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特表2024-508530複数の結晶化事象を有するサブゼロ相変化材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】複数の結晶化事象を有するサブゼロ相変化材料
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/06 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
C09K5/06 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553499
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 GB2022050541
(87)【国際公開番号】W WO2022185046
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】2111449.1
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2102248.8
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523333917
【氏名又は名称】スナンプ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ガイレン オドリング
(72)【発明者】
【氏名】ケイト フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オリバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ビッセル
(57)【要約】
本開示では、サブゼロ塩-水共晶相変化材料の組成が開示され、この材料は、冷却の際に2つの結晶化プロセスを示す。さらに、これらの結晶化プロセスの1以上の相変化転移を変化させるために用いることができる添加剤が開示される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0℃未満の融点を有し、冷却の際に少なくとも2つの結晶化事象を示す、下記を含有する相変化材料(PCM):
少なくとも1つの塩;
水;並びに、
第1の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤、及び/又は、
第2の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤。
【請求項2】
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属、第II族金属の1又は複数の塩、及び/又はこれらのアンモニウム塩である、請求項1に記載のPCM。
【請求項3】
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属及び/又は第II族金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、及び/又はカルボン酸塩から選択される1又は複数である、請求項1に記載のPCM。
【請求項4】
前記1又は複数の塩が、下記を含む、請求項1に記載のPCM:
下記のうちの1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される少なくとも1つのカチオン又はカチオンの組み合わせ:
リチウム;
ナトリウム;
カリウム;
カルシウム;
マグネシウム;
ストロンチウム;及び/又は、
アンモニウム
並びに、
下記から選択される少なくとも1つのアニオン又はアニオンの組み合わせ:
塩化物;
臭化物;
硫酸;
硝酸;
炭酸;
ギ酸;及び/又は
酢酸。
【請求項5】
前記PCMが、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される1又は複数の核形成剤を含む、請求項1に記載のPCM:
0~10重量%の硫酸ナトリウム;
0~30重量%の硫酸マグネシウム;
0~40重量%の硝酸マグネシウム;
0~50重量%の硝酸ナトリウム;
0~35重量%の硝酸リチウム;
0~30重量%の塩化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ナトリウム;
0~25重量%の塩化ナトリウム;
0~25重量%の塩化アンモニウム;
0~30重量%の塩化カリウム;
0~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム
0~40重量%の、酢酸ナトリウム、及び/又は、
0~35重量%のギ酸ナトリウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
【請求項6】
前記PCMが、下記のいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される1又は複数の核形成剤を含む、請求項1に記載のPCM:
3~6重量%の硫酸ナトリウム;
14~25重量%の硫酸マグネシウム;
25~35重量%の硝酸マグネシウム;
30~40重量%の硝酸ナトリウム;
20~30重量%の硝酸リチウム;
15~25重量%の塩化ストロンチウム;
35~46重量%の臭化ストロンチウム;
34~45重量%の臭化ナトリウム;
15~25重量%の塩化ナトリウム;
14~25重量%の塩化アンモニウム;
15~25重量%の塩化カリウム;
5~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム;
18~30重量%の酢酸ナトリウム;及び/又は
19~30重量%のギ酸ナトリウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
【請求項7】
前記PCMが、下記の1又は複数から選択される1又は複数の核形成剤を含む、請求項1に記載のPCM:
約4重量%の硫酸ナトリウム;
約19重量%の硫酸マグネシウム;
約20重量%の塩化カリウム;
約19重量%の塩化アンモニウム;
約24重量%のギ酸ナトリウム;
約20重量%の塩化ストロンチウム;
約35重量%の硝酸ナトリウム;
約23重量%の酢酸ナトリウム;
約27重量%の酢酸ナトリウム;
約22重量%の塩化ナトリウム;
約25重量%の硝酸リチウム;
約39重量%の臭化ナトリウム;
約41重量%の臭化ストロンチウム;又は
約30重量%の硝酸マグネシウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
【請求項8】
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0~約10℃、0~約5℃、又は0~約3℃低い温度で核形成する、請求項1に記載のPCM。
【請求項9】
冷却の際に、前記第2の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約20℃、0~約10℃、又は0~約5℃低い温度で核形成する、請求項1に記載のPCM。
【請求項10】
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約10℃低い温度で核形成し、PCMの融解温度よりも約3℃低い温度での第2の結晶化事象の核形成がこれに続く、請求項1に記載のPCM。
【請求項11】
前記核形成剤が、前記第2の結晶化事象のみの結晶化を誘導するように働く、請求項1に記載のPCM。
【請求項12】
前記核形成剤が、前記第1の結晶化事象のみにおける結晶化を誘導するように働く、請求項1に記載のPCM。
【請求項13】
複数の核形成剤を用いて、両方の結晶化事象で核形成させる、請求項1に記載のPCM。
【請求項14】
前記結晶化事象のうちの1つが、固-固相転移、又は多形相転移である、請求項1に記載のPCM。
【請求項15】
前記核形成剤が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせの、少なくとも1つの酸化物、炭酸塩、炭化物、ケイ酸塩、及び/又はハロゲン化物から選択される、請求項1に記載のPCM:
カルシウム;
ケイ素;
アルミニウム;
チタン;
鉄;
銀;
及び/又は
マグネシウム。
【請求項16】
前記核形成剤が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの物質である、請求項1に記載のPCM:
炭酸カルシウム;
二酸化ケイ素;
炭化ケイ素;
二酸化チタン;
酸化鉄;
酸化アルミニウム;
ヨウ化銀;
バーミキュライト;
及び/又はこれらの組み合わせ。
【請求項17】
前記第2の結晶化事象において過冷却を低減するように働く前記核形成剤が、炭化ケイ素、バーミキュライト、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のPCM。
【請求項18】
前記核形成剤が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の添加量で存在する、請求項1に記載のPCM。
【請求項19】
前記PCMの体積が、1L超、10L超、20L超、100L超、200L超、又は1000L超である、請求項1に記載のPCM。
【請求項20】
酸化アルミニウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム
塩化カリウム
塩化アンモニウム
塩化ストロンチウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項21】
炭酸カルシウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
酒石酸ナトリウムカリウム
塩化アンモニウム
硝酸ナトリウム
ギ酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
臭化ストロンチウム。
【請求項22】
二酸化ケイ素が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
酢酸ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項23】
ヨウ化銀が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸ナトリウム
硫酸マグネシウム
塩化アンモニウム、及び
臭化ナトリウム。
【請求項24】
二酸化チタンが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム、及び
塩化カリウム。
【請求項25】
酸化鉄が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム、及び
硝酸リチウム。
【請求項26】
炭化ケイ素が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸ナトリウム
酒石酸ナトリウムカリウム
硫酸マグネシウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項27】
ヨウ化銀が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
ギ酸ナトリウム
硝酸ナトリウム
塩化ストロンチウム、及び
臭化ストロンチウム。
【請求項28】
バーミキュライトが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
塩化カリウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項29】
二酸化チタンが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
塩化ナトリウム、及び
硝酸リチウム。
【請求項30】
炭酸カルシウムが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、硫酸マグネシウムである、請求項1に記載のPCM。
【請求項31】
前記PCMが、水中における約1~10重量%の硫酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項32】
前記PCMが、水中における約3.5重量%の硫酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含み、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項31に記載のPCM。
【請求項33】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の硫酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ/又前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素及び/又は炭酸カルシウムを含有する、請求項32に記載のPCM。
【請求項34】
前記PCMが、水中における約19重量%の硫酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素及び/又は炭酸カルシウムを含有する、請求項33に記載のPCM。
【請求項35】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化カリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の二酸化チタン及び/又はヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、請求項34に記載のPCM。
【請求項36】
前記PCMが、水中における約19.5重量%の塩化カリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の二酸化チタン及び/又はヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライトを含有する、請求項35に記載のPCM。
【請求項37】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化アンモニウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項38】
前記PCMが、水中における約18.6重量%の塩化アンモニウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項37に記載のPCM。
【請求項39】
前記PCMが、水中における約18~30重量%のギ酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項40】
前記PCMが、水中における約24重量%のギ酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライトを含有する、請求項39に記載のPCM。
【請求項41】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又はヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項42】
前記PCMが、水中における約19.5重量%の塩化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又はヨウ化銀を含有する、請求項41に記載のPCM。
【請求項43】
前記PCMが、水中における約30~40重量%の硝酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄及び/又はシリカを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は酸化アルミニウムを含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項44】
前記PCMが、水中における約35重量%の硝酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化鉄及び/又はシリカを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は酸化アルミニウムを含有する、請求項43に記載のPCM。
【請求項45】
前記PCMが、水中における約15~30重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項46】
前記PCMが、水中における約22.7重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、請求項45に記載のPCM。
【請求項47】
前記PCMが、水中における約22~33.0重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項48】
前記PCMが、水中における約27.0重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、請求項47に記載のPCM。
【請求項49】
前記PCMが、水中における約18~27重量%の塩化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項50】
前記PCMが、水中における約22.4重量%の塩化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項49に記載のPCM。
【請求項51】
前記PCMが、水中における約19~30重量%の硝酸リチウムを含有し、前記第1の結晶化事象の核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項52】
前記PCMが、水中における約24.5重量%の硝酸リチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化鉄を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項51に記載のPCM。
【請求項53】
前記PCMが、水中における約34~45重量%の臭化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項54】
前記PCMが、水中における約39重量%の臭化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項53に記載のPCM。
【請求項55】
前記PCMが、水中における約35~45重量%の臭化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項56】
前記PCMが、水中における約41重量%の臭化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、請求項55に記載のPCM。
【請求項57】
前記PCMが、水中における約25~35重量%の硝酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項58】
前記PCMが、水中における約30重量%の硝酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項57に記載のPCM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギー貯蔵に関し、特には、0℃未満の温度における熱エネルギー貯蔵に関する。より特には、本発明は、低温貯蔵媒体としての無機の相変化材料(PCM、phase change materials)の使用及びその核形成に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却系は、熱慣性及び熱質量を欠く。1つの解決策は、バッファータンクに、例えば、グリコール-水混合物を添加することであり、これによって、熱質量及び熱慣性が系に加えられる。しかしながら、これらの系は、望ましくなく、なぜならば、それらは、周囲からの高い熱ゲイン(低効率)、高い購入コスト及び維持コスト、並びに低いエネルギー密度を有するからである。そのような系は、チラーの使用を必要とし、これは、冷却剤を使用して、熱交換器を介して、水-グリコール回路から熱を除去する。これは、低効率の大きな原因である。
【0003】
熱エネルギー貯蔵のための相変化材料(PCM)の使用は、水/グリコールタンクの高エネルギー密度代替物である。そのような材料は、相変化(すなわち、固-液、固-ガス、液-ガス、の相変化)の潜熱を使用して、エネルギーを貯蔵する。相変化は、多型変化(すなわち、固体-固体の変化)を含む。
【0004】
ゼロ未満で相変化を示す材料は、その性質において有機であってよく(例えば炭素系であってよく)、又は無機の塩-水共晶(塩-水共晶体)であってよい。有機物と比較して、無機のPCMは、典型的に比較的安価であり、比較的低い引火性/燃焼性を有し、かつ比較的高いエネルギー密度を有することがある。しかしながら、それらは、過冷却(サブクーリング)を示し、この現象では、物質が、その熱力学的な相変化温度よりも下で液体のままであり、したがって結晶化が開始されるために、核形成助剤又は極端に低い温度を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、上記の問題のうちの1以上を除去すること又は少なくとも軽減することである。
【0006】
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、複数の結晶化事象を有するサブゼロ相変化材料(サブゼロ相変化物質)を提供することである。
【0007】
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、複数の結晶化事象のうちの特定の1つにおける過冷却を低減するために働く1以上の核形成剤を有するサブゼロ相変化材料を提供することである。
【0008】
本発明の少なくとも1つの態様のさらなる目的は、低温貯蔵媒体のための改善された(向上した)相変化材料を提供することである。
【0009】
本発明の少なくとも1つの態様のさらなる目的は、1つの結晶化事象における過冷却を低減するために選択された1以上の核形成剤と、これと組み合わされた、他の結晶化事象における過冷却を低減するために選択された1以上の他の核形成剤と、を有するサブゼロ相変化材料を提供することである。
【0010】
本発明の1つの効果は、PCMが、熱力学的な相変化温度(すなわち、過冷却無しで相変化が起こりうる温度)よりも低温への最小限の冷却で、両方の結晶化プロセスを経ることである。
【0011】
本発明の1つの効果は、PCMが、最小限の冷却力で凍結されうることであり、すなわち、高い温度で凍結されることである。
【0012】
本発明の1つの効果は、PMCが、熱力学的な相転移温度に近い温度(例えば、熱力学的な相変化温度よりも0~20℃低い温度)で、両方の結晶化相転移を経ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、0℃未満の融点を有しており冷却の際に2つの結晶化事象を示す相変化材料(PCM)が提供され、これは:
少なくとも1つの塩;
水;並びに、
第1の結晶化事象における過冷却を低減するために働く1以上の核形成剤、及び/又は、
第2の結晶化事象における過冷却を低減するために働く1以上の核形成剤
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施態様に係る、冷却の際に二重の結晶化事象を経るPCMの温度プロファイルを示す。
図2図2は、本発明の実施態様に係る、冷却の際に二重の結晶化事象を経るPCM(硝酸リチウム-水共晶)の例示の熱データを示す。
図3図3は、本発明の実施態様に係る、1つの結晶化事象のみが起こるアジピン酸二ナトリウム-水共晶の例示の熱データ及び融解転移へのこれの後の影響を示す。
図4図4は、本発明の実施態様に係る、第1及び第2の結晶化事象がいずれも起こるアジピン酸二ナトリウム-水共晶の例示の熱データ及び融解転移へのこれの後の影響を示す。
図5図5は、酢酸ナトリウム-水共晶の熱データを示しており、PCMが、第1の結晶化事象の後に、本発明の実施態様に係る第2の結晶化事象よりも高い温度に到達する。
図6図6は、本発明の実施態様に係る、第1及び第2の結晶化事象の両方の後でPCMが同じ温度に達する硫酸ナトリウム-水共晶の熱データ、及び、第1の結晶化事象よりも高い温度で始まる第2の結晶化事象の例を示す。
図7図7は、本発明の実施態様に係る、水を含有する共晶組成中における既知の水和物のない材料(KCl)であって2つの結晶化事象を示す材料の熱データを示す。
図8図8は、本発明の実施態様に係る、水を含有する共晶組成中における複数の既知の水和物を有する材料(CaCl)であって2つの結晶化事象を示す材料の熱データを示す。
図9図9は、本発明の実施態様に係る、SiC核形成剤を含有及び非含有の硝酸マグネシウム-水共晶の比較を示す。
図10図10は、本発明の実施態様に係る、任意の核形成剤を非含有の、硝酸マグネシウム-水共晶の二重核形成の熱データを示す。
図11図11は、本発明の実施態様に係る、セラミックSiO/Al核形成剤を有する硝酸マグネシウム-水共晶の二重核形成の熱データを示す。
図12図12は、本発明の実施態様に係る、氷核形成タンパク質の添加の際に融合する、塩化アンモニウム-水共晶における2つの結晶化事象の熱データを示す。
図13図13は、サブゼロPCMであって、その第1の結晶化事象の後で、その第2の結晶化事象のプロセスにあるサブゼロPCMの画像を示し、場所1及び2は、第1及び第2の結晶化事象のそれぞれの後におけるPCMの領域を表している。
図14図14は、酢酸ナトリウム及び水を含有するサブゼロ塩-水共晶PCMの大きい(17リットル)サンプルにおける二重結晶化事象の型を示す。
図15図15は、硫酸マグネシウム及び水を含有するサブゼロ塩-水共晶PCMの大きい(100リットル)サンプルにおける二重結晶化事象の型を示す。
図16図16は、1又は複数の核形成剤なしの、硫酸マグネシウム及び水の共晶における第1及び第2の結晶化事象の両方の過冷却の長さを示す。
図17図17は、第1の結晶化事象のための核形成剤として働く炭酸カルシウム、及び、第2の結晶化事象のための核形成剤として働くヨウ化銀を有する硫酸マグネシウム及び水の共晶における第1及び第2の結晶化事象の両方の過冷却の長さを示す。
図18図18は、二酸化チタン核形成剤を有する、核形成剤を有しない、硫酸マグネシウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図19図19は、酸化アルミニウムを有する、核形成剤を有しない、硫酸マグネシウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図20図20は、炭化ケイ素を含有する、核形成剤を有しない、硫酸マグネシウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図21図21は、酸化アルミニウムを含有する、核形成剤を有しない、臭化ナトリウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図22図22は、二酸化ケイ素を含有する、核形成剤を有しない、臭化ナトリウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図23図23は、炭酸カルシウムを含有する、核形成剤を有しない、臭化ナトリウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図24図24は、ヨウ化銀を含有する、核形成剤を有しない、臭化ナトリウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図25図25は、3層熱量測定装置における、核形成剤を有しない、酢酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの冷却を示す。
図26図26は、3層熱量測定装置における、ヨウ化銀核形成剤を有する、酢酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの冷却を示す。
図27図27は、ヨウ化銀を含有し、核形成剤を有しない、臭化ストロンチウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図28図28は、ヨウ化銀を含有し、核形成剤を有しない、塩化カリウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図29図29は、ヨウ化銀を含有し、核形成剤を有しない、塩化アンモニウム-水共晶PCMのサンプルの例示の熱サイクルを示す。
図30図30は、第1の結晶化事象の向上を有する、KCl-水 塩-水共晶PCMに二酸化チタンを添加する効果を示す。
図31図31は、しかしながら、塩のカチオンのナトリウムへの変更が逆の性能をもたらすことを示し、二酸化チタンの添加は、第2の結晶化事象の核形成を改善する。
図32図32は、硫酸マグネシウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象を改善するための、AgIの使用を示す。
図33図33は、硫酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1及び第2の結晶化事象を改善するためのAgI及びSiCの使用を示す。
図34図34は、核形成剤を有しない、硫酸リチウム-水共晶(すなわち水中における約25重量%の硫酸リチウム)を有するPCMの2段階の結晶化を示す。
図35図35は、炭酸カルシウムで修飾したときの、塩化カリウム-水共晶の第1の結晶化事象の改善した核形成を示す。
図36図36は、ブランクと比較して、塩化アンモニウム-水共晶において第2の結晶化事象を可能にするバーミキュライトを示す。
図37図37は、炭酸カルシウムの存在が、NH4Cl及び水の共晶の第1の結晶化事象の結晶化を改善することを示す。
図38図38は、酸化鉄の存在に起因する、酢酸ナトリウム及び水の共晶の第1の結晶化事象の改善を示す。
図39図39は、炭酸カルシウムの存在に起因する、酢酸ナトリウム及び水の共晶の第1の結晶化事象の改善を示す。
図40図40は、バーミキュライトの存在に起因する、ギ酸ナトリウム及び水の共晶の第2の結晶化事象の改善を示す。
図41図41は、炭化ケイ素の存在に起因する、ギ酸ナトリウム及び水の共晶の第2の結晶化事象の改善を示す。
図42図42は、核形成剤を有しない、ギ酸ナトリウム及び水の共晶の結晶化を示す。
図43図43は、ヨウ化銀核形成剤を有するギ酸ナトリウム及び水の共晶の結晶化を示す。
図44図44は、炭化ケイ素及びヨウ化銀の存在下における、塩化ストロンチウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図45図45は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化ストロンチウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図46図46は、炭酸カルシウムの存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図47図47は、炭酸カルシウムの存在下における、塩化ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図48図48は、バーミキュライトの存在下における、塩化ナトリウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図49図49は、酸化鉄の存在下における、硝酸リチウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図50図50は、炭化ケイ素の存在下における、硝酸リチウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図51図51は、アルミナの存在下における、臭化ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図52図52は、炭酸カルシウムの存在下における、臭化ストロンチウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図53図53は、ロッシェル塩及び水を含有するPCMの凍結プロファイルを示す。
図54図54は、ロッシェル塩、水、及び炭酸カルシウムを含有するPCMの凍結プロファイルを示す。
図55図55は、炭酸カルシウムの存在下における、硫酸マグネシウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図56図56は、炭酸カルシウムの存在下における、塩化カリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図57図57は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化アンモニウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図58図58は、炭化ケイ素の存在下における、塩化アンモニウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図59図59は、バーミキュライトの存在下における、塩化ストロンチウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図60図60は、バーミキュライトの存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図61図61は、酸化アルミニウムの存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図62図62は、酸化鉄の存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図63図63は、酸化ケイ素の存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図64図64は、炭酸カルシウムの存在下における、酢酸ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図65図65は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化ナトリウム-水共晶を有するPCMの第1の結晶化事象の改善を示す。
図66図66は、炭化ケイ素の存在下における、塩化ナトリウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象の改善を示す。
図67図67は、硝酸リチウム-水共晶を有するPCMにおける、第2の結晶化事象を引き起こすTiOを示す。
図68図68は、SiOが、硝酸リチウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象を改善することを示す。注 - アーティファクトと表されている異常は、結晶化の際の近くのサンプルの温度上昇に起因し、図中に記載のサンプルに起因するものではない。
図69図69は、バーミキュライトが、塩化カリウム-水共晶を有するPCMの第2の結晶化事象を改善することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示で開示されるのは、冷却されたときに複数の結晶化事象を示すPCMの組成である。
【0016】
典型的には、1又は複数の塩が、下記を含んでよい:
リチウム;
ナトリウム;
カリウム;
カルシウム;
マグネシウム;
ストロンチウム;
アンモニア;
鉄;
銅;
マンガン;
亜鉛;及び/又は
アルミニウム;
から選択されるカチオンの少なくとも1つ又は組み合わせ、
並びに、
任意のハロゲン;
硫酸;
硝酸;
リン酸;
炭酸;
任意のカルボン酸若しくはジカルボン酸、及び/又は
任意の脱プロトン化アミノ酸
から選択されるアニオンの少なくとも1つ又は組み合わせ。
【0017】
典型的には、PCMは、下記のうちの1つ以上を含む1以上の核形成剤を含有してよい:
0~30重量%のMgSO
0~40重量%のMg(NO
0~30重量%のMgCl
0~35重量%のCaCl
0~50重量%のCa(NO
0~50重量%のSrBr
0~50重量%のNaBr
0~25重量%のNaCl
0~10重量%のNaSO
0~25重量%のNHCl
0~25重量%のKCl
0~45重量%のKCO
0~40重量%のNaHPO
0~40重量%のNaOAc
0~35重量%のNaOOCH
0~30重量%のNaCO
0~35重量%のLiCl
0~60重量%のZnCl
0~40重量%のFeCl
0~40重量%のCuCl
0~40重量%のBaCl
0~25重量%のKHCO
0~40重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-安息香酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-グリコール酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-グリシン酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-プロピオン酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-β‐アラニネート
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-アスパラギン酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-乳酸塩
0~50重量%のLi-、Na-、及び/若しくはK-2,2´-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸塩
0~50重量%のLi-、Li-、Na-、Na-、K-及び/若しくはK-グルタミン酸塩
0~40重量%のLi-、Li-、Na-、Na-、K-及び/若しくはK-アジピン酸塩、並びに/又は
0~50重量%のLi-、Li-、Na-、Na-、K-及び/若しくはK-酒石酸塩
各組成の残余は水。
【0018】
好ましくは、本発明に係るPCMは、下記の1又は複数から選択される1以上の核形成剤を含む:
3~6重量%の硫酸ナトリウム;
14~25重量%の硫酸マグネシウム;
25~35重量%の硝酸マグネシウム;
30~40重量%の硝酸ナトリウム;
20~30重量%の硝酸リチウム;
15~25重量%の塩化ストロンチウム;
35~46重量%の臭化ストロンチウム;
34~45重量%の臭化ナトリウム;
15~25重量%の塩化ナトリウム;
14~25重量%の塩化アンモニウム;
15~25重量%の塩化カリウム;
5~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム;
18~30重量%の酢酸ナトリウム;及び/又は
19~30重量%のギ酸ナトリウム;
各組成の残余は水。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、第1族金属及び/又は第2族金属の1以上の塩を含有する。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及び/又はアンモニウムの塩のうちの1又は複数を含有する。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及び/又はカルボン酸塩のうちの1又は複数を含有する。
【0022】
本開示において、第1の結晶化事象及び第2の結晶化事象は、PCMがその液体状態から冷却されるにしたがって時間順に起こる順番によって定義される。
【0023】
核形成剤は、第1の結晶化転移の核形成を誘導するように働いてよい。
【0024】
核形成剤は、第2の結晶化転移における核形成を誘導するように働いてよい。
【0025】
複数の核形成剤を用いて、両方の結晶化事象で核形成を起こしてもよい。
【0026】
本発明の好ましい実施態様では、2以上の核形成剤を用い、少なくとも1つが、第1の結晶化事象における過冷却を低減するために働き、少なくとも1つが、第2の結晶化事象における過冷却を低減するために働く。
【0027】
本発明の特定の実施態様では、冷却の際に、比較的高い温度での核形成が、比較的低い温度での核形成よりも先に起こる。
【0028】
結晶化事象のうちの1つは、固-固相転移であってよい。
【0029】
核形成剤は、下記の酸化物、炭酸塩、炭化物、ケイ酸塩、及び/又はハロゲン化物のうちの少なくとも1つから選択されてよい:
ケイ素;
カルシウム;
アルミニウム;
チタン;
鉄;
銀;
ジルコニウム;
亜鉛;及び/又は
マグネシウム。
【0030】
核形成剤は、下記を含む群から選択される少なくとも1つの物質であってよい:
二酸化ケイ素;
炭化ケイ素;
二酸化チタン;
酸化鉄;
酸化アルミニウム;
ヨウ化銀;
酸化マグネシウム;
酸化亜鉛;
バーミキュライト;
及び/又は、これらの組み合わせ。
【0031】
核形成剤は、1超の酸化物及び/又は炭化物から構成されるセラミック複合体であってよい。
【0032】
核形成剤は、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%の添加率で存在してよい。
【0033】
核形成剤は、約0.5重量%の添加率で存在してよい。
【0034】
核形成剤は、塩溶液中における核形成剤の溶解限界よりも高い添加率で存在してよい。
【0035】
本発明の他の態様が、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、第1の態様に係るPCMの使用が提供され、PCMが、その第1の結晶化事象の後であって第2の結晶化事象が起こる前に、固体状態で保持される。第2の結晶化事象は、固-固相転移であるとして考慮されてよい。
【0037】
本発明の一部としてのさらなる開示は、塩-水共晶PCMによって示される結晶化事象のうちの1つにおける過冷却を低減するために働く核形成剤物質である。
【0038】
本発明の一部として、過冷却を超えて、塩-水共晶は、多くの場合、2つの段階でかつ2つの異なる温度で結晶化することが開示される。
【0039】
本開示でさらに開示されることとして、塩-水共晶PCMにおける2つ又は少なくとも2つの結晶化事象は、明確に異なる熱エネルギーを有してよい。これらの2つ又は少なくとも2つの結晶化事象(核形成及び結晶成長を含む)にわたる制御は、信頼性の高い循環性を有するサブゼロPCMの製造に向けて非常に有利であり、この材料の最大限の熱容量が有利に利用される。
【0040】
本発明の好ましい実施態様では、炭化ケイ素、フィロケイ酸塩物質(例えば、バーミキュライト、タルク、又はマイカ)及びこれらの組み合わせを、核形成剤として用いて、塩-水共晶PCMの第2の結晶化事象の核形成を行う。
【0041】
さらに、結晶化の上記制御の、熱貯蔵装置の操作への適用を記載する。
【0042】
本発明の実施態様を、単なる例示として、添付の図面を参照して、記載する。
【0043】
本発明は、低温貯蔵媒体としての無機相変化材料(PCMs)の使用及びその核形成に関する。
【0044】
本開示では、約0~約‐100℃の相転移温度を有しかつ2段階結晶化事象を示す、種々の塩-水共晶が開示される。
【0045】
2段階結晶化事象が、図1に概略的に描写されている。PCMが冷却の外部源によって冷却される様子が示されており、それによって、PCMの内部温度が低下する。初期には、PCM温度は、PCMの顕熱に従って、特定の温度に到達するまで、低下する。この時点で、第1の結晶化事象が起こり、PCMが結晶化するのに伴って、熱が放出される。この第1の相変化が完了すると、PCM温度が、再び、材料の顕熱に従って降下を開始する。第2の比較的低い温度において、さらなる結晶化事象が観察され、熱が、再び放出される。この第2の核形成/結晶化の段階の後で、PCMは、その顕熱に従って引き続き冷却される。
【0046】
本開示において定義されるところでは、第1及び第2の結晶化事象は、PCMがその液体状態から冷却されるにつれて時間的に結晶化が起こる順番によって、定義される。
【0047】
しかしながら、実験的には、複数の異なる潜在的な型が、PCMの組成に応じて観察されうる。
【0048】
図2は、硝酸リチウム-水サブゼロPCMの典型的な二重結晶化プロットを示しており、過冷却が両方の転移で見られる。硝酸リチウム-水の共晶は、約-21℃での熱力学的な相転移を有することが開示されるが、冷却の際に、2つの結晶化事象が観察され、約-28℃及び約-32℃で開始され、これは、過冷却を示す。したがって、添加剤を有しないこのPCMは、約-28℃にまで冷却した後に明らかに固体であるにも関わらず、それが完全に結晶化されるためには、約-32℃にまで冷却される必要があるであろう。
【0049】
過冷却は、図2で見られるよりもさらに極端であることがあり、この場合、低温結晶化事象が、用いられる温度範囲内で単一の結晶化事象のみが起こるような程度にまで、過冷却する。
【0050】
図3は、アジピン酸二ナトリウムと水の共晶の実験データを示し、これは、その第1の結晶化事象を経るが、その第2の結晶化事象は経ない。これは、PCMの不完全な凍結を引き起こし、その結果は、PCMが温度上昇するにつれて、非常に不明確な融解プラトーのみが観察されるというものである。対照的に、このPCMがその結晶化事象の両方を経る場合(図4)、明瞭な平坦融解転移が、約-14℃で観察される。したがって、本開示で開示される塩-水共晶PCMにおいて、第1と第2の結晶化事象の両方が起こり、かつそのようにして、単一の良好に規定される温度で最大のエネルギー貯蔵が達成されることが鍵となる。
【0051】
さらには、複数の核形成事象を有するサブゼロPCMの最大の出力温度は、第1又は第2の結晶化事象によって開始される結晶化プロセスの方により偏っていてよい。
【0052】
例えば、図2は、約-21℃の熱力学的な最大凍結温度が、硝酸リチウム-水共晶に関する第2の結晶化事象の後に到達することを示しており、一方で、図5は、約-20℃の熱力学的な相転移温度を有する酢酸ナトリウム-水共晶が、第1の結晶化事象の後にのみこの温度に到達し、第2の結晶化事象の後には到達しない。理論によって限定する意図はないが、この効果は、過冷却と結晶成長速度との組み合わせに起因することが示唆される。
【0053】
別の事態は、両方の結晶化段階が、それぞれの結晶化事象の後で同じ出力温度をもたらすというものである。
【0054】
図6は、2段階での硫酸ナトリウム-水共晶の結晶化を示しており、両方の結晶化段階が、結晶化の開始の後で、約-1℃に到達する。図6に記載の型では、わずかの過冷却及び急速な結晶化がもたらされうる。
【0055】
図6で明らかにされるさらなる重要な点は、第1と第2の結晶化事象の温度が、最も高い第1又は最も低い第1でありうるということである。例えば、PCMを冷却する際に、第1の結晶化事象が、時間的に、第2よりも、温度において比較的低いか、又は比較的高い。
【0056】
本開示で開示されるところでは、ハロゲン化物の塩、硝酸塩、硫酸塩、及びカルボン酸の塩(例えば酢酸又はギ酸の塩)、並びにそれらの混合物が、上記の複数の結晶化事象を示す。
【0057】
本開示で開示されるPCMは、下記を含む群から選択される少なくとも1以上のカチオン:
リチウム;
ナトリウム;
カリウム;
カルシウム;
マグネシウム;
ストロンチウム;
アンモニウム;
鉄;
銅;
マンガン;及び/又は
亜鉛
並びに
下記を含む群から選択される少なくとも1以上のアニオン:
任意のハロゲン;
硫酸;
硝酸;
リン酸;
炭酸;
任意のカルボン酸、ジカルボン酸、若しくはトリカルボン酸;及び/又は
任意の脱プロトン化アミノ酸
を有する少なくとも1つの塩を含んでよい。
【0058】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、第1族及び/又は第2族の金属の1以上の塩を有する。
【0059】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、下記のうちの1以上を含む:リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及び/又はアンモニウムの塩。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、PCMが、下記のうちの1以上を含む:ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及び/又はカルボン酸の塩。
【0061】
本開示で留意される点として、この二重結晶化効果は、対象の塩が1以上の既知の水和物を有する塩-水共晶において観察されうる。例えば、図5に記載されている酢酸ナトリウム-水共晶、又は、図34で熱サイクルが示されている硫酸リチウム-水共晶である。しかしながら、本開示で開示されるところでは、塩が既知の水和形態を有しない場合(例えば図7に記載されている塩化カリウム-水共晶)でも観察される。したがって、これらの核形成事象を制御することの技術的な利点は、水和形態を有する塩とともに、水和形態を有しない塩にも拡張される。
【0062】
さらに、本開示で開示されるところでは、複数の水和形態を有する塩であっても、2つのみの区別される結晶化事象を有する傾向がある。図8において、塩化カルシウム及び水を有するPCMが、他の塩-水共晶と同じ様式で、二重結晶化の型を示すことが示されている。しかしながら、注目すべきこととして、塩化カルシウムは、一水和物、二水和物、四水和物、及び六水和物の形態で存在することが知られており、にもかかわらず、これは、塩-水共晶として用いたときに、2つのみの結晶化段階を示す。したがって、本開示で開示されるところでは、塩-水共晶の二重結晶化効果は、利用可能な結晶化水和形態の数とは独立である。本発明者らによれば、塩-水共晶は、2つの結晶化事象を示すであろう。
【0063】
本発明は、塩-水共晶の結晶化事象のうちの1つの核形成を補助するために用いることができる物質を開示する。核形成を補助する物質を提供することは、物質の温度を上昇させる前に両方の結晶化段階が完了することを保証し、したがって、熱エネルギー貯蔵媒体としてのPCMの最大限の利用を可能にする。上記の核形成剤は、また、相転移のうちの1又は両方のための核形成を確保するためにその温度未満にまでPCMを冷却する必要のある温度を減少させる。本発明のさらなる開示としては、それぞれ別個に結晶化転移のうちの1つにおける過冷却を低減するように働く複数の核形成剤を組み合わせて、両方の結晶化転移における過冷却を解消しうる。
【0064】
本開示において開示されるところでは、金属の酸化物、炭化物、ケイ酸塩、ハロゲン化物、及びこれらの組み合わせが、サブゼロ塩-水共晶PCMで観察される相転移の少なくとも1つのための効果的な核形成剤である。
【0065】
核形成剤は、2つの相転移のうちの1つにおいて効果的であってよく、しかしながら他方において効果的でなくてよい。例えば、図9で示されるように、炭化ケイ素(SiC)は、硝酸マグネシウム-水共晶の第2の結晶化事象のための効果的な核形成剤である。SiC核形成剤がない場合には、PCMは、第2の結晶化相転移を経ず、したがって、温度上昇の際に、検知可能な融解転移を示さない。逆に、SiC含有PCMは、両方の転移を示し、かつ、約-30℃での融解転移を示す。一方で、第1の結晶化事象は、SiCの添加によってほとんど影響を受けない。
【0066】
核形成剤は、第1の結晶化事象のみに影響してもよい。例えば、アルミナ及びシリカから構成されるセラミック複合体は、硝酸マグネシウム-水共晶の第1の高い温度での核形成事象のための効果的な核形成剤として開示される。図10は、核形成剤が存在しないこの共晶を示しており、この場合には、第1の結晶化事象が、約-38℃で起こる。対照的に、PCMがセラミック核形成剤を含有する場合には、この相転移は、この共晶に関する熱力学的な相転移温度である、約-30℃で起こる(図11)。
【0067】
氷核形成プロテインは、本開示において、第1の結晶化事象のための効果的な核形成剤として開示される。図12は、氷核形成プロテインを用いて改質された塩化アンモニウム-水共晶を示す。2つの結晶化事象がプロット中で観察される一方で、核形成剤がないサンプル(すなわち、図29)と比較して、第1において、最小の過冷却が観察され、したがって、氷核形成プロテインは、第1の結晶化事象のための核形成剤であると判断されうる。
【0068】
核形成は、確率論的なプロセスとして知られており、したがって、結晶化は、一般に、サンプルサイズを増加させることによって向上し、なぜならば、サンプルサイズの増加に伴って、安定的な核形成点が形成される確率が増加するからである。このことを考慮すると、サブゼロ塩-水共晶PCMの二重核形成プロファイルは、大きいスケールにおいては異なるであろうことが予測されうる。しかしながら、本開示において開示されるところでは、これはそうではなく、非常に大きい(すなわち>1L)スケールにおいてであっても、そのようなPCMは、2つの区別される結晶化事象をなおも示す。図14は、17Lの酢酸ナトリウム水共晶の結晶化が2つの段階で進行することを示しており、第2の結晶化事象は、約-30℃よりも下のみで観察され、これは、約-18℃の熱力学的な相変化温度とはかけ離れている。比較的小さいサンプルと同様に、本発明者らによって見いだされたところでは、この増加したスケールにおいて、PCMのエネルギー貯蔵能に最大限にアクセスするためには、両方の結晶化事象が起こる必要がある。したがって、核形成剤無しでは、塩-水共晶PCMの結晶化は、大きなスケールであっても、過剰な冷却を必要とする。しかしながら、本開示で規定される核形成剤を用いた場合には、最小の過冷却が、大きいPCMサンプル及び比較的小さいPCMサンプルで達成されうる。図15は、大きい(約100L)サンプルの、炭酸カルシウム及びヨウ化銀核形成剤と組み合わされた硫酸マグネシウムと水の共晶の二重結晶化を示しており、これは、本件発明者らの知るところでは、第1及び第2の結晶化事象における核形成のそれぞれを向上させる(比較のために図16及び図17参照)。約-5℃の熱力学的な相変化温度よりも下での最小の過冷却は、第1と第2の核形成事象の両方で観察でき、しかしながら、両者は、互いに対してなおも区別される。したがって、明らかにされるところでは最大限に凍結された塩-水共晶PCMでは2つの結晶化事象が予測され、かつ結晶化事象のうちの1つに働く核形成剤は、非常に大きなスケールであっても効果的である。
【0069】
さらなる非制限的な例示として、硫酸マグネシウム、水、及び1以上の核形成剤を含有するPCMを考慮できる。図18は、そのようなPCMの2つのサンプルの典型的な熱サイクルの比較を示しており、1つは、二酸化チタン核形成剤を含有し、他方は、核形成剤を含有しない。第1の結晶化事象に対する改善が、二酸化チタンを含有するサンプルに関して見出すことができ、しかしながら第2の結晶化事象における改善は観察できない。ブランクのサンプルは、やがて第2の結晶化事象を経るが、大幅な過冷却を示した後でのみである。本件発明者らによって見いだされたところでは、ブランクにおけるこの第2の結晶化事象は、信頼性が低く、毎回の熱サイクルで起こるわけではない。したがって、ブランク及び二酸化チタンを含有するサンプルの融解転移は、多くの場合、幅広いが、第1の結晶化事象に対する明らかな改善が、二酸化チタンの使用によって得ることができる。酸化アルミニウム核形成剤を用いた同様の試験は、第1の結晶化事象に対する改善を示し、かつ後の完全な結晶化を示した(図19)。アルミナは、第1の結晶化事象が起こる温度を上げることが示され、したがって、第1の結晶化事象に関する核形成の補助剤である。この改善した結晶化は、第2の結晶化事象を誘導することも補助することがあり、これは、第2の結晶化が起こる前に物質が部分的又は完全に固体であることに部分的に起因する。対照的に、図20で示されるように、本発明者らによって見いだされたところでは、炭化ケイ素は、第2の結晶化事象に関する選択的な核形成剤である。図20において、炭化ケイ素も含有する硫酸マグネシウム-水共晶は、第1の結晶化事象の結晶化温度における改善は示さないが、第2の結晶化事象が起こる温度における顕著な上昇を示す。したがって、炭化ケイ素は、第2の結晶化事象に関する選択的な核形成剤であることが明らかとなる。
【0070】
さらなる非制限的な例示として、臭化ナトリウム、水、及び1以上の核形成剤を含有するPCMを考慮する。本件発明者らによって見いだされたところでは、酸化アルミニウム、シリカ、及び炭酸カルシウムは、第1の結晶化事象を開始させる核形成剤として用いることができる(図21、22及び23)。ヨウ化銀を核形成剤として試験した際に見いだされたところでは、これは、臭化ナトリウム及び水を含有するPCMの第1の結晶化事象に関する核形成剤として働く(図24)。これは、他のPCM、例えばカルボン酸塩(図25及び26)並びに2+金属ハロゲン化物(図27)に関して本件発明者らが知っていることとは相違する。図25で示されるように、ヨウ化銀核形成剤無しでは、酢酸ナトリウム塩-水共晶PCMは、その第1の結晶化事象を経るが、第2は経ず、しかしながら、ヨウ化銀が系に加えられると、両方の結晶化事象が、図26で見られるとおり、起こる。同様に、2+ハロゲン化物塩 臭化ストロンチウム-水共晶は、ヨウ化銀がPCM中に存在する場合と比較して、ヨウ化銀がPCM中に存在しない場合に、その第2の結晶化事象における増加した過冷却を示すが、第1の結晶化事象は、この変化によって影響されない(図27)。
【0071】
さらなる試験を、他の1+カチオンハロゲン化物、例えばKCl-水及びNHCl-水の共晶、で行ったところ、ヨウ化銀は第1の結晶化事象に関する核形成剤として働くであろうことが見いだされた。図28は、塩がKClである場合の塩-水共晶PCMの、AgI核形成剤あり及び無しでの比較を示す。第1の結晶化事象における検知可能な上昇を、他の1+ハロゲン化物塩-水共晶に関して見られるのと同様な様式で、AgIが材料中に存在する場合に、見ることができるが、第2の結晶化事象を示すものはない。考えられるところでは、AgIの存在は、実際、この例において第2の結晶化事象を阻害し、これは、第1の結晶化事象における大幅な過冷却を示すブランクと同様であり、両方の転移を経て、したがって、比較的長い融解転移を有し、かつ、約0℃でのいかなる融解転移の兆候も有しない。逆に、AgIを有するサンプルは、第1の結晶化事象における過冷却をわずかに示すが、第2の結晶化事象は示さず、したがって、短い融解転移(したがって少ないエネルギー貯蔵)を有する。したがって、このタイプのPCMを用いるためには、第1及び第2の結晶化事象に機能する核形成剤の組み合わせを用いることができる(すなわち、AgI、バーミキュライト及び/又は炭化ケイ素)。NHCl-水共晶は、図29で見られるように、同様の様式でAgIに応答し、ブランク、又はAgIを含有して調製された材料のいずれも、第2の結晶化事象を示さず、したがって、比較的短い、幅広い融解転移を有する。
【0072】
まとめると、表1は、核形成剤を開示しており、これらは、すべての場合ではないものの、それらの第1及び第2の結晶化事象において過冷却を低減するために働く傾向がある。
【0073】
【表1】
【0074】
より特には、表2は、本発明に従う、塩のタイプを示しており、これらは、第1及び第2の結晶化事象において働く核形成剤を有するサブゼロ塩-水共晶PCMで用いられる。
【0075】
【表2】
【0076】
表1及び表2で規定される塩のタイプは、好ましい1又は複数の核形成剤の代表である。さらに、より特定的な詳細を、表3及び表4に示す。
【0077】
表3は、本発明の好ましい実施態様を開示する。
【0078】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0079】
表4は、本発明のより特定的なさらなる好ましい実施態様を示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表5は、種々の核形成剤及び塩並びにそれらが用いられうる濃度の詳細を示す。
【表5-1】
【表5-2】
【0082】
本発明のさらなる特定的な実施態様が、図32~69にさらに例示されている。
【0083】
図32は、硫酸マグネシウム-水共晶(すなわち、水における約19重量%のMgSO)を有するPCMの第1の結晶化事象を改善するためのAgIの使用を示す。
【0084】
図33は、さらなる硫酸塩水共晶、硫酸ナトリウム水共晶(すなわち、水における約3.5重量%NaSO)を示しており、それぞれAgI及びSiCの添加によって第1及び第2の結晶化事象の核形成が、ブランクに対して改善されている。
【0085】
図35は、KClと水の共晶(すなわち、水における約19.5重量%KCl)を含むPCMの第1の結晶化事象の温度を増加させる炭酸カルシウムを示す。
【0086】
図36が示していることは、バーミキュライトの存在が、NHCl及び水の共晶(すなわち、水における約18.6重量%NHCl)において第2の結晶化事象を誘導し、一方で、バーミキュライトを含有しないブランクは、1つの結晶化事象のみを通過し、したがってバーミキュライトを含有するサンプルと比較して、広い温度範囲にわたって短い融解転移を示すことが示される。
【0087】
図37は、NH4Cl及び水(すなわち、水における約18.6重量%NHCl)の共晶の第1の結晶化事象の結晶化を改善する炭酸カルシウムの存在を示す。
【0088】
図38は、酢酸ナトリウム及び水(すなわち、水における22.7重量%NaOAc)の共晶の第1の核形成事象の核形成が、酸化鉄によって改善されることを示す。この効果は、炭酸カルシウムの場合にも確認される(図39)。
【0089】
図40は、バーミキュライトの存在に起因する、ギ酸ナトリウム及び水(すなわち、水における、約24.0重量%のギ酸ナトリウム-NaFoと略される)の共晶の第2の結晶化事象の改善を示す。図41は、炭化ケイ素を核形成剤として用いた場合の第2の結晶化事象への同様の改善を示す。
【0090】
図42は、核形成剤を有しないギ酸ナトリウム-水共晶(水における約24.0重量%のギ酸ナトリウム)を有するPCMの凍結プロセスを示す。2つの結晶化事象が観察でき、第2は、約-22℃で起こる。図43は、ヨウ化銀が存在する場合のこのPCMに関するこの結晶化事象の改善を示しており、核形成が、この場合には、約-19℃で起こる。
【0091】
図44は、炭化ケイ素及びヨウ化銀の存在下における、塩化ストロンチウム-水(水における約19.5重量%SrCl)共晶を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0092】
図45は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化ストロンチウム-水(水における約19.5重量%SrCl)共晶を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0093】
図46は、炭酸カルシウムの存在下における、硝酸ナトリウム-水(水における約35.0重量%NaNO)共晶を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0094】
図47は、炭酸カルシウムの存在下における、塩化ナトリウム-水共晶(水における約22.4重量%NaCl)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0095】
図48が示すところでは、塩化ナトリウム-水共晶(水における約22.4重量%NaCl)を有するPCMの第2の結晶化事象が、冷却の際に起こらないことがあり、温度上昇の際に、その相転移温度(約-21℃)への劣った融解転移をもたらす。しかしながら、第2の結晶化事象が、バーミキュライトの存在下で開始されうる。
【0096】
図49は、酸化鉄の存在下における、硝酸リチウム-水共晶(水における約24.5重量%LiNO)を有するPCMの第1の結晶化事象への改善を示す。
【0097】
図50は、炭化ケイ素の存在下における、硝酸リチウム-水共晶(水における約24.5重量%LiNO)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0098】
図51は、アルミナの存在下における、臭化ナトリウム-水共晶(水における約39重量%NaBr)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0099】
図52は、炭酸カルシウムの存在下における、臭化ストロンチウム-水共晶(水における約41重量%SrBr)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0100】
図53及び54は、水におけるロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)を含有する(水における約5重量%のロッシェル塩)共晶の凍結プロファイルを示す。ブランク(図53)は、第1の結晶化事象の、約-11.5℃への過冷却を示し、一方で、炭酸カルシウムを有するサンプル(図54)は、約-7.8℃での第1の結晶化事象を有する。いずれの場合にも、第2の結晶化事象は、プラトーとして、約-9.8℃で起こり、したがって、炭酸カルシウムの存在によって影響されない。
【0101】
図55は、炭酸カルシウムの存在下における、硫酸マグネシウム-水共晶(水における約19重量%MgSO)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0102】
図56は、炭酸カルシウムの存在下における、塩化カリウム-水共晶(水における約19.5重量%KCl)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0103】
図57は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化アンモニウム-水共晶(水における約18.6重量%NHCl)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0104】
図58は、炭化ケイ素の存在下における、塩化アンモニウム-水共晶(水における約18.6重量%NHCl)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0105】
図59は、バーミキュライトの存在下における、塩化ストロンチウム-水共晶(水における約19.5重量%SrCl)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。ブランク比較サンプルは、比較的短い融解転移を示し、これは、部分的のみの結晶化を示す(すなわち、第1の結晶化事象のみが起こる)。これと比較して、バーミキュライトを含有するサンプルは、長く平坦な融解転移を示し(すなわち高いエネルギーを有し)、したがって両方の結晶化事象を経ている。
【0106】
図60は、バーミキュライトの存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶(水における約35重量%NaNO)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0107】
図61は、酸化アルミニウムの存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶(水における約35重量%NaNO)を有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。
【0108】
図62は、酸化鉄の存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶(水における約35重量%NaNO)を有するPCMの第1結晶化事象に対する改善を示す。
【0109】
図63は、酸化ケイ素の存在下における、硝酸ナトリウム-水共晶(水における約35重量%NaNO)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0110】
図64は、炭酸カルシウムの存在下における、酢酸ナトリウム-水共晶(水における約27.0重量%NaOAc)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0111】
図65は、酸化アルミニウムの存在下における、塩化ナトリウム-水共晶(水における約22.4重量%NaCl)を有するPCMの第1の結晶化事象に対する改善を示す。
【0112】
図66は、炭化ケイ素の存在下における、塩化ナトリウム-水共晶(水における約22.4重量%NaCl)を含有するPCMの第2の結晶化事象に対する改善を示す。融解の際の比較的長い融解転移は、完全な結晶化を示しており、これは、ブランクには存在せず、しかしながら、炭化ケイ素を含有するサンプルでは観察できる。
【0113】
図67は、硝酸リチウム-水共晶(水における約24.5重量%LiNO)を有するPCMにおける第2の結晶化事象を開始させるTiOを示す。ブランクサンプルは、熱サイクルの間に用いられる最小の温度よりも下の、第2の結晶化事象の過冷却を示すことが見いだされた。
【0114】
図68は、SiOが、硝酸リチウム-水共晶(水における約24.5重量%LiNO)を有するPCMの第2の結晶化事象を改善することを示す。アーティファクトとして表されている異常値は、結晶化における近傍のサンプルの温度上昇に起因しており、図で示されるサンプルに起因するものではない。ここで観察されうることとして、SiOの導入によって起こるPCMの第2の結晶化事象に対する改善は、互いに区別できない2つの結晶化事象をもたらし、すなわち、第1が起こった後又は第1が起こっている後に、第2における過冷却は観察されない。しかしながら、完全な結晶化(第1及び第2の結晶化事象)が起こったことは明らかにでき、なぜならば、融解転移が観察可能であり、平坦であり、かつその持続時間が長いからである。これらの特徴は、完全な結晶化を経たサンプルにおいてのみ観察される。
【0115】
図69は、塩化カリウム-水共晶(水における約19.5重量%KCl)の第2の結晶化を改善するバーミキュライトを示す。この改善は、比較的高い温度、比較的平坦な凍結プラトーをもたらし、その一方で、ブランクは、最初の(第1の)結晶化事象の後で平坦化する前に、試験条件の下で、約1℃の降下を有する。
【0116】
本開示で開示されるところでは、塩-水共晶PCMと接触する金属成分の腐食が、核形成剤添加によって低減された過冷却によって低減されうる。腐食は、液体PCMが金属成分と接触するところで増加し、一方で、対照的に、同じ物質の固相は、大幅に低減された腐食を有する。液体PCMと任意の金属性成分との間で比較的少ない接触がなされるように塩-水共晶PCMの核形成特性を改善することによって、全体的な腐食が制限される。
【0117】
さらに、本開示で開示されるところでは、PCM結晶化事象のうちの1つにおける過冷却を抑制するように働く1又は複数の核形成剤を特徴とするサブゼロPCMは、加熱バッテリー装置の一部を構成しうる。このようにして、サブゼロ温度でのエネルギー貯蔵が、信頼性の高い核形成及びPCM成分の熱力学的な相転移よりも下への冷却が最小化されることの可能性とともに、達成されうる。両方の結晶化事象を誘導するためのそのようなシステムはの冷却は、熱交換器を介して進行でき、又は、ドライアイス若しくは液体窒素などの冷却材の添加を介して進行できる。
【0118】
サブゼロPCMの結晶化の状態の決定は、また、それらの二重結晶化特性によって複雑化する。それらは、第1の結晶化事象の後で固体に見えるので、この時点で、物質が完全に結晶化したと結論付けられる可能性があり、かつ冷却用途に使用されうる。しかしながら、本件発明者らの知るところでは、物質の完全な潜熱にアクセスするためには、両方の結晶化事象が起こる必要がある。これは、そのような物質を、例えばヒートバッテリー装置において、用いる場合に課題を引き起こし、すなわち、物質の結晶化状態を知る必要があり、それによって、利用可能な冷却ポテンシャルが決定される(すなわち、そのようなPCMを含有するヒートバッテリーのチャージ状態)。1又は複数の核形成剤を用いて両方の結晶化事象が起こることを保証できるという本開示における開示に加えて開示されるところでは、完全な結晶化を、種々の手段によって決定してよく、例えば、限定されないものの、自由水含有量(すなわち固体形態中に結合されていない水)の決定、及び光学手段によって決定してよい。本開示で開示されるところでは、サブゼロPCMサンプルは、その第1及び第2の結晶化事象の後で光学的に区別されてよい。図13では、第1の結晶化事象の後で固化したサブゼロPCMが、その第2の結晶化事象を経ている。このことは、半透明固体(1)から不透明のもの(2)へ変化する物質によって明らかである。したがって、両方の結晶化事象の進行は、例えば光学的な屈折性又は透過性によって、観察されてよくかつ定量されてよい。これは、両方の結晶転移が必要なサブゼロPCMを含有するヒートバッテリーにおける利点であるとして開示され、なぜならば、これは、その確定を可能にするからである。
【0119】
本開示で開示されるところでは、約-30℃の相変化温度を有するPCMを、硝酸マグネシウムを水に添加して約29.9重量%溶液を生成することによって形成しうる。この目的のために、硝酸マグネシウムの水和形態(例えば、硝酸マグネシウム六水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのシリカ及び/又はアルミナと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。この溶液は、また、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素と組み合わせてもよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-30℃での相変化にわたってそれを熱的サイクルに供することによって、用いてよい。この核形成剤の系を用いると、第1の結晶化事象は、約-30℃で起こりうる。一方で、第2の結晶化事象は、約-30℃~約-40℃で起こりうる。
【0120】
本開示で開示されるところでは、約-26℃の相変化温度を有するPCMを、臭化ストロンチウムを水に添加して約41重量%溶液を生成することによって、形成してよい。この目的のために、臭化ストロンチウムの水和形態(例えば、臭化ストロンチウム六水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭酸カルシウムに組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。この溶液は、また、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのヨウ化銀と組み合わされてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-26℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることによって、第1及び第2の結晶化事象が、約-26℃~約-32℃で起こりうる。
【0121】
本開示で開示されるところでは、約-25℃の相変化温度を有するPCMを、臭化ナトリウムを水に添加して約39重量%溶液を生成することによって、形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭酸カルシウムと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を約-25℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることによって、第1及び第2の結晶化事象が、約-25℃~約-33℃で起こりうる。
【0122】
本開示で開示されるところでは、約-22℃の相変化温度を有するPCMは、硝酸リチウムを水に添加して約25重量%溶液を生成することによって、形成してよい。この目的のために、硝酸リチウムの水和形態(例えば、硝酸リチウム三水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での酸化鉄と組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-22℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることによって、第1及び第2の結晶化事象が、約-22℃~約-27℃で起こりうる。
【0123】
本開示で開示されるところでは、約-21℃の相変化温度を有するPCMを、塩化ナトリウムを水に添加して約22重量%溶液を生成することによって、形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭酸カルシウムと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素及び/又はバーミキュライトと組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-21℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって、用いてよい。この核形成剤の系を用いることによって、第1及び第2の結晶化事象が、約-21℃~約-28℃で起こりうる。
【0124】
本開示で開示されるところでは、約-18℃の相変化温度を有するPCMを、酢酸ナトリウムを水に添加して、約20~30重量%、好ましくは約23重量%又は27重量%の酢酸ナトリウム水溶液を生成することによって、形成してよい。この目的のために、酢酸ナトリウムの水和形態(例えば、酢酸ナトリウム三水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭酸カルシウムと組み合わせて、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-18℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-18℃~約-30℃で起こりうる。
【0125】
本開示で開示されるところでは、約-17℃の相変化温度を有するPCMを、硝酸ナトリウムを水に添加して約35重量%溶液を生成することによって、形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での酸化鉄及び/又はシリカと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での酸化アルミニウム及び/又はバーミキュライトと組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-17℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-17℃~約-25℃で起こりうる。
【0126】
本開示で開示されるところでは、約-16℃の相変化温度を有するPCMを、塩化ストロンチウムを水に添加して約20重量%溶液を生成することによって形成してよい。この目的のために、塩化ストロンチウムの水和物形態(例えば、塩化ストロンチウム六水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での酸化アルミニウムと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのバーミキュライト及び/又はヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-16℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-16℃~約-25℃で起こりうる。
【0127】
本開示で開示されるところでは、約-15℃の相変化温度を有するPCMを、ギ酸ナトリウムを水に添加して約24重量%溶液を生成することによって形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭酸カルシウムと組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのバーミキュライトと組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-15℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-15℃~約20℃で起こりうる。
【0128】
本開示で開示されるところでは、約-14℃の相変化温度を有するPCMを、塩化アンモニウムを水に添加して約19重量%溶液を生成することによって形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応するヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-14℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-14℃~約20℃で起こりうる。
【0129】
本開示で開示されるところでは、約-10℃の相変化温度を有するPCMを、塩化カリウムを水に添加して約20重量%溶液を生成することによって形成してよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での二酸化チタン及び/又はヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのバーミキュライトと組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-10℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-10℃~約-20℃で起こりうる。
【0130】
本開示で開示されるところでは、約-5℃の相変化温度を有するPCMを、硫酸マグネシウムを水に添加して約19重量%溶液を生成することによって形成してよい。この目的のために、硫酸マグネシウムの水和形態(例えば硫酸マグネシウム七水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%の量での酸化アルミニウム及び/又はヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素及び/又は炭酸カルシウムと組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-5℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-5℃~約-10℃で起こりうる。
【0131】
本開示で開示されるところでは、約-1℃の相変化温度を有するPCMを、硫酸ナトリウムを水に添加して約4重量%溶液を生成することによって形成してよい。この目的のために、硫酸ナトリウムの水和形態(例えば、硫酸ナトリウム十水和物)を用いてよい。そして、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量でのヨウ化銀と組み合わせてよく、それによって、第1の結晶化事象の核形成を補助してよい。また、この溶液を、0.1重量%超、又は好ましくは少なくとも約0.5重量%に対応する量での炭化ケイ素と組み合わせてよく、それによって、第2の結晶化事象の核形成を補助してよい。そして、この材料を、約-5℃での相変化にわたる熱サイクルに供することによって用いてよい。この核形成剤の系を用いることで、第1及び第2の結晶化事象が、約-5℃~約-10℃で起こりうる。
【0132】
種々の例示的な実施態様が開示されている一方で、本開示で開示される相変化材料の変形態様、修正態様、及び組み合わせを、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、行うことができることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図16
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図30
図31
図32
図33
図34
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図40
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図42
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図44
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図50
図51
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図54
図55
図56
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図60
図61
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図65
図66
図67
図68
図69
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
種々の例示的な実施態様が開示されている一方で、本開示で開示される相変化材料の変形態様、修正態様、及び組み合わせを、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、行うことができることが理解される。
本開示は、下記の発明の態様を含む。
<態様1>
0℃未満の融点を有し、冷却の際に少なくとも2つの結晶化事象を示す、下記を含有する相変化材料(PCM):
少なくとも1つの塩;
水;並びに、
第1の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤、及び/又は、
第2の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤。
<態様2>
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属、第II族金属の1又は複数の塩、及び/又はこれらのアンモニウム塩である、態様1に記載のPCM。
<態様3>
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属及び/又は第II族金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、及び/又はカルボン酸塩から選択される1又は複数である、態様1に記載のPCM。
<態様4>
前記1又は複数の塩が、下記を含む、態様1に記載のPCM:
下記のうちの1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される少なくとも1つのカチオン又はカチオンの組み合わせ:
リチウム;
ナトリウム;
カリウム;
カルシウム;
マグネシウム;
ストロンチウム;及び/又は、
アンモニウム
並びに、
下記から選択される少なくとも1つのアニオン又はアニオンの組み合わせ:
塩化物;
臭化物;
硫酸;
硝酸;
炭酸;
ギ酸;及び/又は
酢酸。
<態様5>
前記PCMが、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される1又は複数の核形成剤を含む、態様1に記載のPCM:
0~10重量%の硫酸ナトリウム;
0~30重量%の硫酸マグネシウム;
0~40重量%の硝酸マグネシウム;
0~50重量%の硝酸ナトリウム;
0~35重量%の硝酸リチウム;
0~30重量%の塩化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ナトリウム;
0~25重量%の塩化ナトリウム;
0~25重量%の塩化アンモニウム;
0~30重量%の塩化カリウム;
0~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム
0~40重量%の、酢酸ナトリウム、及び/又は、
0~35重量%のギ酸ナトリウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
<態様6>
前記PCMが、下記のいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される1又は複数の核形成剤を含む、態様1に記載のPCM:
3~6重量%の硫酸ナトリウム;
14~25重量%の硫酸マグネシウム;
25~35重量%の硝酸マグネシウム;
30~40重量%の硝酸ナトリウム;
20~30重量%の硝酸リチウム;
15~25重量%の塩化ストロンチウム;
35~46重量%の臭化ストロンチウム;
34~45重量%の臭化ナトリウム;
15~25重量%の塩化ナトリウム;
14~25重量%の塩化アンモニウム;
15~25重量%の塩化カリウム;
5~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム;
18~30重量%の酢酸ナトリウム;及び/又は
19~30重量%のギ酸ナトリウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
<態様7>
前記PCMが、下記の1又は複数から選択される1又は複数の核形成剤を含む、態様1に記載のPCM:
約4重量%の硫酸ナトリウム;
約19重量%の硫酸マグネシウム;
約20重量%の塩化カリウム;
約19重量%の塩化アンモニウム;
約24重量%のギ酸ナトリウム;
約20重量%の塩化ストロンチウム;
約35重量%の硝酸ナトリウム;
約23重量%の酢酸ナトリウム;
約27重量%の酢酸ナトリウム;
約22重量%の塩化ナトリウム;
約25重量%の硝酸リチウム;
約39重量%の臭化ナトリウム;
約41重量%の臭化ストロンチウム;又は
約30重量%の硝酸マグネシウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
<態様8>
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0~約10℃、0~約5℃、又は0~約3℃低い温度で核形成する、態様1に記載のPCM。
<態様9>
冷却の際に、前記第2の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約20℃、0~約10℃、又は0~約5℃低い温度で核形成する、態様1に記載のPCM。
<態様10>
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約10℃低い温度で核形成し、PCMの融解温度よりも約3℃低い温度での第2の結晶化事象の核形成がこれに続く、態様1に記載のPCM。
<態様11>
前記核形成剤が、前記第2の結晶化事象のみの結晶化を誘導するように働く、態様1に記載のPCM。
<態様12>
前記核形成剤が、前記第1の結晶化事象のみにおける結晶化を誘導するように働く、態様1に記載のPCM。
<態様13>
複数の核形成剤を用いて、両方の結晶化事象で核形成させる、態様1に記載のPCM。
<態様14>
前記結晶化事象のうちの1つが、固-固相転移、又は多形相転移である、態様1に記載のPCM。
<態様15>
前記核形成剤が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせの、少なくとも1つの酸化物、炭酸塩、炭化物、ケイ酸塩、及び/又はハロゲン化物から選択される、態様1に記載のPCM:
カルシウム;
ケイ素;
アルミニウム;
チタン;
鉄;
銀;
及び/又は
マグネシウム。
<態様16>
前記核形成剤が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの物質である、態様1に記載のPCM:
炭酸カルシウム;
二酸化ケイ素;
炭化ケイ素;
二酸化チタン;
酸化鉄;
酸化アルミニウム;
ヨウ化銀;
バーミキュライト;
及び/又はこれらの組み合わせ。
<態様17>
前記第2の結晶化事象において過冷却を低減するように働く前記核形成剤が、炭化ケイ素、バーミキュライト、又はこれらの組み合わせである、態様1に記載のPCM。
<態様18>
前記核形成剤が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の添加量で存在する、態様1に記載のPCM。
<態様19>
前記PCMの体積が、1L超、10L超、20L超、100L超、200L超、又は1000L超である、態様1に記載のPCM。
<態様20>
酸化アルミニウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム
塩化カリウム
塩化アンモニウム
塩化ストロンチウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
<態様21>
炭酸カルシウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
酒石酸ナトリウムカリウム
塩化アンモニウム
硝酸ナトリウム
ギ酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
臭化ストロンチウム。
<態様22>
二酸化ケイ素が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
酢酸ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
<態様23>
ヨウ化銀が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
硫酸ナトリウム
硫酸マグネシウム
塩化アンモニウム、及び
臭化ナトリウム。
<態様24>
二酸化チタンが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム、及び
塩化カリウム。
<態様25>
酸化鉄が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム、及び
硝酸リチウム。
<態様26>
炭化ケイ素が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
硫酸ナトリウム
酒石酸ナトリウムカリウム
硫酸マグネシウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
<態様27>
ヨウ化銀が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
ギ酸ナトリウム
硝酸ナトリウム
塩化ストロンチウム、及び
臭化ストロンチウム。
<態様28>
バーミキュライトが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
塩化カリウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
<態様29>
二酸化チタンが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、態様1に記載のPCM:
塩化ナトリウム、及び
硝酸リチウム。
<態様30>
炭酸カルシウムが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、硫酸マグネシウムである、態様1に記載のPCM。
<態様31>
前記PCMが、水中における約1~10重量%の硫酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様32>
前記PCMが、水中における約3.5重量%の硫酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含み、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、態様31に記載のPCM。
<態様33>
前記PCMが、水中における約15~25重量%の硫酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ/又前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素及び/又は炭酸カルシウムを含有する、態様32に記載のPCM。
<態様34>
前記PCMが、水中における約19重量%の硫酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素及び/又は炭酸カルシウムを含有する、態様33に記載のPCM。
<態様35>
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化カリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の二酸化チタン及び/又はヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、態様34に記載のPCM。
<態様36>
前記PCMが、水中における約19.5重量%の塩化カリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の二酸化チタン及び/又はヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライトを含有する、態様35に記載のPCM。
<態様37>
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化アンモニウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様38>
前記PCMが、水中における約18.6重量%の塩化アンモニウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、態様37に記載のPCM。
<態様39>
前記PCMが、水中における約18~30重量%のギ酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、態様1に記載のPCM。
<態様40>
前記PCMが、水中における約24重量%のギ酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライトを含有する、態様39に記載のPCM。
<態様41>
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又はヨウ化銀を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様42>
前記PCMが、水中における約19.5重量%の塩化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又はヨウ化銀を含有する、態様41に記載のPCM。
<態様43>
前記PCMが、水中における約30~40重量%の硝酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄及び/又はシリカを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は酸化アルミニウムを含有する、態様1に記載のPCM。
<態様44>
前記PCMが、水中における約35重量%の硝酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化鉄及び/又はシリカを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は酸化アルミニウムを含有する、態様43に記載のPCM。
<態様45>
前記PCMが、水中における約15~30重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様46>
前記PCMが、水中における約22.7重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、態様45に記載のPCM。
<態様47>
前記PCMが、水中における約22~33.0重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様48>
前記PCMが、水中における約27.0重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、態様47に記載のPCM。
<態様49>
前記PCMが、水中における約18~27重量%の塩化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様50>
前記PCMが、水中における約22.4重量%の塩化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、態様49に記載のPCM。
<態様51>
前記PCMが、水中における約19~30重量%の硝酸リチウムを含有し、前記第1の結晶化事象の核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様52>
前記PCMが、水中における約24.5重量%の硝酸リチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の酸化鉄を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、態様51に記載のPCM。
<態様53>
前記PCMが、水中における約34~45重量%の臭化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様54>
前記PCMが、水中における約39重量%の臭化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、態様53に記載のPCM。
<態様55>
前記PCMが、水中における約35~45重量%の臭化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様56>
前記PCMが、水中における約41重量%の臭化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%のヨウ化銀を含有する、態様55に記載のPCM。
<態様57>
前記PCMが、水中における約25~35重量%の硝酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、態様1に記載のPCM。
<態様58>
前記PCMが、水中における約30重量%の硝酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.5重量%の炭化ケイ素を含有する、態様57に記載のPCM。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0℃未満の融点を有し、冷却の際に少なくとも2つの結晶化事象を示す、相変化材料(PCM)であって
少なくとも1つの塩;
水;並びに、
第1の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤、及び/又は、
第2の結晶化事象における過冷却を低減するように働く1又は複数の核形成剤
を含有し、
前記少なくとも1つの塩が、1+ハロゲン化物を含有し;存在する場合に、前記第1の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、及びヨウ化銀から選択され;かつ存在する場合に、前記第2の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭化ケイ素及びフィロケイ酸物質から選択され;又は、
前記少なくとも1つの塩が、2+ハロゲン化物を含有し;存在する場合に、前記第1の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び二酸化チタンから選択され;かつ存在する場合に、前記第2の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭化ケイ素、バーミキュライト及びヨウ化銀から選択され;又は、
前記少なくとも1つの塩が、硫酸塩を含み;存在する場合に、前記第1の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び二酸化チタンから選択され;かつ存在する場合に、前記第2の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択され;又は、
前記少なくとも1つの塩が、硝酸塩を含み;存在する場合に、前記第1の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び二酸化チタンから選択され;かつ存在する場合に、前記第2の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭化ケイ素、バーミキュライト及びヨウ化銀から選択され;又は
前記少なくとも1つの塩が、カルボン酸塩を含み;存在する場合に、前記第1の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化鉄から選択され;かつ存在する場合に、前記第2の結晶化事象のための前記1又は複数の核形成剤が、炭化ケイ素、バーミキュライト、ヨウ化銀及び二酸化チタンから選択される、
相変化材料(PCM)
【請求項2】
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属、第II族金属の1又は複数の塩、及び/又はこれらのアンモニウム塩である、請求項1に記載のPCM。
【請求項3】
前記少なくとも1つの塩が、第I族金属及び/又は第II族金属の、1+ハロゲン化物、2+ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、及び/又はカルボン酸塩から選択される1又は複数である、請求項1に記載のPCM。
【請求項4】
前記1又は複数の塩が、下記を含む、請求項1に記載のPCM:
下記のうちの1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される少なくとも1つのカチオン又はカチオンの組み合わせ:
リチウム;
ナトリウム;
カリウム;
カルシウム;
マグネシウム;
ストロンチウム;及び/又は、
アンモニウム
並びに、
下記から選択される少なくとも1つのアニオン又はアニオンの組み合わせ:
塩化物;
臭化物;
硫酸;
硝酸
酸;及び/又は
酢酸。
【請求項5】
前記PCMが、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせから選択される1又は複数のを含む、請求項1に記載のPCM:
0~10重量%の硫酸ナトリウム;
0~30重量%の硫酸マグネシウム;
0~40重量%の硝酸マグネシウム;
0~50重量%の硝酸ナトリウム;
0~35重量%の硝酸リチウム;
0~30重量%の塩化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ストロンチウム;
0~50重量%の臭化ナトリウム;
0~25重量%の塩化ナトリウム;
0~25重量%の塩化アンモニウム;
0~30重量%の塩化カリウム;
0~15重量%の酒石酸ナトリウムカリウム
0~40重量%の、酢酸ナトリウム、及び/又は、
0~35重量%のギ酸ナトリウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
【請求項6】
前記PCMが、下記の1又は複数から選択される1又は複数のを含む、請求項1に記載のPCM:
約4重量%の硫酸ナトリウム;
約19重量%の硫酸マグネシウム;
約20重量%の塩化カリウム;
約19重量%の塩化アンモニウム;
約24重量%のギ酸ナトリウム;
約20重量%の塩化ストロンチウム;
約35重量%の硝酸ナトリウム;
約23重量%の酢酸ナトリウム;
約27重量%の酢酸ナトリウム;
約22重量%の塩化ナトリウム;
約25重量%の硝酸リチウム;
約39重量%の臭化ナトリウム;
約41重量%の臭化ストロンチウム;又は
約30重量%の硝酸マグネシウム;
それぞれの組成の残りは、水である。
【請求項7】
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0~約10℃、0~約5℃、又は0~約3℃低い温度で核形成する、請求項1に記載のPCM。
【請求項8】
冷却の際に、前記第2の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約20℃、0~約10℃、又は0~約5℃低い温度で核形成する、請求項1に記載のPCM。
【請求項9】
冷却の際に、前記第1の結晶化事象が、PCMの融解温度よりも、0℃~約10℃低い温度で核形成し、PCMの融解温度よりも約3℃低い温度での第2の結晶化事象の核形成がこれに続く、請求項1に記載のPCM。
【請求項10】
前記核形成剤が、前記第2の結晶化事象のみの結晶化を誘導するように働く、請求項1に記載のPCM。
【請求項11】
前記核形成剤が、前記第1の結晶化事象のみにおける結晶化を誘導するように働く、請求項1に記載のPCM。
【請求項12】
複数の核形成剤を用いて、両方の結晶化事象で核形成させる、請求項1に記載のPCM。
【請求項13】
前記結晶化事象のうちの1つが、固-固相転移、又は多形相転移である、請求項1に記載のPCM。
【請求項14】
前記核形成剤が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の添加量で存在する、請求項1に記載のPCM。
【請求項15】
前記PCMの体積が、1L超、10L超、20L超、100L超、200L超、又は1000L超である、請求項1に記載のPCM。
【請求項16】
酸化アルミニウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム
塩化カリウム
塩化アンモニウム
塩化ストロンチウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項17】
炭酸カルシウムが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
酒石酸ナトリウムカリウム
塩化アンモニウム
硝酸ナトリウム
ギ酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム、及び
臭化ストロンチウム。
【請求項18】
二酸化ケイ素が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
酢酸ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項19】
ヨウ化銀が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM
化アンモニウム、及び
臭化ナトリウム。
【請求項20】
二酸化チタンが、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸マグネシウム。
【請求項21】
酸化鉄が、前記第1の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム、及び
硝酸リチウム。
【請求項22】
炭化ケイ素が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
硫酸ナトリウム
酒石酸ナトリウムカリウム
硫酸マグネシウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項23】
ヨウ化銀が、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
ギ酸ナトリウム
硝酸ナトリウム
塩化ストロンチウム、及び
臭化ストロンチウム。
【請求項24】
バーミキュライトが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、下記のうちのいずれか1つ又は下記の任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のPCM:
塩化カリウム
塩化アンモニウム
ギ酸ナトリウム
塩化ストロンチウム
硝酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
塩化ナトリウム
硝酸リチウム
臭化ナトリウム、及び
硝酸マグネシウム。
【請求項25】
炭酸カルシウムが、前記第2の結晶化事象のための核形成剤として用いられ、かつ前記塩が、硫酸マグネシウムである、請求項1に記載のPCM。
【請求項26】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化アンモニウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項27】
前記PCMが、水中における約18~30重量%のギ酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項28】
前記PCMが、水中における約15~25重量%の塩化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又はヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項29】
前記PCMが、水中における約30~40重量%の硝酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄及び/又はシリカを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライトを含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項30】
前記PCMが、水中における約15~30重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項31】
前記PCMが、水中における約22~33.0重量%の酢酸ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項32】
前記PCMが、水中における約18~27重量%の塩化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のバーミキュライト及び/又は炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項33】
前記PCMが、水中における約19~30重量%の硝酸リチウムを含有し、前記第1の結晶化事象の核形成剤が、約0.1~1.0重量%の酸化鉄を含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項34】
前記PCMが、水中における約34~45重量%の臭化ナトリウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項35】
前記PCMが、水中における約35~45重量%の臭化ストロンチウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭酸カルシウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%のヨウ化銀を含有する、請求項1に記載のPCM。
【請求項36】
前記PCMが、水中における約25~35重量%の硝酸マグネシウムを含有し、前記第1の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムを含有し、かつ前記第2の結晶化事象のための前記核形成剤が、約0.1~1.0重量%の炭化ケイ素を含有する、請求項1に記載のPCM。
【国際調査報告】