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特表2024-508328窓化非線形周波数変調チャープを使用する音響画像処理及び測定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】窓化非線形周波数変調チャープを使用する音響画像処理及び測定
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553294
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022018515
(87)【国際公開番号】W WO2022187357
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,782
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520196081
【氏名又は名称】ディープサイト テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DeepSight Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ダンホワ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE01
4C601GB41
4C601HH02
4C601HH10
4C601JB01
4C601JB28
4C601JB34
4C601JB41
(57)【要約】
音響画像処理及び測定を実施するための方法は、少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて、非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成すること、を含み得る。本方法は、NLFMチャープ波形に窓関数を適用することによってアポダイズド信号を生成すること、を更に含み得る。本方法は、アポダイズド信号を用いて少なくとも1つのトランスデューサを励起すること、を更に含み得る。本方法は、1つ又は複数の整合フィルタを使用することによって、受信した信号を圧縮すること、を更に含み得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響画像処理を実施するための方法であって、
少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成するステップと、
前記NLFMチャープ波形に窓関数を適用することによってアポダイズド信号を生成するステップと、
前記アポダイズド信号を用いて前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトランスデューサを使用して、前記アポダイズド信号に基づく音響信号を送信するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信された音響信号が、前記少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記音響信号を送信するステップに応答して複数のエコー信号を受信するステップと、
前記複数のエコー信号に基づいて複数の画像処理信号を生成するステップと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のエコー信号を受信するステップ、及び前記複数の画像処理信号を生成するステップが、少なくとも1つのエコー信号を受信し、前記少なくとも1つのトランスデューサを使用して画像処理信号を生成するステップ、を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のエコー信号を受信するステップが、少なくとも1つの光学センサを使用して少なくとも1つのエコー信号を受信するステップを含み、
前記複数の画像処理信号を生成するステップが、前記少なくとも1つのエコー信号を光学信号に変換し、前記光学信号に基づいて前記複数の画像処理信号を生成するステップと、を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
1つ又は複数のそれぞれの遅延ユニットを使用して前記複数の画像処理信号のうちの1つ又は複数の画像処理信号を遅延させるステップと、
出力信号を生成するために、前記複数の画像処理信号を合計するステップと
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の画像処理信号を合計するステップの後、圧縮された出力信号を生成するために、整合フィルタを使用して前記出力信号を前記NLFMチャープ波形と相関するステップ
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の画像処理信号を合計するステップの前に、圧縮された画像処理信号を生成するために、それぞれの整合フィルタを使用して前記複数の画像処理信号のそれぞれを前記NLFMチャープ波形と相関するステップ、を更に含み、
前記複数の画像処理信号を合計するステップが、前記出力信号を生成するために、加算器を使用して前記圧縮された画像処理信号を合計するステップを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
各遅延ユニットが、前記遅延ユニットによって遅延される前記画像処理信号に関連付けられた深度に基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記アポダイズド信号を用いた前記少なくとも1つのトランスデューサの励起が、前記複数の画像処理信号に基づいて生成された超音波画像の、軸方向分解能、コントラスト分解能、及び信号対雑音比のうちの1つ又は複数を増加させる、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響画像処理を実施する前に予め決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響画像処理を実施している間に、動的に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記NLFMチャープ波形が、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記関数が、
f(t)=c atan(a(t-b))+d
であり、ここで、atan(・)が、逆正接関数であり、tが、時間であり、aが、スケーリングパラメータであり、bが、シフト制御パラメータであり、cが、周波数範囲制御パラメータであり、dが、初期最小周波数パラメータである、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記NLFMチャープ波形が、多項式関数に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記NLFMチャープ波形が、ルックアップテーブルに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップの前に、前記アポダイズド信号を増幅するステップ、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップが、マルチレベル電圧送信機によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記アポダイズド信号が、予め設定された利得パラメータのセットを使用して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記NLFMチャープ波形の周波数関数が、単調に増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記窓関数が、ガウス窓関数又はカイザー窓関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、又は静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
音響画像処理のための装置であって、
少なくとも1つのトランスデューサと、
第1のコンピュータデバイスのプロセッサによって実行される命令を表すコードを記憶する非一時的なプロセッサ可読媒体であって、前記コードが、前記プロセッサに、前記少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成させるためのコードを備える、非一時的なプロセッサ可読媒体と、
前記NLFMチャープ波形及び窓関数に基づいてアポダイズド信号を生成し、
前記アポダイズド信号を用いて前記少なくとも1つのトランスデューサを励起する、
ように構成される送信機と
を備える、装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記アポダイズド信号に基づいて音響信号を送信するように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記音響信号が、前記少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅を有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記音響信号の送信に応答して複数のエコー信号を受信し、前記複数のエコー信号に基づいて複数の画像処理信号を生成するように更に構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、少なくとも1つのエコー信号を受信し、画像処理信号を生成するように構成される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも1つのエコー信号を受信し、前記少なくとも1つのエコー信号を光学信号に変換するように構成される少なくとも1つの光学センサと、
前記光学信号に基づいて前記複数の画像処理信号を生成するように構成される少なくとも1つの光学検出器と
を更に備える、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記複数の画像処理信号のうちの1つ又は複数のそれぞれの画像処理信号を遅延するように構成される1つ又は複数のそれぞれの遅延ユニットと、
前記複数の画像処理信号に基づいて出力信号を生成するように構成される加算器と
を更に備える、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記複数の画像処理信号を合計することの後、前記出力信号を前記NLFMチャープ波形と相関するように構成される整合フィルタを更に備える、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
圧縮された画像処理信号を生成するために、前記複数の画像処理信号を前記NLFMチャープ波形と相関するように構成される複数の整合フィルタ
を更に備え、
前記加算器が、前記出力信号を生成するために、前記圧縮された画像処理信号を合計するように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記非一時的なプロセッサ可読媒体が、
焦点深度値に基づいて、前記複数の遅延ユニットの複数の遅延値を計算する、
コードを更に備える、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記アポダイズド信号を用いた前記少なくとも1つのトランスデューサの励起が、前記複数の画像処理信号に基づいて生成された超音波画像の、軸方向分解能、コントラスト分解能、及び信号対雑音比のうちの1つ又は複数を増加させる、請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響画像処理を実施する前に予め決定される、請求項30に記載の装置。
【請求項36】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響画像処理を実施している間に、動的に調整される、請求項24に記載の装置。
【請求項37】
前記NLFMチャープ波形が、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成される、請求項24に記載の装置。
【請求項38】
前記関数が、
f(t)=c atan(a(t-b))+d
であり、ここで、atan(・)が、逆正接関数であり、tが、時間を示し、a、b、c、及びdが、所定の波形パラメータのセットを示す、
請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記NLFMチャープ波形が、多項式関数に基づいて生成される、請求項24に記載の装置。
【請求項40】
前記NLFMチャープ波形が、ルックアップテーブルに基づいて生成される、請求項24に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起する前に、前記アポダイズド信号を増幅するように構成される増幅器を更に備える、請求項24に記載の装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起することが、マルチレベル電圧送信機によって実施される、請求項24に記載の装置。
【請求項43】
前記アポダイズド信号が、予め設定された利得パラメータのセットを使用して生成される、請求項24に記載の装置。
【請求項44】
前記NLFMチャープ波形の周波数関数が、単調に増加する、請求項24に記載の装置。
【請求項45】
前記窓関数が、ガウス窓関数又はカイザー窓関数である、請求項24に記載の装置。
【請求項46】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、又は静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項47】
1つ又は複数の音響測定を実施するための方法であって、
少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成するステップと、
前記NLFMチャープ波形に窓関数を適用することによってアポダイズド信号を生成するステップと、
前記アポダイズド信号を用いて前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップと
を含む方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つのトランスデューサを使用して、前記アポダイズド信号に基づく音響信号を送信するステップ
を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記送信された音響信号が、前記少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記音響信号を送信するステップに応答して複数の音響信号を受信するステップと、
前記複数の受信した音響信号に基づいて複数の測定信号を生成するステップと
を更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の音響信号を受信するステップ、及び前記複数の測定信号を生成するステップが、少なくとも1つのセンサによって実施される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の音響信号を受信するステップが、前記励起されたトランスデューサとは異なる第2のトランスデューサを使用して1つ又は複数の音響信号を受信するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の音響信号を受信するステップが、少なくとも1つの光学センサを使用して少なくとも1つの音響信号を受信するステップを含み、
前記複数の測定信号を生成するステップが、前記複数の受信した音響信号を複数の光学信号に変換するステップと、前記複数の光学信号に基づいて前記複数の測定信号を生成するステップと、を含む、
請求項50に記載の方法。
【請求項54】
圧縮された測定信号を生成するために、整合フィルタを使用して前記測定信号のうちの少なくとも1つを前記NLFMチャープ波形と相関するステップ
を更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響測定を実施する前に予め決定される、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響測定を実施している間に、動的に調整される、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記NLFMチャープ波形が、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成される、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記関数が、
f(t)=c atan(a(t-b))+d
であり、ここで、atan(・)が、逆正接関数であり、tが、時間であり、aが、スケーリングパラメータであり、bが、シフト制御パラメータであり、cが、周波数範囲制御パラメータであり、dが、初期最小周波数パラメータである、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記NLFMチャープ波形が、多項式関数に基づいて生成される、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記NLFMチャープ波形が、ルックアップテーブルに基づいて生成される、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップの前に、前記アポダイズド信号を増幅するステップ
を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起するステップが、マルチレベル電圧送信機によって実施される、請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記アポダイズド信号が、予め設定された利得パラメータのセットを使用して生成される、請求項47に記載の方法。
【請求項64】
前記NLFMチャープ波形の周波数関数が、単調に増加する、請求項47に記載の方法。
【請求項65】
前記窓関数が、ガウス窓関数又はカイザー窓関数である、請求項47に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、又は静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項67】
前記1つ又は複数の音響測定値が、距離を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項68】
1つ又は複数の音響測定を実施するための装置であって、
少なくとも1つのトランスデューサと、
第1のコンピュータデバイスのプロセッサによって実行される命令を表すコードを記憶する非一時的なプロセッサ可読媒体であって、前記コードが、前記プロセッサに、前記少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成させるためのコードを備える、非一時的なプロセッサ可読媒体と、
前記NLFMチャープ波形及び窓関数に基づいてアポダイズド信号を生成し、
前記アポダイズド信号を用いて前記少なくとも1つのトランスデューサを励起する、
ように構成される送信機と
を備える、装置。
【請求項69】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記アポダイズド信号に基づいて音響信号を送信するように構成される、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記音響信号が、前記少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅を有する、請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記音響信号の送信に応答して少なくとも1つの音響信号を受信し、前記少なくとも1つの受信した音響信号に基づいて測定信号を生成するように構成される少なくとも1つのセンサを更に備える、請求項68に記載の装置。
【請求項72】
前記少なくとも1つのセンサが、前記励起されたトランスデューサとは異なる第2のトランスデューサを備える、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記少なくとも1つのセンサが、前記複数の受信した音響信号を受信し、前記複数の受信した音響信号を複数の光学信号に変換するように構成される光学センサを備える、請求項71に記載の装置。
【請求項74】
前記測定信号を前記NLFMチャープ波形と相関するように構成される整合フィルタを更に備える、請求項71に記載の装置。
【請求項75】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響測定を実施する前に予め決定される、請求項68に記載の装置。
【請求項76】
前記NLFMチャープ波形及び前記窓関数のうちの少なくとも一方が、前記音響測定を実施している間に、動的に調整される、請求項68に記載の装置。
【請求項77】
前記NLFMチャープ波形が、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成される、請求項68に記載の装置。
【請求項78】
前記関数が、
f(t)=c atan(a(t-b))+d
であり、ここで、atan(・)が、逆正接関数であり、tが、時間を示し、a、b、c、及びdが、所定の波形パラメータのセットを示す、
請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記NLFMチャープ波形が、多項式関数に基づいて生成される、請求項68に記載の装置。
【請求項80】
前記NLFMチャープ波形が、ルックアップテーブルに基づいて生成される、請求項68に記載の装置。
【請求項81】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起する前に、前記アポダイズド信号を増幅するように構成される増幅器を更に備える、請求項68に記載の装置。
【請求項82】
前記少なくとも1つのトランスデューサを励起することが、マルチレベル電圧送信機によって実施される、請求項68に記載の装置。
【請求項83】
前記アポダイズド信号が、予め設定された利得パラメータのセットを使用して生成される、請求項68に記載の装置。
【請求項84】
前記NLFMチャープ波形の周波数関数が、単調に増加する、請求項68に記載の装置。
【請求項85】
前記窓関数が、ガウス窓関数又はカイザー窓関数である、請求項68に記載の装置。
【請求項86】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、又は静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサを含む、請求項68に記載の装置。
【請求項87】
前記1つ又は複数の音響測定値が、距離を含む、請求項68に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年3月4日に出願された米国特許出願第63/156,782号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、音響画像処理の分野に関し、特に、窓化非線形周波数変調チャープを使用して超音波画像品質を改善する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]音響画像処理は、多くの利点のために医療画像処理及び医療診断を含む様々な産業で使用されている。例えば、超音波感知は、高い侵入深度を有する超音波信号を使用する。更に、超音波画像処理は、非電離放射線に基づくので、有利には非侵襲的な画像処理形態であることが知られている。
【0004】
[0004]超音波画像処理システムの画像品質は、例えば、軸方向分解能などの画像処理パラメータによって決定されることが多い。軸方向分解能パラメータは、超音波トランスデューサの帯域幅に部分的に依存する。一般に、軸方向分解能は、帯域幅に線形比例する。様々な既知の超音波画像処理方法及びシステムでは、超音波トランスデューサの帯域幅は、システム画像処理帯域幅に基本的な制限を課す。しかしながら、PZTトランスデューサの典型的な帯域幅は、多くが70%から80%の相対帯域幅であり、これは、最適な軸方向分解能、つまり様々な既知の超音波方法及びシステムを使用して達成され得る画像品質を制限する。したがって、超音波画像品質を改善するための方法及びデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]いくつかの変形例では、音響画像処理を実施するための方法は、少なくとも1つのトランスデューサ(例えば、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサなど)の周波数応答に基づいて、非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成すること、を含み得る。本方法は、NLFMチャープ波形に窓関数(例えば、ガウス窓関数又はカイザー窓関数)を適用することによって、アポダイズド信号を生成こと、を更に含み得る。本方法は、アポダイズド信号を用いて少なくとも1つのトランスデューサを励起すること(例えば、マルチレベル電圧送信機によって実施される)、を更に含み得る。NLFMチャープ波形に基づいて生成された信号は、大きさを有する少なくとも1つのサイドローブを導入し得るが、窓関数は、NLFMチャープ波形によって導入された少なくとも1つのサイドローブの大きさを低減(例えば、0に低減、又は排除)し得る。
【0006】
[0006]いくつかの変形例では、本方法は、アポダイズド信号に基づいて音響信号を送信すること、を更に含み得る。音響信号は、少なくとも1つのトランスデューサを使用して送信されてもよい。送信された音響信号は、少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅(例えば、120%)を有し得る。
【0007】
[0007]いくつかの変形例では、本方法は、音響信号の送信に応答して、エコー信号のセットを受信すること、を更に含み得る。本方法は、エコー信号のセットに基づいて、画像処理信号のセットを生成すること、を更に含み得る。エコー信号のセットは、受信され、画像処理信号のセットは、少なくとも1つのトランスデューサによって生成され得る。いくつかの実装形態では、エコー信号のセットは、受信され、画像処理信号のセットは、少なくとも1つの光学センサ(例えば、ウィスパリングギャラリーモード光学センサ、集積フォトニック回路ベースの光学センサなど)を使用することによって生成されてもよい。少なくとも1つの光学センサを使用するとき、画像処理信号のセットを生成することは、エコー信号のセットを、光学信号のセットに変換することと、光学信号のセットに基づいて画像処理信号のセットを生成することと、を更に含み得る。
【0008】
[0008]いくつかの変形例では、本方法は、1つ又は複数のそれぞれの遅延ユニットを使用して、画像処理信号のセットの1つ又は複数の画像処理信号を遅延すること、を更に含み得る。1つ又は複数のそれぞれの遅延ユニットからの各遅延ユニットは、遅延ユニットによって遅延される画像処理信号に関連付けられた深度に基づき得る。本方法は、出力信号を生成するために、画像処理信号のセットを合計すること、を更に含み得る。本方法は、画像処理信号のセットを合計した後、圧縮された出力信号を生成するために、整合フィルタを使用して、出力信号をNLFMチャープ波形と相関すること、を更に含み得る。本方法は、画像処理信号のセットを合計する前に、圧縮された画像処理信号を生成するために、それぞれの整合フィルタを使用して、画像処理信号のセットの各々をNLFMチャープ波形と相関すること、を更に含み得る。画像処理信号のセットを合計することは、出力信号を生成するために、加算器を使用して、圧縮された画像処理信号を合計すること、を含み得る。
【0009】
[0009]アポダイズド信号を用いた少なくとも1つのトランスデューサの励起は、画像処理信号のセットに基づいて生成された超音波画像の、軸方向分解能、コントラスト分解能、及び信号対雑音比のうちの1つ又は複数を増加させ得る。いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形又は窓関数は、音響画像処理を実施する前に予め決定され得る。一方、いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形又は窓関数は、音響画像処理を実施している間に、動的に調整され得る。
【0010】
[0010]いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形は、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成され得る。NLFMチャープ波形の周波数関数は、単調に増加し得る。関数は、例えば、f(t)=c atan(a(t-b))+dの形式であってもよく、atan(・)は、逆正接関数であり、tは、時間であり、aは、スケーリングパラメータであり、bは、シフト制御パラメータであり、cは、周波数範囲制御パラメータであり、dは、初期最小周波数パラメータである。いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形は、多項式関数に基づいて生成され得る。更にいくつかの他の変形例では、NLFMチャープ波形は、ルックアップテーブルに基づいて生成され得る。
【0011】
[0011]いくつかの変形例では、本方法は、少なくとも1つのトランスデューサを励起する前に、アポダイズド信号を増幅すること、を含み得る。送信アパーチャアポダイゼーションは、音響ビームのサイドローブを低減し得る。アパーチャアポダイゼーションは、個々の送信チャネルのための予め設定された利得パラメータのセットを使用することによって実現され得る。
【0012】
[0012]いくつかの変形例では、1つ又は複数の音響測定(例えば、距離)を実施するための方法は、少なくとも1つのトランスデューサ(例えば、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサなど)の周波数応答に基づいて、非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を生成すること、を含み得る。本方法は、NLFMチャープ波形に窓関数(例えば、ガウス窓関数又はカイザー窓関数)を適用することによって、アポダイズド信号を生成こと、を更に含み得る。本方法は、アポダイズド信号を用いて少なくとも1つのトランスデューサを励起すること(例えば、マルチレベル電圧送信機によって実施される)、を更に含み得る。NLFMチャープ波形に基づいて生成された信号は、大きさを有する少なくとも1つのサイドローブを導入し得るが、窓関数は、NLFMチャープ波形によって導入された少なくとも1つのサイドローブの大きさを低減(例えば、0に低減、又は排除)し得る。
【0013】
[0013]いくつかの変形例では、本方法は、アポダイズド信号に基づいて音響信号を送信すること、を更に含み得る。音響信号は、少なくとも1つのトランスデューサを使用して送信されてもよい。送信された音響信号は、少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも高い帯域幅(例えば、120%)を有し得る。
【0014】
[0014]いくつかの変形例では、本方法は、音響信号の送信に応答して、受信した音響信号のセットを受信すること、を更に含み得る。本方法は、受信した音響信号のセットに基づいて、測定信号のセットを生成すること、を更に含み得る。励起されたトランスデューサとは異なる(別個の)第2のトランスデューサなどの少なくとも1つのセンサによって、受信した音響信号のセットを受信しても、測定信号のセットを生成してもよい。いくつかの実装形態では、少なくとも1つの光学センサ(例えば、ウィスパリングギャラリーモード光学センサ、集積フォトニック回路ベースの光学センサなど)を使用することによって、受信した音響信号のセットを受信し、測定信号のセットを生成し得るので、センサは光学センサであってもよい。少なくとも1つの光学センサを使用するとき、測定信号のセットを生成することは、受信した音響信号のセットを光学信号のセットに変換することと、光学信号のセットに基づいて測定信号のセットを生成することと、を更に含み得る。
【0015】
[0015]本方法は、圧縮された測定信号を生成するために、それぞれの整合フィルタを使用して、測定信号のセットの少なくとも1つ、又はその各々をNLFMチャープ波形と相関することを含み得る。
【0016】
[0016]いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形又は窓関数は、音響測定を実施する前に予め決定され得る。一方、いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形又は窓関数は、音響測定を実施している間に、動的に調整されてもよい。
【0017】
[0017]いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形は、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成され得る。NLFMチャープ波形の周波数関数は、単調に増加し得る。関数は、例えば、f(t)=c atan(a(t-b))+dの形式であってもよく、atan(・)は、逆正接関数であり、tは、時間であり、aは、スケーリングパラメータであり、bは、シフト制御パラメータであり、cは、周波数範囲制御パラメータであり、dは、初期最小周波数パラメータである。いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形は、多項式関数に基づいて生成され得る。更にいくつかの他の変形例では、NLFMチャープ波形は、ルックアップテーブルに基づいて生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】窓化非線形周波数変調(NLFM)チャープ信号に基づく音響画像処理のための例示的な音響画像処理システムのブロック図である。
図2】音響画像処理の例示的な方法を示すフローチャートである。
図3】例示的な送信機のブロック図である。
図4】例示的な受信ビームフォーマのブロック図である。
図5】例示的な受信ビームフォーマのブロック図である。
図6】超音波トランスデューサの例示的な元のスペクトル及び例示的な拡大スペクトルを示す図である。
図7】NLFMチャープ信号の例示的な周波数分布及び例示的な波形を示す図である。
図8】NLFMチャープ信号から計算された例示的な凹状のスペクトルを示す図である。
図9A】NLFMチャープ信号生成の例示的な周波数分布を示す図である。
図9B】NLFMチャープ信号生成の例示的な周波数分布を示す図である。
図9C】NLFMチャープ信号生成の例示的な周波数分布を示す図である。
図9D】NLFMチャープ信号生成の例示的な周波数分布を示す図である。
図10】ガウス包絡線を有する例示的なNLFMチャープ波形を示す図である。
図11A】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11B】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11C】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11D】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11E】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11F】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11G】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図11H】例示的な励起信号、及び励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を示す図である。
図12】窓化されたNLFMチャープ信号に基づいて距離を測定するように構成された例示的な超音波システムの例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0030]本発明の様々な態様及び変形例の非限定的な例を、本明細書に記載し、添付の図面に示している。
【0020】
[0031]医療用超音波画像処理システムの軸方向分解能は、トランスデューサの帯域幅によって制限されることが多い。本明細書に記載の音響画像処理の方法及びシステムは、非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形を用いて超音波トランスデューサを励起することによって、そのような軸方向分解能の制限を克服し得る。本明細書に示し、説明するNLFMチャープ波形に基づいて結果として送信された音響信号は、トランスデューサの固有帯域幅よりも著しく高い帯域幅を実証する。更に、NLFMチャープ波形は、チャープ波形によって導入されるレンジサイドローブレベルを低減するために、窓関数によってアポダイゼーションされ得る。NLFMチャープ波形及び窓関数に基づいて生成された、送信された音響信号に応答して受信されたエコー信号は、同じNLFMチャープパルスと相関され、信号幅を圧縮して、優れた軸方向分解能、コントラスト分解能、及び信号対雑音比を有する最終的な超音波画像を生成し得る。
【0021】
[0032]例えば、図6は、理想的な超音波トランスデューサの例示的な元のスペクトル601、又はシミュレートされた周波数応答を示している。元のスペクトル601は、対称でガウス分布であり、トランスデューサの6dB相対帯域幅は、77%であり、軸方向分解能が制限される。しかしながら、トランスデューサの有効帯域幅を拡大すると、軸方向分解能が向上する。例えば、図6に示す拡大スペクトル602は、102%の6dB相対帯域幅を有するトランスデューサの拡大周波数応答を示しており、元の帯域幅に対して32%の増加を示している。音響画像の軸方向分解能が、トランスデューサスペクトルの相対帯域幅に直接関係するので、トランスデューサスペクトルの相対帯域幅を32%増加させると、軸方向分解能を約32%向上し得る。本明細書に提示する方法及びシステムは、NLFMチャープ波形を使用して、送信される(例えば、超音波プローブによって送信される)音響信号の帯域幅を広げる。
【0022】
[0033]図1は、窓化非線形周波数変調(NLFM)チャープ信号を生成し得る例示的な音響画像処理システム100のブロック図である。音響画像処理システム100は、トランスデューサ110と、送信機120と、受信機130と、波形発生器140と、整合フィルタ150と、コンピュータ160と、ディスプレイ170と、を含む。波形発生器140は、デジタル波形を生成し、次いで、送信機120及び/又は整合フィルタ150に送信し得る。送信機120は、デジタル波形を電気信号(高電圧電気信号)に変換して、トランスデューサ110のトランスデューサ素子を励起し得る。いくつかの実装形態では、送信機120は、バイポーラ送信機、及び/又はマルチレベル送信機を含んでもよい。いくつかの実装形態では、送信機は、特注の送信機(例えば、連続信号を生成する)を含んでもよい。トランスデューサ110は、例えば、圧電センサ、単結晶材料センサ、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)センサなどを含んでもよい。トランスデューサ110は、送信フェーズ中に電気信号を音響信号に変換し、受信フェーズ中に画像処理信号を生成することによって、検出した音響エコーを電気領域に逆変換し得る。受信機130は、検出したエコー信号を処理し、アナログ信号からデジタル信号に変換し得る。画像処理信号が受信機130によってデジタル化された後、整合フィルタ150は、波形発生器140から受信した波形を使用して、画像処理信号を圧縮するフィルタの係数のセットを生成し得る。コンピュータ160は、データ管理、信号及び画像処理、ユーザインターフェースなどを含む様々なタスクを実施するように構成され得る。ディスプレイ170は、コンピュータ160に動作可能に連結され、ユーザが診断観察及び決定を行うために、超音波画像(例えば、リアルタイム超音波画像)、及び他の関連情報(例えば、超音波画像についてコンピュータ160によって処理された情報のセット)を示し得る。コンピュータ160とディスプレイ170との間の接続は、有線電気媒体(例えば、高精細マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))、デジタルビジュアルインターフェース(DVI)、ビデオグラフィックアレイ(VGA)など)、及び/又は無線電磁媒体(例えば、WIFI(商標)、Bluetooth(登録商標)など)などを介してもよい。音響画像処理システム100は、窓化NLFMチャープ信号を生成し得る。
【0023】
[0034]いくつかの実装形態では、音響画像処理システム100は、図1に示していない追加の構成要素を含むか、又はそれに動作可能に連結されてもよい。例えば、音響画像処理システム100は、例えば、キーボードユーザインターフェース、カラープリンタ、記憶デバイス、フットスイッチ、ビデオカメラなど、周辺構成要素に動作可能に連結されてもよい。各周辺構成要素と音響画像処理デバイス100との間の接続は、有線及び/又は無線媒体を介してもよい。
【0024】
[0035]いくつかの変形例では、音響画像処理システムの1つ又は複数の要素又はデバイスは、統合されても、組み合わされてもよい。一例では、ディスプレイ170及びコンピュータ160は、ディスプレイ画面(例えば、ラップトップ、電話など)を含むコンピュータデバイスに組み合わされてもよい。別の例では、波形発生器140及びコンピュータ160は、送信機120のための信号を生成し、整合フィルタ150から受信した画像処理信号を分析するデバイスに統合されてもよい。いくつかの変形例では、コンピュータ160は、汎用中央処理装置(CPU)ベースのコンピュータ、強力な(グラフィック処理装置)GPUベースのコンピュータ、専用デジタル信号処理(DSP)ベースのデバイス、それらの組合せ、及び/又は任意の他の適切なコンピュータシステムによって、置換されてもよい。
【0025】
[0036]いくつかの変形例では、システム100は、(音響エコーを受信するトランスデューサ110に加えて、又は代替として)音響エコーを受信するための少なくとも1つの光学センサ(例えば、ウィスパリングギャラリーモード光学センサ、集積フォトニック回路ベースの光学センサなど)を含み得る。少なくとも1つの光学センサは、エコー信号のセットを、光学信号のセットに変換し、画像処理信号のセットは、光学信号のセットに基づいて生成され得る。
【0026】
[0037]少なくとも1つの光学センサは、高感度で、広帯域応答でエコー信号を受信し、検出するように構成され得る。少なくとも1つの光学共振器は、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2020/064094号及び/又は国際特許出願第PCT/US2021/022412号に記載されている光学共振器のいずれかと同様であってもよい。
【0027】
[0038]いくつかの変形例では、システムは、少なくとも1つの光学センサと、少なくとも1つのトランスデューサ110との混合アレイを含み得る。混合アレイは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2021/033715号に記載されている混合アレイのいずれかと同様であってもよい。いくつかの変形例では、混合アレイを使用して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2021/039551号に記載されているような高調波画像処理を実施し得る。いくつかの変形例では、混合アレイからの信号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2021/049226号明細書及び/又はPCT/US2021/056096号明細書に記載されている技術など、合成開口技術及び/又は画像合成技術を介して組み合わされるか、又は処理され得る。
【0028】
[0039]図2は、音響画像処理の例示的な方法200を示すフローチャートである。いくつかの実装形態では、音響画像処理システム(例えば、図1に関して示し、説明した音響画像処理システム100)は、方法200を実施するために使用され得る。201において、非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形が、少なくとも1つのトランスデューサの周波数応答に基づいて生成される。NLFMチャープ波形は、非減少、正、及び連続である関数に基づいて生成され得る。例えば、関数は、逆正接関数、多項式関数に基づいても、又はルックアップテーブルに基づいてもよい。いくつかの実装形態では、NLFMチャープ波形は、予め決定され、波形発生器(例えば、図1に関して示し、説明した波形発生器140)のメモリ(図示せず)に記憶されてもよく、及び/又はコンピュータ(例えば、図1に関して示し、説明したコンピュータ160)のメモリ(図示せず)に記憶されてもよい。いくつかの実装形態では、NLFMチャープ波形は、動的に(例えば、臨機応変に)決定されてもよい。例えば、NLFMチャープ波形関数のパラメータのセットは、以下で更に説明するように、音響画像処理システムで生成されている画像に基づいてリアルタイム又はほぼリアルタイムで調整されてもよい。
【0029】
[0040]図7は、時間の関数としての例示的なNLFMチャープ波形702、及びNLFMチャープ波形の例示的な周波数分布701を示している。NLFMチャープ波形の周波数分布701に示すように、周波数は、時間とともに単調に増加するが、線形ではない。周波数は、0.71MHzから始まり、約0.4マイクロ秒(μs)まで極めてゆっくりと増加する。時間0.4μsと時間軸上の中点との間では、0.55μsにおいて、周波数は急速に増加する。しかしながら、時間軸上の中間点の後、周波数は、時間0.7μsまで遅いペースで増加する。周波数は、0.7μs後に再び極めてゆっくりと増加し、13.4MHzの最大周波数値に達する。NLFMチャープ波形702も示している。NLFMチャープ波形702の周波数増加率は、周波数分布701と同じペースで時間とともに増加する。波形は、最初は時間とともにゆっくりと変化し、その後、周波数分布曲線701にも見られるように、周波数増加率が減少する前に、迅速に変化し始める。NLFMチャープ信号の波形は、凹状のスペクトルをもたらし得る。このような凹状のスペクトルを有する電気信号による超音波トランスデューサの励起は、図6に関して示し、説明したように、送信される音響信号の相対帯域幅を増加させ得る。NLFMチャープ波形に基づいて生成された広帯域エコー信号は、上述したように、整合フィルタを使用して、改善された軸方向分解能を有する画像を生成するために圧縮され得る。
【0030】
[0041]図8は、NLFMチャープ信号から計算された例示的な凹状のスペクトルを示している。凹状のスペクトルは、チャープ信号が中心周波数7MHzに対して、2MHz付近及び11MHz付近の周波数を約5dB増加し得ることを示している。極小値は、図8に示すように中心周波数付近である。7MHzトランスデューサが線形時間不変システムとしてモデル化され得る場合、NLFMチャープ信号によって励起されたトランスデューサの出力スペクトルは、トランスデューサの周波数応答と、チャープ信号のスペクトルとの合計として対数スケールで表され得る。したがって、NLFMチャープ信号に基づいて、結果として得られる送信された音響信号は、低周波端部と高周波端部との両方における信号強度向上により、元の又は固有のトランスデューサ帯域幅よりも広い帯域幅を有し得る。
【0031】
[0042]図7及び図8に示し、説明した概念は、異なる中心周波数、帯域幅、及びスペクトル形状を有するトランスデューサをカバーするように拡張され得る。場合によっては、例えば、中心周波数は、7MHzより高くても、7MHzより低くてもよく、帯域幅は、77%より低くても高くてもよい。場合によっては、例えば、スペクトル形状は、非ガウス分布又は非対称であってもよい。異なるトランスデューサについて、異なる周波数分布(例えば、周波数分布701とは異なる)を使用して、帯域幅及びスペクトル形状に関して送信された音響信号を最適化し得る。
【0032】
[0043]図9A図9Cは、NLFMチャープ信号生成の例示的な周波数分布を示している。時間スケールは、4つの周波数分布間の容易な比較のために正規化される。図9Aの周波数分布は、中間点0.5における垂直線を中心とした0.63MHzから5.4MHzの範囲の不規則で対称な周波数分布を示している。図9Bの周波数分布は、0.43MHzから9.2MHzの範囲の別の不規則で対称な周波数分布を示している。図9Cの周波数分布は、4.1MHzから12.9MHzの範囲の非対称の周波数分布を示している。図9Dの周波数分布は、0.84MHzから9.2MHzの範囲の別の非対称な周波数分布を示している。
【0033】
[0044]所望のNLFMチャープ波形は、任意の適切な方法で生成され得る。所望のNLFMチャープ波形を生成する第1の方法は、f(t)=c atan(a(t-b))+dのような関数を使用することであり、
ここで、atan()は、逆正接関数であり、tは、開始時間Tから終了時間Tを範囲とする時間であり、aは、正のスケーリングパラメータであり、bは、シフトを決定する実数であり、cは、正の周波数範囲制御パラメータであり、dは、初期最小周波数を決定する正の数である。他の関数を使用して、NLFMチャープ波形を生成してもよい。一般的には、以下の3つの条件を満たす任意の関数を使用して、NLFMチャープ波形を生成し得る。
(a)本関数は、非減少関数である。
(b)本関数は、正関数である。
(c)本関数は、連続関数である。
【0034】
[0045]いくつかの変形例では、所望のNLFMチャープ波形を生成する第2の方法は、n次多項式関数又は他の一般的に使用される関数を使用して、上記の3つの基準を満たす関数を近似することである。いくつかの変形例では、所望のNLFMチャープ波形を生成するための第3の方法は、所望の波形を生成するために、所定のデータが入力されたルックアップテーブル(LUT)を使用することである。
【0035】
[0046]所望のNLFMチャープ波形を生成するための上述の方法(及び/又はそのための他の適切な方法)のいずれも、オフライン又はオンラインのいずれかで、任意の適切な組合せで実施されてもよい。オフライン手法では、一部又は全部のNLFMチャープ波形が所定の方法で計算され、次いで、超音波画像処理システムに関連付けられた1つ又は複数のメモリデバイスに記憶される。そのような記憶された波形は、超音波画像処理システムの動作中に使用するために後でアクセスされ得る。対照的に、オンライン手法では、個々の波形は、画像処理モード、動作周波数、及び/又は臨床用途などに従って、臨機応変に超音波画像処理システムによって計算され、使用される。
【0036】
[0047]再び図2を参照すると、202において、アポダイズド信号が、窓関数をNLFMチャープ波形に適用することによって生成され得る。NLFMチャープ波形に基づいて201で生成された信号は、大きさを有するサイドローブを導入し得る。例えば、上昇レンジサイドローブレベル(RSLL)は、約-23から-25dBレベルの大きさを有してもよい。そのようなRSLL値は、線形及び/又は非線形のFMチャープ信号励起に基づく音響画像処理の方法の性能を制限する可能性があり、線形及び/又は非線形のFMチャープ信号励起の適用を市販の超音波画像処理方法にとってあまり興味深いものにならない。窓関数(例えば、ガウス窓関数、カイザー窓関数など)は、NLFMチャープ波形によって導入されたサイドローブの大きさを有利に低減し得る。
【0037】
[0048]203において、少なくとも1つのトランスデューサ(例えば、図1に関して示し、説明したトランスデューサ110)は、アポダイズド信号で励起されて、トランスデューサ110に音響信号を放射するように誘導する。少なくとも1つのトランスデューサを励起することは、送信機(例えば、図1及び図3に関して示し、説明した送信機120)によって実施され得る。要するに、送信機は、デジタル波形及びビームフォーマ制御信号を受信し、高電圧出力増幅器を使用して少なくとも1つのトランスデューサを励起し得る。以下で更に説明するように、少なくとも1つのトランスデューサによって放射された音響信号は、アポダイズド信号(非線形周波数変調(NLFM)チャープ波形及び窓関数)に基づいて生成され、少なくとも1つのトランスデューサの固有帯域幅よりも広い帯域幅を有し得る。
【0038】
[0049]図10は、ガウス窓関数を有する例示的なNLFMチャープ波形を示している。波形は、NLFMチャープ信号にガウス窓関数を乗算することによって生成され得る。ガウス窓関数は、その窓幅に関して調整可能である。ガウス窓関数の他に、カイザー窓などの他の窓も、NLFMチャープ信号をアポダイズするために使用されてもよい。そのような窓は、レンジサイドローブレベル(RSLL)を大幅に低減し得る。RSLLの上昇は、信号対雑音比(SNR)を低下させ、最終的な超音波画像の軸方向分解能及びコントラスト分解能を低下させる。
【0039】
[0050]方法200は、音響信号の送信に応答してエコー信号のセットを受信することと、エコー信号のセットに基づいて画像処理信号のセットを生成することと、を任意選択的に含み得る。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのトランスデューサは、エコー信号のセットを受信し、画像処理信号のセットを生成してもよい。いくつかの実装形態では、少なくとも1つの光学センサは、エコー信号のセットを受信し、エコー信号のセットを光学信号のセットに変換し、光学信号のセットに基づいて画像処理信号のセットを(例えば、光検出器を使用して)生成してもよい。画像処理信号のセットに基づいて生成された画像(上述のようにアポダイズド信号を用いて少なくとも1つのトランスデューサを励起した結果)は、アポダイズド信号を使用せずに生成された画像と比較して、画像の軸方向分解能の増加、画像のコントラスト分解能の増加、画像の信号対ノイズ比の増加などを有し得る。
【0040】
[0051]方法200は、動的受信焦点合せを実施するために、1つ又は複数のそれぞれの遅延ユニットを使用して1つ又は複数の画像処理信号を遅延させること、を任意選択的に含み得る。そのような動的受信焦点合せは、分解能の低下を回避するために、各信号の移動距離(すなわち、深度依存方式で画像処理信号を再位相調整する)に従って、画像処理信号を再位相調整することによって全体的に均一な画像焦点合せ達成するように機能する。遅延ユニットは、画像処理のための焦点深度値に基づいて計算又は決定された遅延値を有し得る。方法200は、出力信号を生成するために(遅延後に)画像処理信号のセットを合計すること、を更に含み得る。
【0041】
[0052]以下で更に詳細に説明するように、1つ又は複数の整合フィルタは、受信したエコー又は画像処理信号を、同じNLFMチャープ波形と自動相関するように適用され得る。いくつかの変形例では、画像処理信号のセットの各々を合計する前に、画像処理信号のセットの各々は、圧縮された画像処理信号を生成するために、それぞれの整合フィルタを使用してNLFMチャープ波形と相関され得る。あるいは、各画像処理信号を別々に相関する代わりに、いくつかの変形例では、NLFMチャープ波形と同様の相関が、合計した後に実施されてもよく、すなわち、画像処理信号の合計は、単一の整合フィルタを使用してNLFMチャープ波形と相関されてもよい。
【0042】
[0053]方法200は、コンピュータ実装プロセス(例えば、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行される命令)を含み得ることを理解されたい。更に、上述した方法が、特定の順序で発生する特定のイベントを示す場合、特定のイベントの順序は、変更されてもよい。更に、特定のイベントは、上述したように連続的に実施されるだけでなく、可能であれば並列処理で繰り返し同時に実施されてもよい。更に、特定の実施形態は、1つ又は複数の記載したイベントを有してもよい。
【0043】
[0054]方法200で実施される動作は、任意の適切な方法で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示しているが、いくつかのステップ又はプロセスを同時に実施することを含み得る、図示とは異なる順序でプロセス又はステップが実行される実施形態を構築し得る。別の言い方をすれば、そのような特徴は、必ずしも特定の実行順序に限定されず、むしろ、本開示と一致する方法で、シリアルに、非同期に、並行して、並列に、同時に、同期してなどで、実行し得る任意の数のスレッド、プロセス、サービス、サーバなどに限定され得ることを理解されたい。したがって、これらの特徴の一部は、単一の実施形態において同時に存在することができないという点で、相互に矛盾する場合がある。同様に、一部の特徴は、本発明の一態様に適用可能であり、他の特徴には適用不可能である。
【0044】
[0055]図3は、システム100及び/又は方法200で使用され得る例示的な送信機120の概略図を示している。図3に示すように、送信機120は、高電圧出力増幅器122と、ローパスフィルタ124と、デジタル-アナログ変換器(DAC)126と、利得制御器128と、を含み得る。DAC126及び利得制御器128はそれぞれ、デジタル波形及びビームフォーマ制御信号を受信し得る。DAC126は、波形発生器140によって生成されたデジタル波形をアナログ信号に変換し得る。ローパスフィルタ124は、アナログ信号からアナログ信号の不要な高周波成分を除去し得る。次いで、高電圧出力増幅器122は、音響信号を生成するためにトランスデューサ要素を励起する送信信号を出力する前に、アナログ信号の出力を増加し得る。一方、利得制御器128はまた、利得制御器128で受信されたビームフォーマ制御信号のセットに従って、適切な送信チャネルのアポダイゼーションのために送信信号からの各個々の送信信号の振幅を調整し得る。ビームフォーマ制御信号のセットは、ビームフォーマによって決定され、受信され得る。いくつかの実装形態では、ビームフォーマ制御信号のセットは、コンピュータ160から決定されても、受信されてもよい(例えば、ビームフォーマはコンピュータ160に統合されている)。送信アポダイゼーションは、音響ビームパターンを改善し、側方寸法におけるサイドローブを抑制し得る。
【0045】
[0056]図4は、画像処理信号をNLFMチャープ波形に相関させる整合フィルタを適用する前に、動的受信焦点合せが実施される例示的な受信ビームフォーマのブロック図を示している。受信ビームフォーマは、(NLFMチャープ波形及び窓関数に基づいて生成された)送信された音響信号に応答して、トランスデューサ(例えば、圧電トランスデューサ、光学センサなど)で受信されたエコー信号を処理し得る。追加的又は代替的に、受信ビームフォーマは、1つ又は複数の光学センサとして受信されたエコー信号に対応する光学信号を処理し得る。受信ビームフォーマは、N個の受信チャネルを含み得る。Nは、多くの場合2から512の範囲にある正の整数である。いくつかの実装形態では、受信ビームフォーマは、512を超える受信チャネルを含んでもよい。受信チャネルからの各チャネルは、受信機130及び遅延ユニット132の少なくとも2つの構成要素を含み得る。受信機130は、信号増幅、時間利得制御(TGC)、プログラマブル利得増幅(PGA)、アンチエイリアスローパスフィルタリング(AALPF)、アナログ-デジタル変換(ADC)など、いくつかの信号処理タスクを実施し得る。遅延ユニット132は、デジタル化されたすべてのエコー信号を合計する前に、デジタル化されたすべてのエコー信号に適切な遅延値を適用し得る。遅延値は、動的受信焦点合せを実施するとき、深度に通常依存する。いくつかの実装形態では、遅延値は、焦点深度値に基づいて決定されても、又は計算されてもよい。加算器134は、圧縮された出力信号を生成するために、すべてのNチャネルデータを合計(例えば、数値合計)し得る。この例では、(エコー信号に基づく)合計ビームフォーマ出力をNLFMチャープ波形と相関して、信号幅を圧縮し、圧縮された画像処理信号を生成する単一の整合フィルタ150を使用して、受信ビームフォーマが動作してもよい。図3に示すように単一の整合フィルタ150を使用することは、受信ビームフォーマを実装するための簡単及び/又は安価な方法である。
【0046】
[0057]図5は、整合フィルタをそれぞれの画像処理信号に適用した後で、動的受信焦点合せが実施される例示的な受信ビームフォーマのブロック図を示している。受信ビームフォーマは、整合フィルタ150のセットを使用して動作し得る。ビームフォーマは、受信チャネルのセット(例えば、N個の受信チャネル、Nは、2から512の正の整数である)を含み得る。受信チャネルのセットからの各チャネルは、受信機130のセットからの受信機、整合フィルタ150のセットからの整合フィルタ、及び遅延ユニット132のセットからの遅延ユニットの3つの構成要素を含み得る。受信機130は、信号増幅、時間利得制御(TGC)、プログラマブル利得増幅(PGA)、アンチエイリアスローパスフィルタリング(AALPF)、アナログ-デジタル変換(ADC)などを含むいくつかの信号処理タスクを実施し得る。整合フィルタ150のセットからのそれぞれの整合フィルタは、圧縮された出力信号を生成するために、受信機130のセットからのそれぞれの受信機によって生成されたデジタル化信号を、NLFMチャープ波形と相関し得る。遅延ユニットは、圧縮されたエコー信号を合計する前に、圧縮されたエコー信号に適切な遅延を適用し得る。遅延値は、そのような動的受信焦点合せを実施するときに深度に通常依存する。加算器134は、圧縮された画像処理信号を生成するために、受信チャネルのセットの各チャネルから受信されたすべての信号を合計し得る。整合フィルタ150のセットを使用して受信ビームフォーマを実装することは、単一の整合フィルタを使用して受信ビームフォーマを実装することと比較して、複雑で高価であり得るが、全体的な画像処理性能(画像品質)は、整合フィルタのセットを使用することによって改善され得る。図4及び図5に示す受信ビームフォーマは本質的に例示的なものであり、他の実施形態では、システム(例えば、受信ビームフォーマ)は、1つ若しくは複数の受信機、1つ若しくは複数の遅延ユニット、及び/又は1つ若しくは複数の整合フィルタを、任意の適切な組合せで含み得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システムの受信チャネルの第1の部分からの信号は、図4に示すものと同様に配置されてもよく、システムの受信チャネルの第2の部分は、図5に示すものと同様に配置されてもよい。
【0047】
[0058]本明細書に記載の音響画像処理の方法及びデバイスは、窓化NLFMチャープ信号によって音響波を送信する励起トランスデューサに基づいて、改善された軸方向分解能を有する音響画像を生成し得る。更に、生成された画像は、音響画像処理の既知の方法及びデバイスによって生成された画像と比較して、RSLLが低減されているか、又は存在しない。例えば、図11A図11Hは、様々な例示的な励起信号(例示的な窓化NLFMチャープ信号を含む)を、及び比較のための励起信号に基づくそれぞれの検出包絡線を、示している。励起信号は、デルタインパルス(図11A)と、1サイクルバイポーラパルス(図11C)と、線形FMチャープ信号(図11E)と、ガウス窓を有するNLFMチャープ信号(図11G)と、を含む。より具体的には、図11A図11C図11E及び図11Gはそれぞれ、時間領域におけるデルタインパルスの波形、時間領域における1サイクルバイポーラパルスの波形、時間領域における線形FMチャープ信号の波形、及び時間領域におけるガウス窓を有するNLFMチャープ信号の波形を示している。図11B図11D図11F、及び図11Hはそれぞれ、デルタインパルスに基づく検出包絡線、1サイクルバイポーラパルスに基づく検出包絡線、線形FMチャープ信号に基づく検出包絡線、及びガウス窓を有するNLFMチャープ信号に基づく検出包絡線を示している。図11B図11D図11F、及び図11Hの検出包絡線は、超音波画像処理システム(例えば、図1に関して示し、説明した音響画像処理システム100)の送信及び受信信号チェーン全体を通過する。
【0048】
[0059]図11B図11D図11F、及び図11Hの検出包絡線は、図11A図11C図11E、及び図11Gの励起信号に基づいて生成された画像の軸方向分解能、信号対雑音比(SNR)、及び/又はコントラスト分解能を直接決定し得る。図11A図11Hに示すように、ガウス窓を有するNLFMチャープ信号は、すべてのdBレベルで最も狭い包絡線を生成する。したがって、図11Gのガウス窓を有するNLFMチャープ信号を使用する励起信号に基づいた画像処理は、図11A図11C、又は図11Eの励起信号に基づいて生成された画像と比較して、最高品質の画像を生成する。一方、単一サイクル信号を使用する励振信号に基づいて生成された画像は、包絡線幅の観点で比較的悪い。デルタ信号を使用する励起信号に基づいて生成された画像は、単一サイクル信号を使用する励起信号に基づいて生成された画像よりもわずかに良好であるが、チャープ信号と比較して理論的な分解能限界を示す。励起信号としてデルタ信号自体を使用することは、そのSNR性能が低いために実用的ではない。
【0049】
[0060]優れた軸方向分解能を生成するにもかかわらず、線形FMチャープ信号は、図11Fに示すように、約-23dBから-25dBレベルなどの上昇したレンジサイドローブレベル(RSLL)を有し得る。このような高いRSLLは、線形FMチャープ信号励起技術の性能を最終的に制限し、市販の超音波画像処理システムにとってあまり興味深いものにならない可能性がある。したがって、図11A図11Hに関して示し、説明した比較結果に基づいて、ガウス窓を有する窓化NLFMチャープ信号に基づいて音響画像(例えば、医療用超音波画像)を生成することにより、医療用超音波画像処理システムに高いRSLLを導入することなく、音響画像の軸方向分解能を大幅に改善し得る。
【0050】
[0061]本明細書に記載の方法及びシステムは、超音波画像処理の文脈で主に説明しているが、いくつかの変形例では、本明細書に記載の方法及びシステムは、超音波画像処理以外の用途で使用し得る。例えば、いくつかの例では、本明細書に記載の方法及びシステムは、計測、信号処理、粒子物理学、リモートセンシング、航空宇宙用途などで使用してもよい。
【0051】
[0062]例えば、本明細書に記載の方法及びシステムは、NLMMチャープ信号を使用して距離測定などの音響測定を実施するために使用されてもよい。図12は、NLFMチャープ信号を使用して距離測定を実施するための例示的な音響システム1200の例示的な概略図を示している。音響システム1200は、トランスデューサ1210と、センサ1212と、送信機1220と、受信機1230と、波形発生器1240と、整合フィルタ1250と、制御器1260と、を含み得る。いくつかの実装形態では、音響システム1200は、トランスデューサ1210とセンサ1212との間の距離を測定するように構成されてもよい。
【0052】
[0063]いくつかの変形例では、トランスデューサ1210及び/又はセンサ1212はそれぞれ、トランスデューサ及び/又はセンサのそれぞれのアレイに配置されてもよい。トランスデューサ1210及びセンサ1212は、同じ物理装置内にある必要はないが、代わりに、いくつかの変形例では、離れて配置され、信号を直接又は間接的に同じ制御器1260(又は互いに通信する複数の制御器)に通信するように構成された別個の物理装置内に配置されてもよい。例えば、トランスデューサ1210は、第1のプローブに配置されてもよく、センサ1212は、第2のプローブに配置されてもよく、プローブの一方又は両方は、距離が測定される所望の位置として操作及び/又は配置されてもよい。別の例として、トランスデューサ1210及び/又はセンサ1212は、医療処置中などに、その位置が位置決め及び/又は追跡されることが望ましい針(又は内視鏡、カテーテルなど)などの物品内に配置されてもよく、これにより、トランスデューサ1210及び/又はセンサ1212の相対位置が、物品を位置決め及び/又は追跡するように(リアルタイム又はほぼリアルタイムで、又は定期的になどで)測定されてもよい。
【0053】
[0064]図2に関して上述したものと同様のプロセスにおいて、波形発生器1240は、デジタル波形を生成し、送信機1220及び/又は整合フィルタ1250に送信し得る。1240によって生成される波形は、NLFMチャープ信号であってもよく、これは、NLFMチャープ信号に窓関数を適用することによってアポダイゼーションされてもよい。送信機1220は、受信したデジタル波形を、トランスデューサ1210を励起する電気信号(例えば、高電圧電気信号)に変換し得る。
【0054】
[0065]図1に関して上述したトランスデューサ110と同様に、トランスデューサ1210は、圧電トランスデューサ、単結晶材料トランスデューサ、PMUT、CMUT、及び/又は受信した電気信号を、媒体内を伝播する音響信号に変換するように構成された他の適切なトランスデューサを含み得る。センサ1212(例えば、WGM共振器又は他の共振器などの光学センサ、干渉計、又は圧電センサ)は、トランスデューサ1210によって発せられた音響信号を検出し、次いで、これらの測定信号を電気領域に変換して戻し得る。
【0055】
[0066]上述と同様のプロセスにおいて、受信機1230は、検出された電気信号を処理し、それらをアナログ信号からデジタル信号に変換し得る。整合フィルタ1250は、波形発生器1240から受信した波形を使用して、測定信号が受信機1230によってデジタル化された後で、測定信号を圧縮するフィルタの係数のセットを生成し得る。制御器1260は、システム制御管理、信号処理、ユーザインターフェースなどを含む様々なタスクを実施するように構成され得る。システムの最終出力は、トランスデューサ1210とセンサ1212との間の推定距離である。
【0056】
[0067]前述の説明は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それらが、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではなく、明らかに、上記の教示を考慮すると、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を説明するために選択され、説明され、それにより、他の当業者が本発明及び企図される特定の用途に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を利用することを可能にする。以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物が本発明の範囲を定義することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A-9D】
図10
図11A-11H】
図12
【国際調査報告】