(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】集塵及び脱臭機能を有する空気清浄フィルター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20240219BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20240219BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20240219BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240219BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20240219BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20240219BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20240219BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/14 M
B01D39/14 L
B01D39/14 B
A61L9/014
A61L9/00 C
B01J20/20 A
B01J20/22 A
B01J20/10 B
B01J20/10 A
B01J20/18 C
B01J20/18 A
B01D39/16 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551211
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 KR2022001464
(87)【国際公開番号】W WO2022182007
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026907
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514170813
【氏名又は名称】コーウェイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】COWAY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ビョンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョンチョル
【テーマコード(参考)】
4C180
4D019
4G066
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB09
4C180CC02
4C180CC04
4C180CC15
4C180EA02X
4C180EA05X
4C180EA07X
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4C180EA64X
4C180EB15X
4C180JJ01
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB03
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4D019CB04
4D019CB06
4D019DA02
4G066AA05B
4G066AB10B
4G066BA03
4G066BA05
4G066BA09
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA29
4G066CA52
4G066CA56
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】集塵と脱臭性能に優れながらも低差圧を実現した空気清浄フィルター、その製造方法、及びそれを含む空気清浄機を提供すること。
【解決手段】本発明による空気清浄フィルターは、集塵のための不織布及び脱臭のための活性炭粒子が結合された不織布を含み、活性炭粒子の粒径と含量を調節し、その他のガス吸着剤がコーティングされた不織布とラミネートされることにより、集塵と脱臭機能を同時に付与しながらも低差圧構造を実現することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げられたフィルター濾材を含む空気清浄フィルターであり、
前記フィルター濾材は、
第1不織布を含む集塵フィルター層、
第2不織布及び前記第2不織布に結合された150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を10g/m
2~60g/m
2の量で含む脱臭フィルター層、及び
第3不織布及び1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層を含み、
前記集塵フィルター層、前記脱臭フィルター層及び前記機能性フィルター層は、物理的又は化学的にラミネートされた、空気清浄フィルター。
【請求項2】
前記第1不織布は、20g/m
2~35g/m
2の坪量を有するメルトブローンタイプの不織布であり、
前記第2不織布及び第3不織布は、それぞれ30g/m
2~80g/m
2の坪量を有するスパンボンド又はサーマルボンドタイプの不織布である、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項3】
前記機能性フィルター層は、アンモニア、アルデヒド類、酢酸、トルエンおよびテルペン類からなる群から選択される1種以上のガスを除去し、
前記ガス吸着剤は、有機酸、無機酸、尿素、シリカ、ゼオライト及び金属触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項4】
前記機能性フィルター層は、
アンモニアを除去するための2重量%~20重量%のリン酸及びアルデヒド類を除去するための5重量%~30重量%のエチレン尿素のうち1種以上を含む、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項5】
前記脱臭フィルター層及び前記集塵フィルター層が互いに隣接して積層され、
前記機能性フィルター層が前記脱臭フィルター層または前記集塵フィルター層上に積層される、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項6】
前記空気清浄フィルターは、空気清浄機に使用され、
空気が前記脱臭フィルター層から流入し、前記集塵フィルター層に流出するように適用される、請求項5に記載の空気清浄フィルター。
【請求項7】
前記フィルター濾材は、金属触媒層をさらに含み、
前記金属触媒層は、第4不織布及び金属触媒を含む、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項8】
前記フィルター濾材は、前記機能性フィルター層、前記脱臭フィルター層、前記集塵フィルター層及び前記金属触媒層が順次積層された、請求項7に記載の空気清浄フィルター。
【請求項9】
前記空気清浄フィルターは、温度25℃、湿度50%、チャンバーサイズ8m
3及び対象ガスの初期濃度10ppmの条件でのガス除去試験を30分行ったときに、
ホルムアルデヒド、トルエン、アンモニアに対する除去率がすべて90%以上である、請求項1に記載の空気清浄フィルター。
【請求項10】
不織布及び前記不織布にバインダーで結合された活性炭粒子を含む空気清浄フィルターであって、
前記不織布は、30g/m
2~80g/m
2の坪量を有するスパンボンド又はサーマルボンドタイプの不織布であり、
前記活性炭粒子は、150メッシュの粒径より小さい粒径を有し、10g/m
2~60g/m
2の量で含まれ、
前記バインダーは、前記活性炭粒子100重量部を基準として20~50重量部の量で含まれる、空気清浄フィルター。
【請求項11】
前記空気清浄フィルターは、1m/sの流速の粉塵供給量が50gのときの差圧が60Pa~100Paである、請求項10に記載の空気清浄フィルター。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の空気清浄フィルターを含む空気清浄機。
【請求項13】
第1不織布を含む集塵フィルター層を製造するステップ、
150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を第2不織布に10g/m
2~60g/m
2の量で結合して脱臭フィルター層を製造するステップ、
第3不織布及び1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層を製造するステップ、
前記集塵フィルター層、前記脱臭フィルター層及び前記機能性フィルター層を物理的又は化学的にラミネートしてフィルター濾材を製造するステップ、及び
前記フィルター濾材を折り曲げるステップを含む、空気清浄フィルターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵及び脱臭機能を有する空気清浄フィルター及びその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、集塵及び脱臭機能を複合的に有する空気清浄フィルター、その製造方法、それに使用される脱臭用空気清浄フィルター、及びそれらを含む空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、微細粉塵、黄砂などの大気汚染問題が浮上し、室内の空気を濾過する空気清浄が必須となっている。空気清浄機のような空気浄化装置は様々な形態のフィルターシステムを用いて、空気中に含まれている汚染粉塵や人体に有害な有害物質などを濾過して新鮮な空気を提供することができる。
【0003】
前記フィルターシステムでは、気体中に含まれる粒子状汚染物質を除去するためのフィルター濾材を利用した様々な集塵フィルターが使用される。このような集塵フィルターとしては、一般的にポリテトラフルオロエチレン膜を備えるフィルター濾材またはメルトブローン(melt blown)方式の不織布を利用したフィルター濾材などが使用されている。
【0004】
また、フィルターシステムには空気中のホルムアルデヒド、トルエン、アンモニアなどの悪臭成分を除去するために脱臭フィルターが設けられることもある。例えば、ホルムアルデヒドを除去するために、サーマルボンド(thermal bond)またはスパンボンド(spun bond)方式の不織布上に活性炭を塗布して悪臭成分を吸着するフィルター濾材が開発されている。
【0005】
さらに、最近の空気清浄機の複合化傾向により、集塵と脱臭機能及びその他の追加機能を複合した空気清浄フィルターが開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の複合式空気清浄フィルターは、ペレット状の活性炭粒子を用いた脱臭フィルター層とメルトブローン不織布を用いた集塵フィルター層を単に結合して集塵と脱臭機能を実現している。しかし、このような従来のフィルターの場合、差圧が高くなり、結局、フィルターの清浄効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、集塵と脱臭性能に優れながらも低差圧を実現した空気清浄フィルター、その製造方法、及びそれを含む空気清浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による空気清浄フィルターは、折り曲げられたフィルター濾材を含み、前記フィルター濾材は第1不織布を含む集塵フィルター層、第2不織布と前記第2不織布に結合された150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を10g/m2~60g/m2の量で含む脱臭フィルター層、及び第3不織布と1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層を含み、前記集塵フィルター層、前記脱臭フィルター層および前記機能性フィルター層は、物理的又は化学的にラミネートされる。
【0009】
本発明による空気清浄フィルターの製造方法は、第1不織布を含む集塵フィルター層を製造するステップ、150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を第2不織布に10g/m2~60g/m2の量で結合して脱臭フィルター層を製造するステップ、第3不織布と1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層を製造するステップ、前記集塵フィルター層、前記脱臭フィルター層及び前記機能性フィルター層を物理的又は化学的にラミネートしてフィルター濾材を製造するステップ、及び前記フィルター濾材を折り曲げるステップを含む。
【0010】
また、本発明による空気清浄フィルターは、不織布及び前記不織布にバインダーで結合された活性炭粒子を含み、前記不織布は、30g/m2~80g/m2の坪量を有するスパンボンド又はサーマルボンドタイプの不織布であり、前記活性炭粒子は、150メッシュの粒径より小さい粒径を有し、10g/m2~60g/m2の量で含まれ、前記バインダーは、前記活性炭粒子100重量部を基準として20~50重量部の量で含まれる。
【0011】
また、本発明は、前記空気清浄フィルターを含む空気清浄機を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による空気清浄フィルターは、集塵のための不織布及び脱臭のための活性炭粒子が結合された不織布を含み、活性炭粒子の粒径と含量を調節し、その他のガス吸着剤が含まれた不織布とラミネートされることにより、集塵と脱臭機能を同時に付与しながらも低差圧構造を実現することができる。
【0013】
具体的には、本発明による空気清浄フィルターは、従来に比べて小さい粒径を有する活性炭粒子を不織布にバインダーで固定した脱臭フィルターを備え、低差圧でトルエンのような悪臭成分を吸着することができる。
【0014】
また、本発明による空気清浄フィルターは、空気中に除去しようとする成分に応じて、1つ以上の機能性フィルター層や金属触媒層をさらに含み、各層を様々な順序で積層して複合性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例による空気清浄フィルターの斜視図を示す。
【
図2】
図1におけるA-A’線に沿って切開した断面図及び拡大図を示す。
【
図3】
図2におけるB-B’線に沿って切開した断面図を示す。
【
図4】他の実施例によるフィルター濾材の断面図を示す。
【
図5】他の実施例によるフィルター濾材の断面図を示す。
【
図6】他の実施例によるフィルター濾材の断面図を示す。
【
図7】試験例1における空気清浄フィルターのガス除去試験結果を示す。
【
図8】試験例2における空気清浄フィルターの脱臭耐久性試験結果を示す。
【
図9】試験例3における空気清浄フィルターの集塵効率試験結果を示す。
【
図10】試験例4における空気清浄フィルターによる汚染物質の濃度減少を示す。
【
図11】試験例5で空気清浄フィルターの差圧を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を損なうと判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、図面における各構成要素のサイズは、説明のために誇張されたり省略されたりすることがあり、実際に適用されるサイズと異なる場合がある。
【0018】
本明細書で1つの構成要素が他の構成要素の上/下に形成されたり、互いに連結又は結合されたりするという記載は、これらの構成要素間に直接または別の構成要素を介在して間接的に形成、連結又は結合されることをすべて含む。また、各構成要素の上/下に対する基準は、対象を観察する方向によって変わり得るものとして理解すべきである。
【0019】
本明細書において、各構成要素を称する用語は、他の構成要素と区別するために使用されるものであり、本発明を限定する意図で使用されるものではない。また、本明細書における単数形の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数形の表現を含む。
【0020】
本明細書において「含む」という記載は、特性、領域、定数、ステップ、動作、要素及び/又は成分を具体化するためのものであり、特に反対の記載がない限り、その他の特性、領域、定数、ステップ、動作、要素及び/又は成分の存在や付加を排除するものではない。
【0021】
空気清浄フィルター
図1は、本発明の一実施例による空気清浄フィルターの斜視図を示し、
図2は、
図1におけるA-A’線に沿って切開した断面図及びその拡大図を示し、
図3は、
図2におけるB-B’線に沿って切開した断面図を示す。
【0022】
図1~
図3を参照すると、本発明の実施例による空気清浄フィルター10は、折り曲げられたフィルター濾材100を含み、前記フィルター濾材100は、第1不織布を含む集塵フィルター層130、第2不織布及び前記第2不織布に結合された150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を10g/m
2~60g/m
2の量で含む脱臭フィルター層120、及び第3不織布及び1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層110を含む。
【0023】
本発明の実施例による空気清浄フィルターは、集塵のための不織布及び脱臭のための活性炭粒子が結合された不織布を含み、活性炭粒子の粒径と含量を調節し、その他のガス吸着剤がコーティングされた不織布とラミネートされることにより、集塵と脱臭機能を同時に付与しながらも低差圧構造を実現することができる。具体的には、前記空気清浄フィルターは、従来に比べて小さい粒径を有する活性炭粒子がバインダーによって不織布に結合された脱臭フィルター層を備え、低差圧でトルエンのような悪臭成分を吸着することができる。
【0024】
また、本発明の実施例による空気清浄フィルターは、空気中に除去しようとする成分に応じて、1つ以上の機能性フィルター層や金属触媒層を追加し、様々な順序で積層して複合性能を発揮することができる。具体的には、前記空気清浄フィルター10は、金属触媒層140をさらに含んでもよい。
【0025】
以下、各構成層別に具体的に説明する。
【0026】
集塵フィルター層
前記集塵フィルター層は、第1不織布を含む。
【0027】
例えば、前記第1不織布は、メルトブローンタイプの不織布であってもよい。
【0028】
前記第1不織布の坪量は、例えば20g/m2~40g/m2であってもよく、具体的には20g/m2~35g/m2、より具体的には25g/m2~35g/m2であってもよい。前記第1不織布の坪量が前記好ましい範囲内である場合、HEPA(high efficiency particulate air)等級を達成し、耐久性を確保しながら、フィルター製作のための折り曲げ工程においてより有利である可能性がある。
【0029】
具体的には、前記第1不織布は、20g/m2~35g/m2の坪量を有するメルトブローンタイプの不織布であってもよい。
【0030】
前記第1不織布の素材は、一定範囲の溶融指数(melt index)を有することが好ましく、前記溶融指数が例えば265℃で800g/10分~1,500g/10分、具体的には265℃で900g/10分~1,200g/10分、より具体的には950g/10分~1,200g/10分であってもよい。前記溶融指数の範囲内である時、低温における加工性及び生産性がより向上することができる。
【0031】
一例として、前記第1不織布の素材は、ポリプロピレンであってもよく、具体的には、265℃で800g/10分~1,500g/10分である溶融指数を有するポリプロピレンであってもよい。
【0032】
前記集塵フィルター層は、微細粉塵の粒子サイズが数ミクロン以下である場合にも、捕集効率の高い極細繊維を含むため、電気的な電荷を用いて空隙より小さい粒子まで除去して汚染物質の除去効率を高めることができ、空隙率が高く、低い差圧(圧力損失)で運転を可能にすることができる。
【0033】
脱臭フィルター層
前記脱臭フィルター層は、第2不織布及び前記第2不織布に結合された150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を10g/m2~60g/m2の量で含む。
【0034】
前記第2不織布の素材は、耐熱性に優れた高分子樹脂であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。前記第2不織布が耐熱性に優れたPETを含む場合、加熱による積層後の性能低下を最小化することでき、隣接層との接着力をさらに向上させることができる。
【0035】
前記第2不織布の坪量は、例えば20g/m2~90g/m2、具体的には30g/m2~80g/m2、具体的には40g/m2~70g/m2であってもよい。前記好ましい範囲内において、フィルター濾材の支持性、加工性、折り曲げ性、高温工程性及び接着力をより向上させることができる。
【0036】
具体的には、前記第2不織布は、30g/m2~80g/m2の坪量を有するスパンボンド又はサーマルボンドタイプの不織布であってもよい。
【0037】
前記第1不織布の坪量と前記第2不織布の坪量の合計は、35g/m2~85g/m2であってもよい。例えば、前記第1不織布の坪量と前記第2不織布の坪量の合計は、40g/m2~80g/m2又は50g/m2~80g/m2であってもよい。前記好ましい範囲内である場合、優れた耐久性と共に、折り曲げ性と加工性を確保することに有利である可能性がある。
【0038】
前記活性炭粒子は、石炭やヤシ殻から得られ、タバコの煙、揮発性有機化合物、その他の悪臭物質を吸着、除去する機能をすることができる。
【0039】
前記活性炭粒子の粒径は、150メッシュの粒径より小さい粒径を有することにより、優れた脱臭性能と低い差圧を実現することに有利である。例えば、前記活性炭粒子の粒径は、150メッシュの粒径以下、100メッシュの粒径以下、または50メッシュの粒径以下であってもよく、また、300メッシュの粒径以上、250メッシュの粒径以上、または200メッシュの粒径以上であってもよい。具体的には、前記活性炭粒子の粒径は、50メッシュ~300メッシュの粒径、100メッシュ~300メッシュの粒径、または150メッシュ~250メッシュの粒径であってもよい。前記例示した活性炭粒子の粒径は平均粒径であってもよい。
【0040】
前記活性炭粒子の表面積は、悪臭除去の目的に合到する物理的又は化学的特性を有していれば、特に限定されないが、空気清浄機などの分野への適用可能性を考慮すると、約1000m2/g以上、好ましくは約1000~1200m2/gのBET表面積を有してもよい。
【0041】
前記活性炭粒子は、バインダーによって前記第2不織布に結合してもよい。前記バインダーとしては、例えばアクリル系、ポリウレタン系等を使用してもよい。
【0042】
また、前記バインダーの使用量は、前記活性炭粒子100重量部を基準として10重量部以上、20重量部以上、または30重量部以上であってもよく、また、60重量部以下、50重量部以下、または40重量部以下であってもよく、好ましくは20~50重量部であることが活性炭粒子を固定しながら差圧を増加させないという面からよい。
【0043】
前記脱臭フィルター層は、従来の脱臭フィルターに比べて優れた脱臭性能を発揮しながらも、低差圧構造を実現することができる。したがって、前記脱臭フィルター層は、それ自体として従来と差別化される空気清浄フィルターとして提供され得る。
【0044】
具体的には、前記脱臭フィルター層は、不織布と前記不織布にバインダーで結合された活性炭粒子を含み、前記不織布は、30g/m2~80g/m2の坪量を有するスパンボンドまたはサーマルボンドタイプの不織布であり、前記活性炭粒子は、150メッシュの粒径より小さい粒径を有し、10g/m2~60g/m2の量で含まれ、前記バインダーは、前記活性炭粒子100重量部を基準として20~50重量部の量で含まれる。
【0045】
機能性フィルター層
前記機能性フィルター層は、第3不織布及び1種以上のガス吸着剤を含む。
【0046】
前記第3不織布の素材は、耐熱性に優れた高分子樹脂であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。前記第3不織布が耐熱性に優れたPETを含む場合、加熱による積層後の性能低下を最小化することができ、隣接層との接着力をさらに向上させることができる。
【0047】
前記第3不織布の坪量は、例えば20g/m2~90g/m2、具体的には30g/m2~80g/m2、具体的には40g/m2~70g/m2であってもよい。前記好ましい範囲内において、フィルター濾材の支持性、加工性、折り曲げ性、高温工程性及び接着力をより向上させることができる。具体的には、前記第3不織布は、30g/m2~80g/m2の坪量を有するスパンボンドまたはサーマルボンドタイプの不織布であってもよい。
【0048】
前記機能性フィルター層は、これに含まれるガス吸着剤により、1種以上のガスを除去することができる。例えば、前記機能性フィルター層は、アンモニア、アルデヒド類、酢酸、トルエン及びテルペン類からなる群から選択される1種以上のガスを除去することができる。また、前記ガス吸着剤は、有機酸、無機酸、尿素、シリカ、ゼオライト及び金属触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0049】
一例として、前記機能性フィルター層は、有機酸または無機酸を含み、アンモニアガスのような塩基性ガスを除去することができる。別の例として、前記機能性フィルター層は、エチレン尿素のような尿素を含み、アルデヒド類を除去することができる。さらに、別の例として、前記機能性フィルター層は、有機酸または無機酸と共に尿素を含み、塩基性ガス及びアルデヒド類を同時に除去することができる。
【0050】
前記機能性フィルター層内のガス吸着剤の含量は、1重量%以上、2重量%以上、または5重量%以上であってもよく、また、50重量%以下、30重量%以下、または20重量%以下であってもよい。
【0051】
具体的には、前記機能性フィルター層は、アンモニアを除去するための2重量%~20重量%のリン酸、及びアルデヒド類を除去するための5重量%~30重量%のエチレン尿素から選択される1種以上を含んでもよい。
【0052】
金属触媒層
前記フィルター濾材は、金属触媒層をさらに含み、前記金属触媒層は、第4不織布及び金属触媒を含んでもよい。
【0053】
前記第4不織布の素材は、耐熱性に優れた高分子樹脂であってもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。前記第4不織布が耐熱性に優れたPETを含む場合、加熱による積層後の性能低下を最小化することができ、隣接層との接着力をさらに向上させることができる。
【0054】
前記第4不織布の坪量は、例えば、20g/m2~90g/m2、具体的には30g/m2~80g/m2、具体的には40g/m2~70g/m2であってもよい。前記好ましい範囲内において、フィルター濾材の支持性、加工性、折り曲げ性、高温工程性及び接着力をより向上させることができる。
【0055】
前記金属触媒層は、前記金属触媒の反応を通じて吸着除去が難しいガスを分解及び除去することができる。
【0056】
例えば、前記金属触媒層が除去するガスは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及び酢酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0057】
前記金属触媒は、白金、銅およびマンガンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0058】
前記金属触媒層内の金属触媒の含有量は、例えば0.1重量%~2重量%であってもよい。
【0059】
一例として、前記金属触媒層は、ホルムアルデヒドガスを除去するための0.1重量%~2重量%の白金触媒を含んでもよい。
【0060】
別の例として、前記金属触媒層は、アセトアルデヒドガスを除去するための0.1重量%~2重量%のマンガン触媒を含んでもよい。
【0061】
積層構造
本発明による空気清浄フィルターのフィルター濾材は、前述した層が物理的又は化学的にラミネートされた様々な積層構成を有してもよい。
【0062】
好ましくは、前記脱臭フィルター層及び前記集塵フィルター層が互いに隣接して積層され、前記機能性フィルター層が前記脱臭フィルター層又は前記集塵フィルター層上に積層されてもよい。このように、脱臭フィルター層と集塵フィルター層が互いに隣接して積層される場合、空気の流入によって脱臭フィルター層から活性炭粒子が離脱しても、集塵フィルター層によって保存することができる。
図3に示すように、一実施例によるフィルター濾材100は、機能性フィルター層110、脱臭フィルター層120、集塵フィルター層130及び金属触媒層140が順次積層されたものであってもよい。このように、機能性フィルター層が脱臭フィルター層上に積層される場合、脱臭フィルター層の保護機能も果たし、脱臭フィルター層の寿命をより向上させることができる。
【0063】
図4~
図6は、他の実施例による空気清浄フィルターのフィルター濾材の断面図を示す。
図4によれば、フィルター濾材101は、機能性フィルター層110、脱臭フィルター層120及び集塵フィルター層130が順次積層されたものであってもよい。
図5によれば、フィルター濾材102は、脱臭フィルター層120、集塵フィルター層130及び機能性フィルター層110が順次積層されたものであってもよい。
図6によれば、フィルター濾材103は、脱臭フィルター層120、集塵フィルター層130、機能性フィルター層110及び金属触媒層140が順次積層されたものであってもよい。
【0064】
また、前記フィルター濾材は、2つ以上の機能性フィルター層を含んでもよく、例えば、
図4のフィルター濾材101で集塵フィルター層130の表面に追加の機能性フィルター層が積層されたものであってもよい。前記2つ以上の機能性フィルター層にそれぞれ異なるガス吸着剤をコーティングすることにより、2種類以上のガスを除去する複合性能を発揮することができる。
【0065】
また、前記空気清浄フィルターは、空気清浄機に使用され、空気が前記脱臭フィルター層から流入して前記集塵フィルター層に流出するように適用することができる。これにより、脱臭フィルター層に含まれる活性炭粒子が空気の流れによって第2不織布から脱離されても、集塵フィルター層に捕捉されることができる。
【0066】
ハウジング
本発明による空気清浄フィルターは、前記フィルター濾材のハウジングをさらに含んでもよい。
図1及び
図2を参照すると、前記空気清浄フィルターは、ハウジング200及び前記ハウジングの内部に配置される折り曲げられたフィルター濾材100を含んでもよい。
【0067】
前記ハウジングは、前記フィルター濾材を支持するフレーム(frame)の役割を果たすことができるものであり、前記フィルター濾材を適切に配置して安着できるように組み立てまたは成形してもよい。前記ハウジングの形状や構造は、使用目的や使用環境に応じて任意に設定してもよい。
【0068】
前記ハウジングの材質は、空気清浄フィルターに使用される通常のハウジングの素材を採用してもよい。具体的には、前記ハウジングの素材として、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、紙、不織布、ポリカーボネート(PC)及びエラストマー系樹脂からなる群から選択される1種以上を使用してもよい。より具体的には、前記ハウジングの素材としてABSまたはPPを使用してもよく、その中でも寸法精度の確保が容易でかつ使用時の変形も抑制できるABSが好ましい場合がある。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)とABSは互いに接着性が高いので、前記フィルター濾材の外郭層の素材としてPETが使用され、前記ハウジングの素材としてABSが使用される場合、フィルター濾材とハウジングの剥離防止効果を向上させることができる。
【0069】
前記フィルター濾材は、成形された後、前記ハウジングの内部に配置してもよい。
【0070】
空気清浄フィルターの特性
本発明による空気清浄フィルターは、空気中の汚染物質の除去効率を高く維持しながらも低差圧を実現するため、寿命特性に優れている。
【0071】
一般的に、フィルターの寿命(life time)とフィルターの差圧(differential pressure)は互いに影響が大きい。フィルターの差圧は、フィルター濾材の上流(upstream)と下流(downstream)間の圧力差を意味する。フィルターに汚染粒子を含む流体が通過すると、フィルターの気孔に粒子が捕捉されて 気孔が閉鎖され、 気孔が閉鎖されると、これにより徐々に圧力が上昇する。つまり、フィルターの差圧は、時間が経つにつれて、またはフィルターに粒子が捕捉されるにつれてますます増加する。したがって、フィルターの差圧はフィルターの交換時期を判断する主要な因子であり、フィルターの寿命を判断する尺度になることもある。
【0072】
フィルターの差圧が低すぎると、汚染物質の除去性能が低下する可能性があり、逆にフィルターの差圧が高すぎると、フィルターの寿命が短くなり、電力消費が増加する可能性がある。したがって、フィルターが適正範囲の差圧を有することが、フィルターの高性能、低電力及び高寿命の特性を同時に満たすことに非常に有利である。
【0073】
例えば、前記空気清浄フィルターの差圧は、1m/s流速の粉塵供給量が50gの条件で40Pa以上、50Pa以上、60Pa以上、または70Pa以上であってもよく、また、120Pa以下、110Pa以下、100Pa以下、または90Pa以下であってもよい。具体例として、前記空気清浄フィルターは、1m/sの流速の粉塵供給量が50gであるときの差圧が60Pa~100Paであってもよい。
【0074】
前記空気清浄フィルターは、温度25℃、湿度50%、チャンバーサイズ8m3および対象ガスの初期濃度10ppmの条件でのガス除去試験を30分実施するときに、ホルムアルデヒド、トルエンおよびアンモニアに対する除去率がすべて90%以上であることができる。
【0075】
具体的には、前記空気清浄フィルターは、前記条件のガス除去試験を30分実施したときに、ホルムアルデヒドに対する除去率が93%以上であることができ、トルエンに対する除去率が95%以上であることができ、アンモニアに対する除去率が97%以上であることができる。
【0076】
また、前記空気清浄フィルターは、JEM1467:2009の条件の脱臭耐久性試験でタバコ数を100まで増加しても、ホルムアルデヒド、トルエン及びアンモニアに対する除去率が全て80%以上を維持することができる。特に前記空気清浄フィルターは、タバコ数を200まで増加しても、アンモニアに対する除去率が95%以上を維持し、脱臭耐久性に非常に優れる可能性がある。
【0077】
また、前記空気清浄フィルターは、DEHS(di-ethyl-hexyl-sebacat)粒子またはNaCl粒子を用いた42 CFR part 84条件での集塵効率が99%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、または99.8%以上であることができる。
【0078】
空気清浄フィルターの製造方法
本発明による空気清浄フィルターの製造方法は、第1不織布を含む集塵フィルター層を製造するステップ、150メッシュの粒径より小さい粒径を有する活性炭粒子を第2不織布に10g/m2~60g/m2の量で結合して脱臭フィルター層を製造するステップ、第3不織布と1種以上のガス吸着剤を含む機能性フィルター層を製造するステップ、前記集塵フィルター層、前記脱臭フィルター層及び前記機能性フィルター層を物理的又は化学的にラミネートしてフィルター濾材を製造するステップ、及び前記フィルター濾材を折り曲げるステップを含む。
【0079】
前記集塵フィルター層の第1不織布は、先に例示した素材を利用して製造してもよく、例えばポリプロピレンを用いたメルトブローン方式で20g/m2~35g/m2の坪量を有するように製造してもよい。
【0080】
前記脱臭フィルター層は、バインダーを利用して第2不織布に活性炭粒子を結合して製造してもよく、具体的には、活性炭粒子をバインダー及び溶媒と混合して分散液を製造した後、前記第2不織布にコーティング及び乾燥して製造してもよい。
【0081】
このとき、前記活性炭粒子100重量部を基準としてバインダー20~50重量部を使用してもよい。
【0082】
また、前記溶媒としては、蒸留水、精製水などを、前記活性炭粒子100重量部を基準として200~500重量部となるように使用してもよい。
【0083】
前記コーティングは、前記製造された分散液を第2不織布上に噴射するか、または、前記分散液に第2不織布を浸漬して行ってもよい。具体的には、前記コーティングは、前記分散液に第2不織布を3~10秒間浸漬させて行ってもよい。
【0084】
また、前記乾燥は50℃~70℃の温度で5分~10分間行ってもよい。
【0085】
前記機能性フィルター層は、第3不織布上に1種以上のガス吸着剤をコーティングして製造してもよく、先に例示したガス吸着剤及び含量でコーティングしてもよい。
【0086】
前記第2不織布及び前記第3不織布は、それぞれ先に例示した素材を用いて製造してもよく、例えばポリエチレンテレフタレートを用いてスパンボンド又はサーマルボンド方式でそれぞれ30g/m2~80g/m2の坪量を有するように製造してもよい。
【0087】
前記ラミネートは、物理的又は化学的方法で行われ、例えば、前記ラミネートは、加圧による物理的なラミネートを行うか、または接着剤やホットメルトを用いた化学的なラミネートを行ってもよい。
【0088】
具体的には、前記ラミネートにおいてホットメルトを用いる場合、130℃~170℃の温度で行ってもよい。より具体的には、前記ホットメルトを用いたラミネートは、130℃~170℃、140℃~160℃、または150℃~170℃の温度で行ってもよい。
【0089】
前記ホットメルトを用いる場合、ホットメルトの使用量は、1g/m2~10g/m2、2g/m2~10g/m2、または3g/m2から8g/m2であってもよい。前記ホットメルトを前記範囲で使用する場合、接着力を向上させることができる。前記ホットメルトとしては、例えば、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等を用いてもよい。
【0090】
その後、前記フィルター濾材は折り曲げられる。前記フィルター濾材が折り曲げられる場合、濾過面積が広くなり、圧力損失を下げることができ、構造が堅固になり、フィルターの耐久性及び寿命特性を向上させることができる。
【0091】
図2を参照すると、前記フィルター濾材100は、ロータリーコルゲータなどを用いてプリーツ状に折り曲げられてもよい。例えば、前記プリーツ状は、曲げられてプリーツが形成された構造であってもよい。また、前記プリーツ状は、ジグザグ方式の角度付いた屈曲またはラウンド型屈曲など多様であってもよく、そのプリーツの形状及びサイズは特に限定されない。
【0092】
また、前記プリーツのピークの高さは、10mm~60mmであってもよい。ここで、ピークの高さは、プリーツの振幅、すなわち、ピークと谷間の距離を称してもよい。また、前記ピーク間の距離は、2mm~8mmであってもよい。
【0093】
空気清浄機
本発明は、前述した空気清浄フィルターを含む空気清浄機を提供する。
【0094】
一例として、前記空気清浄機は、汚染された空気を吸入する吸入口、浄化された空気を吐出する吐出口、及び前記吸入口と前記吐出口の間に配置されるフィルター部を含み、前記フィルター部は、前述した空気清浄フィルターを含む。
【0095】
具体的には、前記空気清浄機は、前面に室内空気を吸入する吸入口が設けられ、上部に浄化された空気が吐出される吐出口が形成され、内部には前記空気清浄フィルターを含むフィルター部が備えられてもよい。
【0096】
また、前記空気清浄機は、回転力によって室内空気を吸入し、浄化された空気を再び室内に吐出する送風ファンを備えてもよい。前記送風ファンによって空気が前方の吸入口から吸入され、上方の吐出口に吐出されてもよい。前記吐出口には緻密な格子状の吐出グリルを設けてもよく、これにより回転する送風ファンによってユーザーの身体を傷つけないようにすることができる。
【0097】
前記フィルター部は、空気清浄フィルター以外にも追加のフィルターをさらに含んでもよく、例えば、抗菌素材を使用して構成され、比較的大きな塵、カビ、髪の毛、ペットの毛などを除去するためのプレフィルター、及び/又は空気中の水分を除去するために多数の気孔が形成された除湿フィルターをさらに含んでもよい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の実現可能な範囲はこれら実施例に限定されない。
【0099】
実施例1:空気清浄フィルター(複合フィルター)の製造
(1)集塵フィルター層の製造
ポリプロピレン(PP)樹脂を用い、メルトブローン方式で坪量約27g/m2の第1不織布を製造した。
【0100】
(2)脱臭フィルター層の製造
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用い、スパンボンド方式で坪量約55g/m2の第2不織布を製造した。平均約200メッシュの粒径を有するヤシ殻活性炭100重量部、バインダー(acrylic polyol resin)40重量部、溶媒(精製水)400重量部を混合して分散液を製造した。前記分散液に前記第2不織布を10秒間浸漬した後、取り出して、60℃の温度で10分間乾燥した。その結果、前記第2不織布にヤシ殻活性炭が約35g/m2の量でコーティングされた脱臭フィルター層を製造した。
【0101】
(3)機能性フィルター層の製造
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用い、スパンボンド方式で坪量約55g/m2の第3不織布を2枚製造した。
【0102】
1つの第3不織布上にリン酸(phosphoric acid)を約11重量%の量でコーティングして、機能性フィルター層Aを製造した。
【0103】
残りの第3不織布上にエチレン尿素(2-imidazolidone)を約17重量%の量でコーティングして、機能性フィルター層Bを製造した。
【0104】
(4)ラミネート
コーティング面が上向きになるように下から機能性フィルター層A/脱臭フィルター層/集塵フィルター層/機能性フィルター層Bの順に配置し、ポリオレフィン系ホットメルトを用いて150℃でラミネートしてフィルター濾材を得た。
【0105】
(5)折り曲げ
前記フィルター濾材をロータリーコルゲータ(DBWP-W700、DoubleWin社)を用いて、プリーツのピーク高さ25mm、ピーク間の距離約3.5mmでプリーツ加工した。前記プリーツ加工後、前記フィルター濾材を成形機(Filter Assy M/C、DoubleWin社)を用いてABSハウジング内部にインサート成形することにより、空気清浄フィルターを製造した。
【0106】
比較例1
前記実施例1のステップ(1)の手順を繰り返して集塵フィルター層を製造した。また、ペレット状の活性炭粒子が網に入った脱臭フィルター層を製造した。前記集塵フィルター層と脱臭フィルター層を単に結合して空気清浄フィルターを製造した。
【0107】
実施例2
前記実施例1の手順を繰り返し、ステップ(3)の機能性フィルター層の製造を行わず、脱臭フィルター層と集塵フィルター層がラミネートされた空気清浄フィルターを製造した。
【0108】
試験例1:ガス除去試験(gas removal test)
ガス除去試験は、実施例1の空気清浄フィルターを用い、KACA002 132:2018に従って、温度25℃、湿度50%、チャンバーサイズ8m3及び対象ガスの初期濃度10ppmの試験条件で実施した。
【0109】
その結果を
図7に示した。
図7に示すように、実施例1の空気清浄フィルターは、ホルムアルデヒド、トルエン、アンモニアガスに対して30分経過後、全て90%以上の除去率を示し、特にアンモニアガスに対しては30分経過後に99.9%の最も高い除去率を示した。
【0110】
試験例2:脱臭耐久性試験(deodorization endurance test)
久性試験は、実施例1の空気清浄フィルターを用い、JEM1467:2009に従った試験条件で実施した。
【0111】
その結果を
図8に示した。
図8に示すように、実施例1の空気清浄フィルターは、タバコ数が増加するにつれてホルムアルデヒド、トルエン、アンモニアガスの除去効率の面で緩やかな減少傾向を示し、特にアンモニアガスに対しては除去効率がほとんど減少せず、脱臭耐久性に最も優れていると評価された。
【0112】
試験例3:集塵効率試験
集塵効率試験は、実施例1の空気清浄フィルターを用い、NaCl粒子を用いて42 CFR part 84に従って実施した。
【0113】
その結果を
図9に示した。
図9に示すように、実施例1の空気清浄フィルターは99.98%の非常に高い集塵効率を示した。
【0114】
試験例4:汚染物質濃度の変化
汚染物質濃度変化試験は、実施例1の空気清浄フィルターを用い、KACA002 132:2018に従って実施した。
【0115】
その結果を
図10に示した。
図10に示すように、実施例1の空気清浄フィルターは、時間の経過に応じてKClの濃度(m
3/min)を指数関数的に直線的に減少させた。
【0116】
試験例5:フィルター差圧試験
Topas PAF-113-キャビンエアフィルターテストシステム(cabin filter test system)を用いて、ISO A2塵(dust)を、流速を0.5m/sから1.25m/sに変化させながら粉塵を供給しつつ差圧を測定した。粉塵供給量によるフィルターの差圧測定結果を
図11に示した。
【0117】
図11に示すように、ペレット状の活性炭粒子を用いた脱臭フィルター層と集塵フィルター層が単に結合された従来の空気清浄フィルターに比べて、微細な活性炭粒子が薄く塗布された脱臭フィルター層と集塵フィルター層がラミネートされた本発明の空気清浄フィルターの差圧がより小さく測定された。具体的に実施例2のフィルターは、1m/sの流速の粉塵供給量が50gのときの差圧が比較例1のフィルターに比べて約1mmaq(約9.8Pa)程度低く測定された。
【国際調査報告】