(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】設計データに基づくコンポーネントキャリアの物理的特性の測定
(51)【国際特許分類】
G01B 7/06 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
G01B7/06 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553643
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2022079323
(87)【国際公開番号】W WO2022184168
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202110246549.9
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519003745
【氏名又は名称】エーティーアンドエス (チャイナ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ディノ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ケティ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フェレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,アンディ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,セシリ
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA16
2F063BA26
2F063BA27
2F063BB02
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA05
2F063DB05
2F063DC08
2F063DD02
2F063GA03
2F063GA08
(57)【要約】
コンポーネントキャリア(10)は、少なくとも1つの電気絶縁層(12)と、電気絶縁層(12)上の少なくとも1つの導電層(14)と、を含む。コンポーネントキャリア(10)の物理的特性(24)を測定するための方法は、コンポーネントキャリア(10)上の複数の測定区域(72)を決定するステップと、各測定区域(72)内の測定ポイント(26)を決定するステップと、各測定ポイント(26)において物理的特性(24)の測定を行うステップと、を含み、複数の測定区域(72)のうちの少なくとも1つおよび測定ポイント(26)の少なくとも一方が、コンポーネントキャリア(10)の設計データ(64)に基づいて、複数の測定区域(72)のうちの少なくとも1つおよび測定ポイント(26)の少なくとも一方が設計データ(64)において利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように、決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントキャリア(10)の物理的特性(24)を測定するための方法であって、前記コンポーネントキャリア(10)が、少なくとも1つの電気絶縁層(12)と、前記電気絶縁層(12)上の少なくとも1つの導電層(14)と、を含み、
前記方法が、
前記コンポーネントキャリア(10)上の複数の測定区域(72)を決定するステップと、
各測定区域(72)内の測定ポイント(26)を決定するステップと、
各測定ポイント(26)において前記物理的特性(24)の測定を行うステップと、を含み、
前記複数の測定区域(72)のうちの少なくとも1つおよび前記測定ポイント(26)の少なくとも一方が、前記コンポーネントキャリア(10)の設計データ(64)に基づいて、前記複数の測定区域(72)のうちの前記少なくとも1つおよび前記測定ポイント(26)の少なくとも一方が前記設計データ(64)において利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように、決定される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
各測定区域(72)において複数の測定ポイント(26)が決定される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記設計データ(64)が、
電気絶縁層(12)上の導電層(14)の部分によってもたらされる伝導区域の拡張、
導電層(14)の厚さ、
前記コンポーネントキャリア(10)の前記導電層(14)および前記電気絶縁層(12)の少なくとも一方の少なくともいくつかを通る穿孔した孔(20)の位置、
のうちの少なくとも1つを符号化する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記物理的特性が、前記コンポーネントキャリア(10)の層の厚さ(24a)であり、
前記測定が、層の厚さ測定である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記測定が、非破壊的なやり方で行われる、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記設計データ(64)において利用可能な予め定義された特徴が、前記導電層(14)の部分であり、前記部分が、最小区域よりも大きい区域を有する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記設計データ(64)において利用可能な予め定義された特徴が、前記コンポーネントキャリア(10)の穿孔した孔(20)のない領域およびビア(18)のない領域の少なくとも一方である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記コンポーネントキャリア(10)の基準ポイント(58)を決定するステップをさらに含み、前記測定ポイント(26)が前記基準ポイント(58)を基準として決定される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記コンポーネントキャリア(10)の少なくとも一部分を走査することによって、前記コンポーネントキャリア(10)の識別子(62)を決定するステップと、
前記識別子(62)から前記設計データを決定するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
複数の等しく設計されたコンポーネントキャリア(10)の物理的特性(24)が測定され、
前記複数のコンポーネントキャリア(10)に対する前記測定が行われる前に、前記複数のコンポーネントキャリア(10)に対する前記測定ポイント(26)が決定される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
測定ポイント(26)における前記物理的特性(24)の測定値が予め定義された範囲外であるとき、前記コンポーネントキャリア(10)を欠陥ありと評価するステップと、
欠陥ありと評価されたコンポーネントキャリア(10)をさらなる製造から自動的に外すステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項12】
コンポーネントキャリア(10)の物理的特性(24)を測定するためのコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行されるときに、請求項1に記載の方法のステップを実行するように適合された、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
コンポーネントキャリア(10)の物理的特性(24)を測定するための測定システム(48)であって、前記測定システムは、
前記コンポーネントキャリア(10)上の複数の測定区域(72)を決定し、各測定区域(72)内の測定ポイント(26)を決定するための評価デバイス(66)と、
前記物理的特性の前記測定を行うための測定デバイス(38)と、を含み、
前記複数の測定区域(72)のうちの少なくとも1つおよび前記測定ポイント(26)の少なくとも一方が、前記コンポーネントキャリア(10)の設計データ(64)に基づいて、前記複数の測定区域(72)のうちの前記少なくとも1つおよび前記測定ポイント(26)の少なくとも一方が前記設計データ(64)において利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように、決定される、測定システム(48)。
【請求項15】
請求項14に記載の測定システム(48)であって、
前記測定デバイス(38)が、前記コンポーネントキャリア(10)の前記物理的特性(24)を決定するための特性センサ(54)を含み、前記特性センサ(54)が移動手段(53)によって移動可能である、測定システム(48)。
【請求項16】
請求項14に記載の測定システム(48)であって、
前記測定デバイス(38)が、前記コンポーネントキャリア(10)を置くためのテーブル(50)と、前記テーブル(50)上の前記コンポーネントキャリア(10)を位置合わせするための位置合わせ手段(52)と、前記コンポーネントキャリア(10)の基準ポイント(58)を決定するための位置センサ(56)と、を含む、測定システム(48)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポーネントキャリアの物理的特性を測定するための方法、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子および電気コンポーネントは、コンポーネントキャリアと電気的および機械的に相互接続されることがあり、コンポーネントキャリアは1つ以上の電気絶縁層と、電気絶縁層の上および間に配置された1つ以上の導電層とからなっていてもよい。導電層は、導電経路を生成するための構造化およびパターン形成化の少なくとも一方がなされていてもよい。異なる層の導電経路は、ビアすなわち導電ポストによって電気的に相互接続されてもよく、ビアは、層に対して実質的に直交するように配列されること、および1つ以上の電気絶縁層を通って突出することの少なくとも一方である。
【0003】
通常、コンポーネントキャリアは、絶縁層をたとえば銅などの金属でめっきして、このやり方で生成された導電層に構造体をエッチングすることによって作製される。結果として得られた複数の中間生成物が付着されて、再びこのやり方で処理されてもよい。ビアは、めっきの前に中間生成物に穿孔することによって作製されてもよく、次いでめっきの間に、生成された孔に金属が充填されてもよい。
【0004】
めっきの間に生成されエッチングによって部分的に減少する導電層の厚さは、制御およびチェックするべき非常に重要なプロセスパラメータである。通常、このチェックは、コンポーネントキャリアの専用ポイントにおける厚さ測定によって行われ、この専用ポイントでは、ビアも空洞も測定プロセスを妨げないということが確実になされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
より一般的には、コンポーネントキャリアの製造中に、たとえば絶縁層の厚さ、導電路の幅、ビア直径、空洞の深さなどの他のプロセスパラメータおよび物理的特性の少なくとも一方も、チェックおよび制御するべき場合がある。
【0006】
本発明の目的は、コンポーネントキャリアの物理的特性の測定の自動化、加速化、および改善を行うことである。
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる例示的実施形態は、従属請求項および以下の記載から明らかである。
【0008】
本発明の第1の態様は、コンポーネントキャリアの物理的特性を測定するための方法であって、コンポーネントキャリアが、少なくとも1つの電気絶縁層と、電気絶縁層上の少なくとも1つの導電層と、を含む方法に関する。物理的特性は、コンポーネントキャリアの測定可能な特性であってもよく、それはたとえば電気絶縁層および導電層の少なくとも一方の部分の厚さ、幅、または深さなどである。一例として、物理的特性は導電層の厚さであってもよい。
【0009】
コンポーネントキャリアは、たとえばレジスタ、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、集積回路などの電気コンポーネントおよび電子コンポーネントの少なくとも一方を電気的および機械的に相互接続するために設計されてもよい。導電パターンが分離されて導電経路になってもよく、それらは異なる層の間でビアによって相互接続されてもよい。コンポーネントキャリアは回路基板であってもよい。
【0010】
導電層は、電気絶縁層上に金属をめっきすることによって形成されてもよい。エッチングによって、導電層のパターンが形成されてもよい。コンポーネントキャリアを通る孔を穿孔し、孔の中に金属をめっきすることによってビアが形成されてもよい。
【0011】
本発明の実施形態によると、この方法は、コンポーネントキャリア上の複数の測定区域を決定するステップと、各測定区域内の測定ポイントを決定するステップと、各測定ポイントにおいて物理的特性の測定を行う(または、少なくとも命令する)ステップと、を含む。この方法は、測定を行う測定デバイスの制御および命令の少なくとも一方を行う評価デバイスによって自動的に行われてもよい。
【0012】
測定区域は、コンポーネントキャリアの側面における区域および領域の少なくとも一方であってもよい。実質的に均一に分布する測定ポイントにおいて測定が行われ得るように、コンポーネントキャリアに関して測定区域が分布してもよい。このことは、測定ポイントが最小距離よりも長くかつ最大距離よりも短い距離を有するように選択され得るように、測定区域が選択されることを意味してもよい。
【0013】
複数の測定区域のうちの少なくとも1つおよび測定ポイントの少なくとも一方が、コンポーネントキャリアの設計データに基づいて、複数の測定区域のうちの少なくとも1つおよび測定ポイントの少なくとも一方が設計データにおいて利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように、決定される。
【0014】
測定区域のうちの1つ、いくつか、またはすべては、コンポーネントキャリアの設計データに基づいて、設計データにおいて利用可能および符号化済の少なくとも一方である少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置に測定区域があるように決定されてもよい。
【0015】
設計データは、コンポーネントキャリアの設計を符号化したデータであってもよい。たとえば設計データは、電気絶縁層および導電層の少なくとも一方の数および厚さの少なくとも一方の符号化および記述の少なくとも一方を行ってもよい。特に、設計データは、導電層のパターンおよび構造の少なくとも一方の符号化および記述の少なくとも一方を行ってもよい。これは、設計データにおいて、金属材料が存在する区域および導電層から金属材料がエッチング除去された区域の少なくとも一方の符号化および記述の少なくとも一方が行われることを意味してもよい。設計データは、導電層において、金属材料が存在する領域と、金属材料が存在しない領域との間の境界を定義するポイントおよびCADデータの少なくとも一方を含んでもよい。
【0016】
設計データは、コンポーネントキャリアを通るビアおよび穿孔した孔の少なくとも一方の記述および符号化の少なくとも一方を行ってもよい。ビアおよび穿孔した孔の少なくとも一方の符号化および記述の少なくとも一方は、それらの位置、深さ、拡張、および直径のうちの少なくとも1つによって行われてもよい。
【0017】
さらに設計データは、コンポーネントキャリア内の空洞が存在する場所の記述および符号化の少なくとも一方を行ってもよい。こうした空洞は、電気コンポーネントおよび電子コンポーネントの少なくとも一方を受けるために適合されてもよい。設計データは、空洞の面を定義するポイントおよびCADデータの少なくとも一方を含んでもよい。
【0018】
コンポーネントキャリアは、設計データによって自動的に製造されてもよい。設計データはめっきデバイスに入力されてもよく、そして、めっきデバイスは設計データにおいて定義された厚さの金属層を、電気絶縁層上にめっきする。設計データはエッチングデバイスに入力されてもよく、そして、エッチングデバイスは、設計データにおいて定義されたような導電層が生成されるように金属層をエッチングして、パターンおよび構造体の少なくとも一方にする。設計データは穿孔デバイスに入力されてもよく、穿孔デバイスは設計データにおいて定義されたように、コンポーネントキャリアを通る孔を穿孔する。設計データは、たとえば設計データにおいて定義されるものなどの空洞を生成するための鋸引きデバイスに入力されてもよい。
【0019】
たとえば、設計データにおいてコンポーネントキャリア全体の拡張の符号化および記述の少なくとも一方がなされている場合などに、設計データから測定区域が決定されてもよい。たとえば、測定区域の数が固定されてもよく、測定区域はコンポーネントキャリアの側面全体に分布してもよい。
【0020】
代替的および付加的に、測定ポイントはコンポーネントキャリアの設計データに基づいて、設計データにおいて利用可能および符号化済の少なくとも一方である少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置に測定ポイントがあるように、決定されてもよい。
【0021】
測定区域が決定されたとき、各測定区域において測定ポイントが探索される。測定ポイントは、設計データにおいて利用可能および符号化済の少なくとも一方である少なくとも1つの予め定義された特徴を有してもよい。こうした予め定義された特徴は、コンポーネントキャリア上の金属材料が存在する場所や、穿孔した孔が存在しない場所、空洞が存在しない場所などであってもよい。また、こうした予め定義された特徴は、穿孔した孔および空洞の少なくとも一方が存在することであってもよい。一般的に、予め定義された特徴は、コンポーネントキャリアの他の特性に妨げられずに測定が行われ得るコンポーネントキャリアの特性であってもよい。
【0022】
一例として、導電層の厚さ測定が、この方法によって行われる測定である場合、少なくとも1つの予め定義された特徴は、金属材料が存在しかつ金属材料の下にビアが存在しない区域を、含む。
【0023】
評価デバイスは、それぞれの測定区域において、少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置および区域の少なくとも一方が存在するかどうか、設計データを走査してもよい。こうした位置が見つけられたとき、この位置が測定ポイントとして用いられてもよい。
【0024】
最後に、測定ポイントにおける測定が行われる。評価デバイスは、センサを測定ポイントに移動して、各測定ポイントにおいて測定を行うように、測定デバイスに制御および命令の少なくとも一方を行ってもよい。このために、測定デバイスは、センサが取り付けられたアームまたはより一般的には移動手段を含んでもよい。
【0025】
本発明の実施形態によると、この方法はさらに、測定区域において少なくとも1つの予め定義された特徴を有する測定ポイントが見つからないときに、測定区域を拡張して、拡張された測定区域において測定ポイントを決定するステップを含む。測定区域における測定ポイントの走査中に、設計データにおいて利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴のすべてが存在する位置および領域の少なくとも一方が見つからない場合がある。その場合は、測定区域のサイズを増加させることによって測定区域が拡張されてもよい。たとえば、測定区域は矩形であってもよく、その矩形の辺が伸長されてもよい。別の例として、測定区域は円形であってもよく、その円形の直径が伸長されてもよい。
【0026】
本発明の実施形態によると、各測定区域において複数の測定ポイントが決定される。これらの測定ポイントの各々は、少なくとも一つの予め定義された特徴を有していてもよい。そして、これらの測定ポイントの各々において測定が行われてもよい。こうしたやり方で、測定区域における測定値が互いに比較され得る。
【0027】
本発明の実施形態によると、コンポーネントキャリアは矩形の形状を有する。測定区域がコンポーネントキャリアの角に配置されること、および測定区域がコンポーネントキャリアの中央に配置されることの少なくとも一方であってもよい。これらの測定ポイントすべてにおける測定は、コンポーネントキャリア全体に対する物理的特性を表してもよい。一般的に、測定区域はコンポーネントキャリア上に均一に分布していてもよい。
【0028】
本発明の実施形態によると、測定区域は矩形の形状を有する。設計データのどの部分がそれぞれの測定区域と関連するかを決定するために、こうした形状が設計データにおけるポイントと容易に交差させることができる。しかし、たとえば円形などの他の形状も可能であってもよい。
【0029】
本発明の実施形態によると、設計データは、電気絶縁層上の導電層の部分によってもたらされる伝導区域の拡張、導電層の厚さ、コンポーネントキャリアの導電層および電気絶縁層の少なくとも一方の少なくともいくつかを通る穿孔した孔の位置のうちの少なくとも1つを符号化する。すでに上述したように、設計データは、コンポーネントキャリアを自動的に製造するために使用されてもよい。
【0030】
本発明の実施形態によると、物理的特性は、コンポーネントキャリアの層の厚さであり、測定は、層の厚さ測定である。層の厚さは、表面層と、たとえば表面層の下の層などのその他の導電層と、の少なくとも一方の層の厚さであってもよい。こうした測定によって、電気絶縁層の上に十分な金属材料がめっきされたかどうか、および導電層の導電率が十分に高いかどうか、の少なくとも一方が決定されてもよい。
【0031】
本発明の実施形態によると、測定は、非破壊的なやり方で行われる。たとえば、測定は渦電流測定、誘導測定、およびx線測定のうちの少なくとも1つに基づくものであってもよい。対応するセンサが測定デバイスによって提供されてもよい。
【0032】
本発明の実施形態によると、設計データにおいて利用可能および符号化済の少なくとも一方である予め定義された特徴は、たとえば測定ポイントを囲むなどする伝導層の部分であり、その部分は最小区域よりも大きい区域を有する。測定区域における設計データの走査中に、導電層の一区域が探索されてもよく、その区域は少なくとも特定の区域を有する。このような区域では一様な厚さが保証されてもよく、厚さ測定が行うことができる。
【0033】
本発明の実施形態によると、設計データにおいて利用可能および符号化済の少なくとも一方である予め定義された特徴は、たとえば測定ポイントを囲むなどする領域および区域の少なくとも一方であり、この領域は、コンポーネントキャリアの穿孔した孔のない領域およびビアのない領域の少なくとも一方である。穿孔した孔およびビアの少なくとも一方は、その穿孔した孔およびビアの少なくとも一方の上にある導電層の区域の厚さ測定を妨げることがある。穿孔した孔のない区域およびビアのない区域の少なくとも一方は、目視検査によって容易に見つからないことに留意するべきである。なぜなら、導電層がこうした特徴を被覆し得るからである。よってこの方法は、技術者によって行われる測定を著しく改善するだろう。
【0034】
本発明の実施形態によると、この方法はさらに、コンポーネントキャリアの基準ポイントを決定するステップを含み、測定ポイントは基準ポイントを基準として決定される。測定デバイスは、コンポーネントキャリアの角またはその他の基準ポイントを決定するための手段を含んでもよい。
【0035】
本発明の実施形態によると、この方法はさらに、コンポーネントキャリアの少なくとも一部分を走査することによってコンポーネントキャリアの識別子を決定するステップと、その識別子から設計データを決定するステップと、を含む。識別子は、コンポーネントキャリア上に提供されるコンピュータ可読コードであってもよい。この識別子は、測定デバイスのスキャナによって走査されてもよい。評価デバイスは、それぞれの識別子によってコンポーネントキャリアの設計データを決定するために適合されてもよい。たとえば、識別子および識別子を記憶するルックアップテーブルの少なくとも一方から、設計データに対するリンクが決定されてもよい。
【0036】
本発明の実施形態によると、複数の等しく設計されたコンポーネントキャリアの物理的特性が測定され、複数のコンポーネントキャリアに対する測定が行われる前に、複数のコンポーネントキャリアに対する測定ポイントが決定される。この方法によって、複数の等しく設計されたコンポーネントキャリアが処理されてもよい。この場合、設計データおよび測定区域および測定ポイントのうちの少なくとも1つは1度だけ決定されてもよく、測定は各コンポーネントキャリアに対して同じ測定ポイントにおいて行われてもよい。このことは、評価デバイスの計算能力を節約すること、およびこの方法の速度を上げることの少なくとも一方をもたらすことができる。
【0037】
本発明の実施形態によると、この方法は、測定ポイントにおける物理的特性の測定値が予め定義された範囲外であるとき、コンポーネントキャリアを欠陥ありと評価するステップをさらに含む。この方法は、所望どおりの物理的特性すなわち所望の範囲内の物理的特性を有するコンポーネントキャリアと、これらの範囲外の物理的特性を有し欠陥ありとみなされるコンポーネントキャリアと、を区別するために用いられてもよい。たとえば、少なくとも1つの測定ポイントにおいて、導電層の厚さが最小の厚さよりも薄いか、または最大の厚さよりも厚いコンポーネントキャリアは、欠陥ありとみなされてもよい。
【0038】
本発明の実施形態によると、欠陥ありと評価されたコンポーネントキャリアは、さらなる製造から自動的に外される。測定された物理的特性が範囲内であったコンポーネントキャリアのみが、さらに製造されてもよい。それ以外のものは自動製造から外されてもよい。たとえば、コンベヤデバイスまたはロボットは、欠陥なしと評価されたコンポーネントキャリアを次の製造デバイスに輸送してもよく、一方で欠陥ありと評価されたコンポーネントキャリアは、技術者による検査が行われ得る場所に輸送されてもよい。
【0039】
本発明のさらなる態様は、コンポーネントキャリアの物理的特性を測定するためのコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行されるときに、上述および後述する方法のステップを実行するように適合された、コンピュータプログラムに関する。コンピュータ可読媒体は、ハードディスク、USB(ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus))ストレージデバイス、RAM(ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory))、ROM(リードオンリメモリ(Read Only Memory))、EPROM(消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(Erasable Programmable Read Only Memory))、またはフラッシュ(FLASH)メモリであってもよい。また、コンピュータ可読媒体は、プログラムコードのダウンロードを可能にする、たとえばインターネットなどのデータ通信ネットワークであってもよい。一般的に、コンピュータ可読媒体は非一時的媒体または一時的媒体であってもよい。
【0040】
本発明のさらなる態様は、そのようなコンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読媒体であってもよい。たとえば評価デバイスは、コンピュータプログラムが実行されるプロセッサと、コンピュータプログラムが記憶されるメモリとを含んでもよい。
【0041】
本発明のさらなる態様は、コンポーネントキャリアの物理的特性を測定するための測定システムに関する。測定システムは製造システムの一部であってもよく、製造システムはめっきデバイス、エッチングデバイス、および穿孔デバイスのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。製造システムは、これらのデバイス間でコンポーネントキャリアを輸送するためのコンベヤシステムをさらに含んでもよい。
【0042】
本発明の実施形態によると、測定システムは、コンポーネントキャリア上の複数の測定区域を決定し、各測定区域内の測定ポイントを決定するための評価デバイスと、物理的特性の測定を行うための測定デバイスとを含む。複数の測定区域のうちの少なくとも1つおよび測定ポイントの少なくとも一方が、コンポーネントキャリアの設計データに基づいて、複数の測定区域のうちの少なくとも1つおよび測定ポイントの少なくとも一方が設計データにおいて利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように、決定される。
【0043】
本発明の実施形態によると、測定デバイスは、コンポーネントキャリアの物理的特性を決定するための特性センサを含み、特性センサは、たとえば移動アームのような移動手段によって、移動可能である。上述のように、測定は、非破壊的なやり方および上述のそれぞれのセンサを伴うやり方の少なくとも一方で行われてもよい。
【0044】
本発明の実施形態によると、測定デバイスは、コンポーネントキャリアを置くためのテーブルと、テーブル上のコンポーネントキャリアを位置合わせするための位置合わせ手段と、コンポーネントキャリアの基準ポイントを決定するための位置センサとを含む。
【0045】
上記および下記に説明される方法の特徴は、上記および下記に説明されるコンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、および製造システムの特徴であってもよく、逆も同様であることが理解されたい。
【0046】
本発明のこれらの態様およびその他の態様は、以後に記載される実施形態から明らかとなり、それらの実施形態を参照して説明される。
【0047】
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施形態がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】コンポーネントキャリアを示す概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による測定システムを有する製造システムを概略的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による測定システムのための測定デバイスを示す概略上面図である。
【
図4】本発明の実施形態による方法を示す流れ図である。
【
図5A】本発明の実施形態による方法において用いられる測定区域および設計データを示す図である。
【
図5B】本発明の実施形態による方法において用いられる測定区域および設計データを示す図である。
【
図5C】本発明の実施形態による方法において用いられる測定区域および設計データを示す図である。
【
図5D】本発明の実施形態による方法において用いられる測定区域および設計データを示す図である。
【
図5E】本発明の実施形態による方法において用いられる測定区域および設計データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
符号の説明において、図面において使用される参照符号およびそれらの意味をまとめてリストにしている。原則として、図面において同一の部分には同じ参照符号が与えられている。
【0050】
図1はコンポーネントキャリア10の断面図を示しており、コンポーネントキャリア10は、プラスチック材料でできていてもよい電気絶縁層12と、たとえば銅などの金属材料でできていてもよい導電層14とからなる。導電層14および電気絶縁層12は構造化される。導電層14は、導電路16を形成するようにパターン化および構造化の少なくとも一方が行われる。異なる導電層14の導電路16は、ビア18、すなわち1つ以上の電気絶縁層12を通る孔20に金属材料が充填されたもの、によって相互接続されてもよい。さらに、電気絶縁層12および導電層14の少なくとも一方の1つ以上が、空洞22を有するように構造化されてもよい。
【0051】
導電層14の形成および構造化は、めっきおよびエッチングの少なくとも一方によって行われてもよい。電気絶縁層12の構造化は、穿孔および鋸引きの少なくとも一方によって行われてもよい。
【0052】
回路基板として理解されることもあるコンポーネントキャリア10は、電気および電子コンポーネントを機械的および電気的に相互接続するために用いられてもよく、電気および電子コンポーネントは、コンポーネントキャリア10にはんだ付けされたもの、およびその他の態様で取り付けられたものの少なくとも一方であってもよい。
【0053】
コンポーネントキャリア10の生産プロセスが正常であったかどうかをテストするために、コンポーネントキャリア10の、たとえば層の厚さ24a、空洞22の深さ24b、導電路の幅24cなどの特定の物理的特性24、24a、24b、24cが測定されてもよい。これは、コンポーネントキャリア10の表面層に限定されず、内部層にも行われてもよい。1つの層が積み重ねられると、その上層の厚さが測定される。その他多くの物理的特性が測定可能であり、前述のものは単に例示の目的のために挙げられたものである。しかし、これらの特性を測定するためには、コンポーネントキャリア10の他の部分によってこれらの測定が妨げられることがあるので、これらの測定を最も正確に行い得るコンポーネントキャリア上の場所を見つけることが有益である場合がある。たとえば、金属層12の層の厚さ24aの良好な測定位置は、ビア18による測定の妨害が起こり得ないため、位置26が有益であり得る。
【0054】
図2は製造システム28を概略的に示しており、ここでは製造システム28を通るプロセスフローを制御するために、こうした測定が自動的に行われ得る。
【0055】
製造システム28は、めっきデバイス30と、エッチングデバイス32と、穿孔デバイス34と、鋸引きデバイス36と、測定デバイス38と、コンベヤシステム40とを含む。これらのデバイスのすべてが製造システム28の一部である必要はない。デバイス28、30、32、34、36によって、たとえば
図1に示されるものなどのコンポーネントキャリア10が製造され得る。測定デバイス38によって、たとえば上述のような、コンポーネントキャリア10の物理的特性24をチェックするための測定が行われ得る。コンベヤシステム40は、製造プロセスの異なる段階のコンポーネントキャリア10を、異なるデバイス28~38間で自動的に輸送するために適合される。
【0056】
製造システム28は、制御システム42を含み、この制御システム42は中央コンポーネント44と、たとえば測定デバイス38のコントローラ46aなどのローカルコンポーネント46とを含んでもよい。コントローラ46aと、任意選択で中央コンポーネント44と、測定デバイス38とが、製造システム28の測定サブシステム48を形成してもよい。
【0057】
図3は、測定サブシステム48および製造システム28に対する測定デバイス38の上面図を示す。測定デバイス38はテーブル50を有し、コンベヤシステム40が、このテーブル50上にコンポーネントキャリア10を置いてもよい。位置合わせ手段52(たとえばプッシャなど)は、移動手段53(たとえばアームなど)に対してコンポーネントキャリア10を位置合わせしてもよく、移動手段53は、特性センサ54を矢印で示されるようにコンポーネントキャリア10の上方の所望の測定位置26まで移動させるために適合される。特性センサ54は非破壊センサであってもよく、それはたとえば渦電流測定、誘導測定、およびx線測定のうちの少なくとも1つに基づく測定などを行う。
【0058】
測定デバイス38は位置センサ56を含んでもよく、位置センサ56は、コンポーネントキャリア10のたとえば角などの基準ポイント58を決定するために適合される。基準ポイント58は、測定デバイス38によって決定された測定ポイント26を見つけるために用いられてもよい。たとえば、位置センサ56は基準ポイント58を決定するために超音波距離測定を行ってもよい。
【0059】
さらに測定デバイス38は、コンポーネントキャリア10上に設けられた識別子62を走査するためのスキャナ60を含んでもよい。識別子62によって提供される機械可読コードを用いて、コンポーネントキャリア10のタイプおよび設計の少なくとも一方が識別されてもよく、それに基づいて測定ポイント26が決定される。
【0060】
図4は、製造システム28によって自動的に行われ得る方法を示す流れ図を示す。
【0061】
ステップS10において、コンポーネントキャリア10が製造される。電気絶縁層12はコンベヤシステム40によってめっきデバイス30に運ばれてもよく、めっきデバイス30は電気絶縁層12の上に1つまたは2つの導電層14をめっきする。コンベヤシステム40はコンポーネントキャリア10の形成された部分をエッチングデバイス32に運び、次いでエッチングデバイス32は、めっきされた導電層14に構造化およびパターン化の少なくとも一方を行って、導電路16にする。その前に、部分的に製造されたコンポーネントキャリア10がコンベヤシステム40によって穿孔デバイス34および鋸引きデバイス36の少なくとも一方まで輸送されて、それらのデバイスによって穿孔した孔20および空洞22の少なくとも一方が予め形成されてもよい。完全なコンポーネントキャリア10が形成されるまで、ステップS12における異なる生産ステップが複数回繰り返されてもよい。
【0062】
コンポーネントキャリア10を製造するために、設計データ64が用いられる。設計データ64は、たとえば制御システムの中央コンポーネント44などにおけるデータベースおよびファイルの少なくとも一方に記憶されてもよく、通信ネットワークを介して製造デバイス30~36を制御し得るローカルコンポーネント46に分配されてもよい。
【0063】
以下のステップS12およびS14は、コンポーネントキャリア10の物理的特性24を測定するための測定方法と理解されてもよい。この測定方法は、測定デバイス38のコントローラ46aが、任意選択で製造システム28の中央コンポーネント44と一緒に行ってもよい。この方法を行うコントローラ46aおよび中央コンポーネント44の部分およびモジュールの少なくとも一方は、評価デバイス66と理解されてもよい。
【0064】
図5A~5Eは、コンポーネントキャリア10と、以下に記載される方法の期間に生成される特定のデータとを示す。
図5Aに示されるように、コンポーネントキャリア10は矩形の形状を有する。基準ポイント58はコンポーネントキャリア10のくぼみを付けた角であってもよく、この基準ポイント58が位置センサ56によって識別されてもよい。
【0065】
図5Bは、基準ポイント58を用いてコンポーネントキャリア10に対する座標系X、Yを決定してもよいことを示す。この座標系X、Yによって、コンポーネントキャリア10の中心68も定義されてよい。
図5Cに示されるように、座標系X、Yに基づいて、コンポーネントキャリア10の角の各区域70を選択することができ、これらの各区域70は、たとえば矩形の測定区域72などを定義するために使用され、定義することができる。
【0066】
図5Dに示されるように、これらの測定区域72は、以下に記載されるように、区域70よりも小さいこと、およびより大きい測定区域74に拡張されることの少なくとも一方であってもよい。加えて、コンポーネントキャリア10の中心68にさらなる測定区域72が定義されてもよい(これも拡張されてもよい)。
【0067】
図5Eにおいては、付加的に設計データ64がコンポーネントキャリア10と共に示されている。
【0068】
設計データ64は、導電層14のパターンおよび構造76の少なくとも一方を符号化してもよい。さらに、設計データ64は穿孔した孔20の位置78と、空洞22の位置80とを符号化してもよい。設計データ64に符号化される情報のさらなる例が上記および下記に挙げられており、それらはたとえば、電気絶縁層12上の導電層14の部分によってもたらされる伝導区域の拡張と、導電層14の厚さと、コンポーネントキャリア10の導電層14および電気絶縁層12の少なくとも一方の少なくともいくつかを通る穿孔した孔20の位置と、のうちの少なくとも1つなどである。
【0069】
図4に戻ると、ステップS12において、設計データ64から測定区域72と、これらの測定区域72内の測定ポイント26とが決定される。たとえば、最初に角の区域70を決定し、次いで区域70内のより小さい測定区域72を決定することによって、測定区域72が決定されてもよい。これは、設計データ64を評価し、測定区域72が設計データ64に従って少なくとも1つの予め定義された特徴を有するように位置決めされるように、行われてもよい。
【0070】
ステップS12は、すべてのコンポーネントキャリア10に対して、たとえばそれぞれのコンポーネントキャリア10が測定デバイス38に到達したときなどに行われてもよい。たとえば測定デバイス38は、スキャナ60によってコンポーネントキャリア10の少なくとも一部分を走査することによって、コンポーネントキャリア10の識別子62を決定してもよい。次いで、識別子62から設計データ64が決定されてもよい。たとえば、複数の異なるタイプのコンポーネントキャリア10に対する設計データ64が、たとえば中央コンポーネント44によって提供されるデータベースに記憶されてもよい。識別子62からコンポーネントキャリア10のタイプが決定されてもよく、そこから当該タイプに対する設計データ64が収集されて、評価デバイス66に送信されてもよい。
【0071】
また、複数のコンポーネントキャリア10に対する測定が行われる前に、複数の等しく設計されたコンポーネントキャリア10に対する測定区域72および測定ポイント26が一度に決定されてもよい。たとえば、測定デバイス38が特定のタイプのコンポーネントキャリア10に対してカスタマイズされてもよく、あるいは、測定デバイス38に到達した特定のタイプの第1のコンポーネントキャリア10のみに対する計算が行われる。この場合、測定区域72および測定ポイント26は、コンポーネントキャリア10のタイプに関して評価デバイス66に記憶されてもよい。
コンポーネントキャリア10上の測定区域72は、以下のやり方で決定されてもよい。
【0072】
評価デバイス66は、設計データ64からコンポーネントキャリア10の外側の形状およびサイズを決定してもよい。たとえば、コンポーネントキャリア10は特定の境界の長さを持つ矩形の形状を有する。コンポーネントキャリア10の外側の形状およびサイズから、評価デバイス66は測定区域72の位置を決定し、それはたとえば測定区域72がコンポーネントキャリア10の角に配置されること、および測定区域72がコンポーネントキャリア10の中心に配置されることの少なくとも一方である(
図5A~5Dを参照)。
【0073】
測定区域72は、たとえば矩形の形状などの同じ形状を有すること、および同じサイズを有することの少なくとも一方であってもよい。測定区域72の境界の長さは、コンポーネントキャリア10の境界の長さの10%~20%になるように選択されてもよい。たとえば、測定区域72の境界の長さは10cm×10cmであってもよい。さらに、角における測定区域72は、コンポーネントキャリア10の境界まで、たとえば5cmなどの特定の距離を有するように位置決めされてもよい。
測定区域72内の各測定ポイント26は、以下のやり方で決定されてもよい。
【0074】
一般的に、各測定区域72内の測定ポイント26は、その測定区域72に関連するコンポーネントキャリア10の設計データ64から、測定ポイント26が設計データ64において利用可能な少なくとも1つの予め定義された特徴を有する位置にあるように決定されてもよい。
【0075】
設計データ64は、コンポーネントキャリア10のそれぞれの部分およびコンポーネントの少なくとも一方の位置に関する情報を含む。たとえば、導電層14の構造76のレイアウトは、構造76の境界を定義する点および線を含んでもよい。さらに、穿孔される孔および鋸引きされる空洞の少なくとも一方の位置および拡張の少なくとも一方が、設計データに記憶されてもよい。位置に関する当該情報が、設計データ64において定義された部分およびコンポーネントの少なくとも一方が測定区域72内にあるか否かを判定するために、用いられてもよい。
【0076】
そして、測定区域72内の部分およびコンポーネントの少なくとも一方は、予め定義された特徴について評価デバイス66によって走査されてもよい。予め定義された特徴は、そこで予め定義された特徴によって特定の測定の促進および利益の少なくとも一方がもたらされるように選択されてもよい。
【0077】
たとえば、設計データ64において利用可能な予め定義された特徴は、潜在的な測定ポイント26を囲む導電層14の部分であってもよい。予め定義された特徴は、最小区域よりも大きい区域を有する外側導電層14の部分であってもよい。こうした最小区域は、12mm×19mmのサイズの矩形区域であってもよい。
【0078】
さらなる例として、設計データ64において利用可能な予め定義された特徴は、潜在的な測定ポイント26を囲む領域であってもよく、この領域は、コンポーネントキャリア10の穿孔した孔20のない領域およびビア18のない領域の少なくとも一方である。言い換えると、予め定義された特徴は、たとえば上述のものなどの最小区域未満の穿孔した孔20およびビア18の少なくとも一方を持たないコンポーネントキャリア10の領域であってもよい。
【0079】
そして、設計データ64においてすべての予め定義された特徴が認められた位置およびポイントの少なくとも一方として、測定ポイント26が選択されてもよい。
【0080】
各測定区域72において複数の測定ポイント26が決定されてもよい。そして、これらすべての測定ポイント26が後に測定に用いられてもよい。また、複数の(潜在的な)測定ポイント26の中から、最良の測定値が得られると考えられる1つの測定ポイント26が選択されてもよい。たとえば、こうした測定ポイント26は、下に穿孔した孔20およびビア18の少なくとも一方を持たない導電層14の最大区域を有してもよい。
【0081】
所望の予め定義された特徴を有する測定ポイント26が測定区域72内に見つからない場合、測定区域72は拡張されてもよく、結果として拡張測定区域74が得られ、拡張測定区域74において測定ポイント26が探索されてもよい。たとえば、測定区域72の境界の長さがたとえば1.5などの特定の倍数で拡大されてもよい。測定ポイント26が見つけられるまで、測定区域72の拡張が繰り返されてもよい。
【0082】
ステップS16において、測定デバイス38によって各測定ポイント26における物理的特性24の測定が行われる。このために、コンポーネントキャリア10をコンベヤシステム40によって測定デバイス38のテーブル50の上に輸送する必要があってもよい。コンポーネントキャリア10は、位置合わせ手段52によって位置合わせされてもよい。基準ポイント58を基準として測定ポイント26が決定されるように、コンポーネントキャリア10の基準ポイント58が決定されてもよい。
【0083】
特性センサ54が測定ポイント26に動かされ、そこで測定が行われる。すでに言及したように、測定は非破壊的なやり方で行われてもよい。たとえば、測定が表面層の厚さ測定であるとき、その測定は渦電流測定、誘導測定、およびx線測定のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。この場合、物理的特性は、コンポーネントキャリア10の表面層14の表面層厚さ24aであってもよい。測定値は測定データ82に記憶されてもよく、測定データ82は製造プロセスをさらに制御するために用いられてもよい。
【0084】
たとえば、測定データ82は、製造システム28によって生産されたコンポーネントキャリア10を品質チェックするために用いられてもよい。
【0085】
このために、ステップS16において、コンポーネントキャリア10をさらにどのように処理するべきかが決定される。測定ポイント26における物理的特性24の測定値が予め定義された範囲外であるとき、コンポーネントキャリア10は欠陥ありと評価されてもよい。たとえば、予め定義された範囲内の表面層厚さ24aを有するコンポーネントキャリア10のみが、コンベヤシステム40によってさらなる生産ステップに輸送されてもよい。
【0086】
そうでないとき、欠陥ありと評価されたコンポーネントキャリア10は、さらなる製造から自動的に外されてもよい。この場合、コンベヤシステム40は欠陥ありと評価されたそれぞれのコンポーネントキャリア10を、手動での検査または廃棄が行われ得る場所に輸送してもよい。
【0087】
図面および明細書において本発明を例示して詳細に説明したが、こうした例示および説明は実例または例示であり、制限ではないとみなされるべきである。本発明は開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形が、請求項に記載された発明を実施する当業者により図面、開示、および添付の請求項を検討されることによって、理解され、もたらされ得る。請求項における「含む」という語は、他の構成要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数形を除外しない。単一のプロセッサまたはコントローラまたはその他のユニットが、請求項に記述される複数の項目の機能を果たすことがある。互いに異なる従属請求項に特定の方策が記述されているという事実のみでは、これらの方策の組み合わせが有利に使用され得ないことは示されない。請求項における任意の参照符号は、請求項の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0088】
10 コンポーネントキャリア
12 電気絶縁層
14 導電層
16 導電路
18 ビア
20 孔
22 空洞
24 物理的特性
24a 層の厚さ
24b 深さ
24c 幅
26 測定位置
28 製造システム
30 めっきデバイス
32 エッチングデバイス
34 穿孔デバイス
36 鋸引きデバイス
38 測定デバイス
40 コンベヤシステム
42 制御システム
44 中央コンポーネント
46 ローカルコンポーネント
46a 測定デバイスのコントローラ
48 測定システム
50 テーブル
52 位置合わせ手段
53 移動手段
54 特性センサ
56 位置センサ
58 基準ポイント
60 スキャナ
62 識別子
64 設計データ
66 評価デバイス
68 中心
X、Y 座標系の軸
70 コンポーネントキャリア上の区域
72 測定区域
74 拡張測定区域
76 構造
78 穿孔した孔の位置
80 空洞の位置
82 測定データ
【国際調査報告】