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特表2024-508414電力アウトレットモジュール、電力アウトレットコネクタ列および2パーツ電気カップリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電力アウトレットモジュール、電力アウトレットコネクタ列および2パーツ電気カップリングシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 27/00 20060101AFI20240219BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20240219BHJP
   H01R 31/02 20060101ALI20240219BHJP
   H01R 24/78 20110101ALI20240219BHJP
   H01R 13/645 20060101ALI20240219BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01R27/00 A
H01R25/00 D
H01R31/02 B
H01R24/78
H01R13/645
H01R13/11 D
H01R25/00 A
H01R25/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549108
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021053782
(87)【国際公開番号】W WO2022174889
(87)【国際公開日】2022-08-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591178562
【氏名又は名称】シュルター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schurter AG
【住所又は居所原語表記】Werkhofstrasse 8, 6005 Luzern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ツァイアー
(72)【発明者】
【氏名】シリル ディスラー
(72)【発明者】
【氏名】ザリーナ フェッター
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB21
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA05
5E223AB33
5E223BA01
5E223BA06
5E223BB12
5E223CB25
5E223CB27
5E223CB39
5E223EA03
5E223EB03
5E223EB22
(57)【要約】
本発明は、電力アウトレットモジュール(10)であって、ベース(14)と、前記ベース(14)から延在するアウトレットコア(16)とを備えた電気的に絶縁性の一体形のボディ(12)を備える電力アウトレットモジュール(10)に関する。前記アウトレットコア(16)は、その長手方向に延在する複数の凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)を備える。電力アウトレットモジュール(10)は、導電性の材料から形成された複数の端子であって、複数の凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の1つの凹部内にそれぞれ位置決めされた端子をさらに備える。これらの端子は、それぞれ所定の平面内に延在しており、各々の端子は、相互間に所定の間隙を有して互いに平行に延在しかつ互いに向かい合った2つの脚部を含む。これら2つの脚部は、一方の端部で結合されて、結合部分を形成しており、前記脚部は、結合部分を介して平面に対して平行な方向に曲げ可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力アウトレットモジュール(10)であって、
ベース(14)と、前記ベース(14)から延在するアウトレットコア(16)とを備えた電気的に絶縁性の一体形のボディ(12)を備え、
前記アウトレットコア(16)は、その長手方向に延在する複数の凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)を備え、
導電性の材料から形成された複数の端子(28;28A1,28A2)であって、前記複数の凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の1つの凹部内にそれぞれ位置決めされた端子(28;28A1,28A2)をさらに備え、
前記端子(28;28A1,28A2)は、それぞれ所定の平面内に延在しており、各々の端子(28;28A1,28A2)は、相互間に所定の間隙を有して互いに平行に延在しかつ互いに向かい合った2つの脚部(30’,30’’)を含み、前記2つの脚部(30’,30’’)は、一方の端部で結合されて、結合部分(32)を形成しており、前記脚部(30’,30’’)は、前記結合部分(32)を介して前記平面に対して平行な方向に曲げ可能である、
電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項2】
各々の前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の内壁(26A1~26A3,26B1~26B3)が、互いに向かい合うように前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の軸線方向に延在する2つのスリット(S)を有して形成されている、請求項1記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項3】
前記スリット(S)はその一部において、前記ベース(14)と、前記アウトレットコア(16)の遠位端から所定の長さだけ離れた位置との間で前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)に沿って延在している、請求項2記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項4】
各々の前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の前記スリット(S)は、前記端子(28;28A1,28A2)の前記脚部(30’,30’’)を収容している、請求項2または3記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項5】
適正でないカップリングを防止するための手段(21)をさらに備える、請求項1から4までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項6】
前記適正でないカップリングを防止するための手段(21)は、前記アウトレットコア(16)の周面に沿って少なくとも1つのキーイング要素(21)を備える、請求項5記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項7】
前記ベース(14)から延在していて、前記ベース(14)を取り囲んでいる側壁(22)をさらに備える、請求項1から6までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項8】
前記アウトレットコア(16)は、第1のコネクタタイプの内面と嵌合するように適合させられた周面を備え、前記側壁(22)は、第2のコネクタタイプの外面と嵌合するように適合させられた周面を備える、請求項7記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項9】
前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)は、第1のセットの凹部(18A1~18A3)と第2のセットの凹部(18B1~18B3)とを備え、前記第1のセットの凹部(18A1~18A3)は、前記第1のコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されており、前記第2のセットの凹部(18B1~18B3)は、前記第2のコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている、請求項8記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項10】
前記アウトレットコア(16)の遠位端が、開口を有する正面を規定しており、前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)は、前記開口内へと延在している、請求項1から9までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項11】
各々の前記開口は長方形に形成されている、請求項10記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項12】
前記端子(28)は、各々の前記端子(28;28A1,28A2)の前記平面が前記開口の長方形の延在に対して垂直であるように、それぞれ前記凹部(18A1~18A3,18B1~18B3)の前記スリット(S)内に収容されている、請求項11記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項13】
前記端子(28;28A1,28A2)は、それぞれ前記結合部分(32)から延在するピン部分(36)を備える、請求項1から12までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項14】
前記ベース(14)に係合されるように適合させられた蓋(38)をさらに備え、前記蓋(38)は、挿入された前記端子(28;28A1,28A2)の前記ピン(36)により貫通されるように位置決めされた複数の案内路(40A1~40A3,40B1~40B3)を備える、請求項1から13までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの電力アウトレットモジュール(10)を備える電力アウトレットコネクタ列(42)。
【請求項16】
2パーツ電気カップリングシステム(46)であって、第1のパーツとして、請求項1から14までのいずれか1項記載の電力アウトレットモジュール(10)または請求項15記載の電力アウトレットコネクタ列(42)を備え、第2のパーツとして、前記第1のパーツに解離可能に接続可能なプラグを備え、前記プラグ(48)は、前記第1のパーツの対応する凹部内に嵌合して、対応する端子との電気的な接続を形成するように配置かつ寸法設定された雄形コネクタ(50A1,50A2)を有する、2パーツ電気カップリングシステム(46)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力アウトレットモジュール、電力アウトレットコネクタ列および2パーツ電気カップリングシステムに関する。
【0002】
発明の背景
電力アウトレットコネクタ列は、電源から電力を受け取り、この電力を1つ以上の別個の電子機器に分配する電力アウトレットのアセンブリである。各々のこのような電力アウトレットコネクタ列は、電源から電力を受け取る電力入力部と、電力を1つ以上の電子機器に提供するために使用されてよい電力アウトレットモジュールとを有している。このような電力アウトレットコネクタ列は、例えば電子機器ラック内または電子機器ラック上といった用途および環境において使用されてよい。単一の電力アウトレットコネクタは機器アウトレットとも呼ばれ、電力アウトレットコネクタ列は電力分配ユニット(PDU)とも呼ばれる。
【0003】
種々異なる電力アウトレットモジュールが知られていて、それぞれ準拠したコネクタタイプのプラグに接続されることがそれぞれ可能である。一例では、いわゆる機器アウトレットF(C13コネクタ)が、対応するプラグコネクタE(C14機器インレット)に接続されてよいのに対して、いわゆる機器アウトレットJ(C19コネクタ)は、対応するプラグコネクタI(C20機器インレット)に接続されてよい。IEC規格によれば、F,Eペアが、10Aの最大電流に対して使用されるようになっているのに対して、J,Iペアは、16Aの最大電流に対して使用されるようになっている。一例として、機器アウトレットJのジオメトリは、この機器アウトレットJにプラグコネクタEが誤って接続されることを防止している。
【0004】
先行技術における問題は、上述したようなキーイング特性を有する、つまり、誤ったプラグコネクタへの誤ったカップリングを防止する電力アウトレットモジュールを設計することである。このようなキーイング特性は、別の要件、例えばスペース要件または電気的な絶縁と対立することが多い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、指摘された問題を排除する電力アウトレットモジュール、電力アウトレットコネクタ列および2パーツ電気カップリングシステムを提供することである。
【0006】
発明の概要
本発明は、請求項1記載の電力アウトレットモジュール、請求項15記載の電力アウトレットコネクタ列および種々異なるコネクタタイプ同士の間の相互作用を可能にする請求項16記載の2パーツ電気カップリングシステムを対象とする。
【0007】
本発明は、電力アウトレットモジュールであって、ベースと、前記ベースから延在するアウトレットコアとを備えた電気的に絶縁性の一体形のボディを備える電力アウトレットモジュールに関する。前記アウトレットコアは、その長手方向に延在する複数の凹部を備える。電力アウトレットモジュールは、導電性の材料から形成された複数の端子であって、複数の凹部の1つの凹部内にそれぞれ位置決めされた端子をさらに備える。これらの端子は、それぞれ所定の平面内に延在しており、各々の端子は、相互間に所定の間隙を有して互いに平行に延在しかつ互いに向かい合った2つの脚部を含む。これら2つの脚部は、一方の端部で結合されて、結合部分を形成しており、前記脚部は、結合部分を介して平面に対して平行な方向に曲げ可能である。
【0008】
本発明者は、上述したような特定の特徴を有する端子を極めて省スペースで配置することができることを認識している。これによって、電力アウトレットモジュールが、プラグコネクタの雄形コネクタを収容するように適合させられた、いまだ知られていないパターンの凹部を有することが可能となる。以下でより詳細に述べる特徴を有する特定の例として、省スペースの端子によって、種々異なるプラグコネクタタイプ、例えば2つのプラグコネクタタイプのプラグに準拠することができる電力アウトレットモジュールの設計が可能となる。一例として、本発明に係る電力アウトレットモジュールは、10Aが要求されている場合にはプラグコネクタEまたは16Aが要求されている場合にはプラグコネクタIに択一的に接続されるように設計することができる。省スペースの端子によって、この事例で必要となる合計6つの開口のパターンは、互いに接触することなしに、アウトレットの正面に配置されていてよい。これによって、10A供給ラインと16A供給ラインとを完全に分離させたまま、両方の選択肢を切り換える可能性を提供することが可能となる。両方の選択肢を提供するためには、単一の電力アウトレットモジュールしか必要とならない。
【0009】
電力アウトレットモジュールの各々の凹部内にそれぞれ収容された端子は、(単一の)平面内に延在しており、各々の端子は、相互間に所定の間隙を有して互いに向かい合うように互いに平行に延在する2つの脚部を含んでいる。これら2つの脚部はその一方の端部で結合されて、結合部分を形成しており、これによって、前記脚部を結合部分を介して平面に対して平行な方向に曲げることが可能となる。端子のこの構成によって、端子の設計がスリムとなるため、複数の端子を先行技術において公知の距離よりも短い距離を置いて互いに配置しつつ、それぞれ雄形コネクタとの確実な電気的な接続および確実な機械的な接続を相変わらず可能にする、十分な絶縁を提供する等が可能となる。
【0010】
さらに、複数の端子のうちの幾つかの端子は、その平面同士が互いに所定の角度を成していてよく、正確に言うと互いに垂直に延在していてよいように向けられていてよい。これによって、さらに、複数の端子をより少ない距離を置いて互いに配置することが可能となる。先行技術と異なり、所与のアウトレットコアのスペース制限された断面において、本発明によって、アウトレットコアが、増加させられた数の端子を具備することが可能となる一方、それぞれ数種類のプラグコネクタタイプのプラグの雄形コネクタとの確実な係合が相変わらず可能となる。
【0011】
一例では、アウトレットコアは、全部で6つの端子を具備していてよい。この場合、3つの端子は、第1のコネクタタイプのプラグの雄形コネクタを収容するように適合させられており、さらに3つの端子は、第2のコネクタタイプのプラグの雄形コネクタを収容するように適合させられている。この構成によって、種々異なるコネクタタイプ、例えば二種類のコネクタタイプのプラグの雄形コネクタに係合されることを可能にする多数の端子をアウトレットコアに提供することが可能となる。言い換えると、第1のプラグコネクタタイプのプラグまたは第2のプラグコネクタタイプのプラグに接続することができる電力アウトレットモジュールが提案されている。上述したように、第1のプラグコネクタタイプはプラグコネクタEであってよく、第2のプラグコネクタタイプはプラグコネクタIであってよい。プラグコネクタEとプラグコネクタIとは、それぞれ3つの雄形コネクタピンを有している。両方の事例では、3つの雄形コネクタピンは二等辺三角形の形態で配置されている。雄形コネクタピンは細長い断面を有している。プラグコネクタEをプラグコネクタIと比較すると、二等辺三角形の底辺を基準としたこの断面の向きが、90度だけ回動させられている。こういった雄形コネクタピンの向きの変更によって、誤ったカップリングが防止される。こういった向きの変更は、対応する開口を電力アウトレットモジュールの単一のコアに配置することを難しくしてしまう。本発明に係る電力アウトレットモジュールの特徴によって、プラグコネクタE,I用の凹部を全く同一のコア内に統合するという驚くほど簡単な解決手段が可能となる。
【0012】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、各々の凹部の内壁が、互いに向かい合うように凹部の軸線方向に延在する2つのスリットを有して形成されている。端子は、それぞれ電力アウトレットモジュールのベース側、正確に言うと背後から凹部内に挿入され、スリットによってガイドされてよい。
【0013】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、スリットがその一部において、ベースと、アウトレットコアの遠位端から所定の長さだけ離れた位置との間で凹部に沿って延在している。端子は、それぞれアウトレットコアの遠位端、正確に言うと正面から所定の長さだけ十分な距離を置くことを可能にするように、スリットの端部、正確に言うとスリットに設けられた当接部に当接している。したがって、電気的な絶縁の要件に準拠することができる。
【0014】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、各々の凹部のスリットが、端子の脚部を収容している。スリットは、それぞれ1つの端子の脚部を収容するように構成されていてよい。一例では、各々の端子の少なくとも一方の脚部は、脚部により画定された間隙内に突出した膨出部を備えていてよい。
【0015】
一実施形態では、提案された電力アウトレットモジュールが、適正でないカップリングを防止するための手段をさらに備える。一実施形態では、適正でないカップリングを防止するための手段が、アウトレットコアの周面に沿って少なくとも1つのキーイング要素を備える。一例では、アウトレットコアは、少なくとも1つの許容可能なコネクタタイプのプラグの表面、例えばプラグの内側の周面と嵌合するように構成された周面、正確に言うと外面を備えて形成されている。したがって、誤った接続、正確に言うと許容不可の電気的な接続を防止することができる。
【0016】
一実施形態では、提案された電力アウトレットモジュールが、前記ベースから延在していて、このベースを取り囲んでいる側壁をさらに備える。一例では、側壁は、少なくとも1つの許容可能なコネクタタイプのプラグの表面、例えばプラグの外側の周面と嵌合するように構成された周面を備えて形成されていて、正確に言うと内面を有しており、したがって、許容不可の電気的な接続が防止される。
【0017】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、アウトレットコアが、第1のコネクタタイプの内面と嵌合するように適合させられた周面を備え、側壁が、第2のコネクタタイプの外面と嵌合するように適合させられた周面、正確に言うと内面を備える。この実施形態は、電力アウトレットモジュールが、第1のコネクタタイプのプラグまたは第2のコネクタタイプのプラグに接続されることを可能にする複合型の電力アウトレットモジュールを提供している。一例として、第1のプラグコネクタタイプはプラグコネクタEであってよく、第2のプラグコネクタタイプはプラグコネクタIであってよい。
【0018】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、凹部が、第1のセットの凹部と第2のセットの凹部とを備え、前記第1のセットの凹部が、前記第1のコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されており、前記第2のセットの凹部が、前記第2のコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている。一例では、電力アウトレットモジュールが、全部で6つの凹部と、第1のプラグコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定された3つの凹部(例えば第1のセットの凹部)と、第2のプラグコネクタタイプの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定された残りの3つの凹部(例えば第2のセットの凹部)とを備えていてよい。改めて例示的な一例として、第1のプラグコネクタタイプはプラグコネクタEであってよく、第2のプラグコネクタタイプはプラグコネクタIであってよい。プラグタイプE,Iの寸法は、IEC規格によって規定されている。
【0019】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、アウトレットコアの遠位端が、開口を有する正面を規定しており、凹部が、開口内へと延在している。一例では、開口と凹部とが連続して形成されていてよい。提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、各々の開口が長方形に形成されている。
【0020】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、端子が、各々の端子の平面が開口の長方形の延在に対して垂直であるように、それぞれ凹部のスリット内に収容されている。この構成によって、端子のスリムな設計と組み合わせて、アウトレットコアが、増加させられた数の端子を具備することが可能となる。さらに、端子を配置することに関して高められたフレキシビリティを達成することができる。さらに、このフレキシビリティによって、端子を、例えば互いに隣り合った端子の間の最大の絶縁を達成するように配置することができる。
【0021】
提案された電力アウトレットモジュールの一実施形態では、端子が、それぞれ結合部分から延在するピン部分を備える。このピン部分は、端子の残りのボディと同じ平面内に延在していてよい。したがって、全体として単一のスリムな平面内に延在する端子を提供することができる。
【0022】
一実施形態では、提案された電力アウトレットモジュールが、ベースに係合されるように適合させられた蓋をさらに備え、前記蓋が、挿入された端子のピン部分により貫通されるように位置決めされた複数の案内路を備える。各々の端子のピン部分は、電力アウトレットモジュールの裏側で蓋を越えて突出していてよく、例えば電力アウトレットコネクタ列に設けられた外部の接続手段に電気的に接続されるように適合させられていてよい。蓋は、電力アウトレットモジュールのベースに係合されると、端子を確実に固定する。各々の端子の結合部分が、すでにベースに係合された蓋の裏面に当接してよいのに対して、脚部の遠位端は、上述したスリットの端部、正確に言うとスリットに設けられた当接部に当接する。したがって、端子の軸線方向の運動を、すでにベースに係合された蓋によって阻止することができる。コアと蓋との間の分離部は、種々異なるジオメトリを有するように設計されていてよい。
【0023】
本発明は、さらに、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの電力アウトレットモジュールを備える電力アウトレットコネクタ列に関する。本実施形態による1つまたは複数の電力アウトレットモジュールを具備した電力アウトレットコネクタ列が提供される。この構成によって、電力アウトレットコネクタ列に、例えば第1のコネクタタイプに準拠した一般的に知られている複数の電力アウトレットモジュールと、例えば第2のコネクタタイプに準拠した一般的に知られている別の複数の電力アウトレットモジュールとを設ける必要がなくなる。したがって、さらに有利には、接続性の低減を被ることなしに、少なくともスペースとコストとを節約して、電力アウトレットコネクタ列の密度を高めることができる。単一の電力アウトレットに関連した上述した例を続けると、本発明に係る電力アウトレットコネクタ列により占められるスペースは、10Aシステムまたは代替的には16Aシステムに接続を提供するために使用されてよい。サーバラック内に設置された電力アウトレットコネクタ列は、サーバが、より高い電力消費またはより低い電力消費を伴うバージョンにアップグレードされ、ひいては、当初設置されているサーバと異なるタイプのプラグコネクタを有している場合には、交換される必要はない。本発明に係る電力アウトレットモジュールは、同一の電力アウトレットコネクタ列内で従来の電力アウトレットモジュールと組み合わされてよい。有利には、コネクタ列内の全ての電力アウトレットモジュールが、本発明に係る電力アウトレットモジュールである。
【0024】
さらに、本発明は、請求項16記載の2パーツ電気カップリングシステムを対象とする。2パーツシステムは、第1のパーツとして、本発明に係る電力アウトレットモジュールまたは本発明に係る電力アウトレットコネクタ列を備える。システムは、第2のパーツとして、第1のパーツに解離可能に接続可能なプラグを備える。このプラグは、第1のパーツの対応する凹部内に嵌合して、対応する端子との電気的な接続を形成するように配置かつ寸法設定された雄形コネクタを有する。特に、カップリングシステムの第1のパーツと第2のパーツとは、所定の規格、例えばIEC規格に準拠していてよい。一例として、カップリングシステムの第1のパーツと第2のパーツとは、機器アウトレットFとプラグコネクタEとのペアまたは機器アウトレットJとプラグコネクタIとのペアによって形成されていてよい。システムの第1のパーツである電力アウトレットモジュールには、第2のパーツの雄形コネクタよりも多くの凹部が存在していてよい。こうして、それぞれ異なる位置に雄形コネクタを有する別のタイプのプラグを第1のパーツに代替的に接続することができる。上記の例では、プラグコネクタEまたは代替的にはプラグコネクタIとの接続が可能となってよい。
【0025】
明確に指摘しておくと、上述した実施形態の任意の組合せは、更なる可能な実施形態の対象である。矛盾を生じさせる恐れのある実施形態のみ除外される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明を、以下の詳細な説明に相俟って考慮することができる種々の例示的な実施形態を一緒に示した添付の図面を参照しながらさらに説明する。
図1a】電力アウトレットモジュールの正面図である。
図1b】電力アウトレットモジュールの図1aと異なる正面図である。
図2a】ベースが覆われていない電力アウトレットモジュールの背面図である。
図2b】ベースが覆われていない電力アウトレットモジュールの図2aと異なる背面図である。
図3】端子を示す図である。
図4a】蓋を示す図である。
図4b】ベースが蓋により覆われた電力アウトレットモジュールの背面図である。
図5】電力アウトレットコネクタ列を示す図である。
図6】2パーツ電気カップリングシステムの断面図である。
【0027】
発明の詳細な説明
図1aおよび図1bには、電力アウトレットモジュール10が互いに異なる正面図で示してあるのに対して、図2aおよび図2bには、電力アウトレットモジュール10が互いに異なる背面図で示してある。電力アウトレットモジュール10は、電力をプラグ(図示せず)を介して電子機器(図示せず)に供給するために使用されてよい。電力アウトレットモジュール10は、電気的に絶縁性の材料、例えばプラスチックから形成された一体形のボディ12を備えている。この一体形のボディ12は、ベース14と、前記ベース14から延在するアウトレットコア16とを備えている。図1a~図2bに示した事例では、両者が一体形に形成されている。分離に関する付加的または代替的な変化形態が、以下に説明するように可能である。
【0028】
図1a~図2bに示した電力アウトレットモジュールは、接続すべき機器の要件に応じて、種々異なるプラグコネクタを接続するための可能性を併せ持つ複合電力モジュールと見なされてよい。
【0029】
アウトレットコア16は、このアウトレットコア16の長手方向に延在する複数の凹部18A1~18A3,18B1~18B3を備えている。各々の凹部18A1~18A3,18B1~18B3は、複数の雄形コネクタ、例えば3つの雄形コネクタを具備したプラグ(図示せず)の各々の雄形コネクタを収容するように適合させられている。アウトレットコア16は、種々異なるコネクタタイプ、例えば二種類のタイプのプラグに係合するように適合させられている。図示の例では、アウトレットコア16は、第1のセットの凹部18A1~18A3と第2のセットの凹部18B1~18B3とを備えた6つの凹部18A1~18A3,18B1~18B3を備えている。第1のセットの凹部18A1~18A3は、第1のコネクタタイプのプラグの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている。第2のセットの凹部18B1~18B3は、第2のコネクタタイプのプラグの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている。
【0030】
アウトレットコア16の遠位端は、開口を有する正面20を規定している。凹部18A1~18A3,18B1~18B3は開口内へと延在していてよい。図示の例では、開口は、それぞれ凹部18A1~18A3,18B1~18B3の断面の寸法および向きと同じ寸法および向きを有している。開口(ひいては凹部18A1~18A3,18B1~18B3の断面)は長方形に形成されている。第1のセットの凹部18A1~18A3の長方形の開口は鉛直方向に延在しており、第2のセットの凹部18B1~18B3の長方形の開口は水平方向に延在している。
【0031】
アウトレットコア16の周面、正確に言うと外面は、キーイング要素21を備えている。このキーイング要素21は、適正でないカップリング、例えば、許容不可のプラグとのカップリングを防止するための手段を備えていてよい。しかしながら、キーイング要素21は、許容可能なプラグと嵌合することが可能となるようには形成されていてよい。一例では、アウトレットコア16の周面は、各々のコネクタタイプ、例えば第1のコネクタタイプのプラグの内面と嵌合するように適合させられていてよいものの、種々異なるコネクタタイプ、例えば第2のコネクタタイプのプラグとの接続も許容してよく、正確に言うと排除しなくてよい。しかしながら、別の、例えば許容不可のプラグとのカップリングは、キーイング要素21によって防止することができる。
【0032】
電力アウトレットモジュール10は、ベース14からアウトレットコア16と同じ方向に延在する側壁22をさらに備えている。この側壁22は、ベース14ひいてはアウトレットコア16を取り囲んでいる。ベース14と、側壁22と、アウトレットコア16とは、一体形に形成されていてよい。側壁22は、上述したプラグ、例えば第2のコネクタタイプのプラグと異なってよいプラグの外面と嵌合するように適合させられてよい周面、正確に言うと内面を備えている。しかしながら、側壁22は、種々異なるコネクタタイプ、例えば第1のコネクタタイプのプラグとの接続も許容する、正確に言うと排除しないように形成されていてよい。しかしながら、別の、例えば許容不可のプラグとのカップリングは防止することができる。側壁22の遠位端は、周方向に延在するフランジ24、正確に言うとカンチレバーを備えていてよい。フランジ24の外面とアウトレットコア16の正面20とは、互いに同一平面を成すように形成されていてよい。
【0033】
凹部18A1~18A3,18B1~18B3は、それぞれ内壁26A1~26A3,26B1~26B3を備えている。各々の内壁26A1~26A3,26B1~26B3は、それぞれ1つの凹部18A1~18A3,18B1~18B3の軸線方向に延在する2つのスリットSを有して形成されている。スリットSの各ペアのスリットは、互いに向かい合うように形成されており、正確に言うと配置されている。
【0034】
上述したように、図示の事例では、一体形のボディ12は、ベース14と、前記ベース14から延在するアウトレットコア16とを備えている。ベース14とアウトレットコア16との両者は一体形に形成されている。分離に関する付加的または代替的な変化形態として、ベース14とアウトレットコア16との間、アウトレットコア16の一部と正面20との間またはベース14と側壁22との間の分離が可能である。
【0035】
図3には、それぞれ各々の凹部18A1~18A3,18B1~18B3に設けられたスリットSのペアによって収容されるように適合させられた複数の端子を表す端子28が示してある。図示の特定のジオメトリを有する端子28は、極めて省スペースの電気的なコンタクト要素を提供する。端子28は、導電性の材料、例えば銅または銅合金から形成されている。さらに、端子28は、それぞれ所定の平面内に延在するように形成されている。さらに、各々の端子28は、相互間に所定の間隙を有して互いに平行に延在しかつ互いに向かい合った2つの脚部30’,30’’を含んでいる。これら2つの脚部30’,30’’はその一方の端部で結合されて、結合部分32を形成している。この設計によって、前記脚部30’,30’’を結合部分32を介して曲げる、正確に言うと撓ませることが可能となる。前記曲げは、端子28の平面に対して平行な方向へのものである。脚部30’,30’’の遠位端は、それぞれ丸み付けられて形成された膨出部34’,34’’、正確に言うと突出部を備えていてよい。膨出部34’,34’’は内向きに突出しており、正確に言うと互いに向かい合うように向けられている。
【0036】
端子28は、電気的な接続を形成すべく、脚部30’,30’’を介してプラグ(図示せず)の各々の雄形コネクタを弾性的に挟み込むように適合させられている。雄形コネクタは、脚部30’,30’’の2つの膨出部34’,34’’により画定された間隙内に雄形コネクタを挿入し、その後、スライドさせることによって挟み込まれてよい。次いで、膨出部34’,34’’が雄形コネクタとのコンタクト点を形成する。このような挿入は、丸み付けられた脚部30’,30’’の遠位端、正確に言うと先端を形成することによって容易にすることができる。挿入中、雄形コネクタは、互いに向かい合った2つの膨出部34’,34’’の間の最小の距離により画定された間隙を通過しなければならない。この間隙は、雄形コネクタの厚さ、正確に言うと深さよりも小さくてよく、その結果、挿入中、雄形コネクタの挿入が可能となる程度に2つの脚部30’,30’’が外側に曲げられ、正確に言うと撓ませられる。そうすることで、脚部30’,30’’が、端子28の平面に対して平行な方向に結合部分32を介して外側に曲げられる。復元力によって、脚部30’,30’’は、例えば膨出部34’,34’’を介して、確実な機械的かつ電気的な接続が可能となる程度に、挿入された雄形コネクタに密に押し付けられる。
【0037】
端子28は、結合部分32から延在するピン部分36をさらに備えている。このピン部分36は、端子28が単一の平面内に延在するように、脚部30’,30’’から離れる方向に延在していてよい。しかしながら、端子と機器との間には数種類の接続タイプがあってよく、これらの接続タイプのうちの幾つかでは、それぞれ異なるピン部分36同士の間の最小のクリアランスが、各IEC規格60320-1によって規定されている。クリアランスを保証するためには、ピン部分を、脚部30’,30’’により形成された最初の平面内で傾かせるか、ピン部分36を(まだ脚部30’,30’’により形成されている平面内で)脚部30’,30’’に対して非対称に位置決めするか、ピン部分36を、脚部30’,30’’により形成された最初の平面外に傾かせるか、または記載した3つの可能性の組合せを適用することが必要となることがある。したがって、電力アウトレットモジュール10のアウトレットコア16が、増加させられた数の端子を具備することが可能となる、スペースを減じたスリムな構成が達成される。
【0038】
再び電力アウトレットモジュールボディ10を参照すると、凹部18A1~18A3,18B1~18B3の各々の内壁26A1~26A3,26B1~26B3に沿って形成されたスリットSの部分は、ベース14と、アウトレットコア16の遠位端から所定の長さだけ離れた位置との間に延在していてよい。したがって、高められた絶縁を達成することができる。
【0039】
図2aおよび図2bを参照すると、スリットSのペアは、それぞれ相互間の干渉を最小限に抑えるように、関連する凹部の部分に配置されていてよい。一構成によって、それぞれ収容された端子相互の最大の絶縁を可能にする構成を達成することができる。端子のスリムな設計は、有利には、この好ましい構成に貢献している。
【0040】
前述したように、省スペースのスリムな構成の端子28によって、断面が空間的に制限されているアウトレットコア16が全部で6つの凹部を具備することが可能となる。6つの凹部のうちの、第1のセットの凹部とも呼ばれる3つの凹部18A1~18A3は、正面20の延在に対して垂直な方向に延在していてよい。前記第1のセットの凹部のうちの凹部は、第1のコネクタタイプ、例えばプラグコネクタE(C14機器インレット)のプラグの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている。これに関して、電力アウトレットモジュール10は機器アウトレットF(C13コネクタ)に準拠していてよい。
【0041】
第2のセットの凹部とも呼ばれる残りの凹部18B1~18B3は、正面20の延在に対して所定の方向に延在していてよい。前記第2のセットの凹部のうちの凹部は、上述したプラグコネクタEに対して代替的に接続されてよい第2のコネクタタイプ、例えばプラグコネクタI(C20機器インレット)のプラグの雄形コネクタと嵌合するように配置かつ寸法設定されている。これに関して、電力アウトレットモジュール10は、機器アウトレットJ(C19コネクタ)に対する要件と、機器アウトレットFに対する要件とに同時に準拠していてよい。開口のジオメトリと、電気的に接触する端子の特定の配置とは、10A電気システム(E,Fペア)と16A電気システム(I,Jペア)とが適切に分離されるという効果を有している。いずれかのタイプのプラグコネクタが電力アウトレットモジュール10に接続されているとき、2つのシステムの間で接触は形成されていない。
【0042】
図4aおよび図4bを参照すると、電力アウトレットモジュール10は、ベース14に係合されるように適合させられた蓋38をさらに備えていてよい。この蓋38は、端子がそれぞれ凹部(図1a~図2b参照)内に挿入されると、ベース14をその裏側から覆うことができる。蓋38はベース14に係合されていると、蓋38の、外側に向けられた表面が認められる。蓋38は、それぞれ挿入された端子28の各々のピン部分36による貫通が可能となるように位置決めされた複数の案内路40A1~40A3,40B1~40B3を備えている。より解りやすくするために、これらの案内路40A1~40A3,40B1~40B3には、割り当てられた凹部の符号に対応するように符号が付してある(図1aおよび図1b参照)。図示していないが、代替的には、蓋38がベース14と一体に形成されていてよい。
【0043】
図4bに認めることができるように、提案された構成によって、各々の端子28のピン部分36が、電力アウトレットモジュール10の蓋38の背面を越えて突出することができることが可能となる。各々のピン部分36は、電力アウトレットコネクタ列(図示せず)内に設けられていてよい外部の接続手段、例えばプリント回路板に電気的に接続されてよい。
【0044】
蓋38は、電力アウトレットモジュール10のベース14に係合されると、それぞれ挿入された端子の確実な固定を可能にする。図示していないが、例えば各々の端子の結合部分(図3参照)が、すでにベース14に係合された蓋38の裏面に当接してよいのに対して、各々の端子の脚部(図3参照)の遠位端は、上述したスリットの端部、正確に言うと前方でスリットに設けられた当接部に当接してよい。したがって、有利には、端子28の軸線方向の運動を、すでにベース14に係合された蓋38によって阻止することができる。
【0045】
図5には、電力アウトレットコネクタ列42が示してある。電力アウトレットコネクタ列は電力分配ユニット(PDU)と呼ばれることもある。電力アウトレットコネクタ列は、運転電力を、例えばコンピューティング設備、一例としてデータセンター、サーバファーム等(図示せず)内の電気機器に供給するために使用されてよい。このようなコンピューティング設備は、キャビネットまたはラックと呼ばれることもある方形または箱状のハウジングと、機器を組み付けるための割り当てられたコンポーネントと、割り当てられた通信ケーブルと、割り当てられた電力分配ケーブルとを備える電子機器ラックを含んでいてよい。このようなラック内には、電子機器を、種々の電子デバイス(例えばネットワークスイッチ、ルータ、サーバおよびこれに類するもの)をラック内で鉛直方向に次々と重ねて整列させることができるように組み付けることができる。1つ以上の図示の電力アウトレットコネクタ列42は、電力を電子機器に供給するために使用されてよい。複数のラックが相並んで配置されていてよい。各々のラックは、多数の電子コンポーネントを含んでいて、ラックにより占められる領域の内外両方に位置する相当な量の割り当てられたコンポーネント配線を有している。
【0046】
電力アウトレットコネクタ列42は、運転電力を1つ以上の別個の電子機器(図示せず)に提供するために使用されてよい複数の電力アウトレットモジュール10を備えている。電源(図示せず)から電力アウトレットコネクタ列42に電力を供給するために、コード44が存在している。各々の電力アウトレットモジュール10は、種々異なるコネクタタイプ、例えばプラグコネクタEまたはプラグコネクタIのプラグとの組み合わされた接続を達成することができる。
【0047】
これによって、さらに有利には、電力アウトレットコネクタ列42に第1のコネクタタイプの複数の電力アウトレットモジュールおよび第2のコネクタタイプの複数の電力アウトレットモジュール、例えば3つのF電力アウトレットモジュールおよび3つのJ電力アウトレットモジュールを設ける必要がなくなる。本発明の電力アウトレットコネクタ列42によって、汎用性を高めることが可能となる。なぜならば、増加させられた数の接続部を組み合わせることができるからである。したがって、電力アウトレットコネクタ列42の内部の電力アウトレット密度を高めることができる。その結果、有利には、ラックの内部のコンピューティング機器の密度をより高めることができる。
【0048】
図6には、2パーツ電気カップリングシステム46が、図1bに矢印A-Aにより示した平面で切断した断面図で示してある。この2パーツ電気カップリングシステム46は、電力アウトレットモジュール10と、例えば電子機器(図示せず)に接続されたプラグ48とを含んでいる。アウトレットモジュール10は端子28A1,28A2,28B3を備えている。これらの端子のうちの端子28A1,28A2が、上述した第1のセットの凹部により構成された凹部18A1,18A2内に収容されているのに対して、端子28B3は、上述した第2のセットの凹部により構成された凹部18B3内に収容されている(図1aおよび図1b参照)。
【0049】
プラグ48は、凹部18A1,18A2内に収容され、さらに、端子28A1,28A2により挟み込まれた雄形コネクタ50A1,50A2によって電力アウトレットモジュール10に接続されている。図示していないが、プラグ48により構成された更なる雄形コネクタが、凹部18A3内に収容され、更なる端子によって挟み込まれてよい(図1aおよび図1b参照)。凹部18B3は、別個のセットの凹部、例えば上述した第2のセットの凹部の一部である。
【0050】
雄形コネクタ50A1,50A2は導電性の材料製であり、接続されると、端子28A1,28A2との電気的な接続を形成する。プラグ48の内側の雄形コネクタ50A1,50A2の部分は、アウトレットモジュール10により受け取られた電力を、例えば電子機器に供給するために使用される電気リード、配線、プリント回路板等(図示せず)に接続されてよい。さらに、プラグ48は、このプラグ48により構成されたリム52によって電力アウトレットモジュール10に機械的に接続されてよい。前記リム52は、電力アウトレットモジュール10の、アウトレットコア16と側壁22との間に画定されたスペース内に収容されていてよい。例えば第1のコネクタタイプのプラグのリム52は、図示の例における事例のように、アウトレットコア16の外側の周面に合致する内側の周面を有していてよい。代替的には、例えば第2のコネクタタイプのプラグのリム52が、側壁22の内側の周面に合致する外側の周面を有していてよい。したがって、有利には、2つの互いに異なるコネクタタイプのプラグが、それぞれ電力アウトレットモジュール10に接続されてよい。図示していないが、アウトレットコアは、適正でないカップリングを防止するための手段、例えば、アウトレットコア16の周面に沿った少なくとも1つのキーイング要素をさらに備えていてよい。したがって、適正でないカップリングを防止することができる。図6に示したように、2パーツ電気カップリングシステム46は、電力アウトレットモジュール10とプラグ48とを備えていてよい。図示していないが、2パーツ電気カップリングシステム46は、例えば図5に示したような電力アウトレットコネクタ列42と、プラグ48とを備えていてよい。
【0051】
本発明には、規格拡張の特徴を含めることができる。例えば、付加的なアウトレットジオメトリを、例えば、プラグコネクタEの、いわゆる「E_veryhot」バージョンのようなより高い温度で使用するために規定することができる。一例では、アウトレットを承認する際の温度を電力クラスの範囲内で区別するために、付加的な機械的なコードを提供することができる。一例では、プラグコネクタがその外面に符号化要素またはキーイング要素としての付加的な溝を備えていてよい。プラグと電力アウトレットモジュールとが同じ温度クラスであれば、前記溝は、電力アウトレットモジュールのフランジに相応に設けられた突起と嵌合する。さもないと、キーイングを達成することはできない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
【国際調査報告】