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特表2024-508312長時間作用型アミリン受容体アゴニスト及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】長時間作用型アミリン受容体アゴニスト及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/00 20060101AFI20240216BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/06
A61P1/16
A61K38/16
A61P43/00 111
A61K38/22
A61K38/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553248
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022018434
(87)【国際公開番号】W WO2022187305
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,894
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】エイブラハム,ミラタ メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ブリエール,ダニエル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】グオ,リリ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,サマンサ グレイス ライオンズ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チュイ,ホンチャン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA26
4C084CA18
4C084DB01
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZC01
4C084ZC33
4C084ZC35
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA19
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA34
4H045FA57
4H045FA61
4H045GA05
4H045GA25
(57)【要約】
本開示は、医学の分野に関する。特に、本開示は、糖尿病、肥満及び/若しくは慢性体重管理、脂質異常症、並びに/又はNASHの治療の分野に属する。本開示は、アミリン受容体を刺激して、食物摂取量、体重、血糖値、及び/又はトリグリセリドを低下させることができ、そのため、糖尿病、肥満、及び/又は脂質異常症を治療するために使用することができる化合物に関する。本開示は、そのような化合物を含有する医薬組成物、並びにそのような化合物及び組成物の治療目的の使用も含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Xaa-C-Xaa-TATCAT-Xaa10-Xaa11-Xaa12-AE-Xaa15-LVRSS-Xaa21-Xaa22-FGP-Xaa26-LPPTEVGSNTY(配列番号14)
[配列中、
Xaaは、K又はγEであり、
Xaaは、E、N、又はGであり、
Xaa10は、G又はQであり、
Xaa11は、Orn又はKであり、
Xaa12は、L又はαMeLであり、
Xaa15は、αMeF又はFであり、
Xaa21は、N又はHであり、
Xaa22は、NMeD、NMeN、又はNであり、
Xaa26は、I又はKである]
を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Xaaが、γEであり、
Xaaが、Nであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeNであり、
Xaa26が、Kである、請求項1に記載の化合物(配列番号22)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xaaが、γEであり、
Xaaが、Nであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeDであり、
Xaa26が、Kである、請求項1に記載の化合物(配列番号23)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xaa26におけるリジンが、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
Xaaが、Kであり、
Xaaが、Eであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeDであり、
Xaa26が、Iである、請求項1に記載の化合物(配列番号24)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Xaaが、Kであり、
Xaaが、Eであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、αMeLであり、
Xaa15が、Fであり、
Xaa21が、Hであり、
Xaa22が、Nであり、
Xaa26が、Iである、請求項1に記載の化合物(配列番号25)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xaaにおけるリジンが、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される、請求項5又は6に記載の化合物。
【請求項8】
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
配列番号2からなる化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
配列番号4からなる化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
配列番号6からなる化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
配列番号8からなる化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
2型糖尿病を治療することを必要とする患者における2型糖尿病を治療する方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項15】
肥満を治療することを必要とする患者における肥満を治療する方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項16】
脂質異常症を治療することを必要とする患者における脂質異常症を治療する方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項17】
NASHを治療することを必要とする患者におけるNASHを治療する方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項18】
食物摂取量を低下させることを必要とする患者における食物摂取量を低下させる方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
体重を低下させることを必要とする患者における体重を低下させる方法であって、有効量の、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
血糖値を低下させることを必要とする患者における血糖値を低下させる方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項21】
トリグリセリドを低下させることを必要とする患者におけるトリグリセリドを低下させる方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記化合物が、週1回投与される、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項24】
臨床又は前臨床糖尿病、肥満、NASH、及び脂質異常症からなる群から選択される状態を治療することを必要とする患者における、状態を治療する方法であって、有効量の、請求項1に記載の化合物を、有効量のインクレチン又はインクレチン類似体と組み合わせて前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記化合物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるか、又はそれらの薬学的塩であり、前記インクレチン又はインクレチン類似体は、配列番号21である、請求項24に記載の治療の方法。
【請求項26】
療法における使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
療法における使用のための、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項28】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療における使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療における使用のための、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項30】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療のための医薬の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医学の分野に関する。特に、本開示は、糖尿病、肥満及び/若しくは慢性体重管理、脂質異常症並びに/又は非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)の治療の分野におけるものである。本開示は、アミリン受容体を刺激し、したがって、食物摂取量、体重、グルコースHbA1c(糖化ヘモグロビン)、及び/又はトリグリセリドを低下させることができ、糖尿病、肥満及び/若しくは慢性的体重管理、脂質異常症、並びに/又はNASHを治療するために使用することができる化合物に関する。本開示はまた、上記のような化合物を含有する医薬組成物、並びに上記のような化合物及び医薬組成物の治療的使用も含む。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間、糖尿病の有病率は上昇し続けている。2型真性糖尿病(Type 2 diabetes mellitus、「T2DM」)は、全ての糖尿病の90%を占める糖尿病の最も一般的な形態である。T2DMは、高血糖値を特徴とし、かつ主にインスリン耐性と関係する。糖尿病患者に望ましい治療は、血糖値を低下させ、HbA1cを安定化させるべきである。
【0003】
肥満は、脂肪組織量の過剰な蓄積につながる複雑な内科的障害である。今日、肥満は、望ましくない健康上の転帰及び罹病率に関連することが多い、世界的な公衆衛生上の懸念事項である。肥満の患者の望ましい治療においては、過度の体重が低減され、肥満に関連する併存症が改善され、かつ/又は長期的な減量が維持されるべきである。
【0004】
脂質異常症は、血中のコレステロール及び他の脂質(脂肪とも呼ばれる)の異常なレベルのことである。脂質異常症は、特に喫煙する個体において、詰まった動脈(アテローム性動脈硬化症)及び心臓発作、脳卒中、又は他の循環器系問題が発生する機会を増加させる。
【0005】
NASHは、非アルコール性脂肪性肝炎を表す。これは、代謝障害の肝臓における発現であり、非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease、NAFLD)の最も重篤な形態である。NASHは、糖尿病及び肥満の共存症に密接に関連している。
【0006】
アミリンは、膵臓のβ細胞からインスリンと共分泌される、37アミノ酸ペプチドホルモンであり、糖尿病を有する人においては不足している。これは、グルカゴンの分泌を抑制し、胃の内容物の排出を遅らせ、満腹剤として作用する。結果として、アミリンは、食後の体内のグルコースの量を調節するのを助ける。しかしながら、ヒトアミリンの生理化学的特性は、医薬としてのその使用を困難にしている。例えば、アミリンは、化学的に不安定であり、生理学的pHで沈殿するので製剤化が困難であり、酸性溶液中での製剤化を必要とする。更に、この薬の半減期は1時間未満であり、この薬は食事時に使用されるため、患者は、この薬を療法に使用するのには、1日に複数回の服用を必要とするであろう。
【0007】
プラムリンチドは、インスリンへの付加薬として糖尿病の治療に使用される市販のアミリンアゴニストペプチドである。プラムリンチドは、ジスルフィド結合(-S-S-)の存在及び脱アミド化の両方のせいで、中性のpHでは化学的に不安定である。したがって、それは酸性製剤で提供される。ヒトアミリンと比べると、プラムリンチドの25位、28位及び29位のアミノ酸はプロリンで置換されている。これらの修飾は、原線維形成に向かうペプチドの傾向を減少させる。しかしながら、プラムリンチドは依然として非常に短い血漿半減期を有し、したがって、1日に2~3回注射しなければならず、これは不便であり、そのため投薬の実施回数を十分に守ることができなくなり、更に、その結果として、薬の有効性が不完全な又は最適未満のものとなり得る。加えて、その低pH製剤は、インスリン及びGLP-1類似体に使用される中性pH製剤と適合せず、それにより、そのような化合物とのその同時投与(それ自体は相乗的であり、したがって改善された臨床有効性を有し得る)が複雑なものとなる。
【0008】
ヒトアミリンは、2つの異なる受容体複合体に結合する。これらの2つの複合体はまた、カルシトニン受容体及び受容体活性タンパク質、RAMP1又はRAMP3を含む。カルシトニン受容体は、全身の多くの組織で見出され、骨代謝の調節に関与すると考えられている。しかしながら、骨の調節以外、ヒトにおけるカルシトニン受容体の生理機能についてはほとんど知られておらず、したがって、カルシトニン受容体に対して高い親和性を有する分子ではオフターゲット毒性のリスクが増大する可能性がある。したがって、カルシトニン受容体と比較してアミリン受容体に対して増加した選択性を有するアミリンベースのポリペプチドは、有利な薬物動態学的及び薬理学的プロファイルを提供し得ると考えられる。
【0009】
カルシトニン受容体とアミリン受容体との間の密接な関係から、カルシトニン受容体に対するいくらかの交差反応性がアミリン受容体アゴニストには予想され得る。一例として、アミリンアゴニストペプチドであるプラムリンチドは、アミリン受容体に対して14倍強力であるが、カルシトニン受容体に対してある程度の親和性を有する。
【0010】
ヒトアミリンアゴニストペプチドを含み、アルブミン結合部分を有するポリペプチドが開示されている。国際公開第2010/046357号、同第2009/034119号、及び同第2009/034119号を参照されたい。アルブミン結合部分を有するこれらのポリペプチドは、プラムリンチドと比較して改善された薬物動態(PK)特性又は薬力学的(PD)特性を示すが、それらは、ある特定の条件下では依然として不十分な物理的安定性を示し得る。更に、ポリペプチドは一般にカルシトニン受容体よりもアミリン受容体に対して選択性を示さない。米国特許出願公開第2014/0087995号は、カルシトニン受容体よりもアミリン受容体に対して選択性を有するアミリンアゴニストペプチドを含むポリペプチドに関する。しかしながら、より高い効力、より低い開発可能性リスク、より低い免疫原性リスク、改善された化学安定性、及び中性pHでの製剤との適合性を有するアミリンアゴニストペプチド薬物候補が依然として必要とされている。
【0011】
カルシトニン受容体よりもアミリン受容体のアゴニズムに対して選択性を示す化合物(例えば、ペプチド)が必要とされている。更に、延長された作用時間及び保持された効力を有するアミリン受容体アゴニストが必要とされている。治療的に望ましい化合物は、アミリン受容体を刺激し、食物摂取量の低下、体重の低下、血糖レベルの低下、HbA1cの低下、トリグリセリドの低下、及び/又はインスリンレベルの低下などの1つ以上の有利な特性を提供するであろう。更に、治療的に望ましい化合物は、アミリン受容体を刺激する効力が保持若しくは改善された長時間の作用、低い免疫原性応答のリスク、及び/又は低い細線維化のリスクなどの、1つ以上の追加的な有利な特性を有し得る。
【0012】
更に、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症の治療を提供するためには、インクレチン又はインクレチン類似体と任意選択的に組み合わせた、本開示のアミリン受容体アゴニストの組み合わせが望ましい。そのような組み合わせはまた、好ましくは、いずれかの分子単独よりも効果的であろう。例えば、そのような組み合わせによるそのような治療は、単独での各々の分子と比較して、いずれか又は両方の分子のより低い用量の使用を可能にし得、有効性を維持しながら、より低い副作用(又は一方若しくは他方の療法のより短い期間)をもたらす可能性がある。本明細書で提供される新規の組み合わせ(複数可)は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症のための効果的な治療になると考えられる。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本開示は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を治療する方法であって、有効量の本発明のアミリン受容体アゴニストと、有効量の追加的薬剤とをそのような治療を必要としている患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
したがって、本開示は、アミリン受容体を刺激し、以下の特性のうちの1つ以上を有する新規化合物(ペプチド)を記載する:(1)食物摂取及び体重の有効な減少;(2)グルコース及びインスリンの低下;(3)プラムリンチドと比較して、免疫原性リスクの減少、及び低い細線維化のリスク;(4)プラムリンチドと比較して大幅に延長された半減期。ここに開示される化合物の延長された半減期によって、これらの化合物を療法において使用する場合には、週1回だけ投薬すればよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の一実施形態は、
Xaa-C-Xaa-TATCAT-Xaa10-Xaa11-Xaa12-AE-Xaa15-LVRSS-Xaa21-Xaa22-FGP-Xaa26-LPPTEVGSNTY-NH(配列中、Xaaは、K又はγEであり、Xaaは、E、N、又はGであり、Xaa10は、G又はQであり、Xaa11は、Orn又はKであり、Xaa12は、L又はαMeLであり、Xaa15は、αMeF又はFであり、Xaa21は、N又はHであり、Xaa22は、NMeD、NMeN、又はNであり、Xaa26は、I又はKである)を含む化合物(配列番号14)又はその薬学的に許容される塩である。任意選択的に、配列番号14を含む化合物は、この化合物の時間作用プロファイルを延長するための追加的要素を更に含む。これらの追加的要素には、リンカーの有無にかかわらず、配列中の任意の適切な位置に、免疫グロブリンのFc部分、免疫グロブリンのFc部分の断片、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)、VHH(重鎖抗体の可変ドメイン)の変異体、ナノボディ、ヒト血清アルブミンの断片、C20一酸、C20二酸、及びポリエチレングリコール(PEG)部分、又は他の種類の高分子量ポリマーが含まれる。好ましくは、追加的要素は、任意選択的にリンカーを用いて化合物上のリジンに結合される。更に、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、アミリンアゴニストペプチド及びアミリンアゴニストペプチドを含む化合物は、上記のような要素を、ペプチド配列に結合又は連結され、時間作用プロファイルを延長するすでに存在する任意の要素に加えて、又は既存の要素の代替として、更に含み得る。
【0016】
配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、Xaa26はリジンである。配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンが存在する場合、そのリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンが存在する場合、そのリジンは、式:AEEA-γE-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンが存在する場合、そのリジンは、式:γE-AEEA-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンが存在する場合、そのリジンは、式:(γE)-AEEA-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号14を含む化合物の他の実施形態において、26位のリジンが存在する場合、そのリジンは、当該技術分野で公知の別のリンカーを介して脂肪酸に結合される。更に、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、アミリンアゴニストペプチド及びアミリンアゴニストペプチドを含む化合物は、本明細書の式で示される、脂肪酸を結合するための別のリンカーを含み得る。
【0017】
配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、Xaaはリジンである。配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、1位のリジンが存在する場合、そのリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号14を含む化合物の他の実施形態において、1位のリジンが存在する場合、そのリジンは、当該技術分野で公知の別のリンカーを介して脂肪酸に結合される。
【0018】
配列番号14を含む化合物のいくつかの実施形態において、2位のシステインと7位のシステインとの間に、ジスルフィド架橋が存在する。配列番号14を含む化合物の好ましい実施形態において、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
【0019】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(配列番号1)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列からなる:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(配列番号1)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物Iを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeN、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0020】
【化1】
化合物I;配列番号1
【0021】
あるいは、本化合物は、配列番号1に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号1に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0022】
配列番号1を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンは、リンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号1を含む化合物の好ましい実施形態において、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。
【0023】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号2)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列からなる:γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号2)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物IIを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeN、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0024】
【化2】
化合物II;配列番号2
【0025】
あるいは、本化合物は、配列番号2に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号2に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0026】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(配列番号3)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列からなる:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(配列番号3)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物IIIを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0027】
【化3】
化合物III;配列番号3
【0028】
あるいは、本化合物は、配列番号3に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、化合物III(配列番号3)に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0029】
配列番号3を含む化合物のいくつかの実施形態において、26位のリジンは、リンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号3を含む化合物の好ましい実施形態において、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHの脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0030】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号4)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号4)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物IVを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0031】
【化4】
化合物IV;配列番号4
【0032】
あるいは、本化合物は、配列番号4に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号4に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0033】
本明細書の実施形態の1つは、以下の配列を含む:KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NH(配列番号5)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NH(配列番号5)からなる。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物Vを描いたものであるが、ただし、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0034】
【化5】
化合物V;配列番号5
【0035】
あるいは、本化合物は、配列番号5に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号5に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0036】
配列番号5を含む化合物のいくつかの実施形態において、1位のリジンは、リンカーを介して脂肪酸に結合される。配列番号5を含む化合物の好ましい実施形態において、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。
【0037】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列:KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NHを含む(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号6)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号6)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物VIを描いたものであるが、ただし、1位のリジン、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0038】
【化6】
化合物VI:配列番号6
【0039】
あるいは、本化合物は、配列番号6に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、化合物VI(配列番号6)に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0040】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NH(配列番号7)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NH(配列番号7)からなる。以下は、化合物VIIを描いたものであるが、ただし、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、12位のαMeL、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0041】
【化7】
化合物VII;配列番号7
【0042】
あるいは、本化合物は、配列番号7に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号7に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0043】
配列番号7を含む化合物のいくつかの実施形態において、1位のリジンは、脂肪酸リンカー部分に結合される。配列番号7を含む化合物の好ましい実施形態において、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される。
【0044】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列:KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NHを含む(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号8)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、1位のリジンは、式:(γE)-CO-(CH18-COH(配列番号8)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物VIIIを描いたものであるが、ただし、1位のリジン、2位及び7位のシステイン位のOrn、12位のαMeL、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0045】
【化8】
化合物VIII;配列番号8
【0046】
あるいは、本化合物は、配列番号8に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号8に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0047】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列:γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHを含む(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:AEEA-γE-CO-(CH18-COH(配列番号9)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:AEEA-γE-CO-(CH18-COH(配列番号9)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物IXを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ここで、ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、並びに37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0048】
【化9】
化合物IX;配列番号9
【0049】
あるいは、本化合物は、配列番号9に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号9に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0050】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:γE-AEEA-CO-(CH18-COH(配列番号10)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:γE-AEEA-CO-(CH18-COH(配列番号10)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物Xを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0051】
【化10】
化合物X;配列番号10
【0052】
あるいは、本化合物は、配列番号10に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号10に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0053】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-AEEA-CO-(CH18-COH(配列番号11)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:(γE)-AEEA-CO-(CH18-COH(配列番号11)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XIを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0054】
【化11】
化合物XI;配列番号11
【0055】
あるいは、本化合物は、配列番号11に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号11に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0056】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CNTATCATQ-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:AEEA-γE-CO-(CH18-COH(配列番号12)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CNTATCATQ-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:AEEA-γE-CO-(CH18-COH(配列番号12)で示されるリンカーを介して脂肪酸に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XIIを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のオルニチン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0057】
【化12】
化合物12;配列番号12
【0058】
あるいは、本化合物は、配列番号12に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号12に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0059】
本明細書における実施形態の1つは、以下の配列を含む:
γE-CGTATCATG-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:γE-CO-(CH18-COH(配列番号13)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。本明細書における代替的一実施形態は、以下の配列:γE-CGTATCATG-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NHからなる(式中、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在し、26位のリジンは、式:γE-CO-(CH18-COH(配列番号13)で示される脂肪酸リンカー部分に結合される)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XIIIを描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のオルニチン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0060】
【化13】
化合物13;配列番号13
【0061】
あるいは、本化合物は、配列番号13に対して少なくとも約90%~約99%の配列類似性を有し得る。あるいは、本化合物は、配列番号13に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有し得る。
【0062】
本開示は、配列番号1からなる化合物、配列番号2からなる化合物、配列番号3からなる化合物、配列番号4からなる化合物、配列番号5からなる化合物、配列番号6からなる化合物、配列番号7からなる化合物、配列番号8からなる化合物、配列番号9からなる化合物、配列番号10からなる化合物、配列番号11からなる化合物、配列番号12からなる化合物、及び/若しくは配列番号13からなる化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。本開示はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。本開示はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14からなる化合物、又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0063】
本開示は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を更に提供する。別の一実施形態では、本開示は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25からなる化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。好ましくは、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25の化合物は、2位のシステインと7位のシステインとの間にジスルフィド又はチオアセタール架橋を含む。より好ましくは、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25を含む化合物は、2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋を有し、脂肪酸リンカー部分に結合される。好ましくは、脂肪酸部分はリジンに結合される。
【0064】
本開示は、患者における糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHを治療する方法を提供し、その方法は、治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を投与することを含む。本開示は、食物摂取量を低下させる、体重を低下させる、血糖値を低下させる、HbA1cを低下させる、かつ/又はトリグリセリドを低下させる方法を更に提供し、その方法は、それらを必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらを含む医薬組成物を投与することを含む。好ましくは、本開示は、患者における糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHを治療する方法を提供し、その方法は、治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号2を含む化合物又はそれを含む医薬組成物を投与することを含む。より好ましくは、本開示は、患者における糖尿病を治療する方法を提供し、その方法は、治療を必要とする患者に、有効量の配列番号2を含む化合物又はそれを含む医薬組成物を投与することを含む。あるいは、本開示は、患者における肥満を治療する方法を提供し、その方法は、治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号2を含む化合物又はそれを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0065】
本出願は、療法における使用のための、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。本出願は、糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHの治療における使用のための、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を更に提供する。本出願はまた、糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHの療法、治療における使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。より好ましくは、本出願は、糖尿病の治療における使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。あるいは、本出願は、肥満の治療における使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。あるいは、本出願は、脂質異常症の治療における使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。あるいは、本出願は、NASHの治療における使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を提供する。
【0066】
本出願は、食物摂取量を低下させる、体重を低下させる、血糖値を低下させる、HbA1cを低下させる、かつ/又はトリグリセリドを低下させることにおける使用のための、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む組成物を提供する。より好ましくは、本出願は、食物摂取量を低下させる、体重を低下させる、血糖値を低下させる、HbA1cを低下させる、かつ/又はトリグリセリドを低下させることにおける使用のための、配列番号2を含む化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれを含む組成物を提供する。
【0067】
本開示は、糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHの治療のための医薬の製造における、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を更に提供する。好ましくは、本開示は、糖尿病、肥満、脂質異常症、及び/又はNASHの治療のための医薬の製造における、配列番号2を含む化合物の使用を更に提供する。
【0068】
本開示は、食物摂取量を低下させる、体重を低下させる、血糖値を低下させる、HbA1cを低下させる、かつ/又はトリグリセリドを低下させる医薬の製造における、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を更に提供する。好ましくは、本発明は、食物摂取量を低下させる、体重を低下させる、血糖値を低下させる、HbA1cを低下させる、かつ/又はトリグリセリドを低下させる医薬の製造における、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を更に提供する。
【0069】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、アミリンアゴニストペプチド、薬学的組成物、及び方法の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料は、本明細書に記載されている。
【0070】
また、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素への言及は、文脈が1つ及び1つのみの要素があることを明確に要求しない限り、複数の要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞の「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「約」は、例えば、明記された濃度、長さ、分子量、pH、配列同一性、時間枠、温度、体積などの値(単数又は複数)の統計学的に意味のある範囲内を意味する。このような値又は範囲は、所与の値又は範囲の典型的には20%以内、より典型的には10%以内、更により典型的には5%以内の大きさの範囲内であり得る。「約」によって包含される許容される変動は、研究での特定の系に依存し、当業者によって容易に理解され得る。
【0072】
本明細書で使用する場合、1つ以上の受容体に関して、「活性(activity)」、「活性化する(activate)」、「活性化する(activating)」などは、以下に記載されるインビトロアッセイなどの当該技術分野で既知のアッセイを使用して測定される、受容体に結合して受容体での応答を誘導する本明細書におけるペプチドなどの化合物の能力を意味する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然由来アミノ酸、及び非コードアミノ酸の両方を意味する。当該技術分野において既知であるように、「アミノ酸」は、化学的観点から、1つ以上のアミン基及び1つ以上のカルボン酸基の存在を特徴とし、他の官能基を含んでもよい分子である。更に、アミノ酸は典型的に、標準的な1文字のコード(例えば、Lはロイシンである)、及び天然アミノ酸のα-メチル置換残基(例えば、α-メチルロイシン又はαMeL、及びα-メチルフェニルアラニン又はαMeF)、並びに「γE」、「NMeN」、「NMeD」、「Orn」などの、他の特定の非コードアミノ酸を使用して示される。本開示の非コードアミノ酸の構造を以下に示す:
【0074】
【化14】
【0075】
本明細書で使用される場合、「γE」は、γ-グルタミン酸(ただし、ペプチド結合が、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)を意味する。本明細書で使用される場合、「Orn」は、L-オルニチンを意味する。本明細書で使用される場合、「αMeL」は、α-メチル-L-ロイシンを意味する。本明細書で使用される場合、「αMeF」は、α-メチル-L-フェニルアラニンを意味する。本明細書で使用される場合、「NMeN」は、N-メチル-アスパラギンを意味し、「NMeD」は、N-メチル-アスパラギン酸を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「AEEA」は、2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]酢酸を意味する。構造は以下の通りである:
【0077】
【化15】
【0078】
本明細書で使用される場合、「アミリンアゴニストペプチド」は、標的受容体を活性化し、その受容体の天然アゴニストによって誘発される少なくとも1つのインビボ又はインビトロ効果を誘発する、合成のペプチド又はポリペプチドなどの化合物を意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「慢性的な体重管理」とは、現在又は以前に肥満であると特徴付けられたヒトにおいて、低カロリー食及び身体活動の増加の補助として体重減少を維持する方法を意味する。
【0080】
「糖尿病」という用語は、ホルモンのインスリンを産生するか又はこれに応答する体の能力が損なわれ、炭水化物の異常な代謝、並びに血液中及び尿中のグルコースのレベルの上昇をもたらす疾患を指す。本明細書で使用される場合、「糖尿病」という用語は、身体が血糖又はグルコースを処理する方法に影響を及ぼす慢性状態、例えば、2型真性糖尿病(T2DM)、膵臓がインスリンをほとんど産生しないか全く産生しない慢性状態、例えば、1型真性糖尿病(type 1 diabetes mellitus、T1DM)、血糖値が高いが、2型糖尿病であるほど高くない状態、例えば、前糖尿病、妊婦に影響を及ぼす高血糖の形態、例えば、妊娠糖尿病を指し得る。
【0081】
「脂質異常症」という用語は、リポタンパク質の過剰産生又は欠乏を含む、リポタンパク質代謝の障害を指す。脂質異常症は、血液中における、総コレステロール、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein、LDL)コレステロール及びトリグリセリド濃度の上昇、並びに/又は高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein、HDL)濃度の低下に現れ得る。脂質異常症は、糖尿病に関連して発症する場合又は発症しない場合がある。
【0082】
本明細書で使用される場合、「脂肪酸」は、偶数の炭素原子の直鎖からなり、その直鎖は、鎖の長さに沿って水素原子を有し、カルボキシル基(-COOH)を、鎖の一端(一酸)又は両端(二酸)に有するというものである。好ましい実施形態では、「脂肪酸」部分は、C20二酸である。
【0083】
【化16】
【0084】
本明細書で使用される場合、「チオアセタール架橋」とは、ペプチド構造内のジスルフィド結合(複数可)を、官能的に再架橋するためのチオアセタール基の有機合成をいう。チオアセタール架橋(-S-CH-S-)は、2つの硫黄原子どうしの間に挿入されたメチレン基と共に以下に示される。
【0085】
【化17】
【0086】
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」という用語は、状態の症状及び合併症に対抗するか又はこれらを緩和する目的で、アミリン受容体ペプチドアゴニスト投与が示された状態を有する患者の管理及びケアを指す。治療することは、症状若しくは合併症の発症を予防するために、症状若しくは合併症を緩和するために、又は疾患、状態若しくは障害を排除するために、ここに開示されている化合物のうちの1つの化合物又はこれを含有する医薬組成物を、この化合物又はこれを含有する医薬組成物を必要とする患者に投与することを含む。好ましくは、治療することは、本開示の化合物又は本開示の化合物を含有する医薬組成物を、本開示の化合物又は本開示の化合物を含有する医薬組成物を必要とする患者に投与して、体重の正味低下、食物摂取量の低下、血糖レベルの低下、HbA1cの低下、及び/又はトリグリセリドレベルの低下をもたらすことを含む。治療される患者は、哺乳動物、好ましくは、人間である。
【0087】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、本明細書に記載の化合物の1つ以上の量又は用量を必要とする個体への単回又は複数回投与により、診断又は治療中のそのような個体において所望の効果を提供する(すなわち、例えば、体重の正味低下、食物摂取量の低下、血糖レベルの低下、HbA1cの低下、及び/又はトリグリセリドレベルの低下など、個体の状態に臨床的に測定可能な差異を生じさせ得る)、本明細書に記載の化合物の1つ以上の量又は用量を意味する。有効量は、既知の技法の使用によって、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者であれば容易に示すことができる。個体についての有効量を決定する際には、哺乳動物の種、その大きさ、年齢、及び全体的な健康状態、関与する特定の疾患又は障害、疾患又は障害の関与度又は重症度、個体の応答、投与される特定の化合物、投与の様式、投与される調製物の生物学的利用能の特徴、選択される用法、併用薬の使用、並びに他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の因子が考慮される。好ましくは、本開示の化合物又は本開示の化合物を含有する医薬組成物の有効量を必要とする患者に投与される、本開示の化合物又は本開示の化合物を含有する医薬組成物の有効量は、体重の正味低下、食物摂取量の低下、血糖レベルの低下、HbA1cの低下、及び/又はトリグリセリドレベルの低下をもたらすであろう。用量は、より高い初期負荷用量、その後のより少ない用量を含むことができる。本明細書で提供される化合物の有効用量は、0.05μg/kg~5000μg/kg、又は0.01nmol/kg~1000nmol/kgであり得る。
【0088】
本明細書で使用する場合、「半減期」又は「t1/2」は、本明細書におけるペプチドなどの化合物の量の半分が、生物学的プロセスにより、個体の血清又は血漿などの流体又は他の生理学的空間から除去されるのにかかる時間を意味する。あるいは、t1/2は、そのようなペプチドの量が、その薬理学的、生理学的、又は放射線学的活性の半分を失うのにかかる時間を意味することもできる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「半数効果濃度」又は「EC50」は、用量反応曲線などのアッセイエンドポイントの50%の活性化/刺激をもたらす化合物の濃度を意味する。
【0090】
本明細書で使用する場合、「長時間作用型」は、本明細書の組成物の結合親和性及び活性が、天然のペプチド又はタンパク質よりも長い期間継続し、このため、少なくとも、1日1回又は更には週3回、週2回、週1回、若しくは月1回程度の頻度で投薬することが可能になることを意味する。本明細書の化合物の時間作用プロファイルは、以下の実施例で説明するものなどの既知の薬物動態試験方法を使用して測定されてもよい。
【0091】
用語「NASH」は、非アルコール性脂肪性肝炎、別名脂肪肝疾患を指す。「NASH」とは、肝臓に脂肪が蓄積することによって引き起こされる肝臓の炎症及び損傷も指す。「NASH」はまた、非アルコール性脂肪肝疾患(「NAFLD」)のサブタイプも指す。いくつかの実施形態において、「NASH」は、「NAFLD」と同義であり得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、「肥満」という用語は、健康上の問題のリスクを高める過剰な体脂肪を伴う障害を指す。「肥満」という用語は、所定の身長に対して健康的な体重と考えられるものよりも重い体重も指す。「肥満」という用語はまた、30.0を超えるBMI、又は少なくとも1つの体重関連共存状態(例えば、高血圧、2型真性糖尿病、又は脂質異常症)を伴う27.0以上のBMI(過体重)を指す。
【0093】
本明細書で使用される場合、ボディマス指数(body mass index、BMI)は、キログラム単位での人の体重をメートル単位での身長の二乗で割ったものを指す。
【0094】
本明細書で使用する場合、「患者」及び「個体」は、互換的に使用され、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。ある特定の実施形態では、患者、好ましくはヒトは、アミリン受容体及びカルシトニン受容体の両方を刺激する化合物の投与から利益を受け得る疾患、障害、又は状態を更に特徴とする。
【0095】
いくつかの実施形態において、ここに開示されている化合物を含む医薬組成物は、そのような治療を必要としている患者に経口で投与され得る。ここに開示されている化合物を含む医薬組成物は、そのような治療を必要としている患者に非経口で投与され得る。非経口投与は、シリンジ、任意選択的にペン様シリンジ、又は機械駆動式注射器を用いた皮下、筋肉内、又は静脈内注射によって実施することができる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプを用いて行うことができる。ここに開示されている化合物の実施形態は医薬組成物を提供し、医薬組成物は、治療有効量のここに開示されている化合物及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を、この医薬組成物を必要としている患者に投与することを含む患者への投与に好適である。そのような医薬組成物は、当該技術分野で周知である医薬製品のための従来的な賦形剤を使用する様々な技法のうちのいずれかによって調製され得る。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,21st Edition,University of the Sciences in Philadelphia,Philadelphia,PA,USA(2006))。
【0096】
本明細書で使用する場合、「配列類似性」は、例えば、2つ以上の配列の全長又は比較ウィンドウにわたる一致など、生物学的化合物の2つ以上の核酸配列又はアミノ酸配列の定量的特性を意味する。配列類似性は、(1)同一性パーセント又は(2)類似性パーセントにより測定され得る。同一性パーセントは、2つの生物学的化合物間で同一の残基のパーセンテージを最短配列の長さで割ったものを測定し、一方、類似性パーセントは、同一性を測定し、加えて、評価に配列ギャップ及び残基類似性を含む。配列類似性を決定するための方法及びアルゴリズムは当該技術分野で周知であるため、本明細書で徹底的に説明する必要はない。同一のヌクレオチド又はアミノ酸位置の特定のパーセンテージは、少なくとも約75%、80%、85%、86、76、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、又はそれ以上である。
【0097】
ここに開示されている化合物は、体重低下の誘導、糖尿病、糖尿病に関連する状態、肥満及び/若しくは慢性的体重管理、脂質異常症並びに/又はNASHの治療に有用な1つ以上の追加的な治療薬と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて使用され得る。特許請求の範囲に記載される化合物と組み合わせることができる追加的治療薬の非限定的な例としては、インスリン又はインスリン類似体;ビグアニド;スルホニル尿素;チアゾリジンジオン;ジペプチジルペプチダーゼ-4(「DPP-4」)阻害剤;ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT2)阻害剤;グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)又はGLP-1類似体、胃抑制ポリペプチド(GIP)又はGIP類似体、オキシントモジュリン又はオキシントモジュリン類似体などのインクレチン化合物;増殖分化因子15(GDF15)アゴニスト化合物;ペプチドYY(PYY)類似体;GIP/GLP-1デュアルアゴニスト;Gcg/GIP/GLP-1トリアゴニスト(グルカゴン、GIP、及びGLP-1のトリアゴニスト);又は上記の薬剤のいずれかの組み合わせが挙げられる。特許請求の範囲に記載される化合物及び追加の治療剤(複数可)は、単一の丸剤、カプセル剤、錠剤、又は注射可能な製剤など、同じ送達経路及びデバイスを介して同時投与することができるか、あるいは別々の送達デバイス若しくは経路で同時に別々に投与することができるか、又は逐次的に投与することができる。
【0098】
本開示の別の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症からなる群から選択される状態の治療を、治療を必要としている患者において行う方法であって、その方法は、患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、有効量のインクレチン又はインクレチン類似体と組み合わせて投与することを含む、方法である。好ましくは、本開示の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症からなる群から選択される状態の治療を、治療を必要としている患者において行う方法であって、その方法は、有効量の、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、有効量のインクレチン又はインクレチン類似体と組み合わせて患者に投与することを含む、方法である。
【0099】
本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症からなる群から選択される状態の治療を、治療を必要としている患者において行う方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、GLP-1アゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要としている患者に、有効量の、配列番号1を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、化合物XVII(配列番号18)を含むCLP-1アゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の別の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要としている患者に、有効量の、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、化合物XVII(配列番号18)を含むCLP-1アゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。
【0100】
本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、オキシントモジュリンの類似体と組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、化合物XVIII(配列番号19)を含むオキシントモジュリンの類似体と組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の別の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要としている患者に、有効量の、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、化合物XVIII(配列番号19)を含むオキシントモジュリンの類似体と組み合わせて投与することを含む、方法である。
【0101】
本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、グルカゴン、GIP、及びGLP-1のトリアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、化合物XIX(配列番号20)を含む、グルカゴン、GIP、及びGLP-1のトリアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の別の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要としている患者に、有効量の、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、化合物XIX(配列番号20)を含む、グルカゴン、GIP、及びGLP-1のトリアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。
【0102】
本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、GIP/GLP-1デュアルアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩を、配列番号21を含むGIP/GLP-1デュアルアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。本開示の別の特定の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症を有する患者を治療する方法であって、その方法は、そのような治療を必要としている患者に有効量の、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩を、配列番号21を含む、GIP/GLP-1デュアルアゴニストと組み合わせて投与することを含む、方法である。
【0103】
本開示の別の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症の治療のために、インクレチン又はインクレチン類似体と別々に、同時に、又は連続的に組み合わせて使用するための、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、若しくは配列番号14を含む化合物又はその薬学的に許容される塩である。好ましくは、本開示の一実施形態は、糖尿病、肥満、NASH、及び/又は脂質異常症の治療のために、インクレチン又はインクレチン類似体と別々に、同時に、又は連続的に組み合わせて使用するための、配列番号2を含む化合物又はその薬学的に許容される塩である。より好ましくは、インクレチン又はインクレチン類似体は、配列番号21を含む、GIP/GLP-1デュアルアゴニストである。
【0104】
本明細書で使用される特定の略語は、以下のように定義される:「ACN」は、アセトニトリルを指し、「AMY1R」は、アミリン受容体1を指し、「cAMP」は、環状アデノシン一リン酸を指し、「CT」は、カルシトニンを指し、「DCM」は、ジクロロメタンを指し、「DIEA」は、ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DODT」は、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオールを指し、「FBS」は、ウシ胎児血清を指し、「Fmoc」は、フルオレニルメチルオキシカルボニルを指し、「GDF15」は、増殖分化因子15を指し、「GPCR」は、Gタンパク質共役受容体を指し、「HEPES」は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を指し、「HTRF」は、均一時間分解蛍光法を指し、「IBMX」は、1-メチル-3-イソブチルキサンチンを指し、「MEM」は、最小必須培地を指し、「Mtt」は、4-メチルトリチルを指し、「NASH」は、非アルコール性脂肪性肝疾患を指し、「NEAA」は、非必須アミノ酸を指し、「PyAOP」は、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを指し、「RP-HPLC」は、逆相高圧液体クロマトグラフィーを指し、「TCEP」は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリドを指し、「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指し、「TRIS」はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを指す。
【実施例
【0105】
実施例1:化合物I及び化合物IIの調製及び精製
化合物I及び化合物IIは、以下のステップに従って製造される。最初に、Symphony 12チャネル多重ペプチド合成器(Protein Technologies,Inc.(アリゾナ州Tucson)製)で、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)/tert-ブチル(t-Bu)化学反応を使用して、化合物I(配列番号1)を合成する。
【0106】
Polystyrene Rink Amide MBHA樹脂LL樹脂(Novabiochem,sub:0.35meq/g,100~200メッシュ、カタログ番号855045)を、0.13mmolスケールでの合成に使用する。標準的な側鎖保護基を使用する。Boc-Glu-OtBuを、1位に使用する。Fmoc-Lys(Mtt)-OHを、26位のリジンに使用する。各々のカップリングステップ(2回×7分間)の前に、DMF中の20%のピペリジンを使用して、Fmoc基を除去する。アミノ酸カップリングは全て、Fmocアミノ酸(0.3M)、ジイソプロピルカルボジイミド(0.9M)、及びOxyma(0.9M)の等モル比を使用して、理論上のペプチド負荷に対して7.7倍のモル過剰で、60℃で30分間実施する。15位のαMeF及び22位のNMeNに続くアミノ酸カップリングを、それぞれ60℃で3時間及び6時間実施する。化合物I(配列番号1)については、この時点で樹脂を切断カクテルで処理する(条件については、脂肪酸-リンカー部分を付加して化合物IIを生成する手順の後に記載)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物I(配列番号1)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeN、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0107】
【化18】
化合物I;配列番号1
【0108】
次いで、樹脂をDCMで6回入念に洗浄して、残留DMFを除去する。26位のリジンのMtt保護基は、DCM中で30%のヘキサフルオロイソプロパノール(Oakwood Chemical社製)の処理を2回(2回×40分の処理)使用して、ペプチド樹脂から選択的に除去される。脂肪酸リンカー部分のその後の結合は、Fmoc-グルタミン酸α-t-ブチルエステル(Fmoc-Glu-OtBu(Ark Pharm,Inc.製))、及びモノ-OtBu-エイコサン酸(WuXi AppTec社(中国上海)製)をカップリングすることによって達成される。3倍過剰の試薬(AA:PyAOP:DIEA=1:1:1mol/mol)を1時間の長さの各々のカップリングに使用する。
【0109】
合成が完了したら、ペプチド樹脂をDCMで洗浄し、完全に空気乾燥させる。乾燥樹脂を、室温で2時間、10mLの切断カクテル(TFA:DODT:TIS:HO=89:3:3:5 v/v)で処理する。樹脂を濾別し、各々2mLのニートTFAで2回洗浄し、合わせた濾液を4倍冷ジエチルエーテル(-20℃)で処理して、粗ペプチドを沈殿させる。その後、ペプチド/エーテル懸濁液を3500rpmで2分間遠心分離して固体ペレットを形成し、上清を傾瀉し、固体ペレットをエーテルで更に2回粉砕する。チオアセタール架橋を作製するために、風乾後のペレットを5mLの20mMリン酸カリウム緩衝液及び3mLのACNに溶解させる。完全に溶解したら、十分に撹拌しながら、HO中のTCEP(30μM、5当量)、ジヨードメタン(8当量)、及びトリエチルアミン(10当量)を添加し、5~30分間撹拌する。LCMSを用いて反応をモニターする。これは通常5分で完了する。反応が完了した後、0.1%のTFAを有する1mLのHOを、6mLの酢酸と共に、混合物に添加する。溶液が濁っている場合、必要に応じて更にACNを添加する。
【0110】
粗ペプチドを、100%アセトニトリル及び0.1%TFA/水緩衝液系を使用する直線勾配を用いて、Phenomenex PhenylHexylカラム(5μm、100A、250×21.2mm、部品番号:00G-4257-P0-AX)でのRP-HPLCによって精製する。ペプチドの純度を、Waters社製のSymmetry Shield RP18カラム(3.5μm、6×100mm、部品番号:186000179)を使用する分析RP-HPLCを使用して評価し、プール基準は95%超である。化合物II(配列番号2)の主要プール純度は、98.4%超であることが判明している。最終的な主要生成物プールのその後の凍結乾燥は、凍結乾燥されたペプチドTFA塩をもたらす。化合物I(配列番号1)の分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1315.2であり;計算値[M+3H]3+=1315.5;MW(平均)実測値=3942.6;MW(平均)計算値=3943.4)。化合物II(配列番号2)の分子量は、LC/MSによって決定する(実測値:[M+3H]3+=1509.5;計算値[M+3H]3+=1509.7;MW(平均)実測値=4525.5;MW(平均)計算値=4526.1)。以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物II(配列番号2)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeN、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0111】
【化19】
化合物II;配列番号2
【0112】
上記及び当業者に既知のものに類似した方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸-リンカー部分をコンジュゲートさせ、純度を調べ、本明細書に記載されている本発明の化合物の分子量を確認することができる。
【0113】
実施例2:化合物III及び化合物IVの調製及び精製
化合物III及び化合物IVは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0114】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物III(配列番号3)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0115】
【化20】
化合物III;配列番号3
【0116】
化合物III(配列番号3)の分子量は、LC/MSによって決定する(実測値:[M+3H]3+=1314.9;計算値[M+3H]3+=1315.8;MW(平均)実測値=3941.7;MW(平均)計算値=3944.4)。
【0117】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを用いて化合物IV(配列番号4)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を用いて形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は拡大されている:
【0118】
【化21】
化合物IV;配列番号4
【0119】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1509.7;計算値[M+3H]3+=1510.0;MW(平均)実測値=4526.1;MW(平均)計算値=4527.1)。
【0120】
実施例3:化合物V及び化合物VIの調製及び精製
化合物V及び化合物VIは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0121】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物V(配列番号5)を概略的に描いたものであるが、ただし、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0122】
【化22】
化合物V;配列番号5
【0123】
化合物V(配列番号5)の分子量は、LC/MSによって決定する(実測値:[M+3H]3+=1314.9;計算値[M+3H]3+=1315.5;MW(平均)実測値=3941.7;MW(平均)計算値=3943.4)。
【0124】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物VI(配列番号6)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のリジン、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、15位のαMeF、22位のNMeD、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0125】
【化23】
化合物VI:配列番号6
【0126】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1509.4;計算値[M+3H]3+=1509.7;MW(平均)実測値=4525.2;MW(平均)計算値=4526.1)。
【0127】
実施例4:化合物VII及び化合物VIIIの調製及び精製
化合物VII及び化合物VIIIは、実施例1に概説された方法に従って製造される。
【0128】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物VII(配列番号7)を概略的に描いたものであるが、ただし、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、12位のαMeL、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0129】
【化24】
化合物VII;配列番号7
【0130】
化合物VII(配列番号7)の分子量は、LC/MSによって決定する(実測値:[M+3H]3+=1317.9;計算値[M+3H]3+=1318.1;MW(平均)実測値=3950.7;MW(平均)計算値=3951.4)。
【0131】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物VIII(配列番号8)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のリジン、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、12位のαMeL、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0132】
【化25】
化合物VIII;配列番号8
【0133】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1512.2;計算値[M+3H]3+=1512.4;MW(平均)実測値=4533.6;MW(平均)計算値=4534.2)。
【0134】
実施例5:化合物IXの調製及び精製
化合物IXは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0135】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物IX(配列番号9)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0136】
【化26】
化合物IX;配列番号9
【0137】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1558.3;計算値[M+3H]3+=1558.8;MW(平均)実測値=4671.9;MW(平均)計算値=4673.3)。
【0138】
実施例6:化合物Xの調製及び精製
化合物Xは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0139】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物X(配列番号10)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0140】
【化27】
化合物X;配列番号10
【0141】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1558.5;計算値[M+3H]3+=1558.8;MW(平均)実測値=4672.5;MW(平均)計算値=4673.3)。
【0142】
実施例7:化合物XIの調製及び精製
化合物XIは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0143】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XI(配列番号11)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0144】
【化28】
化合物XI;配列番号11
【0145】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1553.2;計算値[M+3H]3+=1553.4;MW(平均)実測値=4656.6;MW(平均)計算値=4657.2)。
【0146】
実施例8:化合物XIIの調製及び精製
化合物XIIは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0147】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XII(配列番号12)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0148】
【化29】
化合物XII;配列番号12
【0149】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1577.4;計算値[M+3H]3+=1577.8;MW(平均)実測値=4729.2;MW(平均)計算値=4730.3)。
【0150】
実施例9:化合物XIIIの調製及び精製
化合物XIIIは、実施例1に概説されたプロセスに従って製造される。
【0151】
以下は、標準的な一文字アミノ酸コードを使用して化合物XIII(配列番号13)を概略的に描いたものであるが、ただし、1位のグルタミン酸(γE)(ペプチド結合は、典型的なα位ではなくγ位の側鎖カルボン酸基を使用して形成される)、2位及び7位のシステイン、11位のOrn、26位のリジン、及び37位のチロシンについては、それらのアミノ酸残基の構造は、拡大されている:
【0152】
【化30】
化合物XIII;配列番号13
【0153】
分子量は、LC/MSによって決定される(実測値:[M+3H]3+=1481.2;計算値[M+3H]3+=1481.3;MW(平均)実測値=1440.6;MW(平均)計算値=4441.0)。
【0154】
ジスルフィド結合架橋の調製
ジスルフィド結合を作製するために、10滴のヨウ素溶液(AcOH中2%のヨウ素)を、フラスコ中の40mLの、20%のMeCN/20%のAcOH/60%の水に添加することによって酸化溶液を調製する。これとは別に、風乾後のペプチドペレットを、5mLのAcOHに溶解させることによって、ペプチド溶液を作製する。撹拌しながら、ペプチド溶液を、酸化溶液に滴下して添加する。追加のヨウ素溶液(AcOH中2%のヨウ素)を、必要に応じて添加して、フラスコ中の淡黄色溶液を維持する。全てのペプチド溶液を添加した後、淡褐色/黄色が5分間維持される。過剰のヨウ素は、酸化溶液に1滴の飽和アスコルビン酸を添加することによって中和される。溶液を0.45μmフィルターで濾過すると、ペプチドは精製の準備ができた状態である。
【0155】
実施例10:アミリンアゴニストペプチドのインビトロ機能活性
AMY1受容体及びCT受容体は、Gαsタンパク質に機能的に共役しているGPCRである。これらの受容体を刺激すると細胞内cAMPの産生が増加し、これは、標準的なインビトロ技術を使用して検出することができる。ペプチドのインビトロ活性は、ヒトAMY1R及びCTR過剰発現細胞において形成されるcAMPの量によって測定される。
【0156】
ヒトCT受容体は、pcDNA発現ベクターの制御下で、ヒト膀胱細胞(UM-UC-3又はUMUC3)において安定的に発現される。UMUC3細胞株を、10%のFBS、1%の抗生物質/抗真菌剤溶液、1mMのピルビン酸ナトリウム、1XMEM NEAA、1XGlutaMAX-Iを補充した、MEM 1X(Meditech Inc.、17-305-CV)中で培養する。ヒトCTa-pcDNA3.1 Hygro(+)(T2616)DNAのプラスミドを、LipofectAMINE 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen、11668-019)を使用して、UMUC3細胞にトランスフェクトする。選択下で20日後、異なるクローンからのmRNAレベルを測定して、hCTRの発現を確認する。過剰発現されたhCTR細胞の機能を決定するために、サケカルシトニンに応答した細胞内cAMPレベルを測定し、各クローンにおけるhCTR mRNAの発現と比較する。
【0157】
ヒトAMY1R安定細胞株は、ヒトRAMP1-pCMVpuroPB(T14213)を、UMUC3のhCTRクローン細胞に、更にトランスフェクトすることによって生成される。選択後、異なるクローンからのヒトRAMP1のmRNAレベルを測定して、ヒトAMY1Rの発現を確認する。
【0158】
hAMY1R細胞は、10%のFBS、1%の抗生物質/抗真菌溶液、1mMのピルビン酸ナトリウム、1X MEM NEAA、1X GlutaMAX-I、200μg/mLのハイグロマイシンB、及び0.4μg/mLのピューロマイシンを補足したMEM 1X(Corning社製)で培養される。hCTR細胞を、ピューロマイシンを欠く同じ培地中で培養する。培養細胞を70%の集密度に増殖させ、次いで、新鮮な培地で一晩インキュベートする。
【0159】
アッセイ日に、10μLのアッセイ緩衝液(フェノールレッドを含まないMEM(Corning社製、カタログ番号17-305-CV)、0.1%のカゼイン、0.5mMのIBMX、5mMのHEPES、pH7.4)を、白色のポリ-D-リジンでコーティングされた384ウェルプレート(Corning社製、カタログ番号354661)の各々のウェルに分注する。DMSOで希釈したペプチドを、ECHO音響液体ハンドラー(Beckman社製)を使用して、1:3の希釈系列で添加する(200nL/ウェル)。培養細胞をTrypLE Express(Gibco社製)で剥離し、アッセイ緩衝液に再懸濁させ、1200細胞/ウェル(hCTR)又は1500細胞/ウェル(hAMY1R)を含む10μLを各ウェルに分注する。プレートを室温で、1時間インキュベートする。
【0160】
HTRF技術(ホモジニアス時間分解蛍光法、Cisbio社)を販売者の使用説明書に従って使用して、細胞内cAMPの量を定量化する。簡潔に述べると、溶解緩衝液中の10μLのcAMP-d2コンジュゲート及び10μLの抗cAMP-クリプテートコンジュゲートを、処理した細胞と共に室温で60分間インキュベートする。Envisionプレートリーダー(Perkin-Elmer社製)を使用して、HTRF信号を直ちに検出し、665nm対620nmで蛍光の比を計算する。生データは、各実験について生成されたcAMP標準曲線を使用して、cAMP量(pmol/ウェル)に変換する。相対EC50値は、4パラメータロジスティック曲線フィッティングプログラム(Genedata Screener(登録商標)v12.0.4)で、1nMのサケCT(Bachem社製)を最大値として、かつ緩衝液のみを最小値として使用して定義された濃度応答曲線の上下範囲から計算する。本出願の化合物は、表1に示されるように、アミリン受容体対カルシトニン受容体において、選択的活性を示す。
【0161】
表1.アミリン受容体及びカルシトニン受容体での機能活性データの比較
【表1】
【0162】
実施例11:hAMY1受容体及びhCT受容体に対するアミリンアゴニストペプチドの、インビトロでの結合親和性
ヒトAMY1R及びCTR過剰発現細胞(実施例10に記載)からの膜を標準的な方法によって単離し、結合アッセイに使用した。様々な受容体/放射性リガンド相互作用の平衡解離定数(Kd)を、化合物試験について以下に説明するのと同じ試薬と緩衝液を使用する飽和結合分析から決定する。この研究で使用した受容体調製物について測定したKd値は以下の通りである:hAMY1R:0.067nM;ヒトカルシトニン受容体(hCTR):0.046nM。
【0163】
hAMY1R結合プロトコル
rAMY、hCT、及びhAMYアゴニストペプチドの受容体結合親和性(Ki)を、競合的放射性リガンド結合フィルターアッセイから決定する。アッセイ緩衝液は、50mMのHEPES、pH 7.1、5mMのMgCl、5mMのKCl、0.2%(w/v)のバシトラシン、0.003%(w/v)のサポニンからなり、放射性リガンド及び膜調製物を希釈するために使用される。結合反応は、ポリスチレン96ディープウェルアッセイブロックにおいて、0.1mLの総反応物体積で実施する。ヨウ素化ラットアミリン(ViTrax社によるカスタム合成;2200Ci/mmol;125I-rAMY)を、最初にアッセイ緩衝液中に約50pMの濃度に希釈する。試験化合物及び非特異的結合(NSB:300nMのrAMYとして定義)を放射能緩衝液のアリコートに加える。簡単に説明すると、試験化合物を200nMの初期濃度に希釈し、125I-rAMY中で4倍ステップで連続希釈し、次いで0.05mLの希釈試験化合物、NSB、又は全結合(ニート125I-rAMYとして定義)を、96ウェルポリスチレンアッセイブロックに移す。アッセイ緩衝液で希釈した200μg/mLのhAMY1R、0.05mLを放射能緩衝液に添加することによって、結合反応を開始する。アッセイブロックを穏やかにボルテックスし、パラフィルムで密封し、室温で約20時間インキュベートする。インキュベーションが完了する30分前に、フィルターマット(Perkin Elmer社製印刷フィルターマット、カタログ番号1450-421)を、サポニンを含まないアッセイ緩衝液からなるが、0.1%(w/v)脂肪酸非含有ウシ血清アルブミン(FAF-BSA)及び0.5%(v/v)ポリエチレンイミン(PEI)を補充した溶液に浸漬する。インキュベーションの終わりに、結合したリガンドを、100mMのNaCl、50mMのTRIS-HCl(pH7.1)からなる氷冷クエンチ緩衝液の添加によって遊離リガンドから分離し、TomTec社製96ウェルフィルターハーベスターを用いた真空濾過によって、フィルターマット上に直ちに回収する。なお、以下のフィルタープロトコールを使用する:乾燥時間、7;サイクル3反復、0;洗浄時間、1;浸漬時間、1;1回目の吸引時間、4;洗浄/吸引時間、7;2回目の吸引時間、4;空気圧、2PSI。応答曲線における、試験したペプチドの最終アッセイ濃度範囲は、100nM~0.00038nMである。
【0164】
hCTR結合プロトコル
hCTR膜上のrAMY、hCT、及びhAMYアゴニストペプチドの受容体結合親和性(Ki)を、競合的放射性リガンド結合フィルターアッセイから決定する。アッセイ手順は、hAMY1R結合アッセイと同様であるが、ただし、125I-hCT(ViTrax社によるカスタム合成;2200Ci/mmol)をホットリガンドとして使用する。結合反応を、14pMの125I-hCT及び20μg/mLのhCTR膜を用いて0.2mLの総反応物体積で行い、20時間インキュベートする。応答曲線における、試験したペプチドの最終アッセイ濃度範囲は、2500nM~0.00128nMである。本出願の化合物は、表2に示されるように、アミリン受容体対カルシトニン受容体において、選択的活性を示す。
【0165】
表2.ヒトアミリン受容体及びカルシトニン受容体でのインビトロ結合(Ki)
【表2】
【0166】
実施例12:正常なラットの食物摂取量及び体重に対するインビボでの効果
Envigo RMS社(インディアナ州インディアナポリス)から入手の、雄のSprague Dawleyラットを、固形飼料(2014;Teklad Global(Envigo RMS社(インディアナ州インディアナポリス))で飼育し、温度制御された施設(72.0°F;22.2℃)内に一匹ずつ収容し、12:12時間の逆転照明サイクル(午前10時にオフ)で、食物及び水を自由に摂取させた。10週齢時点で、絶食していない体重及び初期の食物重量を記録し、動物にビヒクル又はアシル化ペプチド(1mL/kg)の単回皮下注射(SC)を行い、その後、投与後4日間にわたり体重及び食物摂取量を毎日測定する。曲線下面積(Area under the curve、AUC)分析を、ビヒクルに対する体重及び食物摂取量の両方について計算する。
【0167】
表3:長時間作用型アミリンアゴニストペプチドの単回投与後のSprague Dawleyラットにおける4日間の体重及び食物摂取量の変化
【表3】

未処置の動物の初期体重と比較した、投与後96時間時点での平均体重の変化。
**投与後96時間時点でのペプチド処置動物の累積食物摂取量対投与後96時間時点でのビヒクル処置動物の累積食物摂取量。
【0168】
実施例13:食餌誘発性肥満ラットの食物摂取量及び体重に対するインビボでの効果
Envigo RMS社(インディアナ州インディアナポリス)から入手の、14週齢の雄のLong Evansラットに、高脂肪食(摂取カロリーの40%が脂肪、TD.95217(Envigo RMS社(インディアナ州インディアナポリス)製)を35~45週齢まで与える。動物を、温度制御(75.0°F;23.9℃)された施設内に個別に収容し、12時間の逆転明/暗サイクル(午前10時に消灯)で、食物及び水を自由に摂取させた。体重を記録し、身体組成(脂肪量)を、定量的核磁気共鳴分析法(ECHO MRI,3-1 Composition Analyzer;Echo Medical Systems社(テキサス州ヒューストン)製))を用いて決定し、続いて実験群(n=5)に無作為化する。ラットにビヒクル又はペプチド(1mL/kg)の皮下注射を、3日ごと(1日目、4日目、7日目、10日目、及び13日目)に行う。毎日の体重を記録し、治療終了時(14日目)の変化を、治療前の体重(1日目)に対するパーセンテージとして計算する。体組成を14日目に測定し、体脂肪量及び除脂肪量(体重-体脂肪量)の変化を、グラム変化として治療前の値から計算する。
【0169】
表4:アミリンアゴニストペプチドを用いた、食餌誘導性肥満ラットにおける、2週間の研究における体重の変化
【表4】

未処置の動物の初期体重と比較した、2週目の平均体重又は体脂肪量若しくは除脂肪量の変化。
【0170】
実施例14:雄のSprague Dawleyラットにおける薬物動態
化合物II(配列番号2)、化合物IV(配列番号4)、化合物VI(配列番号6)、及び化合物VIII(配列番号8)の薬物動態を、雄のSprague Dawleyラットへの30nmol/kgの単回皮下投与後に評価する。血液の試料を、SC投与後1、3、6、12、24、48、72、及び96時間の時点で採取する。得られた個々の血漿濃度を用いて、薬物動態パラメータを計算する。ペプチド血漿(KEDTA)濃度は、ペプチドのインタクト質量を測定する適格なLC/MS法を使用して決定する。各ペプチド及び類似体を、内部標準として血漿から抽出する。高分解能Thermo社製Q-Exactiveを、LC/MS検出に使用する。平均薬物動態パラメータを表5に示す。
【0171】
表5.雄のSprague Dawleyラットへの30nmol/kgの単回皮下投与後の、ペプチドの平均薬物動態パラメータ。
【表5】

略語:T1/2=半減期、Tmax=最大濃度到達時間、Cmax/D=最大血漿濃度を用量で除した値、AUCINF/D=AUCinfを用量で除した値、CL/F=クリアランス/生物学的利用能。注記:データは平均値で、各群のn=3である。
【0172】
実施例15:雄のカニクイザルにおける薬物動態
化合物II(配列番号2)、化合物IV(配列番号4)、化合物VI(配列番号6)、及び化合物VIII(配列番号8)の薬物動態を、雄のカニクイザルへの20nmol/kgの単回皮下投与後に評価する。血液の試料を次の時点:SC投与後1、3、6、12、24、48、72、120、168、240、336、408、及び504時間の時点で採取する。得られた個々の血漿濃度を用いて、薬物動態パラメータを計算する。ペプチド血漿(KEDTA)濃度は、ペプチドのインタクト質量を測定する適格なLC/MS法を使用して決定する。各ペプチド及び類似体を、内部標準として血漿から抽出する。高分解能Thermo社製Q-Exactiveを、LC/MS検出に使用する。平均薬物動態パラメータを表6に示す。
【0173】
表6.カニクイザルへの20nmol/kgの単回皮下投与後のペプチドの平均薬物動態パラメータ。
【表6】

略語:T1/2=半減期、Tmax=最大濃度到達時間、Cmax/D=最大血漿濃度を用量で除した値、AUCINF/D=AUCinfを用量で除した値、CL/F=クリアランス/生物学的利用能。注記:データは平均値で、各群のn=3である。
【0174】
実施例16:免疫原性リスク評価
樹状細胞(Dendritic Cell、DC)内在化アッセイ
このアッセイは、被検抗体を内在化させるヒトDCの能力を評価する。CD14+細胞を培養し、IL-4及びGM-CSFを用いて、未成熟DCに分化させる。被検抗体、アイソタイプ対照、又は陽性対照を、検出剤(Fab-QSY7-TAMRA)と1:1の比率でプレインキュベートして、複合体を形成させ、次いで、培養物に添加する。細胞を、1日間インキュベートする。内在化及び切断時に、フローサイトメトリーによって陽性TAMRAシグナルを検出し、IgG1-ENアイソタイプ対照及び抗CXCR抗体を使用して、正規化された内在化指数を計算する。
【0175】
MAPPSアッセイ(MHC関連ペプチドプロテオミクス)
MAPPSは、被検分子で処理されたヒト樹状細胞上のMHC-II提示ペプチドの特性を明らかにする。正常なヒトドナーのPBMCから単離されたCD14+細胞を培養し、IL-4及びGM-CSFとインキュベーションすることによって、未成熟DCに分化させる。4日目に、培地を、被検分子を含む新鮮な培地と交換する。5日目に、LPSを添加して、細胞を、成熟DCに変換する。6日目に、細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含むRIPA緩衝液に溶解する。MHC-II複合体の免疫沈降は、ストレプトアビジンビーズに結合したビオチン化抗MHC-II抗体を使用して行う。結合した複合体を溶出させ、濾過する。単離されたMHC-IIペプチドは、質量分析計によって分析される。ペプチド同定は、酵素を含まない検索アルゴリズムと、データベースに付加された試験配列を含むウシ/ヒトデータベースとを使用して、内部プロテオミクスパイプラインによって生成される。KNIMEワークフローは、試料からの識別ファイルを処理するために使用される。試験品から同定されたペプチドは、試験分子の親配列に対して整列される。出力は、試験分子の領域からMHC-IIペプチドを提示するドナーのパーセンテージを決定するために使用される。化合物II、化合物IV、化合物VI、化合物VIII、米国特許第9,023,789号を代表する化合物(以下、「化合物’789」とする)、及びプラムリンチドを、MAPPsアッセイで試験する。化合物II、化合物IV、化合物VI、化合物VIIIは、アッセイにおいてMHC-II複合体上に提示されたペプチドを示さない。化合物’789は、MHC-II複合体上の残基8~23にわたるペプチドクラスターを提示する。プラムリンチドは、2つのペプチドクラスターであって、その両方で、MHC-II複合体上に提示される残基1~34にわたる2つのペプチドクラスターを示す。
【0176】
インシリコTCEM(T細胞露出モチーフ)分析
この分析は、MAPPSによって同定された特定のペプチドクラスターが、CD4+T細胞を活性化する可能性を評価する。非生殖系列残基を含むMAPPSで同定されたペプチド配列は、ImmunoEpitopeデータベース(ImmunoEpitope Database、IEDB)の分析リソースMHCII結合予測ページに入力される。IEDB推奨の予測方法が選択される。予測では、27個の最も頻度の高いHLA-DR、-DP、及び-DQアレルが、人口のかなりの部分をカバーしているとみなされる。15個の残基以上の長さの各入力配列は、配列全体にわたり重複する15mer(1アミノ酸のオフセット)に分割される。各ペプチドについて、ペプチドのスコアを、SWISSPROTデータベースから選択された500万のランダム15merのスコアと比較することによって、パーセンタイルランクが生成される。レジスターの推定P-1、P2、P3、P5、P7、及びP8位置に位置するアミノ酸は、TCEMを生成し、リスクは、これらの位置における非生殖系列残基の存在に基づいて定義される。非生殖系列残基及び複数のアレルへのコア結合の可能性は、グラフィックレンダリングで報告され、免疫原性リスク評価用に考慮される。
【0177】
MS血清結合
このアッセイは、試験候補のヒト血清タンパク質へのオフターゲット結合を評価する。被検抗体は、Immulon 4 HBXマイクロプレートにコーティングされる。ブロッキング後、ヒト血清を添加し、一晩インキュベートする。プレートを洗浄し、結合したタンパク質を、溶出させ、還元し、アルキル化し、消化させる。ペプチドは、質量分析計で分析される。ペプチドの同定は、トリプシン酵素特異性による検索アルゴリズム及び試験分子の配列が追加されたヒトデータベースを使用して、内部プロテオミクスパイプラインによって生成される。イオンは、内部プロテオミクスツール(Chrom-Alignment、Metaconsense、Quant)によって定量化され、JMPで、一元配置分析/各対、Studentのt検定のプラットフォームを使用して分析される。JMPを使用したイオンのlog2aucの分析:イオンごとにYをXで近似/平均の比較/全ての対、Tukey HSD。
【0178】
T細胞増殖アッセイ
このアッセイは、細胞増殖を誘導することによって、CD4+T細胞を活性化する被検抗体又は被検MAPPSペプチドの能力を評価する。CD8+T細胞を枯渇させたPBMCを調製し、CFSEで標識する。各試料を、培地対照、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH;陽性臨床ベンチマーク対照)、被検抗体、又は被検MAPPSペプチドと共に試験する。培養物を、7日間インキュベートする7日目に、試料を、フローサイトメトリーによって分析する。
【0179】
既存の反応性(ACEアッセイフォーマット)
このアッセイは、未治療の正常なヒト血清(NHS)中の被検分子に対する既存の抗体(ADA)の存在を評価する。希釈したNHSを、ビオチン化された被検分子でコーティングしたPierce Streptavidinプレート上で一晩インキュベートする。翌日、捕捉された結合タンパク質を酸溶出させ、Mesoscale(MSD社製)プレートにハードコーティングし、ビオチン標識分子及びルテニウム標識ストレプトアビジンの組合せで検出する。抗薬物抗体が存在する場合、それらは標識された薬物に結合し、得られたシグナルはティア1シグナルと呼ばれる(電気化学発光として表される)。このシグナルは、ティア2で、検出ステップで過剰な標識されていない被検分子を添加すること(これにより、ティア1シグナルが抑制される)によって確認される。既存の抗薬物抗体の存在は、ティア2阻害の90パーセンタイルの大きさとして表される。ティア2阻害の90パーセンタイルは、ティア1反応性の特異性の大きさを評価するための統計ツールである。この90パーセンタイルは、ADAリスクに関して分子をランク付けするために使用される。
【0180】
表7.免疫原性リスク評価のまとめ
【表7】

略語:ACE=酸捕捉溶出;ADA=抗薬物抗体;CDR=相補性決定領域;DC=樹状細胞;H1=VH CDR1;H2=VH CDR2;H3=VH CDR3;L1=VL CDR1;L2=VL CDR2;MAPPs=MHC関連ペプチドプロテオミクス;MHC=主要組織適合性複合体;MS=質量分析;T2=ティア2;TCEM=T細胞露出モチーフ;VH=可変重鎖;VL=可変軽鎖;VHFR3=可変重鎖フレームワーク3
【0181】
実施例17:他のインクレチン化合物と組み合わせた化合物IIの、食事誘発性肥満(Diet Induced Obese、DIO)ラットにおけるインビボ有効性
この研究は、GLP-1アゴニスト(化合物XVII)、オキシントモジュリン類似体(化合物XVIII)、並びにグルカゴン、GLP-1及びGIP(化合物XIX)のトリアゴニストを含む他のインクレチン化合物と組み合わせて投与したときの、DIOラットにおける糖尿病及び/又は肥満状態に対する化合物IIの効果を調査するために実施する。Lillyに到着してから高カロリー食(TD95217(Teklad社(ウィスコンシン州マジソン)製)を与えた食事誘発性肥満(DIO)の雄のLong Evansラット(Envigo社より入手)を以下の研究に使用する。動物を、温度制御した(24℃)施設に個別に収容し、12時間の明/暗サイクル(22:00点灯)で、食餌(TD95217)及び水へアクセスを自由にした。
【0182】
動物の各々の実験群が同様の体重を有するように、ラットをそれらの体重に応じて無作為化する。体重は、529~823グラムの範囲である。
【0183】
各々の群は、5匹のラットを含む。ビヒクル及び化合物II(1nmol/kg)を、ビヒクル(20mMのトリス-HCl、pH8+0.02%のPS80)に溶解させ、14日間にわたって3日ごとに暗サイクルの開始の30~90分前に、自由にえさを与えたDIOラットに皮下(SC)注射(1mL/kg)によって投与する。1、4、7、10、及び13日目にSC注射を行う。研究を通して、体重及び食物摂取量を毎日測定する。体重の絶対変化は、同じ動物の、分子の最初の注射の前の体重を差し引くことによって計算する。
【0184】
研究の最後に、血液を採取して血糖値及び血漿インスリンを測定する。血糖値は、AccuChek血糖測定器(Roche社(インディアナ州インディアナポリス)製)によって測定する。インスリンは、ELISA(MSD社(メリーランド州ロックビル)製)によって測定する。
【0185】
全てのデータは、群当たり5匹の動物の平均±SEMとして提示される。一方向ANOVAを使用して統計分析を実施し、続いて、Tukeyの多重比較試験を実施して、治療群をビヒクル群と又は相互に比較する。有意差は、0.05未満のp値で特定される。
【0186】
表8:体重及び累積食物摂取量に対する、化合物XVII、化合物XVIII、又は化合物XIXとの組み合わせを伴う化合物IIの効果及び伴わない化合物IIの効果。
【表8】

治療は、3日ごとに、1、4、7、10、及び13日目に皮下投与した。**体重測定は、毎日行った。体重の変化は、1日目から14日目までの差をグラムで表したものである。***累積食物摂取量は、14日間の治療期間にわたって消費された総食物であった。統計分析は、一元配置ANOVA、続いてテューキー検定によって行った。ビヒクル群と比較して、p値は0.05未満;化合物XVII、化合物XVIII、又は化合物XIX群のいずれかと比較して、p値は0.05未満;化合物IIと比較して、p値は0.05未満。
【0187】
化合物IIと化合物XVII、化合物XVIII又は化合物XIXとの組合せでは、化合物II単独よりも大きな体重減少がある。
【0188】
配列番号1:化合物I
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
【0189】
配列番号2:化合物II
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0190】
配列番号3:化合物III
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
【0191】
配列番号4:化合物IV
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0192】
配列番号5:化合物V
KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
【0193】
配列番号6:化合物VI
KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
1位のリジンは、式(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0194】
配列番号7:化合物VII
KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
【0195】
配列番号8:化合物VIII
KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
1位のリジンは、式(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0196】
配列番号9:化合物IX
γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式AEEA-γE-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0197】
配列番号10:化合物X
γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式γE-AEEA-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0198】
配列番号11:化合物XI
γE-CNTATCATGKLAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式(γE)-AEEA-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0199】
配列番号12:化合物XII
γE-CNTATCATQ-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式AEEA-γE-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0200】
配列番号13:化合物XIII
γE-CGTATCATG-Orn-LAEFLVRSSNNFGPKLPPTEVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する。
26位のリジンは、式γE-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される。
【0201】
配列番号14:化合物XIV
Xaa-C-Xaa-TATCAT-Xaa10-Xaa11-Xaa12-AE-Xaa15-LVRSS-Xaa21-Xaa22-FGP-Xaa26-LPPTEVGSNTY-NH
(配列中、
Xaaは、K又はγEであり
Xaaは、E、N、又はGであり
Xaa10は、G又はQであり、
Xaa11は、Orn又はKであり、
Xaa12は、L又はαMeLであり
Xaa15は、αMeF又はFであり
Xaa21は、N又はHであり
Xaa22は、NMeD、NMeN、又はNであり
Xaa26は、I又はKである。)
【0202】
配列番号15:化合物XV;プラムリンチド
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にジスルフィド架橋が存在する。
【0203】
配列番号16:化合物XVI;hCT
CGNLSTCMLGTYTQDFNKFHTFPQTAIGVGAP-NH
1位のシステインと7位のシステインとの間にジスルフィド架橋が存在する。
【0204】
配列番号17:hAMY
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGAILSSTNVGSNTY-NH
2位のシステインと7位のシステインとの間にジスルフィド架橋が存在する。
【0205】
配列番号18:化合物XVII
H-Aib-EGTFTSDVSSYLEGQAAK((2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH16-COH)EFIAWLVRGRG
【0206】
配列番号19:化合物XVIII
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDEKKAK((2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH18-COH)EFVEWLLEGGPSSG-NH
【0207】
配列番号20:化合物XIX
Y-Aib-QGTFTSDYSI-αMeL-LDKK((2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH18-COH)AQ-Aib-AFIEYLLEGGPSSGAPPPS-NH
【0208】
配列番号21
YXEGTFTSDYSIXLDKIAQKAFVQWLIAGGPSSGAPPPS
は、Aibであり、Xは、Aibであり、20位のKは、(2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH18-COHでのK側鎖のイプシロン-アミノ基へのコンジュゲーションを通じて化学的に修飾され、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化されている。
【0209】
配列番号22:化合物I骨格
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeN-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
【0210】
配列番号23:化合物III骨格
γE-CNTATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPKLPPTEVGSNTY-NH
【0211】
配列番号24:化合物V骨格
KCETATCATG-Orn-LAE-αMeF-LVRSSN-NMeD-FGPILPPTEVGSNTY-NH
【0212】
配列番号25:化合物VII骨格
KCETATCATG-Orn-αMeL-AEFLVRSSHNFGPILPPTEVGSNTY-NH
【配列表】
2024508312000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Xaa-C-Xaa-TATCAT-Xaa10-Xaa11-Xaa12-AE-Xaa15-LVRSS-Xaa21-Xaa22-FGP-Xaa26-LPPTEVGSNTY(配列番号14)
[配列中、
Xaaは、K又はγEであり、
Xaaは、E、N、又はGであり、
Xaa10は、G又はQであり、
Xaa11は、Orn又はKであり、
Xaa12は、L又はαMeLであり、
Xaa15は、αMeF又はFであり、
Xaa21は、N又はHであり、
Xaa22は、NMeD、NMeN、又はNであり、
Xaa26は、I又はKである]
を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Xaaが、γEであり、
Xaaが、Nであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeNであり、
Xaa26が、Kである、請求項1に記載の化合物(配列番号22)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xaaが、γEであり、
Xaaが、Nであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeDであり、
Xaa26が、Kである、請求項1に記載の化合物(配列番号23)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xaa26におけるリジンが、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される、請求項2又は3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Xaaが、Kであり、
Xaaが、Eであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、Lであり、
Xaa15が、αMeFであり、
Xaa21が、Nであり、
Xaa22が、NMeDであり、
Xaa26が、Iである、請求項1に記載の化合物(配列番号24)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Xaaが、Kであり、
Xaaが、Eであり、
Xaa10が、Gであり、
Xaa11が、Ornであり、
Xaa12が、αMeLであり、
Xaa15が、Fであり、
Xaa21が、Hであり、
Xaa22が、Nであり、
Xaa26が、Iである、請求項1に記載の化合物(配列番号25)又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xaaにおけるリジンが、式:(γE)-CO-(CH18-COHで示される脂肪酸リンカー部分に結合される、請求項5又は6に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
2位のシステインと7位のシステインとの間にチオアセタール架橋が存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
配列番号2からなる、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
配列番号4からなる、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
配列番号6からなる、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
配列番号8からなる、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
配列番号2を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
配列番号4を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
配列番号6を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
配列番号8を含む、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
療法における使用のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項20】
療法における使用のための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療における使用のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項22】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療における使用のための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
2型糖尿病、肥満、脂質異常症、及びNASHからなる群から選択される状態の治療のための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【国際調査報告】