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▶ リール・プレシジョン・マニュファクチュアリング・コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】平行軸摩擦抗力ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 63/00 20060101AFI20240219BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
F16D63/00 Z
F16H25/20 Z
F16D63/00 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550200
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 US2022017378
(87)【国際公開番号】W WO2022178451
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,885
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523173313
【氏名又は名称】リール・プレシジョン・マニュファクチュアリング・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】REELL PRECISION MANUFACTURING CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】トリーボールド,アラン
【テーマコード(参考)】
3J058
3J062
【Fターム(参考)】
3J058AB28
3J058BA17
3J058BA23
3J058CC06
3J058CC73
3J058CD24
3J058FA01
3J062AA02
3J062AB21
3J062AC07
3J062CD02
3J062CD22
(57)【要約】
本開示の一態様は、回転可能な駆動シャフトと、駆動シャフトと係合し、回転可能な駆動シャフトに抗力を与えるように構成された平行軸摩擦ブレーキとを備えるアクチュエータシステムに関する。平行軸摩擦ブレーキには、ブレーキハウジングと摩擦アセンブリとを更に備え、摩擦アセンブリは、少なくとも1つの平行軸シャフトと、少なくとも1つの平行シャフト上に締り嵌めで押し付けられた少なくとも1つのクリップとを有する。摩擦アセンブリは駆動シャフトと係合し、且つブレーキハウジングに結合され、摩擦アセンブリの少なくとも一部が回転可能な駆動シャフトとともに回転して抗力を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジング内に少なくとも部分的に含まれる回転可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトと係合し、回転可能な前記駆動シャフトに抗力を与えるように構成された平行軸摩擦ブレーキと、
を備え、
前記平行軸摩擦ブレーキは、
前記アクチュエータハウジングに結合されたブレーキハウジングと、摩擦アセンブリと、を更に備え、
前記摩擦アセンブリは、
回転可能な前記駆動シャフトに平行な少なくとも1つの平行シャフトと、
少なくとも1つの前記平行シャフト上に締り嵌めで押し付けられた少なくとも1つのクリップと、
を有し、
前記摩擦アセンブリは、前記駆動シャフトと回転可能に係合して前記抗力を生成し、前記ブレーキハウジングと回転可能な前記駆動シャフトとの間に結合される、
アクチュエータシステム。
【請求項2】
前記摩擦アセンブリは潤滑剤を更に含む、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項3】
モータを更に備え、回転可能な前記駆動シャフトは前記モータによって駆動される、
請求項1又は2に記載のアクチュエータシステム。
【請求項4】
回転可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトと係合し、回転可能な前記駆動シャフトに抗力を与えるように構成された平行軸摩擦ブレーキと、
を備え、
前記平行軸摩擦ブレーキは、ブレーキハウジングと、摩擦アセンブリと、を更に備え、
前記摩擦アセンブリは、
少なくとも1つの平行軸シャフトと、
少なくとも1つの前記平行軸シャフト上に締り嵌めで押し付けられた少なくとも1つのクリップと、
を有し、
前記摩擦アセンブリは、前記駆動シャフトと係合し、且つ前記ブレーキハウジングに結合され、前記摩擦アセンブリの少なくとも一部が回転可能な前記駆動シャフトとともに回転して前記抗力を生成する、
アクチュエータシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータシステムは、固定の第1構成要素と可動な第2構成要素との間に配置されるように車両に結合され、
回転可能な前記駆動シャフトは、親ねじスピンドル駆動リニアアクチュエータと直接駆動ロータリーアクチュエータとのいずれか1つに結合され、
前記親ねじスピンドル駆動リニアアクチュエータと前記直接駆動ロータリーアクチュエータとは、前記可動な第2の構成要素に固定されて、
前記可動な第2の構成要素は、前記親ねじスピンドル駆動又は前記直接駆動によって動かされる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項6】
前記平行軸摩擦ブレーキが一方向装置を更に備えることで、
前記平行軸摩擦ブレーキは、
回転可能な前記駆動シャフトの一方向の回転において係合し、回転可能な前記駆動シャフトの反対方向の回転において係合が解除される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項7】
モータとクラッチとを更に備えることで、
前記モータが回転可能な前記駆動シャフトを駆動しているときに、前記平行軸摩擦ブレーキの係合が解除され、出力がパワーアクチュエータシステムに係合するときに、前記平行軸摩擦ブレーキが係合し、
又は、
前記モータが回転可能な前記駆動シャフトを駆動しているときに、前記平行軸摩擦ブレーキが係合し、出力がパワーアクチュエータシステムに係合するときに、前記平行軸摩擦ブレーキの係合が解除される、
請求項1から6のいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項8】
前記摩擦アセンブリは、回転可能な前記駆動シャフトの外径よりも小さい外径を有するギア歯を有する部分を更に含み、
前記ギア歯が回転可能な前記駆動シャフトと係合し、前記摩擦アセンブリが回転可能な前記駆動シャフトよりも速く回転する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項9】
前記摩擦アセンブリには、独立したスプリング又は磁気アクチュエータが設けられていないことを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項10】
回転可能な駆動シャフトに結合された平行軸摩擦ブレーキであって、
ブレーキハウジングと、摩擦アセンブリと、
を備え、
前記摩擦アセンブリは、
回転可能な前記駆動シャフトに平行な少なくとも1つの平行シャフトと、
少なくとも1つの前記平行シャフト上に締り嵌めで押し付けられた少なくとも1つの摩擦要素と、
を備え、
前記摩擦アセンブリは、前記駆動シャフトと係合し、前記ブレーキハウジングと回転可能な前記駆動シャフトとの間に結合され
少なくとも1つの前記摩擦要素と少なくとも1つの前記平行シャフトとのうちの少なくとも1つは、回転可能な前記駆動シャフトの回転とともに回転して抗力を生成する、
平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項11】
回転可能な前記駆動シャフトは、親ねじスピンドル駆動と直接駆動とのいずれか1つに結合され、
前記親ねじスピンドル駆動と前記直接駆動とは、前記親ねじスピンドル駆動又は前記直接駆動によって動かす負荷に固定されている、
請求項10に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項12】
前記平行軸摩擦ブレーキが一方向装置を更に備えることで、
前記平行軸摩擦ブレーキは、
回転可能な前記駆動シャフトの一方向の回転において係合し、回転可能な前記駆動シャフトの反対方向の回転において係合が解除される、
請求項10又は11に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項13】
モータとクラッチとを更に備えることで、
前記モータが回転可能な前記駆動シャフトを駆動しているときに、前記平行軸摩擦ブレーキの係合が解除され、出力がパワーアクチュエータシステムに係合するときに、前記平行軸摩擦ブレーキが係合する、
請求項10から12のいずれか1項に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項14】
前記摩擦アセンブリは、回転可能な前記駆動シャフトの外径よりも小さい外径を有するギア歯を有する部分を更に含み、
前記ギア歯が回転可能な前記駆動シャフトと係合し、前記摩擦アセンブリが回転可能な前記駆動シャフトよりも速く回転する、
請求項10から13のいずれか1項に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項15】
前記摩擦アセンブリには、独立したスプリング又は磁気アクチュエータが設けられていないことを特徴とする、
請求項10から14のいずれか1項に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項16】
前記摩擦アセンブリは潤滑剤を更に含む、
請求項1に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【請求項17】
モータを更に備え、回転可能な前記駆動シャフトは前記モータによって駆動される、
請求項10から16のいずれか1項に記載の平行軸摩擦ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの機械システムでは、抗力(drag)を付加することが望ましいか、又は必要とされている。一般的な用途の1つは、テールゲート、ドア、又はリアハッチの開閉を電気モータで駆動する自動車用閉鎖駆動システム(closure drive systems)である。手動使用中に、ハッチ又はゲートの潜在的な相殺によって打ち消すことができない変動(斜面での駐車、積雪の荷重、及びその他の付加荷重)を補うために、抗力を追加する必要がある。しかしながら、これらのドア/ゲートを動力で動かす際には、モータが駆動しなければならない抗力を最小限に抑えることが望ましい。効率を維持するために、システムに加えられる抗力を正確に制御する必要がある。この正確な抗力トルクは、使用中の温度及び速度の全範囲を含むアクチュエータの寿命にわたって維持される必要がある。更に、これらの自動車用閉鎖用途はスティックスリップ(stick-slip)に対して非常に敏感である。スティックスリップが発生すると、ゲートを手動で動かすときに、ユーザが非常に不安定で不快を感じる。多くの用途では、直径及び許容される長さにも制限があり、これにより、ブレーキのオプションが更に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
当技術分野では、抗力を生成するいくつかの方法、例えば、摩擦ディスク、ラップスプリング、磁気ヒステリシス(magnetic hysteresis)などが知られている。これらのいくつかは、スティックスリップの問題、寿命に伴う摩耗とトルクの劣化、トルクの温度依存性、及び低トルク密度の課題を抱えている。異なる素材、例えば、カーボンファイバー要素を追加する解決策を講じる例もあるが、しかし、構成要素を追加することでコストがかさみ、デザインも複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者は抗力ブレーキ用の摩擦クリップ装置も研究したが、通常の用途ではスティックスリップを避けることができなかった。摩擦クリップ装置は設置面積が小さく、比較的シンプルであるため、電気機械式アクチュエータ内に抗力ブレーキを生成する魅力的な方法である。しかしながら、スティックスリップの問題を解決する必要があり、更なる発明が必要である。
【0004】
添付の図面は、実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は実施形態を示し、詳細な説明とともに実施形態の原理を説明するのに役立つ。他の実施形態及び実施形態の意図された利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解され、容易に認識されるであろう。図面に示す要素は、互いの縮尺が必ずしも一致しているわけではない。同様の参照番号は、対応する同様の部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態によるパワーアクチュエータシステムを示す図
図2】一実施形態による摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステム10を示す図
図3A】一実施形態による摩擦ブレーキを示す図
図3B】一実施形態による摩擦ブレーキを示す図
図4】生成されるトルクを摩擦ブレーキの角度の関数として示すグラフ
図5A】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステムを示す図
図5B】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステムを示す図
図6】一実施形態による、いくつかの部分が除かれたパワーアクチュエータシステムを示す部分図
図7】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを示す斜視図
図8】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを示す断面図
図9】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを示す分解図
図10】一実施形態による生成されるトルクを平行軸摩擦ブレーキの角度の関数として示すグラフ
図11】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを示す図
図12】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを示す断面図
図13】一実施形態によるローラクラッチベアリングを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す斜視図
図14A】一実施形態によるローラクラッチベアリングを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す分解図
図14B】一実施形態によるローラクラッチベアリングを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す分解図
図15】一実施形態によるローラクラッチベアリングを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す断面図
図16】一実施形態による逆進防止クラッチを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す斜視図
図17】一実施形態による後退防止クラッチを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す分解図
図18】一実施形態による後退防止クラッチを備えた平行軸摩擦ブレーキを示す断面図
図19】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステムを示す図
図20】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステムを示す図
図21】一実施形態による平行軸摩擦ブレーキを組み込んだパワーアクチュエータシステムを示す図
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。添付図面には、本発明を実施できる具体的な実施形態が例示として示されている。詳細な説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「先頭」、「末尾」などの方向に関する用語は、説明されている図の向きを参照して使用される。実施形態の構成要素は多くの異なる方向に配置できる。そのため、方向に関する用語は説明の目的で使用されており、決して限定するものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的又は論理的な変更を加えることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0007】
特に別途に明記しない限り、本明細書に記載の様々な例示的な実施形態の特徴は互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0008】
図1は、一実施形態によるパワーアクチュエータシステム10を示す。一実施形態では、パワーアクチュエータシステム10は、車両又は自動車9におけるテールゲート8の開閉を駆動する自動車閉鎖駆動システムである。このような構成では、例えば、車両が坂道に駐車しているとき、又は、積雪の荷重がゲート8にかかっているときなどの状況において、ゲート8の潜在的な釣り合いでは打ち消すことができない変動を補うために、追加の抗力を提供することに有利である。ゲート8の動力による移動中では、モータにかかる抗力を最小限に抑える必要があるとともに、効率を維持するようにシステムにかかる抗力を正確に制御する必要もある。この正確な抗力トルクは、使用中の温度及び速度の全範囲を含むアクチュエータの寿命にわたって維持される必要がある。パワーアクチュエータシステム10は、静止車両に対する様々な可動構成要素、例えば、サイドドア、リアハッチ、フロントフード、ウィンドウ、パワーサイドステップ、エアダムなどの動きを制御するために使用することができる。
【0009】
パワーアクチュエータシステム10内に抗力を与えるために採用されてきた機構には様々なものがある。このような機構には、摩擦ディスク、ラップスプリング、磁気ヒステリシスなどが含まれる。このような機構は複雑で、多くのスペースを占有し、システムにかかる抗力を正確に制御できない場合がある。
【0010】
図2は、一例による摩擦ブレーキ20を組み込んだパワーアクチュエータシステム10を示す。一例では、パワーアクチュエータシステム10は、アクチュエータハウジング12、出力ねじ14、モータ16、ギアボックス18、摩擦ブレーキ20、及びベアリングサポート22を含む。動作中、アクチュエータハウジング12は、ゲートとフレームとの間に取り付けられる比較的細長い管状装置として構成される。例えば、図1に示すように、パワーアクチュエータシステム10は、自動車9に対してテールゲート8の開閉を駆動する。モータ16はギアボックス18に動力を供給し、ギアボックス18は出力ねじ14を時計回り又は反時計回りの方向に駆動して、それに取り付けられているゲートを交互に開閉させることができる。摩擦ブレーキ20は出力ねじ14に結合されて、その回転によって抗力トルクを提供する。
【0011】
図3は、摩擦ブレーキ20を更に詳細に示す図である。摩擦ブレーキ20は、クリップ30と中空シャフト36とを備え、クリップ30は、ベース34及びアーム32を含む。ベース34は、アクチュエータハウジング12のスロット部分に嵌合するように構成され、これによって、クリップ30とアクチュエータハウジング12との間の相対移動が防止される。中空シャフト36は、出力ネジ14と係合して出力ネジ14と一緒に回転する歯が形成された内面を有する。中空シャフト36は、クリップ30のアーム32内に締り嵌めで固定されている。中空シャフト36がクリップ30のアーム32内で回転すると、締り嵌めによって抗力トルクが生じる。
【0012】
本発明者は、摩擦ブレーキ20が、温度による変動が比較的少なく、所用の寿命にわたって正確なトルクの要求を満たすことができることを見出した。また、長さの設置面積もかなり小さくてシンプルであり、十分なコスト競争力がある。しかしながら、本発明者は更に、摩擦ブレーキ20が常に望ましくない量のスティックスリップを伴い、これは避けられないことが分かった。
【0013】
図4は、中空シャフト36及び出力ねじ14が回転するときに摩擦ブレーキ20で生成されるトルクを角度の関数として示している。中空シャフト36及び出力ネジ14が回転するときに、角度の関数として、摩擦ブレーキ20に生成されるトルクをテストするテストシステムが開発された。テストシステムには、比較的大きな回転慣性負荷を有するコンプライアント要素が追加された。テストの開始時に、ブレーキは相対運動が起こらず、コンプライアント要素には、テスト中の摩擦ブレーキ20の静的トルクまでの負荷がかかる。次に、静的トルクの値に達すると、相対運動が開始される。この場合、ブレーキの特性及び性能により、ブレーキは短時間で速く回転する(図4に示す下に向かうほぼ垂直の線で表す)。システム内の慣性及びコンプライアント部材の蓄積エネルギーにより、ブレーキ装置は停止する前にオーバートラベル(over travel)となる。その後、モータはブレーキを動かさずにコンプライアント部材に負荷をかけてサイクルを再開させる。このようなブレーキの性能特性、システムの慣性、及びシステムのバネ定数の結果として生じた摩擦ブレーキのトルク挙動により、スティックスリップとして知られる途切れ途切れの鋸歯状のトルク出力が生じる。
【0014】
これは、テールゲートやドアの開閉に使用されるパワーアクチュエータシステムにとっては望ましくない出力特性である。更に、多くの自動車用閉鎖用途はスティックスリップに対して非常に敏感である。スティックスリップが発生すると、ゲートを手動で動かすときに、ユーザが非常に不安定で不快を感じる。多くの用途では、直径及び許容される長さにも制限があり、これによってブレーキのオプションが更に制限される。
【0015】
図5Aは、一実施形態による平行軸摩擦ブレーキ40を組み込んだパワーアクチュエータシステム10の断面図を示す。図5Aでは、平行軸摩擦ブレーキ40が摩擦ブレーキ20の代わりに使用される。一実施形態では、パワーアクチュエータシステム10は、アクチュエータハウジング12、出力ネジ14、モータ16、ギアボックス18、平行軸摩擦ブレーキ40、及びベアリングサポート22を含む。一実施形態では、図1に示すように、パワーアクチュエータシステム10は、自動車9に対してテールゲート8の開閉を駆動する。
【0016】
動作するときに、アクチュエータハウジング12は、テールゲート8と自動車9との間に取り付けられる比較的細長い管状装置として構成され、パワーアクチュエータシステム10はゲート8を開閉させる。モータ16はギアボックス18に動力を供給し、ギアボックス18は出力ねじ14を時計回り又は反時計回りの方向に駆動して、それに取り付けられているゲート8を交互に開閉させる。平行軸摩擦ブレーキ40は出力ネジ14に結合されて、その回転によって抗力トルクを提供する。
【0017】
本発明者は、驚くべきことに、平行軸摩擦ブレーキ40は、前述した摩擦ブレーキ20よりも高い圧力を生成するにもかかわらず、スティックスリップ性能を大幅に改善することを見出した。これは予想されなかったことである。また、温度の影響も驚くほど改善された。より高い圧力は長寿命の観点においては逆効果であるため、パワーアクチュエータシステム10における平行軸摩擦ブレーキ40の活用は期待されていなかった。しかしながら、平行軸摩擦ブレーキ40の直径がより小さいということは、摩擦ブレーキ20と比較して1回転あたりの移動量が少ないことを意味する。
【0018】
図5Bは、平行軸摩擦ブレーキ40を組み込んだパワーアクチュエータシステム10の断面図を示し、この断面図は平行軸摩擦ブレーキ40を半径方向に沿って切った断面を示すものである。平行軸摩擦ブレーキ40内では、摩擦アセンブリ41が出力ねじ14と係合するように示され、その回転によって抗力トルクを提供する。図5Bに明らかに示され、また、以下の更なる実施形態で示されるように、摩擦アセンブリ41は、出力ネジ14に平行な平行シャフトと、出力ネジ14よりも小さいギア外径とを有する。したがって、摩擦アセンブリ41の平行シャフトは、出力ネジ14よりも速く回転する。これにより、平行軸摩擦ブレーキ40内の圧力が増加し、平行軸摩擦ブレーキ40の作動が強化される。
【0019】
図6はパワーアクチュエータシステム10の部分図を示し、平行軸摩擦ブレーキ42及び出力ネジ14がよりよく見えるように一部が取り除かれている。一実施形態では、平行軸摩擦ブレーキ42は、ブレーキハウジング44と、ハウジングタブ44aと、その中に含まれる摩擦アセンブリ47とを含む。一実施形態では、出力ねじ14は、スプライン端部43と平歯車45とを含む。一実施形態では、平歯車45は出力ねじ14に圧入され、摩擦アセンブリ47と係合するように構成される。したがって、出力ねじ14が回転する、例えば、ギアボックス18内の構成要素に係合されたスプライン端部43によって駆動されるため、摩擦アセンブリ47は、パワーアクチュエータシステム10に正確な制御抗力を提供し、モータ16にかかる余分な抗力を最小限に抑える。したがって、出力ネジ14は静止しているが、親ネジ(lead screw)14を介して外力(積雪の荷重、ユーザが加えた力、風力、斜面からの重力荷重)などによる荷重を保持しているとき、摩擦アセンブリ47は、パワーアクチュエータシステム10に正確な制御抗力を提供し、システムが予期せぬ動きをしないことを保証する。
【0020】
図7から図9は、一実施形態による平行軸摩擦ブレーキ50を示す。一実施形態では、平行軸摩擦ブレーキ50は、第1のブレーキハウジング部分52a、第2のブレーキハウジング部分52b、センターギア54、平行シャフト56、及びリングクリップ58を含む。図7は、第1のブレーキハウジング部分52aと第2のブレーキハウジング部分52bを備える平行軸摩擦ブレーキ50の斜視図を示す。図8は、平行軸摩擦ブレーキ50のほぼ中央に沿った断面図を示す。図9は、平行軸摩擦ブレーキ50の分解図である。
【0021】
平行軸摩擦ブレーキ50は、図5Aの平行軸摩擦ブレーキ40の代わりに、又は図2の摩擦ブレーキ20の代わりに、パワーアクチュエータシステム10内に配置されるように構成される。動作中、出力ねじ14のスプライン端部43は、センターギア54と係合し、一実施形態では、センターギア54は、出力ねじ14の外側スプライン歯と係合するようにその内面に内歯54aを有する。これにより、出力ネジ14の回転に伴ってセンターギア54が回転する。センターギア54はまた、その外面に、リングクリップ58と係合するように構成された外側ギア歯54bを有する。リングクリップ58は、締り嵌めで平行シャフト56上に押し付けられ、摩擦アセンブリ60を形成する。一実施形態では、平行シャフト56は、ローレット端部56a(図9を参照)を有し、ローレット端部56aは、平行シャフト56がブレーキハウジング52に固定されるように、ブレーキハウジング開口部62に圧入される。平行シャフト56がブレーキハウジング52に固定されているため、センターギア54及び出力ねじ14の回転とともに、平行シャフト56上でリングクリップ58が回転し、それによって、平行軸摩擦ブレーキ50により、システムに正確な制御抗力が提供される。
【0022】
一実施形態では、ブレーキハウジング52は、タブ66を備えて構成され、タブ66によって、ブレーキハウジング52をアクチュエータハウジング12に固定することができる。一実施形態では、タブ66は、第1のブレーキハウジング部分52aから垂直に延びてギアボックス18に結合し、そして、ギアボックス18はアクチュエータハウジング12に固定される(図5A参照)。別の実施形態では、ハウジングタブ44a(図6参照)は、ブレーキハウジング44から半径方向に延びて、ブレーキハウジング44をアクチュエータハウジング12に直接固定し、互いに相対回転することを防止することができる。
【0023】
一実施形態では、摩擦アセンブリ60の平行シャフト56は、センターギア54と平行であるがセンターギア54から半径方向にオフセットされるように、ブレーキハウジング52内で配向される。図8は、図の向きでセンターギア54の上に1つ、下に1つ、計2つの摩擦アセンブリ60を含む平行軸摩擦ブレーキ50を示す。したがって、平行シャフト56はセンターギア54に対して平行である。一実施形態では、摩擦アセンブリ60は、平行シャフト56とリングクリップ58とを取り囲む摩擦アセンブリ潤滑剤60aを含む。
【0024】
図9は、平行軸摩擦ブレーキ50内に取り付けられた4つの摩擦アセンブリ60を示す。より多くの又はより少ない摩擦アセンブリを使用することができる。また、図9では、それぞれの摩擦アセンブリ60は、複数のリングクリップ58を含む。各摩擦アセンブリ60内で使用されるリングクリップ58の数と、平行軸摩擦ブレーキ50で使用される摩擦アセンブリ60の数との両方が、平行軸摩擦ブレーキ50によりシステムに提供される抗力の量に比例する。したがって、使用されるリングクリップ58の数と摩擦アセンブリ60の数との両方は、所定の用途に必要な抗力に応じて調整することができる。
【0025】
センターギア54に平行し、且つセンターギア54からオフセットされた摩擦アセンブリを利用することの1つの利点は、比較的短い軸方向プロファイルで優れた抗力トルク特性を提供できることである。所定の用途でスペースが非常に制限されている場合、軸方向の長さが短いことが有利である。一実施形態では、単一の摩擦アセンブリ60を備えた平行軸摩擦ブレーキ50によって十分な抗力を生成することができる。しかしながら、このような単一の摩擦アセンブリ60の構成では、必要な抗力トルクを生成するために複数のリングクリップ58が必要となる場合がある。多数のリングクリップ58を使用すると、多数のリングクリップ58を収容するために、必要なブレーキハウジング52の全幅W52が増加する。一実施形態では、2つ、4つ、又はそれ以上の摩擦アセンブリ60を使用することによって、より大きな抗力トルクを生成することができるとともに、より少ない数のリングクリップ58を使用することができる。このように、軸方向の長さを制限することができるとともに、必要なブレーキハウジング52の全幅W52を最小限に抑えることができる。センターギア54の外側及びブレーキハウジング52の内側の利用可能な周方向空間内に複数の摩擦アセンブリ60を使用することにより、抗力機能を提供するために必要なパワーアクチュエータシステム10内の長さを最小限に抑えることができる。
【0026】
比較的大きな直径の出力ねじ14及びセンターギア54と比較して、摩擦アセンブリの比較的小さな直径のシャフトを使用して抗力トルクを生成することによって、以前の設計よりも高い圧力が生成される。しかしながら、驚くべきことに、スティックスリップ性能も大幅に向上する。図10は、センターギア54及び出力ねじ14が回転するときに平行軸摩擦ブレーキ50において生成されるトルクを角度の関数として示している。平行軸摩擦ブレーキ50について、図4に示した摩擦ブレーキ20に使用されたものと同じテストシステムで評価した。テストの開始時に、ブレーキは相対運動が起こらず、コンプライアント要素には、テスト中の摩擦ブレーキ50の静的トルクまでの負荷がかかる。次に、静的トルクの値に達すると、相対運動が開始される。これは前のテストと同じである。この場合、平行軸摩擦ブレーキ50の特性及び性能により、スティックスリップを示さずに回転が開始する。明らかに、この設計ではスティックスリップが実質的に回避され、比較的滑らかな抗力トルクプロファイルが得られた。
【0027】
図11及び図12は、一実施形態による平行軸摩擦ブレーキ80を示す。一実施形態では、平行軸摩擦ブレーキ80は、ブレーキハウジング82と摩擦アセンブリ90とを含む。摩擦アセンブリ90は、摩擦ギア84と、平行シャフト86と、クリップ88と、保持リング89とを含む。摩擦ギア84は、平行シャフト86上に固定されてそれと一緒に回転する。クリップ88は、締り嵌めで平行シャフト86上に押し付けられて、摩擦下で互いに対して回転できる。保持リング89は、平行シャフト86上に押し付けられて、軸方向において摩擦アセンブリ90をハウジング82に固定する。潤滑剤92aをクリップスロット92内に入れることによって、摩擦アセンブリ90内の適切な潤滑を確保することができる。平行軸摩擦ブレーキ80は、上述した平行軸摩擦ブレーキ50とほぼ同様に動作することができ、パワーアクチュエータシステム10内に配置され(図5Aの平行軸摩擦ブレーキ40又は図2の摩擦ブレーキ20のように)、同様の抗力トルク特性を提供する。
【0028】
動作中、摩擦ギアがセンターギア54及び出力ネジ14とともに回転するように、駆動ギア、例えば、前述のセンターギア54が摩擦ギア84と係合する。クリップ88は、ブレーキハウジング82のクリップスロット92内に配置される。クリップスロット92は、クリップ88の外形に一致する形状を有し、これによって、クリップ88は回転できず、ブレーキハウジング82に対して固定される。このようにして、平行シャフト86及び摩擦ギア84が、ブレーキハウジング82によって保持されているクリップ88内で回転すると、摩擦アセンブリ90は、パワーアクチュエータシステム10に正確な制御抗力を提供する。
【0029】
一実施形態では、ブレーキハウジング82は、タブ82aを備えて構成され、これにより、ブレーキハウジング82は、ギアボックス18を介してアクチュエータハウジング12に固定されることが可能となる。一実施形態では、タブはブレーキハウジングの外周から、軸方向ではなく、半径方向に延びることができる。例えば、タブ44aはブレーキハウジング44の外周から半径方向に延びて(図6参照)、これによって、それらはアクチュエータハウジング12に結合され、相対回転が防止される。
【0030】
一実施形態では、前述した平行軸摩擦ブレーキ50と同様に、平行軸摩擦ブレーキ80も、単一の摩擦アセンブリ90の使用を可能にする。又は、図11に示すように、更なる摩擦アセンブリ90のために、4つのクリップスロット92が設けられる。同様に、4つ以上の摩擦アセンブリ90も使用することができる。更に、より多くの又はより少ないクリップ88を使用することができる。平行軸摩擦ブレーキ50と同様に、より多くの摩擦アセンブリ90及びより少ないクリップ88を使用すると、摩擦ブレーキハウジング82の半径方向長さを制限するのに役立ち、比較的コンパクトな設計での使用が可能となる。
【0031】
平行軸摩擦ブレーキ50及び平行軸摩擦ブレーキ80から分かるように、摩擦アセンブリ60(リングクリップ58)及び摩擦アセンブリ90(クリップ88)には異なる摩擦要素を使用することができる。リングクリップ58及びクリップ88以外の他の種類の摩擦要素を平行シャフト56及び平行シャフト86上に配置して、所望のトルクを生成することができる。例えば、板金バンドを平行シャフトの周りに巻き付けて、代替の平行軸摩擦ブレーキ内の摩擦アセンブリを生成することができる。クレームされた平行軸摩擦ブレーキ内の摩擦アセンブリは、追加のバネを使用せず、電気機械式アクチュエータを必要せずに、比較的滑らかな抗力トルクプロファイルを提供することができる。
【0032】
図13から図15は、一実施形態による一方向平行軸摩擦ブレーキ110を示す。一実施形態では、一方向平行軸摩擦ブレーキ110は、第1のブレーキハウジング部分112aと、第2のブレーキハウジング部分112bと、センターギア114と、摩擦アセンブリ120とを含む。摩擦アセンブリ120は、平行シャフト116とリングクリップ118とを含む。センターギア114は、ギア歯114aを含み、更に、ローラ130を受け入れるように構成されたスロット140を備える。
【0033】
図13は、第1のブレーキハウジング部分112aと第2のブレーキハウジング部分112bとを備える一方向平行軸摩擦ブレーキ110の斜視図を示す。図14A及び図14Bは、一方向平行軸摩擦ブレーキ110の分解図であって、図14B図14Aに対して反対方向であり、図14A及び図14Bにより一方向平行軸摩擦ブレーキ110の両面が示されている。図15は、一方向平行軸摩擦ブレーキ110の実質的に中央に沿った断面図を示す。
【0034】
一方向平行軸摩擦ブレーキ110は、前述した平行軸摩擦ブレーキ50及び平行軸摩擦ブレーキ80と非常に類似して動作し、(例えば、図5Aに示す平行軸摩擦ブレーキ40又は図2に示す摩擦ブレーキ20のように)パワーアクチュエータシステム10内に配置することができ、同様な抗力トルク特性を提供することができる。更に、一方向平行軸摩擦ブレーキ110は、一方向の回転が摩擦アセンブリ120と係合し、反対方向の回転が摩擦アセンブリをバイパスするように、一方向クラッチ機能を提供することができる。
【0035】
駆動機構、例えば、パワーアクチュエータシステム10の出力ネジ14に結合するときには、接続が簡単で、一方向機構に接続するには、親ねじ/アクチュエータ駆動シャフト上のプレーンシリンダ(plain cylinder)のみが必要である。これらの追加構成要素により、抗力ブレーキは一方向となり、回転の一方向では抗力がほぼゼロとなる。
【0036】
ボール、ラップスプリング、又はスプラグを使用する一方向クラッチ/ベアリングなどの他の実施形態も可能である。これらも同じ機能を有し、本明細書で説明する平行軸摩擦ブレーキの様々な実施形態と組み合わせることができる。追加の抗力が一方向にのみ必要な場合、通常、蓋部/ゲートにおける重力負荷に関連する場合において、一部のアクチュエータでは一方向抗力ブレーキとの組み合わせが望ましい。これら方向に依存するクラッチ機能は、全体の設置面積を大幅に変更することなく追加することができる。これらの機構は、既知の正確なブレーキ荷重のみを伝達する必要があるため、小型を維持することができる。
【0037】
図16から図18は、一実施形態による逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140を示す。一実施形態では、逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140は、第1のブレーキハウジング部分142aと、第2のブレーキハウジング部分142bと、入力スプライン144と、出力ハブ162と、センターギア164と、摩擦アセンブリ150とを含む。摩擦アセンブリ150は、平行シャフト146とリングクリップ148とを含む。センターギア164は、その外面において摩擦アセンブリ150と係合するための歯を備える。出力ハブ162は、その内面におけるスプライン歯とローラ160とを含む。入力スプラインは外歯144aを有する。
【0038】
図16は、逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140の斜視図を示す。逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140は、第1のブレーキハウジング部分142aと第2のブレーキハウジング部分142bとを備える。図17は、逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140の分解図であり、図18は、逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140の実質的に中央に沿った断面図を示す。
【0039】
逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140は、前述した平行軸摩擦ブレーキ50及び平行軸摩擦ブレーキ80と非常に類似して動作し、(例えば、図5Aに示す平行軸摩擦ブレーキ40又は図2に示す摩擦ブレーキ20のように)パワーアクチュエータシステム10内に配置することができ、同様な抗力トルク特性を提供することができる。更に、逆方向駆動防止平行軸摩擦ブレーキ140は、逆方向駆動防止クラッチ機能を提供し、これにより、パワーアクチュエータシステム10のモータ、例えば、モータ16が入力スプライン144の外歯144aを、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に駆動するときに、摩擦アセンブリ150がバイパスされる。あるいは、摩擦アセンブリ150は、出力ハブ162の内面のスプライン歯が出力ねじ14を介して時計方向又は反時計方向の出力負荷によって係合されるときに係合される。
【0040】
ローラ逆方向駆動防止装置をパッケージ化するための他の既知の方法もある。同様の機能を実行するラップスプリング又は他の機構を利用する、他の既知の逆方向駆動防止機構(非逆方向駆動機構又は反逆方向駆動機構)が存在する。本明細書で説明する平行軸摩擦ブレーキの様々な実施形態と逆方向駆動防止機構との組み合わせは、モータのサイズや電力消費が重要である場合に、一部のアクチュエータにおいて望ましい構成である。
【0041】
自動車用アクチュエータが本発明に係る実施形態の既知の例として使用されたが、本発明は他の多くのアプリケーションにも使用することができる。例えば、小さなパッケージスペースで正確な抗力トルクが必要な場合、特に、スティックスリップが懸念される場合に使用することができる。
【0042】
図19から図21は、一実施形態による平行軸摩擦ブレーキ220を組み込んだ直接駆動パワーアクチュエータシステム210を示している。示したように、本明細書で説明する平行軸摩擦ブレーキの様々な実施形態は、スピンドル駆動システムを含む様々な駆動システムに使用でき、また、直接駆動システムやその他の用途でも使用することができる。
【0043】
一実施形態では、直接駆動パワーアクチュエータシステム210は、アクチュエータハウジング212と、モータ216と、第1のギアボックス218と、平行軸摩擦ブレーキ220と、第2のギアボックス224と、ベアリングサポート222と、ヒンジドライブ214とを含む。前述したスピンドル駆動システムのように出力ネジを駆動するのではなく、直接駆動パワーアクチュエータシステム210は、第1のギアボックス218と第2のギアボックス224とのギア比を利用して、直接にヒンジドライブ214を駆動する。ヒンジドライブ214は、ゲート又はドアなどの負荷に取り付けられ、それを開閉させることができる。
【0044】
平行軸摩擦ブレーキ220は、本明細書に記載される平行軸摩擦ブレーキの様々な実施形態と同様に使用され、パワーアクチュエータシステム210に正確な制御抗力を提供することができる。平行軸摩擦ブレーキ220は、前述したように、抗力トルクを生成するために、駆動機構245に平行な軸上シャフトを含む摩擦アセンブリ247を備える。
【0045】
本明細書ではギアの実施形態を示したが、平行軸摩擦ブレーキの様々な記載された実施形態の他の用途も可能である。更なるオプションとしては、ギアのようなスプラインの使用を含み、これによって、ギアボックスへの接続、ベルトやチェーンを通って走行する、又はその他の機械的接続のために、スプラインシャフトとの一体化を容易にすることができる。これらの実施形態では、ブレーキが中央のギア/駆動シャフトよりも高速で回転するギア接続が示されている。他の速度比も可能であり、それも本発明の範囲に適合される。
【0046】
本明細書では具体的な実施形態を図示して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、図示するとともに説明した具体的な実施形態を、様々な代替的及び/又は同等の実装に置き換えることができることは当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じた具体的な実施形態のあらゆる適応又は変形を網羅することを意図している。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】