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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】調整可能なゴルフパター
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/06 20150101AFI20240216BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20240216BHJP
   A63B 60/04 20150101ALI20240216BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240216BHJP
【FI】
A63B53/06 D
A63B53/04 H
A63B60/04
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553539
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022018982
(87)【国際公開番号】W WO2022187675
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,303
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/316,234
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523334741
【氏名又は名称】ミーンズ,キャロライン
(71)【出願人】
【識別番号】523334752
【氏名又は名称】シンク,スチュワート
(71)【出願人】
【識別番号】523334763
【氏名又は名称】クピアー,ジェイソン
(71)【出願人】
【識別番号】523334774
【氏名又は名称】マーティン,ジャスティン
(71)【出願人】
【識別番号】523334785
【氏名又は名称】レディ,ウィリアム ジャドソン
(71)【出願人】
【識別番号】523334796
【氏名又は名称】ロス,レックス
(71)【出願人】
【識別番号】523334800
【氏名又は名称】サルダナ,クリストファー ジャヴェラナ
(71)【出願人】
【識別番号】523334811
【氏名又は名称】ベレズ,ジェイミー マイケル シュナイアー
(71)【出願人】
【識別番号】523334822
【氏名又は名称】ジョスト,エリオット
(71)【出願人】
【識別番号】523334833
【氏名又は名称】ペロ,ブリタン ディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】ミーンズ,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】シンク,スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】クピアー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】レディ,ウィリアム ジャドソン
(72)【発明者】
【氏名】ロス,レックス
(72)【発明者】
【氏名】サルダナ,クリストファー ジャヴェラナ
(72)【発明者】
【氏名】ベレズ,ジェイミー マイケル シュナイアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョスト,エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ペロ,ブリタン ディー.
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA04
2C002CH02
2C002CH03
2C002LL01
2C002MM04
2C002PP05
(57)【要約】
本明細書に示される例示的なパターは、新しいものを試したくなるたびに新たなゴルフクラブを購入する必要なしにその日のゲームのクラブを最適化するために、ゴルファーがトゥハング、フェース素材およびロフトをすべて1つのクラブにおいて調整することを可能にする方法で製造されるように設計される。パターヘッドにより、取り外しかつ積み重ね可能なフェースプレートと連続する範囲のシャフト取付点とを組み合わせて、ゴルファーが各要素をすべて1つのクラブにおいて調整することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
チャネルと、
連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で摺動するように構成され、かつ前記ゴルフパターのシャフトを前記クラブヘッドに固定して前記ゴルフパターの連続する範囲のトゥハング値を形成することができるように、前記シャフトを受け入れるように構成された取付機構と
を備えるクラブヘッド。
【請求項2】
前記取付機構は、前記チャネル内で前記連続する範囲の位置にわたって摺動するように構成され、かつ前記シャフトのねじ付き端部を受け入れるように構成されたナットを含む、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項3】
前記取付機構は、前記シャフトが前記ナットに緊密に挿通されている場合、前記取付機構による前記チャネルを通る移動を抑制するように構成されている、請求項2に記載のクラブヘッド。
【請求項4】
チャネルは、前記クラブヘッドの上面から下方を指す丸みを帯びた矢印状の断面形状を有する、請求項3に記載のクラブヘッド。
【請求項5】
前記取付機構は、前記連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で摺動するように構成され、かつ前記シャフトのねじ付き端部を受け入れるように構成されたホーゼルを含む、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項6】
前記チャネルは、前記クラブヘッドの上面から前記クラブヘッドの下面まで延びている、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項7】
前記チャネルは、その内部に棚状部を含み、前記棚状部は、下向き面および上向き面を有し、前記下向き面は、前記クラブヘッドの前記下面に面し、前記上向き面は前記クラブヘッドの前記上面に面している、請求項6に記載のクラブヘッド。
【請求項8】
前記取付機構は、ねじおよびホーゼルを含み、前記ねじのねじ頭部は、前記棚状部の前記下向き面に係合し、前記ホーゼルは、前記棚状部の上向き面に係合し、かつ、前記ねじは、前記ホーゼルにねじ込まれるようになっている、請求項7に記載のクラブヘッド。
【請求項9】
前記ホーゼルは、前記チャネル内での前記ホーゼルの回転を抑制する形状とされている、請求項8に記載のクラブヘッド。
【請求項10】
前記ねじは、前記連続する範囲の位置にわたる前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を可能とするよう緩められるように構成され、
前記ねじは、前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を抑制するよう締め付けられるように構成されている、請求項8に記載のクラブヘッド。
【請求項11】
第1ロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である1つ以上の着脱可能なフェースプレートをさらに備える、請求項10に記載のクラブヘッド。
【請求項12】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、別の着脱可能なフェースプレートと積み重ね可能である、請求項11に記載のクラブヘッド。
【請求項13】
前記第1ロフト角は、0.5度、1度または2度のいずれかである、請求項12に記載のクラブヘッド。
【請求項14】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、0.5度のロフト角、1度のロフト角および1.5度のロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である、請求項13に記載のクラブヘッド。
【請求項15】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、2度のロフト角、2.5度のロフト角、3度のロフト角および3.5度のロフト角をさらに形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である、請求項14に記載のクラブヘッド。
【請求項16】
複数の溝を含むフェースをさらに備え、前記複数の溝は、それぞれ、前記複数の溝の各溝同士の間隔が前記フェースの前記下面から離隔しかつ前記フェースの上面に接近する方向に垂直に増加するように前記フェースの下面と平行に延びている、請求項15に記載のクラブヘッド。
【請求項17】
直接金属レーザ焼結法によって共に印刷された2種以上の金属をさらに備える、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項18】
前記2種以上の金属の比率は、勾配を有して空間的に分散しており、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている、請求項17に記載のクラブヘッド。
【請求項19】
ハニカムパターンを有するコアをさらに備える、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項20】
前記クラブヘッドの厚みの大部分を貫通し、かつ前記クラブヘッドの下面と平行に向けられているパターン化構造をさらに備える、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項21】
前記クラブヘッドの質量中心を調整するように前記クラブヘッド内で移動可能な1つ以上の錘をさらに備える、請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項22】
前記クラブヘッドの質量中心を調整するように前記1つ以上の錘が前記トラック内で移動可能となるように、前記クラブヘッドのフェースと直交して延びる1つ以上のトラックをさらに備える、請求項21に記載のクラブヘッド。
【請求項23】
前記1つ以上の錘は、前記クラブヘッドから取り外し可能である、請求項22に記載のクラブヘッド。
【請求項24】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
チャネルと、
前記チャネル内で摺動するように構成されたナットであって、前記ゴルフパターのシャフトを受け入れるように構成された受け部を含むナットと
を備えるクラブヘッド。
【請求項25】
前記チャネルおよびナットは、前記ゴルフパターの連続する範囲のトゥハング値を与えるように集合的に構成されている、請求項24に記載のクラブヘッド。
【請求項26】
前記チャネルは、前記ゴルフパターのトゥハング値の予測値を得るための目盛標示を有して構成されている、請求項25に記載のクラブヘッド。
【請求項27】
前記チャネルは、前記クラブヘッドの上部から下方を指す丸みを帯びた矢印形状を有する、請求項24に記載のクラブヘッド。
【請求項28】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
第1ロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である1つ以上の着脱可能なフェースプレートを備えるクラブヘッド。
【請求項29】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、別の着脱可能なフェースプレートと積み重ね可能である、請求項28に記載のクラブヘッド。
【請求項30】
前記第1ロフト角は、0.5度、1度および2度のいずれかである、請求項28に記載のクラブヘッド。
【請求項31】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
直接金属レーザ焼結法によって共に印刷された2種以上の金属を備えるクラブヘッド。
【請求項32】
前記2種以上の金属の比率は、勾配を有して空間的に分散しており、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている、請求項31に記載のクラブヘッド。
【請求項33】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
前記クラブヘッド内にハニカム構造を備えるクラブヘッド。
【請求項34】
ゴルフパターのクラブヘッドであって、
前記クラブヘッドの全厚を貫通する文字、図またはアルファベット表示を含む任意のデザインからなるパターン化構造を備えるクラブヘッド。
【請求項35】
請求項24から請求項34に記載のいずれかの特徴の任意の組合せを備える、ゴルフパターのクラブヘッド。
【請求項36】
本明細書に開示されるいずれかの追加の特徴をさらに備える、請求項35に記載のクラブヘッド。
【請求項37】
ゴルフパターのトゥハングを調整するための方法であって、
取付機構を前記ゴルフパターのクラブヘッド内でチャネルを通って移動させる工程と、
前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程と
を含む方法。
【請求項38】
前記取付機構を連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で移動させる工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、ナットを前記チャネルを通って移動させる工程をさらに含み、
前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、シャフトのねじ付き端部を前記ナットにねじ込む工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内でホーゼルを移動させる工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記ホーゼルにシャフトを取り付ける工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、
前記ホーゼルを前記チャネル内で棚状部の上向き面に係合させる工程と、
前記ホーゼルの下向き面にねじをねじ込む工程と、
前記ねじの頭部を前記棚状部の下向き面に係合させる工程とをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、前記取付機構による前記チャネルを通る平行移動を可能とするように前記ねじを緩める工程をさらに含み、
前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を抑制するように前記ねじを締め付ける工程をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ゴルフパタークラブヘッドのロフト角を調整するための方法であって、
第1ロフト角を形成するように、前記クラブヘッドに1つ以上の着脱可能なフェースプレートを取り付ける工程を含む方法。
【請求項45】
前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、前記クラブヘッドにおいて前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートを積み重ねる工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1ロフト角は、0.5度、1度または2度のいずれかである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、0.5度のロフト角、1度のロフト角および1.5度のロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、2度のロフト角、2.5度のロフト角、3度のロフト角および3.5度のロフト角をさらに形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ゴルフパタークラブヘッドを製造するための方法であって、
2種以上の金属を直接金属レーザ焼結法によって共に印刷する工程を含む方法。
【請求項50】
前記2種以上の金属の比率を、勾配を有して空間的に分散させる工程をさらに含み、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記クラブヘッドのコアにおいてハニカムパターンを形成する工程をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記クラブヘッドのコアの厚みの大部分を貫通し、かつ前記クラブヘッドの下面と平行に向けられているパターン化構造を形成する工程をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
ゴルフパタークラブヘッドの質量中心を調整する方法であって、
1つ以上の錘を前記クラブヘッドの前記質量中心を調整するように前記クラブヘッド内で移動させる工程を含む方法。
【請求項54】
前記1つ以上の錘を前記クラブヘッドの前記質量中心を調整するように前記クラブヘッドのフェースと直交して延びる1つ以上のトラックを通って移動させる工程をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記1つ以上の錘を前記クラブヘッドから取り外す工程をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年3月5日に出願された米国特許仮出願第63/157,303号および2022年3月3日に出願された米国特許仮出願第63/316,234号の優先権を主張するものであり、これらはそれぞれ、以下に完全に記載されているものとして、その全体が参照により本出願に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ゴルフパターおよびその製造に関する。
【背景技術】
【0003】
平均的なゴルファーは、ゴルフの1回のラウンドにおけるストロークのうち40%を少し上回るストロークでパターを使用する。このラウンド中、ゴルファーは、14本のクラブを持ち込むことを許されており、彼らはバッグの中に、様々なドライバーおよびアイアンをしばしば持っているが、パターはたった1本しか持たない傾向がある。このことを踏まえると、各プレイヤーのゲームおよびその日のコース状態によく適したパターを持つことは、成功を収めるために非常に重要である。クラブフィッティングの専門家が個人にパターをフィッティングする際、3つの共通要素が検討される。すなわち、トゥハング、ロフトおよびフェース素材である。
【0004】
トゥハングは、ゴルフボールが位置する平面に対するパターフェースの開放度を調整するものであり、クラブのシャフトに対して当該フェースを回転させた角度によって示すことができる。あるプレイヤーにとって最も効果的なトゥハングの量は、スイングがどれだけ弧を描くかによって大きく左右されるため、1人のゴルファーのキャリアを通じて、パットが変化するにつれて変化し得る。トゥハングが0度のパターは、フェースバランスドと称され、それよりも角度が大きいものは、トゥハングを有するパターと称される。
【0005】
フェース素材を選択する際、金属からポリマーに至るまで多くの選択肢が市場に存在しており、ほとんどのゴルファーは、彼らにとって効果的なものを感覚に基づいて選択する。すなわち、ボールを打った際に、音、感覚およびボールとの接触に伴う全般的なユーザフィードバックが好ましいものであるかどうかである。これもまた、各ゴルファーにとって非常に個人的な選択である。
【0006】
最後に、ロフトとは、垂直平面に対するパターフェースの角度のことを指し、ほとんどのパターは、ボールに対して若干のリフトおよびスピンを与えるように傾斜している。あるゲームに最適なロフトの角度は、通常、季節、コース上の芝生の種類、コースがどれほど湿っているか、およびグリーン上の芝生の長さを考慮したコース状態に依存する。
【0007】
ゴルフクラブのフィッティングを行う際、これらの要素のそれぞれについて調整を行うためには、通常、3つすべての最適な組合せが見つかるまで複数本のクラブを試す必要がある。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの例では、ゴルフパタークラブヘッドは、連続する範囲の取付点、したがって、ある範囲のトゥハング値を与えるように、その内部でナットを摺動させることが可能な目盛り付きチャネルを含んでもよく、これは、予め決められた1つのシャフト取付点を有し、したがって、1つの設定されたトゥハング角に対してしか能力を発揮しない公知のゴルフクラブと比較して利点となる。例示的なゴルフパターは、連続するシャフト取付点がトゥハングに影響を及ぼすようにクラブヘッドの上部に丸みを帯びた矢印状の溝部を有するクラブヘッドを備えてもよい。シャフトは、チャネルにナットをねじ込むことによって取り付けることができる。
【0009】
いくつかの例では、ゴルフパタークラブヘッドは、ロフト値を変更することが可能であり、かつゴルフのゲームごとにカスタマイズしたロフト角を形成するように組み合わせ可能である着脱可能なフェースプレートを備えてもよく、これは、各パターに対して1つの設定されたロフト値を有する公知のゴルフクラブに対して利点となる。例示的なゴルフパタークラブヘッドは、より大きなロフト角を形成するように積み重ねられる、積み重ね可能なくさび状フェースプレートを備えてもよい。フェースプレートは、個々に、0.5度、1度および2度を有することができ、0.5度刻みで0.5度~3.5度のロフトを形成するように積み重ね可能である。フェースプレートは、2つの材料を含んでもよい。フェースプレートは、3D印刷されてもよい。フェースプレートは、クラブヘッドにねじ込まれてもよい。フェースプレートは、反転させて負の角度を形成してもよい。
【0010】
いくつかの例では、ゴルフパタークラブヘッドは、密度の異なる2種以上の金属を用いて印刷されてもよく、これは、2種以上の接合金属を有する公知のゴルフクラブと比較して利点となる。ゴルフパタークラブヘッドは、直接金属レーザ焼結法(Direct Metal Laser Sintering)によって製造されてもよい。ゴルフパタークラブヘッドは、1つの連続した金属片に製造されてもよい。2種以上の金属の比率は、クラブヘッドの質量中心を正確に制御するための勾配を有して空間的に分散させてもよい。
【0011】
いくつかの例では、ゴルフパタークラブヘッドは、構造を軽量化するために、クラブの中間部にハニカム構造を備えてもよい。ハニカム構造は、ゴルフパタークラブヘッドの全厚を貫通する、文字、図またはアルファベット表示を含む任意のデザインであってもよい。
【0012】
ゴルフパターの例示的なクラブヘッドは、チャネルと、連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で摺動するように構成され、かつ前記ゴルフパターのシャフトを前記クラブヘッドに固定して前記ゴルフパターの連続する範囲のトゥハング値を形成することができるように、前記シャフトを受け入れるように構成された取付機構とを備えてもよい。
【0013】
前記取付機構は、前記チャネル内で前記連続する範囲の位置にわたって摺動するように構成され、かつ前記シャフトのねじ付き端部を受け入れるように構成されたナットを含んでもよい。
【0014】
前記取付機構は、前記シャフトが前記ナットに緊密に挿通されている場合、前記取付機構による前記チャネルを通る移動を抑制するように構成されていてもよい。
【0015】
前記チャネルは、前記クラブヘッドの上面から下方を指す丸みを帯びた矢印状の断面形状を有してもよい。
【0016】
前記取付機構は、前記連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で摺動するように構成され、かつ前記シャフトのねじ付き端部を受け入れるように構成されたホーゼルを含んでもよい。
【0017】
前記チャネルは、前記クラブヘッドの上面から前記クラブヘッドの下面まで延びていてもよい。
【0018】
前記チャネルは、その内部に棚状部を含んでもよい。前記棚状部は、下向き面および上向き面を有してもよく、前記下向き面が前記クラブヘッドの前記下面に面し、前記上向き面が前記クラブヘッドの前記上面に面するようになっていてもよい。
【0019】
前記取付機構は、ねじおよびホーゼルを含んでもよく、前記ねじ頭部は、前記棚状部の前記下向き面に係合し、前記ホーゼルは、前記棚状部の上向き面に係合し、かつ、前記ねじは、前記ホーゼルにねじ込まれるようになっていてもよい。
【0020】
前記ホーゼルは、前記チャネル内での前記ホーゼルの回転を抑制する形状とされていてもよい。前記ねじは、前記連続する範囲の位置にわたる前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を可能とするよう緩められるように構成されていてもよい。前記ねじは、前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を抑制するよう締め付けられるように構成されていてもよい。
【0021】
第1ロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である1つ以上の着脱可能なフェースプレートをさらに備えてもよい。前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、別の着脱可能なフェースプレートと積み重ね可能である。
【0022】
前記第1ロフト角は、0.5度、1度または2度のいずれかであってもよい。
【0023】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、0.5度のロフト角、1度のロフト角および1.5度のロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能であってもよい。
【0024】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、2度のロフト角、2.5度のロフト角、3度のロフト角および3.5度のロフト角をさらに形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である。
【0025】
前記クラブヘッドは、複数の溝を含むフェースをさらに備えてもよく、前記複数の溝は、それぞれ、前記複数の溝の各溝同士の間隔が前記フェースの前記下面から離隔しかつ前記フェースの上面に接近する方向に垂直に増加するように前記フェースの下面と平行に延びている。
【0026】
前記クラブヘッドは、直接金属レーザ焼結法によって共に印刷された2種以上の金属をさらに備えてもよい。前記2種以上の金属の比率は、勾配を有して空間的に分散していてもよく、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている。
【0027】
前記コアは、ハニカムパターンを有してもよい。
【0028】
前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドの厚みの大部分を貫通し、かつ前記クラブヘッドの下面と平行に向けられているパターン化構造を備えてもよい。
【0029】
前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドの質量中心を調整するように前記クラブヘッド内で移動可能な1つ以上の錘を備えてもよい。
【0030】
前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドの質量中心を調整するように前記1つ以上の錘が前記トラック内で移動可能となるように、前記クラブヘッドのフェースと直交して延びる1つ以上のトラックを備えてもよい。前記1つ以上の錘は、前記クラブヘッドから取り外し可能であってもよい。
【0031】
ゴルフパターの別の例示的なクラブヘッドは、チャネルと、前記チャネル内で摺動するように構成されたナットを備えてもよい。前記ナットは、前記ゴルフパターのシャフトを受け入れるように構成された受け部を含んでもよい。
【0032】
前記チャネルおよびナットは、前記ゴルフパターの連続する範囲のトゥハング値を与えるように集合的に構成されていてもよい。
【0033】
前記チャネルは、前記ゴルフパターのトゥハング値の予測値を得るための目盛標示を有して構成されていてもよい。
【0034】
前記チャネルは、前記クラブヘッドの上部から下方を指す丸みを帯びた矢印形状を有してもよい。
【0035】
前記クラブヘッドは、第1ロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能である1つ以上の着脱可能なフェースプレートを備えてもよい。
【0036】
前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、別の着脱可能なフェースプレートと積み重ね可能であってもよい。
【0037】
前記第1ロフト角は、0.5度、1度および2度のいずれかであってもよい。
【0038】
ゴルフパターの別の例示的なクラブヘッドは、直接金属レーザ焼結法によって共に印刷された2種以上の金属を備えてもよい。前記2種以上の金属の比率は、勾配を有して空間的に分散しており、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている。
【0039】
ゴルフパターの別の例示的なクラブヘッドは、前記クラブヘッド内にハニカム構造を備えてもよい。
【0040】
ゴルフパターの別の例示的なクラブヘッドは、前記ゴルフパタークラブヘッドの全厚を貫通する文字、図またはアルファベット表示を含む任意のデザインからなるパターン化構造を備えてもよい。
【0041】
ゴルフパターのトゥハングを調整するための例示的な方法は、様々な順序で実行され、かつ当業者に理解される追加の工程を含む、以下の工程を含んでもよい。例示的な方法は、取付機構を前記ゴルフパターのクラブヘッド内でチャネルを通って移動させる工程を含んでもよい。例示的な方法は、前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程を含んでもよい。
【0042】
例示的な方法は、前記取付機構を連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で移動させる工程を含んでもよい。前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、ナットを前記チャネルを通って移動させる工程をさらに含んでもよい。前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、シャフトのねじ付き端部を前記ナットにねじ込む工程をさらに含んでもよい。前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内でホーゼルを移動させる工程をさらに含んでもよい。
【0043】
例示的な方法は、前記ホーゼルにシャフトを取り付ける工程を含んでもよい。前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、前記ホーゼルを前記チャネル内で棚状部の上向き面に係合させる工程と、前記ホーゼルの下向き面にねじをねじ込む工程と、前記ねじの頭部を前記棚状部の下向き面に係合させる工程とをさらに含んでもよい。
【0044】
前記取付機構を前記チャネルを通って移動させる工程は、前記取付機構による前記チャネルを通る平行移動を可能とするように前記ねじを緩める工程をさらに含んでもよい。前記取付機構を前記チャネル内で所定位置に固定する工程は、前記チャネル内での前記取付機構の平行移動を抑制するように前記ねじを締め付ける工程をさらに含んでもよい。
【0045】
ゴルフパタークラブヘッドのロフト角を調整するための例示的な方法は、様々な順序で実行され、かつ当業者に理解される追加の工程を含む、以下の工程を含んでもよい。例示的な方法は、第1ロフト角を形成するように、前記クラブヘッドに1つ以上の着脱可能なフェースプレートを取り付ける工程を含んでもよい。前記第1ロフト角は、0.5度、1度または2度のいずれかであってもよい。前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、0.5度のロフト角、1度のロフト角および1.5度のロフト角を形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能であってもよい。前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートは、2度のロフト角、2.5度のロフト角、3度のロフト角および3.5度のロフト角をさらに形成するように前記クラブヘッドに取り付け可能であってもよい。
【0046】
例示的な方法は、前記第1ロフト角よりも大きいか小さい第2ロフト角を形成するように、前記クラブヘッドにおいて前記1つ以上の着脱可能なフェースプレートを積み重ねる工程をさらに含んでもよい。
【0047】
ゴルフパタークラブヘッドを製造するための例示的な方法は、様々な順序で実行され、かつ当業者に理解される追加の工程を含む、以下の工程を含んでもよい。例示的な方法は、2種以上の金属を直接金属レーザ焼結法によって共に印刷する工程を含んでもよい。
【0048】
例示的な方法は、前記2種以上の金属の比率を、勾配を有して空間的に分散させる工程をさらに含んでもよく、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいている。
【0049】
例示的な方法は、前記クラブヘッドのコアにおいてハニカムパターンを形成する工程をさらに含んでもよい。
【0050】
例示的な方法は、前記クラブヘッドのコアの厚みの大部分を貫通し、かつ前記クラブヘッドの下面と平行に向けられているパターン化構造を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0051】
ゴルフパタークラブヘッドの質量中心を調整する例示的な方法は、様々な順序で実行され、かつ当業者に理解される追加の工程を含む、以下の工程を含んでもよい。例示的な方法は、1つ以上の錘を前記クラブヘッドの前記質量中心を調整するように前記クラブヘッド内で移動させる工程を含んでもよい。
【0052】
例示的な方法は、前記1つ以上の錘を前記クラブヘッドの前記質量中心を調整するように前記クラブヘッドのフェースと直交して延びる1つ以上のトラックを通って移動させる工程をさらに含んでもよい。
【0053】
例示的な方法は、前記1つ以上の錘を前記クラブヘッドから取り外す工程をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、ゴルフパターのトゥハングの図である。
図2図2は、ゴルフパターのロフト角の図である。
図3A図3Aは、縦方向ギア効果(vertical gear effect)に対する質量中心の影響を示す一連の図である。
図3B図3Bは、縦方向ギア効果(vertical gear effect)に対する質量中心の影響を示す一連の図である。
図3C図3Cは、縦方向ギア効果(vertical gear effect)に対する質量中心の影響を示す一連の図である。
図4A図4Aは、クラブフェースとボールとの斜めインパクトを示す図である。
図4B図4Bは、ボールの転がり率を示す図である。
図5図5は、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの例示的なコアの図である。
図6A図6Aは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコアの様々な図である。
図6B図6Bは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコアの様々な図である。
図6C図6Cは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコアの様々な図である。
図6D図6Dは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコアの様々な図である。
図6E図6Eは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコアの様々な図である。
図7図7は、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアへのパターシャフトの取付例の図である。
図8図8は、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアに対するパターシャフトの別の取付例の図である。
図9A図9Aは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアのチャネルの例示的な断面の図である。
図9B図9Bは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアのチャネルの例示的な断面の図である。
図10A図10Aは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアのチャネルにおいてナットにねじ込まれているシャフトのねじ付き端部を示す。
図10B図10Bは、本発明の態様に係るゴルフパタークラブヘッドのコアのチャネルにおいてナットにねじ込まれているシャフトのねじ付き端部を示す。
図11図11は、本発明の態様に係る2度フェースプレートの図である。
図12A図12Aは、本発明の態様に係る別の例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図12B図12Bは、本発明の態様に係る、ビルドプレートからクラブヘッドのフェースを取り外す前の製造時の図12Aに示す例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図13図13は、本発明の態様に係る、クラブヘッドのフェースから見た例示的なゴルフパタークラブヘッドの傾斜ネックホーゼル・ねじ組立体の図である。
図14図14は、本発明の態様に係る、クラブヘッドの下側から見た、例示的なゴルフパタークラブヘッドの棚状部に取り付けられたホーゼル・ねじ組立体の図である。
図15A図15Aは、本発明の態様に係る、クラブヘッドの上側から見た、シャフトを取り付けた図12Aに示す例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図15B図15Bは、本発明の態様に係る、クラブヘッドの下側から見た、図15Aに示す例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図15C図15Cは、本発明の態様に係る、クラブヘッドの上側から見た、ゼロオフセット・ホーゼルを取り付けた例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図16図16は、本発明の態様に係る例示的なゴルフパタークラブヘッドのフェースの図である。
図17A図17Aは、本発明の態様に係る、トゥハングがバランスドに調整された例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図17B図17Bは、本発明の態様に係る、トゥハングが30度および-10度に調整された例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。
図17C図17Cは、本発明の態様に係る、クラブヘッドのチャネルおよび取付機構の図である。
図18A図18Aは、本発明の態様に係る、クラブヘッドの上面にある不連続な取付機構の図である。
図18B図18Bは、本発明の態様に係る両ねじ付きシャフト取付具の図である。
図18C図18Cは、本発明の態様に係るねじ付きシャフトの図である。
図19A図19Aは、本発明の態様に係る、調整可能な質量中心を有する別の例示的なクラブヘッドの図である。
図19B図19Bは、本発明の態様に係る、クラブヘッドの質量中心を調整するためのインサートを含む、図19Aに示す例示的なクラブヘッドの図である。
図19C図19Cは、本発明の態様に係る、クラブヘッド内のインサートの図である。
図19D図19Dは、本発明の態様に係る、クラブヘッドから取り外されたインサートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書に示されるいくつかの例において、パターは、新しいものを試したくなるたびに新たなゴルフクラブを購入する必要なしに、その日のゲームのクラブを最適化するために、ゴルファーがトゥハング、フェース素材およびロフトをすべて1つのクラブにおいて調整することを可能にする方法で製造されるように設計される。パターヘッドにより、取り外しかつ積み重ね可能なフェースプレートと連続する範囲のシャフト取付点とを組み合わせて、ゴルファーが各要素をすべて1つのクラブにおいて調整することが可能となる。
【0056】
いくつかの例では、パターの製造では、金属付加製造のための3D印刷技術の機能が活用される。例えば、本明細書に記載されるパターの製造は、直接金属レーザ焼結(DMLS)および/または電子ビーム粉末床溶融結合(PBF-EB)技術などのレーザ粉末床溶融結合(LPBF)を含んでもよい。DMLSは、レーザを用いて金属粉末を固体に固体化することにより、格子構造および金属勾配を1つの連続片に一体化することを可能にする3D印刷プロセスである。これによって設計者に自由度が与えられ、このことは、クラブ内での質量中心の非常に明確な配置を可能にし、それにより、慣性モーメントを最適化して、カスタマイズ可能でありかつ許容性も高いクラブを作製することが可能となる。
【0057】
特定の例では、本明細書に記載されるパターを製造するための他の適した3D印刷技術には、指向性エネルギー堆積(DED)技術または指向性金属堆積(DMD)技術が含まれ得る。DEDおよびDMDは、収束した強力レーザビームによって生成された溶融プールに金属粉末または金属線を射出する、金属付加製造のための3D印刷プロセスである。
【0058】
LPBF技術およびDED技術またはDMD技術により、材料勾配を形成する密度の異なる2種以上の金属粉末を用いて、1つの凝集体を印刷する特殊な能力を実現することが可能となる。これは、質量中心(COM)をゴルフクラブにおいて意図的に配置して、許容性を高め、クラブの質量をよりいっそう制御することを可能にするのに有利である。いくつかの例においては、より密度の低い金属を比較的密度の高い金属と組み合わせてもよく、例えば、アルミニウムとタングステン、またはオスミウムとチタンが挙げられる。他の例では、ステンレス鋼粉末のみを使用してもよい。1種の金属を用いるか、あるいは2種の金属を用いることに加えて1種の金属を用いる場合は、クラブヘッド内で材料の密度を調整してCOMを意図的に配置してもよい。
【0059】
格子構造および金属勾配を操作して、パターの振動特性および他の機械特性を変化させてもよい。
【0060】
いくつかの例において、ゴルフパターのコアは、3Dプリンタ(例えば、EOS M 280プリンタ)上で316Lステンレス鋼に印刷されてもよい。印刷後、クラブヘッドは、切削手段(例えば、帯鋸)を用いて印刷版または印刷基板から取り外してもよく、支持体は、粉砕手段(例えば、ドレメル、砂)を用いて取り外してもよい。
【0061】
いくつかの例では、単一の材料を用いたパターの製造は、鋳造製造プロセス、機械加工製造プロセスおよびフライス加工製造プロセスによって行われてよい。溶融金属または溶融合金を金型に注入して、所望のパターパターンを形成してもよい。フライス加工により、ロータリーカッターを用いてパターから不要な材料を除去することによってパターをさらにパターン化してもよい。
【0062】
フェースパターンは、ボールに対する様々なインパクトを通じて好ましいボール回転および動きをもたらす、ゴルフパターの許容性に影響を与え得る。許容性の高いパターは、非常に望ましい特性である。なぜなら、すべてのショットがクラブのスイートスポットに必ずしも当たるわけではないからである。ミスヒットが起きた際にボールの速度を低下させ、それにより、パッティングゲーム全体に対する当該ヒットの影響を最小限とするように、クラブをより許容性の高いものとするため、クラブヘッド自体の質量分布特性にカスタマイズしたフライス加工パターンを利用してもよい。
【0063】
図1は、ゴルフパターのトゥハングの図である。シャフトは、クラブヘッドの質量中心からクラブヘッドのフェースを横切ってパターのヒールに向かって距離Aにわたってパターのクラブヘッドを貫通する軸を規定し、シャフトによって規定される軸は、質量中心からクラブヘッドの裏側に向かって距離Bにわたって延びる。シャフトによって規定される軸の質量中心からのオフセットにより、トゥハング角θTが形成される。ゼロ度のトゥハングを有するパターは、フェースバランスドと称される。ゼロ度を超えるパターは、トゥハングを有するパターと称される。
【0064】
図2は、ゴルフパターのシャフトによって規定される軸からのクラブヘッドのフェースの角度の測定値である、ゴルフパターのロフト角θLの図である。ほとんどのパターは、上方に傾斜していくらかのリフトおよびスピンをボールに与える。通常、あるゲームに最良のロフト角は、季節、試合が行われている芝生の種類、コースの湿気、グリーン上の芝生の長さを考慮に入れたコース状態に依存する。
【0065】
図3Aから図3Cは、縦方向ギア効果に対する質量中心の影響を示す一連の図である。縦方向ギア効果は、ボールの質量中心に対する、クラブの質量中心の相対位置の影響を受ける。図3Aは、正常な軌道およびスピンをもたらす、質量中心に対する中心インパクトを示す。図3Bは、より低い軌道およびより高いスピンをもたらす、ゴルフパタークラブヘッドのフェースにおけるボールの質量中心と比べてより低い部分に対するインパクトを示す。図3Cは、より高い軌道およびより低いスピンをもたらす、ゴルフパタークラブヘッドのフェースにおけるボールの質量中心と比べてより高い部分に対するインパクトを示す。
【0066】
図4Aは、クラブフェースとボールとの斜めインパクトを示す図である。縦方向ギア効果が転がり率に対してより大きな影響を有する一方で、斜めインパクトは、パターのロフトによって決定される。クラブフェースを上方にではなく下方に傾斜付けることにより、ユーザは、ボールにいくらかのトップスピンを与えるが、同時に、クラブフェースを地中に打ち込むことになり、これは、パターがアップスィングである場合には、ボールに接触することによって防止することができる。理論上、これは有用な概念であるが、タイミングよくボールに当てるために自身のスイングを調整することは、ゴルファーにとって困難である場合がある。本明細書において提示されるいくつかの例では、パターのロフトは、ゴルファーによって調整することが可能である。このような調整可能なロフトは、ゴルファーが、様々なコース状態において、および自身のスイングの動態について、ロフト角(正および負)の効果を試すことを可能にし得る。
【0067】
図4Bは、ボールの転がり率を示す図である。ロフトの効果は、概して、転がり率によって定量される。転がり率は、ボールの平行移動速度に対する、ボールの周速によって発生する縦方向スピンの比率を表す。ほとんどのパターの場合、これは、バックスピンを示す負の数字である。バックスピンは、制御性の低い動きである横滑りをもたらし得る。
【0068】
本明細書に開示される例示的なゴルフパタークラブヘッドは、上記に開示した有利な特徴のいくつかまたはすべてを含んでいてもよい。本明細書に開示される例示的なゴルフパタークラブヘッドは、適切な質量特性を有してもよい。ゴルフパタークラブヘッドは、全米ゴルフ協会(USGA)および/または英国ゴルフ協会の規則に準拠していてもよい。いくつかの例では、クラブヘッドは、上述のLPBF、PBF-EB、DMLS、DED、DMDおよび/またはLEN技術によって金属部品を作製する3Dプリンタを用いて製造される。いくつかの例では、クラブヘッドは、本体に格子構造を有する半多孔性である。いくつかの例では、比質量、質量中心および/または慣性中心は、格子構造の多孔度を制御することによって制御可能である。
【0069】
いくつかの例において、縦方向ギア効果およびトップスピンは、慣性モーメント(MOI)の低配置、低い質量中心、およびパターのフェースからはるか後ろの質量中心によって決定される。いくつかの例では、これらの特性は、パタークラブヘッドのボディ全体の材料の密度を変化させる傾斜機能多孔度(functionally graded porosity)(FGP)によって制御される。
【0070】
本明細書において示される例示的なゴルフパターは、説明の目的でのみ右利き用パターとする。本明細書における教示に従って当業者によって理解されるように、同様の特徴を有する左利き用パターを構成することができる。
【0071】
図5は、ゴルフパタークラブヘッドの例示的なコア100の図であり、コア100の上面を示す。コア100は、台形状部104と交差するy字状部102を含む。コア100は、トゥ側132、ヒール側134、フェース120および裏側136に向けられている。コア100は、シャフトの取り付けが可能なチャネル110をさらに含む。チャネル110は、連続するトゥハング値をもたらす連続する位置にわたってシャフトをコア100に取り付けることを可能とするように構成することができる。コア100のチャネル110によって与えられ得るトゥハング値により、図1に示されるように、負のトゥハング角(-θT)も可能にすることができる。
【0072】
図6Aないし図6Eは、ゴルフパタークラブヘッドの別の例示的なコア200の様々な図である。図6Aないし図6Eに示されるコア200は、図6Aないし図6Eに示される例示的なコア200のy字状部202が図5に示されるような中実構造ではなくハニカム格子パターンを有することを除き、図5に示されるコア100と同様に構成されている。
【0073】
図6Aおよび図6Bは、コア200の上側を示す。y字状部202は、台形状部204と交差している。コア200は、トゥ側232、ヒール側234、フェース220および裏側236に向けられている。コア200は、シャフトの取り付けが可能なチャネル210をさらに含む。コア200は、チャネル210内を摺動可能なナット212を含む。ナット212は、ゴルフパターのシャフトのねじ付き端部を受け入れるねじ付き受け部214を含む。これにより、ナット212は、シャフトをコア200に取り付けるための取付機構として機能することができる。
【0074】
図6Cは、コア200の下側の図である。チャネル210は、チャネル210がコア200の下側から視認できないように、コアの一部分のみを貫通している。
【0075】
図6Dおよび図6Eは、コアのフェース220を示す斜視図である。図6Dは、フェースプレート240をさらに含む。フェース220は、ねじを受け入れるように構成されたねじ付き受け部222を含む。フェースプレート240は、フェースプレート240をねじによってフェース220に取り付けることを可能とする形状とされた開口部242を含む。
【0076】
図7は、ゴルフパタークラブヘッドのコア100へのパターシャフト150の取付例の図である。コア100は、図5のコア100と同様に示されているが、図6Aないし図6Eに示されるコア200を代わりに用いることができる。シャフト150は、ナット112のねじ付き受け部114にねじ込まれることにより、パターコア100をシャフト150に取り付けることが可能なねじ付き端部154を含む。パターシャフト150は、ゴルフパターの使用中にシャフト150がクラブヘッドに対して移動せず、クラブヘッドから外れないように、クラブヘッドに固定することができる。シャフト150がクラブヘッドに固定されている場合、チャネル110内でのナット112の移動が抑制される。シャフト150のねじ付き端部154がナット112内にまたはナット112を貫通してしっかりとねじ込まれている場合、シャフト150をクラブヘッドに固定することができる。
【0077】
図8は、ゴルフパタークラブヘッドのコア200のパターシャフト250の取付例の図である。コア200は、図6Aないし図6Eのコア200と同様に示されているが、図5に示されるコア100を代わりに用いることができる。パターは、シャフト250とクラブヘッドコア200との接続部218を含む。パターは、接続部218をコア200に固定するねじ216を含む。パターシャフト250は、シャフト150がクラブヘッドに対して移動せず、ゴルフパターの通常の使用中にクラブヘッドから外れないように、クラブヘッドに固定することが可能である。シャフト250がクラブヘッドに固定されている場合、チャネル110に対する接続部218の移動が抑制される。
【0078】
図9Aおよび図9Bは、それぞれ、ゴルフパタークラブヘッドのコアのチャネル110、210の例示的な断面の図である。各チャネル110、210は、開口部111、211と、下向き面113、213と、台形117または丸みを帯びた三角形217の形状のヘッドとを含む矢印状の断面形状を有する。図9Aのチャネル110は、クラブヘッドの上面から下方を指す円錐台矢印状の断面形状を有する。図9Bに示されるチャネル210は、クラブヘッドの上面から下方を指す丸みを帯びた矢印状の断面形状を有する。
【0079】
図10Aおよび図10Bは、ゴルフパタークラブヘッドのコア200のチャネルにおいてナットにねじ込まれたシャフト150のねじ付き端部154を示す。
【0080】
図11は、フェースプレート240の上縁において第1幅W1を有し、フェースプレート240の下縁において第2幅W2を有する角度付きフェースプレート240の図である。第1幅および第2幅W1、W2の差により、コア200のフェース220に取り付けられた際にパターのロフト角θLを変化させる角度付き表面が形成され得る。このようなフェースプレート240は、ポリマー、アルミニウム6061や他の適した材料などのいくつかの材料で入手可能である。フェースプレート240により、ゴルファーは所望のロフト角度を選択することができる。また、フェースプレート240は、コンピュータによって設計可能であり(例えば、Solidworks)、適した材料(例えば、RPU130)を用いて3D印刷が可能である。フェースプレート240は、上部よりも下部において厚みが大きく、所定の傾斜(例えば、0.5度、1度および2度)を有するくさび形状とされていてもよい。フェースプレート240は、ある範囲のロフト値(例えば、0.5度刻みで0~+/-3.5度)を形成するように、同様の設計を有する他のフェースプレートと積み重ねられるように設計されてもよい。フェースプレートは、所望の角度まで積み重ねられ、次いで、クラブのフェースにねじ込まれてもよい。
【0081】
図12Aは、別の例示的なゴルフパタークラブヘッド300の図である。クラブヘッド300は、図13図14および図15Aから図15Bに示されるようなチャネル310をさらに含んでもよい。パターのトゥハングならびにクラブヘッド300の質量中心および慣性モーメントは、ゴルファーによって変更することができる。クラブヘッド300は、粗度が一様でないパターフェース320をさらに含んでもよく、これにより、より速やかな前方ロールが促進され得る。
【0082】
図12Bは、ビルドプレート370からクラブヘッド300のフェース320を取り外す前の製造時の例示的なゴルフパタークラブヘッド300の図である。クラブヘッド300は、上記に開示されたコア100、200と同様に印刷することができる。印刷後、クラブヘッド300は、ビルドプレート370に融着され、クラブヘッド300を損傷させることなく取り外すことができる。チャネル310の材料は、クラブヘッド300を印刷した後に除去することができる。
【0083】
図13は、クラブヘッド300のフェース320から見た、例示的なゴルフパタークラブヘッド300の傾斜ネックホーゼル360とねじ365との組立体の図である。ホーゼル360は、クラブヘッド300を貫通する下側部分364を有する。下側部分364は、チャネル310にぴったりと嵌入して、クラブヘッド300のホーゼル360の回転を抑制することができる矩形断面を有する。チャネル310は、クラブヘッド300の上面からクラブヘッド300の下面まで延びる。ホーゼル360とねじ365との組立体は、同じゴルフパターを、左右両手に使用することを可能にするか、あるいは右利きユーザまたは左利きユーザのそれぞれに対して適切に調整することを可能にするように、180度回転させることが可能である。
【0084】
図14は、クラブヘッド300の下側から見た、クラブヘッド300の棚状部372に取り付けられたホーゼル360とねじ365との組立体の図である。ホーゼル360の下部は、パターの基部付近の棚状部372に載置されている。張力によって棚状部372にホーゼル360を保持するために、標準化ゴルフねじ365を使用することができる。ねじ365は、ホーゼル360にねじ込まれる。ねじ365のねじ頭部は、棚状部372の下向き面と係合し、ホーゼル360は、棚状部372の上向き面と係合する。ねじ365は、連続する範囲の位置にわたるチャネル310内でのホーゼル360の平行移動を可能にするように緩めることが可能である。ねじ365は、チャネル310内でのホーゼル360の移動を抑制するとともに、ホーゼル360をクラブヘッド300に対して所定位置に固定するために締め付けることが可能である。
【0085】
ホーゼル360は、ゴルフ用エポキシなどの接着材または標準ねじ締結具を用いたシャフト350への接続を可能にすることができる上側部分362を含む。シャフト350、ホーゼル360およびクラブヘッド300間の接続により、標準的なプレー中の一般的な力に耐えるのに十分な安定性を確保することができる。シャフト350、ホーゼル360およびクラブヘッド300間の接続により、パターフェース320に対するシャフト軸の位置であるオフセットをホーゼル360に与えるのに十分な安定性を確保することができる。これにより、傾斜ネックホーゼル360およびゼロオフセット・ホーゼルを含む様々なスタイルのホーゼル360からなる多くの異なる組合せが導入される。
【0086】
図15Aは、クラブヘッド300の上側から見た、シャフト350を取り付けた例示的なゴルフパタークラブヘッド300の図である。クラブヘッド300は、フェース320に対して中心に配置されかつフェース320から直交して延びるサイトライン380を含んでもよい。クラブヘッド300は、サイトライン380に対して対称であってもよい。
【0087】
図15Bは、クラブヘッド300の下側から見た、例示的なゴルフパタークラブヘッド300の図である。クラブヘッド300は、パターの総重量を減少させるためのキャビティを含む。クラブヘッド300は、内部に錘を配置することが可能な一対のトラック366、368を含む。一対のトラックは、トゥ側トラック366およびヒール側トラック368を含む。錘369は、クラブヘッドの重心および慣性モーメントを調整するように配置することができる。錘369は、クラブヘッド300に対して着脱可能である。錘369は、質量中心の位置、それによって寸法AおよびB、またそれによってトゥハングθT図1)およびクラブヘッドの慣性モーメントを調整するように配置することができる。重心を前方に移動させることにより、スタート方向がより一定であり、かつミスヒット時のボール速度がそれほど一定でないブレード状のパターが作製される。重心を後方に移動させることにより、ミスヒット時のボール速度がより一定となり、スタート方向がそれほど一定でなくなる。さらに、錘は、一方の側で積み重ねて、重心をトゥまたはヒールに向かって移動させることができる。これは、調整可能なドライバーにおけるドローバイアスおよびフェードバイアスと同様に、フェースの閉度に影響を及ぼし得る。これらの錘を有することにより、パターの総重量を調整することができるように、錘の大きさを交換可能にすることもできる。
【0088】
図15Cは、クラブヘッド300の上側から見た、シャフト350を取り付けた例示的なゴルフパタークラブヘッド300の図である。クラブヘッド300は、トゥ側332、ヒール側334、フェース320および裏側336に向けることができる。クラブヘッド300はまた、フェース320に対して中心に配置され、かつフェース320から直交して延びるサイトライン380も含んでもよい。クラブヘッド300は、サイトライン380に対して対称であってもよい。いくつかの例では、ゼロオフセット・ホーゼル360Bは、シャフト350を取り囲んでおらず、逆に、シャフトからパターへの移行がきれいに見えるように、シャフト350がホーゼル360Bを取り囲んでいる。インパクトのピッチを制御しつつ、最大値からゼロまでのトゥハングおよび負のトゥハングを可能にするために、ゼロオフセット・ホーゼル360Bは、チャネルをできる限り埋めるように極めて幅広であってもよい。さらに、ゼロオフセット・ホーゼル360Bは、ホーゼルのオフセットを反転させることなく、パターを右利き用クラブから左利き用クラブに切り換えることを可能にし得る。これは、商業販売用の大規模製造に役立ち得るユニークな特徴である。ゴルファーは、パッティンググリーン上で、器用さの変化を試すこともできる。
【0089】
図16は、ゴルフパタークラブヘッド300の例示的なフェース320の図である。フェース320は、フェース320の下面および/またはクラブヘッド300の下面と平行な溝330を含んでもよい。溝の間隔は、フェース320の上面に向かって、フェース320の下面から離隔する方向に垂直に増加してもよい。例えば、フェース320の下面付近の溝は、フェース320の上面付近の溝の間隔H1よりも小さい間隔H2を有してもよい。溝の間隔は、フェース320の高さの大部分にわたってH2からH1へと徐々に増加してもよい。溝の間隔が狭いと、フェース320からのボール速度が低下する場合がある。これは、インパクト時のボールとの接触表面積が小さくなるためである。段階的な溝間隔により、ゴルフボールの下部よりもわずかに高いボール速度でゴルフボールの上側部分を打つことができ、これにより、インパクト後の速やかな前方ロールを促進することができる。
【0090】
図17Aは、トゥハングがバランスドに調整された例示的なゴルフパタークラブヘッドの図である。クラブヘッドにはトゥハング角の標示が付されており、シャフトが取り付けられた状態でナットまたは他の取付機構が所与の標示に隣接して配置されると、パターがその標示の角度にほぼ等しいトゥハング角を有するようになっている。
【0091】
図17Bは、トゥハングが30度および-10度に調整された例示的なゴルフパタークラブヘッドの図を示す。図示は省略するが、チャネルおよび取付機構により、連続するトゥハング角を形成する連続する位置を提供することができる。
【0092】
図17Cは、クラブヘッドのチャネルおよび取付機構の図である。
【0093】
図18Aは、クラブヘッドの上面にある不連続な取付機構の図である。チャネルの代わりに、クラブヘッドは、クラブヘッドの上面の所定位置に固定された多数の取付機構を有してもよく、シャフトは、取付機構のうちいずれか1つにおいて、不連続な数のトゥハングのうちのいずれか1つに取り付けられてもよい。クラブヘッドは、シャフト取付点として、ヘッドの上部に沿って不連続なねじ穴を含んでもよい。
【0094】
図18Bは、両ねじ付きシャフト取付具の図である。
【0095】
図18Cは、ねじ付きシャフトの図である。
【0096】
図19Aは、調整可能な質量中心を有する別の例示的なクラブヘッドの図である。
【0097】
図19Bは、クラブヘッドの質量中心を調整するようにユーザによってクラブヘッド内に配置することが可能な格子構造およびインサートを含む例示的なクラブヘッドの図である。
【0098】
図19Cは、クラブヘッド内のインサートの図である。インサートは、クラブヘッドに対する挿入および取外しを容易にするタブを含んでもよい。
【0099】
図19Dは、クラブヘッドから取り外したインサートの図である。
【0100】
当業者には理解されるように、例示的なクラブヘッドおよびパターの上述の特徴は、当業者によって組み合わせることが可能である。例えば、図12Aないし図16に示されるクラブヘッド300は、図6D図6Eおよび図11に示されるものと同様の着脱可能なフェースプレート240を含むように変更することが可能である。例えば、図5ないし図11に示されるクラブヘッド100、200は、図13ないし図16に示されるものと同様に構成されたチャネル310、ホーゼル360およびねじ365を含むように変更することが可能である。例えば、図5ないし図11に示されるクラブヘッド300は、図5ないし図10Bに示されるものと同様に構成されたチャネル110、210を含むように変更することが可能である。例えば、図5ないし図11に示されるクラブヘッド100、200は、質量中心および/または慣性モーメントを調整するための摺動錘システムを含むように変更することが可能である。例えば、図6Aないし図6Eに示されるクラブヘッド200は、図19Aないし図19Eに示されるもの同様に構成された取り外し可能なインサートを含むように変更することが可能である。例えば、着脱可能なフェースプレート240は、図16に示されるようにパターン化されたクラブヘッドフェースを提供するようにパターン化してもよい。図示は省略するが、クラブヘッドおよびパターは、グリッド、ワッフルパターン、ハニカムパターン、網目状溝パターン、半円パターン等を含む追加のフェースパターンを有してもよい。
【0101】
当業者には理解されるように、本明細書に開示されるクラブヘッドおよびその変形物は、マレット形状およびブレード形状を含む様々な形状を有するようにさらに変更することが可能である。本明細書に開示されるクラブヘッドおよびその変形物は、クラブヘッドの質量中心を調整するためにクラブヘッドのフェースと平行に錘を平行移動させることができるように、摺動錘システムを含むようさらに変更することが可能である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
トゥ側トラックであって、前記トゥ側トラックを通って前記ゴルフクラブヘッドのフェースとほぼ直交して移動するように構成された錘を含むトゥ側トラックと、
ヒール側トラックであって、前記トゥ側トラックを通って前記ゴルフクラブヘッドの前記フェースとほぼ直交して移動するように構成された錘を含むヒール側トラックと
を備えるゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記トゥ側トラックに含まれる前記錘および前記ヒール側トラックに含まれる前記錘は、それぞれ、前記ゴルフクラブヘッドの下側からアクセス可能である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記トゥ側トラックに含まれる前記錘および前記ヒール側トラックに含まれる前記錘は、それぞれ、前記ゴルフクラブヘッドの重心および慣性モーメントを調整するように構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記トゥ側トラックは、前記ゴルフクラブヘッドの前記フェースから裏側までの長さの大部分にわたって延び、
前記ヒール側トラックは、前記ゴルフクラブヘッドの前記フェースから前記裏側までの長さの大部分にわたって延びている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
マレットパターヘッドとして構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記トゥ側トラックの前記錘は、止めねじを含み、前記ヒール側トラックの前記錘は、止めねじを含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記トゥ側トラックの前記錘は、前記トゥ側トラックに沿って連続して配置されるように構成され、
前記ヒール側トラックの前記錘は、前記ヒール側トラックに沿って連続して配置されるように構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記トゥ側トラックは、前記ゴルフクラブヘッドの中心線を中心に前記ヒール側トラックに対して対称であり、前記中心線は、前記フェースと直交している、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドの裏側付近に前記トゥ側トラックと前記ヒール側トラックとの間隙を有する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記フェースと平行であり、かつ前記ゴルフクラブヘッドの上側にあるチャネルと、
連続する範囲の位置にわたって前記チャネル内で摺動するように構成され、かつゴルフパターのシャフトを前記ゴルフクラブヘッドに固定して前記ゴルフパターの連続する範囲のトゥハング値を形成することができるよう前記シャフトを受け入れるように構成されたホーゼルとを備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
第1ロフト角を形成するように前記ゴルフクラブヘッドに取り付け可能である1つ以上の着脱可能なフェースプレートを備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記フェースは複数の溝を含み、前記複数の溝は、それぞれ、前記複数の溝の各溝同士の間隔が前記フェースの前記下面から離隔しかつ前記フェースの上面に接近する方向に垂直に増加するように前記フェースの下面と平行に延びている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
勾配を有して空間的に分散している2種以上の金属を備え、前記クラブヘッドの質量中心は、少なくとも部分的に前記勾配に基づいて予め決定されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
ハニカムパターンを有するコアを備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記トゥ側トラックに含まれる前記錘および前記ヒール側トラックに含まれる前記錘は、それぞれ、前記ゴルフクラブヘッドから取り外し可能である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年3月5日に出願された米国特許仮出願第63/157,303号および2022年3月3日に出願された米国特許仮出願第63/316,234号の優先権を主張する、2022年3月4日に出願された国際特許出願第PCT/US22/18982号の国内段階の出願であり、これらはそれぞれ、以下に完全に記載されているものとして、その全体が参照により本出願に援用される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
図16は、ゴルフパタークラブヘッド300の例示的なフェース320の図である。フェース320は、フェース320の下面および/またはクラブヘッド300の下面と平行な溝330を含んでもよい。溝の間隔は、フェース320の上面に向かって、フェース320の下面から離隔する方向に垂直に増加してもよい。例えば、フェース320の下面384付近の溝は、フェース320の上面382付近の溝の間隔H1よりも小さい間隔H2を有してもよい。溝の間隔は、フェース320の高さの大部分にわたってH2からH1へと徐々に増加してもよい。溝の間隔が狭いと、フェース320からのボール速度が低下する場合がある。これは、インパクト時のボールとの接触表面積が小さくなるためである。段階的な溝間隔により、ゴルフボールの下部よりもわずかに高いボール速度でゴルフボールの上側部分を打つことができ、これにより、インパクト後の速やかな前方ロールを促進することができる。
【国際調査報告】