(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】官能化ヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20240219BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240219BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20240219BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20240219BHJP
B01D 53/10 20060101ALI20240219BHJP
C08L 79/02 20060101ALI20240219BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240219BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J20/30
B01J20/34 E
B01J20/34 F
B01J20/34 H
B01D53/04
B01D53/10
C08L79/02
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553540
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 AU2022050169
(87)【国際公開番号】W WO2022183244
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,コリン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,キャメロン
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
4G146
4J002
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012CA03
4D012CA07
4D012CA10
4D012CA12
4D012CA20
4D012CB16
4D012CC13
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4D012CD04
4D012CD07
4D012CG01
4G066AA14D
4G066AB05D
4G066AB06D
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4G066DA01
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4G066FA11
4G066FA34
4G066FA37
4G066FA38
4G066GA01
4G066GA06
4G066GA14
4G066GA16
4G146JA02
4G146JB10
4G146JC28
4J002CD012
4J002CM011
4J002EL026
4J002FD142
4J002FD146
4J002GR00
(57)【要約】
本開示は、気体流及び大気から1つ以上の酸性ガスを回収するために使用することができる官能化ポリアミンヒドロゲルに関する。具体的には、本開示は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、架橋ポリアミンは、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲルに関する。官能化ヒドロゲルを使用して気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法及び装置も開示される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、前記架橋ポリアミンが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲル。
【請求項2】
架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、
c)架橋剤と、の反応組成物であり、
前記反応生成物の前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲル。
【請求項3】
前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーであって、前記アルカノールが、任意に置換されている、アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)架橋剤と、の反応生成物である、請求項2に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)架橋ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、の反応生成物である、請求項2に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
前記アルカノール置換が、非アルカノール置換架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基分布と比較して、より少ない数の一級(1°)アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
前記アルカノール置換が、約5%~約20%の1°アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
前記アルカノール置換が、約1.0~約10.0の二級(2°):一級(1°)アミンの比を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
前記任意に置換されたアルカノール基が、任意に置換されたヒドロキシエチル基である、請求項1~7のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Iの構造を有し、
【化1】
式中、
R
1~R
4が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1又はR
4が、R
2又はR
3と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化2】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8に記載のヒドロゲル。
【請求項10】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Iaの構造を有し、
【化3】
式中、
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化4】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8又は9に記載のヒドロゲル。
【請求項11】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
1-20アルコキシ、C
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール、C
1-20ヘテロアルキル若しくはC
3-20ヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたC
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール又はC
3-20ヘテロシクリルを形成する、請求項8~10のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項12】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Ib又は式Icの構造を有し、
【化5】
式中、
R
1が、水素、又は任意に置換されたC
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、C
1-10アルコキシ、C
3-10シクロアルキル、C
3-10アリール、C
1-10ヘテロアルキル若しくはC
3-10ヘテロシクリルから選択され、
【化6】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8~11のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項13】
前記任意に置換されたアルカノール基が、C
1-10アルキルヒドロキシルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項14】
前記任意に置換されたアルカノール基が、2-ヒドロキシブタンである、請求項1~13のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項15】
前記ヒドロゲルを調製するために使用される前記ポリアミン又はそのコポリマーが、約1,000g/モル~約250,000g/モルの重量平均分子量(M
W)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項16】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項17】
前記ポリアミン又はそのコポリマーが、直鎖若しくは分岐ポリアミン又はそのコポリマーである、請求項1~16のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項18】
前記ポリアミン又はそのコポリマーが、ポリアルキレンイミンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項19】
前記ポリアルキレンイミンが、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、又はそれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.1重量%~約20重量%の架橋剤を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の架橋剤を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項22】
前記ポリアミン又はそのコポリマーが、約0.01モル%~約50モル%の架橋剤を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項23】
前記架橋剤が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にアルキル架橋剤を提供するように選択され、前記アルキルが、少なくともハロ、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断される、請求項1~22のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項24】
前記架橋剤が、エポキシドである、請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項25】
前記架橋剤が、ジエポキシドである、請求項1~24のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項26】
前記架橋剤が、トリエポキシドである、請求項1~25のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項27】
前記架橋剤が、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE)又はトリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE)である、請求項1~26のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項28】
前記官能性エポキシドが、モノエポキシドである、請求項2~27のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項29】
前記官能性エポキシドが、式IIの構造を有し、
【化7】
式中、
R
1~R
4が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1又はR
4が、R
2又はR
3と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成する、請求項2~28のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項30】
前記官能性エポキシドが、式IIaの構造を有し、
【化8】
式中、
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成する、請求項29に記載のヒドロゲル。
【請求項31】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
1-20アルコキシ、C
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール、C
1-20ヘテロアルキル若しくはC
3-20ヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたC
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール又はC
3-20ヘテロシクリルを形成する、請求項29又は30に記載のヒドロゲル。
【請求項32】
前記官能性エポキシドが、式IIbの構造を有し、
【化9】
式中、
R
1が、水素、又は任意に置換されたC
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、C
1-10アルコキシ、C
3-10シクロアルキル、C
3-10アリール、C
1-10ヘテロアルキル若しくはC
3-10ヘテロシクリルから選択される、請求項29~31のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項33】
R
1が、C
1-10アルキルである、請求項29~32のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項34】
前記官能性エポキシドが、1,2-エポキシブタンである、請求項2~33のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項35】
前記ヒドロゲルが、複数の粒子として提供される、請求項1~34のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項36】
前記ヒドロゲルが、自立型ヒドロゲルである、請求項1~35のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項37】
前記ヒドロゲルが、液体膨潤剤を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項38】
前記ヒドロゲルが、約1g/g~約100g/gの液体膨潤剤の膨潤能を有する、請求項37に記載のヒドロゲル。
【請求項39】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約40重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含む、請求項37又は38に記載のヒドロゲル。
【請求項40】
前記液体膨潤剤が、水若しくは非水性溶媒、又はそれらの組み合わせである、請求項37~39のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項41】
前記非水性溶媒が、極性溶媒である、請求項37~40のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項42】
前記液体膨潤剤が、約100℃を超える沸点を有する、請求項37~41のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項43】
前記液体膨潤剤が、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37~42のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項44】
前記液体膨潤剤が、水、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びアミノエトキシエタノール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37~43のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項45】
前記グリコールが、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセロール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項43又は44に記載のヒドロゲル。
【請求項46】
前記液体膨潤剤が、アミノ酸塩を更に含む、請求項37~45のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項47】
前記アミノ酸塩が、グリシン酸カリウム、サルコシン酸カリウム又はグリシン酸イソプロピルである、請求項46に記載のヒドロゲル。
【請求項48】
前記ヒドロゲルが、キレータを更に含む、請求項1~47のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項49】
前記キレータが、リン酸塩、好ましくはリン酸ナトリウムである、請求項48に記載のヒドロゲル。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか一項に記載のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、溶液を、前記ポリアミン又はそのコポリマーを架橋するのに有効な温度及び期間で混合することを含み、前記ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン基が、前記エポキシドによって官能化されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する、プロセス。
【請求項51】
前記官能性エポキシドが、前記架橋剤の添加前に、前記ポリアミン又はそのコポリマーを含む前記溶液と混合されて、前記任意に置換されたアルカノール基を形成するか、又は前記官能性エポキシドが、前記ポリアミン又はそのコポリマーを含む前記溶液の添加前に、前記架橋剤と混合される、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、前記溶液が、約10℃~50℃の温度で混合される、請求項50又は51に記載のプロセス。
【請求項53】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、前記溶液が、約60分~約48時間の期間で混合される、請求項50~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、前記架橋剤、及び/又は官能性エポキシドが、アルコールを含む溶液中に提供される、請求項50~53のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項55】
前記ヒドロゲルを粉砕して、複数のヒドロゲル粒子を形成するステップを更に含む、請求項50~54のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項56】
前記ヒドロゲルを脱水するステップを更に含む、請求項50~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項57】
前記脱水ヒドロゲルが、液体膨潤剤で膨潤される、請求項50~56のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項58】
気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、前記気体流若しくは大気から前記酸性ガスのうちの少なくとも一部を吸収するために、前記気体流又は大気を、請求項1~49のいずれか一項に記載のヒドロゲル又は請求項50~57のいずれか一項に記載のプロセスに従って調製されたヒドロゲルと接触させることを含む、方法。
【請求項59】
前記酸性ガスが、二酸化炭素(CO
2)若しくは硫化水素(H
2S)、又はそれらの混合物である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記気体流又は大気が、炭化水素ガスである、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記気体流又は大気が、低CO
2濃度の気体流又は大気である、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記気体流又は大気が、約100,000ppm未満のCO
2濃度を有する、請求項58~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記気体流又は大気が、約10,000ppm未満のCO
2濃度を有する、請求項58~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記気体流又は大気が、周囲空気である、請求項58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、直接空気回収(DAC)である、請求項58~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと接触させることが、前記気体流又は大気を、前記ヒドロゲルを含む床に通過させることを含む、請求項58~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと接触させることが、前記気体流又は大気に前記ヒドロゲルの流れを導入することを含む、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記ヒドロゲルと接触した後の流出気体流又は大気中の前記酸性ガスの濃度を測定することを更に含む、請求項58~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
少なくとも約10%、25%、50%、75%、90%、又は95%の酸性ガスが、前記気体流又は大気から除去される、請求項58~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記気体流が、少なくとも約100、1,000、10,000、25,000、50,000、75,000、100,000、又は200,000sccmの流量を有する、請求項58~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記気体流が、少なくとも約10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル/時(m
3/時)の流量を有する、請求項58~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記方法が、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着する再生回収方法を更に含む、請求項58~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記再生回収方法が、前記ヒドロゲルを加熱して、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着させること、又は圧力を低減させることによって、若しくはそれらの組み合わせによって脱着させることを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルを蒸気又は熱交換器と接触させることによって加熱される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記吸収された酸性ガスの少なくとも70%が、前記ヒドロゲルから脱着される、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項76】
前記ヒドロゲルが、60℃、80mbar及び10sccmの空気流で21日間エージングした後の酸性ガス吸収を、エージング前の前記ヒドロゲルの初期酸性ガス吸収の少なくとも80%に維持する、請求項58~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
酸性ガスを含有する気体流又は大気から酸性ガスを回収するための吸着装置であって、請求項1~49のいずれか一項に記載のヒドロゲル又は請求項50~57のいずれか一項に記載のプロセスに従って調製されたヒドロゲルを囲むチャンバを備え、前記チャンバは、気体流が前記ヒドロゲルに流れることができる入口と、前記流出気体流が前記ヒドロゲルから流出することができる出口と、を備える、吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、官能化ヒドロゲルに関する。具体的には、本開示は、気体流又は大気から1種以上の酸性ガスを回収するために使用することができる、官能化ポリアミンヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
酸性ガス(例えば、CO2)の回収には、液体及び固体ベースの吸着剤の使用を含む様々なアプローチが使用されてきた。使用される液体ベースの吸着剤は、典型的には、酸性ガスと化学反応する基を含み、例えば、低濃度の流れからCO2を回収することができる水酸化物又はアミン溶液が挙げられる。しかしながら、水酸化物液体ベースの吸着剤を再生するための取り込み速度及びエネルギー要件は困難である。更に、液体ベースの吸着剤の多くは、例えば再生中に酸化の影響も受けやすく、長期的な安定性の点で課題を提示し、腐食性であるため工業的適用性が制限される。
【0003】
これに対処するために、多孔質担体及び多孔質シリカ及び金属有機構造体(MOF)などの多孔質材料に担持された液体吸着剤を含む様々な固体材料が提案されている。これらの材料は、天然溶液と比較して再生エネルギーが低い反面、合成コストは高く、大規模な生産が阻害される可能性がある。加えて、これらの液体多孔質担体材料の多くは、経時的な安定性の低下及び分解に起因するガス吸収性能の低減を示し、多孔質材料の最大の課題の1つは、酸性ガス(例えば、CO2)の全体的な取り込みを実質的に低下させる可能性があるガス混合物の他の成分(例えば、水)の競合吸着である。多孔質材料で考慮すべき別の要因は、低密度電力の充填に伴う容積要件と、特に高温での多孔質担体からの液体吸着剤の浸出である。
【0004】
したがって、工業的適用のために拡張可能であり、1回以上の吸収及び脱着サイクルにわたって性能及び/又は安定性が改善された(例えば、再生が改善された)、酸性ガス回収に使用するための代替的な又は改善された材料が必要とされている。
【0005】
本明細書で言及される任意の先行技術刊行物は、これらの文書のいずれかが、オーストラリア又は任意の他の国における当該技術における一般的な知識の一部を形成することを認めるものではないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、ヒドロゲルと、ヒドロゲルを使用して気体流又は大気から酸性ガスを除去するためのプロセスとに関する研究開発を行ってきた。ヒドロゲルは、酸性ガスの吸収及び脱着(すなわち再生)効率の制御を提供するように調整することができる。特に、ヒドロゲルは、酸性ガスをヒドロゲル内に吸収することによって気体流又は大気から酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を除去することができ、それによって酸性ガスを気体流から除去する。次いで、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから回収(例えば、脱着)することができ、再生されたヒドロゲルを再利用して気体流からより多くの酸性ガスを吸収することができる(例えば、リサイクル)。
【0007】
特に、本発明者らは、特定の部分でヒドロゲルを官能化することによって、酸性ガス吸収効率を良好に制御することを可能にし、いくつかの実施形態では、より容易な再生及び/又はより長い寿命を可能にするヒドロゲルの長期安定性及び/又は再生を含むヒドロゲルの様々な特性を改善できることを確認した。本明細書に記載される本開示はまた、工業的適用のために拡張可能であり得、特に、天然ガス流、炭化水素源、工業流出ガス流及び/又は大気からの酸性ガスの回収において使用され得る。本発明のヒドロゲルは、液体の利点(酸性ガスに対する高い選択性及び低コスト)と固体の利点(低い再生エネルギー及び高い取り込み速度)とを兼ね備えることができる。
【0008】
本開示のヒドロゲルは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、1つ以上のアミン基を含む。1つ以上のアミン基は、一級(1°)、二級(2°)、及び/又は三級(3°)のアミン基であり得る。架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基のうちの少なくとも1つ以上は、任意に置換されたアルカノール基で置換されている(例えば、官能化されている)。
【0009】
一態様では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、架橋ポリアミンが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲルが提供される。
【0010】
本開示の架橋ポリアミンを含むヒドロゲルはまた、反応生成物であり得る。架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、ポリアミン又はそのコポリマーと架橋剤との反応生成物であり得る。架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、ポリアミン又はそのコポリマーと、官能化剤(例えば、官能性エポキシド)と、架橋剤との反応生成物であり得る。
【0011】
第2の態様では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、a)ポリアミン又はそのコポリマーと、b)官能性エポキシドと、c)架橋剤との反応生成物であり、反応生成物の架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲルが提供される。
【0012】
一実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、a)アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーであって、アルカノールが任意に置換されている、アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーと、b)架橋剤との反応生成物である。
【0013】
別の実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、a)架橋ポリアミン又はそのコポリマーと、b)官能性エポキシドとの反応生成物である。
【0014】
一実施形態では、アルカノール置換は、非アルカノール置換架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基分布と比較して、より少ない数の一級(1°)アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。
【0015】
一実施形態では、アルカノール置換は、約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の1°アミン基、例えば、約5%~約20%の1°アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。
【0016】
一実施形態では、アルカノール置換は、約1~約50の二級(2°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。
【0017】
一実施形態では、任意に置換されたアルカノール基は、任意に置換されたヒドロキシエチル基である。
【0018】
一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の粒子として提供される。一実施形態では、ヒドロゲルは、自立型ヒドロゲルである(例えば、ヒドロゲルは、担体材料の非存在下でその形態及び吸収能力を維持することができる)。一実施形態では、ヒドロゲルは、液体膨潤剤を含む。液体膨潤剤は、水又は非水性溶媒、例えば、極性溶媒であり得る。極性溶媒はまた、酸性ガス、例えば、H2S及び/又はCO2を結合又は溶解することが可能であり得る。
【0019】
第3の態様では、上記で定義されるヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、官能性エポキシドを含む溶液を、ポリアミン又はそのコポリマーを架橋するのに有効な温度及び期間で混合することを含み、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン基が、エポキシドによって官能化されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する、プロセスが提供される。
【0020】
第4の態様では、気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、気体流若しくは大気から酸性ガスの少なくとも一部を吸収するために、気体流又は大気を、上記で定義されるヒドロゲル、又は上記で定義されるプロセスに従って調製されたヒドロゲルと接触させることを含む、方法が提供される。
【0021】
別の態様では、酸性ガスを含有する気体流又は大気から酸性ガスを回収するための吸着装置であって、上記で定義されるヒドロゲル又は上記で定義されるプロセスに従って調製されたヒドロゲルを囲むチャンバを備え、チャンバは、気体流がヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流がヒドロゲルから流出することができる出口と、を備える、吸着装置が提供される。
【0022】
ヒドロゲルについて本明細書に記載される実施形態及び実施例のうちのいずれか1つ以上は、ヒドロゲルを調製するためのプロセス及び本明細書に記載される気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法にも適用され得ることが理解されるであろう。本明細書におけるいかなる実施形態も、特に明記しない限り、任意の他の実施形態に準用されるものとみなされる。また、ヒドロゲル、プロセス、方法、及びシステムの他の態様、実施形態及び実施例が本明細書に記載されていることも理解されるであろう。
【0023】
また、本明細書に記載されるいくつかの態様、実施形態又は実施例において特定されるヒドロゲル、プロセス、方法、及びシステムのいくつかの特徴は、本明細書に記載される全ての態様、実施形態又は実施例において必要とされない場合があり、本明細書はこの文脈で読まれることが理解されるであろう。また、様々な態様、実施形態又は実施例において、方法又はプロセスステップの順序は、重要ではない場合があり、変化し得ることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例示のためにのみ、次のように更に説明及び図示される。
【0025】
【
図2】官能化ヒドロゲルからの酸性ガスの吸収及び脱着効率を評価するための実験装置。
【
図3】ヒドロゲルのDAC性能を評価するための実験装置の概略図。1.エアコンプレッサ 2.ガス圧力計 3.マスフローコントローラ 4.バブラ 5.サンプルカラム 6.同位体分析装置。
【
図4】相対的に大規模な官能化ヒドロゲルのDAC性能を評価するための実験装置。
【
図5】30日間にわたる官能化ポリアミンヒドロゲルのCO
2吸収(重量%)性能を強調するプロット。CO
2吸収に大きい変化はなく、良好な安定性を示していた。
【
図6】液体膨潤剤を含む官能化ポリアミンヒドロゲルのエージング前(オレンジ色の曲線)及びエージング後(青色の曲線)の破過曲線。取り込み量の変化が最小限であることは、良好な安定性を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、以下の様々な非限定的な実施形態を記載し、これらは、確認のために行われた調査に関する。
【0027】
用語
以下の説明では、本明細書の一部を形成し、例示としていくつかの実施形態が示されている添付の図面が参照される。他の実施形態が利用され得、本開示の範囲から逸脱することなく構造的変更が行われ得ることが理解される。
【0028】
本明細書に提供される定義に関して、別段の記載がない限り、又は文脈から暗示されない限り、定義された用語及び語句は、提供された意味を含む。明示的に別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、以下の用語及び語句は、用語又は語句が当該技術分野の当業者によって取得された意味を排除するものではない。定義は、特定の実施形態を説明するのを助けるために提供されるのであって、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求される発明を限定することを意図するものではない。更に、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0029】
本明細書で考察及び/又は参照される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などのいかなる考察も、本開示の文脈を提供することのみを目的とする。これらの事項のいずれか若しくは全てが、本出願の各請求項の優先日以前に存在していたことから、先行技術基盤の一部を形成すること、又は本開示に関連する分野における共通の一般知識であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0031】
本開示全体を通して、特に別段の明記がない限り、又は文脈が別段要求しない限り、単一のステップ、組成物(composition of matter)、ステップの群又は組成物の群への言及は、それらのステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち1つ以上)を包含するものとみなされる。したがって、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の態様を含む。例えば、「a」への言及は、単一及び2つ以上を含み、「an」への言及は、単一及び2つ以上を含み、「the」への言及は、単一及び2つ以上を含むなどである。
【0032】
当業者であれば、本明細書の開示が、具体的に記載されたもの以外の変形及び修正の余地があることを理解するであろう。本開示は、そのような全ての変形及び修正を含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書において個別に又は集合的に言及又は示される、実施例、ステップ、特徴、方法、組成物、コーティング、プロセス、及びコーティングされた基材の全て、並びに当該ステップ又は特徴のうちのいずれか及び全ての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。
【0033】
「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」という用語は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと理解され、両方の意味又はいずれかの意味に対する明示的な裏付けを提供するとみなされる。
【0034】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が指す項目に順序的、位置的、又は階層的な要件を課すことを意図するものではない。更に、「第2の」項目への言及は、下位の番号の項目(例えば、「第1の」項目)及び/又は上位の番号の項目(例えば、「第3の」項目)の存在を要求又は排除しない。
【0035】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用されるとき、リストされた項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用され得、リスト内の項目のうちの1つだけが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の対象、物、又はカテゴリであり得る。言い換えれば、「のうちの少なくとも1つ」とは、リストから項目の任意の組み合わせ又は項目の個数が使用され得ることを意味するが、リスト内の全ての項目が必要とされ得るわけではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」とは、項目A、項目A及び項目B、項目B、項目A、項目B、及び項目C、又は項目B及び項目Cを意味し得る。場合によっては、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」とは、例えば、限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、及び項目Cのうちの10、項目Bのうちの4つ、及び項目Cのうちの7つ、又はいくつかの他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、反対の記載がない限り、典型的には、指定された値の+/-10%、例えば、+/-5%を指す。
【0037】
明確にするために、別個の実施形態に関連して本明細書に記載されるある特定の特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される様々な特徴も、別個に、又は任意の下位組み合わせで提供され得る。
【0038】
本明細書全体を通して、本発明の様々な態様及び構成要素を範囲形式で提示することができる。範囲形式は便宜上含まれており、本発明の範囲を無闇に限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、具体的に示されない限り、その範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能な部分範囲も具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~5などの範囲の説明は、整数が必要な場合、又は文脈から暗示されない限り、具体的に開示された部分範囲、例えば1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、3~5、並びに列挙された範囲内の個々の及び部分的な数値、例えば、1、2、3、4、5、5.5、及び6を有するとみなされるべきである。これは、開示された範囲の広さに関係なく適用される。具体的な値が必要な場合は、これらは明細書に示される。
【0039】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の除外を意味しないと理解される。「~からなる」という語句は、列挙された要素を意味し、それ以外の要素を意味しない。
【0040】
「実質的に含まない」との言及は、一般に、存在する可能性のある任意の微量又は不純物を除き、ヒドロゲル、気体流又は大気中にその化合物又は成分が存在しないことを指し、例えば、これは、全ヒドロゲル、気体流又は大気中、約1%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の重量%の量であり得る。本明細書に記載されるヒドロゲル、気体流又は大気はまた、例えば、全組成物、気体流又は大気中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の重量%の量の不純物を含み得る。例えば、これは、全気体流又は大気中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の体積%の量であり得る。例えば、本明細書に記載される気体流又は大気はまた、例えば、全気体流中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の体積%の量の不純物を含み得る。そのような不純物の例は、0.0005体積%未満の量で存在する、空気中に存在し得るメタン(CH4)の量である。
【0041】
「アルキル」又は「アルキレン」という用語は、直鎖及び分岐アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。一例では、アルキル基は直鎖及び/又は分岐であり、1~3つの環状アルキル基によって任意に中断されている。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には1~30の炭素原子を含む。アルキル基は、例えば、1~20、1~15、1~12、1~10、又は1~8つの炭素原子を含有し得る。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、ヘキシル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1つ以上のヘテロ原子によって任意に置換及び/又は任意に中断され得る。アルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アルキル-」と称され得る。いくつかの実施形態では、アルキル基は、C1-20アルキル、C1-10アルキル、C1-6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル基から選択され得る。
【0042】
「アルカノール」という用語は、1つ以上のヒドロキシル基によって置換された、上記で定義されるアルキル基を指す。アルカノール基の例としては、1~10の炭素原子を有するアルカノール、例えば、メタノール、エタノール、C3-アルカノール、C4-アルカノール、C5-アルカノール、C6-アルカノール、C7-アルカノール、C8-アルカノール、C9-アルカノール、C10-アルカノールが挙げられるが、これらに限定されない。アルカノールは、本明細書に記載される式I、Ia、Ib又はIcによる構造であり得る。アルカノールは、上記で定義される1つ以上の基又は部分で任意に置換され得る。
【0043】
「エポキシド」という用語は、少なくとも1つの環状エーテル基、すなわち、エーテル酸素原子が2つの隣接する炭素原子に結合され、それによって環状構造を形成している基の存在を特徴とする化合物を指す。エポキシドは、上記で定義される1つ以上の基又は部分で任意に置換され得る。
【0044】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖及び分岐鎖の不飽和炭化水素基の両方を指す。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~20の炭素原子(すなわち、C2-20アルケニル)、2~10の炭素(すなわち、C2-10アルケニル)、又は2~6つの炭素(すなわち、C1-6アルケニル)を有するものである。
【0045】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖及び分岐鎖の不飽和炭化水素基の両方を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~20の炭素原子(すなわち、C2-20アルキニル)、2~10の炭素(すなわち、C2-10アルキニル)、又は2~6つの炭素(すなわち、C1-6アルキニル)を有するものである。
【0046】
「アルコキシ」という用語は、酸素が結合した、上記で定義されるアルキル基、例えば-O-アルキル基を指す。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、1~20の炭素(すなわち、C1-20アルコキシ)、1~10の炭素(すなわち、C1-10アルコキシ)、又は1~6つの炭素(すなわち、C1-6アルコキシ)を有するものである。
【0047】
「シクロアルキル」という用語は、約3~約30の炭素原子の単環式、二環式、又は三環式の炭素環式環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルを表す。シクロアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-シクロアルキル-」と称され得る。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~20の炭素原子(すなわち、C3-20シクロアルキル)、3~10の炭素(すなわち、C3-10シクロアルキル)、又は3~6つの炭素(すなわち、C3-6シクロアルキル)を有するものである。
【0048】
「炭素環式」及び「カルボシクリル」という用語は、単環式又は多環式の環系を表し、環原子は全て、例えば、約3~約20の炭素原子であり、芳香族、非芳香族、飽和、又は不飽和であり得、置換され得、かつ/又は縮合環を含み得る。そのような基の例としては、ベンゼンなどのアリール基、シクロペンチルなどの飽和基、又は完全に若しくは部分的に水素化されたフェニル、ナフチル、及びフルオレニルが挙げられる。多環式環系には、二環式及び三環式の環系が含まれることが理解されるであろう。
【0049】
「アリール」という用語は、単独で使用されるか、又はアリールアルキルなどの複合語で使用されるかにかかわらず、(i)フェニル、ナフチル、若しくはトリフェニルなどの約6~約20の炭素原子の任意に置換された単環式、二環式若しくは三環式の芳香族炭素環式部分、又は(ii)アリール基とシクロアルキル基又はシクロアルケニル基とが一緒に縮合してテトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル若しくはフルオレン環などの環状構造を形成する任意に置換された部分飽和二環式炭素環式芳香族環系を表す。アリール基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アリール-」と称され得る。いくつかの実施形態では、アリール基は、3~20の炭素原子(すなわち、C3-20アリール)、3~10の炭素(すなわち、C3-10アリール)、又は3~6つの炭素(すなわち、C3-6アリール)を有するものである。「アリールアルキル」という用語は、-R-アリール基を表し、式中、R基はアルキル基であり、アルキル基及びアリール基は各々上記で定義される。アリールアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アリールアルキル-」と称され得る。
【0050】
「ヘテロアルキル」という用語は、1つ以上のヘテロ原子を含み、例えば、アルキル基が1つ以上の(例えば、1~5つ又は1~3つの)ヘテロ原子で中断されている、上記で定義されるアルキル基を表す。ヘテロ原子は、O、N、S、又はSiを含み得ることが理解されるであろう。一例では、ヘテロ原子はOである。ヘテロアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-ヘテロアルキル-」と称され得る。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、1~20の炭素原子(すなわち、C1-20ヘテロアルキル)、1~10の炭素(すなわち、C1-10ヘテロアルキル)、又は1~6つの炭素(すなわち、C1-6ヘテロアルキル)を有するものである。「ヘテロアリールアルキル」という用語は、-R-アリール基を表し、式中、R基はアルキル基であり、アルキル及びアリール基は各々上記で定義され、1つ以上のヘテロ原子によって中断されており、本明細書に記載されるように任意に置換されている。ヘテロアリールアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-ヘテロアリールアルキル-」と称され得る。
【0051】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」、又は「複素環」は、単環式又は多環式の環系を表し、環原子は、少なくとも2つの異なる元素、典型的には、炭素と、窒素、硫黄、及び酸素のうちの1個以上との組み合わせによって提供されるが、セレン、ホウ素、リン、ビスマス、及びケイ素などの環原子の他の元素を含み得、環系は、約3~約20の原子であり、「ヘテロアリール」基などの芳香族、非芳香族、飽和、又は不飽和であり得、置換され得、かつ/又は縮合環を含み得る。例えば、ヘテロシクリルは、(i)例えば、約3~約20の環員であって、窒素、酸素、若しくは硫黄などの1つ以上のヘテロ原子を含有し得る、任意に置換されたシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基(例としては、ピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、若しくは完全に若しくは部分的に水素化されたチエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジニル、チアジニル、ピリジル及びアゼピニルが挙げられる)、(ii)アリール(若しくはヘテロアリール)環と複素環基とが一緒に縮合して環状構造を形成している、任意に置換された部分飽和の単環式若しくは多環式の環系(例としては、クロマニル、ジヒドロベンゾフリル及びインドリニルが挙げられる)、又は(iii)1つ以上の架橋を有する、任意に置換された完全に若しくは部分的に飽和した多環式縮合環系(例としては、キヌクリジニル、ジヒドロ-1,4-エピノキシナフチルが挙げられる)であり得る。多環式環系には、二環式及び三環式の環系が含まれることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3~20の炭素原子(すなわち、C3-20ヘテロシクリル)、3~10の炭素(すなわち、C3-10ヘテロシクリル)、又は3~6つの炭素(すなわち、C3-6ヘテロシクリル)を有するものである。単環式非芳香族ヘテロシクリル基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びアゼパニルが挙げられる。環のうちの1つが非芳香族である二環式ヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、及びベンゾアゼパニルが挙げられる。単環式芳香族ヘテロシクリル基(単環式ヘテロアリール基とも称される)の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、及びピリミジニルが挙げられる。二環式芳香族ヘテロシクリル基(二環式ヘテロアリール基とも称される)の例としては、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5-b]ピリジル、ピリドピリミジニル、イソキノリニル、及びベンゾヒドロキサゾールが挙げられる。
【0052】
「ヘタリール」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」基という用語は、N、O、S、Se、Si又はPなどの1つ以上のヘテロ原子を含有する芳香族基又は環である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ芳香族」は、「ヘタリール」又は「ヘテロアリール」と互換的に使用され、ヘテロアリール基は、1つ以上のヘテロ原子を含有する一価の芳香族基、二価の芳香族基、及び高次の多価の芳香族基を指す。例えば、「ヘテロアリール」は、単独で使用されるか、又はアルキルヘテロアリールなどの複合語で使用されるかにかかわらず、(i)例えば、約5~約20の環員のうちの1つ以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素、硫黄又はケイ素である、任意に置換された単環式又は多環式の芳香族有機部分;炭素環式環構造を中断し、芳香族特性を提供するのに十分な数の脱局在化π電子を有し、ただし、環は隣接する酸素及び/又は硫黄原子を含有しない。ヘテロ原子を表す。典型的な6員ヘテロアリール基は、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル及びピリミジニルである。全ての位置異性体、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル及び4-ピリジルが企図される。典型的な5員ヘテロアリール環は、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びシロールである。全ての位置異性体、例えば、2-チエニル及び3-チエニルが企図される。二環式基は、典型的には、上で挙げたヘテロアリール基から誘導されるベンゾ縮合環系、例えば、ベンゾフリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、インドリル、インドリジニル、イソキノリル、キナゾリニル、キノリル及びベンゾチエニル、又は(ii)ヘテロアリール基とシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基とが一緒に縮合してテトラヒドロキノリル環若しくはピリンジニル環などの環状構造を形成する、任意に置換された部分飽和多環式ヘテロアリール環系である。多環式環系には、二環式及び三環式の環系が含まれることを理解されるであろう。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で使用されるか、又はハロアルキルなどの複合語で使用されるかにかかわらず、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「アルキル」及び「ハロゲン」という用語は、上記で概説した意味を有すると理解される。同様に、「モノハロアルキル」という用語は、単一のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「ジハロアルキル」という用語は、2つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「トリハロアルキル」という用語は、3つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。モノハロアルキル基の例としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、フルオロプロピル基及びフルオロブチル基が挙げられ、ジハロアルキル基の例としては、ジフルオロメチル基及びジフルオロエチル基が挙げられ、トリハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基及びトリフルオロエチル基が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシル」という用語は、-OH部分を表す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「カルボキシル」又は「カルボキシ」という用語は、C=O部分を表す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「カルボン酸」という用語は、-CO2H部分を表す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NO2部分を表す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「アルカノールアミン」という用語は、アルカン骨格上にヒドロキシル(-OH)及びアミノ(例えば、一級NH2、二級-NHR及び/又は-三級-NR2)官能基の両方を含有する化合物を表す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「ポリアミン」という用語は、2つ以上のアミン(例えば、一級(1°)アミン-NH2、二級(1°)アミン-NHR、及び/又は三級(1°)アミン-NR2アミン)官能基を有する化合物を表す。
【0061】
「ポリアルキレンイミン」という用語は、1つ以上のH原子がアミノ(例えば、一級(1°)アミン-NH2、二級(1°)アミン-NHR及び/又は三級(1°)アミン-NR2)官能基で置換され、そのコポリマー又は誘導体を含む、アルキレン骨格を含む化合物を表す。
【0062】
「アクリルアミド」という用語は、化学式CH2=CHCNH2の化合物を表し、その誘導体、例えばメタクリルアミドを含む。
【0063】
「アクリル酸」という用語は、式CH2=CHCOOHを有する化合物を表し、その誘導体、例えばメタクリル酸を含む。
【0064】
「アクリレート」という用語は、アクリル酸の塩、エステル、又は共役塩基を表す。アクリレートイオンは、アニオンCH2=CHCOO-である。例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸カリウム及びアクリル酸ナトリウム、並びにメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0065】
「ポリアクリレート」という用語は、2つ以上のアクリレートモノマーを含むポリマーを表し、そのコポリマー又は誘導体、例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を含む。
【0066】
「グリコール」という用語は、2つ以上のヒドロキシル(-OH)基を含む化合物のクラスを表し、ヒドロキシル基は異なる炭素原子に結合している。
【0067】
「ポリオール」という用語は、2つ以上のヒドロキシル(-OH)基を含有する化合物を表す。
【0068】
「ピペリジン」という用語は、式(CH2)5NHを有する化合物を表す。
【0069】
「任意に置換された」という用語は、官能基が任意の利用可能な位置で置換又は非置換のいずれかであることを意味する。「置換された」又は「官能化された」という用語は、炭素又は好適なヘテロ原子から1つ以上の水素又は他の原子が除去され、更なる基(すなわち、置換基)で置き換えられた基を指す。例えば、アミン基の水素は、アミン基の窒素から除去され、例えば、任意に置換されたアルカノールを含む更なる基で置き換えられる。「非置換」という用語は、任意の更なる基が結合していないか、又はそれゆえに置換されていない基を指す。
【0070】
「任意に中断された」という用語は、アルキル鎖などの鎖が、例えば、ヘテロアルキル基を提供するために、鎖内の任意の位置で、アミン、エポキシド、カルボキシル、カルボン酸、及び/又はN、S、Si、又はOなどの1つ以上のヘテロ原子などの1つ以上(例えば、1~3つ)の官能基によって中断され得ることを意味する。一例では、「任意に中断された」とは、アルキル鎖などの鎖が、N、S、又はOなどの1つ以上(例えば、1~3つ)のヘテロ原子によって中断されることを意味する。
【0071】
「官能性エポキシド」という用語は、アミンエポキシドの添加を介してアミン基と反応して、任意に置換されたアルカノール基で置換されたアミン基を形成することができるエポキシド部分(例えば、1,2-エポキシブタン)を含む化合物を指す。官能性エポキシドは、本明細書に記載される式II、IIa、又はIIbによる構造であり得る。官能性エポキシドは、上記で定義される1つ以上の基又は部分で任意に置換され得る。アルカノール部分は、アミン-エポキシド付加の反応生成物であることが理解されるであろう。
【0072】
ヒドロゲル
「ヒドロゲル」という用語は、個々の親水性ポリマー鎖の化学的又は物理的架橋に起因する構造を維持しながら、膨潤して大量の水及び他の液体を保持することができる架橋親水性ポリマーの3次元(3D)ネットワークを指す。ヒドロゲルは、架橋親水性ポリマー、例えば、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。吸収された水/液体は、絞ることによって流体を除去することができる細孔に含まれるのではなく、水素結合によりヒドロゲルの架橋された親水性高分子マトリックスに取り込まれる。ゼオライト又は金属有機構造体(MOF)などの他のより複雑な無機足場及び担体とは異なり、溶媒を除去した後、ヒドロゲルは測定可能な乾燥状態多孔性を保持しない。したがって、ヒドロゲルは大量の液体を吸収することができるが、架橋親水性ポリマーマトリックス自体は、液体(例えば、水)で膨潤したときに柔らかく弾性であるが、液体が除去されるとヒドロゲルは崩壊し、多孔質ネットワーク構造を保持しない3次元「固体」と考えられる。
【0073】
ヒドロゲルは、その質量に対して大量の液体膨潤剤(水又は非水性溶媒など)を吸収し、保持することが可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、流体中で自重の最大300倍、例えば、流体中で自重の少なくとも2倍を吸収することができる。ヒドロゲル内の表面積は、ヒドロゲルの膨潤の程度に応じて増加し得る。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの親水性ポリマーネットワークを、親水性ポリマー上及び/又は液体膨潤剤上の反応性官能基への酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)のアクセス性を増加させ得る液体充填孔を有する、より開放的な可動構造に膨潤させる液体膨潤剤(水又はアルカノールアミンなど)を含み得る。架橋剤の分布と同様に、液体膨潤剤(例えば、水)は、存在する場合、膨潤したヒドロゲル全体にも分布し、架橋された親水性高分子マトリックス内に水素結合により保持されることが理解されるであろう。これは、液体吸着剤が担体の細孔内に別個のリザーバとして含まれている従来の多孔質担体(例えば、多孔質シリカ)とは異なり、又はそれらは、特に高い再生温度で容易に浸出することができる表面との相互作用が限られている。
【0074】
ヒドロゲルはまた、膨潤能(最大膨潤能と称されることがある)を有し、これは本質的にポリマーの膨潤限界を定義する。ヒドロゲルは、標準重量分析を使用して測定した場合、ヒドロゲル1グラム当たり約20グラムの液体(g/g)~約200(g/g)の膨潤能(すなわち、吸収することができる)を有し得る。これを判定するための典型的な方法は、既知の重量の乾燥ヒドロゲルを採取し、指定された期間(典型的には48時間)、過剰な液体中で膨潤させることによってである。その後、過剰な液体を濾過によって除去し、ヒドロゲル重量を記録して膨潤率を判定する。例として、ヒドロゲルの膨潤能を判定するために、乾燥ヒドロゲルの既知の質量(g)を室温で48時間液体膨潤剤(水など)に分散させ、その後、吸収されなかった遊離液体を全て除去し、膨潤したヒドロゲルを計量する。ヒドロゲルの乾燥状態と膨潤状態との間の質量差は、吸収された液体の量に対応し、次いで、ヒドロゲル1グラム当たりの液体グラム数(g/g)として計算される。
【0075】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gの膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、又は1g/g未満の膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約100g/g、例えば、約20g/g~約100g/gの膨潤能を有し得る。
【0076】
ヒドロゲルの膨潤能は、液体膨潤剤に応じて変えることもできる。例えば、ヒドロゲルは、液体膨潤剤としてのグリセロールと比較して、液体膨潤剤としての水とは異なる膨潤能を有し得る。例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約200g/g、例えば、約20g/g~約200g/gの水の膨潤能を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gの水の膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、又は1g/g未満の水の膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約100g/gの水、例えば、約20g/g~約100g/gの水の膨潤能を有し得る。
【0077】
別の例では、ヒドロゲルは、約1g/g~約200g/g、例えば、約20g/g~約200g/gのグリセロールの膨潤能を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gグリセロールの膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、又は1g/g未満のグリセロールの膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約100g/gのグリセロール、例えば、約20g/g~約100g/gのグリセロールの膨潤能を有し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、液体膨潤剤でヒドロゲル膨潤能の約60%~約99%まで膨潤する。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%まで膨潤し得る。ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の約99、98、95、90、80、70、又は60%未満まで膨潤し得る。様々な範囲を形成するこれらの%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の約70%~約98%、例えば、ヒドロゲル膨潤能の約80%~約95%まで膨潤し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、液体膨潤剤で、液体膨潤剤に対するポリアミン又はそのコポリマーの少なくとも約1:1、1:2、1:5、1:10、1:15、又は1:20の質量比で膨潤される。
【0080】
ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.5重量%~約99重量%の液体膨潤剤を膨潤し、保持することが可能であり得る。液体膨潤剤は、ヒドロゲル内の架橋ポリアミン又はそのコポリマーネットワークに強く若しくは弱く結合し得るか、又は非結合であり得る。ヒドロゲル中の液体膨潤剤の量は、ヒドロゲルの膨潤又は脱水の程度に応じて変化し得る。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、0.5重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%の液体膨潤剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満の液体膨潤剤を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約30重量%~約99重量%の液体膨潤剤、例えば、約40重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は99重量%の液体膨潤剤を含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、又は55重量%未満の液体膨潤剤を含む。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約85重量%~約98重量%の液体膨潤剤を含む。好適な液体膨潤剤が本明細書に記載される。
【0082】
代替的に、ヒドロゲルは、吸収された液体膨潤剤の一部が除去又は蒸発される乾燥した又は脱水した状態にあり得る。乾燥ヒドロゲル(脱水ヒドロゲルとしても知られる)は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01%~約20%の液体膨潤剤、例えば、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の液体膨潤剤を含み得る。
【0083】
ヒドロゲルは、約0.1~50m2/g、約25m2/g、又は2~10m2/gの表面積を有し得る。表面積(m2/g単位)は、少なくとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又は45であり得る。表面積(m2/g単位)は、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満であり得る。表面積は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲内であり得る。表面積は、湿った状態又は乾燥した状態でヒドロゲルに提供され得る。表面積は、粒径に依存することが理解されるであろう。表面積は、顕微鏡による窒素又は粒径分析によるガス吸着を使用して測定することができる。
【0084】
液体膨潤剤は、水、非水性溶媒、又はそれらの組み合わせであり得る。非水性溶媒は、極性溶媒であり得る。液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)、例えば、アミンに結合することができる1つ以上の官能基を含み得る。代替的に、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2若しくはH2S)の溶解を助けることができる基、及び/又は結合した酸性ガス、例えば、ヒドロキシル基の安定化/溶媒和においてポリマーマトリックスを補助することができる基を含む。
【0085】
液体膨潤剤は、沸点を有する。沸点は、少なくとも約100℃であり得る。例えば、液体膨潤剤は、少なくとも約100、120、140、160、200、220、240、260、280、又は300℃の沸点を有し得る。液体膨潤剤は、約300、280、260、240、220、200、160、140、120、又は100℃未満の沸点を有し得る。様々な範囲を提供するこれらの沸点の組み合わせも可能であり、例えば、液体膨潤剤は、約100℃~約300℃の沸点を有する。液体膨潤剤の沸点は、液体膨潤剤に応じて変化し得、例えば、水は、約100℃の沸点を有し、グリセロールは、約290℃の沸点を有し、モノエチレングリコール(MEG)は、約198℃の沸点を有する。本明細書に記載される少なくとも一部の実施形態又は実施例によれば、高沸点溶媒は、液体膨潤剤として溶解したものを含むヒドロゲルを再生(例えば、蒸気で加熱)して、回収された酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を除去した際に、溶媒の蒸発損失が低くなる可能性があり、その結果、溶媒が蒸発する前に酸性ガスが選択的に除去される。
【0086】
液体膨潤剤は、例えば、液体膨潤剤中に存在する1つ以上の官能基を介して酸性ガスに結合することによって、化学プロセスによって酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することができる。化学プロセスによって酸性ガスを吸収することができる好適な液体としては、本明細書に記載されるように、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン、ピペリジン及びその誘導体、ピペラジン及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
液体膨潤剤は、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせからなる群から選択され得る。好適なアルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールを含み得る。好適なアルキルアミンは、エチレンアミン、例えばテトラエチルペンタミン(TEPA)を含み得る。好適なグリコールは、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG200)、及びジグリムを含み得る。好適なアルコールは、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールを含み得る。好適なポリオール化合物は、グリセロールを含み得る。好適なピペリジンは、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールを含む。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールからなる群から選択され得る。
【0089】
物理的プロセスによって酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することができる好適な液体(例えば、酸性ガスに化学的に結合しないが、それを溶解させることができる)としては、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(Selexol)、N-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、メタノール、スルホラン、イミダゾール、イオン性液体、一級アミン、二級アミン、三級アミン、立体障害アミン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
一実施形態では、液体膨潤剤は、水、グリセロール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ピペリジンエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)若しくはモノエチレングリコール(MEG)、又はそれらの組み合わせである。
【0091】
いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、気体流又は大気と接触したときに酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することができる。酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することができる好適な液体膨潤剤は、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、化学的又は物理的プロセスによって酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収し得る。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に結合することができる官能基を含む。例えば、液体膨潤剤は、一級アミン(-NH2)又は二級アミン基(-NH-)などの1つ以上のアミン基を含み得る。そのようなアミン基は、H2S及びCO2親和性であり、容易に反応し、H2S及びCO2と結合する。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、アルカノールアミンなどの1つ以上のアミン基アミンを含む。別の例では、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2若しくはH2S)、例えば、本明細書に記載されるグリコール、ポリオール又はジメチルエーテルを物理的に溶解することができる2つ以上の(-OH)基を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%の水を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満の水を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%の水を含み得る。水は、ある程度の塩分濃度を有し得、例えば、ブライン又は塩水であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のグリセロールを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のグリセロールを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のグリセロールを含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のアルカノールアミンを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のアルカノールアミンを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のアルカノールアミンを含み得る。好適なアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン(DEA)が本明細書に記載される。
【0096】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のグリコールを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のグリコールを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のグリコールを含み得る。好適なグリコールが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70%、80、90、又は99重量%のポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のピペリジンを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のピペリジンを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のピペリジンを含み得る。好適なピペリジンが本明細書に記載される。
【0098】
液体膨潤剤は、アミノ酸又はその塩を更に含み得る。アミノ酸又はその塩は、水性又は非水性アミノ酸又はその塩であり得る。液体膨潤剤中にアミノ酸又はその塩を組み込むことにより、酸性ガス吸収を改善することができる。アミノ官能基の存在に起因して、CO2は、アミノ酸塩と結合することができ、したがって、CO2吸収を増加させる。アミノ酸又はその塩は、任意の好適なアミノ酸、その塩又は誘導体、例えば、グリシン、プロリン、サルコシン又はその塩を含み得る。アミノ酸塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウム及びナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩、有機塩、例えば四級有機アンモニウム塩(例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム)、ピロリジニウム又はピペリジニウムを含む任意の好適な塩を含み得る。アミノ酸塩は、グリシン酸カリウム、サルコシン酸カリウム、プロリンカリウム、又はグリシン酸イソプロピルであり得る。一実施形態では、アミノ酸塩は、サルコシン酸カリウムである。
【0099】
液体膨潤剤は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、又は40%w/vのアミノ酸塩を含み得る。液体膨潤剤は、40、30、25、20、15、10、5、2、又は1%w/v未満のアミノ酸塩を含み得る。これらの値の組み合わせ、例えば、約5%~約30%w/vのアミノ酸塩も可能である。
【0100】
ヒドロゲルは、キレータ(すなわち、キレート化剤)を更に含み得る。キレータは、ポリアミン又はそのコポリマー中に不純物として存在し得る任意の残留金属にキレート化することによって、ヒドロゲルの安定性を改善することができる。キレータは、リン酸塩、例えば、リン酸カリウム又はリン酸ナトリウムであり得る。一実施形態では、キレータは、リン酸ナトリウムである。他の好適なキレータとしては、EDTA、デフェロキサミンメシル酸塩、ピコリン酸クロム、ピコリン酸亜鉛及びペンテト酸が挙げられる。キレータはまた、1つ以上の有機カチオン塩、例えば、四級有機アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム)、ピロリジニウム又はピペリジニウムを含み得、いくつかの実施形態では、これらは、そのキレート化性能を改善するためにポリマーマトリックス中の溶解度及び分散度を改善することができる。
【0101】
ヒドロゲルの吸収能は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの一部として、及び/又は液体膨潤剤の一部として、又はヒドロゲルに吸収される別個の水溶液として、吸湿性塩をヒドロゲルに組み込むことによって強化され得る。吸湿性塩は、塩化リチウム、臭化リチウム若しくは塩化ナトリウムなどの一価の塩、又は塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどの二価の塩であり得る。吸湿性塩は、その飽和度まで任意の量で架橋ポリマーネットワーク内に存在し得る。
【0102】
ヒドロゲルが非水性溶媒液体膨潤剤を含む場合、ヒドロゲルは、分散媒体として非水性溶媒を使用して調製され得る(例えば、ポリアミン又はそのコポリマーが非水性液体膨潤剤に分散され、その中で架橋してヒドロゲルを形成する)。代替的に、ヒドロゲルを分散媒体として水又はアルコールを使用して調製し、その後、乾燥/脱水して、吸収された水を除去し、次いで非水性溶媒をヒドロゲルに添加し、その中に吸収することができる。例えば、乾燥したヒドロゲルを非水性溶媒に浸し、一定の期間放置して、非水性溶媒を注入/吸収することができる。
【0103】
ヒドロゲルは、弾性係数によって特徴付けられ得る。例えば、ヒドロゲルは、約0.1Pa~約12,000Paの弾性係数を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、少なくとも約0.1、10、30、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、8,000、10,000、又は12,000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約12,000、10,000、8,000、5,000、2,000、1,000、500、200、100、50、30、10、又は0.1Pa未満であり得る。様々な範囲を形成するこれらの弾性係数値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルの弾性係数は、約100Pa~約5,000Paであり得る。ヒドロゲルは、約2,000~約5,000の弾性係数を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、少なくとも約0.1、10、30、50、又は100Paであり得る。様々な実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約12,000、10,000、8000、又は6000Pa未満であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約0.2Pa~約12000Pa、約0.2Pa~約10000Pa、約0.2Pa~約5000Pa、約1Pa~約12000Pa、又は約1Pa~約10,000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約10Pa~約12000Pa、約10Pa~約10,000Pa、又は約100Pa~約10,000Paであり得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約0.1Pa~約10,000Pa、約0.1Pa~約5000Pa、約0.1Pa~約1000Pa、約1Pa~約12,000Pa、約1Pa~約10,000Pa、約100Pa~約12,000Pa、約500Pa~約12000Pa、又は約1000Pa~約12,000Paであり得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約1Pa~約5000Pa、約10Pa~約5000Pa、又は約100Pa~約5000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約9,000、5,000、又は4000Pa未満である。
【0104】
弾性係数は、レオメータ、例えば、HR-3 Discovery Hybrid Rheometer(TA Instruments社製)を使用することを含む、いくつかの好適な技術によって判定され得る。レオメータを使用して、剪断応力又は剪断歪みを制御し、かつ/又は引張応力又は引張歪みを適用し、それによって、その弾性率を含むヒドロゲルの機械的特性を判定することができる。
【0105】
ヒドロゲルは、幅広い形態で提供され得る。好適な形態の例示的な例としては、粒子、ビーズ、シート/層、キャストブロック、シリンダ、ディスク、多孔質膜、及びモノリスが挙げられ得る。例えば、ヒドロゲルは、フィルム/コーティング層、例えば、気体流が層の上に又は層を通って流れるゲル層として提供され得る。そのような層は、圧延されたシートとして提供され得る。代替的に、ヒドロゲル層は、複数の多孔質チャネルを含むモノリスとして提供され得、そこを気体流が通って流れる。他の層又はコーティングの形態及び幾何学形状もまた、適用可能である。
【0106】
一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の粒子を含み得る。「粒子」(「粒状物質」とも称される)という用語は、離散的な固体単位の形態を指す。この単位は、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉末、球、粉砕材料など、並びにそれらの組み合わせの形態をとり得る。粒子は、立方体、ロッド状、多面体、球形又は半球形、丸みを帯びた又は半丸みを帯びた、角状、不規則形などを含むがこれらに限定されない任意の所望の形状を有し得る。粒子形態は、光学顕微鏡などの任意の好適な手段によって判定され得る。一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の球形又は実質的に球形のビーズを含み得る。
【0107】
ヒドロゲル粒子は、任意の好適なサイズ及び/又は形状及び/又は形態であり得る。一実施形態では、ヒドロゲル粒子は、平均粒径を有し得る。球状ヒドロゲル粒子の場合、粒径は、粒子の直径である。非球状ヒドロゲル粒子の場合、粒径は、粒子の最長断面寸法である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約10μm~約2000μm、例えば、約10μm~約1000μmの範囲の平均粒径を有し得る。ヒドロゲル粒子は、少なくとも約10、20、50、100、200、300、400、500、700、1000、1500、又は2000μmの平均粒径を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約2000、1500、1000、700、500、400、300、200、100、50、20、又は10μm未満の平均粒径を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの粒径値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲル粒子は、約10μm~約500μm、約100μm~約400μm、例えば、約200μm~約300μmの平均粒径を有し得る。平均粒径は、電子顕微鏡法、動的光散乱法、光学顕微鏡法、又はサイズ排除法(段階状のふるいなど)など、当業者に既知の任意の手段によって判定され得る。ヒドロゲル粒子は、制御された平均粒径を有し得、例えば、気体流及び/又は湿った又は乾燥した環境と接触している間、異なる環境及び剪断条件の範囲でその形態を維持することができる。
【0108】
一実施形態では、ヒドロゲルは、自立型(self-supporting)であり得る。本明細書で使用される「自立型」という用語は、担体材料(例えば、多孔質シリカ足場)の不在下でその形態を維持するヒドロゲルの能力を指す。例えば、ヒドロゲルは、複数の粒子を含み得、粒子は、骨格足場の不在下でその形態を維持する。ヒドロゲルの自立型の性質は、ある特定の利点を提供し得、例えば、流動床反応器を使用してヒドロゲルの粒子が気体流と接触することを可能にする。したがって、一実施形態では、ヒドロゲルは、別個の担体構造、例えば別個の多孔質担体構造を含まない。これは、ヒドロゲル自体が本質的に多孔質であることを妨げるものではない。したがって、ヒドロゲルが「自立型」である場合、酸性ガス吸収剤として機能するために、ヒドロゲルに外因性の担体材料(例えば、足場)の必要性はないことが理解されるであろう。
【0109】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、カラム内の層として提供され得、気体流又は大気は、カラムを通って流れ、ヒドロゲル層を通過する。この層は、任意の特定のヒドロゲル形態に限定されない。一例では、好適なカラムを複数のヒドロゲル粒子で充填して、隣接する粒子間に十分な間質空間を有する充填床を形成し、そこを通るガスの流れを可能にし得る。代替的に、ヒドロゲルは、気体流とともに流れて提供され得る(例えば、流動床反応器)。
【0110】
いくつかの実施形態又は実施例では、ヒドロゲルは、基材上のコーティング組成物として提供され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、基材は、平面状、例えば平面シートであり得る。特定の例では、基材は、可撓性シートであり得る。平面基材は、ヒドロゲルコーティング組成物を適用することができる両側要素を提供する。各基材は、対向する2つ面にヒドロゲルコーティング組成物がコーティングされ得る。平面基材は、任意の構成を有し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、平面基材は、平坦な固体表面を含み得る。他の実施形態又は実施例では、平面基材は、基材を通り、その周囲を流れるガスの流れを補助するように設計された1つ以上の開口部を含み得る。特定の実施形態又は実施例では、基材は、メッシュ、例えば、マイクロワイヤメッシュを含み得る。メッシュの使用は、多数の開口部(例えば、マイクロサイズの開口部)を提供し、それによって、ヒドロゲルコーティング組成物を適用することができる高い表面積を提供する一方で、他の構成、例えば、充填された床と比較して(メッシュのサイズ及び構成に対して)基材を横切る適度に低い圧力降下を有する好適な流路も提供する。ヒドロゲルは、その後、複数の粒子に粉砕/粉末化され得る。
【0111】
ポリアミン又はそのコポリマー
ポリアミン又はそのコポリマーは、ヒドロゲルに好適な機械的及び化学的特性を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、気体流及び/又は乾燥した環境又は湿った/湿潤環境と接触したときなど、様々な剪断及び応力環境に耐えることができる必要があり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルはまた、例えば、熱再生を受けるときに、広い温度範囲に耐える必要があり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルはまた、それが粒状物質の流れとして様々なガスフローラインに導入され得るように、又は粒状物質が、隣接する粒子間に十分な間質空間を有する充填された床に提供されて、そこを通るガスの流れ(例えば、周囲空気)を可能にするように、物理的に堅牢である必要があり得る。いくつかの実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーはまた化学的に不活性である。したがって、これらの特性のうちの1つ以上は、ポリアミン又はそのコポリマーの適切な選択によって提供され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.05重量%~約50重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、又は0.01重量%未満のポリアミン又はそのコポリマーを含む。様々な範囲を形成するこれらのポリアミン又はそのコポリマー濃度の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01重量%~約50重量%、約0.05重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約0.05重量%~約25重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約30重量%~約50重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含む。
【0113】
一実施形態では、ヒドロゲルは、乾燥又は脱水ヒドロゲルであり得る。本実施形態では、乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、約100g/モル~約500,000g/モル、例えば、約1,000g/モル~約2,500,000g/モルの範囲の重量平均分子量(MW)を有する。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、少なくとも約1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、150,000、200,000、250,000、又は500,000g/モルの重量平均分子量(MW)を有する。他の実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、約500,000、250,000、200,000、150,000、100,000、50,000、10,000、5,000、又は1,000g/モル未満の重量平均分子量(MW)を有する。様々な範囲を形成するこれらの分子量の組み合わせも可能であり、例えば、ポリアミン又はそのコポリマーは、約1,000~約250,000g/モル、約5,000~約50,000g/モル、又は10,000~約30,000g/モルの重量平均分子量(MW)を有する。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、約25,000g/モルの重量平均分子量(MW)を有する。これらの重量平均分子量は、架橋前にポリアミン又はそのコポリマーに提供されることが理解されるであろう。ポリアミン又はそのコポリマーの重量平均分子量は、ヒドロゲルを調製するために使用される種類に応じて変化し得ることが理解されるであろう。一実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーを含み得る。重量平均分子量は、当業者に既知の様々な好適な技術、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び光散乱を使用して判定することができる。一実施形態では、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって判定される。
【0115】
一実施形態では、Mwは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、ポリアミン又はそのコポリマーの溶液を、分子サイズ(すなわち、分子量と相関し得る流体力学的体積)に基づいてポリアミン又はそのコポリマーを分離するゲルを含む好適なカラムに通すことにより判定され、より大きいサイズの分子(より大きいMw)最初に溶出し、続いてより小さいサイズの分子(より小さいMw)が溶出する。これは、好適な有機溶媒中又は水性媒体中で行うことができる。Mwは、典型的には、一連の既知のポリマー標準に対して、又はモル質量感受性検出器を使用して判定される。ポリアミン又はそのコポリマーの分子量を判定するための好適なプロトコルは、参照により本明細書に組み込まれる「Size-exclusion Chromatography of Polymers」Encyclopaedia of Analytical Chemistry,2000,pp8008-8034に概説される。
【0116】
酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)は、ヒドロゲルに吸収されることによって気体流から除去され得る。例えば、酸性ガスは、化学的又は物理的プロセスによってヒドロゲルに吸収され得る。いくつかの実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、酸性ガスに結合することができる官能性アミン基を含む。例えば、その多孔質性のために、ヒドロゲルと接触すると、酸性ガスを含む気体流又は大気は、ヒドロゲル内の間質孔を通過することができ、酸性ガスは、ポリアミン又はそのコポリマー上の官能基に反応して結合することができる。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、酸性ガスに結合することができる1つ以上の官能基を含み得る。例えば、ポリアミン又はそのコポリマーは、一級アミン基(-NH2)又は二級アミン基(-NH-)などの1つ以上のアミン基を含み得る。そのようなアミン基は、CO2-及びH2S親和性であり、容易に反応し、CO2及びH2Sと結合する。
【0117】
ヒドロゲルは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。当該技術分野で理解されるように、ポリアミンは、2つ以上のアミン基(例えば、一級-NH2、二級-NHR、及び/又は三級-NR2アミン基)を有する有機化合物である。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、その直鎖状、分岐状又は樹枝状ポリアミン、誘導体又はコポリマーを含み得る。直鎖ポリアミンは、一級アミン、二級アミンのみ、又は一級アミンと二級アミンとの両方を含有するように定義される。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な直鎖ポリアミンの構造を式1として以下に提供する。
【化1】
式中、nは、1~10,000であり得る。他の例では、nは、少なくとも1、10、100、200、500、又は1000であり得る。他の例では、nは、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、200、又は100未満であり得る。他の例では、nは、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つ、例えば、1~1000、10~5,000、又は100~2000によって提供される範囲であり得る。
【0119】
式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、約0.1~100であり得る。式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、少なくとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95であり得る。式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0.5未満であり得る。比は、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つによって提供される範囲であり得る。
【0120】
分岐ポリアミンは、任意の数の一級(-NH
2)、二級(-NH-)及び三級アミン
【化2】
を含有するものとして定義される。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な分岐ポリアミンの構造は、次のように式2として以下に提供される。
【化3】
式中、nは、1~10,000であり得る。他の例では、nは、少なくとも1、10、100、200、500、又は1000であり得る。他の例では、nは、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、200、又は100未満であり得る。他の例では、nは、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つ、例えば、1~1000、10~5,000、又は100~2000によって提供される範囲であり得る。
【0121】
分岐ポリアミンにおける一級アミンと二級アミンと三級アミンとの比は、約10:80:10~60:10:30、約60:30:10~30:50:20、又は約45:45:10~35:45:20であり得る。当業者であれば、分岐ポリアミンの構造が、存在する三級アミン基の数に応じて大きく変化し得ることを理解するであろう。
【0122】
樹枝状ポリアミンは、一級(-NH
2)及び三級アミン
【化4】
のみを含有するように定義され、繰り返し単位の群は、ポリアミンの中心(コア)を通って少なくとも1つの平面内で必然的に対称であるように配置され、各ポリマー分岐は一級アミンによって終端され、各分岐点は三級アミンである。樹枝状ポリアミンにおける一級アミン基と三級アミン基との比は、約1~3であり得る。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な樹枝状ポリアミンの構造は、次のように式3として以下に提供される:
【化5】
【0123】
ポリアミン又はそのコポリマーは、超分岐ポリアミン、その誘導体又はコポリマーを含み得る。超分岐ポリアミンは、樹枝状ポリアミンに似た構造を有するが、二級アミン(-NH-)の形態の欠陥(例えば、分岐ポリアミンに存在するであろう直鎖サブセクション)を含有する構造を有し、対称的な樹枝状構造の代わりにランダムな構造を提供するような形で定義される。超分岐構造では、一級アミンと二級アミンと三級アミンとの比は、約65:5:30~30:10:60であり得る。
【0124】
一実施形態では、ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約10モル%~70モル%の一級アミン(-NH
2)基、例えば、少なくとも約10、20、30、40、50モル%の一級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約10モル%~70モル%の二級アミン(-NH-)基、例えば、少なくとも約10、20、30、40、50モル%の二級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約1モル%~約10モル%の三級アミン
【化6】
基、例えば、少なくとも約1、2、5モル%の三級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーにおける一級アミン基と二級アミン基と三級アミン基との比は、約10:80:10~60:10:30、約60:30:10~30:50:20、又は約45:45:10~35:45:20であり得る。一実施形態では、ポリアミンは、少なくとも1つ以上の脂肪族アミン基(例えば、芳香族環基がアミンの窒素原子に直接結合していないアミン)を含み得る。
【0125】
一実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、分岐ポリアミン、その誘導体又はコポリマーを含む。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、本明細書に記載される1つ以上の架橋剤によって架橋され得る。
【0126】
一実施形態では、ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、ポリアルキレンイミンである。ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、それらの誘導体又はコポリマーからなる群から選択され得る。ヒドロゲルを形成するために使用され得る好適なポリアミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミンが挙げられ得る。一実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、ポリエチレンイミン又はそのコポリマーを含む。架橋ポリアミン(ポリエチレンイミンなど)を含むヒドロゲルを使用することによって、ヒドロゲルは、酸性ガスを含む気体流又は大気と接触すると、反応して酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に結合することができる複数の一級及び二級アミン官能基を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、架橋ポリアミンは、本明細書に記載される1つ以上の液体膨潤剤、例えば、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせで膨潤される。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る好適なピペリジンとしては、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールが挙げられる。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、又はそれらのコポリマーからなる群から選択される架橋ポリアルキレンイミンを含み、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノノール、及び4-ピペリジンエタノール、又はそれらの混合物からなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤する。
【0129】
アルカノール置換
本明細書で定義される架橋ポリアミン又はコポリマーは、任意に置換されたアルカノール基で置換され得る。本明細書に記載されるアルカノール基は、「固体」架橋ポリアミン又はそのコポリマーの一部を形成し、架橋剤とともにヒドロゲル全体に分布することが理解されるであろう。例えば、任意に置換されたアルカノール基は、「固体」架橋ポリアミンにグラフト(すなわち、結合)される。当然のことながら、これは、ヒドロゲルが、例えば、水又は好適なアルカノールアミンを含む1つ以上の液体膨潤剤で膨潤することを妨げるものではない。
【0130】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態又は実施例によれば、本発明者らは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン基を、任意に置換されたアルカノールで置換することにより、良好な長期安定性を有するヒドロゲルを提供できることを確認した。例えば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態又は実施例によれば、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の一級アミン基を、任意に置換されたアルカノールで置換することにより、アミンと遊離CO2との間での尿素の形成に起因して、再生(例えば、蒸気又は加熱を介して)中のより高い温度で生じ得る一級アミン基の不活性化を最小限に抑えることができる。再生中のそのようなアミンの不活性化を防止又は最小限に抑えることによって、再生されたヒドロゲルは、繰り返されるサイクルにわたって良好なCO2吸収を維持し、それによってヒドロゲルの全体的な安定性及び性能を改善する。
【0131】
更に、本明細書に記載される少なくとも一部の実施形態又は実施例によれば、本発明者らは、アルカノール置換架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含むヒドロゲルが、アルカノール官能化の結果としてCO2に結合するために利用可能な反応性アミン基の全数の低減にもかかわらず、ヒドロゲルに吸収されるCO2の量を驚くほど増加させることができることを確認した。架橋剤がヒドロゲル全体に分布しており、反応性アミンの数も低減しているにもかかわらず、ヒドロゲルは、実施例で強調されているように、かつ/又は本明細書に記載される1つ以上の実施形態によって、良好なCO2吸収特性を示す。理論によって拘束されることを望むものではないが、改善された吸収%は、増加した水素結合部位及び/又は気体流との交換を容易にするヒドロゲルの構造変化に起因し得る。更に、アルカノール置換はまた、ヒドロゲルの膨潤特性及び構造特性を改善し得、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、全体的なガス透過性を改善するとともに、気体流又は大気とヒドロゲルとの間の接触を改善することによって、酸性ガスの取り込みを補助することができる。
【0132】
一態様又は実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、架橋ポリアミンが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲルが提供される。
【0133】
別の態様又は実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む、ヒドロゲルであって、架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、
c)架橋剤と、の反応組成物であり、
反応生成物の架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む、ヒドロゲルが提供される。
【0134】
一実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、
a)アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーであって、アルカノールが、任意に置換されている、アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)架橋剤と、の反応生成物である。
【0135】
別の実施形態では、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、
a)架橋ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、の反応生成物である。
【0136】
架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、アミン基分布を有することが理解されるであろう。架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、一級(1°)アミン-NH2、二級(1°)アミン-NHR及び/又は三級(1°)アミン-NR2)基の混合物を含み得る。アミン基分布は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー内のアミン状態の%分布である。アミン基分布は、13C NMRを用いて容易に測定することができる。
【0137】
一実施形態では、アルカノール置換は、非アルカノール置換架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基分布と比較して、より少ない数の一級(1°)アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。一級(1°)アミン基の数の低減は、任意に置換されたアルカノールによる官能化(例えば、一級アミン基の二級アミン基への変換)に起因する二級(2°)アミン基の数の対応する増加に対応することが理解されるであろう。
【0138】
いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約1%~約50%の一級アミン基を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、1°アミン基の約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、1°アミン基の約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又は50%超のアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。様々な範囲、例えば、約5%~約20%の1°アミン基を形成するこれらの一級アミンのパーセンテージの組み合わせも可能である。
【0139】
いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約1~約50の二級(2°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、少なくとも1、2、3、4、5、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、又は50の二級(2°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約50、45、40、35、30、25、20、18、16、14、12、10、8、5、4、3、2、又は1未満の二級(2°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。様々な範囲、例えば、約1~約40、約1~20、又は約1~10を形成するこれらの比の組み合わせも可能である。
【0140】
いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約1~約20の二級(2°):三級(3°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、少なくとも1、2、3、4、5、8、10、12、14、16、18、又は20の二級(2°):三級(3°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約20、18、16、14、12、10、8、5、4、3、2、又は1未満の二級(2°):三級(3°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。様々な範囲、例えば、約1~約10を形成するこれらの比の組み合わせも可能である。
【0141】
いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約1~約30の三級(3°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、少なくとも1、2、3、4、5、8、10、12、14、16、18、20、25、又は30の三級(3°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約30、25、20、18、16、14、12、10、8、5、4、3、2、又は1未満の三級(3°):一級(1°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。様々な範囲、例えば、約1~約20を形成するこれらの比の組み合わせも可能である。
【0142】
いくつかの実施形態では、アルカノール置換は、約1:1:0.5~約1:50:30、例えば、約1:2:1.5~約1:30:20、例えば、約1:1:1:1.5~約1:30:18の一級(1°):二級(2°):三級(3°)アミン比を含むアミン基分布を有する架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する。
【0143】
いくつかの実施形態又は実施例によれば、本発明者らは、エポキシド官能化剤が、架橋ポリアミン又はそのコポリマー上の一級アミン基で優先的に官能化して、任意に置換されたアルカノール基で置換された二級アミン基を形成することを確認した。一級アミンから二級アミンへのそのような優先的な官能化(二級アミンから三級アミンへとは対照的)は、ヒドロゲルの良好なCO2吸収及び再生特性を維持した。対照的に、非置換の一級アミン基を含む非官能化ヒドロゲルは、再生条件下で尿素形成を介して不活性化することができる。三級アミン基の数を低く保ちながら、ヒドロゲル内に存在する二級アミン基の数を増加させることにより、良好な吸収及び再生特性を達成することができる。アミン基分布を使用して、酸性ガスの取り込み速度及びヒドロゲルの安定性を判定することもできる。本発明者らは、本開示のヒドロゲルは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基を、任意に置換されたアルカノールで官能化することによって、取り込み速度及び安定性の両方のバランスをとるように調整できることを確認した。
【0144】
一実施形態では、アルカノールはモノヒドロキシアルカノールであり、本明細書に記載されるように更に置換され得るか、又は非非置換であり得る。言い換えれば、アルカノールは、単一のヒドロキシル(-OH)基置換基を含み得、又は単一のヒドロキシル(-OH)基置換基を有し得る。
【0145】
ヒドロキシエチル基
任意に置換されたアルカノール基は、任意に置換されたヒドロキシエチル基であり得る。ヒドロキシエチル基は、ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基とエポキシド官能化剤との間の反応生成物であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロキシエチル基は任意の好適な疎水性部分で置換され得る。
【0146】
一実施形態では、任意に置換されたヒドロキシエチル基は、式Iの構造を有し、
【化7】
式中、
R
1~R
4は、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1又はR
4は、R
2又はR
3と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化8】
は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す。
【0147】
R1~R4は、各々独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択され得るか、あるいはR1又はR4は、R2又はR3と一緒に、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0148】
R1~R4は、各々独立して、水素、又はC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C1-20アルコキシ、C3-20シクロアルキル、C3-20アリール、C1-20ヘテロアルキル又はC3-20ヘテロシクリルから選択され得るか、あるいはR1又はR4は、R2又はR3と一緒に、C3-20シクロアルキル、C3-20アリール又はC3-20ヘテロシクリルを形成し得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、3~10員のカルボシクリル、及び3~10員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0149】
R1~R4は、各々独立して、水素、又はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C3-10アリール、C1-10ヘテロアルキル又はC3-10ヘテロシクリルから選択され得るか、あるいはR1又はR4は、R2又はR3と一緒に、C3-10シクロアルキル、C3-10アリール又はC3-10ヘテロシクリルを形成し得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0150】
一実施形態では、任意に置換されたヒドロキシエチル基は、式Iaの構造を有し、
【化9】
【0151】
R
1及びR
2は、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2は一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化10】
は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す。
【0152】
R1及びR2は、各々独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0153】
R1及びR2は、水素、又はC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C1-20アルコキシ、C3-20シクロアルキル、C3-20アリール、C1-20ヘテロアルキル又はC3-20ヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、3~10員のカルボシクリル、及び3~10員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0154】
R1及びR2は、各々独立して、水素、又はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C3-10アリール、C1-10ヘテロアルキル又はC3-10ヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0155】
一実施形態では、任意に置換されたヒドロキシエチル基は、式Ib又は式Icの構造を有する。
【化11】
式中、
R
1は、水素、又は任意に置換されたC
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、C
1-10アルコキシ、C
3-10シクロアルキル、C
3-10アリール、C
1-10ヘテロアルキル若しくはC
3-10ヘテロシクリルから選択され、
【化12】
は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す。
【0156】
R1は、水素、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0157】
R1は、水素、又はC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C1-20アルコキシ、C3-20シクロアルキル、C3-20アリール、C1-20ヘテロアルキル又はC3-20ヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、3~10員のカルボシクリル、及び3~10員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0158】
R1は、水素、又はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C3-10アリール、C1-10ヘテロアルキル又はC3-10ヘテロシクリルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0159】
R1は、水素、又はC1-20アルキル、C1-10アルキル若しくはC1-6アルキルから選択され得、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルは、非置換であるか、あるいはハロゲン、-OR’、-SR’、-NR’R’、-NO2、-CN、-C(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NR’R’、-C(NR’)NR’R’、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、各R’は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、及びC3-10ヘテロシクリルからなる群から選択される。アルキルは、本明細書で定義される通りであり得、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、ヘキシルを含み得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、任意に置換されたアルカノールは、C1-10アルキルヒドロキシル、例えば、2-エチル-ヒドロキシエチル基(-CH2CH(C2H5)OH)(2-ヒドロキシブタンとも称され得る)である。これは、例えばアミン-エポキシ付加を介して、1,2-エポキシブタン(1,2-ブチレンオキシドとしても知られる)と架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基との反応生成物であり得ることが理解されるであろう。
【0161】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態又は実施例によれば、本発明者らは、架橋ポリアミンの1つ以上のアミン基を、置換された電子吸収ヒドロキシエチル基で官能化することにより、アミン基の塩基性を低下させることができ、これにより、酸性ガス(例えば、CO2)との相互作用が弱まり、より容易な再生を可能にできることを確認した。更に、置換ヒドロキシエチル基(例えば、2-エチル-ヒドロキシエチル基)はまた、アミン基の反応性窒素近傍の立体障害を増加させることができ、尿素の形成を遅らせ、かつ/又はCO2吸収後に形成されるカルバメート種を不安定化させることができ、その結果、より容易に再生される。
【0162】
橋かけ剤及び架橋剤
ヒドロゲルは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。ヒドロゲルを形成するために、ポリアミン又はそのコポリマーのある程度の架橋が必要であることが理解されるであろう。ヒドロゲルの剛性及び弾性は、架橋の程度を変更することによって調整することができる。架橋剤は、3D「固体」ポリマーネットワークの形成を促進し、それを不溶性にする。不溶化架橋ポリマーネットワークは、水及び他の液体の採用及び保持を可能にする。架橋ヒドロゲルの概要は、参照により本明細書に組み込まれる、Maitra et al.,American Journal of Polymer Science,2014,4(2),25-31で考察されている。
【0163】
本明細書で使用される場合、「橋かけ(cross-link)」、「架橋(cross-linked)」又は「架橋(cross-linking)」は、「固体」三次元マトリックス、すなわちヒドロゲルの形成をもたらす、ポリアミン又はそのコポリマー内又はその間の相互作用の形成を指す。言い換えれば、架橋ポリアミンは、ヒドロゲル全体に分布する。一実施形態では、ヒドロゲルは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含み、架橋ポリアミンは、ヒドロゲル全体に分布し、任意に置換されたアルカノール基で置換された1つ以上のアミン基を含む。
【0164】
例えば、ポリアミン又はそのコポリマーは、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE)又はトリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE若しくはTMPTGE)によって架橋されて、架橋ポリアミンヒドロゲルを形成し得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマーは、約0.01モル%~約50モル%の架橋剤を含む。ポリアミン又はそのコポリマーは、少なくとも約0.01、0.1、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50モル%の架橋剤を含み得る。ポリアミン又はそのコポリマーは、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.1、又は0.01モル%未満の架橋剤を含み得る。様々な範囲を形成するこれらのモル%値の組み合わせも可能であり、例えば、ポリアミン又はそのコポリマーは、約0.01モル%~約50モル%、約0.01モル%~約20モル%、又は約0.01モル%~約10モル%の架橋剤を含み得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約1、2、3、4、5、6、8、10、15、又は20重量%の架橋剤を含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約20、15、20、15、10、8、6、5、3、2、又は1重量%未満の架橋剤を含む。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、非膨潤状態のヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約6重量%の架橋剤を含む。
【0167】
したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.05重量%~約50重量%の架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%の架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05又は0.01重量%未満の架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。様々な範囲を形成するこれらの架橋ポリアミン又はそのコポリマーの組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01重量%~約50重量%、約0.05重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約0.05重量%~約25重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約30重量%~約50重量%の架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む。
【0168】
一実施形態では、乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含み得る。
【0169】
ヒドロゲルの膨潤能は、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの性質、及びヒドロゲルを膨潤させている溶媒に依存する。例えば、長い親水性架橋を有するヒドロゲルは、より短い疎水性架橋を有する類似の架橋ポリマーネットワークよりも膨潤し得る。
【0170】
架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中のアルキル架橋剤、ヘテロアルキル架橋剤、シクロアルキル架橋剤、アリールアルキル架橋剤、又はヘテロアリールアルキル架橋剤を提供するように選択され得、これらの各々は、本明細書に記載されるように任意に置換及び/又は任意に中断され得る。架橋剤は、約1~30の炭素原子を含み得、本明細書に記載されるように任意に置換され得、かつ/又は任意に中断され得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にアルキル架橋剤を提供するように選択される。アルキル架橋剤は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。一例では、架橋剤は、1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。架橋剤上の1つ以上のヒドロキシル基の存在により、少なくとも本明細書に記載されるいくつかの実施例に従って、ヒドロゲル中の酸性ガス(例えば、CO2)の結合及び吸収を更に改善することができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にC1~C20アルキル架橋剤を提供するように選択され得る。C1-20アルキル架橋剤は、1~20の原子鎖を有する上記又は本明細書に記載の任意のアルキルによって提供され得ることが理解されるであろう。例えば、C1-20アルキル架橋剤は、少なくともアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。他の例では、架橋剤は、本明細書に記載される任意の例に従って、C2~C20アルキル、C5~C20アルキル、C10~C20アルキル、又はC12~C10アルキルであり得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にC1~C10アルキル架橋剤を提供するように選択され得る。C1-10アルキル架橋剤は、1~10の原子鎖を有する上記又は本明細書に記載の任意のアルキルによって提供され得ることが理解されるであろう。例えば、C1-10アルキル架橋剤は、少なくともアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。他の例では、架橋剤は、本明細書に記載される任意の例に従って、C2~C10アルキル、C3~C10アルキル、C4~C10アルキル、又はC5~C10アルキルであり得る。
【0174】
架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にヘテロアルキル架橋剤を提供するように選択され得る。ヘテロアルキル基は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、1~3つ)によって中断されている、本明細書に記載されるアルキル又はその任意の例によって提供され得る。ヘテロ原子は、O、N、Si、Sのうちのいずれか1つ以上から選択され得る。
【0175】
架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にシクロアルキル架橋剤を提供するように選択され得る。シクロアルキル架橋剤は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。シクロアルキル基は、例えば、アルキルシクロアルキル基であり得る。シクロアルキル基は、一緒に連結及び/又は融合した1~3つの環状基を有し得る。
【0176】
架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にアリールアルキル架橋剤を提供するように選択され得る。アリールアルキル架橋剤は、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル又はアミンのうちのいずれか1つ以上から選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、いずれか1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。アリールアルキル架橋剤は、例えば、各々が一緒に連結及び/又は融合し得る1~3つのアリール基を有し得る。
【0177】
架橋剤は、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中にヘテロアリールアルキル架橋剤を提供するように選択され得る。ヘテロアリールアルキルは、1つ以上のヘテロ原子によって中断された任意のアリールアルキル基であり得ることが理解されるであろう。ヘテロ原子は、O、N、Si、Sのうちのいずれか1つ以上から選択され得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、架橋剤はエポキシド(すなわちエポキシド架橋剤)である。例えば、エポキシドは、架橋ポリアミン又はそのコポリマー中に二価又は多価の結合基を提供することができ、これは、エポキシド基とポリアミン又はそのコポリマーとの反応から生じる1つ以上のヒドロキシル基を含み得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、少なくとも2、3、4又は5つのエポキシドを含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は2つのエポキシドを含む。一実施形態では、架橋剤はエポキシドである。一実施形態では、エポキシドは、ジエポキシド(例えば、2つのエポキシド基、例えばBDDEを含む)である。一実施形態では、エポキシドは、トリエポキシド(例えば、3つのエポキシド基、例えばTTEを含む)である。一実施形態では、架橋剤は、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE)又はトリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE若しくはTMPTGE)である。
【0179】
架橋剤は、トリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE若しくはTMPTGE)(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルとも称される)、ジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル(CAS番号:101-90-6)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル平均(<Mn1000)、グリセロールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテルPO/フェノール1、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ポリ(ジメチルシロキサン)、ジグリシジルエーテル末端(Mn<1000)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、2,2-ビス¥[4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン、4,4’-イソプロピリデンジフェノールジグリシジルエーテル、BADGE、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、D.E.R.(商標)332、ビス¥[4-(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)からなる群から選択され得る。他の好適な架橋剤はまた、1つ以上のイソチオシアネート、イソシアネート、アジ化アシル、NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、炭酸塩、アリールハロゲン化物、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、及びフルオロフェニルエステル基を含み得る。
【0180】
架橋剤は、アルデヒド基、例えば、少なくとも1つ、2つ、又は3つのアルデヒド基を含み得る。例えば、架橋剤は、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドであり得る。
【0181】
架橋剤は、2つ以上のビニル基(-C=CH2)を含み得る。例えば、架橋剤は、N,N-メチレンビスアクリルアミド又はエチレングリコールジメタクリレートなどのジビニル架橋剤であり得る。他の好適な架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート及びピペラジンジアクリルアミドが挙げられる。
【0182】
一実施形態では、架橋剤はジエポキシドであり、官能性エポキシドはモノエポキシドである。
【0183】
ヒドロゲルを調製するためのプロセス
本開示はまた、本明細書に記載されるヒドロゲルを調製するためのプロセスを提供する。プロセスは、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む溶液を、ポリアミン又はそのコポリマーを架橋してヒドロゲルを形成するのに有効な温度及び期間で混合することを含み得る。ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の1つ以上のアミン基は、エポキシドによって官能化されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する。官能性エポキシドは、架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基分布を調整するために使用される(例えば、架橋ポリアミン又はそのコポリマー上に存在する二級及び/又は三級アミン基の数と比較して、一級アミン基の数を減少させる)。ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び任意に置換されたアルカノール基が本明細書に記載される。
【0184】
いくつかの実施形態では、官能性エポキシドは、架橋剤を添加する前に、ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液と混合されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する。他の実施形態では、官能性エポキシドは、ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液を添加する前に、架橋剤と混合される。
【0185】
一実施形態では、プロセスは、1)架橋剤及び官能性エポキシドを含む溶液を調製することと、2)ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液を架橋剤及び官能性エポキシドを含む溶液と混合して、ヒドロゲルを形成することと、を含み、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン基は、エポキシドによって官能化されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する。別の実施形態では、プロセスは、1)ポリアミン又はそのコポリマー及び官能性エポキシドを含む溶液を調製することであって、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の1つ以上のアミン基がエポキシドによって官能化されてアルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーを形成し、アルカノールは任意に置換される、ポリアミン又はそのコポリマー及び官能性エポキシドを含む溶液を調製することと、2)架橋剤を含む溶液をアルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液と混合してヒドロゲルを形成することと、を含む。一実施形態では、ポリアミンの架橋及びアルカノール官能化は装置内(in-situ)で行われる。
【0186】
別の実施形態では、プロセスは、1)架橋ポリアミン又はそのコポリマー及び架橋剤を含む溶液を調製して架橋ポリアミン又はそのコポリマーを形成することと、2)官能性エポキシドを含む溶液を架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液と混合してヒドロゲルを形成することであって、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の1つ以上のアミン基がエポキシドによって官能化されて任意に置換されたアルカノール基を形成する、ヒドロゲルを形成することと、を含む。一実施形態では、ポリアミンの架橋及びアルカノール官能化は装置外(ex-situ)で行われる。
【0187】
ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び官能性エポキシドは、好適な温度で混合され得る。一実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドは、約0℃~約100℃の温度で混合され得る。ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び官能性エポキシドは、少なくとも約0、5、10、12、15、17、20、22、25、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100℃の温度で混合され得る。ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び官能性エポキシドは、約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、28、25、22、20、17、15、12、10、又は5℃未満の温度で混合され得る。混合温度は、これらの上限値及び/又は下限値のいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約10℃~約100℃、例えば、約10℃~約50℃であり得る。いくつかの実施形態では、混合温度は、約約10、12、15、17、20、22、25、28、30、35、40、45、又は50℃である。混合温度はまた、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び/又は官能性エポキシドを含む溶液を蒸発させるのに有効な温度であり得る。
【0188】
ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び官能性エポキシドを一定期間混合する。一実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを、約60分~約48時間の期間混合する。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを、少なくとも約1、6、12、24、30、46、42、又は48時間の期間混合する。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び官能性エポキシド 48、42、46、30、24、12、6又は1時間。混合時間は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲内であり得る。
【0189】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルを粉砕して複数のヒドロゲル粒子を形成するステップを更に含む。任意の好適な技術を使用して、例えば、乳鉢及び乳棒を使用してヒドロゲルを粉砕することができる。ヒドロゲルは、本明細書に記載される粒径を有し得る。
【0190】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルを脱水して溶液(例えば、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び/又はエポキシドを官能化するために使用される溶液)を除去するステップを更に含む。更なる実施形態では、脱水ヒドロゲルは、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上で膨潤し得る。代替的に、ヒドロゲルは、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上を使用して調製され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び/又は官能性エポキシドを含む溶液は、水溶液、液体膨潤剤、又はアルコール又はそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤及び/又は官能性エポキシドを含む溶液は、反応成分を溶解することができる任意の好適な溶媒から選択される。ポリアミン又はそのコポリマーを含む溶液は、架橋剤及び官能性エポキシドを含む溶液と同じであっても異なり得る。ポリアミン又はコポリマー及び官能性エポキシドを含む溶液は、架橋剤を含む溶液と同じであっても異なり得る。ポリアミン又はコポリマー及び架橋剤を含む溶液は、官能性エポキシドを含む溶液と同じであっても異なり得る。
【0192】
ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び/又は官能性エポキシドを含む溶液は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、又はイソプロパノールであり得る。
【0193】
官能性エポキシド
官能性エポキシドは、例えば、以下のスキーム1に例として提供されるアミン-エポキシ付加を介した、架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン上の任意に置換されたアルカノール基の供給源であり得る。
【化13】
【0194】
一実施形態では、官能性エポキシドは、モノエポキシドである(すなわち、1つのエポキシド基のみを含む)。一実施形態では、官能性エポキシド及び架橋剤は、異なる化合物である。
【0195】
一実施形態では、官能性エポキシドは、式IIの構造を有し、
【化14】
式中、R
1~R
4は、本明細書で定義される。
【0196】
一実施形態では、官能性エポキシドは、式IIaの構造を有し、
【化15】
式中、R
1及びR
2は、本明細書で定義される。
【0197】
一実施形態では、官能性エポキシドは、式IIbの構造を有し、
【化16】
式中、R
1は、本明細書で定義される。
【0198】
一実施形態では、官能性エポキシドは、1,2-エポキシエタン(エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(1,2-プロピレンオキシド)、1,2-エポキシブタン(1,2-ブチレンオキシド)、1,2-エポキシペンタン(1,2-ペンテンオキシド)、1,2-エポキシヘキサン(1,2-ヘキセンオキシド)、及び1,2-エポキシオクタン(1,2-オクテンオキシド)、デセンオキシド(1-デセンオキシド)、ドデセンオキシド(1-ドデセンオキシド)、テトラデセンオキシド(1-テトラデセンオキシド)、ヘキサデセンオキシド(1-ヘキサデセンオキシド)、オクタデセンオキシド(1-オクタデセンオキシド)、グリシドール(グリシドールオキシプロピル)、ブタジエンモノオキシド、1,2-エポキシド-7-オクテン(1,2-エポキシ-7-オクテン)、イソプロピルグリシジルエチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、2,3-エポキシノルボルネン(2,3-エポキシノルボルナン)、リモネンオキシド、2,3-エポキシプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル-メチルフェニルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、及びナフチルグリシジルエーテルからなる群から選択される。
【0199】
一実施形態では、官能性エポキシドは、C1-20アルキレンオキシド、例えば、1,2-エポキシエタン(エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(1,2-プロピレンオキシド)、1,2-エポキシブタン(1,2-ブチレンオキシド)、1,2-エポキシペンタン(1,2-ペンテンオキシド)、1,2-エポキシヘキサン(1,2-ヘキセンオキシド)、及び1,2-エポキシオクタン(1,2-オクテンオキシド)、デセンオキシド(1-デセンオキシド)、ドデセンオキシド(1-ドデセンオキシド)、テトラデセンオキシド(1-テトラデセンオキシド)、ヘキサデセンオキシド(1-ヘキサデセンオキシド)、オクタデセンオキシド(1-オクタデセンオキシド)である。一実施形態では、官能性エポキシドは、1,2-エポキシブタンである。しかしながら、官能性エポキシドが、エポキシド-アミン付加を介してアミン基(例えば、一級アミン基)を官能化することができる好適なエポキシド基を含む場合、任意の好適な官能性エポキシドを使用できることが理解されるであろう。
【0200】
いくつかの実施形態では、官能性エポキシドは、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の一級(1°)アミン基と反応して、任意に置換されたアルカノール基で置換された二級(2°)アミン基を形成する。ポリアミン又はそのコポリマー中に存在する一級(1°)アミン基の数は、エポキシドによる官能化後に減少し得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、官能性エポキシドは、ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上の二級(2°)アミン基と反応して、任意に置換されたアルカノール基で置換された第三(3°)アミン基を形成することができる。いくつかの実施形態では、このプロセスは、1つ以上の一級(1°)アミン基におけるエポキシド-アミン付加を優先的に含む。
【0201】
気体流及び大気
本開示のヒドロゲルは、酸性ガスを含む気体流又は大気から酸性ガスを除去することができる。
【0202】
「酸性ガス」は、二酸化炭素(CO2)又は硫化水素(H2S)又はそれらの混合物であり得る。特定の一実施形態では、酸性ガスはCO2である。酸性ガスは、酸性ガスなどの天然ガスの成分であり得、これは、かなりの量の酸性ガス、すなわち、硫化水素H2S CO2を含有する天然ガス混合物であると理解される。酸性ガスは、かなりの量のH2Sを含有する特定の種類の酸性ガスであるサワーガスであり得る。一実施形態では、酸性ガスは、炭化水素ガス中の汚染物質であり得る。「炭化水素ガス」という用語は、一般的には天然ガスを指すが、この用語は、炭層ガス、随伴ガス、非従来型ガス、埋め立て地ガス、バイオガス、及び煙道ガスに等しく適用され得ることが当業者には理解されるであろう。代替的に、酸性ガスは、周囲空気などのより低い酸性ガス濃度の気体流又は大気の成分であり得る。
【0203】
酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)は、ヒドロゲルに吸収されることによって、気体流又は大気から除去され得る。例えば、酸性ガスは、化学的及び/又は物理的プロセスによってヒドロゲルに吸収され得る。例えば、架橋ポリアミン又はそのコポリマーは、酸性ガスに結合可能な反応性アミン基を含む。更に、ヒドロゲルはまた、液体膨潤剤を含み得、液体膨潤剤は酸性ガスを吸収する。
【0204】
気体流又は大気は、流又は大気からの1つ以上の酸性ガスの分離が望まれる任意の流又は大気であり得る。流又は大気の例としては、例えば、石炭ガス化プラント、改質器、燃焼前ガス流、煙道ガスなどの燃焼後ガス流(インライン燃焼後ガス流を含む)、化石燃料燃焼発電所からの排気流、サワー天然ガス、燃焼後、焼却炉からの排出ガス、工業用ガス流、車両からの排気ガス、潜水艦などの密閉環境からの排気ガスなどが挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、約200,000百万分率(ppm)未満の酸性ガス濃度を有し得る。一実施形態では、気体流又は大気は、150,000、100,000、75,000、50,000、25,000、10,000、5,000、4,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ppm未満、例えば、約10,000ppm未満、又は約4,000ppm未満、又は約1,000ppm未満の酸性ガス濃度を有し得る。別の実施形態では、気体流又は大気は、約100ppm~100,000ppm、約100ppm~約10,000ppm、又は約100ppm~約5,000ppmの酸性ガス濃度を有し得る。
【0206】
1ppmは0.0001体積%に相当することが理解されるであろう。例えば、約100,000ppm未満の酸性ガス濃度を有する気体流又は大気は、気体流中の酸性ガスの10.0体積%に相当する。
【0207】
低CO2濃度の気体流又は大気
本開示のヒドロゲルは、低CO2濃度の気体流又は大気からCO2を除去することができる。例えば、プロセスは、低CO2濃度の気体流又は大気からCO2を除去することができる。低濃度の気体流又は大気の例としては、大気(例えば、周囲空気)、換気空気(例えば、空気調節ユニット及び建物の換気)、及び呼吸空気を再利用する部分的に閉鎖されたシステム(例えば、潜水艦又はリブリーザー)が挙げられる。いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約200,000百万分率(ppm)未満のCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、150,000、100,000、75,000、50,000、25,000、10,000、5,000、4,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ppm未満のCO2濃度を有し得る。別の実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約100ppm~100,000ppm、約100ppm~約10,000ppm、約100ppm~約5,000ppm、約100ppm~約1,000ppm、又は約100ppm~約500ppmのCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約200ppm~約500pm、例えば約400~450ppmのCO2濃度を有し得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約20、15、10、7.5、5、2.5、1、0.5、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、又は0.01体積%未満のCO2濃度を有し得る。別の実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約0.01体積%~約10体積%、約0.01体積%~約1体積%、約0.01体積%~約0.1体積%、又は0.01体積%~約0.05体積%のCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約0.02体積%~約0.05体積%、例えば約0.04体積%のCO2濃度を有し得る。
【0209】
一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、周囲空気(例えば、大気)と同じCO2濃度を有し得る。したがって、一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、世界中のほとんどの場所における周囲空気中と同様に、約400ppm~450ppmのCO2のCO2濃度、例えば、約400ppm~415ppmを有し得る。したがって、一実施形態では、プロセスは、直接空気回収(DAC)のためのものである。
【0210】
一実施形態又は実施例では、プロセスは、屋内密閉環境における直接空気回収(DACi)のためのものである。したがって、CO2濃度の気体流又は大気は、最大2,000ppmのCO2濃度を有し得る。
【0211】
一実施形態又は実施例では、プロセスは、外部発電所における直接空気回収(DACex)のためのものである。したがって、CO2濃度の気体流又は大気は、約3,000ppm~約150,000ppmのCO2濃度を有し得る。
【0212】
一実施形態又は実施例では、気体流又は大気は、100ppm(すなわち、0.01体積%)未満の炭化水素ガスを含み得る。一実施形態では、気体流又は大気は、10、8、5、2、1、0.5、0.1、又は0.01体積%未満の炭化水素ガスを含み得る。一実施形態では、気体流又は大気は、100ppm(すなわち、0.01体積%)未満の炭化水素ガスを含み得る。例えば、気体流又は大気は、約100、75、50、25、20、15、10、5、4、3、又は2ppm未満の炭化水素ガスを含み得る。「炭化水素ガス」という用語は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、及び他のC3+炭化水素を含むがこれらに限定されない炭化水素化合物の気体混合物を指すと理解されるであろう。例えば、周囲空気は、少量の不純物(例えば、2ppm/0.0002体積%)としてメタンを含み、したがって、周囲空気は3ppm未満の炭化水素ガスを含み得ることが当業者によって理解されるであろう。低CO2濃度の気体流又は大気は、気体流中の主要な体積%の割合を構成する窒素を主に含み得る。例えば、低CO2濃度の気体流又は大気は、少なくとも約50体積%の窒素、例えば、少なくとも約70体積%の窒素を含み得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流は、約78体積%の窒素(例えば、周囲空気)を含む。
【0213】
低CO2濃度の気体流又は大気は、ある量の水を含み得る(例えば、気体流は、湿気の高い/湿った、例えば、湿潤気体流である)。例えば、低CO2濃度の気体流又は大気は、約1体積%~約10体積%の水を含み得る。代替的に、低CO2濃度の気体流又は大気は、乾燥した気体流であり得る。
【0214】
代替的な実施形態では、プロセスは、高CO2濃度の気体流又は大気からCO2を回収することができる。例えば、高CO2濃度の気体流又は大気は、925mbar(100体積%)のCO2濃度を有し得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、換気システム、例えば、建物の換気又は空調に由来する。他の実施形態では、気体流又は大気は、例えば、潜水艦、宇宙船、又は航空機において、呼吸ガスを再利用するように設計された閉鎖的な、又は少なくとも部分的に閉鎖的なシステムに由来する。本開示のヒドロゲルはまた、より高いCO2濃度を有する気体流又は大気からCO2を吸収することができ、広範囲の空気回収用途のためのヒドロゲルの汎用性を強調できることが理解されるであろう。一例では、それはヒドロゲルが相対的に低い濃度(例えば、400ppm)でCO2を回収する能力であり、本発明者らは特に驚くべきことであると考えた。
【0216】
低CO2濃度の気体流又は大気を、ヒドロゲルと接触させる。気体流又は大気は、ヒドロゲルに接触(例えば、通過)するための好適な流量を有し得る。代替的に、気体流又は大気は、任意の背圧又は流量が加えられることなく、ヒドロゲルと接触し得る(例えば、気体流は、接触すると有機的にヒドロゲル内に拡散し得る)。いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、ヒドロゲルを取り囲む大気、例えば、低CO2濃度の大気であり得る。いくつかの実施形態では、気体流又は大気はヒドロゲルを通過する(例えば、ヒドロゲル上の第1の側面若しくは表面から入り、異なる側面若しくは表面から出る)か、又は例えばヒドロゲルが周囲空気などの大気中に配置されるときに、単にヒドロゲル内に拡散し得る。したがって、いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、例えば、ヒドロゲルが建物の換気システムに構成される場合など、これが望ましい場合もあるが、本質的にヒドロゲルを「通過」させるために気体流に背圧を加える必要はないことが理解されるであろう。一実施形態では、気体流(例えば、大気)は、ヒドロゲルと接触するとヒドロゲル内に拡散する。
【0217】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、流量を有せず、例えば0m3/時間である。いくつかの実施形態又は実施例では、気体流は、約0.01m3/時間~約50,000m3/時間の流速を有する。流量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時)であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01m3/時間未満の流量を有する。これらの流量の組み合わせはまた、例えば、約0.01m3/時間~約1500m3/時間、約5m3/時間~約1000m3/時間、約10m3/時間~約500m3/時間、約20m3/時間~約200m3/時間、約60m3/時間~約1000m3/時間、約0.01m3/時間~約5,000m3/時間、約5,000~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間も可能である。
【0218】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、より高い流速を有する。いくつかの実施形態では、気体流は、少なくとも1、5、10、20、50、100、500、1,000、5,000、7,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)の流量を有する。いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、7,000、5,000、1,000、500、100、50、20、10、5、又は1m3/時間未満の流量を有する。これらの流量の組み合わせもまた、例えば、約5,000m3/時間~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間で可能である。上記のより低い流量を有する他の組み合わせもまた、例えば、約100cm3/分(0.006m3/時間)~約50,000m3/時間、又は100,000cm3/分(6m3/時間)~約20,000m3/時間で可能である。
【0219】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルに接触するときに気体流又は大気の流速を増加させることは、ヒドロゲルにおけるCO2の吸収及び回収の速度を速くすることにつながる。工業規模の用途では、気体流の流量は、最大1000m3/時間であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、流量(例えば、周囲大気)を有しない。
【0220】
低CO2濃度の気体流又は大気を、ヒドロゲルと接触させる前に少なくとも部分的に乾燥させて、気体流中に存在する水分(H2O)の少なくとも一部を除去し得る。例えば、気体流は、10%、8%、6%、4%、若しくは2%未満の湿度、又はこれらの値のうちの任意の2つ、例えば、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約3%の湿度まで乾燥され得る。気体流又は大気は、本明細書に記載されるプロトコルを介して測定される任意の従来の手段(例えば、吸湿性材料を通過するか、又は熱源と接触させる)及びその湿度によって乾燥され得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、ヒドロゲルに接触する前に初期CO2濃度を有し、ヒドロゲルに接触した後に最終CO2濃度を有する(本明細書において流出気体流及び/又は流出CO2濃度とも称される)。CO2が気体流からヒドロゲルに吸収されると、流出流中のCO2の濃度は、ヒドロゲルと接触する(例えば、通過する)前の気体流又は大気の初期CO2濃度よりも低くなることが理解されるであろう。
【0222】
気体流又は大気中のCO2の濃度は、任意の好適な手段、例えば、同位体分析装置(例えば、G2201-i同位体分析装置(PICARRO)及び/又は赤外線分光計(例えば、インライン較正キャビティリングダウンIR分光計)を使用する)によって測定することができる。気体流又は大気中のCO2の濃度は、任意の好適な手段、例えば、0~100%の範囲をカバーするSprintIR(登録商標)-6S及び0~1%のCO2の範囲を有するK30周囲センサによって監視することができる。
【0223】
吸着装置
いくつかの実施形態では、酸性ガスを含む気体流又は大気から酸性ガスを回収するための吸着装置であって、本明細書に記載される実施形態又は実施例のいずれか1つに従って定義される及び/又は本明細書に記載される実施形態又は実施例のいずれか1つに従って調製されるヒドロゲルを囲むチャンバを備え、チャンバは、気体流又は大気がヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流がヒドロゲルから流出することができる出口と、を備える、吸着装置が提供される。ヒドロゲルは、チャンバの入口と出口との間に配置され得る。
【0224】
いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、気体流に平行に接続された各チャンバ内にヒドロゲルを囲む2つ以上のチャンバを備え得る。装置は、各チャンバ内のヒドロゲルを囲む少なくとも3つのチャンバを備えることができ、各チャンバは、気体流に平行に接続され得る。少なくとも3つのチャンバ内に囲まれたヒドロゲルは、吸着及び再生サイクルの異なるセクションで操作されて、流出気体流の連続的な流れを生成し得る。
【0225】
流体流は、典型的には、気体流をチャンバの入口から、囲まれたヒドロゲルを横切って、出口を通ってチャンバから移動させるために必要とされる。流体流は、吸着装置の入口から出口への流体流を駆動する少なくとも1つの流体流デバイスによって駆動され得る。様々な異なる流体流デバイスを使用することができる。いくつかの実施形態又は実施例では、流体流デバイスは、少なくとも1つのファン又はポンプを備える。いくつかの実施形態又は実施例では、ヒドロゲルを横切って入口を通って入る気体流の流速は、約0.01m3/時間~約50,000m3/時間であり得る。流量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01m3/時間未満の流量を有する。これらの流量の組み合わせもまた、例えば、約0.01m3/時間~約5,000m3/時間、約5,000~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間で可能である。チャンバを通って及びヒドロゲルを横切る気体流の流量は、ヒドロゲルを通って又は横切って測定可能な背圧が実質的にない状態で達成され得る。代替的な実施形態又は実施例では、圧力変動又は吸引を使用して、デバイスを通る気体流の流体流を駆動することができる。工業規模の用途では、気体流の流量は、最大1000m3/時間であり得る。
【0226】
チャンバは、任意の好適な構成を有し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、チャンバは、一方の端部に入口と、反対側の端部に出口と、を備える。一実施形態又は実施例では、本明細書に記載される基材は、その容積内の表面積を増加させるために、圧縮させてチャンバ内に配置又は他の方法で充填され得る。
【0227】
装置は、単一又は複数のチャンバを備えることができ、各チャンバは、本明細書に記載されるように、ヒドロゲルを囲むことができる。いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、気体流に平行に接続された各チャンバ内にヒドロゲルを囲む2つ以上のチャンバを備え得る。別の実施形態又は実施例では、装置は、各チャンバ内のヒドロゲルを囲む少なくとも3つのチャンバを備えることができ、各チャンバは、気体流に平行に接続され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、少なくとも3つのチャンバ内に囲まれたヒドロゲルは、吸着及び再生サイクルの異なるセクションで操作されて、流出気体流の連続的な流れを生成し得る。
【0228】
いくつかの実施形態又は実施例では、プロセスは、チャンバによって囲まれたヒドロゲル内の酸性ガスを吸着し、反復サイクルにおける少なくとも1つの脱着配置の動作を通じて酸性ガスを放出して、流出気体流を連続的に生成するステップである、循環方法であり得る。サイクル時間は、吸着装置の構成、チャンバの構成、脱着配置の種類、ヒドロゲルの組成、破過点、飽和点、及びヒドロゲルの特性、温度、圧力、及び他のプロセス条件に依存し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、サイクル時間は、約10、15、20、30、45、60分(1時間)、2、5、10、24、48、又は36時間であり得る。
【0229】
いくつかの実施形態又は実施例では、脱着配置は、熱及び/又は減圧が使用されているかどうかに応じて、任意の数の形態をとることができる。いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、圧力スイング吸着用に設計されており、脱着は、ヒドロゲルを囲むチャンバの周りからガスを排出するために、例えば、真空ポンプを使用して、圧力を低減することによって達成される。他の実施形態又は実施例では、温度スイング吸着を行って、ヒドロゲルから酸性ガスを収集する。これは、直接加熱方法を使用して達成することができる。
【0230】
いくつかの実施形態又は実施例では、脱着配置は、ヒドロゲルが加熱される温度スイング吸着配置を含み得る。例えば、少なくとも1つの脱着配置を操作することにより、ヒドロゲルを約20~140℃の温度に加熱する。
【0231】
本開示は、本明細書に記載されるように、酸性ガスの濃度を含む気体流がヒドロゲルとの吸着接触に供給されるプロセスを提供する。ヒドロゲルがある量の酸性ガスで負荷された後、脱着配置が活性化され、酸性ガスの少なくとも一部分がヒドロゲルから放出される。脱着されたヒドロゲルは、二次プロセスを使用して収集することができる。
【0232】
言い換えれば、出口からの流出気体流は、様々な二次プロセスに流れることができる。例えば、二酸化炭素回収のために、本開示の吸着装置は、ドライアイスをオンデマンドで提供するために、液化器及び/又はドライアイスペレタイザーと統合することができる。別の例では、本開示の吸着装置は、二酸化炭素(CO2)をメタンに変換するための水素化装置と統合することができる。更に別の例では、本開示の吸着装置を使用して、二酸化炭素(CO2)を吸着し、それを別の時間に使用するために保管することができる。これは、CO2が特定の時間に吸着され、異なる時間に使用される温室タイプの環境に適用されるであろう。更に別の例では、本開示の吸着装置は、密閉された空間内のCO2に特に適用可能であり得る。例えば、潜水艦、宇宙船、航空機、又はCO2を除去するために吸着装置が使用されるであろう、部屋のような他の密閉された空間の内側、並びに連続的なサイクルでCO2を吸着及び脱着することができる装置。
【0233】
本開示の吸着装置は、有利にはコンパクトであり、エンドユーザのずっと近い位置に配置することができ、それによって、既存の型にはまらない供給機会及びより良好な顧客価値を可能にする。
【0234】
ヒドロゲルの酸性ガス回収/放出及び再生のためのプロセス
酸性ガス(例えば、CO2)は、ヒドロゲルに吸収されることによって気体流から除去され得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲル(mg/g)1g当たり約10mgの酸性ガス~約300mg/gの酸性ガスを吸収することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、又は300mg/gの酸性ガスを吸収することができる。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300、250、200、150、120、100、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10mg/g未満の酸性ガスを吸収することができる。これらの吸収値の組み合わせが可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約10mg/g~約80mg/gの酸性ガス、約20mg/g~約70mg/gの酸性ガス、又は約100mg/g~約300mg/g、又は約200mg/g~約300mg/gを吸収することができる。
【0235】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、1ミリモル/g-1~5ミリモル/g-1の作動容量を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、1.5、2。2.5、3。3.5、4、4.5、又は5ミリモル/g-1の作動容量を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、5、4.5、4、3.5、3。2.5、2、1.5又は1ミリモル/g-1未満の作動容量を有する。1つ以上の範囲を形成するこれらの値の組み合わせ、例えば、約1ミリモル/g-1~3ミリモル/g-1が可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、10,000、50,000、75,000、又は100,000回の吸収/再生サイクルにわたって約1~3、1.2~3、1.5~3、又は2~3ミリモル/g-1~約3ミリモル/g-1の作動容量を有する。ヒドロゲルの作動能力は、ヒドロゲルの全体的なガス吸収/脱着性能である。
【0236】
多数の吸収/再生サイクル(例えば、温度スイング吸収(TSA)サイクル)にわたって実質的に一定の作業容量を有するヒドロゲルは、多数のサイクルにわたって作業能力の低下を有するヒドロゲルと比較して、良好なサイクル安定性及び低減された分解を示す。 一実施形態では、ヒドロゲルは、2回以上の吸収/再生サイクル後、最初の吸収/再生サイクル後のヒドロゲルの作動容量の少なくとも80%、95%、90%、90%、又は95%の作動容量を維持する。ヒドロゲルは、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、10,000、50,000、75,000、又は100,000回の吸収/再生サイクル後、最初の吸収/再生サイクルの後のヒドロゲルの作動容量の少なくとも80%、95%、90%、90%、又は95%の作動容量を維持し得る。サイクル時間は、少なくとも1、2、5、10、15、20、30、60、90、又は120分、例えば30分であり得る。サイクル数、サイクル時間、及び作業容量%の組み合わせも可能である。
【0237】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1重量%~約20重量%の酸性ガスを吸収することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、2、3、4、5、7、10、12、14、16、18、又は20重量%の酸性ガスを吸収することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約20、18、16、14、12、10、7、5、4、3、2、又は1重量%未満の酸性ガスを吸収することができる。これらの吸収値の組み合わせ、例えば、約1重量%~10重量%の酸性ガスが可能である。本発明者らは、驚くべきことに、本開示のアルカノール官能化ヒドロゲルが、アルカノールで官能化されていないヒドロゲルと比較して、より高い重量%の酸性ガスを吸収できることを確認した。これは、特に、官能化(例えば、一級アミンの二級アミンへの変換、及び二級アミンの三級アミンへの変換)の結果として、反応性アミン部位の数が減少するため、驚くべきことである。
【0238】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約10%の酸性ガスを除去し、気体流又は大気から除去する(例えば、少なくとも約10%のCO2が、気体流又は大気からヒドロゲルに吸収される)。いくつかの実施形態では、少なくとも約10%、25%、50%、75%、90%、又は95%の酸性ガスが、気体流又は大気から除去される。いくつかの実施形態又は実施例によれば、気体流又は大気からの酸性ガス除去の%が低いと、最大流量では、わずかな%の酸性ガスが気体流又は大気から吸収されても、ヒドロゲルがより迅速に飽和する更なる利点を提供する。これにより、迅速なサイクルが可能になり、ヒドロゲルの良好な再生特性及び安定性特性と相まって、1日当たりの全体的な酸性ガス取り込みの増加が可能になる。これは、ヒドロゲルを横切る背圧なしに非常に高いガス流量を使用することによって達成することができ、低い出口ガス%濃度が測定される一方で、飽和が迅速に達成される。
【0239】
いくつかの実施形態では、気体流は、少なくとも約100、1,000、10,000、25,000、50,000、75,000、100,000、又は200,000sccmの低い流速を有する。いくつかの実施形態では、気体流は、少なくとも1、5、10、20、50、100、500、1,000、5,000、7,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)のより高い流速を有する。これらの流速では、いくつかの実施形態では、酸性ガスの少なくとも約10%が気体流又は大気から除去される。
【0240】
気体流は、ヒドロゲルに接触し(例えば、ヒドロゲルを含む床を通過する)、ヒドロゲルと接触した後に流出気体流をもたらす。上記のように、ヒドロゲルと接触する前に、気体流は、初期酸性ガス濃度を有する。ヒドロゲルと接触した後、流出気体流は、流出酸性ガス濃度を有する。ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度を測定して、気体流中に残っている酸性ガスの濃度を判定し得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、時間が経つにつれて、ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度は、気体流とヒドロゲルとの接触時に酸性ガス吸収が低減されたことを示すか、又はそれ以上のガス吸収が行われていないことを示し得る(例えば、ヒドロゲルが「飽和」(例えば、使用済み)であり、ほとんど又はそれ以上の酸性ガス吸収が起こっていないことを示す)。これは、ヒドロゲルを交換及び/又は再生して酸性ガス回収を継続するための指標として機能することができる。流出気体流中の酸性ガスの濃度は、例えば、インライン較正されたキャビティリングダウンIR分光計を使用して、任意の好適な手段によって測定することができる。
【0242】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、好適なチャンバ内に囲まれ得、チャンバは、気体流がその中に囲まれたヒドロゲルに流れて接触することができる1つ以上の入口と、流出流がチャンバから流れ出すことができる1つ以上の出口と、を備える。代替的に、ヒドロゲルは、気体流が拡散して(例えば、背圧/流量を欠く)その中に囲まれたヒドロゲルと接触することができる1つ以上の開口部を備える好適なチャンバ内に囲まれ得る。気体流がヒドロゲルにアクセスできることを条件に、チャンバはいくつかの形態をとり得ることが理解されるであろう。一実施形態では、チャンバは、本明細書に記載されるような充填床カラムであり得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、床として提供され得、気体流をヒドロゲルと接触させることは、ヒドロゲルを含む床を通して気体流を通過させることを含む。一実施形態では、ヒドロゲルは、充填床反応器として提供される。他の実施形態では、気体流をヒドロゲルと接触させることは、例えば、流動床反応器を使用して、ヒドロゲルの流を気体流に導入することを含む。
【0244】
ヒドロゲルは、例えば、ヒドロゲルが消費され、それ以上の酸性ガス吸収が起こらなくなるまで、任意の好適な期間、気体流と接触され得る。一実施形態では、ヒドロゲルは、流出ガス流中の酸性ガスの濃度がガス流の酸性ガスの初期濃度と同じになるまで、ガス流と接触される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約5、10、30、60秒(1分)、10、15、20、30、45、60分(1時間)、2、5、10、24、48、又は36時間ガス流と接触する。
【0245】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、様々な酸性ガス吸収速度を提供する。一実施形態では、酸性ガス吸収速度は、時間の経過とともに流出気体流の酸性ガス濃度を監視することによって測定することができる。例えば、流出気体流中の酸性ガスの濃度は、ヒドロゲルと約20分間接触した後、初期酸性ガス濃度の約50%未満であり得る。いくつかの例では、流出気体流中の酸性ガスの濃度は、ヒドロゲルとの約100秒間の接触後、初期酸性ガス濃度の約5%未満であり得る(言い換えれば、100秒後に少なくとも約95%の酸性ガスが気体流から除去される)。他の酸性ガス吸収速度も可能である。
【0246】
ヒドロゲルに吸収された後の酸性ガスは、酸性ガスとアミン基との間の結合(例えば、CO2とアミンとの間の結合)を破壊することによって放出することができる。これは、温度(加熱による)又は圧力(真空による)を使用することによって達成することができる。これは、ヒドロゲルを含有するカラムを加熱すること、又は高温のガス流(例えば、蒸気)若しくは高温の空気を通過させることを含み得る。そのような脱着は、ヒドロゲル内に吸収された酸性ガスの少なくとも一部を脱着することができるヒドロゲルと接触するか、又はそれを取り囲む、加熱された環境(例えば、温度)若しくは加圧された環境(例えば、真空による)、又はそれらの組み合わせを提供することができる任意の好適な環境によって提供され得る。そのような脱着環境は、「オン」又は「オフ」状態で動作することができる。例えば、ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度が、酸性ガスの吸収が低減しているか、又はそれ以上吸収されていないことを示すレベルに増加したら、脱着環境を「オン」に切り替えて、ヒドロゲルから酸性ガスを脱着することができる。
【0247】
いくつかの実施形態では、吸収された酸性ガスの少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%がヒドロゲルから脱着される。
【0248】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、60℃、80mbar、及び10sccmの空気流で21日間エージングした後、エージング前のヒドロゲルの初期酸性ガス吸収の少なくとも80%、95%、90%、90%、又は95%の酸性ガス吸収を維持する。本明細書で使用されるエージングは、多数の吸収及び脱着サイクルへのヒドロゲルの曝露を指す。
【0249】
本明細書に開示されるプロセスは、周囲温度、例えば、約10~35℃の範囲で実施され得る。プロセスはまた、一般に、典型的な大気圧(例えば、約90~105kPa、より典型的には約101kPa)付近で実施され得る。例えば、周囲温度は、15~30℃、又は20~25℃であり得る。
【0250】
本明細書に記載されるヒドロゲルを使用するプロセスは、低湿度又は高湿度の環境での使用にも好適である。この場合の低湿度は、約5mb未満の部分水蒸気圧力を意味する。約21℃では、これは、約20%以下の相対湿度に対応する。この場合の高湿度は、約5mb超の部分水蒸気圧力を意味する。約21℃では、これは、約20%超の相対湿度に対応する。相対湿度は、次のように定義される。
【数1】
【0251】
水の飽和蒸気圧は周知であり、温度によって変化する(Donald Ahrens,1994,Meteorology Today-an introduction to weather,climate and the environment Fifth Edition-West Publishing Co)。結果として、水蒸気圧は、所与の相対湿度の温度とともに変化する。これに関する図を以下に示す(http://ww2010.atmos.uiuc.edu/%28Gh%29/guides/mtr/cld/dvlp/rh.rxml,2014年12月にダウンロード)。
【表1】
【0252】
このプロセスは、湿度が低い環境での使用に有効である一方、他の処理は有効でない可能性がある、より高い湿度でも、有効である。言い換えれば、本プロセス及びヒドロゲルの利点の1つは、相対的に広い適用範囲(例えば、温度、圧力、及び湿度の広いパラメータの組み合わせ)、特に、広い湿度範囲にわたって使用することができることであり、更に特別な利点はより高い湿度での使用である。
【0253】
プロセスは、例えば、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、6%、4%、又は2%未満の相対湿度で実行され得る。プロセスは、約1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、30%、40%、50%、60%、又は70%超の相対湿度で実行され得る。プロセスは、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つ、例えば、約1%~約90%、約2%~約50%、約10%~約70%、約2%~約30%、約1%~約20%、又は約4%~約18%の相対湿度で実行され得る。所与の部分水蒸気圧力に対する相対湿度は、温度に依存することが理解されるであろう。部分水蒸気圧力及び温度は独立変数であり、相対湿度(RH)は従属変数であるが、相対湿度は任意の特定の温度で100%を超えてはならないという制約が存在する。例えば、温度が約10~45℃、約15~40℃、又は約20~35℃である、上記相対湿度値のうちのいずれか1つ以上が提供され得る。上記の相対湿度値は、例えば、温度が約15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、又は45℃の値であり得る。ここに開示されているプロセスの適用ウィンドウは、上記RH及び温度範囲又は値の任意の組み合わせであり得る。例えば、適用ウィンドウは、RHが約1%~約70%、及び約15℃~約40℃の温度範囲であり得る。
【0254】
湿度は、約60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2未満の部分水蒸気圧(mb単位)によって提供され得る。湿度は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50、60超の部分水蒸気圧(mb単位)によって提供することができる。湿度は、これらの値のうちの任意の2つ、例えば、約1~約50、例えば、約2~約25、例えば、約3~約15、例えば、約4~約10の範囲の部分水蒸気圧(mb単位)によって提供され得る。湿度は、上記の温度値又は範囲に従って所与の温度によって提供され得るが、温度値は、湿度が100%の相対湿度を超えないか、又はその部分蒸気圧がその飽和蒸気圧を超えないようなものであることが理解されるであろう。これらの部分水蒸気圧力値のうちのいずれかについての所与の温度における相対湿度は、例えば、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、又は20%未満であり得る。
【0255】
実施例
本開示がより明確に理解され得るように、本発明の特定の実施形態は、以下の非限定的な実験材料、方法、及び実施例を参照して、以下に更に詳細に記載される。
【0256】
一般材料
全ての化学物質は商業的供給源から購入し、供給されたものをそのまま使用した。分岐PEI(Mw約800)、分岐PEI(Mw約25,000)、PEI溶液(Mw約750,000、H2O中50重量%)、ジエタノールアミン(DEA)、トリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TMPTGE又はTTE、架橋剤)、PEG、アミノ酸塩、テトラエチルペンタミン(TEPA)、1,2-エポキシブタン(すなわち、1,2-ブチレンオキシド)(BO)、リン酸ナトリウム、及びエタノールがSigma-Aldrichにより供給された。分岐PEI(Mw約1,800)及び分岐PEI(Mw約10,000)をAlfa Aesar社から得た。PEI溶液の調製には、蒸留水を使用した。直接空気回収研究には、周囲空気を使用した。
【実施例1】
【0257】
実施例1:官能化ヒドロゲルの作製
官能化ヒドロゲルを調製するために、分岐ポリエチレンイミン(PEI)中の一級アミンの割合を、1H又は13C NMRを使用して判定した類似のポリマーの文献値に基づいて推定し、一級:二級:三級アミンの平均比は約36:37:27であった。この比に基づいて、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルで架橋した後、残りの一級アミンを反応させるのに必要な1,2-エポキシブタンのモル数を計算した。PEI対架橋剤の重量比が5:1の場合(架橋剤中のPEIの重量の20%)、PEIが0.25モルの一級アミン/PEI1モルからなると仮定して、1,2-エポキシブタン中でPEIの重量の27.5%を使用した。
【0258】
PEIをビーカーに入れ、その重量の2倍のエタノール中に溶解した。別個のビーカーに架橋剤とブチレンオキシドとを組み合わせ、その重量の2倍のエタノール中に溶解した。次いで2つの溶液を組み合わせ、激しく撹拌し、一晩放置して官能化/架橋させた。1,2-エポキシブタンによるPEIの官能化後、一級アミンの比は徐々に減少し、二級及び三級アミンは増加した。次いで、材料を80℃で一晩乾燥させてエタノールを除去し、その後、100%DEA溶液で膨潤させた。
【0259】
一級アミンの割合は、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミンなどの他のポリアルキレンイミンを含む他のポリアミンについても容易に評価することができ、ヒドロゲルは、その後、同様のプロトコルに従って形成され得ることが理解されるであろう。
【実施例2】
【0260】
実施例2:官能化ヒドロゲルを使用した酸性ガス回収
官能化ヒドロゲルは、1,2-エポキシブタンによって官能化されていないヒドロゲルと比較して高い取り込みを示し、同じ条件及び同じ非水性溶媒比(空気からCO2を回収する)で、7.3%の吸収に対して、官能化されていないPEIは3.9%であった。
【実施例3】
【0261】
実施例3:酸性ガス回収に対する液体膨潤剤の効果
異なる液体膨潤剤が酸性ガス回収に及ぼす効果を、表1に概説されている官能化ヒドロゲルを使用して調査した。
【0262】
ヒドロゲルの標識は、使用されるPEI(ポリエチレンイミン)のモル数と比較した、トリメタロールプロパントリグリシジルエーテル架橋剤(CL)及びブチレンオキシド官能性エポキシド(BO)のモル数に基づいている。例えば、PEI-CL-0.028-BO-0.17は、したがって、使用されるPEI1モルに対して、0.17モルのブチレンオキシド及び0.028モルのトリメタロールプロパントリグリシジルエーテルの比を意味する。全てのCO2取り込み値は、PEI及び任意の液体膨潤剤(添加されるキレータ又はアミノ酸塩を含む)を含むヒドロゲルの総重量に基づいている。接尾辞としてのバルク合成は、初期試験量(約15g)とは対照的に、相当量(例えば、>25g)で作製されたポリマーを説明する。接尾辞PO
4は、安定性を改善するためにキレータとしてリン酸ナトリウムを添加したことを示す(PEI重量の5%)。全ての実行は、特に明記しない限り、Gサイズのシリンダからの乾燥した工業用グレードの空気(400~500ppmのCO
2)を使用して、空気からのCO
2回収(直接空気回収、DAC)を行った。
【表2】
【実施例4】
【0263】
実施例4:エージング試験
この試験は、表1のヒドロゲル14を使用し、真空(80mbar)及び10sccmの気流下で60℃にて21日間曝露することによって、500回以上のサイクルをシミュレートするように設計された。ヒドロゲルの安定性は、初期CO
2取り込み(1.7%)をエージング後(1.4%)と比較することによって評価した(
図6参照)。これらの条件下での21日間は、材料の再生時間に基づいて>500回以上のサイクルをシミュレートしたことになる。目視では、ヒドロゲルはほとんどエージングの徴候を示さなかった(ポリマーのわずかな変色)。
【0264】
わずかな質量損失(3.56gから3.34g、6%の損失)があったが、これは液体膨潤剤(PEG)から微量の水分が失われたためである。結果は500回のサイクルに相当したので、この材料は60℃で経済的に有用なサイクル数まで安定である。
【実施例5】
【0265】
実施例5:官能化ヒドロゲルの再生
大規模展開に関連する条件下での再生中、ヒドロゲルは、材料から放出されるとCO
2に曝される。CO
2が豊富な大気下では、典型的には、尿素形成(すなわち、アミンとCO
2との間の脱水縮合)によりアミンが著しく不活性化される。官能化ヒドロゲルのCO
2取り込みは、多くのサイクルにわたって30日間操作した後も減少しなかった(
図5参照)。これは官能化ヒドロゲルの優れた安定性を実証している。特に、1.5kgの官能化ヒドロゲルを、70L/分の速度で空気に曝露した(空気の総体積は1,008,000リットル)が、酸化は見られなかった。この実験中、官能化ヒドロゲルを、尿素形成などのメカニズムによる分解に理想的な条件であるCO
2存在下で120℃に120時間加熱したが、本明細書に記載されるエポキシド官能化に起因する架橋ポリアミンに存在する一級アミンが最小限であったため、性能の低下は観察されなかった。
【0266】
当業者であれば、本開示の広範な一般的な範囲から逸脱することなく、上で説明される実施形態に対して多数の変形及び/又は改変がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的なものであり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0267】
本出願は、2021年3月5日に出願されたAU2021/900632からの優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流又は大気から酸性ガスを回収するためのヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルが、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含
み、前記架橋ポリアミンが、
前記酸性ガスに結合することができるアミン基を含み、1つ以上のアミン基が、任意に置換されたアルカノール基で置換され
ている、ヒドロゲル。
【請求項2】
気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルが、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを含
み、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、
c)架橋剤と、の反応組成物であり、
前記反応生成物の前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
前記酸性ガスに結合することができるアミン基を含み、1つ以上のアミン基が、任意に置換されたアルカノール基で置換され
ている、ヒドロゲル。
【請求項3】
前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーであって、前記アルカノールが、任意に置換されている、アルカノール置換ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)架橋剤と、の反応生成物である、請求項2に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーが、
a)架橋ポリアミン又はそのコポリマーと、
b)官能性エポキシドと、の反応生成物である、請求項2に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
前記アルカノール置換が、非アルカノール置換架橋ポリアミン又はそのコポリマーのアミン基分布と比較して、より少ない数の一級(1°)アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
前記アルカノール置換が、約5%~約20%の1°アミン基を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
前記アルカノール置換が、約1.0~約10.0の二級(2°):一級(1°)アミンの比を含むアミン基分布を有する、架橋ポリアミン又はそのコポリマーを提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
前記任意に置換されたアルカノール基が、任意に置換されたヒドロキシエチル基である、請求項1~7のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Iの構造を有し、
【化1】
式中、
R
1~R
4が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1又はR
4が、R
2又はR
3と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化2】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8に記載のヒドロゲル。
【請求項10】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Iaの構造を有し、
【化3】
式中、
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成し、
【化4】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8又は9に記載のヒドロゲル。
【請求項11】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
1-20アルコキシ、C
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール、C
1-20ヘテロアルキル若しくはC
3-20ヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたC
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール又はC
3-20ヘテロシクリルを形成する、請求項8~10のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項12】
前記任意に置換されたヒドロキシエチル基が、式Ib又は式Icの構造を有し、
【化5】
式中、
R
1が、水素、又は任意に置換されたC
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、C
1-10アルコキシ、C
3-10シクロアルキル、C
3-10アリール、C
1-10ヘテロアルキル若しくはC
3-10ヘテロシクリルから選択され、
【化6】
が、前記架橋ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミノ基上の結合点を表す、請求項8~11のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項13】
前記任意に置換されたアルカノール基が、C
1-10アルキルヒドロキシルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項14】
前記任意に置換されたアルカノール基が、2-ヒドロキシブタンである、請求項1~13のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項15】
前記ヒドロゲルを調製するために使用される前記ポリアミン又はそのコポリマーが、約1,000g/モル~約250,000g/モルの重量平均分子量(M
W)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項16】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%のポリアミン又はそのコポリマーを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項17】
前記ポリアミン又はそのコポリマーが、直鎖若しくは分岐
鎖ポリアミン又はそのコポリマーである、請求項1~16のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項18】
前記ポリアミン又はそのコポリマーが、ポリアルキレンイミンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項19】
前記ポリアルキレンイミンが、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、又はそれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.1重量%~約20重量%の架橋剤を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
前記官能性エポキシドが、モノエポキシドである、請求項2~
20のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項22】
前記官能性エポキシドが、式IIの構造を有し、
【化7】
式中、
R
1~R
4が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1又はR
4が、R
2又はR
3と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成する、請求項2~
21のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項23】
前記官能性エポキシドが、式IIaの構造を有し、
【化8】
式中、
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルを形成する、請求項
22に記載のヒドロゲル。
【請求項24】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素、又は任意に置換されたC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
1-20アルコキシ、C
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール、C
1-20ヘテロアルキル若しくはC
3-20ヘテロシクリルから選択されるか、あるいはR
1及びR
2が一緒に、任意に置換されたC
3-20シクロアルキル、C
3-20アリール又はC
3-20ヘテロシクリルを形成する、請求項
22又は
23に記載のヒドロゲル。
【請求項25】
前記官能性エポキシドが、式IIbの構造を有し、
【化9】
式中、
R
1が、水素、又は任意に置換されたC
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、C
1-10アルコキシ、C
3-10シクロアルキル、C
3-10アリール、C
1-10ヘテロアルキル若しくはC
3-10ヘテロシクリルから選択される、請求項
22~
24のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項26】
R
1が、C
1-10アルキルである、請求項
22~
25のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項27】
前記官能性エポキシドが、1,2-エポキシブタンである、請求項2~
26のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項28】
前記ヒドロゲルが、複数の粒子として提供される、請求項1~
27のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項29】
前記ヒドロゲルが、自立型ヒドロゲルである、請求項1~
28のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項30】
前記ヒドロゲルが、
前記ヒドロゲル内に吸収された液体膨潤剤を含む、請求項1~
29のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項31】
前記ヒドロゲルが、約1g/g~約100g/gの液体膨潤剤の膨潤能を有する、請求項
30に記載のヒドロゲル。
【請求項32】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約40重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含む、請求項
30又は
31に記載のヒドロゲル。
【請求項33】
前記液体膨潤剤が、水若しくは非水性溶媒、又はそれらの組み合わせである、請求項
30~
32のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項34】
前記液体膨潤剤が、化学プロセスによって前記酸性ガスに結合することができる1つ以上の官能基を含むか、又は物理プロセスによって酸性ガスを吸収することができる液体である、請求項30~43のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項35】
前記液体膨潤剤が、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
30~
34のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項36】
前記液体膨潤剤が、アルキルアミン、アルカノールアミン、及びグリコール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30~35のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項37】
前記液体膨潤剤が、水、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びアミノエトキシエタノール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
30~
36のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項38】
前記グリコールが、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセロール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
35又は
36に記載のヒドロゲル。
【請求項39】
請求項1~
38のいずれか一項に記載のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、溶液を、前記ポリアミン又はそのコポリマーを架橋するのに有効な温度及び期間で混合することを含み、前記ポリアミン又はそのコポリマーの1つ以上のアミン基が、前記エポキシドによって官能化されて、任意に置換されたアルカノール基を形成する、プロセス。
【請求項40】
前記官能性エポキシドが、前記架橋剤の添加前に、前記ポリアミン又はそのコポリマーを含む前記溶液と混合されて、前記任意に置換されたアルカノール基を形成するか、又は前記官能性エポキシドが、前記ポリアミン又はそのコポリマーを含む前記溶液の添加前に、前記架橋剤と混合される、請求項
39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、前記溶液が、約10℃~50℃の温度で混合される、請求項
39又は
40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、架橋剤、及び官能性エポキシドを含む、前記溶液が、約60分~約48時間の期間で混合される、請求項
39~
41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記ポリアミン又はそのコポリマー、前記架橋剤、及び/又は官能性エポキシドが、アルコールを含む溶液中に提供される、請求項
39~
42のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記ヒドロゲルを粉砕
/破砕して、複数のヒドロゲル粒子を形成するステップを更に含む、請求項
39~
43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記ヒドロゲルを脱水するステップを更に含む、請求項
39~
44のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項46】
前記脱水ヒドロゲルが、液体膨潤剤で膨潤される、請求項
45に記載のプロセス。
【請求項47】
気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、前記気体流若しくは大気から前記酸性ガスのうちの少なくとも一部を吸収する
ように、前記気体流又は大気を、請求項1~
38のいずれか一項に記載のヒドロゲル又は請求項
39~
46のいずれか一項に記載のプロセスに従って調製されたヒドロゲルと接触させることを含む、方法。
【請求項48】
前記酸性ガスが、二酸化炭素(CO
2)若しくは硫化水素(H
2S)、又はそれらの混合物である、請求項
47に記載の方法。
【請求項49】
前記気体流又は大気が、炭化水素ガスである、請求項
47又は
48に記載の方法。
【請求項50】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと接触させることが、前記気体流又は大気を、前記ヒドロゲルを含む床に通過させることを含む、請求項
47~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと接触させることが、前記気体流又は大気に前記ヒドロゲルの流れを導入することを含む、請求項
47~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着する再生回収方法を更に含む、請求項
47~
51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記再生回収方法が、前記ヒドロゲルを加熱して、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着させること、又は圧力を低減させることによって、若しくはそれらの組み合わせによって脱着させることを含む、請求項
52に記載の方法。
【請求項54】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルを蒸気又は熱交換器と接触させることによって加熱される、請求項
53に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒドロゲルが、60℃、80mbar及び10sccmの空気流で21日間エージングした後の酸性ガス吸収を、エージング前の前記ヒドロゲルの初期酸性ガス吸収の少なくとも80%に維持する、請求項
47~
54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
請求項1~
38のいずれか一項に記載の
気体流若しくは大気から酸性ガスを回収するためのヒドロゲル
、又は請求項
39~
46のいずれか一項に記載のプロセスに従って調製されたヒドロゲルを囲むチャンバを備え
る吸着装置であって、前記チャンバは、
前記気体流若しくは大気を前記ヒドロゲルと接触させて、前記酸性ガスの少なくとも一部を前記ヒドロゲルに吸収させる、吸着装置。
【請求項57】
前記チャンバが、気体流又は大気が前記ヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流が前記ヒドロゲルから流出することができる出口と、を備える、請求項56に記載の吸着装置。
【国際調査報告】