(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】家族性高カイロミクロン血症症候群を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4468 20060101AFI20240216BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240216BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240216BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240216BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20240216BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240216BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240216BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K31/4468
A61P3/00
A61K45/00
A61P3/06
A61K31/397
A61K31/455
A61P43/00 121
A61P1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553354
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 US2022018672
(87)【国際公開番号】W WO2022187463
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513079971
【氏名又は名称】アムリット・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スメレイ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZC21
4C084ZC33
4C084ZC51
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC03
4C086BC21
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC51
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書中で提供されるのは、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を含む組成物を用いて家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法であって、
a)前記患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)前記第一の投薬期間後の前記患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、前記患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、前記患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)前記患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、前記第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、前記患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)前記第二の投薬期間後の前記患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、前記患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、前記患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)前記患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、前記第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、前記患者に、第三の投薬期間にわたり、約15mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される、を含む、方法。
【請求項2】
前記患者が、FCSを起こす遺伝子における一つ又は複数の機能喪失変異について、確認されたホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が膵炎の病歴を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記患者のヘパリン後血漿リポタンパク質リパーゼ(LpL)活性が、正常の≦20%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、確認されたLpL不活化抗体の存在を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者のFCSが、血漿LDLアフェレーシスに対して難治性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロミタピドが、低脂肪食及び他の脂質低下治療(例えば、スタチン、エゼチミブ、ニコチン酸、胆汁酸隔離剤、フィブラート又はLDLアフェレーシスなど)に対する補助剤として投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記低脂肪食が、患者の総カロリーの10%未満が脂肪からである食事を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質遺伝子(MTP)変異体を発現しない患者と比較して、ロミタピド治療に対する前記患者の応答を改善する前記MTP変異体を発現する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の投薬期間が少なくとも二週間である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第二の投薬期間が少なくとも四週間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第三の投薬期間が少なくとも4週間である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、前記第一の投薬期間、前記第二の投薬期間、又は前記第三の投薬期間の後に正常上限(ULN)の≧5倍である場合、前記患者がロミタピド治療から離脱する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者の用量を、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の用量が10mgから5mgに低下される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の用量が20mgから10mgに低下される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の用量が20mgから5mgに低下される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記患者のALT/ASTレベルがULNの3~5倍である場合、前記患者のALT/ASTレベルが、前記の上昇したALT/ASTテスト結果の一週間以内にULNの3~5倍であることを確認する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記の上昇したALT/ASTテスト結果が確認された場合、前記患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記患者のALT/ASTレベル、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを毎週テストすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の総ビリルビン及びINRが増加する、ALT/ASTレベルがULNの>5倍まで増加する、又は前記患者のALT/ASTレベルが約4週間以内にULNの<3倍を下回らない場合、前記患者をロミタピド治療から離脱させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記患者の用量を、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の用量が10mgから5mgに低下される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者の用量が20mgから10mgに低下される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記患者の用量が20mgから5mgに低下される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記患者の一日ロミタピド用量を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することをさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者の一日ロミタピド用量が、2~4週毎に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する前記一日用量が、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、及び60mgからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する前記一日用量が、少なくとも8週間にわたり投与される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者の肝脂肪肝における変化が、前記治療期間の間に測定される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ロミタピド投与が、前記治療期間の間に肝脂肪肝における臨床的に有意な増加を提供しない、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ロミタピド投与が、前記治療前と比較して、膵炎のエピソードを実質的に減少させる、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法であって、
a)前記患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)前記第一の投薬期間後の前記患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、前記患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、前記患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)前記患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、前記第一の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、前記患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)前記第二の投薬期間後の前記患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、前記患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、前記患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)前記患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、前記第二の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、前記患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される、を含む、方法。
【請求項35】
前記患者の年齢が5~10歳である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第一の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が2mgであり、前記第二の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が5mgであり、前記第三の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が10mgである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の投薬期間が約8週間であり、前記第二の投薬期間が約4週間であり、前記第三の投薬期間が約4週間である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記患者の年齢が11~15歳である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記第一の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が2mgであり、前記第二の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が5mgであり、前記第三の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が10mgである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第一の投薬期間が約4週間であり、前記第二の投薬期間が約4週間であり、前記第三の投薬期間が約4週間である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記患者の年齢が16~17歳である、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記第一の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が5mgであり、前記第二の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が10mgであり、前記第三の投薬期間におけるロミタピドの前記一日用量が20mgである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第一の投薬期間が約4週間であり、前記第二の投薬期間が約4週間であり、前記第三の投薬期間が約4である、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年3月24日に出願された米国出願番号第63/165,457号、及び2021年3月3日に出願された米国出願番号第63/155,960号に対する優先権の利益を主張するものであり、それら各々の内容が、全ての目的のために、参照によりそれらの全体において本明細書により組み入れられる。
【0002】
家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)は、極度に高レベルの血漿トリグリセリドにより特徴付けられる稀な遺伝的状態であり、世界中での1,000,000人中の約1人において生じると推定される。
【0003】
FCSにおける極度のトリグリセリド上昇は、定期的な腹部痛に導き、それは小児期にしばしば見られる。疾患が人生において後に進行するにつれて、それは、急性膵炎、関連する腹部痛、黄色腫(単純性、発疹性、及び結節性)、網膜脂血症、及び腎不全の複数回の再発エピソードを招き得る。時折、汎血球減少症(骨髄中での脂質を担持するマクロファージの存在に起因する)ならびに神経学的症状、例えばうつ病及び認知障害なども報告されている。FCS患者における罹患の主な原因は、再発性膵炎であり、膵機能不全及び、究極的には、膵不全に導く。
【0004】
FCSを伴う患者は、現在利用可能な脂質低下薬剤(例、フィブラート及びオメガ3脂肪酸)に応答せず、そのため、極度に低脂肪の食事を伴う食事管理及び中鎖トリグリセリド(MCT)を伴う補給が、治療の基礎のままである。しかし、TGレベルは、大半のFCS患者において、厳しい食事制限にもかかわらず有意に上昇したままであり、FCS患者は急性膵炎に曝露されている。
【0005】
このように、FCSを伴う患者のための安全で効果的な治療についての満たされないニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国出願番号第63/165,457号
【特許文献2】米国出願番号第63/155,960号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、とりわけ、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は、以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0008】
本開示は、とりわけ、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は、以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦約750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>約750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦約750mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>約750mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0009】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする患者は、FCSを起こす遺伝子における一つ又は複数の機能喪失変異について、確認されたホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体である。
【0010】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする患者は、膵炎の病歴を有する。
【0011】
一部の実施形態では、患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間後の正常上限(ULN)の≧5倍である場合、患者はロミタピド治療から離脱される。一部の実施形態では、患者は、ALT/ASTレベルがULNの<3倍になるまで治療から離脱する。一部の実施形態では、方法は、患者の用量を、ULNの<3倍の患者のALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む。
【0012】
一部の実施形態では、患者のALT/ASTレベルがULNの3~5倍である場合、方法は、患者のALT/ASTレベルが、上昇したALT/ASTテスト結果の一週間以内にULNの3~5倍であることを確認することを含む。一部の実施形態では、方法は、患者の用量を、ULNの<3倍の患者のALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む。
【0013】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の一日のロミタピド用量を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することを含む。
【0014】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0016】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、20mg、30mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0017】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、20mg、40mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0018】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、及び20mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0019】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、15mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、20mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、30mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、40mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、50mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。
【0020】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0021】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0022】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、15mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、20mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、30mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、40mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、50mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。
【0023】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0024】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、及び60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0025】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、15mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、20mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、30mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、40mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、50mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩である。
【0026】
本明細書中で提供される方法の一部の実施形態では、ロミタピド投与によって、治療期間中の肝脂肪肝における臨床的に有意な増加は提供されない。
【0027】
本明細書中で提供される方法の一部の実施形態では、ロミタピド投与によって、前述の治療前と比較して、膵炎のエピソードが実質的に減少する。
【0028】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、方法は以下を含む:
a)患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0029】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、方法は以下を含む:
a)患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦750mg/dLである場合、患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に>750mg/dLである場合、患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦750mg/dLである場合、患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に>750mg/dLである場合、患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0030】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする小児患者は、第一の投薬期間中に2mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、第二の投薬期間中に5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、及び第三の投薬期間中に10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量が投与される。
【0031】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする小児患者は、第一の投薬期間中に5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、第二の投薬期間中に10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、及び第三の投薬期間中に20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量が投与される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施例1において記載された試験から26週間にわたってロミタピドで治療されたFCS患者(n=18)の平均トリグリセリド(TG)値(mg/dL)を示す。
【
図2】
図2は、実施例1において記載された試験から26週間にわたってロミタピドで治療されたFCS患者(n=18)の平均総コレステロール(TC)値(mg/dL)を示す。用語TC又はCTは互換的に使用される。
【
図3】
図3は、実施例1において記載された試験から26週間にわたってロミタピドで治療されたFCS患者(n=18)の平均HDL-C値(mg/dL)を示す。
【
図4】
図4は、実施例1において記載される26週間の試験の経過にわたってFCS患者(n=18)に投与された平均ロミタピド用量(mg)を示す。
【
図5】
図5は、実施例1において記載される26週間の試験の経過にわたってロミタピドで治療されたFCS患者(n=18)における平均肝臓ALT値(ul/L)を示す。
【
図6】
図6は、実施例1において記載される26週間の試験の経過にわたってロミタピドで治療されたFCS患者(n=18)における平均肝臓AST値(ul/L)を示す。
【
図7】
図7は、実施例1において記載される26週間の試験の経過にわたってロミタピドを受けたFCS患者におけるトリグリセリド値の中央値を示す。
【
図8】
図8は、実施例1において記載される試験において、ベースラインから26週目まで、ロミタピドを受けたFCS患者におけるトリグリセリド値(%)における変化を示す。
【
図9】
図9は、実施例1において記載される26週間の試験の経過にわたってロミタピドを受けたFCS患者における肝トランスアミナーゼ値の中央値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
利便性のために、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲において用いられる特定の用語をここに収集する。他に定義されない限り、本開示において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0034】
本開示全体を通して、様々な特許、特許出願、及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願、及び刊行物の開示は、本開示の日付で当業者に公知である当技術分野の状態をより完全に記載するために、参照によりそれらの全体において本開示中に組み入れられる。本開示は、引用された特許、特許出願、及び刊行物と本開示の間に任意の不一致がある場合において適用される。
【0035】
数値の直ぐ前にある場合の用語「約」は、当技術分野において許容可能な変動の程度のプラス又はマイナスの範囲を意味する。一部の実施形態では、用語「約」は、その値の10%を包含し、例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味する、など。ただし、本開示の文脈が他を示す、又はそのような解釈と不一致である場合を除く。例えば、数値のリスト、例えば「約49、約50、約55...」などにおいて、「約50」は、先行する値及び後続する値の間の間隔の半分未満、例えば、49.5超から52.5未満に延びる範囲を意味する。さらに、値について語句「より少ない」又は値について「より多い」は、本明細書中で提供される用語「約」の定義に照らして理解されるべきである。
【0036】
本開示全体を通して、数値範囲が特定の量について提供される。これらの範囲は、その中の全ての部分範囲を含む。このように、範囲「50~80」は、その中に全ての可能な範囲(例、51~79、52~78、53~77、54~76、55~75、60~70など)を含む。さらに、所与の範囲内の全ての値は、それにより包含される範囲についての終点であってもよい(例、範囲50~80は、終点を伴う範囲、例えば55~80、50~75などを含む)。
【0037】
本明細書中で使用される用語「投与する」、「投与している」、又は「投与」は、化合物、又はその塩、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグ、又は化合物を含む組成物、又はその塩、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグのいずれかを直接的に患者に投与することを指す。
【0038】
本明細書中で使用される用語「担体」は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、材料、組成物、又は賦形剤、例えば、一つの器官、又は身体の一部から、別の器官又は身体の一部へ医薬的薬剤を運ぶ又は輸送する際に含まれる、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料などを意味する。
【0039】
患者に関して本明細書中で使用される用語「治療」は、患者の障害の少なくとも一つの症状を改善することを指す。治療は、障害を改善する、又は少なくとも部分的に寛解させることができる。
【0040】
用語「有効量」及び「治療有効量」は、本開示において互換的に使用され、患者に投与された場合に、意図される結果を実施することが可能である化合物、又はその塩、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグの量を指す。例えば、有効量のロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩は、治療前と比較して、患者におけるFCSの少なくとも一つの症状を低下させるために要求される量、例えば、FCSを伴う患者において膵炎の頻度を低下させるために要求される量である。「有効量」又は「治療有効量」を含む実際の量は、限定されないが、障害の重症度、患者のサイズ及び健康、ならびに投与の経路を含む、多数の状態に依存して変動し得る。当業者は、医療技術分野において公知の方法を使用して適した量を容易に決定することができる。
【0041】
本明細書中で使用される用語「治療効果」は、方法及び/又は組成物により提供される望ましい又は有益な効果を指す。例えば、FCSを治療する方法は、この方法によって、FCSの少なくとも一つの症状が低下する場合、例えば、治療前と比較して、FCSを伴う患者における膵炎の頻度が低下する場合、治療効果を提供する。
【0042】
本明細書中で使用される語句「小児患者」は、18歳未満の患者を指す。
【0043】
本明細書中で使用される語句「医薬的に許容可能な」は、合理的な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題もしくは合併症を伴わない、ヒト及び動物の組織との接触における使用のために適切な、健全な医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物、及び/又は投与形態を指す。
【0044】
本明細書中で使用される用語「塩」は、遊離酸のアルカリ金属塩を形成し、遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される医薬的に許容可能な塩を包含する。塩の性質は、それは医薬的に許容可能であるという条件で重大ではない。用語「塩」はまた、付加塩、例えば水和物などの溶媒和化合物、ならびに付加塩の多型を含む。適切な医薬的に許容可能な酸付加塩は、無機酸から又は有機酸から調製することができる。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適した有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、ならびにカルボン酸及びスルホン酸を含むヘテロシクリル、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、3-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸から選択され得る。
【0045】
家族性高カイロミクロン血症症候群
家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)は、稀な劣性遺伝障害であり、単一遺伝子劣性遺伝形質として遺伝する。FCSの主な生化学的特徴は、トリグリセリド(TG)値>10mmol/Lを伴う血漿中のカイロミクロン(CM)の蓄積である。
【0046】
FCSにおける極度のトリグリセリド上昇は、定期的な腹部痛に導き、それは小児期にしばしば見られる。疾患が後の人生において進行するにつれ、それによって、急性膵炎、関連する腹部痛、黄色腫症(単純性、噴出性、及び結節性)、網膜脂肪症、及び腎不全の複数回の再発エピソードがもたらされ得る。急性膵炎は、FCSの最も頻度が高く、損傷を与える合併症であり、FCS患者の部分集団において慢性的吸収不良及び糖尿病をもたらす。膵炎のエピソードはまた、生命を脅かし得るが、集中治療処置についての必要性をもたらす。高トリグリセリド血症誘発性急性膵炎についての死亡率は、5~30%の範囲であると報告されている。1000mg/dLを超える血漿トリグリセリド値は、膵炎の増加リスクについての重要な閾値であり、一般的に、カイロミクロン粒子内に運ばれるトリグリセリドの存在量を反映する。時折、汎血球減少症(骨髄中での脂質を担持するマクロファージの存在に起因する)ならびに神経学的症状、例えばうつ病及び認知障害なども報告されている。FCSの他の症状は、悪心、下痢、腹部膨満、身体衰弱、便秘、消化不良、疲労、及び肝脾腫を含み得る。
【0047】
FCSの遺伝的原因は、トリグリセリドに富むリポタンパク質(VLDL及びカイロミクロン)の末梢加水分解において含まれる公知の遺伝子:リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アポリポタンパク質(APO)C2、APOA5、グリコシルホスファチジルニシトールアンカー型高密度リポタンパク質結合タンパク質1(GPI-HBP1)、又はリパーゼ成熟因子1(LMF1)における機能喪失変異についてのホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体を含む。LPL欠損症(LPLD)は、LPLの原発性欠損に起因し、LPLDは、最も頻度が高く、試験された、世界中でFCSに関与する脂肪分解欠損である。LPL変異を伴う患者五十名超がイタリアにおいて報告されており、症例の48%が少なくとも急性膵炎のエピソードを患っていた。
【0048】
ロミタピド
ロミタピドは、小胞体の内腔において見出され、膜間の個々の脂質分子の結合及び往復に関与する細胞内脂質輸送タンパク質であるミクロソーム輸送タンパク質 (MTP) の第一のクラスの経口選択的阻害剤である。MTPは、肝臓及び腸におけるリポタンパク質を含むアポBの組立において重要な役割を果たしている。MTPの阻害によって、リポタンパク質分泌ならびにコレステロール及びトリグリセリドを含むリポタンパク質担持脂質の循環濃度が低下する。
【0049】
ロミタピドの化学名は、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9-[4-[4-[[[4’(トリフルオロメチル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル〕カルボニル〕アミノ]-1-ピペリジン〕ブチル]-9H-フルロレン-9カルボキサミドである。その構造式は以下である:
【化1】
【0050】
ロミタピド及び他のMTP媒介性中性脂質輸送活性の阻害剤は、例えば、米国特許第5,789,197号、第5,883,109号、第6,066,653号、及び第6,492,365号において記載されており、それらの各々が、参照によりその全体において本明細書中に組み入れられる。MTP阻害剤は、第6,066,653号を通じて、特に3~28欄において記載されている。ロミタピド及びその使用のための方法が、例えば、米国特許第7,932,268号;第8,618,135号;第9,265,758号;第9,364,470号;第9,433,617号;第9,861,622号、第10,016,404号、第10,555,938号において記載されており、それらの各々が、参照によりその全体において本明細書中に組み入れられる。また、米国特許第10,213,419号を参照のこと、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
【0051】
欧州委員会(EC)は、2013年7月に、商品名Lojuxta(登録商標)の下でロミタピドについての認可を付与した。ロミタピドは、解剖治療化学(ATC)分類システム(ATCコードC10AX12)に従った「脂質修飾剤」である。それは、HoFHを伴う成人患者において、LAを伴う又は伴わない低脂肪食及び他の脂質低下医薬品に対する補助として示される。HoFHの遺伝的確認は、可能な限り得るべきである。他の形態の原発性高リポタンパク質血症及び高コレステロール血症の二次的原因(例、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症)は、除外されなければならない。
【0052】
米国食品医薬品局(FDA)は、2012年12月に商品名「Juxtapid」の下でロミタピドについて認可を承諾した。Juxtapid(登録商標)は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)を伴う患者において、低脂肪食及び他の脂質低下治療に対する補助として示され、利用可能な場合、低比重リポタンパク質コレステロール(LDL)、総コレステロール(TC)、アポリポタンパク質B(アポB)、及び非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL-C)を低下させるためのLDLアフェレーシスを含む。
【0053】
しかし、Lojuxta及びJuxtapidは、小児患者では(即ち、18歳未満の患者では)承認されていない。なぜなら、この感受性集団におけるロミタピドの安全性及び有効性は確立されていないためである。
【0054】
組成物、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を製剤化する際に、本明細書中に記載される量で、特定の種類の単位投薬形態において、生理学的に許容可能な溶媒、担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、風味などを用いて、許容される医薬慣行に従って化合物化される。そのような投与形態は、一日当たり1~4用量のレジメンで患者に投与することができる。
【0055】
一態様では、本開示は、本明細書中に記載されるロミタピド組成物を含む錠剤を提供する。錠剤は、圧縮又は成形により作製されてもよく、場合により、一つ又は複数の副成分を伴う。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン、微結晶セルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた対象組成物の混合物を、適切な機械において成形することにより作製され得る。錠剤、ならびに他の固体投与形態、例えば糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒などは、場合により、例えば、コーティング及びシェル、例えば腸溶性コーティング及び医薬製剤技術分野において周知の他のコーティングなどを用いて、割線を入れてもよい又は調製されてもよい。開示された賦形剤は、1を上回る機能を果たし得る。例えば、充填剤又は結合剤はまた、崩壊剤、滑剤、付着防止剤、潤滑剤、甘味剤及び同様のものであり得る。
【0056】
液体製剤はまた、医薬的投与のために許容可能な従来の液体媒体中の活性物質の一つ又は組み合わせを溶解又は懸濁して、小さじ1~4杯の望ましい投与量を提供することにより調製することができる。
【0057】
様々なサイズの錠剤、カプセル、及びカプレットを含む投与単位は、例えば、上に記載される範囲中の活性物質の一方又は両方を含む、合計重量約2~10000mgで調製されることができ、残りは、許容される医薬慣行に従って他の材料の生理学的に許容可能な担体である。これらの錠剤は、もちろん、分割用量を提供するためにスコア化することができる。ゼラチンカプセルは同様に製剤化することができる。例えば、一部の実施形態では、割線入り錠剤は、投与単位を提供し得る。医師又は他の医療専門家の指示の下で、対象は、投与単位の一つの部分を摂取するよう指示され得るが、それにおいて、一つの部分は、所与の間隔について所望の投薬レベルを提供する。以下の間隔で、患者は、投与単位の二つ以上の部分を摂取するように指示され得るが、それにおいて、二つ以上の部分が、その間隔について所望の投与レベルを提供し得る。
【0058】
ロミタピドの製剤は、例えば、Juxtapidカプセルとして商業的に入手可能である。各Juxtapidカプセルは、5、10、20、又は30mgのロミタピド遊離塩基と同等のロミタピドメシル酸塩、ならびに以下の不活性成分を含む:プレゼラチン化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウム。全ての強度のカプセルシェルが、ゼラチン及び二酸化チタンを含み;5mg、10mg、及び30mgカプセルはまた、赤色酸化鉄を含み;30mgカプセルはまた、黄色酸化鉄を含む。印刷用インクは、セラック、黒色酸化鉄、及びプロピレングリコールを含む。しかし、本開示の範囲は、現在商業的に利用可能なJuxtapidの投与強度に限定されず、5、10、20、30、40、又は60mgのロミタピド遊離塩基と同等のロミタピドメシル酸塩(又はロミタピドの他の医薬的に許容可能な塩)を含むカプセルを含む。
【0059】
本開示の方法
一態様では、本開示は、有効量のロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩(例、ロミタピドメシル酸塩)を投与することにより、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、FCSを伴う患者の治療、FCSの治療、FCSの症状の治療、FCSを伴う患者の遺伝的高トリグリセリド血症の制御、又は治療前と比較して、FCSを伴う患者における膵炎のエピソードの実質的な減少のために使用される。本明細書中に開示されるFCSを治療する方法の一部の実施形態では、有効量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与することによって、FCSを伴う患者において高トリグリセリド血症に関連付けられる症状が制御される。実施形態では、有効量のロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩を本開示の方法のいずれかに従って投与することによって、治療前と比較して、FCSを伴う患者における膵炎のエピソードが実質的に減少する。
【0060】
本明細書中に提供される方法の一部の実施形態では、患者はヒトであることが理解されるであろう。一部の実施形態では、患者は成人患者である。一部の実施形態では、患者は小児患者である。一部の実施形態では、患者は膵炎(例、急性膵炎)の病歴を有する。一部の実施形態では、患者のヘパリン後血漿リポタンパク質リパーゼ(LpL)活性は、正常の≦20%である。一部の実施形態では、患者は、LpL不活化抗体の存在を確認した。
【0061】
一部の実施形態では、患者は、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を用いた治療の前に、空腹時トリグリセリドレベル>1000mg/dLを有する。一部の実施形態では、患者は、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を用いた治療の前に、≧ 750mg/dLの空腹時トリグリセリドレベルを有する。
【0062】
一部の実施形態では、患者のFCSは、以前の治療レジメンに対して不応性である。一部の実施形態では、患者のFCSは、血漿LDLアフェレーシスに対して不応性である。一部の実施形態では、FCS患者は、遺伝的高トリグリセリド血症及び再発性急性膵炎を有し、以前の治療レジメンに対して不応性である。
【0063】
一部の実施形態では、患者は、FCSを起こす遺伝子における一つ又は複数の機能喪失変異について、確認されたホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体である。一部の実施形態では、患者は、トリグリセリドに富むリポタンパク質(VLDL及びカイロミクロン)の末梢加水分解において含まれる遺伝子において機能喪失変異を有する。実施形態では、患者は、遺伝子コード化(LPL)、アポリポタンパク質(APO)C2、APOA5、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー付き高密度リポタンパク質結合タンパク質1(GPI-HBP1)、又はリパーゼ成熟因子1(LMF1)から独立して選択される一つ又は複数の遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アポリポタンパク質(APO)C2、APOA5、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー付き高密度リポタンパク質結合タンパク質1(GPI-HBP1)、又はリパーゼ成熟因子1(LMF1)をコードする遺伝子において変異を有する。
【0064】
一部の実施形態では、患者は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、アポリポタンパク質(APO)C2をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、APOA5をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー付き高密度リポタンパク質結合タンパク質1(GPI-HBP1)をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、リパーゼ成熟因子1(LMF1)をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者はリポタンパク質リパーゼ欠損症(LPLD)を有する。一部の実施形態では、患者は、リポタンパク質リパーゼをコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、LPLをコードする遺伝子において変異を、APOA5をコードする遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、患者は、LPLをコードする遺伝子において変異を、GPIHBPIをコードする遺伝子において変異を有する。
【0065】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、患者は、以下から選択される一つ又は複数の変異を有する:c.250-1 G>C(IVS2);c.829 G>A(p.Asp277Asn);c.1174 C>G,(p.Leu392Val)/c.457G>A(p.Val153Met);c.984G>T (p.Met328Ile)/c.41G>T(p.Cys14Phe);c.1019-2A>T(IVS6);c.832_833delTC(p.Asp277Asp fsX4);c.987C>A(p.Tyr329Ter);c.651delT(p.Pro217Pro Fs34X);c.326T>C(p.Ile109Thr);c.644G>A(p.Gly215Glu);c.1019-2A>T(IVS6);c.621C>G(p.Asp207Glu);c.542G>A(p.Gly181Asp);c.755C>T(p.Ile252Thr)c.(?_-1)_(*1_?)del;c.621C>G(p.Asp207Glu);c.1174C>G(p.Leu392Val);c.177 C>A p.Tyr59Ter;又はc.274C>T(p.Gln92Ter)。
【0066】
一部の実施形態では、患者は、変異c.250-1 G>C(IVS2)を有する。
【0067】
一部の実施形態では、患者は、変異c.829 G>A(p.Asp277Asn)を有する。
【0068】
一部の実施形態では、患者は、変異c.1174 C>G、(p.Leu392Val)/c.457G>A(p.Val153Met)を有する。
【0069】
一部の実施形態では、患者は、変異c.984G>T(p.Met328Ile)/c.41G>T(p.Cys14Phe)を有する。
【0070】
一部の実施形態では、患者は、変異c.1019-2A>T(IVS6)を有する。
【0071】
一部の実施形態では、患者は、変異c.832_833delTC(p.Asp277Asp fsX4)を有する。
【0072】
一部の実施形態では、患者は、変異c.987C>A(p.Tyr329Ter)を有する。
【0073】
一部の実施形態では、患者は、変異c.651delT(p.Pro217Pro Fs34X)を有する。
【0074】
一部の実施形態では、患者は、変異c.326T>C(p.Ile109Thr)を有する。
【0075】
一部の実施形態では、患者は、変異c.644G>A(p.Gly215Glu)を有する。
【0076】
一部の実施形態では、患者は、変異c.1019-2A>T(IVS6)を有する。
【0077】
一部の実施形態では、患者は、変異c.621C>G(p.Asp207Glu)を有する。
【0078】
一部の実施形態では、患者は、変異c.542G>A(p.Gly181Asp)を有する。
【0079】
一部の実施形態では、患者は、変異c.755C>T(p.Ile252Thr) c.(?_-1)_(*1_?)del;c.621C>G(p.Asp207Glu)を有する。
【0080】
一部の実施形態では、患者は、変異c.1174C>G(p.Leu392Val)を有する。
【0081】
一部の実施形態では、患者は、変異c.177 C>A p.Tyr59Terを有する。
【0082】
一部の実施形態では、患者は、変異又はc.274C>T(p.Gln92Terを有する。
【0083】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、患者は、c.250-1 G>C (IVS2);c.829 G>A(p.Asp277Asn);c.1174 C>G,(p.Leu392Val);c.984G>T(p.Met328Ile);c.1019-2A>T(IVS6);c.832_833delTC(p.Asp277Asp fsX4);c.987C>A(p.Tyr329Ter);c.651delT(p.Pro217Pro Fs34X);c.326T>C(p.Ile109Thr);c.644G>A(p.Gly215Glu);c.1019-2A>T(IVS6);c.621C>G(p.Asp207Glu);c.542G>A(p.Gly181Asp);c.755C>T(p.Ile252Thr)c.(?_-1)_(*1_?)del;c.621C>G(p.Asp207Glu);又はc.1174C>G(p.Leu392Val)から選択される、LPL遺伝子における一つ又は複数の変異を有する。
【0084】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、患者は、c.177 C>A p.Tyr59Ter;又はc.274C>T(p.Gln92Ter)から選択される、APOC2遺伝子における一つ又は複数の変異を有する。
【0085】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、患者は、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質遺伝子(MTP)変異体を発現しない患者と比較して、ロミタピド治療への患者の応答を改善させる、MTP変異体を発現する。
【0086】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、ロミタピドは、低脂肪食及び他の脂質低下治療(例えば、スタチン、エゼチミブ、ニコチン酸、胆汁酸隔離剤、フィブラート(例、フェノフィブラート)もしくはLDLアフェレーシス、又はそれらの組み合わせ)の補助剤として投与される。一部の実施形態では、ロミタピドは、低脂肪食及びオメガ3脂肪酸への補助剤として投与される。一部の実施形態では、低脂肪食は、患者の総カロリーの約30%未満が脂肪からであり、患者の総カロリーの約20%未満が脂肪からであり、患者の総カロリーの約15%未満が脂肪からであり、又は患者の総カロリーの約10%未満が脂肪からである食事を含む。一部の実施形態では、低脂肪食は、患者の総カロリーの約20%未満が脂肪からである食事を含む。一部の実施形態では、低脂肪食は、患者の総カロリーの約10%未満が脂肪からである食事を含む。
【0087】
一部の実施形態では、ロミタピドでの治療中に脂質低下治療を受けている患者は、一日当たり約400国際単位のビタミンE、210mgのアルファ-リノレン酸(ALA)、200mgのリノール酸、110mgのエイコサペンタエン酸(EPA)、及び80mgのドコサヘキサエン酸(DHA)を提供した栄養補助食品が投与される。
【0088】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。例えば、本開示の一部の実施形態に従って、FCSを治療する方法は、指定された期間後にベースラインと比較した場合、又はプラセボもしくは治療の欠如と比較した場合、患者の空腹時トリグリセリドレベルにおける約5~95%低下を提供し、指定された期間後にベースラインと比較した場合、又はプラセボもしくは治療の欠如と比較した場合、患者の空腹時トリグリセリドレベルにおける約5%低下、約10%低下、約15%低下、約20%低下、約25%低下、約30%低下、約35%低下、約40%低下、約45%低下、約50%低下、約55%低下、約60%低下、約65%低下、約70%低下、約75%低下、約80%低下、約85%低下、約90%低下、約95%低下又はそれ以上(それらの間の任意の部分範囲又は値を含む)を含む。一部の実施形態では、ロミタピドの投与は、指定された期間後のベースラインと比較した場合、又はプラセボもしくは治療の欠如と比較した場合、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の空腹時トリグリセリドレベルにおける低下を提供する。一部の実施形態では、指定された期間は、約もしくは少なくとも約2週間、約もしくは少なくとも約4週間、約もしくは少なくとも約6週間、約もしくは少なくとも約10週間、約もしくは少なくとも約14週間、約もしくは少なくとも約18週間、約もしくは少なくとも約22週間、約もしくは少なくとも約26週間、約もしくは少なくとも約28週間、又は約もしくは少なくとも約30週間である。一部の実施形態では、指定された期間は、約もしくは少なくとも約26週間である。
【0089】
一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、20%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、30%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、40%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、50%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、60%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、70%を上回る又はそれと等しい、空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。一部の実施形態では、ロミタピドを投与することによって、治療前のベースラインと比較して、80%を上回る又はそれと等しい、あるいはそれ以上の空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。
【0090】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法は、患者において約10mg/dL~約1000mg/dLの範囲における空腹時トリグリセリドレベルを提供し、約10mg/dL、約20mg/dL、約30mg/dL、約40mg/dL、約50mg/dL、約60mg/dL、約70mg/dL、約80mg/dL、約90mg/dL、約100mg/dL、約150mg/dL、mg/dL、約200mg/dL、約250mg/dL、約300mg/dL、約350mg/dL、約400mg/dL、約450mg/dL、約500mg/dL、約550mg/dL、約600mg/dL、約650mg/dL、約700mg/dL、約750mg/dL、約800mg/dL、約850mg/dL、約900mg/dL、約950mg/dL、又は約1000mg/dL(それらの間の任意の部分範囲又は値を含む)を含む。実施形態では、FCSを治療する方法によって、患者において、約100mg/dL~約900mg/dL、又は約200mg/dL~約800mg/dLの空腹時トリグリセリドレベルが提供される。
【0091】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、≦1000mg/dL、≦950mg/dL、≦900mg/dL、≦850mg/dL、≦800mg/dL、≦750mg/dL、≦700mg/dL、≦650mg/dL、≦600mg/dL、≦550mg/dL、≦500mg/dL、≦450mg/dL、≦400mg/dL、≦350mg/dL、≦300mg/dL、≦250mg/dL、≦200mg/dL、又は≦150mg/dLの空腹時トリグリセリドレベルが提供される。本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、≦約1000mg/dLまでの空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、≦約750mg/dLまでの空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、≦約500mg/dLまでの空腹時トリグリセリドレベルにおける低下が提供される。
【0092】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦5倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0093】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦約750mg/dL及びULNの≦5倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0094】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦約500mg/dL及びULNの≦5倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0095】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0096】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦約750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0097】
本開示の一部の実施形態では、FCSを治療する方法によって、空腹時トリグリセリドレベル≦約500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルが提供される。
【0098】
一部の実施形態では、肝脂肪肝における患者の変化は、治療期間の間に測定される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与によって、FCSの治療的な処置が提供され、治療期間中の肝脂肪肝における臨床的に有意な増加は提供されない。
【0099】
FCSを治療する方法の一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与によって、FCSの治療的な処置が提供され、治療前と比較して膵炎のエピソードが実質的に減少される。
【0100】
FCSを治療する方法の一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与によって、FCSの治療的な処置が提供され、膵炎のエピソードが防止される。
【0101】
本明細書中で開示された方法の一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与は、非侵襲的肝線維症の測定値、例えば肝剛性の定量、線維症-4指数(FIB-4)、及びNFSスコアなどにおける有意な変化を伴わない、FCSの治療的処置を提供する。
【0102】
本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与は、治療的に有効で忍容性である(例、治療下で発現した胃腸事象は、存在する場合、軽度又は中等度である(例、下痢、血性下痢、悪心、消化不良、嘔吐、腹部痛、便秘、膨満、及び/又は鼓腸)。本明細書中に開示される方法の一部の実施形態では、有効量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の投与は、FCSの治療的処置を提供し、安全で忍容性である(例、ULNの≦3倍のALT/ASTレベル及び/又は胃腸の副作用は、存在する場合、軽度又は中等度である)。
【0103】
FIB-4スコアは、非侵襲的な肝線維症の評価ツールである。例えば、スコア<1.45は、複数の病因の進行性肝線維症について90%を上回る陰性予測値を有し、>3.25のスコアは、97%の特異性を伴う進行性線維症について65%の陽性予測値を有する。
【0104】
FCSを治療する方法の一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が投与された患者は、約1.45未満のFIB-4スコアを有する。実施形態では、FCSを治療する方法のうち、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が投与された患者は、約3.25未満のFIB-4スコアを有する。
【0105】
NAFLD線維症スコア(NFS)は、例えば、Angulo P,Hui JM,Marchesini G,et al.において記載されている非侵襲性肝線維症スコアリングシステムである。NAFLD線維症スコア:NAFLDを伴う患者において肝線維症を特定する非侵襲的システム。Hepatology 2007;45(4):846-54、それは、参照により本明細書中に組み入れられる。NFS<-1.455=有意な線維症なし(ステージ0~2)。NFS -1.455~0.675=不確定スコア。NFS>0.675=有意な線維症(段階3~4)。実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与された患者は、約0.675未満のNFSを有する。実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与された患者は、約0.5、0.4、0.4、0.2、又は0.1未満のNFSを有する。実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与された患者は、約-1.455未満のNFSを有する。
【0106】
本開示の一部の実施形態に従って、FCSを治療する方法は、統計的に有意な治療効果を提供する。一実施形態では、統計的に有意な治療効果は、米国における一つ又は複数の規制当局、例えば、FDA、又は他の国により提供される一つ又は複数の標準又は基準に基づいて決定される。別の実施形態では、統計的に有意な治療効果は、規制当局が承認した臨床治験の設定及び/又は手順から得られた結果に基づいて決定される。
【0107】
投薬
本開示は、有効で忍容できるロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を、それを必要とする患者(例、成人患者又は小児患者)に投与することにより、FCSを治療するための方法を提供する。有効量は、FCSの症状を排除もしくは有意に低下させる、又はそれらの症状を軽減させる(例、治療前と比較して、FCSを伴う患者における膵炎の頻度を低下させる)ために十分な量である。あるいは、有効量は、例えば、本明細書中に記載されるように、患者におけるトリグリセリドレベルを、例えば、空腹時トリグリセリドレベル≦1000 mg/dLまで有意に低下させるために十分な量である。本方法において用いられる製剤は、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を製剤中に組み入れることができ、製剤が、FCSの治療のために治療上有効な血漿レベルのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を提供するようにする。
【0108】
一部の実施形態では、治療有効用量は、有効であり(即ち、FCSを伴う患者が治療される)、忍容性が示される用量が達成されるまで、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日投与量を徐々に変更(例、増加又は減少)することにより、患者を一日の初期用量で開始し、有効で忍容される用量まで漸増することにより達成される。一部の実施形態では、有効用量は、患者のFCSの少なくとも一つの症状を改善させる用量である。一部の実施形態では、有効で忍容される用量は、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量である。一部の実施形態では、有効で忍容される用量は、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量である。
【0109】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の(例、成人患者又は小児患者の)一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することを含む。一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、2~8週間毎(例、2~4週間毎)に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0110】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間、少なくとも26週間、少なくとも28週間、又は少なくとも30週間にわたり投与される(例、一日一回)。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、少なくとも8週間にわたり投与される。
【0111】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の(例、成人患者又は小児患者の)一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することを含む。一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、2~8週間毎(例、2~4週間毎)に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0112】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間、少なくとも26週間、少なくとも28週間、又は少なくとも30週間にわたり投与される(例、一日一回)。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL、及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、少なくとも8週間にわたり投与される。
【0113】
一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、漸増用量において投与される。一部の実施形態では、漸増用量は、少なくとも第一の用量レベル及び第二の用量レベルを含む。一部の実施形態では、漸増用量は、少なくとも第一の用量レベル、第二の用量レベル、及び第三の用量レベルを含む。一部の実施形態では、漸増用量は、第四の用量レベルをさらに含む。一部の実施形態では、漸増用量は、第一の用量レベル、第二の用量レベル、第三の用量レベル、第四の用量レベル、及び第五の用量レベルを含む。一部の実施形態では、6、7、8、9、及び10の用量レベルが企図される。一部の実施形態では、患者の肝アミノトランスフェラーゼレベル(ALT、AST)は、各用量漸増の前に測定される。
【0114】
一部の実施形態では、各用量レベルは、直後の用量レベルの50%以下である。一部の実施形態では、各用量レベルは、直後の用量レベルの33%以下である。一部の実施形態では、各用量レベルは、直後の用量レベルの20%以下である。一部の実施形態では、用量レベルは、1/2log単位により分離される。一部の実施形態では、用量レベルは、1log単位により分離される。
【0115】
一部の実施形態では、各用量レベル(例、第一、第二、第三、第四の用量レベル)は、各々が独立して、約2日間~約6ヶ月間の期間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベル(例、第一、第二、第三、第四の用量レベル)は、各々が独立して、約もしくは少なくとも約7日間~約もしくは少なくとも35日間の期間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベル(例、第一、第二、第三、第四の用量レベル)は、各々が独立して、約2週間~約4週間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベル(例、第一、第二、第三、第四の用量レベル)は、各々が独立して、約4週間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、第一、第二、第三の用量レベルは、約2日~約40日間にわたり対象に投与され、第四の用量レベルは、約2日~約もしくは少なくとも約6ヶ月間にわたり対象に投与される。
【0116】
一部の実施形態では、患者の(例、成人患者又は小児患者)肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、投薬期間(例、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間)後の正常上限(ULN)の≧5倍である場合、患者はロミタピド治療から離脱する。一部の実施形態では、患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、正常上限(ULN)の≧5倍である場合、方法は、患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、正常上限(ULN)の≧5倍である場合、患者の用量は、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下される。
【0117】
一部の実施形態では、患者の(例、成人患者又は小児患者の)ALT/ASTレベルが、ULNの3~5倍である場合、方法は、患者のALT/ASTレベルが、上昇したALT/ASTテスト結果の一週間以内にULNの3~5倍であることを確認することを含む。上昇したALT/ASTテスト結果が確認された場合、方法は、患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、患者のALT/ASTレベル、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを毎週テストする。一部の実施形態では、患者の総ビリルビン及びINRが増加する、ALT/ASTレベルがULNの>5倍まで増加する、又は患者のALT/ASTレベルが約4週間以内にULNの<3倍を下回らない場合、患者はロミタピド治療から離脱し、一部の実施形態では、患者の用量は、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、直前の用量レベルの50%以下、又は直前の用量レベルの33%以下、又は直前の用量レベルの20%以下まで低下される。
【0118】
一部の実施形態では、患者の(例、成人又は小児患者の)ALT/ASTレベルが、投薬期間後(例、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間後)、ULNの3~5倍、又はベースライン値を上回る>100U/L、しかし<200U/Lである場合、この方法はさらに、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の患者の用量を、ULNの<3倍のALT/ASTレベルを提供する最終用量まで低下させることを含む。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量が、直前の投薬レベルの50%以下、又は直前の投薬レベルの33%以下、又は直前の投薬レベルの20%以下だけ低下される。一部の実施形態では、ULNの<3倍のALT/ASTレベルを達成するために患者(例、成人又は小児患者)の用量を低下させることは、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量を、約5~30mgだけ減少させることを含み、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、又は約30mgを含む。一部の実施形態では、用量は約5~15mgだけ、又は約5~20mgだけ減少する。
【0119】
一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の各用量レベルは、2日間~26週間、又はそれ以上にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1週間~約26週間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1週間~約12週間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1週間~約5週間にわたり対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1~約4週間、対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1~約2週間、対象に投与される。一部の実施形態では、各用量レベルは、約1~約2週間、対象に投与される。
【0120】
一部の実施形態では、一度、患者が、有効で(即ち、FCSを伴う患者が治療され)、忍容性を示す用量に達すると、患者は、患者がFCSに罹患し、FCSの臨床症状が十分に制御される、又は応答レベルが維持される限り、その用量で維持される。このように、治療期間は無制限であり得る。実施形態では、治療の期間は、少なくとも6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年又はそれ以上であり得る。
【0121】
一部の実施形態では、ロミタピド又は医薬的に許容可能な塩が投与される。一部の実施形態では、ロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0122】
一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、それを必要とする、FCSを伴う患者(例、成人又は小児患者)に、約0.5mg~約100mgの一日用量で投与され、約0.5mg、約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg~約100mg(それらの間の任意の部分範囲又は値を含む)を含む。一部の実施形態では、約5mg~約60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、毎日投与され、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約60mgまで(それらの間の任意の部分範囲又は値を含む)を含む。一部の実施形態では、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、又は約60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約15mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約20mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約30mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約40mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約50mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。一部の実施形態では、約60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩が、毎日投与される。
【0123】
一部の実施形態では、一日用量は、単一用量として投与される、又は2もしくは3の等もしくは不等用量中に分割される。一部の実施形態では、ロミタピドは、就寝時に一日一回投与される。
【0124】
一部の実施形態では、約5~60mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、約5mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、約10mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、約30mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、約40mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。一部の実施形態では、約60mgのロミタピド遊離塩基と同等の量のロミタピドメシル酸塩が投与される。
【0125】
投与される用量は、患者の年齢、体重、及び状態、ならびに投与の経路、投与形態、及びレジメンならびに所望の結果に従って調整され得る。
【0126】
成人患者
実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される。
【0127】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0128】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0129】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される;
f)第三の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;及び
g)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第三の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第四の投薬期間にわたり、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第四の一日用量が経口投与される。
【0130】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される;
f)第三の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;
g)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第三の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第四の投薬期間にわたり、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第四の一日用量が経口投与される;及び
h)第四の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;及び
i)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第四の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第五の投薬期間にわたり、約40~60mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第五の一日用量が経口投与される。
【0131】
実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される。
【0132】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法を提供し、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0133】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0134】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される;
f)第三の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;及び
g)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第三の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第四の投薬期間にわたり、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第四の一日用量が経口投与される。
【0135】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される;
f)第三の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約15~20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;
g)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第三の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第四の投薬期間にわたり、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第四の一日用量が経口投与される;及び
h)第四の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦750mg/dLである場合、患者は、約30~40mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される;及び
i)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第四の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>750mg/dLである場合、患者に、第五の投薬期間にわたり、約40~60mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第五の一日用量が経口投与される。
【0136】
一部の実施形態では、第一の投薬期間は少なくとも二週間である。一部の実施形態では、第一の投薬期間は約二週間である。
【0137】
一部の実施形態では、第二の投薬期間は少なくとも四週間である。一部の実施形態では、第二の投薬期間は約四週間である。
【0138】
一部の実施形態では、第三の投薬期間は少なくとも約四週間である。一部の実施形態では、第三の投薬期間は約四週間である。
【0139】
一部の実施形態では、第四の投薬期間は少なくとも約四週間である。一部の実施形態では、第四の投薬期間は約四週間である。
【0140】
一部の実施形態では、第五の投薬期間は少なくとも約四週間である。一部の実施形態では、第五の投薬期間は約四週間である。
【0141】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することを含む。本開示の方法の一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、2~4週毎に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0142】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を調整(例、増加又は減少)して、≦約750mg/dLまでの空腹時トリグリセリドレベルを提供することを含む。本明細書中に開示されるFCSを治療する方法の一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、約5~20mg(例、5mg、10mg、15mg、又は20mg)だけ増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0143】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を調整(例、増加又は減少)して、≦約500mg/dLまでの空腹時トリグリセリドレベルを提供することを含む。本明細書中に開示されるFCSを治療する方法の一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、約5~20mg(例、5mg、10mg、15mg、又は20mg)だけ増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦500mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0144】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間後の正常上限(ULN)の≧5倍である場合、患者はロミタピド治療から離脱される。一部の実施形態では、患者は、ALT/ASTレベルがULNの<3倍になるまで治療から離脱する。一部の実施形態では、方法は、患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者の用量を、ULNの<3倍の患者のALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、直前の用量レベルの50%以下、又は直前の用量レベルの33%以下、又は直前の用量レベルの20%以下まで低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約10mgから約5mgに低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約20mgから約10mgに低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約20mgから約5mgに低下される。
【0145】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者のALT/ASTレベルがULNの3~5倍である場合、方法は、患者のALT/ASTレベルが、上昇したALT/ASTテスト結果の一週間以内にULNの3~5倍であることを確認することを含む。本開示の方法の一部の実施形態では、上昇したALT/ASTテスト結果が確認された場合、方法は、患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者のALT/ASTレベル、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを毎週テストすることをさらに含む。一部の実施形態では、患者の総ビリルビン及びINRが増加する、ALT/ASTレベルがULNの>5倍まで増加する、又は患者のALT/ASTレベルが約4週間以内にULNの<3倍を下回って下落する場合、患者はロミタピド処置から離脱され、一部の実施形態では、方法は、患者の用量を、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、直前の用量レベルの50%以下、又は直前の用量レベルの33%以下、又は直前の用量レベルの20%以下まで低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約10mgから約5mgに低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約20mgから約10mgに低下される。一部の実施形態では、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量は、約20mgから約5mgに低下される。
【0146】
一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、約5mg~約60mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量であり、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、又は約60mgを含む。一部の実施形態では、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3のALT/ASTレベルを提供する一日用量は、5mg、10mg、20mg、30mg、及び60mgからなる群から選択される。一部の実施形態では、一日用量は、5mg、10mg、20mg、30mg、又は60mgである。一部の実施形態では、一日用量は20mgである。
【0147】
一部の実施形態では、約5mgのロミタピドの一日用量が約2週間にわたり患者に経口投与され、次に、一日用量が、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量まで漸増される。
【0148】
一部の実施形態では、漸増は、5mg/日から10mg/日、20mg/日、40mg/日、及び60mg/日までの以下のスケジュールに従った、又は個別に決定された最大用量に、脂質プロファイル(例、TGレベル)、安全性(例、ALT/ASTレベル)、及び忍容性(例、持続性の消化器系副作用)に基づいて達するまでのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の投与を含む。
【表1】
【0149】
一部の実施形態では、漸増は、5mg/日から10mg/日、15mg/日、20mg/日、40mg/日、及び60mg/日までの以下のスケジュールに従った、又は個別に決定された最大用量に、脂質プロファイル(例、TGレベル)、安全性(例、ALT/ASTレベル)、及び忍容性(例、持続性の消化器系副作用)に基づいて達するまでのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の投与を含む。
【表2】
【0150】
一部の実施形態では、漸増は、5mg/日から10mg/日、20mg/日、30mg/日、50mg/日、及び60mg/日までの以下のスケジュールに従った、又は個別に決定された最大用量に、脂質プロファイル(例、TGレベル)、安全性(例、ALT/ASTレベル)、及び忍容性(例、持続性の消化器系副作用)に基づいて達するまでのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の投与を含む。
【表3】
【0151】
一部の実施形態では、漸増は、5mg/日から10mg/日、20mg/日、40mg/日、50mg/日、及び60mg/日までの以下のスケジュールに従った、又は個別に決定された最大用量に、脂質プロファイル(例、TGレベル)、安全性(例、ALT/ASTレベル)、及び忍容性(例、持続性の消化器系副作用)に基づいて達するまでのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の投与を含む。
【表4】
【0152】
小児患者
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0153】
一部の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療するために使用され、本方法は以下を含む:
a)患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦750mg/dLである場合、患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に>750mg/dLである場合、患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦750mg/dLである場合、患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に>750mg/dLである場合、患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される。
【0154】
一部の実施形態では、約2mg~約5mgのロミタピドの一日用量が、約2週間にわたり患者に経口投与され、次に、一日用量が、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量まで漸増される。
【0155】
一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、2~8週毎に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0156】
一部の実施形態では、約2mg~約5mgのロミタピドの一日用量が、約2週間にわたり患者に経口投与され、次に、一日用量が、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する用量まで漸増される。
【0157】
一部の実施形態では、患者の一日用量のロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩は、2~8週毎に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦750mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する。
【0158】
一部の実施形態では、患者の年齢は、5~10歳、11~15歳、又は16~17歳である。
【0159】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする小児患者は、第一の投薬期間中に2mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、第二の投薬期間中に5mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、及び第三の投薬期間中に10mgのロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量が投与される。
【0160】
一部の実施形態では、FCS治療を必要とする小児患者は、第一の投薬期間中に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、第二の投薬期間中に約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量、及び第三の投薬期間中に約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量が投与される。
【0161】
一部の実施形態では、投薬期間(例、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間)は、約もしくは少なくとも約1~8週間であり、約もしくは少なくとも約1週間、約もしくは少なくとも約2週間、約もしくは少なくとも約3週間、約もしくは少なくとも約4週間、約もしくは少なくとも約5週間、約もしくは少なくとも約6週間、約もしくは少なくとも約7週間、又は約もしくは少なくとも約8週間を含み、全ての部分範囲及びその間の値を含む。
【0162】
一部の実施形態では、患者の年齢は5~10歳であり、第一の投薬期間中のロミタピドの一日用量は2mgであり、第二の投薬期間中のロミタピドの一日用量は5mgであり、第三の投薬期間中のロミタピドの一日用量は10mgである。一部の実施形態では、第一の投薬期間は約もしくは少なくとも約8週間であり、第二の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間であり、第三の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間である。
【0163】
一部の実施形態では、患者の年齢は11~15歳であり、第一の投薬期間中のロミタピドの一日用量は2mgであり、第二の投薬期間中のロミタピドの一日用量は5mgであり、第三の投薬期間中のロミタピドの一日用量は10mgである。一部の実施形態では、第一の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間であり、第二の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間であり、第三の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間である。
【0164】
一部の実施形態では、患者の年齢は16~17歳であり、第一の投薬期間中のロミタピドの一日用量は約5mgであり、第二の投薬期間中のロミタピドの一日用量は約10mgであり、第三の投薬期間中のロミタピドの一日用量は約20mgである。一部の実施形態では、第一の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間であり、第二の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間であり、第三の投薬期間は約もしくは少なくとも約4週間である。
【0165】
キット
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する際での使用のためのキットを提供する。そのようなキットは、ロミタピド又はその医薬的塩を含む。本開示のキットは、異なる投与間隔でロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与するために、あるいは本明細書中に記載される方法に従ってロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩の用量を漸増するために使用されうる。例えば、本開示は、対象においてFCSを治療するためのキットを提供し、このキットは、少なくとも三組の医薬投与量単位;及び使用のための説明書を含む。
【0166】
一部の実施形態では、本開示のキットは、投与のための指示を含み得る。例えば、キットは、例えば、適切な用量、投与形態、投薬間隔(例、本明細書中に記載されるように)において、本明細書中に記載される方法を実施するために、適切な様式においてロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与するための説明書を含み得る。一部の実施形態では、情報資料は、適切な患者、例えば、FCSを伴う成人患者、又はFCSを伴う小児患者に、ロミタピド又はその医薬的に許容可能な塩を投与するための説明書を含み得る。
【0167】
キットは、本明細書中に記載されるロミタピド又はその医薬的塩のための一つ又は複数の容器を含み得る。一部の実施形態では、キットは、組成物及び情報材料のための別々の容器、仕切り、又はコンパートメントを含む。例えば、組成物は、ボトル、バイアル、又はシリンジ中に含まれ得る。一部の実施形態では、キットの別々の要素は、単一の分離されていない容器内に含まれる。例えば、組成物は、ラベルの形態において、情報材料を付着させたボトル、バイアル、又はシリンジ中に含まれる。一部の実施形態では、キットは、複数(例、パック)の個々の容器を含み、各々が、本明細書中に記載される組成物の一つ又は複数の単位投与形態(例、本明細書中に記載される投与形態)を含む。例えば、キットは、複数のシリンジ、アンプル、又はホイルパケットを含み得るが、各々が、本明細書中に記載される組成物の単一単位用量を含む。そのようなキットの例は、ブリスターパックであり、典型的には、錠剤、カプセルなどの包装のために使用される。キットの容器は、気密性、防水性(例、水分又は蒸発における変化に対して不浸透性)、及び/又は光密封性であり得る。
【0168】
以下の非限定的な実施例は、本開示の様々な態様を例証する。
【実施例】
【0169】
実施例1.
この臨床試験によって、家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を伴う患者におけるロミタピドの安全性、忍容性、及び有効性が評価された。
【0170】
試験デザイン
患者は、ロミタピドの一回目の投与前の12~6週間(スクリーニング期間)に適格性についてスクリーニングされた。スクリーニング期間後、全ての登録患者が、少なくとも6週間の導入期に入り、その間に、脂質低下療法、ビタミンEの毎日の栄養補給、必須脂肪酸及び低脂肪食を開始して安定化する。導入期の終了時に、患者は26週間の有効性期に入り、その間に、彼らは、脂質低下療法に加えてロミタピドを受けた。患者は、全ての試験の間に、一日当たりの脂肪からの≦10%のエネルギーを含む食事に従わなければならない。
【0171】
参加者
選択基準
本試験中に登録された患者は、本試験における組み入れのために適格となるために、以下の基準を満たすことが要求された。
・インフォームドコンセント時に年齢18歳及びそれ以上
・乳液血清(空腹時血液サンプルの超遠心分離後でのクリーム状の上層)又は空腹時TG測定値≧885mg/dL(10mmol/L)の記録により証明されるカイロミクロン血症の病歴。
・以下の少なくとも一つの記録による家族性高カイロミクロン血症症候群の診断。
oFCSを起こす遺伝子(例えばLPL、APOC2、APOA5、GPIHBP1、又はLMF1など)における機能喪失変異について、確認されたホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体。
・スクリーニング時の空腹時TG≧750mg/dL(8.4mmol/L)。空腹時TG<750mg/dlである場合、二つまでの追加のテストを、適格とするために実施してもよい。
・膵炎の病歴(急性膵炎の診断が記録されている、又は急性膵炎と一致する重度の腹部痛のための入院、及び代わりの診断が下されなかったとして定義される)。
・ベースラインでの肝生検についての要求はないが、しかし、ベースライン及び26週目でのMRI、ならびに月1回の各来院でのLFT。
・ベースライン及び26週目での肝バイオマーカー評価のための血清の利用可能性。
・試験の間での一日当たりの脂肪からの≦10%エネルギーを含む食事に従う意思。
・以下の一つを満たす:
o女性:非妊娠及び非授乳中;外科的に無菌(例、卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管切除術、両側卵巣摘出術)、閉経後(年齢>55歳の女性においては12ヶ月間の自然発生的無月経、又は≦55歳の女性においては、別の医学的な原因を伴わない12ヶ月間の自然発生的無月経、及び関係する検査室でのFSHレベルが閉経後の範囲である、と定義される)、禁欲、又は子供を産む可能性のある性的関係を結んでいる場合、患者は、インフォームドコンセントフォームに署名した時点から、治験薬の最終用量の投与後の13週まで、許容可能な避妊方法を使用している。
o男性:外科的に避妊された、禁欲している、又は妊娠可能な女性と性的関係にある場合、患者は、インフォームドコンセントに署名した時点から、治験薬の最終用量後の13週まで、許容可能な避妊方法を利用している。
除外基準
・以下のいずれかを伴う糖尿病:
o12週間のスクリーニング内に新たに診断された。
oスクリーニング時のHbA1c≧9.0%
o抗糖尿病薬物療法における最近の変化
o試験の治療期間の間に用量又は医薬品の種類を変える必要性が予測される。
oGLP-1アゴニストの現在の使用
・FCS以外に起因する重度の高トリグリセリド血症
・スクリーニング前4週間以内の活動性膵炎
・3ヶ月間のスクリーニング内に投薬又は大手術における変化を要求する急性又は不安定性心臓虚血、脳卒中、一過性虚血性発作、又は不安定うっ血性心不全の6ヵ月間のスクリーニング内での病歴。
・スクリーニング時の以下の臨床検査値のいずれか:
・肝臓:
o総ビリルビン>正常上限(ULN)、ギルバート症候群の前診断及び記録ではない場合であり、この場合において、総ビリルビンは≦3mg/dlでなければならない。
oAST>2.0×ULN
oALT>2.0×ULN
・腎臓:
o尿試験紙上のタンパク質について持続的に陽性(3回連続テストのうち2回で≧1+)。陽性テストの場合では、適格性は、<500mg/24時間の定量的総尿タンパク質測定値により確認され得る。
o血液又は尿試験紙について持続的に陽性(3回連続テストのうち2回で≧微量陽性)。陽性テストの場合では、適格性は、尿顕微鏡検査で確認され得るが、高倍率視野当たり≦5個の赤血球を示す。
oCockcroft及びGault<50mL/分の式に従って算出された推定クレアチニンクリアランス。
o治験責任医師又は治験依頼者の意見で、患者が組み入れに不適切となり得る、任意の他の臨床検査異常。
・制御されない高血圧(BP>160/100mmHg)。
・スクリーニング時での出血性素因又は凝固異常、又は凝固パラメータにおける臨床的に有意な異常の病歴。
・クラスIIを上回るNYHAでの心不全の病歴。
・ロミタピドでの治療開始前(ベースライン来院)に完了しないであろう、全身抗ウイルス又は抗微生物治療を要求する活動性感染症。
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎、又は慢性B型肝炎の既知の病歴歴又は陽性テスト。
・成功裏に治療された皮膚の基底もしくは扁平上皮細胞癌又は子宮頸部上皮内癌を除く、5年以内の悪性腫瘍。
・一ヶ月間のスクリーニング内、又は治験薬の半減期の5倍以内のいずれか長い方で、別の治験薬、生物学的薬剤、又はデバイスでの治療。
・ライフスタイル要件の順守を望まない。
・既知のラクトース不耐性
・以下の使用:
oスタチン、オメガ3脂肪酸、又はフィブラート。ただし、スクリーニングの前の少なくとも3ヶ月間にわたり安定用量であり、用量及びレジメンが治療期間の間に一定のままであると予測される場合を除く。オメガ3脂肪酸を摂取している患者は、試験を通して同じブランドを維持するようすべての努力をすべきである。
oスクリーニング前4週間以内のニコチン酸又はニコチン酸の誘導体
o治験責任医師により承認されない場合で、スクリーニング前の6週間以内のコルチコステロイド又は同化ステロイドの全身投与。
o非定型抗精神病薬。ただし、スクリーニングの前の少なくとも4週間にわたり安定用量であり、用量及びレジメンが治療期間の間に一定のままであると予測される場合を除く。
oスクリーニング前2年以内にグリベラ遺伝子治療
o経口抗凝固薬(例、ワーファリン、ダビガトラン、リバロキサバン、及びアピキサバン)。ただし、スクリーニングの前の少なくとも4週間にわたり安定用量であり、通常の臨床モニタリングが実施されている場合を除く。
oタモキシフェン、エストロゲン、又はプロゲスチン。ただし、スクリーニングの前の少なくとも4ヶ月にわたり安定用量であり、用量及びレジメンが治療期間の間に一定のままであると予測される場合を除く。
oスクリーニング前4週間以内又は試験の間に計画された血漿アフェレーシス。
oスクリーニング前の少なくとも4週間目に安定している場合を除き、医薬品のいずれか。
・30日のスクリーニング内に50~499mL又は60日のスクリーニング内に>499mLの献血
・治験責任医師又は治験依頼者の意見において、患者が組み入れについて不適切となり得る、又は患者が試験に参加する、もしくはそれを完了することに干渉し得る、任意の他の状態を有する。
【0172】
治療
適格基準を満たし、6週間の食事期間(導入)後の全ての患者が、脂質プロファイル及び忍容性に基づいて、ロミタピド5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mgから60mgまでの毎日で治療された。患者は、26週間の終了時まで彼らの最大用量のままである。
【0173】
治療は一日一回5mgで開始され、この用量は許容可能な安全性/忍容性に基づいて漸増された。一日一回5mgでの最低2週間後、用量を次に、10mg、20mg、40mg、及び60mg/日(例、以下の表中に示されるように)に、又は個別に決定された最大用量(例、5~60mg/日の範囲中)に、脂質プロファイル、及び安全性/忍容性に基づいて達するまで最低4週間間隔で漸増した。用量調整がまた、肝トランスアミナーゼレベルに従ってなされた。対象が、ULNの3~5×の間の、又はベースライン値を上回る>100U/L、しかし<200U/Lの確認されたアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇を経験した場合、ロミタピドの用量は、以前に忍容された用量レベルまで低下され、一度トランスアミナーゼ上昇が消散した場合に、用量を再度漸増する可能性を伴った。一度、最大用量が確立されると、患者は26週目までこの用量を継続した。
【0174】
本プロトコールにより許可される最も早い漸増スケジュールは、以下の通りである:
【表5】
【0175】
ロミタピドは、グラス一杯の水で、食物なしで、就寝時に一日一回投与されなければならない。
【0176】
脂質レベル及び、肝機能検査を含む安全性指標を、ベースラインで、各用量増加の前に、次に26週目まで4週間毎に評価した。
【0177】
26週目での試験の完了後、治療段階を完了した適格な対象に、拡大アクセスプログラムの下で参加する選択肢が与えられ)、それにおいて、対象は、コンパッショネートユースに基づいてロミタピドを継続して受けた。
【0178】
評価項目
主要評価項目は、家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を伴う患者における他の脂質低下治療との組み合わせにおける26週間の治療後のベースラインと比較した、最大耐量でのトリグリセリド(TG)における変化率であった。
【0179】
副次的評価項目は、ベースラインから26週目の変化に関する、他の脂質パラメータ、肝脂肪及び肝剛性、ならびに他の脂質低下剤との組み合わせにおけるロミタピドのカイロミクロン動態を含む。以下を含む:
a)TC、非HDL-C、LDL-C、VLDL、Lp(a)、ならびにアポリポタンパク質B及びA1における変化率。
b)臨床検査パラメータ、心電図、身体検査、及び体重における変化により評価されたFCSを伴う患者におけるロミタピドの安全性。
c)膵炎のエピソードの記録
d)MRI及び/又は一過性エラストグラフィー(フィブロスキャン)により測定された肝脂肪肝剛性における変化。
e)カイロミクロン動態。
【0180】
主要評価項目及び他の評価項目についてのデータの収集を可能にするために、肝機能検査を含む空腹時脂質及び安全性パネルが、ベースライン、各用量漸増の前、及びその後は26週目まで4週間毎に得られた。血液を、12時間の絶食後、ベースライン時及び各来院時に採取した。テストは、標準的な代謝パネル、全血球数、尿検査を含んだ。十名の患者が、食後のカイロミクロン代謝及び脂肪酸プロファイルを決定するための代謝試験を受けた。利用可能なサンプルを遠心分離により分離し、直ちに-80℃で保存し、試験終了時に分析のためにドライアイス中で出荷した。
【0181】
脂質及びリポタンパク質分析を、血清サンプルで行った。総コレステロール(TC)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、及びTGを酵素的に測定した。非HDL-Cを、TCレベルからHDL-Cレベルを差し引くことにより算出した。ApoA-I、apoB、及びLp(a)を免疫腎測定により測定した。
【0182】
肝脂肪率を、ベースライン時及び26週目に磁気共鳴画像法(MRI)により決定した。MRIプロトコールは、二相配列及びIDEAL IQ配列を含んだ。製造業者により提供される後処理ソフトウェアを使用して、脂肪画分マップを生成した。腹部撮像において訓練された放射線科医が、肝実質の相内シグナル強度を測定するために、四つの1cm2の関心領域(ROI)を撮像した。ROIを同相画像から対向相にコピーし、同一のサイズ及び位置を確保した。局所肝病変、門脈又は肝静脈の主要分枝、及びアーチファクトを避けた。肝臓のシグナル強度の平均値を、同相及び対向相の両方における肝実質の四つのシグナル強度の平均値として算出した。肝脂肪分画を次に、以下の式を用いて算出した:100×(シグナル強度IP-シグナル強度OP)/(2×シグナル強度IP)。最後に、ROIがまた、HFF Axial IDEAL IQマップ中にコピーされ、同一のサイズ及び位置を確保した(このマップは、一名の患者において利用可能ではなかった)。IDEAL-IQ脂肪画分再構成上に配置された肝臓ROIを使用して、脂肪パーセンテージの推定値を生成した。
【0183】
kPaにおける肝剛性(LSM)の非侵襲的定量(推定線維症スコア:F0~F1:2~7 kPa;F2:7.5~10kPa;F3:10~14kPa;F4:>10kPa)を、FibroScan(登録商標)又はせん断波エラストグラフィーを使用した超音波ベースの一過性エラストグラフィーにより測定した。非アルコール性脂肪肝疾患線維症スコア(NFS)及び線維症-4(FIB-4)スコアが、Angulo et al(2007)(Angulo P,Hui JM,Marchesini G,et al.The NAFLD fibrosis score:a noninvasive system that identifies liver fibrosis in patients with NAFLD.Hepatology 2007;45(4)に従って算出されたが、それは、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0184】
有害事象(AE)を、MedDRA、第11.0版を使用してコード化した。AEは、治験責任医師により、治験薬と関係ない、関係する可能性が低い、多分関係する、恐らくは関係する、又は明確に関係すると判断され、独立したデータ及び安全性モニタリング委員会により定期的にレビューされた。
統計解析
数値パラメータを、中央値及び97.5%信頼区間として表現する一方で、二分変数を割合として表現した。数値パラメータにおける差を、Wilcoxon-Mann-Whitney直接検定(R CRANの「コイン」パッケージ)により評価した。割合における差をカイ二乗検定により評価した。26週目での数値変数のパーセント低下は、0週目からの個々の患者の変動の中央値(97.5%信頼区間を伴う)として表現した。TGパーセント低下とロミタピド用量との相関を、TGベースライン絶対値(R CRAN「ppcor」パッケージ)について調整した部分的なSpearmanの相関により算出した。全ての計算を、R統計ソフトウェアバージョン4.04により、RStudioバージョン1.3.1093インターフェース下で実施した。
【0185】
結果
FCSを伴う18名の成人患者が募集され、試験において登録され、100%が試験を完了(26週間)し、11名が拡大アクセスプログラムに参加した。ベースラインでの患者の特徴を表1中に示し、試験において登録されたFCS患者の遺伝子型及びベースライン脂質プロファイルを表2中に示す。
【0186】
【0187】
【0188】
全ての18名の対象が、血管内脂肪分解性カイロミクロンカスケードに影響を及ぼす遺伝子における変異について、ホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体のいずれかであった。全ての対象は、オメガ3脂肪酸、フィブラート、又はその両方での治療を受けていた。脂質低下治療にもかかわらず、トリグリセリド値は、ベースラインで顕著に上昇した。ロミタピド投薬のコンプライアンスは、>80%のカプセル摂取として定義され、試験の間に96%であった。
【0189】
表3中に示されるように、以下の治療は、5mgのロミタピドの一日開始用量で開始され、用量が、脂質プロファイル及び忍容性に基づいて漸増された。
【0190】
試験の過程にわたるロミタピドの一日平均用量を
図4中に示す。
【0191】
【0192】
試験を完了した18名の対象のうち、26週目までの最大用量は、一名の対象において5mg;二名の対象において10mg;一名の患者において15mg;三名の患者において20mg;二名の患者において30mg;五名の患者において40mg;一名の患者において50mg、及び三名の患者において60mgであった。ロミタピドの最大用量の中央値は35mg/日であった。
【0193】
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の平均値、試験のスクリーニングから26週目までの値(ul/L)を
図5及び6中に描写する。
【0194】
ロミタピドでの治療後のTC及びHDL-Cレベルにおける変化を、それぞれ
図2及び
図3中に示す。
【0195】
26週間のロミタピドでの治療にわたるFCS患者におけるトリグリセリド(TG)値(mg/dL)を、以下の表4中に示す。
【表9】
【0196】
表4及び
図1中に示されるように、ロミタピドを用いた治療後のベースラインと比較して、空腹時トリグリセリドレベルにおける有意な低下があった。
【0197】
患者が<1000mg/dLトリグリセリドの閾値を超えた場合、彼らは、10mgのロミタピドの用量の中央値、及び18mgのロミタピドの平均用量を受けていた。
【0198】
患者が<750mg/dLトリグリセリドの閾値を超えた場合、彼らは、20mgのロミタピドの用量の中央値、及び24mgのロミタピドの平均用量を受けていた。
【0199】
患者が<500mg/dLトリグリセリドの閾値を超えた場合、彼らは、20mgのロミタピドの用量の中央値、及び27mgのロミタピドの平均用量を受けていた。
【0200】
TG値の中央値は、ベースラインでの1803.5mg/dL(97.5% CI 1452~2391mg/dL)から、試験終了時(26週目)の空腹時TG値の中央値305.0mg/dL(97.5% CI 209~801)mg/dLまで減少した。ベースラインから70.5%のTG値における統計的に有意な低下があった(97.5% CI、-90.7~-48.0、p<0.0001)(表5、
図7)。主要な副次的評価項目(TC、HDL-C、非HDL-C、ApoB、ApoA-I及びLp(a))についてのベースラインから26週目までの変化を、表5中に示す。
【0201】
26週目では、六名の対象(33.3%)が、50%までのTGにおける低下を経験した(18.25~49.71%)。十二名の患者(66.7%)がTG低下>50%を経験したが、そのうち九名の患者(50%)が>70%低下を受けた。トリグリセリド血漿値の中央値<1000mg/dLが、77.8%(n=14)の患者において達成された。26週目で、十三名の対象が、26週目でTG値<750mg/dL(<8.5mmol/L)を達成し、これらの患者の十名(55.6%)が、TG値<500mg/dL(<5.6mmol/L)を達成した。
図8は、26週目での18名の全ての対象についてのTGにおける個々の変化率のウォーターフォールプロットを示す。
図8中に示される個々の低下パーセントは、ロミタピド用量と相関しなかった(部分相関スピアマンRho 0.142、p値0.587)。
【0202】
有意差は、ベースラインから26週目まで、Lp(a)及びhsCRPレベルについて観察されなかった(表5)。HDLコレステロールにおける20.7%の増加が26週目に観察された(p<0.0015)一方で、apoA-I値は-28.1%だけ低下した(97.5% CI -31.8、-5.6、<0.0001;表2)。
【0203】
【0204】
ロミタピドでの治療は十分に忍容され、全ての患者が26週間の治療を完了した。
【0205】
有害事象は軽度から中等度であり、大半が消化器系忍容性及び肝酵素上昇に関連した。経時的なALT及びAST値の中央値を
図9中に示す。肝トランスアミナーゼ上昇に起因して治療を永久的に中止した対象はおらず、全ての増加が、プロトコールに従い、ロミタピドの用量低下又は一時的な中断のいずれかにより管理された。対象は、ビリルビン値又はアルカリホスファターゼ値における上昇を経験しなかった。
【0206】
肝MRI画像法を使用して肝脂肪分画を決定し、3名の患者において26週目に30~50%の間である肝脂肪含量における増加が明らかになった。
【0207】
有意な変化は、肝剛性、FIB-4、及びNFSスコアの定量化を含む、非侵襲的な肝線維症の測定値について見られなかった(表6)。
【0208】
患者は、ロミタピド治療の間に急性膵炎又は重度の腹部痛のエピソードを経験しなかった。
【0209】
【0210】
本試験は、26週目でのTGレベルにおける低下というその主要有効性評価項目を満たした。フィブラート及びオメガ3化合物の既存の医療設備は、困難な食事レジメンとの組み合わせにおいて、FCSにおいて無効であり、他の治療、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドボランソルセンは、忍容性及び有効性において限度を有する。従って、ロミタピドは、この治療が困難な状態において確立されたアンメットメディカルニーズを満たす潜在能を有する。
実施形態
1.それを必要とする患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法であって、
a)患者に約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第二の投薬期間にわたり、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが、低脂肪食を遵守しながら≦1000mg/dLである場合、患者は、約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に低脂肪食を遵守しながら>1000mg/dLである場合、患者に、第三の投薬期間にわたり、約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される、を含む、方法。
2.患者が、FCSを起こす遺伝子における一つ又は複数の機能喪失変異について、確認されたホモ接合体、化合物ヘテロ接合体、又は二重ヘテロ接合体である、実施形態1の方法。
3.患者が膵炎の病歴を有する、実施形態1~2のいずれか一つの方法。
4.患者のヘパリン後血漿リポタンパク質リパーゼ(LpL)活性が、正常の≦ 20%である、実施形態1~3のいずれか一つの方法。
5.患者が、確認されたLpL不活化抗体の存在を有する、実施形態1~4のいずれか一つの方法。
6.患者のFCSが、血漿LDLアフェレーシスに対して難治性である、実施形態1~5のいずれか一つの方法。
7.ロミタピドが、低脂肪食及び他の脂質低下治療(例えばスタチン、エゼチミブ、ニコチン酸、胆汁酸隔離剤、フィブラート、又はLDLアフェレーシスなど)に対する補助剤として投与される、実施形態1~6のいずれか一つの方法。
8.低脂肪食が、患者の総カロリーの10%未満が脂肪からである食事を含む、実施形態1~7のいずれか一つの方法。
9.患者が、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質遺伝子(MTP)変異体を発現しない患者と比較して、ロミタピド治療に対する患者の応答を改善する、MTP変異体を発現する、実施形態1~8のいずれか一つの方法。
10.第一の投薬期間が少なくとも二週間である、実施形態1~9のいずれか一つの方法。
11.第二の投薬期間が少なくとも四週間である、実施形態1~10のいずれか一つの方法。
12.第三の投薬期間が少なくとも四週間である、実施形態1~11のいずれか一つの方法。
13.患者の肝アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)レベルが、第一の投薬期間、第二の投薬期間、又は第三の投薬期間後の正常上限(ULN)の≧5倍である場合、患者がロミタピド治療から離脱する、実施形態1~12のいずれか一つの方法。
14.患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定することをさらに含む、実施形態13の方法。
15.患者の用量を、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む、実施形態14の方法。
16.患者の用量が10mgから5mgに低下される、実施形態15の方法。
17.患者の用量が20mgから10mgに低下される、実施形態15の方法。
18.患者の用量が20mgから5mgに低下される、実施形態15の方法。
19.患者のALT/ASTレベルがULNの3~5倍である場合、患者のALT/ASTレベルが、上昇したALT/ASTテスト結果の一週間以内にULNの3~5倍であることを確認する、実施形態1~12のいずれか一つの方法。
20.上昇したALT/ASTテスト結果が確認された場合、患者のアルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを決定する、実施形態19の方法。
21.患者のALT/ASTレベル、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、及びINRを毎週テストすることをさらに含む、実施形態20の方法。
22.患者の総ビリルビン及びINRが増加する、ALT/ASTレベルがULNの>5倍まで増加する、又は患者のALT/ASTレベルが約4週間以内にULNの<3倍を下回らない場合、患者をロミタピド治療から離脱させる、実施形態21の方法。
23.患者の用量を、ULNの<3倍の患者ALT/ASTレベルを提供した最終用量まで低下させることをさらに含む、実施形態22の方法。
24.患者の用量が10mgから5mgに低下される、実施形態23の方法。
25.患者の用量が20mgから10mgに低下される、実施形態23の方法。
26.患者の用量が20mgから5mgに低下される、実施形態23の方法。
27.患者の一日ロミタピド用量を調整して、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供することをさらに含む、実施形態1~26のいずれか一つの方法。
28.患者の一日ロミタピド用量が、2~4週毎に増加又は減少され、空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する、実施形態27の方法。
29.空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量が、5mg、10mg、20mg、30mg、及び60mgからなる群から選択される、実施形態28の方法。
30.空腹時トリグリセリドレベル≦1000mg/dL及びULNの≦3倍のALT/ASTレベルを提供する一日用量が、少なくとも8週間にわたり投与される、実施形態27~29のいずれか一つの方法。
31.肝脂肪肝における患者の変化が、治療期間の間に測定される、実施形態1~30のいずれか一つの方法。
32.ロミタピド投与が、治療期間の間に肝脂肪肝における臨床的に有意な増加を提供しない、実施形態1~31のいずれか一つの方法。
33.ロミタピド投与が、前述の治療前と比較して、膵炎のエピソードを実質的に減少させる、実施形態1~32のいずれか一つの方法。
34.それを必要とする小児患者において家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)を治療する方法であって、
a)患者に、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第一の一日用量を、第一の投薬期間にわたり経口投与すること;
b)第一の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約2mg~約5mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
c)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第一の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第二の投薬期間にわたり、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第二の一日用量が経口投与される;
d)第二の投薬期間後の患者の空腹時トリグリセリドレベルを測定することであって、患者の空腹時トリグリセリドレベルが≦1000mg/dLである場合、患者は、約5mg~約10mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の一日用量で維持される、測定すること;
e)患者の測定された空腹時トリグリセリドレベルが、第二の投薬期間後に>1000mg/dLである場合、患者は、第三の投薬期間にわたり、約10mg~約20mgのロミタピド、又はその医薬的に許容可能な塩の第三の一日用量が経口投与される、を含む、方法。
35.患者の年齢が5~10歳である、実施形態34の方法。
36.第一の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が2mgであり、第二の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が5mgであり、第三の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が10mgである、実施形態35の方法。
37.第一の投薬期間が約8週間であり、第二の投薬期間が約4週間であり、第三の投薬期間が約4週間である、実施形態36の方法。
38.患者の年齢が11~15歳である、実施形態34の方法。
39.第一の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が2mgであり、第二の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が5mgであり、第三の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が10mgである、実施形態38の方法。
40.第一の投薬期間が約4週間であり、第二の投薬期間が約4週間であり、第三の投薬期間が約4週間である、実施形態39の方法。
41.患者の年齢が16~17歳である、実施形態34の方法。
42.第一の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が5mgであり、第二の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が10mgであり、第三の投薬期間におけるロミタピドの一日用量が20mgである、実施形態41の方法。
43.第一の投薬期間が約4週間であり、第二の投薬期間が約4週間であり、第三の投薬期間が約4である、実施形態42の方法。
【国際調査報告】