(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ブレージングプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20240219BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20240219BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28F3/00 311
F28D9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547337
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 SE2022050156
(87)【国際公開番号】W WO2022177494
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103BB38
3L103BB42
3L103DD57
(57)【要約】
ブレージングプレート式熱交換器(10)は、パターンが設けられた伝熱プレート(12a、12b)のスタックを含み、当該パターンは、流体が熱交換を行うためのプレート間隔(13a、13b)を形成する隆起部(R)及び溝部(G)を含む。伝熱プレートには、第一の流体及び第二の流体のための入口流路及び出口流路(14)を形成するポート開口部(O1~O4)が設けられ、第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートのうちの少なくとも1つの伝熱プレートには、ポート開口部とプレート間隔との間にチャンバ(17)を形成するようにスカートが配置される。チャンバ(17)は、スカートの少なくとも1つの自由端部と隣接する伝熱プレートとの間の隙間を介して、流路(14)に開放され、隙間は、流路(14)の外周に沿って変化し、及び/又はチャンバ(17)の断面積は、流路(14)の外周に沿って変化する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の伝熱プレート(12a)及び第二の伝熱プレート(12b)のスタックを含むブレージングプレート式熱交換器(10)であって、前記伝熱プレートのそれぞれには、隣接する伝熱プレート(12a、12b)間に接触点を形成することにより、前記伝熱プレートのプレート対が、第一の流体及び第二の流体が前記伝熱プレート上で熱交換を行う交互の第一のプレート間隔(13a)及び第二のプレート間隔(13b)を形成するように適合された隆起部(R)及び溝部(G)を含むパターンが設けられ、前記伝熱プレートには、前記第一の流体及び前記第二の流体のための入口流路及び出口流路(14)を形成するポート開口部(O1~O4)が設けられ、プレート対の前記第一の伝熱プレート及び前記第二の伝熱プレートのうちの少なくとも1つの伝熱プレートには、第一のポート開口部を少なくとも部分的に囲んで延伸するスカートが配置され、前記スカートとプレート間隔との間にチャンバ(17)を形成し、前記チャンバ(17)は、前記プレート対の前記第一の伝熱プレート及び前記第二の伝熱プレートのうちの1つの伝熱プレートにおける孔(18)を介して、前記第一のプレート間隔又は前記第二のプレート間隔と連通する、ブレージングプレート式熱交換器(10)において、
前記チャンバ(17)は、前記スカートの少なくとも1つの自由端部と、隣接する伝熱プレートとの間の隙間を介して、前記流路(14)に開放され、
前記隙間は、前記流路(14)の外周に沿って変化し、及び/又は前記チャンバ(17)の断面積は、前記流路(14)の外周に沿って変化する、ことを特徴とするブレージングプレート式熱交換器(10)。
【請求項2】
前記隙間は、前記孔(18)に近い位置に小さく、前記孔(18)から遠い位置に大きい、請求項1に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記スカートは、前記孔(18)に近い位置に長く、前記孔(18)からより遠い位置に短い、請求項1又は2に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記スカート(16)の端部は、前記隣接する伝熱プレート及び/又は前記入口流路(14)と前記チャンバ(17)との間の位置にある次のスカートに係合する、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項5】
前記スカートは、前記第一のポート開口部の外周の少なくとも30%又は少なくとも50%に沿って延伸する、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項6】
前記隙間は、半径方向に少なくとも部分的に延伸する、請求項1に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項7】
前記第一の伝熱プレート(12a)の前記第一のポート開口部(O1a)は、前記第二の伝熱プレート(12b)の前記第一のポート開口部(O1b)より小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項8】
前記第二の伝熱プレート(12b)の前記第一のポート開口部(O1b)は、前記第一の伝熱プレート(12a)の前記第一のポート開口部(O1a)に関して偏心して配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項9】
前記チャンバ(17)の断面積は、前記入口流路(14)の周り方向において、前記孔(18)に近い位置に小さく、前記孔(18)から遠い位置に大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項10】
前記第一の伝熱プレート(12a)には、前記第一のポート開口部(O1a)を囲む第一のポート開口部領域(15a)が配置され、前記第二の伝熱プレート(12b)には、前記第一のポート開口部(O1b)を囲む第二のポート開口部領域(15b)が配置され、前記第二のポート開口部領域(15b)は、前記第一のポート開口部領域(15a)とは異なるサイズを有するように配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項11】
前記第一のポート開口部領域(15a)は、前記第二のポート開口部領域(15b)より大きい、請求項10に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項12】
前記第一のポート開口部(O1a)は、前記第一のポート開口部領域(15a)において偏心して配置される、請求項10又は11に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項13】
プレート対の前記第一の伝熱プレート(12a)には、前記第一の伝熱プレート(12a)の前記第一のポート開口部(O1a)を少なくとも部分的に取り囲む第一のスカート(16a)が設けられ、前記プレート対の前記第二の伝熱プレート(12b)には、前記第二の伝熱プレート(12b)の前記第一のポート開口部(O1b)を少なくとも部分的に取り囲む第二のスカート(16b)が設けられ、隙間は、前記第二のスカート(16b)の自由端と前記第一のスカート(16a)の自由端との間に配置される、請求項1~12のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項14】
前記第二のスカート(16b)は、前記第一のスカート(16a)の半径方向外側に配置される、請求項13に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項15】
前記第二のスカート(16b)の前記自由端は、前記第一のスカート(16a)の前記自由端に関して半径方向にずれる、請求項13又は14に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項16】
前記第一のスカート(16a)及び/又は前記第二のスカート(16b)は、変化する長さを有するように配置される、請求項13~15のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項17】
前記第一のスカート(16a)及び前記第二のスカート(16b)は、少なくとも部分的に反対の軸方向に延伸する、請求項13~16のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項18】
前記第一のポート開口部(O1a、O1b)、前記第一のスカート(16a)及び前記第二のスカート(16b)は、それらの外周に、交互の凸部(22a、22b)及び凹部(23a、23b)が形成される、請求項13~17のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項19】
前記第一のスカート(16a)の前記凸部(22a)及び前記第二のスカート(16b)の前記凹部(23b)は、それらによって形成された前記入口流路(14)に沿って軸方向に交互に配置される、請求項18に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項20】
前記第一のスカート(16a)及び前記第二のスカート(16b)のそれぞれは、少なくとも4つの凸部及び凹部を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項21】
前記凸部及び前記凹部は、前記スカートの全体に沿って均等に分布する、請求項17~20のいずれか一項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項22】
前記第一のスカート(16a)の前記自由端と前記第二のスカート(16b)の前記自由端とは、軸方向に整列する、請求項13に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項23】
前記隙間は、変化しない、請求項13又は22に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項24】
前記第一のスカート(16a)と前記第二のスカート(16b)とは、同様の長さを有するように配置される、請求項13、22又は23に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレージングプレート式熱交換器に関する。より具体的には、本発明は、流体が熱交換を行うためのプレート間隔を形成する隆起部及び溝部のパターンが設けられた伝熱プレートのスタックを含むブレージングプレート式熱交換器に関し、当該伝熱プレートには、ポート開口部と、少なくとも一部のプレートのポート開口部を少なくとも部分的に囲んで延伸するスカートとが設けられる。このようなプレート式熱交換器は、様々な目的のために流体間で熱交換を行うために用いられる。例えば、この種類の熱交換器は、熱ポンプ又は冷凍システムなどにおいて加熱及び冷却の目的のために用いられる。例えば、この種類の熱交換器は、蒸発器又は凝縮器として用いられる。
【背景技術】
【0002】
複数のプレート式熱交換器は、従来技術において知られている。このような知られているプレート式熱交換器は、ポート開口部と、流体が熱交換を行うためのプレート間隔とを含む。ポート開口部領域は、上記ポート開口部とプレート間隔との間の選択的な連通が達成されるように、ポート開口部を囲んで設けられる。このようなポート開口部領域は、一般に平坦であり、互いに、交互に接触してプレート間隔との選択的な連通を提供するように配置される。ポート開口部領域は、一般に環状であり、ポート開口部を取り囲み、ろう付け接合部などにより、隣接する伝熱プレートのポート開口部領域に対して選択的に密封するように配置される。
【0003】
流体のうちの1つの流体のための入口流路を提供するように、ポート開口部を囲んでスカートが配置されることが知られている。チャンバは、スカートとプレート間隔との間に形成される。入口流路は、スカートにおける孔及びプレートにおける孔を介して、チャンバ及び選択されたプレート間隔と連通する。
【0004】
いくつの用途の場合、例えば、冷媒を流体のうちの1つの流体として用いる熱ポンプの用途の場合、熱交換器は、比較的高い圧力に耐えなければならない。ブレージングプレート式熱交換器のポート開口部領域は、高い圧力を受ければ、破損する傾向がある。
【0005】
したがって、従来技術の熱交換器は、弱く、高い圧力に耐えないという問題を有する。
【0006】
従来技術の熱交換器は、非効率的であるというの別の問題を有する。
【0007】
従来技術の熱交換器は、製造コストが高いという更に別の問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の熱交換器の問題を緩和し、良好な流体の分布を有するブレージングプレート式熱交換器を提供することであり、その結果として、いくつかの態様に係る、製造が比較的容易で、コスト効率が高い、丈夫かつ効率的なブレージングプレート式熱交換器が得られる。本発明のさらなるいくつかの態様に係るブレージングプレート式熱交換器は、低い流体流量の状態などの様々な状態での媒体の良好な分布を備える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るブレージングプレート式熱交換器は、少なくとも第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートのスタックを含み、伝熱プレートのそれぞれには、隣接する伝熱プレート間に接触点を形成することにより、前記伝熱プレートのプレート対が、第一の流体及び第二の流体が前記伝熱プレート上で熱交換を行う交互の第一のプレート間隔及び第二のプレート間隔を形成するように適合された隆起部及び溝部を含むパターンが設けられ、前記伝熱プレートには、前記第一の流体及び前記第二の流体のための入口流路及び出口流路を形成するポート開口部が設けられ、プレート対の前記第一の伝熱プレート及び前記第二の伝熱プレートのうちの少なくとも1つの伝熱プレートには、第一のポート開口部を少なくとも部分的に囲んで延伸するスカートが配置され、前記スカートとプレート間隔との間にチャンバを形成し、前記チャンバは、前記プレート対の第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートのうちの1つの伝熱プレートにおける孔を介して、前記第一のプレート間隔又は前記第二のプレート間隔と連通する、ブレージングプレート式熱交換器において、前記チャンバは、前記スカートの少なくとも1つの自由端部と隣接する伝熱プレートとの間の隙間を介して、前記流路に開放され、前記隙間は、前記流路の外周に沿って変化し、及び/又は前記チャンバの断面積は、前記流路の外周に沿って変化することを特徴とする。スカートの自由端部又は自由端と隣接する伝熱プレートとの間の隙間の変化及び/又はチャンバの断面積の変化により、良好な圧力低下及び流体の分布が得られて、圧力及び応力がポート開口部の周りに分布し、入口流路からプレート間隔への流体の均等かつ効率的な流量が達成される。圧力低下及びチャンバへの流体の分布、更に孔への流体の分布、そしてプレート間隔への流体の分布を制御する可能性により、高い圧力に耐える丈夫な熱交換器を実現する可能性が得られる。本発明は、入口流路における流体のより均等な流量及び入口流路における改善された流体の分布を提供し、熱交換器の圧力に耐える可能性は、スカートでの伝熱プレート上の圧力がスカートの外周の周りに分布するほど、大きくなる。熱交換器は、スカートで、流体が入口流路からチャンバへ流れるための半径方向隙間及び/又は軸方向隙間を含むことができる。スカートは、伝熱プレートの平面からオフセットした角度で延伸し、例えば、一般に伝熱プレートの平面にほぼ垂直に延伸して、入口流路を形成し、また、スカートとプレート間隔との間にチャンバを形成する。伝熱プレートは、それらの平面が平行であるように配置される。各伝熱プレートの平面は、半径方向に延伸する。
【0010】
隙間は、孔に近いほど小さくなり、孔から遠いほど大きくなるため、流体は、より良好に分布する。したがって、隙間の変化は、流体の入口流路における分布とチャンバへの分布のバランスを取ることができる。例えば、孔の前方に隙間がない。同様に、チャンバへの流体の分布のバランスを取るために、チャンバの断面積を、入口流路の周り方向において、孔に近い位置に小さくし、孔から遠い位置に大きくすることができる。したがって、チャンバの容積は、入口流路の周りに孔に向かって、又は複数の孔を含む部分に向かって低下するため、例えば、チャンバの容積は、孔とスカートの孔に最も近い部分との間に最も小さい。例えば、チャンバは、孔又は孔部分から見て入口流路を横切る部分がより大きい。チャンバの横断面は、軸方向、即ち、プレートの平面に垂直な方向における断面である。以下、単一の孔は、通常、例として参照される。しかしながら、複数の孔を含む伝熱プレートの部分が使用されてもよい。孔は、制限孔であってもよい。例えば、孔の面積、又は複数の孔が使用される場合の孔の総面積は、実質的に、入口流路とチャンバとの間の開口部の総面積より小さいため、流量が制限される。
【0011】
プレート対の第一の伝熱プレートには、第一の伝熱プレートの第一のポート開口部を少なくとも部分的に取り囲む第一のスカートが設けられてもよく、同一のプレート対の第二の伝熱プレートには、第二の伝熱プレートの第一のポート開口部を少なくとも部分的に取り囲む第二のスカートが設けられてもよい。半径方向隙間は、第二のスカートと第一のスカートの自由端との間に配置されてもよい。第一のスカート及び第二のスカートは、実質的に反対の方向に延伸することができる。したがって、第一のスカートは、滑らかな入口流路を提供することができ、第二のスカートは、流体の不均等な分布を防止することができ、第一のスカート及び第二のスカートは、共に、チャンバに対して、変化する隙間、及び/又はチャンバの変化する断面積を設けることができる。
【0012】
第一の伝熱プレートの第一のポート開口部は、第二の伝熱プレートの第一のポート開口部より小さくてもよい。したがって、第一の伝熱プレートが第一のスカートを含む場合、第一のスカートは、第二の伝熱プレートの第一のポート開口部の半径方向内側に配置されて、滑らかな入口及び良好な流体の分布を提供する。第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートの第一のポート開口部は、中心軸を有してもよく、当該中心軸は、例えば、入口流路の中心軸と整列してもよく、入口流路の中心軸に関して半径方向にオフセットしてもよく、即ち、偏心してもよい。第二の伝熱プレートの第一のポート開口部は、第一の伝熱プレートの第一のポート開口部に関して偏心して、即ち、半径方向にオフセットして配置されてもよいため、第一の伝熱プレートの第一のポート開口部は、軸方向において、第二の伝熱プレートの第一のポート開口部と整列しない。あるいは、第一の伝熱プレートのポート開口部と第二の伝熱プレートのポート開口部は、同様のサイズを有し、及び/又は互いに整列する。したがって、効率的な方法で、チャンバの変化する隙間及び/又は変化する断面積を実現することができる。
【0013】
第一の伝熱プレートには、第一のポート開口部を取り囲むように半径方向に延伸する第一のポート開口部領域が配置され、第二の伝熱プレートには、第一のポート開口部を取り囲むように半径方向に延伸し、隣接する伝熱プレートの第一のポート開口部領域と接触する第二のポート開口部領域が配置され、第二のポート開口部領域は、第一のポート開口部領域とは異なるサイズを有するように配置されてもよい。したがって、効率的な方法で、チャンバの変化する隙間及び/又は変化する断面積を実現することができる。例えば、第一のポート開口部領域は、第二のポート開口部領域より大きく、及び/又は、第一のポート開口部領域及び第二のポート開口部領域は、互いに関して偏心し、即ち、互いに関して半径方向にずれ(radially displaced)、軸方向において整列しないように配置される。
【0014】
第一のスカート及び/又は第二のスカートは、変化する隙間及び/又は変化するチャンバ断面積を提供するように変化する長さ、角度及び/又は形状を有するように配置されてもよい。
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付図面及び従属請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
【0017】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る熱交換器の概略分解図である。
【
図2】
図1の熱交換器の第一の伝熱プレートの概略正面図である。
【
図3】
図2の第一の伝熱プレートのA-A線における概略断面図であり、一実施形態に係る第一の伝熱プレートの第一のポート開口部のポート開口部領域及びスカートを示す。
【
図5】
図4の熱交換器のA-A線における概略断面図であり、第一の実施形態に係る第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートの第一のポート開口部のポート開口部領域及びスカートによって形成されたチャンバを示す。
【
図6】第二の実施形態に係る熱交換器の概略断面図であり、第二の実施形態に係るプレート間隔と連通するチャンバを示す。
【
図7】
図5の一部の概略図であり、第一の実施形態に係る、流体が入口流路からチャンバへ流れるための軸方向隙間及び半径方向隙間を示す。
【
図8】本発明の第三の実施形態に係る熱交換器の概略分解図である。
【
図9】
図8の熱交換器の概略断面図であり、第三の実施形態に係る第一の伝熱プレートの第一のポート開口部のポート開口部領域及びスカートによって形成されたチャンバを示す。
【
図10】
図9の一部の概略図であり、第三の実施形態に係る入口流路からチャンバへの変化する隙間を示す。
【
図11】第四の実施形態に係る熱交換器の概略断面図であり、第四の実施形態に係る第一の伝熱プレートの第一のポート開口部のポート開口部領域及びスカートによって形成されたチャンバを示す。
【
図12】
図11の一部の概略図であり、第四の実施形態に係るスカート、及び入口流路からチャンバへの変化する隙間を示す。
【
図13】本発明の第五の実施形態に係る熱交換器の概略分解図である。
【
図14】第五の実施形態に係る熱交換器の概略断面図であり、第五の実施形態に係る、プレート間隔と連通するチャンバを形成するスカートを有する伝熱プレートを示す。
【
図15】
図14の一部の概略図であり、第五の実施形態に係る、隣接する伝熱プレートのスカート間の、流体が入口流路からチャンバへ流れるための軸方向隙間を示す。
【
図16】本発明の第六の実施形態に係る熱交換器の概略分解図である。
【
図17】第六の実施形態に係る熱交換器の概略断面図であり、第五の実施形態に係るプレート間隔と連通するチャンバを形成するスカートを有する伝熱プレートを示す。
【
図18】
図17の一部の概略図であり、第六の実施形態に係る、隣接する伝熱プレートのスカート間の、流体が入口流路からチャンバへ流れるための隙間を示す。
【
図19】第六の実施形態に係る伝熱プレートのスタックの概略斜視図である。
【
図20】
図19の一部の概略図であり、第六の実施形態に係る第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートのスカートの構造を示す。
【
図21】第六の実施形態に係る伝熱プレートのスタックの概略正面図である。
【
図22】
図21の一部の概略図であり、第六の実施形態に係る第一の伝熱プレート及び第二の伝熱プレートのスカートの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る熱交換器10を概略的に示す。熱交換器10は、第一のエンドプレート11a及び第二のエンドプレート11bと、熱交換器10を形成するためにスタックに積み重ねられた複数の第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bとを含む。熱交換器10は、ブレージングプレート式熱交換器である。例えば、熱交換器10は、熱ポンプ又は冷凍システムなどにおいて蒸発器又は凝縮器として使用されるように構成される。熱交換器10は、少なくとも第一の流体と第二の流体との間で熱交換を行うように構成される。例えば、流体のうちの1つの流体は、冷媒、例えば、R32、R290又は同様の冷媒である。
【0019】
伝熱プレート12a、12bには、隆起部R及び溝部Gのパターンが設けられるため、流体が熱交換を行うためのプレート間隔13a、13bの形成下で隣接する伝熱プレート12a、12bの少なくとも一部の交差する隆起部Rと溝部Gとの間に接触点を設けることにより、プレートがスタックに積み重ねられて熱交換器10を形成するときに、流体が熱交換を行うための交互の第一のプレート間隔13a及び第二のプレート間隔13bは、伝熱プレート12a、12bの間に形成され、これは、以下、より詳細に説明される。説明される実施形態に係るパターンは、ヘリンボーン(herringbone)パターンである。しかしながら、パターンはまた、斜めに延伸する直線の形態又は他の適切なパターンであってもよい。隆起部R及び溝部Gのパターンは、波形の深さを有する波形パターンである。パターンは、プレスパターンである。パターンは、プレート12a、12bを、接触点を除いて互いに距離を置いて維持して、隣接する伝熱プレート12a、12bの間に流体が熱交換を行うためのプレート間隔13a、13bを形成するように適合される。例えば、伝熱プレート12a、12bは、板金、例えば、ステンレス鋼、銅又は他の適切な金属若しくは合金で製造される。例えば、伝熱プレート12a、12bのプレス深さは、1~3mm、例えば、1~2mm又は1~1.7mmである。
【0020】
示された実施形態では、伝熱プレート12a、12bのそれぞれは、スカートSで取り囲まれ、当該スカートSは、伝熱プレート12a、12bの平面にほぼ垂直に延伸するとともに、熱交換器10の外周に沿ってシールを提供するために隣接する伝熱プレート12a、12bのスカートSと接触するように適合される。
【0021】
伝熱プレート12a、12bには、熱交換を行う流体がプレート間隔13a、13bに出入りする入口流路及び出口流路を形成するポート開口部O1、O2、O3及びO4が配置される。示された実施形態では、第一のエンドプレート11a及び伝熱プレート12a、12bには、4つのポート開口部が配置される。あるいは、伝熱プレート12a、12bには、6つ、8つ又はそれ以上などの別の数のポート開口部が配置される。様々な示された実施形態では、第一の伝熱プレート12aには、第一のポート開口部O1aが配置され、第二の伝熱プレート12bには、第一のポート開口部O1bが形成される。第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1bは、例えば、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aとは異なる。示された第一の実施形態では、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aは、第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1bより小さく、これは、以下、より詳細に説明される。あるいは、第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1a、O1bは、サイズが同様である。
【0022】
例えば、第二、第三及び第四のポート開口部O2~O4が設けられる。ポート開口部O1~O4を取り囲むポート開口部領域15が設けられる。ポート開口部領域15は、上記ポート開口部O1~O4とプレート間隔13a、13bとの間の選択的な連通が達成されるように設けられる。例えば、ポート開口部領域15は、平坦であり、互いに、交互に接触して選択的な連通を提供する。ポート開口部領域15は、隣接する伝熱プレート12a、12bの対応するポート開口部領域15に対して密封されるように配置される。例えば、ポート開口部領域15は、実質的に平坦であり、ろう付け接合部により互いに接合される。例えば、ポート開口部領域15は、伝熱プレート12a、12bの平面において延伸するか、又は伝熱プレート12a、12bの平面に平行に延伸する。例えば、ポート開口部領域15は、環状であり、円形の外周を有する。あるいは、ポート開口部領域15は、楕円形の外周を有するか、又は他の適切な方式で形成される。
【0023】
示された実施形態では、伝熱プレート12a、12bは、角丸長方形であり、ポート開口部O1a、O1b、O2、O3、O4は、角の近くに配置される。あるいは、伝熱プレート12a、12bは、正方形、例えば、角丸正方形である。あるいは、伝熱プレート12a、12bは、円形若しくは楕円形であるか、又は他の適切な形状で配置され、ポート開口部は、適切な方式で分布する。示された実施形態では、伝熱プレート12a、12bには、ヘリンボーンパターンが設けられ、第一の伝熱プレート12aのヘリンボーンパターンは、1つの方向に配置され、第二の伝熱プレートのヘリンボーンパターンは、反対の方向に配置される。
【0024】
第一の伝熱プレート12aには、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aを少なくとも部分的に取り囲む第一のスカート16aが設けられる。第一のスカート16aは、例えば、第一の伝熱プレート12aの折曲部であり、当該折曲部は、第一のポート開口部O1aを全部的に又は部分的に取り囲む。示された実施形態では、第二の伝熱プレート12bには、第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1bを少なくとも部分的に取り囲む第二のスカート16bが設けられる。第二のスカート16aは、第二の伝熱プレート12bの折曲部であってもよい。例えば、第一のスカート16a及び/又は第二のスカート16bは、環状である。また、
図2~7に示すように、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、1対の伝熱プレート12a、12bの第一のポート開口部O1a、O1bを囲むか又は少なくとも部分的に囲むチャンバ17を形成する。チャンバ17を
図5~7に示す。伝熱プレート12a、12bによって形成されたチャンバ17は、第一のポート開口部O1a、O1bによって形成された入口流路14を囲んで延伸する。示された実施形態では、チャンバ17は、環状であり、入口流路14を取り囲む。例えば、チャンバ17は、スカート16a、16bと、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aを囲むポート開口部領域15aと、第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1bを囲むポート開口部領域15bとによって形成される。上記ポート開口部領域15a、15bは、選択的に高いレベル又は低いレベルに交互に配置され、第一のポート開口部O1a、O1bを囲んで互いに係合する。ポート開口部領域15a、15bは、隣接するプレート対の伝熱プレート12a、12bの隣接するポート開口部領域15a、15bに係合する。各チャンバ17は、第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bのうちの一方の孔18を介して、第一のプレート間隔13a又は第二のプレート間隔13bと連通する。
図5の実施形態では、チャンバ17は、第一の伝熱プレート12aの孔18を介して、第二のプレート間隔13bと連通する。
図6に示される第二の実施形態では、チャンバ17は、第二の伝熱プレート12bの孔18を介して、第二のプレート間隔13bと連通する。例えば、第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bのうちの1つには、単一の孔18が設けられる。あるいは、第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bのうちの一方には、例えば、同じ領域にある複数の孔、又はチャンバの外周の半分未満又は3分の1未満の外周を囲む領域に分布する複数の孔が設けられる。一実施形態において、孔は、少なくとも0.5mm、例えば、0.5~2mm、0.5~1.5mm又は0.5~1mmの直径を有する。
【0025】
入口流路14は、
図5中の中心軸Aによって示されるように、少なくとも部分的に軸方向に延伸する。軸方向は、伝熱プレートの平面に垂直である。第一のスカート16aは、伝熱プレートの平面からオフセットした角度で延伸するため、少なくとも部分的に軸方向に延伸する。第一のスカート16aは、ベース及び少なくとも1つの自由端部を有する。第一のスカート16aは、ベースから自由端に向かって、伝熱プレートの平面からオフセットした角度で延伸する。第一のスカート16aのベースと自由端との間の距離は、第一のスカートの長さである。例えば、第一のスカートの全長は、伝熱プレートの平面からオフセットした角度で、例えば、伝熱プレートの平面に垂直に又は実質的に垂直に配置される。例えば、第一のスカート16aは、その長さにわたって同じ方向に延伸する。示された実施形態では、第一のスカート16a全体は、自由端を有し、他のスカート又はプレートと接触しない。第一のスカート16aは、その自由端に向かう方向に延伸する。第一のスカート16aは、入口流路14に実質的に沿い、かつ中心軸Aに平行である方向、例えば、
図5中の矢印Bにより概略的に示される、入口流路14を介して熱交換器10に軸方向に流れる流体に沿う方向に延伸する。示された実施形態では、軸方向は、伝熱プレートの平面に垂直である。例えば、第一のスカート16aは、その自由端に向かう方向に実質的に軸方向に延伸し、第一のポート開口部O1a、O1bによって形成された流路14の中心軸Aに向かって半径方向内側に傾斜する。軸方向隙間19は、第一のスカート16aの自由端と、隣接するプレート対の隣の第一の伝熱プレート12aの第一のスカート16aとの間に配置される。あるいは、軸方向隙間19は、軸方向に延伸するか、又は第一のスカート16aの自由端と第二の伝熱プレート12bのポート開口部領域15bとの間に実質的に軸方向に延伸する。例えば、軸方向隙間19は、軸方向に延伸するか、又は第一のスカート16aの自由端と隣の第一のスカート16aのベースとの間に実質的に軸方向に延伸し、当該軸方向が
図7中の両矢印yにより概略的に示される。したがって、チャンバ17は、軸方向隙間19を介して入口流路14に開放されるため、流体は、入口流路14から軸方向隙間19を通過してチャンバ17に移動することができる。第一のスカート16aは、流体の滑らかな入口を形成する。
【0026】
孔18又は複数の孔を除き、チャンバ17は、チャンバ17を取り囲む密封領域20を介して、プレート間隔13a、13bから閉鎖される。示された実施形態では、密封領域20は、プレート対の第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bの平坦な領域が互いに係合することによって形成される。例えば、密封領域20は、第一の伝熱プレート12aの凹部及び/又は第二の伝熱プレート12bの隆起によって形成される。例えば、第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bは、チャンバ17を取り囲む密封領域20において、ろう付け接合部により互いに接続される。例えば、密封領域20は、環状である。
【0027】
示された実施形態では、第二の伝熱プレート12bには、第一のスカート16aとは反対の方向に実質的に延伸する第二のスカート16bが配置される。例えば、第二のスカート16bは、矢印Bにより示される、入口流路14における意図した軸方向流体流れと反対の方向に延伸する。第二のスカート16bは、第一のスカート16aと同様に、ベース及び自由端を有する。示された実施形態では、第二のスカート16bの自由端は、第一のスカート16aの自由端と整列しない。したがって、第一のスカート16aは、第二のスカート16bに関して半径方向にずれ、半径方向隙間21は、第一のスカート16aと第二のスカート16bとの間に形成される。半径方向隙間21は、
図7中の両矢印xにより概略的に示される。
【0028】
図5に示すように、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、重なり、即ち、これらは、全長が同一のプレート対のスカート16a、16bにそれぞれ隣接するポート開口部領域15a、15bの間の距離を超える。したがって、半径方向隙間21は、第一のスカート16aの自由端と第二のスカート16bの自由端との間に実質的に半径方向に延伸する。第二のスカート16bは、第一のスカート16aの半径方向外側に配置される。したがって、第一のスカート16aは、少なくともその自由端で、直径が第二のスカート16bの直径より小さいように配置される。第二のスカート16bは、流体の不均等な分布を防止するために流れ遮断部を形成する。例えば、第二のスカート16bは、気泡に対して遮断部を形成する。
【0029】
本発明の示された実施形態において、半径方向隙間21が変化する。したがって、半径方向隙間21は、入口流路14の外周の周りに、第一のスカート16aの自由端と第二のスカート16bとの間に変化する。したがって、半径方向隙間21は、1つ以上の位置で、他の位置での場合より小さい。例えば、半径方向隙間21は、孔18に近い位置に小さく、孔18からより遠い位置に大きい。示された実施形態において、半径方向隙間21は、孔18とは反対の位置、即ち、孔18を隔てて第一のポート開口部O1aの向かい側の位置に最も大きく、孔18の近くのチャンバ17に入る位置に最も小さい。したがって、半径方向隙間21は、孔18に向かって先細りになる。
【0030】
示された実施形態では、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aを囲むポート開口部領域15aは、第二の伝熱プレート12bの第一のポート開口部O1bを囲むポート開口部領域15bより大きい。例えば、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aを囲むポート開口部領域15aは、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aの周りでサイズが変化する。示された実施形態では、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aは、ポート開口部領域15aにおいて偏心して配置される。したがって、上記ポート開口部領域15aは、孔18に向かって先細りになる。
【0031】
図5~7の実施形態では、チャンバ17の断面積は、入口流路14の周りに実質的に一定である。あるいは、チャンバ17の断面積は、例えば、孔18とは反対の領域で大きく、孔18の近くで小さいように変化する。例えば、チャンバ17の断面積は、孔18に向かう方向に先細りになる。
【0032】
示された実施形態では、スカート16a、16bは、第一のポート開口部O1a、O1bの周りに、長さが一定であるように配置される。あるいは、第一のスカート及び/又は第二のスカート16bの長さは、第一のポート開口部O1a、O1bの外周の周りに変化する。例えば、第一のスカート16aは、孔18に近いほど長くなり、その長さは、孔18から離れる方向に減少する。したがって、軸方向隙間19は、孔18に向かう方向に先細りになってもよい。第二のスカート16bの長さは、孔から遠いチャンバ17に大きい流量を提供し、孔18に近いチャンバへの流体の流量を制限するために、変化してもよい。
【0033】
示された実施形態では、第一のポート開口部O1a、O1bは、円形であり、直径が異なるように配置され、互いに偏心する。あるいは、第一のポート開口部O1a及び/又は第一のポート開口部O1bは、楕円形であり、半径方向隙間21が変化する。
【0034】
示された実施形態では、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、軸方向に実質的に延伸し、第一のポート開口部O1a、O1bの外周の周りに一定である角度で内向きに傾斜する。あるいは、第一のスカート16a及び/又は第二のスカート16bは、傾斜角度が変化するように配置されて、変化する半径方向隙間21を提供する。
【0035】
図8~10に示すように、本発明の第三の実施形態を概略的に示す。第三の実施形態の熱交換器10は、プレスパターン、ポート開口部O1~O4、ポート開口部領域15a、15b、及びプレート間隔13a、13bを有する、交互に配置された第一の伝熱プレート12a及び第二の伝熱プレート12bを含み、ポート開口部領域15a、15b、及びプレート間隔13a、13bは、ポート開口部O1~O4とプレート間隔13a、13bとの間の選択的な連通が上述したように達成されるように配置されたる。
【0036】
第三の実施形態では、第一の伝熱プレート12aには、第一の伝熱プレート12aの第一のポート開口部O1aを部分的に囲んで延伸するスカート16が配置されるのに対して、第二の伝熱プレート12bには、任意のスカートが設けられてもよく、任意のスカートが設けられなくてもよい。あるいは、スカート16は、第一のポート開口部O1aの外周全体を囲んで延伸する。
【0037】
部分的に
図9及び
図10に示すように、スカート16は、入口流路14に実質的に沿う方向に延伸し、任意的に少々内向きに傾斜する。スカート16は、少なくとも1つの自由端部と、第一の伝熱プレート12aのポート開口部領域15aに接続されたベースとを有する。
図9及び
図10において、スカート16は、その周方向延長部に沿って入口流路14を囲む自由端を有する。軸方向隙間19は、スカート16の自由端と、隣の伝熱プレートとの間に配置される。例えば、軸方向隙間19は、
図10の両矢印yにより示されるように、軸方向に延伸するか、又はスカート16の自由端と第二の伝熱プレート12bのポート開口部領域15bとの間に実質的に軸方向に延伸する。あるいは、隙間19は、スカート16の自由端と隣のスカート16、例えば、実質的に隣のスカート16のベースとの間に延伸してもよい。
【0038】
図9及び
図10の実施形態では、スカート16は、入口流路14を部分的に囲むチャンバ17を形成する。したがって、スカート16は、入口流路14の外周の一部のみに沿って延伸して、入口流路14を部分的にのみ囲むチャンバ17を形成する。スカート16は、第一のポート開口部O1aを囲む、第一の伝熱プレート12aの折曲部によって形成される。スカート16は、入口流路14からプレート間隔13a、13bへ流れる流体から孔18を遮断するように配置される。したがって、スカート16は、入口流路14と孔18との間に配置され、チャンバ17は、入口流路14と孔18との間に配置される。例えば、スカート16は、第一のポート開口部O1aの外周を少なくとも半分囲んで延伸し、例えば、その外周を30~90%、40~80%又は50~80%囲んで延伸する。
【0039】
第三の実施形態では、スカート16は、長さが変化するように配置され、孔18から離れる方向に先細りになるため、軸方向隙間19は、対応して変化する。したがって、スカート16は、孔18に近いほど大きくなり、孔18から離れるほど長さが減少し、軸方向隙間19は、孔18に近い位置で最も小さく、孔18から離れるほど大きくなるため、スカート16の遮断効果は、孔18の前方に最も高い。スカート16、又は第一のスカート16aと第二のスカート16bとの組み合わせは、流路14を流れる流体を分布させ、上記流路14から選択されたプレート間隔へのより均等かつ良好な流体の流量を提供するために、孔18の前方にある領域に、孔18から離れる方向に縮小する遮断部を形成してもよい。したがって、代替的な実施形態(図示せず)において、第二の伝熱プレート12bには、第二のスカート16bが設けられ、当該第二のスカート16bは、長さが一定であるように配置されてもよく、長さが変化してもよく、例えば、孔18から離れる方向に先細りになる。
【0040】
図8~10において、第二の伝熱プレート12bには、ポート開口部領域15bと密封領域20との間に孔18が設けられるが、孔18は、上述したように、代替的に第一の伝熱プレート12aに設けられてもよい。
【0041】
図11及び
図12に示すように、本発明の第四の実施形態を概略的に示す。第四の実施形態は、スカート16の一部が隣接する伝熱プレート及び/又は隣の第一の伝熱プレート12aのスカート16に係合することを除いて、第三の実施形態と同様である。例えば、スカート16は、隣接する伝熱プレート及び/又は孔18の前方にある隣のスカート16と接触するため、孔18は、入口流路14と孔18との間に半径方向に完全に遮断される。チャンバ17は、入口流路14と孔18との間に配置される。
【0042】
図11及び
図12の実施形態では、スカート16は、少なくとも1つの自由端部と自由ではない端部とを有する。例えば、スカート16は、隣接するプレート又はスカートと接触している端部の両側に自由端部を有する。隙間19は、上述したように、自由端部と、隣接するプレート又はスカートとの間に配置される。例えば、隙間19は、軸方向隙間であるか、又は軸方向に少なくとも部分的に延伸する。隙間19は、
図12において両矢印yにより示される。したがって、流体は、入口流路14から、孔18の前方にあるスカート16の部分を囲むチャンバ17へ流れなければならない。流体は、例えば、隙間19を介してチャンバ17に流れることができる。また、
図11及び
図12の実施形態では、スカート16は、長さが変化するように配置され、孔18から離れる方向に先細りになるため、軸方向隙間19は、対応して変化する。したがって、スカート16は、孔18に近いほど大きくなり、孔18から離れるほど長さが減少し、孔18の前方に軸方向隙間がなく、孔18から離れるほど隙間19が広くなる。
【0043】
スカート16、又は第一のスカート16aと第二のスカート16bとの組み合わせは、流路14を流れる流体を分布させ、上記流路14から選択されたプレート間隔へのより均等かつ良好な流体の流量を提供するために、孔18の前方にある領域に遮断部を形成してもよい。一実施形態(図示せず)において、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、孔18の前方に互いに係合し、第一のスカートと第二のスカートとの間に、孔18から離れるほど隙間が広くなる。
【0044】
図13~15に示すように、本発明の第五の実施形態を概略的に示す。第五の実施形態において、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、第一のプレート12a及び第二のプレート12bの第一のポート開口部O1a、O1bを囲んで、互いに対向して配置されて、第一のスカート16a及び第二のスカート16bの自由端の間に、流体が入口流路14からチャンバ17へ流れるための軸方向隙間19を形成する。第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、プレート12a、12bの平面、及びポート開口部領域15a、15bの平面からオフセットした角度、例えば、ポート開口部領域15a、15bからの90~120度で延伸する。例えば、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、反対の軸方向に実質的に延伸し、例えば、入口流路14の中心に向かって内向きに少々傾斜する。例えば、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、ポート開口部全体の周りに一定である同様の長さを有するように配置される。例えば、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、互いに鏡面対称で、両方向に入口流路14を通過する同様の流量を提供する。第五の実施形態では、第一のスカート16aの自由端は、第二のスカート16bの自由端に実質的に対向し、これらの自由端の間の隙間19は、入口流路14の外周全体の周りに一定である。例えば、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、ポート開口部O1a、O1bの外周全体及び入口流路14を囲んで延伸し、環状の閉ループとして形成される。
【0045】
第五の実施形態では、第一のプレート12a及び第二のプレート12bのポート開口部領域15a、15bは、同様であり、互いに整列し、孔18に近いほど幅が小さくなるように形成される。ポート開口部領域15a、15bは、平坦であり、半径方向に延伸し、例えば、プレート12a、12bの平面において延伸するか、又はプレート12a、12bの平面に平行に延伸する。第一のプレート12a及び第二のプレート12bの第一のポート開口部O1a、O1bは、互いに整列し、ポート開口部領域15a、15bにおいて偏心して配置されるため、チャンバ17は、孔18に向かって、第一のプレート間隔13a及び第二のプレート間隔13bのうちの一方内に先細りになる。孔18を除き、チャンバ17は、上述した密封領域20により、第一のプレート間隔13a及び第二のプレート間隔13bのうちの他方から閉鎖される。チャンバ17は、孔18に近いほど断面積が小さくなり、孔18から離れるほど断面積が大きくなる。例えば、第一のポート開口部O1a、O1bは、ポート開口部領域15a、15bにおいて偏心して配置されるため、チャンバ17は、孔18に向かう方向に先細りになる。例えば、プレート12a、12bのポート開口部領域15a、15bは、円形又は楕円形であり、第一のポート開口部O1a、O1bは、円形又は楕円形であり、ポート開口部領域15a、15bにおいて偏心して配置される。
【0046】
図16~22に示すように、本発明の第六の実施形態を概略的に示す。第六の実施形態において、第一のプレート12a及び第二のプレート12bの第一のポート開口部O1a、O1bは、非円形であり、互いに関して半径方向に延伸する凸部22a、22b及び凹部23a、23bを形成する。あるいは、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、第一のポート開口部O1a、O1bの形状に実質的に沿って対応して形成される。したがって、第一のポート開口部O1a及び第一のスカート16aは、凸部22a及び凹部23aで形成され、第二のポート開口部O1b及び第二のスカート16bは、凸部22b及び凹部23bで形成される。上述したように、スカート16a、16bは、反対の方向に実質的に軸方向に延伸し、内向きに傾斜してもよい。凸部22a、22b及び凹部23a、23bは、入口流路14の外周を囲んで交互に配置される。凸部22a、22b及び凹部23a、23bは、湾曲し、多角形の形状で波状に形成されてもよく、多角形の各角は、凹部23a又は凹部23bに対応し、凹部23a、23bの間にそれぞれ凸部22a又は22bを有する。例えば、このような多角形類似形状は、4~10個の角を有してもよく、例えば、6つの凸部22a、22b及び6つの凹部23a、23bを有する示された六角形である。例えば、凸部22a、22b及び凹部23a、23bは、ポート開口部O1a、O1bの外周及びスカート16a、16bを囲んで均等に分布する。したがって、第一のスカート16a及び第二のスカート16bは、周方向に波状の管部として配置される。
【0047】
第一のプレート12aの凸部22aは、第二のプレート12bの凹部23bに位置し、逆の場合も同じである。したがって、凸部22a、22b及び凹部23a、23bは、また、軸方向に交互する。第一のプレート12aの凸部22aは、軸方向に互いに整列し、第一のプレート12aの凹部23aは、互いに整列する。同様に、第二のプレート12bは、凸部22bが軸方向に互いに整列し、その凹部23bが互いに整列する。例えば、凸部22a、22b及び凹部23a、23bの頻度は、第一のプレート12a及び第二のプレート12bの両方について同様であるが、互いに関して外周を囲んでずれる。したがって、凸部22a、22b及び凹部23a、23bのパターンは、入口流路14を通る軸線Aを囲んで互いに関してずれるため、第一のプレート12aの凸部22aは、第二のプレート12bの凹部23bの軸方向における両側に配置される。同様に、第二のプレート12bの凸部22bは、第一のプレート12aの凹部23aの軸方向における両側に配置される。したがって、凸部22a、22bは、半径方向に入口流路14内に突出して、流体の流れをチャンバ17に案内する。例えば、凸部及び凹部は、スカートに沿って、例えば、その外周全体に沿って均等に分布する。
【0048】
例えば、第六の実施形態では、入口流路14とチャンバ17との間の半径方向隙間21は、隣接するプレート12a、12bの交互に重なる凸部22a、22b及び凹部23a、23bにより、入口流路14の外周を囲んで変化する。スカート16a、16bの自由端の間の距離は、軸方向に一定であってもよく、半径方向に変化し、半径方向隙間21は、対向するスカート16a、16bの自由端が互いに近いほど小さくなることから、対向するスカート16a、16bの自由端が互いに遠いほど大きくなることまで、交互に変化する。半径方向隙間21は、スカート16a、16bの自由端が互いに対向する位置でのゼロから、凸部22a、22bの中心点が隣接するプレート12a、12bの凹部23a、23bの中心点と整列する位置での最大のサイズまで、交互に変化する。例えば、軸方向隙間19は、一定であり、非常に小さくてもよい。
【国際調査報告】