(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】浮遊可能なコンクリートブロック構造物及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
B63B 75/00 20200101AFI20240219BHJP
【FI】
B63B75/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552235
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2022002174
(87)【国際公開番号】W WO2022182044
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026047
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070612
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325200
【氏名又は名称】キム,サンキ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンキ
(57)【要約】
本発明は、個別コンクリートブロックを陸上で製作した後、個別コンクリートブロックを水中又は水面で組立及び結束して製作されるものであって、第1コンクリートブロックと第2コンクリートブロックなどによって内部に集合体用浮力室を形成し、第1水密用パッキンなどによって前記集合体用浮力室への水の流入を遮断し、コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させる、浮遊可能なコンクリートブロック構造物に関する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に浮力室用底面が形成される第1コンクリートブロック本体と、前記第1コンクリートブロック本体の上面に前記浮力室用底面を包囲する形態で配置される第1水密用パッキンとを含む第1コンクリートブロックを製作する第1コンクリートブロック製作ステップと、
下面開放の第2浮力室及び上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含む第2コンクリートブロックを製作する第2コンクリートブロック製作ステップと、
前記第1コンクリートブロック製作ステップの後、前記第1コンクリートブロックを水中に沈める第1コンクリートブロック設置ステップと、
前記第2コンクリートブロック製作ステップ及び前記第1コンクリートブロック設置ステップの後、前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置してコンクリートブロック集合体を形成し、前記第2コンクリートブロックの第2浮力室と前記第1コンクリートブロックの浮力室用底面によって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞の集合体用浮力室が形成され、前記第1水密用パッキンは前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置して外部から浮力室への水の流入を遮断する第2コンクリートブロック設置ステップと、
前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記第2柱用貫通口に沿って前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるコンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックが互いに結合されたコンクリートブロック構造物を形成するコンクリート柱形成ステップと、
前記コンクリート柱形成ステップの後、前記集合体用浮力室の水を排水して前記集合体用浮力室の浮力によって前記コンクリートブロック構造物を水面に浮上させる集合体用浮力室排水ステップと、を含むことを特徴とする、浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項2】
前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの柱用鉄筋組立体が前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入されるように前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置し、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口と前記第1コンクリートブロックとによって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され;
前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記コンクリート柱用通孔部内の水を除去する柱用排水ステップが付加され;
前記コンクリート柱形成ステップは、前記柱用排水ステップの後、前記コンクリート柱用通孔部にコンクリートを打設して、前記柱用鉄筋組立体と前記打設されたコンクリートとが一体化された前記コンクリート柱を形成すること;を特徴とする、請求項1に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項3】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;
上下方向に延びる複数の第3柱用貫通口が形成され、下面に前記集合体用浮力室の上部を覆う浮力室用天井面が形成される第3コンクリートブロック本体を含む第3コンクリートブロックを製作する3コンクリートブロック製作ステップが付加され;
前記第2コンクリートブロック設置ステップ及び前記第3コンクリートブロック製作ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記第3コンクリートブロックを設置する第3コンクリートブロック設置ステップが付加され;
前記コンクリート柱形成ステップは、前記第2柱用貫通口及び前記第3柱用貫通口に沿って前記コンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックと前記第3コンクリートブロックが互いに結合された前記コンクリートブロック構造物を形成すること;を特徴とする、請求項1に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項4】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;
前記コンクリート柱形成ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記集合体用浮力室の上部を覆う上置コンクリートを形成する上置コンクリート形成ステップが付加されること;を特徴とする、請求項1に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項5】
前記第2コンクリートブロックは、前記第2コンクリートブロック本体の上面に前記第2浮力室を包囲する形態で配置される第2水密用パッキンが設けられ;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの上部に複数の前記第2コンクリートブロックを多段に設置し、前記第2水密用パッキンは、上下に隣接して設けられた前記第2コンクリートブロック同士の間に位置して外部から前記浮力室への水の流入を遮断すること;を特徴とする、請求項1に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項6】
上部に上面開放の第1浮力室が形成された第1コンクリートブロック本体と、前記第1コンクリートブロック本体の上面に前記第1浮力室を包囲する形態で配置される第1水密用パッキンとを含む第1コンクリートブロックを製作する第1コンクリートブロック製作ステップと、
下面開放の第2浮力室が形成され、上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含む第2コンクリートブロックを製作する第2コンクリートブロック製作ステップと、
前記第1コンクリートブロック製作ステップの後、前記第1コンクリートブロックを水面に浮遊させる第1コンクリートブロック浮遊ステップと、
前記第2コンクリートブロック製作ステップ及び前記第1コンクリートブロック浮遊ステップの後、前記水面に浮遊した状態の前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置してコンクリートブロック集合体を形成し、前記第2コンクリートブロックの第2浮力室と前記第1コンクリートブロックの第1浮力室とが互いに連通しながら前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞の集合体用浮力室が形成され、前記第1水密用パッキンは前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第2コンクリートブロック設置ステップと、
前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記第2柱用貫通口に沿って前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるコンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとが互いに結合されたコンクリートブロック構造物を形成するコンクリート柱形成ステップと、を含むことを特徴とする、浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項7】
前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの柱用鉄筋組立体が前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入されるように前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置し、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口と前記第1コンクリートブロックによって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され;
前記コンクリート柱形成ステップは、前記コンクリート柱用通孔部にコンクリートを打設して、前記柱用鉄筋組立体と前記打設されたコンクリートとが一体化された前記コンクリート柱を形成すること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項8】
前記第1コンクリートブロック本体に、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出し、前記第1浮力室を包囲する形態で配置される複数の第1仮螺合用ボルトが設けられ;
前記第2コンクリートブロック本体に、上下方向に延びる第2ボルト貫通口と、前記第2ボルト貫通口の上部に形成され、前記第2ボルト貫通口の断面積よりも広い断面積を有する第2ナット装着溝を含む複数の第2ボルト締結空間が形成され;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの第1仮螺合用ボルトは、前記第2コンクリートブロックの第2ボルト締結空間に挿入され、ナットが前記第1仮螺合用ボルトに締結されながら前記第2ナット装着溝に位置して前記第2コンクリートブロックを前記第1コンクリートブロックに仮結合すること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項9】
前記第1コンクリートブロック浮遊ステップで、複数の前記第1コンクリートブロックが水平方向に連続配置され;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、複数の前記第2コンクリートブロックが水平方向に連続配置され、1つの前記第1コンクリートブロックの上部には、水平方向に連続配置された複数の第2コンクリートブロックが配置されること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項10】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;
上下方向に延びる複数の第3柱用貫通口が形成され、下面に前記第2浮力室の上部を覆う浮力室用天井面が形成される第3コンクリートブロック本体を含む第3コンクリートブロックを製作する第3コンクリートブロック製作ステップが付加され;
前記第2コンクリートブロック設置ステップ及び前記第3コンクリートブロック製作ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記第3コンクリートブロックを設置する第3コンクリートブロック設置ステップが付加され;
前記コンクリート柱形成ステップは、前記第2柱用貫通口及び前記第3柱用貫通口に沿って前記コンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックと前記第3コンクリートブロックとが互いに結合された前記コンクリートブロック構造物を形成すること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項11】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;
前記コンクリート柱形成ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記集合体用浮力室の上部を覆う上置コンクリートを形成する上置コンクリート形成ステップが付加されること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項12】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;
前記第2コンクリートブロックは、前記第2コンクリートブロック本体の上面に前記第2浮力室を包囲する形態で配置される第2水密用パッキンが設けられ;
前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの上部に複数の前記第2コンクリートブロックを多段に設置し、前記第2水密用パッキンは上下に隣接して設けられた前記第2コンクリートブロック同士の間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断すること;を特徴とする、請求項6に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法。
【請求項13】
上面に浮力室用底面が形成される第1コンクリートブロック本体を含む第1コンクリートブロックと、前記第1コンクリートブロックの浮力室用底面と共に下端閉塞の集合体用浮力室を形成するために、下面開放の第2浮力室及び上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含み、前記第1コンクリートブロックの上部に設置される第2コンクリートブロックと、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第1水密用パッキンとを含むコンクリートブロック集合体;並びに
前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるために前記第2柱用貫通口に沿って形成されるコンクリート柱;を含むことを特徴とする、浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項14】
前記第1コンクリートブロック本体の上部に上面開放の第1浮力室が形成され、前記第1浮力室は前記浮力室用底面を含み、前記第1浮力室は前記第2浮力室と共に前記集合体用浮力室を形成することを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項15】
前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み、
前記柱用鉄筋組立体は、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入され、
前記コンクリートブロック集合体に前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口及び前記第1コンクリートブロックによって下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され、
前記コンクリート柱は、前記コンクリート柱用通孔部に打設されたコンクリートが前記柱用鉄筋組立体と一体化されて形成されることを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項16】
前記第1水密用パッキンは、前記集合体用浮力室を包囲する第1内側水密用パッキンと、前記第1内側水密用パッキンの外側に位置して前記第1内側水密用パッキンを包囲する第1外側水密用パッキンと、を含み、
前記複数の柱用鉄筋組立体は、前記第1内側水密用パッキンと前記第1外側水密用パッキンとの間に位置することを特徴とする、請求項15に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項17】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、
前記コンクリートブロック集合体は、上下方向に延びる複数の第3柱用貫通口が形成され且つ前記集合体用浮力室の上部を覆う第3コンクリートブロック本体を含み、前記第2コンクリートブロックの上部に設置される第3コンクリートブロックを含み、
前記コンクリート柱は、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックと前記第3コンクリートブロックとを互いに結合させるために、前記第2柱用貫通口及び前記第3柱用貫通口に沿って形成されることを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項18】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、前記集合体用浮力室の上部を覆うように前記第2コンクリートブロックの上部に形成される上置コンクリートをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項19】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、
前記第2コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロックの上部に多段に設置され、
前記コンクリートブロック集合体は、上下に隣接して設置された前記第2コンクリートブロック同士の間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第2水密用パッキンを含むことを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項20】
前記第1コンクリートブロック本体に前記コンクリート柱の形成のための第1柱用空間部が形成され、
前記コンクリート柱は、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるために前記第1柱用空間部及び前記第2柱用貫通口に沿って形成れることを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項21】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、
前記第2コンクリートブロックの上部に前記集合体用浮力室の上部を覆う第3コンクリートブロック又は上置コンクリートが設けられ、
前記集合体用浮力室の浮力を調節するために、前記集合体用浮力室の水を外部に排出するか或いは前記集合体用浮力室に水を流入させる浮力調節装置が設けられることを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【請求項22】
前記集合体用浮力室は、中詰材が充填されるための空間として用いられ得ることを特徴とする、請求項13に記載の浮遊可能なコンクリートブロック構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面に浮遊したり、浮遊後に水中に沈んだり、水中に沈んだ後再び水面に浮上したりするように製作される、浮遊可能なコンクリートブロック構造物及びその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然資源への関心が増大している状況で、風を利用して電力を生産するための風力発電が代替エネルギー源としてその価値を認められている。風力発電は、風力タービンを用いて電力を生成する方式であって、空気の流れが遮断されない場所に設置することが好ましい。
【0003】
従来の陸上に設置された風力タービンは、空気の流れを最大限確保することができる山や高地帯に設置されることが多かったが、丘、森、建物などの障害要因により効果的にエネルギーを生産することに限界があった。
【0004】
このため、近年、上述した障害要因のない海上に風力タービンを設置するための試みが盛んに行われているが、風力タービンを支持するための基礎構造物の設置が伴われ、水深25m以下の沿岸にのみ風力発電構造物が設置される限界があった。
【0005】
一方、海上風力資源の大部分は、水深50m以上の深いところで発生するので、沿岸にのみ風力発電構造物を設置することでは満足できるエネルギーを確保することに限界があった。
【0006】
したがって、最近、風力発電構造物を水深50m以上の遠海に設置するための盛んな試みが行われているが、このような試みとして、海洋石油及びガス生産プラットフォームをモチーフにして、遠海に適用できる鋼材を用いた半潜水式海上風力発電用プラットフォームが設置されている。
【0007】
しかし、鋼材を用いる場合、価格が高価であり、塩分を含有した海水により腐食に脆弱であり、海水の圧力によるフープ応力(hoop stress)に脆弱であるという問題点があった。
【0008】
一方、海上風力発電用半潜水式プラットフォームに関連する先行技術文献としては、特開2009-018671号公報が提案されている。
【0009】
この先行技術文献では、鋼材が有する耐久性の問題を克服するために、コンクリート材質の浮遊体を形成した。
【0010】
上記の目的以外にも、様々な目的で海洋コンクリート構造物が製作及び使用されている。
海洋コンクリート構造物は、風力発電用プラットフォームのように水面に浮遊するコンクリート構造物や防波堤、アンカーなどの目的で水中に沈めるコンクリート構造物であってもよい。
【0011】
一般に、大型コンクリート構造物の場合、ケーソン構造で製作されるのが一般的である。
大型コンクリート構造物を陸上で製作する場合、その重量により陸上で製作されたコンクリート構造物を海上に移動させることは非常に困難である。
【0012】
かかる問題点を解決するための技術として、浮遊可能な大型コンクリート構造物を大型バージ船で製作する方式が最近用いられているが、この場合、コンクリート構造物をバージ船上で製作する不便さがあるだけでなく、非常に長い期間高価な大型バージ船を使用しなければならないという問題点により、商用化し難いと評価されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、大型バージ船を使用する必要がなく、個別コンクリートブロックを陸上で製作した後、個別コンクリートブロックを水中又は水面で組立及び結束して使用することができるコンクリートブロック構造物及びその製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法は、上面に浮力室用底面が形成される第1コンクリートブロック本体と、第1コンクリートブロック本体の上面に前記浮力室用底面を包囲する形態で配置される第1水密用パッキンとを含む第1コンクリートブロックを製作する第1コンクリートブロック製作ステップと;下面開放の第2浮力室及び上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含む第2コンクリートブロックを製作する第2コンクリートブロック製作ステップと;前記第1コンクリートブロック製作ステップの後、前記第1コンクリートブロックを水中に沈める第1コンクリートブロック設置ステップと;前記第2コンクリートブロック製作ステップ及び前記第1コンクリートブロック設置ステップの後、前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置してコンクリートブロック集合体を形成し、前記第2コンクリートブロックの第2浮力室と、前記第1コンクリートブロックの浮力室用底面によって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞の集合体用浮力室が形成され、前記第1水密用パッキンは前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置して外部から浮力室への水の流入を遮断する第2コンクリートブロック設置ステップと、前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記第2柱用貫通口に沿って前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるコンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックが互いに結合されたコンクリートブロック構造物を形成するコンクリート柱形成ステップと、前記コンクリート柱形成ステップの後、前記集合体用浮力室の水を排水して前記集合体用浮力室の浮力によって前記コンクリートブロック構造物を水面に浮上させる集合体用浮力室排水ステップと、を含む。
【0016】
上記において、前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み;前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの柱用鉄筋組立体が前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入されるように前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置し、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口と前記第1コンクリートブロックによって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され;前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記コンクリート柱用通孔部内の水を除去する柱用排水ステップが付加され;前記コンクリート柱形成ステップは、前記柱用排水ステップの後、前記コンクリート柱用通孔部にコンクリートを打設して、前記柱用鉄筋組立体と前記打設されたコンクリートとが一体化された前記コンクリート柱を形成すること;が好ましい。
【0017】
本発明の他の態様による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法は、上部に上面開放の第1浮力室が形成された第1コンクリートブロック本体と、前記第1コンクリートブロック本体の上面に前記第1浮力室を包囲する形態で配置される第1水密用パッキンとを含む第1コンクリートブロックを製作する第1コンクリートブロック製作ステップと;下面開放の第2浮力室が形成され、上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含む第2コンクリートブロックを製作する第2コンクリートブロック製作ステップと;前記第1コンクリートブロック製作ステップの後、前記第1コンクリートブロックを水面に浮遊させる第1コンクリートブロック浮遊ステップと;前記第2コンクリートブロック製作ステップ及び前記第1コンクリートブロック浮遊ステップの後、前記水面に浮遊した状態の前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置してコンクリートブロック集合体を形成し、前記第2コンクリートブロックの第2浮力室と前記第1コンクリートブロックの第1浮力室とが互いに連通しながら前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞の集合体用浮力室が形成され、前記第1水密用パッキンは前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第2コンクリートブロック設置ステップと;前記第2コンクリートブロック設置ステップの後、前記第2柱用貫通口に沿って前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるコンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとが互いに結合されたコンクリートブロック構造物を形成するコンクリート柱形成ステップと、を含む。
【0018】
上記において、前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み;前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの柱用鉄筋組立体が前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入されるように前記第1コンクリートブロックの上部に前記第2コンクリートブロックを設置し、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口と前記第1コンクリートブロックによって前記コンクリートブロック集合体に下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され;前記コンクリート柱形成ステップは、前記コンクリート柱用通孔部にコンクリートを打設して、前記柱用鉄筋組立体と前記打設されたコンクリートとが一体化された前記コンクリート柱を形成すること;が好ましい。
【0019】
上記において、前記第1コンクリートブロック本体に、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出し、前記第1浮力室を包囲する形態で配置される複数の第1仮螺合用ボルトが設けられ;前記第2コンクリートブロック本体に、上下方向に延びる第2ボルト貫通口と、前記第2ボルト貫通口の上部に形成され且つ前記第2ボルト貫通口の断面積よりも広い断面積を有する第2ナット装着溝とを含む複数の第2ボルト締結空間が形成され;前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの第1仮螺合用ボルトは、前記第2コンクリートブロックの第2ボルト締結空間に挿入され、ナットが前記第1仮螺合用ボルトに締結されながら前記第2ナット装着溝に位置し、前記第2コンクリートブロックを前記第1コンクリートブロックに仮結合することができる。
【0020】
上記において、前記第1コンクリートブロック浮遊ステップで、複数の前記第1コンクリートブロックが水平方向に連続配置され;前記第2コンクリートブロック設置ステップで、複数の前記第2コンクリートブロックが水平方向に連続配置され、1つの前記第1コンクリートブロックの上部には水平方向に連続配置された複数の第2コンクリートブロックが配置されることができる。
【0021】
前記2つの浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法は、以下の特徴をさらに含むことができる。
【0022】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;上下方向に延びる複数の第3柱用貫通口が形成され、下面に前記第2浮力室の上部を覆う浮力室用天井面が形成される第3コンクリートブロック本体を含む第3コンクリートブロックを製作する第3コンクリートブロック製作ステップが付加され;前記第2コンクリートブロック設置ステップ及び前記第3コンクリートブロック製作ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記第3コンクリートブロックを設置する第3コンクリートブロック設置ステップが付加され;前記コンクリート柱形成ステップは、前記第2柱用貫通口及び前記第3柱用貫通口に沿って前記コンクリート柱を形成し、前記コンクリート柱によって前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックと前記第3コンクリートブロックとが互いに結合された前記コンクリートブロック構造物を形成することができる。
【0023】
前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;前記コンクリート柱形成ステップの後、前記第2コンクリートブロックの上部に前記集合体用浮力室の上部を覆う上置コンクリートを形成する上置コンクリート形成ステップが付加され得る。
【0024】
また、前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり;前記第2コンクリートブロックは、前記第2コンクリートブロック本体の上面に前記第2浮力室を包囲する形態で配置される第2水密用パッキンが設けられ;前記第2コンクリートブロック設置ステップで、前記第1コンクリートブロックの上部に複数の前記第2コンクリートブロックを多段に設置し、前記第2水密用パッキンは、上下に隣接して設けられた前記第2コンクリートブロック同士の間に位置し、外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断することができる。
【0025】
本発明によって製作される浮遊可能なコンクリートブロック構造物は、上面に浮力室用底面が形成される第1コンクリートブロック本体を含む第1コンクリートブロックと、前記第1コンクリートブロックの浮力室用底面と共に下端閉塞の集合体用浮力室を形成するために、下面開放の第2浮力室、及び上下方向に延びる複数の第2柱用貫通口が形成された第2コンクリートブロック本体を含み、前記第1コンクリートブロックの上部に設置される第2コンクリートブロックと、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとの間に位置し、外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第1水密用パッキンと、を含むコンクリートブロック集合体;並びに前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるために前記第2柱用貫通口に沿って形成されるコンクリート柱;を含む。
【0026】
上記において、前記第1コンクリートブロック本体の上部に上面開放の第1浮力室が形成され、前記第1浮力室は前記浮力室用底面を含み、前記第1浮力室は前記第2浮力室と共に前記集合体用浮力室を形成することが好ましい。
【0027】
上記において、前記第1コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて前記第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含み、前記柱用鉄筋組立体は、前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口に挿入され、前記コンクリートブロック集合体に前記第2コンクリートブロックの第2柱用貫通口と前記第1コンクリートブロックによって下端閉塞のコンクリート柱用通孔部が形成され、前記コンクリート柱は、前記コンクリート柱用通孔部に打設されたコンクリートが前記柱用鉄筋組立体と一体化されて形成されることが好ましい。
【0028】
上記において、前記第1水密用パッキンは、前記集合体用浮力室を包囲する第1内側水密用パッキンと、前記第1内側水密用パッキンの外側に位置して前記第1内側水密用パッキンを包囲する第1外側水密用パッキンと、を含み、前記複数の柱用鉄筋組立体は、前記第1内側水密用パッキンと前記第1外側水密用パッキンとの間に位置することが好ましい。
【0029】
上記において、前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、前記コンクリートブロック集合体は、上下方向に延びる複数の第3柱用貫通口が形成され且つ前記集合体用浮力室の上部を覆う第3コンクリートブロック本体を含み、前記第2コンクリートブロックの上部に設置される第3コンクリートブロックを含み、前記コンクリート柱は、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックと前記第3コンクリートブロックとを互いに結合させるために、前記第2柱用貫通口及び前記第3柱用貫通口に沿って形成できる。
【0030】
上記において、前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、前記集合体用浮力室の上部を覆うように前記第2コンクリートブロックの上部に形成される上置コンクリートをさらに含むことができる。
【0031】
上記において、前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、前記第2コンクリートブロックは、前記第1コンクリートブロックの上部に多段に設置され、前記コンクリートブロック集合体は、上下に隣接して設置された前記第2コンクリートブロック同士の間に位置して外部から前記集合体用浮力室への水の流入を遮断する第2水密用パッキンを含むことができる。
【0032】
上記において、前記第1コンクリートブロック本体に前記コンクリート柱の形成のための第1柱用空間部が形成され、前記コンクリート柱は、前記第1コンクリートブロックと前記第2コンクリートブロックとを互いに結合させるために、前記第1柱用空間部及び前記第2柱用貫通口に沿って形成できる。
【0033】
上記において、前記第2浮力室は、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態であり、前記第2コンクリートブロックの上部に前記集合体用浮力室の上部を覆う第3コンクリートブロック又は上置コンクリートが設けられ、前記集合体用浮力室の浮力を調節するために、前記集合体用浮力室の水を外部に排出するか或いは前記集合体用浮力室に水を流入させる浮力調節装置が設けられ得る。
【0034】
上記において、前記集合体用浮力室は、中詰材が充填されるための空間として用いられ得る。
【発明の効果】
【0035】
上述したように、本発明は、大型バージ船を使用する必要がなく、互いに組み立てられるブロック形態により陸上運搬も可能であるので、従来の方式に比べて海洋コンクリート構造物の製作コストが非常に低減される。
【0036】
また、製作作業の大部分が水中又は水面で行われるので、大型コンクリートブロックの陸上製作に必要な広い敷地が不要である。
【0037】
また、本発明によって製作されたコンクリートブロック構造物は、水面に浮遊する状態で使用されたり、浮遊しながら移動したり、移動後に沈んで使用されたり、沈んだ後に再び浮上したりして自由に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第1コンクリートブロックの断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第3コンクリートブロックの断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図13】本発明の第1実施形態によるコンクリートブロック構造物の利用形態を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施形態によるコンクリートブロック構造物の他の利用形態を示す図である。
【
図16】
図14のコンクリートブロック構造物と
図15のコンクリートブロック構造物を適用した事例を示す図である。
【
図19】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使要される第1コンクリートブロックの断面図である。
【
図21】
図19以後の第1コンクリートブロックに延長鉄筋組立体が結合される状態の断面図である。
【
図22】
図21以後の第1コンクリートブロックにガイドポールが着脱可能に結合される状態の断面図である。
【
図25】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの断面図である。
【
図27】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図28】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図29】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図30】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図31】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図32】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図33】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図34】本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図35】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第1コンクリートブロックの概念断面図である。
【
図37】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの概念断面図である。
【
図39】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される他の第2コンクリートブロックの概念断面図である。
【
図41】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第3コンクリートブロックの概念断面図である。
【
図43】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図44】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図45】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図46】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図47】本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【
図48】本発明の第4実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の概念断面図である。
【
図49】
図48に用いられた第1コンクリートブロックと第2コンクリートブロックと第3コンクリートブロックの積層形態を表現するために一部を分離して示す概念斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって、類似の部分に対しては類似の図面符号を付した。
【0040】
明細書全体にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0041】
まず、本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法について説明する。
【0042】
図1は、本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第1コンクリートブロックの断面図、
図2は、
図1の斜視図、
図3は、本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの断面図、
図4は、
図3の斜視図、
図5は、本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第3コンクリートブロックの断面図、
図6は、
図5の斜視図、
図7乃至
図12は、本発明の第1実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【0043】
(1)第1コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図1及び
図2のような第1コンクリートブロック110を製作する。
第1コンクリートブロック110は、直方体形状を有する第1コンクリートブロック本体111を含む。
第1コンクリートブロック本体111の上部中央部には第1浮力室111aが形成され、第1浮力室111aは、上面が開放され且つ下面が閉塞された形態である。
第1浮力室111aは、浮力室用底面111a-1を含む。
本実施形態において、第1浮力室111aは、1つが形成され、平面視四角形である。
しかし、実施形態によっては、第1浮力室111aは、複数個が形成されてもよく、平面視形状も様々な変形が可能である。
第1浮力室111aの縁に沿って、第1コンクリートブロック本体111の上部には複数の第1柱用空間部111bが形成されている。
すなわち、複数の第1柱用空間部111bは、第1浮力室111aを包囲する形態で配置される。
本実施形態において、第1柱用空間部111bは、上下方向に延びる円錐台状の貫通口である。
第1コンクリートブロック本体111の上面に、第1浮力室111aを包囲する四角リング状に第1パッキン用溝111cが形成され、第1パッキン用溝111cに第1水密用パッキン112が設けられる。
第1コンクリートブロック110の製作は、陸上で行われてもよく、大型バージ船で行われてもよい。
【0044】
(2)第2コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図3及び
図4のような第2コンクリートブロック120を製作する。
第2コンクリートブロック120は、直方体形状の第2コンクリートブロック本体121を含む。
第2コンクリートブロック本体121には、第2浮力室121aと、第2浮力室121aの縁に沿って複数の第2柱用貫通口121bとが形成されている。
第2浮力室121aは、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態である。第2柱用貫通口121bも、上下方向に延びて上面及び下面のそれぞれが開放された形態である。
第2浮力室121aは、第1浮力室111aの形態に対応する形態を有することが好ましい。
本実施形態において、第2浮力室121aは直方体形状であり、第2柱用貫通口121bはシリンダ形状であるが、その形状は多様に変更できる。
第2コンクリートブロック本体121の上面に第2パッキン用溝121cが形成され、第2パッキン用溝121cに第2水密用パッキン122が設けられる。
第2パッキン用溝121c及び第2水密用パッキン122は、第2浮力室121aを包囲する四角リング状に形成される。
【0045】
(3)第3コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図5及び
図6のような第3コンクリートブロック130を製作する。
第3コンクリートブロック130は、直方体形状の第3コンクリートブロック本体131を含む。
第3コンクリートブロック本体131の下面中央部には、浮力室用天井面131aが形成されており、浮力室用天井面131aの縁に沿って複数の第3柱用貫通口131bが形成されている。
本実施形態において、第3柱用貫通口131bは、逆円錐台形状に形成される。
また、第3コンクリートブロック本体131には、浮力室用天井面131aと連通するように作業孔131cが形成されている。
実施形態によって、作業孔131cには、開閉及び密閉可能なドアが取り付けられてもよい。
【0046】
(4)第1コンクリートブロック設置ステップ
第1コンクリートブロック製作ステップの後、第1コンクリートブロック110を
図7のように水中に沈める。
【0047】
(5)第2コンクリートブロック設置ステップ
第2コンクリートブロック製作ステップ及び第1コンクリートブロック設置ステップの後、
図8のように第1コンクリートブロック110の上部に第2コンクリートブロック120を設置してコンクリートブロック集合体100Aを形成する。
本実施形態は、第1コンクリートブロック110の上部に第2コンクリートブロック120を一段に設置するが、実施形態によっては、第1コンクリートブロック110の上部に複数の第2コンクリートブロック120を多段に設置してもよい。
このように、第2コンクリートブロック120の設置によって形成されたコンクリートブロック集合体100Aには、下端閉塞の集合体用浮力室140が形成される。
図8において、集合体用浮力室140は、第2コンクリートブロック120の第2浮力室121aと、第1コンクリートブロック111の浮力室用底面111a-1とを含む第1浮力室111aによって形成され、上端は開放されている。
コンクリートブロック集合体100Aにおいて、第1水密用パッキン112は、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121との間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断する。
すなわち、コンクリートブロック集合体100Aは、
図8の状態で集合体用浮力室140の内部に水が存在するが、第1水密用パッキン112によって集合体用浮力室140に水が流入できない状態となる。
【0048】
(6)第3コンクリートブロック設置ステップ
第3コンクリートブロック製作ステップ及び第2コンクリートブロック設置ステップの後、
図9に示すように、第2コンクリートブロック120の上部に第3コンクリートブロック130を設置することで、コンクリートブロック集合体100Aの形態が完成する。
コンクリートブロック集合体100Aにおいて、第2水密用パッキン122は、第2コンクリートブロック本体121と第3コンクリートブロック本体131との間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断する。
第3コンクリートブロック130は、集合体用浮力室140の上部を覆う。
完成したコンクリートブロック集合体100Aにおいて、集合体用浮力室140は、第2コンクリートブロック120の第2浮力室121aと第1コンクリートブロック110の浮力室用底面111a-1と第3コンクリートブロック130の浮力室用天井面131aによって上下が全て閉塞された形態となる。
また、第1コンクリートブロック110の第1柱用空間部111bと第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bと第3コンクリートブロック130の第3柱用貫通口131bとは互いに連通してコンクリート柱用通孔部150をなす。
【0049】
(7)コンクリート柱形成ステップ
第3コンクリートブロック設置ステップの後、コンクリート柱用通孔部150にコンクリート柱160を形成する。
すなわち、第1コンクリートブロック110の第1柱用空間部111bと第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bと第3コンクリートブロック130の第3柱用貫通口131bに沿ってコンクリート柱160を形成し、コンクリート柱160によって第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120と第3コンクリートブロック130とが互いに結合されたコンクリートブロック構造物100Bを形成する。
本実施形態において、コンクリート柱160は、コンクリート柱形成部をコンクリート柱用通孔部150に挿入することにより構成される。
コンクリート柱形成部は、上下方向に延びる形態の柱用鉄筋組立体161と、柱用鉄筋組立体161の下部及び側部を包む防水膜162と、防水膜162の内部に注入される未硬化コンクリート163(「生コンクリート(fresh concrete)」という)と、を含む。
このようなコンクリート柱形成部をコンクリート柱用通孔部150に挿入すると、未硬化コンクリート163の圧力によって防水膜162が第1、第2、第3コンクリートブロック110、120、130に密着しながら未硬化コンクリート163が養生されることにより、コンクリートブロック集合体100Aに上下方向に延びるコンクリート柱160が形成される。
このような過程は、本明細書に一体化された韓国特許第10-2022339号の「水中コンクリートブロック構造物施工方法」(2019年9月10日登録)にさらに詳細に説明されているので、詳細な説明を省略する。
図10に示すように、第1柱用空間部111bは円錐台形状であり、第3柱用貫通口131bは逆円錐台形状であるので、コンクリート柱160は、第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120と第3コンクリートブロック130とが互いに離脱することを禁止する構造を持つ。
本実施形態の場合、第1コンクリートブロック110に第1柱用空間部111bが形成されるようにしたが、これは、一つの実施形態に過ぎない。
もし第1コンクリートブロック110に第1柱用空間部111bを形成せず、むしろ第1コンクリートブロック110に第2柱用貫通口121bの内部に突出する結束用突起が形成されるようにし、第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bと第3コンクリートブロック130の第3柱用貫通口131bにコンクリート柱160を形成し、コンクリート柱160が第1コンクリートブロック110の結束用突起に結合されるならば、同様に、コンクリート柱160によって第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120と第3コンクリートブロック130とが互いに結合されたコンクリートブロック構造物100Bを形成することができる。
未だ、このステップで集合体用浮力室140の内部には水が存在している状態である。
【0050】
(8)集合体用浮力室排水ステップ
コンクリート柱形成ステップの後、
図11に示すように、集合体用浮力室140内の水を除去する集合体用浮力室排水ステップを行う。
コンクリートブロック構造物100Bに排水ポンプ171と排水ホース172を含む排水装置170を設け、排水ポンプ171の稼動によって集合体用浮力室140内の水が排水装置170を介して外部へ排出される。
一方、第1水密用パッキン112と第2水密用パッキン122によって外部から集合体用浮力室140に水が流入できない状態であるため、本ステップによって、集合体用浮力室140は水のない状態となる。
このように集合体用浮力室140内の水を排水すると、
図12に示すように、コンクリートブロック構造物100Bは、集合体用浮力室140の浮力によって水面に浮上する。
これにより、本コンクリートブロック構造物100Bが完成する。
本実施形態では、排水装置170が仮に設置されることを基準に説明するが、実施形態によっては、排水装置170が浮力調節装置の機能のためにコンクリートブロック構造物100Bに永久的に設置されてもよい。
図13は、本コンクリートブロック構造物100Bの利用形態を示すものであり、コンクリートブロック構造物100Bの上部に海上風力発電装置を設置して利用することができることを示す。
図13において、コンクリートブロック構造物100Bは、水上に浮遊している状態で示されているが、コンクリートブロック構造物100Bの集合体用浮力室140に水を充填すると、コンクリートブロック構造物100Bが水中に沈んだ状態で海上風力発電装置を支持することもできる。また、浮力調節装置を用いて、水中に沈んだコンクリートブロック構造物100Bの集合体用浮力室140から水を排水すると、コンクリートブロック構造物100Bが水上に浮遊する状態となり、この状態でコンクリートブロック構造物100Bを補修するか、或いはコンクリートブロック構造物100Bを他の位置に移動させることができる。
図14は、本コンクリートブロック構造物100Bの他の利用形態を示す。
この図では、本コンクリートブロック構造物100Bの利用のために、移動ステップと構造物沈降ステップとをさらに含む。
-移動ステップ;
まず、浅い水深でコンクリートブロック構造物100Bを製作して浮上させた後(100B-a)、水面に浮上したコンクリートブロック構造物100B-aを船舶などによって他所(設置しようとする地点であって水深が深いところ)へ移動させる(100B-b)。
一方、コンクリートブロック構造物100Bを浮上させる前に、コンクリートブロック構造物100Bの上部に海上風力発電装置を予め設置して、海上風力発電装置の設置と移動のために、本コンクリートブロック構造物100Bを用いることもできる。
-構造物沈降ステップ:
移動ステップの後、コンクリートブロック構造物100B-bの集合体用浮力室140に砂、砂利又は砂石などの中詰材141を投入してコンクリートブロック構造物100B-bを水中に沈める。
すなわち、集合体用浮力室140は、浮力を受けるための空間であるとともに、中詰材141が充填されるための空間として用いられることができる。
集合体用浮力室140に中詰材141が充填されると、コンクリートブロック構造物100B-bは、浮力を失って水中に沈む。
このように水中に沈んだコンクリートブロック構造物100B-cは、水中コンクリートブロック構造物として用いられることができる。
図15は、
図12の変形形態を示す。
この図では、2つの集合体用浮力室140が形成できることを示す。すなわち、実施形態によって集合体用浮力室140の数字を多様に変更することができる。
また、この図では、排水ステップの後に作業孔131cを塞ぐようにして、第3コンクリートブロック130に作業孔131cが形成されないことを示している。
図16は、
図14のコンクリートブロック構造物100B-14と
図15のコンクリートブロック構造物100B-15を応用した事例である。
特に、コンクリートブロック構造物100B-15は、
図15のように水面に浮上した後、船舶などによって他所(設置しようとする地点であって深いところ)に移動し、コンクリートブロック構造物100B-14によって係留されるようにした。
特に、
図16では、コンクリートブロック構造物100B-15の姿勢が90度回転してコンクリートブロック構造物100B-14によって係留され得ることを示す。
また、コンクリートブロック構造物100B-15には、その上部に海上風力発電装置を設置する。
図17は、
図12の他の変形形態を示す。
本変形例では、第2コンクリートブロック120を多段に設置したものである。
ここで、第2水密用パッキン122は、上下に隣接して設けられた第2コンクリートブロック120同士の間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断する。
図18は、
図17の変形形態を示す。
本変形例では、第3コンクリートブロック130なしに第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120によってコンクリートブロック構造物100Bを形成することができることを示す。
このとき、集合体用浮力室140は、上部が開放された形態となる。
また、最上部に位置した第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bは、逆円錐台形状を有する。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法について説明する。
【0052】
図19は、本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第1コンクリートブロックの断面図、
図20は、
図19の斜視図、
図21は、
図19以後の第1コンクリートブロックに延長鉄筋組立体が結合される状態の断面図、
図22は、
図21以後の第1コンクリートブロックにガイドポールが着脱可能に結合される状態の断面図、
図23は、
図22のガイドポールの断面図、
図24は、
図23のA-A線に沿った断面図、
図25は、本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの断面図、
図26は、
図25の斜視図、
図27乃至
図34は、本発明の第2実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【0053】
(1)第1コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、第1コンクリートブロック製作ステップは、
図19及び
図21の順に進行する。
まず、
図19及び
図20のような第1コンクリートブロック110を製作する。
第1コンクリートブロック110は、
図20のように直方体形状を有する第1コンクリートブロック本体111を含む。
第1コンクリートブロック本体111の上面中央部には、第1浮力室111aが形成されている。
また、第1コンクリートブロック本体111には、第1浮力室111aの縁に沿って複数の予備鉄筋組立体113-1と複数のブロック側カプラー114とが設けられる。
本実施形態は、14個の予備鉄筋組立体113-1が設けられ、予備鉄筋組立体113-1ごとにブロック側カプラー114が設けられる。
予備鉄筋組立体113-1は、その下端部が第1コンクリートブロック本体111の内部(具体的には、第1コンクリートブロック本体111の内部鉄筋)に連結され、下端部から垂直方向の上部に延びて第1コンクリートブロック本体111の上部に突出する。
予備鉄筋組立体113-1には、
図21に示すように延長鉄筋組立体113-2が連結されることで、予備鉄筋組立体113-1と延長鉄筋組立体113-2とは、一緒に柱用鉄筋組立体113を成す。
ブロック側カプラー114は、予備鉄筋組立体113-1を包囲する形態で設けられる。
本実施形態において、ブロック側カプラー114は、パイプ状であって、その内部に予備鉄筋組立体113-1が配置され、外周面に雄ねじ山114aが形成されている。
第1コンクリートブロック本体111の上面に2つの第1パッキン用溝111cが形成され、第1パッキン用溝111cごとに第1水密用パッキン112が設けられる。
第1パッキン用溝111c及び第1水密用パッキン112は、第1浮力室111aを包囲する四角リング状に形成される。
一方、第1水密用パッキン112は、浮力室用底面111aを包囲する第1内側水密用パッキン112-1と、第1内側水密用パッキン112-1の外側に位置して第1内側水密用パッキン112-2を包囲する第1外側水密用パッキン112-2に区分されることができる。
複数の予備鉄筋組立体113-1は、第1内側水密用パッキン112-1と第1外側水密用パッキン112-2との間に位置する。
図19に示すように第1コンクリートブロック110を製作した後、
図21に示すように予備鉄筋組立体113-1に延長鉄筋組立体113-2を連結して第1コンクリートブロック110の製作を完了する。
これにより、第1コンクリートブロック110は、第1コンクリートブロック本体111、第1水密用パッキン112、柱用鉄筋組立体113、及びブロック側カプラー114を含む。
【0054】
(2)ガイドポール設置ステップ
第1コンクリートブロック製作ステップの後、
図22に示すように、ガイドポール180を第1コンクリートブロック110のブロック側カプラー114に着脱可能に結合する。
ガイドポール180は、
図23及び
図24に示すように、ガイドパイプ181と、上部側挿入案内部182と、パイプ側カプラー183と、第3水密用パッキン184と、排水管185と、を含んでなる。
ガイドパイプ181は、上下方向に延びるパイプ状であって、その内部に沿って上下方向に延びる中空が形成され、上部と下部がそれぞれ開放されている。
よって、ガイドパイプ181の内部に沿って柱用鉄筋組立体113が挿入できる。
ガイドパイプ181の下端部には、排水孔181aが形成されている。
上部側挿入案内部182は、ガイドパイプ181の上端部に上方にテーパーした形状を有する。
上部側挿入案内部182は、後述する第2コンクリートブロック120の設置を案内するためのものである。
パイプ側カプラー183は、ガイドパイプ181の下端部の内周面に設けられ、第1コンクリートブロック110のブロック側カプラー114に着脱可能に結合されるためのものである。
このために、パイプ側カプラー183には、ブロック側カプラー114の雄ねじ山114aに螺合されるための雌ねじ山183aが形成されている。
本実施形態において、パイプ側カプラー183とブロック側カプラー114とを着脱可能に結合するために螺合を例示しているが、着脱可能な結合構造は、非常に多様に応用できる。
第3水密用パッキン184は、ガイドパイプ181の下端部に設けられ、ガイドポール180がブロック側カプラー114に結合されると、すなわち、パイプ側カプラー183がブロック側カプラー114に螺合されると、外部からガイドパイプ181内への水の流入を遮断するためのものである。
ガイドポール180のパイプ側カプラー183がブロック側カプラー114に螺合されると、第3水密用パッキン184は、第1コンクリートブロック110に密着してガイドパイプ181内への水の流入を遮断することができる。
排水管185は、ガイドポール180の内部から上下方向に延びる管であって、排水管185の下端は、ガイドパイプ181の下端部に形成された排水孔181aを介して外部と連通し、排水管185の上端は、ガイドポール180の上端部まで延びる。
本実施形態において、排水管185は、ガイドパイプ181の内周面に密着して上下方向に延びる。
図22に示すようにガイドポール180をブロック側カプラー114に結合すると、第1コンクリートブロック110を水中に設置することができる状態となる。
場合によっては、ガイドポール180は、単に第1コンクリートブロック110の上部に据え置かれる形で製作でき、この場合、ガイドポール設置ステップは、第1コンクリートブロック設置ステップの後に行われてもよい。
【0055】
(3)第2コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図25及び
図26のような第2コンクリートブロック120を製作する。
第2コンクリートブロック120は、直方体状の第2コンクリートブロック本体121を含む。
第2コンクリートブロック本体121には、第2浮力室121aと、第2浮力室121aの縁に沿って複数の第2柱用貫通口121bとが形成されている。
第2浮力室121aは、上下方向に延びる形態であり、第2柱用貫通口121bも、上下方向に延びる形態である。
第2コンクリートブロック本体121の上面に2つの第2パッキン用溝121cが形成され、第2パッキン用溝121cごとに第2水密用パッキン122が設けられる。
第2パッキン用溝121c及び第2水密用パッキン122は、第2浮力室121aを包囲する四角リング状に形成される。
第2水密用パッキン122は、第2浮力室121aを包囲する第2内側水密用パッキン122-1と、第2内側水密用パッキン122-1の外側に位置して第2内側水密用パッキン122-2を包囲する第2外側水密用パッキン122-2に区分されることができる。
複数の第2柱用貫通口121bは、第2内側水密用パッキン122-1と第2外側水密用パッキン122-2との間に位置する。
第2柱用貫通口121bは、ガイドパイプ181の直径よりも大きい直径を有する。
【0056】
(4)第1コンクリートブロック設置ステップ
第1コンクリートブロック製作ステップ及びガイドポール設置ステップの後、第1コンクリートブロック110を
図27のように水中に沈める。
すなわち、
図22のようにガイドポール180が第1コンクリートブロック110に設置された後、
図27のように第1コンクリートブロック110を水中に設置する。
図27に示すように、第3水密用パッキン184が第1コンクリートブロック110に密着してガイドポール180内への水の流入が遮断される。
また、ガイドポール180の上端部は、水面から突出した状態である。
したがって、本実施形態において、柱用鉄筋組立体113は、ガイドポール180によって海水と接触しない。よって、柱用鉄筋組立体113が海水との接触によって腐食する危険がない。
【0057】
(5)第2コンクリートブロック設置ステップ
第2コンクリートブロック製作ステップ及び第1コンクリートブロック設置ステップの後、
図28に示すように、第1コンクリートブロック110の上部に第2コンクリートブロック120を設置してコンクリートブロック集合体100Aを形成する。
図28に示すように、水中に設置された第1コンクリートブロック110の柱用鉄筋組立体113が第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bに挿入されるように第2コンクリートブロック120を設置する。
このように、第2コンクリートブロック120の設置によって形成されたコンクリートブロック集合体100Aには、下端閉塞の集合体用浮力室140が形成される。
集合体用浮力室140は、第2コンクリートブロック120の第2浮力室121aと第1コンクリートブロック111の第1浮力室111aとによって形成され、上端は開放されている。
コンクリートブロック集合体100Aにおいて、第1水密用パッキン112は、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121との間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断し、第2水密用パッキン122は、上下に隣接して配置された第2コンクリートブロック本体121同士の間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断する。
すなわち、コンクリートブロック集合体100Aは、集合体用浮力室140に水が存在するが、第1水密用パッキン112及び第2水密用パッキン122によって集合体用浮力室140へ水が流入できない状態となる。
より詳細に第2コンクリートブロック120の設置過程について説明する。
第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bに、第1コンクリートブロック110に設置されたガイドポール180が挿入されるように、第2コンクリートブロック120を上部から下部に下降させる。
このとき、ガイドポール180の上部側挿入案内部182は、第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bに容易に挿入されながら、第2コンクリートブロック120の装着位置を案内する。
このような過程は、本明細書に一体化された韓国特許第10-2022339号の「水中コンクリートブロック構造物施工方法」(2019年9月10日登録)にさらに詳細に説明されているので、詳細な説明を省略する。
図28に示すように、第1コンクリートブロック110の上部に複数の第2コンクリートブロック120を多段に設置するか、或いは、他の実施形態では第1コンクリートブロック110の上部に第2コンクリートブロック120を一段に設置することができる。
このように、第2コンクリートブロック120の設置によって形成されたコンクリートブロック集合体100Aには、下端閉塞のコンクリート柱用通孔部150が形成される。
コンクリート柱用通孔部150は、第2コンクリートブロック120の第2柱用貫通口121bと第1コンクリートブロック110とによって形成される。
コンクリートブロック集合体100Aにおいて、第1水密用パッキン112は、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121との間に位置して外部からコンクリート柱用通孔部150への水の流入を遮断し、第2水密用パッキン122は、上下に配置された第2コンクリートブロック本体121同士の間に位置して外部からコンクリート柱用通孔部150への水の流入を遮断する。
すなわち、コンクリートブロック集合体100Aは、コンクリート柱用通孔部150に水が存在するが、ガイドポール180の内部には水が存在せず、ガイドポール180の外部空間にのみ水が存在し、かつ、第1水密用パッキン112と第2水密用パッキン122によってコンクリート柱用通孔部150に水が流入できない状態となる。
【0058】
(6)柱用排水ステップ
第2コンクリートブロック設置ステップの後、
図29に示すように、コンクリート柱用通孔部150内の水を除去する柱用排水ステップを行う。
このために、排水管185の上端に、排水ポンプ171及び排水ホース172を含む排水装置170を連結し、排水ポンプ171の稼働によってコンクリート柱用通孔部150内の水が排水管185及び排水装置170を介して外部へ排出される。
一方、第1水密用パッキン112と第2水密用パッキン122によって外部からコンクリート柱用通孔部150に水が流入できない状態であるため、本ステップによって、コンクリート柱用通孔部150は水のない状態となる。
本実施形態は、コンクリート柱用通孔部150の内部からガイドポール180の外部空間の水のみを排水するようにしており、排水時間が非常に節約される。
実施形態によっては、ガイドポール180を用いない場合があることがある。この場合には、コンクリート柱用通孔部150の下部まで排水ホースなどを挿入しなければならない煩わしさがあり、また、コンクリート柱用通孔部150の内部に水がいっぱい満たされている状態であるため、排水作業に比較的多くの時間がかかる。
【0059】
(8)ガイドポール除去ステップ
柱用排水ステップの後、
図30に示すように、ガイドポール180を除去するガイドポール除去ステップを行う。
ガイドポール180を回転させてパイプ側カプラー183とブロック側カプラー114との螺合が解除されるようにし、ガイドポール180を上部に離脱させてガイドポール180を除去する。
【0060】
(9)コンクリート柱形成ステップ
ガイドポール除去ステップの後、
図31に示すように、コンクリート柱用通孔部150に未硬化コンクリート163を打設することで、コンクリート柱用通孔部150に柱用鉄筋組立体113と打設された未硬化コンクリート163とが一体化されたコンクリート柱160を形成する。
このとき、コンクリート柱用通孔部150には水が存在しない状態であるとともに、第1水密用パッキン112と第2水密用パッキン122によって外部に未硬化コンクリート163が漏れるリスクもないので、別途の防水膜を必要としない。
すなわち、未硬化コンクリート163の打設作業が陸上と同じ環境で行われ得る。
一方、柱用鉄筋組立体113の上端部は、コンクリート柱160を形成せず、コンクリート柱160の上部に突出している。
すなわち、第1コンクリートブロック110の柱用鉄筋組立体113は、コンクリート柱用通孔部150を通ってコンクリート柱用通孔部150の上部に突出することができる長さを持っている。
【0061】
(10)上置コンクリート形成ステップ
コンクリート柱形成ステップの後、
図32に示すように、コンクリートブロック集合体100Aの上部に上置コンクリート190を形成してコンクリートブロック構造物100Bを完成する。
このとき、コンクリート柱用通孔部150の上部に突出した柱用鉄筋組立体113の上端部は、上置コンクリート190の内部鉄筋と連結されるようにする。
上置コンクリート190は、集合体用浮力室140の上部を覆う。
すなわち、コンクリートブロック構造物100Bにおいて、集合体用浮力室140は、第2コンクリートブロック120の第2浮力室121aと第1コンクリートブロック110の浮力室用底面111aと上置コンクリート190によって密閉された形態となる。
一方、上置コンクリート190には、集合体用浮力室140の排水作業等のための作業孔191等が形成されている。
【0062】
(11)浮力室排水ステップ
コンクリート柱形成ステップの後、
図33に示すように、集合体用浮力室140内の水を除去する浮力室排水ステップを行う。
コンクリートブロック構造物100Bに排水ポンプ171と排水ホース172を含む排水装置170を設け、排水ポンプ171の稼動によって集合体用浮力室140内の水が排水装置170を介して外部へ排出される。
一方、第1水密用パッキン112と第2水密用パッキン122によって外部から集合体用浮力室140に水が流入できない状態であるため、本ステップによって、集合体用浮力室140は水のない状態となる。
このように集合体用浮力室140内の水を排水すると、
図34に示すように、コンクリートブロック構造物100Bは、集合体用浮力室140の浮力によって水面に浮上する。
上述のように製作された水中コンクリートブロック構造物100Bは、柱用鉄筋組立体113の下端部が第1コンクリートブロック110に連結され、柱用鉄筋組立体113の上端部が上置コンクリート190に連結されて非常に堅固な構造を持つ。
すなわち、コンクリート柱160と第1コンクリートブロック110と上置コンクリート190とが柱用鉄筋組立体113によって一体的に形成できる。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法について説明する。
【0064】
図35は、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第1コンクリートブロックの概念断面図、
図36は、
図35の概念斜視図、
図37は、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第2コンクリートブロックの概念断面図、
図38は、
図37の概念斜視図、
図39は、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される他の第2コンクリートブロックの概念断面図、
図40は、
図39の概念斜視図、
図41は、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物に使用される第3コンクリートブロックの概念断面図、
図42は、
図41の概念斜視図、
図43乃至
図47は、本発明の第3実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の製作方法を順に示す図である。
【0065】
(1)第1コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図35及び
図36のような第1コンクリートブロック110を製作する。
第1コンクリートブロック110は、直方体形状を有する第1コンクリートブロック本体111を含む。
第1コンクリートブロック本体111には、第1浮力室111aが形成されている。
第1浮力室111aの縁に沿って、第1コンクリートブロック本体111の上部には複数の第1柱用空間部111bが形成されている。
本実施形態において、第1柱用空間部111bは、上部が開放された円錐台形状の溝である。
本実施形態において、第1パッキン用溝111cは、第1内側パッキン用溝111c-1と第1外側パッキン用溝111c-2に区分され、第1水密用パッキン112は、第1内側水密用パッキン112-1と第1外側水密用パッキン112-2に区分される。
第1内側パッキン用溝111c-1と第1内側水密用パッキン112-1は、第1柱用空間部111bの内側において第1浮力室111aを包囲する形態であり、第1外側パッキン用溝111c-2と第1外側水密用パッキン112-2は、第1内側パッキン用溝111c-1と第1内側水密用パッキン112-1と第1柱溶空間部111bの外側において第1浮力室111a及び第1内側水密用パッキン112-1を包囲する形態である。
第1内側水密用パッキン112-1と第1外側水密用パッキン112-2のそれぞれは、第1浮力室111aを包囲する四角リング状である。
第1コンクリートブロック本体111には、第1浮力室111aを包囲する形態で複数の第1仮螺合用ボルト115が設けられる。
第1仮螺合用ボルト115は、第1コンクリートブロック本体111の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて第1コンクリートブロック本体111の上部に突出する。
図1及び
図2において、第1浮力室111aは、理解の便宜のために(他の構成要素を十分に大きく表現するために)過度に小さく表現したものであり、第1浮力室111aは、第1コンクリートブロック110が水面に浮遊するのに十分な大きさを有する。
【0066】
(2)第2コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、第2コンクリートブロック120を製作し、第2コンクリートブロックは、
図37及び
図38のような第2-1コンクリートブロック120-1と、
図39及び
図40のような第2-2コンクリートブロック120-2に区分される。
第2コンクリートブロック120-1、120-2は、直方体形状の第2コンクリートブロック本体121を含む。
第2コンクリートブロック本体121には、第2浮力室121aが形成されている。
第1コンクリートブロック110と同様に、第2パッキン用溝121cは、第2内側パッキン用溝121c-1と第2外側パッキン用溝121c-2に区分され、第2水密用パッキン122は、第2内側水密用パッキン122-1と第2外側水密用パッキン122-2に区分される。
第2コンクリートブロック本体121には、第2浮力室121aを包囲する形態で複数の第2仮螺合用ボルト125が設けられる。
第2仮螺合用ボルト125は、第2コンクリートブロック本体121の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて第2コンクリートブロック本体121の上部に突出する。
一方、第2コンクリートブロック本体121には、第2浮力室121aを包囲する形態で複数の第2ボルト締結空間124が形成される。
それぞれの第2ボルト締結空間124は、第2コンクリートブロック本体121に上下方向に延びる第2ボルト貫通口124aと、第2ボルト貫通口124aの上部に形成され、第2ボルト貫通口124aの断面積よりも広い断面積を有する第2ナット装着溝124bと、を含む。
図37及び
図38に示された第2仮螺合用ボルト125及び第2ボルト締結空間124は、理解の便宜のために概念的に示したものである。
また、第2-1コンクリートブロック120-1と第2-2コンクリートブロック120-2は、
図38及び
図40から確認されるように、第2仮螺合用ボルト125及び第2ボルト締結空間124の配置形態が異なるだけであり、残りは互いに同一である。
【0067】
(3)第3コンクリートブロック製作ステップ
本実施形態において、
図41及び
図42のような第3コンクリートブロック130を製作する。
第3コンクリートブロック130は、直方体形状の第3コンクリートブロック本体131を含む。
第3コンクリートブロック本体131には、浮力室用天井面131aを包囲する形態で複数の第3ボルト締結空間134が形成される。
それぞれの第3ボルト締結空間134は、第3コンクリートブロック本体131に上下方向に延びる第3ボルト貫通口134aと、第3ボルト貫通口134aの上部に形成され、第3ボルト貫通口134aの断面積よりも広い断面積を有する第3ナット装着溝134bと、を含む。
【0068】
(4)第1コンクリートブロック浮遊ステップ
第1コンクリートブロック製作ステップの後、第1コンクリートブロック110を
図43のように水面に浮遊させる。
このとき、第1コンクリートブロック110は、第1浮力室111aの浮力によって水面に浮遊する。
通常、第1コンクリートブロック110を陸上で製作した後、
図43に示すように、水面に浮遊するように設置する。
場合によって、第1コンクリートブロック110には補助浮力材(図示せず)が結合されてその浮力を高めることもできる。
【0069】
(5)第2コンクリートブロック設置ステップ
第2コンクリートブロック製作ステップ及び第1コンクリートブロック浮遊ステップの後、
図44及び
図45に示すように、水面に浮遊した状態の第1コンクリートブロック110の上部に第2-1コンクリートブロック120-1及び第2-2コンクリートブロック120-2を設置してコンクリートブロック集合体100Aを形成する。
このように第2コンクリートブロック120-1、120-2の設置によって形成されたコンクリートブロック集合体100Aには、第2-1コンクリートブロック120-1の第2浮力室121aと第2-2コンクリートブロック120-2の第2浮力室121aと第1コンクリートブロック110の第1浮力室111aとが互いに連通して下端閉塞の集合体用浮力室140が形成される。
図44及び
図45において、集合体用浮力室140の上面は開放されている状態である。
コンクリートブロック集合体100Aにおいて、第2水密用パッキン122は、第2コンクリートブロック本体121と第2コンクリートブロック本体121との間に位置して外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断する。
特に、
図45において、第1コンクリートブロック本体111は、水面の下に位置するにもかかわらず、第1水密用パッキン112によって外部から集合体用浮力室140への水の流入を遮断してコンクリートブロック集合体100Aが浮遊できるようにする。
しかし、このようなコンクリートブロック集合体100Aは、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121とが互いに完全に結合された状態ではないので、外部から大きな衝撃を受ける場合、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121との間に水が流入できる状態でもある。
かかる問題を防止するために、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121とを、及び第2コンクリートブロック本体121と第2コンクリートブロック本体121を互いに仮結合することが好ましい。
図44に基づいて説明する。
第2コンクリートブロック110の第1仮螺合用ボルト115が第2-1コンクリートブロック120-1の第2ボルト締結空間124に挿入されるように第2-1コンクリートブロック120-1を設置した後、第1仮螺合用ボルト115の上端部にワッシャ171を装着した状態でナット172を締結する。締結されたナット172とワッシャ171とは、第2ナット装着溝124bに位置する。
これにより、第1コンクリートブロック本体111と第2コンクリートブロック本体121とが仮結合される。
このような仮結合は、本コンクリートブロック構造物の製作過程で外部衝撃に耐えられる程度であれば十分である。
同様に、
図45において、第2-1コンクリートブロック120-1と第2-2コンクリートブロック120-2とが第2仮螺合用ボルト125、ワッシャ171及びナット172によって仮結合される。
【0070】
(6)第3コンクリートブロック設置ステップ
第3コンクリートブロック製作ステップ及び第2コンクリートブロック設置ステップの後、
図46に示すように、第2-2コンクリートブロック120-2の上部に第3コンクリートブロック130を設置することで、コンクリートブロック集合体100Aの形態が完成する。
完成したコンクリートブロック集合体100Aにおいて、集合体用浮力室140は、第2コンクリートブロック120-1、120-2の第2浮力室121aと第1コンクリートブロック110の第1浮力室111aと第3コンクリートブロック130の浮力室用天井面131aによって上下が全て閉塞された形態となる。
また、第1コンクリートブロック110の第1柱用空間部111bと第2コンクリートブロック120-1、120-2の第2柱用貫通口121bと第3コンクリートブロック130の第3柱用貫通口131bとは、互いに連通してコンクリート柱用通孔部150をなす。
また、第2仮螺合用ボルト125が第3ボルト締結空間134に挿入され、第2仮螺合用ボルト125の上端部にワッシャ171及びナット172が締結されて第2-2コンクリートブロック120-2と第3コンクリートブロック130とが仮結合される。
【0071】
(7)コンクリート柱形成ステップ
第3コンクリートブロック設置ステップの後、
図47に示すように、コンクリート柱用通孔部150にコンクリート柱160を形成する。
すなわち、第1コンクリートブロック110の第1柱用空間部111bと第2コンクリートブロック120-1、120-2の第2柱用貫通口121bと第3コンクリートブロック130の第3柱用貫通口131bに沿ってコンクリート柱160を形成し、コンクリート柱160によって第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120-1、120-2と第3コンクリートブロック130が互いに結合されたコンクリートブロック構造物100Bを形成する。
一方、コンクリート柱用通孔部150は、第1内側水密用パッキン112-1と第1外側水密用パッキン112-2との間、第2内側水密用パッキン122-1と第2外側水密用パッキン122-2との間に位置するので、未硬化コンクリート163の漏れが防止される。
図47に示すように、第1柱用空間部111bは円錐台形状であり、第3柱用貫通口131bは逆円錐台形状であるので、コンクリート柱160は、第1コンクリートブロック110と第2コンクリートブロック120-1、120-2と第3コンクリートブロック130とが互いに離脱することを確実に禁止する構造を持つ。
コンクリート柱160が形成されると、粗い海洋環境の下でも、第1、第2、第3コンクリートブロック110、120、130はコンクリート柱160によって結束された状態が維持でき、たとえ第1仮螺合用ボルト125等が腐食して損傷する場合でも、その結束された状態がそのまま維持できる。
【0072】
第3実施形態の変形形態は、第2実施形態に記載された技術が適用できる。
すなわち、第2実施形態が第1実施形態と異なる部分が第3実施形態に適用されて、第3実施形態の変形形態が提示できる。
【0073】
例えば第3実施形態の変形形態において、第1コンクリートブロックは、第1コンクリートブロック本体の内部に連結された下端部から垂直方向の上部に延びて第1コンクリートブロック本体の上部に突出する複数の柱用鉄筋組立体を含むことができる。
【0074】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0075】
図48は、本発明の第4実施形態による浮遊可能なコンクリートブロック構造物の概念断面図、
図49は、
図48に用いられた第1コンクリートブロックと第2コンクリートブロックと第3コンクリートブロックの積層形態を表現するために一部を分離して示す概念斜視図である。
【0076】
図48のコンクリートブロック構造物は、水面に浮遊している状態である。
【0077】
図49では、理解の便宜のために、コンクリート柱160を示していない。
【0078】
第1コンクリートブロック110は、4つの第1浮力室111aが形成される。
【0079】
また、複数の第1コンクリートブロック110は、水平方向の四方(前後及び左右方向)に連続して配置されるように水面に浮遊させる。
【0080】
第2コンクリートブロック120も、4つの第2浮力室121aが形成されている。
【0081】
複数の第2コンクリートブロック120を、水面に浮遊した状態の第1コンクリートブロック110の上部に設置するが、第2コンクリートブロック120も水平方向の四方に連続して配置される。
【0082】
また、それぞれの第2コンクリートブロック120は、互いに隣接する4つの第2コンクリートブロック120の中央に位置する。よって、1つの第2浮力室121aは、いずれか一つの第1コンクリートブロック110の第1浮力室111aに連結され、もう一つの第2浮力室121aは、もう一つの第1コンクリートブロック110の第1浮力室111aに連結されるようにする。
【0083】
したがって、1つの第1コンクリートブロック110の上部には、水平方向に連続した複数(本実施形態の場合は4つ)の第2コンクリートブロック120が設置される。
【0084】
また、第3コンクリートブロック130も、複数設けられ、水面に浮遊した状態の第2コンクリートブロック120の上部に設置されるが、水平方向の四方に連続して配置される。
【0085】
また、1つの第3コンクリートブロック130は、下部に位置した4つの第2コンクリートブロック120に連結される。
【0086】
このように第1、第2、第3コンクリートブロック110、120、130が設置された後、コンクリート柱160を形成する。
【0087】
この実施形態は、本コンクリートブロック構造物が水平方向に非常に広い構造を持つことができることを示す。
【0088】
したがって、本コンクリートブロック構造物は、垂直方向の大きさ及び水平方向の大きさに特別な制限がなく、このように非常に大きな大型構造物を容易に製作することができる。
【0089】
一方、実施形態によっては、集合体用浮力室140の浮力を調節するために、浮力調節装置(図示せず)がさらに設けられることができる。
【0090】
浮力調節装置は、集合体用浮力室140の水を外部に排出するか或いは集合体用浮力室140に水を流入させて集合体用浮力室の浮力を調節することができる。
【0091】
このように集合体用浮力室140の浮力が調節されると、本コンクリートブロック構造物は、潜水艦のように水面に浮上するか或いは水中に沈むことができる。
【0092】
場合によって、本コンクリートブロック構造物には、浮力をさらに持つように浮力補助用チューブなどが装着されることもでき、また、場合によって、本コンクリートブロック構造物には、自ら水面で移動することができるように推進装置などがさらに装着されることもできる。
【0093】
上述のように、本発明は、大型バージ船を使用しないか或いは大型バージ船を極めて短期間使用することでコンクリートブロック構造物を製作することができるため、その製作コストが非常に経済的である。
【0094】
また、コンクリートブロック構造物を構成するコンクリートブロックの陸上運搬が可能であり、設置作業も単純化されることで、全体的な工事コストを削減する。
【0095】
また、第1実施形態及び第2実施形態の場合、コンクリートブロック構造物の製作作業の大部分が水中で行われるので、高所作業が不要であって比較的安全な環境で作業することができる。
【0096】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解することができる。したがって、上述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと理解されるべきである。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散されて実施されてもよく、同様に分散されたものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0097】
本発明の範囲は、上述した詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明による浮遊可能なコンクリートブロック構造物は、浮遊式防波堤、風力/潮力発電用プラットフォーム、一般的な大型ケーソンに代わる用途など、非常に多様な用途に利用可能である。
【国際調査報告】