(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】遠位先端撮像視野内の測定マーキング
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240216BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B1/00 551
A61B1/018 515
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553249
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022018581
(87)【国際公開番号】W WO2022187408
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】レント エリック エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラウニヤール ニラジ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】カールソン スティーブン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ライカー ロバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ロンクアン
(72)【発明者】
【氏名】メガンク ジェフリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ケイヒル アンドレア エム
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァ アーロン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA15
4C161CC06
4C161GG15
4C161HH52
4C161JJ11
4C161WW02
4C161WW04
4C161WW12
4C161WW13
(57)【要約】
【課題】内視鏡手順中に解剖学的距離及び/又は位置測定値を決定する方法及びデバイスを提供する。
【解決手段】マーキングは、マーキングが内視鏡の撮像視野内で可視であるように細長ツールの遠位端上に物理的に置かれるか又は重ね合わされる。解剖学的距離は、ツールを用いて実行される測定によって決定される場合がある。解剖学的構造又は未知の物体のサイズ及び/又は位置は、マーキングされたツールを使用して決定される場合もある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供するためのシステムであって、
細長ツールの遠位端上に第1のマーキングを有する該細長ツールであって、該第1のマーキングが、該ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される前記細長ツールと、
前記第1のマーキングを前記視野画像に仮想マーキングとして表示するように構成されたビデオプロセッサであって、該第1のマーキングが、等距離に離間して好ましくは1mm離間して前記ツールに沿って長手方向に延びる基準線を含む前記ビデオプロセッサと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ビデオプロセッサは、前記視野内で可視の解剖学的構造を表す第2の仮想マーキングを表示するように更に構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ビデオプロセッサは、前記仮想マーキングを前記ツールの遠位端の上に重ね合わせ、かつ該ツールが回転されて軸線方向に移動される時に該仮想マーキングを該ツールに対して定位置に保つように更に構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記仮想マーキングが前記ツールに対して定位置に留まるように該ツールの傾斜及び/又は回転を感知するように構成された傾斜及び/又は回転センサを更に備えることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記仮想マーキングは、深度を描くようにサイズがスケーリングされることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記マーキングの一部分が、前記ツール上の物理的マーキングであり、該マーキングの一部分が、仮想であり、かつ前記視野内で可視であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供するためのデバイスであって、
細長ツールの遠位端上に第1のマーキングを有する該細長ツールであって、該第1のマーキングが、該ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される前記細長ツールを備えることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
前記第1のマーキングは、前記ツールの長手軸線に対して横断する該ツール上の物理的な線であり、該線は、該ツールの両側に沿って長手方向に1mm離間して置かれることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ツールの少なくとも一方の側に沿って長手方向に5mm離間した線を含む第2の物理的マーキングを更に含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ツールは、幅を有し、第2の物理的マーキングが、1mm区分で該幅を横切って延び、
前記第1及び第2の物理的マーキングは、視覚的に異なっていることを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のマーキングは、前記ツール上に塗布された幾何学パターンを含み、
前記幾何学パターンの領域が、既知の寸法を有することを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1のマーキングは、前記ツール内の溝又は該ツール上の隆起マーキングであることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供する方法であって、
細長ツールの遠位端上に第1のマーキングを置く段階であって、該第1のマーキングが、該ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される前記置く段階と、
前記第1のマーキングが前記撮像視野内で可視であるまで前記細長ツールを前記内視鏡を通して延長する段階と、
前記第1のマーキングに基づいて解剖学的距離を測定する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
内視鏡視野内でツールを識別する方法であって、
複数のツールのうちの各々の一部分上に異なる幾何学パターンを付加する段階と、
前記複数のツールのうちの少なくとも1つを内視鏡を通して挿入する段階と、
前記複数のツールのうちの1つが前記視野の中に入る時を該視野に見られる前記幾何学パターンに基づいて識別する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
患者の身体内の未知の物体又は解剖学的構造に関する位置情報及び/又はサイズ情報を決定する方法であって、
カメラと光源とを有する内視鏡を前記患者の身体の中に挿入する段階と、
前記内視鏡を使用して前記未知の物体又は解剖学的構造の画像を送信する段階と、
前記送信された画像を表示する段階と、
幾何学パターンの寸法が既知である該幾何学パターンを有するツールを前記内視鏡を通して挿入し、かつ該ツールを前記未知の物体又は解剖学的構造に隣接して位置決めする段階と、
前記未知の物体又は解剖学的構造を前記幾何学パターンと比較することにより、該未知の物体又は解剖学的構造に関する位置情報及び/又はサイズ情報を決定する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、本明細書に引用によってその開示が組み込まれている2021年3月3日出願の米国仮特許出願第63/155,939号の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、医療デバイスに関連し、より具体的には、内視鏡手順のための測定デバイス及びそのような医療デバイスを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
良性前立腺肥大(BPH)は、尿道前立腺部の狭窄を引き起こし、尿流に対する抵抗力を引き起こす前立腺の肥大を有する中年以降の男性に一般的な障害である。治療は、前立腺内への蒸気注入を含む場合がある。例示的手順は、Rezum(登録商標)水蒸気手順であり、この場合に、無菌の水蒸気(スチーム)が前立腺の肥大部分の中に注入される。スチームは、肥大の原因である前立腺細胞を死なせ、それによって前立腺の収縮が引き起こされ、更にそれによってより大きく開いた尿路がもたらされる。この手順は、全てが引用によって本明細書に組み込まれている米国特許第8,273,079号明細書、第10,194,970号明細書、及び第10,342,593号明細書に説明されているようなデバイスを伴う場合がある。
【0004】
Rezum(登録商標)手順では、医師は、デバイスを遠位に移動して膀胱頚部開口部を見つけ、次に、近位に移動して精丘を見出す。前立腺組織は、これらの2つのランドマークの間で治療される。現在のRezum(登録商標)システムでは、1つの視覚フレームは約5mmであり、従って、医師は、フレーム数を計数することによって前立腺の長さを推定することができる。更に、前立腺の高さを求めるために類似の推定が行われる。これは、何個の注入点を必要とするか及びどのような注入点パターン(直線、二重線、又はZ字パターンのような)を必要とするかに関する大まかな推定を与える。現在の推奨案は、1cm置きに注入点を有することである。治療点間が過度に近い場合は不要な組織炎症のリスクを生成し、又は治療点間が過度に遠い場合は無効な治療のリスクを生成することが推測される。今日使用される目測方法は、この変動の影響を非常に受けやすい。明確な測定マーキングデバイス及び方法を提供する持続する必要性が存在する。
【0005】
いずれの撮像システムを用いても、ユーザは、画像を正確に解釈するために表示中の物体の実際の物理的サイズを知らなければならない。空間内の固定点での2Dシーンを撮像する光学撮像システムでは、一般的に、この物理的サイズは、焦点距離及び歪みのようなシステムの光学パラメータを較正し、ピクセルサイズを計算するための情報(多くの場合にスケールバーを用いて表示される)を使用することによって獲得される。かなりの深度を有する3Dシーンを撮像する一眼光学撮像システムでは、この獲得は可能ではない。これらのシステムでは、画像センサのピクセルサイズは固定されるが、表示中の物体の物理的サイズは、集光光学系からの当該物体の距離に依存する。等しいサイズの2つの物体が画像内では異なって見える場合があり、光学系から遠い方の物体が小さく見えることになる。
【0006】
これは、全ての内視鏡システムに共通の問題である。尿管鏡手順では、この問題を解決することが特に重要である。腎臓結石(及び/又は残存する結石破片)の物理的サイズを知ることは、手順の意思決定及び全体手順効率に直接に影響を及ぼす可能性がある。解剖学的特徴部間の光学較正だけでは尿管鏡用途に不十分であり、及び/又は結石破片は、主対物レンズから有意な距離範囲を有することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,273,079号明細書
【特許文献2】米国特許第10,194,970号明細書
【特許文献3】米国特許第10,342,593号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今日の慣習では、視野のサイズは、既知の直径の物体との直感的な比較を用いて推定される(例えば、結石ビアのサイズを隣接するレーザファイバと比較する)。一般的に、この直観は、手順中の反復するサイズ決定誤差を通して構築され、これは、本質的に不備のある手法である。これはまた、外科医がこの直観を養うのに多大な量の時間を費やす。この決定的なサイズ決定段階中に指針を提供することは、手順有効性を増大し、ケアの標準化を容易にし、かつ患者安全性を改善することになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示は、医療デバイスのための設計、材料、製造方法、及び使用の代替案を提供する。内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供するための例示的システムは、細長ツールの遠位端上に第1のマーキングを有する細長ツールであって、第1のマーキングが、ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される上記細長ツールと、等距離に離間して好ましくは1mm離間した基準線を含んでツールに沿って長手方向に延びる第1のマーキングを視野画像に仮想マーキングとして表示するように構成されたビデオプロセッサとを備える。
【0010】
上述の実施形態の代わりとして又はそれに加えて、ビデオプロセッサは、視野内で可視の解剖学的構造を表す第2の仮想マーキングを表示するように更に構成される。
【0011】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、ビデオプロセッサは、仮想マーキングをツールの遠位端上に重ね合わせ、かつツールが回転されて軸線方向に移動される時にツールに対して仮想マーキングを定位置に保つように更に構成される。
【0012】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、システムは、仮想マーキングがツールに対して定位置に留まるようにツールの傾斜及び/又は回転を感知するように構成された傾斜及び/又は回転センサを更に備える。
【0013】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、仮想マーキングは、深度を描くようにサイズがスケーリングされる。
【0014】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、マーキングの一部分は、ツール上の物理的マーキングであり、マーキングの一部分は、仮想であり、かつ視野内で可視である。
【0015】
内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供するための例示的デバイスは、細長ツール上の遠位端に第1のマーキングを有する細長ツールを備え、第1のマーキングは、細長ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される。
【0016】
上述の実施形態の代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツールの長手軸線に対して横断するツール上の物理的な線であり、線は、ツールの両側に沿って長手方向に1mm離間して置かれる。
【0017】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、デバイスは、ツールの少なくとも一方の側に沿って長手方向に5mm離間した線を含む第2の物理的マーキングを更に含む。
【0018】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、ツールは、幅を有し、第2の物理的マーキングが、1mm区分で幅を横切って延び、第1及び第2の物理的マーキングは視覚的に異なる。
【0019】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツール上に塗布された幾何学パターンを含み、幾何学パターンの領域は、既知の寸法を有する。
【0020】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツール内の溝又はツール上の隆起マーキングである。
【0021】
内視鏡手順中に解剖学的距離測定値を提供する例示的方法は、第1のマーキングを細長ツールの遠位端上に置く段階であって、第1のマーキングが、細長ツールに沿って長手方向に延び、かつ内視鏡の撮像視野内で可視であるように構成される上記置く段階と、第1のマーキングが撮像視野内で可視であるまで細長ツールを内視鏡を通して延長する段階と、第1のマーキングに基づいて解剖学的距離を測定する段階とを備える。
【0022】
上述の実施形態の代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツールの長手軸線に対して横断するツール上の物理的な線であり、線は、ツールの両側に沿って長手方向に1mm離間して置かれる。
【0023】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、本方法は、ツールの少なくとも一方の側に沿って長手方向に5mm離間した線を含む第2の物理的マーキングを更に含む。
【0024】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、ツールは、幅を有し、第2の物理的マーキングが、1mm区分で幅を横切って延び、第1及び第2の物理的マーキングは視覚的に異なる。
【0025】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツール上に塗布された幾何学パターンを含み、幾何学パターンの領域は、既知の寸法を有し、本方法は、未知の物体の観察寸法をツール上の幾何学パターンの既知の寸法と比較することによって視野内の未知の物体のサイズ及び/又は位置を決定する段階を更に備える。
【0026】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、ツール内の溝又はツール上の隆起マーキングである。
【0027】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、第1のマーキングは、プロセッサによって視野画像に表示された仮想マーキングであり、第1のマーキングは、1mm離間してツールに沿って長手方向に延びる基準線を含む。
【0028】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、本方法は、視野内で可視の解剖学的構造を表す第2の仮想マーキングを更に備える。
【0029】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、仮想マーキングは、ツールの遠位端の上に重ね合わされ、かつツールが回転されて軸線方向に移動される時にツールに対して定位置に留まる。
【0030】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、本方法は、仮想マーキングがツールに対して定位置に留まるようにツールの傾斜及び/又は回転を感知するように構成された傾斜及び/又は回転センサを更に備える。
【0031】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、仮想マーキングは、深度を描くようにサイズがスケーリングされる。
【0032】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、マーキングの一部分は、ツール上の物理的マーキングであり、マーキングの一部分は、仮想であり、かつ視野内で可視である。
【0033】
内視鏡視野内でツールを識別する例示的方法は、複数のツールのうちの各々の一部分上に異なる幾何学パターンを付加する段階と、複数のツールのうちの少なくとも1つを内視鏡を通して挿入する段階と、視野内で見られる幾何学パターンに基づいて複数のツールのうちの1つが視野の中に入る時を識別する段階とを備える。
【0034】
上述の実施形態の代わりとして又はそれに加えて、本方法は、幾何学パターンに基づいてツールの回転位置及び軸線方向位置を決定する段階を更に含む。
【0035】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、幾何学パターンは、少なくとも2つの高コントラスト色を使用してツール上に塗布される。
【0036】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、幾何学パターンは、交替する黒色及び白色領域を含む。
【0037】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、幾何学パターンは、漸進的間隔で位置決めされた変化する厚みの線を含む。
【0038】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、各ツールは、遠位先端とシャフトとを有し、遠位先端は、第1のパターンを有し、シャフトは、第1のパターンと異なる第2のパターンを有する。
【0039】
上述の実施形態のうちのいずれかの代わりとして又はそれに加えて、本方法は、視野内に見られる解剖学的構造又は未知の物体のサイズ及び/又は位置をこの構造又は物体に隣接してツールを置き、かつこの構造又は物体の外形をツール上の幾何学パターンと比較することによって決定する段階を更に備える。
【0040】
患者の身体内の未知の物体又は解剖学的構造に関する位置情報及び/又はサイズ情報を決定する例示的方法は、カメラと光源とを有する内視鏡を患者の身体の中に挿入する段階と、内視鏡を使用して未知の物体又は解剖学的構造の画像を送信する段階と、送信画像を表示する段階と、幾何学パターンの寸法が既知である幾何学パターンを有するツールを内視鏡を通して挿入し、ツールを未知の物体又は解剖学的構造に隣接して位置決めする段階と、未知の物体又は解剖学的構造を幾何学パターンと比較することにより、未知の物体又は解剖学的構造に関する位置情報及び/又はサイズ情報を決定する段階と、を備える。
【0041】
一部の実施形態、態様、及び/又は実施例の以上の概要は、本発明の開示の各実施形態又はどの実施も説明するように意図していない。以下の図面及び詳細説明は、これらの実施形態をより具体的に例証するものである。
【0042】
本発明の開示は、様々な実施形態の以下の詳細説明を添付図面に関連付けて考察するとより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】撮像視野内の治療デバイスの遠位先端を示す図である。
【
図2】基準マーカーが遠位先端上に1mm離間して配置された
図1の治療デバイスを示す図である。
【
図3】基準マーカーが1mm離間して配置されて針が展開された膀胱鏡を通したオペレータの視野を示す図である。
【
図4】溝が1mm離間して配置された治療デバイスの遠位先端の斜視図である。
【
図5】針注入点から1mm間隔でマーキングを有する治療デバイスの遠位先端の上面図である。
【
図6】1mm間隔で垂直及び水平マーキングを有する治療デバイスの遠位先端を示す図である。
【
図7】治療デバイスを有する撮像視野上に重ね合わされた仮想マーキングを示す図である。
【
図8A-8B】
図8Aは、治療デバイス上に重ね合わされた仮想マーキングを示す図であり、
図8Bは、画像が90度回転された治療デバイス上に重ね合わされた仮想マーキングを示す図である。
【
図9A】治療ツール上に使用するための幾何学パターンを示す図である。
【
図9B】治療ツール上に使用するための幾何学パターンを示す図である。
【
図10】幾何学パターンを有するツールを示す撮像視野を示す図である。
【
図11】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するようにサイズ決定されて使用することができる回収デバイスを示す図である。
【
図12】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するようにサイズ決定されて使用することができる回収デバイスを示す図である。
【
図13】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するようにサイズ決定されて使用することができる回収デバイスを示す図である。
【
図14】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するようにサイズ決定されて使用することができる回収デバイスを示す図である。
【
図15A】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するように使用することができる光ファイバを示す図である。
【
図15B】撮像デバイスの視野内の物体の物理的サイズを参照するように使用することができる光ファイバを示す図である。
【0044】
本発明の開示の態様は、様々な修正及び代替形態の余地があるが、そのうちの細目を図面に例示的に示しており、詳細に以下に説明する。しかし、その意図は、本発明の開示の態様を説明する特定の実施形態に限定しないことであることを理解しなければならない。その逆に、その意図は、本発明の開示の精神及び範囲に収まる全ての修正物、均等物、及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に定める用語に関して、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所で異なる定義を提示しない限り、以下の定義を適用するものとする。
【0046】
本明細書では、明示的に示すか否かに関わらず、全ての数値は、用語「約」によって修飾されるように仮定される。数値の状況での用語「約」は、一般的に、当業者が列挙する値と同一(例えば、同じ機能又は結果を有する)と見なすと考えられる数字範囲を意味する。多くの事例では、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含むことができる。用語「約」の他の使用(例えば、数値以外の状況での)は、他に指定しない限り、本明細書の関連から理解されてそれと矛盾しないこの用語の通常及び通例の定義を有すると仮定することができる。
【0047】
端点による数字範囲の列挙は、端点を含む当該範囲にある全ての数字を含む(例えば、1から5までは、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。様々な構成要素、特徴、及び/又は仕様に関する一部の適切な寸法、範囲、及び/又は値を開示するが、本発明の開示によって喚起される当業者は、望ましい寸法、範囲、及び/又は値が、明示的に開示するものから逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲に使用する場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、状況が他を明確に定めない限り、複数の指示物を含む。本明細書及び特許請求の範囲に使用する場合に、「又は」という用語は、状況が他に明確に定めない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味に使用する。理解を容易にするために、本発明の開示のある一定の特徴が本発明の開示の実施形態内で複数であるか又は繰り返される場合があったとしても、これらの特徴は、単数で説明することができることに注意されるものとする。これらの特徴の各事例は、反意を明示しない限り、単数での開示を含む場合に及び/又はそれによって包含することができる。簡略化及び明瞭化の目的で、必ずしも本発明の開示の全ての要素を各図に示して下記で詳細に議論するとは限らない。しかし、1よりも多い構成要素が存在する場合に関して、反意を明示しない限り、以下の議論は、これらの構成要素のうちのいずれか及び/又は全てに同等に適用される場合があることは理解されるであろう。これに加えて、明瞭化の目的で、一部の要素又は特徴の全ての事例を各図に示さない場合がある。
【0049】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、及びその変形などのような相対用語は、一般的に、デバイスのユーザ/オペレータ/操作者に対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は作動に関して決定することができ、「近位」及び「引き出し」は、ユーザに近いか又はそれに向うことを示し又は意味し、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠いか又はそこから離れることを示す又は意味する。一部の事例では、本発明の開示の理解を容易にする試みで「近位」及び「遠位」という用語を任意的に割り当てる場合があるが、そのような事例は、当業者には直ちに明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」のような他の相対用語は、身体管腔、血管のような管腔内又はデバイス内の流体流れの方向を意味する。
【0050】
「広がり」という用語は、説明又は識別する寸法の最小測定値を意味すると理解することができる「最小」がこのような広がり又は寸法に前置きされていないか又はこれらの広がり又は寸法が「最小」として識別されない限り、説明又は識別する寸法の最大測定値を意味すると理解することができる。例えば、「外側広がり」は、最大外寸を意味すると理解することができ、「半径方向広がり」は、最大半径方向寸法を意味すると理解することができ、「長手広がり」は、長手寸法を意味すると理解することができ、以降同様に理解することができる。「広がり」の各例は、異なる場合があり(例えば、軸線方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向など)、当業者には個々の使用状況から明らかであろう。一般的に、「広がり」は、意図する使用に従って測定された可能な最大の寸法と見なすことができ、それに対して「最小広がり」は、意図する使用に従って測定された可能な最小の寸法と見なすことができる。一部の事例では、「広がり」は、一般的に、平面及び/又は断面内で直交方向に測定することができるが、特定の状況から明らかなように、例えば、角度方向、半径方向、周方向(例えば、弧に沿う)等であるがこれらに限定されずに別様に測定することができる。
【0051】
「モノリシック」及び「単体」という用語は、一般的に、単一構造又はベースユニット/要素から製造又は構成された1又は複数の要素を意味するものとする。モノリシック要素及び/又は単体要素は、複数の個別の要素を互いに組み立てるか又は他に接合することによって製造された構造及び/又は特徴を除外するものとする。
【0052】
本明細書での「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」等への参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特質を含むことができるが、全ての実施形態がこれらの特定の特徴、構造、又は特質を必ずしも含むとは限らない場合があることを示すことに注意されたい。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を参照するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特質を実施形態に関して説明する時に、明示的に説明するか否かに関わらず、反意を明示しない限り、他の実施形態に関してこれら特定の特徴、構造、又は特質を達成することは当業者の認識内であると考えられる。すなわち、当業者は理解されるように、下記で説明する様々な個々の要素は、特定の組合せで指定しない場合であっても、他の追加の実施形態を形成するために又は説明する実施形態を相補及び/又は拡張するために互いに組合せ可能又は配置可能であるように依然として考えられている。
【0053】
明瞭化の目的で、説明及び/又は主張する様々な特徴を命名するために及び/又はこれらの特徴の間で区別するために本明細書及び/又は特許請求の範囲を通してある一定の識別数字命名法(例えば、第1、第2、第3、第4のような)を使用する場合がある。この数字命名法は、限定的であるように意図したものではなく、単に例示的であることは理解されるものとする。一部の実施形態では、簡潔化及び明瞭化の目的で、以前に用いた数字命名法の変更及びそれからの逸脱がある場合がある。すなわち、「第1」の要素と識別した特徴を後に「第2」の要素、「第3」の要素等と呼ぶ場合があり、又は完全に除外する場合があり、及び/又は異なる特徴を「第1」の要素と呼ぶ場合がある。各事例での意味及び/又は表示は、当業者には明らかであろう。
【0054】
以下の説明は、必ずしも正確な縮尺とは限らない図面を参照して読解しなければならず、様々な図面内の類似の要素に同じ番号を振っている。詳細説明及び図面は、本発明の開示を示すが、限定するように意図したものではない。当業者は、説明及び/又は図示する様々な要素を本発明の開示の範囲から逸脱することなく様々な組合せ及び構成で配置することができることを認識するであろう。詳細説明及び図面は、本発明の開示の例示的実施形態を示している。しかし、理解の明瞭化及び容易化の目的で、各図面に全ての特徴及び/又は要素を示さない場合があるが、それにも関わらず、他に指定しない限り、特徴及び/又は要素が存在すると理解することができる。
【0055】
多くの内視鏡医療手順は、撮像カテーテルの視野内に現れて医師が疾病を診断するか又は治療を送出する時に物理的寸法をより確実に推定することを可能にする測定マーキングから利益を得ると考えられる。撮像器システムの視野の利用により、デバイスの遠位部分をマーキングして軸線方向と垂直方向の両方の基準測定値を与えることができる。更に、マーキングを使用してデバイスのチャネルのサイズ及び向きを決定することができる。例えば、例示的撮像器システムの焦点深度又は被写界深度は、約5mmから約50mmである場合がある。治療デバイスの遠位先端の全長は、約15mm長及び約5mm高である場合がある。全体の遠位先端は、撮像器レンズによって視認可能である場合がある。
図1は、撮像視野5の中に延びるBPH治療デバイス10の遠位先端を例示している。治療デバイス10は、細長ツールとすることができる。治療は、前立腺内の様々な場所に蒸気を注入する段階を伴う場合がある。
【0056】
一部の例では、医師は、膀胱開口部から第1の針注入点まで約1cmを測定したいと望む場合がある。
図2は、
図1の治療デバイス10の遠位先端面上に1mm離間して描かれた黒色のマーキング線12を例示している。前立腺内で見ることができる一般的な解剖学的特徴部との組合せで、マーキング12は、医師がデバイス10を膀胱から前立腺内で下方に移動する時に注入場所をより正確に置くことを可能とすることができる。線又はマーキング12は、
図2に示すようにデバイス10の面の上に描くことができる。他の例では、マーキングは、デバイスの面の中に成形する、エッチングする、又は切り込むことができる。測定単位、例えば、ミリメートルを示すための「mm」をマーキングに隣接するように又は先端の別の領域上に配置することができる。デバイスの遠位先端上に描かれるマーキングに対してデバイス及び治療される周囲組織の色に依存するいずれの色のマーキングも使用することができる。一部の例では、黒色のマーキングを使用することができる。他の例では、黄色、オレンジ色、又は緑色のような明色マーキング又は蛍光マーキングを使用することができる。
【0057】
図3は、デバイス10の斜視像を提供する針30が展開された30°膀胱鏡からの医師の視野を例示している。マーキング線12は、ミリメートル間隔を示し、更にマーキング線が視野の下側部分で互いに近づいて見えることで深度の表示も提供する。他の例では、マーキングは、ツールの遠位領域の面の中に切り込まれた溝14の形態とすることができる。
図4は、一連の溝14が支柱16の中に切り込まれたデバイス10の遠位端を例示している。溝14は、ミリメートル区分にあるとすることができる。溝14は、一方又は両方の支柱16の中に切り込むことができる。追加の例では、マーキングは、ツールの面の上方に延びる隆起マーキングとすることができる。
図5は、一連のマーキング12が長手軸線x-xに対して横断方向に延びるデバイス10の上面図を例示している。一部の例では、マーキング12は、支柱16を横切ってかつデバイスの内部15を横切って延びることができる。円18は、針注入点の基準点又はマーキングのミリメートル区分を測定する始端である「ゼロマーキング」としての働きをする。
【0058】
別の例では、デバイス10の遠位先端の全長及び全幅は、マーキングのためのものである場合がある。
図6に示す例では、デバイス10の先端は、約15mm長及び約5mm幅である。長手方向に延びるマーキング12は、幅マーキング13と異なる方式で設けることができる。一部の例では、長手方向マーキング12は、幅マーキング13と異なる色とすることができる。他の例では、デバイス10の面上にマーキング12、13の一方のセットを塗布することができ、他方のセットは、この面の中に切り込まれた溝とすることができる。マーキング12、13の異なるセットは、向き並びにサイズ基準を提供することができる。マーキング12、13は、1mm置き又は半mm置きのような副マーキングと、5mm置き又は10mm置きのような主マーキングとを備えることができる。一部の例では、長手方向マーキング12は、ゼロマーキング18で終端することができ、ゼロマーキング18に対して遠位に示す4つのマーク11は除外される。
【0059】
例示的治療は、(1)医師が遠位膀胱頚部開口部を見出す段階と、(2)この視点で、医師が解剖学的壁にあるランドマーク、並びにデバイスの遠位先端上のマーキングを見ることができる段階と、(3)医師が望ましい長さが何処にあるかを心理的に留意する段階と、(4)医師がデバイスをそのような望ましい解剖学的位置に戻す段階とを備えることができる。医師が解剖学的構造の高さを測定するために前立腺の上部と底部とに着目している時に同じ過程を辿ることができる。マーカー12を使用することにより、前立腺の全長及び全高を測定し、それによって最適な注入パターン及び注入点を提供することができる。
【0060】
別の例では、追加のデジタル又はコンピュータマーキングスキームを提供し、機械学習に向けて測定機能を支援することができる。視野内で検出された着目領域(例えば、解剖学的構造内の濃色組織セクション又は血管)を用いて視野内で体組織を基準とした距離を知ることにより、正確な測定値を基準マーカースキームと共に医師に対して表示することができる。
図7に示すように、プロセッサは、機械学習/人工知能(AI)作動に向けてサイズ決定及び深度認識に対する基礎として役立たせることができる円形マーキング211、並びに方位マーキング215を遠位先端内で既知の焦点距離に提供することができる。これらのマーキングは、アルゴリズムによって強度勾配パターンに基づいて選択することができる。例えば、面血管特徴部を選択することができる。他の例では、これらのマーキングは、ポリープ又は癌性組織を参照することができる。
【0061】
図8A及び
図8Bは、撮像器ベースの可視化システムを利用してツール310の先端の上に仮想測定マーカー312をソフトウエアによって重ねるビデオプロセッサを備えるシステムを示している。この実施形態では、先端特徴部がカメラに対して固定されるので、ソフトウエアを手軽に用いて詳細マーキング312及び例えば、「1mm、2mm」のような文字列を先端の幾何学形状に追加してナビゲーションを支援することができる。デバイス内の傾斜/回転センサとの組合せで使用される場合に、ソフトウエアを使用して画像を適切に向ける時に先端と共にこれらのマーキングも方向転換させることができる。
図8Aは、垂直に位置合わせされた先端を示しており、
図8Bは、ユーザがデバイスを90度方向転換させた時に画像がどのように見えると考えられるかを描いている。
【0062】
図示の先端マーキング312は例に過ぎず、これらの線は、画面を横切って延伸することができるとも考えられる。更に、ソフトウエアは、プリファレンスに依存してこれらのマーキングを消す又はマーキングの輝度及びコントラストの高/低をダイヤル調整するオプションをユーザに与えるであろう。マーキング線312は、深度を描くために
図8A及び
図8Bに示すようにサイズをスケーリングすることができると考えられる。最後に、解剖学的特徴部を背景とする視認性を最適化するか又は他の顧客要求を満足する色を選択することができると考えられる。このソフトウエア実施形態は、物理的マーキングに関連付けられたコスト及び制約条件を排除する。他の例では、
図8A及び
図8Bに示す仮想マーキングは、
図2~
図6に示すようなデバイス上の物理的マーキングとの組合せで使用することができる。
【0063】
上述の図に関連付けて説明した寸法は単に例示的であり、他の寸法が考えられることは理解されるであろう。説明するマーキングは、BPHを治療するためのRezum(登録商標)に加えて、カメラ画像の視野内で可視部分を有する他の医療デバイスに追加することができる。マーキングは、医師が、注入部又は他の治療部をより正確にかつ一貫して配置することを可能にし、それによって手順の後の疼痛及び不快感を低減することができる。これらのマーカーは、治療での過誤を低減し、更に手順の反復に対する必要性を低減することができる。例えば、Rezum(登録商標)手順では、初期の注入部間が互いに過度に近いか又は過度に遠い場合に、追加の将来の治療に対する必要性の理由から医学的リスクが高まる。
【0064】
治療デバイス上に配置又は投影される上述した区分的マーキングに加えて、ツール自体の上の対照幾何学パターンは、(1)新しいツールが視野に進入した時、(2)それがどのタイプのツールであるか、及び(3)カメラに対するツールの位置を示すものを備える追加情報を与えることができる。尿管鏡及び一般的な内視鏡に適するいずれのビデオプロセッサ又は処理システムも、この種のツール識別システムから利益を得ることになる。現在、全ての人工知能(AI)/機械学習(ML)アルゴリズムは、撮像器(例えば、デジタルチップ)から現れる視野から情報を推量する。
【0065】
ツール自体の上の対照幾何学パターンは、上述のタイプの情報の3つ全てを提供することができ、慎重な設計により、幾何学情報及びツール識別情報の検出能、製造可能性、及びSN比を最大に高めることができる。これに加えて、一部の幾何学設計は、光学幾何学的形状で変化を有する可能性がある単回使用デバイス(SUD)の実行中の較正を可能にする。ツールは、視野(FOV)内のいずれかの実体、例えば、ガイドワイヤ、レーザファイバ、バスケット等とすることができる。
【0066】
所与のツールが、例えば、反射率に影響を及ぼす面処理によるマーキングに適する円形断面の領域を先端の近くに有すると仮定して、交替するセクターから構成され、互いにオフセットされた2又は3以上のバンドを有する設計は、格子縞パターンのようなパターンを生成するのに使用することができると考えられる。少なくとも2つの暗-明遷移がいずれの回転からも視認可能であるようにサイズが決定された偶数個のセクターは、60°、45°、36°のようなサイズを有する6個、8個、10個のようなセクター全数を必要とする。8個又は10個以上の全数は、各バンドで3回の遷移を視認可能にし、これは、上述の平均付近の限られた範囲で暗/明面積比を変更することによって追加のデータチャネルを追加することを可能にすると考えられる。セクター全数自体がデータ点を与えると考えられるが、製造可能性及び撮像制約条件が最大個数を制限することになる。隣接するバンド間は、1つのバンド内の暗セクターの大部分が隣接バンド内の明セクターの上方にあるように同じく構成されると考えられるが、完全に位置合わせされた格子縞パターンからの逸脱は、追加のデータ値を提供すると考えられる。
【0067】
図9A及び
図9Bに示すパターン300、301は、それぞれ、ツールに沿ってその周りにある線形及び弧形の多ピクセル高コントラスト境界を与え、これは、FOV内の向きに関係なくツール幾何学形状のより正確な推量が支援されることになる。個々のブロック又は色の寸法は既知であり、上記で議論したように視野内の未知の物体のサイズを決定するための追加の測定基準を与える。本方法は、実時間意思決定が必須である埋め込み環境内でそれ程リソース集約的ではないとすることができる。
【0068】
図10は、作動チャネル内で腎臓結石305に隣接するツール310の尿管鏡透視像から見ることができる例示的パターン303を示している。パターン303の既知の測定値を使用して結石305の物理的サイズ及び/又は位置を決定することができ、それによって結石305の治療及び除去の進行を決定することを支援することができる。
【0069】
交替パターン実施形態は、深度スケールと線形スケールの両方を与えるために詳細線又は変化する厚み及び/又は既知の変化する間隔の線を設ける単純な漸進的スケールをツール上に、例えば、ツールシャフト上に備える。別の実施形態では、ステントのサイズ決定に向けてガイドワイヤ上の漸進的マーキングを使用して尿管の長さを測定することができる。この直接的な可視化は、必要とされるステントのより高精度の測定を可能とすることができる。追加の実施形態では、カメラシステムのホワイトバランスを白色マーキングに基づいて評価及び調節することができる。これに代えて、視野内の物体及び構造の色の忠実度を評価するために、幾何学パターン上で高いコントラストを変わらずに維持しながら、色マーキングを単純な赤色、緑色、青色(RGB)又は青緑色、赤紫色、黄色、及び黒色(CMYK)等に変更する段階を使用することができる。検出された既知のパターンのセクターの個数を計数することにより、シーン内の血液及び/又は他の粒子を備える濁りの検出を引き起こすことができる。濁り及び粒子は、一部のパターンセクターを不明瞭にする場合があり、従って、可視セクターを計数することによって濁りの表示を与えることができる。更に別の実施形態では、「L字」、「T字」、又は+の形状等にある交線の単純なパターンを特にこれらの線の長さが等しい時に測定規準として使用することができる。
【0070】
画像解析アルゴリズム及び幾何学パターンを使用して、視野内に見られるツールのタイプを検出し、かつ既知のツール寸法を使用して基準の物理的サイズを検出することができる。各タイプのツールは、一意的に着色及び成形することができる。
図11~
図14は、腎臓結石を回収するのに使用することができる様々な回収デバイスを例示している。
図11は、Dakota(登録商標)ニチノール結石回収デバイスを示し、
図12は、Escape(登録商標)ニチノール結石回収バスケットを示し、
図13は、LithoCatch(登録商標)固定デバイスを示し、
図14は、Tricep(登録商標)把持鉗子を示し、これら全ては、Boston Scientificによるものである。回収ツールに加えて、手順に使用される光ファイバは、サイズ基準として使用することができる。
図15Aは、平坦端部を有するAccuMax(登録商標)ホルミウムレーザファイバを示し、
図15Bは、球形端部を有するFlexiva(登録商標)TracTip(登録商標)レーザファイバを示し、これら両方は、Boston Scientificによるものである。直径及び端部形状が既知であり、標準測定値を有するので、レーザファイバを使用して視野内の結石又は他の解剖学的構造のサイズを決定することができる。ツールの様々な形状及びサイズは、画像処理アルゴリズムを使用して検出することができる性質情報を与えることができる。上述のことは、従来の画像処理アルゴリズム又はより高度なAI/MLアルゴリズムの両方の場合に適切とすることができる。
【0071】
撮像デバイスの視野内に見られる物体を測定するために様々なツールの既知の寸法を使用するのに加えて、ツールのタイプを検出し、それを使用してツール特徴部の物理的サイズに関する基準情報に演繹的に相関させることができる。共通の区域、例えば、類似の配色を有するが異なるサイズを有するレーザファイバに関して、ツールを識別するのにユーザからの入力を必要とする場合がある。ツールの検出は、従来の画像処理技術及び機械視覚技術を使用して実行することができる。これに代えて、ツールの検出は、視野内にどのタイプ及びサイズのツールが存在するかを決定するために事前トレーニングされたネットワークが与えられるAI手法を使用して行うことができる。別の例では、検出されたツールのシャフトの測定サイズと先端の測定サイズとの差を使用してシーンにわたる光学幾何学形状の変化を推定し、物理的ピクセルサイズを推量することができる。
【0072】
本発明の開示は、多くの点に関して単に例示的であることを理解しなければならない。詳細、特に形状、サイズ、及び段階の配置に関して、本発明の開示の範囲を超えることなく変更を加えることができる。これは、それが適切である範囲で、他の実施形態に使用されている1つの例示的実施形態の特徴のうちのいずれかの使用を含む場合がある。本発明の開示の範囲は、勿論、添付の特許請求の範囲が表現される文言で定められる。
【符号の説明】
【0073】
10 BPH治療デバイス
12 マーキング線
【国際調査報告】