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特表2024-508392変性グアユール樹脂生成物及び関連するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】変性グアユール樹脂生成物及び関連するプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/64 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
C08G18/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547617
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-02
(86)【国際出願番号】 US2022070562
(87)【国際公開番号】W WO2022170364
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,948
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デデッカー,マーク エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】サラマント,ウォルター エー.
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034EA18
4J034HA01
4J034HA04
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB03
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB12
4J034HB15
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB19
(57)【要約】
【解決手段】 変性グアユール樹脂生成物及び変性グアユール樹脂生成物を調製するための関連するプロセスが本明細書に開示される。変性グアユール樹脂生成物は、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、少なくとも1つの官能基は、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される。第2の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物を調製するためのプロセスであって、(アルゲンタチンの混合物を含む)グアユール樹脂成分が、イソシアネート含有官能化用化合物と混合されて、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む変性グアユール樹脂を生成する、プロセスが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性グアユール樹脂生成物であって、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、前記少なくとも1つの官能基が、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される、変性グアユール樹脂生成物。
【請求項2】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、モノイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせ、好ましくは、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項3】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、脂肪族又は脂環式、好ましくは4~20個の炭素原子を有する脂肪族又は脂環式であり、より好ましくは、トリメチレンジイソシアネート(1,3-ジイソシアノプロパン)、テトラメチレンジイソシアネート(1,4-ジイソシアノブタン)、ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-ジイソシアナトペンタン)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、オクタメチレン1,8-ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート(1,9-ジイソシアノトノナン)、デカメチレンジイソシアネート(1,10-ジイソシアナトデカン)、ドデカメチレンジイソシアネート(1,12-ジイソシアナトドデカン)、テトラデカメチレンジイソシアネート(1,14-ジイソシアナトテトラデカン)、シクロヘキサンジイソシアネート(例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、又は2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン)、ジシクロヘキサンメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン及び又は2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、(2,4,6-トリオキソトリアジン-1,3,5(2H,4H,6H)-トリイル)トリス(ヘキサメチレン)イソシアネート、(1,3,5-トリス(6-イソシアントヘキシル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(HDIイソシアヌレートとしても知られている)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項4】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、芳香族化合物、好ましくは6~20個の炭素原子を有する芳香族化合物であり、より好ましくは、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネートである)、キシリレンジイソシアネート、ナフチルイソシアネート(例えば、1-ナフチルイソシアネート及び2-ナフチルイソシアネート)、ナフチルジイソシアネート(NDIとしても知られており、一般的な形態は、1,5-ナフタレンジイソシアネートである)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである)、3,3’-メチレンジトルエン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート-トリメチロールプロパン付加物、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビウレット(HDIビウレット)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項5】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、ジイソシアネートであり、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン又はHDI)、ジシクロヘキサンメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン又はHMDI、及び2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネートである)、ナフチルジイソシアネート(NDIとしても知られており、一般的な形態は、1,5-ナフタレンジイソシアネートである)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項6】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、トリイソシアネートであり、好ましくは、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項7】
1~100℃、好ましくは30~90℃、より好ましくは40~80℃のTgを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項8】
前記変性グアユール樹脂が、1,000~10,000グラム/モル、好ましくは1,000~5,000グラム/モルのMn、及び/又は2,000~15,000グラム/モルのMwを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項9】
[アルゲンタチン-FC]n(式中、FCが、アルゲンタチンに結合した前記イソシアネート含有官能化用化合物を表し、nが、2~50、好ましくは2~25の整数である)のオリゴマー形態が、前記変性グアユール樹脂生成物の重量による主成分を表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項10】
前記変性グアユール樹脂生成物の重量による過半量、好ましくは少なくとも60重量%が、[アルゲンタチン-FC]n(式中、FCが、アルゲンタチンに結合した前記イソシアネート含有官能化用化合物を表し、nが、2~50、好ましくは2~25の整数である)のオリゴマー形態で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物は、それらの-OH基からの水素原子の少なくとも50%、好ましくは60~90%が、前記イソシアネート含有官能化用化合物からのイソシアネート基で置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項12】
10重量%未満、好ましくは5重量%未満のグアユールゴムが、前記変性グアユール樹脂生成物中に存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物が、前記変性グアユール樹脂生成物の重量による過半量、より好ましくは前記変性グアユール樹脂生成物の少なくとも60重量%又は60~95重量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物が、前記変性グアユール樹脂生成物の重量による主成分、好ましくは少なくとも40重量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物を調製するためのプロセスであって、
a.-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含むグアユール樹脂成分を提供することと、
b.前記グアユール樹脂成分を前記イソシアネート含有官能化用化合物と混合することと、
c.前記イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む、前記変性グアユール樹脂生成物を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項16】
前記-OH基を有するアルゲンタチンの混合物が、前記グアユール樹脂成分の重量による主成分、好ましくは少なくとも40重量%である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記-OH基を有するアルゲンタチンの混合物が、前記グアユール樹脂成分の重量による過半量、より好ましくは前記グアユール樹脂成分の少なくとも60重量%又は60~90重量%を構成する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、1/4~4/1、好ましくは1/3~3/1の比、より好ましくは1/2~2/1の比の前記官能化用化合物からのイソシアネート基と、前記アルゲンタチンの混合物からの-OH基とのモル当量比を提供するのに十分な量で使用される、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記グアユール樹脂成分を前記イソシアネート含有官能化用化合物と混合した後に、好ましくは20~100℃の温度に熱が加えられる、請求項15~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、変性グアユール樹脂生成物及び変性グアユール樹脂生成物を調製する関連するプロセスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
グアユール植物(Parthenium argentatum)は、ゴム及び樹脂を産生する木質の低木様植物である。グアユール植物からゴムを単離することを目的とするプロセスでは、副産物としてかなりの量のグアユール樹脂が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
変性グアユール樹脂生成物及び変性グアユール樹脂生成物を調製する関連するプロセスが本明細書に開示される。
【0004】
第1の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物が提供される。変性グアユール樹脂生成物は、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、少なくとも1つの官能基は、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される。
【0005】
第2の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物を調製するプロセスが提供される。第2の実施形態のプロセスによれば、-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含むグアユール樹脂成分が提供される。グアユール樹脂成分は、イソシアネート含有官能化用化合物と混合されて、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む変性グアユール樹脂を生成する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
変性グアユール樹脂生成物及び変性グアユール樹脂生成物を調製する関連するプロセスが本明細書に開示される。
【0007】
第1の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物が提供される。変性グアユール樹脂生成物は、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、少なくとも1つの官能基は、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される。
【0008】
第2の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物を調製するプロセスが提供される。第2の実施形態のプロセスによれば、-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含むグアユール樹脂成分が提供される。グアユール樹脂成分は、イソシアネート含有官能化用化合物と混合されて、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む変性グアユール樹脂を生成する。
【0009】
定義
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0010】
本明細書で使用される場合、「-OH基」という用語は、アルコール基として炭素原子に結合している-OH基(例えば、アルゲンタチン分子と同様)を含むが、カルボキシル基(すなわち、-COOH)の一部として炭素原子に結合している-OH基を含まないことが意図される。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「過半量」という用語は、50%超(例えば、少なくとも50.1%、少なくとも50.5%、少なくとも51%など)を指す。
【0012】
本明細書で使用されるとき、「半量未満」という用語は、50%未満(例えば、49.5%以下、49%以下など)を指す。
【0013】
本明細書で使用されるとき、略記Mnは、数平均分子量に使用される。
【0014】
本明細書で使用されるとき、略記Mpは、ピーク分子量に使用される。
【0015】
本明細書で使用されるとき、略記Mwは、重量平均分子量に使用される。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「天然ゴム」という用語は、Heveaゴムの木などの資源及び非Hevea資源(例えば、グアユール植物及びTKSなどのタンポポ)から採集することができるものなどの天然に存在するゴムを意味する。言い換えれば、「天然ゴム」という用語は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「グアユールゴム」という用語は、グアユール植物から採集された天然ゴムの下位分類である。対照的に、グアユール植物から採集されたものではない天然ゴムは、本明細書では「非グアユール天然ゴム」と呼ばれ、Heveaゴム並びにタンポポなどの他の資源を含み得る。
【0018】
本明細書で使用するとき、「ポリイソプレン」という用語は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、Hevea天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、「ポリイソプレン」という用語は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0019】
変性グアユール樹脂生成物
上述の通り、本明細書に開示される第1の実施形態は、変性グアユール樹脂生成物を対象とし、本明細書に開示される第2の実施形態は、変性グアユール樹脂生成物を調製するプロセスを提供する。第1及び第2の実施形態によれば、変性グアユール樹脂生成物は、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、少なくとも1つの官能基は、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される。少なくとも1つの官能基を有するこのアルゲンタチンの混合物であって、少なくとも1つの官能基がイソシアネート含有官能化用化合物によって提供される、混合物は、本明細書では「官能化アルゲンタチンの混合物」又は単に「官能化アルゲンタチン」とも称される。当業者であれば理解するように、アルゲンタチンは、グアユール樹脂中に天然に存在し、1つ以上の-OH基を(未修飾又は非官能化形態で)含有する化合物のクラスを構成する。これらのアルゲンタチンは、アルゲンタチンA、アルゲンタチンB、アルゲンタチンC、アルゲンタチンD、アルゲンタチンE、及びアルゲンタチンFを含む様々なカテゴリーに分類されている。アルゲンタチンの変性又は官能化は、アルゲンタチン化合物の-OH基からの酸素原子をイソシアネート含有官能化用化合物のイソシアネート基のカルボニル中の炭素原子に結合させることを通して行われる。換言すれば、アルゲンタチン化合物とイソシアネート含有官能化用化合物との間の結合点は、アルゲンタチン化合物の-OH基から酸素原子を介して、官能化用化合物のイソシアネート基のカルボニル中の炭素原子に結合する。非限定的な例として、イソシアネート含有官能性化合物のための(TDIの形態における)ジイソシアネートの使用は、過剰のTDIが存在する場合、以下の変性又は官能化アルゲンタチン構造をもたらし得る。
【0020】
【化1】
【0021】
上記構造(構造I)は、アルゲンタチンAの官能化形態を表し、アルゲンタチンAの-OH基のうちの2つは、イソシアネート含有官能化用化合物のイソシアネート基に(各々)結合している(イソシアネート含有官能化用化合物の分子が示されている)。生じる官能化反応の別の非限定的な例として、イソシアネート含有官能性化合物のための(例えば、TDIの形態における)ジイソシアネートの使用は、過剰のアルゲンタチンAが存在する場合、以下の変性又は官能化アルゲンタチン構造をもたらし得る。
【0022】
【化2】
【0023】
上記構造(構造II)は、アルゲンタチンAの官能化形態を表し、2つのアルゲンタチンA分子は、1つのTDI分子に結合しており、結合は、各アルゲンタチンの1つの-OH基中の水素と、TDIのイソシアネート基中の両方のカルボニル基中の炭素との間で生じる。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態による変性グアユール樹脂生成物は、概して、例えば、-OH基とイソシアネート基との反応を通して、他のアルゲンタチン(又は他の樹脂部分)とイソシアネート含有官能化用化合物との反応からの官能化アルゲンタチン(及び他の樹脂部分)の追加の形態を含有することを理解されたい。これらの他の樹脂部分は、グアユール樹脂中に存在し得、1つ以上の-OH基を含有する追加の成分(例えば、グアユリンC、グアユリンD、パルテニオールなどのセスキテルペン、オイデスモールなどのオイデスマン、並びにタンニン及びフラボノールなどのポリフェノール)を指す。加えて、更なる反応が、アルゲンタチン(又は他の樹脂部分)とイソシアネート含有官能化用化合物との間で生じ、低分子量オリゴマーを提供し得、ここで、アルゲンタチン(又は他の樹脂部分)及びイソシアネート含有官能化用化合物の両方の繰り返し単位が存在する。概して、このような低分子量オリゴマーの分子量は、アルゲンタチンAなどのジ-OHアルゲンタチン、及びTDIなどのジイソシアネートのモル量が比較的等しい(例えば、約1/1の)場合に最大となる。2つ以上の-OH基を含有するアルゲンタチン化合物(又は他の樹脂部分)については、イソシアネート含有官能化用化合物のイソシアネート基への2つ以上の結合点が可能である。-OH基を1つだけ有するアルゲンタチン化合物(又は他の樹脂部分)については、イソシアネート含有官能化用化合物のイソシアネート基への結合点が1つだけ可能であり、したがって、可能なオリゴマー化度が限定され得る。全体として、アルゲンタチンとイソシアネート基(又はより広義には、イソシアネート含有官能化用化合物)との間の結合によって、変性グアユール樹脂生成物がもたらされる。したがって、上記から明らかなように、アルゲンタチン及びイソシアネート含有官能化用化合物の相対量を制御することによって、変性(官能化)アルゲンタチンの構造に影響を及ぼすことが可能であり、その結果、変性グアユール樹脂生成物の分子量に影響を及ぼすことが可能である。
【0024】
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、変性グアユール樹脂の重量による過半量(例えば、51%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又はそれ以上)、好ましくは少なくとも60重量%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%又はそれ以上)を、[アルゲンタチン-FC]n(式中、FCは、アルゲンタチンに結合したイソシアネート含有官能化用化合物を表し、nは、2~50(例えば、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、26、28,30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、又は50)の整数、好ましくは2~25(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)の整数である)のオリゴマー形態(即ち、低分子量オリゴマー)で含有する。前述の重量パーセントは、変性グアユール樹脂生成物の総重量に基づく。
【0025】
第1及び第2の実施形態によれば、アルゲンタチンを官能化するために使用される特定のイソシアネート含有官能化用化合物は、様々であり得る。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、モノイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせであり、各々は、以下でより詳細に考察される。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、好ましくはジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
第1及び第2の実施形態によれば、イソシアネート含有官能化用化合物からの官能基によって置換されるアルゲンタチンの-OH基からの水素原子の質量パーセント又は重量パーセントは、様々であり得る。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、変性グアユール樹脂生成物中の官能化アルゲンタチンの混合物は、少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又はそれ以上)の少なくとも1つの官能基で置換されたそれらの-OH基からのそれらの水素原子、好ましくは60~90%(例えば、60、65、70、75、80、85、又は90%)の少なくとも1つの官能基で置換されたそれらの-OH基からのそれらの水素原子を有する。非限定的な例として、アルゲンタチンを含有する-OH基の混合物を含有する試料中の-OH基の総量が100個の-OH基であった場合、-OH基からの水素原子の55%がイソシアネート基で置換されていることは、100個の-OH基のうちの55個がイソシアネート基で置換された水素原子を有することを意味する。アルコキシシランからの少なくとも1つの官能基によって置換されたアルゲンタチンの混合物の-OH基からの水素原子のパーセントは、アルゲンタチンの混合物の官能化パーセントであるとみなされ得る。換言すれば、それらの-OH基からの水素原子の75%が官能化からの官能基で置換されているアルゲンタチンの混合物は、75%官能化されているとみなされ得る。
【0027】
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、変性グアユール樹脂生成物の特性(例えば、Tg、Mn、及びMw)は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、1~100℃(例えば、1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100℃)のTgを有する。第1及び第2の実施形態のより好ましい実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、30~90℃(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90℃)、更により好ましくは40~80℃(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80℃)のTgを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、1,000~10,000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、9900、又は10000グラム/モル)、好ましくは1,000~5,000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、又は5000グラム/モル)のMnを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、2,000~15,000グラム/モル(例えば、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、10500、11000、11500、12000、12500、13000、13500、14000、14500、又は15000グラム/モル)のMwを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂は、前述の範囲内のMw及びMnを有する。特定のそのような実施形態では、変性グアユール樹脂はまた、前述の範囲のうちの1つ内のTgを有する。Mw及びMn値は、例えば実施例に記載される方法を使用して、GPC分析によって決定され得る(すなわち、ポリスチレン標準物質に対して測定され得る)。Tg値は、TA Instruments(New Castle,Delaware)製などの機器を使用してDSCによって求めることができ、その場合、-120℃で冷却した後に10℃/分の温度上昇を使用して、測定を実施する。その後、正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引く。DSC曲線上の温度(2つの接点の中間に対応する点で読み取る)をTgとして使用することができる。
【0028】
第1及び第2の実施形態によれば、変性グアユール樹脂生成物中に存在するグアユールゴムの量は様々であり得る。当業者であれば理解するように、変性グアユール樹脂生成物中に存在するグアユールゴムの量は、変性グアユール樹脂生成物が調製される由来の(未変性)グアユール樹脂成分中に存在していたグアユールゴムの量に依存することが多い。しかしながら、変性グアユール樹脂生成物中に存在するグアユールゴムの量は、グアユール樹脂成分の官能化後に添加されるグアユールゴムを指すこともある。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、変性グアユール樹脂生成物は、10重量%未満(例えば、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、又はそれ以下)、好ましくは5重量%未満(例えば、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、又はそれ以下)、又は更には1重量%未満のグアユールゴムを含有する。
【0029】
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、変性グアユール樹脂生成物中の官能化アルゲンタチンの重量パーセントは様々であり得る。概して、変性グアユール樹脂生成物中の官能化アルゲンタチン(又は少なくとも1つのイソシアネート基を有するアルゲンタチンの混合物)の重量パーセントは、(未変性)グアユール樹脂成分中に存在した-OH基を有する非官能化アルゲンタチンの重量パーセント及びイソシアネート含有官能化用化合物の量という2つの因子によって影響され、第1の因子は、十分な量のイソシアネート含有官能化用化合物が反応に提供されると仮定すると、より大きな影響を有する。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、官能化アルゲンタチンの混合物は、変性グアユール樹脂生成物の重量での主成分を構成する。主成分とは、変性グアユール樹脂生成物中に存在する異なる成分(例えば、未修飾アルゲンタチン、トリグリセリド、脂肪酸)のうち、最大量で存在する成分が官能化アルゲンタチン成分(これは概して官能化アルゲンタチンの混合物である)であることを意味する。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、官能化アルゲンタチンの混合物(又は少なくとも1つのイソシアネート基を有するアルゲンタチンの混合物)は、変性グアユール樹脂生成物の少なくとも40~65重量%(例えば、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上)、例えば変性グアユール樹脂生成物の40~65重量%、40~60重量%、45~65重量%、及び45~60重量%を構成する。第1及び第2の実施形態の他の好ましい実施形態では、官能化アルゲンタチンの混合物(又は少なくとも1つのイソシアネート官能基を有するアルゲンタチンの混合物)は、変性グアユール樹脂生成物の少なくとも重量による過半量(例えば、51%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、好ましくは変性グアユール樹脂生成物の少なくとも60重量%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、少なくとも70重量%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、例えば変性グアユール樹脂生成物の60~95重量、60~90重量%、60~85重量%、65~95重量%、65~90重量%、65~85重量%、70~95重量、70~90重量%、及び70~85重量%を構成する(含む)。変性グアユール樹脂生成物中の官能化アルゲンタチンの量は、(例えば、ポリスチレン標準物質を含む、実施例に記載される手順を使用して)GPCによって決定され得、そこで、官能化アルゲンタチンは、概して、少なくとも第1の溶出ピーク、及び特定の場合第2の溶出ピークの少なくとも一部によって表される(官能化アルゲンタチンは、概して、以下で考察されるように、1,000~10,000グラム/モルの範囲のMnを有し、したがって、当業者は、このMn範囲内の生成物の量に対応するようにGPC結果を解釈する方法を理解する)。(実施例において考察されるような)GPCによる変性グアユール樹脂生成物の分析では、第1のGPCピークの面積の増加は、概して、グアユールゴムに起因するのではなく、官能化アルゲンタチンに起因すると理解され得る。変性グアユール樹脂生成物はまた、トリグリセリド、脂肪酸、並びに未変性アルゲンタチン及びグアユリンの一部分を含有し得る(相対量は、概して、未変性グアユール樹脂成分中に存在する量及び/又はこのような材料を除去するために変性グアユール樹脂生成物に対して行われる任意の精製プロセスに応じて変動する)。
【0030】
グアユール樹脂成分
上記で考察されたように、第2の実施形態のプロセスは、変性グアユール樹脂生成物を生成するための、官能化用化合物と混合されるグアユール樹脂成分の使用を含む。同様に、第1の実施形態の変性グアユール樹脂生成物は、本明細書で考察される官能化用化合物が使用されるグアユール樹脂成分の官能化バージョンであると理解され得る。上述のように、グアユール樹脂成分は、-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含む(含む)。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、アルゲンタチンの混合物は、グアユール樹脂成分の重量による主成分を構成する。主成分とは、グアユール樹脂成分中に存在する異なる成分(例えば、アルゲンタチン、トリグリセリド、脂肪酸、及び低分子量ゴム)のうち、最大量で存在する成分がアルゲンタチン成分(これは概してアルゲンタチンの混合物である)であることを意味する。第1及び第2の実施形態の特定のより好ましい実施形態では、少なくとも1つの-OH基を有するアルゲンタチンの混合物は、グアユール樹脂成分の少なくとも40~65重量%(例えば、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上)、例えばグアユール樹脂成分の40~65重量%、40~60重量%、45~65重量%、及び45~60重量%を構成する。第1及び第2の実施形態の他の好ましい実施形態では、少なくとも1つの-OH基を有するアルゲンタチンの混合物は、グアユール樹脂成分の重量による過半量(例えば、51%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、好ましくはグアユール樹脂成分の少なくとも60重量%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、少なくとも70重量%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)、例えばグアユール樹脂成分の60~95重量%、60~90重量%、60~85重量%、65~95重量%、65~90重量%、65~85重量%、70~95重量%、70~90重量%、及び70~85重量%を構成する。概して、グアユール樹脂のアルゲンタチン成分を他の天然に存在する成分から分離することが困難であることに起因して、-OHを有するアルゲンタチンを構成するグアユール樹脂成分の重量パーセントは、100%未満になる。グアユール樹脂成分中に存在し得る他の樹脂部分としては、グアユリンC、グアユリンDなどの他の-OH基含有部分、パルテニオールなどのセスキテルペン、オイデスモールなどのオイデスマン、並びにタンニン及びフラボノールなどのポリフェノールが挙げられるが、これらに限定されず、概して、グアユール樹脂成分中のこのような他の-OH基含有部分の総量は、-OH基含有アルゲンタチンの総重量パーセント未満である。グアユール樹脂成分はまた、グアユリンA、グアユリンB、トリグリセリド、及び-OH基非含有テルペン化合物などの他の非反応性部分を含有し得、概して、このような非反応性グアユール部分の総量は、-OH基含有アルゲンタチンの総重量パーセント未満である。
【0031】
第1及び第2の実施形態によれば、グアユール樹脂成分中に存在するグアユールゴムの量は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、グアユール樹脂成分は、10重量%未満(例えば、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、又はそれ以下)、好ましくは5重量%未満(例えば、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、又はそれ以下)、又は更には1重量%未満のグアユールゴムを含有する。
【0032】
官能化用化合物
上記で考察されたように、第1及び第2の実施形態によれば、官能化用化合物は、イソシアネート含有化合物である。第1及び第2の実施形態によれば、アルゲンタチンを官能化するために使用される特定のイソシアネート含有官能化用化合物は、様々であり得る。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、モノイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせであり、各々は、以下でより詳細に考察される。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、好ましくはジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせである。
【0033】
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、脂肪族又は脂環式である。言い換えれば、脂肪族イソシアネート含有官能化用化合物は、直鎖又は分岐炭素鎖に結合しているイソシアネート基(のみ)を排他的に有するものとして理解され得、脂環式イソシアネート含有化合物は、少なくとも1つの脂環式環系に結合したイソシアネート基を有するものとして理解され得る。イソシアネート含有官能化用化合物が脂肪族又は脂環式である場合、第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、少なくとも1つのイソシアネート官能基と、4~20個の炭素原子(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する芳香族基とを含有する芳香族化合物である。イソシアネート含有官能化用化合物が脂肪族又は脂環式である場合、第1及び第2の実施形態のより好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、トリメチレンジイソシアネート(1,3-ジイソシアノプロパンとしても知られている)、テトラメチレンジイソシアネート(1,4-ジイソシアノブタンとしても知られている)、ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-ジイソシアナトペンタンとしても知られている)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサンとしても知られている)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、オクタメチレン1,8-ジイソシアネート、ノナメチレン1,9-ジイソシアネート(1,9-ジイソシアノノナンとしても知られている)、デカメチレン1,10-ジイソシアネート(1,10-ジイソシアナトデカンとしても知られている)、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート(1,12-ジイソシアナトドデカンとしても知られている)、テトラデカメチレン1,14=ジイソシアネート(1,14-ジイソシアナトテトラデカンとしても知られている)、シクロヘキサンジイソシアネート(例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、又は2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン)、ジシクロヘキサンメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン及び/又は2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート(IPDIとしても知られている)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDIとしても知られている)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,6-トリオキソトリアジン-1,3,5(2H,4H,6H)-トリイル)トリス(ヘキサメチレン)イソシアネート、1,3,5-トリス(6-イソシアントヘキシル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(HDIイソシアヌレートとしても知られている)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、芳香族である。換言すれば、芳香族イソシアネート含有官能化用化合物は、少なくとも1つの芳香族環系に結合した少なくとも1つのイソシアネート基を有するものとして理解され得る。イソシアネート含有官能化用化合物が芳香族である場合、第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、少なくとも1つのイソシアネート官能基と、6~20個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する芳香族基とを含有する芳香族化合物である。イソシアネート含有官能化用化合物が芳香族である場合、第1及び第2の実施形態のより好ましい実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネートである)、キシリレンジイソシアネート、ナフチルイソシアネート(例えば、1-ナフチルイソシアネート及び2-ナフチルイソシアネート)、ナフチルジイソシアネート(NDIとしても知られており、一般的な形態は、1,5-ナフタレンジイソシアネートである)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである)、3,3’-メチレンジトルエン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート-トリメチロールプロパン付加物、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビウレット(HDIビウレット)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、ジイソシアネートである。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物としてジイソシアネートを使用することが、このような化合物の市販に起因して好ましい場合がある。第1及び第2の実施形態によれば、1つ又は2つ以上のジイソシアネートがイソシアネート含有官能化用化合物として使用され得る。加えて、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、少なくとも1つのジイソシアネート化合物と少なくとも1つのトリイソシアネート化合物との組み合わせであり、特定のこのような実施形態では、少なくとも1つのジイソシアネート化合物は、イソシアネート含有官能化用化合物の総量に基づいて(重量による)過半量で存在する。イソシアネート含有官能化用化合物として使用するのに好適な例示的なジイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート(1,3-ジイソシアノプロパンとしても知られている)、テトラメチレンジイソシアネート(1,4-ジイソシアノブタンとしても知られている)、ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-ジイソシアナトペンタンとしても知られている)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン又はHDIとしても知られている)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、オクタメチレン1,8-ジイソシアネート、ノナメチレン(1,9-ジイソシアノトノナンとしても知られている)、デカメチレン(1,10-ジイソシアネートデカンとしても知られている)、ドデカメチレン(1,12-ジイソシアネートドデカンとしても知られている)、テトラデカメチレン(1,14-ジイソシアネートテトラデカンとしても知られている)、シクロヘキサンジイソシアネート(例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、又は2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン)、ジシクロヘキサンメタンジイソシアネート(例えば、4,4′-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン(HMDIとしても知られている)及び/又は2,4′-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート(IPDIとしても知られている)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDIとしても知られている)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネートである)、キシリレンジイソシアネート、ナフチルイソシアネート(例えば、1-ナフチルイソシアネート及び2-ナフチルイソシアネート)、ナフチルジイソシアネート(NDIとしても知られており、一般的な形態は、1,5-ナフタレンジイソシアネートである)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートである)、3,3′-メチレンジトルエン-4,4′-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート-トリメチロールプロパン付加物、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。イソシアネート含有官能化用化合物がジイソシアネートである場合、第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、それは、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン又はHDIとしても知られている)、ジシクロヘキサンメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン又はHMDI、及び2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン)、イソホロンジイソシアネート(IPDIとしても知られている)、トルエンジイソシアネート(TDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネートである)、ナフチルジイソシアネート(NDIとしても知られており、一般的な形態は、1,5-ナフタレンジイソシアネートである)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIとしても知られており、一般的な形態は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0036】
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、トリイソシアネートである。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物としてトリイソシアネートを使用することが好ましい場合があり、その理由は、このような化合物が、オリゴマー化又は重合(モノイソシアネート化合物で起こり、トリイソシアネート化合物よりもジイソシアネート化合物で起こる可能性が高い)の停止を引き起こすことなく、グアユール不純物又はモノ-OHグアユール樹脂部分の一部と反応するそれらの3つのイソシアネート基の能力を通して利益を提供し得るからである。第1及び第2の実施形態によれば、1つ又は2つ以上のトリイソシアネートがイソシアネート含有官能化用化合物として使用され得る。加えて、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、イソシアネート含有官能化用化合物は、少なくとも1つのトリイソシアネート化合物と少なくとも1つのジイソシアネート化合物との組み合わせであり、特定のこのような実施形態では、少なくとも1つのジイソシアネート化合物は、イソシアネート含有官能化用化合物の総量に基づいて(重量による)過半量で存在する。イソシアネート含有官能化用化合物がジイソシアネートである場合、第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、それは、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
変性グアユール樹脂生成物を調製するプロセス
上記の通り、本明細書において開示される第2の実施形態は、変性グアユール樹脂生成物を調製するプロセスを対象とする。概して、第2の実施形態のプロセスによれば、-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含むグアユール樹脂成分であって、出発生成物であるとみなすことができる、グアユール樹脂成分が提供される。アルゲンタチンの-OH基は、アルゲンタチン構造の固有の部分として理解されるべきであり、更に、以下に考察されるように、イソシアネート含有官能化用化合物に結合するための部位を提供する。第2の実施形態のプロセスによれば、グアユール樹脂成分は、(上記で詳細に考察されたように)イソシアネート含有官能化用化合物と混合されて、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む変性グアユール樹脂生成物を生成する。
【0038】
変性グアユール樹脂生成物(又は、より具体的には、その中の官能化アルゲンタチン)を調製するために使用されるイソシアネート含有官能化用化合物の量は、第2の実施形態のプロセスに従って様々であり得る。概して、官能化用化合物の量は、官能化用化合物からの(総)イソシアネート基と、アルゲンタチンの混合物中の-OH基含有アルゲンタチンからの(総)-OH基とのモル当量比として計算され得る。したがって、相対的により多くのイソシアネート基(例えば、2又は3)を有するイソシアネート含有化合物の使用は、所与の量の-OH基含有アルゲンタチンの等価官能化パーセントを生成するために、(1つのイソシアネート基のみを有する)モノイソシアネート化合物と比較して、より少ないモルのそのイソシアネート含有化合物の使用を必要とし得る。第2の実施形態の特定の実施形態では、官能化用化合物は、イソシアネート基と-OH基含有アルゲンタチンからの-OH基とのモル比を、1/4~4/1(例えば、1/4、1/3.5、1/3、1/2.5、1/2、1/1.5、1/1、1.5/1、2/1、2.5/1、3/1、3.5/1、又は4/1)、より好ましくは1/3~3/1、更により好ましくは1/2x~2/1の比で提供するのに十分な量で使用される。第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では(例えば、イソシアネート含有官能化用化合物がジイソシアネートである場合)、官能化用化合物は、イソシアネート含有官能化用化合物からのジイソシアネート基と、グアユール樹脂成分のアルゲンタチンA部分からのジ-OH基とのモル当量比を(各ジイソシアネート分子は、2つのイソシアネート基を含有し、各アルゲンタチンA分子は、2つの-OH基を含有するので、この比は、ジイソシアネートとアルゲンタチンAとのモル比としても理解され得る)、1/6~6/1(例えば、1/6、1/5.5、1/5、1/4.5、1/4、1/3.5、1/3、1/2.5、1/2、1/1.5、1/1、1.5/1、2/1、2.5/1、3/1、3.5/1、4/1、4.5/1、5/1、5.5/1、又は6/1)、より好ましくは1/3~3/1(例えば、1/3、1/2.5、1/2、1/1.5、1/1、1.5/1、2/1、2.5/1、又は3/1)、更により好ましくは1/2~2/1(例えば、1/2、1/1.9、1/1.8、1/1.7、1/1.6、1/1.5、1/1.4、1/1.3、1/1.2、1/1.1、1/1、1.1/1、1.2/1、1.3/1、1.4/1、1.5/1、1.6/1、1.7/1、1.8/1、1.9/1、又は2/1)のアルゲンタチンの混合物において提供するのに十分な量で使用される。特定の実施形態では、グアユール樹脂成分中の-OH基含有アルゲンタチンの重量又は量のいずれかによる大部分(例えば、60%以上、70%以上、80%以上など)がアルゲンタチンA型であるため、前述の比では、アルゲンタチンAの量(モル)が参照される。当業者が理解するように、イソシアネート含有官能化用化合物がトリイソシアネートである実施形態では、-OH基含有アルゲンタチン(又は他の-OH基含有樹脂部分)の同じ所与の部分を官能化するために、いくらか少ない官能化用化合物の使用が必要とされ、例えば、1/6~3/1(若しくはその範囲内の比)、1/4~3/1(若しくはその範囲内の比)、又は1/2~2/1(若しくはその範囲内の比)である。
【0039】
第2の実施形態のプロセスの特定の好ましい実施形態では、グアユール樹脂成分をイソシアネート含有官能化用化合物と混合した後に熱が加えられる。熱が加えられる第2の実施形態のそれらの実施形態では、混合物(すなわち、イソシアネート含有官能化用化合物、グアユール樹脂成分、及び任意選択的に酸の混合物)が加熱される温度は、様々であり得、好ましい実施形態では、混合物は、20~100℃(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100℃)の温度まで加熱される。
【実施例
【0040】
以下の実施例は、本開示の特定の及び例示的な実施形態、並びに/又は実施形態の特徴を例示するものである。実施例は、単に例示の目的で提供されており、本開示を限定するものとして解釈すべきでない。本開示の実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの具体的な実施例に対する多くの変更が可能である。上述の通り、異なる量のグアユール樹脂成分(異なる量のアルゲンタチンを含有する)を使用して、また、上述の通り、異なる量又は種類の官能化用化合物を使用して、変性グアユール樹脂生成物を調製できることが具体的に理解されるべきである。
【0041】
実施例1(変性グアユール樹脂生成物の生成):グアユール樹脂の一部(グアユール樹脂成分)を、2,4-トルエンジイソシアネート(すなわち、TDI)(純度95%、Aldrichから入手、分子量174.2グラム/モル)の形態における官能化用化合物の様々な量と混合した。グアユール樹脂成分は、約76重量%のアルゲンタチン及びの約5重量%の低分子量ゴム(低分子量GPCによって決定される)を含有していた。官能化用化合物の一部をグアユール樹脂の一部に添加した。実施例1-Aについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、0.25/1(又は1/4)であり、実施例1-Bについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、0.5/1(又は1/2)であり、実施例1-Cについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、0.75/1(又は1/1.3)であった。計算を容易にするために、グアユール樹脂は、アルゲンタチンの混合物を含有していたが、モル(モル比について)は、アルゲンタチンAの分子量(472.7グラム/モル)を使用し、76重量%のアルゲンタチンの全てがアルゲンタチンAの形態であると仮定して計算した。グアユール樹脂中のアルゲンタチンは、主にアルゲンタチンAとアルゲンタチンB(それぞれ472.7及び470.7グラム/モルの分子量を有する)との混合物であると理解されていたので、この仮定を使用したパーセント誤差は、最小であった。混合物をホットプレート上の水浴中で約1時間加熱し、次いで110℃の真空オーブン内に置いて、溶媒を除去し、官能化グアユール樹脂生成物を単離した。以下の表1は、グアユール樹脂成分の特性と比較した変性グアユール樹脂生成物の特性の変化を示し、この変化は、グアユール樹脂成分中のアルゲンタチンと官能化用化合物との反応に起因すると考えられる。表1のデータから見られるように、変性グアユール樹脂生成物(すなわち、実施例1-A、1-B、及び1-C)の各々について、より高いMn及びMw値を有する材料の重量パーセントは、(高分子量成分1及び2のより大きな面積パーセントによって証明されるように)未変性形態のグアユール樹脂成分についての対応する値と比較して、全て増加している。より高いMn及びMw成分(すなわち、高分子量(HMW)成分1及び2)の重量パーセントのこの増加は、グアユール樹脂からのアルゲンタチンによるジイソシアネートのオリゴマー化に起因する。-68.1℃のTgが未変性樹脂成分において検出され、これは、樹脂成分中の少量のグアユールゴムの存在に起因する。17.4℃、53.5℃、及び54.8℃のTg値が、変性グアユール樹脂生成物において観察され、これは、グアユール樹脂中のアルゲンタチンによるジイソシアネートのオリゴマー化に起因する。TgをDSCによって決定し、分子量値を(TOSOHカラム及び低分子量(LMW)TOSOHカラム、溶出溶媒としてのTHF、及びポリスチレン標準物質を用いて)GPCを使用して測定した。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例2(変性グアユール樹脂生成物の生成):グアユール樹脂の一部(グアユール樹脂成分)を、官能化用化合物としてTDIの様々な量と混合した。実施例2で使用されたグアユール樹脂成分は、実施例1で使用されたグアユール樹脂成分とは異なっていた。実施例2については、グアユール樹脂成分の主成分は、アルゲンタチンの混合物であり、グアユール樹脂は、約50重量%のアルゲンタチンを含有し、(低分子量GPCによって決定される)検出可能な量のグアユールゴムを含有しなかった。実施例2-Aについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、0.9/1(又は1/1.1)であり、実施例2-Bについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、1/1であり、実施例2-Cについては、アルゲンタチンとTDIとのモル比は、1.1/1(又は1/0.9)であった。混合及び加熱は、実施例1と同じであった。以下の表2は、グアユール樹脂成分の特性と比較した変性グアユール樹脂生成物の特性の変化を示し、この変化は、グアユール樹脂成分中のアルゲンタチンと官能化用化合物との反応に起因すると考えられる。表2のデータから見られるように、変性グアユール樹脂生成物(すなわち、実施例2-A、2-B、及び2-C)の各々について、より高いMn及びMw値を有する材料の重量パーセントは、(高分子量成分1及び2のより大きな面積パーセントによって証明されるように)未変性形態のグアユール樹脂成分についての対応する値と比較して、全て増加している。より高いMn及びMw成分(高分子量(HMW)成分1及び2)の重量パーセントのこの増加は、グアユール樹脂からのアルゲンタチンによるジイソシアネートのオリゴマー化に起因する。未変性グアユール樹脂のHMW成分1のN/D表記は、ピークが検出されなかったことを示す。未変性樹脂成分において41.1℃のTgが検出され、変性グアユール樹脂生成物において約64℃のTg値に増加することが見出され、これは、グアユール樹脂におけるジイソシアネートとアルゲンタチンとのオリゴマー化に起因する。TgをDSCによって決定し、分子量値を(TSOHカラム及びLMW TOSOHカラム、溶出溶媒としてのTHF、及びポリスチレン標準物質を用いて)GPCを使用して測定した。
【0044】
【表2】
【0045】
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0046】
全般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するであろう。例えば、「含む」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「挙げられる」という用語は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかし、そのような語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される数を意味するものと典型的には解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、全般的に、このような構成は、当業者がその慣例表現を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。特許、特許出願、及び非特許文献を含むがこれらに限定されない全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性グアユール樹脂生成物であって、少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物を含み、前記少なくとも1つの官能基が、イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される、変性グアユール樹脂生成物。
【請求項2】
前記イソシアネート含有官能化用化合物が、モノイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項3】
前記変性グアユール樹脂生成物の重量による過半量、好ましくは少なくとも60重量%が、[アルゲンタチン-FC]n(式中、FCが、アルゲンタチンに結合した前記イソシアネート含有官能化用化合物を表し、nが、2~50の整数である)のオリゴマー形態で存在する、請求項1又は2に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの官能基を有するアルゲンタチンの混合物が、前記変性グアユール樹脂生成物の60~95重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の変性グアユール樹脂生成物を調製するためのプロセスであって、
a.-OH基を有するアルゲンタチンの混合物を含むグアユール樹脂成分を提供することと、
b.前記グアユール樹脂成分を前記イソシアネート含有官能化用化合物と混合することと、
c.前記イソシアネート含有官能化用化合物によって提供される少なくとも1つの官能基を有する官能化アルゲンタチンを含む、前記変性グアユール樹脂生成物を生成することと、を含む、プロセス。

【国際調査報告】