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特表2024-508428シリコーンエマルジョン並びにその調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】シリコーンエマルジョン並びにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/07 20060101AFI20240219BHJP
   C09D 183/05 20060101ALI20240219BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240219BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20240219BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240219BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240219BHJP
【FI】
C09D183/07
C09D183/05
C09D5/02
C09D7/40
C09D7/63
C09D7/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550070
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022015433
(87)【国際公開番号】W WO2022182501
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/152,354
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァリエ、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ドンテーヌ、キャシー
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CE022
4J038CG092
4J038DL041
4J038DL101
4J038HA066
4J038HA386
4J038JA18
4J038JB36
4J038JC38
4J038KA02
4J038KA04
4J038KA09
4J038MA10
4J038NA05
4J038NA07
4J038PB04
4J038PB06
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
シリコーン剥離コーティングエマルジョンを乾燥及び硬化させて、紙及びプラスチック基材の両方の上に、シリコーン剥離コーティングを形成することができる。コーティングされた基材は、(光)電子デバイス製造及び食品接触用途の両方を含む様々な最終用途において有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン剥離コーティングエマルジョンであって、
(A)100重量部の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物であって、
(A1)25重量部~100重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがヘキセニル基であり、添字aが0~4であり、添字bが0~4であり、添字cが0~400であり、添字dが0~50であり、添字eが0又は1であり、但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、(a+b+c+d)が15~400である、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(A2)0~75重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のビニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字iが0~4であり;添字fが0~4であり;添字gが0~1400であり;添字hが0~200であり、添字jが0又は1であり;但し、(i+f)=2~4、(f+h)≧2、かつ(i+f+g+h)が15~1400である、ビニル官能性ポリオルガノシロキサンと、を含む、脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物と、
(B)出発物質(A)中のビニル基及びヘキセニル基の合計量に対する出発物質(B)中のケイ素結合水素原子のモル比(すなわち、SiH/Vi比)が、1.2/1~3.0/1となるのに十分な量のポリオルガノハイドロゲンシロキサンと、
(C)出発物質(A)及び(B)の合計量に基づいて、10~1000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)出発物質(A)100重量部当たり0.02重量部~0.8重量部のヒドロシリル化反応抑制剤と、
(E)水と、
(F)出発物質(A)100重量部当たり0.4重量部~1.6重量部の緩衝液と、
(G)出発物質(A)100重量部当たり0~3.0重量部の界面活性剤と、
(H)出発物質(A)100重量部当たり0~10.0重量部のポリビニルアルコールと、を含み、
但し、出発物質(G)及び出発物質(H)の合計量が、出発物質(A)100重量部当たり0.1重量部以上であり、
但し、前記エマルジョンが、脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まず、非反応性オルガノポリシロキサンを含まない、シリコーン剥離コーティングエマルジョン。
【請求項2】
(B)前記ポリオルガノハイドロゲンシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有し、式中、添字wが0、1、又は2であり;添字xが0、1、又は2であり;添字yが0~250であり、かつ添字zが1~250であり;但し、(w+x)=2であり;(x+z)≧3であり;かつ量(w+x+y+z)が10~300である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
(C)前記ヒドロシリル化反応触媒が、(C1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムからなる群から選択される金属;(C2)前記金属の化合物;(C3)前記金属又は前記化合物の錯体;及び(C4)樹脂マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された前記化合物又は前記錯体からなる群から選択される、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項4】
(D)前記ヒドロシリル化反応抑制剤が、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D3)エン-イン化合物、(D4)トリアゾール、(D5)ホスフィン、(D6)メルカプタン、(D7)ヒドラジン、(D8)アミン、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D11)エーテル、(D12)一酸化炭素、及び(D13)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項5】
出発物質(F)が、一又は多塩基酸及びその共役塩基を含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項6】
出発物質(G)が、存在し、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項7】
出発物質(H)前記ポリビニルアルコールが、存在する、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項8】
(I)出発物質(A)100重量部当たり1.0重量部までの殺生物剤、(J)出発物質(A)100重量部当たり0.2重量部までの消泡剤、又は(I)及び(J)の両方からなる群から選択される出発物質を更に含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項9】
出発物質(A1)前記ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、式中、添字aが0、1又は2であり;添字bが0、1、又は2であり;添字cが0~400であり;かつ添字dが0~50であり;但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、かつ(a+b+c+d)が15~400であり;かつ
出発物質(A2)前記ビニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、添字iが0、1、又は2であり;添字fが0、1、又は2であり;添字gが0~1200であり、添字hが0~200であり;但し、(i+f)=2、(f+h)≧2、(i+f+g+h)が15~1200である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項10】
出発物質(A1)が、50重量部~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字cが15~400であり;
出発物質(A2)が、0超~50重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字gが15~1200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項11】
出発物質(A1)が、50重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~50重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項12】
紙基材上での請求項10又は11に記載のエマルジョンの使用。
【請求項13】
出発物質(A1)が、25重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~75重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項14】
出発物質(A1)が、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり;かつ
出発物質(A2)が、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニルジアルキルシロキシ末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字gが15~1200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項15】
プラスチック基材上での請求項13又は14に記載のエマルジョンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンエマルジョン並びにその調製及び使用に関する。より詳細には、本発明は、紙及びプラスチックを含む様々な基材上での使用に適したシリコーン剥離コーティングを形成するために硬化性である、水性シリコーンエマルジョンに関する。
【0002】
関連する出願及び連邦政府が資金提供する研究に関する声明への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年2月23日出願の米国仮特許出願第63/152,354号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/152,354号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
序論
硬化性シリコーン組成物を基材上にコーティングし、硬化させて、コーティングを形成し、基材の様々な特性を改善又は変化させることができる。組成物が適用される基材は、1つ以上の材料を含むことができる。このような材料は、繊維状であってもよく、セルロース系、例えば、紙又はボール紙などの紙基材であってもよい。紙は、艶出しされていても艶出しされていなくてもよく、カレンダー処理されていてもカレンダー処理されていなくてもよい。あるいは、基材は、紙ベースの代わりに、例えば、アクリル、ポリカーボネート、又はポリエチレンテレフタレート材料を含む、プラスチックベースであってもよく、ラミネート紙/プラスチックであってもよい。
【0004】
硬化性シリコーン組成物は、水性、溶剤系、又は無溶剤組成物であり得る。Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のSYL-OFF(商標)7000Coatingなどの無溶剤組成物は、比較的高い厚さ(≧1μm)で塗布することができ、既存のコーティング機械を使用して低減された厚さでコーティングすることができないという欠点を有する。更に、無溶剤組成物の比較的高い粘度に起因して、加工中の望ましくないミスチング、及び得られるコーティングにおける表面欠陥が、特に高い生産速度で起こり得る。
【0005】
したがって、水性組成物は、十分に制御された少ない厚さの付着を必要とするような用途、及び間接的な食品規制に拘束される用途(例えば、食品接触用途)等のいくつかの用途において望ましい。食品接触用途に適したコーティングされた紙は、紙上に層を形成するための化合物又は組成物で、紙基材を処理することによって得ることができる。公知の処理は、低い表面エネルギーを有するフィルムを形成することによって非付着特性を提供することができるフッ素化化合物に基づいており、そのフィルムは化学薬品に抵抗性があり、それによって処理された紙にオイル、油、及び水をはじく性質を提供する。しかしながら、フッ素化化合物については環境や健康への懸念が生じており、食品包装業界における様々な規制によって使用を制限又は禁止する傾向がある。
【0006】
別のアプローチは、ポリビニルアルコールとクロメート-脂肪酸錯体との混合物を用いて紙基材を処理することであった。しかしながら、クロム等の重金属の使用はまた、食品包装関連用途における環境及び健康上の懸念を引き起こす。他の処理は、紙にいくらかの疎油性を付与することができるが、効果的であるためには比較的多量の材料がしばしば必要であり、紙上に厚いコーティングを形成するため、紙の折り目付け又は折り畳み時に機械的特性及び耐久性に弊害をもたらすことがある。更に、大量の材料を使用することは、費用効率が高くない可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
シリコーン剥離コーティングエマルジョンは、(A)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含む脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物と、(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサンと、(C)ヒドロシリル化反応触媒と、(D)ヒドロシリル化反応抑制剤と、(E)水と、(F)緩衝液と、(G)界面活性剤及び(H)ポリビニルアルコールの一方又は両方と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記のシリコーン剥離コーティングエマルジョン(エマルジョン)は、任意選択で、(I)殺生物剤、(J)消泡剤、並びに(K)(I)及び(J)の両方の組み合わせからなる群から選択される追加の出発物質を更に含んでもよい。あるいは、エマルジョンは、(A)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含む脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物、(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応触媒、(D)ヒドロシリル化反応抑制剤、(E)水、(F)緩衝液、並びに(G)界面活性剤及び(H)ポリビニルアルコールの一方又は両方、並びに任意選択で、(I)殺生物剤、(J)消泡剤、及び(K)(I)と(J)の両方の組み合わせからなる群から選択される追加の出発物質から本質的になってもよい。あるいは、エマルジョンは、(A)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含む脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物、(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応触媒、(D)ヒドロシリル化反応抑制剤、(E)水、(F)緩衝液、並びに(G)界面活性剤及び(H)ポリビニルアルコールの一方又は両方、並びに任意選択で、(I)殺生物剤、(J)消泡剤、及び(K)(I)と(J)の両方の組み合わせからなる群から選択される追加の出発物質からなってもよい。
【0009】
(A)脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物
上記エマルジョン中の出発物質(A)は、脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物である。エマルジョン中の出発物質(A)の量は、100重量部である。出発物質(A)脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物は、(A1)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンと、任意選択で(A2)ビニル官能性ポリオルガノシロキサンと、を含む。
【0010】
出発物質(A1)は、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンである。ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A1-I):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2を有してもよく、式中、各Rが独立して選択されるアルキル基又はアリール基であり、Rがヘキセニル基であり、添字aが0~4であり、添字bが0~4であり、添字cが0~400であり、添字dが0~50であり、添字eが0又は1であり、但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、(a+b+c+d)は15~400である。Rに好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(イソプロピル及びn-プロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、及びイソブチルを含む)、ペンチル(直鎖、分岐、及び環状の5つの炭素基を含む)、及びヘキシル(直鎖、分岐、及び環状のヘキシル基を含む)などの1~6個の炭素原子を有し得る。Rに含まれる好適なアリール基は、6~20個の炭素原子を有してもよく、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、及びスチリルである。あるいは、各アリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、各Rは、メチル又はエチルであってもよい。あるいは、各Rは、メチル又はフェニルであってもよい。あるいは、各Rは、メチルであってもよい。ヘキセニル機能性ポリオルガノシロキサンは直鎖又は分岐されていてもよい。
【0011】
あるいは、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、添字e=0である場合、直鎖であってもよい。例えば、直鎖ポリジオルガノシロキサンは、単位式(A1-II):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含んでもよく、式中、R及びRが上記の通りであり、添字aが0、1、又は2であり;添字bが0、1、又は2であり;添字cが0超~400であり、かつ添字dが0~50であり;但し、(a+b)=2、(b+d)≧2、かつ(a+b+c+d)=15~400である。
【0012】
あるいは、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A1-III):(R SiO1/2(R SiO2/2のヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンを含んでもよく、式中、各Rが上記のアルキル基であり、Rが上記の通りであり、添字cが15~400である。
【0013】
あるいは、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A1-IV):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンを含んでもよく、式中、各Rがアルキル基であり、Rが上記の通りであり、添字cが0~400であり、かつ添字dが2~50である。
【0014】
出発物質(A1)は、直鎖アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えば、
A1-1)α,ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
A1-2)α,ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
A1-3)α,ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
A1-4)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
A1-5)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
A1-6)α,ω-ジメチルヘキセニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
A1-7)α,ω-ジメチルヘキセニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
A1-8)α,ω-ジメチルヘキセニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及び
A1-9)A1-1)~A1-8)のうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0015】
出発物質(A1)のための上記の直鎖ヘキセニル官能性ポリジオルガノシロキサンの調製方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、Nelsonの米国特許第3,284,406号、米国特許第4,772,515号(Haraら)、米国特許第5,169,920号(Okawaら)、米国特許第5,317,072号(Bokermanら)、及び米国特許第6,956,087号(Laiら)を参照されたく、アルケニル基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサンの調製を開示している。ヘキセニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、このような方法で使用される適切な出発物質を変えることによって、調製することができる。
【0016】
上記の直鎖ヘキセニル官能性ポリジオルガノシロキサンに加えて(又はその代わりに)、出発物質(A1)は、分岐ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含んでもよい。分岐ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式(A1-I)において、添字eが、0超~5モル%の四官能性単位を提供するのに十分な値を有する場合、0超~5モル%の四官能性単位を有し得る。
【0017】
例えば、分岐アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A1-V):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2のQ型分岐ポリオルガノシロキサンを含んでもよく、式中、R及びRが、上記の通りであり、添字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4、かつ(q+r+s+t)>50であるような平均値を有する。あるいは、量(q+r+s+t)は、回転粘度計によって測定して(試験方法とともに以下に記載される)粘度>170mPa・sを付与するのに十分な値を有し得る。あるいは、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、あるいは>170mPa・s~500mPa・s、あるいは180mPa・s~450mPa・s、あるいは190mPa・s~420mPa・sであってもよい。出発物質(A1)に好適な分岐ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、既知の方法によって作製され得る。例えば、出発物質(A1)(上記単位式中の添字e>0)のための分岐ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンは、適切な出発物質を変えることによって、Crayらの米国特許第6,806,339号及びCrayらの米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される。
【0018】
出発物質(A2)は、ビニル官能性ポリオルガノシロキサンである。ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A2-I):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2を有してもよく、式中、各Rが独立して選択されるアルキル基又はアリール基であり、Rがビニル基であり、添字iが0~4であり;添字fが0~4であり;添字gが0~1400であり;添字hが0~200であり、添字jが0又は1であり;但し、(i+f)=2~4、(f+h)≧2、かつ(i+f+g+h)=15~1400である。あるいは、添字gが、0~1200であってもよい。ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖又は分岐されていてもよい。例えば、添字j=0である場合、ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは直鎖であってもよい。
【0019】
あるいは、直鎖ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A2-II):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含んでもよく、式中、Rが独立して選択されるアルキル基又はアリール基であり、Rがビニル基であり、添字iが0、1、又は2であり;添字fが0、1、又は2であり;添字gが0~1200であり、添字hが0~200であり;但し、(i+f)=2、(f+h)≧2、(i+f+g+h)が15~1200である。
【0020】
あるいは、直鎖ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A2-III)(R SiO1/2(R SiO2/2のビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンを含んでもよく、式中、各Rが上記のようなアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字gが15~1200である。
【0021】
あるいは、直鎖ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A2-IV):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンを含んでもよく、式中、各Rが上記のようなアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である。
【0022】
出発物質(A2)は、直鎖ビニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えば、
i)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
ii)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
vii)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
viii)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
ix)α,ω-フェニルメチルビニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
x)i)~ix)のうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0023】
出発物質(A2)について上述の直鎖ビニル官能性ポリジオルガノシロキサンを調製する方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたい。
【0024】
上記の直鎖ビニル官能性ポリジオルガノシロキサンに加えて(又はその代わりに)、出発物質(A2)は、分岐ビニル官能性ポリオルガノシロキサンを含んでもよい。分岐ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐ビニル官能性ポリオルガノシロキサンに対して0超~5mol%の四官能性単位を有してもよい。例えば、分岐状ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(A2-V):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2を含んでもよく、式中、R及びRが上記の通りであり、添字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4、かつ(q+r+s+t)>50であるような平均値を有する。あるいは、量(q+r+s+t)は、回転粘度計によって測定される(試験方法とともに以下に記載される)粘度>170mPa・sを、付与するのに十分な値を有し得る。あるいは、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、あるいは>170mPa・s~500mPa・s、あるいは180mPa・s~450mPa・s、あるいは190mPa・s~420mPa・sであってもよい。出発物質(A2)に好適な分岐ビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、米国特許第6,806,339号及び米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される、既知の方法によって作製され得る。
【0025】
出発物質(A)脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物は、100重量部の量でエマルジョン中に存在する(例えば、出発物質(A1)の量及び出発物質(A2)の量の合計=100重量部である)。(A)中の出発物質(A1)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンの量は、25重量部~100重量部であり、(A)中の出発物質(A2)の量は、0~75重量部である。あるいは、出発物質(A1)は、25~100重量部未満、あるいは25超~100重量部未満、あるいは50~100重量部未満、あるいは50超~100重量部未満の量で存在し得る。あるいは、出発物質(A2)は、0~75重量部、あるいは0超~75重量部、あるいは0超~75重量部未満、あるいは0超~50重量部、あるいは0超~50重量部未満の量で存在することができる。
【0026】
出発物質(A1)、出発物質(A2)及びそれぞれの量の選択は、エマルジョンがコーティングされる基材及びエマルジョンから調製される剥離コーティングの所望の特性を含む、種々の因子に依存する。例えば、出発物質(A1)は、ヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであってもよく、出発物質(A2)は、ビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであってもよい。あるいは、出発物質(A1)は、ポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであってもよく、出発物質(A2)は、単位式のビニルジアルキルシロキシ末端ブロックポリジアルキルシロキサンであってもよい。あるいは、出発物質(A1)は、ポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであってもよく、出発物質(A2)は、ポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであってもよい。
【0027】
あるいは、出発物質(A1)がヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、出発物質(A2)がビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンである場合、(A1)の量は、少なくとも50重量部、あるいは少なくとも75重量部、同時に100重量部未満まで、あるいは90重量部までであってもよく、(A2)の量は、0超、あるいは少なくとも10重量部、同時に50重量部まで、あるいは25重量部までであってもよく;各々但し、(A1)及び(A2)の量は、合計で100重量部となる。あるいは、出発物質(A1)がポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、出発物質(A2)がポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンである場合、(A1)の量は、少なくとも50超重量部、あるいは少なくとも75重量部、あるいは少なくとも90重量部であってもよく、同時に(A1)の量は、100重量部未満まで、あるいは90重量部までであってもよい。また、(A2)の量は、少なくとも0超、あるいは少なくとも10重量部であってもよく、同時に、(A2)の量は、50重量部未満まで、あるいは25重量部までであってもよい。上記の(A1)及び(A2)の組み合わせは、紙基材上に剥離コーティングを調製するためのエマルジョンを作製するのに、特に有用であり得る。
【0028】
あるいは、出発物質(A1)がポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、出発物質(A2)がポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンである場合、(A1)の量は、少なくとも25超重量部、あるいは少なくとも33重量部、あるいは少なくとも50重量部であってもよく、同時に(A1)の量は、100重量部未満まで、あるいは90重量部まで、あるいは75重量部まで、及び67重量部までであってもよい。また、(A2)の量は、少なくとも10重量部、あるいは少なくとも33重量部、あるいは少なくとも50重量部であってもよく、同時に(A2)の量は、67重量部まで、あるいは50重量部までであってもよい。(A1)及び(A2)の上記組み合わせは、プラスチック基材上に剥離コーティングを調製するためのエマルジョンを作製するのに、特に有用であり得る。
【0029】
(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサン
エマルジョン中の出発物質(B)は、ポリオルガノハイドロゲンシロキサンである。ポリオルガノハイドロゲンシロキサンは、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有してもよく、式中、Rが上記の通りであり、添字wが0、1、又は2であり;添字xが0、1、又は2であり;添字yが0~250であり、かつ添字zが1~250であり;但し、(w+x)=2;(x+z)≧3;かつ量(w+x+y+z)が10~300である。あるいは、添字wが2であってもよく、添字xが0であってもよい。あるいは、添字yが0超~250であってもよい。
【0030】
本明細書で使用するのに好適なポリオルガノハイドロゲンシロキサンは、以下のものによって例示される:
(i)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、
(ii)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキシ-終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、
(iii)α,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、
(iv)トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、及び
(v)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、
(vi)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、及び
(vii)それらの2つ以上の組み合わせ等のポリジオルガノシロキサン。
【0031】
ポリオルガノハイドロゲンシロキサンも市販されており、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から入手可能なものなど、例えば、HMS-H271、HMS-071、HMS-993、HMS-301、HMS-301 R、HMS-031、HMS-991、HMS-992、HMS-993、HMS-082、HMS-151、HMS-013、HMS-053、及びHMS-HM271が挙げられる。オルガノハロシランの加水分解及び縮合など、本明細書での使用に好適な直鎖及び分岐ポリオルガノハイドロゲンシロキサンを調製する方法は、Speierの米国特許第2,823,218号、Jeramらの米国特許第3,957,713号、及びHardmanらの米国特許第4,329,273号に例示されているように、当該技術分野において周知である。
【0032】
出発物質(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサンは、出発物質(A)中のビニル基とヘキセニル基の合計量に対する出発物質(B)中のケイ素結合水素原子のモル比(すなわち、SiH/Vi比)が1.2/1~3.0/1、あるいは1.4/1~2.5/1となるのに十分な量でエマルジョン中で使用される。
【0033】
(C)ヒドロシリル化反応触媒
エマルジョン中の出発物質(C)は、ヒドロシリル化反応触媒である。この触媒は、出発物質(A)中のアルケニル基と出発物質(B)中のケイ素結合水素原子との間の反応を促進する。当該触媒は、Fe、Ni、Co、Zr、Ti、又は白金族金属から選択される金属を含んでもよい。あるいは、金属は、白金族金属を含むことができる。白金族金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムからなる群から選択され得る。あるいは、白金族金属は、白金であり得る。ヒドロシリル化反応触媒は、(C-I)放射線活性化触媒、すなわち照射後のヒドロシリル化反応を触媒することができる(化学線への曝露、例えば可視光又は紫外線への曝露など)、(C-II)照射以外の手段によって活性化可能なヒドロシリル化触媒、例えば、加熱などの照射なしでヒドロシリル化反応を触媒することができるヒドロシリル化触媒、又は(C-III)(C-I)と(C-II)の両方の組み合わせであり得る。
【0034】
出発物質(C-I)としての使用のための好適な放射線活性化可能な触媒は、200nm~500nmの波長を有する放射線への曝露によって活性化され得る。好適な放射線活性化可能なヒドロシリル化反応触媒としては、シクロペンタジエニル白金錯体、例えば、η5-シクロペンタジエニル)トリ(α-アルキル)白金(IV);シクロペンタジエニルトリメチル白金及びトリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)、η4-1,5-シクロオクタジエンジアリール白金錯体等のシクロオクタジエニル白金錯体;及びビス(アセチルアセトナト)白金(II)などのPt(II)-βジケトナート錯体が、挙げられる。シクロペンタジエニル白金錯体の例は、当該技術分野において公知であり、例えば、Drahnakの米国特許第4,510,094号、Drahnakの米国特許第4,600,484号、Boardmanらの米国特許第4,916,169号、Buttsの米国特許第6,127,446号、Buttsの米国特許第6,451,869号、Oxmanらの米国特許第6,376,569号、Koellnbergerの米国特許第8,088,878号、及びCN101925608Bに開示されている。シクロオクタジエニル白金錯体は、例えば、ボルドマンらの米国特許第6,046,250号に開示されている。白金(II)β-ジケトナート触媒は、例えば、OxmanらのEP0398701(B1)号、Ikenoの米国特許第8,642,674号、及びCN104031602Aに開示されている。Walkerらの米国特許出願公開第2005/0154079号、Thompsonらの米国特許出願公開第2011/0171400(A1)号及びIkenoのJP03865638(B2)は、各々、様々な放射線活性化可能なヒドロシリル化反応触媒も開示している。
【0035】
あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-II)照射以外の手段によって活性化可能なヒドロシリル化触媒であってもよい。例えば、(C-II)は、(C-II-1)上記の白金族金属;(C-II-2)そのような金属の化合物、例えばクロリドトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)(Wilkinson触媒)、ロジウムジホスフィンキレート、例えば[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム又は[1,2-ビス(ジエチルホスピノ)エタン]ジクロロジロジウム、塩化白金酸(Speier触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、及び(C-II-3)化合物の錯体、(C-II-2)、アルケニル官能性オルガノポリシロキサンオリゴマー、又は(C-II-4)マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された白金族金属化合物であり得る。白金とアルケニル官能性オルガノポリシロキサンオリゴマーとの錯体としては、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体(Karstedt触媒)、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン中のPt(0)錯体(Ashby錯体)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-II-5)樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された、上記のような、化合物又は錯体であり得る。(C-II)における好適な白金含有触媒の具体例としては、六水和物形態若しくは無水形態のいずれかの塩化白金酸、及び又は、塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む方法により得られる白金含有触媒、又はRoyの米国特許第6,605,734号に記載されたアルケン-白金-シリル錯体が挙げられる。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することによって調製され得、CODはシクロオクタジエニルを表し、Meはメチルを表す。他の例示的なヒドロシリル化反応触媒は、Speierの米国特許第2,823,218号、Ashbyの同第3,159,601号、Lamoreauxの同第3,220,972号、Chalkらの同第3,296,291号、Willingの同第3,419,593号、Modicの同第3,516,946号、Karstedtの同第3,814,730号、Chandraの同第3,928,629号、Leeらの同第3,989,668号、Leeらの同第4,766,176号、Leeらの同第4,784,879号、Togashiの同第5,017,654号、Chungらの同第5,036,117号、及びBrownらの同第5,175,325号、及びTogashiらの欧州特許第EP0347895(A)号に記載されており、Chevalierらの米国特許出願第2019/0367744号が、(C-II)放射線活性化可能触媒及び(C-II)放射線以外の手段によって活性化可能な触媒(例えば、熱活性化可能触媒)の両方を開示している。本明細書で使用することができる他のヒドロシリル化反応触媒は、Y.Nakajima及びS.Shimadaによる「Hydrosilylation reaction of olefins:recent advances and perspectives」、RSC Adv.、2015、5、20603-20616、並びに「Hydrosilylation,Advances in Silicon Science」、第1章、Hydrosilylation of Alkenes and Their Derivatives、B.Marciniec(ed.).DOI 10.1007/978-1-4020-8172-9 1、(著作権)Springer Science+Business Media B.V.2009(pp.2-49)において開示されている通りである。出発物質(C-II)に好適な白金ヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えば、SYL-OFF(商標)4000触媒及びSYL-OFF(商標)2700が、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。
【0036】
出発物質(C)は、1種のヒドロシリル化反応触媒であってもよく、又は上記のヒドロシリル化反応触媒の2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、出発物質(C)は、例えば、放射線への曝露及び加熱の両方がヒドロシリル化反応に使用される場合、(C-I)及び(C-II)の組み合わせであってもよい。あるいは、出発物質(C)は、シクロペンタジエニル白金錯体とPt(II)-βジケトナート錯体との組み合わせなどの、2つ以上の放射線活性化可能触媒の組み合わせであってもよい。当業者は、特定の触媒種が、本明細書に記載されるように、照射又は加熱のいずれかによって活性化され得ること、及び2つ以上の触媒の組み合わせが使用される場合、選択される触媒種が互いに異なることを認識する。
【0037】
エマルジョン中の(C)ヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(A)及び(B)の選択、アルケニル基とケイ素結合水素原子のそれぞれの含有量、及び
組成物中の(D)ヒドロシリル化反応抑制剤の量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、触媒の量は、SiH基及びアルケニル基のヒドロシリル化反応を触媒するのに十分であり、あるいは触媒の量は、組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、及び(G)の合計量に基づいて、少なくとも10ppm、あるいは少なくとも15ppm、あるいは少なくとも20ppm、あるいは少なくとも50ppm、及びあるいは少なくとも100ppmの質量基準での白金族金属を提供するのに十分である。同時に、触媒の量は、エマルジョン中の出発物質(A)及び(B)の合計重量に基づいて、1,000ppmまで、あるいは800ppmまで、あるいは500ppmまで、あるいは100ppmまでの質量基準での白金族金属を提供するのに十分である。
【0038】
(D)ヒドロシリル化反応抑制剤
エマルジョン中の出発物質(D)は、ヒドロシリル化反応抑制剤である。出発物質(D)は、ヒドロシリル化反応抑制剤(抑制剤)であり、これは、抑制剤を除いて同じ出発物質を含有する組成物と比べて、ヒドロシリル化反応を変えるために使用することができる。出発物質(D)は、例えば、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D3)エン-イン化合物、(D4)トリアゾール、(D5)ホスフィン、(D6)メルカプタン、(D7)ヒドラジン、(D8)アミン、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D11)エーテル、(D12)一酸化炭素、(D13)アルケニル官能性シロキサンオリゴマー、及び(D14)それらの2つ以上の組み合わせであってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D13)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系化合物、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D13)一酸化炭素、及び(D14)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0039】
アセチレン系アルコールは、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、及びそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、阻害剤は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン系化合物を添加すると、シリル化アセチレン系化合物を含有していない、又は上記したものなどの有機アセチレン系アルコール抑制剤を含有する出発物質のヒドロシリル化による反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びそれらの組み合わせによって例示される。本明細書における抑制剤として有用なシリル化アセチレン系化合物は、当該技術分野において既知の方法によって調製することができ、例えば、Bilgrienらの米国特許第6,677,407号は、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによって上記のアセチレン系アルコールをシリル化することを開示している。
【0040】
あるいは、抑制剤は、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、及びそれらの組み合わせなどのエン-イン化合物であってもよい。あるいは、抑制剤は、ベンゾトリアゾールによって例示されるトリアゾールを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、ホスフィンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、メルカプタンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、ヒドラジンを含んでもよい。あるいは、抑制剤は、アミンを含んでもよい。アミンは、テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、1-エチニルシクロヘキシルアミン、又はそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、抑制剤は、フマル酸塩を含んでもよい。フマル酸塩としては、フマル酸ジエチルなどのフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアリルなどのフマル酸ジアルケニル、フマル酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのフマル酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、抑制剤は、マレイン酸塩を含んでもよい。マレイン酸塩としては、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジアルキル、マレイン酸ジアリルなどのマレイン酸ジアルケニル、及びマレイン酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのマレイン酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、抑制剤は、エーテルを含んでもよい。
【0041】
あるいは、抑制剤は、一酸化炭素を含んでもよい。あるいは、抑制剤は、アルケニル官能性シロキサンオリゴマーを含んでもよく、これは、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンなどの環状又は直鎖状であってもよい。上記の抑制剤として有用な化合物は、例えば、Sigma-Aldrich Inc.又はGelest,Inc.から市販されており、本明細書で使用するのに好適な抑制剤は、米国特許出願公開第2007/0099007号の段落[0148]~[0165]に安定剤Eとして記載されているものによって例示される。
【0042】
出発物質(D)は、1種のヒドロシリル化反応抑制剤であってもよく、又は上記のヒドロシリル化反応抑制剤の2種以上の組み合わせであってもよい。本明細書で使用される抑制剤の量は、所望の反応速度、使用される特定の抑制剤、並びに出発物質(A)及び(C)のそれぞれの選択及び量、をはじめとする様々な要因によって異なる。しかしながら、存在する場合、抑制剤の量は、出発物質(A)100重量部当たり、0超重量部、あるいは0.02重量部~0.8重量部であってもよい。
【0043】
(E)水
出発物質(E)は水であり、一般的に制限されておらず、未希釈で(担体ビヒクル/溶剤なしで)かつ/又は純粋なもの(すなわち、ミネラル及び/若しくは他の不純物なしで)が利用され得る。例えば、水は、エマルジョン中で他の出発物質と組み合わせる前に、処理されていても処理されていなくてもよい。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行ってもよい。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であってもよい)。水は、エマルジョンの所望の希釈を含む様々な要因に応じて、当業者によって選択される任意の量で利用され得る。しかしながら、水の量は、エマルジョン中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、30%~99%、又は50%~99%、又は50%~95%であってよい。
【0044】
(F)緩衝系
エマルジョンの所望のpHを維持するための緩衝系(緩衝液)は、一塩基酸又は多塩基酸及びその共役塩基を含み得る任意の好適な緩衝液であり得る。例えば、米国特許出願公開第2007/0099007号の段落[00145]~[00147]において、薬剤Fとして記載されているHCO /CO 2-及びHPO /HPO 2-を含む緩衝液を、本明細書で使用することができる。緩衝液は、NaCO及びNaHCO、並びに/又はクエン酸及びクエン酸塩、例えばクエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウムを含んでもよい。緩衝液の量は、出発物質(A)100重量部当たり、0超、あるいは少なくとも0.2重量部、あるいは少なくとも0.4重量部であってもよい。同時に、緩衝液の量は、出発物質(A)100部当たり、1.6重量部まで、あるいは1.5重量部まで、あるいは1.25重量部までであってもよい。
【0045】
(G)界面活性剤
乳化に使用される界面活性剤は、非イオン性又はイオン性であってもよい。あるいは、界面活性剤は、非イオン性であってもよい。好適な界面活性剤は、当技術分野で公知であり、市販されているものから選択することができる選択することができる。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルフェノール、脂肪アルコール、又はアルキレンオキシド基、例えばエチレンオキシド基若しくはプロピレンオキシド基を有する脂肪酸が挙げられる。好適なイオン性界面活性剤としては、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、及びスルホコハク酸塩などのアニオン性界面活性剤が、挙げられる。本明細書での使用に好適な界面活性剤は、米国特許出願公開第2007/0099007号の段落[0167]~[0176]において、界面活性剤(G)として記載されているものによって、例示される。界面活性剤の量は、出発物質(H)ポリビニルアルコール化合物が存在するかどうかを含む様々な要因に依存するが、界面活性剤の量は、出発物質(A)100重量部当たり0~3重量部、あるいは0~2重量部、あるいは0~1重量部、あるいは0~0.3重量部であってもよい。
【0046】
(H)ポリビニルアルコール
エマルジョン中の出発物質(H)は、ポリビニルアルコール化合物である。好適なポリビニルアルコール化合物は、当該技術分野において知られており、例えば、米国特許出願公開第2007/0099007号の段落[0172]及び[0173]に開示されている。ポリビニルアルコール化合物は、ポリ酢酸ビニルの鹸化によって作られてもよく、そのため、ポリ酢酸ビニルの15%までが、本明細書で使用されるポリビニルアルコール化合物中に残存し得る。あるいは、ポリビニルアルコール化合物は、80%~98%のポリビニルアルコール(20%~2%のポリ酢酸ビニルとの平衡状態)であることができる。ポリビニルアルコール化合物は、20℃の4%水溶液において5cPの最小粘度を有し得る。ポリビニルアルコール化合物の量は、出発物質(G)界面活性剤が存在するかどうかを含む様々な要因に依存するが、ポリビニルアルコールの量は、出発物質(A)100重量部当たり、0~10重量部、あるいは0~5重量部、あるいは0~3.0重量部であってもよい。しかしながら、(G)界面活性剤及び(H)ポリビニルアルコールのうちの少なくとも1つがエマルジョン中に存在する。(G)、(H)、又は(G)と(H)の両方の組み合わせの量は、出発物質(A)100重量部当たり少なくとも5.0重量部であってもよい。
【0047】
(I)殺生物剤
出発物質(I)は、エマルジョンに添加され得る任意選択の殺生物剤である。殺生物剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、殺生物剤は、(I1)殺真菌剤、(I2)除草剤、(I3)殺有害生物剤、(I4)抗菌剤、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって、例示される。例示的な殺生物剤は、例えば、Brandstadtらの米国特許第9,221,041号に開示されている。殺生物剤は、任意選択である。しかしながら、使用する場合、殺生物剤は、出発物質(A)100重量部当たり1.0重量部までの量で存在してもよい。
【0048】
(J)消泡剤
エマルジョンは、任意選択で、出発物質(J)消泡剤(anti-foam)を更に含んでもよい。出発物質(J)の使用量は、出発物質(A)の100重量部に対して0.2重量部までであってもよい。適切な消泡剤は、シリカ及びポリジメチルシロキサンを含有するエマルジョンによって例示される。好適な消泡剤は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0049】
追加の出発原料
1つ以上の追加の出発物質を、本明細書に記載されているエマルジョンに、添加してもよい。1つ以上の追加の出発物質は、殺菌剤(例えば、ソルビン酸)、着色剤(例えば、染料又は顔料)、充填剤(例えば、シリカ)、及び湿潤剤(例えば、プロピレングリコール又はエチレングリコールなどのグリコール)からなる群から選択されてもよい。本明細書で使用するのに好適な追加の出発物質は、米国特許出願公開第2007/0099007号の段落[0177]~[0190]及び米国特許出願公開第2002/0061365号の段落[0055]~[0056]に記載されている添加剤によって、例示される。
【0050】
上記の説明にもかかわらず、本明細書に記載のエマルジョンは、脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まない。これらの安定剤は、高分子量の長く柔軟な親水性高分子である。本明細書で使用するとき、「脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まない」とは、そのような高分子が、エマルジョンに意図的に添加されないことを意味する。エマルジョンは、そのような高分子を全く含有しないか、又は検出不可能な量で含有し得る。任意のこのような高分子が、エマルジョン中で使用される1つ以上の出発物質中に存在する場合、任意の量は、エマルジョンから調製される任意の剥離コーティングの特性を変化させるには不十分である。
【0051】
本明細書に記載のエマルジョンはまた、非反応性オルガノポリシロキサンを含まない。本明細書で使用するとき、「非反応性オルガノポリシロキサン」は、出発物質(A)及び(B)とのヒドロシリル化反応を受けないポリシロキサンである。そのような非反応性オルガノポリシロキサンは、式(RSiO(4-e)/2を有してもよく、式中、R=一価で、分子内で同一であっても異なっていてもよい置換及び非置換アルキル、フェニル及びフェニルアルキル基からなる群からの1~10個の炭素原子を有する、任意選択で置換された炭化水素基であり、eは1~3の整数であってもよい。非反応性オルガノポリシロキサンの例は、α,ω-トリアルキルシロキシ終端ポリジアルキルシロキサン、例えばα,ω-トリメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンである。本明細書で使用するとき、「非反応性オルガノポリシロキサンを含まない」とは、このような非反応性オルガノポリシロキサンが、エマルジョンに意図的に添加されないことを意味する。エマルジョンは、このような非反応性オルガノポリシロキサンを全く含有しなくてもよく、又は検出不能な量で含有してもよい。任意のこのような非反応性オルガノポリシロキサンが、エマルジョン中で使用される1つ以上の出発物質中に不純物として存在する場合、その任意の量は、エマルジョンから調製される任意の剥離コーティングの特性を変化させるには、不十分である。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のエマルジョンから調製された剥離コーティング中の非反応性オルガノポリシロキサンの存在は、例えば、非反応性オルガノポリシロキサンを含まないエマルジョンから調製された剥離コーティングと比較して、抽出物を増加させ、かつ/又は特定の基材への定着を減少させることによって、剥離コーティングの性能に有害であり得ると考えられる。
【0052】
エマルジョンは、上記出発物質を、上記量で、任意の順序で、任意選択でマスターバッチと、及び任意選択でせん断下で、組み合わせることによって、調製され得る。あるいは、エマルジョンは、例えば、ローター及びステータータイプのミキサーにおいて、又は高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、コロイドミル、若しくはソノレーター(超音波ミキサー)などの増加したせん断を適用する装置において、前記出発物質を高せん断に供することによって形成され得る。エマルジョンの形成中の早期反応を回避するために、出発物質の一部を別々に乳化してもよい。例えば、出発物質(A)の全部又は一部を、出発物質(B)の非存在下で乳化させ、次いで出発物質(B)を添加してもよい。あるいは、出発物質(A)及び(B)は、触媒の非存在下で乳化されてもよく、触媒は乳化され、別々に添加される。
【0053】
本発明はまた、エマルジョンを用いてコーティングされた基材を調製するプロセスも提供する。本方法は、エマルジョンを基材の表面上に配置することを含む。本方法は、水を除去し、出発物質(A)及び(B)を硬化させ、それによってコーティングされた基材を得るために、50℃~120℃などの高温で硬化させることを更に含む。
【0054】
エマルジョンは、任意の好適な様式で基材の表面上に配置又は分配され得る。典型的には、エマルジョンは、ウェットコーティング技術により、湿潤形態で塗布される。特定の実施形態において、エマルジョンは、i)スピンコーティング、ii)ブラシコーティング、iii)ドロップコーティング、iv)スプレーコーティング、v)ディップコーティング、vi)ロールコーティング、vii)フローコーティング、viii)スロットコーティング、ix)グラビアコーティング、又はx)i)~ix)のいずれかの組み合わせにより適用される。典型的には、エマルジョンを基材上に配置すると、基材上に湿ったウェット付着物がもたらされ、その後乾燥して硬化され、基材上に硬化したシリコーン剥離コーティングを含むコーティングされた基材が得られる。
【0055】
基材は限定されず、いずれの基材であってもよい。基材は、付着物を乾燥及び硬化するための、一体型ホットプレート又は一体型若しくは独立型の炉にかけられてもよい。基材は、任意選択的に、連続的又は非連続的な形状、サイズ、寸法、表面粗さ、及び他の特性を有してもよい。特定の実施形態では、基材は、高温で軟化点温度を有する。
【0056】
基材は、熱硬化性及び/又は熱可塑性であってもよいプラスチックを含み得る。あるいは、基材は、食品接触用途に好適であり得る紙を含んでもよい。好適な基材の具体例としては、ポリアミド(PA);ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル;ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブチレンなどのポリオレフィン;スチレン樹脂;ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM);ポリカーボネート(polycarbonate、PC);ポリメチレンメタクリレート(polymethylenemethacrylate、PMMA);ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC);ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS);ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE);ポリイミド(polyimide、PI);ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI);ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI);ポリスルホン(polysulfone、PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(polyketone、PK);ポリエーテルケトン(PEK);ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA);ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK);ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK);ポリアリレート(polyarylate、PAR);ポリエーテルニトリル(polyethernitrile、PEN);トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース類;クラフト紙等の紙類が挙げられる。
【0057】
エマルジョン、又はウェット付着物は、典型的には、ある時間にわたり、高温で乾燥及び硬化される。この期間は、典型的には、(A)及び(B)を含む出発物質の硬化、すなわち架橋をもたらすのに十分である。特定の実施形態において、時間は、0超~8時間、あるいは0超~2時間、あるいは0超~1時間、あるいは0超~30分間、あるいは0超~15分間、あるいは0超~10分間、あるいは0超~5分間、あるいは0超~2分間である。時間は、選択された高温、所望のフィルム厚さ、及び水の量を含む様々な要因に依存する。
【0058】
硬化は、典型的には、1~50秒、あるいは、2~10秒の滞留時間を有する。滞留時間は、本明細書で使用するとき、(A)と(B)を構成する出発物質が高温に供される時間を指す。滞留時間は、ウェット付着物、又はその部分的に硬化した反応中間体が、典型的には硬化を開始する高温にさらされなくなった後であっても進行中の硬化がある場合があるので、硬化時間とは区別される。あるいは、コーティングした物品は、オーブン内のコンベヤーベルト上で調製してもよく、滞留時間は、オーブンの長さ(例えばメートル単位)をコンベヤーベルトのライン速度(例えば、メートル/秒)で割ることによって計算することができる。
【0059】
この時間は、硬化の反復、例えば、第1の硬化及び後硬化に細分でき、第1の硬化は、例えば1時間であり、後硬化は、例えば3時間である。高温は、このような反復において、室温を上回る任意の温度から、独立して選択されてもよく、各反復において同じであってもよい。
【0060】
フィルム及びコーティング基材の厚さ及び他の寸法に応じて、コーティング基材は、反復プロセスを介して形成することができる。例えば、第1の付着物を形成し、第1の高温に第1の時間にわたってさらして、部分的に硬化した付着物を得ることができる。次いで、第2の付着物を、上述の部分的に硬化した付着物上に配置し、第2の高温に第2の時間にわたってさらして、第2の部分的に硬化した付着物を得ることができる。この部分的に硬化した付着物はまた、第2の高温に第2の時間にわたってさらされる間に更に硬化する。第3の付着物を、第2の部分的に硬化した付着物上に配置し、第3の高温に第3の時間にわたってさらして、第3の部分的に硬化した付着物を得ることができる。第2の部分的に硬化した付着物はまた、第2の高温に第2の時間にわたってさらされる間に更に硬化する。このプロセスを、コーティングされた物品を所望どおりに構築するために、例えば1~50回繰り返すことができる。部分的に硬化した層の複合体は、典型的には、最終後硬化、例えば、上記の高温及び時間に供される。各高温及び時間は独立して選択されてもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。物品が反復プロセスを介して形成されるとき、各付着物も、独立して選択されてもよく、組成物中で選択される成分及び/又はそれらの量が異なってもよい。あるいは、更に、各反復層は、このような反復プロセスにおいて部分的に硬化されるだけというよりも、完全に硬化され得る。
【0061】
付着物は、ウェットフィルムを含み、反復プロセスは、部分的に硬化した層の硬化状態に応じて、ウェットオンウェットであってもよい。あるいは、反復プロセスは、ウェットオンドライであってもよい。基材上にエマルジョンから形成されたフィルムを備えるコーティング基材は、フィルム及び基材の相対厚さを含む様々な寸法を有してもよい。硬化されると、得られたシリコーン剥離コーティングは、その最終使用用途に応じて変化し得る厚さを有する。典型的には、シリコーン剥離コーティングは、0超~1μm未満、あるいは0超~0.9μm、あるいは0超~0.75μm、あるいは0超~0.5μm、あるいは0超~0.25μm、あるいは0超~0.2μmまでの厚さを有する。しかしながら、他の厚さ、例えば、0.05μm~0.2μmも想到される。例えば、フィルムの厚さは、0.1μm~10μm、あるいは0.15μm~5μm、あるいは0.2μm~2μm、及びあるいは0.2μm~0.6μmであり得る。あるいは、基材がプラスチックの場合、フィルムは、0.05~1μm未満、あるいは0.05~0.9μm、あるいは0.05~0.8μmの厚さを有し得る。あるいは、基材が紙である場合、フィルムは、0.2~1μm未満、あるいは0.2~0.9μm、あるいは0.2~0.8μm、あるいは0.2μm~0.7μm、あるいは0.2μm~0.6μm、あるいは0.2μm~0.5μm、あるいは、0.2μm~0.3μmの厚さを有し得る。
【0062】
コーティング基材は、多様な最終用途に利用することができる。例えば、コーティングされた基材は、コーティング用途、包装用途、接着剤用途、繊維用途、布地又は織物用途、建築用途、輸送用途、デバイス製造などの(光)エレクトロニクス用途、電気用途、フォトニクス用途、及びベーカリー剥離などの食品接触用途において利用され得る。あるいは、基材が紙である場合、コーティングされた基材は、ベーカリー剥離などの食品接触用途において使用され得る。あるいは、基材がプラスチックである場合、コーティングされた基材は、デバイス製造などの(光)エレクトロニクス用途において使用され得る。
【実施例
【0063】
これらの例は、当業者に本発明を例示することを意図しており、請求項に記載されている発明を制限するものと解釈すべきではない。これらの例で使用した出発物質を以下の表1に記載する。
【表1】
【0064】
DOWSIL(商標)及びSYL-OFFの商標を有する出発物質は、DSC(Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)を意味する)から市販されている。
【0065】
参考例A-NMRにより測定したVi/ヘキセニル含量及びSiH含量
NMR分光法を用いて、表1中の出発物質のビニル含量、ヘキセニル含量及びSiH含量を、以下のように測定した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、ケイ素を含まない10mmのチューブ及びCDCl/Cr(AcAc)溶剤を使用して、NMR BRUKER AVIII(400MHz)上で得た。29Si-NMRスペクトルの化学シフトを、内部溶剤共鳴を基準とし、テトラメチルシランに対して報告する。
【0066】
参考例B-動的粘度(cSt)
表1中の出発物質の動粘度は以下のようにして測定した。動的粘度(DV)は、スピンドル2~4を備えたBrookfield Viscometer DV-I Primeを用いて、20~100rpmの速度及び25℃の温度で測定した。
【0067】
この参考例1において、ベースエマルジョンの試料を、以下の表に示されるような出発物質及びそれらの量を組み合わせることによって調製した。各出発原料の量は、重量%である。ベースエマルジョンの調製は、実験室で行った。水、クエン酸一水和物及び水酸化ナトリウムを含有するpH緩衝水を、最初に秤量し、ブレンドした。ポリマーを秤量し、別々にブレンドし、界面活性剤を混合しながら添加した。次いで、緩衝水を注ぎ、5分間撹拌した。次いで、High Pressure Sonolatorを100バールで使用して、目標粒径に達するまで、プレミックスを乳化した。回収した量をヒドロシリル化抑制剤及び殺生物剤パッケージとブレンドした。
【表2】

【表3】

【表4】
【0068】
この参考例2では、エマルジョン(浴/エマルジョン)の試料を、以下のように調製した。参考例1と同様にして調製したベースエマルジョンに、表1に示す触媒エマルジョン(C-1)又は(C-2)、水及び消泡剤を配合した。重量部での量を、表5に示す。
【表5】
【0069】
この参考例3では、ベーカリー紙基材を、0.32g/mの平均ケイ素コート重量を有する参考例2に記載のように調製したエマルジョンで、処理した。ケイ素コート重量、硬化後抽出物、吸水性、及び定着を以下のように評価した。
【0070】
試料の標準によるケイ素元素の較正後、Oxford lab-x3500 XRF Analyzerを使用してX線蛍光によりケイ素コート重量を測定した。ブランクの基材のXRF測定を、コーティングされた紙試料の3回の測定前に実施し、g/mで表される平均ケイ素コート重量又は厚さを得た。
【0071】
紙基材の耐水性は、例えばTAPPI 441 om-04試験法に記載されているコッブ試験として知られている従来の吸収試験によって試験した。試料を45秒間水に曝露し、合計60秒後に吸収された水の量を重量で測定した。「コッブ値」は、g/mで表される吸収された水の質量を表す。コッブ値が低いほど、基材の耐水性は高い。20g/m未満のCobb値が、いくつかの顧客によって所望され、15g/m未満のCobb値が、他の顧客によって所望された。
【0072】
定着試験は、摩耗試験後の基材上に定着しているシリコーン剥離コーティングの摩擦落ち耐性の定量を提供した。コーティングされた基材のケイ素含量は、摩耗試験機による摩擦落とし前後にXRFによって測定し、最初にコーティングされた100%と比較して、摩擦落とし後に残ったSiの%として表した。摩擦落とし後に残ったSi%が高いほど、定着又は耐摩耗性は高い。
【0073】
コーティングされた紙の%でのシリコーン抽出物を、MIBKへの(20分)浸漬の前対後のそのシリコーンCWによって測定した。溶剤は、未硬化シリコーンを溶解し、損失百分率を測定する。この試験は、紙をコーティングした直後、及び室温で24時間エージングした後に実施し、即時抽出性(「IM Ext」)及び硬化後抽出性(「PC Ext」)と呼ぶ。結果を、表6において報告する。
【表6】
【0074】
表6の結果は、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含有しない比較試料すなわち、1及び3が、ベーカリー紙用途に望まれるよりも不十分な定着性又はより高い吸水性を有する剥離コーティングを作製したことを示した。
【0075】
表3からの試料8を含有するエマルジョンで作製された剥離コーティングは、はるかに高い定着性(92.2対82.7%)を示し、したがって、表2からの試料1よりも良好な耐摩耗性を示した。理論に束縛されるものではないが、ビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(試料1)の代わりに、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(試料8)を使用した場合、より高い定着性(より高い耐摩耗性)が、ダスト形成を低減したと考えられる。吸水性、又はCobb値はまた、ビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンの代わりに、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンを使用した場合には、有意に低くなり(13.1対16.7g/m)、より高い耐水性は食品接触用途;例えば、食品からの蒸気の放出のため、及び冷凍食品のための耐水性のために、に有益である。
【0076】
表3からの試料10及び12は、それぞれ1%又は2%の非反応性トリメチルシロキシ末端ブロック化PDMSを含有し、試料3によって作製されたものと比較して類似の又は優れた定着性を有する剥離コーティングが作製され(90.6及び92.9対91.3%)、再び吸水性において著しい減少を伴った(13.8及び12.5対15.9g/m)。
【0077】
この参考例4では、ベーカリー紙を、0.44g/mの平均ケイ素コート重量を有する参考例2に記載のように調製したエマルジョンで処理した。結果として得られた試料は、上記の参考例3のように評価された。更に、空気バリア及びベーキング残渣を以下のように評価した。
【0078】
異なる紙基材の空気透過性を、L&W空気透過係数試験機を用いて、試料を通る空気流及び2つの側面にわたる圧力差を感知することによって測定した。「空気の通過に対する紙の抵抗(高圧ガーレー法)」のための標準試験法SCAN-P 26:78又はTAPPI 536 om-12を適用した。空気透過性は、ガーレー秒又はガーレー単位で表した。ガーレー時間が長いほど、紙試料の空気透過性が低く、空気バリアが良好である。
【0079】
ベーカリー剥離又はベーキング試験では、オーブンでベーキングし、そして剥離した後に、基材上に残された食品の量を測定した。コーティングされた紙試料を、型の中に折り重ね、重量を測定した。4個の卵、80gの砂糖、80及び85gのジャガイモ及び小麦粉それぞれを含有するケーキ生地、並びに5.5gのベーキングパウダーを、ユニバーサルキッチン機で室温で加工し、オーブンでベーキングする前に型に定置した。完成した焼き製品を冷却した。次いで、試験するコーティングされた紙を、焼き製品から取り出し、まだ紙に付着している焼き製品の量を秤量し、g/mで換算した。ベーカリー剥離値は低いほど良好である。結果を、表7において報告する。
【表7】
【0080】
表7の結果は、表2からの試料1を用いて作製された剥離コーティングが、81.9%の低い定着率及び833の低い空気バリアによって証明されるように、低い耐摩耗性の欠点を被ったことを示す。ベースエマルジョン中のビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンよりもヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンの含量を増加させることによって、表3の試料15~18で調製した剥離コーティングによって示されるように、耐摩耗性(定着性)が増加した。理論に束縛されるものではないが、試験した条件下では、試料18においてヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンのビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンに対する比が、達成されたときに、定着性の最大値が達成され、これは、試料19及び20においてヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンの量を、それぞれ90%又は100%に増加させても(ビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンを10%又は0に減少させても)、定着性が有意に変化しなかったからであると考えられる。表7のデータは更に、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンの量が、75%~100%に増加するにつれて、空気バリア特性が改善(増加)したが、ベーキング残渣特性が悪影響を受けた(増加)ことを示す。しかしながら、試料15~20は、ベーカリー紙を調製するために使用するのに適したコート紙を製造した。
【0081】
この参考例5では、ベーカリー紙を、0.45 g/mの平均ケイ素コート重量を有する参考例2に記載のように調製したエマルジョンで処理した。結果として得られた試料は、上記の参考例3のように評価された。結果を以下の表8に示す。
【表8】
【0082】
ビニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサン及びヘキセニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンの相対量を変化させて評価し、結果を上の表8に示す。両方のポリオルガノシロキサンの組み合わせは、劇的に硬化を改善し
(ベースエマルジョン中にビニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンのみを使用した場合、18.9から、ヘキセニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンのビニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンに対する90:10の比を使用した場合の、9.5まで、硬化後抽出物%の低下によって示されるように)、85.9から90.4まで定着性を改善し、13.2から12.4まで吸水性を正に減少させた。これらの実施例は、10%のヘキセニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンのみが、紙基材上の剥離コーティング組成物中に配合されたベースエマルジョン中で使用された場合、得られた剥離コーティングは、食品接触用途のための所望の吸水性を有さないことを示した。驚くべきことに、90%のヘキセニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンと10%のビニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとの組み合わせを使用した場合に、本明細書で試験した条件下で最良の性能が得られたが、これは、この試料(13)が、試験した試料(100%のビニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンを使用した試料2(ヘキセニルなし)及び100%のヘキセニルジメチルシロキシ終端ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンを使用した試料14(ビニルなし)を含む)の中で、最も低い吸水性及び最も高い定着性を有する剥離コーティングを生成したためである。
【0083】
この参考例6では、PETフィルム基材を、0.2g/mの平均ケイ素コート重量を有する参考例2に記載のように調製したエマルジョンで処理した。ビニル官能性ポリオルガノシロキサンとヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせを、ベースエマルジョンに使用した。結果として得られた試料は、上記の参考例3のように評価された。結果を以下の表9に示す。
【表9】
【0084】
ビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(5及び6)を含有するエマルジョンから調製された剥離コーティングは、高い抽出物(10%超)及びPETフィルムへの劣った(低い)定着性(したがって劣った耐摩耗性)を示した。1%のトリメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンを含む試料6は、トリメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンを含まない試料5よりも、更に悪い定着性及び抽出物を有した。試料7は、試料5及び6と比較して、抽出物が減少したが、試料7の抽出物は、依然として所望よりも高く(>5%)、41.9%の定着性は、依然として非常に低かった。理論に束縛されるものではないが、非反応性オルガノポリシロキサンの存在(試料6中の1%のトリメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンなど)は、たとえ少量(例えば、1%~2%)でも非反応性オルガノポリシロキサンを含有するエマルジョンから調製された剥離コーティング中の抽出物に、悪影響を及ぼす(増加させる)と考えられる。したがって、本明細書に記載のエマルジョンは、非反応性オルガノポリシロキサン(例えば、表1に記載のトリメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン)を含まない。
【0085】
試料21及び22(ヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサン及びビニルジメチルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンの組み合わせを含む)から調製された剥離コーティングは、表9において試験された試料の中で、最も少ない抽出物を有し、結果として最も高い耐摩耗性を有した。理論に束縛されるものではないが、抽出物の減少は、ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサンの添加によるものである、と考えられる。
【0086】
この参考例7では、ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンと異なる比率でブレンドされたポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンの使用に焦点を当てた異なるコーティング条件(0.2g/mの平均コート重量)下で参考例6の研究を繰り返した。
【0087】
以下の表10は、試料7(ビニルジメチルシロキシ末端ブロック化ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンを含有し、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含有しない)から作製された剥離コーティングが、試験した条件下で、最も低い定着性(最も低い耐摩耗性)を有したことを再び示す。ベースエマルジョン中のヘキセニルジメチルシロキシ末端ブロックポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンの量が増加するにつれて、定着性が増加した。ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサン:ポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンの比が50:50で、定着性が2倍以上であり、その比を超えると横ばい状態になった。
【表10】
【0088】
表10において、性能の最適値は、ベースエマルジョン中のポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサン:ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンの比が、50:50のときに見出された。理論に束縛されるものではないが、これは更に、ベースエマルジョン中にヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサン及びビニル官能性ポリオルガノシロキサンの両方を含むことが、硬化の伸び(抽出物の低減)及び定着性の向上(耐摩耗性の向上)のうちの1つ以上に対する利益を有するPETフィルム基材上の剥離コーティングをもたらすことを実証する。
【0089】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のエマルジョン中でヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサン、特にポリ(ジメチル/メチルヘキセニル)シロキサンとビニル官能性ポリオルガノシロキサンとを組み合わせることは、特にPETなどのプラスチックフィルム基材上で、(ビニル官能性ポリオルガノシロキサンを含有するが、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含有しない同等の剥離コーティングエマルジョンよりも)1つ以上の利益を提供し得ると、更に考えられる。例えば、硬化速度が改善され、抽出物が5倍まで減少し、定着性が2倍まで増加すると考えられる。
【0090】
産業上の利用可能性
解決しようとする課題:食品接触用途のための紙基材をコーティングし、それによって離型性能及び耐水性を有する紙基材、例えば、ベーカリー紙を提供するためのシリコーンエマルジョンの使用は、同じ用途のためのフッ素化材料及びクロム含有材料に関連する健康上の懸念に対する魅力的な代替案として、望ましい。しかしながら、ダスト形成のような抄紙機インライン運転性の問題は、シリコーンエマルジョンの使用にとって、主要な困難性を有していた。
【0091】
更に、他の基材(例えば、プラスチックフィルム)をコーティングするためのシリコーンエマルジョンの使用はまた、多くの用途(ラベル、一般的なテープ、並びに日焼け止めフィルム及び防水テープのためのライナーが挙げられるが、これらに限定されない)にとって望ましい。更に、プラスチックフィルム基材上に剥離コーティングを有する剥離ライナーはまた、平滑な表面を有し、ダストが最小限であるか又は全くない剥離コーティングが所望される(光)エレクトロニクス産業において使用されている。安定性があり、硬化させて高いSAS(後続接着強度)及び低く安定した剥離力を有する剥離コーティングを形成することができるシリコーンエマルジョンが、業界で必要とされている。
【0092】
溶液:本明細書に記載されるシリコーンエマルジョンは、紙基材及びプラスチックフィルム基材の両方を含む様々な基材上に剥離コーティングを調製するために、使用され得るという点で多用途である。本明細書に記載のシリコーンエマルジョンは、食品接触用途に適した紙基材上の剥離コーティングを調製するために、使用され得る。シリコーンエマルジョンを紙基材に塗布し、硬化させて、ダスト形成がないか又は最小限である剥離コーティングをその上に形成することができる(上記の実施例に示されるように、上記の定着試験方法は、試験後に基材上に高い割合のシリコーン剥離コーティングが残っていることを示す。
【0093】
更に、本明細書に記載のシリコーン剥離コーティングエマルジョンは、以前に開示された無溶剤硬化性シリコーン組成物よりも低い粘度を有する。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のエマルジョンは、無溶剤プロセスに使用される同じコーティング速度で、エマルジョンを基材に塗布するプロセス中にミストが観察されることなく、調製されるシリコーン剥離コーティングの厚さのより良好な制御、及びより低い範囲の厚さを可能にすると考えられる。これは、環境、健康、及び安全性の利益、より低い製造コストにおける経済的利益、並びにコーティング品質の利益(ミストを排除することが表面欠陥を低減又は排除するという点で)を提供することができる。更に、紙基材上に達成されたシリコーン剥離コーティングの薄層は、より少ないシリコーン剥離コーティングが基材の表面上に付着されるので、コーティングされた紙を堆肥化/リサイクルのために、より有利にすることができる。更に、本明細書に記載されるエマルジョンは、より厚い無溶剤コーティングで達成可能なものよりも、より薄いコーティング、より速い硬化、及びより深い部分の硬化に起因して、無溶剤硬化性シリコーン組成物を超える追加の技術的利点を有するシリコーン剥離コーティングを作製し得る。更に、本明細書に記載されるエマルジョンは、他の利点(無溶剤硬化性シリコーン組成物を用いて製造されるコーティングと比較して)、例えば、より少ない抽出物を有するシリコーン剥離コーティングを製造することができ、それによって、汚染され得る食品又は敏感な(光)電子部品への移行を最小限に抑え、90%を超える定着性/耐摩耗性、低/無ミスト、より低いダスト形成、及び/又はより低いコストを有する。更に、本明細書に記載されるエマルジョンは、より低いコーティング重量を有する滑らかなシリコーン剥離コーティング表面を生成し、これはブロッキング問題のリスクを最小限に抑えることができる。これは、例えば、オーブンベーキング又は電子レンジ加熱中のベーカリー紙が、適切な調理のために蒸気を逃がすための薄い/通気性の基材を有するためにも、また、多層セラミックコンデンサ(MLCC)及び偏光子フィルム用途が高品質コーティングを有するためにも、重要である。本明細書に記載されるエマルジョンはまた、無溶剤粘性硬化性シリコーン組成物に容易に溶解又は分散しない、帯電防止添加剤などの親水性添加剤、又はアルコキシオルガノシランなどの定着添加剤を添加することを、可能にし得る。
【0094】
用語の定義及び使用
この出願において、全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。エマルジョン又は組成物中の全ての出発物質の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句は Manual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表11における定義を有する。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。更に、例えば、15~400の範囲の開示は、15~137、138~265、及び266~400のサブセット、並びにその範囲に包含される任意の他のサブセットを含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群(i)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、(ii)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、(iii)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、(iv)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、(v)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ-ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、(vi)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ-ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、(vii)それらの2つ以上の組み合わせの開示は、メンバー(iii)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン);サブグループ(iii)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)及び(iv)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、並びにその中に包含される任意の他の個々のメンバー及びサブグループを、個別に含む。
【0095】
本出願において使用される以下の略語は、以下の表11に記載される定義を有する。
【表11】
【0096】
本発明の実施形態
最初の実施形態では、シリコーン剥離コーティングエマルジョンは、
(A)100重量部の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物であって、
(A1)25重量部~100重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがヘキセニル基であり、添字aが0~4であり、添字bが0~4であり、添字cが0~400であり、添字dが0~50であり、添字eが0又は1であり、但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、(a+b+c+d)が15~400である、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(A2)0~75重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のビニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字iが0~4であり;添字fが0~4であり;添字gが0~1400であり;添字hが0~200であり、添字jが0又は1であり;但し、(i+f)=2~4、(f+h)≧2、かつ(i+f+g+h)=15~1400である、ビニル官能性ポリオルガノシロキサンと、を含む、脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物と、
(B)出発物質(A)中のビニル基及びヘキセニル基の合計量に対する出発物質(B)中のケイ素結合水素原子のモル比(すなわち、SiH/Vi比)が、1.2/1~3.0/1となるのに十分な量のポリオルガノハイドロゲンシロキサンと、
(C)出発物質(A)及び(B)の合計量に基づいて、10~1000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)出発物質(A)100重量部当たり0.02重量部~0.8重量部のヒドロシリル化反応抑制剤と、
(E)水と、
(F)出発物質(A)100重量部当たり0.4重量部~1.6重量部の緩衝液と、
(G)出発物質(A)100重量部当たり0~3.0重量部の界面活性剤と、
(H)出発物質(A)100重量部当たり0~10重量部のポリビニルアルコールと、を含み、
但し、出発物質(G)及び出発物質(H)の合計量は、出発物質(A)100重量部当たり0.1重量部以上であり、
但し、エマルジョンは、脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まず、非反応性オルガノポリシロキサンを含まない。
【0097】
第2の実施形態では、第1の実施形態のエマルジョンにおいて、出発物質(A1)は、25重量部~100重量部未満の量で存在し、出発物質(A2)は、0超~75重量部の量で存在する。
【0098】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のエマルジョンにおいて、(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサンは、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有し、添字wが0、1、又は2であり;添字xが0、1、又は2であり;添字yが0~250であり、かつ添字zが1~250であり;但し、(w+x)=2;(x+z)≧3;かつ量(w+x+y+z)が10~300である。
【0099】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(B)ポリオルガノヒドロゲンシロキサンは、(i)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキサン終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヒドロゲンシロキサン)、
(ii)α,ω-ジメチルハイドロゲンシロキシ-終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、
(iii)α,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、
(iv)トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、及び
(v)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン)、
(vi)α-ジメチルハイドロゲンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリメチルハイドロゲンシロキサン、及び
(vii)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0100】
第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(B)ポリオルガノハイドロゲンシロキサンは、1.4/1~2.5/1のSiH/Vi比を提供するのに十分な量で存在する。
【0101】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、ヒドロシリル化反応触媒は、(C-I)放射線活性化可能触媒、(C-II)照射以外の手段によって活性化可能なヒドロシリル化触媒、並びに(C-III)(C-I)及び(C-II)の両方の組み合わせからなる群から選択される。
【0102】
第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(C)ヒドロシリル化反応触媒は、(C1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムからなる群から選択される金属;(C2)金属の化合物;(C3)金属又は化合物の錯体;及び(C4)樹脂マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された化合物又は錯体からなる群から選択される。
【0103】
第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(D)ヒドロシリル化反応抑制剤が、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D3)エン-イン化合物、(D4)トリアゾール、(D5)ホスフィン、(D6)メルカプタン、(D7)ヒドラジン、(D8)アミン、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D11)エーテル、(D12)一酸化炭素、及び(D13)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0104】
第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(D)ヒドロシリル化反応抑制剤は、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D13)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0105】
第10の実施形態では、第1第9の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(F)緩衝系は、一塩基酸又は多塩基酸及びその共役塩基を含む。
【0106】
第11の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(G)界面活性剤が存在し、非イオン性界面活性剤を含む。
【0107】
第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、(H)ポリビニルアルコールが存在する。
【0108】
第13の実施形態では、第1~第12の実施形態のいずれか1つのエマルジョンは、出発物質(A)100重量部当たり1.0重量部までの殺生物剤の出発物質(I)を、更に含む。
【0109】
第14の実施形態において、第1~第13の実施形態のいずれか1つに記載のエマルジョンは、出発物質(A)100重量部当たり0.2重量部までの消泡剤の出発物質(J)を、更に含む。
【0110】
第15の実施形態では、先行実施形態のいずれか1つのエマルジョンにおいて、
出発物質(A1)ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、式中、添字aが0、1又は2であり;添字bが0、1、又は2であり;添字cが0超~400であり、かつ添字dが0~50であり;但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、かつ(a+b+c+d)=15~400であり;かつ
出発物質(A2)ビニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、添字iが0、1、又は2であり;添字fが0、1、又は2であり;添字gが0~1200であり、添字hが0~200であり;但し、(i+f)=2、(f+h)≧2、(i+f+g+h)が15~1200である。
【0111】
第16の実施形態では、第15の実施形態のエマルジョンにおいて、
出発物質(A1)が、50重量部~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字cが15~400であり;
出発物質(A2)が、0超~50重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字gが15~1200である。
【0112】
第17の実施形態では、第15の実施形態のエマルジョンにおいて、
出発物質(A1)が、50重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~50重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である。
【0113】
第18の実施形態では、プロセスは、以下:
第16の実施形態又は第17の実施形態のエマルジョンを、基材の表面に塗布することと、
乾燥及び硬化させ、それによってコーティングされた基材を形成することと、を含む。
【0114】
第19の実施形態では、第18の実施形態のプロセスにおいて、基材は、紙である。
【0115】
第20の実施形態では、第15の実施形態のエマルジョンにおいて、
出発物質(A1)は、25重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~75重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である。
【0116】
第21の実施形態では、第15の実施形態のエマルジョンにおいて、
出発物質(A1)は、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり;かつ
出発物質(A2)は、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニルジアルキルシロキシ末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字gが15~1200である。
【0117】
第22の実施形態では、プロセスは、以下:
第20の実施形態又は第21第17の実施形態のエマルジョンを、基材の表面に塗布することと、
乾燥及び硬化させ、それによってコーティングされた基材を形成することと、を含む。
【0118】
第23では、第22の実施形態のプロセスにおいて、基材は、プラスチックである。
【0119】
第24の実施形態では、先行実施形態のいずれか1つのエマルジョン又はプロセスにおいて、各Rは、メチルである。
【0120】
第25の実施形態では、シリコーン剥離コーティングエマルジョンは、
(A)100重量部の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物であって、
(A1)25重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがヘキセニル基であり、添字aが0~4であり、添字bが0~4であり、添字cが0~400であり、添字dが0~50であり、添字eが0又は1であり、但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、(a+b+c+d)が15~400である、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(A2)0超~50重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のビニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字iが0~4であり;添字fが0~4であり;添字gが0~1400であり;添字hが0~200であり、添字jが0又は1であり;但し、(i+f)=2~4、(f+h)≧2、かつ(i+f+g+h)=15~1400である、ビニル官能性ポリオルガノシロキサンと、を含む、脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物と、
(B)出発物質(A)中のビニル基及びヘキセニル基の合計量に対する出発物質(B)中のケイ素結合水素原子のモル比(すなわち、SiH/Vi比)が、1.2/1~3.0/1となるのに十分な量のポリオルガノハイドロゲンシロキサンと、
(C)出発物質(A)及び(B)の合計量に基づいて、10~1000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)出発物質(A)100重量部当たり0.02重量部~0.8重量部のヒドロシリル化反応抑制剤と、
(E)水と、
(F)出発物質(A)100重量部当たり0.4重量部~1.6重量部の緩衝液と、
(G)出発物質(A)100重量部当たり0~3.0重量部の界面活性剤と、
(H)出発物質(A)100重量部当たり0~10重量部のポリビニルアルコールと、を含み、
但し、出発物質(G)及び出発物質(H)の合計量は、出発物質(A)100重量部当たり0.1重量部以上であり、
但し、エマルジョンは、脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まず、非反応性オルガノポリシロキサンを含まない。
【0121】
第26の実施形態では、第25の実施形態のエマルジョンにおいて、出発物質(A1)は、75重量部~90重量部の量で存在し、出発物質(A2)は、10重量部~25重量部の量で存在する。
【0122】
第27の実施形態では、第25の実施形態のエマルジョンにおいて、出発物質(A1)は、50重量部超~100重量部未満の量で存在し、出発物質(A2)は、0超~50重量部未満の量で存在する。
【0123】
第28の実施形態では、第25の実施形態のエマルジョンにおいて、出発物質(A1)は、33重量部~90重量部の量で存在し、出発物質(A2)は、10重量部~67重量部の量で存在する。
【0124】
第29の実施形態では、第19の実施形態の方法において、本方法は、基材上に0.2~1μm未満の厚さを有するシリコーン剥離コーティングを作製する。
【0125】
第30の実施形態では、第29の実施形態のプロセスにおいて、本プロセスは、基材上に0.2~0.6μmの厚さを有するシリコーン剥離コーティングを作製する。
【0126】
第31の実施形態では、第23の実施形態のプロセスにおいて、本プロセスは、基材上に0.05~1μm未満の厚さを有するシリコーン剥離コーティングを作製する。
基材上に0.2~0.6μmの厚さを有する剥離コーティング。
【0127】
第32の実施形態では、第31の実施形態の方法において、本方法は、基材上に0.05~0.6μmの厚さを有するシリコーン剥離コーティングを作製する。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン剥離コーティングエマルジョンであって、
(A)100重量部の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物であって
(A1)25重量部~100重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2のヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、Rがアルキル基であり、Rがヘキセニル基であり、添字aが0~4であり、添字bが0~4であり、添字cが0~400であり、添字dが0~50であり、添字eが0又は1であり、但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、(a+b+c+d)が15~400である、ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンを含む、脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン組成物と、
(B)出発物質(A)中のビニル基及びヘキセニル基の合計量に対する出発物質(B)中のケイ素結合水素原子のモル比(すなわち、SiH/Vi比)が、1.2/1~3.0/1となるのに十分な量のポリオルガノハイドロゲンシロキサンと、
(C)出発物質(A)及び(B)の合計量に基づいて、10~1000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)出発物質(A)100重量部当たり0.02重量部~0.8重量部のヒドロシリル化反応抑制剤と、
(E)水と、
(F)出発物質(A)100重量部当たり0.4重量部~1.6重量部の緩衝液と、を含み、
但し、前記エマルジョンが、脂肪族ポリエーテル、(コ)ポリアクリルアミド、多糖類、及びポリアクリレートから選択される安定剤を含まず、非反応性オルガノポリシロキサンを含まない、シリコーン剥離コーティングエマルジョン。
【請求項2】
(B)前記ポリオルガノハイドロゲンシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有し、式中、添字wが0、1、又は2であり;添字xが0、1、又は2であり;添字yが0~250であり、かつ添字zが1~250であり;但し、(w+x)=2;(x+z)≧3;かつ量(w+x+y+z)が10~300である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
(C)前記ヒドロシリル化反応触媒が、(C1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムからなる群から選択される金属;(C2)前記金属の化合物;(C3)前記金属又は前記化合物の錯体;及び(C4)樹脂マトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された前記化合物又は前記錯体からなる群から選択される、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項4】
(D)前記ヒドロシリル化反応抑制剤が、(D1)アセチレン系アルコール、(D2)シリル化アセチレン系アルコール、(D3)エン-イン化合物、(D4)トリアゾール、(D5)ホスフィン、(D6)メルカプタン、(D7)ヒドラジン、(D8)アミン、(D9)フマル酸塩、(D10)マレイン酸塩、(D11)エーテル、(D12)一酸化炭素、及び(D13)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項5】
出発物質(F)が、一又は多塩基酸及びその共役塩基を含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記エマルジョンが、出発物質(G)界面活性剤を更に含み、前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項7】
前記エマルジョンが、出発物質(H)ポリビニルアルコールを更に含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項8】
(I)出発物質(A)100重量部当たり1.0重量部までの殺生物剤、(J)出発物質(A)100重量部当たり0.2重量部までの消泡剤、又は(I)及び(J)の両方からなる群から選択される出発物質を更に含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項9】
出発物質(A1)前記ヘキセニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、式中、添字aは0、1又は2であり;添字bが0、1又は2であり;添字cが0~400であり;かつ添字dが0~50であり;但し、(a+b)=2~4、(b+d)≧2、かつ(a+b+c+d)が15~400であり;かつ
出発物質(A2)ビニル官能性ポリオルガノシロキサンが、75重量部までの量で存在し、前記ビニル官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、添字iが0、1、又は2であり;添字fが0、1、又は2であり;添字gは0~1200であり、添字hが0~200であり;但し、(i+f)=2、(f+h)≧2、(i+f+g+h)が15~1200である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項10】
出発物質(A1)が、50重量部~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のヘキセニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字cが15~400であり;
出発物質(A2)が、0超~50重量部の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、添字gが15~1200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項11】
出発物質(A1)が、50重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~50重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項12】
紙基材上での請求項10又は11に記載のエマルジョンの使用。
【請求項13】
出発物質(A1)が、25重量部超~100重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり、かつ
出発物質(A2)が、0超~75重量部未満の、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルビニル)シロキサンであり、式中、添字gが0~1200であり;添字hが2~200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項14】
出発物質(A1)が、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2のポリ(ジアルキル/アルキルヘキセニル)シロキサンであり、式中、添字cが0~400であり、添字dが2~50であり;かつ
出発物質(A2)が、単位式(R SiO1/2(R SiO2/2のビニルジアルキルシロキシ末端ブロックポリジアルキルシロキサンであり、式中、Rがアルキル基であり、Rがビニル基であり、添字gが15~1200である、請求項9に記載のエマルジョン。
【請求項15】
プラスチック基材上での請求項13又は14に記載のエマルジョンの使用。
【国際調査報告】