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特表2024-508418傾斜屋根構造体用モーメントフレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】傾斜屋根構造体用モーメントフレーム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20240219BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240219BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240219BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
E04B1/24 B
E04H9/02 301
E04B1/58 504F
F16F7/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549641
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022016826
(87)【国際公開番号】W WO2022178148
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,460
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/674,532
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー. プライヤー
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
3J066
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB01
2E125AC15
2E125BB02
2E125BB22
2E125CA05
2E139AA01
2E139AA05
2E139AC33
2E139BA06
2E139BD04
3J066AA30
3J066BA03
3J066BB04
3J066BC03
3J066BG05
(57)【要約】
傾斜屋根構造体用のモーメントフレームが開示されている。モーメントフレームは、高い初期剛性を有する横方向ブレースシステムを含み、横方向荷重を受けた際に横方向ブレースシステム内で発生するエネルギーを効果的に消散させることができる降伏リンクを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の長軸を持つ梁と、
前記梁の前記長軸に対して垂直な角度になるように構成された連結面を備える垂直柱と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記座屈制限ブレース装置のそれぞれは、
前記柱に連結された第1の端部と、前記梁に連結された第2の端部とを備える降伏リンクであって、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定する幅狭部を備え、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加えられる時に、前記幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成された、降伏リンクと、
前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記降伏リンクと前記スペーサの上に取り付けられるように構成された座屈制限プレートであって、前記降伏リンクと前記スペーサを、前記座屈制限プレートと前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方との間に挟むように構成された、座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項2】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された面を有する垂直プレートを備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項3】
前記垂直プレートは、前記垂直プレートおよび前記降伏リンクを前記柱の前記連結面に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、請求項2に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項4】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、請求項2に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項5】
前記平面部は、前記平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記第1のフランジおよび前記第2のフランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、請求項4に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項6】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に隣接する前記柱の上縁に平行に、かつ、接して取り付けられるように構成された表面を有する第1の平面部を備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項7】
前記第1の平面部は、前記第1の平面部および前記降伏リンクを前記柱の前記上縁に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第1の複数のボルト孔を備える、請求項6に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項8】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する第2の平面部を備える、請求項6に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項9】
前記第2の平面部は、前記第2の平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第2の複数のボルト孔を備える、請求項8に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項10】
前記せん断タブが、中央円形取付孔と、前記中央円形取付孔から半径方向に間隔をおいて配置された複数の楕円形孔とを備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項11】
前記複数の楕円形孔の各々の長さが、前記中央円形取付孔から半径に垂直に方向付けられている、請求項10に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項12】
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部が、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に中央ウェブを備え、前記第1のフランジと前記第2のフランジが前記ウェブに対して凹んで、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定する、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項13】
前記せん断タブが中央円形取付孔を備え、前記梁の前記端部における前記第1のフランジと前記第2のフランジの凹状端部間の線が前記中央円形取付孔を通過する、請求項12に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項14】
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の上縁と、前記上縁に隣接する連結面とを備える垂直柱と、
前記非水平角度に長軸を有し、前記屋根の前記傾斜に沿ったフランジを有する梁と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部で引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、前記第1の降伏リンクと、
前記第1および第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記第1の降伏リンクおよび前記スペーサ上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第1のフランジとの間で前記第1の降伏リンクと前記スペーサを挟むように構成された座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項15】
前記第2の座屈制限ブレース装置は、第2の降伏リンクを備え、前記第2の降伏リンクは、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記第2のフランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部において引張時と圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、
請求項14に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項16】
前記連結面は、前記梁の前記長軸に対して垂直である、請求項15に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項17】
前記第1の降伏リンクの前記第1の端部は前記柱にボルト止めされ、前記第1の降伏リンクの前記第2の端部は前記梁にボルト止めされている、請求項14に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項18】
傾斜屋根構造体であって、
垂直柱であって、
前記屋根の前記傾斜に沿った非水平角度の上縁と、
前記上縁に隣接する連結面であって、非垂直角度で設けられ、前記屋根の前記傾斜に対して垂直な連結面と、を備える垂直柱と、
前記屋根の前記傾斜に沿った前記非水平角度に長軸を有する梁と、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、
前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第1の幅狭部とを備え、前記第1の幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第1の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第1の降伏リンクと、
前記第1の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第1のフランジとの間で前記第1の降伏リンクを挟むように構成された第1の座屈制限プレートと、を備え、
前記第2の座屈制限ブレース装置は、
第2の降伏リンクであって、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記第2のフランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第2の幅狭部とを備え、前記第2の幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第2の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第2の降伏リンクと、
前記第2の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第2のフランジとの間で前記第2の降伏リンクを挟むように構成された第2の座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項19】
前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジとの間に固定されたせん断タブをさらに備え、前記せん断タブは、前記柱に対する前記梁の回転軸を画定するように構成されている、請求項18に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項20】
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部は、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に中央ウェブを備え、前記第1のフランジと前記第2のフランジは、前記ウェブに対して凹み、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記第1のフランジと前記第2のフランジの前記凹状端部を通る線は、前記柱に対する前記梁の前記回転軸を通る、請求項19に記載の傾斜屋根構造体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2021年2月17日に出願された「MOMENT FRAME FOR A SLOPED ROOF CONSTRUCTION」と題する米国仮特許出願第63/150,460号の優先権を主張する、2022年2月17日に出願された「MOMENT FRAME FOR A SLOPED ROOF CONSTRUCTION」と題する米国特許出願第17/674,532号の優先権を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、傾斜屋根構造体で使用される構造物のためのヒステリシス減衰に関し、特に、傾斜屋根構造体内で、低い変位閾値でエネルギーが消散されるように、高い初期剛性とともにヒステリシス減衰による高度のエネルギー消散を提供するように構成された横方向ブレースシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
地震や強風などの自然現象によるせん断応力は、傾斜屋根構造体の構造的完全性に壊滅的な影響を与える可能性がある。このような自然現象時に発生する横方向の力は、壁の頂部を壁の底部に対して横方向に移動させる可能性があり、この移動は壁の損傷や構造的破壊、そして場合によっては建物の倒壊につながる可能性がある。
【0004】
住宅、倉庫、小規模建築物などでは、軽量鉄骨造の構造的完全性に及ぼす、起こりうるせん断応力による壊滅的な影響に対処するため、横方向ブレースシステムが開発された。様々な設計が知られているが、横方向ブレースシステムの一種には、互いに間隔をあけた垂直スタッドと、スタッドに固定されスタッド間を延びる梁がある。傾斜屋根を含む構造では、梁は垂直柱から鈍角または鋭角に延び得る。
【0005】
従来の多くの横方向ブレースシステムは、当初は横方向荷重によく耐えたが、非常に強い地震や強風の際にしばしば発生する、繰り返される横方向荷重に耐えられず破損する。横方向ブレースシステムが著しく降伏または破損すると、システム全体を交換しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、傾斜屋根構造体に用いられるモーメントフレームの横方向ブレースシステムに関する。モーメントフレームは、間隔をおいて配置された一対の垂直柱と、屋根の角度で柱から延び、屋根の頂点で互いに連結された一対の梁を備える。各柱は、組み立てられたときに梁の軸方向長さに垂直な連結面を有する頂部を含んでいてもよい。
【0007】
モーメントフレームは、梁を柱に取り付けるために使用される一対の横方向ブレースシステムをさらに含むことができる。各横方向ブレースシステムは、梁の上側フランジと下側フランジに取り付けられた一対の座屈制限ブレース装置をさらに含むことができる。各座屈制限ブレース装置は、梁と柱の間に取り付けられた降伏リンクと、降伏リンクの一部を覆う座屈制限プレートとを備える。一実施形態では、降伏リンクは、(降伏リンクの主要面に対して垂直な)直角プレートを用いて柱の端面に固定することができる。第2の実施形態では、降伏リンクは、(降伏リンクの平面に平行な)平板を用いて柱の上端に固定することができる。柱の連結面を梁の軸方向長さに対して垂直に設けることで、梁と柱によって降伏リンクに作用する引張力と圧縮力は、降伏リンクの平面に制限される。
【0008】
一例において、本技術は傾斜屋根構造体に関し、傾斜屋根構造体は、屋根の傾斜に沿った非水平角度の長軸を持つ梁と、梁の長軸に対して垂直な角度になるように構成された連結面を備える柱と、柱と梁の間、梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、柱と梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、横方向ブレースシステムは、梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、座屈制限ブレース装置のそれぞれは、柱に連結された第1の端部と、梁に連結された第2の端部と、を備える降伏リンクであって、降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定する幅狭部を備え、降伏リンクは、梁および/または柱に横方向荷重が加えられる時に、幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、構造体内の応力を消散させるように構成された、降伏リンクと、第1の切欠きおよび第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、降伏リンクとスペーサの上に取り付けられるように構成された座屈制限プレートであって、降伏リンクとスペーサを、座屈制限プレートと梁の上側フランジおよび下側フランジの一方の表面との間に挟むように構成された、座屈制限プレートと、を備える。
【0009】
さらなる例において、本技術は傾斜屋根構造体に関し、傾斜屋根構造体は、屋根の傾斜に沿った非水平角度の上縁と、上縁に隣接する連結面とを有する柱と、屋根の傾斜に沿った非水平角度に長軸を持つ梁と、柱と梁の間、梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、柱と梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、横方向ブレースシステムは、梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、第1の座屈制限ブレース装置は、第1の降伏リンクであって、柱の上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、梁の第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の幅狭部と、を備え、幅狭部は、第1の降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、第1の降伏リンクは、梁および/または柱に横方向荷重が加わった時に、幅狭部で引張時および圧縮時に降伏し、構造体内の応力を消散させるように構成されている、第1の降伏リンクと、第1および第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、第1の降伏リンクおよびスペーサ上に取り付けられ、座屈制限プレートと梁の第1のフランジとの間で第1の降伏リンクとスペーサを挟むように構成された座屈制限プレートと、を備える。
【0010】
別の例では、本技術は傾斜屋根構造体に関し、傾斜屋根構造体は、垂直柱であって、屋根の傾斜に沿った非水平角度の上縁と、上縁に隣接する連結面であって、非垂直角度で設けられ、屋根の傾斜に対して垂直な連結面と、を備える垂直柱と、屋根の傾斜に沿った非水平角度に長軸を有する梁と、柱と梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、横方向ブレースシステムは、梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備る。第1の座屈制限ブレース装置は、第1の降伏リンクであって、柱の上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、梁の第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の第1の幅狭部とを備え、第1の幅狭部は、第1の降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、第1の降伏リンクは、梁および/または柱に横方向荷重が加わった時に、第1の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、構造体内の応力を消散させるように構成される、第1の降伏リンクと、第1の降伏リンクの上に取り付けられ、座屈制限プレートと梁の第1のフランジとの間で第1の降伏リンクを挟むように構成された第1の座屈制限プレートと、を備える。第2の座屈制限ブレース装置は、第2の降伏リンクであって、柱の連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、梁の第2のフランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の第2の幅狭部とを備え、幅狭部は、降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、降伏リンクは、梁および/または柱に横方向荷重が加わった時に、第2の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、構造体内の応力を消散させるように構成される、第2の降伏リンクと、第2の降伏リンクの上に取り付けられ、座屈制限プレートと梁の第2のフランジとの間で第2の降伏リンクを挟むように構成された第2の座屈制限プレートと、を備える。
【0011】
本概要は、以下の「詳細な説明」でさらに説明される概念から選択されたものを簡略化して紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の助けとして使用することを意図したものでもない。特許請求される主題は、「背景」で指摘した欠点のいずれかまたはすべてを解決する実施態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】モーメントフレームを示す、傾斜屋根構造体を通る断面図である。
【0013】
図2】本技術の第1の実施形態による横方向ブレースシステムの正面図である。
【0014】
図3図2の横方向ブレースシステムの一部を示す拡大正面図である。
【0015】
図4図2による横方向ブレースシステムに使用される降伏リンクの上面図である。
【0016】
図5図2による横方向ブレースシステムの分解透視図である。
【0017】
図6】本技術の第2の実施形態による横方向ブレースシステムの正面図である。
【0018】
図7図6の横方向ブレースシステムの一部を示す拡大正面図である。
【0019】
図8図6による横方向ブレースシステムに使用される降伏リンクの上面図である。
【0020】
図9図6による横方向ブレースシステムの分解透視図である。
【0021】
図10】モーメントフレームを示す、代替の傾斜屋根構造体を通る断面図である。
【0022】
図11】本技術の第1の実施形態による横方向ブレースシステムの一部を示す拡大正面図である。
【0023】
図12】本技術の第2の実施形態による横方向ブレースシステムの一部を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図1図12を参照して本発明を説明する。図1図12は、実施形態において、傾斜屋根構造体用の横方向ブレースシステムに関する。横方向ブレースシステムは、高い初期剛性を有し、横方向荷重を受けて横方向ブレースシステム内で発生するエネルギーを効果的に消散させることができる降伏リンクを含む。本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではないことが理解される。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明を完全に伝えることができるように提供される。実際、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および思想内に含まれる、これらの実施形態の代替物、変更物および均等物を網羅することを意図している。さらに、以下の本発明の詳細な説明では、本発明を十分に理解するために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、本発明は、そのような具体的な詳細がなくても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0025】
図1を参照すると、垂直壁102と傾斜屋根104を備える構造体100が示されている。図示の実施形態では、屋根104は壁102の間のほぼ中間で頂点に達する。以下に説明するさらなる実施形態では、屋根104は、壁102の一方または他方において頂点を有し、その後、他方の壁に向かって連続して下方に傾斜してもよい。構造体100は、間隔をあけて配置された一対の垂直柱110と、屋根の角度で柱110から延び、頂点114で互いに連結された一対の梁112とを備える、1つまたは複数のモーメントフレーム108によって支持されてもよい。柱110と梁112の間の角度は、例えば95°から135°の範囲とすることができるが、屋根の傾斜、柱110と梁112の間の角度は、図1の実施形態における角度が90°より大きいことを理解した上で、それより小さくても大きくてもよい。図1には、このような横方向ブレースシステム120が1つ示されているが、このような横方向ブレースシステムが、構造体の長さ方向に沿って(すなわち、図1の紙面の奥に向かって、および紙面の手前に)平行な平面内に複数存在してもよい。
【0026】
モーメントフレーム108は、構造体100の各側において柱110と梁112とを互いに結合する一対の横方向ブレースシステム120をさらに含むことができる。モーメントフレーム108の両側の各横方向ブレースシステム120は、他方の鏡像であってもよいが、さらなる実施形態ではそうである必要はない。そのため、一方の横方向ブレースシステム120を、所定のモーメントフレーム108の他方の横方向ブレースシステムが鏡像の同一の構成要素を含むことを理解した上で、以下に説明する。
【0027】
図2は、モーメントフレームの一方の側面図であり、横方向ブレースシステム120によって(その一部が示されている)梁112に連結された柱110を示す。柱110および梁112の各々は、構造用鋼で形成され、第1および第2のフランジと、第1および第2のフランジの間に延びるウェブとを有することができる。一例では、フランジは1~13/16インチの厚さを有するが、フランジの厚さはさらなる実施形態では異なってもよい。一例では、ウェブは1インチ、3/4インチまたは1/2インチの厚さを有することができるが、ウェブの厚さはさらなる実施形態では異なっていてもよい。柱110および/または梁112のフランジは、ウェブの表面に直交する、いわゆる標準的な構造W字形状に形成されてもよい。あるいは、フランジは、内面がウェブの表面と90゜より大きい角度をなす、いわゆるS断面に形成されてもよい。その他の梁の構成も考えられる。
【0028】
柱110のそれぞれは、柱110の長さの大部分を延びる主要部110aと、柱110の先端に形成された頂部110bとから形成されてもよい。主要部及び頂部は互いに一体的に形成されてもよく、例えば、主要部と頂部との間の境界に補強フランジ121を含んでもよい。更なる実施形態では、主要部及び頂部は、形成後に、溶接、ボルト締め、又は他の方法で互いに固着されてもよい。主要部110aは、垂直に延びる(壁102に固定される)第1のフランジと、主要部110aのウェブがその長さに沿ってテーパ状になって主要部110aの基部よりも主要部110aの先端の方が広くなるように、垂直に対して角度が付けられる第2のフランジとを備えてもよい。一例では、主要部110aの先端は24インチから60インチの幅を有してもよく、8インチから12インチの幅を有する底部に向かってテーパ状になってもよい。これらの寸法は例示であり、先端および/または底部の寸法は、さらなる実施形態において変化してもよい。主要部110aの両方のフランジは、さらなる実施形態において、垂直であり、互いに平行であってもよい。梁は、深さが一定のものとして示されているが、その長さに沿って深さがテーパ状になることもある。
【0029】
頂部110bは、主要部110aの第1のフランジから垂直に延びる(壁102に固定される)第1のフランジを含んでよい。頂部110bは、第2の、垂直でないフランジを有してもよい。実施形態において、第2のフランジは、頂部110bのウェブがその先端よりも底部において広くなるように、底部から先端に向かって内側にテーパ状になっている。柱110の頂部110bの第2のフランジは、梁112が横方向ブレースシステムを介して固定される連結面を形成する。
【0030】
実施形態では、頂部110bの第2のフランジは、組み立てられると、梁112の長軸(すなわち、梁の軸方向の長さに沿って)、および屋根104の斜面に対して、垂直な角度で設けられる。以下に説明するように、この構成により、梁と柱との間の横方向ブレースシステムの降伏リンクに作用する力が、降伏リンクの主要面内に留まることが保証される。
【0031】
図3は、梁112の端面と柱110の頂部110bの連結面(第2のフランジ)とを接続する横方向ブレースシステム120を示す拡大図である。連結面は、図3では122とされている。横方向ブレースシステム120は、梁112の上下のフランジにそれぞれ1つずつ設けられた一対の座屈制限ブレース装置124で構成されている。座屈制限ブレース装置124のそれぞれは、図3に端面図で、図4に上面図で、および図5に透視図で示す「ドッグボーン」形状の降伏リンク126を含む。本技術の第1の実施形態によれば、降伏リンク126のそれぞれは、リンクの第1の端部に、降伏リンク126の長さおよび主要面に対して垂直なフランジを形成する垂直プレート128を含むことができる。各リンク126の垂直プレート128は、梁112の上部および下部において、プレート128を連結面122にボルト止めできるようにするボルト孔130(図4)を含むことができる。
【0032】
例えば図4に見られるように、降伏リンク126は、プレート128から直交して延び、一対の切欠き135を画定する幅狭部134を有する平面部132を含む。さらなる実施形態では、平面部132はプレート128と直交しなくてもよい。降伏リンク126に所定の閾値以上の引張荷重および圧縮荷重がかかると、降伏リンク126は、幅狭部134において降伏する。部分134は、代替的に、隣接する部分と同じ直径であってもよいが、降伏リンク126が所定の閾値以上で部分134において降伏するように、より低い降伏強度を有する。
【0033】
降伏リンク126は、プレート128とは反対側の降伏リンク126の第2の端部において、平面部132にボルト孔136をさらに含むことができる。ボルト孔136は、ボルト孔130に対して設けられ、降伏リンクの第2端部を梁112の上側フランジおよび下側フランジにボルト止めできるようにするために設けられる。
【0034】
連結面122と梁112のウェブとの間には、さらにせん断タブ140が取り付けられ得る。せん断タブ140は、連結面122に平行で、連結面122にボルト締めまたは溶接されるように構成されたフランジ142を備えていてもよい。せん断タブ140はさらに、梁112のウェブに平行で、梁112のウェブにボルト止めされるように構成されたプレート144を含む。特に、プレート144は、プレート144を梁112のウェブにボルト止めするための中央円形孔146を備える。プレート144はさらに、プレート144を梁112のウェブにボルト止めし、一方、柱に対する梁の回転を許容する楕円形孔148を含む。以下に説明するように、所定の閾値以上の横方向荷重がかかると、梁は柱に対して相対的に回転する。横方向ブレースシステムは、このような回転を許容するように構成されており、この回転は中央のボルト孔146を通る軸を中心に行われる。楕円形孔148は、中央のボルト孔146から半径に正接のスロットを持ち、せん断タブや梁のウェブに損傷を与えることなく、このような回転を許容する。同時に、孔146と148は、柱110にかかる重力に反して、梁112を支える。楕円形の孔148の数、位置、大きさは一例として示したものであり、数、位置、大きさは、さらなる実施形態では異なっていてもよい。
【0035】
図3に見られるように、柱110に隣接する梁112の端面は、切欠き149を画定するために、上下のフランジにおいてカットバックされてもよい。切欠き149は、カットバックされた上下のフランジの端部間の線がボルト孔146の中心を通るように形成される。この切欠き149により、上下のフランジにおいて梁を拘束することなく、柱110に対して梁112を回転させることができる。
【0036】
図3および図5を参照すると、2つの座屈制限ブレース装置124のそれぞれは、座屈制限プレート(BRP)150をさらに含むことができる。降伏リンク126が柱110と梁112の間にボルト止めまたはその他の方法で固定された後、BRP150が降伏リンク126の上にボルト止めされてもよい。降伏リンク126は引張時には予測可能な性能を発揮するが、BRP150は圧縮時における降伏リンクの予測不可能な面外座屈を防止するために設けられている。図5に見られるように、一対のスペーサ152は、幅狭部134の切欠き135内に取り付けられることができる。その後、1または複数のボルトが、BRP150を貫通し、降伏リンク126の対向する側の各スペーサ152を貫通し、さらに梁112のフランジに貫通して、BRP150を梁の上下にある2つの座屈制限ブレース装置124のそれぞれに固定することができる。
【0037】
スペーサ152は、降伏リンク126と同じ厚さであってよく、切欠き135によって画定される空所の大部分または略すべて、例えば60%~99%の間、または例えば切欠き135の面積の80%~90%を占めてよい。このようにして、スペーサ152は、BRP150が降伏リンク126上にボルト止めされたときに、降伏リンク126上のBRP150の均一な荷重分布を保証する。
【0038】
モーメントフレーム108の横方向ブレースシステム120は、現場で容易に組み立てることができるという利点がある。一例では、降伏リンク126とせん断タブ140は、作業現場に到着する前に、あるいは柱110が建てられる前に、柱110に組み付けることができる。その後、柱110と梁112が位置決めされると、降伏リンクとせん断タブの反対側の端部が梁に固定されてもよい。これらの接合は、例えばボルト締めで行うことができ、現場での溶接は不要である。
【0039】
作動中、一対の座屈制限ブレース装置124は、横方向荷重下における柱110に対する梁112の回転(すなわち、せん断タブ140を中心とする回転)に対抗するように連携して作動する。第1の方向に回転しようとすると、装置124うちの第1の装置が引張状態になり、第2の装置が圧縮状態になる。反対方向に回転しようとすると、第1の装置が圧縮状態になり、第2の装置が引張状態になる。
【0040】
それぞれの装置124の降伏リンク126は、横方向荷重下での柱110と梁112との間の相対運動に対して高い初期剛性と引張・圧縮抵抗を与えるが、予測可能で制御可能なレベルを超えるの横方向荷重下では、安定した降伏とヒステリシスエネルギー消散を与える。特に、柱と梁の曲げ強度は、降伏リンク126のモーメント容量、特に降伏リンク126の幅狭部134のモーメント容量を上回るように設計することができる。従って、柱や梁が降伏しまたは不具合が生じる前に、横方向荷重下で降伏リンク126が降伏し、いかなる損傷も、容易に取り外して交換することができる降伏リンクに限定される。
【0041】
BRP150は、圧縮荷重下での降伏リンクの座屈を防止する。せん断タブ140は、垂直方向および横方向のフレーム荷重下で、梁端せん断(すなわち、梁112の長軸に直交する梁せん断)に対抗するために設けられる。
【0042】
横方向荷重がかかると、降伏リンク126の垂直プレート128は、降伏リンクが取り付けられた柱110の連結面122に力を及ぼす。従って、降伏リンクによって及ぼされる力に対抗するために、降伏リンクを受け入れる側とは反対側の連結面122の側面に補強プレート156を任意に取り付けることができる。補強プレート156は、ウェブの片側または両側において、柱頂部110bのウェブに垂直に取り付けられて、下側降伏リンク126から部分110bにかかる力に対抗することができる。補強プレート156の長さは、降伏リンクの(連結面122に垂直な)主要面に揃えることができる。
【0043】
第2の補強プレート156は、上側降伏リンク126から部分110bにかかる力に対抗するために、柱110の頂部に取り付けられてもよい。第2の補強プレート156は、頂部110bのウェブの平面内で、柱頂部110bの上縁に取り付けられてもよい。図3に見られるように、連結面122の上端部は、上側降伏リンク126の垂直プレート128を受け入れるように、柱頂部110bの上端部より上に延びていてもよい。補強プレート156は、連結面122のこの頂部に接して、上側降伏リンク126とは反対側の連結面の側面に配置されてもよい。補強プレート156は、溶接、ボルト締め、接着などの方法で固定することができる。
【0044】
図2~5に示される本技術の実施形態は、降伏リンク126が降伏リンク126の主要面に直交する垂直プレート128を含むことから、垂直プレート横方向ブレースシステムと呼ばれることがある。図6図9は、平板横方向ブレースシステムと呼ばれる本技術のさらなる実施形態を示す。平板横方向ブレースシステムは、垂直板横方向ブレースシステムといくつかの点で類似しているが、以下の相違点を有する。最初に図6を参照すると、モーメントフレームの片側の側面図が示され、平板横方向ブレースシステム220によって(その一部が図示されている)梁212に連結された柱210が示される。以下に特に断らない限り、柱210および梁212は、それぞれ柱110および梁112と同じ構成を有することができる。
【0045】
柱210のそれぞれは、柱210の長さの大部分を延びる主要部210aと、柱210の頂部に形成された頂部210bとから形成されてよい。頂部210bは、主要部210aの第1のフランジから垂直に延びる、(壁102に固着される)第1のフランジを備えていてもよい。頂部210bは、垂直でない角度で延びる第2のフランジを有してもよい。実施形態において、第2のフランジは、頂部210bのウェブがその先端よりもその基部において広くなるように、底部から先端に向かって内側にテーパ状になっている。柱210の頂部210bの第2のフランジは、梁212が固定される連結面222を形成する。
【0046】
実施形態では、頂部210bの連結面は、組み立てられたときに、梁212の長軸および屋根104の斜面に対して垂直な角度で設けられる。以下に説明するように、この構成により、梁と柱との間の降伏リンクに作用する力が降伏リンクの平面内に留まることが保証される。
【0047】
図7は、梁212の端面と柱210の頂部210bの連結面222とを連結する横方向ブレースシステム220を示す拡大図である。横方向ブレースシステム220は、梁212の上下のフランジにそれぞれ1つずつ設けられた一対の座屈制限ブレース装置224で構成されている。以下、特に断らない限り、横方向ブレースシステム220および一対の座屈制限ブレース装置224は、それぞれ、上述した横方向ブレースシステム120および一対の座屈制限ブレース装置124と同様とすることができる。
【0048】
第2の実施形態では、第1の(下側)座屈制限ブレース装置224aは降伏リンク226aを含み、第2の(上側)座屈制限ブレース装置224bは降伏リンク226bを含む。下側降伏リンク226aは、上述の下側降伏リンク126と同一であってもよく、リンクの第1の端部において、降伏リンク226aの長さおよび主要面に対して垂直であり、フランジを形成する垂直プレート228を含む。リンク226aの垂直プレート228は、図4に関して上述したように、ボルト孔230を含むことができ、プレート228を梁212の底部の連結面222にボルト止めできるようにする。
【0049】
この第2の実施形態に従って、上側降伏リンク226bは、垂直プレートを有さず、代わりに、その全長に亘って概ね平坦な平面状部品であってもよい。図7の端面図、図8の上面図および図9の透視図に示すように、降伏リンク226bは概ね平面状であり、一対の切欠き235を画定する幅狭部234を有する。所定の閾値を超える軸方向の引張及び圧縮荷重が降伏リンク226bにかかると、降伏リンク226bは、降伏リンク126について上述したように、幅狭部234において降伏する。降伏リンク226bは、降伏リンク226bの第1および第2の対向する端部に2組のボルト孔236aおよび236b(総称してボルト孔236)をさらに含むことができる。ボルト孔236aは、降伏リンク226bの第1の端部を梁212の上側フランジにボルト止めできるようにするために設けられている。ボルト孔236bは、降伏リンク226bの第2の端部を柱頂部210bの上縁229にボルト止めできるようにするために設けられている。
【0050】
上縁229は、梁212の長軸と一致する非水平角度で、屋根104の傾斜に沿って設けられている。上縁229はまた、梁212の上側フランジと同一平面上にある。従って、平板降伏リンク226bは、梁212の上側フランジと柱210の上縁229の両方の上に平らに横たわり、ボルト孔236を介して梁212の上側フランジと上縁229にボルト止めされ得る。図4の実施形態では、連結面122の上端が柱頂部110bの上端より上に延びていたが、図7に示すこの第2の実施形態では、連結面222の上端は上縁229で終わっている。
【0051】
連結面222と梁212のウェブとの間には、さらにせん断タブ240が固定されていてもよい。せん断タブ240は、構造的にも動作的にもせん断タブ140と同一であってもよい。梁212は、切欠き149と構造的にも動作的にも同じである切欠き249を上下のフランジに含んでいてもよい。2つの座屈制限ブレース装置224の各々は、座屈制限プレート(BRP)250と、両方の降伏リンク226a、226bの切欠き235内にスペーサ252とをさらに含むことができる。BRP250およびスペーサ252は、それぞれ、BRP150およびスペーサ152と構造的および動作的に同一であってもよい。
【0052】
作動中、一対の座屈制限ブレース装置224は、横方向荷重下での柱210に対する梁212の回転(すなわち、せん断タブ240を中心とする回転)に対抗するように連携して作動する。第1の方向に回転しようとすると、装置224のうちの第1の装置が引張状態になり、第2の装置が圧縮状態になる。反対方向に回転しようとすると、第1の装置が圧縮状態になり、第2の装置が引張状態になる。
【0053】
各装置224の降伏リンク226a、226bは、共に、横方向荷重下での柱210と梁212との間の相対移動に対して高い初期剛性および引張・圧縮抵抗を与えるが、予測可能で制御可能なレベルを超える横方向荷重下では安定した降伏およびヒステリシスエネルギー消散を与える。降伏リンク226aは、(降伏前の)引張荷重および圧縮荷重を、垂直プレート228を介して柱頂部210bとの間で伝達することができる。降伏リンク226bは、(降伏前の)引張荷重および圧縮荷重を、ボルト孔236b内のボルトを介して柱頂部210bとの間で伝達することができる。降伏リンク226aが及ぼす引張力および圧縮力に対抗するために、連結面222に補強プレート256を任意に取り付けることができる。補強プレート256は、構造的にも動作的にも、上述の補強プレート156と同一であってもよい。
【0054】
上述した実施形態では、屋根104は、対向する壁102の両側の梁112/212が柱110/210への接続部から上方に傾斜するように、対向する壁102の間の概ね中間に頂点を有する。図10図12に示す本技術のさらなる実施形態では、屋根104は、壁102の一方に頂点を有し、反対の壁102に向かって下方に傾斜していてもよい。このような実施形態では、モーメントフレーム308は、一対の対向する柱310を含み、その間に梁312が延びていてもよい。図10に示す実施形態は、柱310間に単一の梁312を含むが、さらなる実施形態では、柱310の間に1つより多い梁があってもよい。
【0055】
モーメントフレーム308は、一対の横方向ブレースシステム320aおよび320bを含み、そのうちの一方は、モーメントフレーム308の構造体の各側において、柱310と梁312とを互いに結合する。構造体100の第1の側において、梁312は、屋根104の傾斜に沿って、柱310から上方にむけて角度をなしており、その第1の側における横方向ブレースシステム320aは、第1の柱310を梁312に結合することにおいて、上述した横方向ブレースシステム120/220と同一であってもよい。
【0056】
構造体100の第2側において、梁312は、横方向ブレースシステム320bにおいて柱310から下方にむけて角度をなしている。図11および図12は、上述した2つの実施形態による構造体100の第2側の柱310、梁312、および横方向ブレースシステム320bの拡大部分正面図である。まず図11を参照すると、柱310は、上述した主要部110aおよび210aと同様の、柱310の長さの大部分を延びる主要部310aと、柱310の頂部に形成された頂部310bとを含む。主要部310aおよび頂部310bは、上述の実施形態と同様であってよい。柱310は頂部310bをさらに含む。先に説明した実施形態とは異なり、頂部310bは、下方にむけて角度をなす連結面322を含む。連結面322の角度は、梁312の長軸及び屋根104の傾斜に対して垂直になるように設けられる。
【0057】
図11の横方向ブレースシステム320は、梁312の上側フランジと下側フランジのそれぞれに1つずつ、一対の座屈制限ブレース装置324を含む。図11の一対の座屈制限ブレース装置324は、図3図5に示す一対の座屈制限ブレース装置124と構造的にも動作的にも同一であってもよい。
【0058】
次に図12を参照すると、柱310は、主要部310aと、上述した実施形態と同様であり得る、柱310の頂部に形成された頂部310bとを含む。図11と同様に、図12の実施形態では、頂部310bの連結面322は、上向きではなく下向きに角度が付けられている。図12における連結面322の角度は、梁312の長軸および屋根104の傾斜に対して垂直になるように設けられている。
【0059】
図12の横方向ブレースシステム320は、梁312の上側フランジと下側フランジのそれぞれに1つずつ、一対の座屈制限ブレース装置324aと324bを含む。図12の一対の座屈制限ブレース装置324aおよび324bはそれぞれ、図7図9示した一対の座屈制限ブレース装置224aおよび224bと構造的にも動作的にも同一であってもよい。
【0060】
柱の連結面122/222が、組み立てられたときに、梁112の長軸および屋根104の傾斜に対して垂直であることが、上述の実施形態の特徴である。したがって、連結面122/222の角度は、屋根および梁の傾斜に応じて変化する。連結面122/222が梁の軸方向長さに対して垂直であることにより、降伏リンク126/226a/226bにかかる荷重が、降伏リンクの平面内において引張荷重および圧縮荷重となることが保証される。
【0061】
同様に、平板降伏リンク226bを含む実施形態についても、柱の上縁229は、梁212および屋根104の傾斜に一致する角度で設けられ、上縁229は、梁212の上側フランジの上面と同一平面上にある。上縁229が梁の上側フランジと同一平面上にあることにより、平板降伏リンク226bにかかる荷重が降伏リンクの平面内において引張荷重および圧縮荷重となることが保証される。
【0062】
本明細書で使用される場合、接続は、直接的な接続であっても、間接的な接続(例えば、1つまたは複数の他の部品を介した接続)であってもよい。場合によっては、ある要素が他の要素に固定、接続、または装着されていると言及される場合、その要素は他の要素に直接接続されていてもよいし、介在要素を介して他の要素に間接的に接続されていてもよい。第1の要素が第2の要素に直接固定、直接接続、または直接装着されていると言及される場合、第1の要素と第2の要素の間に介在要素は存在しない。
【0063】
本発明を本明細書で詳細に説明したが、本発明は本明細書で開示した実施形態に限定されないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲に記載され定義された本発明の思想または範囲から逸脱することなく、当業者によって、様々な変更、置換、および修正が行われ得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
本発明を本明細書で詳細に説明したが、本発明は本明細書で開示した実施形態に限定されないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲に記載され定義された本発明の思想または範囲から逸脱することなく、当業者によって、様々な変更、置換、および修正が行われ得る。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の長軸を持つ梁と、
前記梁の前記長軸に対して垂直な角度になるように構成された連結面を備える垂直柱と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記座屈制限ブレース装置のそれぞれは、
前記柱に連結された第1の端部と、前記梁に連結された第2の端部とを備える降伏リンクであって、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定する幅狭部を備え、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加えられる時に、前記幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成された、降伏リンクと、
前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記降伏リンクと前記スペーサの上に取り付けられるように構成された座屈制限プレートであって、前記降伏リンクと前記スペーサを、前記座屈制限プレートと前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方との間に挟むように構成された、座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
(項目2)
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された面を有する垂直プレートを備える、項目1に記載の傾斜屋根構造体。
(項目3)
前記垂直プレートは、前記垂直プレートおよび前記降伏リンクを前記柱の前記連結面に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、項目2に記載の傾斜屋根構造体。
(項目4)
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、項目2に記載の傾斜屋根構造体。
(項目5)
前記平面部は、前記平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記第1のフランジおよび前記第2のフランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、項目4に記載の傾斜屋根構造体。
(項目6)
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に隣接する前記柱の上縁に平行に、かつ、接して取り付けられるように構成された表面を有する第1の平面部を備える、項目1に記載の傾斜屋根構造体。
(項目7)
前記第1の平面部は、前記第1の平面部および前記降伏リンクを前記柱の前記上縁に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第1の複数のボルト孔を備える、項目6に記載の傾斜屋根構造体。
(項目8)
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する第2の平面部を備える、項目6に記載の傾斜屋根構造体。
(項目9)
前記第2の平面部は、前記第2の平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記第1および第2のフランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第2の複数のボルト孔を備える、項目8に記載の傾斜屋根構造体。
(項目10)
前記せん断タブが、中央円形取付孔と、前記中央円形取付孔から半径方向に間隔をおいて配置された複数の楕円形孔とを備える、項目1に記載の傾斜屋根構造体。
(項目11)
前記複数の楕円形孔の各々の長さが、前記中央円形取付孔から半径に垂直に方向付けられている、項目10に記載の傾斜屋根構造体。
(項目12)
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部が、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に中央ウェブを備え、前記第1のフランジと前記第2のフランジが前記ウェブに対して凹んで、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定する、項目1に記載の傾斜屋根構造体。
(項目13)
前記せん断タブが中央円形取付孔を備え、前記梁の前記端部における前記第1のフランジと前記第2のフランジの凹状端部間の線が前記中央円形取付孔を通過する、項目12に記載の傾斜屋根構造体。
(項目14)
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の上縁と、前記上縁に隣接する連結面とを備える垂直柱と、
前記非水平角度に長軸を有し、前記屋根の前記傾斜に沿ったフランジを有する梁と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部で引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、前記第1の降伏リンクと、
前記第1および第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記第1の降伏リンクおよび前記スペーサ上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第1のフランジとの間で前記第1の降伏リンクと前記スペーサを挟むように構成された座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
(項目15)
前記第2の座屈制限ブレース装置は、第2の降伏リンクを備え、前記第2の降伏リンクは、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記第2のフランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部において引張時と圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、
項目14に記載の傾斜屋根構造体。
(項目16)
前記連結面は、前記梁の前記長軸に対して垂直である、項目15に記載の傾斜屋根構造体。
(項目17)
前記第1の降伏リンクの前記第1の端部は前記柱にボルト止めされ、前記第1の降伏リンクの前記第2の端部は前記梁にボルト止めされている、項目14に記載の傾斜屋根構造体。
(項目18)
傾斜屋根構造体であって、
垂直柱であって、
前記屋根の前記傾斜に沿った非水平角度の上縁と、
前記上縁に隣接する連結面であって、非垂直角度で設けられ、前記屋根の前記傾斜に対して垂直な連結面と、を備える垂直柱と、
前記屋根の前記傾斜に沿った前記非水平角度に長軸を有する梁と、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、
前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記第1のフランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第1の幅狭部とを備え、前記第1の幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第1の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第1の降伏リンクと、
前記第1の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第1のフランジとの間で前記第1の降伏リンクを挟むように構成された第1の座屈制限プレートと、を備え、
前記第2の座屈制限ブレース装置は、
第2の降伏リンクであって、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記第2のフランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第2の幅狭部とを備え、前記第2の幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第2の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第2の降伏リンクと、
前記第2の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記第2のフランジとの間で前記第2の降伏リンクを挟むように構成された第2の座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
(項目19)
前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジとの間に固定されたせん断タブをさらに備え、前記せん断タブは、前記柱に対する前記梁の回転軸を画定するように構成されている、項目18に記載の傾斜屋根構造体。
(項目20)
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部は、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に中央ウェブを備え、前記第1のフランジと前記第2のフランジは、前記ウェブに対して凹み、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記第1のフランジと前記第2のフランジの前記凹状端部を通る線は、前記柱に対する前記梁の前記回転軸を通る、項目19に記載の傾斜屋根構造体。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の長軸を持つ梁と、
前記梁の前記長軸に対して垂直な角度になるように構成された連結面を備える垂直柱と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記座屈制限ブレース装置のそれぞれは、
前記柱に連結された第1の端部と、前記梁に連結された第2の端部とを備える降伏リンクであって、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定する幅狭部を備え、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加えられる時に、前記幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成された、降伏リンクと、
前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記降伏リンクと前記スペーサの上に取り付けられるように構成された座屈制限プレートであって、前記降伏リンクと前記スペーサを、前記座屈制限プレートと前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方との間に挟むように構成された、座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項2】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された面を有する垂直プレートを備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項3】
前記垂直プレートは、前記垂直プレートおよび前記降伏リンクを前記柱の前記連結面に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、請求項2に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項4】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、請求項2に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項5】
前記平面部は、前記平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された複数のボルト孔を備える、請求項4に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項6】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の前記降伏リンクの前記第1の端部は、前記柱の前記連結面に隣接する前記柱の上縁に平行に、かつ、接して取り付けられるように構成された表面を有する第1の平面部を備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項7】
前記第1の平面部は、前記第1の平面部および前記降伏リンクを前記柱の前記上縁に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第1の複数のボルト孔を備える、請求項6に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項8】
前記第1および第2の座屈制限ブレース装置の各々の前記降伏リンクの前記第2の端部は、前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する第2の平面部を備える、請求項6に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項9】
前記第2の平面部は、前記第2の平面部および前記降伏リンクを前記梁の前記上側フランジおよび前記下側フランジの一方に取り付けるためのボルトを受け入れるように構成された第2の複数のボルト孔を備える、請求項8に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項10】
前記せん断タブが、中央円形取付孔と、前記中央円形取付孔から半径方向に間隔をおいて配置された複数の楕円形孔とを備える、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項11】
前記複数の楕円形孔の各々の長さが、前記中央円形取付孔から半径に垂直に方向付けられている、請求項10に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項12】
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部が、前記上側フランジ前記下側フランジとの間に中央ウェブを備え、前記上側フランジ前記下側フランジが前記ウェブに対して凹んで、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定する、請求項1に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項13】
前記せん断タブが中央円形取付孔を備え、前記梁の前記端部における前記上側フランジ前記下側フランジの凹状端部間の線が前記中央円形取付孔を通過する、請求項12に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項14】
傾斜屋根構造体であって、
前記屋根の傾斜に沿った非水平角度の上縁と、前記上縁に隣接する連結面とを備える垂直柱と、
前記屋根の前記傾斜に沿った前記非水平角度に長軸を有する梁と、
前記柱と前記梁の間、かつ前記梁の上側フランジと下側フランジの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記上側フランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部で引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、前記第1の降伏リンクと、
前記第1および第2の切欠き内にそれぞれ適合する第1および第2のスペーサと、
前記第1の降伏リンクおよび前記スペーサ上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記上側フランジとの間で前記第1の降伏リンクと前記スペーサを挟むように構成された座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項15】
前記第2の座屈制限ブレース装置は、第2の降伏リンクを備え、前記第2の降伏リンクは、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記下側フランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の幅狭部と、を備え、前記幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記幅狭部において引張時と圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成されている、
請求項14に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項16】
前記連結面は、前記梁の前記長軸に対して垂直である、請求項15に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項17】
前記第1の降伏リンクの前記第1の端部は前記柱にボルト止めされ、前記第1の降伏リンクの前記第2の端部は前記梁にボルト止めされている、請求項14に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項18】
傾斜屋根構造体であって、
垂直柱であって、
前記屋根の前記傾斜に沿った非水平角度の上縁と、
前記上縁に隣接する連結面であって、非垂直角度で設けられ、前記屋根の前記傾斜に対して垂直な連結面と、を備える垂直柱と、
前記屋根の前記傾斜に沿った前記非水平角度に長軸を有する梁と、
前記柱と前記梁の間に固定された横方向ブレースシステムと、を備え、
前記横方向ブレースシステムは、
前記梁の上側フランジと下側フランジにそれぞれ1つ設けられた第1および第2の座屈制限ブレース装置を備え、
前記第1の座屈制限ブレース装置は、
第1の降伏リンクであって、
前記柱の前記上縁に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第1の表面を有する第1の平面部を備える第1の端部と、
前記梁の前記上側フランジに対して平行に、かつ接して取り付けられるように構成された第2の表面を有する第2の平面部を備える第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第1の幅狭部とを備え、前記第1の幅狭部は、前記第1の降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記第1の降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第1の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第1の降伏リンクと、
前記第1の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記上側フランジとの間で前記第1の降伏リンクを挟むように構成された第1の座屈制限プレートと、を備え、
前記第2の座屈制限ブレース装置は、
第2の降伏リンクであって、
前記柱の前記連結面に平行に、かつ接して取り付けられるように構成された垂直プレートを備える、第1の端部と、
前記梁の前記下側フランジに平行に、かつ接して取り付けられるように構成された表面を有する平面部を備える、第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の第2の幅狭部とを備え、前記第2の幅狭部は、前記降伏リンクの両側に第1および第2の切欠きを画定し、前記降伏リンクは、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が加わった時に、前記第2の幅狭部において引張時および圧縮時に降伏し、前記構造体内の応力を消散させるように構成される、第2の降伏リンクと、
前記第2の降伏リンクの上に取り付けられ、前記座屈制限プレートと前記梁の前記下側フランジとの間で前記第2の降伏リンクを挟むように構成された第2の座屈制限プレートと、を備える、
傾斜屋根構造体。
【請求項19】
前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上側フランジと前記下側フランジとの間に固定されたせん断タブをさらに備え、前記せん断タブは、前記柱に対する前記梁の回転軸を画定するように構成されている、請求項18に記載の傾斜屋根構造体。
【請求項20】
前記柱に隣接して取り付けられるように構成された前記梁の端部は、前記上側フランジ前記下側フランジとの間に中央ウェブを備え、前記上側フランジ前記下側フランジは、前記ウェブに対して凹み、前記梁の前記端部において前記梁の上部と下部に第1の切欠きと第2の切欠きを画定し、前記上側フランジ前記下側フランジの前記凹状端部を通る線は、前記柱に対する前記梁の前記回転軸を通る、請求項19に記載の傾斜屋根構造体。
【国際調査報告】