置換、電荷保存アミノ酸置換、及び合理的に設計されたアミノ酸置換の組み合わせを含むCDRバリアントの例を説明する。
図5】ヒト化3E10重鎖可変領域の例の配列アライメントを説明し、示されるようにCDRには下線が引かれている。
図6】ヒト化3E10軽鎖可変領域の例の配列アライメントを説明し、示されるようにCDR及び推定核局在化シグナル(NLS)には下線が引かれている。
図7A図7A図7B図7C図7D、及び図7Eは総じて、3E10モノクローナル抗体のヒト化di-scFv構築物の例の配列アライメントを説明する。
図7B図7Aの説明を参照のこと。
図7C図7Aの説明を参照のこと。
図7D図7Aの説明を参照のこと。
図7E図7Aの説明を参照のこと。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、経時的な(IM注射後の日数)mRNAのマウス筋肉(IM)への3E10媒介性送達(生物発光(光子/秒))を示す線グラフを図解する。
図9-1】図9A図9B、及び図9Cは総じて、静脈内投与後のマウス骨格筋における蛍光標識3E10(D31N)抗体局在化を示す。図9A及び図9Bは、投与の24時間後にIVIS(Perkin Elmer)で取得した、対照組成物(図9A)又は蛍光標識3E10(D31N)抗体(図9B)の静脈内注射後のマウス骨格筋における蛍光の画像である。図9Cは、IVIS画像中の蛍光を定量した棒グラフである。
図9-2】図9-1の説明を参照のこと。
図10】100μg又は200μgの、VivoTag680で標識した3E10-D31Nの、マウスへの静脈内注射の24時間後の、3E10-D31Nの組織への用量依存的生体内分布のIVIS画像中の蛍光を定量した棒グラフである(Perkin Elmer)。
図11A図11A及び図11Bは、推定核酸結合ポケット(NAB1)を明らかにする、3E10-scFv構築物の分子モデルの静電表面電位レンダリングを説明する。加えて、図11Aは、残基HC CDR1残基31でのアミノ酸置換によって誘導される、予測される構造変化及び静電位変化を示す。図11Bは、点状のドットで強調されたNAB1アミノ酸残基を有する3E10-scFvの分子モデリング(Pymol)の図解である。図11Cは、図11A及び図11Bに示される分子モデリングによって特定される推定核酸結合ポケットの、3E10-scFv構築物のアミノ酸配列へのマッピングを説明する。
図11B図11Aの説明を参照のこと。
図11C図11Aの説明を参照のこと。
図12A図12A及び図12Bは、3E10(D31N)-mRNA構築物の筋肉内投与後の骨格筋におけるmRNAの発現を示す。図12Aは、3E10(D31N)と複合体化されたルシフェラーゼをコードするmRNAの筋肉内投与後の5日間の時間経過にわたるマウスの蛍光画像を示す。図12Bは、全てのピクセルにわたる平均放射輝度を定量する棒グラフを説明し、対照マウス(未処理)及び3E10(D31N)-mRNA構築物を筋肉内投与したマウスの画像中の単一のマウスにおける蛍光を示す。
図12B図12Aの説明を参照のこと。
図13A図13A及び図13Bは、20:1(図13A)及び2:1(図13B)のモル比で調製した3E10(D31N)-mRNA構築物を用いて行ったゲル電気泳動分析mRNA保護アッセイを示す。
図13B図13Aの説明を参照のこと。
図14】実施例7に記載される、89Zr標識アイソタイプ対照、3E10-WT、及び3E10-D31N抗体の投与後の細胞質、膜、核タンパク質、及びgDNA画分のヒストグラムを示す。
図15】実施例8に記載される、1:1、2:1、5:1、10:1、及び100:1(3E10:mRNA)のモル比で調製した、3E10と14kbのヒトジストロフィンタンパク質をコードするmRNAとの間に形成された複合体を用いて行ったmRNA保護アッセイのゲル電気泳動分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本開示は、困難で高価な生産、限定されたパッケージング能力、及び有害な免疫学的事象に関連する従来のウイルスベース又はリポソームベースの送達方法論に依存しない、治療用mRNA分子をインビボで送達するための組成物及び方法を提供する。以下により詳細に記載されるいくつかの態様では、これらの組成物及び方法は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片を使用して、治療用mRNA分子をインビボで骨格筋組織に効率的に送達することができるという発見に少なくとも部分的に基づく。
【0020】
具体的には、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片が、細胞膜を横断してmRNAを細胞質に輸送するのに役立つことが発見された。したがって、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片を使用して、特に骨格筋組織へのmRNAの送達を増強するための組成物及び方法が提供される。
【0021】
定義
本開示で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するようには意図されていない。発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形態も含むよう意図されている。本明細書で使用される「及び/又は」という用語が、関連する列記された品目のうちの1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、かつそれらを包含することも理解されるであろう。文脈が別途必要としない限り、本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(comprising)」という用語、又はそれらのあらゆる変形が、明記された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を妨げないことが更に理解されるであろう。更に、「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形物が、発明を実施するための形態及び/又は特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、かかる用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の様式で包括的であるよう意図されている。
【0022】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別途指示されない限り、その範囲内にある各々の別個の値を個別に参照する簡易的な方法としての役割を果たすよう単に意図されており、各々の別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み入れられる。
【0023】
「約」という用語の使用は、およそ±10%の範囲内で明記された値を上回る値又は下回る値のいずれかの値を説明するよう意図されている。
【0024】
本明細書における「抗原結合ドメイン」又は「ABD」とは、ポリペプチド配列の一部として存在する場合、本明細書で論じられるように標的抗原に特異的に結合する、6つの相補性決定領域(CDR)のセットを意味する。したがって、「核酸結合ドメイン」は、本明細書に概説されるように核酸抗原に結合する。当該技術分野で知られているように、これらのCDRは、概して、可変重鎖CDR(vhCDR又はVHCDR)の第1のセット及び可変軽鎖CDR(vlCDR又はVLCDR)の第2のセットとして存在し、各々、3つのCDR、重鎖の場合、vhCDR1、vhCDR2、vhCDR3、軽鎖の場合、vlCDR1、vlCDR2、及びvlCDR3を含む。CDRは、それぞれ、可変重鎖ドメイン及び可変軽鎖ドメインに存在し、一緒にFv領域を形成する。(CDR番号付けスキームについては、表1及び上記の関連する論議を参照されたい)。したがって、いくつかの事例では、抗原結合ドメインの6つのCDRは、可変重鎖ドメイン及び可変軽鎖ドメインによって寄与される。「Fab」形式では、6つのCDRのセットは、2つの異なるポリペプチド配列、すなわち、可変重鎖ドメイン(vh又はVH;vhCDR1、vhCDR2、及びvhCDR3を含む)及び可変軽鎖ドメイン(vl又はVL;vlCDR1、vlCDR2、及びvlCDR3を含む)によって寄与され、vhドメインのC末端が重鎖のCH1ドメインのN末端に結合しており、vlドメインのC末端が定常軽鎖ドメインのN末端に結合している(それ故に、軽鎖を形成する)。scFv形式では、vhドメイン及びvlドメインは、一般に、本明細書に概説されるようにリンカー(「scFvリンカー」)の使用により、単一のポリペプチド配列に共有結合しており、これは、(N末端から始まる)vh-リンカー-vl又はvl-リンカー-vhのいずれかとすることができ、前者が一般に好ましい(使用される形式に応じて、各々の側に任意選択的なドメインリンカーを含む)。一般に、scFvドメインのC末端は、第2のモノマー中のヒンジのN末端に結合している。
【0025】
当業者であれば理解するであろうように、CDRの正確な番号付け及び配置は、様々な番号付けシステム間で異なり得る。しかしながら、可変重鎖配列及び/又は可変軽鎖配列の開示が関連する(固有の)CDRの開示を含むことを理解されたい。したがって、各々の可変重鎖領域の開示は、vhCDR(例えば、vhCDR1、vhCDR2、及びvhCDR3)の開示であり、各々の可変軽鎖領域の開示は、vlCDR(例えば、vlCDR1、vlCDR2及びvlCDR3)の開示である。CDR番号付けに有用な比較は以下のとおりであり、Lafranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27(1):55-77(2003)を参照されたい。
【0026】
(表1)
【0027】
本明細書を通して、Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン中の残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1~107及び重鎖可変領域の残基1~113)を参照する際に使用され、EU番号付けシステムは、一般に、Fc領域を参照する際に使用される(例えば、Kabat et al.,上記(1991))を参照する際に一般に使用される(例えば、Kabat et al.,(上記参照)(1991))。EUインデックス又はKabatにあるようなEUインデックス又はEU番号付けスキームは、EU抗体の番号付けを指す。Kabatらは、重鎖及び軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存の程度に基づいて、Kabatらは、個々の一次配列をCDR及びフレームワークに分類し、そのリストを作成した。内容が参照により本明細書に組み込まれる、SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th edition,NIH publication,No.91-3242,E.A.Kabat et al.、Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85を参照されたい。修飾は、付加、欠失、又は置換とすることができる。
【0028】
本明細書で使用される「標的抗原」とは、所与の抗体の可変領域を含む抗原結合ドメインによって特異的に結合される分子を意味する。以下で論じられるように、本事例では、標的抗原は、核酸である。
【0029】
以下に記載されるように、いくつかの実施形態では、親ポリペプチド、例えば、Fc親ポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4由来の重鎖定常領域又はFc領域などのヒト野生型配列であるが、バリアントを有するヒト配列は、「親ポリペプチド」として機能することもでき、例えば、米国公開第2006/0134105号のIgG1/2ハイブリッドが挙げられ得る。本明細書におけるタンパク質バリアント配列は、好ましくは、親タンパク質配列と少なくとも約75%の同一性、又は親タンパク質配列と少なくとも約80%の同一性を有し、最も好ましくは、少なくとも約90%の同一性、より好ましくは、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるタンパク質バリアント配列は、親タンパク質配列と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する。したがって、本明細書で使用される「抗体バリアント」又は「バリアント抗体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾が親抗体とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「IgGバリアント」又は「バリアントIgG」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾が親IgG(この場合も、多くの場合、ヒトIgG配列)とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「免疫グロブリンバリアント」又は「バリアント免疫グロブリン」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾が親免疫グロブリン配列のものとは異なる免疫グロブリン配列を意味する。本明細書で使用される「Fcバリアント」又は「バリアントFc」とは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のFcドメインと比較して、Fcドメインにアミノ酸修飾を含むタンパク質を意味する。
【0030】
本明細書で使用される「アイソタイプ」とは、免疫グロブリンのサブクラスのうちのいずれかを意味し、これらは、それらの定常領域の化学的特性及び抗原的特性によって定義される。治療用抗体がアイソタイプ及び/又はサブクラスのハイブリッドも含み得ることを理解されたい。
【0031】
本明細書で使用される「Fab」又は「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、及びCL免疫グロブリンドメインを、一般に2つの異なるポリペプチド鎖上に含む(例えば、一方の鎖上にVH-CH1を含み、他方の鎖上にVL-CLを含む)ポリペプチドを意味する。Fabとは、この領域を別個に指し得るか、又は本開示の抗体との関連でこの領域を指し得る。Fabとの関連で、Fabは、CH1ドメイン及びCLドメインに加えて、Fv領域を含む。
【0032】
本明細書で使用される「Fv」又は「Fv断片」又は「Fv領域」とは、ABDのVLドメイン及びVHドメインを含むポリペプチドを意味する。Fv領域は、Fab(上で論じたように、一般に2つの異なるポリペプチド(上で概説した定常領域も含む))及びscFvの両方としてフォーマットすることができ、vlドメインとvhドメインが組み合わせられて、(一般に本明細書で論じたリンカーと)scFvを形成する。
【0033】
本明細書における「一本鎖Fv」又は「scFv」とは、可変軽鎖ドメインに共有結合した可変重鎖ドメインを意味し、一般に、本明細書で論じられるscFvリンカーを使用して、scFvドメイン又はscFvドメインを形成する。scFvドメインは、N末端からC末端のいずれか(vh-リンカー-vl又はvl-リンカー-vh)の配向であり得る。配列表及び図に示される配列では、vhドメイン及びvlドメインの順序は、名称に示され、例えば、H.X_L.Yは、N末端からC末端へとvh-リンカー-vlを意味し、L.Y_H.Xは、vl-リンカー-vhである。
【0034】
本明細書で使用される「Fc」又は「Fc領域」又は「Fcドメイン」とは、IgG分子のCH2-CH3ドメインを含むポリペプチドを意味し、いくつかの事例では、ヒンジを含む。ヒトIgG1のEU番号付けでは、CH2-CH3ドメインは、アミノ酸231~447を含み、ヒンジは、216~230である。したがって、「Fcドメイン」の定義は、両方のアミノ酸231~447(CH2~CH3)又は216~447(ヒンジ-CH2~CH3)、又はその断片を含む。この文脈における「Fc断片」は、N末端及びC末端のいずれか又は両方由来のより少ない数のアミノ酸を含み得るが、一般にサイズ(例えば、非変性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなど)に基づいて、標準の方法を使用して検出することができる別のFcドメイン又はFc断片と二量体を形成する能力を依然として保持する。ヒトIgG Fcドメインは、本開示において特に有用なものであり、ヒトIgG1、IgG2、又はIgG4由来のFcドメインとすることができる。
【0035】
「バリアントFcドメイン」は、親Fcドメインと比較してアミノ酸修飾を含む。したがって、「バリアントヒトIgG1 Fcドメイン」は、ヒトIgG1 Fcドメインと比較して、アミノ酸修飾(一般にアミノ酸置換であるが、切断バリアントの場合、アミノ酸欠失が含まれる)を含むものである。概して、バリアントFcドメインは、対応する親ヒトIgG Fcドメインと少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%の同一性を有する(以下で論じられる同一性アルゴリズムを使用し、一実施形態は、当該技術分野で既知のBLASTアルゴリズムを利用し、デフォルトパラメータを使用する)。あるいは、バリアントFcドメインは、親Fcドメインと比較して、1~約20個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個)のアミノ酸修飾を有することができる。加えて、本明細書で論じられるように、本明細書のバリアントFcドメインは、非変性ゲル電気泳動などの本明細書に記載の既知の技法を使用して測定される、別のFcドメインと二量体を形成する能力を保持する。
【0036】
本明細書における「重鎖定常領域」とは、可変重鎖ドメインを除く抗体(又はその断片)のCH1-ヒンジ-CH2-CH3部分を意味し、ヒトIgG1のEU番号付けでは、これは、アミノ酸118~447である。本明細書における「重鎖定常領域断片」とは、N末端及びC末端のいずれか又は両方由来のより少ない数のアミノ酸を含むが、別の重鎖定常領域と二量体を形成する能力を依然として保持する重鎖定常領域を意味する。
【0037】
本明細書で使用される「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、それぞれ、カッパ、ラムダ、及び重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成する、Vκ、Vλ、及び/又はVH遺伝子のうちのいずれかによって実質的にコードされる1つ以上のIgドメインを含み、かつ抗原特異性を付与するCDRを含む、免疫グロブリンの領域を意味する。したがって、「可変重鎖ドメイン」は、「可変軽鎖ドメイン」と対になって、抗原結合ドメイン(「ABD」)を形成する。加えて、各々の可変ドメインは、以下の順序:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される、3つの超可変領域(「相補的決定領域」、「CDR」)(可変重鎖ドメインの場合、vhCDR1、vhCDR2、及びvhCDR3、可変軽鎖ドメインの場合、vlCDR1、vlCDR2、及びvlCDR3)並びに4つのフレームワーク(FR)領域を含む。
【0038】
本明細書で使用される「IgGサブクラス修飾」又は「アイソタイプ修飾」とは、1つのIgGアイソタイプの1つのアミノ酸を、異なる整列したIgGアイソタイプの対応するアミノ酸に変換するアミノ酸修飾を意味する。例えば、EUの296位にIgG1がチロシンを含み、IgG2がフェニルアラニンを含むため、IgG2におけるF296Y置換は、IgGサブクラス修飾とみなされる。
【0039】
本明細書で使用される「非天然型修飾」とは、アイソタイプではないアミノ酸修飾を意味する。例えば、ヒトIgGのいずれも434位にセリンを含まないため、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4における434Sは、非天然型修飾とみなされる。
【0040】
本開示の抗体は、概して、単離されているか、又は組み換えである。「単離された」とは、本明細書に開示される様々なポリペプチドを説明するために使用される場合、ポリペプチドが発現された細胞又は細胞培養物から特定及び分離された並びに/又は回収された当該ポリペプチドを意味する。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。「組換え」とは、組換え核酸技法を使用して抗体が外因性宿主細胞に生成され、それらを単離することもできることを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「細胞透過性抗体」という用語は、生きている哺乳動物細胞の細胞質及び/又は核中に輸送される、それに基づく免疫グロブリンタンパク質、その断片、そのバリアント、又は融合タンパク質を指す。「細胞透過性抗DNA抗体」は、DNA(例えば、一本鎖及び/又は二本鎖DNA)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、担体又は共役体の助けを借りずに細胞の細胞質中に輸送される。他の実施形態では、抗体は、細胞透過性ペプチドなどの細胞透過性部分に共役される。いくつかの実施形態では、細胞透過性抗体は、担体又は共役体あり又はなしで核中に輸送される。
【0042】
本明細書における「骨格筋ポリペプチド」とは、骨格筋疾患、例えば、骨格筋疾患をもたらす変異が存在する、タンパク質又はそのポリペプチド鎖に遺伝的に関連した、タンパク質又はそのポリペプチド鎖と実質的に類似した構造及び機能を有するポリペプチドを意味する。「骨格筋ポリペプチド」という用語は、骨格筋タンパク質の野生型バージョン及びそのポリペプチド鎖、骨格筋タンパク質の天然型バリアントバージョン及びそのポリペプチド鎖、並びに骨格筋タンパク質の操作型バージョン及びそのポリペプチド鎖を包含する。骨格筋ポリペプチドは、骨格筋タンパク質又はそのポリペプチド鎖の様々な相同体を含むが、これらに限定されない、骨格筋疾患に遺伝的に関連した、タンパク質又はそのポリペプチド鎖における変異によって失われた機能を部分的に又は完全にレスキューする機能を有するタンパク質及びそのポリペプチド鎖を包含するようにも意図されている。
【0043】
本明細書における「修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失を意味する。
【0044】
本明細書で使用される「バリアントタンパク質」又は「タンパク質バリアント」又は「バリアント」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾が親タンパク質のものとは異なるタンパク質を意味する。タンパク質バリアントは、親タンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾を有するが、バリアントタンパク質が以下に記載のものなどのアライメントプログラムを使用して親タンパク質と整列しないほど多くは有しない。一般に、バリアントタンパク質(本明細書に概説されるバリアントFcドメインなどは、概して、BLASTなどの以下に記載のアライメントプログラムを使用して、親タンパク質と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%同一である。
【0045】
2つの類似した配列(例えば、抗体可変ドメイン)間の配列同一性は、Smith,T.F.& Waterman,M.S.(1981)“Comparison Of Biosequences,”Adv.Appl.Math.2:482[局所相同性アルゴリズム]、Needleman,S.B.& Wunsch,CD.(1970)“A General Method Applicable To The Search For Similarities In The Amino Acid Sequence Of Two Proteins,”J.Mol.Biol.,48:443[相同性アライメントアルゴリズム]、Pearson,W.R.& Lipman,D.J.(1988)“Improved Tools For Biological Sequence Comparison,”Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444[類似性方法の検索]、又はAltschul,S.F.et al,(1990)“Basic Local Alignment Search Tool,”J.Mol.Biol.215:403-10のアルゴリズムなどのアルゴリズムにより測定することができ、「BLAST」アルゴリズムについては、URLのウェブサイトblast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiを参照されたい。前述のアルゴリズムのうちのいずれかを使用する場合、デフォルトパラメータ(ウィンドウ長、ギャップペナルティなど)が使用される。別途明記されない限り、配列同一性は、デフォルトパラメータを使用するBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、投与の標的である任意の個体を意味する。対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物とすることができる。したがって、対象は、ヒトとすることができる。この用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、使用される組成物の量が、疾患又は障害の1つ以上の原因又は症状を寛解させるのに十分な量のものであることを意味する。かかる寛解は、軽減又は変化のみを必要とし、必ずしも除去を必要としない。正確な投薬量は、様々な要因、例えば、対象依存的可変要因(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、治療されている疾患又は障害、並びに投与経路及び投与されている薬剤の薬物動態によって変動するであろう。
【0048】
本明細書で使用される場合、「担体」又は「賦形剤」という用語は、1つ以上の活性成分が組み合わせられる、製剤中の有機又は無機成分、天然又は合成不活性成分を指す。担体又は賦形剤は、当業者に周知であろうように、有効成分の分解を最小限に抑えるか、又は対象における有害な副作用を最小限に抑えるように必然的に選択されるであろう。
【0049】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、疾患、病理学的状態、又は障害を治癒する、寛解させる、安定させる、又は予防することを意図した患者の医療管理を指す。この用語は、能動的治療、すなわち、疾患、病理学的状態、又は障害の改善を特に目的とした治療を含み、原因治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の原因の除去を目的とした治療も含む。加えて、この用語は、緩和的治療、すなわち、疾患、病理学的状態、又は障害の治癒ではなく、症状の軽減のために設計された治療、予防的治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の発生を最小限に抑える、又は部分的に若しくは完全に阻止することを目的とした治療、及び支持的治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の改善を目的とした別の特定の療法を補足するために用いられる治療を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「遺伝性骨格筋疾患」という用語は、主に骨格筋組織に影響を及ぼす遺伝的根拠を有する障害を指す。遺伝性ミオパチーは、筋肉構造及び機能において機能するタンパク質をコードする様々な遺伝子の変異によって引き起こされる。遺伝性ミオパチーは、典型的には、骨格筋の衰弱及び筋緊張低下として現れる。異なるタイプの遺伝性ミオパチーの非限定的な例は、表2に提供される。
【0051】
3E10抗体、そのバリアント、及びその断片
いくつかの態様では、本開示は、対象における骨格筋組織に治療用mRNA分子を送達するための、例えば、遺伝性骨格筋疾患を治療するための、3E10抗体及びその誘導体の使用に関する。以下で論じられるように、抗体という用語は一般に使用される。本開示で使用される抗体は、様々な実施形態で本明細書に記載される、伝統的な抗体、並びに抗体誘導体、断片、及び模倣物を含む、本明細書に記載のいくつかの形式をとる。
【0052】
伝統的な抗体構造単位は、典型的には、四量体を含む。四量体は各々、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成されており、各々の対は、1つの「軽鎖」(典型的には、約25kDaの分子量を有する)及び1つの「重鎖」(典型的には、約50~70kDaの分子量を有する)を有する。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。本開示は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むが、これらに限定されない、いくつかのサブクラスを有するIgGクラスに一般に基づく抗体を対象とする。一般に、IgG1、IgG2、及びIgG4は、IgG3よりも頻繁に使用される。IgG1が356(D又はE)及び358(L又はM)に多型を有する異なるアロタイプを有することに留意されたい。
【0053】
軽鎖は、一般に、可変軽鎖ドメイン(軽鎖CDRを含み、可変重鎖ドメインと一緒にFv領域を形成する)及び定常軽鎖領域(多くの場合、CL又はCκと称される)の2つのドメインを含む。重鎖は、可変重鎖ドメイン及び定常ドメインを含み、CH2-CH3を含むCH1-任意選択的ヒンジ-Fcドメインを含む。
【0054】
抗体の超可変領域は、概して、軽鎖可変領域内のアミノ酸残基約24~34(LCDR1、「L」は軽鎖を意味する)、50~56(LCDR2)、及び89~97(LCDR3)、並びに重鎖可変領域内の約31~35B(HCDR1、「H」は重鎖を意味する)、50~65(HCDR2)、及び95~102(HCDR3)由来のアミノ酸残基(Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、並びに/又は超可変ループを形成する残基(例えば、軽鎖可変領域内の残基26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)、及び91~96(LCDR3)、並びに重鎖可変領域内の26~32(HCDR1)、53~55(HCDR2)、及び96~101(HCDR3)(Chothia and Lesk(1987)J.Mol.Biol.196:901-917)を包含する。本明細書に記載の組成物及び方法に有用な特定のCDRが以下に記載される。
【0055】
当業者であれば理解するであろうように、CDRの正確な番号付け及び配置は、様々な番号付けシステム間で異なり得る。しかしながら、可変重鎖配列及び/又は可変軽鎖配列の開示が関連する(固有の)CDRの開示を含むことを理解されたい。したがって、各々の可変重鎖領域の開示は、vhCDR(例えば、vhCDR1、vhCDR2、及びvhCDR3)の開示であり、各々の可変軽鎖領域の開示は、vlCDR(例えば、vlCDR1、vlCDR2及びvlCDR3)の開示である。CDR番号付けに有用な比較は、Lafranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27(1):55-77(2003)に記載されている。
【0056】
本明細書を通して、Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン中の残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1~107及び重鎖可変領域の残基1~113)を参照する際に使用され、EU番号付けシステムは、一般に、Fc領域を参照する際に使用される(例えば、Kabat et al.,上記(1991))を参照する際に一般に使用される(例えば、Kabat et al.,(上記参照)(1991))。
【0057】
本開示は、多数の異なるCDRセットを提供する。この事例では、「完全CDRセット」は、3つの可変軽鎖及び3つの可変重鎖CDR、例えば、vlCDR1、vlCDR2、vlCDR3、vhCDR1、vhCDR2、及びvhCDR3を含む。これらは、丁重に、より大きい可変軽鎖ドメイン又は可変重鎖ドメインの一部とすることができる。加えて、本明細書により完全に概説されるように、可変重鎖ドメイン及び可変軽鎖ドメインは、重鎖及び軽鎖が使用される場合(例えば、Fabが使用される場合)、別個のポリペプチド鎖上に存在することができるか、又はscFv配列の場合、単一のポリペプチド鎖上に存在することができる。
【0058】
CDRは、抗体の抗原結合部位、より具体的には、エピトープ結合部位の形成に寄与する。「エピトープ」とは、パラトープとして既知の抗体分子の可変領域内の特定の抗原結合部位と相互作用する決定基を指す。エピトープは、核酸、アミノ酸、又は糖側鎖などの分子のグループ分けであり、通常、特定の構造特性、並びに特定の電荷特性を有する。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。本明細書に記載の抗体は、部分的に配列非依存的な様式で核酸エピトープに結合する。すなわち、本明細書に記載の抗体が他の核酸構造及び配列よりも高い親和性でいくつかのポリヌクレオチド構造及び配列に結合する一方で、それらはポリヌクレオチドに対していくらかの一般的な親和性を有する。
【0059】
重鎖の「Fcドメイン」は、-CH2-CH3ドメイン、及び任意選択的にヒンジドメイン(-H-CH2-CH3)を含む。IgGの場合、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCH2及びCH3(Cγ2及びCγ3)、並びにCH1(Cγ1)とCH2(Cγ2)との間の下部ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界が変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシル末端に残基C226又はP230を含むように規定され、番号付けは、KabatにあるようなEUインデックスに従う。したがって、IgGとの関連での「CH」ドメイン、は以下のとおりである。「CH1」は、KabatにあるようなEUインデックスに従う118~215位を指す。「ヒンジ」は、KabatにあるようなEUインデックスに従う216~230位を指す。「CH2」は、KabatにあるようなEUインデックスに従う231~340位を指し、「CH3」は、KabatにあるようなEUインデックスに従う341~447位を指す。したがって、「Fcドメイン」は、-CH2-CH3ドメイン、及び任意選択的にヒンジドメイン(ヒンジ-CH2-CH3)を含む。本明細書における実施形態では、scFvがFcドメインに結合している場合、Fcドメインのヒンジの全て又は一部に結合しているのは、一般にscFv構築物のC末端であり、例えば、これは、一般に、ヒンジの始まりである配列EPKSに結合している。いくつかの実施形態では、以下により完全に記載されるように、アミノ酸修飾は、例えば、1つ以上のFcγR受容体又はFcRn受容体への結合を変化させ、かつ本明細書に概説されるように、ヘテロ二量体の形成及び精製を可能にするために、Fc領域に対して行われる。
【0060】
重鎖の別の部分は、ヒンジ領域である。本明細書における「ヒンジ」又は「ヒンジ領域」又は「抗体ヒンジ領域」又は「ヒンジドメイン」とは、抗体の第1の定常ドメインと第2の定常ドメインとの間にアミノ酸を含む可動性ポリペプチドを意味する。構造的に、IgG CH1ドメインは、EUの215位で終了し、IgG CH2ドメインは、残基のEUの231位で開始する。したがって、IgGの場合、抗体ヒンジは、本明細書において、216位(IgG1におけるE216)~230位(IgG1におけるp230)を含むと定義され、番号付けは、KabatにあるようなEUインデックスに従う。いくつかの事例では、ヒンジドメインのN末端及びC末端のいずれか又は両方により少ないアミノ酸を含む「ヒンジ断片」が使用される。
【0061】
scFvは、可変重鎖、scFvリンカー、及び可変軽鎖ドメインを含む。本明細書に概説される構築物及び配列の多くでは、可変重鎖のC末端は、scFvリンカーのN末端に結合しており、そのC末端は、可変軽鎖のN末端に結合している(N-vh-リンカー-vl-C)が、切り替えることができる(N-vl-リンカー-vh-C)。
【0062】
したがって、本開示は、異なる抗体ドメインに関する。本明細書に記載され、かつ当該技術分野で知られているように、本開示のある特定の実施形態に記載されるヘテロ二量体抗体は、重鎖及び軽鎖内に異なるドメインを含み、それらドメインは重複している可能性もある。これらのドメインには、Fcドメイン、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、重鎖定常ドメイン(CH1-ヒンジ-Fcドメイン又はCH1-ヒンジ-CH2-CH3)、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、軽鎖定常ドメイン、Fabドメイン、及びscFvドメインが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、特定の生殖系列重鎖免疫グロブリン遺伝子由来の重鎖可変領域及び/又は特定の生殖系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来の軽鎖可変領域を含む。例えば、かかる抗体は、特定の生殖系列配列、例えば、3E10抗体の生殖系列配列「の産物」である又はそれ「に由来」する、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含むヒト抗体を含み得る又はそれからなり得る。ヒト生殖系列免疫グロブリン配列「の産物」である又はそれ「に由来」するヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、ヒト抗体の配列に最も近い(すなわち、最大%同一性)配列であるヒト生殖系列免疫グロブリン配列を選択することによって(本明細書に概説される方法を使用して)、そのように特定することができる。特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列「の産物」である又はそれ「に由来」するヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞変異又は部位特異的変異の意図的な導入に起因して、生殖系列配列と比較してアミノ酸差異を含み得る。しかしながら、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、かつ他の種の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖系列配列)と比較して、抗体をヒト配列に由来すると特定するアミノ酸残基を含む。ある特定の事例では、ヒト化抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列が少なくとも95%、96%、97%、98%、若しくは99%、又は更には少なくとも96%、97%、98%、又は99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト化抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10~20個以下のアミノ酸差異を提示する。ある特定の事例では、ヒト化抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5個以下、又は4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下のアミノ酸差異を提示し得る。
【0064】
一実施形態では、親抗体は、当該技術分野で知られているように、親和性成熟している。構造ベースの方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUSSN 11/004,590に記載のヒト化及び親和性成熟に用いられ得る。全て参照により本明細書に組み込まれる、Wu et al.,1999,J.Mol.Biol.294:151-162、Baca et al.,1997,J.Biol.Chem.272(16):10678-10684、Rosok et al.,1996,J.Biol.Chem.271(37):22611-22618、Rader et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8910-8915、Krauss et al.,2003,Protein Engineering 16(10):753-759に記載の方法を含むが、これらに限定されない、選択ベースの方法を用いて、抗体可変領域をヒト化する及び/又は親和性成熟させることができる。全て参照により本明細書に組み込まれる、USSN 09/810,510、Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119-1125、De Pascalis et al.,2002,J.Immunol.169:3076-3084に記載の方法を含むが、これらに限定されない、他のヒト化方法は、CDRの部分のみをグラフトすることを含み得る。
【0065】
いくつかの態様では、本開示は、核酸に結合し、かつ3E10抗体に由来するmRNA分子に特異的に結合する抗原結合ドメイン(ABD)の使用に関する。親3E10抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列が図1に示される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、図1に示される親3E10抗体に対応するCDR配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1(配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2(配列番号4)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3(配列番号5)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、図2に示されるように、VH CDR1にD31Nアミノ酸置換を含むバリアント3E10抗体由来のCDR配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片は、3E10-VL-CDR1_D31N(配列番号22)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2_D31N(配列番号23)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3_D31N(配列番号24)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1_D31N(配列番号15)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2_D31N(配列番号17)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3_D31N(配列番号18)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、任意選択的にVH CDR1にD31Nアミノ酸置換を含む、図1に示される親3E10抗体に対応するCDR配列を指す。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1(配列番号9)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1a(配列番号16)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2(配列番号10)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3(配列番号11)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、図1に示される親3E10抗体に対応するCDR配列を含み、1つ以上のCDRに既知のアミノ酸置換を有する。例えば、図2Bは、いくつかの既知のVH CDR2、VL CDR1、及びVL CDR2アミノ酸配列のアミノ酸配列を示す。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片は、VH CDR2の5位のGからSへの置換、VH CDR2の14位のTからSへの置換、VL CDR1の5位のSからTへの置換、VL CDR1の14位のMからLへの置換、VL CDR1の15位のHからAへの置換、及びVL CDR2の6位のEからQへの置換から選択される、親3E10(図1に示される)又は3E10-D31Nバリアント(図2に示される)のCDR配列と比較して1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0070】
したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR2.1(配列番号26)又は3E10-VH-CDR2.2(配列番号27)のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0071】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1.1(配列番号28)又は3E10-VL-CDR1.2(配列番号29)のアミノ酸配列を含むVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0072】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR2.1(配列番号30)のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0073】
上述のアミノ酸置換のうちのいくつか、例えば、VL CDR1の5位のSからTへの置換がかなり保存的な置換である一方で、他の置換、例えば、VL CDR1の14位のMからLへの置換、VL CDR1の15位のHからAへの置換、及びVL CDR2の6位のEからQへの置換は、非常に異なる特性を有するアミノ酸へのものである。これは、理論に拘束されることなく、3E10 CDRフレームワーク内の少なくともこれらの位置が他のアミノ酸置換に対して耐性を示すことを示唆する。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR2.3(配列番号31)のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0075】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1.3(配列番号32)のアミノ酸配列を含むVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0076】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR2.2(配列番号33)のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して、又は3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0077】
更に、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片が、部分的に配列非依存的な様式で核酸に結合するため、理論に拘束されることなく、この相互作用がヌクレオチド骨格との静電的相互作用によって媒介され得ることが企図された。この理論を調査するために、図11A及び図11Bに示されるように、3E10-scFv構築物の分子モデルの静電表面電位レンダリングを生成し、そのアミノ酸配列は図11Cに説明されている。これらのモデルは、図11Aに説明されるように、分子の表面上の大きな塩基性領域に対応する推定核酸結合ポケット(NAB1)を明らかにした。このモデルにおける推定核酸結合ポケットに寄与するアミノ酸の非水素原子の位置が図11Bに重ね合わせられており、アミノ酸残基が図11Cの構築物の配列上にマッピングされている。
【0078】
したがって、この推定核酸結合ポケットの静電特性を維持する、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片のCDR内のアミノ酸置換が、構築物の核酸結合特性も保持することが企図される。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、第1の塩基性アミノ酸から第2の塩基性アミノ酸への1つ以上のアミノ酸置換(例えば、K、R、又はH)を含む。同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、第1の酸性アミノ酸から第2の酸性アミノ酸への1つ以上のアミノ酸置換(例えば、D又はE)を含む。かかる電荷保存バリアント3E10 CDRの例が図3に示される。
【0079】
したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR1.c1(配列番号34)、3E10-VH-CDR1.c2(配列番号35)、3E10-VH-CDR1.c3(配列番号36)、3E10-VH-CDR1.c4(配列番号37)、又は3E10-VH-CDR1.c5(配列番号38)のアミノ酸配列を含むVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD2及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0080】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR2.c1(配列番号39)、3E10-VH-CDR2.c2(配列番号40)、又は3E10-VH-CDR2.c3(配列番号41)のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0081】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR3.c1(配列番号42)、3E10-VH-CDR3.c2(配列番号43)、又は3E10-VH-CDR3.c3(配列番号44)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。
【0082】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1.c1(配列番号45)、3E10-VL-CDR1.c2(配列番号46)、3E10-VL-CDR1.c3(配列番号47)、3E10-VL-CDR1.c4(配列番号48)、3E10-VL-CDR1.c5(配列番号49)、又は3E10-VL-CDR1.c6(配列番号50)のアミノ酸配列を含むVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0083】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR2.c1(配列番号51)のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0084】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR3.c1(配列番号52)、3E10-VL-CDR3.c2(配列番号53)、3E10-VL-CDR3.c3(配列番号54)、3E10-VL-CDR3.c4(配列番号55)、3E10-VL-CDR3.c5(配列番号56)、又は3E10-VL-CDR3.c6(配列番号57)のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0085】
本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、上述の3E10 CDRアミノ酸置換の任意の組み合わせを含むことも企図される。本明細書に記載のアミノ酸置換のうちの1つ以上を組み込む3E10バリアントCDR配列の例が図4に示される。
【0086】
したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR1m(配列番号58)のアミノ酸配列を含むVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD2及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0087】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR2m(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び3を更に含む。
【0088】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VH-CDR3m(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1~3並びにVH CRD1及び2を更に含む。
【0089】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1m(配列番号61)のアミノ酸配列を含むVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR2及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0090】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR2m(配列番号62)のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び3並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0091】
同様に、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR3m(配列番号63)のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、親3E10抗体(図1に示される)に従うVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-D31Nバリアント(図2Aに示される)に従うVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、例えば、本明細書に記載されるように、親3E10抗体(図1に示される)のCDRと比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するVL CDR1及び2並びにVH CRD1~3を更に含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片は、3E10-VL-CDR1m(配列番号61)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2m(配列番号62)のアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3m(配列番号63)のアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1m(配列番号58)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2m(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3m(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片は、任意選択的にVH CDR1にD31Nアミノ酸置換を含む、図1に示される親3E10抗体と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するCDR配列を指す。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1(配列番号9)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2(配列番号10)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3(配列番号11)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1a(配列番号16)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2(配列番号4)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3(配列番号5)と比較して1つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片は、任意選択的にVH CDR1にD31Nアミノ酸置換を含む、図1に示される親3E10抗体と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するCDR配列を指す。したがって、いくつかの実施形態では、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、3E10-VL-CDR1(配列番号9)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、3E10-VL-CDR2(配列番号10)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2、3E10-VL-CDR3(配列番号11)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3、3E10-VH-CDR1a(配列番号16)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、3E10-VH-CDR2(配列番号4)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び3E10-VH-CDR3(配列番号5)と比較して2つ以下のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0095】
3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の他のバリアントも、例えば、Zack,et al.,J.Immunol.,157(5):2082-8(1996)に開示されているように、当該技術分野で既知である。例えば、3E10の重鎖可変領域のアミノ酸31位は、核を透過してDNAに結合する抗体及びその断片の能力に影響を及ぼすと決定されている(配列番号13及び配列番号14に太字で示されている)。CDR1におけるD31N変異(配列番号2及び配列番号13に太字で示されている)は、核を透過し、元の抗体よりもはるかに高い効率でDNAに結合する(Zack,et al.,Immunology and Cell Biology,72:513-520(1994)、Weisbart,et al.,J.Autoimmun.,11,539-546(1998)、Weisbart,Int.J.Oncol.,25,1867-1873(2004))。いくつかの実施形態では、抗体は、D31N置換を有する。
【0096】
本明細書において概して「3E10」又は「3E10抗体」と称されているが、断片及び結合タンパク質、例えば、抗原結合断片、バリアント、並びに融合タンパク質、例えば、scFv、di-scFv、tr-scFv、及び他の単鎖可変断片、並びに本明細書に開示される他の細胞透過性核酸輸送分子が、この語句によって包含され、本明細書に開示される組成物及び方法における使用のために明示的に提供されることが理解されるであろう。したがって、抗体及び他の結合タンパク質は、本明細書において細胞透過性とも称される。
【0097】
好ましい実施形態では、3E10抗体は、担体又は共役体の助けを借りずに細胞の細胞質及び/又は核中に輸送される。例えば、細胞傷害効果なしで哺乳動物細胞の核にインビボで輸送されるモノクローナル抗体3E10及びその活性断片は、Richard Weisbartの米国特許第4,812,397号及び同第7,189,396号に開示されている。
【0098】
本明細書に記載の組成物及び方法に有用な抗体は、任意のクラスの全免疫グロブリン(即ち、インタクトな抗体)、その断片、及び少なくとも抗体の抗原結合可変ドメインを含む合成タンパク質を含む。可変ドメインは、抗体間で配列が異なり、その特定の抗原に対する各々の特定の抗体の結合及び特異性に使用される。しかしながら、可変性は、通常、抗体の可変ドメインを通して均等に分布しない。それは、典型的には、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方における相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3つのセグメント中に凝縮されている。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、4つのFR領域を含み、ベータシート構造を接続し、かついくつかの事例ではベータシート構造の一部を形成するループを形成する、3つのCDRによって接続されたベータシート構成を主に採用している。各鎖中のCDRは、FR領域によって他方の鎖由来のCDRとごく近接して一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。したがって、本抗体は、典型的には、DNA結合を維持する及び/又はDNA修復を妨害するのに必要な少なくともこれらのCDRを含む。
【0099】
3E10抗体は、典型的には、3E10と同じ又は異なるエピトープに結合するモノクローナル3E10、又はそのバリアント、誘導体、断片、融合、若しくはヒト化形態である。
【0100】
モノクローナル抗体3E10を産生するハイブリドーマ細胞株のブダペスト条約の条件に従う寄託は、2000年9月6日に受領され、American Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110-2209,USAにより承認され、特許寄託番号PTA-2439が与えられた。
【0101】
したがって、本抗体は、ATCC番号PTA2439ハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体3E10と同じ又は異なるエピトープ特異性を有し得る。本抗体は、モノクローナル抗体3E10のパラトープを有することができる。本抗体は、3E10の一本鎖可変断片、又はそのバリアント、例えば、その保存的バリアントとすることができる。例えば、本抗体は、3E10の一本鎖可変断片(3E10 Fv)、又はそのバリアントとすることができる。
【0102】
加えて、又はあるいは、重鎖相補性決定領域(CDR)は、IMGTシステムに従って定義することができる。IMGTシステムによって特定される相補性決定領域(CDR)は、CDR H1.3(元の配列):GFTFSDYG(配列番号99)、CDR H1.4(D31N変異を有する):GFTFSNYG(配列番号100)、CDR H2.2:ISSGSSTI(配列番号101)及びバリアントISSSSSTI(配列番号102)、CDR H3.2:ARRGLLLDY(配列番号103)を含む。
【0103】
加えて、又はあるいは、軽鎖相補性決定領域(CDR)は、IMGTシステムに従って定義することができる。IMGTシステムによって特定される相補性決定領域(CDR)は、CDR L1.2 KSVSTSSYSY(配列番号104)及びバリアントKTVSTSSYSY(配列番号105)、CDR L2.2:YAS(配列番号106)、CDR L3.2:QHSREFPWT(配列番号107)を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「インポート」残基と称され、それらは、典型的には、「インポート」可変ドメインに由来する。抗体ヒト化技法は、一般に、抗体分子の1つ以上数のポリペプチド鎖をコードするDNA配列を操作するための組換えDNA技術の使用を必要とする。
【0105】
例示的な3E10ヒト化3E10重鎖可変領域(配列番号64~73)配列及び軽鎖可変領域(配列番号74~82)配列は、WO2015/106290(US10,221,250)、WO2016/033324(US10,501,554)、WO2019/018426(US2020/216567)、及びWO/2019/018428(US2020/216568)に論じられており(これらの開示は、全ての目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、それぞれ、図5及び図6に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも99%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも99%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも98%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも98%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも97%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも97%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも96%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも96%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3E10抗体は、配列番号64~73から選択される重鎖可変領域と少なくとも90%、91%、92%、93%、又は94%のアミノ酸同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号74~82から選択される軽鎖可変領域と少なくとも90%、91%、92%、93%、又は94%のアミノ酸同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0106】
開示される組成物及び方法は、典型的には、細胞及び任意選択的に核を透過する能力を維持する抗体を利用する。
【0107】
自己抗体による細胞内部移行の機構は多様である。静電相互作用又はFcR媒介性エンドサイトーシスにより細胞中に取り込まれるものもあれば、細胞表面ミオシン又はカルレティキュリンとの会合に基づく機構を利用し、その後にエンドサイトーシスが続くものもある(Ying-Chyi et al.,Eur J Immunol 38,3178-3190(2008)、Yanase et al.,J Clin Invest 100,25-31(1997))。3E10は、(Fcを欠く3E10断片の細胞を透過する能力により証明されるように)Fc非依存的機構で細胞を透過するが、ヌクレオシド輸送体ENT2の存在を必要とする(Weisbart et al.,Sci Rep 5:12022.doi:10.1038/srep12022.(2015)、Zack et al.,J Immunol 157,2082-2088(1996)、Hansen et al.,J Biol Chem 282,20790-20793(2007))。したがって、いくつかの実施形態では、開示される組成物及び方法に利用される抗体は、Fc非依存的機構で細胞を透過するが、ヌクレオシド輸送体ENT2の存在を必要とするものである。
【0108】
DNAに結合する3E10の能力を妨害する3E10における変異は、抗体を核透過不能にし得る。したがって、典型的には、抗体の開示されるバリアント及びヒト化形態は、核酸、特にDNAに結合する能力を維持する。加えて、3E10 scFvは、ENT2依存的様式で生きている細胞及び核に透過することができることが以前に示されており、ENT2欠損細胞における取り込みの効率が損なわれている(Hansen,et al.,J.Biol.Chem.282,20790-20793(2007))。したがって、いくつかの実施形態では、抗体の開示されるバリアント及びヒト化形態は、ENT依存的様式、好ましくはENT2依存的様式で細胞核に透過する能力を維持する。
【0109】
核酸結合
開示される組成物及び方法は、典型的には、細胞及び任意選択的に核を透過する能力を維持する抗体を利用する。
【0110】
実施例4は、3E10及び追加の3E10バリアントの分子モデリングについて記載している。3E10の分子モデリング(Pymol)は、推定核酸結合ポケット(NAB1)を明らかにし(例えば、図11A及び図11Bを参照されたい)、図11Cにて下線を引いた状態で説明されている。
【0111】
いくつかの実施形態では、開示される抗体は、下線を引いたNAB1配列のうちのいくつか又は全てを含む。いくつかの実施形態では、本抗体は、核酸に結合する能力の変化を有するバリアント配列を含む。いくつかの実施形態では、NAB1における変異(例えば、置換、挿入、及び/又は欠失)により、本抗体のRNAなどの核酸への結合が改善される。いくつかの実施形態では、これらの変異は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、これらの変異により、NAB1ポケットのカチオン電荷が増加する。
【0112】
本明細書で論じられ、かつ例示されるように、CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アスパラギンへの変異により、この残基のカチオン電荷が増加し、インビボでの核酸結合及び送達が増強された(3E10-D31N)。追加の例示的なバリアントは、CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アルギニンへの変異(3E10-D31R)(このモデリングはカチオン電荷の拡大を示す)、又はリジンへの変異(3E10-D31K)(このモデリングは電荷配向の変化を示す)を含む。したがって、いくつかの実施形態では、3E10結合タンパク質は、D31R又はD31K置換を含む。
【0113】
3E10 D31又はN31に対応する残基を有する本明細書に開示される配列は全て、内部にD31R又はD31K又はN31R又はN31K置換を有する状態で明示的に開示される。
【0114】
3E10の分子モデリング(Pymol)は、推定核酸結合ポケット(NAB1)を明らかにした(図11A~11B)。CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アスパラギンへの変異により、この残基のカチオン電荷が増加し、インビボでの核酸結合及び送達が増強された(3E10-D31N)。CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アルギニンへの変異(3E10-D31R)により、カチオン電荷が更に拡大した一方で、リジンへの変異(3E10-D31K)により、電荷配向が変化した(図11A)。
【0115】
図11Cの重鎖配列及び軽鎖配列において、分子モデリングから予測されるNAB1アミノ酸に下線が引かれている。図11Bは、点状のドットを用いて図解されたNAB1アミノ酸残基を有する3E10-scFvの分子モデリング(Pymol)を示す図解である。
【0116】
遺伝性ミオパチー
遺伝子置換療法とは、遺伝子によってコードされるタンパク質を必要とする組織に遺伝子の機能的コピーを送達するためのいくつかの治療技法を指し、これらには、例えば、対象のゲノムに安定して組み込まれた状態で又は組み込まれていない状態で、その遺伝子の機能的コピーが細胞内で転写されるDNAベースの遺伝子療法技法、宿主のゲノム内の遺伝子又は特定のヌクレオチドの変異コピーを修復する又は置き換える、CRISPR/Casなどの遺伝子編集療法、及びタンパク質をコードするmRNAが細胞に送達されて、遺伝子の外因性コピーを転写する必要性を排除するmRNA送達ベースのアプローチが含まれる。研究者は、例えば、部分的な又は完全な機能喪失を引き起こす遺伝子の変異、遺伝子転写を下方制御する関連制御領域の変異、及び/又は小さいゲノム欠失に起因して、遺伝子の1つ又は2つの変異コピー又は非機能的コピーを有する対象における障害、最も注目すべきは遺伝性障害及びがんの多様なセットに対する遺伝子置換療法を開発しており、開発し続けている。
【0117】
ミオパチーは、骨格筋の臨床障害である。これらの障害は、典型的には、筋細胞構造及び/又は代謝の異常を特徴とし、筋力低下及び機能不全の様々なパターンをもたらす。大規模な遺伝子セットのうちの1つ以上における変異によって引き起こされる、多くのタイプの遺伝性ミオパチーが存在する。遺伝性ミオパチーを有する対象は、一般に、筋力低下、運動遅延、呼吸機能障害、及び延髄性筋機能不全に罹患している。多くの異なる形態の遺伝性ミオパチーの病因が十分に特徴付けられているため、遺伝子療法は、これらの障害を治療するための魅力的な選択肢を提供する。実際に、かかる遺伝子療法の臨床試験がいくつかの遺伝性ミオパチーに対して開始されている。
【0118】
遺伝子療法が開発されているかかる障害の1つは、X連鎖性筋細管ミオパチー(XLMTM)である。MTMは、50,000人の出生男児に1人が罹患するミオチューブラリン(MTM1)遺伝子の機能喪失型変異によって引き起こされる先天性ミオパチーである。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Pierson CR,Ann Transl Med.,3(5):61(2015)。機能的MTM1遺伝子をコードする遺伝子療法ベクターのアデノ随伴ウイルス(AAV)媒介性送達は、マウス、イヌ、及びヒト対象におけるMTMの治療に有望であることが示されている。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Buj-Bello,Anna et al.,Human molecular genetics,(17)14:2132-43(2008)、Childers MK,Sci Transl Med.,6(220):220ra10(2014)、及びKaiser J.,“Boys with a rare muscle disease are breathing on their own,thanks to gene therapy”doi:10.1126/science.aax9005を参照されたい。更に、MTM1遺伝子の相同体であるミオチューブラリン関連タンパク質2(MTMR2)をコードする遺伝子療法ベクターのAAV媒介性送達は、MTM1欠損ノックアウトマウスにおける運動活動及び筋力を改善する。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Daniele N.et al.,J Neuropathol Exp Neurol.,77(4):282-95(2018)。
【0119】
同様に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための遺伝子療法が開発されている。DMDは、3,500~5,000人の出生男児に1人が罹患するジストロフィン(DMD)遺伝子の機能喪失型変異によって引き起こされるX連鎖性ミオパチーである。ミニジストロフィン又はマイクロジストロフィンと称されることもあるジストロフィンタンパク質のより小さい機能的バージョンをコードする遺伝子のAAV媒介性送達によるDMDの治療のためのいくつかのヒト臨床試験が行われている。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Duan D.,Mol Ther.,26(10):2337-56(2018)。臨床試験が開始されている骨格筋疾患の更なる例としては、ベッカー型筋ジストロフィー及び肢帯型筋ジストロフィーが挙げられる。内容が参照により本明細書に組み込まれる、Braun R.et al.,Am J Phys Med Rehabil.,93(11 Suppl 3):S97-S107(2014)。
【0120】
したがって、一態様では、本開示は、本明細書に記載される、骨格筋タンパク質をコードする治療用mRNAと、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片との複合体を対象の骨格筋に送達することによって、対象において骨格筋疾患を治療するための方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態では、mRNAによってコードされるポリペプチドが骨格筋タンパク質の野生型バージョンであるが、骨格筋タンパク質の天然型バリアント又は合成的に操作されたバージョンも本明細書に記載の組成物及び方法に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、mRNA療法が酵素補充療法に使用される場合、mRNAによってコードされる酵素が酵素活性を改善するように操作されることが一般的である。更に、ある特定の事例では、治療用タンパク質の野生型バージョンが特に大きい場合、及び/又はタンパク質分解に対して特に感受性を示す1つ以上のドメインを含む場合、遺伝子療法ベクターによってコードされるタンパク質がタンパク質をより小さくするように及び/又はタンパク質機能に不要な感受性領域を除去するように操作されることが一般的である。
【0122】
いくつかの実施形態では、治療用mRNA分子は、骨格筋タンパク質をコードする。骨格筋タンパク質の非限定的な例としては、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3(TNPO3)、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、O-グリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、対象は、遺伝性骨格筋疾患を有する。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、部分的な又は完全な機能喪失型変異を有する骨格筋遺伝子を担持する。したがって、いくつかの実施形態では、対象に投与される治療用mRNAは、対象における変異遺伝子に対応するポリペプチドの機能的コピーをコードする。しかしながら、X連鎖性筋細管ミオパチーに対するMTMR2媒介性遺伝子療法(上述)などのいくつかの事例では、mRNAは、対象における変異遺伝子によってコードされるタンパク質の相同体、部分的に冗長な機能を有するタンパク質、及び/又は対象における変異遺伝子によってコードされるタンパク質として部分的に冗長な経路で機能するタンパク質をコードする。
【0124】
いくつかの実施形態では、遺伝性骨格筋疾患は、非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである。非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーの非限定的な例としては、ネマリンミオパチー、コアミオパチー(セントラル及びマルチミニコア)、中心核ミオパチー/筋細管ミオパチー(XLMTM)、先天性線維型不均等ミオパチー、ミオシン蓄積ミオパチー、ミトコンドリアミオパチー、遺伝性ミオパチー、代謝性ミオパチー(脂質蓄積症)、先天性ミオトニー、及び先天性パラミオトニーが挙げられる。非ジストロフィー性遺伝性ミオパチーの例の概説については、例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれる、Muscle Cell and Tissue - Current Status of Research Field,Edited by Kunihiro Sakuma,Chapter 6“Genetic Myopathies”(2018)を参照されたい。
【0125】
いくつかの実施形態では、遺伝性骨格筋疾患は、ジストロフィー性遺伝性ミオパチーである。ジストロフィー性遺伝性ミオパチーの非限定的な例としては、筋緊張性ジストロフィー(DM1/DM2)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、常染色体優性型肢帯型筋ジストロフィー(LGMD1)、常染色体劣性型肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2)、先天性筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、及びエメリー・ドレイフス型筋ジストロフィーが挙げられる。ジストロフィー性遺伝性ミオパチーの例の概説については、例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれる、Muscle Cell and Tissue-Current Status of Research Field,Edited by Kunihiro Sakuma,Chapter 6“Genetic Myopathies”(2018)を参照されたい。
【0126】
上記に列記されるミオパチーのクラスは各々、1つ以上の骨格筋遺伝子における変異に関連している。特定の骨格筋疾患に関連することが見出された遺伝子の例が以下の表2に列記される。したがって、いくつかの実施形態では、特定の骨格筋疾患を有する対象は、3E10-mRNA複合体の投与によって治療され、mRNAは、表2の関連遺伝子に対応するポリペプチドをコードする。例えば、一実施形態では、ミオチューブラリン(MTM1)タンパク質に関連するポリペプチドをコードするmRNA分子は、あるタイプの筋細管ミオパチー、例えば、X連鎖性筋細管ミオパチー(XLMTM)の治療に使用される。
【0127】
(表2)様々な骨格筋疾患において変異することが見出された遺伝子の例
【0128】
遺伝性ミオパチーを治療するための組成物
一態様では、本開示は、例えば、本明細書に記載の骨格筋ポリペプチドをコードする治療用mRNAポリヌクレオチドと、本明細書に記載の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片との間に形成された複合体を含む医薬組成物を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用mRNAに対する、少なくとも2:1のモル比を有する。実施例6及び実施例8に報告されるように、本明細書に記載の組成物中の3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の治療用ポリヌクレオチドに対するモル比の使用により、mRNA分子がRNA分解から保護される。
【0130】
更に、図13A及び図13Bに説明されるように、親3E10抗体が、2:1及び20:1のモル比でmRNAをRNAse A媒介性RNA分解から保護した一方で、20:1のモル比で得られた保護は、2:1で得られた保護を上回った。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約2:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約7.5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約50:1のモル比を有する。
【0131】
更に、図15に示されるように、より高い化学量論比の使用により、より長いポリヌクレオチドが分解からより良好に保護される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも1000ヌクレオチド長であり、例えば、一本鎖ポリヌクレオチドの場合、1000ヌクレオチド長であり、二本鎖ポリヌクレオチドの場合、1000塩基対長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも1500ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも2000ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも2500ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも3000ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも4000ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも5000ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、より長いポリヌクレオチドは、少なくとも10,000ヌクレオチド長である。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1、少なくとも約10:1、少なくとも約11:1、少なくとも約12:1、少なくとも約13:1、少なくとも約14:1、少なくとも約15:1、少なくとも約16:1、少なくとも約17:1、少なくとも約18:1、少なくとも約19:1、少なくとも約20:1、少なくとも約21:1、少なくとも約22:1、少なくとも約23:1、少なくとも約24:1、少なくとも約25:1、少なくとも約26:1、少なくとも約27:1、少なくとも約28:1、少なくとも約29:1、少なくとも約30:1、少なくとも約31:1、少なくとも約32:1、少なくとも約33:1、少なくとも約34:1、少なくとも約35:1、少なくとも約36:1、少なくとも約37:1、少なくとも約38:1、少なくとも約39:1、少なくとも約40:1、少なくとも約41:1、少なくとも約42:1、少なくとも約43:1、少なくとも約44:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約75:1、少なくとも約80:1、少なくとも約85:1、少なくとも約90:1、少なくとも約95:1、少なくとも約100:1、少なくとも約110:1、少なくとも約120:1、少なくとも約125:1、少なくとも約130:1、少なくとも約140:1、少なくとも約150:1、少なくとも約160:1、少なくとも約170:1、少なくとも約175:1、少なくとも約180:1、少なくとも約190:1、少なくとも約200:1、又はそれ以上のモル比を有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも約2:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも7.5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも200:1のモル比を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも11:1、少なくとも12:1、少なくとも13:1、少なくとも14:1、少なくとも15:1、少なくとも16:1、少なくとも17:1、少なくとも18:1、少なくとも19:1、少なくとも20:1、少なくとも21:1、少なくとも22:1、少なくとも23:1、少なくとも24:1、少なくとも25:1、少なくとも26:1、少なくとも27:1、少なくとも28:1、少なくとも29:1、少なくとも30:1、少なくとも31:1、少なくとも32:1、少なくとも33:1、少なくとも34:1、少なくとも35:1、少なくとも36:1、少なくとも37:1、少なくとも38:1、少なくとも39:1、少なくとも40:1、少なくとも41:1、少なくとも42:1、少なくとも43:1、少なくとも44:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも55:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも75:1、少なくとも80:1、少なくとも85:1、少なくとも90:1、少なくとも95:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも125:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも175:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、少なくとも200:1、又はそれ以上のモル比を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、50:1、55:1、60:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、100:1、110:1、120:1、125:1、130:1、140:1、150:1、160:1、170:1、175:1、180:1、190:1、200:1、又はそれ以上のモル比を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約200:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約150:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約100:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約50:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約40:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約30:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約25:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約20:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約15:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約10:1以下のモル比を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約200:1以下、約175:1以下、約150:1以下、約125:1以下、約100:1以下、約75:1以下、約50:1以下、約45:1以下、約40:1以下、約35:1以下、約30:1以下、約25:1以下、約20:1以下、又はそれ以下のモル比を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、200:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、150:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、100:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、50:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、40:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、30:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1以下のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1以下のモル比を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、200:1以下、175:1以下、150:1以下、125:1以下、100:1以下、75:1以下、50:1以下、45:1以下、40:1以下、35:1以下、30:1以下、35:1以下、30:1以下、25:1以下、20:1以下、又はそれ以下のモル比を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~7.5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、2:1~3:1のモル比を有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~7.5:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、3:1~5:1のモル比を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、5:1~7.5:1のモル比を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~15:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、7.5:1~10:1のモル比を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する10:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、10:1~15:1のモル比を有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~25:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、15:1~20:1のモル比を有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、20:1~25:1のモル比を有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~40:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、25:1~30:1のモル比を有する。
【0148】
更に他の実施形態では、約2:1~約200:1の範囲内にある他の範囲が企図される。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約200:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約175:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約150:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約125:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約100:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約75:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約50:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約30:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約20:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約10:1のモル比を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片の、治療用ポリヌクレオチドに対する、約1:1~約5:1のモル比を有する。
【0150】
実施例3に報告されるように、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合断片は、全身投与後にインビボで骨格筋組織に局在する。したがって、本明細書に記載の組成物は、骨格筋組織の障害の治療に有用なタンパク質をコードする治療用mRNAの送達によく適している。したがって、いくつかの実施形態では、治療用mRNAポリヌクレオチドは、骨格筋ポリペプチドをコードする。
【0151】
様々なミオパチーで変異するタンパク質、及びそれらの関連遺伝子の例が表2に提示される。概して、全長タンパク質の機能を保持するこれらのタンパク質及びそれらのバリアントのうちのいずれか1つは、本明細書に開示される治療用mRNAによってコードされ得る。したがって、いくつかの実施形態では、骨格筋ポリペプチドは、ネブリン(NEB)、骨格筋アルファ-アクチン(ACTA)、アルファ-トロポミオシン-3(TPM3)、ベータ-トロポミオシン-2(TPM2)、トロポニンT1(TNNT1)、コフィリン-2(CFL2)、Kelchリピート及びBTBドメイン含有-13(KBTBD13)、Kelch様ファミリーメンバー-40(KLHL40)、Kelch様タンパク質4(KLHL4)、Kelch様ファミリーメンバー41(KLHL41)、レイオモジン-3(LMOD3)、ミオパラジン(MYPN)、リアノジン受容体(RYR1)、セレノプロテインN(SEPN1)、ミオチューブラリン(MTM1)、ダイナミン-2(DNM2)、アンフィファイシン-2(BIN1)、タイチン(TTN)、横紋筋優先発現プロテインキナーゼ(SPEG)、遅骨格/ベータ-心筋ミオシン重鎖(MYH7)、チトクロムb、チトクロムcオキシダーゼ、チミジンキナーゼ(TK2)、ポリメラーゼガンマ1(POLG1)、リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、グリコーゲン-脱分枝酵素(AGL)、筋ホスホリラーゼ(PYGM)、カルニチン輸送体OCTN2(SLC22A5)、電子伝達フラボタンパク質(ETF)、ETF-デヒドロゲナーゼ(ETFH)、脂肪トリグリセリドリパーゼ(PNPLA2)、骨格筋クロライドチャネル(ClC1)、骨格筋ナトリウムチャネルアルファ-サブユニット(SCN4A)、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)、ジンクフィンガー9(ZNF9)、ジストロフィン(DMD)、ミオチリン(MYOT)、ラミンA/C(LMNA)、カベオリン3(CAV3)、DnaJ熱ショックタンパク質ファミリー(Hsp40)メンバーB6(DNAJB6)、デスミン(DES)、トランスポーチン3、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質D様(HNRPDL)、カルパイン3、ジスフェリン(DYSF)、ガンマ-サルコグリカン(SGCG)、アルファ-サルコグリカン(SGCA)、ベータ-サルコグリカン(SGCB)、デルタ-サルコグリカン(SGCD)、テレソニン(TCAP)、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼTRIM32(TRIM32)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ1(POMT1)、アノクタミン5(ANO5)、フクチン、プロテインO-マンノシル-トランスフェラーゼ2(POMT2)、O結合マンノースベータ-1,2-Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(POMTnG1)、ジストログリカン(DAG1)、プレクチン(PLEC1)、LGMD2R、輸送タンパク質粒子複合体サブユニット11(TRAPPC11)、マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼベータ(GMPPB)、D-リビトール-5-リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(ISPD)、アルファ-グルコシダーゼ、LIM及び老化細胞抗原様含有ドメインタンパク質2(LIMS2)、イソプレノイドシンターゼドメイン含有(ISPD)、ポパイドメイン含有1(POPDC1)、ラミナ結合ポリペプチド1B(TOR1AIP1)、Oグリコシルトランスフェラーゼ1(POGLUT1)、ラミニンサブユニットアルファ-2(LAMA2)、コラーゲンアルファ-1(VI)鎖(COL6A1)、コラーゲンアルファ-2(VI)鎖(COL6A2)、コラーゲンアルファ-3(VI)鎖(COL6A3)、ダブルホメオボックス4(DUX4)、並びにエメリン(EMD)からなる群から選択される。
【0152】
更に、3E10抗体若しくはそのバリアント又はその抗原結合性断片が、全身投与後にインビボで骨格筋組織に局在するため、本開示の組成物は、多くの一般的な投与経路のうちの1つ用に製剤化され、その後、それによって投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、非経口投与は、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与である。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物のmRNAは、例えば、半減期を改善するか、又は骨格筋組織における翻訳を増加させるために、コドン最適化される。コドン最適化とは、ポリペプチド(例えば、骨格筋タンパク質ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列を指し、ポリペプチドをコードする天然ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコドンが、ポリヌクレオチド配列の特性を改善するために変更されている。いくつかの実施形態では、改善された特性により、ポリペプチドをコードするmRNAの転写の増加、mRNAの安定性の増加(例えば、mRNA半減期の改善)、ポリペプチドの翻訳の増加、及び/又はベクター内のポリヌクレオチドのパッケージングの増加が促進される。改善された特性を達成するために使用することができる改変の非限定的な例としては、特定のアミノ酸に対するコドンの使用及び/又は分布の変更、全体及び/又は局所GC含有量の調整、ATリッチ配列の除去、反復配列要素の除去、全体及び/又は局所CpGジヌクレオチド含有量の調整、隠れた調節要素(例えば、TATAボックス要素及びCCAATボックス要素)の除去、イントロン/エクソンスプライス部位の除去、調節配列の改善(例えば、コザックコンセンサス配列の導入)、並びに転写mRNAに二次構造(例えば、ステムループ)を形成することができる配列要素の除去が挙げられる。
【0154】
同様に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物のmRNAは、例えば、インビボでのmRNAの安定性及び/又は半減期を改善するために、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。本明細書に記載のmRNA分子への包含に好適な非標準ヌクレオチドの例は、内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,181,319号に記載されている。
【実施例
【0155】
以下の実験に関して、D31Nバリアントであると注記した場合(例えば、実施例4)を除いて、標準3E10配列を使用した。標準3E10及びD31Nバリアントの両方を全長抗体として使用した。
【0156】
実施例1 担体DNAは、非腫瘍組織へのmRNAを増強する
2ugの蛍光標識mRNAを、20ugの3E10-D31Nと、担体DNA(5ug)あり又はなしで、室温で15分間混合した。3E10と複合体化したmRNAを、胎仔にE15.5で注射した。処理の24~48時間後、胎仔を採取し、IVISイメージングを使用してmRNA送達について分析した。
【0157】
担体DNAなしの場合、mRNAと複合体化した3E10-D31Nは、24時間の時点で胎仔から迅速に取り除かれた。しかしながら、担体DNAの添加により、48時間の時点で胎仔の複数の組織に検出可能なmRNAシグナルがもたらされた。
【0158】
実施例2 mRNA及び担体DNAと複合体化した3E10(D31N)により、持続的なレベルのタンパク質発現がもたらされる
10ugのルシフェラーゼmRNA及び10ugの一本鎖担体DNA(60nt)を、100ugの3E10(WT)又は3E10(D31N)と室温で15分間混合した。3E10と複合体化したmRNAを、各マウスの右四頭筋に筋肉内(IM)注射した。ルシフェラーゼ発現を6日間にわたって監視した。
【0159】
図8に見られるように、mRNA及び担体DNAと複合体化した3E10(D31N)の投与により、持続的なレベルのルシフェラーゼ発現がもたらされた一方で、mRNA及び担体DNAと複合体化した3E10(WT)では、バックグラウンドを上回るいかなる認識可能なシグナルも生成されなかった。
【0160】
実施例3 インビボでのIV注射3E10の分布
筋肉にIV注射した3E10の分布を調査した。マウスに200μgの3E10(WT又はD31N)を静脈内注射し、VivoTag680(Perkin Elmer)で標識した。注射の4時間後、筋肉を採取し、IVIS(Perkin Elmer)で画像化した(図9A及び図9B)。IVIS画像の定量により、3E10-D31Nが3E10-WTと比較して筋肉へのより高い分布を達成することが実証される(図9C)。
【0161】
3E10-D31Nの組織への用量依存的生体内分布を調査した。マウスに100μg又は200μgの、VivoTag680(Perkin Elmer)で標識した3E10-D31Nを、静脈内注射した。注射の24時間後、組織を採取し、IVIS(Perkin Elmer)で画像化した。組織分布の定量により、筋蓄積における2倍の用量依存的増加が、肝臓を含む複数の組織中での同等の増加なしで、実証された(図10)。
【0162】
実施例4 3E10及びその操作バリアントの分子モデリング
WT重鎖scFv配列
E VQLVESGGGL VKPGGSRKLS CAASGFTFSD YGMHWVRQAP EKGLEWVAYI SSGSSTIYYA DTVKGRFTIS RDNAKNTLFL QMTSLRSEDT AMYYCARRGL LLDYWGQGTT LTVS(配列番号108)
軽鎖scFv配列
D IVLTQSPASL AVSLGQRATI SCRASKSVST SSYSYMHWYQ QKPGQPPKLL IKYASYLESG VPARFSGSGS GTDFTLNIHP VEEEDAATYY CQHSREFPWT FGGGTKLEIK RADAAPGGGG SGGGGSGGGGS(配列番号109)
【0163】
3E10の分子モデリング(Pymol)は、推定核酸結合ポケット(NAB1)を明らかにした(図11A~11B)。CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アスパラギンへの変異により、この残基のカチオン電荷が増加し、インビボでの核酸結合及び送達が増強された(3E10-D31N)。
【0164】
CDR1の残基31のアスパラギン酸の、アルギニンへの変異(3E10-D31R)により、カチオン電荷が更に拡大した一方で、リジンへの変異(3E10-D31K)により、電荷配向が変化した(図14A)。
【0165】
上記の重鎖配列及び軽鎖配列において、分子モデリングから予測されるNAB1アミノ酸に下線が引かれている。図11Bは、点状のドットを用いて図解されたNAB1アミノ酸残基を有する3E10-scFvの分子モデリング(Pymol)を示す図解である。
【0166】
実施例5 mRNAと複合体化した3E10(D31N)の筋肉間注射により、骨格筋における持続的なタンパク質発現がもたらされる
次に、3E10(D31N)-mRNA複合体の筋肉内投与により、骨格筋におけるmRNAの持続的な発現がもたらされるかを調査した。手短に言えば、3E10(D31N)と、(配列番号110)として以下に示す配列GFP_mRNAを有する緑色蛍光タンパク質(ルシフェラーゼ)をコードするmRNAとの複合体を、3E10(D31N)とmRNAを20:1のモル比で混合することによって形成した。結果として得られた複合体を、マウスの後肢骨格筋に筋肉間注射により投与した。注射したmRNAからのルシフェラーゼの発現を示す、骨格筋における生物発光を画像化し(図12A)、5日間にわたって定量した(図12B)。図12Bに示すように、mRNAによってコードされたルシフェラーゼの発現レベルは、少なくとも5日間維持された。
【0167】
実施例6 3E10(D31N)は、mRNAをRNA分解から保護する
次に、mRNAを3E10(D31N)と複合体化することによってmRNAが分解から保護されるかを調査した。手短に言えば、3E10(D31N)と、(配列番号110)として以下に示す配列GFP_mRNAを有する緑色蛍光タンパク質(ルシフェラーゼ)をコードするmRNAとの複合体を、3E10(D31N)とmRNAを20:1のモル比で混合することによって形成した。その後、遊離mRNAと3E10-mRNAとの複合体を、1%血清、10%血清、又は16μg/mLのRNAse Aと37℃で10分間インキュベートした。これらの反応物のゲル電気泳動分析を行った(図13A)。図13Aに示すように、遊離mRNAは、1%血清、10%血清、及びRNAse Aの各々とのインキュベーションにより分解した。しかしながら、複合体化したmRNAは、1%血清、10%血清、又はRNAse Aのうちのいずれとインキュベートした場合でも、明らかなRNA分解は観察されなかったことから、3E10(D31N)がmRNAを分解から保護することが示唆される。
【0168】
GFP_mRNA-
AUGGUGAGCAAGGGCGAGGAGCUGUUCACCGGGGUGGUGCCCAUCCUGGUCGAGCUGGACGGCGACGUAAACGGCCACAAGUUCAGCGUGUCCGGCGAGGGCGAGGGCGAUGCCACCUACGGCAAGCUGACCCUGAAGUUCAUCUGCACCACCGGCAAGCUGCCCGUGCCCUGGCCCACCCUCGUGACCACCCUGACCUACGGCGUGCAGUGCUUCAGCCGCUACCCCGACCACAUGAAGCAGCACGACUUCUUCAAGUCCGCCAUGCCCGAAGGCUACGUCCAGGAGCGCACCAUCUUCUUCAAGGACGACGGCAACUACAAGACCCGCGCCGAGGUGAAGUUCGAGGGCGACACCCUGGUGAACCGCAUCGAGCUGAAGGGCAUCGACUUCAAGGAGGACGGCAACAUCCUGGGGCACAAGCUGGAGUACAACUACAACAGCCACAACGUCUAUAUCAUGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCAUCAAGGUGAACUUCAAGAUCCGCCACAACAUCGAGGACGGCAGCGUGCAGCUCGCCGACCACUACCAGCAGAACACCCCCAUCGGCGACGGCCCCGUGCUGCUGCCCGACAACCACUACCUGAGCACCCAGUCCGCCCUGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGAUCACAUGGUCCUGCUGGAGUUCGUGACCGCCGCCGGGAUCACUCUCGGCAUGGACGAGCUGUACAAGUAA(配列番号110)。
【0169】
次に、より低いモル比で複合体化したmRNAもRNA分解から保護されるかを調査した。手短に言えば、3E10(D31N)と、緑色蛍光タンパク質をコードするmRNA(GFP_mRNA、配列番号110)との複合体を、3E10(D31N)とmRNAを2:1のモル比で混合することによって形成した。その後、遊離mRNAと3E10-mRNAとの複合体を、上に記載した条件下でRNAse Aとインキュベートした。これらの反応物のゲル電気泳動分析を行った(図13B)。図13Bに示すように、遊離mRNAは、RNAse Aとのインキュベーションにより完全に分解した。しかしながら、2:1のモル比でmRNAを3E10(D31N)と複合体化することにより、ウェル中のRNAシグナルの存在により示されるように、mRNAが分解からいくらか保護され、インタクトな3E10(D31N)-mRNA複合体の存在を示す。2:1のモル比で提供された保護は、20:1のモル比で複合体化したときにmRNAに提供された保護よりも小さいように見える。
【0170】
実施例7 インビボで3E10-D31Nは内部移行し、gDNAと会合する
3E10-D31Nの内部移行及び細胞位置実験を調査した。アイソタイプ対照、3E10-WT(GMABWT)抗体、及び3E10-D31N(GMABD31N)抗体を89Zrで標識し、インビボで細胞に投与した。ある一定の時間後、細胞成分(サイトゾル、膜、核タンパク質、及びgDNA)を分画し、89Zrシグナル(カウント/分、CPM)についてアッセイした。図14に示すように、内部移行したGMABWT抗体及びGMABD31N抗体の大部分が核に局在し、核の核タンパク質画分及びgDNA画分の両方と会合していることが見出された。しかしながら、GMABWTよりも多くの割合のGMABD31NがgDNA画分と会合したことから、GMABD31NがGMABWTよりも容易にクロマチンに局在することが示唆される。
【0171】
実施例8 3E10(D31N)はジストロフィンmRNAをRNA分解から保護する
3E10-D31Nが複合体化した場合にジストロフィンをコードするmRNAを酵素分解から保護するか、かつより多くの化学量論的量の3E10-D31Nが必要であるかを調査した。手短に言えば、3E10-D31Nと、全長ヒトジストロフィンをコードする14kbのmRNAとの複合体を、3E10-D31NとmRNAを1:1、2:1、5:1、10:1、20:1、及び100:1のモル比(3E10:mRNA)で混合することによって形成した。その後、遊離mRNAと3E10-mRNAとの複合体を、プロテイナーゼKを添加した状態で、6μg/mLのRNAse Aと37℃で10分間インキュベートして、タンパク質分解を促進した。図15は、保護アッセイのアガロースゲル電気泳動分析を示す。図15に示すように、遊離ジストロフィンmRNA、並びに1:1、2:1、5:1、及び10:1のモル比(3E10:mRNA)で複合体化したジストロフィンmRNAは、RNAse Aとのインキュベーションにより完全に分解した。しかしながら、図15に示すように、ジストロフィンmRNAを3E10と20:1及び100:1のモル比で複合体化することにより、ゲル上で未分解mRNAと同様の距離で移動するバンドにより示されるように、RNAse Aによる分解からのmRNAの保護が増加した。これらの結果は、実施例6の結果と相まって、3E10がサイズ依存的様式でポリヌクレオチドを保護することを示唆する。
【0172】
引用された参考文献及び代替の実施形態
本明細書に引用された全ての参考文献は、各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が、全ての目的のために参照によりそれらの全体が組み込まれることが具体的かつ個別に指示されているかのように、全ての目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0173】
本発明の多くの修正及び変形は、当業者に明らかであろうように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、単に例として提供される。これらの実施形態は、本発明の原理及びその実用的用途を最良に説明するために選択され、記載されたものであり、それにより、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明及び様々な実施形態を最良に利用することを可能にする。本発明は、添付の特許請求の範囲の条件に加えて、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
【配列表】
2024508309000001.app
【国際調査報告】