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特表2024-508569熱管理統合モジュール及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】熱管理統合モジュール及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20240219BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240219BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240219BHJP
【FI】
B60K11/02
B60K1/04 Z
B60L3/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576243
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2022086118
(87)【国際公開番号】W WO2022267631
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110703529.X
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(71)【出願人】
【識別番号】523327189
【氏名又は名称】ニンボー ジーリー オートモービル リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】リン、ビンロン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ジュンボー
(72)【発明者】
【氏名】リー、グイビン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、チアン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ、ハイジアン
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D038AC23
3D235AA01
3D235BB18
3D235BB19
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235FF43
3D235HH02
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125CD06
5H125FF21
(57)【要約】
熱管理統合モジュール100であって、マルチチャンネル統合板110であって、マルチチャンネル統合板110には複数の冷却接続管路が形成され、マルチチャンネル統合板110は熱管理統合モジュール100のキャリアとして配置されている、マルチチャンネル統合板と、少なくとも2つの熱管理部材であって、マルチチャンネル統合板110に取付けられ、冷却接続管路を介して相互の間の接続を実現する、少なくとも2つの熱管理部材と、を含む。また、電気自動車にも関する。マルチチャンネル統合板の設計を採用することで、異なる熱管理部材間の接続通路としてだけでなく、統合モジュール全体のキャリアとしても機能でき、熱管理部材をマルチチャンネル統合板上に統合することができ、低コスト、軽量、小配置スペースの熱管理統合モジュールを形成することができる。また、熱管理統合モジュールはモジュール化されて供給されることができ、サプライヤの管理及び生産作業工数を大幅に最適化する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理統合モジュールであって、
マルチチャンネル統合板であって、前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却接続管路が形成され、前記マルチチャンネル統合板は前記熱管理統合モジュールのキャリアとして配置されている、前記マルチチャンネル統合板と、
少なくとも2つの熱管理部材であって、前記マルチチャンネル統合板に取付けられ、前記冷却接続管路を介して相互の間の接続を実現する、前記少なくとも2つの熱管理部材と、を含む熱管理統合モジュール。
【請求項2】
前記熱管理部材は、
膨張水缶、多方弁、ウォーターポンプ、熱交換器、凝縮器、温度センサ、乾燥瓶、電子膨張弁、二方比例弁、空調管路のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項3】
前記熱管理部材が前記ウォーターポンプを含む場合、前記ウォーターポンプの数は少なくとも2つであり、少なくとも2つの前記ウォーターポンプは、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端の同じ一側に取付けられ、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って配列され、
前記熱管理部材が前記膨張水缶を更に含む場合、前記膨張水缶は、前記マルチチャンネル統合板における前記ウォーターポンプに対向する他側の位置に取付けられる、請求項2に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項4】
前記熱管理部材が前記多方弁を含む場合、前記多方弁は前記マルチチャンネル統合板の一側の中間部位に取付けられ、前記多方弁が九方弁である、請求項2に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項5】
前記熱管理部材が前記熱交換器を更に含む場合、前記熱交換器は、前記マルチチャンネル統合板における前記多方弁と同じ一側であって前記多方弁に隣接する位置に取付けられ、
前記熱管理部材が前記凝縮器を更に含む場合、前記凝縮器は、前記マルチチャンネル統合板における長手方向の一端に取付けられ、前記熱交換器とともに前記マルチチャンネル統合板の同じ一側に位置して前記熱交換器に隣接する、請求項4に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項6】
前記熱管理部材が、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記空調管路とを更に含む場合、前記乾燥瓶と前記電子膨張弁とは前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器に対向する他側の位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続され、または
前記熱管理部材が前記電子膨張弁と前記空調管路とを更に含む場合、前記電子膨張弁は、前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器と同じ一側であって前記熱交換器に隣接する位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続される、請求項5に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項7】
前記空調管路には、内蔵凝縮器入口接続口、内蔵凝縮器出口接続口、圧縮機入口接続口及び圧縮機出口接続口がさらに設置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口と前記内蔵凝縮器出口接続口とは、それぞれ車両の空調機本体の内蔵凝縮器の冷媒接続管路に接続するように配置され、前記圧縮機入口接続口と前記圧縮機出口接続口とは、それぞれ前記車両の圧縮機の冷媒接続管路に接続するように配置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口、前記内蔵凝縮器出口接続口、前記圧縮機入口接続口及び前記圧縮機出口接続口の位置を、前記内蔵凝縮器及び前記圧縮機の配置位置に応じて分布させることにより、前記内蔵凝縮器と前記圧縮機との前記冷媒接続管路を最短にする、請求項6に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項8】
前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却管路外接接続口がさらに設置され、前記冷却管路外接接続口は車両の熱管理対象の冷却液接続管路に接続するように配置され、前記冷却管路外接接続口の位置が前記熱管理対象の配置位置に応じて配列されていることにより、前記熱管理対象の前記冷却液接続管路を最短にする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項9】
前記冷却管路外接接続口は、ラジエータ給液接続口、ラジエータ排液接続口、DC-DCコンバータ給液接続口、高圧液加熱器給液接続口、高圧液加熱器排液接続口、車載充電器排液接続口、バッテリパック給液接続口及びバッテリパック排液接続口を含み、
前記ラジエータ給液接続口、前記ラジエータ排液接続口及び前記DC-DCコンバータ給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端に位置し、前記ラジエータ給液接続口及び前記ラジエータ排液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の一側に伸出し、
前記高圧液加熱器給液接続口、前記車載充電器排液接続口、前記バッテリパック排液接続口、前記高圧液加熱器排液接続口、前記バッテリパック給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の他端に位置し、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って順次配列され、かつ、これらの伸出方向と前記ラジエータ給液接続口の伸出方向とは同一である、請求項8に記載の熱管理統合モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱管理統合モジュールを含む電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の技術分野、特に、熱管理統合モジュール及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は車両全体の熱管理の原理図によって、複数の熱管理部材を必要とすることが多い。例えば、膨張水缶、少なくとも2つ以上の冷却水ポンプ、熱交換器、水冷凝縮器、少なくとも2つ以上の水温センサ、四方電磁弁、三方電磁弁、冷却接続管路などである。電気自動車の航続距離を向上するために、車両全体の熱管理図の設計に適応する作業状況はますます多く要求され、必要な熱管理部材もそれに伴ってますます多くなってきた。従来の技術では、これらの熱管理部材は分散配置されており、大きな配置スペースを占める一方、分散配置によって大量の冷却管路を採用して熱管理部材の接続を行う必要があり、大量の冷却管路がもたらす代償は、キャビンが複雑になり、配置が困難であり、コストが高くなっている。また、分散配置により、冷却接続管路と空調管路の長さが増加し、更に、システムの流動抵抗と熱漏れ値が増加し、システム要求を満たすために、より高出力のウォーターポンプが必要となり、PTC加熱時間が長くなるか、またはPTC加熱電力が増加する必要があり、これはシステムコストの上昇につながる。したがって、どのようにコストを節約し、軽量化し、配置空間を減少する新型熱管理統合モジュールを開発するかは当分野で早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題に鑑みて、上記課題を克服するか、又は少なくとも部分的に解決する熱管理統合モジュール、及び電気自動車が提案される。
【0004】
本発明の1つの目的は、低コスト、軽量、小配置スペースである熱管理統合モジュールを提供することである。
【0005】
本発明の1つの更なる目的は、マルチチャンネル統合板における熱管理部材の合理的な分布によって、熱管理部材の配置をよりコンパクトにしながら、マルチチャンネル統合板内の冷却接続管路の分布を最適化し、製造の困難性を低減する。
【0006】
本発明のもう1つの更なる目的は、熱管理対象と熱管理統合モジュールの冷却管路外接接続口及び空調管路外接接続口との接続管路を最短にして、車両全体のコスト及び重量をさらに低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に、本発明の実施例の一方面によれば、
熱管理統合モジュールであって、
マルチチャンネル統合板であって、前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却接続管路が形成され、前記マルチチャンネル統合板は前記熱管理統合モジュールのキャリアとして配置されている、前記マルチチャンネル統合板と、
少なくとも2つの熱管理部材であって、前記マルチチャンネル統合板に取付けられ、前記冷却接続管路を介して相互の間の接続を実現する、前記少なくとも2つの熱管理部材と、を含む熱管理統合モジュールが提供される。
【0008】
選択的に、前記熱管理部材は、
膨張水缶、多方弁、ウォーターポンプ、熱交換器、凝縮器、温度センサ、乾燥瓶、電子膨張弁、二方比例弁、空調管路のうちの少なくとも2つを含む。
【0009】
選択的に、前記熱管理部材が前記ウォーターポンプを含む場合、前記ウォーターポンプの数は少なくとも2つであり、少なくとも2つの前記ウォーターポンプは、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端の同じ一側に取付けられ、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って配列され、
前記熱管理部材が前記膨張水缶を更に含む場合、前記膨張水缶は、前記マルチチャンネル統合板における前記ウォーターポンプに対向する他側の位置に取付けられる。
【0010】
選択的に、前記熱管理部材が前記多方弁を含む場合、前記多方弁は前記マルチチャンネル統合板の一側の中間部位に取付けられ、前記多方弁が九方弁である。
【0011】
選択的に、前記熱管理部材が前記熱交換器を更に含む場合、前記熱交換器は、前記マルチチャンネル統合板における前記多方弁と同じ一側であって前記多方弁に隣接する位置に取付けられ、
前記熱管理部材が前記凝縮器を更に含む場合、前記凝縮器は、前記マルチチャンネル統合板における長手方向の一端に取付けられ、前記熱交換器とともに前記マルチチャンネル統合板の同じ一側に位置して前記熱交換器に隣接する。
【0012】
選択的に、前記熱管理部材が、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記空調管路とを更に含む場合、前記乾燥瓶と前記電子膨張弁とは前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器に対向する他側の位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続され、または
前記熱管理部材が前記電子膨張弁と前記空調管路とを更に含む場合、前記電子膨張弁は、前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器と同じ一側であって前記熱交換器に隣接する位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続される。
【0013】
選択的に、前記空調管路には、内蔵凝縮器入口接続口、内蔵凝縮器出口接続口、圧縮機入口接続口及び圧縮機出口接続口がさらに設置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口と前記内蔵凝縮器出口接続口とは、それぞれ車両の空調機本体の内蔵凝縮器の冷媒接続管路に接続するように配置され、前記圧縮機入口接続口と前記圧縮機出口接続口とは、それぞれ前記車両の圧縮機の冷媒接続管路に接続するように配置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口、前記内蔵凝縮器出口接続口、前記圧縮機入口接続口及び前記圧縮機出口接続口の位置を、前記内蔵凝縮器及び前記圧縮機の配置位置に応じて分布させることにより、前記内蔵凝縮器と前記圧縮機との前記冷媒接続管路を最短にする。
【0014】
選択的に、前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却管路外接接続口がさらに設置され、前記冷却管路外接接続口は車両の熱管理対象の冷却液接続管路に接続するように配置され、前記冷却管路外接接続口の位置が前記熱管理対象の配置位置に応じて配列されていることにより、前記熱管理対象の前記冷却液接続管路を最短にする。
【0015】
選択的に、前記冷却管路外接接続口は、ラジエータ給液接続口、ラジエータ排液接続口、DC-DCコンバータ給液接続口、高圧液加熱器給液接続口、高圧液加熱器排液接続口、車載充電器排液接続口、バッテリパック給液接続口及びバッテリパック排液接続口を含み、
前記ラジエータ給液接続口、前記ラジエータ排液接続口及び前記DC-DCコンバータ給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端に位置し、前記ラジエータ給液接続口及び前記ラジエータ排液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の一側に伸出し、
前記高圧液加熱器給液接続口、前記車載充電器排液接続口、前記バッテリパック排液接続口、前記高圧液加熱器排液接続口、前記バッテリパック給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の他端に位置し、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って順次配列され、かつ、これらの伸出方向と前記ラジエータ給液接続口の伸出方向とは同一である。
【0016】
本発明の実施例の別の方面によれば、上記のいずれか1項に記載の熱管理統合モジュールを含む電気自動車が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱管理統合モジュールはマルチチャンネル統合板の設計を採用することで、当該マルチチャンネル統合板に複数の冷却接続管路が形成され、異なる熱管理部材間の接続通路としてだけでなく、統合モジュール全体のキャリアとしても機能でき、熱管理部材をマルチチャンネル統合板上に統合することができ、低コスト、軽量、小配置スペースの熱管理統合モジュールを形成することができる。本発明の熱管理統合モジュールを採用することにより、既存の車両熱管理システムと比較して、車両1台当たりのコスト低減量は約300元を超え、重量低減量は約2kgを超えることができる。なお、本発明の熱管理統合モジュールは、サプライヤの管理及び生産作業工数を大幅に最適化するために、モジュール化されて供給することができる。
【0018】
さらに、具体的な統合された熱管理部材(具体的には、膨張水缶、多方弁、ウォーターポンプ、熱交換器、凝縮器、温度センサ、乾燥瓶、電子膨張弁、空調管路等を含むことができる)について、これらの熱管理部材をマルチチャンネル統合板上に合理的に分布させることにより、熱管理部材の配置をよりコンパクトにすることができるとともに、マルチチャンネル統合板内の冷却接続管路の分布を最適化し、製造の困難性を低減することができる。
【0019】
更に、熱管理統合モジュールには、熱管理対象の接続管路に接続するための複数の冷却管路外接接続口と空調管路外接接続口とがさらに提供され、熱管理対象の冷却液接続管路が最短となるように、熱管理対象の配置位置に応じて冷却管路外接接続口と空調管路外接接続口との位置が配列されていることで、車両全体のコスト及び重量をさらに低減する。
【0020】
更に、本発明の熱管理統合モジュールは、大量の冷却接続管路と空調管路とを節約することができるので、システムの流動抵抗及び熱漏れ値を低下させ、ウォーターポンプへの電力要求を低減し、PTC加熱時間又は電力を削減することができ、車両全体のコスト及び消費電力をさらに低減し、航続距離を向上させることができる。実験の結果により、ウォーターポンプの電力要求を約20%削減でき、PTC加熱の消費電力を約200W削減でき、航続距離を約10km向上できると推定された。
【0021】
上記の説明は、本発明の技術案をより明確に理解することを可能にするために、本明細書の内容に従って実施することができ、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下に本発明の具体的な実施例を挙げる。
【0022】
添付の図面に関連した本発明の具体的な実施例の以下の詳細な説明から、当業者にとって、本発明の上記及び他の目的、利点、及び特徴がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの具体的な実施例は、限定的ではなく例示的な方法で詳細に説明される。図面における同一の符号は、同一又は類似の部材又は部分を示している。当業者は、これらの図面が必ずしも比例的に描かれているとは限らないことを理解するであろう。図面は以下である。
【0024】
図1】本発明の一実施例による熱管理統合モジュールのその一側から見た構成を示す概略図である。
図2図1に示す熱管理統合モジュールのその他側から見た構成を示す概略図である。
図3図1に示す熱管理統合モジュールの右下角を別の角度から見た構成を示す概略図である。
図4】本発明の一実施例による熱管理統合モジュールのマルチチャンネル統合板の構成を示す概略図である。
図5】本発明の一実施例による熱管理統合モジュールの原理を示す概略図である。
図6】本発明の別の一実施例による熱管理統合モジュールのその一側から見た構成を示す概略図である。
図7図6に示す熱管理統合モジュールのその他側から見た構成を示す概略図である。
図8a】本発明の別の一実施例による熱管理統合モジュールのマルチチャンネル統合板のその一側から見た構成を示す概略図。
図8b図8aにおけるマルチチャンネル統合板のその他側から見た構成を示す概略図である。
図9】本発明の別の一実施例による熱管理統合モジュールの原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本開示の例示的な実施例についてより詳細に説明する。本開示の例示的な実施例が添付の図面に示されているが、本開示は様々な方式で実現されることができ、ここに記載された実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示をより完全に理解することを可能にするため、本開示の範囲を当業者に完全に伝えることを可能にするためにこれらの実施例が提供される。
【0026】
既存の車両全体の熱管理システムの中で熱管理部材は分散配置を採用して、以下の問題が存在する。(1)冷却管路と空調管路の長さが増加して、システムの流動抵抗が上昇して、システムの要求を満たすために高出力のウォーターポンプを採用する必要がある。(2)冷却管路と空調管路の長さの増加はまた、システムの熱漏れ値の上昇をもたらし、システムの加熱需要を満たすために、PTC加熱時間を長くするか、またはPTC加熱電力を大きくする必要がある。(3)膨張水缶、モータウォーターポンプアセンブリ、バッテリウォーターポンプアセンブリ、熱交換器、水冷凝縮器、水温センサ、2つの四方電磁弁、三方電磁弁、二方比例弁、空調電子膨張弁、空調管路などの熱管理部材は分散配置を採用して、冷却管路と空調管路を介して接続して、配置の需要空間が複雑になる。(4)上記の熱管理部材は、異なるサプライヤによって供給され、基地で組み立てられ、工数が長くなってサプライヤの管理に不利になる。(5)大量の冷却管路と空調管路を採用する必要があり、車両全体のコストと重量が上昇する。
【0027】
上記の技術的課題を解決するために、または少なくとも部分的に解決するために、本発明の実施例は、熱管理統合モジュールを提案する。図1は、本発明の一実施例による熱管理統合モジュール100のその一側から見た構成を示す概略図であり、図2は、図1に示す熱管理統合モジュール100のその他側から見た構成を示す概略図であり、図6は、本発明の別の一実施例による熱管理統合モジュール100のその一側から見た構成を示す概略図であり、図7は、図6に示す熱管理統合モジュール100のその他側から見た構成を示す概略図である。図1図2図6及び図7を参照し、熱管理統合モジュール100は、一般的に、マルチチャンネル統合板110と、少なくとも2つの熱管理部材とを含むことができる。マルチチャンネル統合板110には、複数の冷却接続管路111(例えば水路)が形成されており、マルチチャンネル統合板110を異なる熱管理部材間の接続通路として、且つ熱管理統合モジュール100全体のキャリアとしても機能して熱管理部材をキャリアすることができる。当該少なくとも2つの熱管理部材はマルチチャンネル統合板110に取り付けられ、マルチチャンネル統合板110内の冷却接続管路を介して相互の間の接続を実現する。
【0028】
本発明の実施例の熱管理統合モジュール100はマルチチャンネル統合板110の設計を採用し、当該マルチチャンネル統合板110に複数の冷却接続管路111が形成され、異なる熱管理部材間の接続通路としてだけでなく、統合モジュール全体のキャリアとしても機能でき、熱管理部材を当該マルチチャンネル統合板110に統合することができ、低コスト、軽量、小配置スペースの熱管理統合モジュール100を形成することができる。マルチチャンネル統合板110内の冷却接続管路111を採用して追加の接続管路を設置することなく、統合された熱管理部材の接続が可能となるので、コストを低減するとともに、キャビンの美観を向上させることができる。なお、熱管理部材をマルチチャンネル統合板110に統合して配置することで一体モジュールを形成するので、本発明の熱管理統合モジュール100は、サプライヤの管理及び生産作業工数を大幅に最適化するために、モジュール化されて供給することができる。
【0029】
マルチチャンネル統合板110は本発明の熱管理統合モジュール100の重要な部材であり、その内部の冷却接続管路111を、実際に適用される車両全体の熱管理原理図における各熱管理部材の接続形態に基づいて設計することで、熱管理部材間の管路(例えば、水路)接続を実現する。図4は本発明の一実施例による熱管理統合モジュール100のマルチチャンネル統合板110の構成を示す概略図である。図4に示すように、マルチチャンネル統合板110内の各冷却接続管路111の設置方向は、ほぼマルチチャンネル統合板110の長手方向に沿って延びている。使用時には、マルチチャンネル統合板110の長手方向が水平方向と略平行で、幅方向が車両シャーシに対して略垂直となるようにマルチチャンネル統合板110を取付けることにより、各冷却接続管路111を流れる冷却液(例えば、水)の重力作用による流動抵抗を極力小さくすることができる。
【0030】
各冷却接続管路111間の断熱を確保し、熱損失を低減するために、マルチチャンネル統合板110は、PP(Polypropylene、ポリプロピレン)やPA66(Polyamide 66、ポリアミド66)などの断熱プラスチックを採用することができる。PP又はPA66材質のマルチチャンネル統合板110を採用することにより、断熱を確保しつつ、マルチチャンネル統合板110の強度を確保することができ、熱管理統合モジュール100の構造的安定性及び耐久性を向上させることができる。マルチチャンネル統合板110の成形を容易にするために、マルチチャンネル統合板110をその厚さ方向に沿って本体部と蓋板部とに分割し、本体部に開口する冷却接続管路111が形成され、本体部と蓋板部とをそれぞれ射出成形した後、溶接により本体部と蓋板部とを接合固定することでマルチチャンネル統合板110を得る分割成形方法を採用することができる。溶接方法には、熱板溶接、摩擦溶接、レーザ溶接等が含まれているが、これらに限定されるものではない。
【0031】
統合した熱管理部材は、車両全体の熱管理の実際に必要な熱管理部材に応じて選択可能であり、マルチチャンネル統合板110におけるそれらの取り付け位置を実際に選択した熱管理部材の外形、寸法設計、及び車両全体の熱管理原理図における接続及び運転方式等に応じて設置できる。それに応じて、これらの熱管理部材の固定構造は、マルチチャンネル統合板110の対応する位置に設計される。
【0032】
一般的には、マルチチャンネル統合板110に統合された熱管理部材は、膨張水缶120、多方弁130、ウォーターポンプ140、熱交換器150、凝縮器160(例えば、水冷凝縮器)、温度センサ170、乾燥瓶180、電子膨張弁191、二方比例弁192、空調管路190等のうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0033】
以下では、本発明の熱管理統合モジュール100の具体的な構造を、実施例に関連して説明する。
【0034】
実施例1
本実施例では、マルチチャンネル統合板110は図4に示す構造のマルチチャンネル統合板110を採用する。
【0035】
図1及び図2に示すように、本実施例では、マルチチャンネル統合板110に統合された熱管理部材は、膨張水缶120、多方弁130、ウォーターポンプ140、熱交換器150、水冷凝縮器160、温度センサ170、乾燥瓶180、電子膨張弁191、二方比例弁192、空調管路190等のうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0036】
熱管理部材がウォーターポンプ140を含む場合、車両全体の熱管理原理図に基づいて、ウォーターポンプ140の数は、一般的に少なくとも2つであり、そのうち、1つのウォーターポンプ140(モータウォーターポンプと称してもよい)の配置は、車両のモータ冷却回路における冷却液が流れるように駆動するのに使用され、もう1つのウォーターポンプ140(バッテリウォーターポンプと称してもよい)の配置は、車両のバッテリパック冷却回路における冷却液が流れるように駆動するのに使用される。当該少なくとも2つのウォーターポンプ140は、マルチチャンネル統合板110の長手方向の一端の同じ一側に設置可能であり、マルチチャンネル統合板110の幅方向に沿って配列されている。このようなウォーターポンプの配置は、ウォーターポンプ140の取付管理に有利するとともに、マルチチャンネル統合板110上の設置スペースをより有効に利用することができる。具体的な実施案では、ウォーターポンプ140のポンプハウジングは円筒状であり、それに応じて、図4に示すように、マルチチャンネル統合板110上のウォーターポンプが固定された箇所に円環状の第1固定部材が設置され、第1固定部材の外周に均等分布して周方向に突出した複数の第1固定ブロックが設置され、各第1固定ブロックには第1貫通孔が形成されている。ウォーターポンプ140のポンプハウジングの一端には、第1固定部材に対応する第2固定部材が設置され、第2固定部材の外周には、第1固定ブロックに対応する第2固定ブロックが設置され、各第2固定ブロックに第1貫通孔に対応する第2貫通孔が形成されている。取り付けの際に、締結具(ボルト等)を採用して対応する第2貫通孔と第1貫通孔とを通過してウォーターポンプ140をマルチチャンネル統合板110に固定する。
【0037】
更に、熱管理部材が膨張水缶120を更に含むことができ、膨張水缶120は、マルチチャンネル統合板110における膨張水缶140に対向する他側の位置に取付けられる。膨張水缶120は体積が大きく、通常はウォーターポンプ140のいずれかに接続されているので、このように配置することにより、膨張水缶120とウォーターポンプ140との間の冷却接続管路111(接続通路)の長さを極力短くして、流動抵抗を低減することができるとともに、マルチチャンネル統合板110上の設置スペースをより有効に利用して、配置スペースを節約することができる。膨張水缶120の頂部には、圧力蓋が設置されている。
【0038】
熱管理部材は多方弁130(例えば、四方電磁弁、三方電磁弁等)を含むことができる。車両全体の熱管理原理図によれば、多方弁130のポートは、車両全体の熱管理システムにおける複数の熱管理部材に接続されることで異なる熱管理回路のオンオフを制御するので、マルチチャンネル統合板110の一側の中間部位に多方弁130を設置することができ、多方弁130と他の熱管理部材との接続を容易にすることができる。好ましくは、多方弁130は九方弁であり、これは、車両全体の熱管理システムにおける通常の1つの三方電磁弁及び2つの四方電磁弁を代替して9つの通路を達成することができ、それによって車両全体のコスト及び重量をさらに低減することができる。より好ましくは、多方弁130が一体型九方弁であることができ、これは平板状の取付パネルを有し、9つの流路接続口(即ちポート)が取付パネルに集中的に配置されることで、接続口位置の統一化を実現する。このような構成を有する一体型九方弁は、マルチチャンネル統合板110への取り付けがより容易になり、多方弁130が占有する配置スペースをより小さくすることができるとともに、これらの接続口に連通する冷却接続管路111の配置スペース及び分布の美観を大幅に向上させることができる。
【0039】
熱管理部材は、熱交換器150を更に含むことができる。熱交換器150がマルチチャンネル統合板110における多方弁130と同じ一側であって多方弁130に隣接する位置に取付けられるため、熱交換器150と多方弁130のポートとの間の接続管路長を効果的に短縮することができる。具体的な実施案では、多方弁130は、マルチチャンネル統合板110の中間部位の上側(ここでの上側は、熱管理統合モジュール100の使用状態における垂直方向の上側を意味する)に設置されてもよく、熱交換器150は、当該中間部位の下側に設置され、具体的に図4に示すように、マルチチャンネル固定箇所及び熱交換器固定箇所に取り付けられてもよい。
【0040】
熱管理部材は、凝縮器160(例えば、水冷凝縮器160)を更に含むことができる。車両全体の熱管理システムにおける凝縮器160の体積は一般的に大きいので、凝縮器160をマルチチャンネル統合板110の長手方向の一端に設置することができ、凝縮器160が十分な配置スペースを有するように確保することができる。また、凝縮器160は、熱交換器150とともにマルチチャンネル統合板110の同じ一側に位置して熱交換器150に隣接することで、取付スペースの利用率を向上させることができる。もちろん、膨張水缶120と凝縮器160とをマルチチャンネル統合板110に同時に統合した場合、膨張水缶120と凝縮器160とをマルチチャンネル統合板110の長手方向の両端にそれぞれ取り付けることで、それらのそれぞれの配置スペースを十分に確保することができることが当業者にとっては理解される。
【0041】
熱管理部材は、乾燥瓶180、電子膨張弁191、及び空調管路190などの車両空調の冷媒循環回路中の部材をさらに含むことができる。乾燥瓶180と電子膨張弁191とは、マルチチャンネル統合板110の熱交換器150に対向する他側の位置に対応して取り付けられている。空調管路190は、乾燥瓶180、電子膨張弁191、熱交換器150、凝縮器160に接続されて空調圧縮機の冷媒の循環流通を実現する冷媒循環管路である。空調管路190の本体部は、乾燥瓶180が位置するマルチチャンネル統合板110の一側において延びている。電子膨張弁191の数は、実際に必要とされる車両全体の熱管理原理図に基づいて設置されており、例えば2つであってもよい。
【0042】
熱管理部材は、マルチチャンネル統合板110上の指定した冷却接続管路111に取り付けられて当該指定した冷却接続管路111内の冷却液(例えば、水)の温度を測定する温度センサ170をさらに含むことができる。温度センサ170の数は、実際に必要とされる車両全体の熱管理原理図に基づいて設置されており、例えば4つであってもよい。
【0043】
熱管理部材は、二方比例弁192(図1及び図2に図示せず)も含むことができる。二方比例弁192は、ウォーターポンプ140の中の一つと凝縮器160との間の冷却接続管路111に設置されたインテリジェント型比例弁であってもよい。
【0044】
本発明の実施例において、具体的な統合された熱管理部材(具体的には、膨張水缶120、多方弁130、ウォーターポンプ140、熱交換器150、凝縮器160、温度センサ170、乾燥瓶180、電子膨張弁191、空調管路190等を含むことができる)について、これらの熱管理部材をマルチチャンネル統合板110に合理的に分布させることにより、熱管理部材の配置をよりコンパクトにすることができるとともに、マルチチャンネル統合板110内の冷却接続管路111の分布を最適化し、製造の困難性を低減することができる。
【0045】
さらに、図1及び図2を参考して、空調管路190には、車両空調に関連する熱管理対象の冷媒接続管路と接続するように配置される空調管路外接接続口が設置されている。具体的には、車両空調に関連する熱管理対象は、空調機本体の内蔵凝縮器及び圧縮機を含み、空調管路外接接続口は、内蔵凝縮器入口接続口193、内蔵凝縮器出口接続口194、圧縮機入口接続口195及び圧縮機出口接続口196を含む。内蔵凝縮器入口接続口193と内蔵凝縮器出口接続口194は、それぞれ車両の空調機本体の内蔵凝縮器の冷媒接続管路に接続するように配置されている。圧縮機入口接続口195及び圧縮機出口接続口196は、それぞれ車両の圧縮機の冷媒接続管路に接続するように配置されている。内蔵凝縮器及び圧縮機の冷媒接続管路を最短にするために、内蔵凝縮器入口接続口193、内蔵凝縮器出口接続口194、圧縮機入口接続口195及び圧縮機出口接続口196の位置を、内蔵凝縮器及び圧縮機の配置位置に応じて分布させる。具体的には、例えば、圧縮機入口接続口195及び圧縮機出口接続口196は、膨張水缶120と同じ一側であって膨張水缶120の下方に位置し、内蔵凝縮器入口接続口193及び内蔵凝縮器出口接続口194は、凝縮器と同じ一側であって凝縮器160が位置するマルチチャンネル統合板110の一端の下部に位置している。
【0046】
空調管路外接接続口は、空調機本体の内蔵蒸発器の冷媒接続管路に接続するように配置された内蔵蒸発器入口接続口197も含むことができる。内蔵蒸発器の冷媒接続管路を最短にするために、内蔵蒸発器入口接続口197の位置を、内蔵蒸発器の配置位置に応じて分布させる。具体的には、内蔵蒸発器入口接続口197は、凝縮器160と同じ一側であって凝縮器160が位置するマルチチャンネル統合板110の一端の下部に位置している。
【0047】
なお、図1に示すように、マルチチャンネル統合板110には、複数の冷却管路外接接続口がさらに形成されている。これらの冷却管路外接接続口は車両の熱管理対象の冷却液接続管路に接続するように配置され、熱管理対象の当該冷却液接続管路を最短にするために、熱管理対象の配置位置に応じて冷却管路外接接続口の位置が配列されている。ここでの熱管理対象には、DC-DCコンバータ、高圧液体加熱器(High voltage coolant heater、HVCH)、車載充電器(On-board Charger、OBC)、バッテリパック、ラジエータ(Radiator)などが含まれるが、これに限定されない。
【0048】
熱管理統合モジュール100を全体として考慮すると、相応する熱管理対象(例えば、前述のDC-DCコンバータ、HVCH、OBC、バッテリパック、ラジエータ、圧縮機、空調機本体の内蔵凝縮器と内蔵蒸発器など)は、全体熱管理部材100の相手部材と見なすことができる。相手部材の配置位置を十分に考慮して冷却管路外接接続口と空調管路外接接続口との位置を統一して設置し、熱管理対象の接続管路を最短にして、車両全体のコスト及び重量を更に減少する。
【0049】
具体的には、冷却管路外接接続口は、ラジエータ給液接続口112、ラジエータ排液接続口113、DC-DCコンバータ給液接続口114、高圧液加熱器給液接続口115、高圧液加熱器排液接続口118、車載充電器排液接続口116、バッテリパック給液接続口119及びバッテリパック排液接続口117を含む。ラジエータ給液接続口112、ラジエータ排液接続口113及びDC-DCコンバータ給液接続口114は、マルチチャンネル統合板110の長手方向の一端(具体的にはウォーターポンプ140が位置する一端)に位置し、ラジエータ給液接続口112及びラジエータ排液接続口113は、マルチチャンネル統合板110の一側に伸出する(具体的にはウォーターポンプ140が位置する一端である)。高圧液加熱器給液接続口115、車載充電器排液接続口116、バッテリパック排液接続口117、高圧液加熱器排液接続口118、バッテリパック給液接続口119は、マルチチャンネル統合板110の長手方向の他端(具体的には凝縮器160が位置する他端)に位置し、マルチチャンネル統合板110の幅方向に沿って順次配列され、かつ、これらの伸出方向とラジエータ給液接続口112の伸出方向とは同一である。このように設定することで、空間利用性、美観、接続口の使い勝手を両立させることができる。
【0050】
以上、本実施例の熱管理統合モジュール100の各部材について詳細に説明したが、以下、図5を用いて本実施例の熱管理統合モジュール100の実現原理について説明する。図5は本発明の一実施例による熱管理統合モジュールの原理を示す概略図である。本実施例では、2つの電子ウォーターポンプ140(それぞれバッテリウォーターポンプ、モータウォーターポンプと称する)、一体型九方弁、水冷凝縮器160、熱交換器150、膨張水缶120、4つの温度センサ170(水温センサ)、インテリジェント二方比例弁192、2つの電子膨張弁191、乾燥瓶180、空調管路190がマルチチャンネル統合板110に統合されている。図5における一体型九方弁は、2つの四方電磁弁と1つの三方電磁弁に相当し、数字1~9は一体型九方弁の9つのポートを表す。実線は、マルチチャンネル統合板110における冷却接続管路111を示し、実線上の矢印は、冷却接続管路111における冷却液の流れを示している。点線は空調管路190を示し、点線上の矢印は空調管路190内の冷媒の流れを示している。図5に示すような各熱管理部材間の接続は、マルチチャンネル統合板110における冷却接続管路111及び空調管路190を介して実現され、図5に示すような複数の冷却管路外接接続口及び空調管路外接接続口が提供されることで、異なる熱管理回路が形成される。
【0051】
実施例2
実施例2と実施例1との主な相違点は、以下の通りである。
【0052】
マルチチャンネル統合板110に統合された車両用空調の冷媒循環回路に関連する熱管理部材は、乾燥瓶180を含まず、電子膨張弁191の数は1つのみである。このとき、図6及び図7に示すように、電子膨張弁191は、マルチチャンネル統合板110の熱交換器150と同じ一側であって熱交換器150に隣接する位置に対応して取付けられ、空調管路190は、電子膨張弁191、熱交換器150及び凝縮器160に接続されている。空調管路190の本体部分は、膨張水缶120が位置するマルチチャンネル統合板110の一側において延び、膨張水缶120と同じ一側で膨張水缶120の下方に位置する圧縮機出口接続口196を形成し、内蔵凝縮器出口接続口194は電子膨張弁191の弁座に形成され、内蔵凝縮器入口接続口193及び圧縮機入口接続口195はそれぞれ水冷凝縮器160及び熱交換器150に形成され、これにより、空調管路190の長さ及び圧縮機及び内蔵凝縮器と対応するこれらの接続口との間の接続管路の長さを効果的に短縮することができる。
【0053】
図8aと図8bに示すように、本実施例におけるマルチチャンネル統合板110には複数の取付耳198が設置され、熱管理統合モジュール100を車両の車体に取り付け固定するように配置された。各取付耳198は、マルチチャンネル統合板110のエッジから外側に突出し、マルチチャンネル統合板110のエッジに接続された根元部と、マルチチャンネル統合板110から離れたヘッド部とを含み、当該ヘッド部は中央貫通孔を有し、当該中央貫通孔を貫通可能な締結具と協働して熱管理統合モジュール100を車両の車体に取り付け固定するようにする。取り付けの堅牢性を保証するために、取付耳198の数は少なくとも3つであり、好ましくは3つであり、3つの取付耳198は、マルチチャンネル統合板110の3つのエッジにそれぞれ設置されている。更に、各取付耳198の中央貫通孔内にリング状のクッションパッドを設置でき、クッションパッドの厚みは取付耳198のヘッド部の厚みよりも大きく、クッションパッドの表面が当該中央貫通孔より突出する。マルチチャンネル統合板110が車両の車体に取り付け固定された後、クッションパッドは、取付耳198とそれが固定された車両の車体部位との衝突を緩衝することができる。クッションはゴム製であってもよい。
【0054】
なお、本実施例では、膨張水缶120は、熱板溶接等によりマルチチャンネル統合板110に予め統合する。
【0055】
本実施例における熱管理統合モジュール100の実現原理は図9のように示す。本実施例では、2つの電子ウォーターポンプ140(それぞれバッテリウォーターポンプ、モータウォーターポンプと称する)、一体型九方弁、水冷凝縮器160、熱交換器150、膨張水缶120、4つの温度センサ170(水温センサ)、インテリジェント二方比例弁192、1つの電子膨張弁191、空調管路190がマルチチャンネル統合板110に統合されている。図9における一体型九方弁は、2つの四方電磁弁と1つの三方電磁弁に相当し、数字1~9は一体型九方弁の9つのポートを表す。実線は、マルチチャンネル統合板110における冷却接続管路111を示し、実線上の矢印は、冷却接続管路111における冷却液の流れを示している。点線は空調管路190を示し、点線上の矢印は空調管路190内の冷媒の流れを示している。マルチチャンネル統合板110における冷却接続管路111と空調管路190を介して、図9に示す各熱管理部材間の接続を実現し、図9に示す複数の冷却管路外接接続口と空調管路外接接続口(具体的には、ラジエータ給液接続口112、ラジエータ排液接続口113、DC-DCコンバータ給液接続口114、高圧液加熱器給液接続口115、高圧液加熱器排液接続口118、車載充電器排液接続口116、バッテリパック給液接続口119、バッテリパック排液接続口117、内蔵凝縮器入口接続口193、内蔵凝縮器出口接続口194、圧縮機入口接続口195、圧縮機出口接続口196)を提供することで、異なる熱管理回路を形成する。
【0056】
同じ技術的発想に基づいて、本発明の実施例はまた、前述の任意の実施例または実施例の組み合わせの熱管理統合モジュール100を含む電気自動車を提供する。
【0057】
本発明の熱管理統合モジュール100による電気自動車を採用することにより、既存の車両熱管理システムと比較して、車両1台当たりのコスト低減量は約300元を超え、重量低減量は約2kgを超えることができる。
【0058】
ここまでは、本発明の例示的な実施例が本明細書で詳細に示され説明されているが、本発明の原理に合致する他の多くの変形または改変が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示から直接決定または導き出され得ることを当業者は認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、これらの他のすべての変形または改変をカバーするものとして理解され、認識されるべきである。
【0059】
(付記)
(付記1)
熱管理統合モジュールであって、
マルチチャンネル統合板であって、前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却接続管路が形成され、前記マルチチャンネル統合板は前記熱管理統合モジュールのキャリアとして配置されている、前記マルチチャンネル統合板と、
少なくとも2つの熱管理部材であって、前記マルチチャンネル統合板に取付けられ、前記冷却接続管路を介して相互の間の接続を実現する、前記少なくとも2つの熱管理部材と、を含む熱管理統合モジュール。
【0060】
(付記2)
前記熱管理部材は、
膨張水缶、多方弁、ウォーターポンプ、熱交換器、凝縮器、温度センサ、乾燥瓶、電子膨張弁、二方比例弁、空調管路のうちの少なくとも2つを含む、付記1に記載の熱管理統合モジュール。
【0061】
(付記3)
前記熱管理部材が前記ウォーターポンプを含む場合、前記ウォーターポンプの数は少なくとも2つであり、少なくとも2つの前記ウォーターポンプは、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端の同じ一側に取付けられ、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って配列され、
前記熱管理部材が前記膨張水缶を更に含む場合、前記膨張水缶は、前記マルチチャンネル統合板における前記ウォーターポンプに対向する他側の位置に取付けられる、付記2に記載の熱管理統合モジュール。
【0062】
(付記4)
前記熱管理部材が前記多方弁を含む場合、前記多方弁は前記マルチチャンネル統合板の一側の中間部位に取付けられ、前記多方弁が九方弁である、付記2に記載の熱管理統合モジュール。
【0063】
(付記5)
前記熱管理部材が前記熱交換器を更に含む場合、前記熱交換器は、前記マルチチャンネル統合板における前記多方弁と同じ一側であって前記多方弁に隣接する位置に取付けられ、
前記熱管理部材が前記凝縮器を更に含む場合、前記凝縮器は、前記マルチチャンネル統合板における長手方向の一端に取付けられ、前記熱交換器とともに前記マルチチャンネル統合板の同じ一側に位置して前記熱交換器に隣接する、付記4に記載の熱管理統合モジュール。
【0064】
(付記6)
前記熱管理部材が、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記空調管路とを更に含む場合、前記乾燥瓶と前記電子膨張弁とは前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器に対向する他側の位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記乾燥瓶と、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続され、または
前記熱管理部材が前記電子膨張弁と前記空調管路とを更に含む場合、前記電子膨張弁は、前記マルチチャンネル統合板における前記熱交換器と同じ一側であって前記熱交換器に隣接する位置に対応して取付けられ、前記空調管路は、前記電子膨張弁と、前記熱交換器と、前記凝縮器とに接続される、付記5に記載の熱管理統合モジュール。
【0065】
(付記7)
前記空調管路には、内蔵凝縮器入口接続口、内蔵凝縮器出口接続口、圧縮機入口接続口及び圧縮機出口接続口がさらに設置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口と前記内蔵凝縮器出口接続口とは、それぞれ車両の空調機本体の内蔵凝縮器の冷媒接続管路に接続するように配置され、前記圧縮機入口接続口と前記圧縮機出口接続口とは、それぞれ前記車両の圧縮機の冷媒接続管路に接続するように配置され、
前記内蔵凝縮器入口接続口、前記内蔵凝縮器出口接続口、前記圧縮機入口接続口及び前記圧縮機出口接続口の位置を、前記内蔵凝縮器及び前記圧縮機の配置位置に応じて分布させることにより、前記内蔵凝縮器と前記圧縮機との前記冷媒接続管路を最短にする、付記6に記載の熱管理統合モジュール。
【0066】
(付記8)
前記マルチチャンネル統合板には複数の冷却管路外接接続口がさらに設置され、前記冷却管路外接接続口は車両の熱管理対象の冷却液接続管路に接続するように配置され、前記冷却管路外接接続口の位置が前記熱管理対象の配置位置に応じて配列されていることにより、前記熱管理対象の前記冷却液接続管路を最短にする、付記1から7のいずれか1つに記載の熱管理統合モジュール。
【0067】
(付記9)
前記冷却管路外接接続口は、ラジエータ給液接続口、ラジエータ排液接続口、DC-DCコンバータ給液接続口、高圧液加熱器給液接続口、高圧液加熱器排液接続口、車載充電器排液接続口、バッテリパック給液接続口及びバッテリパック排液接続口を含み、
前記ラジエータ給液接続口、前記ラジエータ排液接続口及び前記DC-DCコンバータ給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の一端に位置し、前記ラジエータ給液接続口及び前記ラジエータ排液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の一側に伸出し、
前記高圧液加熱器給液接続口、前記車載充電器排液接続口、前記バッテリパック排液接続口、前記高圧液加熱器排液接続口、前記バッテリパック給液接続口は、前記マルチチャンネル統合板の長手方向の他端に位置し、前記マルチチャンネル統合板の幅方向に沿って順次配列され、かつ、これらの伸出方向と前記ラジエータ給液接続口の伸出方向とは同一である、付記8に記載の熱管理統合モジュール。
【0068】
(付記10)
付記1から9のいずれか1つに記載の熱管理統合モジュールを含む電気自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
【国際調査報告】