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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】パワーデバイス保護装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240219BHJP
   H03K 17/567 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H03K17/08 Z
H03K17/567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552371
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 KR2022004730
(87)【国際公開番号】W WO2022225223
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052563
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソンヒ
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジュンウク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウンヒョブ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ドンジン
(72)【発明者】
【氏名】ぺ,チェユン
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX34
5J055AX53
5J055AX65
5J055BX16
5J055DX09
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
5J055EZ03
5J055EZ10
5J055EZ24
5J055FX04
5J055FX06
5J055FX13
5J055FX21
(57)【要約】
本発明は、パワーデバイス保護装置に関する。本発明の一実施形態によるパワーデバイス保護装置は、パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記パワーデバイスの温度情報を受信し、前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、
前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記パワーデバイスの温度情報を受信し、
前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、
前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とするパワーデバイス保護装置。
【請求項2】
前記比較器は、
前記パワーデバイスから出力される電流の大きさを決定し、
前記決定した電流の大きさが所定の過電流基準値を超えるか否か判断し、
前記決定した電流の大きさが前記過電流基準値を超えると、前記パワーデバイスをオフにする信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記パワーデバイスの温度情報が受信されると、所定の式又は一定の割合で前記過電流基準値を変化させることを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項4】
前記パワーデバイスの温度情報を検知する温度センサをさらに含む請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記パワーデバイスから温度情報を受信することを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記パワーデバイスの種類に基づいて、前記パワーデバイスの特性曲線を決定し、
前記特性曲線に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記パワーデバイスの特性が正の温度係数であるか負の温度係数であるかを判断し、
判断の結果に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記パワーデバイスの特性が前記パワーデバイスに流れる電流に応じて正の温度係数又は負の温度係数で動作するものであれば、前記パワーデバイスに流れる電流に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記パワーデバイスが特定電流を基準に負の温度係数又は正の温度係数を有する場合、前記パワーデバイスにかかる電流が前記特定電流を超えるか否かに基づいて、負の温度係数又は正の温度係数に応じて過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする請求項8に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項10】
前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードをさらに含む請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項11】
前記比較器と前記ダイオード間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、
前記バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールとをさらに含む請求項10に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項12】
前記ダイオードと前記比較器間に備えられ、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサをさらに含む請求項10に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項13】
前記比較器と前記コンデンサ間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタをさらに含む請求項12に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項14】
前記比較器と制御部間に接続され、前記制御部から出力された制御信号をアナログ信号に変換して前記比較器に入力するデジタル・アナログコンバータをさらに含む請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項15】
前記比較器は、アナログ信号を受信するアナログ比較器であることを特徴とする請求項14に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項16】
前記比較器は、ソフトウェアにより駆動されるデジタル比較器であり、
前記パワーデバイスと前記比較器間に接続され、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタルコンバータをさらに含む請求項1に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項17】
前記ダイオードとグランド間に接続される保護ダイオードをさらに含む請求項10に記載のパワーデバイス保護装置。
【請求項18】
前記ダイオードと前記比較器間に備えられるアナログバッファをさらに含む請求項10に記載のパワーデバイス保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーデバイス保護装置に関し、より具体的には、パワーデバイスの過電流を検出することのできるパワーデバイス保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイスとは、電力用半導体素子(Power semiconductor device)を意味し、電力機器用の半導体素子が含まれる。
【0003】
パワーデバイスは、一般の半導体素子に比べて、高耐圧化、大電流化、高周波数化されているという特徴があり、一般に電源デバイス(Power device)ともいう。
【0004】
パワーデバイスは、インバータ、半導体遮断器、ハイブリッド遮断器などを含む。
【0005】
図1に示すように、パワーデバイス101は、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)/SiC(シリコンカーバイド)/GaN(窒化ガリウム)などのトランジスタとして実現される。
【0006】
従来は、パワーデバイス101の接続において、Collector(Drain)/Emitter(Source)の両端の電圧(V_CE又はV_DS)によりパワーデバイスを流れる電流の大きさを算出していた。
【0007】
V_CEによる過電流判断機能がパワーデバイス起動IC106の内部にある場合、DESATピンを基準にパワーデバイスの過電流判断機能を行う。
【0008】
102は、High Voltage blocking diodeであり、パワーデバイス101が高圧に接続されると、diodeがoffになり、103~106の回路を保護する機能を有する。
【0009】
103及び104は、抵抗と、ツェナーダイオード(zener diode)とからなり、過電流判断電圧を調節する役割を果たす。
【0010】
パワーデバイス起動IC106の内部の機能は、外部HWで行われる。
【0011】
従来のパワーデバイス駆動IC106は、内部に比較器(comparator)を有し、この比較器は、DESATピンから入る電圧と内部のvoltage referenceを比較することにより過電流を判断する。
【0012】
DESATピンの電圧は、パワーデバイス101のV_CE電圧、HV diode 102のforward電圧、抵抗103の両端電圧、ツェナーダイオード(zener Diode)104の両端電圧の合計である。
【0013】
一方、従来は、ハードウェア(Hardware)に対する固定の電流設定であり、固定の電圧リファレンス値と比較して過電流の有無を判断するので、温度に応じて変化するパワーデバイスの特性変化の反映が困難であるという問題があった。
【0014】
また、パワーデバイスが変更されると、過電流を認識するための値が変更されなければならないが、同じハードウェアを継続して用いることは困難であり、各パワーデバイスに合わせて抵抗103及びツェナーダイオード(zener diode)104の値と種類を変更しなければならないという煩雑さがあった。
【0015】
パワーデバイスモジュールを用いる場合も、過電流を認識するためのV_CE入力値が非常に小さいので、変更が必要である。
【0016】
一般のゲート駆動ICのDESAT入力値は9V程度に固定されており、値が非常に高いので、モジュールの過電流検知には困難がある。
【0017】
外部抵抗やzener diodeなどにより過電流検知レベルを調節する方法もあるが、動作に偏りがあり、ハードウェア的に固定された値でのみ動作するという限界がある。
【0018】
内部電流源の電流の大きさによって過電流認識時間が変化するが、電流源の大きさの設定が難しく、過電流を認識する上での時間遅延が大きい。
【0019】
SiCやGaNなどは過電流に耐える時間が短いので、迅速な過電流検知が必要であるが、従来技術は固定の電流源に固定の電圧リファレンスを用いるので、限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記問題及び他の問題を解決することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、最適化された方法でパワーデバイスの過電流を検知することのできるパワーデバイス保護装置を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、本発明は、同じハードウェアからなる保護装置を用いて様々なパワーデバイスの過電流を検知することのできるパワーデバイス保護装置を提供することを目的とする。
【0023】
さらに、本発明は、パワーデバイスの温度を反映して最適化された方法で過電流を検知することのできるパワーデバイス保護装置を提供することを目的とする。
【0024】
さらに、本発明は、パワーデバイスの特性に応じて最適化された方法で過電流を検知することのできるパワーデバイス保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的又は他の目的を達成するための本発明の一態様において、本発明の一実施形態によるパワーデバイス保護装置は、パワーデバイスに接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器と、前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように前記比較器を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記パワーデバイスの温度情報を受信し、前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させると共に、前記パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【0026】
一実施形態において、前記比較器は、前記パワーデバイスから出力される電流の大きさを決定し、前記決定した電流の大きさが所定の過電流基準値を超えるか否か判断し、前記決定した電流の大きさが前記過電流基準値を超えると、前記パワーデバイスをオフにする信号を出力することを特徴とする。
【0027】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスの温度情報が受信されると、所定の式又は一定の割合で前記過電流基準値を変化させることを特徴とする。
【0028】
一実施形態において、前記パワーデバイスの温度情報を検知する温度センサをさらに含む。
【0029】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスから温度情報を受信することを特徴とする。
【0030】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスの種類に基づいて、前記パワーデバイスの特性曲線を決定し、前記特性曲線に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【0031】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスの特性が正の温度係数であるか負の温度係数であるかを判断し、判断の結果に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【0032】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスの特性が前記パワーデバイスに流れる電流に応じて正の温度係数又は負の温度係数で動作するものであれば、前記パワーデバイスに流れる電流に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【0033】
一実施形態において、前記制御部は、前記パワーデバイスが特定電流を基準に負の温度係数又は正の温度係数を有する場合、前記パワーデバイスにかかる電流が前記特定電流を超えるか否かに基づいて、負の温度係数又は正の温度係数に応じて過電流基準値の変化を行わせることを特徴とする。
【0034】
一実施形態において、前記比較器に接続され、前記パワーデバイスに所定の電圧以上の電圧がかかると、比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオードをさらに含む。
【0035】
一実施形態において、前記比較器と前記ダイオード間に接続され、前記パワーデバイスがオン状態のときに前記ダイオードをオンにするバイアス電流源と、前記バイアス電流源を制御する電流源制御モジュールとをさらに含む。
【0036】
一実施形態において、前記ダイオードと前記比較器間に備えられ、前記パワーデバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサをさらに含む。
【0037】
一実施形態において、前記比較器と前記コンデンサ間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタをさらに含む。
【0038】
一実施形態において、前記比較器と制御部間に接続され、前記制御部から出力された制御信号をアナログ信号に変換して前記比較器に入力するデジタル・アナログコンバータをさらに含む。
【0039】
一実施形態において、前記比較器は、アナログ信号を受信するアナログ比較器であることを特徴とする。
【0040】
一実施形態において、前記比較器は、ソフトウェアにより駆動されるデジタル比較器であり、前記パワーデバイスと前記比較器間に接続され、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタルコンバータをさらに含む。
【0041】
一実施形態において、前記ダイオードとグランド間に接続される保護ダイオードをさらに含む。
【0042】
一実施形態において、前記ダイオードと前記比較器間に備えられるアナログバッファをさらに含む。
【発明の効果】
【0043】
本発明による移動端末機及びその制御方法の効果について説明する。
【0044】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、ソフトウェアにより過電流を判断する過電流基準値の変化を行わせるので、パワーデバイスが変更されても同じハードウェアを用いることができるという利点を有する。
【0045】
また、本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、パワーデバイスの温度に応じて過電流基準値を変化させるだけでなく、パワーデバイスの特性を考慮して過電流基準値の変化を行わせるので、より精密な過電流判断が可能になるという効果がある。
【0046】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の思想及び範囲内における様々な変更及び変形は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明及び本発明の好ましい実施形態などの特定実施形態は単に本発明を例示するものであると解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】従来の過電流を判断する装置について説明する概念図である。
【0048】
図2】本発明の一実施形態によるパワーデバイス保護装置を示す回路図である。
【0049】
図3】パワーデバイスの特性について説明する概念図である。
図4】パワーデバイスの特性について説明する概念図である。
【0050】
図5】本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
図6】本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
図7】本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
図8】本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
図9】本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示される実施形態について詳細に説明するが、図面番号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明で用いる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。また、本明細書に開示される実施形態について説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される実施形態の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと理解されるべきである。
【0052】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、前記構成要素を限定するものではない。上記用語は一構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0053】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」又は「接続されている」と言及される場合、他の構成要素に直接連結又は接続されていることもあり、中間にさらに他の構成要素が存在することもあるものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」又は「直接接続されている」と言及される場合、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解すべきである。
【0054】
単数表現には、特に断らない限り複数表現が含まれる。
【0055】
本発明における「含む」、「有する」などは、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除するものではない。
【0056】
図2は本発明の一実施形態によるパワーデバイス保護装置を示す回路図であり、図3及び図4はパワーデバイスの特性について説明する概念図である。
【0057】
まず、本発明の一実施形態によるパワーデバイス保護装置は、パワーデバイス201に接続され、前記パワーデバイスの過電流の有無を判断する比較器207と、前記過電流の有無を判断する過電流基準値をソフトウェア的に変化させるように比較器207を制御する制御部209とを含む。
【0058】
図2に示す201は、例えばパワーデバイスのスイッチであり、スイッチモジュール又は半導体スイッチともいう。
【0059】
図2に示すように、パワーデバイス201には、パワーデバイス201に所定の圧力以上の高圧が接続されると、比較器に流れる電流を遮断するように形成されるダイオード202(例えば、High Voltage blocking diode)が接続される。ダイオード202は、パワーデバイス保護装置を構成する構成要素202~209を保護する機能を果たす。
【0060】
パワーデバイス保護装置は、比較器207とダイオード202間に接続され、パワーデバイス201がオン状態のときに、過電流を判断するためにダイオード202をオンにするバイアス(bias)電流を生成するバイアス電流源204と、バイアス電流源204を制御する電流源制御モジュール203とを含む。
【0061】
電流源制御モジュール203は、制御部209又は別途のソフトウェアにより生成された信号や、FPGAなどで生成された信号に基づいて、バイアス電流源204の電流の大きさを設定する。
【0062】
前記バイアス電流源は、バイアス抵抗に代えてもよい。
【0063】
また、パワーデバイス保護装置は、ダイオード202と比較器207間に備えられ、パワーデバイス201がオフ状態からオン状態に切り替えられる際に、前記比較器で過電流が検出されないように防止するコンデンサ205をさらに含む。コンデンサ205は、ブランキングコンデンサ(Blanking capacitor)ともいう。また、コンデンサ205は、ノイズを防止する役割を果たす。
【0064】
さらに、パワーデバイス保護装置は、比較器207とコンデンサ205間に接続され、前記パワーデバイスがオフ状態になる際に、前記コンデンサにより電流が検出されないように、電流検出ラインの電圧を低くするトランジスタ206をさらに含む。
【0065】
トランジスタ206は、パワーデバイス201の状態がオフ状態であれば、コンデンサ205に充電された電流が流れることを防止するように(すなわち、コンデンサ205をオフにするように)、電流検出ラインの電圧を低くして電流検出ライン状態を初期化する役割を果たす。
【0066】
トランジスタ206は、制御部209又は別途のソフトウェアにより生成された信号や、FPGAなどで生成された信号により制御される。
【0067】
また、パワーデバイス保護装置は、比較器207と制御部209間に接続され、制御部209から出力された制御信号をアナログ信号に変換して比較器207に入力するデジタル・アナログコンバータ(DAC)208をさらに含む。
【0068】
さらに、デジタル・アナログコンバータ208は、制御部209又は別途のソフトウェアから入力したデータをアナログデータに変換する。
【0069】
デジタル・アナログコンバータ208は、温度補償時にも、制御部209の信号をアナログデータに変換する。
【0070】
比較器207は、電流検出ラインと制御部209の設定によるデジタル・アナログコンバータ208の出力値(過電流基準値)を比較し、電流検出ラインの値が過電流基準値より大きいと過電流であると判断する。
【0071】
比較器207は、アナログ信号を受信するアナログ比較器である。
【0072】
なお、これに限定されるものではなく、比較器207は、ソフトウェアにより駆動されるデジタル比較器であってもよい。この場合、パワーデバイス保護装置は、パワーデバイス201と比較器207間に接続され、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタルコンバータ210をさらに含む(図5図7参照)。ここで、図2において説明したデジタル・アナログコンバータ208は省略される。
【0073】
再び図2に戻ると、比較器207は、パワーデバイス201から出力される電流の大きさを決定し、前記決定した電流の大きさが所定の過電流基準値を超えるか否か判断する。
【0074】
比較器207は、前記決定した電流の大きさが前記過電流基準値を超えると、前記パワーデバイスが過電流状態であると判断する。
【0075】
比較器207は、前記決定した電流の大きさが前記過電流基準値を超えると、前記パワーデバイスをオフにする信号を出力する。そうすると、パワーデバイス201はオフ(off)になる。
【0076】
ここで、制御部209は、パワーデバイスの温度に基づいて、過電流の有無を判断する過電流基準値を変化(又は変更)させる/設定する。
【0077】
例えば、制御部209は、パワーデバイスの温度情報を受信する。
【0078】
制御部209は、前記温度情報に基づいて、前記過電流基準値を変化させる。
【0079】
また、制御部209は、パワーデバイスの温度に応じて過電流基準値を変化させる際に、パワーデバイスの特性をさらに考慮(反映)する。
【0080】
具体的には、制御部209は、パワーデバイスの特性に基づいて、前記温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる。すなわち、制御部209は、単にパワーデバイスの温度に基づいて過電流基準値を変化させるのではなく、温度とパワーデバイスの特性を共に考慮して過電流基準値の変化を行わせる。
【0081】
制御部209は、パワーデバイスの温度情報が受信されると、所定の式又は一定の割合で過電流基準値を変化させる。
【0082】
ここで、パワーデバイス保護装置は、パワーデバイスの温度情報を検知する温度センサ(図示せず)をさらに含む。制御部209は、前記温度センサからパワーデバイス保護装置の温度情報を受信する。
【0083】
前記温度センサは、パワーデバイスに備えられるか、パワーデバイスから独立した空間に備えられ、パワーデバイスの温度を検知するように形成される。
【0084】
なお、パワーデバイス201は、独自に温度情報を検知するように形成されてもよく(例えば、独自に温度測定機能を有する)、この場合、制御部209は、前記パワーデバイスからパワーデバイスの温度情報を受信する。
【0085】
制御部209は、過電流基準値をソフトウェアにより設定する。そのために、制御部209は、ソフトウェアにより設定された過電流基準値をデジタル・アナログコンバータ208に送信する。
【0086】
例えば、制御部209は、直並列インタフェース、シリアル通信(SPI/I2C/UART)などにより過電流基準値を設定する。
【0087】
また、制御部209は、パワーデバイス201の温度情報を受信し、温度補償値をソフトウェアにより設定するようにしてもよい。例えば、制御部209は、パワーデバイス201の温度情報をパワーデバイス201のPTC/NTCにより受信するか、別途の温度センサにより受信する。
【0088】
ここで、温度情報がアナログ入力であれば、アナログ・デジタルコンバータ210を経て制御部209においてデジタル入力値を受信する。
【0089】
一方、制御部209は、パワーデバイスの種類に基づいて、パワーデバイスの特性曲線を決定し、前記特性曲線に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる。
【0090】
例えば、制御部209は、パワーデバイスの特性が正の温度係数であるか負の温度係数であるかを判断し、判断の結果に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる。
【0091】
制御部209は、パワーデバイスの特性がパワーデバイスに流れる電流(又は電流値)に応じて正の温度係数又は負の温度係数で動作するものであれば、パワーデバイスに流れる電流(又は電流値)に基づいて、温度情報に応じた過電流基準値の変化を行わせる。
【0092】
具体的には、制御部209は、パワーデバイスが特定電流を基準に負の温度係数又は正の温度係数を有する場合、前記パワーデバイスにかかる電流が前記特定電流を超えるか否かに基づいて、負の温度係数又は正の温度係数に応じて過電流基準値の変化を行わせる。
【0093】
図3及び図4に示すように、本発明のパワーデバイスは、SiC及びIGBTの少なくとも1つを含む。
【0094】
SiCは正の温度係数(PTC, positive temperature coefficient)を有するパワーデバイスであり、IGBTは正の温度係数と負の温度係数(NTC, negative temperature coefficient)の両方を有するパワーデバイスである。
【0095】
IGBTにおいては、電流に応じて一定部分は負の温度係数で動作し、それ以外は正の温度係数で動作する。
【0096】
例えば、図4に示すように、IGBTに流れる電流が特定電流(例えば、4A)より低ければ、負の温度係数で動作し、IGBTに流れる電流が前記特定電流より高ければ、正の温度係数で動作する。
【0097】
正の温度係数で動作するとは、SiCをパワースイッチとして用いる場合に、両端の電圧(又は両端の抵抗)が温度上昇につれて増加し、温度下降につれて減少することを意味する。
【0098】
負の温度係数で動作するとは、両端の電圧(又は両端の抵抗)が温度上昇につれて減少することを意味する。
【0099】
本発明のパワーデバイス保護装置の制御部209は、用いるパワーデバイスに応じて異なる特性を有するので、温度に応じて負の温度係数(NTC)で動作する部分と、正の温度係数(PTC)で動作する部分を区分し、図3及び図4に示すように、パワーデバイスの特性曲線に基づいて、温度情報に応じて過電流を判断する過電流基準値の変化を行わせる。
【0100】
このような構成により、本発明は、より精密かつ正確な過電流検出が可能であり、PTC領域とNTC領域に限定されず、様々な領域の電流帯において過電流設定が可能である。
【0101】
要するに、本発明のパワーデバイス保護装置は、過電流基準値をユーザの希望に応じて変更することができる。
【0102】
また、本発明は、温度に応じてソフトウェアにより所定の式又は一定の割合で補正できるだけでなく、パワーデバイスの特性曲線をさらに考慮してパワーデバイスに応じて精密に過電流基準値を設定/変化させることができる。
【0103】
こうすることにより、本発明は、モジュールにおいては過電流を認識するVCE値が非常に小さくなるが(電流の大きいモジュールであるほど並列化によりRDSonが小さくなるので、VCE(or VDS)値が小さくなる)、この場合も過電流基準値を精密に設定することができる。
【0104】
よって、本発明によれば、個別半導体(discrete)からモジュール(又は集積回路(Integrated Circuit, IC))まで、ハードウェア的に同一の構成を用いるとしても、ソフトウェアにより過電流基準値を変更して適用することができるので、汎用性が著しく向上する。
【0105】
ここで、個別半導体とは、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなど、製品内で単一の機能を有する小型の電子半導体部品を意味する。
【0106】
集積回路(IC)とは、個別半導体を一箇所に集約して複合的な機能を有するようにしたものを意味する。
【0107】
また、本発明においては、電流源の電流の大きさを調節することができるので、過電流の検出をより迅速に行うことができ、IC化して小型化することもできる。
【0108】
以下、添付図面を参照して、本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置についてより具体的に説明する。
【0109】
図5図6図7図8及び図9は本発明の他の実施形態によるパワーデバイス保護装置について説明する概念図である。
【0110】
前述したように、本発明のパワーデバイス保護装置は、制御部209(又は別途のソフトウェア)から入力したデータをアナログデータ(又はアナログ信号)に変換するデジタル・アナログコンバータ207を備える。
【0111】
この場合、比較器207は、アナログ信号を用いるアナログ比較器207である。
【0112】
なお、本発明のパワーデバイス保護装置は、これに限定されるものではない。
【0113】
例えば、図5に示すように、本発明のパワーデバイス保護装置は、比較器207とデジタル・アナログコンバータ(DAC)208を用いる代わりに、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタルコンバータ(ADC)210を備える。
【0114】
この場合、前記アナログ・デジタルコンバータ210は、ダイオード202と過電流の有無を判断するソフトウェアが備えられるモジュール間に備えられる。
【0115】
例えば、前記モジュールは、デジタル信号を用いることができ、アナログ・デジタルコンバータ210で変換されたデジタル信号を用いて過電流の有無を判断する。
【0116】
前記モジュールの動作/機能/制御方法は、前述した比較器207と同一/類似のものである。
【0117】
また、図6に示すように、本発明のパワーデバイス保護装置は、信頼性の高い電流検出ラインの保護のために、ダイオード202の後段にVCCライン及びGND側に保護ダイオード212をさらに備える。
【0118】
保護ダイオード212は、図6に示すように、ダイオード202とグランド間に接続される。
【0119】
また、パワーデバイス保護装置は、ダイオード202と比較器207間に備えられるアナログバッファ211をさらに備える。
【0120】
図7には、前述した保護ダイオード212とアナログバッファ211を備えると共に、デジタル・アナログコンバータ(DAC)208及び比較器207の代わりに、アナログ・デジタルコンバータ210及び過電流判断ソフトウェアモジュールを備える実施形態を示す。
【0121】
この場合、アナログバッファ211は、ダイオード202とアナログ・デジタルコンバータ210間に備えられる。
【0122】
一方、図8及び図9に示すように、本発明のパワーデバイス保護装置は、ゲートドライバと共に、IC(213)化して構成してもよい。
【0123】
前述した本発明は、プログラム記録媒体にコンピュータ可読コードで実現することができる。コンピュータ可読媒体には、コンピュータシステムにより読み取り可能なデータが記録されるあらゆる種類の記憶装置が含まれる。コンピュータ可読媒体には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などが含まれ、かつ搬送波(例えば、インターネットによる送信)状に実現されるものも含まれる。さらに、前記コンピュータは、パワーデバイス保護装置の制御部209を含んでもよい。よって、前述した詳細な説明はあらゆる面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本発明の範囲は請求の範囲の合理的解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのあらゆる変更が本発明に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】