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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】縮小フランク部分を有する骨ねじ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546019
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2022015250
(87)【国際公開番号】W WO2022170053
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,099
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】セイコラ,アンドリュ― ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】コンリ―,ブライアン アール.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL42
4C160LL58
(57)【要約】
引き抜き強度を維持しつつ、ねじを骨の中に押し込む際の挿入トルクを低減する骨ねじが提供される。提供される骨ねじは、骨ねじを骨の中に押し込むのに必要なトルクの量を低減するのに役立つ縮小フランクプロファイルを有する部分を有する1又は複数のねじ山を含む。縮小フランクプロファイルを有する部分は、非縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山の部分と等しいねじ山深さ又は高さを有し、それによって、引き抜き強度を維持することに役立つ。縮小フランクプロファイル部分は、骨ねじの挿入先端から離れている。したがって、骨ねじの非縮小フランクプロファイル部分は、ねじの縮小フランクプロファイル部分よりも対応して大きいフランクプロファイルを有する内部雌ねじ山を形成し、それによって、1又は複数のねじ山の縮小フランクプロファイル部分と内部雌ねじ山との間の摩擦を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端の反対側に近位端を有する骨ねじであって、前記骨ねじは、
前記遠位端に隣接する第1の部分、第2の部分、及び前記近位端に隣接する第3の部分と、
前記骨ねじの少なくとも前記第1及び第2の部分に及ぶ1又は複数のねじ山と、を備え、
前記第2の部分内の前記1又は複数のねじ山は、前記第1の部分内の前記1又は複数のねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを含む、骨ねじ。
【請求項2】
前記第1の部分の前記1又は複数のねじ山及び前記第2の部分の前記1又は複数のねじ山は、等しいねじ山深さを有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項3】
前記第2の部分における前記1又は複数のねじ山の各回転部は、等しく縮小されたフランクプロファイルを含む、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項4】
前記第2の部分における前記1又は複数のねじ山の各回転部のそれぞれのフランクプロファイルは、前記第2の部分と前記第1の部分との界面から前記近位端に向かって互いに対して徐々に縮小する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項5】
前記1又は複数のねじ山は、前記近位端から前記遠位端まで延在する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項6】
前記骨ねじは、無頭骨ねじである、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項7】
前記縮小フランクプロファイルを含む前記第2の部分における前記1又は複数のねじ山は、湾曲したフランクを有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項8】
前記縮小フランクプロファイルを含む前記第2の部分における前記1又は複数のねじ山は、1つの縮小フランク及び1つの非縮小フランクを有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項9】
前記骨ねじの前記第1の部分は、1又は複数の切削フルートを含み、前記骨ねじの前記第1の部分は、前記1又は複数の切削フルートの終端点で終端する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項10】
前記骨ねじの前記第3の部分は、前記骨ねじの前記第2の部分よりも大きい外径を有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項11】
前記1又は複数のねじ山は、前記骨ねじの前記第3の部分に及び、前記第3の部分の前記1又は複数のねじ山は、前記第2の部分の前記1又は複数のねじ山と等しいねじ山深さを有する、請求項10に記載の骨ねじ。
【請求項12】
前記1又は複数のねじ山は、前記骨ねじが二重リードねじ又は三重リードねじであるように構成される、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項13】
前記1又は複数のねじ山のねじ山形状は、台形、標準V、アクメ、ボール、バットレス、逆バットレス、及びウォームからなる群から選択される1つである、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項14】
前記1又は複数のねじ山は、ランド幅を含み、前記縮小フランクプロファイルを含む前記第2の部分の前記1又は複数のねじ山は、前記第1の部分の前記1又は複数のねじ山よりも狭いランド幅を有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項15】
前記第2の部分は、前記第1の部分よりも前記骨ねじの長さのより大きい割合を含む、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項16】
骨折部を治療するための方法であって、
前記骨折部にわたる骨孔内に骨ねじを設置することを含み、前記骨ねじは、遠位端の反対側の近位端と、前記遠位端に隣接する第1の部分、第2の部分、及び前記近位端に隣接する第3の部分と、を有し、前記骨ねじは、1又は複数のねじ山を含み、前記第2の部分内の前記1又は複数のねじ山は、前記第1の部分内の前記1又は複数のねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを含む、方法。
【請求項17】
前記第2の部分内の前記1又は複数のねじ山は、前記第1の部分内の前記1又は複数のねじ山よりも、設置中に前記骨孔とのより少ない摩擦を生成する、請求項16に記載の骨折部を治療するための方法。
【請求項18】
前記第2の部分の前記1又は複数のねじ山のランドのみが、設置中に前記骨孔に接触する、請求項16に記載の骨折部を治療するための方法。
【請求項19】
プレートを前記骨ねじに設置することを更に含む、請求項16に記載の骨折部を治療するための方法。
【請求項20】
前記骨ねじの前記第1及び第2の部分は、前記骨孔内に設置されるが、前記骨ねじの前記第3の部分は、前記骨孔内に設置されない、請求項16に記載の骨折部を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年2月5日に出願された米国仮出願第63/146,099号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概して、骨ねじに関する。より具体的には、本出願は、縮小フランクプロファイルを有する部分を含む1又は複数のねじ山を有する骨ねじを提供する。
【背景技術】
【0003】
特定の医療処置は、骨内にねじを挿入することを必要とする。例えば、骨折部を治療する1つの方法は、プレートの有無にかかわらず、骨折部を横断して骨の中にねじを挿入し、骨が治癒するにつれて骨片をともに保持することである。外科医が骨を通してねじを挿入すると、ねじのねじ山と骨との間の摩擦力は、ねじを骨の中に押し込むために必要とされるトルクの量を決定することに寄与する。
【0004】
典型的な骨ねじは、ねじのねじ山形状を骨に切り込むために、骨ねじの先端部分に切削特徴部を含むことができる。骨ねじはまた、典型的には、一定の外径を有するねじ山と、ねじの長さに沿った均一なねじ山とを含む。このため、いったんねじ山形状が骨内に生成されると、骨ねじが骨の中に押し込まれるにつれて、骨ねじの残りのねじ山はそれぞれ、骨-ねじ界面に沿って切断領域と界面接触し、それによって、ねじのねじ山の各々と骨との間に摩擦を発生させる。したがって、外科医がかかる典型的な骨ねじを骨の中に押し込むと、ねじは、ねじに沿った任意の点でねじ山と骨との間に同じ量の摩擦を生成する。したがって、典型的な骨ねじと骨との間に発生する摩擦の総量は、骨に接触するねじ山が多いほど累積摩擦力が高くなるため、骨ねじの長さとともに増加する。
【0005】
一部の例では、骨の長いストレッチを通して押し込む必要がある長いねじなどの場合、典型的なねじと骨との間に生成される摩擦の量、したがって、典型的なねじを骨の中に押し込むために要求されるトルクは、相当な量になり得る。典型的なねじを骨の中に押し込むのに必要な相当な量のトルクは、処置をより困難にする可能性がある。場合によっては、典型的な骨ねじを押し込むために必要とされるトルクは、それが生成する摩擦に起因して、押し込みツールに、ねじと押し込みツールとの間の界面を剥離させるか、又はねじの頭部を剪断させる可能性がある。ねじへのかかる損傷により、ねじを取り外し、新しいねじと交換しなければならない場合があり、これは、場合によっては困難であり得、別様で処置を複雑にする。あるいは、場合によっては、損傷したねじを除去することができず、骨内に残す必要があり、これは望ましくない。
【0006】
ねじと骨との間の摩擦力、したがって必要とされる挿入トルクを低減する1つの方法は、縮小した外径を有するねじを形成することである。ねじのねじ山はより小さく、したがって骨との接触が少なくなり、摩擦が少なくなる。しかしながら、縮小した外径を有するねじはまた、ねじ山が骨内に深く延在しないため、ねじの引き抜き強度が低下する。外科医がねじを除去するまで、ねじが骨内の所定の位置に留まることが重要であるため、ねじの引き抜き強度は、医療処置におけるねじ性能の重要なパラメータである。したがって、引き抜き強度を損なわない、トルク挿入要件が低減された骨ねじが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、典型的な骨ねじと比較して、提供される骨ねじの引き抜き強度を維持しながら、典型的な骨ねじと比較して、ねじを骨の中に押し込むときに低減された挿入トルクを有する、新しく革新的な骨ねじを提供する。提供される骨ねじの1又は複数のねじ山の一部は、縮小フランクプロファイルを有し、これは、提供される骨ねじを挿入するために必要とされるトルクの低減に寄与する。
【0008】
本明細書に記載される技術的特徴に照らして、限定するものではないが、別様に規定されない限り、任意の他の態様と組み合わされ得る本出願の開示の第1の態様では、遠位端の反対側に近位端を有する骨ねじが提供される。骨ねじは、遠位端に隣接する第1の部分と、第2の部分と、近位端に隣接する第3の部分とを含む。1又は複数のねじ山が、骨ねじの少なくとも第1及び第2の部分に及ぶ。第2の部分の1又は複数のねじ山は、第1の部分の1又は複数のねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを含む。
【0009】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第2の態様では、第1の部分内の1又は複数のねじ山及び第2の部分内の1又は複数のねじ山は、等しいねじ山深さを有する。
【0010】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1の又は第2の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第3の態様では、第2の部分の1又は複数のねじ山の各回転部は、等しく縮小されたフランクプロファイルを含む。
【0011】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第3の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第4の態様では、第2の部分における1又は複数のねじ山の各回転部のそれぞれのフランクプロファイルは、第2の部分と第1の部分との界面から近位端に向かって互いに対して徐々に縮小する。
【0012】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第4の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第5の態様では、1又は複数のねじ山は、近位端から遠位端まで延在する。
【0013】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第5の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第6の態様では、骨ねじは無頭骨ねじである。
【0014】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第6の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第7の態様では、縮小フランクプロファイルを含む第2の部分内の1又は複数のねじ山は、湾曲フランクを有する。
【0015】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第7の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第8の態様では、縮小フランクプロファイルを含む第2の部分内の1又は複数のねじ山は、1つの縮小フランクと、1つの非縮小フランクとを有する。
【0016】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第8の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第9の態様では、骨ねじの第1の部分は、1又は複数の切削フルートを含み、骨ねじの第1の部分は、1又は複数の切削フルートの終端点で終端する。
【0017】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第9の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第10の態様では、骨ねじの第3の部分は、骨ねじの第2の部分よりも大きい外径を有する。
【0018】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第10の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第11の態様では、1又は複数のねじ山は、骨ねじの第3の部分に及び、第3の部分の1又は複数のねじ山は、第2の部分の1又は複数のねじ山と等しいねじ山深さを有する。
【0019】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第11の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第12の態様では、1又は複数のねじ山は、骨ねじが二重リードねじ又は三重リードねじであるように構成される。
【0020】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第12の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第13の態様では、1又は複数のねじ山のねじ山形状は、台形、標準V、アクメ、ボール、バットレス、逆バットレス、及びウォームからなる群から選択される1つである。
【0021】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第13の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第14の態様では、1又は複数のねじ山は、ランド幅を含み、縮小フランクプロファイルを含む第2の部分内の1又は複数のねじ山は、第1の部分内の1又は複数のねじ山より狭いランド幅を有する。
【0022】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第14の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第15の態様では、第2の部分は、第1の部分よりも大きい割合の骨ねじの長さを含む。
【0023】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第2~第15の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第16の態様では、骨折部を治療するための方法は、骨折部を横断して骨ねじを骨孔内に設置することを含む。骨ねじは、遠位端の反対側の近位端と、遠位端に隣接する第1の部分と、第2の部分と、近位端に隣接する第3の部分とを有する。骨ねじは、1又は複数のねじ山を含む。第2の部分の1又は複数のねじ山は、第1の部分の1又は複数のねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを含む。
【0024】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第16の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第17の態様では、第2の部分内の1又は複数のねじ山は、設置の間、第1の部分内の1又は複数のねじ山より少ない骨孔との摩擦を生成する。
【0025】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第17の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第18の態様では、第2の部分の1又は複数のねじ山のランドのみが、設置中に骨孔と接触する。
【0026】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第16から第18の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第19の態様では、本方法は更に、プレートを骨ねじとともに設置することを含む。
【0027】
別様に規定されない限り、任意の他の態様(例えば、第1~第19の態様)と組み合わされ得る本出願の開示の第20の態様では、骨ねじの第1及び第2の部分は、骨孔内に設置されるが、骨ねじの第3の部分は、骨孔内に設置されない。
【0028】
開示される方法及び装置の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書で説明される特徴及び利点は、包括的ではなく、特に、多くの追加の特徴及び利点が、図及び説明を考慮して、当業者に明白となるであろう。更に、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさ及び説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ねじのねじ山形状の構成要素を示す概略図を示す。
【0030】
図2】本開示の一態様による、縮小フランクプロファイルを有する部分を有する1又は複数のねじ山を有する例示的な骨ねじを示す。
【0031】
図3】本開示の一態様による、縮小フランクプロファイルを有さないねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを有するねじ山を示す、図2の例示的な骨ねじの一部の拡大図を示す。
【0032】
図4】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した図3の縮小フランクプロファイルを示す。
【0033】
図5】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した片側縮小フランクプロファイルを示す。
【0034】
図6】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した鏡映縮小フランクプロファイルを示す。
【0035】
図7A】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した非平行縮小フランクプロファイルを示す。
図7B】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した非平行縮小フランクプロファイルを示す。
【0036】
図8】本開示の一態様による、非縮小フランクプロファイルと比較した非線形縮小フランクプロファイルを示す。
【0037】
図9】縮小フランクプロファイルを有する部分を有する1又は複数のねじ山を有する例示的な骨ねじと比較した、典型的な骨ねじの予想される性能を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、概して、骨ねじに関し、具体的には、縮小フランクプロファイルを伴う部分を含む、1又は複数のねじ山を伴う骨ねじに関する。縮小フランクプロファイル部分は、ねじを骨の中に押し込むのに必要なトルクの量を低減させるのに役立つ。縮小フランクプロファイルのねじ山は、他のねじ山よりも小さいフランク幅で形成される。縮小フランクプロファイルを有するねじ山は、最初に骨に挿入されるねじの端部(例えば、ねじの先端)から離れている。別の言い方をすれば、提供される骨ねじは、ねじのねじ山の残りの部分(例えば、ねじのシャフト内)よりも大きいフランクプロファイルを有するねじ山の一部分をその挿入端部(例えば、先端)に含む。骨ねじは、より大きいフランクプロファイルねじ山を有するこの部分に切削フルートを含むことができる。
【0039】
挿入端部又は先端におけるより大きいフランクプロファイルのねじ山は、ねじのシャフト領域における縮小フランクプロファイルのねじ山よりも対応して大きいフランクプロファイルを有する、骨の内部(例えば、生成された骨孔内)の対応する雌ねじ山を作成する。提供された骨ねじが骨の中に押し込まれ、シャフトの縮小フランクプロファイルねじ山がより大きな内部雌ねじ山を通って移動するにつれて、縮小フランクプロファイルねじ山と骨との間の接触が減少するため、骨と縮小フランクプロファイルねじ山との間の摩擦が減少する。骨接触の低減を達成するために、後述するように、フランクプロファイルを様々な方法で低減することができる。例えば、一部の態様では、各ねじ山の表面全体が骨の内部雌ねじ山に接触する典型的な骨ねじと比較して、それらの縮小フランクのため、縮小フランクプロファイルねじ山の最外先端(例えば、ランド)のみが、骨のより大きい内部雌ねじ山に接触する。提供される骨ねじによって生成される摩擦の低減は、したがって、提供される骨ねじを骨の中に押し込むために必要とされるトルクを低減させる。したがって、必要とされるトルクの低減は、外科医がねじの頭部を押し込みツールで剥がしたり、ねじの頭部を剪断したりする可能性を低減する。
【0040】
加えて、骨折部を治療するためなど、骨内にねじを挿入することを含む外科的処置では、骨が治癒するのに十分な固定を提供するために、ねじが骨内に良好に固定されたままであることが重要である。したがって、骨ねじは高い引き抜き強度を有していなければならない。提供される骨ねじの引き抜き強度は、ねじの外径が不変のままであるため、縮小フランクプロファイルを有するねじ山によって影響されない。したがって、本開示の骨ねじは、典型的な骨ねじと比較して、引き抜き強度を維持しながら、ねじを骨の中に押し込むのに必要なトルク力を低減する。
【0041】
図1は、提供される例示的な骨ねじ200(図2)などのほとんど又は全てのねじに適用可能なねじ山形状100の種々の一般的な構成要素を示す例示的なねじ山形状100の概略図を示している。ねじ山形状100は、ランド104、谷底106、及び谷底122を含むねじ山102を含む。谷底106は、ねじ山102を次の隣接するねじ山124に結合する。谷底122は、ねじ山102を次の隣接するねじ山134に結合する。ランド104は、ランド幅128を有する。ねじ山102はまた、フランク108及びフランク118を含む。フランク108は、ランド104と谷底106とを接合するねじ山102の側面である。フランク118は、ランド104と谷底122とを接合するねじ山102の側面である。ねじ山102は、フランク角110を有すると見なすことができる。例えば、図示のように、フランク角110は、フランク108とねじの軸に垂直な平面118との間で測定される角度である。
【0042】
ねじ山102のフランクプロファイルは、ねじ山102のフランク108及びフランク118上の対向する点の間の距離又は幅130によって画定され得る。距離又は幅130は、ねじ山102の中心軸120に対して常に垂直である。ねじ山102はランド104よりも谷底106及び122の近くでより幅広であるため、距離又は幅130は、フランク108及び118上の異なる対向する点の間で異なる(例えば、中心軸120に沿ってランド104により近い又はそれからより遠い距離又は幅130を測定する)ことが理解されるであろう。
【0043】
本明細書では、より小さい又は縮小フランクプロファイルを有するねじ山を参照する。本明細書で使用されるように、距離又は幅130が、中心軸120に沿った同一の位置付けにおける2つの異なるねじ山に対して測定されると仮定すると、より小さい距離又は幅130を有するねじ山は、より小さい又は縮小フランクプロファイルを有すると見なされる。少なくとも一部の例では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山は、より大きいフランクプロファイルか、又は非縮小フランクプロファイルを有するねじ山と等しいフランク角110を有する。かかる場合、縮小フランクプロファイルを有するねじ山のランド幅128は、非縮小フランクプロファイルを有するねじ山のランド幅128よりも狭く、より小さい距離又は幅130に適応するが、フランク角110は等しい。例えば、ねじ山124は、ねじ山102と比較して、より小さい又は縮小フランクプロファイルを有し、ねじ山102の距離又は幅130と同一の中心軸102に沿った位置で測定された距離又は幅138を有して図示される。距離又は幅138は、ねじ山102のランド幅128よりも狭いランド幅140を有するねじ山124に起因して、距離又は幅130よりも小さい。加えて、この例では、ねじ山124のフランク角142は、ねじ山102のフランク角110に等しい。
【0044】
ねじはまた、ねじの軸と谷底106との間の距離112の2倍の測定値である、小径を含む。ピッチ直径は、ねじの軸とねじ山102上の位置との間の距離114の2倍である測定値であり、等しい量の距離が、ねじ山の中実部分上のフランク間及びねじ山間の空間内に存在する。外径は、ねじの軸とランド104との間の距離116の2倍である測定値である。ねじの各ねじ山はまた、ねじ山深さ136(例えば、ねじ山高さ)を含む。
【0045】
図2は、本開示の一態様による例示的な骨ねじ200を示している。一部の態様では、骨ねじ200は、無頭ねじであり得る。他の態様では、骨ねじ200は、その近位端にねじ頭部208を含む。ねじ頭部108は、任意の好適な形状(例えば、平坦頭部、皿頭部、円形頭部、トラス頭部、楕円形頭部、平頭頭部、ラッパ頭部など)をとってもよく、種々の押し込みツールを受容するように、任意の好適な外部又は内部ドライバインターフェース(例えば、スロット付き頭部、フィリップス頭部、アレン頭部、正方形頭部、セキュリティ頭部、六角形、六葉体など)を有してもよい。骨ねじ200は、1又は複数のねじ山202を含む。1又は複数のねじ山202は、任意の好適な構成(例えば、単一リード、二重リード、三重リードなど)を有することができる。例示的な骨ねじ200は、単一のねじ山202を有して示されている。一部の例では、1又は複数のねじ山202は、ねじ頭部208からねじ200の遠位端(例えば、先端)までのねじ200の全長を覆うことができる。他の例では、骨ねじ200は、部分的にねじ切りされてもよく、1又は複数のねじ山202は、遠位端からねじ頭部208の前のねじ200上の位置までの特定の距離のみをカバーしてもよい。1又は複数のねじ山202は、任意の好適なねじ山形状(例えば、台形、標準V、アクメ、ボール、バットレス、逆バットレス、ウォームなど)を有することができる。図2は、例えば、台形ねじ山形状を有する1又は複数のねじ山202を示している。
【0046】
例示的な骨ねじ200は、外科用ねじのための任意の適切な医療グレードの材料から構築され得る。例えば、骨ねじ200は、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、並びに他の適切なプラスチック及び金属から構築されてもよい。
【0047】
少なくとも一部の態様では、骨ねじ200の1又は複数のねじ山202は、第1の部分206、第2の部分204、及び第3の部分212を含む。1又は複数のねじ山202の第1の部分206は、骨ねじ200の遠位端に隣接する骨ねじ200の先端領域である。1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、骨ねじ200の中間領域を含む。1又は複数のねじ山202の第3の部分212は、ねじ208の近位端(例えば、頭部208)に隣接する領域を含む。一部の態様では、1又は複数のねじ山202は、第3の部分212を含まず、骨ねじ200のその部分は、代わりにねじ山がない。別の言い方をすれば、かかる態様では、第3の部分212は、例えば、非係止ねじなどを用いてねじ切りされていない。図2は、骨ねじ200の第1の部分206、第2の部分204、及び第3の部分212(この例ではねじ山付き)の1つの例示的な描写を示すが、他の例では、骨ねじ200は、第1の部分206、第2の部分204、及び第3の部分212の他の適切な描写を有してもよい。例えば、第1の部分206は、1又は複数のねじ山202の4つの回転部を含むように示されている。他の例では、第1の部分206は、1又は複数のねじ山202の4回転部よりも多い又は少ない回転部を含むことができるが、いずれの例でも、第1の部分206は、骨ねじ200の先端領域である。例えば、第1の部分206は、1又は複数のねじ山202の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは6つの回転部、又はその一部を含むことができる。
【0048】
1又は複数のねじ山202の第2の部分204のねじ山は、1又は複数のねじ山202の第1の部分206のねじ山と比較して縮小されたフランクプロファイルを有する。1又は複数のねじ山202の第2の部分204の縮小フランクプロファイルは、1又は複数のねじ山202の第2の部分204が、1又は複数のねじ山202の第1の部分206のフランク上の同一の位置と比較して、そのフランク(例えば、典型的なねじ山102のフランク108及び118)上の対向する点間のより小さい距離又は幅(例えば、ねじ山102の幅130)を有するように形成される。例えば、1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、1又は複数のねじ山202の第1の部分206と比較してより狭いランド幅(例えば、ねじ山102のランド幅128と比較したねじ山124のランド幅140)を有してもよい。第1の部分206は、骨ねじ200の遠位端(例えば、先端)に隣接しており、その結果、より大きいフランクプロファイル又は非縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山202の第1の部分206は、縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山202の第2の部分204よりも相応に大きいフランクプロファイルを有する雌ねじ山を骨の内部に(例えば、骨孔内に)形成する。したがって、骨ねじ200が骨の中に押し込まれるにつれて、生成された内部雌ねじ山と縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山202との間の摩擦が低減される。内部雌ねじ山が、縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山202よりも対応して大きいフランクプロファイルを有するため、縮小フランクプロファイルを有する1又は複数のねじ山202が骨に接触することが少なくなるため、摩擦が減少する。
【0049】
一部の態様では、1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、骨ねじ200の第2の部分204の全長に沿って等しく縮小されたフランクプロファイルを有する。別の言い方をすれば、第2の部分204における1又は複数のねじ山202の各回転部は、かかる態様では同じフランクプロファイル、すなわち縮小フランクプロファイルを有する。他の態様では、1又は複数のねじ山202の第2の部分204のフランクプロファイルは、第2の部分204の長さの少なくともセグメントに沿って(例えば、徐々に)減少又は縮小させることができる。例えば、かかる他の態様では、第2の部分204における1又は複数のねじ山202の回転部は、第3の部分212よりも第1の部分206に近い、より大きいフランクプロファイルを有することができる。
【0050】
少なくとも一部の態様では、1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、縮小フランクプロファイルを有するが、1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、1又は複数のねじ山202の第1の部分206と比較して等しいねじ山深さ(例えば、高さ)を有する。1又は複数のねじ山202の第1の部分206と第2の部分204との間の等しいねじ山深さは、1又は複数のねじ山202のランドが、1又は複数のねじ山202の第1の部分206及び第2の部分204の全体を通して、骨孔の内部雌ねじ山に接触することを可能にする。このようにして1又は複数のねじ山202のランドと内部雌ねじ山との接触を維持することは、骨ねじ200の引き抜き強度を維持するのに役立つ。
【0051】
種々の例において、骨ねじ200は、1又は複数の切削フルート210を含み得る。当業者は、1又は複数の切削フルート210が、骨ねじ200が骨の中に押し込まれ得るように、骨の中に経路を切削するように構成されることを理解するであろう。したがって、1又は複数の切削フルート210は、図示されたもの以外の他の好適な構成を有してもよい。一部の態様では、骨ねじ200の第1の部分206は、第1の部分206が1又は複数の切削フルート210の終端点で終端するように、1又は複数の切削フルート210に対応する。別の言い方をすれば、かかる態様では、骨ねじ200の第2の部分204は、1又は複数の切削フルート210が終了した後に始まる。他の態様では、骨ねじ200の第2の部分204は、1又は複数の切削フルート210と重なり合ってもよい。更に他の態様では、第1の部分206は、1又は複数の切削フルート210の終端を越えて延在してもよい。
【0052】
例示的な骨ねじ200の第3の部分212は、種々の態様において、骨ねじ200の第1の部分206及び第2の部分204よりも大きい外径及び/又は内径を含む。例えば、図2は、骨ねじ200の外径及び内径が、第3の部分212において、第2の部分204との界面から頭部208まで徐々に増加する、1つのかかる態様を示している。他の態様では、第3の部分212は、第2の部分204の直径に等しい長径又は短径を含むことができる。少なくとも一部の態様では、第3の部分212の1又は複数のねじ山202は、第1の部分206及び第2の部分204の1又は複数のねじ山202と等しいねじ山深さ(例えば、ねじ山102のねじ山深さ134)を有する。少なくとも一部の態様では、例示的な骨ねじ200の第3の部分212は、骨ねじ200が設置されるときに骨に入らない。例えば、第3の部分212は、代わりに、骨ねじ200とともに設置されるプレートと界面接触してもよい。かかる態様では、1又は複数のねじ山202の第3の部分212は、1又は複数のねじ山202の第1の部分206と比較して縮小されたフランクを有してもよく、又は有さなくてもよい。一部の例では、第3の部分212は、上述のようにねじ切りされていなくてもよい。
【0053】
図3は、第1の部分206及び第2の部分204のセグメントを含む例示的な骨ねじ200の断面の拡大図を示している。骨ねじ200の第1の部分206は、1又は複数のねじ山202の回転部308を含み、骨ねじ200の第2の部分204は、1又は複数のねじ山202の回転部306を含む。回転部308は、一部の例では、第1の部分206の1又は複数のねじ山202の各回転部を表すことができる。回転部306は、一部の例では、第2の部分204の1又は複数のねじ山202の各回転部を表すことができる。
【0054】
第2の部分204の1又は複数のねじ山202の回転部306の縮小フランクプロファイルを示すために、第1の部分206の1又は複数のねじ山202の回転部308の輪郭を描くフランクプロファイル312が示されており、フランクプロファイル312と同一のフランクプロファイル310が、1又は複数のねじ山202の回転部306の上に投影されている。図示のように、1又は複数のねじ山202の回転部306は、1又は複数のねじ山202の回転部308と比較して縮小されたフランクプロファイルを有するため、1又は複数のねじ山202の回転部306のフランクとフランクプロファイル310との間に間隙が存在する。また、この例では、1又は複数のねじ山202の回転部306及び308が等しいフランク角を有するため、回転部306のフランクがフランクプロファイル310のフランク部分に平行である(例えば、間隙が一貫している)ことも示されている。この例では、1又は複数のねじ山202の回転部306は、1又は複数のねじ山202の回転部306のランド幅と比較して、低減された、又はより短い/より狭いランド幅(例えば、上述のねじ山102のランド幅128と比較したねじ山124のランド幅140)を有し、これは、回転部308の縮小フランクプロファイルをもたらす。
【0055】
少なくとも一部の態様では、第2の部分204の1又は複数のねじ山202の回転部306のフランクプロファイルは、第1の部分206の1又は複数のねじ山202の回転部308のフランクプロファイルと比較して、かなり最小限に低減される。例えば、1又は複数のねじ山202の回転部306のフランクプロファイルを過度に縮小させることは、回転部306の強度を不利に損なう可能性があり、これは、骨ねじ200を早期に故障させる可能性があり、望ましくない。加えて、1又は複数のねじ山202の回転部306のランドが維持されなければならず、これは、1又は複数のねじ山202の回転部306のフランクプロファイルが縮小され得る量を制限する。したがって、第2の部分204内の1又は複数のねじ山202の回転部306のフランクプロファイルは、1又は複数のねじ山202の回転部306のそれぞれのフランクと、第1の部分206内の1又は複数のねじ山202の回転部308によって作成された(例えば、骨孔内の)内部雌ねじ山との間の接触を十分に低減又は排除するのに十分なだけ縮小される。回転部306のフランクと内部雌ねじ山との間の接触が低減又は排除されるが、回転部306のランドは、依然として、骨ねじ200の設置中に内部雌ねじ山に接触する。
【0056】
上述したように、ねじ山のフランクプロファイルは、種々の方法で縮小させることができる。一態様では、図1図3に関連して上述したように、ねじ山のフランクの両方は、ねじ山のフランクのいずれも骨ねじの先頭部分によって形成された内部雌ねじ山に接触しないように低減されてもよい。図4は、回転部308のフランクプロファイル312と比較して、回転部306のフランクプロファイル400を示すことによって、この態様を更に示している。図示のように、フランクプロファイル400のフランクは、フランクプロファイル312のそれぞれのフランクに平行である。他の例では、フランクプロファイル400のフランクのうちの1つは、フランクプロファイル312のそのそれぞれのフランクに対して非平行であってもよく(すなわち、それと異なるフランク角を有してもよく)、又はフランクプロファイル400の両方のフランクは、フランクプロファイル312のそのそれぞれのフランクに対して非平行であってもよい(すなわち、それと異なるフランク角を有してもよい)(図7参照)。
【0057】
別の態様では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山は、縮小した1つのフランクのみを有してもよい。例えば、図5は、回転部308のフランクプロファイル312と比較した、ねじ山回転部のフランクプロファイル500を示している。図示のように、フランクプロファイル500のフランク502は、フランクプロファイル312と比較して縮小されているが、フランク504は縮小されておらず、それによってフランクプロファイル312と重なり合っている。少なくとも一部の態様では、縮小フランク502は、ねじ山回転部の前側にあり、一方、非縮小フランク504は、ねじ山回転部の後側にある。このようにして、骨ねじ(例えば、骨ねじ200)が骨の中に押し込まれると、挿入中に骨の中に押し付けられるねじ山回転部の前側が骨に接触しないため、縮小フランクプロファイルを有するねじ山回転と骨との間の摩擦が低減される。挿入中に依然として骨に接触するねじ山回転部の後側は、挿入トルクにほとんど寄与しない。それによって、フランクプロファイル500を有するねじ山の一部を有する骨ねじ200を挿入するのに必要なトルクは、典型的な骨ねじと比較して低減される。一部の例では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山の部分(例えば、第2の部分204)における各ねじ山回転部は、フランクプロファイル500を有してもよい。
【0058】
別の態様では、骨ねじ(例えば、骨ねじ200)のねじ山(複数可)の縮小フランクプロファイル部分(例えば、第2の部分204)におけるねじ山回転部のうちの少なくとも一部は、図6によって示されるものなどの鏡映縮小フランクを有してもよい。隣接する非縮小ねじ山回転部のフランクプロファイル600は、縮小フランクプロファイル602及び604と重なって示されている。示されるように、縮小フランクプロファイル602は、ねじ山の回転部の後側の縮小フランク606と、前側の非縮小フランク608とを含む。逆に、縮小フランクプロファイル604は、後側の非縮小フランク610と、前側の縮小フランク612とを含む。縮小フランクプロファイル602の鏡映縮小フランクは、例えば、骨折部の両側に縮小フランクプロファイル602及び604を有するねじ山回転部で、骨ねじ200が骨折部にわたって設置される場合、有益であり得る。かかる例では、フランクプロファイル602を有するねじ山回転部は、それが設置される骨片を他の骨片に向かって押すことができる。同様に、フランクプロファイル604を有するねじ山回転部は、それが設置されている骨片を他の骨片に向かって(すなわち、フランクプロファイル602を有するねじ山回転部の反対方向に)押すことができる。
【0059】
別の態様では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山は、対応する非縮小フランクプロファイルとは異なるフランク角を有する縮小フランクを有することができる。例えば、図7Aは、回転部308のフランクプロファイル312と比較した、ねじ山回転部のフランクプロファイル700を示している。図示のように、フランクプロファイル700のフランクは、フランクプロファイル312のフランクに対して非平行である。これは、フランクプロファイル700のフランクが、フランクプロファイル312のフランクとは異なるフランク角を有するからである。加えて、フランクプロファイル700は、フランクプロファイル312よりも狭いランドを含む。別の例では、図7Bは、フランクプロファイル312と等しいランド幅を含むが、フランクプロファイル312のフランクとは異なるフランク角を有するフランクも有する、フランクプロファイル710を示している。フランクプロファイル710は、フランクプロファイル312と等しいランド幅を含む。一部の態様では、(例えば、フランクプロファイル500と同様に)フランクプロファイル700及び710のうちの1つのフランクのみが低減され得る。
【0060】
別の態様では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山は、非線形である縮小フランクを有してもよい。例えば、図8は、回転部308のフランクプロファイル312と比較した、ねじ山回転部のフランクプロファイル800を示している。図示のように、フランクプロファイル800のフランクは湾曲している。他の例では、フランクプロファイル800の一方又は両方のフランクは、他の適切な非線形形状を有してもよい。一部の態様では、(例えば、フランクプロファイル500と同様に)フランクプロファイル800の一方のフランクのみが低減され得る。
【0061】
種々の態様では、縮小フランクプロファイルを有するねじ山の部分(例えば、第2の部分204)における例示的な骨ねじ200の各ねじ山回転部は、同じタイプの縮小フランクプロファイルを有することができる。例えば、各ねじ山回転部は、フランクプロファイル500を有してもよい。他の態様では、例示的な骨ねじ200は、その第2の部分204に2つ以上のタイプの縮小フランクプロファイルを有してもよい。例えば、第2の部分204の1又は複数のねじ山回転部は、フランクプロファイル500を有することができ、第2の部分204の1又は複数の異なるねじ山回転部は、フランクプロファイル800を有することができる。別の例では、第2の部分204の第1のねじ山は、フランクプロファイル700を有してもよく、第2の部分204の第2のねじ山は、フランクプロファイル710を有してもよい。
【0062】
図9は、縮小フランク部分(例えば、第2の部分204)を有する提供された骨ねじ(例えば、骨ねじ200)の期待される性能を線904によって示したものと比較して、典型的な骨ねじの期待される性能を線902によって示すグラフ900を示している。最初に、各ねじが第1の皮質を貫通するとき、各ねじを設置するために必要とされるトルクは、ほぼ同一であり得る。これは、例示的な骨ねじ200の1又は複数のねじ山202の第1の部分206が、典型的な骨ねじと同一であり得るからである。別の言い方をすれば、例示的な骨ねじ200の1又は複数のねじ山202の第1の部分206のフランクプロファイルは縮小されない。しかしながら、この最初の挿入に続いて、各ねじが海綿骨を通して押し込まれ、第2の皮質を貫通するとき、提供された骨ねじ200を設置するために必要なトルクは、典型的な骨ねじよりも一貫して低い(すなわち、線904は線902よりも下である)。これは、最初の挿入に続いて、例示的な骨ねじ200の1又は複数のねじ山202の第2の部分204が骨孔に入るからである。1又は複数のねじ山202の第2の部分204は、典型的な骨ねじのねじ切りと比較して、1又は複数のねじ山202の第2の部分204と骨孔の内部雌ねじ山との間のより少ない接触、したがって、より少ない摩擦をもたらす、縮小フランクプロファイルを有する。
【0063】
更に詳述しなくても、当業者は、前述の説明を使用して、特許請求される発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に開示される例及び態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。議論される基礎となる原理から逸脱することなく、上述された例の詳細に対して変更がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明において具体的に開示された例の種々の修正及び改良は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、説明される種々の例の特徴の任意の好適な組み合わせが想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図1は、提供される例示的な骨ねじ200(図2)などのほとんど又は全てのねじに適用可能なねじ山形状100の種々の一般的な構成要素を示す例示的なねじ山形状100の概略図を示している。ねじ山形状100は、ランド104、谷底106、及び谷底122を含むねじ山102を含む。谷底106は、ねじ山102を次の隣接するねじ山124に結合する。谷底122は、ねじ山102を次の隣接するねじ山134に結合する。ランド104は、ランド幅128を有する。ねじ山102はまた、フランク108及びフランク118を含む。フランク108は、ランド104と谷底106とを接合するねじ山102の側面である。フランク118は、ランド104と谷底122とを接合するねじ山102の側面である。ねじ山102は、フランク角110を有すると見なすことができる。例えば、図示のように、フランク角110は、フランク108とねじの軸に垂直な平面132との間で測定される角度である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
図2は、本開示の一態様による例示的な骨ねじ200を示している。一部の態様では、骨ねじ200は、無頭ねじであり得る。他の態様では、骨ねじ200は、その近位端にねじ頭部208を含む。ねじ頭部208は、任意の好適な形状(例えば、平坦頭部、皿頭部、円形頭部、トラス頭部、楕円形頭部、平頭頭部、ラッパ頭部など)をとってもよく、種々の押し込みツールを受容するように、任意の好適な外部又は内部ドライバインターフェース(例えば、スロット付き頭部、フィリップス頭部、アレン頭部、正方形頭部、セキュリティ頭部、六角形、六葉体など)を有してもよい。骨ねじ200は、1又は複数のねじ山202を含む。1又は複数のねじ山202は、任意の好適な構成(例えば、単一リード、二重リード、三重リードなど)を有することができる。例示的な骨ねじ200は、単一のねじ山202を有して示されている。一部の例では、1又は複数のねじ山202は、ねじ頭部208からねじ200の遠位端(例えば、先端)までのねじ200の全長を覆うことができる。他の例では、骨ねじ200は、部分的にねじ切りされてもよく、1又は複数のねじ山202は、遠位端からねじ頭部208の前のねじ200上の位置までの特定の距離のみをカバーしてもよい。1又は複数のねじ山202は、任意の好適なねじ山形状(例えば、台形、標準V、アクメ、ボール、バットレス、逆バットレス、ウォームなど)を有することができる。図2は、例えば、台形ねじ山形状を有する1又は複数のねじ山202を示している。


【国際調査報告】