(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】半導体レーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/12 20210101AFI20240219BHJP
【FI】
H01S5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548327
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022020296
(87)【国際公開番号】W WO2022197646
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518066415
【氏名又は名称】マコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, イーファン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, マルコム アール.
(72)【発明者】
【氏名】パルツ, ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】フー, リーファ
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA08
5F173AA22
5F173AB13
5F173AB14
5F173AB23
5F173AB24
5F173AR14
5F173AR36
(57)【要約】
長手方向軸線、第1のファセット端、及び第2のファセット端を有する活性領域を有する半導体レーザが開示される。第2のファセット端は、各半導体レーザから主出力光線を放出する。第1のファセット端は、低反射率被膜を有していてもよい。第1のファセット端は、活性領域の前記長手方向軸線と非垂直であってもよい。これらの半導体レーザは、活性領域の長手方向軸線に沿って複数の回折格子を有する分散フィードバック(DFB)レーザであってもよい。複数の回折格子には、3つの異なる格子を含んでいてもよい。第1の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第1の距離だけ離隔していてもよい。第2の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第2の距離だけ離隔していてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザであって、
長手方向軸線、第1のファセット端、及び第2のファセット端を有する活性領域であって、前記第2のファセット端が、当該半導体レーザからの出力光線を放出する、活性領域と、
前記活性領域の前記第1のファセット端に設けられた第1の低反射率被膜と、
前記活性領域の前記第2のファセット端に設けられた第2の低反射率被膜と、
前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された複数の回折格子であって、前記活性領域の前記第1のファセット端に近接して配置された第1の回折格子と、前記活性領域の前記第2のファセット端に近接して配置された第2の回折格子と、前記第1の回折格子と前記第2の回折格子との間に配置された第3の回折格子と、を含み、前記第1の回折格子が、前記第3の回折格子から前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って第1の距離だけ離隔し、前記第2の回折格子が、前記第3の回折格子から前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って第2の距離だけ離隔し、前記第1の距離及び前記第2の距離がそれぞれ、ゼロよりも大きい、複数の回折格子と、
を備えた、半導体レーザ。
【請求項2】
前記活性領域の前記長手方向軸線に沿った前記第3の回折格子の中間点が、前記活性領域の前記第1のファセット端よりも前記活性領域の前記第2のファセット端の近くに配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔がおよそ30%~およそ70%の範囲内で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項4】
前記第3の回折格子の前記中間点が、前記第1のファセット端からの前記活性領域の長さのおよそ60%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項2に記載の半導体レーザ。
【請求項5】
前記第3の回折格子が、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、前記第3の回折格子の前記第2の端部が、前記第3の回折格子の前記第1の端部よりも前記活性領域の前記第2のファセット端から2倍超遠く、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項2に記載の半導体レーザ。
【請求項6】
前記第3の回折格子の前記中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項2に記載の半導体レーザ。
【請求項7】
前記第3の回折格子が、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、前記第3の回折格子の前記第2の端部が、前記活性領域の前記第2のファセット端から前記第3の回折格子の前記第1の端部よりも前記活性領域の前記第2のファセット端から2倍超遠く、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項8】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項9】
前記第1の回折格子のそれぞれが、第1の一定ピッチを有し、前記第2の回折格子が、第2の一定ピッチを有する、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項10】
前記第1の一定ピッチが、前記第2の一定ピッチに等しい、請求項9に記載の半導体レーザ。
【請求項11】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも47%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項12】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも53%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項13】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも60%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項14】
前記第3の回折格子が、波形ピッチ変調回折格子である、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項15】
前記第3の回折格子が、4分の1波長シフト格子構造である、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項16】
半導体レーザであって、
長手方向軸線、第1のファセット端、及び第2のファセット端を有する活性領域であって、前記第1のファセット端が、前記長手方向軸線と非垂直で、前記第2のファセット端が、当該半導体レーザから出力ビームを放出する、活性領域と、
前記活性領域の前記第2のファセット端に設けられた第1の低反射率被膜と、
前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された複数の回折格子であって、前記活性領域の前記第1のファセット端に近接して配置された第1の回折格子と、前記活性領域の前記第2のファセット端に近接して配置された第2の回折格子と、前記第1の回折格子と前記第2の回折格子との間に配置された第3の回折格子と、を含み、前記第1の回折格子が、前記第3の回折格子から前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って第1の距離だけ離隔し、前記第2の回折格子が、前記第3の回折格子から前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って第2の距離だけ離隔し、前記第1の距離及び前記第2の距離がそれぞれ、ゼロよりも大きい、複数の回折格子と、
を備えた、半導体レーザ。
【請求項17】
前記活性領域の前記長手方向軸線に沿った前記第3の回折格子の中間点が、前記活性領域の前記第1のファセット端よりも前記活性領域の前記第2のファセット端の近くに配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項18】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔がおよそ30%~およそ70%の範囲内で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項19】
前記第3の回折格子の前記中間点が、前記第1のファセット端からの前記活性領域の長さのおよそ60%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項17に記載の半導体レーザ。
【請求項20】
前記第3の回折格子が、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、前記第3の回折格子の前記第2の端部が、前記活性領域の前記第2のファセット端から前記第3の回折格子の前記第1の端部よりも前記活性領域の前記第2のファセット端から2倍超遠く、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項17に記載の半導体レーザ。
【請求項21】
前記第3の回折格子の前記中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項17に記載の半導体レーザ。
【請求項22】
前記第3の回折格子が、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、前記第3の回折格子の前記第2の端部が、前記活性領域の前記第2のファセット端から前記第3の回折格子の前記第1の端部よりも前記活性領域の前記第2のファセット端から2倍超遠く、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項23】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項24】
前記第1の回折格子のそれぞれが、第1の一定ピッチを有し、前記第2の回折格子が、第2の一定ピッチを有する、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項25】
前記第1の一定ピッチが、前記第2の一定ピッチに等しい、請求項24に記載の半導体レーザ。
【請求項26】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも47%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項27】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも53%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項28】
前記第3の回折格子の中間点が、前記第1のファセット端から前記第2のファセット端までの全長に対して、前記第1のファセット端からの間隔が少なくとも60%で、前記活性領域の前記長手方向軸線に沿って配置された、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項29】
前記活性領域の前記第1のファセット端に設けられた第2の低反射率被膜をさらに備えた、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項30】
前記第3の回折格子が、波形ピッチ変調回折格子である、請求項16に記載の半導体レーザ。
【請求項31】
前記第3の回折格子が、4分の1波長シフト格子構造である、請求項16に記載の半導体レーザ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本願は、2021年3月17日に出願された米国特許出願第17/204,550号「SEMICONDUCTOR LASERS」に関するものであり、そのすべての開示内容を本明細書に明示的に援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、半導体レーザ、特に、複数の格子を有する分散フィードバック(DFB)半導体レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
図1を参照すると、複数の分散フィードバック(DFB)格子12を有する従来の半導体レーザ10が表されている。従来の半導体レーザ10は、活性層14、n型クラッド層16、及びp型クラッド層18を具備する。活性層14は、長手方向軸線20を有する。活性層14は、後部ファセット30及び前部ファセット32によって、長手方向に境界が定められている。後部ファセット30には、高反射率被膜が設けられている。例示的な高反射率被膜は、入射光の50%以上を反射する。前部ファセット32には、低反射率被膜が設けられている。例示的な低反射率被膜は、入射光の5%未満を反射する。
【0004】
[0004]複数のDFB格子12には、後部ファセット30に近接して配置され、長手方向長さ42を有する後部標準回折格子40と、前部ファセット32に近接して配置され、長手方向長さ46を有する前部標準回折格子44と、後部標準回折格子40と前部標準回折格子44との間に配置され、長手方向長さ50を有する第3の格子48と、を含む。後部標準回折格子40及び第3の格子48は、領域52によって分離されており、前部標準回折格子44及び第3の格子48は、領域54によって分離されている。領域52及び54はそれぞれ、如何なる格子構造も含まない。例えば、領域52及び54はそれぞれ、p型クラッド層材料で構成され、如何なる格子構造も存在し得ない。別の例において、領域52及び54はそれぞれ、p型クラッド層材料と異なる材料のブロックを含み、如何なる格子構造も存在し得ない。このため、後部標準回折格子44及び第3の格子48は不連続であり、第3の格子48及び前部標準回折格子44も不連続である。第3の格子48は、後部標準回折格子40及び前部標準回折格子44と異なるピッチを有する。
【0005】
[0005]
図2を参照すると、活性層14の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子40の長手方向長さ42は、およそ25μmであり、前部標準回折格子44の長手方向長さ46は、およそ75μmであり、第3の格子48の長手方向長さ50は、およそ50μmである。領域52及び54の長手方向長さは、およそ100ナノメートル(nm)又は300nmであり、
図2には表していないことが了解されるものとする。
【0006】
[0006]半導体レーザ10は、III-V材料で構成された活性層と、III-V材料で構成されたn型クラッド層16と、III-V材料で構成されたp型クラッド層18と、を有する。後部標準回折格子40のピッチは、200nm前後である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本開示の例示的な一実施形態においては、半導体レーザが提供される。この半導体レーザは、長手方向軸線、第1のファセット端、及び第2のファセット端を有する活性領域であり、第2のファセット端が、当該半導体レーザから出力光線を放出する、活性領域と、活性領域の第1のファセット端に設けられた第1の低反射率被膜と、活性領域の第2のファセット端に設けられた第2の低反射率被膜と、活性領域の長手方向軸線に沿って配置された複数の回折格子と、を備える。複数の回折格子は、活性領域の第1のファセット端に近接して配置された第1の回折格子と、活性領域の第2のファセット端に近接して配置された第2の回折格子と、第1の回折格子と第2の回折格子との間に配置された第3の回折格子と、を含み、第1の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第1の距離だけ離隔し、第2の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第2の距離だけ離隔し、第1の距離及び第2の距離はそれぞれ、ゼロよりも大きい。
【0008】
[0008]その一例において、活性領域の長手方向軸線に沿った第3の回折格子の中間点は、活性領域の第1のファセット端よりも活性領域の第2のファセット端の近くに配置されている。その一変形例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端からの活性領域の長さのおよそ60%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。その別の変形例において、第3の回折格子は、活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、第3の回折格子の第2の端部は、活性領域の第2のファセット端から第3の回折格子の第1の端部よりも活性領域の第2のファセット端から2倍超遠く、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。その別の変形例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0009】
[0009]その別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔がおよそ30%~およそ70%の範囲内で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0010】
[0010]その別の例において、第3の回折格子は、活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、第3の回折格子の第2の端部は、活性領域の第2のファセット端から第3の回折格子の第1の端部よりも活性領域の第2のファセット端から2倍超遠く、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0011】
[0011]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0012】
[0012]そのさらに別の例において、第1の回折格子のそれぞれは、第1の一定ピッチを有し、第2の回折格子は、第2の一定ピッチを有する。その一変形例において、第1の一定ピッチは、第2の一定ピッチに等しい。
【0013】
[0013]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも47%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0014】
[0014]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも53%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0015】
[0015]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも60%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0016】
[0016]そのさらに別の例において、第3の回折格子は、波形ピッチ変調回折格子である。
【0017】
[0017]そのさらに別の例において、第3の回折格子は、4分の1波長シフト格子構造である。
【0018】
[0018]その別の例示的な実施形態においては、半導体レーザが提供される。この半導体レーザは、長手方向軸線、第1のファセット端、及び第2のファセット端を有する活性領域であり、第1のファセット端が、長手方向軸線と非垂直で、第2のファセット端が、当該半導体レーザから出力ビームを放出する、活性領域と、活性領域の第2のファセット端に設けられた第1の低反射率被膜と、活性領域の長手方向軸線に沿って配置された複数の回折格子と、を備える。複数の回折格子は、活性領域の第1のファセット端に近接して配置された第1の回折格子と、活性領域の第2のファセット端に近接して配置された第2の回折格子と、第1の回折格子と第2の回折格子との間に配置された第3の回折格子と、を含み、第1の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第1の距離だけ離隔し、第2の回折格子は、第3の回折格子から活性領域の長手方向軸線に沿って第2の距離だけ離隔し、第1の距離及び第2の距離はそれぞれ、ゼロよりも大きい。
【0019】
[0019]その一例において、活性領域の長手方向軸線に沿った第3の回折格子の中間点は、活性領域の第1のファセット端よりも活性領域の第2のファセット端の近くに配置されている。
【0020】
[0020]その別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔がおよそ30%~およそ70%の範囲内で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。その一変形例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端からの活性領域の長さのおよそ60%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。その別の変形例において、第3の回折格子は、活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、第3の回折格子の第2の端部は、活性領域の第2のファセット端から第3の回折格子の第1の端部よりも活性領域の第2のファセット端から2倍超遠く、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。そのさらに別の変形例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0021】
[0021]その別の例において、第3の回折格子は、活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した第1の端部及び第2の端部を含み、第3の回折格子の第2の端部は、活性領域の第2のファセット端から第3の回折格子の第1の端部よりも活性領域の第2のファセット端から2倍超遠く、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0022】
[0022]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも40%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0023】
[0023]そのさらに別の例において、第1の回折格子のそれぞれは、第1の一定ピッチを有し、第2の回折格子は、第2の一定ピッチを有する。その一変形例において、第1の一定ピッチは、第2の一定ピッチに等しい。
【0024】
[0024]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも47%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0025】
[0025]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも53%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0026】
[0026]そのさらに別の例において、第3の回折格子の中間点は、第1のファセット端から第2のファセット端までの全長に対して、第1のファセット端からの間隔が少なくとも60%で、活性領域の長手方向軸線に沿って配置されている。
【0027】
[0027]そのさらに別の例において、この半導体レーザは、活性領域の第1のファセット端に設けられた第2の低反射率被膜をさらに備える。
【0028】
[0028]その別の例において、第3の回折格子は、波形ピッチ変調回折格子である。
【0029】
[0029]その別の例において、第3の回折格子は、4分の1波長シフト格子構造である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示の前述及び他の特徴及び利点、並びにこれらを実現する様態については、添付の図面と併せた例示的な実施形態に関する以下の説明を参照することによって、より明らかになるとともに、より深く理解されよう。
【
図1】活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した複数の格子を含む従来の分散フィードバック半導体レーザの代表図である。
【
図2】
図1の従来の分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの長さの代表図である。
【
図3】活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した複数の格子と、前部ファセット上の低反射率被膜及び後部ファセット上の低反射率被膜と、を含む本開示の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表側面図である。
【
図4】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表上面図である。
【
図5】活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した複数の格子と、前部ファセット上の低反射率被膜及びy-z平面において角度が付いた角度付き無被覆後部ファセットと、を含む本開示の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表側面図である。
【
図6】
図5に示すy-z平面の代わりに、x-y平面における角度付き無被覆後部ファセットを備えた
図5の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表上面図である。
【
図7】活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した複数の格子と、前部ファセット上の低反射率被膜及びy-z平面において角度が付いた後部ファセット上の低反射率被膜と、を含む本開示の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表側面図である。
【
図8】活性領域の長手方向軸線に沿って離隔した複数の格子と、ドロップ格子法によってκが低減された格子と、を含む本開示の別の例示的な分散フィードバック半導体レーザの代表図である。
【
図9】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの回折格子の長さの第1の例の代表図である。
【
図10】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの長さの第2の例の代表図である。
【
図11】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの回折格子の長さの第3の例の代表図である。
【
図12】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの回折格子の長さの第4の例の代表図である。
【
図13】
図3の例示的な分散フィードバック半導体レーザの複数の回折格子それぞれの回折格子の長さの第5の例の代表図である。
【
図14】複数の温度において、
図2の従来の分散フィードバック半導体レーザに対して、サイドモード抑圧比閾値を満たす
図4~
図8に記載の例のデバイスの全体収率の比較を示した図である。 複数の図面を通して、対応する参照文字は、対応する部分を示す。本明細書に記載の例示は、本発明の例示的な一実施形態を示すものであり、このような例示は、本発明の範囲を制限するものとは解釈されないものとする。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0046]本開示の原理の理解の促進を目的として、以下、後述の図面に示す実施形態を参照する。本明細書に開示の実施形態は、包括的であることも、以下の詳細な説明に開示の厳密な形態に本開示を限定することも意図しない。むしろ、これらの実施形態は、当業者がそれぞれの教示内容を利用可能となるように選定及び記載する。したがって、本開示の範囲の制限の意図はない。複数の図面を通して、対応する参照文字は、対応する部分を示す。
【0032】
[0047]用語「結合する」(couples)、「結合された」(coupled)、「結合器」(coupler)及びその変形は、2つ以上の構成要素が直接、物理的に接触した構成、並びに、2つ以上の構成要素が互いに直接は接触していない(例えば、構成要素が少なくとも第3の構成要素を介して「結合」されている)ものの、依然として互いに協働若しくは相互作用する構成の両者を含むのに用いられる。
【0033】
[0048]別段の指定のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる特徴のサイズ、量、及び物理的特性を表すすべての数字は、すべての場合において、用語「およそ(about)」により修飾されるものとして了解される。したがって、特に指定のない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本明細書に開示の教示内容を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0034】
[0049]本開示の全体及び特許請求の範囲において場合により、第1、第2、第3、及び第4等の数値用語は、様々な構成要素又は特徴に関連して使用する。このような使用に、構成要素又は特徴の順序付けを示す意図はない。むしろ、参照対象の構成要素又は特徴の識別において読者を補助するために数値用語を使用しており、構成要素又は特徴の特定の順序を与えるものとして狭く解釈すべきものではない。
【0035】
[0050]
図3を参照すると、複数の分散フィードバック(DFB)格子112を有する例示的な半導体レーザ100の側面図が示されている。
図4は、半導体レーザ100の上面図である。半導体レーザ100は、活性層114、n型クラッド層116、及びp型クラッド層118を具備する。活性層114は、長手方向軸線120を有する。活性層114は、後部ファセット130及び前部ファセット132によって、長手方向に境界が定められている。実施形態において、n型クラッド層116は、活性層114の下方に配置されており、p型クラッド層118は、活性層114の上方に配置されている。
【0036】
[0051]前部ファセット132には、低反射率被膜が設けられている。例示的な低反射率被膜は、入射光の最大およそ5%を反射する。
図3及び
図4に示す実施形態において、後部ファセット130は、低反射率被膜が設けられ、半導体レーザ100の長手方向軸線120と垂直である。例示的な低反射率被膜は、入射光の最大およそ5%を反射する。
図5及び
図6を参照すると、半導体レーザ100’の他の実施形態が示されており、後部ファセット130が被覆されておらず、半導体レーザ100の長手方向軸線120に対して角度が付いている。
図5に示す例において、後部ファセット130は、Y-Z平面において角度が付いている。
図6に示す例において、後部ファセット130は、X-Y平面において角度が付いている。
図7を参照すると、半導体レーザ100’’の別の実施形態が示されており、後部ファセット130には低反射率被膜が設けられ、Y-Z平面において、半導体レーザ100の長手方向軸線120に対して角度が付いている。例示的な低反射率被膜は、入射光の最大およそ5%を反射する。低反射率被膜又は角度付きファセットの使用により、
図1の従来の半導体レーザ10の高反射率被膜と比較して、デバイスのSMSR収率に対するファセット相の影響が取り除かれ、半導体レーザ100、100’、100’’の動作温度全体での勾配変動が抑制され得る。
【0037】
[0052]
図3及び
図4を参照すると、複数のDFB格子112には、後部ファセット130に近接して配置され、長手方向長さ142を有する後部標準回折格子140と、前部ファセット132に近接して配置され、長手方向長さ146を有する前部標準回折格子144と、後部標準回折格子140と前部標準回折格子144との間に配置され、長手方向長さ150を有する第3の格子148と、を含む。
【0038】
[0053]後部標準回折格子140及び格子148は、領域152によって分離されており、前部標準回折格子144及び格子148は、領域154によって分離されている。領域152及び154はそれぞれ、如何なる格子構造も含まない。例えば、領域152及び154はそれぞれ、p型クラッド層材料で構成され、如何なる格子構造も存在し得ない。別の例において、領域152及び154はそれぞれ、p型クラッド層材料と異なる材料のブロックを含み、如何なる格子構造も存在し得ない。このため、後部標準回折格子144及び格子148は不連続であり、格子148及び前部標準回折格子144も不連続である。図示の実施形態において、格子148は、波形ピッチ変調(CPM)回折格子である。
【0039】
[0054]実施形態において、格子148は、4分の1波長シフト(QWS)格子構造である。4分の1波長シフト格子構造は、それぞれが一定の格子ピッチ及び深さを有する第1の格子領域及び第2の格子領域を含む。第1の格子領域及び第2の格子領域は、第1の格子構造と第2の格子構造との間の界面において位相跳躍πで接合されている。実施形態においては、格子148のCPM構造の代わりに、4分の1波長シフト格子構造によって、領域152及び領域154が除外され得る。実施形態においては、格子148のCPM構造の代わりに、4分の1波長シフト格子構造によって、領域152及び領域154が維持される。
【0040】
[0055]半導体レーザ100は、
図4及び
図6に示すようなリッジ導波管構造又は埋め込みヘテロ構造を有していてもよい。n型クラッド層116の例示的な材料としては、III-V材料が挙げられる。p型クラッド層118の例示的な材料としては、III-V材料が挙げられる。活性層114の例示的な材料としては、III-V材料が挙げられる。
【0041】
[0056]
図3を参照すると、後部標準回折格子140は、一定ピッチを有する。実施形態において、一定ピッチは、およそ200ナノメートル(nm)であるが、より長いピッチが実装されていてもよいし、より短いピッチが実装されていてもよい。実施形態において、後部回折格子140は、ピッチが一定ではないチャープ格子であってもよい。実施形態において、前部標準回折格子144は、一定ピッチを有する。実施形態において、一定ピッチは、およそ200ナノメートル(nm)であるが、より長いピッチが実装されていてもよいし、より短いピッチが実装されていてもよい。実施形態において、前部回折格子144は、ピッチが一定ではないチャープ格子であってもよい。実施形態において、後部標準回折格子140のピッチは、前部標準回折格子144のピッチに等しい。実施形態において、後部標準回折格子140のピッチは、前部標準回折格子144のピッチに等しくない。実施形態において、格子148のピッチは、後部標準回折格子140のピッチ及び前部標準回折格子144のピッチよりも短い。実施形態において、格子148のピッチは、後部標準回折格子140のピッチ及び前部標準回折格子144のピッチよりも長い。
【0042】
[0057]
図8を参照すると、レーザ100の別の実施形態が示されており、前部回折格子144’は、当該回折格子144’が周期的な格子構造の一部を欠くドロップ格子ピッチ法によって、格子強度が低下している。実施形態においては、複数のDFB格子112の1つ又は複数の部分の格子強度が低下することにより、レーザ100の長手方向軸線120に沿った電力分布を調整可能である。実施形態においては、複数のDFB格子112の1つ又は複数の部分が均一な格子であってもよいし、チャープ格子であってもよい。
【0043】
[0058]
図9~
図13は、レーザ100の例示的な種々実施形態を示している。図示の実施形態のいずれもがおよそ150ミクロン(μm)の全長を有するが、より短いレーザ又はより長いレーザが生成されるようになっていてもよい。さらに、図示の実施形態はいずれも、格子148の長さがおよそ50μmである一方、より短い格子148又はより長い格子148が生成されるようになっていてもよい。この追加又は代替として、格子148の中間点は、およそ30%~およそ70%等の範囲内で後部ファセット130又は前部ファセット132に向かって移動していてもよい。例えば、長さが150μmのレーザ100において、格子148の中間点は、後部ファセット130からおよそ45μm(およそ30%)~後部ファセットからおよそ105μm(およそ70%)であってもよい。
【0044】
[0059]
図9を参照すると、
図3のレーザ100の一例が与えられている。活性層114の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子140の長手方向長さ142は、およそ65μmであり、前部標準回折格子144の長手方向長さ146は、およそ35μmであり、格子148の長手方向長さ150は、およそ50μmである。後部ファセット130及び前部ファセット132にはそれぞれ、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線と垂直で、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、被覆されていない。
【0045】
[0060]
図10を参照すると、
図3のレーザ100の一例が与えられている。活性層114の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子140の長手方向長さ142は、およそ55μmであり、前部標準回折格子144の長手方向長さ146は、およそ45μmであり、格子148の長手方向長さ150は、およそ50μmである。後部ファセット130及び前部ファセット132にはそれぞれ、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線と垂直で、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、被覆されていない。
【0046】
[0061]
図11を参照すると、
図3のレーザ100の一例が与えられている。活性層114の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子140の長手方向長さ142は、およそ45μmであり、前部標準回折格子144の長手方向長さ146は、およそ55μmであり、格子148の長手方向長さ150は、およそ50μmである。後部ファセット130及び前部ファセット132にはそれぞれ、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線と垂直で、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、被覆されていない。
【0047】
[0062]
図12を参照すると、
図3のレーザ100の一例が与えられている。活性層114の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子140の長手方向長さ142は、およそ35μmであり、前部標準回折格子144の長手方向長さ146は、およそ65μmであり、格子148の長手方向長さ150は、およそ50μmである。後部ファセット130及び前部ファセット132にはそれぞれ、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線と垂直で、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、被覆されていない。
【0048】
[0063]
図13を参照すると、
図3のレーザ100の一例が与えられている。活性層114の長手方向長さは、およそ150ミクロン(μm)であり、後部標準回折格子140の長手方向長さ142は、およそ25μmであり、前部標準回折格子144の長手方向長さ146は、およそ65μmであり、格子148の長手方向長さ150は、およそ50μmである。後部ファセット130及び前部ファセット132にはそれぞれ、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線と垂直で、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、低反射率被膜が設けられている。実施形態において、後部ファセット130は、活性層114の長手方向軸線に対して角度が付いており、被覆されていない。
【0049】
[0064]
図9~
図13に与える例の長手方向長さ142、長手方向長さ146、及び長手方向長さ150の対応する値を表1に与える。活性層114の長さに対する長手方向長さ142、長手方向長さ146、及び長手方向長さ150の割合を表2に与える。後部ファセット130までの距離に対する格子148の後縁、前縁、及び中間点の割合を表3に与える。
【0050】
【表1】
【表2】
【表3】
[0065]実施形態において、活性領域114の長手方向軸線120に沿った格子148の中間点は、活性領域114のファセット端130よりも活性領域114のファセット端132の近くに配置されている。実施形態において、格子148の中間点は、後部ファセット130からおよそ30%~およそ70%の範囲内で、活性領域114の長手方向軸線120に沿って配置されていてもよい。実施形態において、格子148の中間点は、後部ファセット130からおよそ33%~およそ60%の範囲内で、活性領域114の長手方向軸線120に沿って配置されていてもよい。
【0051】
[0066]実施形態において、格子148の後端160は、活性領域114のファセット端132から格子148の前端162よりも活性領域114のファセット端132から2倍超遠く、活性領域114の長手方向軸線120に沿って配置されていてもよい。実施形態において、格子148の前端162は、ファセット端132から、活性領域114の全長手方向長さの最大およそ37%で、活性領域114の長手方向軸線120に沿って配置されていてもよい。
【0052】
[0067]
図14を参照すると、チャート170は、複数の動作温度において、
図9~
図13及び
図2の各デバイスのサイドモード抑圧比(SMSR)収率閾値(SMSR>37kB等)を満たすデバイスの割合のシミュレーションを示している。各デバイスの最も左側の棒グラフは、動作温度が-40℃である。各デバイスの中央の棒グラフは、動作温度が25℃である。各デバイスの最も右側の棒グラフは、動作温度が95℃である。図示のように、
図2のデバイスと比較して、
図9~
図11のデバイスはそれぞれ、各動作温度において割合が高い。さらに、格子部系148を
図2のデバイスと比較して前方に移動させると、複数の動作温度について、SMSR収率閾値を満たすデバイスの割合が高くなる。このため、ファセット端130に低反射率被膜を使用し、格子部系148をファセット端132に向かって移動させると、図示の動作温度においては、
図2のデバイスと比較して、SMSR収率の割合が高くなる。とりわけ、ファセット130に低反射率被膜を使用することの利点として、
図14及び
図15に示すように、ファセット130における位相シフトひいてはデバイスSMSR収率及びレーザ勾配に対する位相シフトの影響が取り除かれる。
【0053】
[0068]
図9のデバイスのレーザ勾配は、25℃の動作温度において、
図2のデバイスよりも高い。さらに、-40℃~95℃の範囲全体でのレーザ勾配は、
図2のデバイスと比較して、
図9のデバイスでよりタイトである。とりわけ、温度範囲全体で勾配をタイトにする利点は、
図2のデバイスと比較して、
図9のデバイスの場合にトラッキングエラーが小さくなることである。
図9~
図13の各デバイスの高周波数3dB帯域幅(GHz)は、一般的に減衰係数が小さいことから、
図2の設計よりも広い3dB帯域幅を有する。
【0054】
[0069]レーザ10の高反射率被膜をレーザ100の低反射率被膜及び/又はレーザ100の角度付き後部ファセットで置き換えることにより、格子特性に基づいて、ほぼ100%のSMSR収率、前部ファセット出力の増大、及び/又は高速変調性能の向上を実現可能である。
【0055】
[0070]本発明は、例示的な設計を有するものとして説明したが、本開示の思想及び範囲内においてさらに改良可能である。したがって、本願は、その一般的原理を用いた本発明の任意の変形、使用、又は適応を網羅することが意図される。さらに、本願は、本発明が関連する技術分野における既知の慣例又は慣行に含まれるような本開示からの逸脱を網羅することが意図される。
【国際調査報告】