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特表2024-508451調節可能血管閉鎖デバイスアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】調節可能血管閉鎖デバイスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551801
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022017693
(87)【国際公開番号】W WO2022182866
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,860
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519155550
【氏名又は名称】テルモ メディカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Terumo Medical Corporation
【住所又は居所原語表記】265 Davidson Avenue, Suite 320, Somerset, NJ 08873, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】阿登 正憲
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD52
4C160DD70
4C160MM33
4C160NN01
(57)【要約】
血管閉鎖デバイスアセンブリは、シースであって:その中を通るチャネルを画定するシース本体と、シース係合部と、シース本体の近位端に位置するシース取り付け部と、を有するシースを有する。アセンブリは、シースがハウジングに対して回転可能であり、ハウジングがハウジングに対するシースの軸方向変位を抑制するように、シース取り付け部が固定されるハウジングを有する。アセンブリはまた、拡張器本体を有する拡張器と、拡張器本体からシースに向かって延びる拡張器係合部とを含む。拡張器係合部は、シースに対する拡張器の軸方向変位がシースをハウジングに対して回転させるように、シース係合部に係合するように構成され、ハウジングは、回転中のシースの軸方向変位を抑制するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースであって:
シース本体であって、前記シース本体を通るチャネルを画定するシース本体、
シース係合部、及び
前記シース本体の近位端部に位置するシース取り付け部、
を有する、シースと;
ハウジングであって、前記シース取り付け部は、前記シースが前記ハウジングに対して回転可能であり、前記ハウジングが前記ハウジングに対する前記シースの軸方向変位を抑制するように、前記ハウジング内に固定される、ハウジングと;
拡張器であって:
拡張器本体、及び
前記拡張器本体から前記シースに向かって延びる拡張器係合部、を有し、
前記拡張器係合部は、前記シースに対する前記拡張器の軸方向変位が前記シースを前記ハウジングに対して回転させるように、前記シース係合部に係合するように構成され、前記ハウジングは、回転中の前記シースの軸方向変位を抑制するように構成される、
拡張器と;を有する、
血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項2】
前記シース本体は、先端を有し、血管内に挿入されるように構成された傾斜した遠位端部を有し、
前記アセンブリは、(i)前記拡張器係合部が第1の位置で前記シース係合部に係合し、前記傾斜した遠位端部の前記先端が第1の回転位置に位置する第1の構成と、(ii)前記拡張器係合部が前記第1の位置の近位にある第2の位置で前記シース係合部に係合し、前記傾斜した遠位端部の前記先端が前記第1の回転位置から回転的にオフセットされた第2の回転位置に位置する第2の構成との間で移動可能である、
請求項1に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の回転位置は、前記第1の回転位置から約180°回転的にオフセットされる、
請求項2に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項4】
前記拡張器係合部は、前記拡張器本体から前記シースに向かって延びる1つ以上の拡張器アームを有する、
請求項2に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジングは、1つ以上のスロットを規定し、
前記1つ以上の拡張器アームの各々は、前記1つ以上のスロットの対応するスロットを通って前記シース係合部に向かって延びる、
請求項4に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項6】
前記シース係合部は、螺旋溝を規定し、
前記拡張器係合部は、前記1つ以上の拡張器アームの対応する拡張器アームから前記螺旋溝内に突出する係合部材を有する、
請求項4に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項7】
前記シース係合部の直径は、前記シース本体の直径よりも大きい、
請求項6に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の構成において、前記係合部材は、前記螺旋溝の遠位端に位置し、
前記第2の構成において、前記係合部材は、前記螺旋溝の近位端に位置する、
請求項6に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項9】
前記螺旋溝の前記近位端は、前記アセンブリが前記第2の構成にあるときに、前記拡張器の近位変位が、前記拡張器が前記アセンブリから取り外されることができるように、前記係合部材を前記螺旋溝から係合解除させるように構成される、
請求項7に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項10】
前記拡張器はさらに:
前記拡張器本体から離れて前記シースに向かって軸方向に延び、前記シースを通って画定される前記チャネルを通って取り外し可能に配置される内側の細長い部材を有する、
請求項1に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記ハウジングの近位壁を通る開口部を画定し、前記内側の細長い部材は、前記開口部を通って前記シースによって画定される前記チャネル内に取り外し可能に配置される、
請求項10に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記ハウジング内に規定された取り付け構造を含み、
前記シース取り付け部は、前記取り付け構造内に配置される、
請求項1に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【請求項13】
前記シース取り付け部は、円筒形であり、前記シース本体の直径よりも大きい直径を有し;
前記取り付け構造は:
前記拡張器に近接する前記ハウジングの近位壁から離れて前記シースに向かって延びる円筒壁と、
前記円筒壁の遠位縁から半径方向に内側に延びるレッジと、を有し;
前記シース取り付け部は、前記ハウジングに対する前記シースの回転を許容しながら軸方向の変位を抑制するために、前記シース取り付け部が前記ハウジングの前記近位壁の遠位面と前記レッジの近位面との間に固定されるように、前記円筒壁の軸方向の長さに対応する軸方向の長さを有しする、
請求項12に記載の血管閉鎖デバイスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年2月25日に出願された米国仮出願第63/153,860号の利益及び優先権を主張しており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、所望の向きになるようにその場で調整されることができる血管閉鎖デバイスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
動脈又は静脈の外傷のような血管外傷は、急速な失血をもたらすことがあり、心血管系が正常な血圧で体の様々な部分に血液を供給する正常な機能を回復できるように、血管止血、すなわち、血液が漏出している血管の開口部を閉鎖及び修復を行うことにより血流を迅速に止めなければ、致命的となりうる。従来、止血は、患者の皮膚上の患者の体の部位に圧迫を加えることによって達成されるが、開口部を閉鎖するのにはあまり効果的ではなく、仮に達成したとしても、止血を達成するのに比較的長い時間を要することがある。最近、血管閉鎖デバイス(vascular closure devices)(VCD)が迅速に止血を達成するために使用されている。いくつかのVCDは、止血が行われている血管に最初に挿入されるシースを含む。VCDの種々のコンポーネントは、シースを通って血管に向かって挿入されるか、又は血管内に挿入され、シースは、血管に対してVCDの種々のコンポーネントを配置する役割を果たし得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される実施形態は、概して、血管に対するシースの適切な向きを得るためのシステム及び方法に関する。特に、本明細書に記載される実施形態は、傾斜した(beveled)遠位端部及びハウジングに固定された近位端部を有するシースと、傾斜した遠位端部を二分し、傾斜した遠位端部の先端を通って延びる軸が、傾斜した遠位端部の先端が血管に挿入されるように、血管に対して斜めになる(at an angle(ある角度にある))第1の構成と、ハウジングがシースの軸方向変位を抑制し、二分軸が実質的に血管に平行であるように、シースが回転する第2の構成との間でシースを移動させるようにシースに係合する拡張器(dilator)とを含むVCDアセンブリに関する。
【0005】
いくつかの実施形態では、VCDアセンブリは:シースであって:シース本体を通るチャネルを画定するシース本体、シース係合部、及びシース本体の近位端部に位置するシース取り付け部を有する、シースと;ハウジングであって、シース取り付け部は、シースがハウジングに対して回転可能であり、ハウジングがハウジングに対するシースの軸方向変位を抑制するように、ハウジング内に固定される、ハウジングと;拡張器であって:拡張器本体と、拡張器本体からシースに向かって延びる拡張器係合部とを有し、拡張器係合部は、シースに対する拡張器の軸方向変位がシースをハウジングに対して回転させるようにシース係合部に係合するように構成され、ハウジングは、回転中のシースの軸方向変位を抑制するように構成される、拡張器と;を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、傾斜した遠位端部を規定するシース本体と、シース本体の近位端部に位置するシース取り付け部とを有するシースと、シース取り付け部が配置されるハウジングと、ハウジングを通ってシースに係合する拡張器とを有する血管閉鎖デバイスアセンブリを作動させる方法であって、方法は:拡張器がシースに係合し、開口部が位置する血管の側部に対応する側部に傾斜した遠位端部の先端が位置するシースを第1の構成に移動させるように、拡張器の少なくとも一部をハウジングに挿入するステップと;第1の構成においてシースを組織通路(tissue track)へ挿入するステップと;シースの傾斜した遠位端部の先端を血管の壁を通って血管に挿入するステップと;拡張器がシースに係合し、シースをハウジングに対して回転させ、開口部が位置する血管の側部とは反対側の側部に傾斜した遠位端部の先端が位置する第2の構成に移動させ、ハウジングがハウジングに対するシースの軸方向の変位を抑制するように、拡張器をハウジングから離れて軸方向に変位させるステップと;を含む。
【0007】
前述の概念及び以下でより詳細に議論される追加の概念のすべての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しない限り)、本明細書に開示される主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる請求項に記載された主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される主題の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の前述の及び他の特徴は、添付図面と併せた以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示に従ったいくつかの実装のみを示しており、したがって、その範囲を限定しているとはみなされないことを理解した上で、添付図面を用いて、本開示を追加的な具体性と詳細をもって説明する。
【0009】
図1】一実施形態によるVCDアセンブリの概略ブロック図である。
図2】別の実施形態によるVCDアセンブリの正面、右、底面図である。
図3図2のVCDアセンブリの分解図である。
図4A図2のVCDアセンブリに含まれるシースの右側面図である。
図4B図2のVCDアセンブリに含まれるシースの左側面図である。
図5A】一実施形態による、図2のVCDアセンブリに含まれるハウジングの正面、右、底面図である。
図5B図5Aの線A-Aに沿って取られた図5Aのハウジングの断面図である。
図6】一実施形態による、ハウジングの取り付け構造に配置されたシースのシース取り付け部を示す図5A-5Bのハウジングの別の断面図である。
図7図2のVCDアセンブリに含まれる拡張器の正面、左、上面斜視図である。
図8A】第1の構成における図2のVCDアセンブリの正面右斜視図である。
図8B図8Aの矢印Xによって示される図8AのVCDアセンブリの一部の断面図である。
図8C】血管に挿入された図8AのVCDアセンブリのシースの傾斜した遠位端部の側面図である。
図8D】血管に挿入された後の傾斜した遠位端部の側面図である。
図9A】拡張器をハウジングから離れて変位させることによって第2の構成に移動される図2のVCDアセンブリの正面斜視図である。
図9B図9Aの矢印Yによって示される図9AのVCDアセンブリの一部の断面図である。
図9C】血管内のシースの傾斜した遠位端部の向きの側面図である。
図10A】第2の構成における図2のVCDアセンブリの正面斜視図である。
図10B図10Aの矢印Zによって示される図10AのVCDアセンブリの一部の断面図である。
図10C】第2の構成における血管内のシースの傾斜した遠位端部の向きの側面図である。
図11】第2の構成にアセンブリを移動させた後にアセンブリから拡張器を除去した図2のVCDアセンブリの側面斜視図である。
図12A】第1の向きで血管に挿入された図2のVCDアセンブリのシースの傾斜した遠位端部の側面図である。
図12B】血管内の第2の構成における傾斜した遠位端部の側面図である。
図12C】傾斜した遠位端部が第2の向きにあり、傾斜した遠位端部からアンカーが出ている状態で、組織通路を通って血管内に挿入されたシースの側面断面図である。
図13】一実施形態による、種々の血管内処置(例えば、動脈切開術)を行うためにVCD装置のシースを血管内に挿入する方法の概略フローチャートである。
【0010】
以下の詳細な説明全体を通して添付図面を参照する。図面では、文脈により別段の指示がない限り、通常、同様の記号は同様のコンポーネントを識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実装は、限定することを意味するものではない。ここに提示された主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実装が利用され、他の変更が行われ得る。本明細書に一般的に記載され、図に図示されている本開示の態様は、多種多様な異なる構成で構成され、置換され、結合され、設計され得ることが容易に理解される、それらのすべては明示的に意図され、本開示の一部とされる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される実施形態は、概して、血管に対するシースの適切な向きを得るためのシステム及び方法に関する。特に、本明細書に記載される実施形態は、傾斜した遠位端部及びハウジングに固定された近位端部を有するシースと、傾斜した遠位端部を二分し、傾斜した遠位端部の先端を通って延びる軸が、傾斜した遠位端部の先端が血管に挿入されるように、血管に対して斜めになる(ある角度になる)第1の構成と、二分軸が実質的に血管に平行であるように、ハウジングがシースの軸方向変位を抑制しながら、シースが回転する第2の構成との間でシースを移動させるようにシースに係合して拡張器とを含むVCDアセンブリに関する。
【0012】
いくつかのVCDは、止血が行われている血管に最初に挿入されるシースを含む。VCDの様々なコンポーネントは、シースを通って血管に向かって又は血管内に挿入され、シースは、血管に対してVCDの様々なコンポーネントを配置するのに役立ち得る。例えば、アンカーが、止血又は他の血管内処置を容易にするために、シースを通って(例えば、キャリアチューブを介して)血管内に挿入され得る。そのようなアンカーは、血管の壁に実質的に平行であることがしばしば望ましい。しかしながら、いくつかのシースは、傾斜した遠位端部を有する。傾斜した遠位端部を血管の壁に実質的に平行に、すなわち、ベベルアップ位置(bevel up position)で方向付けること(orienting)は、アンカーが血管の壁に実質的に平行に向けられることも可能にする。しかしながら、傾斜した遠位端部の大きな表面積が血管壁に接触し、必要な挿入力を増加させ、血管上の外傷を増加させる可能性があるため、血管壁に対する傾斜した遠位端部の平行な向きは、シースを血管内に挿入するために望ましくない。
【0013】
一方、先端が最初に血管壁に接触するように、傾斜した遠位端部を血管壁に対して斜めに(ある角度で)、すなわちベベルダウン位置(bevel down position)で方向付けることは、挿入を容易にする。しかし、この向きでは、アンカーもまた、血管内の血管壁に対して斜めに出て来て、これは望ましくない。例えば、シースを血管から引き出すときにアンカーが角度位置にある場合、誤ってアンカーを血管から引き出すことが比較的容易である。シースの手動回転は、複雑であり、所望の向きを達成することを困難にし、また、意図しない軸方向変位のために血管壁の反対側に穴を開けるリスクを増加させる。
【0014】
本明細書に記載されるVCDアセンブリの様々な実施形態は、例えば、以下を含む、1つ以上の利点を提供することができる:(1)シースの傾斜した遠位端部の先端が血管の壁を通って最初に挿入されるようにシースをベベルダウン位置に方向付けることにより、シースの血管への挿入を容易にすること;(2)ベベルダウン位置における挿入を可能にすることにより、血管への挿入力と外傷を低減すること;(3)拡張器の単純な軸方向の移動により、挿入後の傾斜した遠位端部のベベルアップ位置への再方向付けを容易にすることであって、これは、その軸方向の大きな変位を生じさせることなしに傾斜した遠位端部の角度の再方向付けを生じさせる、再方向付けを容易にすること;及び(4)止血を容易にするために、アンカーが血管に対して実質的に平行に方向付けられることを可能にすること。
【0015】
本明細書に記載されるとき、用語「近位端部」は、VCDアセンブリのユーザに近接する端部を意味し、用語「遠位端部」は、VCDアセンブリのユーザから遠位であり、VCDアセンブリを介して血管閉鎖処置又は他の血管内処置が行われている被験者に近接する端部を意味する。
【0016】
図1は、一実施形態によるVCDアセンブリ100(以下、「アセンブリ100」)の概略ブロック図である。アセンブリ100は、シース110、ハウジング130、及び拡張器150を含む。アセンブリ100は、血管止血を行うため、又は他の血管内処置(例えば、血管造影、血管形成術、ステント留置など)を行うために使用され得る。
【0017】
シース110は、組織通路を通って血管V(例えば、静脈又は動脈)に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態では、シース110は、シース本体であって、シース本体を通るチャネルを画定するシース本体を含む。チャネルは、種々の止血コンポーネント又は他の血管内コンポーネントの通過を可能にするように構成される。このようなコンポーネントは、ガイドワイヤ、キャリアチューブ、バルーンチューブ、アンカーチューブ針等を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シース本体は、先端を含み、血管Vに挿入されるように構成される傾斜した遠位端部を含む。前述したように、傾斜した遠位端部の先端が血管壁に接触し、血管壁を通って挿入されるように、傾斜した遠位端部を血管壁に対して斜めに(ある角度で)方向付けることが望ましい。
【0018】
シース110は、シース本体の近位端部に位置するシース取り付け部を含み得る。シース取り付け部は、シース取り付け部がハウジング130に対して回転可能であり、ハウジング130がハウジング130に対するシースの軸方向変位を抑制するように、ハウジング130内に配置され得る。例えば、ハウジング130は、ハウジング130内に規定された取り付け構造を含み得、シース取り付け部は、取り付け構造内に配置される。いくつかの実施形態では、シース取り付け部は、円筒形であり、シース本体の直径よりも大きい直径を有し得る。そのような実施形態では、取り付け構造は、拡張器150に近接して位置するハウジング130の近位壁から離れてシース110に向かって延びる円筒壁を含む。レッジ(ledge(出っ張り))が、円筒壁の遠位縁から半径方向内側に延び得る。シース取り付け部は、ハウジング130に対するシース110の回転を許容しながら軸方向変位を抑制するために、ハウジング130の近位壁の軸方向遠位面とレッジの近位面との間に取り付け部が固定されるように、円筒壁の軸方向長さに対応する軸方向長さを有し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、シース110は、拡張器150によって係合されるように構成されたシース係合部を含み得る。いくつかの実施形態では、拡張器150は、拡張器本体と、拡張器本体からシース110に向かって延びる拡張器係合部とを含み得る。拡張器係合部は、シース110に対する拡張器150の軸方向変位がシースをハウジング130に対して回転させるようにシース係合部に係合するように構成され、一方、ハウジングはシース110の軸方向変位を抑制するように構成される。
【0020】
例えば、拡張器150は、アセンブリ100を第1の構成と第2の構成との間で移動させるように構成され得る。第1の構成では、拡張器本体はシース110に近接しており、拡張器係合部は第1の位置でシース係合部に係合し、傾斜した遠位端部の先端は、例えば、第1の回転位置に位置し、この第1の回転位置では、傾斜した遠位端部の先端は、血管Vに定められた開口部が位置する血管Vの側部に対応する側部に位置する。また、第1の構成では、傾斜した遠位端部を二分して先端を通って延びる二分軸が、血管に対してある角度で方向付けられる。したがって、第1の構成では、シース110は、アセンブリ100が血管Vに向かって軸方向に変位するときに、最初に血管に入るためにシース110の傾斜した遠位端部が血管Vに近接して位置するように方向付けられる。これは、シース110の傾斜した遠位端部の血管Vへの挿入を容易にする。
【0021】
第2の構成において、拡張器係合部は、第1の位置の近位にある第2の位置でシース係合部と係合し、傾斜した遠位端部の先端は、第1の回転位置から回転的にオフセットされた第2の回転位置に位置する。さらに拡大して、拡張器本体は、傾斜した遠位端部の先端は、開口が位置する血管Vの側部とは反対側の側部に位置するように、拡張器150が係合してシース110をハウジング130に対して回転させるようにシース110から軸方向に離れて移動される。ハウジング130は、ハウジング130に対するシース110の軸方向変位を抑制する。第2の構成では、二分軸は、血管V、例えば、シース110が挿入される血管Vの壁に、実質的に平行であり得る。本明細書に記載されるとき、二分軸に関して「実質的に平行」という用語は、二分軸、ひいては、傾斜した遠位端部によって形成されるシース110の端面が、血管Vに対して±10°の範囲内のある角度で方向付けられることを意味する。回転は、傾斜した遠位端部が血管壁を通って血管内に挿入された後に実行され得る。二分軸、それによって、シース110の傾斜した遠位端部が実質的に血管壁に平行であることは、シース110によって画定されるチャネルを通って血管V内に送られる(communicated)アンカーを、所望の方向、例えば、実質的に血管壁に平行に方向付けることを容易にする。いくつかの実施形態では、シース110は、第2の回転位置が第1の回転位置から約180°回転オフセットされるように、第1の構成と第2の構成との間で約180°(例えば、160°から200°までの範囲で、160°、200°を含む)のある角度で回転可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、拡張器係合部は、拡張器150からシース110に向かって延びる1つ以上の拡張器アーム(例えば、1個、2個、3個、4個又はそれ以上の拡張器アーム)を含む。そのような実施形態では、ハウジング130は、拡張器アームの数に対応する1つ以上のスロットを画定する。1つ以上の拡張器アームの各々は、例えば、前述したように、アセンブリを第1の構成と第2の構成との間で移動させるためにシース係合部と係合するために、1つ以上のスロットの対応するスロットを通ってシース係合部に向かって延び得る。他の実施形態では、拡張器150は、シース110と係合するための任意の他の構造を含み得、拡張器アームは除外され得る。
【0023】
拡張器係合部は、拡張器本体がハウジング130に対して軸方向に変位するときにシース110の回転を引き起こすようにシース110と係合する任意の適切な構造を含み得る。このような構造は、例えば、拡張器アームの1つ以上に規定された突起、リードスクリュー、カム、ギア、ねじ山(threads)等を含み得る。いくつかの実施形態では、シース係合部は、溝、例えば、螺旋溝を規定する。例えば、シース係合部は、傾斜した遠位端部とシース取り付け部との間に配置された円筒構造を含み得、少なくともシース本体、及びいくつかの実施形態では、シース取り付け部よりも大きな直径を有し得る。いくつかの実施形態では、シース係合部の少なくとも一部は、ハウジング130内に配置され得る。溝は、シース係合部の外面上に規定され得る。そのような実施形態では、拡張器係合部は、1つ以上の拡張器アームの対応する拡張器アームから溝に突出する係合部材(例えば、突起又はピン)を含み得る。
【0024】
第1の構成では、係合部材は、溝の遠位端に位置する。拡張器150がハウジング130から軸方向に離れるように移動されると、軸方向の移動は、係合部材を溝に係合させ、例えば、溝に沿ってスライドするか、溝に沿って動く(ride)。ハウジング130はシース110の軸方向の変位を抑制するので、係合部材及びそれによりシース110を、係合部材が溝の近位端に位置し、アセンブリ100がシース110の回転により、例えば約180度の角度で第2の構成になるまで、ハウジング130に対して回転させる。
【0025】
いくつかの実施形態では、溝の近位端は、アセンブリ100が第2の構成になると、拡張器150がハウジング130から離れる軸方向の変位により、係合部材が溝から外れ、拡張器150がアセンブリ100から取り外されることを可能にするように構成される。例えば、溝の近位端は、係合部材が溝からスライドして外れることを可能にするランプを形成し得る。他の実施形態では、垂直チャネルがシース係合部の近位エッジから溝の近位端までのシース係合部の外面上に画定され得る。いったん係合部材が近位端にあると、シース110から離れる拡張器150の軸方向変位は、係合部材、ひいては拡張器係合部がシース係合部から外れて、拡張器150がアセンブリ100から取り外されることを可能にするように、係合部材を垂直チャネル内にスライドさせ、最終的には垂直チャネルから外し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、拡張器150は、シース110に向かって拡張器本体から軸方向に延び、シース110を通って画定されるチャネルを通って取り外し可能に配置される内側の細長い部材を含み得る。内側の細長い部材は、シース110に対して拡張器150を軸方向に整列させ、シース110に対する拡張器150の横方向の動きを抑制する役割を果たし得る。このような実施形態では、ハウジング130は、拡張器150に近接して位置するハウジングの近位壁を通る開口を画定し得る。内側の細長い部材は、開口を通ってシース110によって画定されたチャネル内に取り外し可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、内側の細長い部材は、それを通って流体(例、生理食塩水又は薬液)が血管Vを拡張するために挿入され得るチャネルを画定し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤが、シース110を通って血管Vに挿入され得、内側の細長い部材は、ガイドワイヤに沿ってシース110を通って挿入され得る。
【0027】
図2~11を参照して、一実施形態によるVCDアセンブリ200(以下、「アセンブリ200」)の種々の図を示す。アセンブリ200は、シース210、ハウジング230、及び拡張器250を含む。アセンブリ200は、図1を参照して説明されたアセンブリ100の特徴を組み込むことができる。アセンブリ200は、血管止血を行うため又は他の血管内処置(例えば、血管形成術、ステント留置など)を行うために使用され得る。
【0028】
図3及び図4a図4bに示されるように、シース210はシース本体を含み、シース本体212は、そこを通るチャネル222を画定する円筒形チューブ状構造であり得る。シース210は、組織通路を通って血管(例えば、動脈又は静脈のような血管V)に挿入されるように構成される。チャネル222は、様々な止血コンポーネント又は他の血管内コンポーネント(例えば、ガイドワイヤ、キャリアチューブ、バルーンチューブ、アンカーチューブ、針等)の血管内への通過を可能にするように構成される。シース本体212は、先端213を形成する傾斜した遠位端部214を含む。傾斜した遠位端部214は、血管内に挿入されるように構成される。先に説明したように、傾斜した遠位端部214の先端213が、最初に血管壁に接触し、最初に血管壁を通って挿入されるように、傾斜した遠位端部214を血管の壁に対して斜めに(ある角度で)方向付けることが望ましい。いくつかの実施形態では、傾斜した遠位端部214は、アセンブリ200の垂直軸ALに垂直な水平軸AH及び傾斜した遠位端部を二分して先端213を通って延びる二分軸ABに対して角度α(例えば、30°から60°までの範囲で)を定め得る。
【0029】
シース210は、シース本体212の近位端部に位置するシース取り付け部220を含む。シース取り付け部220は、シース取り付け部220がハウジング230に対して回転可能であり、ハウジング230がハウジング230に対するシース210の軸方向変位を抑制するように、ハウジング230内に配置することができる。シース本体212は第1直径D1を有し得、シース取り付け部220は第1直径D1よりも大きい第2直径D2を有し得る。シース本体212は、シース係合部216から内側に位置し、シース取り付け部220から遠位に位置するように寸法決めされた中央部226を含むことができる。図6に示すように、中央部226は、シース本体212の第1直径D1よりも大きな直径を有することができる。
【0030】
さらに拡大して、図5A図6に示すように、ハウジング230は、拡張器250から遠位の第1の端部で開口しているハウジング本体232を含み、第1の端部と反対側で、第1の端部に対して拡張器250に近接している第2の端部に近位壁233を含む。ハウジング本体232は、矢印Aで示される位置に取り付け構造236が配置される内部容積を規定する。取り付け構造236は、近位壁233からシース210に向かって延びる円筒壁237を含む。レッジ238が、近位壁233と反対側の取り付け構造236の端部に開口が画定されるように、円筒壁237の遠位縁から半径方向内側に延びる。いくつかの実施形態では、開口は、シース本体212の第1直径D1に対応する直径を有し得る。
【0031】
図6に示すように、シース取り付け部220は、取り付け構造236内に配置され、シース本体212は、開口を通って配置され、ハウジング230から軸方向に離れて延びる。シース取り付け部220は、円筒壁237の軸方向の長さに対応する(すなわち、近位壁233とレッジ238との間の距離に対応する)軸方向の長さを有し得、直径D2は、シース取り付け部220が近位壁233の遠位面とレッジ238の近位面との間に固定されるように、レッジ238の内径より大きくすることができる。このようにして、取り付け構造236は、ハウジング230に対するシース210の回転を可能にしながら、ハウジング230に対するシース210の軸方向の変位を抑制する。
【0032】
シース210は、本明細書でさらに詳細に説明するように、拡張器250によって係合されるように構成されたシース係合部216も含む。シース係合部216は、遠位端217と近位端219とを有する螺旋溝218を画定する。図4A図4Bに示すように、シース係合部216は、傾斜した遠位端部214とシース取り付け部220との間に配置された円筒構造を含む。シース係合部216は、第2直径D2より大きい第3直径D3を有する。シース係合部216の少なくとも一部は、ハウジング230内に配置され得る。螺旋溝218は、シース係合部216の外面上に画定され得る。
【0033】
図7に示すように、拡張器250は、拡張器本体252と、拡張器本体252からシース210に向かって延びる拡張器係合部253とを含み得る。いくつかの実施形態では、拡張器250は、拡張器本体252から離れてシース210に向かって軸方向に延び、シース210を通って画定されるチャネル222を通って取り外し可能に配置される内側の細長い部材260を含み得る。内側の細長い部材260は、シース210に対して拡張器250を軸方向に整列させ、シース210に対する拡張器250の横方向の移動を抑制し、及び/又は内側の細長い部材260を通って画定されるチャネルを通る血管への拡張流体の挿入を可能にする役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、アセンブリ200は、(例えば、シース210を血管に挿入する前に)血管内にシース210によって画定されるチャネル222を通って挿入されるガイドワイヤ(図示せず)と、シース210を通ってガイドワイヤに沿って案内される内側の細長い部材260とを含み得る。例えば、内側の細長い部材260は、内側の細長い部材260がガイドワイヤの上でシース210内に挿入できるように中空であり得る。
【0034】
図5A図5Bに示されるように、ハウジング230は、取り付け構造236内のハウジング230の近位壁233を通る開口部235を形成する。内側の細長い部材260は、開口部235を通ってシース210によって画定されるチャネル222内に取り外し可能に配置することができ、内側の細長い部材260の遠位端部がシース210の傾斜した遠位端部214を通って突出するように、シース本体212の長さよりも長い長さを有し得る。
【0035】
拡張器係合部253は、ハウジング230に対する拡張器250の軸方向変位がシース210をハウジング230に対して回転させ、一方、ハウジング230がシース210の軸方向変位を抑制するように、シース係合部216に係合するように構成される。拡張器係合部253は、拡張器本体252の反対側の横方向エッジからシース210に向かって軸方向に延びる第1の拡張器アーム254a及び第2の拡張器アーム254bを含む。図5A図6に示すように、ハウジング230の近位壁233は、第1のスロット234a及び第2のスロット234bを規定し、これらは、それぞれそれらを通って、第1の拡張器アーム254a及び第2の拡張器アーム254bを受け入れるように構成される。第1の拡張器アーム254a及び第2の拡張器アーム254bは、第1のスロット234a及び第2のスロット234bを通ってシース係合部216に向かって延びることができる。
【0036】
図3及び図7に示すように、拡張器係合部253は、螺旋溝218に受け入れられるように第1の拡張器アーム254aから突出する係合部材256(例えば、突起又はピン)を含む。係合部材256は、螺旋溝218に沿って動くことによって拡張器250が垂直軸ALに沿って(例えば、ハウジング230から離れて(又は向かって))軸方向に変位するときに、シース210を回転させるように構成される。図3及び図7は、とりわけ、係合部材256が第1の拡張器アーム254aから突出しており(例えば、係合アセンブリの雄部分を形成する)、螺旋溝218がシース係合部216に延びている(例えば、係合アセンブリの雌部分を形成する)ことを示している。いくつかの実施形態では、1つ以上の突出部材をシース係合部材216に設ける(例えば、係合アセンブリの雄部分を形成する)ことができ、溝を一方又は両方の拡張器アーム254a、254bに設けることができる。さらに拡大して、図8A図8Bは、第1の構成におけるアセンブリ200を示す。第1の構成では、拡張器本体252は、ハウジング230の軸方向に近接して位置し、係合部材256は、図8Bの矢印Bで示されるアセンブリ200の部分に見えるように、螺旋溝218の遠位端217に位置し、傾斜した遠位端部214は、第1の回転位置に位置する。
【0037】
また、図8Cに示されるように、シース本体212は、二分軸ABが血管Vに対して斜めになるように方向付けられ、シース本体212の傾斜した遠位端部214の先端213は、図8Cに示されるように、アセンブリ200が血管Vに向かって軸方向に変位するとき(例えば、シース210が血管Vに向かってある角度で挿入されるとき)最初に血管Vに入るように血管Vに近接して位置するように構成される。これは、図8Dに示されるように、第1の構成にある間のシース210の傾斜した遠位端部214の血管Vへの挿入を容易にする。いくつかの実施形態では、内側の細長い部材260は、例えば、止血を達成するためにアセンブリ200を介して閉鎖されるべき血管Vに形成された開口部を介して、最初に血管Vに挿入される。
【0038】
アセンブリ200を第2の構成に移動させるために、拡張器250は、図9Aの矢印Cで示される方向にハウジング230から離れて軸方向に移動される。例えば、ユーザは、拡張器250をハウジング230から引き離しながら、ハウジング230を保持することができる。図9A図9Bに示されるように、拡張器250の軸方向の変位は、螺旋溝218と接触している係合部材256を、矢印Eで示されるアセンブリの部分に見えるように、シース210の傾斜した遠位端部214から離れて軸方向に変位させる。しかしながら、シース210はハウジング230を介して軸方向の並進を抑制されるので、係合部材256が螺旋溝218に及ぼす直線的な力は、シース係合部216及びそれによって、シース210を図9Aの矢印Dで示される方向に回転させる。これはまた、図9Cに示されるように、シース210の傾斜した遠位端部214を回転させる(例えば、傾斜した遠位端部214は、図8Dに示された向きに対して時計回りに約90°回転している)。
【0039】
矢印Cで示される方向のハウジング230から離れる拡張器250の軸方向の継続的な変位は、アセンブリ200を図10Aに示される第2の構成に移動させる。第2の構成では、係合部材256は、図10Bの矢印Fで示されるアセンブリ200の部分に見えるように、螺旋溝218の近位端219に位置する。第2の構成では、図10Cに示されるように、傾斜した遠位端部214は、図9Cに示される向きよりもさらに時計回りに約90°回転することができる。例えば、第2の構成では、シース本体212をさらに回転させることなく、二分軸ABが血管に対して実質的に平行であり、傾斜した遠位端部214が血管V(例えば、近位血管壁)に対して実質的に平行であるか、又はそのように方向付けられるように、シース本体212を方向付けることができる。二分軸ABと血管Vの相対的な向きは、例えば、血管Vの曲率、垂直軸ALの角度、及び角度αのような要因に依存することができる。シース本体212は、傾斜した遠位端部214がまだ血管V内にある間に、第1の構成から第2の構成に回転する。いくつかの実施形態では、シース210は、第1の構成と第2の構成との間で約180度(例えば、160°から200°までの範囲)の角度だけ回転可能である。
【0040】
したがって、図12Aに示されるように、傾斜した遠位端部214は、二分軸ABが血管に対して斜めに(ある角度で)(例えば、平行ではない)で方向付けられ、先端213が最初に血管Vの壁を貫通するように、血管Vに(例えば、図12Cに示すような組織通路TTを通って)挿入される。挿入後(例えば、先端213が血管Vの壁の開口を通過した後)、図12Bに示されるように、アセンブリ200は、傾斜した遠位端部214が実質的に血管Vの壁に平行になるようにシース210を回転させる拡張器250の軸方向変位を介して第2の構成に移動される。図12Cに示されるように、シース210は、二分軸AB、したがってシース210の傾斜した遠位端部214が実質的に血管V(例えば、血管Vの近位壁)に平行になるように、組織Tに画定された組織通路TTを通って血管Vへの挿入後に再び方向付けられる。これにより、シース210によって画定されるチャネル222を通って血管V内に送られるアンカーAを、所望の向き、例えば、血管Vの壁に対して実質的に平行に方向付けることが容易になる。
【0041】
図11に示されるように、アセンブリ200が第2の構成になると、拡張器250をハウジング230から離れて軸方向に移動させ続けることは、拡張器250がハウジング230から、そして、内側の細長い部材260がシース210から引き出されると、最終的にはアセンブリ200から取り外されるように、拡張器250をシース係合部216から係合解除させる。いくつかの実施形態では、螺旋溝218の近位端219は、アセンブリ200が第2の構成になると、拡張器250のシース210から離れた軸方向の変位が、係合部材256を螺旋溝218から係合解除させるように構成される。例えば、螺旋溝218の近位端219は、係合部材256が螺旋溝218からスライドして出ることを可能にするランプを形成し得る。
【0042】
他の実施形態では、垂直チャネルが、ハウジング230の近位壁233に近接して位置するシース係合部216の近位エッジから螺旋溝218の近位端219まで、シース係合部216の外面上に画定され得る。係合部材256が近位端219にあると、シース210から離れた拡張器250の軸方向変位は、係合部材256を垂直チャネル内にスライドさせ、係合部材256、ひいては拡張器250がシース係合部216から係合解除されて、拡張器250がアセンブリ200から取り外されることを可能にするように、最終的に垂直チャネルからスライドして出させ得る。
【0043】
図13は、傾斜した遠位端部(例えば、傾斜した遠位端部214)を規定するシース本体(例えば、シース本体212)と、シース本体の近位端部に位置するシース取り付け部(例えば、シース取り付け部220)とを有するシース(例えば、シース110、210)を含むVCDアセンブリ(例えば、アセンブリ100、200)を動作させるための例示的な方法300の概略フロー図である。アセンブリはまたハウジング(例えば、ハウジング130、230)と、ハウジングを通ってシースに係合する拡張器(例えば、拡張器150、250)とを含み得る。方法300は、アセンブリ200に関して説明されているが、方法300の動作は、アセンブリ100又は本明細書に記載されているものと類似したコンポーネントを含む任意の他のアセンブリに同様に適用可能であることが理解されるべきである。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法300は、拡張器250がシース210に係合し、シース210を、傾斜した遠位端部214の先端213が、開口部が位置する血管Vの側部に対応する側部に位置する第1の構成に移動させるように、302において拡張器250の少なくとも一部をハウジング230に挿入することを含む。例えば、拡張器アーム254a/bは、それぞれスロット234a/bを通って挿入され得、係合部材256が螺旋溝218に挿入され、螺旋溝218の遠位端217に向かって螺旋溝218を動くまで、拡張器250はハウジング230に向かって軸方向に変位され得、それによってシース210を回転させ、第1の構成に移動させる。いくつかの実施形態では、拡張器250は、内側の細長い部材260を含み得る。そのような実施形態では、内側の細長い部材260は、シース210によって画定されるチャネル222に開口部235を通って最初に挿入され、内側の細長い部材260は、拡張器250とシース210との軸方向の位置合わせを容易にする。前述したように、傾斜した遠位端部214は、先端213が血管Vの壁に近接して位置するように、処置(例、止血)が行われている血管Vの壁に対して斜めに傾斜している。
【0045】
304において、シース210は、第1の構成のまま、血管Vに向かって組織通路TTに挿入される。先に説明したように、二分軸ABは、血管Vに対して斜めに方向付けられる。306において、傾斜した遠位端部214の先端213は、先に説明したように、所望の深さまで、血管Vの壁を通って(例えば、血管内の開口部を通って)血管Vに挿入される。
【0046】
308において、拡張器250は、拡張器250がシース210に係合し、シース210をハウジング230に対して回転させるように、ハウジング230から離れて軸方向に変位される。例えば、係合部材256は、シース係合部216及びそれによって、シース210を回転させ、二分軸ABが血管Vの壁に実質的に平行である第2の構成に移動させる螺旋溝218に係合し、一方、ハウジング230は、ハウジング230に対するシース210の軸方向変位を抑制する。いくつかの実施形態では、シース210は、第1の構成と第2の構成との間で約180°角度回転する。
【0047】
310において、拡張器250は、前述のように、拡張器250が、シース210から係合解除し(例えば、係合部材256の螺旋溝218からの係合解除によって)、その後、ハウジング230から取り外されるように、拡張器250をハウジング230から離れて軸方向に変位させ続けることによってアセンブリ200から取り外され得る。312において、アンカー(例えば、バルーン又はキャリアチューブに配置された他の構造物などのアンカーA)は、アンカーが傾斜した遠位端部214から出て、血管Vの壁に実質的に平行に配置されるように、シース210を通って挿入される。アンカーは、血管止血又は他の血管処置を行うために使用され得る。
【0048】
様々な実施形態を記述するために本明細書で使用される用語「例」は、そのような実施形態が可能な実施形態の可能な例、表現及び/又は例示であることを示すことを意図されていること(及び、そのような用語は、そのような実施形態が必ずしも特別な又は最上級の例であることを暗示することを意図されていないこと)が留意されるべきである。
【0049】
本明細書で使用される用語「結合された」及び類似の用語は、2つの部材が互いに直接又は間接的に結合することを意味する。そのような結合は、固定(例えば、永久)又は可動(例えば、取り外し可能又は解放可能)であり得る。そのような結合は、2つの部材又は2つの部材及び追加の中間部材が互いに一体的に単一の本体として形成されているか、又は、2つの部材又は2つの部材及び追加の中間部材が互いに結合されている状態で達成され得る。
【0050】
種々の例示的な実施形態の構成及び配置は例示的なものにすぎないことに留意することが重要である。本開示では少数の実施形態のみが詳細に記載されているが、本開示をレビューする当業者は、本明細書に記載された主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率の変化、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向き等)が可能であることを容易に理解するであろう。さらに、本明細書に開示された1つの実施形態の特徴は、当業者が理解するように、本明細書に開示された他の実施形態の特徴と組み合わせることができることを理解すべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の例示的な実施形態の設計、動作条件及び配置において、他の置換、修正、変更及び省略を行うこともできる。
【0051】
本明細書には多くの具体的な実装の詳細が含まれているが、これらは発明の範囲又は請求項に記載され得るものの範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実装に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実装のコンテキストでこの明細書に記述されている特定の特徴は、単一の実装の組み合わせで実装することもできる。逆に、単一の実装のコンテキストで記述されているさまざまな特徴は、複数の実装で個別に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで動作するように上記で説明され、最初にそのように請求項に記載され得るが、請求項に記載された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除され、請求項に記載された組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションのバリエーションに向けられてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13
【国際調査報告】