(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】トレーニングデバイスを制御するための装置
(51)【国際特許分類】
A63B 24/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A63B24/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567885
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022053322
(87)【国際公開番号】W WO2022179860
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104520.7
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522434967
【氏名又は名称】ビティフアイ ディジタル テスト ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】BitifEye Digital Test Solutions GmbH
【住所又は居所原語表記】Herrenberger Str. 130, 71034 Boeblingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ ウナカフォワ
(72)【発明者】
【氏名】アントン ウナカフォフ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュミット
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マリク
(72)【発明者】
【氏名】バルタザール シュテルツナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ケーニンガー
(72)【発明者】
【氏名】マクス バット
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン エノー
(57)【要約】
本発明は、トレーニングデバイス(2)を制御するための装置であって、- 身体運動を行っている人(8)によって消耗された機械的労力(9)を受け取るように設計されるトレーニングデバイスと、- 運動を支え、且つ/又は運動をより難しくするように設計される支持ユニット(6)と、- 運動中に人によって消耗された運動の機械的運動データBD(t)を測定するように設計される運動測定デバイス(5)であって、ここで、tは、時間である、運動測定デバイス(5)と、- 人の身体の生理的データPD(t)を測定するように設計される身体センサ(7)と、-(式I)及び(式II)
を含む形式mPD(t+T)=a
10+Σ
xB
x(t)の数理モデルが記憶される演算ユニット(3)であって、最適化アルゴリズム(11)を用いて、mPD(t+T)が、測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別に係数a
xi、被加数a
10及び遅延τ
xiを少なくとも部分的に、且つ遅延Tを調整し、及び前記モデルに基づいて生理的データPD(t+T)の予測mPD(t+T)を作成するように設計される、演算ユニット(3)と、生理的データPD(t)のための所定の基準変数を取り、制御変数として予測mPD(t+T)を取り、且つ操作された変数として支持ユニットの支持u(t)を制御するように設計される制御ユニット(4)とを含む装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニングデバイス(2)を制御するための装置であって、
- 身体トレーニングを受けている人(8)によって加えられた機械的動力(9)を吸収するように構成される前記トレーニングデバイス(2)であって、前記トレーニングを支援し、且つ/又は前記トレーニングをより難しくするように構成される支援ユニット(6)を含み、前記トレーニング中に前記人によって加えられた労力の機械的運動データBD(t)を測定するように構成される運動測定装置(5)を含み、ここで、tは、時間である、前記トレーニングデバイス(2)と、
- 前記人(8)の身体の生理的データPD(t)を測定するように構成される身体センサ(7)と、
- mPD(t+T)形式の数理モデルが記憶される演算ユニット(3)であって、最適化アルゴリズム(11)を用いて、mPD(t+T)が、前記測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別にmPD(t+T)及び遅延Tを調整し、且つ前記モデルに基づいて前記生理的データPD(t+T)の予測mPD(t+T)を準備するように構成される、演算ユニット(3)と、
- 前記生理的データPD(t)のための所定の基準変数を提供し、制御変数として前記予測mPD(t+T)を取り、且つ操作された変数として前記支援ユニット(6)の支援u(t)を制御するように構成される制御ユニット(4)と
を備える装置。
【請求項2】
【数1】
が適用され、前記演算ユニット(3)は、前記最適化アルゴリズム(11)を用いて、mPD(t+T)が、前記測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別に係数a
xi、被加数a
10及び遅延τ
xiを少なくとも部分的に調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トレーニングデバイス(2)は、前記トレーニングデバイス(2)の高度h(t)を測定するように構成される高度計を含み、及び前記モデル内において、
【数2】
である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記トレーニングデバイス(2)は、前記トレーニングデバイス(2)の周囲の温度Temp(t)を測定するように構成される温度センサを含み、及び前記モデル内において、
【数3】
である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記トレーニングデバイス(2)は、前記トレーニングデバイス(2)の傾斜N(t)を測定するように構成される傾斜計を含み、及び前記モデル内において、
【数4】
である、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記演算ユニット(3)は、少なくともT=5秒だけ未来にある時間Tについて前記予測mPD(t+T)を準備するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記演算ユニット(3)は、前記人(8)の基礎的な体力を考慮するために、トレーニングセッション後、複数のトレーニングセッションで確認された前記運動データBD(t)及び前記複数のトレーニングセッションで確認された前記生理的データPD(t)並びに任意選択的に前記複数のトレーニングセッションで確認された前記高度h(t)、前記複数のトレーニングセッションで確認された前記温度Temp(t)及び/又は前記複数のトレーニングセッションで確認された前記傾斜N(t)を使用して、前記最適化アルゴリズム(11)に基づいて前記係数a
xi、前記被加数a
10、前記遅延τ
xi及び前記遅延Tを調整するように構成される、請求項2~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記演算ユニット(3)は、前記最適化アルゴリズム(11)を用いて、前記トレーニングセッション後に前記係数a
xi、前記被加数a
10、前記遅延τ
xi及び前記遅延Tを調整するように構成され、前記最適化アルゴリズム(11)は、
a)前記係数a
xiの各々、前記被加数a
10、前記遅延τ
xiの各々及び前記遅延Tについて、それぞれの場合に複数の離散値を特定するステップ、
b)a
xi、a
10、τ
xi及びTを前記値の1つに設定するステップ、
c)前記モデルに基づいてmPD(t+T)を計算するステップ、
d)複数のtについて、前記測定された生理的データPD(t+T)とmPD(t+T)との間のモデリング誤差を計算するステップ、
e)前記値の全ての組み合わせについて、ステップb)~d)を繰り返すステップ、
f)a
xi、a
10、τ
xi及びTについて、最低モデリング誤差をもたらす前記値を選択するステップ
を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ステップd)において、過小評価誤差は、過大評価誤差より強く重点を置かれる(11)、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記演算ユニット(3)は、前記人(8)の現在の体力(12)を考慮するために、トレーニングセッション中、前記トレーニングセッションで確認された前記運動データBD(t)及び前記トレーニングセッションで確認された前記生理的データPD(t)並びに任意選択的に前記トレーニングセッションで確認された前記高度h(t)、前記トレーニングセッションで確認された前記温度Temp(t)及び/又は前記トレーニングセッションで確認された前記傾斜N(t)を使用して、前記現在の体力を調整するためのアルゴリズムを用いて前記係数a
xi及び前記被加数a
10を調整するように構成される、請求項2~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記演算ユニットは、前記現在の体力(12)を調整するための前記アルゴリズムを用いて、前記生理的データの予測mPD(t)と、前記測定された生理的データPD(t)との間の差Diff(t)=mPD(t)-PD(t)を決定し、及び前記差Diff(t)が閾値Threshold
1>0を超える場合、それぞれの定数const
1xiを加えることによって前記係数a
xiを修正し、且つ定数const
10を加えることによって前記被加数a
10を修正し、及び前記差Diff(t)がThreshold
M<0の閾値を下回る場合、それぞれの定数const
Mxiを加えることによって前記係数a
xiを修正し、且つ定数const
M0を加えることによって前記被加数a
10を修正するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御ユニット(4)は、PIDコントローラである、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記PIDコントローラは、
【数5】
に従って前記支援u(t)を決定するように構成され、ここで、K
P、K
I及びK
Dは、制御パラメータであり、e(t)は、時間tにおける制御偏差であり、関数f
1(e)、f
2(e)及びf
3(e)は、過小評価誤差が過大評価誤差より強く重点を置かれるように選択される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記演算ユニット(3)は、前記生理的データPD(t)又は前記運動データBD(t)のステップ応答が、前記操作された変数における急激な変化によって発生する校正方法を実行するように構成され、前記演算ユニット(3)は、前記ステップ応答から前記制御パラメータK
P、K
I及びK
Dを決定するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記演算ユニット(3)は、前記操作された変数における少なくとも1つの急激な変化及びトレーニングセッション後の前記生理的データPD(t)又は前記運動データBD(t)の前記得られるステップ応答を同定するように構成され、前記演算ユニットは、前記少なくとも1つのステップ応答から前記制御パラメータK
P、K
I及びK
Dを決定するように構成される、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記運動データBD(t)は、動力、具体的には自転車、具体的には電動自転車の場合又は自転車エルゴメータの場合にはペダル踏力、走力、漕力、速度、トルク、回転速度、角速度及び/又は膝外転トルクである、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記支援ユニット(6)は、電動機、変速機及び/又はブレーキを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記生理的データPD(t)は、心拍数、心拍変動、心電図、血液の酸素飽和度、血圧、神経活動、具体的には脳波、内転、具体的には膝内転及び/又は膝の屈伸を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニングデバイスを制御するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人がトレーニングをし、それにより自らの体力を向上させることができるトレーニングデバイスが多数存在する。例として、電動自転車が挙げられ得る。他の例には、自転車エルゴメータ、外転/内転機及び腕強化牽引デバイスが含まれる。トレーニングセッション中、人は、十分に努力するため、トレーニングは、実際に体力を向上させるが、人に身体的危害をもたらす可能性がある過剰なストレスも回避されることが極めて重大である。最適なストレスの範囲は、人によって大きく異なる可能性があることに留意しなければならない。トレーニングデバイスは、人が十分に努力するが、同時に過剰なストレスにならないように、トレーニング中に正しく使用されるか又は適切に調整されることが重要である。理想的な場合、トレーニングデバイスは、心臓が弱い人及び高い能力の運動をする人の両方に調整できるように設計されるべきである。トレーニングデバイスの誤った使用の一例は、電動自転車のモータの動力を高く設定し過ぎるときであるはずである。その結果、人は、十分に努力せずに、同時に事故の危険性の増加に繋がる比較的高速で乗ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、トレーニングデバイスでトレーニングをする人が十分に努力をするが、同時に人への過剰なストレスを回避することができるように制御されるトレーニングデバイスを備えた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
トレーニングデバイスを制御するための本発明による装置は、
- 身体トレーニングを受けている人によって加えられた機械的動力を吸収するように構成されるトレーニングデバイスであって、トレーニングを支援し、且つ/又はトレーニングをより難しくするように構成される支援ユニットを含み、トレーニング中に人によって加えられた労力の機械的運動データBD(t)を測定するように構成される運動測定装置を含み、ここで、tは、時間である、トレーニングデバイスと、
- 人の身体の生理的データPD(t)を測定するように構成される身体センサと、
- mPD(t+T)形式の数理モデルが記憶される演算ユニットであって、最適化アルゴリズムを用いて、mPD(t+T)が、測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別にmPD(t+T)及び遅延Tを調整し、且つモデルに基づいて生理的データPD(t+T)の予測mPD(t+T)を準備するように構成される、演算ユニットと、
- 生理的データPD(t)のための所定の基準変数を取り、制御変数として予測mPD(t+T)を取り、且つ操作された変数として支援ユニットの支援u(t)を制御するように構成される制御ユニットと
を含む。
【0005】
式:
【数1】
が適用され、演算ユニットは、最適化アルゴリズムを用いて、mPD(t+T)が、測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別に係数a
xi、被加数a
10及び遅延τ
xiを少なくとも部分的に調整するように構成されることが好ましい。時間間隔K
iを有するD
i+1の測定点の平均化が項B
1(t)で行われる。D
iの値は、例えば、0~最大で60の範囲から選択することができる。時間間隔K
iの値は、例えば、0.2秒~最大で2秒の範囲から選択することができる。
【0006】
装置は、時間t+Tが遅延時間Tだけ未来にある予測mPD(t+T)を制御変数として取るため、制御ユニットは、トレーニングの変化に対して、生理的データPD(t)を制御変数として取った場合にそうであるはずよりはるかに迅速に反応することができる。その結果、基準変数からの制御変数の制御偏差は、生理的データPD(t)が制御変数として取られた場合にそうであるはずよりはるかに低く保つことができる。制御ユニットは、各人について個別に係数axi、被加数a10、遅延τxi及び遅延Tを調整するように構成されるため、制御偏差は、あらゆる人に対して低く保つことができる。それぞれの人は、外側から、例えばトレーニングデバイスによって発生された、人に作用する負荷の変化にそれぞれ異なる速度で反応する。比較的トレーニングをしていない人の場合、その人は、変化に遅く反応する傾向がある一方、比較的トレーニングをしている人の場合、その人は、変化に比較的迅速に反応する。演算ユニットは、各人について個別に係数axi及び被加数a10だけでなく、遅延τxi及び遅延Tも調整するように構成されるため、モデルは、それぞれの人によって負荷の変化にそれぞれ異なる速度で反応するという事実を反映させることができる。その結果、予測は、各人に特に高精度を有し、それにより制御偏差も特に低い。依然として必要なことは、各人の生理的データPD(t)に対する適切な基準変数を特定することのみである一方、基準変数は、経時的に変化することが想定できる。例えば、基準変数を設定するために、スポーツ医又は理学療法士を採用することができる。制御偏差が特に低いため、人が十分に努力することから、人の体力が向上し、人への過剰なストレスが回避されるようにトレーニングデバイスを制御することがここで可能になる。
【0007】
支援u(t)は、それによりトレーニングが支援される正及び/又はそれによりトレーニングをより難しくする負であり得る。電動自転車の電動機は、トレーニングを支援するように構成される支援ユニットの例である。この場合、支援は、例えば、電動機によって加えられた動力であり得る。自転車エルゴメータのブレーキは、トレーニングをより難しくするように構成される支援ユニットの例である。この場合、支援は、例えば、制動力であり得る。トレーニングを支え、トレーニングをより難しくするように構成される支援ユニットの例は、リカバリを行う、すなわち人のペダル踏力を電流に変換するように構成される電動自転車の電動機である。制御偏差を特に低く保つために、支援ユニットは、支援u(t)をわずかな増加に制御するように構成されることが好ましい。増加は、例えば、最大で3%、具体的には最大で1.5%又は最大で1%であり得る。100%は、ここで、支援ユニットがトレーニングを支援するように構成される場合の最大の支援u(t)を表す。支援ユニットが、トレーニングをより難しくするように構成される場合、-100%は、トレーニングに対する最大の抵抗に対応する。
【0008】
運動データBD(t)は、負荷を克服するためにトレーニング中に人によって加えられた機械的労力を特徴とする。運動データBD(t)は、人が休んでいるときにゼロである。生理的データは、人の身体のシステム及び/又はサブシステムが機能する方法を特徴とし、センサで測定できる変数を含む。システム又はサブシステムは、心肺系若しくはその一部であり得るか、又は筋骨格系若しくはその一部であり得る。生理的データPD(t)は、例えば、心拍数であり得る。膝内転トルク及び/又は膝外転トルクなどのいくつかの変数があり、これは、運動データBD(t)及び生理的データPD(t)の両方に問題を起こすことがある。
【0009】
jは、2~5の範囲から選択される場合に好ましい。j=2では、低い計算能力のみが必要であるが、それにもかかわらず、十分な予測精度に達するのに対して、j=5ではより高い予測精度に達することがわかった。
【0010】
kは、1~4の範囲から選択する場合に好ましい。k=1では、低い計算能力のみが必要であるが、それにもかかわらず、十分な予測精度に達するのに対して、k=4ではより高い予測精度に達することがわかった。
【0011】
トレーニングデバイスは、好ましくは、トレーニングデバイスの高度h(t)を測定するように構成される高度計を含み、
【数2】
がモデルに適用される。高度h(t)は、負荷に影響を与えるため、制御偏差は、B
3(t)の使用を通して更に低減することができる。高度計の提供は、トレーニングデバイスが電動自転車であるときに特に関連がある。高度計は、例えば、GPS受信機によって実現することができる。GPS受信機は、例えば、スマートフォンの一部であり得る。lは、1~4の範囲から選択する場合に特に好ましい。l=1では、低い計算能力のみが必要であるが、それにもかかわらず、十分な予測精度に達するのに対して、l=4ではより高い予測精度に達することがわかった。
【0012】
トレーニングデバイスは、好ましくは、トレーニングデバイスの周囲の温度Temp(t)を測定するための温度センサを含み、モデル内において、
【数3】
である。温度Temp(t)は、負荷に大きく影響を与えるため、制御偏差は、B
4(t)の使用を通して更に低減することができる。温度センサの提供は、トレーニングデバイスが例えば電動自転車などである場合、戸外の使用に提供されるときに特に関連がある。mは、1~2の範囲から選択される場合に好ましい。m=1では、低い計算能力のみが必要であるが、それにもかかわらず、十分な予測精度に達するのに対して、m=2ではより高い予測精度に達することがわかった。
【0013】
トレーニングデバイスは、好ましくは、トレーニングデバイスの傾斜N(t)を測定するように構成される傾斜計を含み、モデル内において、
【数4】
である。傾斜計は、例えば、高度h(t)/dtの時間微分から傾斜N(t)を決定するように構成される傾斜計算ユニットを含むことができる。傾斜計は、スマートフォンの一部であることが別法として想定できる。傾斜計は、トレーニングデバイス内に恒久的に設置されることも想定できる。nは、1~4の範囲から選択される場合が特に好ましい。n=1では、低い計算能力のみが必要であるが、それにもかかわらず、十分な予測精度に達するのに対して、n=4ではより高い予測精度に達することがわかった。
【0014】
遅延τxiは、ゼロであり、全ての遅延τxiは、i>1に調整されることが好ましい。演算ユニットは、少なくともT=5秒だけ未来にある時間t+Tについて予測mPD(t+T)を準備するように構成されることが好ましい。
【0015】
演算ユニットは、人の基礎的な体力を考慮するために、トレーニングセッション後、複数のトレーニングセッションで確認された運動データBD(t)及び複数のトレーニングセッションで確認された生理的データPD(t)並びに任意選択的に複数のトレーニングセッションで確認された高度h(t)、複数のトレーニングセッションで確認された温度Temp(t)及び/又は複数のトレーニングセッションで確認された傾斜N(t)を使用して、最適化アルゴリズムに基づいて係数axi、被加数a10、遅延τxi及び遅延Tを調整するように構成されることが好ましい。複数のトレーニングセッションは、例えば、人によって実行された全てのトレーニングセッションであり得る。複数のトレーニングセッションは、ごく最近実行された多数のトレーニングセッションであることが別法として想定できる。
【0016】
演算ユニットは、最適化アルゴリズム11を用いて、トレーニングセッション後に係数axi、被加数a10、遅延τxi及び遅延Tを調整するように構成されることが好ましく、最適化アルゴリズム11は、a)係数axiの各々、各遅延τxi、被加数a10及び遅延Tについて、それぞれの場合に複数の離散値を特定するステップ、b)axi、a10、τxi及びTをその値の1つに設定するステップ、c)モデルに基づいてmPD(t+T)を計算するステップ、d)複数のtについて、測定された生理的データPD(t+T)とmPD(t+T)との間のモデリング誤差を計算するステップ、e)値の全ての組み合わせについて、ステップb)~d)を繰り返すステップ、f)axi、a10、τxi及びTについて、最低モデリング誤差をもたらすそれらの値を選択するステップを有する。これは、演算に集中する方法であることが事実である一方、値axi、a10、τxi及びTは、それにもかかわらず、高精度で決定することができるため、制御偏差は、特に小さい。ステップd)において、過小評価誤差は、過大評価誤差より強く重点を置かれることが特に好ましい。
【0017】
演算ユニットは、人の現在の体力を考慮するために、トレーニングセッション中、トレーニングセッションで確認された運動データBD(t)及びトレーニングセッションで確認された生理的データPD(t)並びに任意選択的にトレーニングセッションで確認された高度h(t)、トレーニングセッションで確認された温度Temp(t)及び/又はトレーニングセッションで確認された傾斜N(t)を使用して、現在の体力を調整するためのアルゴリズムを用いて係数axi及び被加数a10を調整するように構成されることが好ましい。制御偏差は、現在の体力を考慮することによって特に低く保つことができる。
【0018】
演算ユニットは、現在の体力を調整するためのアルゴリズムを用いて、生理的データの予測mPD(t)と、測定された生理的データPD(t)との間の差Diff(t)=mPD(t)-PD(t)を決定し、及び差Diff(t)が閾値Threshold1>0を超える場合、それぞれの定数const1xiを加えることによって係数axiを修正し、且つ定数const10を加えることによって被加数a10を修正し、及び差Diff(t)がThresholdM<0の閾値を下回る場合、それぞれの定数constMxiを加えることによって係数axiを修正し、且つ定数constM0を加えることによって被加数a10を修正するように構成されることが特に好ましい。これは、有利には、あまり演算に集中しない方法であり、トレーニングセッション中に実行するためにも適切である。より多くの閾値も提供することができる。適切なプログラムコードは、例えば、このように見える。
if(Diff(t)>Threshold1)
ax1=ax1+const1x1
ax2=ax2+const1x2,
...
elseif(Diff(t)>Threshold2)
ax1=ax1+const2x1,
ax2=ax2+const2x2,
...
...
elseif(Diff(t)>ThresholdM-1)
ax1=ax1+const(M-1)x1,
ax2=ax2+const(M-1)x2,
...
elseif(Diff(t)<ThresholdM)
ax1=ax1+constMx1,
ax2=ax2+constMx2,
...
...
elseif(Diff(t)<ThresholdM+K)
ax1=ax1+const(M+K)x1,
ax2=ax2+const(M+K)x2,
...
End
【0019】
ここで、それぞれがifクエリを備え、係数axi及び被加数a10の全てが修正され、以下を適用する。
Threshold1>Threshold2>...>ThresholdM-1>ThresholdM+K>...>ThresholdM+1>ThresholdM
【0020】
制御ユニットは、好ましくは、PIDコントローラである。PIDコントローラは、その積分項が制御偏差を徐々に低減することに寄与する一方、その微分項は、制御偏差が実際に起きる前でも制御偏差を超えることを可能にするため、生理的データPD(t)を制御するために特に適する。PIDコントローラは、
【数5】
に従って支援u(t)を決定するように構成されることがここでは特に好ましく、ここで、K
P、K
I及びK
Dは、制御パラメータであり、e(t)は、時間tにおける制御偏差であり、関数f
1(e)、f
2(e)及びf
3(e)は、過小評価誤差が過大評価誤差より強く重点を置かれるように選択される。その結果、基準変数より大きい値に対する制御変数の偏差は、基準変数より小さい値を有する制御変数の偏差より確率が低い。それにより、人に身体的負傷をさせる恐れがある過剰なストレスを回避することができる。特に好ましくは、
【数6】
であり、e<0に対してf
3(e)=0であり、e≧0に対してf
3(e)=eである一方、f
1(e)及びf
2(e)では、多項式は、eの範囲によって異なり得る。
【0021】
演算ユニットは、各人について個別に制御パラメータKP、KI及びKDを調整するように構成されることが特に好ましい。このようにして、制御偏差は、各人に対して特に低いことを達成することができる。
【0022】
演算ユニットは、生理的データPD(t)のステップ応答が、操作された変数における急激な変化によって発生する校正方法を実行するように構成されることが好ましく、演算ユニットは、ステップ応答から制御パラメータKP、KI及びKDを決定するように構成されることが好ましい。演算ユニットは、ステップ応答を連続して発生するために生理的データPD(t)を記録するように構成することができる。演算ユニットは、それにより操作された変数に急激な変化を起こすために、一定の第1の支援u1から一定の第2の支援u2に支援ユニットを時間T0で切り替えるように構成される。例えば、u1は、80%~100%であり得、u2は、0%~20%であり得る。人は、例えば、ペダルを踏む回数など、できるだけ一定の頻度でトレーニングするべきであることを示す情報をここに示されることが可能である。演算ユニットは、第1の支援u1中及び第2の支援u2中の両方において、生理的データPD(t)が切替前にほぼPD1の値に、切替後にほぼPD2の値に安定するために十分な時間を待機するように構成される。演算ユニットは、切替の前後両方で少なくとも2分待機するように構成することができる。演算ユニットは、第2のステップ応答を発生するように構成されることが更に想定できる。このために、演算ユニットは、運動データBD(t)又は生理的データPD(t)が、操作された変数における急激な変化に続いて安定した後、演算ユニットは、支援をu2からu1に切り替え、生理的データPD(t)が安定するまで再度待機するように構成することができる。
【0023】
演算ユニットは、操作された変数における少なくとも1つの急激な変化及びトレーニングセッション後の生理的データPD(t)の得られるステップ応答を同定するように構成され、演算ユニットは、その少なくとも1つのステップ応答から制御パラメータKP、KI及びKDを決定するように構成されることが好ましい。演算ユニットは、制御パラメータKP、KI及びKDを粗調整するために校正方法を使用し、制御パラメータKP、KI及びKDの微調整を行うために、トレーニングセッション後に校正方法の外で同定されたその少なくとも1つのステップ応答を使用するように構成されることが想定できる。
【0024】
好ましくは、運動データBD(t)は、動力、具体的には自転車、具体的には電動自転車の場合又は自転車エルゴメータの場合にはペダル踏力、走力、漕力、速度、トルク、回転速度、角速度及び/又は膝外転トルクを含む。
【0025】
支援ユニットは、電動機、変速機及び/又はブレーキを含むことが好ましい。
【0026】
生理的データPD(t)は、心拍数、心拍変動、心電図、血液の酸素飽和度、血圧、神経活動、具体的には脳波、膝外転トルク、内転、具体的には膝内転及び/又は膝の屈伸を含むことが好ましい。
【0027】
本発明は、添付の概略図を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図5】操作された変数における急激な変化によって発生した生理的データPD(t)のステップ応答のグラフを示す。
【
図6】トレーニングセッション中に記録された様々な測定変数のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び2は、トレーニングデバイス2を制御するための装置1が、
- 身体トレーニングを受けている人8によって加えられた機械的動力9を吸収するように構成されるトレーニングデバイス2であって、トレーニングを支援し、且つ/又はトレーニングをより難しくするように構成される支援ユニット6を含み、トレーニング中に人によって加えられた労力の機械的運動データBD(t)を測定するように構成される運動測定装置5を含み、ここで、tは、時間である、トレーニングデバイス2と、
- 人8の身体の生理的データPD(t)を測定するように構成される身体センサ7と、
- 形式
【数7】
の数理モデルが記憶される演算ユニット3であって、
【数8】
であり、演算ユニット3は、最適化アルゴリズム11を用いて、mPD(t+T)が、測定された生理的データPD(t+T)に近づくような方法で各人について個別に係数a
xi、被加数a
10、遅延τ
xiを少なくとも部分的に、且つ遅延Tを調整し、及びモデルに基づいて生理的データPD(t+T)の予測mPD(t+T)を準備するように構成される、演算ユニット3と、
- 生理的データPD(t)のための所定の基準変数を取り、制御変数として予測mPD(t+T)を取り、且つ操作された変数として支援ユニット6の支援u(t)を制御するように構成される制御ユニット4と
を含むことを示す。時間間隔K
iを有するD
i+1の測定点の平均化は、項B
1(t)で行われる。
【0030】
トレーニングデバイス2は、トレーニングデバイス2の高度h(t)を測定するように構成される高度計を含むことができ、モデル内において、
【数9】
であり得る。追加として、トレーニングデバイス2は、トレーニングデバイス2の周囲の温度Temp(t)を測定するように構成される温度センサを含むことができ、モデル内において、
【数10】
であり得る。トレーニングデバイス2は、トレーニングデバイス2の傾斜N(t)を測定するように構成される傾斜計を含むことができ、モデル内において、
【数11】
であり得る。
【0031】
制御ユニットは、例えば、PIDコントローラであり得る。PIDコントローラは、例えば、
【数12】
に従って支援u(t)を決定するように構成することができ、ここで、K
P、K
I及びK
Dは、制御パラメータであり、e(t)は、時間tにおける制御偏差であり、関数f
1(e)、f
2(e)及びf
3(e)は、過小評価誤差が過大評価誤差より強く重点を置かれるように選択される。ここで、
【数13】
であり、e<0に対してf
3(e)=0であり、e≧0に対してf
3(e)=eである一方、f
1(e)及びf
2(e)では、多項式は、eの範囲によって異なり得る。
図3は、f
1(e)=f
2(e)の例示的グラフを示し、
図4は、f
3(e)の例示的グラフを示す。
図3からわかるように、関数f
1(e)及びf
2(e)は、2等分線を有することができ、0<e<E
1又は0<e<E
2のそれぞれの範囲内で2等分線の上のみにある。具体的には、生理的データが心拍数であるとき、例えば、e>12又はe<0に対してf
1(e)=f
2(e)=e、0≦e≦12に対してf
1(e)=f
2(e)=2
*e-0.082
*e
2を適用することができる。
図4からわかるように、例えば、e>0に対してf
3(e)=e、e≦0に対してf
3(e)=0によってf
3(e)を規定することができる。
【0032】
演算ユニット3は、各人8について個別に制御パラメータK
P、K
I及びK
Dを調整するように構成されることが予測できる。このために、演算ユニット3は、生理的データPD(t)のステップ応答が、操作された変数における急激な変化によって時間T
0で発生する校正方法を実行するように構成することができ、演算ユニット3は、ステップ応答から制御パラメータK
P、K
I及びK
Dを決定するように構成される。例示的ステップ応答は、
図5に例示されている。演算ユニット3は、ステップ応答を連続して発生するために生理的データPD(t)を記録するように構成することができる。演算ユニット3は、それにより操作された変数に急激な変化を起こすために、一定の第1の支援u
1から一定の第2の支援u
2に支援ユニット6を切り替えるように構成することができる。例えば、u
1は、80%~100%であり得、u
2は、0%~20%であり得る。人は、例えば、ペダルを踏む回数など、できるだけ一定の頻度でトレーニングするべきであることを示す情報をここに示されることが可能である。演算ユニット3は、第1の支援u
1中及び第2の支援u
2中の両方において、生理的データPD(t)が切替前にほぼPD
1の値に、切替後にほぼPD
2の値に安定するために十分な時間を待機するように構成することができる。演算ユニット3は、切替の前後両方で少なくとも2分待機するように構成することができる。ステップ応答から制御パラメータを決定するために、演算ユニット3は、変曲接線13をステップ応答に適用するように構成することができる。変曲接線13を適用する前に、PD(t)は、関数、例えば多項式によって調整することができ、変曲接線13は、調整された関数に適用することができる。少なくとも二乗誤差の方法は、関数を調整するために利用することができる。変曲接線13とPD(t)=PD
1との交点は、T
0で開始する遅延時間T
uを決定し、変曲接線13とPD(t)=PD
2との交点は、T
uの最後で開始する設定時間T
Gを決定する。ここで、制御パラメータは、例えば、K
P=1.2
*T
G/(K
S
*T
U)、K
I=0.6
*T
G/(K
S
*(T
U)
2)及びK
D=0.6
*T
G/K
Sにより決定することができ、ここで、K
Sは、増幅定数であり、支援変化に対する制御パラメータ変化の割合として計算することができる。
【0033】
演算ユニットは、操作された変数における少なくとも1つの急激な変化及びトレーニングセッション後の生理的データPD(t)又は運動データBD(t)の得られるステップ応答を同定するように構成され、演算ユニットは、その少なくとも1つのステップ応答から制御パラメータKP、KI及びKDを決定するように構成されることが想定できる。また、演算ユニットは、制御パラメータKP、KI及びKDを粗調整するために校正方法を使用し、制御パラメータKP、KI及びKDの微調整を行うために、トレーニングセッション後に校正方法の外で同定されたその少なくとも1つのステップ応答を使用するように構成されることも想定できる。
【0034】
演算ユニットは、第2のステップ応答を発生するように構成されることが更に想定できる。このために、演算ユニットは、生理的データPD(t)が、操作された変数における急激な変化に続いて安定した後、演算ユニットは、支援をu2からu1に切り替え、運動データBD(t)又は生理的データPD(t)が安定するまで再度待機するように構成することができる。制御パラメータKP、KI及びKDは、支援u(t)が増加又は減少すると変わる可能性がある。
【0035】
演算ユニット3は、人8の基礎的な体力を考慮するために、トレーニングセッション後、複数のトレーニングセッションで確認された運動データBD(t)及び複数のトレーニングセッションで確認された生理的データPD(t)並びに任意選択的に複数のトレーニングセッションで確認された高度h(t)、複数のトレーニングセッションで確認された温度Temp(t)及び/又は複数のトレーニングセッションで確認された傾斜N(t)を使用して、最適化アルゴリズム11(
図2を参照されたい)に基づいて係数a
xi、被加数a
10、遅延τ
xi及び遅延Tを調整するように構成することができる。このために、演算ユニット3は、最適化アルゴリズム11を用いて、トレーニングセッション後に係数a
xi、被加数a
10、遅延τ
xi及び遅延Tを調整するように構成することができ、最適化アルゴリズム11は、a)係数a
xiの各々、被加数a
10、遅延τ
xiの各々及び遅延Tについて、それぞれの場合に複数の離散値を特定するステップ、b)a
xi、a
10、τ
xi及びTを値の1つに設定するステップ、c)モデルに基づいてmPD(t+T)を計算するステップ、d)複数のtについて、測定された生理的データPD(t+T)とmPD(t+T)との間のモデリング誤差を計算するステップ、e)値の全ての組み合わせについて、ステップb)~d)を繰り返すステップ、f)a
xi、a
10、τ
xi及びTについて、最低モデリング誤差をもたらすそれらの値を選択するステップを有する。ステップd)において、過小評価誤差は、過大評価誤差より強く重点を置かれ得る11。
【0036】
図2からわかるように、演算ユニット3は、人8の現在の体力を考慮するために、トレーニングセッション中、トレーニングセッションで確認された運動データBD(t)及びトレーニングセッションで確認された生理的データPD(t)並びに任意選択的にトレーニングセッションで確認された高度h(t)、トレーニングセッションで確認された温度Temp(t)及び/又はトレーニングセッションで確認された傾斜N(t)を使用して、現在の体力を調整するためのアルゴリズム12を用いて係数a
xi及び被加数a
10を調整するように構成することができる。このために、演算ユニットは、例えば、現在の体力を調整するためのアルゴリズム12を用いて、生理的データの予測mPD(t)と、測定された生理的データPD(t)との間の差Diff(t)=mPD(t)-PD(t)を決定し、及び差Diff(t)が閾値Threshold
1>0を超える場合、それぞれの定数const
1xiを加えることによって係数a
xiを修正し、且つ定数const
10を加えることによって被加数a
10を修正し、及び差Diff(t)がThreshold
M<0の閾値を下回る場合、それぞれの定数const
Mxiを加えることによって係数a
xiを修正し、且つ定数const
M0を加えることによって被加数a
10を修正するように構成することができる。
【0037】
最適化アルゴリズム11で確認された係数axiと、遅延τxi及びT並びに現在の形式を調整するためのアルゴリズム12で確認された係数axi、最適化アルゴリズム11及び現在の体力を確認するためのアルゴリズムで確認された被加数a10とは、ステップ10で予測mPD(t+T)を準備するために使用される。予測mPD(t+T)は、制御ユニット4内の制御変数であり、操作された変数は、支援u(t)である。
【0038】
運動データBD(t)は、例えば、動力、具体的には自転車、具体的には電動自転車の場合又は自転車エルゴメータの場合にはペダル踏力、走力、漕力、速度、トルク、回転速度、角速度及び/又は膝外転トルクであり得る。トレーニングデバイス2が自転車又は自転車エルゴメータである場合、トレーニング中に人8によって加えられ、トレーニングデバイス2によって吸収される動力9は、ペダル踏力である。トレーニングデバイス2は、例えば、ローイングエルゴメータ又は手漕ぎボートでもあり得、運動データは、漕力であり得る。トレーニングデバイスは、外転/内転機でもあり得、運動データは、膝外転トルクであり得る。
【0039】
支援ユニット6は、例えば、電動機、変速機及び/又はブレーキを含むことができる。支援ユニット6によって加えられた支援u(t)は、それによりトレーニングが支援される正及び/又はそれによりトレーニングをより難しくする負であり得る。電動機は、トレーニングを支援するように構成される支援ユニット6の例である。この場合、支援u(t)は、例えば、電動機によって加えられた動力であり得る。運動データBD(t)が動力である場合、制御ユニット4は、PM(t)=u(t)*K*BD(t)に従って電動機の動力PMを決定するように構成されることが別法として想定できる。因数Kは、最大モータ支援が可能なものを示す。Kは、例えば、1~5、具体的には3であり得る。例えば、自転車エルゴメータのブレーキは、トレーニングをより難しくするように構成される支援ユニットの例である。この場合、支援は、例えば、制動力であり得る。トレーニングを支え、より難しくするように構成される支援ユニットの例は、リカバリを行う、すなわち人のペダル踏力を電流に変換するように構成される電動機である。支援ユニット6は、支援u(t)をわずかな増加に制御するように構成することができる。例えば、最大で3%、具体的には最大で1.5%又は最大で1%の増加が想定できる。ここで、100%は、支援ユニットがトレーニングを支援するように構成される場合における最大の支援u(t)に対応するものである。支援ユニットがトレーニングをより難しくするように構成される場合、-100%は、トレーニングに対する最大の抵抗に対応する。
【0040】
生理的データPD(t)は、心拍数、心拍変動、心電図、血液の酸素飽和度、血圧、神経活動、具体的には脳波、内転、具体的には膝内転及び/又は膝の屈伸を含むことができる。内転及び/又は膝の屈伸は、例えば、加速度値及び/又は回転データを決定するように構成される、人8に取り付けた複数の慣性測定ユニットを用いて決定することができる。
【0041】
トレーニングデバイス2として電動自転車で実行したトレーニングセッションの生理的データPD(t)、運動データBD(t)及び支援u(t)は、
図6にグラフで描かれている。生理的データPD(t)は、単位が1分当たりの拍数(bpm)の心拍数である。心拍数は、例えば、胸帯内に取り付けた身体センサ7で測定することができる。運動データBD(t)は、単位がワットのペダル踏力である。ペダル踏力は、例えば、トルク及び角速度を測定することによって決定することができる。特に高品質のトルクを獲得するために、
図6によるトルクは、例えば、国際公開第2015/028345A1号パンフレットのようにInnotorq製のトルクセンサで測定した。角速度は、磁気センサを用いてポールリングの回転の測定を通して測定した。
図6による支援ユニット6は、その支援が0%~100%に制御される電動自転車の電動機である。電動機がリカバリを行うことができる場合、支援は、-100%~100%に制御することができる。
図6の上部のグラフの破線は、基準変数を表す。基準変数は、経時的に変化し得ることがわかる。測定された心拍数は、常に基準変数の良好な近似値であることもわかる。
【符号の説明】
【0042】
1 装置
2 トレーニングデバイス
3 演算ユニット
4 制御ユニット
5 運動測定装置
6 支援ユニット
7 身体センサ
8 人
9 動力
10 予測mPD(t+T)の準備
11 最適化アルゴリズム
12 現在の体力を調整するためのアルゴリズム
13 変曲点における接線
BD(t) 運動データ
PD(t) 生理的データ
mPD(t+T) 生理的データの予測
u 支援
t 時間
Tu 遅延時間
Tv 設定時間
T0 支援における急激な変化の時間
【国際調査報告】