(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】抗CD30モノクローナル抗体及びキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240219BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240219BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240219BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240219BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240219BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240219BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240219BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240219BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240219BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240219BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240219BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20240219BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240219BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K16/46
C12N15/62 Z
A61K39/395 N
A61P7/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/19
A61P43/00 111
C07K14/705
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12P21/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553031
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022017763
(87)【国際公開番号】W WO2022187078
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515258402
【氏名又は名称】ナントバイオ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,クリフォード アンダース
(72)【発明者】
【氏名】ニアジ,カイヴァン
(72)【発明者】
【氏名】アディセティヨ,ヘルティ
(72)【発明者】
【氏名】ギャーバン,ヘルメス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グイド,マーク
(72)【発明者】
【氏名】マクファーレン,ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】トリン,タン
(72)【発明者】
【氏名】田中 志保
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C084AA19
4C084DA01
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
CD30に対して特異的結合活性を有する抗体、その断片、及びそれを含むキメラタンパク質が提示される。有利には、企図される分子は、特にホジキンリンパ腫、CD30陽性B細胞リンパ腫、CD30陽性T細胞リンパ腫、CD30陽性NK細胞リンパ腫を含む造血悪性腫瘍と診断された個体における免疫療法のための医薬組成物で使用することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗体又はその断片であって、前記抗体又はその断片がCD30に結合し、
可変重鎖(V
H)ドメインと可変軽鎖(V
L)ドメインとを含み、
前記V
Hドメインが、配列番号1、配列番号3、及び配列番号5からなる群から選択され、
前記V
Lドメインが、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6からなる群から選択される、抗体又はその断片。
【請求項2】
任意選択で、リンカーにより互いに結合され、scFvを形成する、VH
52-2(配列番号1)及びVL
52-2(配列番号2)を含む、請求項1に記載の抗体又は断片。
【請求項3】
任意選択で、リンカーにより互いに結合され、scFvを形成する、VH
52-5(配列番号3)及びVL
52-5(配列番号4)を含む、請求項1に記載の抗体又は断片。
【請求項4】
任意選択で、リンカーにより互いに結合され、scFvを形成する、VH
52-38(配列番号5)及びVL
52-38(配列番号6)を含む、請求項1に記載の抗体又は断片。
【請求項5】
前記抗体が、IgG
1抗体又はscFvである、請求項1に記載の抗体又は断片。
【請求項6】
治療剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又は断片。
【請求項7】
前記治療剤が、化学療法薬、放射性核種、又は免疫刺激剤である、請求項6に記載の抗体又は断片。
【請求項8】
前記免疫刺激剤が、サイトカイン、サイトカイン類似体、ケモカイン、又はチェックポイント阻害剤である、請求項7に記載の抗体又は断片。
【請求項9】
検出可能な標識を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又は断片。
【請求項10】
請求項1に記載の抗体又は断片を含む、キメラタンパク質。
【請求項11】
前記キメラタンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)である、請求項10に記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
前記CARが、CD3ゼータ(CD3ζ)又はFc受容体イプシロン(FcεRIγ)シグナル伝達ドメインを有する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
前記CARが、CD28シグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3ζ)シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つを有する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項14】
前記CARが、CD8ヒンジドメイン及びCD28膜貫通ドメインを有する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項15】
前記CARが、NK細胞又は細胞傷害性T細胞の表面で発現され、それに結合する組換えCARである、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項16】
二重特異性融合タンパク質として構成される、請求項10に記載のキメラタンパク質。
【請求項17】
前記二重特異性融合タンパク質がIgG Fc部分を含み、任意選択でIL15α受容体部分、IL15部分、及びIL15スーパーアゴニスト部分のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項16に記載のキメラタンパク質。
【請求項18】
二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)又は三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKe)として構成される、請求項16に記載のキメラタンパク質。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくは断片、又は請求項10~18のいずれか一項に記載のキメラタンパク質をコードする、組換え核酸。
【請求項20】
前記核酸が、発現ベクター中若しくは組換えウイルスゲノム中にあるか、又は線状DNAの形態である、請求項19に記載の組換え核酸。
【請求項21】
前記核酸が、RNAである、請求項19に記載の組換え核酸。
【請求項22】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくは断片、又は請求項10~18のいずれか一項に記載のキメラタンパク質と組み合わされた薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項19~21のいずれか一項に記載の組換え核酸と組み合わされた薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
個体を治療する方法であって、請求項22~23のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記医薬組成物が前記個体に投与され、それによって前記個体における免疫抑制を低下させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個体が、癌ワクチン及び/又はチェックポイント阻害剤で治療されている、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
個体での血液学的癌の治療における、請求項22~23のいずれか一項に記載の医薬組成物の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月1日に出願された本発明者らの同時係属中の米国仮特許出願第63/155,073号明細書に対する優先権を主張するものであり、本同時係属中の特許出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表
102719.0034PRO_REV002_ST25.txtと名付けられ、11KBのサイズである配列表のASCIIテキストファイルの内容は、2021年1月20日に作成され、本出願と共にEFS-Webを介して電子的に提出され、このファイルはその全体が参照により組み込まれる。
【0003】
本発明の分野は標的特異的結合分子であり、特にそれはCD30に対して結合特異性を有する抗体及びキメラ抗原受容体、並びにその誘導体に関する。
【背景技術】
【0004】
背景の説明は、本発明を理解する上で有用であり得る情報を含む。本明細書に提供される情報のいずれかが先行技術であるか、若しくは主張される本発明に関連していること、又は具体的若しくは暗黙的に参照される任意の刊行物が先行技術であることが認められるものではない。
【0005】
本明細書の全ての刊行物及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれていることを具体的且つ個別に示される場合と同じ程度に参照により組み込まれる。組み込まれた参考文献における用語の定義又は使用が一貫していない場合、又は本明細書に記載されているその用語の定義に反する場合、本明細書に提供されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は適用されない。
【0006】
CD30(分化抗原群30、Ki-1、TNFRSF8)は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーに属し、リンパ組織内の濾胞内及び濾胞周囲のT細胞芽球並びにB細胞芽球上で比較的低レベルで、ヒトにおいて一過性に発現される。とりわけCD30の発現は、未分化大細胞リンパ腫及びホジキンリンパ腫を含む特定の造血器悪性腫瘍で著しく増加される。したがって、CD30は、ホジキン病(HD)及び未分化大細胞リンパ腫(ALCL)などの非ホジキン(NHL)リンパ腫のサブセットにおける悪性細胞のための共通の診断マーカーである。ごく最近になって、CD30は様々な血液学的疾患の治療における治療標的として浮上しており、多数の特異的CD30結合分子が開発されている。
【0007】
例えば、特定のCD30結合部分及びキメラ抗体は、国際公開第2020/135559号パンフレットに示されており、CD30を発現する癌又は腫瘍の治療における養子免疫T細胞療法に提案されている。同様に、CD30に対して結合活性を有する特異的キメラ抗原受容体(CAR)及びこれらCARについての様々な使用が、米国特許第10,815,301号明細書に教示されており、更に別の例のCD30に結合する二重特異性抗体が、国際公開第2020/068774号パンフレットに示されるように構築された。
【0008】
更なる例では、特定の抗CD30抗体-薬物コンジュゲートを第2の薬物と組み合わせて使用するT細胞リンパ腫の治療の方法が、国際公開第2020/072519号パンフレットに教示されており、更に別の併用治療では、米国特許出願公開第2019/0218293号パンフレットに開示されるように、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫を治療するために、特異的抗CD30抗体がチェックポイント阻害剤と共に投与された。抗CD30抗体及びプロテアソーム阻害剤を使用するなお更なる併用治療が、国際公開第2018/027022号パンフレット及び米国特許第7,790,160号明細書に開示されており、癌以外の免疫学的障害の抗CD30抗体による治療が、国際公開第03/043583号パンフレットに記載されている。既知の抗CD30結合剤の多くが、少なくともいくらかの診断的又は治療的可能性を発揮するが、それでも様々な不利な点が残っている。最も重要なことには、少なくともいくつかの抗CD30抗体又は抗CD30 CARの結合親和性及び/又は結合特異性は、望ましいものよりも低く、又は望ましい治療有効性よりも低かった。
【0009】
したがって、抗CD30抗体及びCARの様々なシステム及び方法が当該技術分野において知られているが、それらの全て又はほぼ全ては、いくつかの欠点に悩まされている。したがって、改善された抗CD30抗体及びCARのための組成物及び方法、並びにそれらのための使用が未だに必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主題は、CD30特異的治療用分子及び診断用分子の様々な組成物及び方法、並びに個体の診断及び治療、特に癌細胞がCD30を発現又は過剰発現する癌の診断及び治療におけるそれらの使用を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題の一態様では、本発明者らは、単離された抗体又はその断片を企図し、抗体又はその断片はCD30に結合し、可変重鎖(VH)ドメイン及び可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VHドメインは配列番号1、配列番号3、及び配列番号5からなる群から選択され、VLドメインは、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6からなる群から選択される。
【0012】
一実施形態では、抗体又は断片は、任意選択でリンカーによって互いに結合され、scFvを形成するVH52-2(配列番号1)及びVL52-2(配列番号2)を含む。別の実施形態では、抗体又は断片は、任意選択でリンカーによって互いに結合され、scFvを形成するVH52-5(配列番号3)及びVL52-5(配列番号4)を含む。更なる実施形態では、任意選択でリンカーによって互いに結合され、scFvを形成するVH52-38(配列番号5)及びVL52-38(配列番号6)を含む。
【0013】
最も典型的には、しかし必ずしもそうではないが、抗体はIgG1抗体又はscFvであり、及び/又は治療剤(例えば、化学療法薬、放射性核種、又はサイトカイン類似体、ケモカイン、又はチェックポイント阻害剤などの免疫刺激剤)を更に含んでもよい。代替的に又は追加的に、抗体又は断片はまた、検出可能な標識を含んでもよい。
【0014】
他の実施形態では、本発明者らは、本明細書に提示される抗体又は断片を含むキメラタンパク質も企図する。例えば、キメラタンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)を形成してもよく、これはCD3ゼータ(CD3ζ)又はFc受容体イプシロン(FcεRIγ)シグナル伝達ドメインを有してもよく、又はCD28シグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3ζ)シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を有してもよい。最も典型的には、CARは、CD8ヒンジドメイン及びCD28膜貫通ドメインを有し得る。容易に理解されるように、CARは、NK細胞又は細胞傷害性T細胞の表面上で発現され、その表面上に提示される組換えCARであろう。他の例では、キメラタンパク質は、二重特異性融合タンパク質(例えば、IgG Fc部分を含み、任意選択でIL15α受容体部分、IL15部分、及びIL15スーパーアゴニスト部分のうちの少なくとも1つを更に含む)を形成してもよく、又は二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)又は三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKe)を形成してもよい。
【0015】
したがって、本発明者らは、本明細書に提示される単離された抗体又は断片、若しくはキメラタンパク質をコードする組換え核酸も企図する。例えば、核酸は、発現ベクターの一部若しくは組換えウイルスゲノムの一部であってもよく、又は線状DNAの形態であってもよい。他方では、組換え核酸は、RNAであってもよい。
【0016】
異なる観点から見ると、本発明者らは、本明細書に提供される単離された抗体又は断片、若しくはキメラタンパク質と組み合わせて、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も企図する。同様に、本発明者らは、本明細書に提示される組換え核酸と組み合わせて、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も企図する。
【0017】
本発明の主題の別の態様では、本発明者らは、個体を治療する方法も企図し、この中で本明細書に提示される医薬組成物が個体に投与され、典型的には、それによって個体における免疫抑制を低下させる。最も典型的には、個体は、癌ワクチン及び/又はチェックポイント阻害剤で治療されている。したがって、本発明者らは、本明細書に提示されるような医薬組成物の個体における血液学的癌の治療における使用も企図する。
【0018】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、及び利点は、同様な数字は同様な構成要素を表す添付の図面と共に、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】市販の抗CD30抗体及び本発明の主題によるIgG1抗体を使用する、CD30を発現する細胞及び対照細胞(HL-60)に対する抗CD30抗体の結合についての例示的なFACS結果を表示するグラフである。
【
図2】市販の抗CD30抗体及び本発明の主題によるIgG1抗体を使用する、CD30を発現する細胞及び対照細胞(HL-60)に対する抗CD30抗体の結合についての例示的な滴定結果を表示するグラフである。
【
図3】本発明の主題による例示的な抗CD30 CAR構築物及びモックCARを発現するhaNK細胞を使用する、CD30発現標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解についての例示的な結果を表示するグラフである。
【
図4】本発明の主題による例示的な抗CD30 CAR構築物及びモックCARを発現するhaNK細胞を使用する、CD30を発現しない対照標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解についての例示的な結果を表示するグラフである。
【
図5】
図3及び4の標的細胞におけるCD30発現についての例示的な結果を表示するグラフである。
【
図6】
図3及び4のhaNK細胞における抗CD30 CAR及びモックCARの発現についての例示的な結果を表示するグラフである。
【
図7】本発明の主題による別の例示的な抗CD30 CAR構築物及びモックCARを発現するhaNK細胞を使用する、CD30を発現する標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解(低、高、プール)についての例示的な結果を表示するグラフである。
【
図8-1】
図7の標的細胞におけるCD30の発現についての例示的な結果を表示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、CD30への結合に関して高い親和性及び特異性を有する様々な抗CD30抗体を発見した。特に好ましい態様では、企図される抗体は、以下に示されるようなV
H及びV
Lドメインを有するヒトIgG
1抗体である。しかしながら、本明細書に提示される配列は、少なくともある程度まで変化することができ、したがって、以下により詳細に論議するように、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失を有してもよい。最も典型的には、しかし必ずしもそうではないが、同じ前の数字(例えば、52-2)を有するV
H及びV
Lドメイン、又は重鎖及び軽鎖は、CD30結合構築物中に存在するであろう。しかしながら、他のCD30結合構築物は、V
H又はV
Lドメインのみ、又は同一ではない前の数字を有するV
H及びV
Lドメインを有してもよい。更に、CD30結合構築物は、以下に列挙されるように、CDRの少なくともいくつかを有するもの(例えば、少なくともV
Hドメインからのもの)を含んでもよい。
52-2V
Hドメインアミノ酸配列:
【化1】
52-2V
Lドメインアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQDADVPLTFGQGTKVEIK(配列番号2)
52-5V
Hドメインアミノ酸配列:
【化2】
52-5V
Lドメインアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQDADVPLTFGQGTKVEIK(配列番号4)
52-38V
Hドメインアミノ酸配列:
【化3】
52-38V
Lドメインアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQVANVPLTFGQGTKVEIK(配列番号6)
【0021】
容易に理解されるように、VH及びVLドメインの結合特異性は、それらのそれぞれのCDR領域によって決定付けられ、以下の表1は、VH及びVLドメインにおけるCDRについてのアミノ酸配列を示す。したがって、既知のCDR配列に基づいて、CD30に結合し、配列番号7~24のCDRの少なくともいくつかを含む抗体及びその断片が調製され得ることが企図される。
【0022】
【0023】
例えば、上記のCDR並びにVH及びVLドメインの情報を使用して、IgG1抗体を調製することができる。最も典型的には、しかし必ずしもそうではないが、同じ前の数字(例えば、64-6)を有するHC及びLCは、CD30結合抗体中に存在するであろう。しかしながら、他のCD30結合抗体は、同一ではない前の数字を有する重鎖及び軽鎖を有してもよい。
【0024】
当然ながら、本発明の主題は、上記のちょうどそのままの配列に限定されるものではなく、配列のうちの1つ以上は、1つ以上のアミノ酸変化を含んでもよい。最も好ましくは、これらの変化は、特異性及び/又は親和性の実質的な低減をもたらすであろう。したがって、企図されるアミノ酸変化は、典型的には、VH及び/若しくはVLドメインのフレームワーク領域中に、並びに/又はHC及び/若しくはLCの定常領域中に存在するであろう。異なる観点から見ると、アミノ酸変化は、好ましくはCDR領域には存在しない。例えば、企図される配列は、98~99%の同一性若しくは相同性、又は96~98%の同一性若しくは相同性、又は92~96%の同一性若しくは相同性、又は85~92%の同一性若しくは相同性、又は75~85%の同一性若しくは相同性を有し、最も典型的には(しかし必ずしもそうではないが)、CDRの外側の変化したアミノ酸を有する。アミノ酸変化についての他の選択肢の中で、1つ以上のアミノ酸は、非ヒト抗体に「ヒト化する」ように変化することができ、及び/又は1つ以上のグリコシル化部位を移動又は排除するように変化することができる。
【0025】
更に、企図される抗体は、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、キメラ抗体、シングルドメイン抗体、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、以下により詳細に記載されるようなBiKe、及びTriKeなどの様々な形態を明示的に含むことに留意するべきである。当然ながら、抗体という用語は、全てのクラスの免疫グロブリン分子(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、並びに対応するサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)を明示的に含むことにも留意するべきである。
【0026】
企図される抗体断片に関して、断片は、CDR(典型的には、VH及びVLのうちの少なくとも1つの全てのCDR)、及び任意選択でフレームワーク残基を含有する抗体の1つ以上の部分を含むことに留意するべきである。したがって、抗体断片は、ほとんどの場合、抗原(ここでは、CD30のエピトープ)に特異的に結合する能力を示すであろう。他の断片の中では、特に企図される断片としては、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、及びその突然変異体、天然に存在する変異体、並びに様々な非抗体ポリペプチド(例えば、毒素、異なる抗原に対する抗原認識部位、酵素、受容体、受容体リガンドなど)との融合タンパク質が挙げられる。異なる観点から見ると、企図される抗体断片は、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基、少なくとも25個の連続したアミノ酸残基、少なくとも40個の連続したアミノ酸残基、少なくとも50個の連続したアミノ酸残基、少なくとも60個の連続したアミノ酸残基、少なくとも70個の連続したアミノ酸残基、少なくとも80個の連続したアミノ酸残基、少なくとも90個の連続したアミノ酸残基、少なくとも100個の連続したアミノ酸残基、少なくとも125個の連続したアミノ酸残基、少なくとも150個の連続したアミノ酸残基、少なくとも175個の連続したアミノ酸残基、少なくとも200個の連続したアミノ酸残基、又は少なくとも250個の連続したアミノ酸残基のアミノ酸配列を有するであろう。
【0027】
更に企図される態様では、抗体又はその断片は、インビトロ又はインビボ診断に使用されてもよく、そのままの状態で検出可能な標識に連結されてもよい。例えば、好適な検出可能な標識としては、様々な酵素、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、ポジトロン放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。検出可能な標識は、抗体に直接的に、又は当該技術分野において既知の技術を使用して中間体(例えば、化学的又は生物学的リンカー)を通して間接的のいずれかで、連結又は結合され得る。追加的に、又は代替的に、企図される抗体及びその断片は、個体支持体に連結されてもよく、これは免疫アッセイ又はCD30、若しくはCD30を発現する細胞の精製に特に有用である。例えば、好適な支持体としては、磁性ビーズ、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、及びポリプロピレンが挙げられる。
【0028】
企図される抗体及びその断片は、CD30を発現する細胞に薬剤を標的化するために治療剤に連結されてもよく、又は治療剤を含んでもよい。例えば、特に企図される治療剤としては、化学療法薬、放射性核種、及び免疫刺激剤(例えば、サイトカイン、サイトカイン類似体、ケモカイン、又はチェックポイント阻害剤)が挙げられる。抗体-薬物コンジュゲートを調製するための多数の方法があり、これらの全ては本明細書で使用するために好適であると考えられる。
【0029】
特に好ましい態様では、企図される抗体又はその断片は、抗体の少なくとも一部分が第2のポリペプチドと連続している(任意選択で、好ましく柔軟なリンカーを介して)キメラタンパク質として調製されてもよい。例えば、好適なキメラタンパク質は、細胞内シグナル伝達部分、膜貫通部分、及び細胞外認識ドメインを有し得るキメラ抗原受容体(CAR)として構成されてもよい。そのような場合、認識ドメインが抗体断片(例えば、scFv若しくはシングルドメイン)を含むこと、及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインが活性化/ITAMモチーフを含むことが一般的に企図される。他の選択肢の中では、当該技術分野において既知の様々なドメインを有する第1、第2、又は第3世代CARが企図され得る。例えば、好適なCARは、CD8ヒンジ部分、CD28膜貫通ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3ζ)又はFc受容体イプシロン(FcεRIγ)シグナル伝達ドメインを含むであろう。或いは、シグナル伝達ドメインはまた、CD28シグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3ζ)シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を含んでもよい。他の選択肢の中で、そのようなキメラ抗原受容体は、好ましくは細胞傷害性免疫担当細胞中で、特にNK細胞及び/又はT細胞中で発現される。
【0030】
他方では、特に抗CD30抗体又はその断片が、細胞若しくは受容体/リガンドとの接触を更に媒介するために使用される場合、企図されるキメラタンパク質は、二重特異性融合タンパク質として、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)として、又は三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKe)として構築されてもよい。例えば、二重特異性融合タンパク質は、抗CD抗体又はその部分と、所望の標的に選択的に結合する第2の親和性リガンドとを含んでもよい。そのような標的は、可溶性タンパク質又は細胞結合性タンパク質であってもよく、特に企図される標的はPD-L1を含む。他方では、企図されるキメラ分子は、1つの部分が抗CD30抗体又はその部分を含み、他の部分が免疫担当細胞に特異的なマーカーに対する結合剤(例えば、抗CD3)を有する二重特異性ポリペプチド(例えば、第1のscFvがリンカーを介して第2のscFvに結合している)として構築されてもよい。
【0031】
更に企図される態様では、抗CD30抗体又はその部分は、IgG-Fc/IL15Rα/IL15ハイブリッド(例えば、ALT803)に結合してもよい。例えば、抗CD30抗体断片は、そのようにTxMを形成するために、ハイブリッドの一方又は両方のアームに結合しているscFv部分であり得る(URL:Altorbioscience.comにおいてTxMテクノロジーを参照されたい)。又は抗CD30抗体断片は、ハイブリッドの一方のアームに結合しているscFv部分であってもよく、一方、ハイブリッドのもう1つのアームは、PD-L1(又は他の免疫関連リガンド)に結合するscFv部分であってもよい。
【0032】
理解されるべきであるように、企図される抗CD30抗体をコードする核酸も本明細書で明示的に考慮され、当業者であれば、そのような核酸(例えば、DNA、RNA)及びそのような核酸を含む組換え実体を容易に調製できるであろう。他の選択肢の中で、好適な組換え実体としては、当然ながら、酵母、細菌、及びウイルス発現ベクター、ゲノム編集又は他の組込みのための線状DNA、RNAなどが含まれ、組換え核酸が組換え構築物の発現を可能にするために、好適な調節エレメントを含むことを認識するべきである。更に、核酸は、典型的には、組換え核酸を含み、それを発現する宿主細胞に対するコドン最適化を使用することに留意するべきである。
【0033】
容易に理解されるように、抗CD30抗体、その断片、又は抗CD30抗体若しくはその断片を含有するキメラタンパク質の使用は、CD30陽性腫瘍細胞が細胞傷害性免疫細胞上の抗CD30抗体、及び/又は抗CD30 CARを用いて標的化される場合、特に有利である。更に、癌細胞がCD30を発現して表示する場合、細胞は更なる治療標的を提示する場合がある(例えば、CD30結合部分及び免疫刺激部分を有するキメラ分子(例えば、ALT-803)による標的化を介して)。
【0034】
これらの所見を考慮して、本発明者らは、抗体及びその断片などの様々な組換えCD30結合分子、並びに抗CD30 CAR分子を発現する細胞及びそれらを含む医薬組成物の使用も企図する。最も典型的には、そのような組換えタンパク質は、抗体及びその断片を可溶性形態、CD30結合部分を含む可溶性キメラ分子、又はCD30結合部分を含むCARなどの膜結合性分子であり得る。例えば、組換えCD30結合CARは、T細胞、ナチュラルキラー細胞、又はNKT細胞などの細胞傷害性細胞中で発現され得る。
【0035】
そのような調製又は生成された医薬組成物を、腫瘍を有する患者に投与して免疫療法の有効性を高め、腫瘍を治療する(例えば、腫瘍による免疫抑制を調整し(例えば、低減、排除するなど)、腫瘍サイズを低下させるなど)ことができることが企図される。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び/又は腫瘍ワクチンは、皮下(subcutaneous)、真皮下(subdermal)注射、又は静脈内注射を含む全身注射を介して投与され得る。他の実施形態では、全身注射が効果的ではない場合(例えば、脳腫瘍などの場合)、又はより局所的な治療が望ましい場合、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体及び/又は医薬組成物が腫瘍内注射を介して投与され得ることが企図される。本明細書で使用される場合、「投与すること」という用語は、本明細書で企図される化合物及び組成物の直接投与及び間接投与の両方を指し、直接投与は、典型的には医療従事者(例えば、医師、看護師など)によって実施され、一方、間接投与は、典型的には化合物及び組成物を直接投与のために医療従事者に提供するか、又は化合物及び組成物を医療従事者が直接投与に利用可能な状態にする工程を含む。
【0036】
投与の用量及びスケジュールに関して、用量及び/又はスケジュールは、タンパク質、タンパク質複合体のタイプ、又は医薬組成物のタイプ(例えば、組換えタンパク質複合体と組み合わされるウイルス、細菌、酵母など)、疾患の種類及び予後(例えば、腫瘍型、サイズ、場所)、患者の健康状態(例えば、年齢、性別などを含む)に依存して変化し得る。用量及びスケジュールは変化し得るが、腫瘍微小環境中のT細胞分化及び/又は活性化の低減によって、免疫抑制を低下させるのになお十分でありながら、製剤が宿主の正常細胞にいかなる著しい有害作用ももたらさないように、用量及びスケジュールは選択し、調節することができる。したがって、好ましい実施形態では、製剤を投与する最適又は望ましい条件は、所定の閾値に基づいて決定することができる。例えば、所定の閾値は、腫瘍微小環境における活性化するT細胞、又はT細胞放出サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、IFN-γ、IL-12、IL-23、IL-1b、IL-6、又はTGF-β)の所定の場所又は全身の濃度であってもよい。したがって、投与条件は、典型的には、腫瘍微小環境においてこれらのサイトカインのうちの1つ以上を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも24時間、48時間、72時間、7日間など増加させるように調整される。更に、本明細書に提示される化合物及び組成物は、NK細胞と併用投与(同時又は逐次的に)されてもよい。例えば、好適なNK細胞には、自家NK細胞、並びにNK92細胞及びそれらの誘導体(例えば、aNK細胞、haNK細胞、taNK細胞、全てNantKwest,9920 Jefferson Blvd.Culver City,CA 90232から市販されている)が挙げられる。
【実施例】
【0037】
上述したようなVH及びVLドメインを使用して、本発明者らは、様々なCD30結合構築物を調製し、scFv及びIgG1構築物についての例示的な結果を以下に示す。例えば、以下の表2は、表に記載されたようなVH及びVLドメインを使用するscFv及びIgG1構築物についての解離定数の決定に関する例示的な結果を示す。より具体的には、KDの決定はSPRによって行われ、平均値を×10-9Mで示される。測定は、scFv又はIgG1がチップ表面に捕捉された状態で、25℃、pH7.4で行われ、CD30はその分析物であった。
【0038】
【0039】
抗CD30構築物のCD30を発現する細胞へのインビトロ結合を実証するために、本発明者らは、抗CD30 IgG1(52-5)を構築し、それを使用し、CD30を発現する細胞(ここでは、ジャーカットリンパ腫細胞)を抗CD30-IgG1抗体と共に市販の抗CD30抗体に曝露した。CD30を発現しないHL-60細胞を、陰性対照として機能した。
図1のフローサイトメトリーの結果から容易に分かるように、抗CD30 IgG1(52-5)は、ジャーカット細胞に強力且つ特異的に結合し、HL-60細胞への結合は実質的に示さなかった。更に、抗CD30-IgG1(52-5)の結合は、市販の抗CD30抗体よりも強かった。抗CD30-IgG1(52-38)を使用して、ジャーカット細胞に対する結合を定量した場合、
図2から分かるように、用量反応曲線が得られ、一方、IgG対照は著しい結合は与えなかった。
【0040】
一連の更なる実験において、本発明者らは、上記のようなV
L及びV
Hドメイン(可動性リンカー部分によって結合された)を有するscFv部分を含み、CD8ヒンジ部分、CD28膜貫通部分、及びFc受容体イプシロン(FcεRIγ)シグナル伝達ドメインを更に含む抗CD30 CARを構築した。
図3は、上述した抗CD30 CAR及びモックCARを発現するhaNK細胞を使用した、CD30発現標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解についての例示的な結果を表示するグラフである。
図4は、CD30を発現しない対照標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解についての対応する例示的な結果を表示するグラフである。
図5は、
図3及び4の標的細胞中のCD30発現についての例示的な結果を表示するグラフであり、並びに
図6は、
図3及び4のhaNK細胞における抗CD30 CAR及びモックCARの発現についての例示的な結果を表示するグラフである。
【0041】
とりわけ、CAR媒介細胞傷害性は、
図7から分かるように、標的細胞上に存在するCD30の量と厳密に相関した。ここでは、CD30を発現する標的細胞のCAR特異的標的細胞溶解が、CD30の低発現レベル及び高発現レベルを有する細胞に対して、並びにこれらの細胞のプールに対して示されている。
図8は、
図7の標的細胞におけるCD30の発現についての結果を例示的に表示する。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明し、主張するために使用される、成分の量、濃度などの特性、反応条件などを表す数字は、「約」という用語で場合によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態では、明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得ようとする望ましい特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書の範囲及び値の列挙は、範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略形として機能することのみを意図している。本明細書に明記されない限り、個々の値は、それが本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、医薬組成物又は薬物を「投与する」という用語は、医薬組成物又は薬物の直接投与及び間接投与の両方を指し、医薬組成物又は薬物の直接投与は、典型的には医療従事者(例えば、医師、看護師など)によって実施され、間接投与は、医薬組成物又は薬物を直接投与(例えば、注射、注入、経口送達、局所送達などを介して)のために医療従事者に提供するか、又は医薬組成物又は薬物を医療従事者が直接投与に利用可能な状態にする工程を含む。状態、疾患を発症しやすい状態、又は意図された治療への応答を「予後する」又は「予測する」という用語は、対象における状態の進行率、改善及び/又は持続期間を含む状態、発症しやすさ、及び/又は反応を予測する行為又は予測をカバーする(しかし、治療又は診断をカバーしない)ことを意味することに更に留意するべきである。
【0044】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に明記されていない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書のある特定の実施形態に対して提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく理解するために単に意図されるものであり、別途主張される本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書におけるいかなる言語も、本発明の実践に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書の説明及び以下に続く特許請求の範囲を通して使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味には、内容が別段に明示しない限り、複数の指示対象を含む。また、本明細書の説明で使用される場合、「中に(in)」の意味は、内容が別段に明示しない限り、「中に(in)」及び「上に(on)」を含む。また、本明細書で使用される場合、且つ内容が別段に明示しない限り、「に結合する(coupled to)」という用語は、直接結合(互いに結合している2つの要素が互いに接触する)及び間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素の間に位置している)の両方を含むことが意図される。したがって、「に結合する」及び「と結合する」は、同義語として使用される。
【0046】
当業者であれば、既に記載されたもの以外にも多くの変更が、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく可能であることは明らかであろう。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲以外には制限されるべきではない。更に、明細書及び特許請求の範囲の両方の解釈において、全ての用語は文脈と一致して、可能な限り広義に解釈する必要がある。特に、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、要素、構成成分、又は工程を非排他的な方法で言及していると解釈するべきであり、言及される要素、構成成分、又は工程が存在してもよいか、又は利用されてもよいか、又は明示的に言及されていない他の要素、構成成分、又は工程と組み合わされてもよいことを示している。明細書の主張が、A、B、C…及びNからなる群から選択されるいくつかのうちの少なくとも1つを指す場合、文書は群からの1つの要素のみを必要とすると解釈するべきであり、Aに加えてN、又はBに加えてNなどを必要とすると解釈するべきではない。
【配列表】
【国際調査報告】