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特表2024-508476生体部分を保持するための幾何学的に変形可能なインプラント可能な封じ込めデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】生体部分を保持するための幾何学的に変形可能なインプラント可能な封じ込めデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/40 20060101AFI20240219BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240219BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240219BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240219BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240219BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240219BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240219BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20240219BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240219BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20240219BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240219BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20240219BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20240219BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240219BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61L27/40
A61K35/12
A61K35/76
A61K35/74
A61K38/17
A61K39/395 A
A61K39/395 H
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/711
A61K35/545
A61L27/38
A61L27/54
A61L27/36 200
C12N5/00
C12N1/20 E
C12N1/16 Z
C12N1/14 Z
C12M1/00 A
C12M3/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552115
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021019590
(87)【国際公開番号】W WO2022182348
(87)【国際公開日】2022-09-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】レジーナ エム.デル
(72)【発明者】
【氏名】ポール ディー.ドラムヘラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ビー.ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】エリン ハッチンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン テテンボーン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C081
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029CC02
4B029GA08
4B029GB10
4B065AC20
4B065BC41
4B065CA43
4B065CA44
4B065CA46
4C081BA13
4C081BB06
4C081CD11
4C081CD34
4C081CD35
4C081DA16
4C081DC04
4C084AA13
4C084BA03
4C084MA55
4C084MA65
4C084NA13
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA65
4C086NA13
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB61
4C087BB63
4C087BC30
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA55
4C087MA65
4C087NA13
(57)【要約】
本明細書において、内層、外層、前記内層と前記外層の間に配置された細胞封じ込め層、及び、前記内層と前記外層を分離距離だけ分離するために前記細胞封じ込め層内に配置された構造要素を含む、カプセル化デバイスは記載される。構造要素は、生物学的部分(細胞など)を内部に保持するためのリザーバ空間を画定する。構造要素は、カプセル化デバイス内での幾何学的変化を受けるとき、又は細胞カプセル化デバイスの圧潰及びそれに続く膨張中などの、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持する。幾つかの実施形態において、前記内層と前記細胞封じ込め層との間に強化層は配置される。さらに、カプセル化デバイスは少なくとも1つの形態要素を含むことができる。カプセル化デバイスを体導管内に管腔内的に、管腔外的に及び観血的外科手術を介して配置する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層、
外層、及び、
前記内層と前記外層との間に配置され、前記内層と前記外層との間の分離距離を維持するために内部に配置された構造要素を含む封じ込め層、ここで、前記構造要素は少なくとも1つの生物学的部分を内部に配置するための複数のリザーバ空間を画定する、
を含む、インプラント可能なカプセル化デバイスであって、
前記構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で前記分離距離を維持し、
前記内層と前記外層の少なくとも一方は、細胞開放層及び細胞保持層を含む複合体層であり、そして
前記カプセル化デバイスは、実質的に管状の構成を有し、第一の直径を有する第一の管状構成から第二の直径を有する第二の管状構成まで構成可能である、インプラント可能なカプセル化デバイス。
【請求項2】
前記生物学的部分を前記リザーバ空間内に配置するために、前記構造要素の間で前記リザーバ空間の少なくとも1つの中に配置される充填チューブを含む、請求項1記載のカプセル化デバイス。
【請求項3】
前記内層と前記封じ込め層との間に配置された強化層を含む、請求項1又は請求項2記載のカプセル化デバイス。
【請求項4】
前記外層と前記封じ込め層との間に配置された強化層を含む、請求項1又は請求項2記載のカプセル化デバイス。
【請求項5】
前記外層の外側に配置された強化層を含む、請求項1又は請求項2記載のカプセル化デバイス。
【請求項6】
前記強化層は形状記憶材料を含む、請求項3~5のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項7】
前記内層は、細胞開放層及び第一の細胞保持層を含む複合体層であり、そして
前記外層は第二の細胞保持層である、請求項1~6のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項8】
前記外層は、細胞開放層及び第一の細胞保持層を含む複合体層であり、そして
前記内層は第二の細胞保持層である、請求項1~7のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項9】
前記内層は、第一の細胞開放層及び第一の細胞保持層を含む第一の複合体層であり、そして
前記外層は、第二の細胞開放層及び第二の細胞保持層を含む第二の複合体層である、請求項1~8のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項10】
前記構造要素は形状記憶材料を含む、請求項1~9のいずれか1項記載のカプセル化層。
【請求項11】
前記少なくとも1つの生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子、DNA、RNA及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~10のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項12】
前記細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、幹細胞及びそれらの組み合わせから選択される、請求項11記載のカプセル化デバイス。
【請求項13】
前記内層と前記外層のうちの少なくとも1つは細胞開放層であり、そして
前記少なくとも1つの生物学的部分はマイクロカプセル化されている、請求項1~12のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項14】
前記構造要素は、前記第一の層及び前記第二の層の少なくとも一方に接着されている、請求項1~13のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項15】
前記内層は、第一の細胞開放層を含む第一の複合体層であり、前記外層は、第二の細胞開放層を含む第二の複合体層であり、
前記構造要素は、前記第一の複合体層及び前記第二の複合体層の第一の細胞開放層及び第二の細胞開放層に接着されており、そして
前記構造要素は、前記第一の細胞開放層又は前記第二の細胞開放層の細孔内に侵入しない、請求項1~14のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項16】
少なくとも2つのリザーバ空間は流体的に相互接続されている、請求項1~15のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項17】
少なくとも2つのリザーバ空間は別々である、請求項1~15のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項18】
第一の細胞開放層及び第一の細胞保持層を含む第一の複合体層、
第二の細胞開放層及び第二の細胞保持層を含む第二の複合体層、
前記第一の複合体層と前記第二の複合体層との間に配置された封じ込め層、ここで、前記封じ込め層は、前記第一の複合体層と前記第二の複合体層との間の分離距離を維持するために、内部に配置された構造要素を含み、前記構造要素は、少なくとも1つの生物学的部分を内部に配置するために、複数のリザーバ空間を画定している、及び、
形状記憶材料を含む少なくとも1つの形態要素、
を含む、カプセル化デバイスであって、
前記カプセル化デバイスは、第一の幾何学的構成と第二の幾何学的構成との間で構成可能である、カプセル化デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの形態要素は第一の細胞開放層と前記第一の細胞保持層との間に配置される、請求項18記載のカプセル化デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの形態要素は前記第二の細胞開放層と前記第二の細胞保持層との間に配置される、請求項18又は請求項19記載のカプセル化デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第一の形態要素は前記第一の細胞開放層と前記第一の細胞保持層との間に配置され、前記少なくとも1つの第二の形態要素は前記第二の細胞開放層と前記第二の細胞保持層との間に配置される、請求項18~20のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つの形態要素は前記第一の細胞開放層上の外側に配置され、前記第一の細胞開放層は前記カプセル化デバイスの外面を形成する、請求項18~20のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの形態要素は前記第二の細胞開放層上の外側に配置され、前記第二の細胞開放層は前記カプセル化デバイスの外面を形成する、請求項18~20のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの形態要素は前記構造要素を置き換え、前記第一の複合体層と前記第二の複合体層との間に配置される、請求項18~20のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項25】
前記生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子、DNA、RNA及びそれらの組み合わせから選択される、請求項18~24のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項26】
前記細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、非哺乳動物細胞、幹細胞及びそれらの組み合わせから選択される、請求項25記載のカプセル化デバイス。
【請求項27】
前記構造要素は、前記第一の複合体層の前記第一の細胞開放層及び前記第二の複合体層の前記第二の細胞開放層に接着されており、
前記構造要素は、前記第一の細胞開放層又は前記第二の細胞開放層の細孔に侵入しない、請求項18~26のいずれか1項記載カプセル化デバイス。
【請求項28】
前記細胞封じ込め層内の前記複数のリザーバ空間は相互接続されている、請求項18~27のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項29】
前記細胞封じ込め層内の前記複数のリザーバ空間は別々である、請求項18~28のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項30】
前記構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で前記分離距離を維持する、請求項18~29のいずれか1項記載のカプセル化デバイス。
【請求項31】
管腔内デバイスを配置する方法であって、
内面を有する体導管にアクセスすること、
カテーテルを前記体導管上の標的位置点までたどること、及び、
前記体導管内でカプセル化デバイスを展開すること、ここで、前記カプセル化デバイスは前記体導管に適合するように構成されている、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間、前記少なくとも1つのリザーバ空間の第一の側にある第一の細胞開放層、ここで、前記第一の細胞開放層は前記体導管の前記内面に面する、及び、前記リザーバ空間の第二の側にある第一の細胞保持層を含む、方法。
【請求項32】
前記カプセル化デバイスは、前記第一の細胞保持層に隣接しそして前記体導管の中心部分に面する第二の細胞開放層を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記カプセル化デバイスは、前記第一の細胞開放層と前記少なくとも1つのリザーバ空間との間に配置される第二の細胞保持層を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのリザーバ空間は、前記少なくとも1つのリザーバ空間を画定する構造要素を内部に含む封じ込め層内に配置される、請求項31~34のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持する、請求項34記載の方法。
【請求項36】
ガイドワイヤを挿入すること、及び、ガイドワイヤ上でカテーテルを標的位置点までたどることを含む、請求項31~35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される、請求項31~36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記カプセル化デバイスは、内視鏡的に展開され、膀胱鏡的に展開され、腹腔鏡的に展開され、又は気管支鏡的に展開される、請求項31~37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管に放出する、請求項31~38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記体導管は血管である、請求項31~39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前記体導管は胃腸導管である、請求項31~40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
管腔内デバイスを配置する方法であって、
標的位置点で体導管にアクセスすること、
カテーテルを前記標的位置点までたどること、及び、
前記標的位置点でカプセル化デバイスを展開すること、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、前記少なくとも1つのリザーバ空間は、少なくとも1つの構造要素が内部に配置された封じ込め層内に配置され、そして
展開中に分離距離が維持される、方法。
【請求項43】
ガイドワイヤを挿入すること、及び、ガイドワイヤ上でカテーテルを前記標的位置点までたどることを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記カプセル化デバイスは、内視鏡的に展開され、膀胱鏡的に展開され、腹腔鏡的に展開され、又は気管支鏡的に展開される、請求項42~44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管に放出する、請求項42~45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記体導管は血管である、請求項42~46のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記体導管は胃腸導管である、請求項42~46のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
前記体導管の内面に隣接して配置された細胞開放層を含む、請求項42~48のいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
前記カプセル化デバイスの内層として細胞保持層を含む、請求項42~49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
第一の細胞開放層は前記封じ込め層の第一の側に配置され、そして第二の細胞開放層は前記封じ込め層の第二の側に配置される、請求項42~50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
管腔外デバイスを配置する方法であって、
第一の標的入口点で第一の体導管にアクセスすること、
前記第一の標的入口点で前記第一の体導管内にガイドワイヤを挿入すること、
前記ガイドワイヤ上でカテーテルを前記第一の体導管上の標的出口点までたどること、
付属ツールを使用して、標的出口点で前記第一の体導管を出ること、
第二の体導管上の第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、
付属ツールを使用して、前記第二の体導管に入ること、及び、
前記第二の体導管上の前記第二の標的入口点でカプセル化デバイスを展開すること、ここで、前記カプセル化デバイスは、内部に生物学的部分を含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、前記少なくとも1つのリザーバ空間はその上に第一の細胞保持層を有する、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、前記第一の体導管と前記第二の体導管とを接続する第三の導管を形成し、そして
前記細胞保持層は、前記第三の体導管の内層を形成する、方法。
【請求項53】
前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記カプセル化デバイスは、内視鏡的に展開され、膀胱鏡的に展開され、腹腔鏡的に展開され、又は気管支鏡的に展開される、請求項52又は請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記生物学的部分は治療用製品を放出する、請求項52~54のいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
前記体導管は血管である、請求項52~55のいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記体導管は胃腸導管である、請求項52~55のいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
前記カプセル化デバイスは、前記少なくとも1つのリザーバ空間、及び、外部圧縮力下及び内部膨張力下で分離距離を維持する構造要素を含む、封じ込め層を含む、請求項52~57のいずれか1項記載の方法。
【請求項59】
前記カプセル化デバイスは、前記少なくとも1つのリザーバ空間の前記第一の細胞保持層とは反対の側に第二の細胞保持層を含む、請求項52~58のいずれか1項記載の方法。
【請求項60】
管腔外デバイスを配置する方法であって、
第一の標的入口点で体導管にアクセスすること、
前記第一の標的入口点で前記体導管内にガイドワイヤを挿入すること、
前記体導管の所望のバイパス領域の前にある標的出口点まで前記ガイドワイヤ上でカテーテルをたどること、
付属ツールを使用して、前記第一の標的出口点で前記体導管を出ること、
前記体導管の所望のバイパス領域の後の位置にある前記体導管上の第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、
前記付属ツールを使用して、前記第二の標的入口点で前記体導管に入ること、及び、
カプセル化デバイスが前記第一の標的出口点と前記第二の標的入口点とを接続するように、前記第二の標的入口点でカプセル化デバイスを展開すること、ここで、前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間及び細胞開放層を含む、
を含み、
前記細胞開放層の一部は前記体導管の内面に隣接している、方法。
【請求項61】
前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記カプセル化デバイスは、内視鏡的に展開され、膀胱鏡的に展開され、腹腔鏡的に展開され、又は気管支鏡的に展開される、請求項60又は請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する、請求項60~62のいずれか1項記載の方法。
【請求項64】
前記体導管は血管である、請求項60~63のいずれか1項記載の方法。
【請求項65】
前記体導管は胃腸導管である、請求項60~63のいずれか1項記載の方法。
【請求項66】
前記所望のバイパス領域は閉塞である、請求項60~65のいずれか1項記載の方法。
【請求項67】
カプセル化デバイスを配置する方法であって、
第一の標的入口点にある第一の体導管上の標的位置点に外科的にアクセスすること、
前記標的位置点で前記体導管の一部を切除すること、及び、
前記標的位置点における前記体導管の切除部分を、端端吻合法によってカプセル化デバイスに置換すること、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、封じ込め層内にリザーバ空間を形成する構造要素を含み、そして
前記リザーバ空間はその中に生物学的部分を含む、方法。
【請求項68】
前記封じ込め層は第一の側を有し、
細胞保持層は前記封じ込め層の前記第一の側に配置され、細胞開放層は前記細胞保持層上に配置されそして前記体導管の内面に隣接する、請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する、請求項67又は請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記体導管は血管である、請求項67~69のいずれか1項記載の方法。
【請求項71】
前記体導管は胃腸導管である、請求項67~69のいずれか1項記載の方法。
【請求項72】
カプセル化デバイスを配置する方法であって、
体導管上の標的位置点に外科的にアクセスすること、
前記体導管にアクセスするために前記標的位置点で前記体導管にスリットを形成すること、及び、
前記標的位置点で前記体導管内にカプセル化デバイスを挿入すること、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、そして
前記少なくとも1つのリザーバ空間はその上に細胞開放層を有し、そして前記体導管の内面に隣接して配置される、方法。
【請求項73】
前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記体導管は血管である、請求項72又は請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記体導管は胃腸導管である、請求項72又は請求項73記載の方法。
【請求項76】
管腔外バイパス又はシャントデバイスを配置する方法であって、
第一の体導管上の第一の標的位置点に外科的にアクセスすること、
カプセル化デバイスの第一の端部を前記第一の体導管の第一の標的位置点に接続すること、及び、
前記カプセル化デバイスの第二の端部を第二の体導管上の第二の標的位置点に接続すること、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、細胞保持層、及び、少なくとも1つの生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、
前記カプセル化デバイスは、前記第一の体導管と前記第二の体導管とを接続する第三の導管を形成し、そして
前記細胞保持層は前記第三の導管の内面を形成する、方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの生物学的部分は治療用製品を放出する、請求項76記載の方法。
【請求項78】
前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ血管である、請求項76又は請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記第一の体導管及び第二の体導管はそれぞれ胃腸導管である、請求項76又は請求項77記載の方法。
【請求項80】
カプセル化デバイスを配置する方法であって、
体導管の標的位置点に外科的にアクセスすること、及び、
カプセル化デバイスが前記体導管の少なくとも一部を実質的に取り囲むように、前記体導管の外面の周囲で前記カプセル化デバイスを配置すること、
を含み、
前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、前記少なくとも1つのリザーバ空間は、その面上に配置された細胞開放層を有し、前記細胞開放層は前記体導管の外面に隣接する、方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つの生物学的部分は治療用製品を放出する、請求項80記載の方法。
【請求項82】
前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ血管である、請求項80又は請求項81記載の方法。
【請求項83】
前記第一の体導管及び第二の体導管はそれぞれ胃腸導管である、請求項80又は請求項81記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、インプラント可能な生物学的デバイス及び生物学的治療の分野に関し、特に、幾何学的に変形可能である、生物学的部分を収容するためのカプセル化デバイスに関する。カプセル化デバイスを体導管内及び/又は体導管周囲に配置する方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
生物学的療法は、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓病、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、失明、糖尿病及び他の病状を治療するための、益々実現可能な方法となっている。
【0003】
一般に生物学的治療に関して、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子及び他の生物活性部分は、生物活性部分を患者の組織床に配置する外科的又は介入的方法によって患者に導入されうる。しばしば、生物活性部分は最初にデバイス内に配置され、その後に患者に挿入される。あるいは、デバイスを最初に患者に挿入し、後で生物活性部分を加えてもよい。
【0004】
外部デバイスの身体へのインプラント処置は免疫応答を引き起こさせ、収容された生物学的部分のすぐ近くに血管が形成されることが不可能ではないにしても困難となり、それによって、カプセル化された細胞の生存及び健康状態を維持するのに必要な酸素及び栄養素へのアクセスを制限する。収容された生物学的部分が血管内又は血管周囲に配置されるときに、免疫反応が発生し、血管へのインプラント処置中に細胞が破砕及び/又は死滅する可能性がある。したがって、収容された生物学的部分(例えば細胞)の酸素及び栄養素の供給源により直接的にアクセスできるように、管腔(例えば、血管)内又はその周囲で展開することができ、それにより、生物学的部分(例えば、細胞)が生き残って、治療上有用な物質を分泌することができる封じ込めデバイスが当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
要旨
1つの態様(「態様1」)によれば、インプラント可能なカプセル化デバイスは、内層、外層、及び、前記内層と前記外層との間に配置され、前記内層と前記外層の間の分離距離を維持するために内部に配置された構造要素を含む封じ込め層を含む。この構造要素は、少なくとも1つの生物学的部分をその中に配置するための複数のリザーバ空間を画定する。構造要素はまた、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持する。前記内層と前記外層の少なくとも一方は、細胞開放層及び細胞保持層を含む複合体層である。さらに、カプセル化デバイスは、実質的に管状構成を有し、第一の直径を有する第一の管状構成から第二の直径を有する第二の管状構成まで構成可能である。
【0006】
別の態様(「態様2」)によれば、態様1に加えて、生物学的部分をリザーバ空間内に配置するために、構造要素の間でリザーバ空間の少なくとも1つの中に配置される充填チューブを含む。
【0007】
別の態様(「態様3」)によれば、態様1又は態様2に加えて、前記内層と前記封じ込め層との間に配置された強化層を含む。
【0008】
別の態様(「態様4」)によれば、態様1又は態様2に加えて、前記外層と前記封じ込め層との間に配置された強化層を含む。
【0009】
別の態様(「態様5」)によれば、態様1又は態様2に加えて、前記外層の外側に配置された強化層を含む。
【0010】
別の態様(「態様6」)によれば、態様3~5のいずれか1つに加え、前記強化層は形状記憶材料を含む。
【0011】
別の態様(「態様7」)によれば、態様1~6のいずれか1つに加え、前記内層は細胞開放層と第一の細胞保持層とを含む複合体層であり、そして前記外層は第二の細胞保持層である。
【0012】
別の態様(「態様8」)によれば、態様1~7のいずれか1つに加えて、前記外層は細胞開放層と第一の細胞保持層とを含む複合体層であり、前記内層は第二の細胞保持層である。
【0013】
別の態様(「態様9」)によれば、態様1~8のいずれか1つに加えて、前記内層は、第一の細胞開放層と第一の細胞保持層とを含む第一の複合体層であり、前記外層は、第二の細胞開放層と第二の細胞保持層とを含む第二の複合体層である。
【0014】
別の態様(「態様10」)によれば、態様1~9のいずれか1つに加えて、前記構造要素は形状記憶材料を含む。
【0015】
別の態様(「態様11」)によれば、態様1~10のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つの生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子、DNA、RNA及びそれらの組み合わせから選択される。
【0016】
別の態様(「態様12」)によれば、態様11に加えて、前記細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、幹細胞及びそれらの組み合わせから選択される。
【0017】
別の態様(「態様13」)によれば、態様1~12のいずれか1つに加えて、前記内層及び前記外層のうちの少なくとも1つは細胞開放層であり、前記少なくとも1つの生物学的部分はマイクロカプセル化されている。
【0018】
別の態様(「態様14」)によれば、態様1~13のいずれか1つに加えて、前記構造要素は前記第一の層及び前記第二の層の少なくとも1つに接着される。
【0019】
別の態様(「態様15」)によれば、態様1~14のいずれか1つに加えて、前記内層は、第一の細胞開放層を含む第一の複合体層であり、前記外層は、第一の細胞開放層を含む第二の複合体層であり、前記構造要素は第一の複合体層及び第二の複合体層の第一の細胞開放層及び第二の細胞開放層に接着されており、前記構造要素は前記第一の細胞開放層又は前記第二の細胞開放層中に侵入しない。
【0020】
別の態様(「態様16」)によれば、態様1~15のいずれか1つに加えて、少なくとも2つのリザーバ空間は流体的に相互接続されている。
【0021】
別の態様(「態様17」)によれば、態様1~15のいずれか1つに加えて、少なくとも2つのリザーバ空間は別々である。
【0022】
1つの態様(「態様18」)によれば、カプセル化デバイスは、第一の細胞開放層及び第一の細胞保持層を含む第一の複合体層、第二の細胞開放層及び第二の細胞保持層を含む第二の複合体層、前記第一の複合体層と前記第二の複合体層の間に配置された封じ込め層、及び、形状記憶材料を含む少なくとも1つの形態要素を含む。前記封じ込め層は、前記第一の複合体層と前記第二の複合体層との間の分離距離を維持するためにその中に配置された構造要素を含む。前記構造要素は、少なくとも1つの生物学的部分を内部に配置するための複数のリザーバ空間を画定する。
【0023】
別の態様(「態様19」)によれば、態様18に加えて、前記少なくとも1つの形態要素は、前記第一の細胞開放層と前記第一の細胞保持層との間に配置される。
【0024】
別の態様(「態様20」)によれば、態様18又は態様19に加えて、前記少なくとも1つの形態要素は、前記第二の細胞開放層と前記第二の細胞保持層との間に配置される。
【0025】
別の態様(「態様21」)によれば、態様18~20のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つの第一の形態要素は、前記第一の細胞開放層と前記第一の細胞保持層との間に配置され、前記少なくとも1つの第二の形態要素は、前記第二の細胞開放層と前記第二の細胞保持層との間に配置される。
【0026】
別の態様(「態様22」)によれば、態様18~20のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つの形態要素は、前記第一の細胞開放層上で外側に配置され、前記第一の細胞開放層は、カプセル化デバイスの外面を形成する。
【0027】
別の態様(「態様23」)によれば、態様18~20のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つの形態要素は前記第二の細胞開放層の外側に配置され、前記第二の細胞開放層はカプセル化デバイスの外面を形成する。
【0028】
別の態様(「態様24」)によれば、態様18~20のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つの形態要素は前記構造要素を置き換え、前記第一の複合体層と前記第二の複合体層との間に配置される。
【0029】
別の態様(「態様25」)によれば、態様18~24のいずれか1つに加えて、前記生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子、DNA、RNA及びそれらの組み合わせから選択される。
【0030】
別の態様(「態様26」)によれば、態様25に加えて、前記細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、幹細胞及びそれらの組み合わせから選択される。
【0031】
別の態様(「態様27」)によれば、態様18~26のいずれか1つに加えて、前記構造要素は、前記第一の複合体層の前記第一の細胞開放層と、前記第二の複合体層の前記第二の細胞開放層とに接着され、そして前記構造要素は、前記第一の細胞開放層又は前記第二の細胞開放層の細孔に侵入しない。
【0032】
別の態様(「態様28」)によれば、態様18~27のいずれか1つに加えて、前記細胞封じ込め層内の前記複数のリザーバ空間は相互接続されている。
【0033】
別の態様(「態様29」)によれば、態様18~28のいずれか1つに加えて、前記細胞封じ込め層内の前記複数のリザーバ空間は別々である。
【0034】
別の態様(「態様30」)によれば、態様18~29のいずれか1つに加えて、前記構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持する。
【0035】
1つの態様(「態様31」)によれば、管腔内デバイスを配置する方法は、内面を有する体導管にアクセスすること、前記体導管上の標的位置点までカテーテルをたどること、及び、前記体導管内でカプセル化デバイスを展開することを含み、前記カプセル化デバイスは前記体導管内に適合するように構成されている。前記カプセル化デバイスは生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間と、前記少なくとも1つのリザーバ空間の第一の側にある第一の細胞開放層(前記第一の細胞開放層は前記体導管の内面に面する)と、前記リザーバ空間の第二の側にある第一の細胞保持層を含む。
【0036】
別の態様(「態様32」)によれば、態様31に加えて、前記カプセル化デバイスは、前記第一の細胞保持層に隣接する第二の細胞開放層を含み、前記第二の細胞開放層は体導管の中央部分に面する。
【0037】
別の態様(「態様33」)によれば、態様32に加えて、前記カプセル化デバイスは、前記第一の細胞開放層と前記少なくとも1つのリザーバ空間との間に配置された第二の細胞保持層を含む。
【0038】
別の態様(「態様34」)によれば、態様31~33のいずれか1つに加えて、前記少なくとも1つのリザーバ空間は、前記少なくとも1つのリザーバ空間を画定する構造要素を内部に含む封じ込め層内に配置される。
【0039】
別の態様(「態様35」)によれば、態様34に加えて、前記構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持する。
【0040】
別の態様(「態様36」)によれば、態様31~35のいずれか1つに加えて、ガイドワイヤを挿入すること、前記ガイドワイヤ上でカテーテルを前記標的位置点までたどることを含む。
【0041】
別の態様(「態様37」)によれば、態様31~36のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される。
【0042】
別の態様(「態様38」)によれば、態様31~37のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスは内視鏡的に展開、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開、又は気管支鏡的に展開される。
【0043】
別の態様(「態様39」)によれば、態様31~38のいずれか1つに加えて、前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管に放出する。
【0044】
別の態様(「態様40」)によれば、態様31~39のいずれか1つに加えて、前記体導管は血管である。
【0045】
別の態様(「態様41」)によれば、態様31~39のいずれか1つに加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0046】
態様(「態様42」)によれば、管腔内デバイスを配置する方法は、標的位置点で体導管にアクセスすること、カテーテルを前記標的位置点までたどること、カプセル化デバイスを前記標的位置点で展開することを含む。前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含む。前記少なくとも1つのリザーバ空間は、内部に少なくとも1つの構造要素を有する封じ込め層内に配置される。カプセル化デバイスの展開中に、分離距離は維持される。
【0047】
別の態様(「態様43」)によれば、態様42に加えて、ガイドワイヤを挿入すること、及び、前記ガイドワイヤ上でカテーテルを前記標的位置点までたどることを含む。
【0048】
別の態様(「態様44」)によれば、態様43に加えて、前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される。
【0049】
別の態様(「態様45」)によれば、態様42~44のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスは内視鏡的に展開、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開、又は気管支鏡的に展開される。
【0050】
別の態様(「態様46」)によれば、態様42~45のいずれか1つに加えて、前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管に放出する。
【0051】
別の態様(「態様47」)によれば、態様42~46のいずれか1つに加えて、前記体導管は血管である。
【0052】
別の態様(「態様48」)によれば、態様42~46のいずれか1つに加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0053】
別の態様(「態様49」)によれば、態様42~48のいずれか1つに加えて、前記体導管の内面に隣接して配置された細胞開放層を含む。
【0054】
別の態様(「態様50」)によれば、態様42~49のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスの内層として細胞保持層を含む。
【0055】
別の態様(「態様51」)によれば、態様42~50のいずれか1つに加えて、第一の細胞開放層は前記封じ込め層の第一の側に配置され、第二の細胞開放層は前記封じ込め層の第二の側に配置される。
【0056】
1つの態様(「態様52」)によれば、管腔外デバイスを配置する方法は、第一の標的入口点で第一の体導管にアクセスすること、前記第一の標的入口点で前記第一の体導管内にガイドワイヤを挿入すること、前記ガイドワイヤ上でカテーテルを前記第一の体導管上の標的出口点までたどること、付属ツールを使用して標的出口点で前記第一の体導管を出ること、前記ガイドワイヤを第二の体導管上の第二の標的出口点までたどること、付属ツールを使用して前記第二の体導管に入ること、前記第二の体導管上の前記第二の標的出口点でカプセル化デバイスを展開することを含む。前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、少なくとも1つのリザーバ空間はその上に第一の細胞保持層を有する。カプセル化デバイスは、第一の体導管と第二の体導管とを接続する第三の導管を形成する。そして、前記細胞保持層は第三の体導管の内層を形成する。
【0057】
別の態様(「態様53」)によれば、態様52に加えて、前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される。
【0058】
別の態様(「態様54」)によれば、態様51又は態様53に加えて、前記カプセル化デバイスは内視鏡的に展開、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開、又は気管支鏡的に展開される。
【0059】
別の態様(「態様55」)によれば、態様52~54のいずれか1つに加えて、前記生物学的部分は治療用製品を放出する。
【0060】
別の態様(「態様56」)によれば、態様52~55のいずれか1つに加えて、前記体導管は血管である。
【0061】
別の態様(「態様57」)によれば、態様52~55のいずれか1つに加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0062】
別の態様(「態様58」)によれば、態様52~57のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスは、少なくとも1つのリザーバ空間と、外部圧縮力下及び内部膨張力下で分離距離を維持する構造要素とを含む、封じ込め層を含む。
【0063】
別の態様(「態様59」)によれば、態様52~58のいずれか1つに加えて、前記カプセル化デバイスは、前記第一の細胞保持層と反対側の少なくとも1つのリザーバ空間の側に第二の細胞保持層を含む。
【0064】
1つの態様(「態様60」)によれば、管腔外デバイスを配置する方法は、第一の標的入口点で体導管にアクセスすること、前記第一の標的入口点で前記体導管内にガイドワイヤを挿入すること、前記体導管の所望のバイパス領域の前にある標的出口点まで前記ガイドワイヤ上でカテーテルをたどること、前記体導管の所望のバイパス領域の前にある標的出口点まで前記ガイドワイヤ上でカテーテルをたどること、付属ツールを使用して前記第一の標的出口点で前記体導管を出ること、前記体導管の所望のバイパス領域の後の位置にある前記体導管上の第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、及び、カプセル化デバイスが前記第一の標的出口点と前記第二の標的入口点とを接続するように、前記第二の標的入口点でカプセル化デバイスを展開することを含む。前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間及び細胞開放層を含む。細胞開放層の一部は、前記体導管の内面に隣接している。
【0065】
別の態様(「態様61」)によれば、態様60に加えて、前記カプセル化デバイスは前記カテーテル内に拘束される。
【0066】
別の態様(「態様62」)によれば、態様60又は態様61に加えて、前記カプセル化デバイスは内視鏡的に展開、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開、又は気管支鏡的に展開される。
【0067】
別の態様(「態様63」)によれば、態様60~62のいずれか1つに加えて、前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する。
【0068】
別の態様(「態様64」)によれば、態様60~63のいずれか1つに加えて、前記体導管は血管である。
【0069】
別の態様(「態様65」)によれば、態様60~63のいずれか1つに加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0070】
別の態様(「態様66」)によれば、態様60~65のいずれか1つに加えて、前記所望のバイパス領域は閉塞である。
【0071】
1つの態様(「態様67」)によれば、カプセル化デバイスを配置する方法は、第一の体導管上の第一の標的入口点で標的位置点に外科的にアクセスすること、前記標的位置点で前記体導管の一部を切除すること、前記標的位置点で前記体導管の切除部分を、端端吻合術を介してカプセル化デバイスで置き換えることを含む。前記カプセル化デバイスは、封じ込め層内にリザーバ空間を形成する構造要素を含み、そして前記リザーバ空間はその中に生物学的部分を含む。
【0072】
別の態様(「態様68」)によれば、態様67に加えて、前記封じ込め層は第一の側を有し、細胞保持層は前記封じ込め層の前記第一の側に配置され、そして前記細胞開放層は前記細胞保持層の上に配置されそして前記体導管の内面に隣接している。
【0073】
別の態様(「態様69」)によれば、態様67又は態様68に加えて、前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する。
【0074】
別の態様(「態様70」)によれば、態様67~69のいずれか1つに加えて、前記体導管は血管である。
【0075】
別の態様(「態様71」)によれば、態様67~70のいずれか1つに加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0076】
1つの態様(「態様72」)によれば、カプセル化デバイスを配置する方法は、体導管上の標的位置点に外科的にアクセスすること、前記体導管にアクセスするために前記標的位置点で前記体導管にスリットを形成すること、及び、カプセル化デバイスを前記体導管内に前記目標位置点で挿入することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、前記少なくとも1つのリザーバ空間は、前記体導管の内面に隣接して配置された細胞開放層をその上に有する。
【0077】
別の態様(「態様73」)によれば、態様72に加えて、前記生物学的部分は治療用製品を前記体導管内に放出する。
【0078】
別の態様(「態様74」)によれば、態様72又は態様73に加えて、前記体導管は血管である。
【0079】
別の態様(「態様75」)によれば、態様72又は態様73に加えて、前記体導管は胃腸導管である。
【0080】
1つの態様(「態様76」)によれば、管腔外バイパス又はシャントデバイスを配置する方法は、第一の体導管上の第一の標的位置点に外科的にアクセスすること、カプセル化デバイスの第一の端部を前記第一の体導管の前記第一の標的位置点に接続すること、前記カプセル化デバイスの第二の端部を第二の体導管上の第二の標的位置点に接続することを含む。カプセル化デバイスは、細胞保持層、及び、少なくとも1つの生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含む。カプセル化デバイスは、前記第一の体導管と前記第二の体導管とを接続する第三の導管を形成する。前記細胞保持層は、前記第三の導管の内面を形成する。
【0081】
別の態様(「態様77」)によれば、態様76に加えて、前記少なくとも1つの生物学的部分は治療用製品を放出する。
【0082】
別の態様(「態様78」)によれば、態様76又は態様77に加えて、前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ血管である。
【0083】
別の態様(「態様79」)によれば、態様76又は態様77に加えて、前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ胃腸導管である。
【0084】
1つの態様(「態様80」)によれば、カプセル化デバイスを配置する方法は、体導管の標的位置点に外科的にアクセスすること、及び、カプセル化デバイスが前記体導管の少なくとも一部を実質的に取り囲むように前記体導管の外面の周りにカプセル化デバイスを配置することを含む。前記カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含む。前記少なくとも1つのリザーバ空間は、その面上に配置された細胞開放層を有し、前記細胞開放層は前記体導管の外面に隣接している。
【0085】
別の態様(「態様81」)によれば、態様80に加えて、前記少なくとも1つの生物学的部分は治療用製品を放出する。
【0086】
別の態様(「態様82」)によれば、態様80又は態様81に加え、前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ血管である。
【0087】
別の態様(「態様83」)によれば、態様80又は態様81に加え、前記第一の体導管及び前記第二の体導管はそれぞれ胃腸導管である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0089】
図1A図1Aは、本明細書に記載の実施形態による、複合体内層及び複合体外層を有する管状カプセル化デバイスの断面の概略図である。
【0090】
図1B図1Bは、本明細書に記載の実施形態による、内部に強化層を含む1Aの管状カプセル化デバイスの断面の概略図である。
【0091】
図2図2は、本明細書に記載の実施形態による、複合体内層及び細胞保持層のみを含む外層を有する管状カプセル化デバイスの断面の概略図である。
【0092】
図3図3は、本明細書に記載の実施形態による、複合体外層及び細胞保持層のみを含む内層を有する管状カプセル化デバイスの断面の概略図である。
【0093】
図4図4は、本明細書に記載の実施形態によるカプセル化デバイスを構築するために使用される多孔質材料の断面の概略図である。
【0094】
図5図5A図5Cは、本明細書に記載の実施形態による、幾何学的形状の変化を可能にする形態要素を含むカプセル化デバイスの断面の概略図である。
【0095】
図6図6は、本明細書に記載の実施形態による、第一の幾何学的形状から第二の幾何学的形状に構成可能なカプセル化デバイスの一部の断面の概略図である。
【0096】
図7A-B】図7A図7Bは、本明細書に記載の実施形態による、形状記憶材料から形成された平面フレームである。
【0097】
図7C-D】図7C~7Dは、本明細書に記載の実施形態による、それぞれ図7A及び7Bの非平面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。「カプセル化デバイス」及び「ハウジングデバイス」という用語は、本明細書で互換的に使用されうることを理解されたい。
【0099】
本明細書において、生物学的部分を収容するためのデバイスが記載されており、生物学的部分は、生物学的療法を提供するために患者の導管(例えば、血管)内又は周囲に血管内又は血管外にインプラント処置される。本明細書に記載のデバイスを使用したカプセル化及びインプラント処置に適した生物学的部分としては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、遺伝子、DNA、RNA及び他の生物活性部分が挙げられる。本明細書の幾つかの実施形態において、生物学的部分は細胞であるが、本記載のいかなるものも生物学的部分を細胞又は任意の特定の種類の細胞に限定するものではなく、以下の説明は細胞ではない生物学的部分にも適用される。
【0100】
様々な種類の原核細胞及び真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞及び幹細胞を、本明細書では細胞封じ込めデバイスとも呼ばれる、生物学的部分をカプセル化するためのデバイスとともに使用することができる。幾つかの実施形態において、細胞は治療上有用な物質を分泌する。このような治療上有用な物質としては、ホルモン、成長因子、栄養因子、神経伝達物質、リンホカイン、抗体又はデバイス受容者に治療効果をもたらす他の細胞産物が挙げられる。このような治療用細胞産物の例としては、限定するわけではないが、ホルモン、成長因子、栄養因子、神経伝達物質、リンホカイン、抗体、又はデバイス受容体に治療効果をもたらす他の細胞産物が挙げられる。このような治療用細胞産物の例としては、限定するわけではないが、インスリン、成長因子、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、エリスロポエチン、トランスフェリン、コラーゲン、エラスチン、トロポエラスチン、エキソソーム、小胞、遺伝子断片及び第VIII因子が挙げられる。適切な成長因子の非限定的な例としては、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子、血小板活性化因子、トランスフォーミング成長因子、骨形成タンパク質、アクチビン、インヒビン、線維芽細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、成長分化因子-9、上皮成長因子及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
図1Aは、内層110、外層120及び前記内層110と前記外層120の間に配置された少なくとも1つの封じ込め層130を含む管状カプセル化デバイス100の断面の概略図である。封じ込め層130は、デバイス100の幾何学的変化中に分離距離135を維持する構造要素140を含む。構造要素140は、(例えば、デバイス100の圧潰及びその後の拡張の間に)第一の直径から第二の直径までの分離距離135を維持する。さらに、分離距離135は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で維持される。構造要素140は、封じ込め層130内に生物学的部分を配置するための複数のリザーバ空間150を画定する。分離距離135は、最大100ミクロンとすることができる。幾つかの実施形態において、分離距離135は、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約250ミクロン又は少なくとも約500ミクロン(又はそれ以上)でありうる。幾つかの実施形態において、分離距離135は、約150ミクロン~約500ミクロン、約200ミクロン~約500ミクロン、約100ミクロン~約250ミクロン、又は約150ミクロン~約250ミクロンの範囲であることができる。1つの実施形態において、分離距離135を維持することにより、内層110を外層120と実質的に平行な関係に置くことができる。
【0102】
幾つかの実施形態において、図1Bに概して示されているように、強化層160は、内層110と封じ込み層130との間に配置されうる。他の実施形態において、強化層160は、外層120と封じ込み層130との間に配置されうる。さらなる実施形態において、強化層160は、外側に(例えば、外層120又は内層110の外側に)配置されてもよい。幾つかの実施形態において、構造要素140は、それ自体が強化性であり、例えば、図5A図5Cに示される形態要素525、526などの形状記憶材料から形成されることができ、これらについては以下で詳細に説明する。開放層110及び/又は外層120は、単層を含んでも、又は、本明細書に記載されるような複合体層から形成されてもよいことを理解されたい。強化層160に適した材料の非限定的な例としては、金属要素(例えば、金属ステント)、形状記憶材料、多孔質材料又は非孔質材料が挙げられ、本明細書に記載のとおりである。幾つかの実施形態において、カプセル化デバイス100の断面は、ほぼ筒形、卵形又は楕円形の形状を有することができる。
【0103】
幾つかの実施形態において、内層110及び外層120のうちの少なくとも1つは複合体層を含む。図1A及び1Bは、内層110及び外層120が複合体層である実施形態を示す。内層110は、細胞開放層112と、細胞開放層112に隣接して配置された細胞保持層114とを含む。外層120はまた、細胞保持層124に隣接して配置された細胞開放層122を含む複合体層であることができる。細胞保持層114、124は、封じ込め層130(及びその中のリザーバ空間150)が細胞保持層114、124の間に挟まれるように、封じ込め層130の両側に配置される。内層110及び外層120の細胞開放層112、122は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。同様に、内層110及び外層120の細胞保持層122、124は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。さらに、細胞開放層112、122は、細胞保持層の多孔度よりも小さい多孔度を有することができる。細胞開放層112、122の多孔度が細胞保持層の多孔度と等しいか又はそれより大きい多孔度を有する実施形態は、本開示の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。図1A及び1Bに示される実施形態において、宿主血管組織などの宿主組織の内方成長は、細胞開放層112及び細胞開放層122の両方で起こりうる。細胞開放層112、122は、血管組織などの組織の成長を可能にするのに十分な多孔性であり、患者から細胞開放層112、122の細孔に入り、細胞保持層114、124までではあるが細胞保持層114、124を通過しない。
【0104】
幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスの内層及び外層のうちの一方のみが複合体層である。少なくとも1つの実施形態において、図2に示されるように、カプセル化デバイス200の第一の層110は、細胞開放層112及び細胞保持層114を含む複合体層であってもよいが、外層210は細胞保持層250のみを含む。封じ込め層130は、第一の層110と細胞保持層250との間、より具体的には、細胞保持層114と細胞保持層250との間に配置されうる。封じ込め層130は、1つ以上の生物学的部分を配置するための複数のリザーバ空間150を画定する構造要素140を含む。別の実施形態において、図3に示されるように、カプセル化デバイス300の外層120は、細胞開放層122及び細胞保持層124を含む複合体層であってもよいが、内層110は、細胞保持層220のみを含むことができる。リザーバ空間150を内部に含む封じ込め層130は、細胞保持層220と外層120との間に配置されうる。より具体的には、封じ込め層130は、細胞保持層114と細胞保持層220との間に配置されうる。細胞開放層112、122は宿主組織細胞の内方成長を可能にすることを理解されたい。上述の実施形態と同様に、細胞保持層114、250(図2)及び細胞保持層220、124(図3)は、構造要素140及びリザーバ空間150(及び生物学的部分)が含まれている封じ込め層130の両側に配置される。また、構造要素140は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で維持される分離距離135を画定する。図1A、1B、2及び3に示される実施形態は本質的に例示であり、細胞開放層、細胞保持層及び強化要素160の様々な配向が存在し、それらは本開示の範囲内であると考えられることが理解されたい。
【0105】
幾つかの実施形態において、細胞保持層は細胞の内方成長に対して不透過性である。例えば、幾つかの実施形態において、両方の細胞保持層は、血管組織の内方成長などの宿主組織の内方成長を防ぐのに十分に小さい平均細孔サイズを有する。1つの非限定的な実施形態として、細胞保持層の平均細孔サイズは、ポロメトリーによって測定して、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満又は約0.5ミクロン未満であることができる。小さな細孔サイズにより、細胞保持層は、カプセル化デバイス内部の封じ込め層のリザーバ空間内に配置された生物学的部分を維持することができる。
【0106】
本明細書に記載される少なくともカプセル化デバイス100、200、300は、第一の直径を有する第一の管状構成から、例えば、デバイスが物理的に押しつぶされて、患者に挿入するためにカテーテル内に配置されるときなど、第二の直径を有する第二の管状構成に構成可能である。少なくとも1つの実施形態において、カプセル化デバイスは、低侵襲手順を使用して展開される。デリバリーシステムは、最も一般的には、体導管(例えば、血管)を通って所望の部位にデリバリーするために、デバイスを第二の管状構成(すなわち、折り畳まれた状態又は押しつぶされた状態)に維持する拘束部材を含む。デバイスが所望の部位に配置されると、拘束部材は解放されて、カプセル化デバイスが拡張するか、又は、その第一の管状構成(すなわち、拡張状態)まで拡張されうる。本明細書に記載される構造要素は、押しつぶし、デリバリー中、及びその後に元の形状及びサイズ(例えば、押しつぶし前の形状)への拡張中に分離距離を維持する。
【0107】
様々な種類の細胞は、本明細書に記載されるとおりのカプセル化デバイスの細胞開放層内に成長することができる。特定の多孔質材料(例えば、細胞開放層)中に成長する主な細胞の種類は、主にインプラント処置部位、材料の組成、透過性及び材料に組み込まれ又は多孔質材料を通して導入される生物学的要因に依存する。幾つかの実施形態において、血管組織は、カプセル化デバイスの細胞開放層中に成長する主な細胞の種類である。他の実施形態において、肝組織は、カプセル化デバイスで使用するための多孔質材料中に成長する主要な細胞の種類である。さらなる実施形態において、骨組織は、カプセル化デバイスで使用するための多孔質材料中に成長する主な細胞の種類である。他の非限定的な実施形態において、胃腸組織、尿路組織、呼吸器組織、神経組織、リンパ組織及び結合組織は、カプセル化デバイス内の多孔質層(例えば、細胞開放層)中に成長する主な細胞の種類である。毛細管網の形態をとった十分に確立された血管細胞集団による細胞開放層の血管新生は促進され、患者の組織からデバイスの内面に隣接する細胞開放層の厚さに入り、その厚みを横切るが、細胞保持層を超えることがない材料の血管新生の結果として起こる。
【0108】
さらなる実施形態において、第一の層も第二の層も複合体層ではなく、細胞保持層のみを含む。カプセル化デバイスが細胞保持層のみを含み、細胞開放層を含まない実施形態において、カプセル化デバイスは、場合により、患者の体内にある又は配置されることができる、そして周囲組織の生着を可能にする材料から作製されるハウジングとともに使用されうる。幾つかの実施形態において、ハウジングは、デバイスがハウジング内に挿入される前に、周囲組織の生着を可能にするのに十分な期間、患者内にインプラント処置されうる。他の実施形態において、デバイス及びハウジングを一緒に患者内に挿入することができる。
【0109】
さらに別の実施形態において、第一の層も第二の層も複合体層ではない。代わりに、第一の層及び/又は第二の層は、カプセル化デバイスへの宿主細胞のある程度の侵入を可能にする、又はカプセル化デバイスへの宿主細胞の侵入及び血管新生を可能にする細胞開放層である。さらに、封じ込め層内の生物学的部分は、カプセル化デバイスの内外に自由に移動する。幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスに挿入される生物学的部分は、ヒドロゲル生体材料を含むがこれに限定されない、天然又は合成起源の生体材料内にマイクロカプセル化されうる。カプセル化により、生物学的部分(例えば、細胞)が宿主免疫応答から隔離される。
【0110】
複合体層内に存在する第一の多孔質層及び第二の多孔質層として有用な材料としては、限定するわけではないが、アルギネート、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコールなどのパンビニルポリマー、キトサン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのポリアクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリエチレン-コ-アクリル酸などのポリアクリル酸ビニル、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリプロピレンや多孔質ポリエチレンなどの多孔質ポリアルキレン、多孔質ポリフッ化ビニリデン、多孔質ポリエステルスルホン(PES)、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステルならびにそれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、外側多孔質層として有用な材料としては、生体材料テキスタイルが挙げられる。
【0111】
幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスの内層及び外層の一方又は両方は、主に又は全体が、選択的ふるい分け特性及び/又は多孔質特性を有する多孔質材料から作られている。多孔質材料は、適切な透過特性を有する任意の生物学的適合性材料から製造することができる。多孔質材料は、主にサイズに基づいて、材料を通過する溶質、生化学物質、ウイルス、細胞などの通過を制御する。適切な多孔質材料の非限定的な例としては、限定するわけではないが、生体材料テキスタイルを含む、内層及び外層について上述した材料の1つ以上が挙げられる。
【0112】
多孔質材料がその厚さの一部を通してのみ多孔質である実施形態において、多孔質膜の分子量カットオフ又はふるい分け特性は表面から始まる。結果として、特定の溶質及び/又は細胞などの生物活性部分は、材料の多孔質空間に入り込んで一方の側からもう一方の側へ通過することがない。図4は、本明細書に記載のカプセル化デバイスに有用な多孔質材料400の断面図を示す。多孔質材料400の選択的透過性により、細胞405が多孔質材料400の空間内に移行又は成長することが排除される一方、多孔質材料400の厚さを横切る溶質410の双方向の流れは許容される。血管内皮細胞は結合してその上に毛細管を形成することができる。肝臓組織細胞、神経組織細胞、リンパ組織細胞、胃腸組織細胞、結合組織細胞、尿路組織細胞、呼吸器組織細胞及び骨組織細胞などの追加の細胞の種類は結合して、その上に組織化又は非組織化組織を形成することができる。多孔質材料400のこのような毛細管形成又は血管新生又は組織化もしくは無組織化組織形成により、患者の組織とカプセル化デバイスの内容物との間の流体及び溶質の流動を高めることができる。
【0113】
幾つかの実施形態において、内層及び外層は可撓性であるが、構造要素は、カプセル化デバイスをその拡張構成においてほぼ管状構造として維持する。構造要素は、デバイスの直径にわたって加えられた力の下で分離距離を維持する。加えられる力は、構造要素が存在しないときに第一の層と第二の層との間のリザーバ空間を崩壊させる傾向がある外部圧縮力であることができる。例えば、臨床医は、挿入前又は挿入中に管状デバイスを潰すために圧縮力を加えることができる。外部圧縮力によってカプセル化デバイスの内層と外層の間の距離が減少すると、カプセル化デバイス内の細胞(すなわち、生物学的部分)は圧縮刺激などの望ましくない機械的刺激にさらされる可能性があり、その結果、細胞機能性が最小化され又は細胞致死をもたらす可能性がある。
【0114】
あるいは、加えられる力は、構造要素が存在しない場合に内層と外層の間の封じ込め層を丸い風船状の膜に膨張させる傾向がある内部膨張力であることができる。例えば、生物学的部分(例えば、複数の細胞)をリザーバ空間に注入するには圧力が必要であることができる。1つの例において、圧力は、例えばオペレータの誤りによる、挿入時の過剰膨張によって引き起こされる可能性がある。別の例において、圧力は、細胞の繁殖及び増殖による細胞の増加(例えば、ピローイング)によって引き起こされる可能性がある。構造要素は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離を維持することを理解されたい。
【0115】
構造要素は、封じ込め層を少なくとも2つのリザーバ空間に分割する。リザーバ空間の境界は、構造要素、外層及び内層(又は存在する場合は強化層)によって画定される。リザーバ空間の数は特に限定されず、細胞封じ込め層は最大100,000以上のリザーバ空間を含むことができる。幾つかの実施形態において、少なくとも2つのリザーバ空間は、構造要素によって及び構造要素間に形成されるチャネルによって相互接続される。他の実施形態において、少なくとも2つのリザーバ空間は別々である(すなわち、流体的に接続されていない)。他の実施形態において、リザーバ空間の一部は相互接続されていてよく、そしてリザーバ空間の別の部分は別々(接続されていない)であってよい。
【0116】
幾つかの実施形態において、内層及び外層の一方又は両方及び/又は封じ込め層は、生体吸収性材料であるか、又は生体吸収性材料を含む。生体吸収性材料は、中実体(成形、押出又は結晶)、自己凝集ウェブ、隆起ウェビング又はスクリーンとして形成されうる。幾つかの実施形態において、生体吸収性材料の1つ以上の層が、細胞透過を可能にする巨視的多孔性を有する非生体吸収性材料(例えば、細胞開放層)に取り付けられ、複合体を形成する。他の実施形態において、細胞透過を低減又は防止するための微細な多孔性を有する非生体吸収性材料は、多孔性自己凝集ウェブに解放可能に取り付けられ、インプラント処置後数日で患者の身体からカプセル化デバイスを非外傷的に除去できるようにする。体内に再吸収されると、好ましい1型コラーゲン沈着、組織統合、血管新生及び感染症の減少が促進されうる。例えば、ペルフルオロカーボンエマルション、フルオロヒドロゲル、シリコーン油、シリコーンヒドロゲル、大豆油、シリコーンゴム及びポリ塩化ビニル、ならびにそれらの組み合わせなどの特定の材料は高い酸素溶解度を有することが知られている。 このような酸素透過性の高い材料は、宿主組織からカプセル化デバイスへの酸素の輸送を強化する。このような材料は、構造要素として利用することができ、あるいは、例えば構造要素上のコーティング又は充填剤として適用することもできる。
【0117】
図5A~5Cは、第一の複合体層510、第二の複合体層520、第一の複合体層510と第二の複合体層520との間に配置される封じ込め層530、及び、分離距離535により第一の複合体層及び第二の複合体層510、520を分離するための、封じ込め層530内に配置された少なくとも1つの構造要素540を含む、カプセル化デバイス500の断面の概略図である。封じ込め層530は、カプセル化デバイスの幾何学的変化中に分離距離535が維持されるような構造要素540を含む。また、構造要素540は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で維持される分離距離535を画定する。第一の複合体層と第二の複合体層との間の分離距離535は、最大100ミクロンである。幾つかの例において、第一の複合体層と第二の複合体層との間の分離距離は、少なくとも100ミクロン、例えば、少なくとも150ミクロン又は少なくとも200ミクロンである。幾つかの例において、分離距離は、約250ミクロン、少なくとも250ミクロン又は500ミクロン以上であることができる。幾つかの実施形態において、分離距離535は、約150ミクロン~約500ミクロン、約200ミクロン~約500ミクロン、約250ミクロン~約500ミクロン、約100ミクロン~約250ミクロン、又は約150ミクロン~約250ミクロンの範囲であることができる。構造要素540は、封じ込め層530内に生物学的部分(図示せず)を配置するための複数のリザーバ空間550を画定する。細胞開放層512、524は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。同様に、細胞保持層512、522は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。細胞開放層512及び522は、細胞保持層514及び524の多孔度よりも小さい多孔度を有することができる。
【0118】
図5Aを参照すると、幾つかの実施形態において、第一の複合体層510は、第一の細胞開放層512及び第一の細胞保持層514との間に配置された少なくとも1つの第一の形態要素525を含む。第二の複合体層520はまた、第一の細胞開放層522と第二の細胞保持層524との間に配置された少なくとも1つの第二の形態要素526を含む。 第一の形態要素及び第二の形態要素525、526は、同じ材料又は異なる材料から形成されうる。第一の形態要素及び/又は第二の形態要素525、526に利用される材料の非限定的な例としては、形状変化性材料が挙げられ、限定するわけではないが、ニチノールなどの形状記憶合金、及び、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、 ポリエチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアルファヒドロキシ酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリグリコール、ポリラクチド、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリオキサエステル、ポリリン酸エステル、ポリホスホネート、多糖類、ポリチロシンカーボネート、ポリウレタン及びそれらのコポリマー又はポリマーブレンドなどの形状記憶ポリマーが挙げられる。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上の形態要素はニチノールステントである。形態要素は、例えば、第一の幾何学的形状(例えば、略平面状の構成)から第二の幾何学的形状(例えば、略筒状の構成)への幾何学的変化をデバイスに誘導する。カプセル化デバイスはまた、平面構成から非平面構成、例えば、折り畳まれた構成又は「ゼリーロール」構成、双曲形(例えば、ホットドッグパン)又は折り返された筒形構成まで構成可能である。形態要素525、526はまた、インプラント処置中のカプセル化デバイスのプロファイルの変化を容易にすることを含めて、インプラント処置を容易にする。形態要素525、526のうちの1つ以上は、図1図3を参照して上述したとおりの強化層160であることができる。
【0119】
細胞開放層512、522は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。同様に、細胞保持層514、524は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又はそれらから形成されうる。細胞開放層512、522は、細胞保持層514、524の多孔度よりも小さい多孔度を有することができる。
【0120】
別の実施形態において、図5Bに示されるように、少なくとも1つの形態要素525は、カプセル化デバイス500の外側に配置される。特に、少なくとも1つの第一の形態要素525は、最外層に配置され、細胞開放層512に隣接する。さらに、少なくとも1つの第二の形態要素は細胞開放層522上で外側に配置される。特に、少なくとも1つの第二の形態要素526は、細胞開放層522に隣接して配置され、カプセル化デバイス500の外層を形成する。図5Cは、少なくとも1つの形態要素525が細胞保持層514、524の間に配置され、構造要素を置き換える実施形態を示す。図5A~5Cは本質的に例示であり、細胞開放層、細胞保持層及び形態要素525、526の様々な配向があることができ、本開示の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0121】
幾つかの実施形態において、第一の複合体層及び第二の複合体層510、520は可撓性である。構造要素540は、複合体層510、520間に分離距離535が存在するように、第一の複合体層510と第二の複合体層520を分離する。構造要素540は、加えられた力の下でその分離距離535を維持する。上で論じたように、加えられる力は、構造要素540が存在しない場合に第一の複合体層510と第二の複合体層520との間の封じ込め層530を崩壊させる傾向がある外部圧縮力であることができる。あるいは、加えられる力は、構造要素が存在しない場合に、第一の複合体層と第二の複合体層の間のカプセル化層を丸い風船状の膜に膨張させる傾向がある内部膨張力であることができる。構造要素540は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で分離距離535を維持する。
【0122】
上述したものと同様に、構造要素540は、封じ込め層530を少なくとも2つのリザーバ空間550に分割する。リザーバ空間550の境界は、構造要素540、第一の複合体層510及び第二の複合体層520によって画定される。図5A及び5Bにおいて、リザーバ空間550は、構造要素540、第一の細胞保持層514及び第二の細胞保持層524によって画定される。リザーバ空間550の数は特に限定されず、封じ込め層530は、最大100,000以上のリザーバ空間を含むことができる。幾つかの実施形態において、少なくとも2つのリザーバ空間550は、構造支持体540によって及び構造支持体540の間に形成されるチャネルによって相互接続される。他の実施形態において、リザーバ空間550は、別々(すなわち、流体接続されていない)であってもよい。他の実施形態において、リザーバ空間550の一部は相互接続されていてよく、そしてリザーバ空間550の別の部分は別々(接続されていない)であってよい。
【0123】
図6に示される別の実施形態において、第一の多孔質層610、第二の多孔質層620、及び、少なくとも1つの形態要素625を含むカプセル化デバイス600が示されている。少なくとも1つのリザーバ空間650は、第一の多孔質層610、第二の多孔質層610及び形態要素625の境界によって形成される。幾つかの実施形態において、形態要素625は、カプセル化デバイス600が平面構成から非平面構成に幾何学的に変化するように構成されるように、上述のような形状記憶材料を含むか、又は形状記憶材料から形成される。幾つかの実施形態において、幾何学的変化は、非平面構成から平面構成への変化であることができる。
【0124】
幾つかの実施形態において、形態要素625は、形状記憶材料から形成されたフレームの形態である。本明細書に記載のカプセル化デバイスで使用するのに適したフレームの非限定的な例としては、図7A及び7Bに示されるものが挙げられる。図7A及び7Bは本質的に例示的なものであり、本開示をこれらの特定の設計に決して制限するものではないことを理解されたい。形態要素625は、図7A及び7Bに示されるような平面構成を有することができる。インプラント処置後に、図7A及び7Bの形態要素625は、図7C及び図7Dにそれぞれ示されるような非平面構成をとる。使用時に、細胞開放層及び細胞保持層(図示せず)は、形態要素625の両側に取り外し不可能に配置される。患者にインプラント処置された後に、カプセル化デバイスは、第一の幾何学的構成(例えば、平面構成)から第二の幾何学的構成(円形構成)への幾何学的変化を受ける。幾つかの実施形態において、カプセル化は、平面構成から、例えば、円形構成、ゼリーロール構成、双曲線構成、ひだ状構成又は折り畳まれた構成への幾何学的変化を受けることができる。
【0125】
本明細書に記載のカプセル化デバイスは、生物学的部分が患者に生物学的療法を提供できるように、患者の血管内又は血管外インプラント内の適所に生物学的部分を保持するのに有用である。本明細書で提供される例は血管インプラント及び血管に焦点を当てているが、インプラント可能なデバイスを体内の任意の組織床内の任意の導管に管腔内、管腔外、又は外科的にデリバリーすることも本開示の範囲内である。Cullyらの米国特許第9,642,693号明細書、Cullyらの米国特許第8,197,529号明細書、Michalakの米国特許第10,111,741号明細書、Sharmaらの米国特許第10,779,980号明細書、Cullyらの米国特許第9,717,584号明細書、Voneshらの米国特許第6,673,102号明細書、Cullyらの米国特許第7,914,568号明細書、Voneshらの米国特許第6,673,102号明細書及びLeopoldらの米国特許第6,352,561号明細書は、カプセル化デバイスの管腔内配置及び管腔外配置の両方を介した、様々な組織床でのデバイスの配置を例示している。脈管構造及び胃腸管の導管を利用した低侵襲処置は、例えば、Cullyらの米国特許第7,914,568号明細書、Voneshらの米国特許第6,673,102号明細書及びLeopoldらの米国特許第6,352,561号明細書にすでに開示されている。
【0126】
少なくとも1つの実施形態において、カプセル化デバイスは、低侵襲法を使用して配置される。1つの非限定的な方法は、カテーテルを利用し、カプセル化デバイスを配置する方法は、体導管にアクセスすること、体導管上の標的位置点までカテーテルをたどること、及び体導管内でカプセル化デバイスを展開することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を含む少なくとも1つのリザーバ空間を含む。カプセル化デバイスはまた、少なくとも1つのリザーバ空間の第一の側に第一の細胞開放層を含む。細胞開放層は体導管の内面に面する。細胞保持層は、リザーバ空間の第二の側に配置される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのリザーバ空間は封じ込め層内に配置される。リザーバ空間は少なくとも1つの構造要素及び分離距離を有し、分離距離は外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で維持される。カプセル化デバイスは、体内の導管内の標的位置点で適合するように構成されていることを理解されたい。幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスは、外層と内層との間で封じ込め層に隣接する強化層、又は、外層の外側に配置される強化層を含むことができる。
【0127】
別の実施形態において、カプセル化デバイスを配置する方法は、体導管にアクセスすること、カテーテルを標的位置点までたどること、カプセル化デバイスを標的位置点で展開することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を含み、内部に配置された少なくとも1つの構造要素を有する少なくとも1つのリザーバ空間を含む。展開中に分離距離は維持される。カプセル化デバイスは、少なくとも1つのリザーバ空間の第一の側に、体導管の内面に面する第一の細胞開放層を有する。第二の細胞開放層は、少なくとも1つのリザーバ空間の第二の側に配置されうる。幾つかの実施形態において、細胞保持層は、少なくとも1つのリザーバ空間の第二の側に配置される。細胞保持層は、第一の細胞開放層及び第二の細胞開放層のうちの少なくとも一方の上に配置されうる。幾つかの実施形態において、分離距離は、外部圧縮力下及び内部膨張力下の両方で維持される。カプセル化デバイスは、体導管内の標的位置点で適合するように構成されていることが理解されるべきである。幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスは、外層と内層との間に、封じ込め層に隣接して配置された強化層を含むことができる。他の実施形態において、強化層は、カプセル化デバイスの最外層の外側に配置されうる。さらに、カプセル化デバイスは、少なくとも1つのリザーバ空間及び少なくとも1つの構造要素が配置される封じ込め層を含むことができる。
【0128】
管腔外デバイスを配置する1つの実施形態において、この方法は、第一の体導管にアクセスすること、前記第一の体導管にガイドワイヤを挿入すること、付属ツールを使用して標的出口点で前記第一の体導管を出ること、第二の体導管上の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、前記付属ツールを使用して前記第二の体導管に入ること、及び、前記第二の体導管上の前記標的入口点でカプセル化デバイスを展開することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含み、前記リザーバ空間はその上に細胞保持層を有する。このような実施形態において、カプセル化デバイスは、第一の体導管と第二の体導管とを接続する第三の導管を形成する。細胞保持層は、第三の体導管の内層を形成する。カプセル化デバイスはまた、少なくとも1つのリザーバ空間を含み、外部圧縮力下及び内部膨張力下で分離距離を維持する構造要素を含む封じ込め層を含むことができる。幾つかの実施形態において、カプセル化デバイスは、第一の細胞保持層の反対側の少なくとも1つのリザーバ空間の側に第二の細胞保持層を含む。
【0129】
別の実施形態において、体導管内の所望のバイパス領域(例えば、閉塞部)をバイパスするためにカプセル化デバイスを利用することができる。少なくとも1つの実施形態において、方法は、第一の標的入口点で第一の体導管にアクセスすること、前記第一の標的入口点で前記体導管にガイドワイヤを挿入すること、所望のバイパス領域の前に位置する前記第一の体導管上の標的出口点まで前記ガイドワイヤ上でカテーテルをたどること、付属ツールを使用して第一の標的出口点で前記体導管から出ること、所望のバイパス領域の後の位置にある体導管上の第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、付属ツールを使用して前記第二の標的入口点で前記体導管に入ること、カプセル化デバイスが第一の標的出口点と第二の標的入口点を接続するように前記第二の標的入口点でカプセル化デバイスを展開することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間、及び、一旦展開されると展開デバイスの外面となり、体導管の内面と接触して細胞開放層への血管新生を可能にする細胞開放層を含む。幾つかの実施形態において、細胞保持層は、少なくとも1つのリザーバ空間の少なくとも一方の側に配置されている。
【0130】
管腔外インプラントの展開は、観血的外科手術又は低侵襲手術、例えば、限定するわけではないが、Voneshらの米国特許第6,673,102号明細書に記載される経頸静脈肝内門脈大循環シャント(TIPS)などを使用して行うことができる。細胞開放層は、例えば血管からの血管細胞の内方成長を可能にする。本明細書に記載のカプセル化デバイスは、観血的外科手術にも利用できる。1つの非限定的な実施形態において、カプセル化デバイスを配置する方法は、第一の標的入口点で第一の体導管にアクセスすること、前記第一の体導管内にガイドワイヤを挿入すること、前記第一の体導管から標的出口点まで前記ガイドワイヤ上でカテーテルをたどること、付属ツールを使用して前記第一の体導管から出ること、前記ガイドワイヤを第二の体導管上の第二の標的入口点までたどること、前記付属ツールを使用して第二の体導管にアクセスすること、前記カプセル化デバイスが前記第一の体導管及び前記第二の体導管を接続するように前記第二の標的入口点でカプセル化デバイスを展開することを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含むことができ、ここで、前記リザーバ空間はそれに隣接する細胞保持層を有する。少なくとも1つのリザーバ空間は、構造要素の間に形成される。少なくとも1つのリザーバ空間及び構造要素の両方は封じ込め層内に配置されている。カプセル化デバイスの細胞保持層は、第三の体導管の内層を形成する。別の実施形態において、細胞保持層は封じ込め層の第一の側に配置され、細胞開放層は細胞保持層上に配置され、体導管の内面に隣接している。
【0131】
観血的外科手術を利用する別の実施形態において、体導管上の標的位置点に外科的にアクセスし、体導管の内部にアクセスするために体導管上にスリットを形成し、そしてカプセル化デバイスを体導管内に配置する。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含むための少なくとも1つのリザーバ空間を内部に含む。少なくとも1つのリザーバ空間は、体導管の内面上に配置される細胞開放層を有する。
【0132】
観血的外科手術のさらに別の実施形態において、方法は、第一の体導管内の第一の標的位置点に外科的にアクセスすること、カプセル化デバイスの第一の端部を前記第一の体導管の第一の標的位置点に接続すること、及び、前記カプセル化デバイスの第二の端部を第二の体導管上の第二の標的位置点に接続することを含み、ここで、前記細胞保持層は第三の導管の内面を形成する。カプセル化デバイスは、細胞保持層と、少なくとも1つの生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間とを含む。カプセル化デバイスは、第一の体導管と第二の体導管とを接続する第三の体導管を形成する。
【0133】
さらなる実施形態において、カプセル化デバイスを配置する方法は、カプセル化デバイスが体導管の少なくとも一部を実質的に取り囲むように、標的位置点で体導管に外科的にアクセスすることを含む。カプセル化デバイスは、生物学的部分を内部に含む少なくとも1つのリザーバ空間を含む。少なくとも1つのリザーバ空間に加えて、細胞開放層は少なくとも1つのリザーバ空間の面上で体導管の外側に隣接して配置されている。
【0134】
管腔内デバイスを配置する別の方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つのカプセル化デバイスを、外層が体導管の壁に面するように体導管内の標的位置で展開することを含み、ここで、外層は細胞開放層である。この方法はまた、標的位置点で体導管にアクセスすること、及び、ガイドワイヤ上でカテーテルを標的位置点までたどることを含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、デバイスはカテーテル内に拘束されている。カプセル化デバイスは、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開又は気管支鏡的に展開することができる。カプセル化デバイスは体導管に適合するように構成されていることを理解されたい。
【0135】
管腔内デバイスを配置する別の方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つのカプセル化デバイスを、外層が体導管の壁に面するように体導管内の標的位置点で展開することを含み、ここで、外層は細胞開放層である。この方法はまた、標的位置点で体導管にアクセスすること、ガイドワイヤ上でカテーテルを前記標的位置点までたどることを含むこともできる。少なくとも1つの実施形態において、前記デバイスはカテーテル内に拘束される。カプセル化デバイスは、膀胱鏡的に展開、腹腔鏡的に展開又は気管支鏡的に展開することができる。カプセル化デバイスが体導管に適合するように構成されていることを理解されたい。
【0136】
管腔外デバイスを配置する方法は、第一の標的位置点で第一の体導管にアクセスすること、第二の標的位置点で前記第一の体導管内の標的出口点を作成すること、ガイドワイヤ上でカテーテルを前記第一の体導管上の標的出口点までたどること、前記標的出口点で前記第一の体導管から出ること、第二の体導管上の第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤをたどること、本明細書に記載のいずれか1つの実施形態のカプセル化デバイスを、前記カプセル化デバイスが第一の体導管と第二の体導管とを相互接続するように、前記第二の体導管上の前記第二の標的入口点で展開することを含む。
【0137】
管腔外デバイスを配置する別の方法は、体導管上の第一の標的位置点の第一の標的入口点で体導管にアクセスすること、前記体導管上の第二の標的位置点で第一の標的出口点までカテーテル上でガイドワイヤをたどること、前記第一の標的出口点で前記体導管から出ること、前記体導管上の第三の標的位置点にある第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤ上で前記カテーテルをたどること、前記第二の標的入口点で前記体導管に入ること、及び、本明細書に記載のいずれか1つの実施形態のカプセル化デバイスを展開することを含む。この方法はまた、前記体導管上の前記第三の標的位置点に前記第二の標的入口点を作成することも含むことができる。
【0138】
管腔外デバイスを配置する別の方法において、前記第一の体導管上の第一の位置にある第一の標的入口点で体導管にアクセスすること、前記第一の体導管上の第二の位置にある第一の標的出口点までカテーテル上でガイドワイヤをたどること、前記第一の標的出口点で前記第一の体導管から出ること、第二の体導管上の第三の位置にある第二の標的入口点まで前記ガイドワイヤ上で前記カテーテルをたどること、前記第二の標的入口点で前記第二の体導管に入ること、及び、本明細書に記載のいずれか1つの実施形態のカプセル化デバイスを展開することを含む。
【0139】
カプセル化デバイスを外科的に配置する方法は、第一の標的入口点で第一の体導管上の標的位置点に外科的にアクセスすること、前記標的位置点で前記体導管の一部を切除すること、前記標的位置点で、前記体導管の切除部分を端端吻合法によって本明細書に記載のカプセル化デバイスで置換することを含み、前記カプセル化デバイスは生物学的部分を内部に含む。
【0140】
カプセル化デバイスを配置する別の方法は、体導管上の標的位置点に外科的にアクセスすること、前記体導管にアクセスするために前記標的位置点で前記体導管にスリットを形成すること、及び、本明細書に記載のカプセル化デバイスを前記標的位置点で前記体導管内に挿入することを含む。
【0141】
カプセル化デバイスを配置するためのさらなる方法において、第一の体導管上の第一の標的位置点に外科的にアクセスすること、本明細書に記載されるいずれか1つの実施形態のカプセル化デバイスの第一の端部を前記第一の体導管の第一の標的位置点に接続すること、及び、前記カプセル化デバイスの第二の端部を第二の体導管上の第二の標的位置点に接続することを含む。
【0142】
カプセル化デバイスを配置する方法に関して記載されるカプセル化デバイスは、本明細書に記載される実施形態のいずれかを含み、本明細書に記載されるカプセル化デバイスを形成する要素のいずれか又はすべてを含むこともできることが理解されるべきである。
【実施例
【0143】
例:
近位部分と遠位部分とシャフト長さを含むマンドレルを得た。カプトンを含む第一の剥離フィルムをマンドレルの近位部分に巻き付けた。次に、細胞開放層を含む第一のePTFE膜を第一の剥離フィルム上に巻き付けた。強化層を含む第二のePTFE膜を第一のePTFE膜の上に巻き付け、マンドレルの遠位部分まで続けた。次いで、細胞保持膜を含む第三のePTFE膜を第二のePTFE膜の上に巻き付けた。
【0144】
マンドレル長さよりも短い長さの超弾性ニチノールを含む筒形レーザカットされたステントフレームを得た。ステントフレームがマンドレルの近位部分上に配向されるように、ステントフレームを第三のePTFE膜上で滑らせた。次いで、カプトンを含む第二の剥離フィルムを筒形のステントフレーム上に巻き付けた。
【0145】
フィルム、膜及びステントフレームを含むマンドレルを、ePTFE膜を互いに接着するように350℃で15分間加熱した。加熱後に、マンドレルをオーブンから取り出し、第二の剥離フィルムをマンドレルから取り外し、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)を含むフィルムをステントフレームの遠位端上に巻き付けた。
【0146】
構造要素を含む第四のePTFE膜をマンドレルのステントフレーム部分の上に巻き付けた。第二のePTFE膜を含む巻き付けられた膜の遠位部分を反転させ、マンドレルの近位部分まで軸方向に滑らせ、それにより、ステントフレームは、反転された第二のePTFE膜で覆われた。
【0147】
マンドレルの近位部分において、巻き付けられた第二のePTFE膜と反転された第二のePTFE膜との間にFEP充填チューブを挿入した。FEP充填チューブをePTFE膜に320℃のはんだごてを使用して接着した。アセンブリ全体をマンドレルから取り外した。
【0148】
得られたカプセル化デバイスは、図1Aに示されるものと同様の構造を有する。ただし、構造要素を含む層と第二の多孔質層との間にニチノールステントフレームの挿入物が配置され、リザーバ空間内の構造要素の間に充填チューブが配置されている。
【0149】
本出願の発明を、一般的に及び特定の実施形態に関して上記で説明してきた。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】