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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】形状適合バッテリパックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/233 20210101AFI20240219BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/236 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/216 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240219BHJP
【FI】
H01M50/233
H01M50/247
H01M50/236
H01M50/227
H01M50/231
H01M50/213
H01M50/209
H01M50/216
H01M50/211
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542635
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021055121
(87)【国際公開番号】W WO2022177611
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,659
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ジェイ.スペクト
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA06
5H040AS18
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040LL06
5H040NN00
(57)【要約】
形状適合バッテリパックアセンブリは、互いに電気的に接続された個別の電気化学セルのアレイを含む。アレイは、皮膚のような感触を有する材料から作られた可撓性外殻によって取り囲まれ、カプセル封入されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルバッテリパックであって、
直列、並列、又は直列及び並列のうちの1つで互いに電気的に接続された個別の電気化学セルのアレイと、
前記個別の電気化学セルのアレイを取り囲み、カプセル封入する外殻と、を含み、前記外殻が、
1.1~1.8、好ましくは1.2~1.7、より好ましくは1.3~1.6の破損延伸比、
1MPa~50MPa、好ましくは15MPa~40MPa、より好ましくは15MPa~35MPaの最大引張強度、及び
5kPa~140MPa、好ましくは20MPa~100MPa、より好ましくは30MPa~80MPaのヤング率、のうちの1つ以上を含む外殻材料を含む、ウェアラブルバッテリパック。
【請求項2】
前記外殻材料が、エラストマーを含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項3】
前記外殻材料が、前記個別の電気化学セルのアレイの周り、及び前記個別の電気化学セルを接続するワイヤの少なくとも一部の周りに積層されている、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項4】
前記外殻材料が、片側に接着剤を含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項5】
前記外殻材料が、前記電気化学セルの周りに成形されている、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項6】
前記外殻材料が、HOOO-S10~90A、好ましくはHOO-5~30A、より好ましくはHOO-10~HOO-50の硬度を含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項7】
前記外殻材料が、350%~1,000%、好ましくは500%~900%、より好ましくは600%~900%の伸び破断を含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項8】
前記個別の電気化学セルのアレイが、タイプ:円柱形セル、コインセル、ボタンセル、角形セル、又はパウチセルのうちの1つ以上を有する個別の電気化学セルを含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項9】
前記個別のセルの少なくとも一部が、形状が円柱形であり、平均セル直径の5%~100%、好ましくは10%~100%、より好ましくは15%~100%、互いに離間されている、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項10】
個別のセルが、形状が長方形であり、前記個別のセルの少なくとも一部が、前記個別のセルの最大線形寸法の5%~100%、互いに離間されている、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項11】
前記可撓性外殻が、1:2~1:30、好ましくは1:5~1:20、より好ましくは1:10~1:15の厚さ対長さ比を有する、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項12】
個別の化学セルのアレイが、無線充電のためのアンテナ又は誘導結合コイルを更に含み、前記アンテナ又は誘導結合コイルが、時間的に変化する磁場又は電場をバッテリ充電のための直流電流に変換するように構成されている、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項13】
前記アレイが、少なくとも2つの層を有し、各層が、個別の化学セルのアレイのサブセットを含む、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項14】
可撓性形状適合材料が、閉じ込められた空気/ガスを実質的に含まない(5vol%未満)、請求項1に記載のウェアラブルバッテリパック。
【請求項15】
バッテリパックであって、
可撓性形状適合材料のマトリックスに埋め込まれ、カプセル封入された個別の電気化学セルのアレイであって、前記可撓性形状適合材料のマトリックスが、保護外殻を更に提供し、各個別の電気化学セルが、少なくとも1つの他の個別の電気化学セルに、直列、並列、又は直列及び並列のうちの1つで電気的に接続されている、個別の電気化学セルのアレイ、を含む、バッテリパック。
【請求項16】
前記個別の電気化学セルのアレイが、タイプ:円柱形セル、コインセル、ボタンセル、角形セル、又はパウチセルのうちの1つ以上を有する個別の電気化学セルを含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項17】
個別のセルが、平均セル直径の5%~100%、互いに離間されている、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項18】
前記可撓性外殻が、1:2~1:30の厚さ対長さ比を有する、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項19】
個別の化学セルのアレイが、無線充電のためのアンテナ又は結合コイルを更に含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項20】
前記アレイが、少なくとも2つのバッテリ層を有する、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項21】
前記可撓性形状適合材料が、閉じ込められた空気/ガスを実質的に含まない(5vol%未満)、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項22】
前記保護外殻が、エラストマーを含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項23】
前記保護外殻が、片側に接着剤を含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項24】
前記保護外殻が、前記電気化学セルの周りに成形されている、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項25】
前記保護外殻が、HOOO-S 10~90A、好ましくはHOO-5~30A、より好ましくはHOO-10~HOO-50の硬度を含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【請求項26】
前記保護外殻が、350%~1,000%、好ましくは500%~900%、より好ましくは600%~900%の伸び破断を含む、請求項15に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポータブル又はウェアラブルバッテリパックに関し、より具体的には、皮膚のような感触を有する外殻を含む形状適合バッテリパックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンシューマ電子デバイスは、特定の電力要件を有する。一般に、小型のウェアラブルコンシューマ電子デバイスは、(デバイス自体内に収容されている)単一のバッテリから、又は1つ以上のバッテリセルを含み得るポータブルバッテリパックから電力を受け取る。これらのポータブルバッテリパックは、通常、ストラップによって使用者に取り付けられ得る、又は使用者がポケット若しくは他の携帯場所内で携帯し得る硬いプラスチック製の外殻内に収容されている。これらの硬いバッテリパックは、ストラップで身体に固定されたり、ポケットに入れたりすると不快である。追加的に、そのようなバッテリパックは、衣服の下に装着すると衣服を膨らませる。これは審美的には望ましくなく、また不快であり得る。更に、現在のバッテリパックは、デバイスに電力を供給するために不便な接続コードを必要とする。
【0003】
米国特許第9,343,716号には、複数のセルを含むバッテリアセンブリが記載されている。これらのセルには、上部ラミネート層及び下部ラミネート層が接着剤によって結合されており、これにより、可撓性及びデバイス内により良好に収まるように1つ以上のセルを取り外す可能性が可能となっている。これらのバッテリアセンブリは、上部ラミネート層及び下部ラミネート層が、接着剤によって、セル及び互いに接続されるように構成されている。
【発明の概要】
【0004】
第1の実施形態によれば、ウェアラブルバッテリパックは、直列、並列、又は直列及び並列のうちの1つで互いに電気的に接続された個別の電気化学セルのアレイを含む。外殻は、個別の電気化学セルのアレイを取り囲み、カプセル封入する。外殻は、1.1~1.8、好ましくは1.2~1.7、より好ましくは1.3~1.6の破損延伸比、1MPa~50MPa、好ましくは15MPa~40MPa、より好ましくは15MPa~35MPaの最大引張強度、及び5kPa~140MPa、好ましくは20MPa~100MPa、より好ましくは30MPa~80MPaのヤング率、のうちの1つ以上を有する材料を含む。
【0005】
第2の実施形態によれば、バッテリパックは、可撓性形状適合材料のマトリックスに埋め込まれ、カプセル封入された個別の電気化学セルのアレイを含む。可撓性形状適合材料のマトリックスは、保護外殻を提供し、各個別の電気化学セルは、他の個別の電気化学セルに直列、並列、又は直列及び並列のうちの1つで電気的に接続されている。
【0006】
第3の実施形態によれば、バッテリパックは、互いに電気的に接続された個別の電気化学セルのアレイを含む。アレイは可撓性外殻によって取り囲まれ、カプセル封入されている。電子部品は、個別の電気化学セルのアレイに動作可能に接続されている。電子部品は可撓性外殻によって取り囲まれ、カプセル封入されている。
【0007】
バッテリパックアセンブリの上記実施形態は、以下の任意選択の特徴、構造、及び/又は形態のうちのいずれか1つ以上を更に含み得る。
【0008】
いくつかの任意選択の形態では、外殻材料は、エラストマーを含む。
【0009】
他の任意選択の形態では、外殻材料は、個別の電気化学セルのアレイの周り、及び個別の電気化学セルを接続するワイヤの少なくとも一部の周りに積層される。
【0010】
更に他の任意選択の形態では、外殻材料は、片側に接着剤を含む。
【0011】
更に他の任意選択の形態では、外殻材料は、電気化学セルの周りに成形される。
【0012】
更に他の任意選択の形態では、外殻材料は、ASTM規格D2440-15によって定義されるように、HOOO-S10~90A、好ましくはHOO-5~30A、より好ましくはHOO-10~HOO-50の硬度を含む。
【0013】
更に他の任意選択の形態では、外殻材料は、350%~1,000%、好ましくは500%~900%、より好ましくは600%~900%の伸び破断を含む。
【0014】
更に他の任意選択の形態では、個別の電気化学セルのアレイは、タイプ:円柱形セル、コインセル、ボタンセル、角形セル、又はパウチセルのうちの1つ以上を有する個別の電気化学セルを含む。
【0015】
更に他の任意選択の形態では、個別のセルの少なくとも一部は、形状が円柱形であり、平均セル直径の5%~100%、好ましくは10%~100%、より好ましくは15%~100%、互いに離間されている。
【0016】
更に他の任意選択の形態では、個別のセルは、形状が長方形であり、個別のセルの少なくとも一部は、個別のセルの最大線形寸法の5%~100%、互いに離間されている。
【0017】
更に他の任意選択の形態では、可撓性外殻は、1:2~1:30、好ましくは1:5~1:20、より好ましくは1:10~1:15の厚さ対長さ比を有する。
【0018】
更に他の任意選択の形態では、個別の化学セルのアレイは、無線充電のためのアンテナ又は誘導結合コイルを更に含み、アンテナ又は誘導結合コイルは、時間的に変化する磁場又は電場をバッテリ充電のための直流電流に変換するように構成されている。
【0019】
更に他の任意選択の形態では、アレイは、少なくとも2つの層を有し、各層は、個別の化学セルのアレイのサブセットを含む。
【0020】
更に他の任意選択の形態では、可撓性形状適合材料は、閉じ込められた空気/ガスを実質的に含まない(5vol%未満)。
【0021】
更に他の任意選択の形態では、アレイは、開口部を含む。いくつかの任意選択の形態では、電子部品は開口部内に位置し、電子部品は、セルのアレイと直列又は並列に電気的に接続されている。いくつかの任意選択の形態では、開口部は4mm以下である。
【0022】
いくつかの任意選択の形態では、電子部品はセンサであり、例えば、電子部品は生理学的センサであってもよい。
【0023】
他の任意選択の形態では、電子部品が、プロセッサ、マイクロプロセッサ、信号プロセッサ、集積回路、ディスプレイ、コンデンサ、抵抗器、トランジスタ、グルコース送達デバイス若しくは自動除細動器などの医療用途デバイス、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機、センサ(バイオメトリックセンサ、温度センサ、加速度計、水分センサなど)、又はアンテナのうちの1つ以上を含む。
【0024】
他の任意選択の形態では、電子部品は、個別の電気化学セルのアレイ内の1つの電気化学セルの面に動作可能に接続されている。
【0025】
他の任意選択の形態では、電子部品は、可撓性外殻内に位置付けられる。
【0026】
他の任意選択の形態では、電子部品は、可撓性外殻によって取り囲まれ、カプセル封入される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本明細書は、本開示を形成すると見なされる、主題を特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲をもって結論付けるが、本発明は、添付の図面と併せて以下の記載からより良好に理解されるであろう。
図1】本開示に従って構築された形状適合バッテリパックアセンブリの上面斜視図である。
図2図1の形状適合バッテリパックアセンブリの底面斜視図である。
図3図1の形状適合バッテリパックアセンブリの側面図である。
図4A-4E】第1のサイズを有する複数の電気化学セルを有する形状適合バッテリパックアセンブリの様々な追加の実施形態の上面図である。
図5A-5D】第2の(比較的小さい)サイズを有する複数の電気化学セルを有する形状適合バッテリパックアセンブリの様々な追加の実施形態の上面図である。
図6A-6E】図1の形状適合バッテリパックアセンブリで使用され得る様々な追加のアレイ構成の上面図であり、各アレイ構成が、3本以上の曲げ軸を有する幾何学的形状を含む。
図7A-7C】個別のバッテリセルが、外殻の長さ寸法に対して傾斜している又は垂直である、形状適合バッテリパックアセンブリの他の実施形態の側面図である。
図8】電気化学セルの複数のスタックされたアレイを含む形状適合バッテリパックアセンブリの代替実施形態の側面及び上面図である。
図9】バッテリアセンブリ内の個別の電気化学セル間の様々な適切な電気接続の概略図であり、電気接続は、個別の電気化学セルの上に配設され、個別の電気化学セルのそれぞれの端子を接続している。
図10】バッテリアセンブリ内の個別の電気化学セル間の様々な電気接続の概略図であり、電気接続は、個別の電気化学セルの上に配設され、個別の電気化学セルのそれぞれの缶を接続している。
図11】電気化学セルの上部内に形成された電気的接続を有するバッテリパックアセンブリの一例の底面図である。
図12】電気化学セルの下部内に形成された電気的接続を有するバッテリパックアセンブリの別の例の上面図である。
図13】積層された可撓性外殻を有する他のバッテリパックアセンブリの上面図である。
図14図13のバッテリパックアセンブリの電気化学セルの拡大図である。
図15】医療デバイスに接続されたセンサ及びバッテリパックアセンブリを含むウェアラブルアセンブリを図示する。
図16】曲げ及び延伸のサイクルにわたるウェアラブルバッテリパックの一例についての試験のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
電気化学セル、又はバッテリは一次であっても二次であってもよい。一次バッテリは、一度だけ放電され(例えば、空になるまで)、その後、廃棄されることが意図されている。一次バッテリ(又は使い捨てバッテリ)は、例えば、David Linden、Handbook of Batteries(第4版、2011)に記載されている。二次バッテリ(又は充電式バッテリ)は、充電して繰り返し使用することが意図されている。二次バッテリは何度も、例えば、50回以上、100回以上、又はそれ以上の回数、放電及び充電され得る。二次バッテリは、例えば、David Linden、Handbook of Batteries(第4版、2011)に記載されている。したがって、バッテリは、様々な電気化学対(electrochemical couple)及び電解質の組み合わせを含み得る。本明細書に提供される記載及び実施例は、水性系、非水性系、イオン液体系、及び固体系の一次及び二次バッテリの両方に適用される。これらの系の一次及び二次バッテリは、本開示に係るバッテリパックアセンブリに使用され得る。
【0029】
本明細書で使用される「によって埋め込まれ、カプセル封入される」という用語は、バッテリセルなどの個別のアイテムであって、埋め込まれたアイテムと材料のマトリックスとの間に実質的に隙間又は空間が存在しないように、材料のマトリックス内に完全に埋め込まれたものを指す(例えば、材料のマトリックスは、5vol%未満の閉じ込められた空気/ガスを含有する)。言い換えれば、材料のマトリックスは、埋め込まれた物体の外側の実質的に全ての位置で、埋め込まれた物体と接触する。材料のマトリックスに埋め込まれ、マトリックスによってカプセル封入されたアイテムを製造するプロセスの例としては、例えば、オーバーモールド、ディップ、スプレー、キャスティング、及び蒸着が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される「取り囲まれ、カプセル封入される」という用語は、バッテリセルなどのアイテムが材料のマトリックスによって完全に取り囲まれていることを指すが、アイテムと、周囲の材料のマトリックスとの間には小さな隙間又は空間が存在し得る。取り囲まれ、カプセル封入されたアイテムを製造するプロセスの例は、例えば、ラミネーション、真空成形、圧縮成形、パウダーコーティング、及び、少なくとも2つの予め形成された基材のアセンブリ内にセルを封入し、ヒートシール又は接着剤を用いてシームで接合することによる接合を含む。
【0031】
本明細書で使用される「曲げ軸」、「複数の曲げ軸」、「曲げの軸」、又は「複数の曲げの軸」という用語は、バッテリパックの可撓性外殻内のいかなるバッテリセルとも接触することなく、可撓性外殻を通り抜ける1つ以上の実質的直線を指す。1本以上の曲げ軸は、実質的直線に沿って可撓性外殻が変形し又は曲がり、非平面形状を容易に形成することを可能にし、それによって、バッテリパックが使用者の皮膚に当てられるときに使用者の快適性を著しく向上させる。1本以上の曲げ軸はまた、可撓性外殻が、非平面物体に形状適合するように変形する又は曲がることを可能にする。実質的直線とは、可撓性外殻の周縁における曲げ軸の2つの端点間に直線を引くことによって形成される理想上の線から、まっすぐから20度以下、好ましくは15度以下、逸れた線である。逸れは、端点のうちの1つを始点とする角度付き円錐であって、曲げ軸がその全長に沿ってこの円錐内に含まれるように、理想上の線のいずれかの側に20度(又は15度)広がっている、円錐を確立することによって測定される。可撓性外殻内の材料は、好適には、可撓性外殻に加わる曲げ力に応答して、上記実質的直線に沿って変形するように適合される。曲げ軸は、可撓性外殻の長さ、幅、及び/又は厚さ寸法に沿って伸び得る。場合によっては、対称軸が可撓性外殻内に配設されたバッテリセルと交差又は重ならない場合、対称軸が曲げ軸であってもよい。
【0032】
本明細書で使用される「電子部品」という用語は、電気によって駆動される任意のデバイスを指す。電子部品の例としては、プロセッサ、マイクロプロセッサ、信号プロセッサ、集積回路、ディスプレイ、コンデンサ、抵抗器、トランジスタ、医療用途デバイス(グルコース送達デバイス又は自動除細動器など)、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機、センサ(バイオメトリックセンサ、温度センサ、加速度計、水分センサなど)、アンテナ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
多くのウェアラブル電子デバイスは、自己完結型ポータブル電源を必要とする。典型的には、電力は、電気化学バッテリセル又はポータブルバッテリパックアセンブリによって供給される。しかし、既存の電気化学バッテリセル及びバッテリパックアセンブリは、人間の皮膚に取り付けられたときに快適であるために十分な可撓性及び伸縮性を有さず、したがって、使用者に不快感をもたらすことが多い。
【0034】
接着剤を用いて上部及び下部ラミネート層が結合された複数のセルを含む既知のバッテリアセンブリは、一般に、可撓性、伸縮性、及び形状適合性を欠く。
【0035】
本明細書に記載のバッテリパックアセンブリは、使用者の快適性を好適に向上させるために可撓性及び形状適合性を有しつつ、幅広い電力特性を提供する。本明細書に記載のバッテリパックアセンブリはまた、皮膚のような感触を有する保護可撓性外殻を含み、これは、使用者の快適性を更に好適に向上させることにより、装着時にバッテリパックアセンブリが快適に許容され得る時間の長さを延長する。更に、記載のバッテリパックアセンブリは、充電可能なデバイス、健康及びフィットネス器具、他のセンサ、オーディオ機器、並びに携帯電話電源のための追加のエネルギー貯蔵所を提供するために、リストバンド、ベルト、サスペンダー、ヘッドバンド、アームバンド、靴下、ベスト、又は他のスマート衣類一般などの衣類に組み込まれてもよい。記載のバッテリパックアセンブリは、個別の電気化学セルを、防水性の形状適合材料のマトリックス内に完全に閉じ込めることができるため、開示されるバッテリパックアセンブリを組み込んだスマート衣類は、電気化学セルを取り外すことなく、好適に安全に洗濯され得る。
【0036】
開示されるバッテリパックアセンブリは、任意のタイプの電気化学セルを含み得るが、いくつかの例では、任意の化学反応(例えば、一次リチウム、Zn-AgO、及びZn-MnOなどを含む)の比較的低コストのコイン又はボタン電気化学セルが好適に使用され得る。他の実施形態では、電気化学セルは、円柱形、角形、又はパウチセルを含み得る。更に他の実施形態では、電気化学セルは、長方形又は正方形などの他の形状を含み得る。
【0037】
ここで図1~3を参照すると、本開示に係る形状適合バッテリパックアセンブリ10の一例は、互いに電気的に接続された個別の電気化学セル12のアレイを含む。個別の電気化学セル12のアレイは、保護可撓性外殻16を形成する形状適合材料14のマトリックス内に埋め込まれ、カプセル封入される。これにより、周囲の大気からセルが保護され、また、バッテリパックアセンブリの装着時にユーザクスペリエンス及び快適性を向上させる形状適合材料が提供される。図示の実施形態では、開口部22は、無線充電のためのセンサ、アンテナ、又は誘導結合コイルなどの電子部品20を任意選択に含めるために形成される。
【0038】
電子部品20は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、信号プロセッサ、集積回路、ディスプレイ、コンデンサ、抵抗器、トランジスタ、センサ、グルコース送達デバイス若しくは自動除細動器などの医療用途デバイス、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機、センサ(バイオメトリックセンサ、温度センサ、加速度計、水分センサなど)、誘導コイル、又はアンテナのうちの1つ以上を含み得る。更に、いくつかの実施形態におけるアンテナは、時間的に変化する磁場又は電場をバッテリ充電のための直流電流に変換する誘導コイルとしても機能できるように構成され得る。いくつかの実施形態では、電子部品20は、使用者の皮膚と直接接触するセンサであってもよい。他の実施形態では、電子部品20は、別個のコンパートメント内に配置され、形状適合材料14に埋め込まれ、カプセル封入されてもよい。その場合でも、電子部品20は、電力を受け取るために、電気化学セル12の1つ以上に電気的に接続されている。電子部品20は、任意選択の構成要素である。他の実施形態では、形状適合バッテリパックアセンブリ10は、センサではない他のデバイスに電力を供給するために使用されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、電子部品は、セル12の面に接続されてもよく、又は、セル12間、若しくは1つのセル12と形状適合材料14のマトリックスの外表面との間にある形状適合材料14のマトリックス内に配置されてもよい(例えば、形状適合材料のマトリックスによって埋め込まれ、カプセル封入されるか、又は取り囲まれ、カプセル封入され得る)。電子部品及び個別の電気化学セル12のアレイは、例えば、成形によって、又はフィルムで覆われることによって、形状適合材料12のマトリックス内に埋め込まれ、マトリックスによってカプセル封入されて、電子機器/バッテリアセンブリ全体を形成し得る。更に別の実施形態では、導体及び構成要素を有する伸縮性(エラストマー)回路も、形状適合材料14のマトリックス内に埋め込まれ、マトリックスによってカプセル封入されてもよい。そのような実施形態は、電子部品と電源(電気化学セル12)との両方を含む単一の統合された可撓性/弾性ユニットを製造し、これらの全てが、形状適合材料14のマトリックスによって保護される。
【0040】
いくつかの実施形態では、電気化学セル12は、それぞれの電気化学セル12を電気的に接続する可撓性導体24によって、互いに直列及び/又は並列に接続されている。例示される実施形態は、電気化学セルの2つのグループ12a及び12bは直列に配置されている一方、各グループ12a、12b内の個別の電気化学セル12は並列に接続されるように、一方は電気化学セル12の第1のグループ12bの負端子を接続し、他方は電気化学セルの第2のグループ12aの正端子を接続する2つの可撓性導体24を上部に含み(図1)、電気化学セル12の第2のグループ12aの負端子を、電気化学セル12の第1のグループ12bの正端子に接続する1つの可撓性導体24を下部に含む(図2)が、可撓性導体は例示を目的としたものに過ぎない。したがって、電気化学セル12は、電力、容量、及び/又は電圧の要件に応じて、当技術分野で知られているように、可撓性導体24によって直列、並列、又は直列及び並列に電気的に接続され得る。1つ以上の外部端子26を使用して、電気化学セル12が、電力を必要とするデバイスに接続されてもよい。
【0041】
電子部品20が含まれる場合、それは、事実上任意のタイプのセンサであり得る。いくつかの実施形態では、電子部品20は、生理学的特性又は状態を測定する生理学的センサであり得る。代表的なセンサ20の例は、心拍数センサ、EKGセンサ、神経インパルスセンサ、グルコースセンサ、電気的皮膚応答センサ、水和センサ、汗センサ、及び体温センサを含むが、これらに限定されず、事実上、任意のタイプのセンサが使用され得る。バッテリパックアセンブリ10はまた、図15を参照して更に説明されるように、感知された状態に対して治療を提供することができる構造又は医療デバイス、例えば、電子部品20からの信号によって作動される薬物送達システム(例えば、グルコースモニタリングに応答したインスリンの注射)、異常な心拍数に対する電気療法(除細動など)、傷の滅菌、及び治癒(例えば、骨成長刺激)など、を更に含み得る。
【0042】
他の実施形態では、電子部品20は、位置センサ又はバイオメトリックセンサであり得る。代表的なセンサとしては、GPSセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、歩数計などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な例では、これらのタイプのセンサは、スポーツのパフォーマンスをモニタリングするためにスポーツウェアと組み合わせられるバッテリパックアセンブリにおいて使用され得る。他の実施形態では、位置センサ、加速度計、及び/又は湿度センサを備えたバッテリパックが、出荷追跡のためにパッケージの平面ではない表面に貼り付けられ得る。
【0043】
可撓性外殻16は、使用者の快適性を向上させ、促進するための皮膚のような感触を有する外殻材料を備える。外殻材料は、1.1~1.8、好ましくは1.2~1.7、より好ましくは1.3~1.6の破損延伸比、1~50MPa、好ましくは15~40MPa、より好ましくは20~40MPa、より好ましくは15~35MPaの最大引張強度、及び5kPa~140MPa、好ましくは20MPa~100MPa、より好ましくは30MPa~80MPaのヤング率、のうちの1つ以上を有する材料を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、外殻材料は、ASTM規格のD2240-15によって定義される、HOOO-S 10~90Aの硬度値、好ましくはHOO-5~30Aの硬度値、より好ましくはHOO-10~HOO-50の硬度値を有する。他の実施形態では、硬度は、HOOO-S 10よりも大きくてもよく、又は90A未満であってもよいが、好ましくは、HOOO-S 10~90Aであってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、外殻材料は、350%~1,000%の伸び破断、好ましくは500%~900%の伸び破断、より好ましくは600%~900%の伸び破断を含む。他の実施形態では、伸び破断は、350%より高い、又は1,000%未満でもよいが、好ましくは100%~1500%であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、外殻材料は、86psi未満の100%モジュラス(すなわち、伸長率100%での引張応力)、好ましくは8psi~86psi、より好ましくは約10psiの100%モジュラスを有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、外殻材料は、50MPa未満の引張強度、又は15MPaを超える引張強度、好ましくは15~40MPa、より好ましくは約25MPaの引張強度を有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、外殻材料はエラストマーを含む。液体前駆体の形態のエラストマーを使用して、個別の電気化学セル12を埋め込み、カプセル封入してもよく、これは、例えば、可撓性導体24によって互いに接続された電気化学セル12を収容したモールドに液体エラストマーを注入し、次いで、エラストマーを硬化させることによって(例えば、乾燥若しくは加熱させることによって、又は2つの成分を含む液体エラストマーを経時的に及び/若しくは温度で硬化させることによって、若しくはUV光若しくは放射線への曝露によって)行われ得る。あるいは、液体エラストマーは、電気化学セル12にディップ又はスプレーを行い、次いで、硬化プロセスを開始することによって塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、皮膚効果及び映画効果に使用されるものと同様な、キャスティングに適したシリコーンゴムが特に有利であり得る。キャスティングに適した適切なシリコーンゴムとしては、BODY DOUBLE(商標)シルク(Bentley Advanced Materials)、BODY DOUBLE(商標)スタンダードセット(Bentley Advanced Materials)、PlatSil(登録商標)ゲル(Polytek Development Corp.)、ECO-FLEX(商標)シリーズシリコーンゴム(Smooth On,Inc.)、Smooth-On Dragon Skin(商標)(Smooth-On,Inc.)、又はELASTOSIL(登録商標)RTV-2(Wacker)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の特性を有する他のシリコーン又は他の材料を含む他の材料も使用され得る。他の実施形態では、ホットメルト接着剤又は低圧成形材料、例えば、733%の伸び破壊及び10Aのショア硬度を有するHenkel Technomelt(登録商標)AS 8998ポリオレフィンホットメルト接着剤などを使用して、電気化学セルのアレイが埋め込まれ、カプセル封入されてもよい。
【0049】
カプセル封入は、接着剤と一緒に保持されたエラストマー基材の薄いシートで電気化学セル12を覆うことによっても達成することができる。いくつかの実施形態では、基材の境界及び/又はバッテリの縁の周りの領域は、電気化学セル12を定位置に固定するために、ヒートシールされてもよい。例えば、電気化学セル12が、接着剤でコーティングされた薄いエラストマーシート上に配置され、次いで可撓性導体24によって互いに配線されてもよい。その後、接着剤でコーティングされたエラストマーフィルムの別の層が、電気化学セル12の上に押しつけられ得る。これにより、電気化学セル12を完全に取り囲み、カプセル封入する形状適合材料のマトリックスが提供される。可撓性導体24は、2つの隣接する接着層の間の結合線に沿って、又は別の所望の位置において、カプセル封入から出てもよい。いくつかの実施形態では、200%の伸び破断を有する3M Schotchwrap(登録商標)テープ50又は635%の伸び破断を有する3M工業用保護フィルム7070UVなどのテープを使用して、電気化学セルのアレイを取り囲み、カプセル封入することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、可撓性外殻材料は、図13及び14に示すように、個別の電気化学セル12が外殻材料によって取り囲まれ、カプセル封入されるように、個別の電気化学セル12の周りに積層される。他の実施形態では、外殻材料は、図1~3に示されるように、個別の電気化学セル12が外殻材料によって埋め込まれ、カプセル封入されるように、個別の電気化学セルの周りに成形される。
【0051】
いくつかの実施形態では、外殻材料は、片側又は両側に接着剤30(図3)を有する。
【0052】
ここで図4A~4Eを参照すると、開示されるバッテリパックアセンブリ10は、事実上無数の外形及び電気化学セル12アレイ構成を有し得る。例えば、第1のサイズ又は直径を有する電気化学セル12の場合、外殻材料16は、略長方形の形状、又はより楕円形な形状/楕円形若しくは円形の形状を有し得る(ただし、他の形状も可能である)。個別の電気化学セル12は、(図示されるように)対称的又は非対称的なレイアウトを有するように配置されてもよい。可撓性外殻材料16は、センサのための開口部22を含んでもよい。電気化学セル12は、アレイが1つ以上の対称軸を有するように配置されてもよい。好ましくは、アレイは、少なくとも3つ以上の対称軸を有する。例えば、アレイは、図4Dに図示されるように、第1の対称軸A、第2の対称軸B、第3の対称軸C、及び第4の対称軸Dを有してもよい。対称軸は全て、互いに非平行であってもよい。他の実施形態では、2つ以上の対称軸が平行であるが、互いに分離されていてもよい(例えば、図4Eの対称軸E及びF)。更に他の実施形態では、4つより多くの又は4つ未満の対称軸が形成され得る。
【0053】
図5A~5Dに示されるように、第2のサイズ又は直径(ここでは、図4に示される電気化学セル12よりも比較的小さい)を有する電気化学セル12が使用される場合、開示されるバッテリパックアセンブリ10は、異なる電気化学セル12アレイ構成を有し得る。可撓性外殻材料16の形状は事実上無限であり得るが、図4A~4Eの実施形態のように、より小さい電気化学セル12が使用される場合、個別の電気化学セル12を合わせてより密に充填することができるため、個別の電気化学セル12は、外殻材料16の所与のボリューム内に配設され得る。他の実施形態では、バッテリパックアセンブリは、異なるサイズ及び/又は形状を有する複数の電気化学バッテリセルの混合体を含み得る。図4A~4Eの実施形態と同様に、図5A~5Dの実施形態も、センサのための開口部22を含み得る。
【0054】
図4Dに戻る。対称軸が電気化学セル12を含んでいないか、又は電気化学セル12と重なっていない場合、その対称軸が曲げ軸も形成し得る。例えば、対称軸B、C、及びDが曲げ軸も形成する。しかしながら、対称軸Aは電気化学セル12に突き当り、電気化学セル12は、対称軸Aを中心とした可撓性外殻16の曲げに抵抗するため、対称軸Aは曲げ軸を形成しない。
【0055】
図4A~4Dに特に図示されるように、個別のセルは、平均セル直径の5%~100%、好ましくは10%~100%、より好ましくは15%~100%、互いに離間され得る。個別のセルが長方形又は正方形の形状である他の実施形態では、個別のセルは、個別のセルの最大線形寸法の5%~100%、互いに離間され得る。これらの範囲内の間隔は、バッテリパックの屈曲性及び形状適合性を高める。
【0056】
追加的に、可撓性外殻は、1:2~1:30、好ましくは1:5~1:20、より好ましくは1:10~1:15の厚さ対長さ比を有し得る。
【0057】
一般に、曲げ軸の数が増えると、より多くの皮膚曲げモードに対応し、したがって、有利なことに、使用者へのより快適なフィットを提供する。例えば、図4C及び4D並びに図6D及び6Eに示されるアレイのように、円形、六角形、又は八角形の(より一般には多角形の)アレイが好ましい可能性がある。外殻材料16内のスリット、切り込み、又は穿孔は、バッテリパックアセンブリ10により大きな柔軟性又は弾性をもたらし得る。例えば、図4Eに示されるスリット、切り込み、又は穿孔42は、隣接するセル間に作成されてもよく、例えば、スリットは、好ましくは、曲げ軸から等距離であるか、曲げ軸間に配設されるか、又は曲げ軸に沿って配置されてもよく、この場合、形状適合性が向上する。あるいは、カプセル封入材料内の応力を低減し、バッテリパックアセンブリ10を曲げたり伸ばしたりするために必要な力を軽減する他の位置に作成されてもよい。
【0058】
図6A~6Cは、長方形アレイのいくつかの例を示しており、図6Dは六角形アレイを示し、図6Eは円形アレイを示している。図6Dにおける電気化学セル12の六角形アレイは、少なくとも3本の非平行曲げ軸(A、B、及びC)を含み、図6Eにおける電気化学セル12の円形アレイは、少なくとも4本の非平行曲げ軸(A、B、C、及びD)を含む。
【0059】
図7A~7Cは、形状適合バッテリパックアセンブリの他のロープタイプの実施形態を示す。図7A~7Cに示される実施形態は、ロープに類似する比較的長くて薄い形状として形成され得る。これらの実施形態では、個々の電気化学セルは、殻16の長さ寸法に対して、垂直以下のある角度で方向付けられている。ロープタイプの実施形態は、可撓性かつ弾性である。言い換えると、これらの実施形態は、好適に同時に屈曲及び延伸する。ロープタイプの実施形態は、セルサイズと間隔との間のバランスを取るように構成されてもよい。図7A~7Cの実施形態は、直列に接続されている個別の電池セルを示しているが、他の実施形態では、個別の電池セルは、直列に、並列に、又は直列及び並列の組み合わせで接続されてもよい。
【0060】
図8は、2つの別個のバッテリセルアレイ、すなわち第1のアレイ12a及び第2のアレイ12bを含む形状適合バッテリアセンブリの他の実施形態を示す。各アレイが、別個の平行な平面を占有する。第1のアレイ12aは、第2のアレイ12bに隣接して配置されており、第2のアレイ12b内の個別のセル12は、第1のアレイ内の個別のセルからオフセットされている。様々な層において個別のセル12が互いにオフセットされている場合、アレイ間に空隙又は平面スリットを提供することによって、曲げ性が強化され得る。他の実施形態では、第2のアレイ12b内の個別のセルは、第1のアレイ12a内の個別のセルの真上又は真下に位置してもよい。
【0061】
ここで、図9及び10を参照すると、電気化学セル12間の様々なタイプの電気的接続が示されている。いくつかの実施形態では、図9に示されるように、可撓性導体24は、電気化学セル12の上部及び/又は下部上の個別の電気化学セル12の極の間に形成され得る。可撓性導体24は、ループ、オフセット、曲線、コイル、らせん状、曲がりくねった形状、コークスクリュー、及び円弧などの様々な応力緩和形状を有し得、これは有利なことに、バッテリパックアセンブリ10が曲げられたとき、折り畳まれたとき、又は伸ばされた際の材料応力を低減する。同様に、図10に示すように、可撓性導体24は、個別の電気化学セル12の側面の間に形成されてもよく(例えば、電気化学セルの缶は典型的には極に電気的に接続されているため)、可撓性導体24は同様に、ループ、オフセット、曲線、コイル、らせん状、曲がりくねった形状、コークスクリュー、及び円弧などの応力緩和形状を取り得る。
【0062】
可撓性導体24は、可撓性であり、繰り返し曲げられたときにひび割れが生じない高導電性材料を含み得る。これらのタイプの材料は、特に、材料が導体24に上記の応力緩和形状を提供するように形成される場合、バッテリパックアセンブリ10の使用可能な寿命を最も長くする。いくつかの実施形態では、可撓性導体24は、銅、ニッケル、ステンレス鋼、真鍮、他の金属若しくは合金、炭素繊維、導電性ポリマー、又はこれらの材料の組み合わせを含み得る。導電体は比較的薄く、放電又は充電中に許容できない電圧損失なしに最大限の可撓性を可能にする。いくつかの実施形態では、導電体は、約0.14mmの直径を有する36ゲージエナメル銅磁石ワイヤを含み得る。しかしながら、約0.05mm~約0.5mmの直径が、可撓性と、疲労による破損との間のバランスを取ることが見出された。有利には、開示される範囲内の厚さを有する可撓性導体は、一般に、可撓性外殻によって可撓性導体がサポートされるため、より疲労への耐性を有する。更に、このサポートは、可撓性導体が露出しており、マトリックス材料によってサポートされていない場合よりも小さなゲージワイヤを使用することを可能とし、それによってバッテリパックアセンブリの可撓性及び弾性特性を強化する。
【0063】
可撓性導体24は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接、ろう付け、はんだ付け、又は導電性ポリマー若しくは接着剤の使用など、様々な様態で電気化学セル12に取り付けられ得る。
【0064】
図11及び12は、形状適合材料のマトリックスに埋め込まれ、マトリックスによってカプセル封入された電気化学セル12のアレイを備える、バッテリパックアセンブリ10の一実施形態を図示する。図11では、さもなければ透明又は半透明の形状適合材料を通して見えるであろう、電気化学セルの上部上の可撓性導体24が、明確さのために省略されている。図11及び12の実施形態は、例えば、電気化学セル12のアレイの周りに形状適合材料のマトリックスを成形することによって形成され得る。アレイ内の電気化学セル12は、上記で一般に論じたように、可撓性導体24によって電気的に接続され、可撓性導体24は更に端子に接続される。有利なことに、バッテリパックアセンブリ10は、電気化学セル12又は可撓性導体24を損傷することなく、延伸し、又はねじれ得る。更に、延伸及び/又はねじれは、有利なことに、バッテリパックアセンブリ10が別の表面、例えば、人体の一部に形状適合することを可能にする。
【0065】
図13及び14は、形状適合材料のよって取り囲まれ、カプセル封入された電気化学セル12のアレイを備える、バッテリパックアセンブリ10の別の実施形態を図示する。図13及び14の実施形態は、例えば、電気化学セル12のアレイを2枚の材料シート間に積層することによって形成され得る。電気化学セル12のアレイは、上記で一般に述べたように、可撓性導体24によって電気的に接続されている。有利なことに、バッテリパックアセンブリ10は、電気化学セル12又は可撓性導体24を損傷することなく、延伸し、又はねじれ得る。更に、延伸及び/又はねじれは、有利なことに、バッテリパックアセンブリ10が別の表面、例えば、人体の一部に形状適合することを可能にする。
【0066】
次に図15を参照すると、本開示に係るバッテリパックアセンブリ10を含むウェアラブル衣服100の一例が示されている。バッテリパックアセンブリ10は、ウェアラブル衣服100上の任意の点に配置されてもよく、バッテリパックアセンブリ10は、その下にある身体上の位置に形状適合するように、自身の形状を調整する。バッテリパックアセンブリ10は、個別の電気化学セル12のアレイ及び電子部品20を含む。電子部品20は、上述のように生理学的センサを含み得る。電子部品20は、上述した医療デバイスなどの医療デバイス200に通信可能に接続されてもよい。必要な場合、医療デバイス200は、電子部品20からの読み取りに応答して、状態をモニタリングし、かつ/又は薬物治療を投与する。
【0067】
実施例1
次に、図16を参照して、外殻の伸縮及び曲げによるバッテリのパフォーマンスへの影響を示す。試験構成は、図5Cに示される配置に類似するが、セルの総数が図5Cに示される10個ではなく8個である、2直列×4並列構成の8つのSR616銀酸化物ボタンセルのアレイを含んでいた。セルは、36ゲージエナメル絶縁銅線によって接続され、曲がりくねった形状に曲げられ、セル端子に抵抗溶接された。アセンブリは、シリコーンゴム内、具体的には、2AのショアA硬度、37.8psiの100%モジュラス、763%の伸び破断、及び288psiの引張強度を有するシリコーンゴムであるSmooth-On Dragon Skin(商標)FX-Pro内、に埋め込まれ、カプセル封入された。
【0068】
制御アセンブリは、2.0Vの電圧に達するまで、室温にて0.8mAで連続的に放電された。
【0069】
延伸:アセンブリは、外殻の長さ寸法に沿って、緩和された寸法よりも10%多く、連続して5,000サイクル延伸された。5,000サイクル後、アセンブリは、2.0Vの電圧に達するまで、室温にて0.8mAで連続的に放電された。
【0070】
曲げ:アセンブリを直径0.625インチのマンドレル上で曲げ、その後、通常の形状まで緩和させた。曲げサイクルは、5,000サイクルが達成されるまで、22回/分の速度で連続的に実行された。5,000サイクル後、バッテリは、2.0Vの電圧に達するまで、室温で0.8mAで連続的に放電された。
【0071】
図16に示すように、試験の結果は、延伸及び曲げがバッテリアセンブリの電気的パフォーマンスに有意な影響を与えなかったことを示している。実際には、コントロールアセンブリと、伸ばされたアセンブリ及び曲げられたアセンブリとの間で、電気的パフォーマンスはほぼ区別がつかなかった。したがって、個別のバッテリセルは、環境要因から有利に保護され、電気的パフォーマンスに影響を与えることなく、皮膚のような感触を有する材料によって取り囲まれた。
【0072】
特定の電気化学セル12アレイ構成が本明細書に示されているが、実質的に規則的な間隔で離間された電気化学セル12は、比較的均一な全体的機械的特性を提供し、よって、一実施形態では一般に使用者にとって好ましい。電気化学セル12の特定の幾何学的配置、特に、3本以上の対称軸が、任意選択で具体的な用法に適合される外殻材料のサイズ及び幾何学的形状、並びにセル間の電気的相互接続のサイズ及び幾何学的形状、特に上記の応力緩和形状と結合されることにより、バッテリアセンブリの可撓性及び弾性が向上し、それによって、より高い快適性、並びに強化された装着性及び機能性が使用者にもたらされる。アレイ内の個別の電気化学セルは、同じ又は異なるサイズを有し得、円形、楕円形、長方形、又は任意の他の適切な形状であり得る。用途の要件に応じて、バッテリパックアセンブリ10は、事実上任意の外形を取ることができ、また、その中の様々な位置に設けられた1つ以上の貫通穴を有し得、穴の所望の位置に、又は、例えば、電気化学セル12の間に所望の間隔で穴を切削することによって、センサが結果として生じた穴の中に配設されることを可能にし、その結果、センサは使用者の皮膚に直接接触することができる。
【0073】
開示されるバッテリパックアセンブリは比較的薄く、適切な接着剤によって人体に取り付けられたときに快適に感じるのに十分に皮膚に類似した機械的特性を有する。これらのバッテリパックアセンブリは、皮膚取り付けセンサ、又は使用者への刺激及び不快感が少なく、より長い期間装着することができる他のデバイスを容易にする。開示されるバッテリパックアセンブリは、有利には、バッテリ接点とセンサ接点との間の連続的で途切れることのない相互接続を提供する。皮膚接触を容易にすると記載されているが、開示されたバッテリパックアセンブリは、この様式で使用する必要はなく、代わりに、例えば、アームバンド又は図15に示される物品などの衣料品に組み込まれてもよいことを理解されたい。皮膚のような感触は、開示されるバッテリアセンブリが、使用者によって装着されているとき、移動することを可能にし、したがって、使用者の快適性を高め、よって、長期間の順守及び使用を促進するように、バッテリアセンブリを屈曲及び挙動させることを可能にする。更に、開示されるバッテリアセンブリは、バッテリセルの電気的パフォーマンスを実質的に保ちながら、温度変化、液体、汚れ、ほこりなどの環境要因からセル及び電気的接続を有利に保護する。
【0074】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙される正確な数値に厳密に制限されるものとは理解されるべきではない。代わりに、特に指定のない限り、そのような各寸法は、列挙された値、及びその値の周辺の機能的に等価な範囲、の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0075】
本明細書に引用される全ての文献(あらゆる相互参照又は関連特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許又は出願)が、明確に除外されているか、又は別段の制限がない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、それが本明細書にて開示若しくは特許請求される任意の発明に対して先行技術であることを認めるものではなく、又は、それが単独で若しくは任意の1つ以上の他の参考文献との組み合わせで、任意のそのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものでもない。更に、この文献における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合には、この文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0076】
本発明の特定の実施形態を図示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲に含まれるそのような全ての変更及び修正を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】