(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】足と支持面との間の力を検出するためのセンサー装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240219BHJP
A43B 3/44 20220101ALI20240219BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A43B3/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553637
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022055563
(87)【国際公開番号】W WO2022184900
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521485542
【氏名又は名称】エムシージー モーション キャプチャー ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】521485531
【氏名又は名称】センモーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォス,ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】エルテルト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クウィアテク,アンドレ
【テーマコード(参考)】
4C038
4F050
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB14
4F050BA33
4F050GA30
(57)【要約】
本発明は、足と支持面との間の力を検出するためのセンサー装置(100)を提供する。センサー装置は、向上した耐久性をもつ一方で、正確な力測定を可能にする。センサー装置(100)は、キャリア(110)によって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として配置されている、複数の箔状のセンサー素子(120)と、複数のパッド要素(130)であって、前記パッド要素(130)の数は前記センサー素子(120)の数に対応し、前記パッド要素(130)は、前記複数のパッド要素(130)のそれぞれ1つの面積範囲が前記複数のセンサー素子(120)の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置されている、複数のパッド要素(130)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足と支持面との間の力を検出するためのセンサー装置(100)であって、
キャリア(110)によって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として配置されている、複数の箔状のセンサー素子(120)と、
複数のパッド要素(130)であって、前記パッド要素(130)の数は前記センサー素子(120)の数に対応し、前記パッド要素(130)は、前記複数のパッド要素(130)のそれぞれ1つの面積範囲が前記複数のセンサー素子(120)の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置されている、複数のパッド要素(130)とを備える、センサー装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のパッド要素のちょうど1つが、前記複数のセンサー素子のちょうど1つに割り当てられている、センサー装置(100)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のセンサー素子のそれぞれは、前記複数のパッド要素のうちの割り当てられた1つと一緒に、前記複数のセンサー素子のうちの他の素子およびそれらの割り当てられたパッド要素に対して独立するように配置されている、センサー装置(100)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のパッド要素と前記複数のセンサー素子とは、少なくとも部分的におよび各セクションでの少なくとも一方で互いに取り付けられている、センサー装置(100)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のパッド要素(130)のそれぞれ1つは、前記キャリア(110)のうちの前記支持面に対向する面に貼付されている、センサー装置(100)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のパッド要素(130)の材料は、少なくとも弾性またはゴム弾性の特性を有する、センサー装置(100)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のパッド要素(130)の前記材料は、ショアA硬度が10から60の範囲、好ましくは20から50の範囲、さらに好ましくは25から45の範囲、さらにもっと好ましくは30から40の範囲にあり、最も好ましくは35である、センサー装置(100)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記複数のセンサー素子(120)の前記数および前記複数のパッド要素(130)の前記数の少なくとも一方は、3と30との間、好ましくは13と18との間、最も好ましくは15または16である、センサー装置(100)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)であって、前記キャリア(110)は少なくとも1つの箔によって形成されている、センサー装置(100)。
【請求項10】
シューズ用のソール装置(10)であって、請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)と、少なくとも1つのソール要素(200、300)とを備え、前記センサー装置(100)と前記少なくとも1つのソール要素(200、300)とは、互いに対して浮くように配置されている、ソール装置(10)。
【請求項11】
請求項10に記載のソール装置であって、前記少なくとも1つのソール要素(200)はカバーソールを備え、前記カバーソールは、前記センサー装置(100)に対して浮くように配置されており、前記センサー装置(100)の複数のパッド要素(130)の材料よりもショアA硬度が高い材料から作製されている、ソール装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載のソール装置であって、前記少なくとも1つのソール要素(300)はインソールを備え、前記インソールは、前記センサー装置の複数のパッド要素の材料よりもショアA硬度が高い材料から作製されている、ソール装置。
【請求項13】
足と支持面との間の力を検出するための検出システム(1)であって、
シューズ(600)と、
請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサー装置(100)を備える、請求項10から12のいずれか1項に記載のソール装置(10)と
前記センサー装置(100)に接続された電源装置(400)と、
前記センサー装置(100)に接続された評価回路(500)と
を備え、
前記電源装置(400)および前記評価回路(600)は、前記シューズ(600)および前記ソール装置(10)の少なくとも一方の、少なくとも1つのソール要素の材料凹部に収容されている、検出システム(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の検出システムであって、前記評価回路(500)は、前記センサー装置(100)の複数のセンサー素子(120)を通して検出される力の合計を計算することによって体重計として動作するように構成されている、検出システム。
【請求項15】
センサー装置(100)を提供するための方法であって、前記センサー装置(100)は、足と支持面との間の力を検出するように構成されており、前記方法は、
キャリア(110)によって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として、複数の箔状のセンサー素子(120)を配置すること(S1)と、
複数のパッド要素(130)を配置すること(S2)であって、前記パッド要素(130)の数は前記センサー素子(120)の数に対応し、前記複数のパッド要素(130)のそれぞれ1つの面積範囲が前記複数のセンサー素子(120)の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置すること(S2)とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ医学および歩行分析の少なくとも一方の分野に関し、詳細には、足と支持面との間の力を検出するためのセンサー装置に関する。さらに、本発明は、シューズ用のソール装置と、足と支持面との間の力を検出するための検出システムと、センサー装置を提供するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スポーツ医学、歩行分析などでは、歩行、ウォーキング中に発生する力、例えば地面反力を可能な限り正確に測定してそこから歩行を判定するべきであるという用途がある。そのために、発生する力を測定するためにシューズにセンサー装置を利用することができる。測定の所望の正確さに応じて、センサー装置は複数のセンサー素子を含むことができる。
【0003】
センサー素子は、シューズ内で、例えば、ポリマーフォームに埋め込まれている場合がある。フォームに埋め込まれていると、センサー装置に機械的応力が生じることがある。というのは、フォームが例えばせん断応力または引張応力などを引き起こし、それが複数のセンサー素子のセンサーフィルム層および複数のセンサー素子に接続されたワイヤーの少なくとも一方に機械的に応力をかけるからである。さらに、フォームは、センサー装置に比較的非線形のセンサー特性を引き起こし、これはセンサー信号処理の間に考慮に入れる必要があり、そのため、演算集約的であり機能が複雑な、較正および補償の少なくとも一方が必要になる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、センサー装置をシューズに組み込むための改善された手段を提供する必要がある場合がある。本発明の一目的は、耐久性および正確な力測定の少なくとも一方を提供する、シューズに利用可能なセンサー装置を提供することである。
【0005】
その目的は独立請求項の主題によって達成され、さらなる実施形態は従属請求項に定義されている。
【0006】
第1の態様では、足と支持面との間の少なくとも1つの力を検出するためのセンサー装置が提供される。センサー装置は、移動歩行分析などのために構成することができる。センサー装置は、キャリアによって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として配置されている、複数の箔状のセンサー素子を備える。さらに、センサー装置は、複数のパッド要素と、パッド要素の数に対応する複数のセンサー素子とを備える。また、複数のパッド要素のそれぞれ1つの面積範囲が複数のセンサー素子の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置されている。
【0007】
このように、センサー素子をフォームに埋め込むのとは対照的に、パッド要素は、センサー素子を完全に取り囲む代わりに、複数のセンサー素子のそれぞれ1つの面だけをカバーする。これにより、張力およびせん断力の少なくとも一方の影響が少なくとも軽減されるため、センサー素子への機械的応力を軽減させることができ、そうすることで、耐久性が向上する。さらに、ワイヤーがパッド要素の周りを通ることができるため、センサー素子に接続されたワイヤーへの機械的応力を軽減できる。さらに、パッド要素が個別に配置されていると、フォームに埋め込まれているときよりも力の消失および反動の少なくとも一方が直接的であるため、フォームに埋め込まれているときに、特にフォームが同時に複数のセンサー素子を埋め込んでいるときにできるよりも、検出される力の割合が高くなる。その結果、第1の態様のセンサー装置は正確な力測定を提供する。フォームはその装置および材料特性の少なくとも一方によって非線形に挙動するが、複数のパッド要素の装置および材料特性の少なくとも一方は、非線形の信号特性の較正および補償の少なくとも一方に関する労力を軽減できる。
【0008】
本明細書で用いるように、箔状のセンサー素子は、力感知抵抗器(FSR)技術、または箔と導電性材料および半導体材料の少なくとも一方との任意の他の種類の層装置を利用でき、足が床面を打つときに発生する力を示すセンサー信号を生成するように構成できる。
【0009】
例えば、センサー素子は、非導電性のキャリア箔および第1の層の長手方向に沿って少なくとも部分的に延び導電性領域と接触する第1の半導体層を備える、第1の層と、複数の導電性セクションを備える層と、少なくとも1つの電気接続領域と、非導電性のキャリア箔および第2の層の長手方向に沿って少なくとも部分的に延びる第2の半導体層を備える、第2の層と、を備えることができ、少なくとも1つの電気接続領域は、第1および第2の層の一方の半導体層と接触し、電気エネルギー源に接続されるように適合されており、第1の半導体層および第2の半導体層は、互いからある距離の位置に配置されており、センサー素子に加えられる力に応じて互いに選択的に接触するように適合され、そうすることで、センサー素子の抵抗値が変更される。
【0010】
さらに、センサー装置の各センサー素子は、加えられる力によって引き起こされる荷重条件に従って変化し得る割り当て信号を出力するように構成することができる。第1の層および第2の層の少なくとも一方のキャリア箔は、ポリエステルなどの適切なプラスチックから形成でき、厚さが約50~150ミクロン(μm)、好ましくは約80~120μm、好ましくは約100μmでよい。第1の半導体層および第2の半導体層の少なくとも一方は、インクとして、具体的にはカーボンインクとして形成されてよい。導電性領域は、銀含有インクまたは銀インクなどの導電性インクによって形成できる。導電性領域は、電気回路への接続として働くことができ、さらに、第1の層と第2の層との間に配置できる炭素中間層の導体およびコネクターとして働くことができる。その炭素層は、表面ならびに混合物によって判定され得る、既定の電気抵抗を有することができる。その表面の抵抗は用途に応じて選択することができる。銀は導電性がグラファイトよりも高く、そのことが、例えば、抵抗、特に入力インピーダンスを有意に低下させる。センサー素子のさらなる詳細および実施形態の少なくとも一方について、国際公開第2020/224937(A1)号が参照され、その文献の内容は全体が本明細書に組み込まれる。パッド要素は、インソール等のシューズの隣接部分に力を導入するように構成された、ある種のスタンプと理解することもできる。好ましくは、パッド要素は、関連するセンサー素子の平坦面とだけ接触し、その平坦面は箔の表面によって形成することができる。パッド要素は、例えば、プレート形状、直方体形状などでよく、平坦面は、実質的に、割り当てられたセンサー素子に対応する平坦面のサイズまたは面積を有する。個別に配置されることは、パッド要素が互いにまったく接続されていないか、または単一のパッド要素の間で力をほぼ伝達できない程度に少なくとも非常に弱く接続されているだけであると理解できる。
【0011】
本明細書で用いるように、複数のパッド要素のそれぞれ1つと、複数のセンサー素子の対応する1つ、すなわち割り当てられた1つとが重なることは、力が加えられる方向に対するものでよい。好ましくは、互いに対向するパッド要素およびセンサー素子の表面は、(本質的に)同じであるおよび(本質的に)同じ表面積を有する、の少なくとも一方でよい。
【0012】
好ましくは、センサー素子の数およびセンサー素子の少なくとも一方はnでよく、ここで、nは2以上の整数である。言い換えれば、センサー装置は複数のセンサー素子を備えることができる。それらは、測定される力の正確な測定を実現するようにキャリアが幾何学的に適合される仮想の足表面全体に、分布するように配置できる。センサー装置はセンサーアレイと称されることもある。
【0013】
さらに、個別のパッド要素は個別のセンサー素子に取り付けることができる。
【0014】
一実施形態によれば、複数のパッド要素のちょうど1つを、複数のセンサー素子のちょうど1つに割り当てることができる。言い換えれば、単一のセンサー素子が単一のパッド要素に取り付けられている。このように、パッド要素は、互いに全く接続されず、単一のセンサー素子とだけ相互作用し、そのため、特に正確な力測定が可能である。さらに、単一のパッド要素は、単一のセンサー素子およびセンサー素子に接続するワイヤーまたは配線の少なくとも一方に、機械的応力を加えることはほぼない。
【0015】
一実施形態では、複数のセンサー素子のそれぞれは、複数のパッド要素のうちの割り当てられた1つと一緒に、複数のセンサー素子のうちの他の素子およびそれらの割り当てられたパッド要素に対して独立するように配置されるとよい。このように、パッド要素は、互いに全く接続されず、単一のセンサー素子とだけ相互作用する。さらに、このように、パッド要素は、センサー素子に接続するワイヤーまたは配線に機械的応力を加えることがない。
【0016】
一実施形態によれば、複数のパッド要素と複数のセンサー素子とは、少なくとも部分的におよび各セクションでの少なくとも一方で互いに取り付けられているとよい。これは、複数のパッド要素のそれぞれ1つと複数のセンサー素子の対応する1つとを互いに固定するのに適切な任意のタイプのロックでよい。例えば、取り付けは、接着剤等を使用することによる材料ロックなど、または例えば凸部と凹部との相互作用による形状嵌めなどでよい。これは、パッド要素がセンサー素子に対してずれることまたは動くことを阻止し、その逆も同様である。
【0017】
一実施形態では、複数のパッド要素のそれぞれ1つは、キャリアのうちの支持面に対向する面に貼付されているとよい。例えば、センサー装置またはセンサー素子のうちの足に対向する面が上側である場合は、パッド要素はその底側に配置することができる。代替的に、センサー装置またはセンサー素子のうちの足に対向する面が底側である場合は、パッド要素はその上側に配置することができる。そのことは、センサー素子に効果的に力が加えられることを可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、複数のパッド要素の材料は、少なくとも弾性またはゴム弾性の特性を有するとよい。例えば、材料はゴムまたはシリコンなどでよい。これは高い耐久性をもたらす。さらに、力測定信号へのパッド要素の影響を推定することができる。
【0019】
一実施形態では、複数のパッド要素の材料は、ショアA硬度が10から60の範囲、好ましくは20から50の範囲、さらに好ましくは25から45の範囲、さらにもっと好ましくは30から40の範囲にあり、最も好ましくは35であるとよい。そのことが、材料を可撓、稠密、かつ頑強にする。これは高い耐久性をもたらす。さらに、力測定信号へのパッド要素の影響を推定することができる。
【0020】
一実施形態によれば、複数のセンサー素子の数および複数のパッド要素の数の少なくとも一方は、2と30との間、または3と30との間、好ましくは13と18との間にあり、最も好ましくは15または16がよい。それらは、測定される力の正確な測定を実現するようにキャリアが幾何学的に適合される、仮想の足表面全体に分布するように配置できる。そのことによって、センサー装置は、センサー装置の複数のセンサー素子を通して検出される力の合計を計算することで体重計として機能するように情報を提供することができる。さらに、複数のセンサー素子および複数のパッド要素の少なくとも一方は、足の中間領域およびヒール領域において、指に似せることができる、足の長手方向に延びる複数の別々のトラック上でつま先の方向に配置できる。
【0021】
一実施形態では、パッド要素の材料厚さは、約1mmと10mmとの間、好ましくは約1mmと8mmとの間、より好ましくは約2mmと5mmとの間にあり、最も好ましくは3mmと4mmとの間にある。
【0022】
一実施形態では、キャリアは少なくとも1つの箔によって形成されている。ワイヤーは、箔に埋め込まれるか、モールド成型されるか、またはプリントされてよい。さらに、箔は複数層状でよい。
【0023】
一実施形態によれば、複数のセンサー素子は境界によって囲まれてよく、その境界の厚さは、センサー素子に加えられる力の方向について、複数のパッド要素の厚さ以下である。境界の材料は、複数のパッド要素と同じでよい。このように、センサー装置上に配置できるカバーソールの、例えばインソールの方向における座屈は、少なくとも最小限に抑えることができる。
【0024】
第2の態様によれば、シューズ用のソール装置が提供されている。ソール装置は第1態様によるセンサー装置と、少なくとも1つのソール要素を備える。センサー装置と少なくとも1つのソール要素とは、互いに対して浮くように配置されている。
【0025】
浮くような配置によって、センサー装置およびセンサー素子の少なくとも一方の1つまたは複数の箔は、荷重下でたわむ可能性が最大になり、すなわち、高い滑りダイナミクスを有する。言い換えれば、カバーソールおよび足の少なくとも一方が、センサー装置上で「浮く」。その結果、足/シューズの動きは、センサー装置およびセンサー素子の少なくとも一方の1つまたは複数の箔、およびセンサー素子に接続しているワイヤーまたは配線の少なくとも一方に、有意の張力を引き起こさない。これは高い耐久性をもたらす。
【0026】
シューズは、スポーツシューズ、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ、ビジネスシューズなどでよい。
【0027】
一実施形態では、センサー装置のキャリアおよび少なくとも1つのソール要素は、各パッド要素によって形成された層によって本質的に離間配置でき、好ましくは、キャリアと少なくとも1つのソール要素との間の空間は、約1mmと10mmとの間、好ましくは約1mmと8mmとの間、より好ましくは約2mmと5mmとの間にあり、最も好ましくは3mmと4mmとの間でよい。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも1つのソール要素は、上側ソールとも呼ばれるカバーソールを備え、そのカバーソールは、センサー装置に対して浮くように配置され、センサー装置の複数のパッド要素の材料よりもショアA硬度が高い材料から作製されている、のがよい。ショアA硬度は、少なくとも60、好ましくは90と100との間、最も好ましくは95でよい。したがって、足は、カバーソール上に置かれ、体重、すなわち各センサー素子によって測定される力の総和は、専ら複数のセンサー素子および複数のパッド要素を介して伝達される。
【0029】
一実施形態では、少なくとも1つのソール要素は、下側ソールとも呼ばれるインソールを備え、そのインソールは、センサー装置の複数のパッド要素よりもショアA硬度が高い材料から作製されている、のがよい。ショアA硬度は、少なくとも60、好ましくは90と100との間、最も好ましくは95でよい。
【0030】
好ましくは、カバーソールおよびインソールの少なくとも一方は、センサー装置の表面範囲に対応する表面範囲を有してよい。その表面は、わずかに長くてよいが、幅が広すぎるかまたはソールが長すぎることで力の一部がシューズの側壁に伝達されることを避けるべきである。
【0031】
一実施形態では、カバーソールならびに下側ソールは、センサー装置の表面範囲よりもわずかに大きい表面範囲を有することができ、カバーソールの表面範囲は、下側ソールの表面範囲よりもわずかに大きいことが好ましい。
【0032】
一実施形態によれば、複数のパッド要素の少なくとも一部分は、材料ロックによってインソールに接続されてよい。代替的または付加的に、複数のパッド要素の少なくとも一部分は、インソールにモールド成型されてよい。このように、複数のパッド要素およびセンサー装置の少なくとも一方は、一方の面で固定されてよく、反対側の面はカバーソールと共に浮いている。これは高い耐久性をもたらす。
【0033】
第3の態様によれば、足と支持面との間の力を検出するための検出システムが提供される。本システムは、シューズと、第1の態様によるセンサー装置を備える第2の態様によるソール装置とを備える。さらに、本システムは、センサー装置に接続された電源装置と、センサー装置に接続された評価回路とを備える。そのシステムによれば、電源装置および評価回路の少なくとも一方は、シューズおよびソール装置の少なくとも1つのソール要素の少なくとも一方の材料凹部に収容される。
【0034】
このように、耐久性および正確な力測定の少なくとも一方を提供する、シューズに利用されるシステムが提供される。さらに、材料凹部に電源装置および評価回路の少なくとも一方を収容すると、ソール装置をシューズに固定し易くなる。
【0035】
一実施形態では、評価回路は、センサー装置の複数のセンサー素子を通して検出される力の合計を計算することによって体重計として動作するように構成されている。上記で説明したセンサー装置は、複数のセンサー素子のそれぞれを介して正確な力測定をもたらすことができる。個別のセンサー信号または値を足し合わせると、体重の力の合計をもたらすかまたは合計そのものになる。そのために、評価回路は、複数のセンサー素子のセンサー信号を処理するように構成することができる。体重の計算は、評価回路および外部の評価ソフトウェアの少なくとも一方などによって行うことができる。
【0036】
第4の態様によれば、センサー装置を提供するための方法を定める。センサー装置は、足と支持面との間の力を検出するように構成されている。その方法は、キャリアによって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として複数の箔状のセンサー素子を配置することと、複数のパッド要素を配置することであって、パッド要素の数は前記センサー素子の数に対応し、複数のパッド要素のそれぞれ1つの面積範囲が複数のセンサー素子の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置すること、とを含む。
【0037】
関係する態様とは関係なく、上述の実施形態を互いに組み合わせてよいことに留意されたい。したがって、本方法は他の態様の装置の構造的特徴と組み合わせてよく、同様に、第1の態様、第2の態様、および第3の態様の装置を互いの特徴と組み合わせてよく、第4の態様による方法に関して上記に記載した特徴と組み合わせてもよい。
【0038】
本発明のこれらのおよび他の態様は、本明細書で以下に記載する実施形態から明らかになり、それらを参照することで解明される。
【0039】
本発明の例示的な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】一実施形態によるセンサー装置を上面斜視図に示す。
【0041】
【
図2】一実施形態によるセンサー装置を底面斜視図に示す。
【0042】
【
図3】一実施形態によるセンサー装置およびソール装置を断面図に示す。
【0043】
【
図4】一実施形態によるセンサー装置、ソール装置、および検出システムを断面図に示す。
【0044】
【
図5】一実施形態によるセンサー装置、ソール装置、および検出システムを断面図に示す。
【0045】
【
図6】一実施形態による方法をフローチャートに示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、例示的な実施形態による、センサーアレイと称されることもある、足と支持面との間の力を検出するように構成されたセンサー装置100を斜視上面図に示す。測定される力は、地面反力と称されることもある。
【0047】
センサー装置100はキャリア110を備える。キャリア110は、箔またはラミネートでよい。
【0048】
さらに、センサー装置100は、キャリア110によって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として配置されている、複数の箔状のセンサー素子120を備える。複数のセンサー素子120は、FSRセンサー、または圧縮力を測定するように構成された、箔、導電性要素、非導電性要素、および半導体要素の少なくとも1つの別の装置でよい。センサー素子120の数は、2と30との間、または3と30との間、好ましくは13と18との間にあり、最も好ましくは15または16である。
図1に示す例示的な実施形態において、センサー素子120の数は16である。
図1によれば、センサー素子120は、キャリア110によって画定された平面全体に分散するように配置されている。
【0049】
センサー装置100はさらに、複数のパッド要素130を備える。パッド要素130の数は、センサー素子120の数に対応する。したがって、パッド要素130の数は、2と30との間、または3と30との間、好ましくは13と18との間にあり、最も好ましくは15または16である。
図1に示す例示的な実施形態において、パッド要素130の数は16である。さらに、複数のパッド要素130は、複数のパッド要素のそれぞれ1つの面積範囲が複数のセンサー素子の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置されている。言い換えれば、複数のパッド要素130のちょうど1つが、複数のセンサー素子120のちょうど1つに割り当てられる。
図1によれば、複数のセンサー素子120のそれぞれは、複数のパッド要素130の割り当てられた1つと一緒に、複数のセンサー素子120のうちの他の素子およびそれらの割り当てられたパッド要素130に対して独立するように配置されている。したがって、個別のパッド要素130の周りに、ワイヤーまたは配線(図示せず)を敷設するための空間がある。複数のパッド要素130の材料は、少なくとも弾性またはゴム弾性の特性を有する。好ましくは、複数のパッド要素の材料は、ショアA硬度が10から60の範囲、好ましくは20から50の範囲、さらに好ましくは25から45の範囲、さらにもっと好ましくは30から40の範囲にあり、最も好ましくは35でよい。
【0050】
図1によれば、複数のセンサー素子120と複数のパッド要素130とは、互いに上下に配置されている。好ましくは、互いに対向する複数のパッド要素130のそれぞれ1つおよびセンサー素子120のそれぞれ1つの表面積は、互いに一致するかまたは少なくともほぼ同じサイズである。
【0051】
好ましくは、複数のパッド要素130と複数のセンサー素子120とは、少なくとも部分的におよび各セクションでの少なくとも一方で互いに取り付けられている。例えば、接着剤等を使用することによる材料ロック、または形状ロックなど、適切なロック装置が提供され得る。
【0052】
図1によれば、複数のパッド要素130のそれぞれ1つは、キャリアのうちの支持面に対向する面および複数のセンサー素子の対応する1つの少なくとも一方に貼付されている。
【0053】
図2は、センサー装置100のさらなる例示的な実施形態を斜視底面図に示す。したがって、複数のセンサー素子120および複数のパッド要素130の少なくとも一方は、境界140によって囲まれていてよく、境界140の厚さは、センサー素子120に加えられる力の方向について、複数のパッド要素130の厚さ以下である。境界140の材料は、複数のパッド要素130と同じでよく、または少なくとも同様の材料特性を有してよい。さらに、少なくとも弾性またはゴム弾性の特性を有する複数のパッド要素130の材料は、ショアA硬度が10から60の範囲、好ましくは20から50の範囲、さらに好ましくは25から45の範囲、さらにもっと好ましくは30から40の範囲にあり、最も好ましくは35である。
【0054】
図3は、上述の実施形態の1つまたは複数によるセンサー装置100を断面図に示す。図によれば、センサー装置100はソール装置10の一部である。したがって、シューズに利用されるように構成されたソール装置1は、センサー装置100と、少なくとも1つのソール要素200、300とを備える。
図3の例示的な実施形態において、第1のソール要素200は、カバーソール、すなわち上側のソールを備えるかまたは形成し、センサー装置100に対して浮くように配置されている。さらに、ソール要素200は、センサー装置100の複数のパッド要素130の材料よりもショアA硬度が高い材料から作製されてよい。さらに、第2のソール要素300は、インソール、すなわち下側のソールを備えるかまたは形成する。第2のソール要素300は、センサー装置100の複数のパッド要素130の材料よりもショアA硬度が高い材料から作製されてよい。
【0055】
図3によれば、力Fは、矢印で示された方向に加えられてよい。その方向では、複数のパッド要素130のそれぞれ1つの面積範囲が、複数のセンサー素子120の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なっている。さらに、複数のパッド要素130と複数のセンサー素子120とは、互いに上下に配置されている。第1のソール要素200、すなわちカバーソールは、センサー装置100上に、すなわちその上方に浮くように配置されている。第2のソール要素300は、複数のパッド要素130を保持および支持の少なくとも一方を行い、したがって、センサー装置100の下方に配置されている。
【0056】
さらに、
図3は、センサー装置100に接続された電源装置400と、センサー装置100に接続された評価回路500とを示す。評価回路500は、複数のセンサー素子120の信号を評価するように構成されている。
【0057】
図4は、上述の実施形態の1つまたは複数によるセンサー装置100を断面図に示す。図によれば、センサー装置100は、足と支持面との間の力を検出するための、ソール装置10および検出システム1の少なくとも一方の一部である。検出システム1は、シューズ600と、ソール装置10とを備え、ソール装置10はセンサー装置100を備える。さらに、検出システム1は、電源装置400と評価回路500とを備える。
図4によれば、電源装置400および評価回路500は、シューズ600およびソール装置の少なくとも一方の、少なくとも1つのソール要素材料の凹部に収容されている。
【0058】
さらに、
図4によれば、パッド要素130の少なくともいくつかまたはすべては、
図4に参照符号Aで示されているように、複数のセンサー素子120の対応する1つに取り付けられている。取り付けは、接着剤等を使用することによる材料ロックによって行われてよい。代替的または付加的に、取り付けは、形状ロックによって行われてよく、その形状ロックでは、パッド要素130のそれぞれ1つが凸部を有することができ、センサー素子120の対応する1つが材料凹部を有することができる。
【0059】
図5は、上述の実施形態の1つまたは複数によるセンサー装置100、特に、
図4による検出システム1を、断面図に示す。
図5によれば、第1のソール要素200、すなわちカバーソールは、シューズ600に、好ましくはシューズ600の側壁に密着してよく、または、接着剤等を使用することによる材料ロック等
によって、シューズ600に、好ましくはシューズ600の側壁に取り付けられるおよび固定される、の少なくとも一方でよい。このような取り付けまたは固定は、
図5に参照符号Bで示されている。シューズ600またはその側壁に密着しているか、または取り付けられているかもしくは固定されていることによって、センサー装置100またはセンサー素子120が例えば汚れから保護されることが可能になる。さらに、電源装置400または評価回路500は、シューズ600の材料凹部内に配置されている。
【0060】
機能の観点から、評価回路500は、センサー装置100の複数のセンサー素子120を通して検出される力の合計を計算することによって、体重計として動作するように構成できる。計算には、複数のセンサー素子120の個々の力を足し合わせることを含んでよい。
【0061】
図6は、上述の実施形態のいずれか1つによるセンサー装置100を提供するための方法をフローチャートに示す。本方法は、第1のステップS1で、キャリア110によって形成された少なくとも実質的に共通の平面に、個別の要素として、複数の箔状のセンサー素子120を配置することを含む。本方法はさらに、第2のステップS2で、複数のパッド要素130を配置することであって、パッド要素130の数はセンサー素子120の数に対応し、複数のパッド要素130のそれぞれ1つの面積範囲が複数のセンサー素子120の対応する1つの面積範囲と少なくとも部分的に重なるように、個別の要素として配置することを含む。
【0062】
本発明の実施形態が様々な主題を参照しながら記載されていることに留意されたい。具体的には、複数の実施形態は方法タイプのクレームに関して記載されており、他の実施形態はデバイスタイプのクレームに関して記載されている。しかし、当業者であれば、先行および後続の説明から、通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴の間の任意の組み合わせも本願によって開示されていると見なされると推測するであろう。しかし、すべての特徴を組み合わせることで、特徴を単純に足し合わせるよりも相乗効果をもたらすことができる。
【国際調査報告】