(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】航空機のオートスロットル制御のためのパイロットインタフェース
(51)【国際特許分類】
B64D 31/06 20240101AFI20240219BHJP
【FI】
B64D31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549845
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2022017001
(87)【国際公開番号】W WO2022178264
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504326918
【氏名又は名称】イノヴェイティヴ ソリューションズ アンド サポート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ヘドリック ジェフリー エス エム
(72)【発明者】
【氏名】クノプフ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アスカルプール シャフラム
(57)【要約】
航空機用のオートスロットルは、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む。オートスロットルは、航空機のスロットルの制御目標設定を決定し、制御目標設定に従ってスロットルを動的に調整し、これは制御目標設定を達成するためにPCLを移動させることを含む。仮想ディテントは、制御目標設定に対応するPCLの移動経路に沿った位置に設定され、動的に調整される。仮想ディテントは、少なくともオートスロットルがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、PCLが仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介してパイロットに制御目標設定を示すように動作可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む航空機のオートスロットルを制御するためのシステムであって、
処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、
前記PCLに機械的に結合され、前記オートスロットル制御装置の出力に応答して前記PCLを設定して動的に調整するように動作するオートスロットルアクチュエータと、
を備え、
前記オートスロットル制御プログラムは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、前記システムがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、前記制御目標設定に従って前記PCLを設定し動的に調整するように前記オートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、
前記ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、仮想ディテントを設定して動的に調整するようにさせ、前記仮想ディテントは、前記制御目標設定に対応する前記PCLの移動経路に沿った位置に配置され、前記仮想ディテントは、少なくとも前記システムがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、前記PCLが前記仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、前記PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介して前記パイロットに前記制御目標設定を示すように動作可能である、システム。
【請求項2】
前記仮想ディテントの位置は、前記制御目標設定の調整に応答して、前記オートスロットル制御装置によって動的に可変である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースプロセスは、前記オートスロットル制御装置に、少なくとも1つの入力装置のセットを介してパイロット入力を読み取るようにさせ、前記パイロット入力に基づいて、ディスアームド状態と、前記連動解除状態及び前記連動状態を含むアームド状態のセットとの中から動作状態を設定するようにさせ、
前記連動解除状態では、前記オートスロットル制御装置は、前記制御目標設定を達成するために前記PCLを動かすように前記オートスロットルアクチュエータに指令しない、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記オートスロットル制御装置は、第1のディテント力を加える仮想ディテントの第1のインスタンスを設定し、前記第1のディテント力とは異なる第2のディテント力を加える仮想ディテントの第2のインスタンスを設定するように動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記オートスロットル制御装置は、前記PCLが前記仮想ディテントの位置に手動で位置決めされたことに応答して、オートスロットル制御に関する前記連動解除状態から前記連動状態に遷移するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記オートスロットル制御装置は、前記PCLの手動移動により前記仮想ディテントを第1の位置から第2の位置に位置変更するためのパイロット入力を読み取るように動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記オートスロットル制御装置は、前記オートスロットル制御装置に1又は2以上のセンサを監視するようにさせ、安全でない動作状態を検出するようにさせ、検出された安全でない動作状態に応答して前記仮想ディテントの位置を動的に調整するようにさせる、飛行安全監視プロセスを含む命令を実行するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットル作動入力装置と、
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットルモード入力装置と、
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合された表示装置と、
をさらに備え、
前記ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、
前記連動状態と前記連動解除状態との間を切り替えることによって、前記オートスロットル作動入力装置の作動に応答し、
複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードの間を切り替えることによって、前記オートスロットルモード入力装置の作動に応答し、
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの選択されたモードを示す情報を前記表示装置に表示する、
ようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記オートスロットル作動入力装置及び前記オートスロットルモード入力装置の各々は、押しボタンを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記オートスロットル作動入力装置は、前記PCL上に位置する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記オートスロットルモード入力装置は、前記表示装置と一体である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のオートスロットル制御モードの少なくとも1つは、前記オートスロットル制御装置によって実行されると、前記オートスロットル制御装置を前記オートスロットル制御モードの別の1つに自律的に遷移させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードから前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードへの自律的な遷移は、前記オートスロットル制御装置による、モード遷移基準が満たされたという判定に応答して実行される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第2のモードは、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、前記MCTが維持される上昇モードである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第2のモードは、前記MCTよりも低い巡航トルクが前記制御目標として維持される巡航モードである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記モード遷移基準は、予め設定された持続時間の経過を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記モード遷移基準は、予め設定された高度上昇が達成されたことを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記モード遷移基準は、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
航空機のオートスロットルを制御するためのシステムであって、
処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、
前記オートスロットル制御装置の出力に応答して、前記航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整するオートスロットルアクチュエータと、
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットル作動入力装置と、
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットルモード入力装置と、
前記オートスロットル制御装置に作動的に結合された表示装置と、
を備え、
前記オートスロットル制御プログラムは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、前記システムがオートスロットル制御のための連動状態にある場合に前記制御目標設定に従って前記スロットル設定を設定し動的に調整するように前記オートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、
前記ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、
前記連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、前記オートスロットル作動入力装置の作動に応答し、
複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによって、前記オートスロットルモード入力装置の作動に応答し、
前記複数のオートスロットル制御モードのうち選択されたモードを示す情報を前記表示装置に表示する、ようにさせる、
システム。
【請求項21】
前記オートスロットル作動入力装置及び前記オートスロットルモード入力装置の各々は、押しボタンを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記オートスロットル作動入力装置は、前記PCL上に位置する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記オートスロットルモード入力装置は、前記表示装置と一体である、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
航空機のオートスロットルを制御するシステムであって、
処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、オートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、
前記オートスロットル制御装置の出力に応答して、前記航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整するオートスロットルアクチュエータと、
を備え、
前記オートスロットル制御プログラムは、実行されると、前記オートスロットル制御装置に、
複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードに従って前記スロットル設定を設定して動的に調整するように前記オートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、前記オートスロットル制御モードの各々は、対応する制御目標設定を規定し、
前記オートスロットル制御装置によるモード遷移基準が満たされたとの判定に応じて、前記オートスロットル制御モードのうちの1つのモードから前記オートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するようにさせる、システム。
【請求項25】
複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードは、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、前記MCTが維持される上昇モードである、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードは、前記MCTよりも低い巡航トルクが前記制御目標として維持される巡航モードである、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記モード遷移基準は、予め設定された持続時間の経過を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記モード遷移基準は、予め設定された高度上昇が達成されたことを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記モード遷移基準は、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む航空機のオートスロットルを制御するための自動化された方法であって、
オートスロットル制御装置が、前記航空機のスロットルの制御目標設定を決定するステップと、
前記オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、前記PCLを動かして前記制御目標設定を達成することを含む、前記制御目標設定に従って前記スロットルを動的に調整するステップと、
仮想ディテントを設定して動的に調整するステップであって、前記仮想ディテントは、前記制御目標設定に対応する前記PCLの移動経路に沿った位置に位置決めされる、ステップと、
を含み、
前記仮想ディテントは、少なくとも前記オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、前記PCLが前記仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、前記PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介して前記パイロットに前記制御目標設定を示すように動作可能である、方法。
【請求項32】
前記制御目標設定の調整に応答して、前記仮想ディテントの位置を動的に変えるステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの入力装置のセットを介してパイロット入力を読み取るステップと、
前記パイロット入力に基づいて、ディスアームド状態と、前記連動解除状態及び前記連動状態を含むアームド状態のセットとの中から前記オートスロットルの動作状態を設定するステップであって、前記連動解除状態では、前記制御目標設定を達成するために前記PCLを動かさないステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
第1のディテント力を加える仮想ディテントの第1のインスタンスを設定するステップと、前記第1のディテント力とは異なる第2のディテント力を加える仮想ディテントの第2のインスタンスを設定するステップとをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記PCLが前記仮想ディテントの位置に手動で位置決めされたことに応答して、前記オートスロットルを前記連動解除状態から前記連動状態に遷移させるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記PCLの手動移動により前記仮想ディテントを第1の位置から第2の位置に位置変更するためのパイロット入力を読み取るステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
飛行安全監視プロセスを実行するステップであって、
1又は2以上のセンサを監視し、安全でない動作状態を検出することと、
検出された安全でない動作状態に応答して、前記仮想ディテントの位置を動的に調整することと、を含む前記ステップ、
をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
オートスロットル作動入力装置からの入力を読み取るステップと、
オートスロットルモード入力装置からの入力を読み取るステップと、
前記連動状態と前記連動解除状態との間を切り替えることによって、前記オートスロットル作動入力装置の作動に応答するステップと、
複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードの間を切り替えることによって、前記オートスロットルモード入力装置の作動に応答するステップと、
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの選択されたモードを示す情報を表示装置に表示するステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数のオートスロットル制御モードの少なくとも1つは、実行されると、前記オートスロットルを前記オートスロットル制御モードの別の1つに自律的に遷移させる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードから前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードへの自律的な遷移は、モード遷移基準が満たされたという判定に応答して実行される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第2のモードは、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、前記MCTが維持される上昇モードである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの前記第2のモードは、前記MCTよりも低い巡航トルクが前記制御目標として維持される巡航モードである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記モード遷移基準は、予め設定された持続時間の経過を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記モード遷移基準は、予め設定された高度上昇が達成されたことを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記モード遷移基準は、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
航空機のオートスロットルを制御する方法であって、
オートスロットル制御装置による、
前記航空機のスロットルの制御目標設定を決定するステップと、
前記オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、前記制御目標設定に従って前記スロットルを動的に調整するステップと、
オートスロットル作動入力装置からの入力を読み取るステップと、
オートスロットルモード入力装置からの入力を読み取るステップと、
前記連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、前記オートスロットル作動入力装置の作動に応答するステップと、
複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによって、前記オートスロットルモード入力装置の作動に応答するステップと、
を含む、方法。
【請求項48】
航空機のオートスロットルを制御する方法であって、
複数のオートスロットル制御モードのうちに異なるモードに従ってスロットル設定を自律的に動的に調整するステップであって、前記オートスロットル制御モードの各々が対応する制御目標設定を規定するステップと、
前記オートスロットル制御装置による、モード遷移基準が満たされたとの判定に応じて、前記オートスロットル制御モードのうちの1つのモードから前記オートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するステップと、
を含む方法。
【請求項49】
前記複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードは、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、前記MCTが維持される上昇モードである、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードは、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、前記複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードは、前記MCTよりも低い巡航トルクが前記制御目標として維持される巡航モードである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記モード遷移基準は、予め設定された持続時間の経過を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記モード遷移基準は、予め設定された高度上昇が達成されたことを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記モード遷移基準は、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
処理回路によって実行されると、請求項31から54のいずれか一項に記載の方法を実行するための動作を前記処理回路に実行させる命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年2月18日出願の米国仮出願第63/150,788号及び2021年3月29日出願の米国仮出願第63/167,424号の利益を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、航空術及び航空機制御に関し、より詳細には、パイロットの作業負担を軽減し、安全な飛行特性を維持するためのオートスロットル制御に関する。
【背景技術】
【0003】
一般にオートスロットルと呼ばれる航空機用オートスロットルシステムは、パイロットの介入を最小限に抑えて航空機のエンジンを制御するシステムである。このようなオートスロットルは、航空機の真に自動化された不干渉制御を実現する能力を提供し、その結果、航空機の運転効率を高め、例えば燃料の消費におけるコストを低減し、パイロットの作業負荷を大幅に低減し、それによって飛行の安全性を顕著に高める。オートスロットルは、航空会社の旅客機、最新式の地域及び一般的航空ジェット機、最新式のタービンプロペラ機など、大型航空機又は高度ハイエンド航空機ではおなじみであり、これらには、一般に、総合飛行管理システム(FMS)の一部としてオートスロットルが組み込まれている。また、FMSは、横方向航法(LNAV)と垂直方向航法(VNAV)によるオートパイロット制御も提供し、これは、飛行計画に沿って航空機を制御し、安全範囲内での運航を維持することができる。FMSは、基本的に航空機製造業者が航空機に統合する包括的システムであり、航空機の構成、位置、向き、速度、高度、性能などの監視パラメータを評価するために、航空機のあらゆる場所に様々なセンサ及びアクチュエータを備える。
【0004】
FMSは複雑でコストがかかるため、このようなシステムは従来、一般航空に使用されるような小型航空機には実用的でないと考えられてきた。小型航空機には、ピストン又はタービンを使用する単一又は複数のエンジンを有する航空機(例えば、軽飛行機又は超軽量ジェット機(VLJ))が含まれ、一般に10人以下の乗客を収容する。通常、小型航空機の最大離陸重量(MTOW)は15,000ポンド(6,800kg)未満である。小型機は、オートパイロット、GPSナビゲーションなどの異種のシステムを含む場合があるが、こうしたシステムは、航空機製造業者のオプションとして提供されるか又は既存の航空機に後付けされる傾向にあるため、一般に、完全なFMSには統合されていない。また、レーダー式高度計、冗長対気速度センサなどの、FMSで使用される特定のセンサは、通常、小型航空機にはなく、FMSの追加をさらに複雑にしている。
【0005】
同様に、オートスロットルシステムは、従来、大型航空機又は技術的に最新式の航空機(例えば、FMSを有する航空機)にしか実装されておらず、その理由は、従来のオートスロットルシステムは、一般に、物理的、空間的、及び他の適用を必要とし、小型機では利用できないからである。ほとんどの航空機では、スロットル(エンジンに所定の出力又は推力を発生させるために選択的に調整可能)は、レバー上の1又2以上の把持可能なハンドルのパイロット制御による手動オーバーライド変位によって調整され、これは、通常、航空機のコックピット又は操縦室に取り付けられ、直線又は弓形経路に沿って移動可能である。これらのレバーは、エンジン又はエンジン制御装置に作動的に結合されている。
【0006】
多くの航空機において、レバーの位置を変える又は調整するためには、パイロットによる手動によって又はオートスロットルシステムの作動モータによって、スロットルレバーに有意な力を加える必要がある。従って、システムのモータは、サイズと重量(パワーコントロールレバー(PCL)に十分なトルクと操作力を与えるため)と構造(何万回もの作動と操作を通じて信頼性を維持するため)の両方で、かなり頑丈である必要がある。その結果、コックピット内のスロットルに、そのようなモータと関連要素を収容するのに十分なクリアランス及び空間を有し、これらのシステムとその構成要素に関連する大幅な重量増を許容できるよう特別に設計及び製造された航空機だけが、そのようなオートスロットルを飛行制御に組み込むことができる。従来、オートスロットルシステムの関連する作動要素を収容するために特別に設計されて構築されていない既存の航空機には、オートスロットル機能を後付けするか又は追加する能力はなかった。
【0007】
Hedrickの米国特許第11,027,854号「Precision Operator for an Aircraft Autothrottle or Autopilot System with Engine Performance Adjust」には、小型機であっても、従来のオートパイロット/オートスロットル機能を追加又は提供するための特別な設備なしで、小型、軽量で、信頼性が高く、航空機に容易に組み込むことができるオートスロットルシステムが記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。オートスロットルシステムは、クラッチレス相互接続を介して航空機のPCLに機械的に結合されたモータを含み、これは、オートスロットルシステムが連動している(engaged)場合に、オートスロットルコントローラによって送出された命令に応答してモータがPCLを動かすことができるが、一方で、パイロットが、最初にオートスロットルを連動解除(disengaging)することなく、PCLのモータ駆動運動に手動で打ち勝つことを可能にする。
【0008】
Hedrick特許に記載された技術、又は小型航空機用のオートスロットルシステムに関する他のそのような技術は、オートスロットルを実装する際に以前に遭遇した多くの課題に対する重要かつ実用的な解決策を提供することができるが、オートスロットルシステムの操作をより直感的で簡単かつ安全にするために、オートスロットルシステムとのパイロットインタフェースをさらに改善する必要性が残っている。この必要性は、オートスロットルシステムの機能が進歩し続けていることを考慮すると、ますます差し迫ったものになっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、航空機のオートスロットルを制御するためのシステムに関し、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む。このシステムは、処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置を含む。オートスロットルアクチュエータは、PCLに機械的に結合され、オートスロットル制御装置の出力に応答してPCLを設定して動的に調整するように動作する。オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、システムがオートスロットル制御に関する連動状態(engaged state)にある場合に、制御目標設定に従ってPCLを設定し動的に調整するようにオートスロットルアクチュエータに命令するようにさせる。ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、オートスロットル制御装置に、仮想ディテントを設定して動的に調整するようにさせ、仮想ディテントは、制御目標設定に対応するPCLの移動経路に沿った位置に配置される。仮想ディテントは、少なくともシステムがオートスロットル制御に関する連動解除状態(disengaged state)にある場合に、PCLが仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介してパイロットに制御目標設定を示すように動作可能である。
【0010】
別の態様は、航空機のオートスロットルを制御するためのシステムに関し、このシステムは、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置を備える。オートスロットルアクチュエータは、オートスロットル制御装置の出力に応答して、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整する。オートスロットル作動入力装置、オートスロットルモード入力装置、及び表示装置は全て、オートスロットル制御装置に作動的に結合されている。オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、システムがオートスロットル制御のための連動状態にある場合に、オートスロットルアクチュエータに、制御目標設定に従ってスロットル設定を設定し動的に調整するよう命令するようにさせる。ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、オートスロットル制御装置に、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによってオートスロットル作動入力装置の作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによってオートスロットルモード入力デバイスの作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードのうちの選択されたモードを示す情報を表示装置に表示させる。
【0011】
さらなる態様は、オートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、オートスロットル制御装置の出力に応答して航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整するオートスロットルアクチュエータとを備えるオートスロットルシステムに関する。オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードに従ってスロットル設定を設定して動的に調整するようにオートスロットルアクチュエータに命令させ、オートスロットル制御モードの各々は、対応する制御目標設定を規定する。さらに、このプログラムは、オートスロットル制御装置が、モード遷移基準が満たされたと判定したことに応答して、オートスロットルに、オートスロットル制御モードの1つのモードからオートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するようにさせる。
【0012】
本開示の関連する態様による方法は、PCLを含む航空機のオートスロットルを制御するためのものである。本方法は、オートスロットル制御装置が、航空機のスロットルの制御目標設定を決定するステップと、オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、PCLを動かして制御目標設定を達成するためにことを含む、制御目標設定に従ってスロットルを動的に調整するステップと、仮想ディテントを設定して動的に調整するステップであって、仮想ディテントは、制御目標設定に対応するPCLの移動経路に沿った位置に位置決めされるステップ、とを含み、仮想ディテントは、少なくともオートスロットルがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、PCLが仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介してパイロットに制御目標設定を示すように動作可能である。
【0013】
本明細書に記載の別の方法では、オートスロットル制御装置は、航空機のスロットルの制御目標設定を決定することと、オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、制御目標設定に従ってスロットルを動的に調整することと、オートスロットル作動入力装置からの入力を読み取ることと、オートスロットルモード入力装置からの入力を読み取ることと、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、オートスロットル作動入力装置の作動に応答することと、複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによって、オートスロットルモード入力装置の作動に応答することと、を含む動作を実行する。
【0014】
航空機のオートスロットルを制御するためのさらなる方法は、複数のオートスロットル制御モードの異なるモードに従ってスロットル設定を自律的に動的に調整するステップであって、オートスロットル制御モードの各々が対応する制御目標設定を規定するステップと、モード遷移基準が満たされたとの判定に応答して、オートスロットル制御モードのうちの1つのモードからオートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するステップと、を含む。
【0015】
本発明の主題に関連する態様は、本明細書に記載された方法のいずれかによる動作を実行するために、オートスロットルシステムの制御装置上で実行可能な命令(少なくとも1つの有形、非一時的な機械可読媒体上に記憶される)を含む。
【0016】
多くの利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明は、添付図面に関連する本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】航空機及びその飛行に関与する基本的な力を示す簡略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるオートスロットル制御が実施される航空機のコックピット又は操縦室を示す図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるオートスロットル制御システムを示すブロック図である。
【
図4】例示的な実施形態によるオートスロットル制御装置の構成要素を示す簡略化されたブロック図である。
【
図5】いくつかの実施例によるオートスロットル制御装置によって実行可能な特定の命令の一部を例示する簡略化されたブロック図である。
【
図6】いくつかの実施例によるオートスロットル制御システムのいくつかの基本状態を示す状態図である。
【
図7】いくつかの実施形態によるパワーコントロールレバー(PCL)の移動経路に沿った様々な位置における仮想ディテント力の実施例を示す図である。
【
図8A】追加的な実施形態による、オートスロットルシステムによって加えられる反対向きの力の組み合わせから構成される仮想ディテント力の別の実施例を示す図である。
【
図8B】追加的な実施形態による、オートスロットルシステムによって加えられる反対向きの力の組み合わせから構成される仮想ディテント力の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、その詳細内容は図面に例示的に示され、詳細に説明されている。しかしながら、本発明を説明した特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。それどころか、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更形態、等価物、及び代替形態をカバーすることが意図されている。
【0019】
本開示の態様は、従来の燃料燃焼式航空機(プロペラ駆動、ターボプロップ、ジェット機など)、電気式航空機(バッテリー駆動、太陽電池駆動、又は燃料電池駆動)、又はハイブリッド動力式航空機を含む、あらゆる動力航空機に適用可能であることに留意されたい。以下の説明では、様々な実施形態は、1つの又はいくつかのタイプの推進システム又は推進-エネルギー-送達システムの文脈で説明されるが、説明される実施形態の原理は、航空機技術者の技量の範囲内である適切な適合により、他の推進システム又は推進-エネルギー-送達システムを有する他のタイプの航空機に好適に適用することができることを理解されたい。
【0020】
図1は、航空機100及びその飛行に関与する基本的な力を示す簡略図である。航空機100は、主として航空機100の本体(例えば、その翼、胴体、及び制御面)の形状及び配向を用いて空気を下方に向けることにより、その前進運動から揚力102を発生させる。また、揚力は、空気の密度、速度の二乗、空気の粘性及び圧縮性、空気が流れる表面積にも依存する。航空機100の機体形状への依存は複雑であり、数学的にモデル化することは困難である。航空機100の傾き、空気の粘性(例えば、気温、湿度、及び高度による)、及び圧縮性が揚力に及ぼす影響は不確定であり、所与の動作条件について導出することも困難である。
【0021】
抗力104は、航空機100の前進運動に抵抗する力である。抗力104は、空気と航空機100の表面との間の空気力学的摩擦(表面摩擦)、空気を通過する航空機100の運動に対する空気力学的抵抗(形状抗力)、及び揚力によって引き起こされる抗力(誘導抗力)などの多数の成分を有し、これらは同様に、抗力を予測的に計算するために説明することが困難である。揚力102と同様に、抗力104は、航空機100のサイズ、形状、及び重量、航空機100の表面特性、空気の流体特性、及び他のパラメータを含む多数の複雑な要因に依存する。特に、抗力104の様々なパラメータは、異なる対気速度で優勢となる。低い対気速度では、抗力104の主成分は誘導抗力である。航空機100の対気速度が増加すると、揚力102がより容易に発生し、誘導抗力が実際に減少する。しかしながら、対気速度が増加すると、寄生抗力と総称される他の抗力成分が増加する。
【0022】
推力106は、抗力104に打ち勝つために航空機100が発生する推進力である。推力の発生には、燃料又は他の搭載エネルギー源(例えば、バッテリー駆動式航空機の場合は電気量)の消費が必要である。推力の大きさは、エンジンの種類及び数量、スロットル設定(複数可)など、航空機100の推進システムに関する多数のパラメータに依存する。重量108は、重力と、機体の質量を含む航空機100の質量と、燃料の質量(これは、燃料消費式航空機の場合、時間的に変動する量である)と、航空機100に搭載された任意のペイロード(人、積載貨物など、これもまた、空中投下作戦の場合のように動的に変動する可能性がある)との組み合わせである。重量108の動的変動は、揚力102及び抗力104の大きさも航空機100の飛行中に経時的に変動することを意味する。
【0023】
航空機100の性能は、様々な物理的制約によって制限される。例えば、対気速度は、航空機100の機体の空気力学及び構造強度、並びに利用可能な推力によって実質的に制限される。また、エンジン(複数可)、シャフト(複数可)、プロペラ、及び他の関連構成要素が耐えられる出力、推力、又はトルクにも限界がある。同様に、エンジンは、エンジン構成要素又は流体が動作可能な温度によって制限される。このような様々な制約は、通常、エンジン製造業者によって提示される最大定格として表される。
【0024】
航空機100の動作中、飛行フェーズ、空気密度及び温度、並びに他のパラメータに応じて、異なる制約が航空機の性能制限を支配する。例えば、離陸及び上昇中は、航空機100の性能は、主に、最大エンジン出力、推力、又はトルクによって制限される傾向があり、一方、巡航中は、航空機100の性能は、エンジン温度によって制限される傾向がある。
【0025】
揚力102と抗力104の両方の力の複雑性及び変動性に起因して、航空機100のパイロットが、所望の動作点、例えば、
-離陸又は上昇フェーズでの最大出力点、最大推力点、最大トルク点、
-巡航中の最大温度点、
-最大耐久飛行のための最大効率点
で、離陸、上昇、又は巡航を行うために、現在の高度、重量、及び空気の状態を考慮して、最適なスロットル設定を維持することは困難である。
【0026】
いくつかの実施形態では、オートスロットル制御システムは、適切なPCL設定を動的に決定するために航空機に採用され、このPCL設定は、現在の飛行フェーズのための設定された動作点に対応することができる。動作点は、PCLを含むオートスロットルシステムのインタフェースを使用して、パイロットによって設定及び変更することができる。また、動作点は、安全な飛行エンベローブを維持するために、オートスロットルシステムによって自動的に調整することもできる。
【0027】
関連する態様では、オートスロットルシステムのインタフェースは、触覚指示を行うためにPCLの特定の特殊制御動作を利用する。例えば、以下に詳述するように、PCLの仮想ディテント又は停止点は、パイロットにPCL設定点を指示するためにオートスロットルシステムによって実現される。
【0028】
別の関連する態様では、オートスロットルのパイロット制御を容易にするために、オートスロットル制御モードを設定する入力、及び仮想ディテント位置を設定又は変更する入力を含む、スイッチ、押しボタンなどの単純な入力装置のセットがPCLに付随する。いくつかの実施態様では、本開示の態様は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第11,027,854号に示され記載されているようなオートスロットル構成と組み合わせて実施することができる。他の実施構成では、他の適切なオートスロットル構成は、本開示の態様を実施するために使用することができる。
【0029】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に従ってオートスロットルパイロットインタフェース制御が実装される、航空機100などの航空機のコックピット又は操縦室200(これらの用語は、本明細書において互換的に使用することができる)を示す図である。コックピット200は、この実施例では、センターコンソールに枢動可能に取り付けられ、弓形移動経路に沿って前後方向に移動可能なPCL202を含む。
【0030】
PCL202は、図示の実施例に示されるように、単一のレバーとすること又は多発機の場合には、複数のレバー(図示せず)を備えることができる。簡略化のため、本明細書では、複数のレバーへの具体的な言及が意図されない限り、1又は2以上のパワーコントロールレバーを単に「PCL」と呼ぶ。より一般的な実施形態では、レバーではなく、別の形態でパワーコントロール入力を提供することができる。例えば、パワーコントロール入力は、少なくとも1つのスライダ、ノブ、ホイール、ペダル、又は他のパイロット作動可能機構(又は機構のセット)として実装することができる。ここでも、簡潔にするために、パワーコントロール入力(それがどの形態であってもよい)は、単に「PCL」と呼ばれる。
【0031】
PCL202は、航空機100のそれぞれのエンジン(複数可)及び燃料供給システム(複数可)に、適切な作動的結合構成を介して結合される。例えば、作動的結合構成は、それぞれのパワーコントロールレバー(複数可)の位置に基づいてエンジン出力を調節する機械的システムとすることができる。エンジン出力は、エンジンへの燃料又は燃焼空気の流量を変えることによって変えることができる。別の実施例では、フライ・バイ・ワイヤ構成の場合と同様に、作動的結合は、PCLに提供された設定に基づいてエンジン出力(例えば、燃料又は燃焼空気の流れ、又は電気式航空機の場合には、エンジン(複数可)への電力供給)を調節するアクチュエータにPCLから指令信号を伝達する電気システムを含むことができる。
【0032】
また、PCL202は、オートスロットルアクチュエータ(図示せず)にも結合されている。オートスロットルアクチュエータ、及びPCL202へのその結合は、米国特許第11,027,854号に記載されているように実現することができ、又は他の適切な方法で実現することができる。特に、オートスロットルアクチュエータは、オートスロットルシステムが連動している場合、オートスロットル制御に従ってPCL202を動かすように構成されるが、オートスロットルシステムが連動している場合に、パイロットがPCL202を動かすことも可能にする。オートスロットルシステムはさらに、米国特許第11,027,854号に記載されているように、又は他の適切な検知手段によって、PCL202の位置を検知して監視するように構成されている。従って、PCL202は、オートスロットルパイロットインタフェース制御の一部として機能する。
【0033】
図2に示す実施例は、追加のオートスロットルパイロットインタフェース制御、すなわち、オートスロットル作動制御204、離陸/ゴーアラウンド制御206、及びオートスロットルモードセレクタ208を示している。これらの制御204-208は、図示の実施形態では、モーメンタリ式プッシュボタンスイッチとして実装されている。しかしながら、他の実施形態では、制御204-208は、セレクタノブ(複数可)、ロッカスイッチ、マルチポジションセレクタスイッチ(複数可)、トグルスイッチ(複数可)、プッシュオン/プッシュオフスイッチ(複数可)、ソフトキー制御(例えば、タッチスクリーンによる)などの他のタイプの入力機構を使用して実装することができる。
【0034】
加えて、オートスロットルモードディスプレイ210が設けられている。オートスロットルモードディスプレイ210は、LED又はLCDセグメント、LED又はLCDデバイスのマトリクス、又は他の適切なディスプレイ技術を、ディスプレイデバイスをオートスロットル制御装置(後述)とインタフェースするディスプレイデコーダ又はドライバ回路と共に含むことができる。図示の実施例では、オートスロットルモードディスプレイ210は、情報がオートスロットルモードセレクタ208のパイロットに対面する表面に表示されるように、オートスロットルモードセレクタ208と一体である。他の実施形態では、オートスロットルモードディスプレイ210は、オートスロットルモードセレクタ208とは別個であり、コックピット200の制御パネルの他の場所に配置することができる。さらに他の実施形態では、オートスロットルモードディスプレイ210は、計器ディスプレイ又はナビゲーションディスプレイ画面など、コックピット200に存在する汎用情報ディスプレイを使用して、又はヘッドアップディスプレイに表示される情報の一部として実装される。
【0035】
図3は、いくつかの実施形態によるオートスロットル制御システム300を示すブロック図である。図示のように、システム300は、手動スロットル入力302を含み、これは、PCL202などのPCL、又は他のタイプの形態をとることができる。
【0036】
オートスロットルアクチュエータ304は、手動スロットル入力302と並列のサブシステムである。オートスロットルアクチュエータ304は、オートスロットル制御装置310によって生成される指令信号305に基づいて、エンジン出力を自動的に調整する。1つの実施例では、オートスロットルアクチュエータ304は、サーボモータシステムなどのモータ及びモータ制御装置を備え、モータの回転子は、手動スロットル入力302に機械的に結合されている。別の実施例では、オートスロットルアクチュエータ304は、航空機100のエンジン(複数可)又は燃料システムに結合されたアクチュエータであり、エンジン(複数可)への燃焼空気中の燃料流量を制御するための1又は2以上のバルブを含むことができる。別の実施例では、オートスロットルアクチュエータ304は、航空機100のエンジン制御システムにインタフェース接続された1又は2以上のスイッチ、伝送ゲート、又は信号増幅器を含む。
【0037】
手動スロットル入力302とオートスロットルアクチュエータ304の出力が組み合わされてスロットル設定306が生成され、このスロットル設定306はエンジン出力の入力としてエンジン及び燃料システムに該当する場合に与えられる。手動スロットル入力302とオートスロットルアクチュエータ304の出力の組み合わせは、様々な実施形態に従って、機械的、電気機械的、又は電子的に達成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、オートスロットルが連動しているとき、オートスロットルアクチュエータ304は、手動スロットル入力302がない場合、スロットル設定306を制御するが、手動スロットル入力302は、存在する場合、オートスロットルアクチュエータ304に優先してスロットル設定306を制御する。他の実施形態では、スロットル設定306は、両方の入力が同時に提供される場合、手動スロットル302とオートスロットル304の異なる組み合わせを実行することができる。例えば、オートスロットルアクチュエータ304は、相対的に小さい重みを付けた入力としてスロットル設定306に与えられる場合があり、一方、手動スロットル入力302は、相対的に大きい重みを付けた入力として与えられる場合がある。関連する実施構成では、オートスロットルアクチュエータ304に優先するには、手動スロットル入力302に十分な力が必要である。他の関連する実施構成では、スロットル設定306は、オートスロットルアクチュエータ304の効果が手動スロットル入力302でパイロットに感じられるように又はそうでなければ観察されるように、手動スロットル入力302にフィードバック307として機械力又は電子信号を提供する。
【0039】
スロットル設定センサ308は、スロットル設定306の状態を検出し、その検出された状態を表す信号309をオートスロットル制御装置310に供給するように構成されている。特に、信号309は、手動スロットル入力302がアサートされたときのスロットル設定306に対する手動スロットル入力302の影響を表す。いくつかの実施形態では、スロットル設定センサ308は必要なく、例えば、スロットル設定306が電子信号として出力される場合、省略することができる(この場合、スロットル設定306は、オートスロットル制御装置310に直接送ることができる)。スロットル設定センサ308は、スロットル設定306が機械力又は運動(パワーコントロールレバーの移動又は位置決め、もしくはスロットル制御ケーブル又は関連リンケージの移動又は位置決めなど)として実現される実施形態で利用することができる。
【0040】
オートスロットル制御装置310は、複数の入力に基づいて、オートスロットルアクチュエータ304を制御するための指令信号305を生成する。オートスロットルモード入力312は、オートスロットルモードセレクタ208を介して航空機100のパイロットによって提供され、オートスロットル制御装置310の連動/連動解除、オートスロットルの挙動又は動作目的を規定する1又は2以上の利用可能なオートスロットルプログラムからの選択内容などのパラメータを含む。
【0041】
オートスロットル制御装置310への他の入力は、オートスロットル作動入力314、及びオートスロットルTO-GA指令入力316を含むことができる。オートスロットル作動入力314は、オートスロットル作動制御204を介して提供され、オートスロットル制御の連動及びアームド状態の間を選択するため、並びにオートスロットルを完全に連動解除してディスアームド状態にするために、パイロットによって様々なパターン(例えば、短押し/長押し)で操作可能である。オートスロットル離陸/ゴーアラウンド(TO-GA)入力は、離陸/ゴーアラウンド制御206を介して提供され、航空機100が地上にあるときにオートスロットルを離陸オートスロットルプログラムにするために、又は航空機100が空中にあるときにオートスロットルを上昇(ゴーアラウンド)プログラムにするために、パイロットによって操作可能である。PCL202を介してスロットル入力302とは個別に又は組み合わせて作動させることができる入力312-316には、追加の機能を割り当てることができる。例えば、オートスロットル作動入力314は、オートスロットルの粗速度調整又は微速度調整を切り替えるために、パイロットによって特定のパターン(例えば、二度押し)によって追加的に作動させることができる。同様に、PCL202の位置決めと連動したオートスロットル作動入力314の作動は、パイロットによって、オートスロットル制御目標設定を設定又は再設定するために使用することができる。
【0042】
また、オートスロットル制御装置310は、高度計、燃料消費率センサなどの航空機100上の他の利用可能なセンサと共に、エンジン温度センサ320、エンジントルクセンサ322、及び対気速度センサ324などのセンサからの様々な入力を受け取ることができる。
【0043】
図4は、例示的な実施構成によるオートスロットル制御装置310の構成要素を示す簡略化されたブロック図である。オートスロットル制御装置310は、1又は2以上のプロセッサコア412を含むことができる中央処理装置(CPU)410を含む。メモリ回路414は、スタティック型又はダイナミック型ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びCPU410とインタフェース接続されたメモリ制御装置回路を含むことができる。命令416は、CPU410又はメモリ414のメモリ制御装置回路とインタフェース接続された、読み出し専用メモリ(ROM)デバイス又はフラッシュEEPROMデバイスなどの電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)デバイスに格納することができる。入出力(I/O)制御装置418は、上述の様々な入力及び指令信号出力305へのインタフェースを含む。いくつかの実施構成では、I/O制御装置418は、シリアル通信用の万能非同期送受信機(UART)、パラレルポート、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ、又はデジタル-アナログコンバータ(D/A)を含むことができる。I/O制御装置418は、CPU410又はメモリ414のメモリ制御装置とインタフェース接続することができる。
【0044】
オートスロットル制御装置310は、オートスロットル制御システム300の機能を実行するために、命令416を実行するように動作可能である。
図5は、いくつかの実施例による命令416の一部を示す簡略化されたブロック図である。オートスロットルモード入力312又はオートスロットルTO-GA入力316を介してオートスロットル制御システム300を動作させる場合、航空機100のパイロットは、オートスロットル動作の制御アルゴリズムを指示する特定の利用可能なプログラムの中から選択することができる。また、オートスロットルの動作状態は、オートスロットルモード入力312及びオートスロットル作動入力314を介して選択可能である。
【0045】
命令416は、ユーザインタフェースプロセス502、飛行安全監視プロセス504、対気速度プログラム510、エンジン推力プログラム512、耐久性最大化プログラム514、対気速度最大化プログラム516、及び離陸/ゴーアラウンドプログラム518を含む。各プロセス又はプログラムは、オートスロットル制御システム300を動作させるための、オートスロットル制御装置310によって実行可能な命令のセットを含む。一般に、プログラム510-518の各々は個別に実行される(しかし、1つのプログラムが別のプログラムに自動的に遷移する場合もある)。しかしながら、ユーザインタフェースプロセス502及び飛行安全監視プロセス504は、連続的に実行される。
【0046】
ユーザインタフェースプロセス502は、全てのユーザ入力(及び随意的に特定のセンサ)を監視し、それに応答してオートスロットル制御システム300を様々な状態に設定するように動作する。
図6は、例示的な実施構成による、いくつかの基本状態を示す状態図である。基本状態は、ディスアームド(disarmed)状態602及びアームド(armed)状態604を含む。アームド状態604は、連動(engaged)状態612及び連動解除(disengaged)状態614を含む。オートスロットル制御システム300は、遷移603を介して、ディスアームド状態602からアームド-連動解除状態614に遷移し、遷移615を介して、アームド-連動解除状態614からディスアームド状態602に戻る。オートスロットル制御システム300は、遷移605を介して、ディスアームド状態602からアームド-連動状態612に遷移し、遷移613を介して、アームド-連動状態612からディスアームド状態602に戻る。アームド状態では、オートスロットル制御システム300は、図示されるように、遷移617及び619を介して、連動状態612と連動解除状態614との間を遷移する。
【0047】
ディスアームド状態602では、オートスロットル制御システム300は、一般に作動しない。いくつかの実施形態では完全に非作動とすることができ、又は他の実施形態では、オートスロットル制御システム300は、過大速度/過小速度、過大温度、過大トルクなどの特定の安全関連指標を監視するために最小限作動することができ、又は安全な飛行エンベロープを回復及び維持するために、安全でない状況に応答してオートパイロット制御を自律的に連動させることができる。アームド状態604では、オートスロットル制御システム300は、制御入力を監視し、オートスロットル制御目標設定値を決定する。アームド-連動解除状態614では、オートスロットル制御システム300は、通常、制御目標設定値に従ってPCL202を作動させないが、仮想ディテントを設定及び調整することができる。アームド-連動状態612では、オートスロットル制御システム300は、制御目標設定値に従ってPCL202を設定及び調整するようにオートスロットルアクチュエータ304に指令する。
【0048】
以下の表1は、例示的な実施構成に従って、ユーザインタフェースプロセス502によって処理されるパイロット入力の様々な動作を要約したものである。
(表1)
【0049】
1つの実施形態では、オートスロットルモードセレクタ208は、オートスロットルシステムを最初に作動可能にして、オートスロットルモードの間を切り替えるために使用されるボタンである。モードは、以下でより詳細に説明され、以下を含むことができる(非限定的に)。
TO-離陸モード
CLB-上昇モード
CRZ-巡航-最大出力モード
THR-推力ホールドモード
GA-ゴーアラウンドモード
###-設定速度制御モード
OFF-連動解除
【0050】
計器パネルに取り付けられたモードセレクタ208ボタンは、オートスロットルモード及び速度目標値を表示するためのディスプレイ210(例えば、ボタン面のバックライト付きLCD又はLEDアレイ)を組み込むことができる。オートスロットルモードは、アームド-連動解除状態614の場合は第1の色、例えば白で表示され、アームド-連動状態612の場合は第2の色、例えば緑で表示される。
【0051】
何らかのアームド状態604にない場合にオートスロットルモードセレクタ208ボタンを押すと、オートスロットルが作動可能になる。オートスロットルは、最初、現在のトルク又は対気速度で作動可能になる。オートスロットルモードセレクタ208ボタンを繰り返し押すと、推力モードと速度モード(推力アームド、速度アームド、連動していない場合はOFF)が切り替わる。オートスロットルモードセレクタ208ボタンを押し続けると(>1秒)、オートスロットルが連動又は連動解除される。オートスロットルは、アームド状態604からのみ連動させることができる。
【0052】
オートスロットルシステム300がアームド状態604にあるとき、PCL202は、オートスロットル目標トルク値又は速度値を調整するために動かすことができる。
【0053】
オートスロットル作動制御204は、1つの実施形態では、ボタンであり、PCLハンドルの右側に配置されている。オートスロットル作動制御204ボタンを押すと、オートスロットルシステム300がアームド-連動状態612になるか、又は、オートスロットルをアームド-連動解除状態614に切り離すことになる。オートスロットル作動制御204ボタンを再度押すと、(アームド状態の)オートスロットルが状態612に再連動することになり、更新されたトルク又は速度目標を能動的に維持する。速度制御モードで、アームド-連動解除状態614にある間にオートスロットル作動制御204ボタンを二度押すと、目標速度の粗調整又は微調整に切り替わることになる。オートスロットル作動制御204ボタンを押し続けると(>1秒)、オートスロットルは完全に連動解除され、ディスアームド状態602に戻る。
【0054】
1つの実施形態では、離陸/ゴーアラウンド制御206は、PCLハンドルの左側のボタンとして実装される。オートスロットルシステムがアームド-連動解除状態614にあり、モードが離陸(TO)モードに設定されている場合、スロットルハンドルの離陸/ゴーアラウンド制御206ボタンを作動させると、TOモードが作動し、PCL202は自動的に最大連続推力設定に進むことになる。航空機100が空中にあるとき、オートスロットルがアームド状態612、614のいずれかにある間に離陸/ゴーアラウンド制御206ボタンを押すと、ゴーアラウンド(GO)モードが作動することになり、PCLは、オートスロットルの制御下で最大連続推力まで自動的に進むことになる。
【0055】
いくつかの実施形態では、PCLの挙動は、PCL202の移動経路に沿って1又は2以上の可変位置決め可能な仮想ディテントを設定するために、ユーザインタフェースプロセス502によって特定の方法で制御される。従って、仮想ディテントは、PCL202を使用する触覚効果を通じてパイロットにオートスロットル制御目標設定を示すために、オートスロットル制御装置310及びオートスロットルアクチュエータ304によって実行される。仮想ディテントは、PCL202の移動経路に沿って設定された位置で、手動スロットル入力302に対抗する力をオートスロットルアクチュエータ304が加えることによって達成することができる。PCL202の移動経路に沿った仮想ディテントの位置は、オートスロットル制御装置310によって可変である。同様に、ディテント力は、オートスロットル制御装置310によって可変とすることができる。同じ又は異なるディテント力の複数の仮想ディテントは、PCL202の移動経路に沿って所与の時間に実行することができる。以下でさらに詳細に説明するように、仮想ディテントは、航空機100の動作条件の変化を考慮して、飛行安全監視プロセス504、エンジン推力プログラム512などの他のプロセスによって自動的に変えることができる。PCLが仮想ディテントに設定されている間に、仮想ディテント位置がオートスロットル制御装置310によって自律的に動かされると、PCL202は、修正されたディテント位置に動かされる。
【0056】
図7は、PCLの移動経路に沿った様々な位置における仮想ディテント力の例を示す図である。図示のように、第1の仮想ディテント702は、PCLがその移動経路に沿った部分に位置決めされたときに、PCLの動きに対抗するためにオートスロットルシステムによって加えられる力として実行される。第2の仮想ディテント704は、同様に別の位置で実行される。特に、第2の仮想ディテント704は、仮想ディテント702よりも大きなディテント力を有し、移動経路のより大きな(より広い)範囲にわたって適用される。第1の仮想ディテント702は、特定のエンジン推力設定に関連する仮想ディテントを表すことができ、一方、第2のディテント704は、エンジン推力の安全性ベースの制限を表すことができる。
【0057】
図8A-8Bは、PCLがディテントに「落ちる」触感を提供するために、オートスロットルシステムによって加えられる反対向きの力の組み合わせで構成される仮想ディテント800A、800Bの別の実施例を示す。仮想ディテント800A、800Bは、スロットル設定センサ308を介してPCL位置も監視するオートスロットル制御装置310の制御下で、オートスロットルアクチュエータ304によって実行される。
図8Aに示されるように、仮想ディテント800Aは、PCLがその移動経路に沿って第1の方向802Aに動かされるときに順次加えられる2つの反対のディテント力で構成される。非対抗ディテント力804Aは、移動方向に配向され(すなわち、方向802Aに沿ったPCLの移動を助ける)、一方、ディテント力806は、PCLの何らかの移動に対抗する。この力の組み合わせは、PCLが引き込まれる機械的ディテントの触感をシミュレートする。
図8Bは、仮想ディテント800Bを示し、仮想ディテント800Bは、PCLがその位置に向かって反対方向802Bに移動するときに実行されることを除いて、仮想ディテント800Aと同じPCL設定を達成する。PCLが仮想ディテント800Bの位置に接近すると、移動方向802Bに沿って非対抗ディテント力804Bが加えられ、その後、ディテント力806が移動方向に対抗する。この実施例は、仮想ディテントがPCLの手動移動方向に対応できることを示す。
【0058】
ユーザインタフェースプロセス502は、仮想ディテントとの様々なパイロット相互作用を促進する。例えば、オートスロットルがアームド-連動状態612にある間にオートスロットル作動制御204を瞬間的に作動させると、アームド-連動解除状態614に状態を遷移させる間に仮想ディテントが解除され、その結果、PCL202の別の位置(それ自体が別の仮想ディテントとすること又はそうでない場合もある)への移動が可能になる。関連する実施形態では、(オートスロットルシステム300がアームド-連動解除状態614にある間に)仮想ディテントの位置にPCL202を手動で配置すると、オートスロットルが(選択されたモードがそのような連動に対応していることを条件として)アームド-連動状態612に再連動することになる。ユーザインタフェースプロセス502による別の条件として、航空機100のパイロットは、トルク、指示対気速度(IAS)又はマッハ数の所望の設定を達成する位置にPCLを移動させながら、オートスロットル作動制御204ボタンを保持することによって、新しい仮想ディテントを設定することができる。
【0059】
再び
図5に戻ると、飛行安全監視プロセス504は、航空機のセンサ(例えば、エンジン温度センサ320、エンジントルクセンサ322、対気速度センサ324、高度計など)を監視し、航空機100の現在の動作の現状又は性能、又は状態を、航空機100及びそのエンジンの事前に規定された制約と比較して、航空機がその安全な飛行エンベロープ内で動作していることを保証するように動作する。例えば、現在の高度での過大速度/過小速度、温度上限、トルク上限、多発機における差動トルクなどが監視され、航空機が安全な動作条件内に留まるようにPCL設定を調整するためにオートスロットルシステムの制御を優先させることができる。
【0060】
関連する実施形態では、飛行安全監視プロセス504は、高度、エンジン温度、又は他の測定条件の変動に応じて、1又は2以上の仮想ディテントの位置を設定する又は変えることができる。例えば、エンジン温度上限に現在の測定温度が近づいている場合、オートパイロットシステム300がアームド-連動解除状態にある場合にパイロットに限界を示すために仮想ディテントを追加する又は移動させることができる。関連する実施例では、安全限界に関連する仮想ディテントは、非安全関連のディテントより大きなディテント力(すなわち、PCLのパイロット移動に対抗する力)を有する。
【0061】
対気速度プログラム510は、オートスロットルに基本的な固定対気速度制御(設定速度制御モード)を実施させる。プログラム510は、特定の対気速度を設定するためのパイロット入力を受け取り、この入力は、手動スロットル入力302を介して設定することができる。その後、対気速度プログラム510は、オートスロットルアクチュエータ304を作動させて、指示対気速度が設定値よりも低くなるとエンジン出力を増大させ、指示対気速度が設定値より高くなるとエンジン出力を減少させる。オートスロットルが設定速度制御モードに連動している場合、パイロットは、オートスロットル作動制御204ボタンを押して、オートスロットルをアームド-連動解除状態614に解除し、スロットルレバーを動かして新しい目標速度(ディスプレイ210に白で表示することができる)を選択することができる。目標速度が選択された後、オートスロットル作動制御204ボタンを再び押すと、オートスロットルが再び作動し、選択された対気速度を維持する。アームド-連動解除状態614では、設定速度制御モードの間に、スロットルレバーの動きは、5ノット刻みに丸められた目標速度の変化に変換することができる。オートスロットル作動制御204ボタンをダブルクリックすると、目標速度を(細かく)1ノット刻みで調整できる。
【0062】
エンジン推力プログラム512は、推力ホールドモード(THR)を実行し、現在のエンジントルクを維持する。プログラム512は、現在の上昇率に基づいて適用される出力及び温度上限を実行するために、トルクを自動的に減少させることができる。オートスロットルがTHRモードのアームド-連動状態612にある間に、パイロットはオートスロットル作動制御204ボタンを押してオートスロットルを一時的にアームド-連動解除状態614に解除して、PCL202を手動で動かして新しい推力設定を選択することができる。アームド-連動解除状態614では、PCLは、飛行安全監視プロセス504に従って安全限界(過大温度/過大速度/過小トルク/過小速度)を実施するために連動しない限り、自由に動くことになる。トルクを調整した後、オートスロットルは、新しいトルクを維持するためにオートスロットル作動制御204ボタンを再び押すことによって、再連動することができる。
【0063】
関連する実施形態では、アームド状態にある間、オートスロットルはまた、最大連続推力(MCT)設定に仮想ディテントを設定する。他の推力設定における追加の仮想ディテントを同様に設定することができる。このような仮想ディテントにより、定義されたトルク設定に達したときにPCLを停止させることで、パイロットによる普通のトルク設定の選択が容易になる。仮想ディテントが設定されると、PCLはディテントに達するまで自由に動き、その時点でPCLの動きはその仮想ディテントに関連する反作用力によって対抗される。
【0064】
上述したように、THRモードの推力設定に関連する仮想ディテントは、運転条件の変化に応答して自動的に移動することができる。例えば、トルク上限は、密度高度の関数として調整することができる。
【0065】
耐久性最大化プログラム514は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願番号17/359,019に記載されるような、航空機が一般的な状態でその最大揚力対抗力(L/D)比又はその近くで動作するように、航空機100の効率的な動作点を決定及び維持するための動的対気速度制御アルゴリズムを実行する。
【0066】
対気速度最大化プログラム516は、エンジン温度を監視し(例えば、エンジン温度センサ320を介して)、エンジン温度を適用される最大動作温度上限又はその近傍に維持しながら最大速度を生成するようにPCL設定値を調整する、巡航動作のためのオートスロットルシステム300の動的制御アルゴリズムを実行する。プログラム516は、動的PCL設定点における仮想ディテントの位置を設定及び調整することができ、パイロットは、必要に応じてPCL位置を変化させ、PCLを温度上限最大速度制御点に好都合に戻すことができる。
【0067】
離陸/ゴーアラウンドプログラム518は、離陸モード(TO)、上昇モード(CLB)、巡航モード(CRZ)、及びゴーアラウンドモード(GA)、並びにこれらのモード間の自動遷移を実行する。TOは、航空機100が地上にある間に開始される。離陸プログラム518に従って、オートスロットル300はPCLを前進させて最大連続トルク(MCT)を維持する。TOは、(地上にいる間に)モードセレクタ208ボタンを押すことによってアームド状態になる。モードセレクタ208ボタンを再度押すと、TOはディスアームド状態になることになる。
【0068】
TOがアームド状態で、パイロットは、上述のように、PCLハンドルの離陸/ゴーアラウンド制御206ボタンを押すことによって、オートスロットル離陸を開始することができる。これにより、オートスロットル300が連動し、仮想ディテントが設定されているMCTまで出力が滑らかに増大する。あるいは、パイロットは、オートスロットルが仮想ディテント点に達するまでPCLを手動で前進させ、オートスロットル制御を連動させてMCTを維持することを選ぶこともできる。このような制御下では、推力は、手動又は自動で上昇出力を減少させるまで、MCTに維持されることになる。
【0069】
離陸/ゴーアラウンドプログラム518に従って、TOは、予め設定されたモード遷移基準を満たすと、上昇モード(CLB)に遷移する。1つの実施態様では、モード遷移基準は、MCTでの予め設定された持続時間(例えば、2-5分)を含む。別の実施構成では、CLBに入るためのモード遷移基準は、航空機100の利用可能な気圧高度計によって測定可能な高度上昇である(例えば、TOが開始された高度から400フィートの高度上昇)。この手法は、レーダーベースの高度計又は多くの小型航空機に一般的に見られない他の高価な計器に依存するのではなく、容易に利用可能な高度測定データを使用する。
【0070】
関連する実施形態では、CLBに入るための遷移基準は、TO中にパイロットによるPCL202の手動減少を含む(例えば、オートスロットル作動制御204ボタンを作動させてオートスロットル状態をアームド-連動解除状態614に遷移させ、PCL202を手動で位置変更することによって出力を減少させ、その後、作動制御204ボタンを再度作動させてオートスロットルを連動状態612に再連動させることによって)。
【0071】
上昇モード(CLB)では、オートスロットルはMCTを維持するが、エンジン温度上限を守るために自動的に出力を減少させることになる。離陸又は上昇が、水平になることによって中断された場合(利用可能な高度計を監視することによって、毎分200フィート未満のような低い上昇率として自動的に検出可能である)、オートスロットルは、巡航モード(CRZ)に遷移し、最大巡航パワー設定点まで出力を減少させ、そのPCL位置で仮想ディテントが設定され、必要に応じて調整されることになる。オートスロットルが依然としてCRZに連動する間に上昇が再開される場合、上昇出力は、パイロットが作動制御204ボタンを押してオートスロットルをアームド-連動解除状態614に解除することで再度選択することができ、PCLは、MCTに関連する仮想ディテントが連動するまで出力を増大させ、それによってCLB制御を再確立するために手動で前進させることができるようになっている。
【0072】
巡航モード(CRZ)では、オートスロットルは、エンジン温度上限を守りながら、最大巡航トルクを発生するようにPCLを制御する。仮想ディテントは、対応するPCL位置に設定される(必要に応じて調整される)。
【0073】
ゴーアラウンドモード(GA)は、GAが、オートスロットルがアームド-連動状態612又はアームド-連動解除状態614のいずれかにある間に及び航空機100が空中にある場合に作動されることを除いて、TOに類似している。このような条件下では、GAは、パイロットによる離陸/ゴーアラウンド制御206ボタンの作動時に作動される。一旦作動すると、GAは、基本的にTOと同様に機能する、すなわち、オートスロットルは、MCTのためのPCLを設定し、それに応じて仮想ディテントを設定し、上昇モード(CLB)又は巡航モード(CRZ)に遷移する条件が満たされるまで、この設定を維持する。
【0074】
補注及び実施例
実施例1は、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む航空機のオートスロットルを制御するためのシステムであって、システムは、処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、PCLに機械的に結合され、オートスロットル制御装置の出力に応答してPCLを設定して動的に調整するように動作するオートスロットルアクチュエータと、を備え、オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、システムがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、制御目標設定に従ってPCLを設定し動的に調整するようにオートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、オートスロットル制御装置に、仮想ディテントを設定して動的に調整するようにさせ、仮想ディテントは、制御目標設定に対応する前記PCLの移動経路に沿った位置に配置され、仮想ディテントは、少なくともシステムがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、PCLが仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介してパイロットに制御目標設定を示すように動作可能である。
【0075】
実施例2では、実施例1の主題は、仮想ディテントの位置が、制御目標設定の調整に応答して、オートスロットル制御装置によって動的に可変であることを含む。
【0076】
実施例3では、実施例1-2の主題は、ユーザインタフェースプロセスが、オートスロットル制御装置に、少なくとも1つの入力装置のセットを介してパイロット入力を読み取るようにさせ、パイロット入力に基づいて、ディスアームド状態、及び連動解除状態及び連動状態を含むアームド状態のセットの中から動作状態を設定するようにさせ、連動解除状態では、オートスロットル制御装置が、制御目標設定を達成するためにPCLを動かすようにオートスロットルアクチュエータに指令しないことを含む。
【0077】
実施例4では、実施例1-3の主題は、オートスロットル制御装置が、第1のディテント力を加える仮想ディテントの第1のインスタンスを設定し、第1のディテント力とは異なる第2のディテント力を加える仮想ディテントの第2のインスタンスを設定するように動作することを含む。
【0078】
実施例5では、実施例1-4の主題は、オートスロットル制御装置が、PCLが仮想ディテントの位置に手動で位置決めされたことに応答して、オートスロットル制御に関する連動解除状態から連動状態に遷移するように動作可能であることを含む。
【0079】
実施例6では、実施例1-5の主題は、オートスロットル制御装置が、PCLの手動移動により仮想ディテントを第1の位置から第2の位置に位置変更するためのパイロット入力を読み取るように動作することを含む。
【0080】
実施例7では、実施例1-6の主題は、オートスロットル制御装置が、オートスロットル制御装置に1又は2以上のセンサを監視するようにさせ、安全でない動作状態を検出するようにさせ、検出された安全でない動作状態に応答して仮想ディテントの位置を動的に調整するようにさせる、飛行安全監視プロセスを含む命令を実行するように動作可能であることを含む。
【0081】
実施例8では、実施例1-7の主題は、オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットル作動入力装置と、オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットルモード入力装置と、オートスロットル制御装置に作動的に結合された表示装置と、をさらに備え、ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、オートスロットル制御装置に、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、オートスロットル作動入力装置の作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードの間を切り替えることによって、オートスロットルモード入力装置の作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードのうちの選択されたモードを示す情報を表示装置に表示する、ようにさせることを含む。
【0082】
実施例9では、実施例8の主題は、オートスロットル作動入力装置及びオートスロットルモード入力装置の各々が、押しボタンを含むことを含む。
【0083】
実施例10では、実施例8-9の主題は、オートスロットル作動入力装置が、PCL上に位置することを含む。
【0084】
実施例11では、実施例8-10の主題は、オートスロットルモード入力装置が、表示装置と一体であることを含む。
【0085】
実施例12では、実施例8-11の主題は、複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含むことを含む。
【0086】
実施例13では、実施例8-12の主題は、複数のオートスロットル制御モードの少なくとも1つが、オートスロットル制御装置によって実行されると、オートスロットル制御装置をオートスロットル制御モードの別の1つに自律的に遷移させることを含む。
【0087】
実施例14では、実施例13の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードから複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードへの自律的な遷移が、オートスロットル制御装置による、モード遷移基準が満たされたという判定に応答して実行されることを含む。
【0088】
実施例15では、実施例14の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、MCTが維持される上昇モードであることを含む。
【0089】
実施例16では、実施例14-15の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、MCTよりも低い巡航トルクが制御目標として維持される巡航モードであることを含む。
【0090】
実施例17では、実施例14-16の主題は、モード遷移基準が、予め設定された持続時間の経過を含むことを含む。
【0091】
実施例18では、実施例14-17の主題は、モード遷移基準が、予め設定された高度上昇が達成されたことを含むことを含む。
【0092】
実施例19では、実施例14-18の主題は、モード遷移基準が、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含むことを含む。
【0093】
実施例20は、航空機のオートスロットルを制御するためのシステムであって、システムは、処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、ユーザインタフェースプロセス及びオートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、オートスロットル制御装置の出力に応答して、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整するオートスロットルアクチュエータと、オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットル作動入力装置と、オートスロットル制御装置に作動的に結合されたオートスロットルモード入力装置と、オートスロットル制御装置に作動的に結合された表示装置と、を備え、オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、制御目標設定を決定させ、システムがオートスロットル制御のための連動状態にある場合に制御目標設定に従ってスロットル設定を設定し動的に調整するようにオートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、ユーザインタフェースプロセスは、実行されると、オートスロットル制御装置に、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、オートスロットル作動入力装置の作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによって、オートスロットルモード入力装置の作動に応答し、複数のオートスロットル制御モードのうち選択されたモードを示す情報を表示装置に表示する、ようにさせる。
【0094】
実施例21では、実施例20の主題は、オートスロットル作動入力装置及びオートスロットルモード入力装置の各々が、押しボタンを含むことを含む。
【0095】
実施例22では、実施例20-21の主題は、オートスロットル作動入力装置が、PCL上に位置することを含む。
【0096】
実施例23では、実施例20-22の主題は、オートスロットルモード入力装置が、表示装置と一体であることを含む。
【0097】
実施例24は、航空機のオートスロットルを制御するシステムであって、システムは、処理回路、メモリ、及び入出力機能を含み、オートスロットル制御プログラムを含む命令を実行するように動作可能なオートスロットル制御装置と、オートスロットル制御装置の出力に応答して、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を設定して動的に調整するオートスロットルアクチュエータと、を備え、オートスロットル制御プログラムは、実行されると、オートスロットル制御装置に、複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードに従ってスロットル設定を設定して動的に調整するようにオートスロットルアクチュエータに命令するようにさせ、オートスロットル制御モードの各々は、対応する制御目標設定を規定し、オートスロットル制御装置によるモード遷移基準が満たされたとの判定に応じて、オートスロットル制御モードのうちの1つのモードからオートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するようにさせる。
【0098】
実施例25では、実施例24の主題は、複数のオートスロットル制御モードが、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含むことを含む。
【0099】
実施例26では、実施例24-25の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、MCTが維持される上昇モードであることを含む。
【0100】
実施例27では、実施例24-26の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、MCTよりも低い巡航トルクが制御目標として維持される巡航モードであることを含む。
【0101】
実施例28では、実施例24-27の主題は、モード遷移基準が、予め設定された持続時間の経過を含むことを含む。
【0102】
実施例29では、実施例24-28の主題は、モード遷移基準が、予め設定された高度上昇が達成されたことを含むことを含む。
【0103】
実施例30では、実施例24-29の主題は、モード移行基準が、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含むことを含む。
【0104】
実施例31は、航空機のエンジン出力を制御するスロットル設定を生じさせるために、移動経路に沿ってパイロットによって手動で動かすことができるパワーコントロール入力(PCL)を含む航空機のオートスロットルを制御するための自動化された方法であって、本方法は、オートスロットル制御装置が、航空機のスロットルの制御目標設定を決定するステップと、オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、PCLを動かして制御目標設定を達成することを含む、制御目標設定に従ってスロットルを動的に調整するステップと、仮想ディテントを設定して動的に調整するステップであって、仮想ディテントは、制御目標設定に対応するPCLの移動経路に沿った位置に位置決めされる、ステップと、を含み、仮想ディテントは、少なくともオートスロットルがオートスロットル制御に関する連動解除状態にある場合に、PCLが仮想ディテントの位置を達成するのに応答して、PCLの動きに対抗するディテント力を加える触覚効果を介してパイロットに制御目標設定を示すように動作可能である。
【0105】
実施例32では、実施例31の主題は、制御目標設定の調整に応答して、仮想ディテント位置を動的に変えるステップをさらに含むことを含む。
【0106】
実施例33では、実施例31-32の主題は、少なくとも1つの入力装置のセットを介してパイロット入力を読み取るステップと、パイロット入力に基づいて、ディスアームド状態、及び、連動解除状態及び連動状態を含むアームド状態のセット中からオートスロットルの動作状態を設定するステップであって、連動解除状態では、制御目標設定を達成するためにPCLを動かさないステップと、をさらに含むことを含む。
【0107】
実施例34では、実施例31-33の主題は、第1のディテント力を加える仮想ディテントの第1のインスタンスを設定するステップと、第1のディテント力とは異なる第2のディテント力を加える仮想ディテントの第2のインスタンスを設定するステップとをさらに含むことを含む。
【0108】
実施例35では、実施例31-34の主題は、PCLが仮想ディテントの位置に手動で位置決めされたことに応答して、オートスロットルを連動解除状態から連動状態に遷移させるステップを含むことを含む。
【0109】
実施例36では、実施例31-35の主題は、PCLの手動移動により仮想ディテントを第1の位置から第2の位置に位置変更するためのパイロット入力を読み取るステップを含むことを含む。
【0110】
実施例37では、実施例31-36の主題は、飛行安全監視プロセスを実行するステップをさらに含み、ステップは、1又は2以上のセンサを監視し、安全でない動作状態を検出し、検出された安全でない動作状態に応答して、仮想ディテントの位置を動的に調整すること、を含むことを含む。
【0111】
実施例38では、実施例31-37の主題は、オートスロットル作動入力装置からの入力を読み取るステップと、オートスロットルモード入力装置からの入力を読み取るステップと、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、オートスロットル作動入力装置の作動に応答するステップと、複数のオートスロットル制御モードのうちの異なるモードの間を切り替えることによって、オートスロットルモード入力装置の作動に応答するステップと、複数のオートスロットル制御モードのうちの選択されたモードを示す情報を表示装置に表示するステップと、をさらに含むことを含む。
【0112】
実施例39では、実施例38の主題は、複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含むことを含む。
【0113】
実施例40では、実施例38-39の主題は、複数のオートスロットル制御モードの少なくとも1つが、実行されると、オートスロットルをオートスロットル制御モードの別の1つに自律的に遷移させることを含む。
【0114】
実施例41では、実施例40の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードから複数のオートスロットル制御モードのうちの第2モードへの自律的な遷移が、モード遷移基準が満たされたという判定に応答して実行されることを含む。
【0115】
実施例42では、実施例41の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、MCTが維持される上昇モードであることを含む。
【0116】
実施例43では、実施例41-42の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、MCTよりも低い巡航トルクが制御目標として維持される巡航モードであることを含む。
【0117】
実施例44では、実施例41-43の主題は、モード遷移基準が、予め設定された持続時間の経過を含むことを含む。
【0118】
実施例45では、実施例41-44の主題は、モード遷移基準が、予め設定された高度上昇が達成されたことを含むことを含む。
【0119】
実施例46では、実施例41-45の主題は、モード遷移基準が、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含むことを含む。
【0120】
実施例47は、航空機のオートスロットルを制御する方法であって、本方法は、オートスロットル制御装置による、航空機のスロットルの制御目標設定を決定するステップと、オートスロットルがオートスロットル制御に関する連動状態にある場合に、制御目標設定に従ってスロットルを動的に調整するステップと、オートスロットル作動入力装置からの入力を読み取るステップと、オートスロットルモード入力装置からの入力を読み取るステップと、連動状態と連動解除状態との間を切り替えることによって、オートスロットル作動入力装置の作動に応答するステップと、複数のオートスロットル制御モードの異なるモードの間を切り替えることによって、オートスロットルモード入力装置の作動に応答するステップと、を含む。
【0121】
実施例48は、航空機のオートスロットルを制御する方法であって、本方法は、複数のオートスロットル制御モードのうちに異なるモードに従ってスロットル設定を自律的に動的に調整するステップであって、オートスロットル制御モードの各々が対応する制御目標設定を規定するステップと、オートスロットル制御装置による、モード遷移基準が満たされたとの判定に応じて、オートスロットル制御モードのうちの1つのモードからオートスロットル制御モードの別のモードに自律的に遷移するステップと、を含む。
【0122】
実施例49では、実施例48の主題は、複数のオートスロットル制御モードは、離陸モード、上昇モード、推力保持モード、及び設定速度制御モードを含むことを含む。
【0123】
実施例50では、実施例48-49の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が維持される離陸モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、エンジン温度上限に応答した出力低減に従う、MCTが維持される上昇モードであることを含む。
【0124】
実施例51では、実施例48-50の主題は、複数のオートスロットル制御モードのうちの第1のモードが、最大連続トルク(MCT)が制御目標として維持される離陸モード、ゴーアラウンドモード、又は上昇モードであり、複数のオートスロットル制御モードのうちの第2のモードが、MCTよりも低い巡航トルクが制御目標として維持される巡航モードであることを含む。
【0125】
実施例52では、実施例48-51の主題は、モード遷移基準が、予め設定された持続時間の経過を含むことを含む。
【0126】
実施例53では、実施例48-52の主題は、モード遷移基準が、予め設定された高度上昇が達成されたことを含むことを含む。
【0127】
実施例54では、実施例48-53の主題は、モード遷移基準が、予め設定された閾値未満の高度上昇として規定された水平飛行を達成することを含むことを含む。
【0128】
実施例55は、処理回路によって実行されると、実施例31-54のいずれかを実行するための動作を処理回路に実行させる命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0129】
実施例56は、実施例31-54のいずれかを実行するための手段を含む装置である。
【0130】
上記の実施形態は、例示であり限定することを意図していない。追加の実施形態は、そのような主題を明示的に除外しない各請求項の範囲内にある。加えて、本発明の態様は、特定の実施形態を参照して説明されるが、当業者であれば、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更を行い得ることを認識できるであろう。
【0131】
当業者であれば、本発明が、上述した何らかの個別の実施形態に例示されるよりも少ない特徴を備えることができることを認識できるであろう。本明細書に記載された実施形態は、本発明の様々な特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示を意味するものではない。従って、実施形態は、特徴の相互排他的な組み合わせではなく、むしろ、当業者には理解されるように、本発明は、異なる個々の実施形態から選択された異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0132】
上記文書の参照による何らかの組み込みは、本明細書における明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。上記文書の参照による何らかの組み込みは、上記文書に含まれる特許請求の範囲が参照により本出願の特許請求の範囲に組み込まれないようにさらに限定される。しかしながら、上記文書の特許請求の範囲は、特に除外されない限り、本明細書の開示の一部として組み込まれる。上記文書の参照による取り込みは、上記文書に記載された何らかの定義が組み込まれた主題にのみ適用され、本明細書に直接記載された主題には適用されないようにさらに制限される。
【0133】
本発明の特許請求の範囲を解釈する目的で、「means for(~のための手段)」または「step for(~のためのステップ)」という特定の用語が特許請求の範囲に記載されていない限り、35 U.S.C. § 112(f)の規定が行使されないことが明示的に意図されている。
【国際調査報告】