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  • 特表-ラトレピルジン二塩酸塩の多形体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ラトレピルジン二塩酸塩の多形体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240219BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240219BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240219BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D471/04 CSP
A61P25/00
A61K31/437
A61P43/00 111
A61P25/14
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546037
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 CA2022050136
(87)【国際公開番号】W WO2022160066
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/164,583
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285753
【氏名又は名称】ビッグエスパス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523285764
【氏名又は名称】ゴリーヌ,ボリス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゴリーヌ,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ユロスカヤ,マリナ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP12
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA16
4C086ZC42
(57)【要約】
本明細書は、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型、その調製の方法、それを含む医薬組成物およびその使用に関する。
【化1】
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、8.5°、10.3°、および11.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型。
【請求項2】
度2θ(±0.2°)で表される、少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有し、前記ピークが:12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°または29.3°である、請求項1に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型。
【請求項3】
度2θ(±0.2°)で表される、12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°および29.3°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型。
【請求項4】
度2θ(±0.2°)で表される、以下のピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型。
【表1】
【請求項5】
図1に示されるような代表的な粉末X線回折(PXRD)パターンに実質的に一致する、請求項1に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型。
【請求項6】
結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、前記結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型が、度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、8.5°、10.3°、および11.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、医薬組成物。
【請求項7】
前記結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型が、度2θ(±0.2°)で表される、少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有し、前記ピークが:12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°または29.3°である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型が、度2θ(±0.2°)で表される、12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°および29.3°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型が、度2θ(±0.2°)で表される、以下のピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項6に記載の医薬組成物。
【表2】
【請求項10】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項1に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を投与することを含む、方法。
【請求項11】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項2に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を投与することを含む、方法。
【請求項12】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項3に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を投与することを含む、方法。
【請求項13】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項6に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項7に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法であって、請求項8に記載の結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の調製のためのプロセスであって:
- 脂肪族アルコールである溶媒にラトレピルジン遊離塩基を溶解するステップ;
- 前記溶媒中に前記ラトレピルジン遊離塩基を含む前記溶液を、気体の塩化水素で泡立てるステップ;
- 脂肪族エーテルである逆溶媒を添加するステップ;および
- 濾過により前記結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を回収するステップ
を含む、プロセス。
【請求項17】
前記溶液を気体の塩化水素で泡立てる前記ステップが、前記溶液の温度を20~30℃未満に維持しながら実行される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
ラトレピルジンの前記遊離塩基を溶解するための前記溶媒が、エタノールである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記逆溶媒が、ジエチルエーテルである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
逆溶媒の体積の溶媒の体積に対する比が、1:1である、請求項16に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ラトレピルジンの結晶形およびその調製のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ピリジルエチル置換カルボリン化合物は、アルツハイマー病、神経変性疾患、および統合失調症などの種々の疾患の処置での使用について提案されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,187,785号および米国特許出願公開第2007/0225316号を参照)。
【0003】
ラトレピルジン(ジメボン)として一般に知られている化合物(2,8-ジメチル-5-[2-(6-メチルピリジン-3-イル)エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール)(1)は、旧ソビエト連邦特許第SU-01138164号および国際公開第2009/111540号(両方とも参照により本明細書に組み込まれている)、例えば実施例6に記載されている。ラトレピルジンは、抗ヒスタミン剤として開発、販売され、後者は、アルツハイマー病およびハンチントン舞踏病の処置のために研究された。
【0004】
【化1】
【0005】
ラトレピルジン(ジメボン)の初期の非臨床試験および知見から、アルツハイマー病(AD)患者の少人数の群において認知特性の向上が示された。二番目に大きい臨床試験から、認知症状、日常生活の活動および精神神経(主に情動性)症状について実質的に治療的有用性が示された。しかし、薬理学的および薬物動態学的な特性を含む、この分子の明らかな作用機序の理解がないために、後に続く試験の失敗により、臨床開発プログラムおよびさらなる開発の中断がもたらされた。失敗についての1つの仮説は、存在している結晶形のためにラトレピルジンの生物学的利用能が低いことである。
【0006】
無水A型、B型半水和物、C型一水和物、D型二水和物、F型三水和物、および非晶質ラトレピルジン二塩酸塩を含むラトレピルジンの結晶形は、国際公開第2009/111540号(参照により本明細書に組み込まれている)に報告されている。しかし、これらの報告されたラトレピルジン塩酸塩の結晶形は、吸湿性、低い結晶化度、低い結晶均一性(すなわち、結晶形の混合物)、Q3C(R5)、再現が困難と思われるまたは商業的使用にとって現実的ではない可能性がある調合剤などの、確立されたICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドラインにしたがって適切な安全データが得られていない毒性または疑わしい溶媒の組み込みもしくは使用を含む、種々の懸念と関連している可能性がある。
【0007】
いくらかの場合、多形体が物質の溶解度および/または分解特性を直接変更することができるので、製剤原料の代替の多形体の型の使用は、好ましい溶解度プロファイルを有するラトレピルジンなどの製剤原料の開発において有用である可能性がある。新規多形体の物理化学的特性に応じて、そのような型は、溶解度プロファイルが高められ、生物学的利用能が潜在的に改善された製剤を提供するように製剤化することができる。さらに、造粒および打錠などの製剤化プロセスに適している物理化学的属性を有する多形体は、より少ない1日の用量単位の投与を可能にする、より高い投与量強度を有する製剤を提供するように製剤化することができる。
【0008】
同じ化合物の異なる結晶形は、異なる充填特性、熱力学的特性、分光学的特性、力学的特性、表面特性および機械的特性を有することができる。例えば、異なる結晶形は、異なる安定性の特性を有する可能性がる。特定の結晶形は、熱、相対湿度(RH)および/または光に感受性がより高い可能性がある。代わりに、またはさらに、特定の結晶形は、より高い圧縮性および/または密度特性を提供する可能性があり、それによって製剤化および/または製品製造について、より高い所望の特性を提供する可能性がある。特定の結晶形はまた、異なる分解速度を有する可能性があり、それによって、特定の薬物動態目標を達成するために、特定の型を使用することを可能にする、異なる薬物動態パラメータを提供する可能性がある。安定性における差異は、差次的な酸化などの化学的反応性における変化に起因する可能性がある。そのような特性は、特定の結晶形から構成される場合、より変色しにくい剤形など、より適した製品品質を提供する可能性がある。結晶形の異なる物理的特性はまた、それらの加工に影響する可能性がある。例えば、特定の結晶形は、より流動しにくい可能性があるか、より濾過および/または洗浄しにくい可能性がある。
【0009】
医薬品有効成分の結晶形スクリーニングに対する一般的なアプローチは既知であるが、任意の所与の化合物が多形を示すかどうかの予測が不可能であることが十分に立証されている。さらに、任意の未知の結晶形の特性、および同じ化合物の他の結晶形とどのように異なっているかの予測は、さらに分かりにくいままである(Abramov.Y.A.,Org.Process Res.Dev.2013,17,472-485)(参照により本明細書に組み込まれている)。そのため、ラトレピルジンを含む改善された製剤の提供における使用のためのラトレピルジンの新規結晶形およびそれらの製造の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本明細書で開示されている結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型は、ラトレピルジンの既知の結晶形と比較した場合、特性における差異を示す。ラトレピルジンの本明細書で開示されている結晶形と既知の結晶形との間で異なる特性には、例えば:モル体積、密度および吸湿性などの充填特性;融点および溶解度などの熱力学的特性;分解速度および化学的/多形安定性などの力学的特性;生物学的利用能;晶癖などの表面特性;または硬度、引張強度、成形性、打錠性、操作性、流動性、および混合性などの機械的特性が含まれる。
【0011】
一態様において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、8.5°、10.3°、および11.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。
【0012】
一実施形態において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関し、そのピークは:12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°または29.3°にある。別の実施形態において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°および29.3°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。
【0013】
別の態様において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、11.6°、16.3°、20.2°、22.8°および24.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。一実施形態において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、17.2°および28.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。
【0014】
さらなる態様において、本明細書は、図1に示されるような代表的な粉末X線回折(PXRD)パターンに実質的に一致する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。
【0015】
さらに別の態様において、本明細書は、本明細書で開示されているような、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物に関する。
【0016】
またさらなる態様において、本明細書は、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の使用による、神経変性もしくは他の疾患の処置および/もしくは予防または抗ヒスタミン剤としての方法、または本明細書で開示されているような、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物に関する。
【0017】
別のさらなる態様において、本明細書は、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の調製のためのプロセスに関し、そのプロセスは:
【0018】
脂肪族アルコールである溶媒にラトレピルジン遊離塩基を溶解するステップ;
【0019】
溶媒中のラトレピルジン遊離塩基を含む溶液に気体の塩化水素を注入するステップ;
【0020】
脂肪族エーテルである逆溶媒を添加するステップ;および
【0021】
濾過により結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を回収するステップ
を含む。
【0022】
ここで、例として、本出願の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本明細書による、ラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型の代表的な粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書は、本明細書に含まれる以下の詳細な説明および実施例を参照することによりさらに容易に理解される可能性がある。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されるべきである。本明細書で特に定義されていない限り、本明細書で使用される用語は、従来技術において既知であるようなその従来の意味が与えられることがさらに理解されるべきである。
【0025】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照が含まれる。例えば、「1つ」の置換基は、1個または複数個の置換基を含む。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「約」は、述べられた濃度範囲、時間枠、分子量、粒子サイズ、温度またはpHなどの統計的に意味のある値の範囲内を意味する。そのような範囲は、指定された値または範囲の一桁以内、典型的には20%以内、より典型的には10%以内、さらにより典型的には5%以内とすることができる。時として、そのような範囲は、所与の値または範囲の測定および/または決定のために使用される標準的な方法の典型的な実験誤差の範囲内とすることができる。用語「約」に包含される許容可能な変動は、研究中の特定の系に依存しており、当業者が容易に認識することができる。本出願で範囲に言及する場合は常に、その範囲内のすべての整数も、本発明の一実施形態として考えられる。
【0027】
本明細書は、ラトレピルジンの既知の結晶形と比較した場合、改善された特性を与えることができる、ラトレピルジンの結晶形に関する。本明細書で開示されているラトレピルジンの結晶形と、ラトレピルジンの既知の結晶形との間で異なる特性には、モル体積、密度および吸湿性などの充填特性;融点および溶解度などの熱力学的特性;分解速度および化学的/多形安定性などの力学的特性;生物学的利用能;晶癖などの表面特性;ならびに硬度、引張強度、成形性、打錠性、操作性、流動性、および混合性などの機械的特性が含まれる。さらに、本明細書で開示されているラトレピルジンの結晶形は、当技術分野で既知のラトレピルジンの結晶形と比較した場合、容易で工業的に有利なプロセスにより調製される場合がある。本明細書で開示されているラトレピルジンの結晶形により提供される特性は、ラトレピルジンの既知の型を超える実用的な利点を提供することができ、ラトレピルジンの製造および製剤化における特定の必要性を満たすために利用することができる。
【0028】
一態様において、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、8.5°、10.3°、および11.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。一実施形態において、例えば限定されないが、本明細書は、ラトレピルジンの結晶形、ラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型に関する。別の実施形態において、例えば限定されないが、DMB-I型は、非溶媒和である。別の実施形態において、例えば限定されないが、DMB-I型は、無水および非溶媒和である。
【0029】
本明細書で使用されるような用語「結晶形」、「結晶体」、「結晶質」などは、特に限定されず、当業者には既知であるはずである。一実施形態において、例えば限定されないが、その用語は、結晶格子に分子成分の特定の配列を有する物質を指し、例えば限定されないが、PXRDなどの物理的特徴づけ方法により同定され得る。
【0030】
本明細書で使用されるような用語「溶媒和物」および「非溶媒和」は、特に限定されず、当業者には既知であるはずである。一実施形態において、例えば限定されないが、溶媒和物は、溶媒を含む物質の結晶形態を指す。そのため、用語「非溶媒和」は、一般に溶媒がない、実質的に溶媒がない、または溶媒がない物質の結晶形態を指す。
【0031】
本明細書で使用されるような用語「無水」は、特に限定されず、当業者には既知であるはずである。一実施形態において、例えば限定されないが、無水は、水を含まないか、実質的に水を含まない物質、または本明細書で開示されている結晶ラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型に関連しては結晶化合物を指す。
【0032】
用語「粉末X線回折」、「PXRD」などは、特に限定されず、PXRDが物質の構造的特徴づけのために粉末または微結晶試料に対してX線を使用する科学技術であると認識すべきである当業者には既知であるはずである。
【0033】
さらに、同じ多形体の別個の測定の間でのPXRDパターンにおける差異は、多くの理由のために生じる可能性がある。例えば、誤差の原因には、試料調製における変動(例えば、試料の高さ)、器差、校正誤差、およびオペレータエラー(ピーク位置の決定における誤差を含む)が含まれる。優先的な方向性、すなわちPXRD試料中の結晶体の方向がランダムではないことは、結果として相対的なピーク高さに有意差が生じることになり得る。校正誤差および試料の高さの誤差は、多くの場合、ディフラクトグラムのすべてのピークが同じ方向に同じ量だけシフトシフトすることになる。フラットホルダ上の試料の高さにおける小さい差異は、PXRDピーク位置における大きな変位をもたらす可能性がある。試料の高さの差異が1mmであると、1°2θの程度の高さのピークシフトをもたらす可能性があることを示す体系的研究については、Chen et al.,J.Pharmaceutical and Biomedical Analysis(2001)26:63(参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい。
【0034】
多くの場合、系統誤差に由来する回折パターンの間のピークシフトは、シフトについて補正する(例えば、全ピーク位置の値に補正因子を適用する)ことにより、または回折計を再校正することにより取り除くことができる。一般に、同じ技術は、2つの異なる機器から得られたPXRDピーク位置を一致させることができるように、回折計の間の差異について補正するために使用することができる。さらに、これらの技術が同じまたは異なる回折計からのPXRD測定値に適用される場合、特定の多形体についてのピーク位置は、通常、約±0.2°2θ以内で一致する。
【0035】
上述のように、本明細書は、度2θ(±0.2°)で表される、6.7°、8.5°、10.3°および11.6°でのピークを有する粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムにより特徴づけられたラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型に関する。一実施形態において、例えば限定されないが、PXRDディフラクトグラムは:12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°および29.3°からなる群より選択される、度2θ(±0.2°)で表される、少なくとも4つのピークをさらに含む。別の実施形態において、例えば限定されないが、PXRDディフラクトグラムは、度2θ(±0.2°)で表される、12.8°、13.4°、16.3°、17.2°、20.2°、22.8°、24.6°、28.6°および29.3°でのピークをさらに含む。実施例1で調製されたようなラトレピルジンDMB-I型の例証的なPXRDディフラクトグラムを図1に示す。
【0036】
そのため、さらなる実施形態において、例えば限定されないが、本明細書は、図1に示されるものと本質的に同じPXRDパターンを有する、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型に関する。
【0037】
本明細書で使用されるように、X線回折ピーク位置に関しては「本質的に同じ」という用語は、典型的なピーク位置および強度の変動が考慮されることを意味する。例えば、当業者は、ピーク位置(2θ)が、いくらかの装置間のばらつき、典型的には0.2°または0.1°と同程度を示すことを理解するであろう。さらに、当業者は、相対ピーク強度が結晶化度の程度、好ましくは方向、調製された試料表面、および当業者に既知の他の要因のためのばらつきと同様に装置間のばらつきを示すと認識し、定性的な測定のみとしてとらえるべきである。そのため、ラトレピルジンDMB-I型のために提供されているPXRDディフラクトグラムの例証が本明細書で開示されているが、ピークの相対強度は変動する。したがって、特定の試料に応じて、観察されたピークの突出した強度または相対強度は、上述したように、例証のPXRDディフラクトグラムおよびリスト化されたピークのものとは異なる可能性がある。
【0038】
図1のPXRDディフラクトグラムからの代表的なピークを含む、リスト化されたピークおよびそれらの相対強度は、表1に与えられる。
【0039】
【表1】
【0040】
別のさらなる態様において、本明細書は、結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の調製のためのプロセスに関し、そのプロセスは:
【0041】
脂肪族アルコールである溶媒にラトレピルジン遊離塩基を溶解して溶液を形成するステップ;
【0042】
溶液に気体の塩化水素を注入して泡立てるステップ;
【0043】
脂肪族エーテルである逆溶媒を添加するステップ;および
【0044】
濾過により結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を回収するステップ
を含む。
【0045】
ラトレピルジン遊離塩基を溶解するステップは特に限定されず、変更することができる。一実施形態において、変更することができるパラメータには、例えば限定されないが、溶媒の体積または重量のラトレピルジン遊離塩基の重量に対する比、分解のステップを実行するための温度、撹拌速度および分解の時間が含まれ得る。
【0046】
一実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン遊離塩基の重量の溶媒の体積に対する比は、約1g/5ml~約1g/20ml、および間のすべての値である。特定の実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン遊離塩基の重量の溶媒の体積に対する比は、約1g/8ml、約1g/9ml、約1g/10ml、約1g/11ml、約1g/12ml、約1g/13ml、約1g/14mlまたは約1g/15mlである。
【0047】
別の実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン遊離塩基の分解または溶解は、低温から高温で実行される。特定の実施形態において、分解のステップを実行するための温度は、約5℃~約60℃、および間のすべての値である。別の特定の実施形態において、例えば限定されないが、分解のステップを実行するための温度は、約10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃または約40℃である。
【0048】
さらなる実施形態において、例えば限定されないが、溶媒にラトレピルジン遊離塩基を溶解して溶液を形成した後、溶液を冷却して、塩化水素ガスの添加前およびその間の内部温度を達成することができる。そのように達成および/または維持される内部温度は、特に限定されず、決定することができる。一実施形態において、そのように達成および/または維持される内部温度は、例えば限定されないが、約10℃~約40℃、および間のすべての値である。別の実施形態において、例えば限定されないが、そのように達成および/または維持される内部温度は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃または35℃である。
【0049】
さらに別の実施形態において、例えば限定されないが、撹拌速度および分解のための時間を変更して溶媒にラトレピルジン遊離塩基を溶解することができる。特定の実施形態において、ラトレピルジン遊離塩基は、溶媒中、例えば限定されないが、約30分~4時間、撹拌することができる。さらなる実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン遊離塩基は、溶媒中、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約70分間、約80分間、約90分間、約100分間、約110分間または約120分間撹拌することができる。
【0050】
本明細書で使用されるような用語「脂肪族アルコール」は、特に限定されず、当業者には既知であるはずである。さらに、ラトレピルジン遊離塩基を溶解するために使用される脂肪族アルコールは、特に限定されず、決定することができる。脂肪族アルコールには、脂肪族鎖が、直鎖、分岐鎖、または非芳香族環で一緒に結合した炭素および水素を含む、アルコール(-OH)官能基を有する有機化合物が含まれる。さらに、脂肪族鎖の長さは、特に限定されない。一実施形態において、ラトレピルジン遊離塩基を溶解するために使用される脂肪族アルコールは、例えば限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、3-メチル-2-ブタノールもしくは2-メチル-2-ブタノール、またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン遊離塩基を溶解するために使用される脂肪族アルコールは、メタノールまたはエタノールである。
【0051】
ラトレピルジン遊離塩基を含む溶液に塩化水素(HCl)ガスを注入または泡立てるステップは、特に限定されない。一実施形態において、例えば限定されないが、泡立ての速度、時間および溶液の温度は、実験および設備の設計に応じて変更することができる。特定の実施形態において、例えば限定されないが、HClガスは、ラトレピルジン遊離塩基を含む溶液中、HClガスで溶液の飽和を達成するのに十分な時間、泡立てられる。さらなる実施形態において、例えば限定されないが、HClガスの添加中、ラトレピルジン遊離塩基を含む溶液の内部温度は、本明細書に記載されるように維持される。
【0052】
ラトレピルジン遊離塩基を含む溶液へのHClガスの添加後に逆溶媒を添加するステップは、特に限定されない。一実施形態において、変更することができるパラメータには、例えば限定されないが、逆溶媒の種類、逆溶媒の体積の溶媒の体積に対する比、逆溶媒の添加のための温度、撹拌速度および撹拌の時間が含まれ得る。
【0053】
一実施形態において、逆溶媒は、例えば限定されないが、脂肪族エーテルである。使用される脂肪族エーテルは、特に限定されない。一実施形態において、例えば限定されないが、脂肪族エーテルは、tert-アミルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、1,4-ジオキサン、エチルtert-ブチルエーテル、メトキシエタン、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、メチルtert-ブチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、プロピレングリコールメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロピランまたは2,2,5,5-テトラメチルテトラヒドロフランである。特定の実施形態において、例えば限定されないが、逆溶媒は、ジエチルエーテルである。
【0054】
添加される逆溶媒の体積は特に限定されず、使用される溶媒および逆溶媒に応じて変更することができる。一実施形態において、例えば限定されないが、溶媒はエタノールであり、逆溶媒はジエチルエーテルである。
【0055】
逆溶媒の体積の溶媒の体積に対する比も、特に限定されず、実験および設備の設計の要件に応じて変更することができる。一実施形態において、逆溶媒の体積の溶媒の体積に対する比は、例えば限定されないが、約3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5または1:3である。特定の実施形態において、例えば限定されないが、逆溶媒はジエチルエーテルであり、溶媒はエタノールであり、逆溶媒の体積の溶媒の体積に対する比は1:1である。
【0056】
撹拌速度および撹拌の時間は特に限定されず、変更することができる。一実施形態において、例えば限定されないが、ラトレピルジン二塩酸塩の沈殿の際、懸濁液またはスラリーは、約30分間~4時間撹拌することができる。さらなる実施形態において、例えば限定されないが、スラリーは、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約70分間、約80分間、約90分間、約100分間、約110分間、または約120分間撹拌することができる。
【0057】
さらなる実施形態において、例えば限定されないが、逆溶媒の添加後の温度は、ラトレピルジン二塩酸塩の沈殿に影響を与えるために維持または下げることができる。そのように達成および/または維持される温度は、特に限定されず、決定することができる。一実施形態において、そのように達成および/または維持される内部温度は、例えば限定されないが、約10℃~約35℃、および間のすべての値である。別の実施形態において、例えば限定されないが、そのように達成および/または維持される内部温度は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃または30℃である。
【0058】
結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の形成の後、結晶体は濾過により回収することができる。濾過の方法は特に限定されず、実験の設計および設備要件に応じて変更することができる。濾過の方法は、当業者には既知であるはずである。
【0059】
実施例1に記載されるように、ラトレピルジンDMB-I型は、10体積部のエタノール中のラトレピルジン遊離塩基の溶液を気体の塩化水素で飽和させ、その間、20~30℃未満の温度に維持し、続いて10体積部のジエチルエーテルを添加することにより調製される。得られる懸濁液の濾過は、図1のものと一致するPXRDディフラクトグラムを有するラトレピルジンDMB-I型を提供する。
【0060】
実施例2は、動物の消化管から血清および脳組織へのラトレピルジンの結晶形の吸収を評価することにより、ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型の生物学的利用能を開示する。これらの研究により、動物の血清および脳組織の両方においてラトレピルジンの他の結晶形を超える、ラトレピルジン二塩酸塩(Litrepirdine dihyrdrochloride)、DMB-I型の吸収における顕著な改善が示され、医薬用途においてラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型が使用される可能性がもたらされる場合がある。
【0061】
本明細書はまた、本明細書で開示されている結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、特に限定されず、例えば錠剤、カプセル、丸薬、粉末、徐放性製剤、溶液、懸濁液として経口投与用、滅菌溶液、懸濁液もしくはエマルジョンとして非経口注射用、または座薬として直腸内投与用に適した形態であり得る。医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形であり得る。医薬組成物は、従来の医薬担体または賦形剤および有効成分として本明細書で開示されている結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型を含む。さらに、それは、他の薬剤または医薬品、担体、アジュバントなどを含む可能性がある。
【0062】
適切な医薬賦形剤または担体には、不活性希釈剤または増量剤、水および種々の有機溶媒が含まれる。医薬組成物は、所望の場合、香料、バインダ、賦形剤などの追加の原料を含む可能性がある。したがって、経口投与の場合、種々の賦形剤を含む錠剤は、でんぷん、アルギン酸およびある特定の複合珪酸塩などの種々の崩壊剤と、そしてスクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの結合剤と一緒に使用される可能性がある。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの潤滑剤は、多くの場合、打錠目的に有用である。同様の種類の固形組成物はまた、軟質および硬質の充填ゼラチンカプセルで使用される可能性がある。さらなる物質には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれ得る。水性懸濁液またはエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、その中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組み合わせなどの希釈剤と一緒に、種々の甘味料または香料剤、着色物質または染料および所望の場合、乳化剤または懸濁剤と組み合わせることが可能である。
【0063】
特定の量の活性化合物を有する種々の医薬組成物を調製する方法は既知であるか、当業者には明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easter,Pa.,第15版(1975)(参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい。
【0064】
成句「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、患者の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合ったものであり、それらの意図された用途に有効なものである物質を指す。
【0065】
本明細書に開示されている結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型、またはそれを含む医薬組成物は、神経変性または他の疾患の処置および/または予防における使用を発見することができるか、抗ヒスタミンとしての使用を見つけることが可能である。例えば、本明細書で詳述された結晶ラトレピルジン二塩酸塩、DMB-I型は、アルツハイマー病、ハンチントン病、イヌの認知機能不全症候群、ALS、精神分裂病、脳の虚血/再灌流障害、軽度認知障害の処置および/または予防において、また哺乳動物における老化を遅延させる方法または細胞、組織、もしくは臓器の老化を遅延させる方法において使用される可能性がある。それらは単独で、または他の活性薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0066】
実施例
【0067】
以下の非限定例は、本明細書に記載の本発明の態様および実施形態のいくらかを例証するものである。
【0068】
以下の実施例において出発原料として使用されるラトレピルジン遊離塩基は、国際公開第2009/111540号(実施例4および6)に報告されている、ラトレピルジンと一致していた。
【0069】
粉末X線回折分析
【0070】
PXRDデータは、銅源(1.54060A)およびEiger 2R-500K(2次元)検出器を備え、それぞれ50.0kVおよび1000.0μAに設定された動作電圧およびアンペア数を用いるブルカーD8 Discover回折計で取得された。回折パターンは、4.5~36°2θの範囲にわたって0.01°2θのステップサイズを使用して総時間180秒で取得された。カプトンフィルム下に配置された圧縮試料を使用して、Bragg-Brentano型ジオメトリでデータを回収した。
【0071】
ラトレピルジン多形体の型の生物学的利用能研究
【0072】
4つの結晶多形体(A型、B型、C型、およびF型)を、国際公開第2009/111540号の各実施例に記載されるように調製した。それらの結晶多形体およびDMB-Iを、動物研究で使用して、動物の消化管から血清および脳組織へのラトレピルジンの結晶型の吸収を評価した。オスウィスターラットを動物研究で使用した。ラトレピルジンの各多形体の型の投与のために各群が28匹の動物を含む5群にマウスを無作為に分割した。ラトレピルジンの各多形体の型は、10mg/kgの投与量でコーン油中の懸濁液として、経口胃経管栄養により投与された。ラトレピルジンの投与後15分、30分、60分、および120分で動物に麻酔をかけ(各時点で7匹の動物)、続いて血清および脳組織試料を回収して、LCMSによりラトレピルジン含有量について分析した。Kinetex C18フェノメネクスカラムを備えたProminence LCMS-850を使用して、分析を実行した。分析データの統計的2要因ANOVA分析を、Statistica-7.1.ソフトウェアを使用して実行した。
【0073】
実施例1:ラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型の調製
【0074】
無水エタノール(1000ml)中のラトレピルジン遊離塩基(100g)の懸濁液を、15~20℃で約1時間撹拌し、溶液が得られた。外部冷却浴を使用して、溶液を15~20℃まで冷却し、内部温度を20~30℃未満に維持しながら飽和まで塩化水素流を溶液に注入した。撹拌しながらジエチルエーテル(1000mL)を徐々に添加した。形成された懸濁液をさらに30分間撹拌し、その後、濾過して200mlのジエチルエーテルで順次洗浄した。濾過ケーキを窒素下で乾燥させ、ラトレピルジン二塩酸塩DMB-I型112g(91%)がM.P.=205~206℃の白色の自由流動固体として得られた。このプロセスにより調製された試料のPXRDディフラクトグラムを図1に示す。1H-NMR(d6-DMSO)δ=11.52(br s,1H)、8.55(s,1H)、8.21(d,J=6Hz,1H)、7.73(d,J=6Hz,1H)、7.37(d,J=6Hz,1H)、7.20(s,1H)、6.95(d,J=6Hz,1H)、4,39(m,3H)、4.19(m,1H)、3.07-3.70(m,6H)、2.91(d,J=1Hz,3H)、2.68(s,3H)、2.37(s,3H)。
【0075】
実施例2:ラトレピルジン多形体の型の生物学的利用能
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
胃内投与でのラトレピルジンの多形体の型の薬物動態学的パラメータの比較評価の過程で、最大濃度Cmaxの値を決定した。DMB-IについてのCmaxの中央値が、血漿および脳の両方について5つのテストされたラトレピルジンの多形体の型の中で最も高い値を有していることが示された。DMB-IについてのCmax値は、血清中では12~240%、脳組織では32~260%まで他の多形体の型のCmaxの値を超えていた。DMB-I多形体についての血清中の薬物の最大濃度に到達する時間Tmaxは15分であるが、他の多形体について、このパラメータは、60~120分である。これらのデータにより、ラトレピルジンの他の結晶型よりも多形体DMB-Iの生物学的利用能が優れていることが明らかに示される。
【0079】
記載された実施形態には、ある特定の適応および修飾を行うことができる。そのため、上で議論した実施形態は、例示であり、制限的なものではないとみなされる。
図1
【国際調査報告】