(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】直交層構造を有するフォトダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 31/107 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
H01L31/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546017
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051728
(87)【国際公開番号】W WO2022161991
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】102021200828.3
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ・イグナツ
(72)【発明者】
【氏名】ハイグル・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ネオマイヤー・カール
(72)【発明者】
【氏名】ネブリッヒ・ラース
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥルム-ロゴン・リオンハルト
【テーマコード(参考)】
5F149
【Fターム(参考)】
5F149AA08
5F149AB02
5F149BA01
5F149BA09
5F149CB01
5F149CB10
5F149CB14
5F149DA44
5F149FA01
5F149FA05
5F149GA04
5F149XB17
5F149XB24
5F149XB38
(57)【要約】
実施形態は、2つの電極と、光子を吸収するための吸収体積とを有するフォトダイオードを提供し、吸収体積は、光子入射領域を含み、2つの電極は、逆電圧が印加されると、2つの電極間の活性領域に電界を生成するように構成され、電界は、光子入射領域に平行に延び、フォトダイオードの半導体基板の表面から開始して、2つの電極は、本質的に半導体基板の深さ方向に表面に直交して延在し、フォトダイオードは、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つの下方に配置された半導体基板内に形成された少なくとも1つのガード構造を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオード(100)であって、
2つの電極(102、104)と、
光子(106)を吸収するための吸収体積(112)であって、光子入射領域(106)を含む吸収体積(112)と、を備え、
前記2つの電極(102、104)が、逆電圧が印加されると、前記2つの電極(102、104)の間の活性領域に電界(110)を生成するように構成され、
前記電界(110)が前記光子入射領域(106)と平行に延び、
前記フォトダイオード(100)の半導体基板(101)の表面(105)から開始して、前記2つの電極(102、104)が、前記半導体基板(101)の深さ方向において前記表面(105)に対して本質的に直交して延在し、
前記フォトダイオード(100)が、前記少なくとも2つの電極(102、104)のうちの少なくとも一方の下方に配置された前記半導体基板(101)内に形成された少なくとも1つのガード構造(130)を備える、フォトダイオード。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガード構造(130)が、横方向および前記深さ方向において前記半導体基板(101)によって囲まれている、
請求項1に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガード構造(130)の横方向延在部が、対応する電極の横方向延在部の2から5倍である、
請求項1から2のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのガード構造(130)が、それぞれが強く丸みを帯びた角部および縁部を有する、球形、立方体形状、または直方体形状である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項5】
前記半導体基板が、連続したシリコン半導体基板である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項6】
前記2つの電極(102、104)が、前記光子入射領域(106)に対して本質的に直交して延びる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のフォトダイオード。
【請求項7】
前記半導体基板(101)の前記表面(105)から開始して、前記2つの電極(102、104)が、少なくとも5μmの深さまで前記深さ方向に前記半導体基板(101)内に延在する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項8】
前記吸収体積(112)が、前記2つの電極(102、104)の間に配置されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項9】
前記2つの電極(102、104)間のダイオード層スタック(128)の層(120、122、124、126)が、前記光子入射領域(106)に対して本質的に直交して延びる、
請求項1から8のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項10】
前記ダイオード層スタック(128)が、
-p
+ドープ層、
-真性またはp
-ドープ層、
-pドープ層、および
-n
+ドープ層、の層を含み、
または、前記ダイオード層スタック(128)が、
-n
+ドープ層、
-真性またはn
-ドープ層、
-nドープ層、および
-p
+ドープ層、の層を含む、
請求項9に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項11】
前記フォトダイオード(100)が、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管である、
請求項1から10のいずれか一項に記載のフォトダイオード(100)。
【請求項12】
フォトダイオード(100)を製造するための方法(200)であって、
半導体基板(101)を設けること(202)と、
前記半導体基板(101)内または前記半導体基板上に少なくとも2つの電極(102、104)を設けること(204)であって、前記フォトダイオード(100)の半導体基板(101)の表面(105)から開始して、前記2つの電極(102、104)が、前記半導体基板(101)の深さ方向において前記表面(105)に本質的に直交して延在する、設けることと、
前記少なくとも2つの電極(102、104)の間にダイオード層スタック(128)を設けること(206)であって、前記ダイオード層スタック(128)の層(120、122、124、126)が前記半導体基板(101)の表面(105)に本質的に直交して延びる、設けることと、
前記半導体基板(101)内で、前記少なくとも2つの電極(102、104)のうちの少なくとも一方の下方に少なくとも1つのガード構造(130)を形成することと、を含む、方法(200)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの電極(102、104)、前記ガード構造(130)、および前記ダイオード層スタックが、
前記半導体基板(101)の前記表面(105)から開始して、前記半導体基板(101)に少なくとも2つの離間した凹部(103)を形成し、
前記少なくとも2つの電極(102、104)のうちの一方の下方にガード構造凹部(131)を形成し、
前記少なくとも2つの凹部から開始し且つ部分的に前記ガード構造凹部(131)から開始して、前記少なくとも2つの凹部(103)の間に前記半導体基板(101)をドープして、前記少なくとも2つの凹部(103)の間に前記ガード構造(130)および前記ダイオード層スタック(128)を取得し、前記ダイオード層スタック(128)の層が、前記半導体基板(101)の前記表面(105)に対して本質的に直交して延び、
前記少なくとも2つの凹部(103)内に前記少なくとも2つの電極(102、104)を設けることによって、前記半導体基板(101)内に設けられる、
請求項12に記載の方法(200)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの凹部(103)が、前記半導体基板(101)をエッチングすることによって、または局所的に酸化し、その後に酸化物を除去することによって、または選択堆積によって成長することによって形成される、
請求項13に記載の方法(200)。
【請求項15】
前記半導体基板(101)が、化学蒸着によるドーパント含有層によるコーティングによって、または気相からのドーピングによってドープされる、
請求項13から14のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項16】
前記少なくとも2つの電極(102、104)および前記ダイオード層スタック(128)が、
前記少なくとも2つの電極(102、104)の層ごとの成長と、
前記ダイオード層スタック(128)の層ごとの成長および局所ドーピングと、によって前記半導体基板(101)上に設けられる、
請求項12に記載の方法(200)。
【請求項17】
前記ダイオード層スタック(128)が、フォトリソグラフィに関連してイオン注入によってドープされる、
請求項15に記載の方法(200)。
【請求項18】
前記ダイオード層スタック(128)が、
-p
+ドープ層、
-真性またはp
-ドープ層、
-pドープ層、および
-n
+ドープ層、の層を含み、
または、前記ダイオード層スタック(128)が、
-n
+ドープ層、
-真性またはn
-ドープ層、
-nドープ層、および
-p
+ドープ層、の層を含む、
請求項12から17のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項19】
前記少なくとも2つの電極(102、104)が、メタライゼーション層および/または高濃度ドープ層を設けるおよび構造化することによって形成される、
請求項12から18のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項20】
前記フォトダイオード(100)が、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管である、
請求項12から19のいずれか一項に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フォトダイオードに関し、特に、光子入射領域に対する直交層構造を有するフォトダイオードに関する。さらなる実施形態は、フォトダイオードを製造するための方法に関する。いくつかの実施形態は、赤色感度が高いシリコン光電子増倍管(SiPM)内のアバランシェフォトダイオード(APD)の直交配置に関する。
【背景技術】
【0002】
LIDAR(光検出と測距)などの検出システムでは、近赤外範囲(NIR)の高いスペクトル感度を有する高感度光検出器が必要とされる。しかしながら、近赤外範囲では、シリコンの光子の吸収係数が大幅に低下し、適切な数の生成された電子-正孔対のために大きな体積が必要とされる。高い電気増幅率を得るために、ダイオードは、逆方向の降伏範囲で動作され、これはアバランシェ効果をもたらす。従来の検出器の問題は、吸収体積が増加する垂直構造では、以下に説明するように、アバランシェ効果に必要な電圧も増加しなければならないことである。
【0003】
従来、シリコン基板上に生成される平面アバランシェフォトダイオード(APD)やシリコン光電子増倍管(SiPM)は、垂直層構造を有している。
図1には、垂直アバランシェフォトダイオードの構造が例示されている。
【0004】
詳細には、
図1aは、ここでは垂直ドーパントプロファイル経過n
+-p-i-p
+[1]を有する、アバランシェフォトダイオード(APD)の基本構造の概略断面図を示している。下部p+領域は、金属リアコンタクトへの電気的移行を改善するのに役立つ。上部コンタクトエッジのnドープ領域は、周囲の真性領域からの干渉影響に対するガード構造として機能する。
【0005】
図1bは、
図1a[2]に示されているアバランシェフォトダイオード(APD)の中央の活性領域を通る垂直断面にプロットされたドーパント、吸収、電界および導体バンドの経過を図で示している。
【0006】
ダイオードは、逆方向の降伏領域で動作する。活性領域において光子を吸収すると、電子-正孔対が生成され、動作中にアバランシェ効果が生じ、信号の強/高/大増幅を可能にする。
【0007】
一般的な平面フォトダイオードでは、電界と光の方向は平行に延びる。吸収能力が低下すると、これは、長波長域における感度の低下に等しい。この感度損失は、長い吸収経路(=大きな空間電荷ゾーン(SCR)によって補償されることができる。
【0008】
深い空間電荷ゾーンを生成するために、高い動作電圧および低ドープシリコン材料が必要とされる。非常に高い内部電界強度で動作するアバランシェフォトダイオードまたはシリコン光電子増倍管などの増幅受光器が使用される場合、望ましくない横方向の絶縁降伏を防止するいわゆるガード構造が必要とされる。
【0009】
電圧が増加すると(=深いSCR=赤色感度が増加する)、これらのガード構造はますます大きくなる。
【0010】
これらのガード構造は、光子の検出に利用できない光子入射領域の領域を占有する。したがって、より高い電圧での動作中、ダイオードの面積効率(全面積にわたるダイオードの効率)は低下する。
【0011】
[3]では、SOI層に形成された側方アバランシェフォトダイオードが記載されており、乗算層のドーピングは、表面注入およびその後の拡散によって生成され、これは、SOI層の深さ全体にわたって行われる。ここで、ドーパントの濃度は、SOI層の下部よりも表面の方が高い。これは、降伏電圧の深さに依存した変化を生じさせるため、数μmの深さまでしか機能しないアバランシェフォトダイオードが生成されることができない。この拡散後にのみトレンチエッチングが行われ、カソード電極を実現する。
【発明の概要】
【0012】
そこで、本発明は、面積効率を向上させた、長波長領域の感度が高いフォトダイオードを提供することを目的とする。
【0013】
この目的は、独立請求項によって解決される。
有利なさらなる開発は、従属請求項に見出すことができる。
【0014】
実施形態は、光子を吸収するための吸収体積内に2つの電極[例えば、アノードおよびカソード]を有するフォトダイオードであって、吸収体積が光子入射領域を含み、2つの電極が、逆電圧が印加されると、2つの電極間の活性領域[例えば、吸収体積]に電界を生成するように構成され、電界が光子入射領域と平行に延びる[例えば、電界の磁力線が光子入射領域に平行に延びる]、フォトダイオードを提供する。
【0015】
実施形態では、フォトダイオードの半導体基板の表面から開始して、2つの電極は、半導体基板の深さ方向に表面に本質的に直交して延びることができ、フォトダイオードは、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つの下方に配置された半導体基板内に形成された少なくとも1つのガード構造を備える。
【0016】
実施形態では、少なくとも1つのガード構造は、横方向および深さ方向に半導体基板によって囲まれることができる。
【0017】
実施形態では、少なくとも1つのガード構造の横方向延在部は、対応する電極の横方向延在部の2から5倍とすることができる。
【0018】
実施形態では、少なくとも1つのガード構造は、それぞれが強く丸みを帯びた角部または縁部を有する球形、立方体形状または直方体形状とすることができる。
【0019】
実施形態では、半導体基板は、連続したシリコン半導体基板である。
【0020】
実施形態では、2つの電極は、光子入射領域に対して本質的に直交して[例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で]延びることができる。
【0021】
実施形態では、半導体基板の表面から開始して、2つの電極は、少なくとも5μm以上[例えば、10μmから30μm]の深さまで深さ方向に半導体基板内に延在することができる。
【0022】
実施形態では、フォトダイオードの半導体基板(101)の表面から開始して、2つの電極は、[例えば、表面が光子入射領域に平行に延びる場合]半導体基板101の深さ方向の表面に本質的に直交して[例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で]延在することができる。
【0023】
実施形態では、吸収体積は、2つの電極間に配置されることができる。
【0024】
実施形態では、2つの電極間のダイオード層スタックの層[例えば、半導体層]は、光子入射領域に対して本質的に直交して[例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で]延びることができる。
【0025】
実施形態では、ダイオード層スタックは、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層、
-真性またはp-ドープ層、
-pドープ層、および
-n+ドープ層。
【0026】
実施形態では、ダイオード層スタックは、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性またはn-ドープ層、
-nドープ層、および
-p+ドープ層。
【0027】
実施形態では、ダイオード層スタックはまた、代替的に、以下の層を含むこともできる:
-n+ドープ層、
-真性層、
-pドープ層、
-真性層、
-p+ドープ層。
【0028】
実施形態では、ダイオード層スタックはまた、代替的に、以下の層を含むこともできる:
-p+ドープ層、
-真性層、
-nドープ層、
-真性層、
-n+ドープ層。
【0029】
実施形態では、フォトダイオードは、[例えば、吸収体積の領域に電界を集中させるために[例えば、且つエッジ領域においてこれを低減するために]][例えば、フォトダイオードの半導体基板の深さ方向において]少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つの下方[例えば、直下]に配置された少なくとも1つのガード構造を備えることができる。
【0030】
実施形態では、フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管とすることができる。
【0031】
さらなる実施形態は、フォトダイオードを製造するための方法を提供する。本方法は、半導体基板を設けるステップを含む。さらに、本方法は、半導体基板内または半導体基板上に少なくとも2つの電極[例えば、アノードおよびカソード]を設けるステップを含む。さらに、本方法は、少なくとも2つの電極間にダイオード層スタックを設けるステップを含み、ダイオード層スタックの層は、半導体基板の表面に対して本質的に直交して[例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で]延びる。
【0032】
実施形態では、半導体基板の表面から開始して、[例えば、半導体基板の深さ方向に、すなわち半導体基板の表面に直交して]半導体基板に少なくとも2つの離間した凹部[例えば、トレンチ]を形成し、少なくとも2つの凹部の間に半導体基板をドープして、少なくとも2つの凹部の間にダイオード層スタック[例えば、ダイオード層構造]を取得し、ダイオード層スタックの層が半導体基板の表面に対して本質的に直交して[例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で]延び、少なくとも2つの凹部内に少なくとも2つの電極[例えば、アノードおよびカソード]を設けることによって、少なくとも2つの電極およびダイオード層スタックが半導体基板内に設けられることができる。
【0033】
実施形態では、フォトダイオードの半導体基板の表面から開始して、2つの電極は、半導体基板の深さ方向に表面に本質的に直交して延在することができ、本方法は、半導体基板内の少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つの下方に少なくとも1つのガード構造を形成することをさらに含む。
【0034】
実施形態では、少なくとも2つの電極、ガード構造、およびダイオード層スタックは、半導体基板の表面から開始して、半導体基板内に少なくとも2つの離間した凹部を形成し、少なくとも2つの電極のうちの1つの下方にガード構造凹部を形成し、少なくとも2つの凹部から開始し且つ部分的にガード構造の凹部から開始して、少なくとも2つの凹部の間に半導体基板をドープして、少なくとも2つの凹部の間のガード構造およびダイオード層スタックを取得し、ダイオード層スタックの層が、半導体基板の表面に対して本質的に直交して延び、少なくとも2つの凹部内に少なくとも2つの電極を設けることによって、半導体基板内に設けられることができる。
【0035】
実施形態では、少なくとも2つの凹部は、エッチングによって、または半導体基板の局所的な酸化およびその後の酸化物の除去によって、または選択的堆積による成長によって形成されることができる。
【0036】
実施形態では、半導体基板は、少なくとも2つの凹部から少なくとも部分的にドープされることができる。
【0037】
実施形態では、半導体基板は、化学蒸着によるドーパント含有層によるコーティングによって、または気相からのドーピングによってドープされることができる。
【0038】
実施形態では、少なくとも2つの電極およびダイオード層スタックは、少なくとも2つの電極の層ごとの成長[例えば、エピタキシ]およびダイオード層スタックの層ごとの成長[例えば、エピタキシ]および局所ドーピングによって半導体基板上に設けられることができる。
【0039】
実施形態では、ダイオード層スタックは、フォトリソグラフィに関連してイオン注入によってドープされることができる。
【0040】
実施形態では、ダイオード層スタックは、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層、
-真性またはp-ドープ層、
-pドープ層、および
-n+ドープ層。
【0041】
実施形態では、ダイオード層スタックは、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性またはn-ドープ層、
-nドープ層、および
-p+ドープ層。
【0042】
実施形態では、ダイオード層スタックはまた、代替的に、以下の層を含むこともできる:
-n+ドープ層、
-真性層、
-pドープ層、
-真性層、
-p+ドープ層。
【0043】
実施形態では、ダイオード層スタックはまた、代替的に、以下の層を含むこともできる:
-p+ドープ層、
-真性層、
-nドープ層、
-真性層、
-n+ドープ層。
【0044】
実施形態では、少なくとも2つの電極は、メタライゼーション層および/または高濃度ドープ層を設けるおよび構造化することによって形成されることができる。
【0045】
実施形態では、方法は、[例えば、吸収体積の領域に電界を集中させるために[例えば、且つエッジ領域においてこれを低減するために、または電流経路/漏れ電流を抑制するために]]少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つの下方[例えば、直下]に少なくとも1つのガード構造を形成するステップをさらに含むことができる。
【0046】
実施形態では、フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管とすることができる。
【0047】
さらなる実施形態は、高い赤色感度を有するアバランシェフォトダイオード(APD)およびシリコン光電子増倍管(SiPM)のための直交配置を提供する。
【0048】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1a】ここでは垂直ドーパントプロファイル経過n
+-p-i-p
+[1]を有する、断面におけるアバランシェフォトダイオードの基本構造の概略図である。
【
図1b】
図1a[2]に示されているアバランシェフォトダイオード(APD)の中央の活性領域を通る垂直断面にプロットされたドーパント、吸収、電界および導体バンドの経過の図である。
【
図2a】本発明の実施形態にかかるフォトダイオードの概略断面図である。
【
図2b】本発明の実施形態にかかるフォトダイオードの概略断面図である。
【
図3a】従来のアバランシェフォトダイオードの概略断面図である。
【
図3b】本発明の実施形態にかかるアバランシェフォトダイオードの概略断面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかるフォトダイオードを製造するための方法のフロー図である。
【
図5a】半導体基板を設けるステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図5b】半導体基板内に少なくとも2つの離間した凹部を形成するステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略図である。
【
図5c】少なくとも2つの凹部の間に半導体基板をドープするステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図5d】少なくとも2つの凹部内に少なくとも2つの電極を設けるステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図6a】半導体基板を設け、半導体基板の表面上に第1の層を成長させるステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図6b】第1の層の局所ドーピングのステップ後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図6c】第1の層上に第2の層を成長させるステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図6d】第2の層の局所ドーピングのステップ後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図6e】半導体基板上にいくつかの層が成長され、ドープ領域上にコンタクトが設けられた後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態にかかるフォトダイオードの概略断面図である。
【
図8a】フォトダイオードのダイオード層スタックのアバランシェ層を形成するステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図8b】第1の電極(例えば、カソード)ならびに第1の電極の下方のガード構造を形成するステップの後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【
図8c】ダイオード層スタックの別の層、第2の電極、ならびに第1および第2の電極の接触を製造した後のフォトダイオードの製造中のフォトダイオードの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施形態の以下の説明では、同じまたは等しい要素には、それらの説明が相互に交換可能であるように、図面において同じ参照符号が付されている。
【0051】
図2aは、本発明の実施形態にかかるフォトダイオード100の概略断面図を示している。フォトダイオードは、半導体基板101と、半導体基板101内に形成された2つの電極102および104(例えば、アノードおよびカソード)と、電極102と104との間に、光子108を吸収するための吸収体積112とを含み、吸収体積112は、半導体基板101の表面105上または表面105に平行な光子入射領域106を含む。電極102および104は、逆電圧が印加されると、電極102と104との間の活性領域(例えば、吸収体積112内)に電界110を生成するように構成され、電界110は、光子入射領域106またはフォトダイオード100の表面105に平行に延びる。
【0052】
図2aに見られるように、電極102および104は、フォトダイオード100の光子入射領域106または表面105に対して本質的に直交して(例えば、90°の角度で、または70°から110°の角度で)配置されている。したがって、フォトダイオード100の半導体基板101の表面105から開始して、電極102および104は、本質的に、半導体基板101の深さ方向において表面105に直交して延在する。
【0053】
図2bは、本発明の実施形態にかかるフォトダイオード100の概略断面図を示している。
図2aと比較して、
図2bは、フォトダイオード100の例示的なダイオード層構造128をさらに示している。
図2bに見られるように、ダイオード層構造128の層120、122、124、126は、本質的に、フォトダイオード100の光子入射領域106または表面105に直交して配置されることができる。
【0054】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層120、
-真性またはp-ドープ層122、
-pドープ層124、および
-n-ドープ層126。
【0055】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性またはn-ドープ層、
-nドープ層、および
-p+ドープ層。
【0056】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性層、
-pドープ層、
-真性層、
-p+ドープ層。
【0057】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層、
-真性層、
-nドープ層、
-真性層、
-n+ドープ層。
【0058】
実施形態では、フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管とすることができる。
【0059】
以下、フォトダイオード100の詳細な実施形態についてより詳細に説明する。
図3は、従来の垂直アバランシェフォトダイオード10と、本発明の実施形態にかかる直交アバランシェフォトダイオード100(直交構造のアバランシェフォトダイオード)との比較を示している。
【0060】
詳細には、
図3aは、従来のアバランシェフォトダイオード100の概略断面図を示している。
図3aに見られるように、これは、アノード12およびカソード14が垂直に配置された垂直構造を有する平面アバランシェダイオードであり、逆電圧が印加されると、アノード12とカソード14との間に電界16が発生し、これはフォトダイオード10の光子入射領域18に直交して、または光子20の吸収方向に平行に延びる。したがって、従来のフォトダイオード10のダイオード層構造の層(p
+、p-またはi、p、n
+)も、フォトダイオードの光子入射領域18に平行に延びる。
【0061】
一方、
図3bは、本発明の実施形態にかかるアバランシェフォトダイオード100の断面概略図を示している。すなわち、
図3bは、3次元直交アバランシェフォトダイオードの概念を示している。基板の凹部から開始して、ドーパントによって、深到達活性領域が生成されることができる。
図3bに見られるように、フォトダイオード100は、直交構造を有し、アノード110およびカソード104は、直交して配置され、その結果、逆電圧を印加すると、アノード100とカソード104との間に電界110が生成され、これはフォトダイオード100の光子入射領域106に平行に、または光子108の吸収方向に直交して延びる。したがって、フォトダイオードのダイオード層構造の層(p+、p-またはi、p、n+)もまた、光子入射領域406に直交して延びる。
【0062】
本発明の実施形態は、電界および光入射(光吸収)が互いに直交して流れるため、吸収容量と高い動作電圧との間の依存性を防止することを可能にする。
【0063】
フォトダイオードの電界または動作電圧は、カソードとアノードとの距離によって規定される。シリコン中の活性場の深さを通る吸収。直交配置により、動作電圧および吸収深さが分離されることができる。動作電圧は、横方向寸法によって適合されることができる。
【0064】
垂直フォトダイオード(
図3aを参照)ならびに直交フォトダイオード(
図3bを参照)は、いわゆるガード構造22または130を必要とし、その結果、アバランシェ増倍またはガイガーモードの降伏は、意図された領域においてのみ生じる。直交フォトダイオード100を使用すると、これらのガード構造130は、光子入射領域に対して小さく保たれることができる。
【0065】
電界強度の局所的な低下による望ましくない場所での故障の防止は、以下の対策(ガード構造)によって得られることができる:
・クローズドセル構造(回転対称構造)などの横方向の幾何学的尺度によって。
・半径を増加させて電界ピークを防止することによって。
・局所ドーパント濃度を減少させ、したがって空間電荷ゾーンを増加させることによって。
・アイソレータ層によって電流経路を抑制することによって。
【0066】
実施形態は、理論的には、電気動作電圧の構成とは無関係に、直交構造を用いて任意の深さの吸収体積が生成されることができるという利点を有する。
【0067】
実施形態は、直交フォトダイオードにおいて(垂直フォトダイオードとは対照的に)、例えばガード構造を電極の下端に取り付けることによって、ガード構造が光子入射面積を減少させないようにガード構造が構造化されることができるという利点を有する。
【0068】
本発明の実施形態は、以下などのアバランシェフォトダイオードまたはシリコン光電子増倍管を使用するシステムを改善するために、より高い吸収率およびより高い面積効率を有する費用対効果の高い構成要素において使用される:
・LIDAR技術。
・高感度光子分光法。
【0069】
図4は、フォトダイオードを製造するための方法200のフロー図を示している。方法200は、半導体基板を設けるステップ202を含む。さらに、本方法は、半導体基板内または半導体基板上に少なくとも2つの電極を設けるステップ204を含む。さらに、方法200は、少なくとも2つの電極間にダイオード層スタックを設けるステップ206を含み、ダイオード層スタックの層は、本質的に半導体基板の表面に直交して延びる。
【0070】
フォトダイオードを製造するための
図4に示す方法200の2つの実施形態は、フォトダイオードを製造するための方法の異なるステップの後のフォトダイオードの概略断面図を示す
図5および
図6を参照して以下により詳細に説明される。
【0071】
図5aは、半導体基板101を設けるステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。半導体基板101は、例えば、シリコン半導体基板とすることができる。
【0072】
図5bは、半導体基板101の表面105から開始して、半導体基板105内に少なくとも2つの離間した凹部103(例えば、トレンチ)を形成するステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略図を示している。
【0073】
図5bに見られるように、半導体基板101の凹部103は、半導体基板101の深さ方向に、すなわち半導体基板101の表面105に直交して延在することができる。
【0074】
実施形態では、少なくとも2つの凹部103は、エッチングによって形成されることができる。
あるいは、少なくとも2つの凹部103は、半導体基板の局所的な酸化およびその後の酸化物の除去によって、または選択的堆積による成長によって形成されることができる。
【0075】
図5cは、少なくとも2つの凹部103の間に半導体基板101をドープして、少なくとも2つの凹部103の間にダイオード層スタック128を取得するステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0076】
図5cに見られるように、ダイオード層スタック128の層120、122、124、126は、本質的に半導体基板101の表面105に直交して延びることができる。
【0077】
ここで、
図5cの層120、122、124、126は、例示的にのみ示されており、ダイオード層スタック128はまた、異なる層数および異なる層配置によって実現されることもできることに留意されたい。
【0078】
実施形態では、半導体基板101は、少なくとも2つの凹部103から少なくとも部分的にドープされることができる。
【0079】
実施形態では、半導体基板101は、化学蒸着によるドーパント含有層によるコーティングによって、または気相からのドーピングによってドープされることができる。
【0080】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層、
-真性またはp-ドープ層、
-pドープ層、および
-n+ドープ層。
【0081】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性またはn-ドープ層、
-nドープ層、および
-p+ドープ層。
【0082】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-n+ドープ層、
-真性層、
-pドープ層、
-真性層、
-p+ドープ層。
【0083】
実施形態では、フォトダイオード100のダイオード層構造128は、以下の層を含むことができる:
-p+ドープ層、
-真性層、
-nドープ層、
-真性層、
-n+ドープ層。
【0084】
図5dは、少なくとも2つの凹部内に少なくとも2つの電極102および104を設けるステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0085】
実施形態では、少なくとも2つの電極は、メタライゼーション層および/または高濃度ドープ層を設けるおよび構造化することによって形成されることができる。
【0086】
図6aは、半導体基板101を設けるステップおよび半導体基板101の表面上に第1の層130_1を成長させるステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0087】
実施形態では、半導体基板101は、シリコン半導体基板とすることができる。
実施形態では、第1の層130_1は、真性層とすることができる。
実施形態では、第1の層130_1が第1のエピタキシ層とすることができるように、第1の層130_1は、エピタキシによって成長されることができる。
【0088】
図6bは、第1の層130_1を局所的にドープするステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0089】
図6bに見られるように、局所的にドーピングすることによって、p
+ドープ領域140、pドープ領域142およびn
+ドープ領域144などのドープ領域140、142および144が第1の層130_1内に得られることができる。
【0090】
実施形態では、ドーピングは、例えば、フォトリソグラフィに関連するイオン注入によって行われることができる。
【0091】
図6cは、第1の層130_1上に第2の層130_2を成長させるステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0092】
実施形態では、第2の層130_2は、真性層とすることができる。
実施形態では、第2の層130_2が第2のエピタキシ層とすることができるように、第2の層130_2は、エピタキシによって成長されることができる。
【0093】
図6dは、第2の層130_2を局所的にドープするステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0094】
図6dに見られるように、局所的にドーピングすることによって、p
+ドープ領域140、pドープ領域142およびn
+ドープ領域144などのドープ領域140、142および144が第2の層130_2内に得られることもできる。
【0095】
実施形態では、ドーピングは、例えばフォトリソグラフィに関連したイオン注入によって行うことができる。
【0096】
図6eは、いくつかの層130が半導体基板101上に成長され、アノード用のコンタクト146およびカソード用のコンタクト148などのコンタクト146および148がドープ領域140および144上に設けられた後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。
【0097】
任意に、酸化物層(例えば、SiO2)などのガード層129が成長層上に設けられることができる。
【0098】
実施形態では、フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管とすることができる。
【0099】
実施形態では、上述したように(例えば
図3bを参照)、フォトダイオード100は、例えば吸収体積の領域に電界を集中させるために、またはエッジ領域において電界を低減するために、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも一方の下方でフォトダイオード100の半導体基板の深さ方向に配置された少なくとも1つのガード構造130を備えることができる。このようなガード構造130を有するフォトダイオード100の詳細な実施形態を以下により詳細に説明する。フォトダイオード100またはガード構造130の以下の説明は、ここでは当然、上述したフォトダイオード100の実施形態に等しく適用可能である。
【0100】
図7は、本発明の実施形態にかかるフォトダイオード100の概略断面図を示している。フォトダイオード100は、半導体基板101と、半導体基板101内に形成された2つの電極102および104(例えば、アノード102およびカソード104)と、2つの電極102および104の間で光子を吸収するための吸収体積112と、2つの電極102および104の間のダイオード層スタック128とを含み、吸収体積112の領域内のダイオード層スタック128の層120、122、124および126は、半導体基板101の表面105またはフォトダイオード100の光子入射領域106(側方アバランシェフォトダイオード)に対して本質的に直交して延びる。
【0101】
これにより、上記で詳細に説明したように、2つの電極102、104間に逆電圧が印加されると、フォトダイオード100の光子入射領域106または半導体基板101の表面105に平行に延びる2つの電極102、104間に電界が発生する。
【0102】
ダイオード層スタック128は、
図7に例示されるように、p
+ドープ層120、真性またはp
-ドープ層122、pドープ層124、およびn
+ドープ層126を含むことができる。あるいは、当然のことながら、ダイオード層スタック128は、n
+ドープ層120、真性またはn
-ドープ層122、nドープ層124、およびp
+ドープ層を含むことができる。
【0103】
実施形態では、半導体基板101は、連続したシリコン半導体基板などの連続した半導体基板とすることができる。ここで、フォトダイオード100は、この連続した半導体基板101に形成されることができる。したがって、実施形態では、例えば[3]の場合のように、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板は必要とされない。
【0104】
実施形態では、半導体基板101の表面105から開始して、2つの電極102および104は、半導体基板101内に少なくとも5μm(例えば、10μmから20μm、または10μmから30μm)の深さまで延在することができる。
【0105】
ここで、2つの電極102、104は、間隔を空けた2つのトレンチ内で半導体基板101に形成されることができる。2つのトレンチを電極材料(例えば、メタライゼーション層または高濃度ドープ層)によって充填する前に、ダイオード層スタック128の層120、124および126は、2つのトレンチの壁をそれぞれのドーパントによってコーティングし、それらを拡散させることによって生成されることができ、
図7に示すそれぞれのトレンチまたは電極102および104の周りの層120、124および126の形状をもたらす。
【0106】
幾何学的な理由から、
図7のトレンチ形成電極104(カソード)のような導電性材料によって充填されたトレンチのうちの一方の下端で電界増強が生じ、それによってそこでの絶縁降伏電圧が低下する。降伏電圧は、ガード構造130(例えば、ガード構造)によって著しく増加させることができ、それによって、所望のまたは必要とされる横方向降伏電圧を上回る。
【0107】
したがって、実施形態では、ガード構造130は、
図7の電極104(カソード)の下方など、2つの電極102および104のうちの少なくとも一方の下方に形成される。
【0108】
実施形態では、このガード構造130は、トレンチの下端におけるアバランシェゾーン124およびカソード104のドーパント濃度を低減することによって生成されることができる。
【0109】
あるいは、実施形態では、このガード構造130は、トレンチの下端の電極半径を適切に増加させることによって生成されることができる。これは、例えば、トレンチエッチング中の球形の延在部によって達成されることができる。結果として、この降伏電圧は、横方向降伏電圧とは独立して調整されることができる。
【0110】
実施形態では、ガード構造130の横方向延在部(例えば、半導体基板の横方向に、または半導体基板の表面105に平行に)は、対応するトレンチまたは電極の横方向延在部(例えば、直径)の2倍から5倍とすることができる。
【0111】
実施形態では、ガード構造130の横方向および/または深さ方向の延在部は、例えば、対応するトレンチまたは電極の横方向延在部(例えば、直径)の2倍から5倍に制限されることができる。
【0112】
実施形態では、ガード構造130は、それぞれが強く丸みを帯びた角部を有する球形、立方体形状、または直方体形状とすることができる。
【0113】
対応する電極(例えば、カソード)が(本質的に)円形ロッドまたは閉じた回転対称軌跡として形成される場合、横方向ガード構造は不要である。例えば、対応する電極(例えば、カソード)は、セルの中心に、またはセルのフレームとして配置されることができる。
【0114】
以下では、2つの電極のうちの少なくとも一方の下方にそのようなガード構造130を有するフォトダイオード101を製造する方法の実施形態を、
図8aから
図8cを参照してより詳細に説明する。ここで、
図8aから
図8cは、フォトダイオード101の製造途中の異なる中間生成物を示している。ここでは、球形ガード構造130の製造が例として示されている。しかしながら、以下の説明は、他のガード構造にも対応して適用可能である。
【0115】
図8aは、ダイオード層スタックの層124(アバランシェ層/アバランシェゾーン)を形成するステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。このために、まず、シリコン半導体基板などの半導体基板101が設けられる。第1の酸化物層150が半導体基板101の表面105上に堆積され、第1のトレンチ103_1が半導体基板101内に、例えば半導体基板101の表面105から開始して半導体基板の深さ方向(例えば、表面105に対して垂直)に、例えば少なくとも5μmの深さまで(例えば、10μmから20μm、または10μmから30μm)形成される。ここで、第1のトレンチ103_1は、例えば、0.5μmから2μmの横方向延在部(例えば、直径)を有することができる。続いて、第1のトレンチ103_1の壁がpドーパントなどのドーパントによって覆われることができ、ドーパントを拡散させることによって層124(アバランシェ層/アバランシェゾーン)が形成されることができる。ここで、横方向の拡散勾配は深さに依存しない。
【0116】
図8bは、第1の電極104(例えば、カソード)および第1の電極104の下方のガード構造130を形成するステップの後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。このために、例えば等方性エッチング(例えば、等方性球体エッチング)により、第1のトレンチ103_1の下端に球面状の凹部131がエッチングされる。任意に、第1のトレンチ103_1は、例えば異方性エッチング(例えば、異方性トレンチ深さ)によって深さ方向に予め延長されることができる。続いて、第1のトレンチ103_1および球形凹部131の壁上にn
+ポリシリコン層などのポリシリコン層126が堆積されることができ、イオン(例えば、n
+イオン)がポリシリコン層126から層124(アバランシェ層/アバランシェゾーン)に拡散し、層124の下方で半導体基板101に拡散する。第1の酸化物層150上に堆積されたポリシリコン層126の一部は、例えば、第1の酸化物層150上のポリシリコン層126の横方向延在部を制限するように構造化されることができる。第1のトレンチ130_1は、第2の酸化物層152を堆積することによって充填/閉鎖されることができる。ここで、ポリシリコン層124は、フォトダイオード100の第1の電極104(例えば、カソード)を形成することができる。
【0117】
図8cは、ダイオード層スタックの層120、第2の電極102、ならびに第1および第2の電極102および104の接触の製造後のフォトダイオード100の製造中のフォトダイオードの概略断面図を示している。このために、まず、例えば半導体基板の深さ方向(例えば、表面105に対して垂直)に、例えば少なくとも5μmの深さ(例えば、10μmから20μm、または10μmから30μm)まで、半導体基板101の表面105から開始して、半導体基板101に第2のトレンチ103_2が形成されることができる。ここで、第2のトレンチ103_2は、例えば、0.5μmから2μmの横方向延在部(例えば、直径)を有することができる。続いて、第2のトレンチ103_2の壁がpドーパントなどのドーパントによって覆われることができ、ダイオード層スタックの層120は、例えばp
+ドープ層とすることができるドーパントを拡散させることによって形成されることができる。ここで、横方向の拡散勾配は深さに依存しない。続いて、第2のトレンチ103_2は、タングステンまたはp
+ポリシリコンなどの電極層156によって充填されることができる。第2の酸化物層152上に堆積された電極層156の一部は、例えば、第2の酸化物層152上の電極層156の横方向延在部を制限するように構造化されることができる。続いて、第2のトレンチ103_2を閉じるために第3の酸化物層154が堆積されることができる。それぞれの電極層156および126に接触するためのビアがそれぞれの酸化物層152、154を通して形成されることができ、金属層160が堆積されてそれぞれの電極層156および126に接触させることができる。次いで、金属層160は、接触端子(例えば、接合端子)162および164を設けるように構造化されることができる。
【0118】
本発明の実施形態は、10μm以上の深さを有する直交アバランシェフォトダイオード(APD)の生成を可能にする。実施形態では、降伏電圧、したがってAPD利得は深さに依存しない。これは、以下の手段によって達成される。まず、トレンチエッチングを行い、次いで、トレンチ側壁をドーパントによってコーティングする(例えば、気相からのコーティング:CVD、エピタキシ、ドープ酸化物など)。次いで、ドーパントを横方向に拡散させて「アバランシェ層」を生成する(
図8a~
図8cにおいて符号124によって示す)。
【0119】
いくつかの態様を装置の文脈で説明してきたが、これらの態様はまた、対応する方法の説明も表し、装置のブロックまたはデバイスもそれぞれの方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または機能の説明も表す。方法ステップの一部または全ては、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(またはハードウェア装置を使用して)実行されることができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップの一部またはいくつかは、そのような装置によって実行されることができる。
【0120】
上述した実施形態は、本発明の原理を単に例示するものである。本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形は、当業者にとって明らかであろうことが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、本明細書の実施形態の説明および説明として提示される特定の詳細によっては限定されないことが意図される。
【0121】
参考文
[1]S.M.Sze und M.K.Lee,Semiconductor Devices-Physics and Technology,3.Edition Ed.,John Wiley&Sons,2012
【0122】
[2]S.M.Sze und Kwok K.Ng,Physics of Semiconductor Devices,John Wiley&Sons,2007,pp.102-114,691
【0123】
[3]US2014/0312449A1
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオード(100)を製造するための方法(200)であって、
半導体基板(101)を設けること(202)と、
前記半導体基板(101)内または前記半導体基板上に少なくとも2つの電極(102、104)を設けること(204)であって、前記フォトダイオード(100)の半導体基板(101)の表面(105)から開始して、前記2つの電極(102、104)が、前記半導体基板(101)の深さ方向において前記表面(105)に本質的に直交して延在する、設けることと、
前記少なくとも2つの電極(102、104)の間にダイオード層スタック(128)を設けること(206)であって、前記ダイオード層スタック(128)の層(120、122、124、126)が前記半導体基板(101)の表面(105)に本質的に直交して延びる、設けることと、
前記半導体基板(101)内で、前記少なくとも2つの電極(102、104)のうちの少なくとも一方の下方に少なくとも1つのガード構造(130)を形成することと、を含み、
前記少なくとも2つの電極(102、104)、前記ガード構造(130)、および前記ダイオード層スタックが、
前記半導体基板(101)の前記表面(105)から開始して、前記半導体基板(101)に少なくとも2つの離間した凹部(103)を形成し、
前記少なくとも2つの電極(102、104)のうちの一方の下方にガード構造凹部(131)を形成し、
前記少なくとも2つの凹部から開始し且つ部分的に前記ガード構造凹部(131)から開始して、前記少なくとも2つの凹部(103)の間に前記半導体基板(101)をドープし、前記少なくとも2つの凹部(103)の間に前記ガード構造(130)および前記ダイオード層スタック(128)を取得し、前記ダイオード層スタック(128)の層が、前記半導体基板(101)の前記表面(105)に対して本質的に直交して延び、
前記少なくとも2つの凹部(103)内に前記少なくとも2つの電極(102、104)を設けることによって、前記半導体基板(101)内に設けられる、方法(200)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの凹部(103)が、前記半導体基板(101)をエッチングすることによって、または局所的に酸化し、その後に酸化物を除去することによって、または選択堆積によって成長することによって形成される、
請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記半導体基板(101)が、化学蒸着によるドーパント含有層によるコーティングによって、または気相からのドーピングによってドープされる、
請求項1から2のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極(102、104)および前記ダイオード層スタック(128)が、
前記少なくとも2つの電極(102、104)の層ごとの成長と、
ダイオード層スタック(128)の層ごとの成長および局所ドーピングと、によって前記半導体基板(101)上に設けられる、
請求項1に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記ダイオード層スタック(128)が、フォトリソグラフィに関連してイオン注入によってドープされる、
請求項3に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記ダイオード層スタック(128)が、
-p
+ドープ層、
-真性またはp
-ドープ層、
-pドープ層、および
-n
+ドープ層、の層を含み、
または、前記ダイオード層スタック(128)が、
-n
+ドープ層、
-真性またはn
-ドープ層、
-nドープ層、および
-p
+ドープ層、の層を含む、
請求項12から17のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの電極(102、104)が、メタライゼーション層および/または高濃度ドープ層を設けるおよび構造化することによって形成される、
請求項12から18のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記フォトダイオード(100)が、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管である、
請求項12から19のいずれか一項に記載の方法(200)。
【国際調査報告】