(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】複数の基準局を使用するリアルタイムキネマティック(RTK)および差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正
(51)【国際特許分類】
G01S 19/07 20100101AFI20240219BHJP
G01S 19/43 20100101ALI20240219BHJP
【FI】
G01S19/07
G01S19/43
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546495
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022070080
(87)【国際公開番号】W WO2022187759
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ニン・ルオ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ゲンシェン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ジェン
(72)【発明者】
【氏名】インフア・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジャン
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC07
5J062DD22
5J062EE01
5J062EE04
(57)【要約】
複数の基準局からの補正データがモバイルデバイスに提供される、リアルタイムキネマティック(RTK)および/または差分GNSS(DGNSS)システムが開示される。(補正データがそこからモバイルデバイスに提供される)基準局の選択が、モバイルデバイスの近似位置、基準局のジオメトリ、および/または他の要因などの要因に基づいて行われ得る。モバイルデバイスは、複数の基準局からの補正データを補間することなく、モバイルデバイスに対する正確なポジションフィックスを決定するために、複数の基準局からの補正データを様々な方法で組み合わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法であって、
前記モバイルデバイスの近似位置を示す情報、または前記モバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するステップと、
前記基準局補正データを取得すべき複数の基準局を選択するステップであって、前記選択するステップが、前記モバイルデバイスの前記近似位置、または前記モバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する前記情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局から前記基準局補正データを取得するステップであって、前記それぞれの基準局に対して、前記基準局補正データが、前記それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える、ステップと、
前記基準局補正データを前記モバイルデバイスへ送るステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記複数の基準局を選択するステップが、追加的に、前記複数の基準局のそれぞれの基準局のそれぞれの位置に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の基準局を選択するステップが、前記モバイルデバイスの前記近似位置までの、前記複数の基準局のそれぞれの基準局の前記それぞれの位置の近接度に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の基準局が、基準局位置の中間点または重心と前記モバイルデバイスの前記近似位置との間の距離を最小化するように選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の基準局が、前記モバイルデバイスと前記複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイルデバイスと前記複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の前記個数を最大化するために、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局から、前記それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を取得するステップ、または
前記モバイルデバイスから、前記モバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報を取得するステップ、または
その両方
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の基準局を選択するステップが、前記複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基準局の前記個数が、サービス品質(QOS)、前記モバイルデバイスからのユーザ要求、または前記モバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準局補正データを前記モバイルデバイスへ送るステップが、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを送信するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モバイルデバイスの前記近似位置が、前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第1のカバレージエリアの中にあり、
前記方法が、異なる複数の基準局から前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第2のカバレージエリアの中の第2のモバイルデバイスへ基準局補正データを送るステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用する方法であって、
前記モバイルデバイスにおいて、複数の基準局のそれぞれの基準局から基準局補正データを取得するステップであって、前記それぞれの基準局に対して、前記基準局補正データが、前記それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備える、ステップと、
モバイルデバイス測定データを取得するステップであって、前記モバイルデバイス測定データが、前記モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備える、ステップと、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局からの前記基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの位置を決定するステップと
を備える方法。
【請求項12】
前記モバイルデバイスの前記位置を決定するステップが、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局に対して、前記それぞれの基準局からの前記基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの推定位置を決定するステップと、
前記推定位置に基づいて前記モバイルデバイスの前記位置を決定するステップと
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記推定位置に基づいて前記モバイルデバイスの前記位置を決定するステップが、前記推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モバイルデバイスの前記位置を決定するステップが、前記複数の基準局からの前記基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するステップを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用して前記モバイルデバイスの前記決定された位置の確度を検証するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記モバイルデバイスの前記決定された位置の前記確度の前記検証に基づいて前記複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの前記基準局補正データを無視するステップと、
前記複数の基準局からの残りの基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの改良された位置を決定するステップと
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基準局補正データに対する要求をプロバイダサービスへ送信するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記要求が、前記モバイルデバイスの近似位置を示す情報を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記要求が、サービス品質(QOS)または前記複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の基準局のそれぞれの基準局から前記基準局補正データを取得するステップが、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを受信するステップを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを受信するステップが、前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを繰り返し受信するステップを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基準局補正データを受信するステップの繰返しレートが、
前記1つまたは複数の複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、または
前記モバイルデバイスの前記位置の前記決定に対する性能要件
のうちの少なくとも1つに基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するためのコンピュータサーバであって、
トランシーバと、
メモリと、
前記トランシーバおよび前記メモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットと
を備え、前記1つまたは複数の処理ユニットが、
前記モバイルデバイスの近似位置を示す情報、または前記モバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信することと、
前記基準局補正データを取得すべき複数の基準局を選択することであって、前記選択することが、前記モバイルデバイスの前記近似位置、または前記モバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する前記情報に少なくとも部分的に基づくことと、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局から前記基準局補正データを取得することであって、前記それぞれの基準局に対して、前記基準局補正データが、前記それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えることと、
前記基準局補正データを前記モバイルデバイスへ前記トランシーバを介して送ることと
を行うように構成される、コンピュータサーバ。
【請求項24】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、追加的に、前記複数の基準局のそれぞれの基準局のそれぞれの位置に基づいて、前記複数の基準局を選択するように構成される、請求項23に記載のコンピュータサーバ。
【請求項25】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、追加的に、前記モバイルデバイスの前記近似位置までの、前記複数の基準局のそれぞれの基準局の前記それぞれの位置の近接度に基づいて、前記複数の基準局を選択するように構成される、請求項24に記載のコンピュータサーバ。
【請求項26】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、基準局位置の中間点または重心と前記モバイルデバイスの前記近似位置との間の距離を最小化するように前記複数の基準局を選択するように構成される、請求項24に記載のコンピュータサーバ。
【請求項27】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記モバイルデバイスと前記複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように前記複数の基準局を選択するように構成される、請求項23に記載のコンピュータサーバ。
【請求項28】
前記モバイルデバイスと前記複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の前記個数を最大化するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、
前記それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を前記複数の基準局のそれぞれの基準局から取得すること、または
前記モバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報を前記モバイルデバイスから取得すること、または
その両方
を行うように構成される、請求項27に記載のコンピュータサーバ。
【請求項29】
前記複数の基準局を選択するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するように構成される、請求項23に記載のコンピュータサーバ。
【請求項30】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、基準局の前記個数を、サービス品質(QOS)、前記モバイルデバイスからのユーザ要求、または前記モバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定するように構成される、請求項29に記載のコンピュータサーバ。
【請求項31】
前記基準局補正データを前記モバイルデバイスへ送るために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを送信するように構成される、請求項23に記載のコンピュータサーバ。
【請求項32】
前記モバイルデバイスの前記近似位置が前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第1のカバレージエリアの中にある場合、前記1つまたは複数の処理ユニットが、
異なる複数の基準局から前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第2のカバレージエリアの中の第2のモバイルデバイスへ基準局補正データを送るように構成される、請求項31に記載のコンピュータサーバ。
【請求項33】
リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するためのモバイルデバイスであって、
トランシーバと、
GNSS受信機と、
メモリと、
前記トランシーバ、前記GNSS受信機、および前記メモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットと
を備え、前記1つまたは複数の処理ユニットが、
複数の基準局のそれぞれの基準局から基準局補正データを前記トランシーバを介して取得することであって、前記それぞれの基準局に対して、前記基準局補正データが、前記それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、
モバイルデバイス測定データを取得することであって、前記モバイルデバイス測定データが、前記モバイルデバイスの前記GNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局からの前記基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの位置を決定することと
を行うように構成される、モバイルデバイス。
【請求項34】
前記モバイルデバイスの前記位置を決定するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、
前記複数の基準局のそれぞれの基準局に対して、前記それぞれの基準局からの前記基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの推定位置を決定し、
前記推定位置に基づいて前記モバイルデバイスの前記位置を決定する
ように構成される、請求項33に記載のモバイルデバイス。
【請求項35】
前記推定位置に基づいて前記モバイルデバイスの前記位置を決定するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るように構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項36】
前記モバイルデバイスの前記位置を決定するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記複数の基準局からの前記基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するように構成される、請求項33に記載のモバイルデバイス。
【請求項37】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用して前記モバイルデバイスの前記決定された位置の確度を検証するようにさらに構成される、請求項33に記載のモバイルデバイス。
【請求項38】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、
前記モバイルデバイスの前記決定された位置の前記確度の前記検証に基づいて前記複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの前記基準局補正データを無視し、
前記複数の基準局からの残りの基準局補正データ、および前記モバイルデバイス測定データに基づいて、前記モバイルデバイスの改良された位置を決定する
ようにさらに構成される、請求項37に記載のモバイルデバイス。
【請求項39】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記基準局補正データに対する要求をプロバイダサービスへ前記トランシーバを介して送信するようにさらに構成される、請求項33に記載のモバイルデバイス。
【請求項40】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記モバイルデバイスの近似位置を示す情報を前記要求の中に含めるようにさらに構成される、請求項39に記載のモバイルデバイス。
【請求項41】
前記1つまたは複数の処理ユニットが、サービス品質(QOS)または前記複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを前記要求の中に含めるようにさらに構成される、請求項39に記載のモバイルデバイス。
【請求項42】
複数の基準局のそれぞれの基準局から基準局補正データを取得するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを受信するように構成される、請求項33に記載のモバイルデバイス。
【請求項43】
1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを受信するために、前記1つまたは複数の処理ユニットが、前記1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から前記基準局補正データを繰り返し受信するように構成される、請求項42に記載のモバイルデバイス。
【請求項44】
前記基準局補正データを受信することの繰返しレートが、
前記1つまたは複数の複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、または
前記モバイルデバイスの前記位置の前記決定に対する性能要件
のうちの少なくとも1つに基づく、請求項43に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、衛星ベース測位の分野に関し、より詳細には、より正確なポジション決定のための全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)項の誤差補正に関する。
【背景技術】
【0002】
精密測位サービス(PPS:precise positioning service)は、従来の消費者等級の全地球航法衛星システム(GNSS)受信機の確度を上回る、モバイルデバイスの極めて正確なメートルレベルまたはサブメートルレベルの測位を提供する。PPSは、精密地点測位(PPP)、リアルタイムキネマティック(RTK:Real-Time Kinematic)、および差分GNSS(DGNSS:Differential GNSS)などのサービスを含む。これらのサービスは、しばしば、測位のために補正データ(たとえば、基準測定値)を移動局に提供するために、基準局データのネットワークベースの補間を実行し、確度、利用可能性、および信頼性が様々である。モバイルデバイスの極めて正確なポジション決定のために、従来のPPSは、比較的長い時間(たとえば、数分間以上)がかかる場合がある。土地測量などの多くの従来の適用例では、より高速なポジション決定が必要とされない場合がある。しかしながら、PPSは、極めて正確なポジションの比較的高速な決定を提供できる場合、様々な現代の適用例において有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で以下に説明する実施形態は、複数の基準局からの補正データがモバイルデバイスに提供されるRTK/DGNSSシステムを提供することによって、これらおよび他の問題に対処する。詳細には、モバイルデバイスの近似位置、基準局のジオメトリ、および/または他の要因などの要因に基づいて、基準局の選択が行われ得る。モバイルデバイスは、モバイルデバイスに対する正確なポジションフィックスを決定するために、複数の基準局からの補正データを様々な方法のうちのいずれかで組み合わせることができる。パブリックネットワークおよび/またはプライベートネットワークの任意の組合せを介してモバイルデバイスと通信可能に結合されたサービスプロバイダによって、基準局の選択が行われ得る。
【0004】
本開示による、リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する例示的な方法は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信することを備える。方法はまた、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択することを備え、ここで、選択することは、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく。方法はまた、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得することを備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えてよい。方法はまた、基準局補正データをモバイルデバイスへ送ることを備える。
【0005】
本開示による、モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用する例示的な方法は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得するステップを備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。方法はまた、モバイルデバイス測定データを取得するステップを備え、ここで、モバイルデバイス測定データは、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。方法はまた、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するステップを備える。
【0006】
本開示による、リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するための例示的なコンピュータサーバは、トランシーバと、メモリと、トランシーバおよびメモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットとを備える。1つまたは複数の処理ユニットは、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するように構成される。1つまたは複数の処理ユニットは、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択するようにさらに構成され、ここで、選択することは、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく。1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するようにさらに構成され、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えてよい。1つまたは複数の処理ユニットは、基準局補正データをモバイルデバイスへトランシーバを介して送るようにさらに構成される。
【0007】
本開示による、リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するための例示的なモバイルデバイスは、トランシーバと、GNSS受信機と、メモリと、トランシーバ、GNSS受信機、およびメモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットとを備える。1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをトランシーバを介して取得するように構成され、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。1つまたは複数の処理ユニットはまた、モバイルデバイス測定データを取得するように構成され、ここで、モバイルデバイス測定データは、モバイルデバイスのGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。1つまたは複数の処理ユニットはまた、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するように構成される。
【0008】
本開示による、リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するための例示的なデバイスは、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するための手段を備える。デバイスはまた、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択するための手段を備え、ここで、選択することは、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく。デバイスはまた、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するための手段を備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えてよい。デバイスはまた、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るための手段を備える。
【0009】
本開示による、モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するための例示的なデバイスは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得するための手段を備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。デバイスはまた、モバイルデバイス測定データを取得するための手段を備え、ここで、モバイルデバイス測定データは、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。デバイスはまた、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するための手段を備える。
【0010】
本開示による例示的な非一時的コンピュータ可読媒体は、リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するための命令を記憶する。命令は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するためのコードを備える。命令はまた、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択するためのコードを備え、ここで、選択することは、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく。命令はまた、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するためのコードを備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えてよい。命令はまた、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るためのコードを備える。
【0011】
本開示による例示的な非一時的コンピュータ可読媒体は、モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するための命令を記憶する。命令は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得するためのコードを備え、ここで、各基準局に対して、基準局補正データは、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。命令はまた、モバイルデバイス測定データを取得するためのコードを備え、ここで、モバイルデバイス測定データは、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えてよい。命令はまた、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するためのコードを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態によるリアルタイムキネマティック(RTK)および差分GNSS(DGNSS)システムの略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、基準局選択のために使用され得るアルゴリズムを示す、モバイルデバイスおよび複数の基準局の頭上からの眺めの図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、基準局選択のために使用され得るアルゴリズムを示す、モバイルデバイスおよび複数の基準局の頭上からの眺めの図である。
【
図4】基準局R1およびR2によって見ることができる(観測可能な)様々な衛星の方位および高度を図で示す、例示的なスカイプロットである。
【
図5】一実施形態による、モバイルキャリアネットワークによってサービスされるエリア内のモバイルデバイスのそれぞれの位置に基づいて、様々な基準局からのデータが様々なモバイルデバイスにどのように提供され得るのかを示す、略図である。
【
図6】一実施形態による、様々なスケジューリング方法のタイミング図である。
【
図7】一実施形態による、基準局補正データから導出され得るとともにデータ完全性検査を実行するために使用され得る値を示す、モバイルデバイスおよび複数の基準局の頭上からの眺めの図である。
【
図8】一実施形態による、基準局補正データから導出され得るとともにデータ完全性検査を実行するために使用され得る値を示す、モバイルデバイスおよび複数の基準局の頭上からの眺めの図である。
【
図9A】様々な実施形態による、RTKまたはDGNSS補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法のフロー図である。
【
図9B】様々な実施形態による、RTKまたはDGNSS補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法のフロー図である。
【
図10A】様々な実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法のフロー図である。
【
図10B】様々な実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法のフロー図である。
【
図10C】様々な実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法のフロー図である。
【
図11】一実施形態によるモバイルデバイスのブロック図である。
【
図12】コンピュータシステムの一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの例示的な実装形態によれば、様々な図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。加えて、要素の複数のインスタンスは、その要素に対する第1の数字の後に文字またはハイフンおよび第2の数字を続けることによって示され得る。たとえば、要素110の複数のインスタンスは、110-1、110-2、110-3など、または110a、110b、110cなどとして、示されてよい。第1の数字のみを使用してそのような要素を指すとき、その要素のいずれのインスタンスも理解されるべきである(たとえば、前の例における要素110は、要素110-1、110-2、および110-3、または要素110a、110b、および110cを指すことになる)。
【0014】
ここで、本明細書の一部を形成する添付図面に関して、いくつかの例示的な実施形態が説明される。本開示の1つまたは複数の態様が実装され得る特定の実施形態が以下で説明されるが、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が使用されてよく、様々な修正が加えられてよい。
【0015】
本明細書で使用する「ポジション」および「位置」という用語は互換的に使用される。さらに、「ポジション決定」、「ポジションフィックス」、「位置推定値」、「推定位置」、「位置フィックス」などの用語も、GNSS受信機を備えるモバイルデバイスまたは他のデバイスの推定ポジションを指すために、本明細書ではGNSSベースの測位に関して互換的に使用される。ポジションまたは位置は、たとえば、2次元マップに関する2次元ポジション、または3次元ポジションであってよい。
【0016】
追加的に、本明細書で使用する「補正データ」という用語は、GNSS受信機を有するデバイスの高確度ポジション決定を可能にするために提供されるRTKサービスによって提供される補正情報を指すことがある。補正データは、基準局によって獲得された測定データ、および/または基準局の知られている位置に基づく真の距離決定と基準局において獲得された測定値との間の差分などの、測定データから導出される補正情報を含むことができる。デバイスの高確度ポジションを決定するために、補正データは、GNSS受信機を有するデバイスにおいて獲得された測定値と一緒に、本明細書で説明するように使用され得る。
【0017】
図1は、一実施形態によるリアルタイムキネマティック(RTK)および差分GNSS(DGNSS)システムの略図である。RTK/DGNSSシステム100は、1つまたは複数のGNSSコンスタレーション(たとえば、全地球ポジションシステム(GPS)、Galileo(GAL)、全地球航法衛星システム(GLONASS)、Beidouなど)からのサテライトビークル(SV:satellite vehicle)140(GNSS衛星)から無線周波数(RF)信号130を受信する、モバイルデバイス110と1つまたは複数の基準局120(「基地局」とも呼ばれる)の両方においてGNSS受信機を使用することによって、モバイルデバイス110(「ローバー局」または「ローバー」とも呼ばれる)の極めて正確な(たとえば、サブメートルの)GNSSポジションフィックスを可能にする。使用されるモバイルデバイス110のタイプは適用例に応じて変わることがあり、GNSS受信機を装備したモバイルデバイスなどの、GNSS測位データへのアクセスを有する様々なタイプのデバイスのうちのいずれかを含んでよい。そのようなモバイルデバイスは、たとえば、モバイルフォン、タブレット、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、車両などの、コンシューマエレクトロニクスまたは他のモバイルコンシューマデバイスを含んでよい。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス110は、測量機器などの産業機器を備えてよい。
【0018】
GNSSベースの測位では、モバイルデバイス110は、コードベースの測位を使用して、RF信号130の中で受信される生成された擬似ランダムバイナリ系列の決定された遅延に基づいて、SV140の各々の距離を決定することができる。モバイルデバイス110は、SV140に関する天体暦(または、航法)データを使用して、時間的に特定の瞬間において各SV140の位置をさらに正確に計算することができる。SV140の距離情報および位置情報を用いて、モバイルデバイス110は、次いで、従来のGNSS技法を使用してその位置に対するポジションフィックスを決定することができる。このポジションフィックスは、たとえば、モバイルデバイス110の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるスタンドアロン測位エンジン(SPE:Standalone Positioning Engine)によって、決定されてよい。しかしながら、モバイルデバイス110に対するポジションフィックスの得られる確度は、SV140軌道およびクロック、電離層遅延および対流圏遅延、ならびに他の現象によって引き起こされる誤差を受けやすい。このことはメートル等級の確度をもたらすことができるが、この確度は多くの適用例にとって不十分な場合がある。
【0019】
DGNSSは、知られている固定された位置を有する基準局120からの補正データを提供することによって、従来のGNSS測位への拡張をもたらす。より詳細には、基準局120は、極めて正確なGNSS受信機を使用してRF信号130のGNSS測定値を獲得し、そうしたGNSS測定値は、基準局120の知られている位置と一緒に(たとえば、無線ブロードキャスト、および/またはインターネットなどのデータ通信ネットワーク150を介して)モバイルデバイス110に提供される。モバイルデバイスは、次いで、(基準局120の測定データおよび位置情報、またはそれらから導出された補正情報を含むことができる)補正データを使用して、SV140の各々までの測定された距離(擬似距離)に補正を加えることによってGNSSベースの測位を拡張することができる。より正確なこのポジションフィックスは、たとえば、モバイルデバイス110の1つまたは複数のプロセッサによって実行される精密測位エンジン(PPE:Precise Positioning Engine)によって、決定されてよい。
【0020】
RTK測位は、RF信号130の搬送波に基づくキャリアベースの測距を使用することによって、なお一層正確な解(たとえば、センチメートルまたはデシメートル等級)を提供することができる。DGNSSと同様に、RTK測位は、基準局120を使用して、知られている位置から、極めて正確なGNSS受信機を用いてRF信号130の測定を行うことができる。しかしながら、DGNSSとは異なり、RTK補正データ(「RTKサービスデータ」とも呼ばれる)は極めて正確なキャリアベースの測距を含む。RTK補正データは、無線ブロードキャストおよび/またはデータ通信ネットワーク150を介してモバイルデバイス110に関係し得る。モバイルデバイス110は、次いで、RTK補正データを使用して、それ自体のGNSS受信機からのRF信号130の測定値を使用して、それ自体のキャリアベースの測距における誤差を補正することができる。RTK測位のための誤差補正は、衛星クロックおよび軌道、電離層遅延および対流圏遅延、位相ワインドアップ、固体地球潮汐、海洋荷重、および/または極潮汐を含むサイト変位の補正を含むことができる。より正確なこのポジションフィックス(すなわち、ポジション)は、たとえば、モバイルデバイス110の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるPPEによって、決定されてよい。より詳細には、SPEに提供される情報に加えて、PPEは、高確度キャリアベースのポジションフィックスを提供するためにRTK補正データを使用してよい。PPEにおいて、DGNSS、RTK、およびPPPなどのいくつかのGNSS技法が採用され得る。
【0021】
モバイルデバイス110は、アンビギュイティ解消および差分補正を取り入れる位置/ポジション推定器または測位エンジン(たとえば、PPE)を使用してそのポジションを決定することができる。位置/ポジション推定器は、拡張カルマンフィルタ(EKF:Extended Kalman Filter)、重み付き最小2乗(WLS:Weighted Least Squares)、ハッチフィルタ、粒子フィルタなどを使用することによるような推定技法を使用してよい。モバイルデバイス110に対するポジションフィックスの確度は、基準局120からのその距離すなわち「基線」160、差分補正の確度などに依存する場合がある。従来のDGNSSおよびRTK補正は、数キロメートルまたは数十キロメートル等級の基線160に限定されているが、新たな技法は、誤差補正のための拡張技法を使用して基線160をはるかに長い距離まで延長してよい。たとえば、超長基線RTK(ULB-RTK:Ultra-Long Baseline RTK)は、モバイルデバイス110における多重コンスタレーション多重周波数(MCMF:multi-constellation, multi-frequency)GNSS受信機、および対流圏モデリングを使用して、電離層遅延および対流圏遅延に起因する誤差の補正を実行することができ、最大1000km以上の基線160を可能にする。長くなったこの距離に起因して、モバイルデバイス110と基準局120の両方によって観測可能なもっと少数のSV140しかない場合がある。これらのSV140は、本明細書で「共通ビュー衛星」と呼ぶ。
【0022】
DGNSSおよびRTK測位は、ネットワークベースの技法を使用してさらに拡張され得る。ネットワークベースのDGNSS/RTKでは、複数の基準局120からの補正データがサービスプロバイダ170へ送られる。モバイルデバイス110は、次いで、(たとえば、以前から知られているポジション、(ワイヤレス通信ネットワークの中の追跡エリア、または車両のデッドレコニングベースの測位などの)非GNSSベースの測位などに基づく)モバイルデバイス110の近似位置を含む要求をサービスプロバイダ170へ送ることによって、DGNSS/RTK補正データをオンデマンドで受信することができる。1つまたは複数のコンピュータサーバを備えてよいサービスプロバイダ170は、次いで、複数の基準局120からの補正データを補間してモバイルデバイス110の近似位置に対するDGNSS/RTKサービスデータを提供することによって、カスタマイズされたDGNSS/RTKサービスデータをモバイルデバイス110に提供することができる。補正データを補間するために、サービスプロバイダ170は、使用される基準局120のジオメトリに基づく精巧なGNSSアルゴリズムを実行してよい。補間される解の精巧さに起因して、収束時間(高確度ポジション決定を取得するためにかかる時間の長さ)は比較的長い場合がある。そして、前に述べたように、このことは比較的長い収束時間が許容可能な適用例(たとえば、土地測量)では問題でなくてよいが、時間および安全性が重要であり得る他の適用例(たとえば、自律運転)では問題になる場合がある。
【0023】
本明細書で以下に説明する実施形態は、複数の基準局120の各々からの単一基準局ベースのDGNSS/RTKサービスデータ(本明細書では基準局補正データとも呼ばれる)がモバイルデバイス110に提供されるRTK/DGNSSシステム100を提供することによって、これらおよび他の問題に対処する。いくつかの実施形態では、単一の基準局に基づくかまたは単一の基準局に関連するそのようなDGNSS/RTKサービスデータは、補間されていないDGNSS/RTKサービスデータであってよい。以下でさらに詳細に説明するように、基準局120の選択は、モバイルデバイスの近似位置、基準局120のジオメトリ、および/または他の要因などの要因に基づいて行われ得る。追加的に、また以下で詳細に説明するように、モバイルデバイス110は、複数の基準局120からの補正データを様々な方法のうちのいずれかで組み合わせて、モバイルデバイス110に対する正確なポジションフィックスを決定することができる。基準局120の選択は、データ通信ネットワーク150を介して基準局120およびモバイルデバイス110と通信可能に結合された1つまたは複数のコンピュータサーバ(たとえば、サービスプロバイダ170)によって行われ得る。述べたように、データ通信ネットワーク150は、インターネット、1つもしくは複数のモバイルキャリアネットワーク、および/または他のそのようなワイドエリアネットワーク(WAN)を含んでよい、様々なパブリックネットワークおよび/またはプライベートネットワークのうちのいずれかを備えてよい。
【0024】
述べたように、モバイルデバイスの近似的なポジションに基づいて、2つ以上の関連する基準局120が選択されてよく、そこから補正データがモバイルデバイス110に提供されてよい。サーバがそれに対して補正情報を提供する基準局の個数Nは、サービス品質(QOS)またはユーザ要求に応じて変わることがある。Nは、追加または代替として、適用例に固有であってよく、より高い確度、利用可能性、および/または信頼性が必要とされる場合に大きくなり、他の限定(たとえば、モバイルデバイス110の処理能力)を考慮に入れる。
図2~
図5は、そのような基準局選択のために使用され得るアルゴリズムを示す図である。
【0025】
図2は、近似モバイルデバイス位置210に対する4つの基準局R1~R4のポジションの頭上からの眺めの
図200である。本明細書で使用する表記「R」(たとえば、R1~R4)は、基準局(たとえば、
図1に示すようなRTK/DGNSSシステム100の基準局120)のポジション、および/または基準局自体に対応し得る。近似モバイルデバイス位置210は、RTK/DGNSSシステム100によってサービスされる地理的領域内のモバイルデバイス(たとえば、モバイルデバイス110)の位置に対応し得る。
【0026】
図2に示す基準局選択方法は近接度ベースである。すなわち、基準局は、近似モバイルデバイス位置210までのそれらの近接度に基づいて選択されてよい。これは、図示したように、様々な方法で使用され得る半径230を使用して決定されてよい。いくつかの実施形態では、たとえば、基準局選択プロセスは、小さい半径230から始めること、および半径230によってカバーされるエリア240内に所望の個数Nの基準局が入るまで半径230のサイズを大きくすることを伴ってよい。近似モバイルデバイス位置210に最も近い、個数Nの基準局を決定するために、追加または代替の技法が使用されてよい。代替として、実施形態は、所定の長さの半径230を有してよく、所定の半径230によって画定されるエリア240内に入るすべての基準局を選択してよい。基準局が選択されると、基準局からの補正データがモバイルデバイスに提供され得る。
図2に示す例では、基準局R1~R3が、半径230によって画定されたエリア240内に入り、したがって選択される。一方、基準局R4は選択されない。
【0027】
半径ベースの技法の代替形態として、実施形態は、ジオフェンシングまたは所定のエリアに基づいて局を参照してよい。たとえば、RTK/DGNSSシステム100のサービスプロバイダ170によってサービスされる地理的領域が複数の所定のエリアに分割されてよく、ここで、所定の各エリアは、それぞれの所定のエリアをサービスする所定の基準局の対応するセットを有する。したがって、近似モバイルデバイス位置210が所定のエリア内に入る場合、所定の基準局の対応するセットが選択されてよい。このことがどのように実施され得るのかの一例が、
図5に関して以下で説明される。
【0028】
ネットワーク能力に応じて基準局の密度が変わる場合があることが留意され得る。RTK/DGNSSシステム100のいくつかの実施形態では、基準局R1~R4は数キロメートルだけ離れて位置してよい。ULB-RTKを実施するRTK/DGNSSシステム100におけるような他の実施形態では、基準局は数百キロメートル以上離れていてよい。基準局の位置および密度も、地理的領域に基づいて変わることがある。
【0029】
近似モバイルデバイス位置210は、所望の機能性に応じて様々な方法のうちのいずれかで決定されてよい。いくつかの実施形態では、近似モバイルデバイス位置210は、以前に決定されたGNSSベースのポジションフィックス(たとえば、GNSS、RTK、またはDGNSS)に基づいて決定されてよい。いくつかの実施形態では、近似モバイルデバイス位置210は、ネットワークベースの測位技法を使用してモバイルデバイスまたはサーバによって決定されてよく、ネットワークベースの測位技法は、モバイルデバイスのマルチラテレーションおよび/またはマルチアンギュレーションを実行してRFトランシーバ(たとえば、Wi-Fiアクセスポイント、セルラーネットワークベースの局など)の知られているポジションに基づいてモバイルデバイス位置を決定するために、RF信号を使用し得る。
【0030】
図3は、
図2と類似の、4つの基準局のポジションR1~R4および近似モバイルデバイス位置210の
図300である。ただし、この例では、基準局選択は、単に近似モバイルデバイス位置210までの近接度に基づくとは限らない。代わりに、近似モバイルデバイス位置210と選択される基準局の位置によって形成される多角形340の重心330との間で距離320が最小化されるように、基準局の「バランスのとれた」グループが選択される。2つの基準局が選択される場合、実施形態は、2つの基準局間に形成される線の中間点と近似モバイルデバイス位置210との間の距離を最小化することになる。いくつかの態様では、「バランスのとれた」グループは、上記で説明した態様のうちの1つまたは複数に従って選択または事前決定され得る固定された個数Nの基準局とともに選択されてよい。
【0031】
バランスのとれたこの手法が、必ずしも最も近接した基準局を選択する結果になるとは限らないことが、留意され得る。
図3に示すように、基準局R2ではなく基準局R5が選択される場合、R1、R5、R3、およびR4によって形成される多角形の得られる重心360は、R5がR2よりも近似モバイルデバイス位置210に近いのにもかかわらず、R2が使用される場合に形成される重心330よりも実際には遠く離れている。R5ではなくR2を選択することは、破線矢印によって示される方向で重心を移動させる。
【0032】
バランスのとれたこの手法は、様々なシナリオにおいて有益であり得る。たとえば、モバイルデバイスは、上空のいくつかの部分を遮断する建物または地理的特徴によって囲まれることがある。基準局は、そのような建物または地理的特徴によって同様に囲まれることがある。したがって、近くの基準局でさえ、モバイルデバイスによって見ることができる衛星に対する十分な補正データを提供することが可能でない場合がある。しかしながら、近似モバイルデバイス位置210の対向する様々な側部において基準局のバランスのとれた選択を行うことによって、実施形態は、モバイルデバイスと選択される基準局との間の共通ビュー衛星の個数を増やす助けとなることができる。
【0033】
類似の推論のために、基準局のバランスのとれたこの選択は、基準局が数百または数千キロメートル離れている、基準局の分散したネットワークを有するRTK/DGNSSシステムにおいて、有益であり得る。そのようなシステムでは、モバイルデバイスは、任意の所与の基準局と一緒に多くの共通ビュー衛星を有しない場合がある。しかしながら、基準局のバランスのとれたグループを受けることによって、実施形態は、モバイルデバイスと選択される基準局との間の共通ビュー衛星の個数を増やす助けとなることができる。概して、共通ビュー衛星の個数を増やすことは、それぞれのポジション決定の確度を高める結果となる。特定の例では、モバイルデバイスと、複数の基準局のうちの少なくとも1つとの両方で見通し可能な、3個以上の衛星のセットを有することは、ポジション決定のために使用される少なくとも最小個数の衛星に対して誤差補正を保証する助けとなることができる。そうは言っても、実施形態はもっと少数の(または、まったくない)共通ビュー衛星しか利用可能でない場合でも使用され得る。共通ビュー衛星に関して、
図4に示すように基準局選択のための別の技法が使用され得る。
【0034】
図4は、基準局R1およびR2によって見ることができる(観測可能な)様々なSV140の方位および高度を図で示す、スカイプロット400である。乱雑を避けるためにSVの一部分しかラベル付けされていないことが留意され得る。図示したように、SV140は、基準局R1によって見通し可能、基準局R2によって見通し可能、または基準局R1およびR2によって見通し可能であるものとして、特徴づけられ得る。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、選択される基準局とモバイルデバイスとの間の共通ビュー衛星を最大化するように基準局選択が行われてよい。所望の機能性に応じて、基準局選択は、見通し可能なSV140に関するモバイルデバイスおよび/または基準局から受信された情報に基づくことができる。一例として
図1のRTK/DGNSSシステム100を使用すると、モバイルデバイス110は、RTK/DGNSS補正データを求める要求をポジションフィックスのためのサービスプロバイダ170へ送ってよい。要求は、(たとえば、モバイルデバイス110のGNSS受信機によって取得される補正データに基づく)モバイルデバイス110で見通し可能なSV140に関する情報を含んでよく、またはそうした情報が付随してもよい。サービスプロバイダ170は、次いで、基準局120の各々で見通し可能なSV140に基づいて基準局120を選択してよく、基準局120は、トリガリングイベント(たとえば、見通し可能なSV140の変化の決定)に基づいて、サービスプロバイダ170による要求に基づいてなどで、周期的に(たとえば、30秒ごと、1分ごと、5分ごとなど)基準局によってサービスプロバイダ170に提供されてよい。追加または代替として、基準局選択は、モバイルデバイスの近似位置、基準局の知られている位置、およびSV140の計算されるかまたは知られている現在ポジションに基づいて計算されるような、モバイルデバイスおよび/または基準局で見通し可能なSV140に基づいてよい。
【0036】
図4に示す例では、モバイルデバイスで見通し可能なSV140をスカイプロット400が示す場合、モバイルデバイスで見通し可能なSV140のうちの少なくとも1つが基準局R1およびR2でも見通し可能であるという事実に基づいて、基準局R1およびR2が選択されてよい。いくつかの態様では、モバイルデバイスで見通し可能なSV140のすべてが基準局R1、R2、またはその両方でも見通し可能であるという事実に基づいて、基準局R1およびR2が選択されてよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、基準局からの補正データが、モバイルキャリアネットワークによってサービスされるエリア内のモバイルデバイス位置に基づいてモバイルデバイスに提供されてよい。このことの一例が
図5に示される。
【0038】
図5は、モバイルキャリアネットワークによってサービスされるエリア内のモバイルデバイスのそれぞれの位置に基づいて、様々な基準局からのデータが様々なモバイルデバイス110にどのように提供され得るのかを示す、略図である。
図5に示す例は、基準局選択が、セルラー基地局520によって送信されるビーム505にどのように基づいてよいのかを示すが、代替実施形態は、追加または代替として、サービングセル、ワイヤレスヒートマップ(たとえば、検出された送信機および(随意に)送信強度に基づく位置)などの、他の位置ベースの基準に基づいて、様々な基準局補正データを提供してよい。
【0039】
図5に示す例は、異なるビーム505を使用して異なる方向でRF信号を送信することが可能な、第5世代ニューラジオ(5G NR)キャリアネットワークのセルラー基地局520を示す。5G NRネットワークの中のセルラー基地局520は、次世代ノードBまたはgNBとも呼ばれる。ビームを使用して、基地局520は、特定のビーム505によってサービスされるエリアの中のデバイスに固有のデータを通信することが可能である。実施形態によれば、このことは、1つまたは複数の基地局520の1つまたは複数のビーム505によってサービスされるエリアに固有の基準局補正データをモバイルネットワークが提供することを可能にすることができる。
図5では、第1のモバイルデバイス110-1は、第1の基地局520-1の第1のビーム505-1aおよび第2の基地局520-2の第1のビーム505-2aによってサービスされる第1のエリア540-1の中に位置する。追加的に、第2のエリア540-2の中に位置する第2のモバイルデバイス110-2は、第1の基地局520-1の第2のビーム505-1bおよび第2の基地局520-2の第2のビーム505-2bによってサービスされる。いくつかの実施形態によれば、基地局520は、ビーム505によってサービスされるエリア540の中の1つまたは複数のデバイスへのブロードキャストまたは特定の送信を介して、異なるビーム上で異なる基準局補正データを提供してよい。したがって、基準局補正データを送信するために使用されるビーム505-1a、505-1b、505-2a、および505-2bの各々は、1つまたは複数の基準局の異なるセットから基準局補正データを送信してよい。たとえば、基準局R1およびR2から補正データを送信するためにビーム505-1aが使用されてよく、基準局R1、R3、およびR4から補正データを送信するためにビーム505-1bが使用されてよく、基準局R5から補正データを送信するためにビーム505-2aが使用されてよく、基準局R1、R2、R4、およびR5から補正データを送信するためにビーム505-2bが使用されてよい。このようにして、基地局520によってサービスされる異なるエリア540は、基準局の異なる組合せから基準局補正データを受信してよく、ここで、エリア540の中のモバイルデバイス110に対する正確なRTK/DGNSSポジション決定を可能にするために、その所与のエリア540に対する基準局の組合せが知られている。代替構成は、単一の基地局または3個以上の基地局を含む、異なる個数の基地局520を使用してエリア540にサービスしてよい。
【0040】
特定のビーム505(または、より一般には、モバイルキャリアネットワークによってサービスされる特定のエリア540)に対してどの基準局補正データを使用すべきかの決定は、基地局におけるサーバ、ネットワーク内の位置サーバ(たとえば、5G NRネットワークにおける位置管理機能(LMF))、および/または基地局520と通信可能に結合された他のコンピュータサーバによって行われてよい。サーバは、モバイルデバイス110からのフィードバック、外部ソース(たとえば、ネットワーク事業者)からの入力、基準局からのデータ、および/または類似の入力を受信することができ、機械学習および/または他のアルゴリズムを採用して、モバイルキャリアネットワークによってサービスされる異なるエリア540の中の異なる基準局補正データの有効性を決定することができる。
【0041】
基準局120が(たとえば、前に説明した技法のうちの1つまたは複数を使用して)選択または識別されると、これらの基準局120からの対応する基準補正データがモバイルデバイス110に提供される方法が変わる場合がある。このことは、利用可能な帯域幅、性能要件、所望の機能性、および/または他の要因を含む、様々な要因のうちのいずれかに依存し得る。
図6および以下の説明は、いくつかの実施形態による、基準局120からの補正データがデバイス110に提供され得る方法を提供する。
【0042】
図6は、いくつかの実施形態による、帯域幅または性能要件に基づいて基準局補正データをモバイルデバイス110に提供するために、様々なスケジューリング方法がどのように採用され得るのかの図である。本明細書での他の図と同様に、
図6で提供される例が非限定的であることが理解されよう。実施形態は、所望の機能性に応じて追加または代替のスケジューリング方法を使用してよい。ここで、補正データは異なるブロックによって表され、ただし、ブロックR1、R2、およびR3は、それぞれ、第1、第2、および第3の基準局120からの補正データを表す。時間はT0、T1、T2などとして示され、基準局補正データのセットが送信される時間を表してよい。より精密には、これらの時間は、サーバまたはセルラー基地局が基準局補正データをモバイルデバイス110へ送信し始める時間を表してよい。基準局補正データのセットが単一のサーバまたはセルラー基地局によって送信されてよく、あるいは基準局補正データのサブセットまたは全体的なセットが2つ以上のサーバまたはセルラー基地局によって送信されてよいことに留意されたい。異なるサーバまたはセルラー基地局によって送信されるサブセットは、
図5に関して上記で説明したように互いに補完してよい。異なるサーバまたはセルラー基地局によって送信されるサブセットはさらに、利用可能性が重要であるシナリオにおける冗長性を与えるように部分的または完全にオーバーラップしてよい。さらに、セルラー基地局は、少なくとも部分的には基準局とは別個に設けられてよい。いくつかの態様では、セルラー基地局の一部または全部が、それぞれの基準局と一緒に置かれてよく、またはそれぞれの基準局によって設けられてもよい。
【0043】
第1のスケジューリング方法600-1は、あらゆる時間区間(T0、T1、およびT2)においてすべての基準局(R1、R2、およびR3)から基準局補正データを提供するために、最大帯域幅を利用する。第2のスケジューリング方法600-2は、わずかに小さい帯域幅を利用し、時間区間ごとに2つの基準局(R1およびR2)から基準局補正データを提供し、1つおきの時間区間に第3の基準局(R3)から基準局補正データを提供する。第3のスケジューリング方法600-3は、1つおきの区間において2つの基準局(R1およびR2)からの基準局補正データおよび第3の基準局(R3)からの基準局補正データを提供することの間で切り替えることによって、一層小さい帯域幅を利用する。最後に、第4のスケジューリング方法600-4は最小レートを利用し、各時間区間において単一の基準局からの基準局補正データが提供され、各時間区間においてある基準局から次の基準局に回転する。当業者が諒解するように、異なる帯域幅または性能要件などを収容するために、異なるスケジューリング方法が異なる個数の基準局のために使用され得る。
【0044】
概して、量が増大した基準局補正データは、より高い性能をもたらし得る。したがって、方法600-1から方法600-4へとモバイルデバイス110に提供されるデータの量が減るので、対応する性能もそうなることがある。方法600-4は、たとえば、方法600-1よりも正確でないポジション決定をもたらし得る。しかしながら、方法600-4は、方法600-1よりもはるかに小さい帯域幅を使用する。したがって、所望の機能性に従って、スケジューリング方法は性能と利用可能な帯域幅との所望の(または、必要とされる)バランスに基づいて選択されてよい。
【0045】
述べたように、所与の基準局120に対する基準局補正データは、基準局120によって獲得された、1つまたは複数の衛星の極めて正確なGNSS測定値を含むことができる。モバイルデバイス110は、次いで、基準局120に関するポジション情報と一緒にこの情報を使用して、前に説明した方式でモバイルデバイス110によって獲得されたGNSS測定値のDGNSS/RTK補正を実行することができ、モバイルデバイス110に対する極めて正確なポジション決定が得られる。いくつかの実施形態では、補正データは、基準局120に対するポジション情報を含んでよく、(たとえば、
図6に示すブロックの中の)モバイルデバイス110へ送られる補正データの中に含まれてよく、またはそうした補正データが考慮されてもよい。代替として、ポジション情報は別々に提供されてよい。いくつかの実施形態によれば、モバイルデバイス110は、サービスプロバイダ170によって提供され得る基準局ポジション情報のデータベースまたはアルマナックを維持してよい。モバイルデバイス110が基準局補正データを使用してポジション決定の性能を改善し得る方法は、所望の機能性に応じて変わることがある。
【0046】
第1のオプションによれば、たとえば、モバイルデバイス110は、基準局のジオメトリを使用してDGNSS/RTK補正値の空間的な分布を推定してよい。このようにして、モバイルデバイス110は、従来のネットワークベースのDGNSS/RTK測位においてサービスプロバイダ170によって実行される技法と同様に、所与のポジションにおけるDGNSS/RTK補正値を補間することができる。しかしながら、モバイルデバイス110は、(数メートル等級の確度を伴って)その位置を決定するためにGNSSベースの測位を実行できるので、所定の位置におけるDGNSS/RTK補正値の補間を当てにしていない。モバイルデバイス110は、代わりに、そのGNSSベースのポジションに固有の、もっと精密な補間を決定することができる。したがって、得られる補間されたDGNSS/RTK補正値はより精密であり得、最終的に、モバイルデバイス110にとっての対応する高精度ポジション決定であり得る。
【0047】
第2のオプションによれば、モバイルデバイス110は測位エンジンの複数のインスタンスを実行してよい。前に述べたように、モバイルデバイス110は、(以下でより詳細に説明するように)モバイルデバイス110の1つまたは複数のハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素によって実装され得る、位置/ポジション推定器を備えてよい。第2のオプションによれば、位置/ポジション推定器は、測位エンジン(たとえば、EKF、WLS、ハッチフィルタ、粒子フィルタなどの、推定技法を使用するPPE)の複数のインスタンスを備えてよい。複数の基準局120の各々に対して、対応する測位エンジンは、それぞれの基準局に対する基準局補正データを使用して、UEとそれぞれの基準局との間の基線を解決することができ、複数の基線解が得られる。モバイルデバイス110は、次いで、複数の基線解からポジション決定を計算することができる。
【0048】
所望の機能性に応じて、複数の基線解は様々な方法で組み合わせられてよい。たとえば、いくつかの実施形態によれば、基線解は、単に単純平均または重み付き平均などの平均を使用することによって組み合わせられてよい。いくつかの実施形態によれば、基線は、基線長に従って重み付けられてよい(たとえば、より短い基線には、より長い基線よりも大きい重みが与えられてよい)。追加または代替として、基線は、同じく衛星ジオメトリに基づいて重み付けられてよい(たとえば、多くの衛星を有する複数のコンスタレーションを使用して決定された基線には、単一コンスタレーションおよび/またはもっと少ない衛星を使用して決定された基線よりも大きい重みが与えられてよい)。代替実施形態は、基線解を組み合わせるための追加または代替の技法を採用してよい。
【0049】
第3のオプションによれば、モバイルデバイス110は、複数の基準局120からの基準局補正データを処理して単一の解を導出するために、単一の測位エンジンを実行してよい。すなわち、前に説明した第2のオプションとは対照的に、モバイルデバイス110の測位エンジンは、単一の測位解を導出するために複数の入力を処理することが可能であり得る。たとえば、複数の基準局120からの基準局補正データを使用してすべての基線を処理するとともに(たとえば、RTKに対する)アンビギュイティを解消するために、集中型カルマンフィルタが使用されてよい。より詳細には、いくつかの実施形態によれば、集中型カルマンフィルタは、モバイルデバイスのポジション(たとえば、X、Y、およびZ座標)、各基準局からの受信機クロック誤差、衛星間タイプバイアス(ISTB:Inter-Satellite-Type Bias)、基地局対流圏天頂遅延、および/または他のアンビギュイティを推定するために使用されてよい。当業者が諒解するように、そのような集中型カルマンフィルタは、第2のオプションに関して上記で説明したように複数のカルマンフィルタの出力を単に組み合わせることよりも、実施するのがより困難な場合がある。しかしながら、このオプションは、上方への限度に応じて性能観点(たとえば、確度、処理使用量など)から有利であり得る。
【0050】
基準局補正データを処理するための上記で説明したオプションのうちの1つまたは複数を利用する実施形態の性能利点が様々であり得ることが留意され得る。複数の基準局120からの基準局補正データに基づくモバイルデバイス110に対するポジション決定は、多重基準方法の中に含まれる複数の制約に起因して、単一の基準局120からの基準局補正データに基づくポジション決定よりも正確および/または高速であり得る。追加または代替として、複数の基準局120からの基準局補正データの利用は、利用可能性に関する利点をもたらすことができる。すなわち、1つの基準局120において機能休止がある場合、実施形態は、1つまたは複数の追加の基準局120からの基準局補正データを利用してモバイルデバイス110に対するポジション決定を行い続けることができる。
【0051】
このことは同様に、まばらな基準局ネットワークに適用可能である。たとえば、局間距離が大きい(たとえば、1000km以上)まばらなRTK/DGNSSシステム100では、基準局120とモバイルデバイス110の両方に共通で見通し可能な比較的少数のSV140しかない場合がある。しかしながら、(たとえば、
図4に関して前に説明したように)モバイルデバイス110と複数の基準局120との間に共通で見通し可能なもっと多くのSV140がある場合がある。したがって、複数の基準局120からモバイルデバイス110によって基準局補正データが受信される場合、モバイルデバイス110は、異なる基準局120からの、共通で見通し可能なSV140に対するRTK/DGNSS補正情報を選択してよい。したがって、複数の基準局120から基準局補正データを受信するモバイルデバイス110にとって使用可能なRTK/DGNSS補正情報の量は、任意の単一の基準局120からの使用可能なRTK/DGNSS補正情報の量よりも多い場合がある。
【0052】
図7は、一実施形態による、複数の基準局からの基準局補正データから導出される値に対する複数の制約が、モバイルデバイスのためのポジション決定を行うためにどのように使用され得るのかを示す、モバイルデバイスおよび複数の基準局の簡略化された頭上からの眺め700の図である。
図7における様々な値は以下の通りである。すなわち、POS
Uはモバイルデバイスの(厳密な)ポジションを表し、POS
R1は第1の基準局の(厳密な)ポジションを表し、POS
R2は第2の基準局の(厳密な)ポジションを表し、POS
R3は第3の基準局の(厳密な)ポジションを表す。
【0053】
【0054】
は、第1の基準局からモバイルデバイスへのポジションベクトルであり、
【0055】
【0056】
は、第2の基準局からモバイルデバイスへのポジションベクトルであり、
【0057】
【0058】
は、第3の基準局からモバイルデバイスへのポジションベクトルである。本明細書で提供される他の図と同様に、
図7は非限定的な例示的な例として提供される。基準局の個数、互いおよびモバイルデバイスとのそれらの相対ポジションなどの特性は、状況ごとに変わることがある。
【0059】
述べたように、
図7に示す値は、基準局からの基準局補正データと一緒に、基準局の知られているポジションから導出されてよい。これらの値における制約は、基準局補正データの信頼性および完全性の検査を行うために使用され得る。その上、これらの制約はさらに、より迅速にモバイルデバイスポジション(POS
U)の決定を可能にし得る。いくつかの制約は次式によって表されてよい。
【0060】
【0061】
式(1)は、基準局の知られているポジションおよび基準局からモバイルデバイスへのベクトルを使用する、ポジションベクトル一貫性検査である。基準局のポジションにモバイルデバイスへのベクトルを加えたものは、モバイルデバイスのポジションに等しいはずである。このことは、すべての基準局にとって同じであるはずである。基準局に対する基準局補正データは、他の基準局の基準局補正データに整合しない場合、無視されてよい。より詳細には、
【0062】
【0063】
、
【0064】
【0065】
、および
【0066】
【0067】
は、上記で説明したようなそれぞれの基線解を表してよい。ポジションベクトル一貫性検査に基づいて、1つまたは複数の基線解は、たとえば、しきい値を超えるかまたは他の基線解を超えることによって、決定されたモバイルデバイスポジションから逸脱することに基づいて、さらなる処理から除去されてよい。追加または代替として、以下で説明するような投票論理または重み付け解除が適用されてよい。
【0068】
式(2)は、モバイルデバイス、第1の基準局、および第2の基準局のポジションの間の相対的な関係に起因するポジションベクトル制約である。
図8に示すように、(第1のおよび第2の基準局の知られているポジションから導出され得る)第1の基準局と第2の基準局との間のポジションベクトル
【0069】
【0070】
は、第1の基準局からモバイルデバイスへのポジションベクトル
【0071】
【0072】
にモバイルデバイスから第2の基準局へのポジションベクトル
【0073】
【0074】
を加えたものに等しい。理解されるように、(i)モバイルデバイス、第2の基準局、および第3の基準局と、(ii)モバイルデバイス、第3の基準局、および第1の基準局との間の関係から、類似の制約が導出されてよい。再び、ある基準局からのデータは、他の基準局からのデータに整合しない場合、無視されてよい。さらなる処理からの、一方さらには両方の基準局からのデータの除去は、再び、決定されたモバイルデバイスポジション(POSU)からそれぞれの基線解がどのくらい逸脱するのか、および/または、たとえば、差分のノルムを最大許容偏差と比較することによる、式(2)の左側および右側がどのくらい異なるのかに、基づいてよい。追加または代替として、以下で説明するような重み付け解除が使用されてよい。
【0075】
式(3)は、RTK実装形態において使用され得るキャリア位相アンビギュイティ検査である。方法において式(2)と同様に、第1の基準局と第2の基準局との間の基線に対するキャリア位相アンビギュイティ(Δ∇Amb12)は、第1の基準局とモバイルデバイスとの間のキャリア位相アンビギュイティ(Δ∇Amb1U)にモバイルデバイスから第2の基準局の間のキャリア位相アンビギュイティ(Δ∇AmbU2)を加えたものに等しい。再び、(i)モバイルデバイス、第2の基準局、および第3の基準局と、(ii)モバイルデバイス、第3の基準局、および第1の基準局との間の基線を使用して、類似の制約が導出されてよい。再び、ある基準局からのデータは、他の基準局からのデータに整合しない場合、無視されてよい。さらなる処理から、一方または両方の基準局からのデータを除去するための対応する基準は、キャリア位相アンビギュイティに基づいて適用されてよい。追加または代替として、以下で説明するような重み付け解除が適用されてよい。
【0076】
式(1)、式(2)、および/または式(3)は、基準局補正データが良好であるかどうかを決定するためのデータ完全性検査として使用され得る。述べたように、基準局からの基準局補正データは、これらの検査のうちのいずれかまたはすべてを不合格になる場合、無視されてよい。3つ以上の基準局を使用する投票論理が、たとえば、適合しない基準局からの情報を識別および無視するために使用され得る。
【0077】
2つの基準局からの基準局データしか利用可能でない場合などの、追加または代替として、式(1)、式(2)、および/または式(3)は、基準局補正データに基づくポジション決定が良好であるかどうかを決定するために使用され得る。たとえば、式(1)、式(2)、および/または式(3)を使用して誤差が検出される場合、ポジション決定は、当てにならないものと決定されてよく、ポジション決定は、次いで、それに応じて無視または重み付け解除されてよい。
【0078】
図9Aは、一実施形態による、RTKまたはDGNSS補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法900-Aのフロー図である。方法900-Aは、上記で説明した技法を利用することができ、したがって、
図2~
図5に示したプロセスを含む、前に説明したプロセスの一実装形態として見られ得る。代替実施形態は、
図9Aに示すブロックで説明する機能性を組み合わせること、分離すること、または別の方法で変更することによって、機能が変わることがある。
図9Aに示すブロックのうちの1つまたは複数の機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに本明細書で以下に説明する構成要素などの、コンピュータシステムのハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。コンピュータシステムは、
図1に示すとともに本実施形態において上記で説明したサービスプロバイダ170に対応するコンピュータサーバを備えてよい。
【0079】
ブロック910において、機能性は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信することを備える。上記で説明した実施形態で述べたように、モバイルデバイスの近似位置は、以前に決定されたGNSSベースのポジションフィックス(たとえば、GNSS、RTK、またはDGNSS)、センサベースの測位(たとえば、デッドレコニング、画像ベースの測位など)、および/または(モバイルデバイスのマルチラテレーションおよび/またはマルチアンギュレーションを実行してRFトランシーバの知られているポジションに基づいてモバイルデバイス位置を決定するためにRF信号を使用し得る)ネットワークベースの測位技法などの、様々な方法のうちのいずれかで決定されてよい。ネットワークベースの測位技法は、たとえば、マルチラウンドトリップ時間(RTT)、観測到達時間差(OTDOA)もしくはダウンリンク到達時間差(DL-TDOA)、到来角(AOA)、発射角(AOD)、および/または、たとえば、セルラーもしくはワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の中で実行され得る、他の測位プロシージャを含むことができる。見通し可能なサテライトビークルに関する情報は、モバイルデバイス自体によって取得されてよい。モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報は、モバイルデバイス自体によって(たとえば、セルラーネットワークおよび/またはインターネットなどの、データ通信ネットワーク150を介して)、または別のエンティティによって提供されてよい。いくつかの実施形態では、たとえば、モバイルネットワークが、モバイルデバイスの近似位置を提供できる場合がある。
【0080】
ブロック910における機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに以下でより詳細に説明するようなコンピュータシステム1200の、バス1205、処理ユニット1210、通信サブシステム1230、作業メモリ1235、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1200の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0081】
ブロック920において、機能性は、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択することを備え、選択することは、モバイルデバイスの近似位置に少なくとも部分的に基づく。
図2~
図5を参照しながら前に説明したように、異なる技法を使用して基準局が選択されてよい。たとえば、基準局は、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように選択されてよい。「バランスのとれた」この手法は、特に、基準局間の距離が大きく(たとえば、数百キロメートル以上)、かつ異なる基準局がモバイルデバイスとともに異なる共通ビュー衛星を有することがある場合に、有用であり得る。いくつかの実施形態によれば、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するために、方法は、それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星の情報を複数の基準局の各基準局から取得すること、もしくはモバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報をモバイルデバイスから取得すること、またはその両方をさらに備えてよい。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、複数の基準局を選択することは、追加または代替として、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置に基づいてよい。そのような実施形態では、複数の基準局を選択することは、モバイルデバイスの近似位置までの、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置の近接度に基づいてよい。たとえば、
図2に示す半径ベースの選択がこのタイプの基準局選択の形態である。いくつかの実施形態では、基準局は、基準局位置の中間点または重心とモバイルデバイスの近似位置との間の距離を最小化するように選択されてよい。たとえば、
図3に示すプロセスがこのタイプの基準局選択の形態である。
【0083】
ブロック920における機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに以下でより詳細に説明するようなコンピュータシステム1200の、バス1205、処理ユニット1210、作業メモリ1235、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1200の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0084】
ブロック930において、機能性は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを得ることを備え、各基準局に対して、基準局補正データは、1つまたは複数のGNSS衛星からのRF信号の、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える。当業者が諒解するように、この基準局補正データは、モバイルデバイスによって獲得された、GNSS衛星の測定値に対してRTKまたはDGNSS補正を実行するために、モバイルデバイスによって使用され得る。述べたように、補正データは、測定データおよびそれぞれの基準局の知られている位置に基づく補正情報を含んでよい。追加または代替として、補正データは、測定データ自体、および(随意に)それぞれの基準局に対する位置情報を含んでよい。モバイルデバイスがそのポジションを決定することを可能にするために、所与の基準局に対する基準局補正データは、1つまたは複数のGNSS衛星からのRF信号の1つまたは複数の測定値が基準局によっていつ獲得されたのかに関するタイミング情報、基準局のポジションに関するポジション情報などを含んでよく、またはそれらに付随してもよい。
【0085】
ブロック930における機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに以下でより詳細に説明するようなコンピュータシステム1200の、バス1205、処理ユニット1210、通信サブシステム1230、作業メモリ1235、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1200の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/またはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0086】
ブロック940において、機能性は、基準局補正データをモバイルデバイスへ送ることを備える。前に述べたように、コンピュータサーバ(たとえば、サービスプロバイダ170)は、データ通信ネットワーク150を介してモバイルデバイス110と通信可能に結合されてよい。データ通信ネットワーク150は、インターネット、モバイル通信ネットワークなどを含む、様々なパブリックネットワークおよび/またはプライベートネットワークのうちのいずれかを備えてよい。したがって、いくつかの実施形態では、基準局補正データをモバイルデバイスへ送ることは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを送信することを備えてよい。
図5を参照しながら前に説明したように、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の異なるカバレージエリア(たとえば、エリア540)内の異なる位置の中の異なるモバイルデバイスには、基準局の異なる選択が行われてよい。したがって、モバイルデバイスの近似位置が1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第1のカバレージエリアの中にある、いくつかの実施形態によれば、方法900-Aは、異なる複数の基準局から1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第2のカバレージエリアの中の第2のモバイルデバイスへ補正データを送ることをさらに備えてよい。
【0087】
ブロック940における機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに以下でより詳細に説明するようなコンピュータシステム1200の、バス1205、処理ユニット1210、通信サブシステム1230、作業メモリ1235、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1200の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0088】
図9Bは、別の実施形態による、RTKまたはDGNSS補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法900-Bのフロー図である。
図9Bのブロックにおける機能性は、
図9Aの中の対応するブロックと類似である。ただし、
図9Bでは、ブロック925の機能性は、選択された基準局を「基準局補正データをそこから取得すべき利用可能な基準局のサブセット」と明示的に呼び、このサブセットは、ブロック935において後で参照される。
図9Aの方法900-Aと同様に、上記で説明した技法を利用することができる。詳細には、サブセットの選択は、
図2~
図5に示す、前に説明したプロセスのうちの1つまたは複数を含んでよい。代替実施形態は、
図9Bに示すブロックで説明する機能性を組み合わせること、分離すること、または別の方法で変更することによって、機能が変わることがある。
図9Bに示すブロックのうちの1つまたは複数の機能性を実行するための手段は、
図12に示すとともに本明細書で以下に説明する構成要素などの、コンピュータシステムのハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。コンピュータシステムは、
図1に示すとともに本実施形態において上記で説明したサービスプロバイダ170に対応するコンピュータサーバを備えてよい。
【0089】
図10Aは、一実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法1000-Aのフロー図である。方法1000-Aは、上記で説明した技法を利用することができ、したがって、
図2~
図7を参照しながら説明したプロセスを含む、前に説明したプロセスの一実装形態として見られ得る。代替実施形態は、
図10Aに示すブロックで説明する機能性を組み合わせること、分離すること、または別の方法で変更することによって、機能が変わることがある。
図10Aに示すブロックのうちの1つまたは複数の機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに本明細書で以下に説明する構成要素などの、モバイルデバイスのハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。
【0090】
ブロック1005において、機能性は、基準局補正データを求める要求をサーバおよび/または1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局へ送ることを随意に備える。前に述べたように、モバイルデバイスは、DGNSS/RTK補正データを求めて、要求をDGNSS/RTKサービスプロバイダへ送ることができる。要求は、(たとえば、以前から知られているポジション、非GNSSベースの測位などに基づく)モバイルデバイスの近似位置を含んでよく、補正データを補間するためのモバイルデバイスの能力の表示も含んでよい。いくつかの実施形態によれば、要求は、追加または代替として、QOSインジケータ、および/または基準局の要求される個数Nを備えてよい。ブロック1005における機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに以下でより詳細に説明するようなモバイルデバイス110の、バス1105、処理ユニット1110、ワイヤレス通信インターフェース1130、メモリ1160、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1100の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0091】
ブロック1010において、機能性は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得することを備え、各基準局に対して、基準局補正データは、1つまたは複数のGNSS衛星からのRF信号の、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える。複数の基準局の各基準局からの基準局補正データは、それぞれの基準局に関連するかまたはそれぞれの基準局において取得される補正データに限定される。本開示の実施形態によれば、基準局補正データは、複数の基準局のうちのいかなる他の基準局の基準局補正データも含まない。述べたように、補正データは、測定データおよびそれぞれの基準局の知られている位置に基づく補正情報を含んでよい。追加または代替として、補正データは、測定データ自体、および(随意に)それぞれの基準局に対する位置情報を含んでよい。前に説明したように、基準局補正データは、コンピュータサーバおよび/または1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局から取得されてよい。いくつかの実施形態によれば、コンピュータサーバから基準局補正データを取得することは、モバイルデバイスとコンピュータサーバとの間の通信セッションを開始することを備えてよい。
【0092】
ブロック1010における機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに以下でより詳細に説明するようなモバイルデバイス110の、バス1105、処理ユニット1110、ワイヤレス通信インターフェース1130、メモリ1160、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1100の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/またはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0093】
ブロック1020において、機能性は、モバイルデバイス測定データを取得することを備え、モバイルデバイス測定データは、1つまたは複数のGNSS衛星からのRF信号の、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備える。当業者が諒解するように、モバイルデバイスは、モバイルデバイス測定データに対してRTKまたはDGNSS補正を実行するために、ブロック1010において取得された基準局補正データを使用して、モバイルデバイスが高確度ポジション決定を行うことを可能にすることができる。
【0094】
ブロック1020における機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに以下でより詳細に説明するようなモバイルデバイス110の、バス1105、処理ユニット1110、GNSS受信機1180、メモリ1160、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1100の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/またはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0095】
ブロック1030において、機能性は、複数の基準局の各々からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定することを備える。前に説明したように、モバイルデバイスは、従来のRTK/DGNSSシステムにおいて使用されるような補間されたRTK/DGNSS補正情報の必要なしに、基準局補正データを使用することができる。ポジション決定は、代わりに、たとえば、異なる基準局の基準局補正データから行われたポジション決定を組み合わせること、または複数の基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用することによって、行われ得る。したがって、方法1000-Aのいくつかの実施形態によれば、ブロック1030においてモバイルデバイスの位置を決定することは、複数の基準局の各基準局に対して、それぞれの基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの推定位置を決定することと、モバイルデバイスの位置を決定するために推定位置のすべてを組み合わせることとを備えてよい。その上、いくつかの実施形態によれば、すべての推定位置を組み合わせることは、推定位置の単純平均または重み付き平均を取ることを備えてよい。代替として、いくつかの実施形態によれば、モバイルデバイスの位置を決定することは、複数の基準局のすべての基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用することを備える。
【0096】
ブロック1030における機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに以下でより詳細に説明するようなモバイルデバイス110の、バス1105、処理ユニット1110、メモリ1160、ならびに/または他のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素などの、コンピュータシステム1100の1つまたは複数のソフトウェア構成要素および/もしくはハードウェア構成要素を含んでよい。
【0097】
式(1)~式(3)に関して前に説明したように、基準局補正データおよび/または推定されたモバイルデバイスポジションが正確であるかどうかを決定するために、推定されたモバイルデバイスポジションおよび/または基準局補正データから決定された他の値に対して検査が実行されてよい。したがって、方法1000-Aのいくつかの実施形態は、複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用してモバイルデバイスの決定された位置の確度を検証することをさらに備えてよい。
【0098】
いくつかの実施形態は、本明細書で説明するような追加または代替の特徴を含んでよい。たとえば、方法1000-Aのいくつかの実施形態は、モバイルデバイスの決定された位置の確度の検証に基づいて複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの基準局補正データを無視することと、複数の基準局からの残りの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの改良された位置を決定することとを含んでよい。
【0099】
追加または代替として、述べたように、方法1000-Aは、基準局補正データを求める要求をプロバイダサービスへ送ることを備えてよい。いくつかの実施形態によれば、要求は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報を含む。追加または代替として、要求は、サービス品質(QOS)または複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、方法1000-Aは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得することが、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信することを備えることを、さらに備えてよい。1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信することは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを繰り返し受信することをさらに備えてよい。いくつかの実施形態によれば、基準局補正データを受信することの繰返しレートは、1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、またはモバイルデバイスの位置の決定に対する性能要件のうちの、少なくとも1つに基づいてよい。
【0101】
図10Bは、別の実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法1000-Bのフロー図である。
図10Aの方法1000-Aと同様に、方法1000-Bは、上記で説明した技法を利用することができ、したがって、
図6~
図7を参照しながら説明したプロセスを含む、前に説明したプロセスの一実装形態として見られ得る。さらに、
図10Bのブロックにおける機能性は、
図10Aの中の対応するブロックと類似である。
図10Bの主な差異は、基準局補正データをそこから取得すべき利用可能な基準局のサブセットの明示的な選択を含む、ブロック1007における機能性であり、そうした選択は、モバイルデバイス自体によって実行され得る。すなわち、いくつかの実施形態によれば、基準局位置、および(随意に)基準局選択のための他の情報(たとえば、
図2~
図5に示すとともに上記で説明した選択技法を使用すること)は、モバイルデバイスに提供されることが可能であり、モバイルデバイスが基準局選択を実行することを可能にする。基準局選択のための情報は、たとえば、ブロードキャストおよび/またはデータ通信ネットワーク150(たとえば、インターネットおよび/または別のデータネットワーク)を介して、モバイルデバイスによって取得されてよい。ブロック1015および1035が、
図9Bと同様に、選択された基準局を「基準局補正データをそこから取得すべき利用可能な基準局のサブセット」と明示的に呼ぶことを除いて、
図10Bの中のブロック1015および1035の機能性は、
図10Aのそれぞれのブロック1010および1030の機能性を模倣する。代替実施形態は、
図10Bに示すブロックで説明する機能性を組み合わせること、分離すること、または別の方法で変更することによって、機能が変わることがある。
図10Bに示すブロックのうちの1つまたは複数の機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに本明細書で以下に説明する構成要素などの、モバイルデバイスのハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。
【0102】
図10Cは、別の実施形態による、モバイルデバイスにおいてRTKまたはDGNSS補正を適用する方法1000-Cのフロー図である。方法1000-Cは、
図10Aおよび
図10Bの方法1000-Aおよび1000-Bのさらなる変形形態を備える。ここで、ブロック1010における機能性は、
図10Aの対応するブロック1010と同じであってよく、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得することを備え、各基準局に対して、基準局補正データは、1つまたは複数のGNSS衛星からのRF信号の、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える。ブロック1017における機能性は、取得された基準局補正データをそこから使用すべき複数の基準局のサブセットを選択することを備え、サブセットは複数の基準局を備え、選択することは、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく。すなわち、基準局補正データをそこから取得すべき基準局が選択される、方法1000-Bのブロック1007における機能性とは対照的に、ブロック1017における機能性は、補正データがそこから取得された基準局の、事後の選択を備える。たとえば、モバイルデバイスがブロードキャストを介して補正データを取得する実装形態において、このことは事実であり得る。再び、この選択は、
図2~
図5に示すとともに前に説明した選択技法のうちの1つまたは複数を使用してよい。方法1000-Cは、次いで、方法1000-Bと同様に進むことができ、ここで、測定データが(ブロック1020において)取得され、測定データおよびサブセットの各基準局からの基準局補正データに基づいてモバイルデバイスの位置が(ブロック1035において)決定される。代替実施形態は、
図10Cに示すブロックで説明する機能性を組み合わせること、分離すること、または別の方法で変更することによって、機能が変わることがある。
図10Cに示すブロックのうちの1つまたは複数の機能性を実行するための手段は、
図11に示すとともに本明細書で以下に説明する構成要素などの、モバイルデバイスのハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。
【0103】
図11は、一実施形態による、モバイルデバイス110の様々なハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素のブロック図である。これらの構成要素は、(たとえば、
図1~
図10に関連して)本明細書において上記で説明したように利用され得る。たとえば、モバイルデバイス110は、
図10A~
図10Cに示す方法の動作、および/または本明細書での実施形態で説明するようなモバイルデバイス110の機能のうちの1つもしくは複数を実行することができる。
図11が様々な構成要素の一般化された例示を提供することを意図するにすぎず、構成要素のうちのいずれかまたはすべてが適宜に利用されてよいことに留意されたい。前に述べたように、モバイルデバイス110は、形態および機能が異なってよく、車両、商用およびコンシューマ電子デバイス、測量機器などを含む、任意のGNSS対応デバイスを最終的に備えてよい。したがって、いくつかの事例では、
図11によって示される構成要素は、単一の物理デバイスに局在化されること、および/または異なる物理的位置(たとえば、車両の異なる位置)に配設され得る様々なネットワーク化されたデバイスの間で分散されることが可能である。基準局が、本明細書で説明する機能性を提供するためにモバイルデバイス110および/またはコンピュータシステム1200(以下で説明する)と類似のハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を利用してよいことが、さらに留意され得る。
【0104】
バス1105を介して電気的に結合され得る(または、適宜に、別の方法で通信していてよい)ハードウェア要素を備えるモバイルデバイス110が図示される。ハードウェア要素は、処理ユニット1110を含んでよく、処理ユニット1110は、限定はしないが、1つもしくは複数の汎用プロセッサ、(デジタル信号処理(DSP)チップ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの)1つもしくは複数の専用プロセッサ、および/または他のプロセッサ、処理構造、もしくは処理手段を含むことができる。
図11に示すように、いくつかの実施形態は、所望の機能性に応じて別個のデジタル信号プロセッサ(DSP)1120を有してよい。ワイヤレス通信に基づく位置決定および/または他の決定は、処理ユニット1110および/またはワイヤレス通信インターフェース1130(以下で説明する)において行われてよい。モバイルデバイス110はまた、限定はしないが、キーボード、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロフォン、ボタン、ダイアル、スイッチなどを含むことができる1つまたは複数の入力デバイス1170、および限定はしないが、ディスプレイ、発光ダイオード(LED)、スピーカーなどを含むことができる1つまたは複数の出力デバイス1115を含むことができる。諒解されるように、入力デバイス1170および出力デバイス1115のタイプは、入力デバイス1170および出力デバイス1115がそれと統合されるモバイルデバイス110のタイプに依存し得る。
【0105】
モバイルデバイス110はまた、ワイヤレス通信インターフェース1130を含んでよく、ワイヤレス通信インターフェース1130は、限定はしないが、モデム、ネットワークカード、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイス、および/または(Bluetooth(登録商標)デバイス、IEEE802.11デバイス、IEEE802.15.4デバイス、Wi-Fiデバイス、WiMAX(商標)デバイス、ワイドエリアネットワーク(WAN)デバイス、および/または様々なセルラーデバイスなどの)チップセットなどを備えてよく、これにより、本明細書で説明するようにモバイルデバイス110がネットワークを介しておよび/または直接他のデバイスと通信することが可能になり得る。ワイヤレス通信インターフェース1130は、たとえば、WANアクセスポイント、セルラー基地局および/もしくは他のアクセスノードタイプ、ならびに/または他のネットワーク構成要素、コンピュータシステム、および/もしくは本明細書で説明する任意の他の電子デバイスを介して、データおよびシグナリングがネットワークと通信(たとえば、送信および受信)されることを可能にし得る。通信は、ワイヤレス信号1134を送りおよび/または受信する1つまたは複数のワイヤレス通信アンテナ1132を介して実行され得る。アンテナ1132は、1つもしくは複数の個別アンテナ、1つもしくは複数のアンテナアレイ、または任意の組合せを備えてよい。
【0106】
所望の機能性に応じて、ワイヤレス通信インターフェース1130は、基地局ならびにワイヤレスデバイスおよびアクセスポイントなどの他の地上トランシーバと通信するために、別個のトランシーバ、別個の受信機および送信機、またはトランシーバ、送信機、および/もしくは受信機の任意の組合せを備えてよい。モバイルデバイス110は、様々なネットワークタイプを備えてよい異なるデータネットワークと通信してよい。たとえば、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)は、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)ネットワーク、WiMAX(商標)(IEEE802.16)ネットワークなどであってよい。CDMAネットワークは、CDMA2000(登録商標)、ワイドバンドCDMA(WCDMA(登録商標))などの1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実装してよい。CDMA2000(登録商標)は、IS-95規格、IS-2000規格、および/またはIS-856規格を含む。TDMAネットワークは、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、デジタルアドバンストモバイルフォンシステム(D-AMPS)、またはいくつかの他のRATを実装し得る。OFDMAネットワークは、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト、5G NR、6Gなどを採用し得る。5G NR、LTE、LTEアドバンスト、GSM、およびWCDMA(登録商標)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))からの文書に記載されている。CDMA2000(登録商標)は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP(登録商標)2)という名称の団体からの文書に記載されている。3GPP(登録商標)文書および3GPP(登録商標)2文書は一般公開されている。ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)はまた、IEEE802.11xネットワークであってよく、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15x、またはいくつかの他のタイプのネットワークであってよい。本明細書で説明する技法はまた、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せのために使用されてよい。
【0107】
モバイルデバイス110は、センサ1140をさらに含むことができる。センサ1140は、限定はしないが、1つまたは複数の慣性センサおよび/または他のセンサ(たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、カメラ、磁力計、高度計、マイクロフォン、近接度センサ、光センサ、気圧計など)を備えてよく、そのうちのいくつかは、いくつかの事例では、本明細書で説明する位置決定を補完および/または容易にするために使用されてよい。
【0108】
モバイルデバイス110の実施形態はまた、(アンテナ1132と同じであり得る)アンテナ1182を使用して、本明細書で説明するような1つまたは複数のGNSS衛星(たとえば、SV140)から信号1184を受信することが可能な、GNSS受信機1180を含んでよい。GNSS受信機1180は、従来の技法を使用して、GPS、GAL、全地球航法衛星システム(GLONASS)、日本上空の準天頂衛星システム(QZSS)、インド上空のインド地域航法衛星システム(IRNSS)、中国上空のBeidou航法衛星システム(BDS)などの、GNSSシステムのGNSS SV(たとえば、
図3のSV140)から、モバイルデバイス110のポジションを抽出することができる。その上、GNSS受信機1180は、たとえば、ワイドエリアオーグメンテーションシステム(WAAS)、欧州静止ナビゲーションオーバーレイサービス(EGNOS)、多機能衛星オーグメンテーションシステム(MSAS)、およびジオオーグメンテッド航法システム(GAGAN)などの、1つもしくは複数の全地球および/もしくは地域航法衛星システムに関連し得るか、またはそれらとともに使用するために別様に有効化され得る、様々なオーグメンテーションシステム(たとえば、衛星ベースオーグメンテーションシステム(SBAS))とともに使用され得る。
【0109】
図11に示すGNSS受信機1180が、モバイルデバイス110内の他の構成要素とは別個の構成要素として示されるが、実施形態がそのように限定されないことが、留意され得る。本明細書で使用する「GNSS受信機」という用語は、GNSS測定値(GNSS衛星からの測定値)を取得するように構成されたハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を備えてよい。したがって、いくつかの実施形態では、GNSS受信機は、処理ユニット1110、DSP1120、および/またはワイヤレス通信インターフェース1130内の(たとえば、モデムの中の)処理ユニットなどの、1つまたは複数の処理ユニットによって(ソフトウェアとして)実行される測定エンジンを備えてよい。GNSS受信機はまた、測定エンジンからのGNSS測定値およびRTK/D GNSS補正情報を使用してGNSS受信機のポジションを決定できる、本明細書で説明するもの(たとえば、EKF/カルマンフィルタ、WLS、ハッチフィルタ、粒子フィルタなど)などの、測位エンジンを随意に含んでよい。測位エンジンはまた、処理ユニット1110および/またはDSP1120などの1つまたは複数の処理ユニットによって実行されてもよい。
【0110】
モバイルデバイス110は、メモリ1160をさらに含んでよく、および/またはメモリ1160と通信していてよい。メモリ1160は、限定はしないが、ローカルストレージおよび/またはネットワークアクセス可能ストレージ、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光記憶デバイス、プログラマブル、フラッシュ更新可能であり得るランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読取り専用メモリ(ROM)などのソリッドステート記憶デバイスなどを含むことができる、機械可読媒体またはコンピュータ可読媒体を備えてよい。そのような記憶デバイスは、限定はしないが、様々なファイルシステム、データベース構造などを含む、任意の適切なデータ記憶装置を実装するように構成されてよい。
【0111】
モバイルデバイス110のメモリ1160はまた、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、実行可能ライブラリ、および/または1つもしくは複数のアプリケーションプログラムなどの他のコードを含むソフトウェア要素(
図11に示さず)を備えることができ、それらは、本明細書で説明するように、様々な実施形態によって提供されるコンピュータプログラムを備えてよく、および/または他の実施形態によって提供される方法を実装し、および/または他の実施形態によって提供されるシステムを構成するように設計されてよい。ほんの一例として、上記で説明した方法に関して説明する1つまたは複数の手順は、モバイルデバイス110(および/または、モバイルデバイス110内の処理ユニット1110もしくはDSP1120)によって実行可能な、メモリ1160の中のコードおよび/または命令として実装されてよい。一態様では、次いで、そのようなコードおよび/または命令は、説明する方法に従って1つまたは複数の動作を実行するように汎用コンピュータ(または、他のデバイス)を構成しおよび/または適合させるために使用され得る。
【0112】
図12は、利用されてよく、かつ/またはサービスプロバイダ170、基準局120、基地局、コンピュータサーバ、および/もしくは本明細書で説明する他のデバイスの中に組み込まれてよい、コンピュータシステム1200の一実施形態のブロック図である。
図12は、
図1~
図9に関して説明した方法などの、様々な他の実施形態によって提供される方法を実行できるコンピュータシステム1200の一実施形態のブロック図を提供する。
図12が様々な構成要素の一般化された例示を提供することを意図するにすぎず、構成要素のうちのいずれかまたはすべてが適宜に利用されてよいことに留意されたい。したがって、
図12は、相対的に分離されるかまたは相対的により統合された方式で個々のシステム要素がどのように実装され得るのかを広く示す。加えて、
図11の構成要素と同様に、
図12によって示される構成要素は、単一のデバイスに局在化されること、および/または異なる物理的もしくは地理的位置に配設され得る様々なネットワーク化されたデバイスの間で分散されることが可能である。
【0113】
バス1205を介して電気的に結合され得る(または、適宜に、別の方法で通信していてよい)ハードウェア要素を備えるコンピュータシステム1200が図示される。ハードウェア要素は、処理ユニット1210を含んでよく、処理ユニット1210は、限定はしないが、1つもしくは複数の汎用プロセッサ、(DSP、ASIC、GPUなどの)1つもしくは複数の専用プロセッサ、ならびに/または
図9Aおよび
図9Bに関して説明した方法を含む、本明細書で説明する方法のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る他の処理構造を含むことができる。コンピュータシステム1200はまた、限定はしないが、マウス、キーボード、カメラ、マイクロフォンなどを含むことができる1つまたは複数の入力デバイス1215、および限定はしないが、ディスプレイデバイス、プリンタなどを含むことができる1つまたは複数の出力デバイス1220を含むことができる。入力デバイス1215および出力デバイス1220のタイプは、入力デバイス1215および出力デバイス1220がそれと統合されるコンピュータシステム1200のタイプに依存し得る。
【0114】
コンピュータシステム1200は、1つまたは複数の非一時的記憶デバイス1225をさらに含んでよく(および/または、それと通信していてよく)、1つまたは複数の非一時的記憶デバイス1225は、限定はしないが、ローカルストレージおよび/もしくはネットワークアクセス可能ストレージを備えることができ、ならびに/または、限定はしないが、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光記憶デバイス、プログラマブル、フラッシュ更新可能などであり得るRAMおよび/もしくはROMなどのソリッドステート記憶デバイスを含むことができる。そのような記憶デバイスは、限定はしないが、様々なファイルシステム、データベース構造などを含む、任意の適切なデータ記憶装置を実装するように構成されてよい。
【0115】
コンピュータシステム1200はまた、(いくつかの実施形態では)ワイヤレス通信インターフェース1233によって管理および制御される、ワイヤライン通信技術および/またはワイヤレス通信技術のサポートを含むことができる、通信サブシステム1230を含んでよい。通信サブシステム1230は、モデム、(ワイヤレスまたは有線の)ネットワークカード、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイス、および/またはチップセットなどを含んでよい。通信サブシステム1230は、データおよびシグナリングが、ネットワーク、モバイルデバイス、他のコンピュータシステム、および/または本明細書で説明する任意の他の電子デバイスと交換されることを可能にするための、ワイヤレス通信インターフェース1233などの1つまたは複数の入力および/または出力通信インターフェースを含んでよい。詳細には、コンピュータシステム1200が基地局を備える場合、ワイヤレス通信インターフェース1233は、基地局が1つまたは複数のモバイルデバイス110とワイヤレス通信することを可能にすることができる。
【0116】
多くの実施形態では、コンピュータシステム1200は、RAMデバイスおよび/またはROMデバイスを含むことができる作業メモリ1235をさらに備える。作業メモリ1235内に位置するものとして示すソフトウェア要素は、オペレーティングシステム1240、デバイスドライバ、実行可能ライブラリ、および/またはアプリケーション1245などの他のコードを含むことができ、そうしたソフトウェア要素は、本明細書で説明するように、様々な実施形態によって提供されるコンピュータプログラムを備えてよく、ならびに/または他の実施形態によって提供される方法を実施しおよび/もしくはシステムを構成するように設計されてよい。ほんの一例として、
図9Aおよび
図9Bに関して説明した方法などの、上記で説明した方法に関して説明する1つまたは複数の手順は、作業メモリ1235の中に(たとえば、一時的に)記憶されるとともにコンピュータ(および/または、処理ユニット1210などのコンピュータ内の処理ユニット)によって実行可能であるコードおよび/または命令として実装されてよく、一態様では、次いで、そのようなコードおよび/または命令は、説明する方法に従って1つまたは複数の動作を実行するように汎用コンピュータ(または、他のデバイス)を構成しかつ/または適合させるために使用され得る。
【0117】
これらの命令および/またはコードのセットは、上記で説明した記憶デバイス1225などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されることがある。場合によっては、記憶媒体は、コンピュータシステム1200などのコンピュータシステム内に組み込まれることがある。他の実施形態では、記憶媒体が、その上に記憶された命令/コードを用いて汎用コンピュータをプログラムし、構成し、および/または適合させるために使用され得るように、記憶媒体は、コンピュータシステムとは別個である場合があり(たとえば、光ディスクなどのリムーバブル媒体)、および/またはインストールパッケージの中で提供される場合がある。これらの命令は、コンピュータシステム1200によって実行可能な実行可能コードの形態をとる場合があり、かつ/あるいはソースおよび/またはインストール可能コードの形態をとる場合があり、ソースおよび/またはインストール可能コードは、(たとえば、一般に入手可能な様々なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどのうちのいずれかを使用する)コンピュータシステム1200上でのコンパイルおよび/またはインストール時に、次いで、実行可能コードの形態をとる。
【0118】
特定の要件に従って実質的な変形が加えられてよいことが当業者には明らかとなろう。たとえば、カスタマイズされたハードウェアが使用される場合もあり、および/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどのポータブルソフトウェアを含む)、もしくはその両方で実装される場合がある。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスなどの他のコンピューティングデバイスへの接続が採用されてよい。
【0119】
添付の図を参照すると、メモリを含むことができる構成要素は、非一時的機械可読媒体を含むことができる。本明細書で使用する「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、特定の様式で機械を動作させるデータを提供することに関与する任意の記憶媒体を指す。上記で提供した実施形態では、様々な機械可読媒体は、実行のために命令/コードを処理ユニットおよび/または他のデバイスに提供することに関与することがある。追加または代替として、機械可読媒体は、そのような命令/コードを記憶および/または搬送するために使用されることがある。多くの実装形態では、コンピュータ可読媒体は、物理的なおよび/または有形の記憶媒体である。そのような媒体は、限定はしないが、不揮発性媒体および揮発性媒体を含む、多くの形態をとり得る。コンピュータ可読媒体の一般の形態は、たとえば、磁気媒体および/もしくは光媒体、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、以下で説明するような搬送波、またはコンピュータからそこから命令および/もしくはコードを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。
【0120】
本明細書で説明する方法、システム、およびデバイスは例である。様々な実施形態は、様々な手順または構成要素を適宜に省略、置換、または追加してよい。たとえば、いくつかの実施形態に関して説明する特徴が、様々な他の実施形態において組み合わせられてよい。本実施形態の異なる態様および要素が同様に組み合わせられてよい。本明細書で提供する図の様々な構成要素は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで具現され得る。また、技術は進化し、したがって、要素のうちの多くは、本開示の範囲をそれらの具体例に限定しない例である。
【0121】
主に一般的な用法という理由で、そのような信号をビット、情報、値、要素、シンボル、文字、変数、項、数、数値などと呼ぶことが時として好都合であることがわかっている。しかしながら、これらまたは類似の用語のすべてが適切な物理数量と関連することになり、便宜的なラベルにすぎないことを理解されたい。別段に明記されていない限り、上記の説明から明らかなように、本明細書全体にわたって、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、「確認する」、「識別する」、「関連付ける」、「測定する」、「実行する」などの用語を利用する説明が、専用コンピュータまたは類似の専用電子コンピューティングデバイスなどの特定の装置のアクションまたはプロセスを指すことが諒解される。したがって、本明細書の文脈では、専用コンピュータまたは類似の専用電子コンピューティングデバイスもしくはシステムは、専用コンピュータまたは類似の専用電子コンピューティングデバイスもしくはシステムのメモリ、レジスタ、もしくは他の情報記憶デバイス、送信デバイス、またはディスプレイデバイス内の物理的な電子量、電気量、または磁気量として一般に表される信号を操作または変換することが可能である。
【0122】
本明細書で使用する「および」および「または」という用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予想される様々な意味を含んでよい。通常、「または」は、A、B、またはCなどの列挙を関連付けるために使用される場合、ここでは包含的な意味で使用されるA、B、およびC、ならびにここでは排他的な意味で使用されるA、B、またはCを意味することが意図される。加えて、本明細書で使用する「1つまたは複数の」という用語は、単数での任意の特徴、構造、もしくは特性を説明するために使用され得るか、または特徴、構造、もしくは特性のいくつかの組合せを説明するために使用され得る。しかしながら、このことが例示的な例にすぎず、特許請求される主題がこの例に限定されないことに留意されたい。さらに、「のうちの少なくとも1つ」という用語は、A、B、またはCなどの列挙を関連付けるために使用される場合、A、AB、AA、AAB、AABBCCCなどの、A、B、および/またはCの任意の組合せを意味するものと解釈され得る。
【0123】
いくつかの実施形態が説明されているが、添付の請求項によって規定されるような本開示の範囲を逸脱することなく、様々な修正形態、代替構成、および均等物が使用されてよい。たとえば、上記の要素は、より大型のシステムの構成要素にすぎない場合があり、他の規則が、様々な実施形態の適用例に優先してよく、または様々な実施形態の適用例を別様に修正してもよい。また、上記の要素が考慮される前、考慮される間、または考慮された後に、いくつかのステップが着手されてよい。したがって、上記の説明は本開示の範囲を限定しない。
【0124】
この説明に鑑みて、実施形態は特徴の様々な組合せを含んでよい。以下の番号付き条項において実装例が説明される。
条項1: リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供する方法であって、方法は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するステップと、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択するステップであって、選択することが、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するステップであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える、ステップと、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るステップとを備える。
条項2: 条項1の方法であって、複数の基準局を選択するステップは、追加的に、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置に基づく。
条項3: 条項1または2の方法であって、複数の基準局を選択するステップは、モバイルデバイスの近似位置までの、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置の近接度に基づく。
条項4: 条項1または2の方法であって、複数の基準局は、基準局位置の中間点または重心とモバイルデバイスの近似位置との間の距離を最小化するように選択される。
条項5: 条項1の方法であって、複数の基準局は、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように選択される。
条項6: 条項5の方法であって、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するために、方法は、それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を複数の基準局の各基準局から取得するステップ、もしくはモバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報をモバイルデバイスから取得するステップ、またはその両方をさらに備える。
条項7: 条項1~6のうちのいずれかの方法であって、複数の基準局を選択するステップは、複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するステップを備える。
条項8: 条項7の方法であって、基準局の個数は、サービス品質(QOS)、モバイルデバイスからのユーザ要求、またはモバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
条項9: 条項1~8のうちのいずれかの方法であって、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るステップは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを送信することステップを備える。
条項10: 条項9の方法であって、モバイルデバイスの近似位置は、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第1のカバレージエリアの中にあり、方法は、異なる複数の基準局から1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第2のカバレージエリアの中の第2のモバイルデバイスへ基準局補正データを送るステップをさらに備える。
条項11: モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用する方法であって、方法は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得するステップであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、モバイルデバイス測定データを取得するステップであって、モバイルデバイス測定データが、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するステップとを備える。
条項12: 条項11の方法であって、モバイルデバイスの位置を決定するステップは、複数の基準局の各基準局に対して、それぞれの基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの推定位置を決定するステップと、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するステップとを備える。
条項13: 条項12の方法であって、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するステップは、推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るステップを備える。
条項14: 条項11の方法であって、モバイルデバイスの位置を決定するステップは、複数の基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するステップを備える。
条項15: 条項11~14のうちのいずれかの方法であって、複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用してモバイルデバイスの決定された位置の確度を検証するステップをさらに備える。
条項16: 条項15の方法であって、モバイルデバイスの決定された位置の確度の検証に基づいて複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの基準局補正データを無視するステップと、複数の基準局からの残りの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの改良された位置を決定するステップとをさらに備える。
条項17: 条項11~16のうちのいずれかの方法であって、基準局補正データを求める要求をプロバイダサービスへ送信するステップをさらに備える。
条項18: 条項17の方法であって、要求は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報を含む。
条項19: 条項17または18の方法であって、要求は、サービス品質(QOS)または複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを含む。
条項20: 条項11~19のうちのいずれかの方法であって、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するステップは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するステップを備える。
条項21: 条項20の方法であって、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するステップは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを繰り返し受信するステップを備える。
条項22: 条項21の方法であって、基準局補正データを受信することの繰返しレートは、1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、またはモバイルデバイスの位置の決定に対する性能要件のうちの、少なくとも1つに基づく。
条項23: リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するためのコンピュータサーバであって、コンピュータサーバは、トランシーバと、メモリと、トランシーバおよびメモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットとを備え、1つまたは複数の処理ユニットは、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信することと、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択することであって、選択することが、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づくことと、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得することであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えることと、基準局補正データをモバイルデバイスへトランシーバを介して送ることとを行うように構成される。
条項24: 条項23のコンピュータサーバであって、1つまたは複数の処理ユニットは、追加的に、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置に基づいて、複数の基準局を選択するように構成される。
条項25: 条項23または24のコンピュータサーバであって、1つまたは複数の処理ユニットは、追加的に、モバイルデバイスの近似位置までの、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置の近接度に基づいて、複数の基準局を選択するように構成される。
条項26: 条項23または24のコンピュータサーバであって、1つまたは複数の処理ユニットは、基準局位置の中間点または重心とモバイルデバイスの近似位置との間の距離を最小化するように複数の基準局を選択するように構成される。
条項27: 条項23のコンピュータサーバであって、1つまたは複数の処理ユニットは、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように複数の基準局を選択するように構成される。
条項28: 条項27のコンピュータサーバであって、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するために、1つまたは複数の処理ユニットは、それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を複数の基準局の各基準局から取得すること、もしくはモバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報をモバイルデバイスから取得すること、またはその両方を行うように構成される。
条項29: 条項23~28のうちのいずれかのコンピュータサーバであって、複数の基準局を選択するために、1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するように構成される。
条項30: 条項29のコンピュータサーバであって、1つまたは複数の処理ユニットは、基準局の個数を、サービス品質(QOS)、モバイルデバイスからのユーザ要求、またはモバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定するように構成される。
条項31: 条項23~30のうちのいずれかのコンピュータサーバであって、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るために、1つまたは複数の処理ユニットは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを送信するように構成される。
条項32: 条項23~31のうちのいずれかのコンピュータサーバであって、モバイルデバイスの近似位置が1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第1のカバレージエリアの中にある場合、1つまたは複数の処理ユニットは、異なる複数の基準局から1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局の第2のカバレージエリアの中の第2のモバイルデバイスへ基準局補正データを送るように構成される。
条項33: リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するためのモバイルデバイスであって、モバイルデバイスは、トランシーバと、GNSS受信機と、メモリと、トランシーバ、GNSS受信機、およびメモリと通信可能に結合された1つまたは複数の処理ユニットとを備え、1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをトランシーバを介して取得することであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、モバイルデバイス測定データを取得することであって、モバイルデバイス測定データが、モバイルデバイスのGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定することとを行うように構成される。
条項34: 条項33のモバイルデバイスであって、モバイルデバイスの位置を決定するために、1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局の各基準局に対して、それぞれの基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの推定位置を決定し、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するように構成される。
条項35: 条項34のモバイルデバイスであって、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するために、1つまたは複数の処理ユニットは、推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るように構成される。
条項36: 条項33のモバイルデバイスであって、モバイルデバイスの位置を決定するために、1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するように構成される。
条項37: 条項33~36のうちのいずれかのモバイルデバイスであって、1つまたは複数の処理ユニットは、複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用してモバイルデバイスの決定された位置の確度を検証するようにさらに構成される。
条項38: 条項37のモバイルデバイスであって、1つまたは複数の処理ユニットは、モバイルデバイスの決定された位置の確度の検証に基づいて複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの基準局補正データを無視し、複数の基準局からの残りの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの改良された位置を決定するようにさらに構成される。
条項39: 条項33~38のうちのいずれかのモバイルデバイスであって、1つまたは複数の処理ユニットは、基準局補正データを求める要求をプロバイダサービスへトランシーバを介して送信するようにさらに構成される。
条項40: 条項39のモバイルデバイスであって、1つまたは複数の処理ユニットは、モバイルデバイスの近似位置を示す情報を要求の中に含めるようにさらに構成される。
条項41: 条項39または40のモバイルデバイスであって、1つまたは複数の処理ユニットは、サービス品質(QOS)または複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを要求の中に含めるようにさらに構成される。
条項42: 条項33~41のうちのいずれかのモバイルデバイスであって、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するために、1つまたは複数の処理ユニットは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するように構成される。
条項43: 条項42のモバイルデバイスであって、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するために、1つまたは複数の処理ユニットは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを繰り返し受信するように構成される。
条項44: 条項43のモバイルデバイスであって、基準局補正データを受信することの繰返しレートは、1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、またはモバイルデバイスの位置の決定に対する性能要件のうちの、少なくとも1つに基づく。
条項45: リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するためのデバイスであって、デバイスは、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信するための手段と、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択するための手段であって、選択することが、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づく、手段と、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するための手段であって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備える、手段と、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るための手段とを備える。
条項46: 条項45のデバイスであって、複数の基準局を選択することは、追加的に、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置に基づく。
条項47: 条項45または46のデバイスであって、複数の基準局を選択することは、モバイルデバイスの近似位置までの、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置の近接度に基づく。
条項48: 条項45または46のデバイスであって、複数の基準局を選択するための手段は、基準局位置の中間点または重心とモバイルデバイスの近似位置との間の距離を最小化するように複数の基準局を選択するための手段を備える。
条項49: 条項45のデバイスであって、複数の基準局を選択するための手段は、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように複数の基準局を選択するための手段を備える。
条項50: 条項49のデバイスであって、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するために、デバイスは、それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を複数の基準局の各基準局から取得するための手段、もしくはモバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報をモバイルデバイスから取得するための手段、またはその両方をさらに備える。
条項51: 条項45~50のうちのいずれかのデバイスであって、複数の基準局を選択するための手段は、複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するための手段を備える。
条項52: 条項51のデバイスであって、基準局の個数は、サービス品質(QOS)、モバイルデバイスからのユーザ要求、またはモバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
条項53: 条項45~52のうちのいずれかのデバイスであって、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るための手段は、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを送信するための手段を備える。
条項54: モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するためのデバイスであって、デバイスは、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得するための手段であって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備える、手段と、モバイルデバイス測定データを取得するための手段であって、モバイルデバイス測定データが、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備える、手段と、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定するための手段とを備える。
条項55: 条項54のデバイスであって、モバイルデバイスの位置を決定するための手段は、複数の基準局の各基準局に対して、それぞれの基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの推定位置を決定するための手段と、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するための手段とを備える。
条項56: 条項55のデバイスであって、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するための手段は、推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るための手段を備える。
条項57: 条項54のデバイスであって、モバイルデバイスの位置を決定するための手段は、複数の基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するための手段を備える。
条項58: 条項54~57のうちのいずれかのデバイスであって、複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用してモバイルデバイスの決定された位置の確度を検証するための手段をさらに備える。
条項59: 条項58のデバイスであって、モバイルデバイスの決定された位置の確度の検証に基づいて複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの基準局補正データを無視するための手段と、複数の基準局からの残りの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの改良された位置を決定するための手段とをさらに備える。
条項60: 条項54~59のうちのいずれかのデバイスであって、基準局補正データを求める要求をプロバイダサービスへ送信するための手段をさらに備える。
条項61: 条項60のデバイスであって、モバイルデバイスの近似位置を示す情報を要求の中に含めるための手段をさらに備える。
条項62: 条項60または61のデバイスであって、サービス品質(QOS)または複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを要求の中に含めるための手段をさらに備える。
条項63: 条項54~62のうちのいずれかのデバイスであって、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するための手段は、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するための手段を備える。
条項64: 条項63のデバイスであって、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するための手段は、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを繰り返し受信するための手段を備える。
条項65: 条項64のデバイスであって、基準局補正データを受信することの繰返しレートは、1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、またはモバイルデバイスの位置の決定に対する性能要件のうちの、少なくとも1つに基づく。
条項66: リアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正のために基準局補正データをモバイルデバイスに提供するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報を受信することと、基準局補正データをそこから取得すべき複数の基準局を選択することであって、選択することが、モバイルデバイスの近似位置、またはモバイルデバイスで見通し可能なサテライトビークルに関する情報に少なくとも部分的に基づくことと、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得することであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値に基づくデータを備えることと、基準局補正データをモバイルデバイスへ送ることとを行うためのコードを備える。
条項67: 条項66の非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局を選択することは、追加的に、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置に基づく。
条項68: 条項66または67の非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局を選択することは、モバイルデバイスの近似位置までの、複数の基準局の各基準局のそれぞれの位置の近接度に基づく。
条項69: 条項66または67の非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局を選択するためのコードは、基準局位置の中間点または重心とモバイルデバイスの近似位置との間の距離を最小化するように複数の基準局を選択するためのコードを備える。
条項70: 条項66の非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局を選択するためのコードは、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するように複数の基準局を選択するためのコードを備える。
条項71: 条項70の非一時的コンピュータ可読媒体であって、モバイルデバイスと複数の基準局との間の共通ビューGNSS衛星の個数を最大化するために、命令は、それぞれの基準局によって見ることができるGNSS衛星を示す情報を複数の基準局の各基準局から取得すること、もしくはモバイルデバイスによって見ることができるGNSS衛星を示す情報をモバイルデバイスから取得すること、またはその両方を行うためのコードをさらに備える。
条項72: 条項66~71のうちのいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局を選択するためのコードは、複数の基準局の中に含まれる基準局の個数を決定するためのコードを備える。
条項73: 条項72の非一時的コンピュータ可読媒体であって、基準局の個数は、サービス品質(QOS)、モバイルデバイスからのユーザ要求、またはモバイルデバイスのアプリケーションのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
条項74: 条項66~73のうちのいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体であって、基準局補正データをモバイルデバイスへ送るためのコードは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局へ基準局補正データを送信するためのコードを備える。
条項75: モバイルデバイスにおいてリアルタイムキネマティック(RTK)または差分全地球航法衛星システム(DGNSS)補正を適用するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、複数の基準局の各基準局から基準局補正データをモバイルデバイスにおいて取得することであって、各基準局に対して、基準局補正データが、それぞれの基準局においてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、モバイルデバイス測定データを取得することであって、モバイルデバイス測定データが、モバイルデバイスにおいてGNSS受信機によって獲得された1つまたは複数の測定値を備えることと、複数の基準局の各基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの位置を決定することとを行うためのコードを備える。
条項76: 条項75の非一時的コンピュータ可読媒体であって、モバイルデバイスの位置を決定するためのコードは、複数の基準局の各基準局に対して、それぞれの基準局からの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの推定位置を決定し、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するためのコードを備える。
条項77: 条項76の非一時的コンピュータ可読媒体であって、推定位置に基づいてモバイルデバイスの位置を決定するためのコードは、推定位置のうちの少なくともいくつかの単純平均または重み付き平均を取るためのコードを備える。
条項78: 条項75の非一時的コンピュータ可読媒体であって、モバイルデバイスの位置を決定するためのコードは、複数の基準局からの基準局補正データを処理するために単一のカルマンフィルタを使用するためのコードを備える。
条項79: 条項75~78のうちのいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、複数の基準局のうちの少なくとも2つからのキャリア位相整数アンビギュイティまたはポジションベクトルを使用してモバイルデバイスの決定された位置の確度を検証するためのコードをさらに備える。
条項80: 条項79の非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、モバイルデバイスの決定された位置の確度の検証に基づいて複数の基準局のうちの1つまたは複数の基準局からの基準局補正データを無視し、複数の基準局からの残りの基準局補正データ、およびモバイルデバイス測定データに基づいて、モバイルデバイスの改良された位置を決定するためのコードをさらに備える。
条項81: 条項75~80のうちのいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、基準局補正データを求める要求をプロバイダサービスへ送信するためのコードをさらに備える。
条項82: 条項81の非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、モバイルデバイスの近似位置を示す情報を要求の中に含めるためのコードをさらに備える。
条項83: 条項81または82の非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、サービス品質(QOS)または複数の基準局の中に含まれるべき基準局の個数のうちの少なくとも1つを要求の中に含めるためのコードをさらに備える。
条項84: 条項75~83のうちのいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の基準局の各基準局から基準局補正データを取得するためのコードは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するためのコードを備える。
条項85: 条項84の非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを受信するためのコードは、1つまたは複数のモバイルネットワーク基地局から基準局補正データを繰り返し受信するためのコードを備える。
条項86: 条項85の非一時的コンピュータ可読媒体であって、基準局補正データを受信することの繰返しレートは、1つもしくは複数のモバイルネットワーク基地局とのワイヤレス通信の帯域幅、またはモバイルデバイスの位置の決定に対する性能要件のうちの、少なくとも1つに基づく。
【符号の説明】
【0125】
100 RTK/DGNSSシステム
110 モバイルデバイス
110-1 第1のモバイルデバイス
110-2 第2のモバイルデバイス
120 基準局
130 無線周波数(RF)信号
140 サテライトビークル(SV)
150 データ通信ネットワーク
160 基線
170 サービスプロバイダ
210 近似モバイルデバイス位置
230 半径
240 エリア
320 距離
330 重心
340 多角形
360 重心
505 ビーム
505-1a 第1のビーム
505-1b 第2のビーム
505-2a 第1のビーム
505-2b 第2のビーム
520 セルラー基地局
520-1 第1の基地局
520-2 第2の基地局
540 エリア
540-1 第1のエリア
540-2 第2のエリア
600-1 第1のスケジューリング方法
600-2 第2のスケジューリング方法
600-3 第3のスケジューリング方法
600-4 第4のスケジューリング方法
1105 バス
1110 処理ユニット
1115 出力デバイス
1120 デジタル信号プロセッサ(DSP)
1130 ワイヤレス通信インターフェース
1132 ワイヤレス通信アンテナ
1134 ワイヤレス信号
1140 センサ
1160 メモリ
1170 入力デバイス
1180 GNSS受信機
1182 アンテナ
1184 信号
1200 コンピュータシステム
1205 バス
1210 処理ユニット
1215 入力デバイス
1220 出力デバイス
1225 非一時的記憶デバイス
1230 通信サブシステム
1233 ワイヤレス通信インターフェース
1235 作業メモリ
1240 オペレーティングシステム
1245 アプリケーション
【国際調査報告】