(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】直腸鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/01 20060101AFI20240219BHJP
A61B 17/064 20060101ALI20240219BHJP
A61B 17/02 20060101ALI20240219BHJP
A61B 1/31 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61B1/01 511
A61B17/064
A61B17/02
A61B1/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546154
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2022052760
(87)【国際公開番号】W WO2022167606
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520127948
【氏名又は名称】ディベロペレーション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】DEVELOPERATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン、ウンガーステット
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160CC01
4C160CC11
4C161AA05
4C161CC06
4C161GG22
4C161HH55
4C161JJ11
(57)【要約】
本発明は、本体(2,2’)と、本体(2,2’)から延びるハンドル(3,3’)と、前端(10)及び後端(13)を備える長尺要素(4,4’)であって、前記後端が、本体(2,2’)に取り付けられるとともに、長尺要素(4,4’)の内部が後端を介してアクセス可能であるように開放しており、前記長尺要素が長手方向軸Lに沿って延在している、長尺要素(4,4’)と、前端と後端との間で長尺要素に形成される少なくとも1つの開口(5;5’)、及び/又は前端と後端との間で長尺要素に形成される透明部分と、少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って配置される基準マーキング(9a,9b,9c)であって、長尺要素の開放した後端を介して読み取り可能である、基準マーキング(9a,9b,9c)とを備える直腸鏡(1,1’)に関する。直腸鏡は、処置領域に対する意図された位置に直腸鏡(1,1’)を支持するための位置決め装置を更に備え、前記位置決め装置は、前端接触面(8)を伴う長尺位置調整装置(7,7’)であって、本体(2,2’)内に軸Lと実質的に平行な軸に沿って移動可能に配置されるとともに、本体(2,2’)からの長尺要素(4,4’)と同じ方向で本体(2,2’)から延在する、長尺位置調整装置(7,7’)と、長尺位置調整装置(7,7’)を選択された位置に固定するように構成されるロック手段(71,71)とを備え、前端接触面(8)は、処置領域が基準マーキング(9a,9b,9c)に対して意図された位置に配置される長手方向軸に沿う位置に直腸鏡を維持及び支持するために患者の皮膚に当接するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2,2’)と、
本体(2,2’)から延びるハンドル(3,3’)と、
前端(10)及び後端(13)を備える長尺要素(4,4’)であって、前記後端が、前記本体(2,2’)に取り付けられるとともに、前記長尺要素(4,4’)の内部が前記後端を介してアクセス可能であるように開放しており、前記長尺要素が長手方向軸Lに沿って延在している、長尺要素(4,4’)と、
前記前端と前記後端との間で前記長尺要素に形成される少なくとも1つの開口(5;5’)、及び/又は前記前端と前記後端との間で前記長尺要素に形成される透明部分と、
前記少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って配置される基準マーキング(9a,9b,9c)であって、前記長尺要素の前記開放した後端を介して読み取り可能である、基準マーキング(9a,9b,9c)と、
を備える直腸鏡(1,1’)であって、
処置領域に対する意図された位置に前記直腸鏡(1,1’)を支持するための位置決め装置を更に備え、前記位置決め装置は、
前端接触面(8)を伴う長尺位置調整装置(7,7’)であって、前記本体(2,2’)内に軸Lと実質的に平行な軸に沿って移動可能に配置されるとともに、前記本体(2,2’)からの前記長尺要素(4,4’)と同じ方向で前記本体(2,2’)から延在する、長尺位置調整装置(7,7’)と、
前記長尺位置調整装置(7,7’)を選択された位置に固定するように構成されるロック手段(71,71)と、
を備え、
前記前端接触面(8)は、前記処置領域が前記基準マーキング(9a,9b,9c)に対して前記意図された位置に配置される前記長手方向軸Lに沿う位置に前記直腸鏡を維持及び支持するために患者の皮膚に当接するようになっている、
ことを特徴とする直腸鏡(1,1’)。
【請求項2】
前記基準マーキング(9a,9b,9c)が、前記意図された処置領域又は歯状線などの基準位置に隣接して配置されるようになっており、前記長尺位置調整装置が、前記端接触面が患者の皮膚に当接するような位置にロックされることを特徴とする、請求項1に記載の直腸鏡。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口(5、5’)及び/又は透明部分が、長尺であり、軸Lと実質的に平行に延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の直腸鏡。
【請求項4】
前記長尺要素が透明材料から形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項5】
前記長尺要素の内部を照明するための手段を更に備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項6】
前記基準マーキング(9a,9b,9c)が、前記長手方向軸Lと実質的に平行に前記少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って延在し、前記長尺要素の前記開放後端を介して読み取り可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項7】
前記端接触面(8)が、実質的に平坦であるとともに、前記長尺位置調整装置(7,7’)の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に配置され、前記端接触面(8)が患者の皮膚に当接するようになっていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項8】
前記長尺位置調整装置(7,7’)が伸長端位置と引き込み端位置との間で調整可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項9】
前記長尺位置調整装置(7’)が、前記長尺位置調整装置が前記装置本体内で摺動できる第1の角度位置と、前記ロック手段(71,72)が前記長尺位置調整装置(7’)を所望の位置に固定している第2の角度位置との間で移動可能に構成されることを特徴とする、請求項8に記載の直腸鏡。
【請求項10】
前記長尺位置調整装置(7’)及び前記ロック手段(71,72)が、前記長尺位置調整装置を前記所望の位置にロックするための雄/雌形態を有することを特徴とする、請求項9に記載の直腸鏡。
【請求項11】
前記長尺位置調整装置(7)及び前記本体(2)が、前記長尺位置調整装置(7)を回転させることによって前記長尺位置調整装置(7)が移動されるように対応するトレッドを備え、前記ロック手段が、前記長尺位置調整装置を前記所望の位置に維持するために前記トレッド上に配置された高摩擦材料として具現化されることを特徴とする、請求項8に記載の直腸鏡。
【請求項12】
前記長尺要素(4’)が開放前端を有し、前記装置が、長尺部材内に取り外し可能に嵌合される長尺コア(12)部材を更に備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【請求項13】
前記長尺要素(4,4’)が、前記本体(2,2’)に取り外し可能に取り付けられるとともに、前記長尺要素(4,4’)と同様のサイズ及び形状を有する直腸鏡処置要素(20)と置き換え可能であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の直腸鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直腸鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
50歳を超える人口の最大25%が痔核に罹患している。痔核は痛みを伴い、罹患者に深刻な問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
処置方法は幾つかあり、いずれも様々な程度の合併症に関連する。最も使用されている現代の技術の1つは、結紮器による肛門への動脈供給の閉塞を意味し、その後、粘膜が持ち上げられ、持ち上げられた位置で4~5針縫合することによって固定される。
【0004】
代替的な方法は、欧州特許第2163211号明細書に開示される痔核の処置のための装置を使用することによって行なわれる。開示された装置は、粘膜を切り取って再び一緒にステープル留めし、それによって粘膜を2-3cm持ち上げることによって、痔核の所望の処置をもたらす外科用ステープル留めを意図している。処置は有効であるが、術後疼痛、敗血症、更には死亡などの重度の合併症に関連する。麻酔の必要性及び装置のコストに起因して、コストが高い。
【0005】
様々な既知の痔核の処置方法は、全て異なる欠点を抱えており、その結果、手術時間、処置コストを短縮し、処置の結果を改善することを可能にする改善された技術的解決策が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記で規定された問題を少なくともある程度軽減できるようにする直腸鏡に関する。
【0008】
直腸鏡は、
本体と、
本体から延びるハンドルと、
前端及び後端を備える長尺要素であって、前記後端が、本体に取り付けられるとともに、長尺要素の内部が後端を介してアクセス可能であるように開放しており、前記長尺要素が長手方向軸Lに沿って延在している、長尺要素と、
前端と後端との間で長尺要素に形成される少なくとも1つの開口、及び/又は前端と後端との間で長尺要素に形成される透明部分と、
少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って配置される基準マーキングであって、長尺要素の開放した後端を介して読み取り可能である、基準マーキングと、
を備え、直腸鏡は、
処置領域に対する意図された位置に直腸鏡を支持するための位置決め装置を更に備え、前記位置決め装置は、
前端接触面を伴う長尺位置調整装置であって、本体内に軸Lと実質的に平行な軸に沿って移動可能に配置されるとともに、本体からの長尺要素と同じ方向で本体から延在する、長尺位置調整装置と、
長尺位置調整装置を選択された位置に固定するように構成されるロック手段と、
を備え、
前端接触面は、処置領域が基準マーキングに対して意図された位置に配置される長手方向軸に沿う位置に直腸鏡を維持及び支持するために患者の皮膚に当接するようになっている、
ことを特徴とする。
【0009】
痔核の外科的処置の所望の結果を確保にするために、処置を必要とする領域の正確な位置を確立することが不可欠である。本発明に係る直腸鏡は、患者の直腸内に導入されて、手術による痔核の処置前に直腸内の処置領域の位置の決定を容易にし、手術中に直腸鏡を所望の位置に維持するようになっている。
【0010】
少なくとも1つの開口及び/又は透明部分は、脱出した肛門粘膜の位置を検出し、脱出した肛門粘膜が直腸鏡の基準マーキングに対して意図された位置に配置されるように、直腸鏡を位置決めできるようにする。処置を必要とする領域の位置が決定された時点で、処置を必要とする領域が長尺要素に沿って意図された位置に配置されるとともに、直腸の周囲の領域のどこかで前端接触面が患者の皮膚に当接して軸Lに沿った所望の位置に直腸鏡を支持及び維持する位置に位置調整装置が配置されるように、軸Lに沿う直腸鏡の位置が調整される。更に、ハンドルは、装置の導入及び角度位置決めを容易にする。長尺位置調整装置は、例えば、所望の位置に固定され得るねじ又は長尺ロッドなどの幾つかの異なる方法で具現化され得る。
【0011】
直腸鏡の1つの実施形態において、基準マーキングは、意図された処置領域又は歯状線(linea dentata)などの基準位置に隣接して位置されるようになっており、長尺位置調整装置は、端接触面が患者の皮膚に当接するような位置にロックされる。手術は、外科的処置が患者に深刻な痛みを引き起こすリスクがより小さい歯状線の内側で好ましく行なわれるため、歯状線は非常に良好な基準位置である。
【0012】
直腸鏡の一実施形態において、少なくとも1つの開口及び/又は透明部分は、長尺であるとともに、軸Lと実質的に平行に延在する。長尺な開口及び/又は透明部分は、直腸のより大きな部分に目に見えるアクセスをもたらし、処置が必要な領域の決定を容易にすることができる。
【0013】
直腸鏡の一実施形態では、長尺要素が透明材料から形成される。この実施形態は、透明な長尺要素が透明な長尺要素を取り囲む直腸の全領域を視覚的に検査できるようにするため、有利である。
【0014】
直腸鏡の一実施形態は、軸Lに沿った直腸鏡の位置決め中に視認性を容易にするために長尺要素の内部を照明するための手段を更に備える。
【0015】
直腸鏡の一実施形態において、基準マーキングは、少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って軸Lと実質的に平行に延在し、開放した後端を介して読み取り可能である。
【0016】
直腸鏡の一実施形態において、前端接触面は、実質的に平坦であり、患者の皮膚に対して快適で安心感のある支持をもたらすべく長尺位置調整装置に対して実質的に垂直に配置される。
【0017】
直腸鏡の一実施形態において、長尺位置調整装置は、伸長端位置と引き込み端位置との間で調整可能である。
【0018】
直腸鏡の一実施形態において、長尺位置調整装置は、長尺位置調整装置が装置本体内で摺動できる第1の角度位置と、ロック手段が長尺位置調整装置を所望の位置に固定している第2の角度位置との間で移動可能に構成される。
【0019】
直腸鏡の一実施形態において、長尺位置調整装置及びロック手段は、長尺位置調整装置を所望の位置にロックするための雄/雌形態を有する。
【0020】
直腸鏡の一実施形態において、長尺位置調整装置及び装置本体は、長尺位置調整装置を回転させることによって長尺位置調整装置が移動されるように対応するトレッドを備え、ロック手段は、長尺位置調整装置を所望の位置に固定するためにトレッド上に配置された高摩擦材料として具現化される。
【0021】
直腸鏡の一実施形態では、長尺要素が開放した前端を有し、直腸鏡は、長尺部材内に取り外し可能に取り付けられる長尺コア部材を更に備える。長尺コア要素は、患者の直腸への導入を容易にするために丸い前端を有する。
【0022】
直腸鏡の一実施形態において、長尺要素は、装置本体に取り外し可能に取り付けられるとともに、長尺要素と同様のサイズ及び形状を有する直腸鏡処置要素と置き換え可能である。この実施形態は、長尺要素が本体に取り付けられて長尺位置決め装置が選択された位置にロックされた状態で直腸鏡の所望の位置が決定されるため、有利である。位置決め装置は、直腸鏡が軸Lに沿う同じ位置、すなわち前端接触面が患者の皮膚に当接する位置に配置されるようにするため、直腸鏡が直腸から抜去され、長尺要素が処置要素に置き換えられて直腸内の同じ位置に容易に挿入される。
【0023】
直腸鏡の使用中、以下のステップ、すなわち、
-意図された処置領域が基準マーキングに対して意図された位置に配置される位置まで患者の直腸内に長尺要素を挿入するステップと、
-長尺位置調整装置(7)の位置を、前端接触面(8)が患者の皮膚に当接して直腸鏡を所望の位置に維持及び支持する位置に調整するステップと、
-長尺位置調整装置(7)をロック手段によって選択された位置に固定するステップと、
が行なわれる。
【0024】
直腸鏡は、手術を容易にして手術の最終結果を改善する全手術中により正確に位置決めされる。
【0025】
更に、以下の更なるステップ、すなわち、
-長尺要素を直腸から抜去するステップと、
-長尺要素を本体から取り外して、長尺要素と同様のサイズ及び形状を有する直腸鏡処置要素(20)を本体に取り付けるステップと、
-前端接触面(8)が患者の皮膚に当接して直腸鏡を所望の位置に維持及び支持する位置まで患者の直腸内に直腸鏡処置要素を挿入するステップと、
が行なわれてもよい。
【0026】
これらの更なるステップは、意図された処置領域への目に見えるアクセスをもたらす長尺要素を用いて直腸鏡の位置決めを行なうことができるため、有利である。直腸鏡が意図された位置にあるとき、位置決め装置が所望の位置にロックされ、直腸鏡が直腸から抜去される。次いで、直腸鏡の長尺要素が処置要素と置き換えられ、処置要素は、手術を行なうために使用されるとともに、前端接触面が患者の皮膚に当接して直腸鏡を所望の位置に維持及び支持する位置に挿入される。処置領域の良好な視認性を与える長尺要素で位置を設定する可能性は、手術からの良好な結果を確保し、プロセスを大幅に容易にする。
【0027】
本発明に係る直腸鏡の代替的な使用において、長尺位置調整装置には、長尺位置調整装置に沿って延びる指標付けスケールが設けられる。支持装置、すなわち、長尺位置調整装置及びロック手段の所望の位置が決定されたときに長尺要素を処置要素と置き換える代わりに、指標付けスケールから基準値が決定される。次いで、基準値を使用して、手術を行なうために使用される対応する実質的に同一の直腸鏡の支持装置、すなわち、長尺位置調整装置及びロック手段を較正する。この構成は、1つの直腸鏡が検査及び処置領域の位置の決定に使用される一方で、別個の消毒された直腸鏡が手術を行なうために使用されるため、汚染のリスクを低減するために有利であり得る。別個の直腸鏡が手術に使用される場合には、2つの直腸鏡が同じサイズ及び寸法を有することが不可欠であり、そのため、手術は意図された処置領域で行なわれる。
【0028】
本発明に伴う上記並びに更なる目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の例示的且つ非限定的な詳細な開示を検討すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る直腸鏡の第1の実施形態の斜視図を示す。
【
図2】本発明に係る直腸鏡の第2の実施形態の斜視図を示す。
【
図4】第1の構成における位置調整装置を伴う直腸鏡の斜視図を示す。
【
図5】第2の構成における位置調整装置を伴う直腸鏡の斜視図を示す。
【
図7】直腸鏡の選択された構成要素の概略分解図を示す。
【
図8】針の導入後の
図6の直腸鏡の選択された部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明を解明するのに必要な選択された部分のみを示しており、他の部分は省略される場合もあり、単に示唆されるにすぎない場合もある。
【0031】
本発明は、前述のように、痔核の処置を容易にすることを目的とした直腸鏡に関する。
【0032】
直腸鏡は、添付図面に関連して詳細に説明される幾つかの異なる構成要素を備える。
【0033】
本発明に係る直腸鏡1の第1の実施形態が
図1に示されており、この直腸鏡は、直腸鏡1の異なる構成要素を支持するように配置された本体2を備える。本体2は、本体2を通って延びる略円形の通路6を有する環状部材として成形されている。円形の通路6は、直腸鏡の長手方向軸Lを横切る平面内に配置される。
【0034】
直腸鏡は、本体2から長手方向軸Lから実質的に径方向に延在する湾曲ハンドル3を更に備える。しかしながら、ハンドルの形態は、異なるサイズ/寸法の患者に直腸鏡を適合させるために異なる方法で変更することができる。ハンドルは、直腸鏡の操作を容易にするように意図されている。
【0035】
直腸鏡の1つの必須部分は、長手方向軸Lに沿って本体2から延びる長尺要素4である。長尺要素4は、本体に取り外し可能に取り付けられた丸みを帯びた前端10及び後端11を含む。後端は、長尺要素の内部が後端及び本体内の通路を介してアクセス可能であるように開放している。長尺要素5は、長尺要素全体に沿って実質的に同じ半径を有する実質的に円形の断面形状を有する。少なくとも1つの開口5が、前端と後端との間の長尺要素内に形成され、及び/又は、透明部分が、前端と後端との間の長尺要素内に形成され、長尺要素が患者の直腸内に配置されたときに、長尺部材の開放した後端及び本体内に形成された通路を介して肛門粘膜及び痔核を視覚的に検査することを可能にする。代替的な実施形態では、長尺要素全体は、組織を視覚的に検査する可能性を更に改善するために透明材料で作られる。この実施形態は、長尺要素の少なくとも1つの開口と組み合わせて使用することもできる。
【0036】
長尺要素には、少なくとも1つの開口及び/又は透明部分に沿って配置された基準マーキング9a、9b、9cが設けられている。基準マーキングは、例えば、基準マーキングが長尺要素の開放する後端を介して読み取り可能であるように、少なくとも1つの開口に沿って、又は透明部分に配置された1つ以上のライン又はスケールであってもよい。
【0037】
直腸鏡は、識別された処置領域に対して意図された位置で直腸鏡(1,1’)を支持するための位置決め装置を更に備える。
図1~
図8に示す位置決め装置の実施形態は、本体から長尺要素4と実質的に平行に、長尺要素4と同じ方向に、すなわち軸Lに平行に延びる長尺位置調整装置7を備える。図示の実施形態の長尺位置調整装置は、ねじとして設計されている。ねじは雄ねじを有し、ねじを回転させることによって軸Lに沿った位置が前方位置と後方位置との間で調整されるように、装置本体2の内部トレッドを有する対応する穴に配置される。位置調整装置は、長手方向軸Lに対して実質的に垂直に配置された実質的に平坦な前端接触面8を備える。平坦な前端接触面8は、患者の直腸を囲む領域において患者の皮膚に当接するようになっている。位置決め装置は、長尺位置調整装置を選択位置に固定するように配置されたロック手段を更に備える。この実施形態では、ロック手段は、長尺位置調整装置、すなわちねじを所望の位置に維持するために、それぞれのトレッド上の高摩擦材料の表面構造又は層として具現化される。
【0038】
位置決め装置の別の実施形態を
図9に示す。この実施形態では、長尺位置調整装置7’は、本体2’内の対応する通路に摺動可能に配置された長尺なロッドとして具現化される。長尺なロッドは、
図9に矢印で示されているように、長尺位置調整装置が装置本体2’内で摺動することができる第1の角度位置と、ロック手段71、72が長尺位置調整装置を所望の軸方向位置に固定している第2の角度位置との間で、その長手方向軸の周りで回転可能である。ロック手段は、長尺位置調整装置7’に沿って配置された切り欠き71と、本体2’内に配置された対応するロック要素72とを有する雄/雌形態を有する。
【0039】
また、長尺位置調整装置には、長尺位置調整装置7’に沿って延びる指標付けスケールが設けられている。指標付けスケールは、直腸鏡の所望の位置を表わす基準値を決定できるようにする。
【0040】
更なる代替案は、長尺位置調整装置の後端に、長手方向から外側に曲げられ、例えばクランプ内にロックされ得る弾性部材を設けて、長尺位置調整装置が所望の位置にロックされるようにすることである。
【0041】
痔核の外科的処置が開始される前に、本発明に係る直腸鏡1、すなわち長尺要素4は、患者の直腸に配置される。長尺位置調整装置は、長尺要素が軸Lに沿った位置に維持されるように、軸Lに沿って調整され、ここで、痔核は、長尺要素4に沿った意図された位置に配置される。長尺位置調整装置が所望の位置にロックされて、軸Lに沿って所望の位置に直腸鏡を維持すると、位置決め装置は確実に直腸鏡が決定された所望の位置に戻るため、直腸から抜去され、所望の設定位置に容易に戻ることができる。位置決め装置は、長尺要素が患者の直腸内に前方に長く導入されることを防止する。
【0042】
直腸鏡上の基準マーキングは、様々な方法で具現化することができるが、1つの好ましい実施形態では、図中に参照番号9cで示される1つの基準マーキングは、患者の直腸内の歯状線に沿って配置されるように統合される。この基準マーキング、すなわち基準9cの位置は、長尺要素に沿って更に後方に、基準マーキング9cが歯状線と位置合わせされたときに、処置領域が、ヒトが疼痛に対して限られた感覚を有する直腸の内側に配置されるようにする。
【0043】
視認性を更に向上させるために、位置決め装置は、長尺要素の内部を照明するための手段を備えることができる。内部を照明するための手段は、異なる構成を有することができるが、好ましくは、長尺要素の内部が点灯されるように本体内に配置された1つ以上のダイオード又はランプを備える。1つ以上のダイオード又はランプは、本体内に配置されたバッテリによって、又は本体に接続された外部電源、すなわち電力によって給電される。更なる代替案は、外部光源を使用し、光ファイバによって所望の位置に光を方向付けることである。
【0044】
直腸鏡1’の第2の実施形態は、
図2及び
図3に2つの異なる構成で示される。この実施形態において、本体2は、前の実施形態と実質的に同じであるが、長尺要素4’は、開放した前端10を有する管のような形状である。この実施形態において、少なくとも1つの開口は、後端11から開放した前端まで延在する長尺なスロット5’として形成される。直腸鏡は、少なくとも1つの開口5’を閉じるために、管形状の長尺部材内に取り外し可能に取り付けられる長尺なコア部材12を更に備える。コア部材12は、該コア部材の丸い前端が長尺要素の丸い前端をもたらして前端を閉じるように長尺要素の長さに対応する長さを有する。
【0045】
直腸鏡が患者の直腸に導入されると、コア部材12は、少なくとも1つの開口5’を開放して視認性を向上させるために、長尺要素の開放した後端及び本体内の通路を介して取り外される。この実施形態は、少なくとも1つの開口が滑らかな表面によって閉じられることから患者への長尺要素の導入が容易になるため、有利である。この実施形態は、少なくとも1つの開口がかなりのサイズを有する場合に特に有利である。
【0046】
また、この実施形態では、肛門粘膜及び痔核の目視検査を更に容易にするために、透明な材料で作られた長尺要素、又は長尺要素全体に透明部分を形成することができる。
【0047】
直腸鏡の両方の実施形態において、長尺要素は、好ましくは本体に取り外し可能に取り付けられる。歯状線が基準マーキングと位置合わせされ、長尺位置調整装置7が長手方向軸に沿って所望の位置に配置されると、直腸鏡が直腸から取り外され、長尺要素が処置要素20に置き換えられる。処置要素は、長尺要素と同じ位置で本体2に嵌合するように設計された管形状要素21を備え、長尺要素と実質的に同じサイズ及び寸法を有する。図示の実施形態において、管形状要素の後端は、本体に取り付けられるようになっている接続ソケット2’を形成するために外側に張り出される。
【0048】
処置要素20は、痔核の処置を意図しており、管形状要素21内に取り外し可能に配置された肛門粘膜支持装置22、22a、22b、22cを備え、それにより、前記支持装置は、管形状要素の開口23内に露出される。また、処置要素は、管形状要素の外周にわたって配置された2つ以上の同様の開口を有するように設計することもでき、このとき、各開口に1つの肛門粘膜支持装置が配置される。
【0049】
長尺な管形状要素21は、処置要素20の外側ケーシングを構成する。管形状要素21は、患者の直腸内に配置されるようになっている丸い前端24を備える。管形状要素21は、管形状要素の内部が本体2内の通路を介してアクセス可能であるように、本体2内の中央開放通路に配置されるようになっている開放した後端25を更に備える。管形状要素21は、実質的に直線であり、長手方向軸Lに沿って延在する。管形状要素は、異なる長さで作製することができ、軸Lを横切る管形状要素の断面形状は、処置が開始されるときに装置の挿入を容易にするために実質的に円形である。また、代替的な断面形状は、丸い角を有する楕円形、三角形、長方形、五角形又は六角形などであってもよい。管形状要素は、好ましくはプラスチック材料で作られる。
【0050】
軸Lを中心とする管形状要素の開口23の角度位置は、長尺要素及び処置要素が正しい位置で装置本体に取り付けられるときの長尺要素の少なくとも1つの開口の角度位置に対応する。
【0051】
肛門粘膜支持装置22の図示の実施形態は、軸Lと実質的に平行に延びるように配置された第1の長尺部分22a、中間長尺部分22b、及び第2の長尺部分22cを備える。第1の長尺部分、中間長尺部分、及び第2の長尺部分は、互いに隣接して配置され、管形状要素内に取り外し可能に配置される。
【0052】
肛門粘膜支持装置は、長尺要素の基準マーキングの位置に対応する意図された処置領域と同じ長手方向軸Lに沿う位置に配置された肛門粘膜用の少なくとも2つのキャビティ26を備え、それにより、位置決め装置によって規定された位置は、手術を開始するために処置要素が挿入されるときに識別された処置領域が正確に位置決めされるようにする。
【0053】
処置領域、ひいては2つのキャビティ26も、好ましくは、歯状線と処置領域の外端との間に軸Lに沿って10~15mmの範囲内の距離が存在するように配置され、すなわち、キャビティの縁部が歯状線に近接して配置される。
【0054】
処置要素は、前端接触面が患者の皮膚に当接する位置まで患者の直腸に進入されると、意図された所望の位置に到達する。
【0055】
キャビティ26は、長手方向軸Lに沿って、管形状要素の開口23の実質的に中心に配置される。各キャビティ26は、肛門粘膜が各キャビティに入ることができるように、管形状要素の開口23に面する開放側を有する。
【0056】
第1の長尺部分22a、中間長尺部分22b、及び第2の長尺部分22cは、開口23の実質的に中心に互いに隣接して配置されるように設計され、キャビティ26のそれぞれは、キャビティが第1の長尺部分、中間長尺部分、及び隣接する第2の長尺部分のキャビティによって形成されるように、すなわち、キャビティが3つの長尺部分によって形成されるように、第1の長尺部分22a、中間長尺部分22b、及び第2の長尺部分22cの間の接触面に沿って配置される。更に、針通路27が、第1の部分と中間部分との間、及び中間部分と第2の部分との間の接触面に沿って形成される。直腸鏡の図示の実施形態は、4つの針通路27、すなわち、肛門粘膜支持装置22の各キャビティ26間の1つの針通路27を備える。針通路27は、第1の長尺部分、中間長尺部分、及び第2の長尺部分が互いに分離されて、針50、又は針通路27を通じて延びる縫合糸、ステープル又は固定手段を解放するときに開放される。
【0057】
針通路27は、針50が長尺管形状要素21の開口23の外側に配置される抜去位置から、肛門粘膜支持装置22のキャビティ26を通じて、針が管形状要素の開口23を横切って延在する位置まで、針50が管形状要素内を移動する最中に案内されるように、長尺管形状要素及び肛門粘膜支持装置に形成された針案内構造を構成する。各針通路27は、針が引き込み位置から抜去位置に移動される際に各針通路27を容易に通過できるように、針50の断面寸法及び形状に応じたサイズ及び形状を有する。好ましくは、装置の後端に面する針通路の側は、針を針通路の中心に案内するために僅かに広げられる。図示の実施形態において、2つの針は、2つの針50が隣接する針通路内で同時に移動されるように、針の後端の接続構造52によって単一の要素として形成される。接続構造は、針が互いに独立して移動することもできるように、僅かに弾性であることが好ましい。
【0058】
肛門粘膜支持装置20の各キャビティ26は、底構造を備え、針通路の中心と底構造との間の軸Lからの径方向の距離は、2~12mmである。肛門粘膜が肛門粘膜支持装置のキャビティ26内に正しく配置されるようにするために、各キャビティの底構造は、各キャビティ内に少なくとも1つの開口を備え、前記開口は、肛門粘膜がキャビティ26内に吸引されるように、周囲圧力よりも低い圧力を提供することができる何らかの種類の手段、例えば、手動もしくは電動ポンプ又は外部に配置された吸引作用源に接続される。
【0059】
肛門粘膜支持装置22は、管形状要素21内に取り外し可能に配置され、取り外し可能なロック要素によって管形状要素内の意図された位置に維持される。ロック要素は、長尺な管形状要素の内部寸法に対応する長さ、軸Lに沿った長さ、及び幅を有する長尺プレートのように成形される。管形状要素内のロック要素の位置決め及び固定は、ロック要素が長手方向軸Lと平行に摺動することができるように、管形状要素の開口の両側の管形状要素の内周壁に沿って配置された案内レール32によって行なわれる。肛門粘膜支持体の第1の長尺要素、中間長尺要素、及び第2の長尺要素は、第1の要素、中間要素、及び第2の要素が意図された位置に維持されるように、管形状要素の開口23に面するロック要素の側の凹部内に嵌合される。ロック要素は、管形状要素内に配置されて、肛門粘膜支持装置を意図された位置に押し込み、管形状要素の開口内にキャビティが露出した状態で、肛門粘膜支持装置を意図された位置に維持する。
【0060】
処置要素20の上記の説明では、管形状要素21内の1つの開口23、1つの肛門粘膜支持装置22、及び1つのロック要素30を備えるただ1つの構成について説明したが、好ましくは、処置要素20は、2つ、或いは3つ又は最大6つの同様の対応する実質的に同一の構成を備えるように設計される。
【0061】
処置要素20は、外科医が手術によって痔核を処置できるようにするために患者の直腸に導入される。直腸鏡が意図された位置に来ると、脱出した肛門粘膜は、肛門粘膜支持装置内のキャビティ26に配置される。長尺な管形状要素及び肛門粘膜支持装置に形成された針ガイド構造27は、管形状要素21内での移動中に、1つ又は複数の針50を、抜去された開始位置から、キャビティ26を通じて、すなわち、キャビティ内に配置された肛門粘膜を通じて、針50が管形状要素21内の開口23全体にわたって、肛門粘膜に折り目が生じるように異なるキャビティ26に配置された肛門粘膜を通じて延びる位置まで案内する。
【0062】
針50は、縫合糸、ステープル又は固定手段を、肛門粘膜の異なる折り目を通じて導入するために使用される。縫合糸に入るための様々な代替手段、ステープル又は固定手段を使用することができる。
【0063】
縫合糸、ステープル、又は固定手段のいずれかが針と共に導入される、或いは、針は、最初に、引き込み位置から、針先が処置要素の前端内に配置された縫合糸、ステープル、又は固定手段の端部の対応するドッキング要素内に固定される抜去位置に移動する。針50が抜去位置から引き込まれると同時に、縫合糸、ステープル又は固定手段が肛門粘膜に導入され、縫合糸、ステープル又は固定手段が肛門粘膜を通じて引き込まれる。
【0064】
縫合糸、ステープル、又は固定手段が正確に位置決めされるとすぐに、取り外し可能なロック要素が取り外され、肛門粘膜支持装置22a、22b、22cは、ロック位置から解放され、それにより、開放した後端25を介して開口23から取り外されて、肛門粘膜及び縫合糸、ステープル、又は固定手段を処置要素から取り外され得る。これは、縫合糸、ステープル又は固定手段が、縫合糸、ステープル又は固定手段の所望の締め付けを可能にして肛門粘膜を持ち上げられた位置に恒久的に固定するべく、肛門粘膜を貫通して延びるように配置された後に、直腸から処置要素を除去することを可能にするために不可欠である。
【0065】
針ガイド構造及び肛門粘膜支持装置は、針50、及び最終的に縫合糸、ステープル又は固定手段が、各キャビティ26に配置された肛門粘膜の意図された領域を通じて延在するようにし、所望の結果が達成されるようにするため、処置要素は外科的処置を容易にする。
【0066】
重度の痔核の問題の場合、直腸粘膜をより持ち上げる必要がある。これにより、基準マーキング間の距離を長くすることができ、それに伴って、肛門粘膜支持装置内のキャビティの数を増加させることができ、それにより、肛門粘膜上に更に折り目をつけることができ、その結果、吊り上げ効果が大幅に向上する。
【0067】
処置要素20は、管形状要素21のそれぞれの開口23ごとに1つの閉鎖要素40を更に備える。閉鎖要素40は、処置要素の滑らかな外形をもたらすために管形状要素の断面形状に対応する形状と、装置内に配置されたときに開口を完全に閉じるために開口23の長さに対応する長さとを有する。閉鎖要素は、管形状要素内に取り外し可能に配置され、患者の直腸への装置の挿入を容易にするために管形状要素の開口を閉じるようになっている。装置が直腸内の所望の位置にあるとき、後端までずっと延在する閉鎖要素は、管形状要素の後端を介して除去されて、管形状要素の開口を露出させ、肛門粘膜がキャビティに入ることを可能にする。閉鎖要素40は、長手方向軸Lに実質的に平行な管形状要素の開口の長尺な側に沿って形成された実質的に直線状の凹部内で摺動するように配置される。
【0068】
直腸鏡が患者の直腸内の意図された位置に取り付けられて閉鎖要素が取り外されると、管形状要素12の開放した後端が封止プラグ54によって閉じられる。封止プラグ54は、概略的に示されるが、ポンプ手段又は吸引手段が前記封止プラグ54内の接続部を介して管形状要素21の内部に接続され得るように、装置本体2の開放した後端及び通路を閉じて封止するように設計される。封止プラグには、ポンプ手段又は吸引手段への接続を容易にするために、プラグから延びる弾性チューブを設けることもできる。管形状要素の内部へのポンプ手段又は吸引手段の所望の接続を行なうための代替の実施形態も可能である。例えば、ポンプ手段又は吸引手段は、装置本体2又はハンドル3に配置された接続部と、装置に組み込まれて管形状要素21の内部に接続されたチャネルとを介して、直腸鏡の内部に接続され得る。図示されないポンプ手段又は吸引手段が作動されると、管形状要素21内の圧力が低下し、肛門粘膜がキャビティ内に吸引される。
【0069】
肛門粘膜がキャビティ26内の所望の位置にあると、針50は、引き込み位置から針通路27を通じて、キャビティ26及びキャビティ内に配置された肛門粘膜を横切って、管形状要素21の開口23の反対側まで押される。
【0070】
肛門粘膜が意図したようにキャビティ内に配置されるようにするために、開放した後端25は、開放した後端に対応する形状及び寸法を伴うプラグ54によって封止される。プラグ54の好ましい一実施形態では、弾性膜55がプラグの開口を閉じるように配置される。弾性膜55は、処置要素内の所望の減圧が確立されて肛門粘膜がキャビティ内に正しく吸引されたことを外科医又は術者が監視することができるように、装置の外側から見える。また、弾性膜は、プラグが開放した後端25を閉じるように配置されると、直腸鏡の内部を見ることを可能にするために透明であり得る。また、他の実施形態は、装置内に弾性的に支持された小さなボタンなどの直腸鏡内で所望の低圧に到達して所望の低圧が達成されるときにばねからの力を低圧が超えてボタンがその開始位置から引き込まれることを視覚的に知らせることも可能である。
【0071】
様々な種類の縫合ワイヤ、スタンプ、又は固定装置を、直腸鏡と組み合わせて使用することができ、針及び縫合糸、ステープル又は固定手段が肛門粘膜を通じて延びるように配置されると、針が取り外され、縫合糸、ステープル又は固定手段は、締め付けられ、脱出した肛門粘膜の所望の持ち上げが達成されるように恒久的に固定される。
【0072】
処置要素は、肛門粘膜を持ち上げられた位置に固定するための異なる代替物と組み合わせて使用するように構成することができる。例えば、装置の管形状要素の前端内に、処置が開始される前に、管形状要素の内側に縫合糸を配置することができる。縫合トレッドの一端には、前方停止要素が恒久的に固定され、縫合糸ドッキング手段の反対側の端部には、例えばループ又は雄/雌取付具が配置される。ドッキング手段は、針先の意図された前方位置に配置される。処置要素20が患者の直腸内の所望の位置にあるとき、針50は、引き込み位置からキャビティを通じてドッキング手段に移動し、そこで針先がドッキング手段に接続し、針がドッキング手段に接続される。その後、針は、縫合糸と共に、前方停止要素が肛門粘膜の前方折り目に当接する位置まで引き込まれる。そして、針50、封止プラグ54、ロック要素及び肛門粘膜支持装置20を取り外し、トレッド及び肛門粘膜を肛門粘膜支持装置から解放する。肛門粘膜の所望の持ち上げを達成するために、後方停止要素が縫合糸に沿って前方に押されて、肛門粘膜が前方停止要素に向かって折り曲げられる。後方停止要素及び縫合トレッドには、後方停止要素が縫合糸に沿って後方に移動するのを防止するか、又は例えば結び目によって所望の位置に恒久的に固定される対応する固定構造が設けられる。針及び針スリーブがトレッドから取り外されると、後方停止要素が縫合糸上に配置される。
【0073】
この一般的な概念に基づく非常に単純で信頼性の高い実施形態は、手術が開始される前に処置要素内に配置された長尺な縫合糸を含む。縫合糸の一端は、開口23の前端の針先の位置に配置されたドッキング要素を備える。針が導入されると、針先はドッキング要素に接続され、縫合糸は、針が引き込まれるときに肛門粘膜を通って導入される。縫合糸の長さは、外科医が縫合糸の端部を1つ以上の結び目によって固定し、肛門粘膜を持ち上げることができるように、縫合糸の両端が装置の開口端を通じて完全に延出するようにするのに十分な長さである。
【0074】
また、この実施形態は、例えば
図6に示される2つの平行な針50を備える直腸鏡の実施形態と組み合わせて非常に有利であり、それは、一方の端部が一方の針の前端に配置されたドッキング手段を備え、縫合糸の第2の端部が他方の針の前端に配置された同様のドッキング手段を備えた装置の前端に単一の縫合糸を配置することができるためである。2つの針が対応するドッキング手段にドッキングされると、縫合糸の両端は、両端が直腸鏡の後端から延出するように肛門粘膜の襞を通って引き込まれる。縫合糸が締め付けられ、肛門粘膜の所望の持ち上げが達成された後、2つの端部は、1つ又は複数の信頼できる結び目によって固定することができる。
【0075】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されているが、そのような例示及び説明は、例示的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者であれば分かるように、添付の特許請求の範囲に規定される範囲内で多くの修正、変形及び変更が考えられる。
【0076】
加えて、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示内容、及び、添付の特許請求の範囲の検討により、特許請求の範囲に記載される発明を実施する際に当業者によって理解されて達成され得る。特許請求の範囲において、「備える」という用語は他の要素を除外せず、また、不定冠詞「1つ(a)」又は「1つ(an)」は複数を除外しない。特定の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に使用できないことを示唆するものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】