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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】パルス化電気機械制御
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20240220BHJP
   B60W 20/17 20160101ALI20240220BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20240220BHJP
   B60L 9/18 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
B60L15/20 S
B60W20/17 ZHV
H02P27/08
B60L9/18 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023539110
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021063876
(87)【国際公開番号】W WO2022164530
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/158,230
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520347203
【氏名又は名称】トゥラ イーテクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン,ヴィジャイ
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
3D202BB00
3D202DD00
3D202DD12
3D202DD22
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA05
5H125BA07
5H125BB02
5H125CA02
5H125CA10
5H125EE41
5H125EE42
5H125EE49
5H125EE51
5H125EE57
5H125EE63
5H125EE64
5H505AA16
5H505BB04
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD08
5H505DD11
5H505EE49
5H505HB01
5H505JJ03
5H505LL01
5H505LL38
5H505LL45
5H505LL50
(57)【要約】
電気モータのパルス化制御に関し、より詳細には、高レベルの動作効率を維持しながら、騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を低減するように、パルス化周波数、パルスの振幅、及び/又はパルスのデューティサイクルのうち1つ又は複数を選択的に調整することに関する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電気機械のパルス化を制御するための電気機械制御装置において、
前記機械をモータとして動作させるためのトルク要求を決定し、
前記機械を前記モータとしてパルス化動作させるための振幅を決定し、
前記機械を前記モータとして前記パルス化動作させるためのデューティサイクルを決定し、前記振幅及び前記デューティサイクルが、前記決定されたトルク要求の生成をもたらし、
前記決定されたトルク要求を生成しながら、前記機械をモータとして前記パルス化動作させるための周波数を確認し、前記周波数が、(a)前記車両の計測可能なパラメータ、又は(b)許容可能な騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)の量を調整する、前記車両上の機能の何れかによって引き起こされるNVHを考慮に入れることによって確認され、前記測定可能なパラメータ及び/又は機能が、
(a)ギアボックス、
(b)車輪駆動状況、
(c)前記車両が搬送する積載物の重量、
(d)選択可能なエコノミーモード、
(e)選択可能なスポーツモード、
(f)許容可能なNVHの様々なレベルを運転者が選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(g)占有率、
(h)温度、
(i)前記車両が経時変化するときの、前記車両のNVH特性をモデル化する第1のモデル、
(j)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する第2のモデル、
(k)アクティブ騒音制御システム、
(l)アクティブ振動制御システム、
(m)路面状態、又は
(n)(a)~(m)の任意の組合せ
を含むグループから選択されるように構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記車両上のギア装置であり、前記確認された周波数は、ギアボックスが第1のギアにあるときの第1の周波数であり、又は前記ギアボックスが第2のギアにあるときの第2の周波数であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機械制御装置において、前記ギアボックスの各ギアが、互いに異なる共振周波数によって特徴付けられ、前記周波数の前記確認が、前記ギアボックスの前記ギアのそれぞれについて、それぞれ互いに異なる共振周波数を回避するステップをさらに含むことを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記車両での前記測定可能なパラメータが、前記車両の車輪駆動状況であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機械制御装置において、前記車両の前記車輪駆動状況が、前輪駆動(FWD)、後輪駆動(RWD)、及び全輪駆動(AWD)のうちの1つを含み、それぞれFWD、RWD、及びAWDで動作する前記車両用に、前記確認された周波数が調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記車両によって搬送される積載物の重量であり、前記車両によって搬送される前記積載物の前記重量が増加するにつれて、前記確認された周波数が調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機械制御装置において、前記車両、及び前記積載物の前記重量が、共振周波数によって特徴付けられ、前記確認された周波数が、前記共振周波数を回避するように調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、前記車両を動作させるための選択可能なエコノミーモードであり、前記車両が非エコノミーモードで動作しているときと比較して、前記車両が前記エコノミーモードで動作しているときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記NVHの伝達を軽減するためのパワートレインマウントの能力であり、前記NVHの前記伝達を軽減するための前記パワートレインマウントの前記能力が、それぞれ増加又は減少するにつれて、前記確認された周波数が下降又は上昇することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、占有センサによって測定される車両の占有率であり、前記車両において乗員が検知されるときと比較して、前記車両において乗員が検知されないときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、温度センサによって測定される温度であり、前記確認された周波数が、検知された低温では上昇し、検知された高温では下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、選択可能なスポーツモードであり、前記車両が前記スポーツモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記スポーツモードで動作しているときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、許容可能なNVHの選択可能なレベルを可能にする、ユーザ選択可能なNVH制御装置であり、相対的に多くのNVHが許容可能なものとして選択されると、前記確認された周波数が引き下げられることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能は、前記車両が経時変化するにつれて、前記車両のNVH特性をモデル化するモデルであり、前記確認された周波数が、前記モデルに対して上昇し、前記車両の前記NVH特性が増加していることを示すことを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項15】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、コールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化するモデルであり、前記コールドスタート後に前記車両が暖まるにつれて、前記確認された周波数が下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項16】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、アクティブ騒音制御装置であり、前記確認された周波数は、前記アクティブ騒音制御システムが騒音を能動的に低減又は追加しているときに調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項17】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、振動制御システムであり、前記確認された周波数は、前記アクティブ振動制御システムが振動を能動的に低減しているときに下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記確認された周波数が、
(a)参照表、
(b)多次元参照表、
(c)スライディングスケール、
(d)乗算器、
(e)プロセッサ、
(f)論理演算装置、
(g)訓練済みニューラルネットワーク、又は
(e)(a)~(g)の任意の組合せ
のうちの1つを使用することによって選択されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記電気機械を前記モータ又は発電機の何れかとして動作させるようにさらに構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項20】
請求項1乃至20の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記決定されたトルク要求が閾値を下回るときには連続動作で、又は前記決定されたトルク要求が前記閾値を上回るときには前記パルス化動作で、前記電気機械を動作させるようにさらに構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項21】
車両上の1つ又は複数の構成要素に起因する騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を考慮に入れるように調整されてきた周波数、又は許容可能な前記NVHの量の調整を可能にする周波数において電気機械をパルス化することによって、前記車両で使用される前記電気機械をパルス制御することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記車両が第1のギアにあるとき、前記電気機械を第1の周波数でパルス化して、前記第1のギアで動作しているときの前記車両の第1の共振周波数を回避するステップと、前記車両が第2のギアにあるとき、前記電気機械を第2の周波数でパルス化して、前記第2のギアで動作しているときの前記車両の第2の共振周波数を回避するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法において、前記車両の前輪駆動(FWD)状況、後輪駆動(RWD)状況、及び全輪駆動(AWD)状況について、それぞれ前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21乃至23の何れか一項に記載の方法において、前記車両によって搬送される積載物の重量に基づいて、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21乃至24の何れか一項に記載の方法において、前記車両がエコノミーモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記エコノミーモードで動作しているときには、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21乃至25の何れか一項に記載の方法において、前記車両がスポーツモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記スポーツモードで動作しているときには、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21乃至26の何れか一項に記載の方法において、許容可能な前記NVHの量が選択的に増加されるにつれて、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項21乃至27の何れか一項に記載の方法において、前記NVHの伝達を軽減するためのパワートレインマウントの能力が、それぞれ減少又は増加するにつれて、前記周波数を相対的に高く又は相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項21乃至28の何れか一項に記載の方法において、前記車両が経時変化するにつれて、前記車両のNVH特性をモデル化するモデルの出力に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項21乃至29の何れか一項に記載の方法において、コールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化するモデルの出力に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項21乃至30の何れか一項に記載の方法において、アクティブ騒音制御システムによって実行される能動的な騒音相殺又は騒音追加に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項21乃至31の何れか一項に記載の方法において、アクティブ振動制御システムによって実行される能動的な振動低減に応答して、前記周波数を下降させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項21乃至32の何れか一項に記載の方法において、前記周波数が、
(a)ギアボックス状況、
(b)車輪駆動状況、
(c)前記車両によって搬送される積載物の重量、
(d)選択可能なエコノミーモード、
(e)選択可能なスポーツモード、
(f)運転者が、許容可能なNVHの様々なレベルを選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(g)占有センサ、
(h)温度センサ、
(i)前記車両が経時変化するときの前記車両のNVH特性をモデル化する、第1のモデル、
(j)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する、第2のモデル、
(k)アクティブ騒音制御システム、
(l)アクティブ振動制御システム、
(m)路面状態、又は
(n)(a)~(m)の任意の組合せ
のうちの1つ又は複数に応答して調整されることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項21乃至33の何れか一項に記載の方法において、2つ以上の構成要素又は機能から得られる、前記周波数の提案された調整が競合する場合、前記電気機械をパルス化するための前記周波数として、相対的に低いNVH量をもたらす前記提案された周波数を選択することを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項21乃至34の何れか一項に記載の方法において、2つ以上の構成要素又は機能から得られる、前記周波数の提案された調整が競合する場合、前記競合に対処するように構成された所定のアルゴリズムに従って、前記提案された周波数を選択することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項21乃至35の何れか一項に記載の方法において、モータ又は発電機の何れかとして、前記電気機械を動作させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項21乃至36の何れか一項に記載の方法において、前記NVHを考慮に入れるように調整された前記周波数において前記電気機械がパルス化される、連続モード又はパルス化モードの何れかで、前記電気機械を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項21乃至37の何れか一項に記載の方法において、前記車両が進んでいる道路の表面が荒れている場合、前記周波数を下降させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項21又は22の何れか一項に記載の方法において、前記周波数が、
(a)ギアボックス状況、
(b)車輪駆動状況、
(c)前記車両によって搬送される積載物の重量、
(d)選択可能なエコノミーモード、
(e)選択可能なスポーツモード、
(f)前記運転者が、許容可能なNVHの様々なレベルを選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(g)占有センサ、
(h)温度センサ、
(i)前記車両が経時変化するときの前記車両のNVH特性をモデル化する、第1のモデル、
(j)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する、第2のモデル、
(k)アクティブ騒音制御システム、
(l)アクティブ振動制御システム、
(m)路面状態、又は
(n)(a)~(m)の任意の組合せ
のうちの1つ又は複数に応答して調整されることを特徴とする方法。
【請求項40】
電気機械のパルス化を制御するための電気機械制御装置において、
騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)の大きさを示す1つ又は複数の信号を受信し、
前記NVHの大きさと閾値とを比較し、
前記NVHの前記大きさが前記閾値を超える場合には、前記電気機械をパルス化するのに使用されるパルス化周波数を調整し、前記パルス化周波数は、前記NVHの前記大きさが前記閾値を下回って低減されるように調整されるように構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項41】
請求項40に記載の電気機械制御装置において、前記閾値が、相対的に高く又は相対的に低くなるように調整可能であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項42】
請求項40又は41に記載の機械制御装置において、前記電気機械が、車両に取り付けられ、前記車両を推進するためのモータとして、及び前記車両で使用するための電気エネルギーを発生させるための発電機として動作することができることを特徴とする機械制御装置。
【請求項43】
請求項40乃至42の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両に発生する前記NVHが、
(a)ギアボックス、
(b)前記車両の1つ又は複数の車輪、
(c)前記車両のドライブラインの任意の構成要素、又は
(d)(a)~(c)の任意の組合せ
のうちの1つから得られるか、又はその結果として生じることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項44】
請求項40乃至43の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記電気機械が車両に取り付けられ、前記閾値が、
(a)選択可能なエコノミーモード、
(b)選択可能なスポーツモード、
(c)許容可能なNVHの様々なレベルの選択を可能にする、選択可能なNVH制御装置、
(d)アクティブ騒音制御システム、
(e)アクティブ振動制御システム、又は
(f)(a)~(e)の任意の組合せ
のうちの1つによって調整可能であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項45】
請求項40又は41の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両に発生する前記NVHが、
(a)ギアボックス、
(b)前記車両の1つ又は複数の車輪、
(c)前記車両のドライブラインの任意の構成要素、又は
(d)(a)~(c)の任意の組合せ
のうちの1つから得られるか、又はその結果として生じることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項46】
請求項40又は41の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記電気機械が車両に取り付けられ、前記閾値が、
(a)選択可能なエコノミーモード、
(b)選択可能なスポーツモード、
(c)許容可能なNVHの様々なレベルの選択を可能にする、選択可能なNVH制御装置、
(d)アクティブ騒音制御システム、
(e)アクティブ振動制御システム、又は
(f)(a)~(e)の任意の組合せ
のうちの1つによって調整可能であることを特徴とする電気機械制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月26日出願の米国特許出願第17/158,230号明細書の優先権を主張するものであり、参考としてこれを本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、一般に、電気モータのパルス化制御に関し、より詳細には、高レベルの動作効率を維持しながら、騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を低減するように、パルス化周波数、パルスの振幅、及び/又はパルスのデューティサイクルのうち1つ又は複数を選択的に調整することに関する。
【0003】
電気モータと発電機は、構造的に非常に似かよっている。両方とも、いくつかの極を有する固定子、及び回転子を備える。たいていの電気モータは、発電機として動作することができ、その逆の場合も同様である。モータとして動作するときは、電気エネルギーが機械エネルギーに変換される。発電機として動作するときには、機械エネルギーが電気エネルギーに変換される。したがって、本明細書での「機械」という用語は、電気モータと発電機の両方を意味するように広く解釈されるものである。
【0004】
電気機械は、多種多様な用途において使用され、通常は、多種多様な負荷の下で動作するように求められる。エネルギー変換効率は、電気機械の測定可能な負荷に基づいて著しく変化する場合があるので、この電気機械は、そのピーク効率で動作することになるが、非常にしばしば、そのピーク効率レベルから外れて動作することが求められる場合もある。
【0005】
パルス化は、機械効率を改善するための既知の手法である。たとえばモータの場合、パルスがオンのときに出力トルクが生成されるが、パルス間ではトルク出力は生成されない。一般規則として、パルスの振幅(すなわち、トルク出力)は、モータの最高効率範囲又はその近くになるように選択され、デューティサイクル(すなわち、モータがパルスオンされる時間とパルスオフされる時間との割合)及び/又は周波数(すなわち、パルス間の時間間隔)は、可能な限り効率的且つ経済的に動作しながら、モータの総合出力が、求められるトルク要求を満たすように選択される。
【0006】
機械のパルス化動作は、効率及び経済性を向上させるが、いくつかの好ましくない面が存在することもある。具体的には、パルスの振幅が高くなるほど、通常発生する騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)が増える。また、パルスの周波数が低すぎる場合には、過度のNVHが生じる場合もある。電気自動車及び/又はハイブリッド車におけるモータの使用など、数多くの用途において、過度のNVHは許容できない。
【0007】
したがって、高レベルの動作効率及び経済性を依然として維持しながら、NVHを低減するために、電気機械のパルス化動作に使用されるパルスの周波数、振幅、及び/又はデューティサイクルのうち1つ又は複数を選択的に調整する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、高レベルの動作効率を維持しながら、騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を低減するために、車両での電気機械のパルス化動作中にパルス化周波数を調整するための、システム及び方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明及びその利点は、添付図面とともになされる以下の説明を参照することによって、最もよく理解することができる。
【0010】
図1図1は、様々な動作条件の下で、モータとして動作する代表的な電気機械のエネルギー変換効率を示す、代表的なトルク/速度/効率のグラフである。
図2図2は、電気機械でのパルス化駆動信号を示すグラフである。
図3図3Aは、連続的な3相AC駆動信号の波形の図表示である。図3Bは、図2Aの連続波形と同じトルク出力を発生させる、パルス化3相AC波形の2つの異なる例であり、その両方とも50%のデューティサイクルを有するが、周波数が異なる。図3Cは、図2Aの連続波形と同じトルク出力を発生させる、パルス化3相AC波形の2つの異なる例であり、その両方とも50%のデューティサイクルを有するが、周波数が異なる。
図4図4は、本発明の非排他的な実施形態による、トルク及び/又は機械速度の様々な組合せでのパルス化周波数を提示する代表的な表を示す。
図5A図5Aは、本発明の非排他的な実施形態によるモータ制御装置を示す、機能ブロック図である。
図5B図5Bは、本発明の非排他的な実施形態による、モータ制御装置に供給されてもよい、考え得る入力の非限定的なリストである。
図6図6は、本発明の非排他的な実施形態による、モータ制御装置によって実施されるステップを示す流れ図である。
図7図7は、本発明の非排他的な実施形態による、電子機械のパルス化周波数を調整するためのリアルタイムフィードバックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図面において、同じ構造要素を示すために、同じ参照番号が使用されることがある。各図での描写は概略的なものであり、原寸に比例していないことも理解されたい。
【0012】
本開示は、一般に、動作条件が許すときに、電気機械のエネルギー変換効率を改善するための、電気機械(たとえば、電気モータ及び発電機)のパルス化制御に関する。より具体的には、選択された動作条件の下で、電気機械は、従来の連続機械制御と比較して、相対的に高い効率レベルで動作するように断続的にパルス化され、これによって、これまで実現可能だった方式よりもエネルギー効率の高い方式で所望の平均トルク出力を供給する。
【0013】
本出願人は、2018年3月19日出願の米国仮特許出願第62/644,912号明細書、2019年2月26日出願の米国仮特許出願第62/810,861号明細書、2019年3月15日出願の米国仮特許出願第62/819,097号明細書、及び2018年4月17日出願の米国仮特許出願第62/658,739号明細書を含め、電気機械のパルス制御に関連するいくつかの出願をおこなってきた。上記出願のそれぞれは、あらゆる目的で、本明細書において参考として援用される。
【0014】
説明を簡潔にするために、以下での考察は、電気自動車及び/又はハイブリッド車に使用されるモータとの関連で、パルス化を制御してNVHを低減することに関係する。以下での考察は、いかなる点においても限定的なものと解釈されるべきではないことを理解されたい。それどころか、本明細書に記載の同じ又は同様のパルス化の方策は、発電機として動作する機械、並びに、洗濯機、乾燥機、及び食器洗浄器のような機器、圧縮機などのHVAC装置など、多種多様な用途で動作する機械に等しく適用可能である。
【0015】
効率マップ
図1を参照すると、上記に定義した問題の性質を示す、モータ効率マップ10が示してある。具体的には、このマップ10には、広範囲の様々な機械速度(X軸)及びトルク値(Y軸)の下での、代表的なモータの効率が図式的に示してある。モータのいくつかの動作特性が、マップ10から明らかである。これらの特徴は、以下のことを含む。
(a)図示されたモータは、一般に、特定の速度範囲内で動作し、規定範囲内のトルクを発生させているときに最も効率的である。図示された特定のモータにおいて、最も効率的な領域は、参照番号14によって示された区域であり、これは、トルク出力が約50~80Nmの範囲で、全体として4500~6000RPMの範囲にある。この領域14では、モータのエネルギー変換効率は約96%である。したがって、領域14は、本明細書において「スイートスポット」と呼ばれることがあり、これは所与の機械にとって最も効率的な動作領域である。
(b)任意の特定の機械速度において、対応する最も効率的な出力トルクが存在することになり、これが最大効率曲線16によって概略的に示してある。モータの効率は、所与の任意の機械速度において、最も効率的な負荷よりも、その負荷が高いか又は低いときにいくらか低下する傾向がある。領域によっては、モータの効率は、たとえば、図示された例示的なモータにおいて、トルク出力が約30Nmを下回るときのように、比較的急速に低下する傾向がある。
(c)また、所望のモータトルクが、現在の所与の機械速度において、曲線16によって示されるような最も効率的な出力トルクを下回るとき、モータの総合効率をパルス化動作によって改善することができる。逆に言えば、所望のモータトルクが、最大効率曲線16以上になるとき、このモータは、所望のトルクを最も効率的に供給するように、従来の(すなわち、連続的な/非パルス化の)方式で動作してもよい。
【0016】
上記に定義した観察に基づけば、モータが、たいていの場合、領域14によって示されるその「スイートスポット」において、又はその近くで動作するように、動作条件が制御される場合、モータの総合エネルギー変換効率を大幅に改善できることが明らかである。残念ながら、数多くの用途では、モータは、広範囲に変化するトルク要求条件、及び/又は広範囲に変化する機械速度にわたって動作することが必要であり、これらは、しばしばスイートスポットから外れる。
【0017】
このような用途の1つは、自動車及び他の車両の用途、又は移動用途であり、そこでは、電気モータは、車両の車輪、又は(1つ若しくは複数の)他のドライブライン構成部品(ギアボックス、変速機、任意の内燃機関、ドライブシャフト、差動装置など)に連結されることが多い。通常の運転サイクルにわたって、機械速度は、車両が停止しているときのゼロから、ハイウェイ速度で巡航しているときの比較的高いRPMまでの間で変化することがある。トルク要求条件もまた、車両が加速しているか、それとも減速しているか、上り坂を走行しているか、それとも下り坂を走行しているか、比較的平坦な地形を走行しているかどうか、車両重量、数多くの他の構成要素などの構成要素に基づいて、そうした速度の何れにおいても幅広く変化することがある。もちろん、他の用途で使用されるモータも同様に、多種多様な動作条件に曝されることがある。
【0018】
パルス制御の場合、機械の出力は、(1)測定可能なトルク要求を満たしながら、(2)総合効率を改善するようにして、「トルクオン」状態と「トルクゼロ(なし)」状態の間で、知的に、且つ断続的に調節される。すなわち、選択された動作条件の下で、電気機械は、より効率的なエネルギー変換動作レベル(「トルクオン」状態)で断続的に駆動されて、所望の出力を供給する。各パルス間の期間において、この機械は、理想的には、いかなるトルクも発生又は消費しない(「ゼロトルク」状態)。これは、概念的には、電気機械を「オフ」にすることと考えることができる。実装形態によっては、たとえば、モータへの駆動電流又は発電機用の励磁電流を遮断することにより、電気機械を効果的に「オフ」にすることによって、これを達成することができる。しかし、他の実装形態では、電気機械は、「ゼロトルク」状態にある間、電気機械によって発生するトルクをゼロにするか、又は特定の機械にとって実用的若しくは適切である限りゼロに近づけるように制御されてもよい。実装形態によっては、電気機械とともに使用される任意の電力変換装置も同様に、「ゼロトルク」期間の少なくとも一部分において効果的にオフにされてもよい。
【0019】
図1に示す効率マップは、たまたま、2010年のトヨタプリウスで使用された内部永久磁石の同期モータ用のものであり、単に例示的なものである。ほぼ任意の電気機械に対して、同様の効率マップを生成することができるが、各マップの動作特性は機械ごとに異なることになる。したがって、いかなる点においても、図1のマップを限定的なものとして解釈すべきではない。
【0020】
パルス化モータ動作及びデューティサイクル
図2は、パルス化モータ動作の一例を示すプロット20である。この特定の例では、所望のモータトルク出力は、(破線22によって示されるように)10Nmである。この特定のモータのピーク効率は、50Nmのトルク出力におけるものである。
【0021】
プロット20は、それぞれが10Nmの所望のモータトルクを発生させる様々なモードにおいて、どのようにしてモータを動作させることができるかを示すのに役に立つ。しかし、以下に説明するように、どの動作モードが選択されるかに応じて、モータの効率を改善することができる。
【0022】
第1のモードでは、モータを連続して動作させて、10Nmの定常出力を発生させることができる。前述の通り、10Nmの定常出力は、モータの最も効率的な出力をはるかに下回っているので、この動作モードは、効率の観点からは明らかに理想的ではない。
【0023】
第2のモードでは、50Nmのピーク効率出力でモータを駆動することができるが、デューティサイクルはわずか20%であり、残りの80%の時間ではトルクゼロ(なし)となる。すなわち、50Nmのピーク効率での20パーセント(20%)のデューティサイクルを使用してモータをパルスオンにし、各パルス間の時間の残り80パーセント(80%)をパルスオフにすることによって、同じ10Nmの正味出力が実現するが、モータの総合効率が大幅に改善される。
【0024】
図2には、第2の動作モードが示してある。オンパルス24は、振幅が50Nmであり、5タイムユニットごとに1タイムユニット(すなわち、20%)の期間又は周波数を有する。介在する4つの期間中(80%)、モータは、ゼロトルクを発生させるように制御される。最終結果は、平均トルク出力が所望の10Nmになることであるが、モータがほぼもっぱらピーク効率範囲内で動作する場合に、総合効率が大幅に改善される。
【0025】
第2の動作モードは、変化する測定可能なトルク要求を満たすように、広く変更することができる。たとえば、
(a)所望のモータ出力が20Nmにまで変化する場合、50Nmにおいて動作するモータのデューティサイクルを40%にまで増加させることができる。
(b)所望のモータ出力が40Nmにまで変化する場合、デューティサイクルを80%にまで増加させることができる。
(c)所望のモータ出力が5Nmにまで変化する場合、デューティサイクルを10%にまで低減することができる。
【0026】
所望のモータ出力が50Nmのピーク効率を超えない限り、50Nmで動作するモータのデューティサイクルを単に変更することによって、所望のモータ出力を満たすことができる。これらの例のそれぞれが示すように、モータをパルス化することは、有利には、所望のモータトルクが最大効率曲線16を下回るときに効率の利点をもたらすことになる。
【0027】
実際に使用されるオン及び/又はオフのタイムユニットの周波数又はタイミングは、任意の具体的な機械システムのサイズ、性質、及び設計の必要性に基づいて広く異なる場合がある。実際には、所望のデューティサイクルを達成するために、モータが「トルクオン」状態から「ゼロトルク」状態へと比較的迅速に切り替えられると、測定可能な見地からは、モータが、実際にこれらの状態間で行ったり来たりして切り替えられているという事実によって、モータの性能が実質的に低下しない場合がある。実施形態によっては、各オン/オフサイクルでの期間のタイミングは、広く変化する場合がある。たとえば、上記に列挙した米国特許出願では、予想されるオン/オフサイクルは、ほぼ100μ秒~0.10秒程度(すなわち、10~10,000Hzの範囲の周波数でのパルス化)、たとえば、20~1000Hz、又は20~100Hzの範囲であると記載されている。適切なパルス化周波数は、制御される電気モータのタイプ、及びパルス化によってもたらされることのあるNVHに対する用途の許容範囲の関数でもよい。
【0028】
パルスサイクルのゼロトルク部分は、概念的には、モータを遮断するものとみなしてもよいが、多くの場合、モータは、そうした期間中に実際には遮断されなくてもよく、又は「ゼロトルク」間隔の一部のみにおいて遮断されてもよい。
【0029】
交流(AC)モータのパルス化
一般的な乗用車に使用される数多くの電気モータは、交流(AC)を使用して動作するように設計されている。しかし、これは、決して要求条件ではない。他の車両の場合、使用されるモータは、永久磁石AC、誘導AC、及び/又はDCとすることができる。
【0030】
図3A図3Cは、モータとして動作する電気機械、たとえば3相誘導モータに入力されることのある、連続交流とパルス化交流の間の差を示すプロットである。各プロットにおいて、縦軸には電流がプロットされ、横軸に沿って時間がプロットされている。
【0031】
図3Aには、電気機械に供給される従来の正弦波3相入力電流26a、26b、及び26cが示してある。26bで表される位相Bは、26aで表される位相Aよりも120度だけ進んでいる。26cで表される位相Cは、位相Bよりも120度だけ進んでいる。正弦波の周期はτである。3相入力電力26は、連続的であり(パルス化されておらず)、約50アンペアの指定された最大振幅を有する。50アンペアは代表的な値にすぎず、電流は任意の値をとることができるものと理解されたい。
【0032】
図3B及び図3Cには、異なるパルス化3相電流28a~c及び29a~cの2つの例がそれぞれ示してあり、それぞれが、50%パーセント(50%)のデューティサイクル及び約100アンペアのピーク振幅を有する。図3Aと同様に、基本正弦波の周期はτであるが、ここで、この正弦波はオン及びオフに調節される。機械速度が同じであり、発生したトルクが電流にほぼ比例すると仮定すると、たいていの場合、図3B及び図3Cでの供給電流は、図3の連続して印加される3相入力電流と同じ平均トルクを発生させる。パルス化電流28a~cと29a~cとの間の差は、そのそれぞれの電流パルスの持続時間、及びインターリーブされた「オフ」期間である。
【0033】
図3Bでは、電流パルス28a~cは、等しい長さの「オフ」期間及び「オン」期間でインターリーブされ、その両方とも2τである。
【0034】
図3Cでは、電流パルス29a-c及びインターリーブされた「オフ」期間は、やはり等しい持続時間を有する。この場合、継続時間はτ/2である。
【0035】
両方の例において、デューティサイクルは50%である。しかし、「オン」及び「オフ」の持続時間は異なる(すなわち、パルス化調節の周波数が異なる)。このパルス化調節の周波数は、使用される電気機械のタイプ、騒音、及び振動などの考慮すべき問題、現在の動作回転子速度、並びに他の構成要素に基づいて変化することがある。
【0036】
図3B図3Cには、モータが、定常状態の所望の出力レベルで動作している間、「オン」のモータ駆動パルスが均等に離間している状況が示してある。このような手法は、数多くの環境でうまく機能するが、要求条件ではない。デューティサイクルは50%である必要はないが、所望の平均出力トルクに一致するように調整することができる。同様に、オン/オフのパルスの位相は、印加されるAC電力の位相と同期される必要もない。したがって、モータ駆動パルスの相対的なサイズ及び/又はタイミングは、所望のトルクを供給するように平均化される限り、変化することができる。
【0037】
電気機械及び車両
電気自動車及び/又はハイブリッド車は、今では一般的であり、人気が高まっている。次の10年又は20年のうちに、電気自動車及び/又はハイブリッド車は、従来の内燃機関車両を凌ぐか、又は完全に置き替えることになると予測されてきた。
【0038】
電気自動車及び/又はハイブリッド車の場合、1つ又は複数の搭載機械が設けられる。電気自動車の場合、(1つ又は複数の)電気機械のみが使用されて、車両を推進するのに必要なトルクを発生させる。ハイブリッドの場合、電気機械は、内燃機関と連携して動作して、車両を推進する。何れのタイプの車両の場合でも、電気機械によって発生するトルクは、車両の運動エネルギーを、蓄積される電気エネルギーに変換するための、正のトルク又は負のトルク(すなわち、この機械は発電機として動作する)でもよい。たとえば、回生ブレーキングの場合、この機械は、通常、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するために使用され、この電気エネルギーは、バッテリ又はキャパシタなどの蓄積装置に蓄積される。蓄積されたこのエネルギーは、モータとして動作するときに電気機械によって使用することができ、又は代替的に、空調装置、ヒータ、デフロスタ、様々な照明システム、娯楽システムなど、車両での他の電気システムに電力供給するために使用することができる。
【0039】
車両に搭載されているときの搭載機械のパルス化は、効率を向上させるための重要な利点を約束する。効率を向上させることによって、ハイブリッドの場合と同様に、バッテリ再充電が必要になる前、及び/又は燃料補給が必要になる前に、車両の航続距離を延ばすことができる。たとえば、航続距離が300マイルの電気自動車が、搭載機械をより効率的に動作させることによって、その航続距離を10パーセント(10%)長くすることができる場合、航続距離は、さらに約30マイルだけ延びる。
【0040】
車両及びNVH
自動車及びトラックの業界において、NVHは、主要な設計上考慮すべき事項である。車両のNVHが高すぎる場合、運転者と他の同乗者の両者の体験が不快になる場合がある。さらに、過度のNVHにより、早期の摩耗及び破損が車両に生じる場合がある。したがって、この業界は、合理的に可能な限りNVHを低減することに熱心である。NVHに関連する問題に対処する際に、以下の3つの要因が一般に考慮される。
(1)NVHの原因。一般に、エンジン、モータ、ドライブライン構成部品、車輪、開いた窓、排気システム、タイヤ/路面騒音、ギアボックス、差動装置など、振動し、騒音又はハーシュネスを発生させる、車両に連結された任意のものが、NVHの発生源と考えられる。
(2)車両内の運転者又は他の乗員への、NVHの伝達を低減するための技術ステップ。たとえば、エンジン又は機械のマウント、車両のアクティブサスペンション、騒音及び減衰の材料が、NVHの伝達を低減するために、自動車技術者によってとられるステップ、及び/又は使用される材料の例である。
(3)(a)乗員によって知覚されるNVHの量をマスク若しくは低減するため、又は(b)許容できると考えられるNVHの量を調整するために、車両に含まれる機能。たとえば、ここで、車両によっては、車両の車室内の騒音及び振動を打ち消すための、アクティブ騒音システム又はアクティブ振動システムを有する。車両によっては、より心地よいエンジン音を生み出すために車両の車室内の騒音を増大させる、スポーツカーなどのアクティブな音響増強システムを有してもよい。車両によっては、許容できると考えられるNVHの量を調整することになる、運転者が選択可能なモードを有してもよい。車両がエコノミーモード又はスポーツモードを備えている場合、これらのモードの何れかが使用されるときに許容できると考えられるNVHの量は、概ね増加する。すなわち、エコノミーモード及びスポーツモードの場合、運転者は、それぞれ改善された経済性又は性能のために、相対的に低いレベルのNVHを諦めるということを意識的に決定している。その一方で、車両はまた、快適モードを有してもよく、その場合には、NVHのレベルを低減するために能動的なステップがとられる。この後者のモードでは、運転者は、快適性を改善するために、経済性を諦めるということを意識的に決定している。
【0041】
車両用途向けのパルスパラメータの定義
車両用途向けの電気機械のパルス化の場合、トルク要求を満たすためのパルスの重要なパラメータは、(1)振幅、(2)デューティサイクル、及び(3)周波数を含む。電気モータによって動力供給される車両の場合、パルスの振幅は、所与のトルク要求及び機械速度におけるモータの最適効率値(すなわち、たとえば、図1の最大効率曲線16によって定義されるような「スイートスポット」)によって主として決定される。「スイートスポット」において、又はその近くで振幅をパルス化することによって、最も効率的且つ経済的な動作を実現することができる。パルスの振幅が知られている場合、デューティサイクルを決定することは比較的容易である。デューティサイクルは、機械がその最適効率値で動作しているときの、要求トルクと最適トルクの比によって決定される。したがって、第1の2つのパラメータが容易に決定される。
【0042】
しかし、考慮すべき相反する要因が存在するので、第3のパラメータであるパルスの周波数を決定することは比較的困難である。自動車用途の場合、低周波数での機械のパルス振動が、機械的振動を引き起こす。人間は、2~10Hzの周波数範囲での低周波数の機械的振動に最も敏感なので、この範囲内のパルス化周波数は、高いレベル又は許容できないレベルのNVHでさえもたらす場合がある。したがって、車両においては、理想的なパルス化周波数は、通常は相対的に高い周波数レートであるが、パルス動作から得られる効率向上の一部又は全部が、切替え過渡現象において失われるほどに高すぎるレートではない。この場合の目的は、所与のトルク要求及び速度について、NVHの許容可能なレベルを満たしながら、効率向上を保存又は維持するように、最小パルス周波数を選択することである。
【0043】
NVHに影響を及ぼす車両の測定可能パラメータ及び/又は機能
本出願の一態様は、車両に使用される電気機械におけるパルス化周波数を選択することである。単に、2~10Hzの周波数範囲を回避することに基づいてパルス化周波数を選ぶのではなく、本出願は、(1)高水準の経済性を達成しながら、(2)許容可能なレベルのNVHでの運転体験を実現するように、パルス化周波数を調整又は「微調整」するために、数多くの他の考慮すべき事項をも使用してよいことを教示する。このような他の考慮すべき事項は、許容できると考えられるNVHのレベルに影響を及ぼすことがある、車両それ自体の構成要素及び/又は車両の機能の、いくつかの測定可能なパラメータを含む。このような例示的な構成要素及び/又は機能、並びに、これらがどのようにNVHに影響を及ぼすことがあるのかを、以下に説明する。
【0044】
ギア装置
マルチギアのギアボックスを有する電気自動車は、一般に、単一のギアのみを有する電気自動車よりも効率的に走行することができる。複数のギア比により、車両の電気機械は、相対的に広い範囲の速度及び/又はトルクにわたって、より効率的に動作することができる。しかし、マルチギアのギアボックスを有する電気自動車及び/又はハイブリッド車の場合、各ギアは、車両及び/又はドライブラインに対して異なる共振周波数をもたらす場合がある。たとえば、共振周波数が、ある1つのギアでは15Hzになることがあるが、第2のギアでは25Hzになることがある。その結果、電気機械をパルス化するための周波数は、車両が使用しているギアの共振周波数の影響を受けないように選択されるべきである。したがって、パルス化周波数は、(a)共振周波数を避け、又は影響回避し、(b)効率を向上させるように選択されることが好ましい。
【0045】
車輪駆動状況
数多くの電気自動車及び/又はハイブリッド車は、車輪ごとに1つ又は場合によっては複数の機械を含む、複数の電気機械を備える。複数の電気機械の場合、車両は、何れかの時点で、異なる車輪駆動構成で動作してもよい。たとえば、運転の条件又は環境に応じて、所与の車両は、後輪駆動(RWD)のみ、前輪駆動(FWD)のみ、又は全輪駆動(AWD)で動作することができる。たいていの車両では、個々の電気機械がドライブラインに連結されるか、又はドライブラインから連結解除されるかの何れかになることがあるので、車輪駆動構成に応じてNVH特性が異なる。また、車両の共振周波数は、どの電気機械が連結されて稼働状態にあり、どの電気機械が連結解除されて稼働状態にないかに応じて変化してもよい。したがって、実現可能な組合せごとに、車両は異なるNVH特性を示すことになる。したがって、現在の車輪駆動状況に応じて、パルス化周波数は、実現可能な車輪駆動構成ごとに調整されることが好ましい。この場合も、目的は、一般に、過度のレベルのNVHを発生させないで、経済性及び効率を改善することである。
【0046】
車両の重量又は搭載量
物理学の分野ではよく理解されているように、力は、質量×加速度に等しい(F=M×A)。一般法則としては、所与の励振力において、質量が大きいほど、この質量の加速又は振動が遅くなる。車両の場合、この物理法則は、一般に、車両によって支持される重量及び/又は搭載量が大きいほど、NVHが小さくなることを意味する。複数の乗員又は重い積み荷など、搭載量が重い場合、車両には運転手だけがいたか、又は車両が積み荷を搬送していなかったか、若しくは軽い積み荷を搬送していた場合よりも、NVHの量が少ない傾向になる。したがって、一般法則として、相対的に軽量の車両、又は軽量のペイロードを搬送するか、若しくはペイロードを搬送しない車両と比較して、高質量の車両及び/又は重いペイロードを搬送する車両向けに、相対的に低いパルス周波数を使用することができる。車両質量の変化は、車両の固有振動数にも影響を及ぼす場合がある。したがって、回避すべきモータのパルス周波数はまた、車両質量とともに変化する場合がある。これにより、車両質量が相対的に高い場合には、相対的に低い周波数が回避されることにつながる場合がある。
【0047】
機械及び/又はICEのマウント
たいていの電気自動車では、マウントを使用して、車両のドライブラインに機械を取り付ける。ハイブリッドの場合、内燃機関(ICE)と、車両のフレーム及び/又はドライブラインとの間にもマウントが使用される。何れの場合でも、電気機械又はICEを機械的に分離し、客室を含む車両の他の部分に振動が伝達されないようにするためにマウントが使用される。マウントは一般に、NVHを低減する際に機能するが、いくつかの欠点を有する。第1に、マウントは、通常、暖かい動作温度に存在するときに最もよく機能する。したがって、マウントは、周囲温度が低い場合などの低温時に、又はコールドスタート直後に、振動の伝達を止めるのには比較的有効でない場合がある。第2に、マウントは、経時変化するにつれて、振動の伝達を減衰させる際にその有効性を失う傾向がある。何れにしても、ドライブラインに沿って、また他の経路を介して、通常、比較的多くのNVHが車両の乗員に伝達される。したがって、電気機械をパルス化するためのパルス化周波数は、マウントが暖かい、且つ/又は比較的新しいときに、より攻撃的になることがあり、このことは、比較的低いパルス化周波数を使用できることを意味する。その一方で、経時変化しているマウント、コールドスタート、及び/又は冷たい周囲温度においては、過度のレベルのNVHを発生させないように、相対的に高いパルス化周波数を使用することができる。
【0048】
ユーザ調整可能な機能
次に、数多くの車両は、許容可能なNVHのレベルの設定又は調整を可能にする機能を含む。このような機能は、それだけには限定されないが、エコノミーすなわち「エコ」モード、スポーツモード、高級モード、又は選択可能なNVHレベルモードを含む。エコモードの場合、運転者は、追加のNVHを犠牲にして、効率を改善するよう選択することができる。その結果、エコモードで動作している間に使用されるパルス化周波数は、車両が非エコモードにあるときに対して、相対的に攻撃的になることがある(すなわち、相対的に低いパルス化周波数が使用される)。同様にスポーツモードの場合、運転者は、増加したNVHを犠牲にして、相対的に多くの性能を選択してきた。相対的に高いレベルの許容可能なNVHでは、相対的に低く、相対的に攻撃的なパルス化周波数を使用してもよい。これに反して、運転者が「高級」モード又は同様のモードを選択する場合、低レベルのNVHが予想される。したがって、電気機械が比較的少ないNVHを発生させるように、比較的無害なパルス化周波数(すなわち、比較的高いパルス化周波数)を使用すべきである。車両が、調整可能なNVH制御を有する場合、やはり、NVH設定に応じてパルス化周波数を調整することができる。多かれ少なかれ、NVHが、許容できるものとして運転者によって選択される場合、それぞれ相対的に低く又は相対的に高く、パルス化周波数を調整することができる。
【0049】
占有率及び/又は自律運転
自律運転は、その開発及び導入の初期段階にある。しかし、近い将来、自律運転が普通になるものと予想される。自律運転の場合、車両は、無人で運転することも、(1人又は複数人の)乗員を乗せて運転することもできる。乗員がいない場合には、車両内に人がいないので、NVHの制約条件を緩和することができる。したがって、車両内の占有センサが乗員を検知しないときには、運転者及び/又は乗員が存在する場合と比較して、相対的に攻撃的な(すなわち、相対的に低い)パルス化周波数を使用することができる。
【0050】
周囲温度
車両は、冷たい温度とは対照的に暖かい温度で動作するとき、相対的に少ないNVHでより滑らかに走行する傾向がある。周囲温度が低温のときに、また車両がその標準動作温度まで暖まる前に、過度のNVHが発生する場合がある。たとえば、不利なことに、冷たい周囲温度は、車体マウント、排気ハンガ、サスペンションシステム、タイヤなど様々な車両構成部品に、相対的に多くのNVHを発生させる。したがって、周囲温度が、低温になるか又は高温になる場合に応じて、パルス化周波数を、それぞれ上方又は下方に調整することができる。車両が暖まるにつれて、且つ/又は周囲温度が暖まるにつれて、それに応じてパルス化周波数を下降させることができる。
【0051】
モデル
前述の通り、車両のドライブライン及び/又は他の構成要素が低温のとき、これらは、相対的に多くのNVHを発生させる傾向がある。車両が暖まり、その動作中の暖かい温度に達するにつれて、通常、NVHのレベルは低下する。同様に、新しい車両は、通常、古い車両よりも発生するNVHが少ない。摩耗及び破損に起因して、エンジンマウント、ショックアブソーバ、スプリングなどの車両構成部品は、その効果が低くなり、比較的多くのNVHを伝達する傾向がある。非排他的な実施形態では、車両は、動作中にNVHを予測するソフトウェアプログラム又はアルゴリズム(以下では、総称的に「モデル」と呼ばれる)を含んでもよい。たとえば、ある1つのモデルを利用して、コールドスタート直後に車両が暖まるときのNVHのレベルを予測することができる。別のモデルを使用して、年数を経た車両のNVHを予測することができる。何れの場合でも、各モデルを使用して、動作中に車両によって発生するNVHのレベルを予測することができる。次いで、予測されたこのNVHに基づいて、パルス化周波数を調整することができる。やはり、相対的に高いレベルのNVHが予測されるとき、通常、相対的に高いパルス化周波数が使用される。予測されるNVHレベルが低いとき、相対的に低いパルス化周波数を使用してもよい。
【0052】
アクティブ騒音制御及び/又はアクティブ振動制御
次に、数多くの車両は、NVHを相殺するのに使用できる、アクティブ騒音制御システム及び/又はアクティブ振動制御システムを備える。たとえば、ここで、自動車によっては、車両のオーディオシステムを介したアクティブ騒音相殺技術を利用して、車室に侵入する騒音を相殺する。同様にして、数多くの車両はまた、車両の車室の(1人又は複数人の)乗員に振動が到達することを防止する、磁気ライドコントロールなど、調整可能なサスペンションシステムを有する。これらのシステムは、ある一定量のNVHをマスクするので、このようなシステムが使用されない場合と比較して、相対的に攻撃的な(すなわち、相対的に低い)パルス化周波数を使用してもよい。
【0053】
路面状態
次に、数多くの車両は、路面状態を監視することを可能にする機器を備える。このような機器は、たとえば、車載カメラ、クルーズコントロール及び他の形式の自律運転に使用されるレーダ及び/又はライダ(LIDAR)、並びにGPSを備える。何れの場合にも、車両が進んでいる道路の表面状態を監視し、確認することができる。路面が劣悪な(たとえば、路面の凹み、表面の亀裂、すり減った舗装面など)状況では、車両は、高レベルのNVHをやむを得ず経験することになる。滑らかな路面とは対照的に、NVHのレベルがはるかに低くなる。路面にもよるが、したがって、路面に応じてパルス化周波数を調整することができる。路面が粗いとき、路面からのNVHが、(1つ又は複数の)電子機械のパルス化に起因する任意のNVHをマスクすることになるので、電気機械におけるパルス化周波数は、相対的に攻撃的(すなわち、相対的に低いパルス化周波数)になる場合がある。路面が滑らかなとき、(1つ又は複数の)電気機械の動作からのNVHが、顕著な又は過度のNVHを引き起こさないように、パルス化周波数を上昇させることが好ましい。
【0054】

(a)ギア装置、(b)車輪駆動状態、(c)車両質量及び/若しくはペイロード、(d)マウント、(e)ユーザ調整可能な機能(たとえば、エコモード、スポーツモード、高級モード)、及び/若しくはNVH調節可能レベル、(f)温度及び/若しくは占有センサ、(g)モデル、(h)アクティブ雑音相殺システム若しくはアクティブ振動相殺システム、並びに/又は(i)路面監視機器に関係するこれまでの議論においては、多種多様な動作条件及び環境、並びにこれまでに考察されたパラメータ又は機能(a)~(i)のうちの何れかを考慮に入れるように、パルス化周波数を調整又は「微調整」することが提案される。この周波数を上下に微調整することによって、(1)より高いレベルの経済性を達成することができ、(2)条件及び環境に応じて変化することのある「許容可能な」レベルのNVHを常に実現することができる。(a)~(i)のそれぞれにおいて、前述の目的(1)及び(2)を満たすパルス化周波数を確認するために、いくつかの異なる手法を使用することができる。このような手法は、表、スライディングスケール、乗算器/除算器などの使用を含むが、それだけには限定されない。
【0055】
条件が許すとき、ただし過度のレベルのNVHを発生させることなく、多少のNVHを可能にするパルス化周波数を選択する提案された手法は、1つ又は複数の表を使用することである。このような手法の場合、所与の車両/電気機械又は機械の組合せについての経験的データを使用して、1つ又は複数の表が構築される。このデータから、環境が許すときに、ある程度攻撃的なパルス化周波数を可能にする、多種多様な動作条件にわたって、理想的な又は好ましいパルス化周波数を定義する(1つ又は複数の)テーブルが構築され、このことは、過度のレベルのNVHを発生させることなく、比較的多くのNVHを可能にするか、又はNVHを低減させることを意味する。
【0056】
図4を参照すると、例示的な表40が提示されている。表40には、広範囲のトルク要求(Nm)における電気機械向けのパルス化周波数、及びギアボックスの第1の(1番目の)ギアで動作する車両での機械速度が列挙されている。一例として、表40には、トルク要求が10Nmであり、速度が40rpmであり、ギアボックスが第1のギアにあるときには、円42で表しているように、13Hzの好ましいパルス化周波数が適切であることが示してある。車両が第1のギアで動作している間、トルク要求が変化し、且つ/又は速度が変化するときに、表40にアクセスすることができる。したがって、運転条件が変化するにつれて、表40に索引付けすることができ、現在のトルク要求及び速度に応じて、異なるパルス化周波数を定義することができる。表に列挙された特定の周波数は単なる例示的なものであり、いかなる点においても限定するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0057】
説明を簡潔にするために、1つのテーブル40のみを説明し、図示する。たいていの車両での実世界の用途では、通常、複数の表を使用することになることを理解されたい。ある特定の非排他的な実施形態においては、通常、上記に定義した(a)~(i)のそれぞれについて複数の表が提示される。たとえば、(a)ギアボックス内の各ギア、(b)車輪駆動の実現可能な各構成、(c)広範囲のペイロード、(d)~(i)など、それぞれに表が提示される。何れの場合にも、表に提示された様々なパルス化周波数は、(1つ又は複数の)所与の車両/機械の組合せについての試験中に収集された経験的データから作成される。車両の試験が完了し、経験的データが収集され、これが処理されると、個々の表を構築することができる。何れの場合にも、多かれ少なかれ攻撃的なパルス化周波数を可能にするパルス化周波数が選択されることが好ましく、このことは、過度のレベルのNVHを生成することなく、所与の1組の条件及び/又は環境において効率を最大化する、ある程度のNVHを意味する。
【0058】
この表は、必ずしも図4に示すように2次元である必要はなく、むしろ3次元以上を有してもよいことにさらに留意されたい。たとえばギア装置では、各ギアについて別々の又は独自の表を有するのとは違って、トルク要求、機械速度、及び個々のギア(すなわち、第1のギア、第2のギア、第3のギアなど)によって索引付けされる3次元の表を、同様に構築することができる。さらに、列挙された残りのパラメータ及び/又は機能(b)~(i)の何れも、2次元又は3次元以上の表にも同様に依存することができる。さらに他の実施形態では、パラメータ及び/又は機能(a)~(i)のそれぞれについて、1つ又は複数の表の専用セットが、必ずしも存在しなくてもよい。他の実施形態では、複数のパラメータ及び/又は機能について提案されるパルス化周波数は、単一の表又は関連する1組の表に組み合わせることができる。たとえば、様々な運転モード(たとえば、エコ、スポーツ、高級など)のような、運転者が選択可能な機能は、すべて1つの表に組み合わせることができる。
【0059】
スライディングスケール及び乗算器/除算器
非排他的な他の実施形態では、スライディングスケール及び/又は乗算器/除算器を使用して、(a)~(i)の何れかでのパルス化周波数を確認することができる。たとえば、車両質量及び/又はペイロード(c)の場合、スライディングスケール又は乗算器を使用することができる。すなわち、車両のペイロードの質量が増加又は減少するにつれて、パルス化周波数は、それぞれ下方又は上方に調整される。或いは、乗算器/除算器の値を使用して、(a)~(i)の何れかでの基本パルス化周波数を調整することができる。これらの実施形態の変形形態では、倍率及び/又は除算器/乗算器は、線形又は非線形の何れでもよい。後者の場合、スケーリング及び/又は乗算器/除算器のアルゴリズムを使用して、条件及び環境に応じて非線形的にパルス化周波数を確認することができる。
【0060】
モータ制御装置のアーキテクチャ
図5Aを参照すると、電力制御アーキテクチャ50のブロック図が示してある。このアーキテクチャ50は、電力変換装置52、DC電源54、電気機械56、パルス制御装置58、1つ又は複数の入力60、及び1つ又は複数の表40を含む。さらに、パルス制御装置58は、トルク要求及び機械速度の入力を受信するように構成される。任意選択の実施形態では、パルス制御装置58は、計算モジュール62を備える。
【0061】
電力変換装置52は、システムを通るエネルギーの流れの方向に応じて、電力インバータ又は電力整流器として動作する。電気機械56がモータとして動作するとき、電力変換装置52は、機械56を駆動するためにDC電源54から3相AC電力を発生させる役割を担う。当技術分野ではよく知られているように、位相「A」、位相「B」、及び位相「C」とラベル付けされた3相入力電力が、電気機械56の固定子の巻線に印加される。電気機械56が発電機として動作しているとき、電力変換装置52は電力整流器として動作し、電気機械56から来るAC電力がDC電力に変換され、このDC電力がDC電源54に蓄積される。
【0062】
様々な実施形態では、電力制御装置52は、従来の電力変換装置、又は「ブーストされた」電力変換装置でもよく、その両方とも、2020年3月13日出願の、本願の譲受人に譲渡された米国出願第16/818,570号明細書に詳しく記載されており、これを、あらゆる目的のために参考として本明細書に援用する。
【0063】
パルス制御装置58はまた、(1)機械56が、連続モード又はパルス化モードでいつ動作すべきかを規定すること、(2)パルス化モードのときに、3相入力電力信号A、B、及びCでのパルス化振幅、パルス化周波数、及びデューティサイクルを規定すること、並びに(3)電力変換装置52が、機械46に供給される3相電力信号A、B、及びCを連続して生成するか、又はパルス化することができるように制御信号を供給することについての役割を担う。パルス化動作中、所与の速度におけるトルク要求を満たすためにパルス制御装置が決定する、振幅、デューティサイクル、及びパルス周波数に従って、3相電力信号A、B、及びCがパルス化される。
【0064】
前述の通り、所与のトルク要求及び速度において振幅及びデューティサイクルを決定することは、比較的容易である。電気機械56が、その「スイートスポット」の最大効率範囲内、又はその近くで動作するように振幅が選択され、電気機械のトルク出力が要求トルクを満たすように、必要に応じてデューティサイクルが調整される。しかし、パルス化周波数を確認することは、NVHの影響に起因して比較的複雑である。
【0065】
パルス化周波数を確認するために、パルス制御装置58は、入力60のうちの1つ又は複数を受信する(実現可能な入力のリストについては図5Bを参照されたい。そのすべてを、これまでに説明してきた)。それに応じて、パルス制御装置58は、上記で定義された(a)~(i)の一部又は全部について、1つ又は複数の表40にアクセスし、入力、動作条件、及び環境の所与のセットについて、過度のNVHを発生させることなく効率を最大にするパルス化周波数を確認する。このようにして、機械56は、その最大効率レベルにおいて、又はその付近で動作し(たとえば、図1の曲線16を参照)、条件が許すときには、ある程度のNVHを可能にするが、過度のレベルのNVHを発生させることはない。一代替実施形態では、計算モジュール62を使用して、スケーリングし、乗算し、除算し、又はアルゴリズムを適用して、前述の通りパルス化周波数を確認することができる。様々な実施形態では、この計算モジュールは、参照表、多次元参照表、スライディングスケール、乗算器、プロセッサ、論理演算装置、訓練済みニューラルネットワーク、又はその任意の組合せを含んでもよい。
【0066】
図5に列挙された入力は単に例示的なものであり、いかなる点においても、網羅的であると解釈すべきではないことに留意されたい。これに反して、入力の数及びタイプは、広く変化してもよく、本明細書において明示的に言及されるものに限定されるべきではない。
【0067】
運転中、様々なトルク要求がなされることになり、ギアに応じて機械速度が変化することになり、車両は、加速及び/又は減速するとき、上り坂又は下り坂などを運転する。それに応じて、パルス制御装置58は、必要に応じてパルスの振幅及びデューティサイクルを調整し、過度のレベルのNVHを防止しながら瞬時のトルク要求を満たすために、様々なパルス化周波数を確認する。条件が許すと、相対的に攻撃的なパルス化周波数を使用して、効率及び経済性を改善してもよい。或いは、比較的攻撃的でないパルス化を使用して、過度のNVHを防止してもよい。その結果、電気機械56によって発生するNVHレベルを選択的に制御して、過度のレベルのNVHを防止又は軽減しながら、車両全体を非常に効率的な方式で動作させることができる。
【0068】
パルス化周波数の共有
さらに別の実施形態では、意味のあるやり方でこの情報を利用することもできる、車両上の他のサブシステム64に、パルス制御装置58によって規定されるパルス化周波数を転送することもできる。一例は、アクティブ騒音制御及び/又はアクティブ振動制御など、(1つ又は複数の)サブシステム64にパルス化周波数を供給することであり、このサブシステムは、パルス化周波数の情報を基準信号/フィードフォワード信号として使用して、どの周波数を相殺のターゲットとするかを識別することもできる。
【0069】
流れ図
図6を参照すると、モータ制御装置アーキテクチャ50によって実施されるステップを示す、流れ図70が示してある。
【0070】
最初のステップ72では、現在のトルク要求及び機械速度が確認される。
【0071】
判定ステップ74では、確認された現在のトルク要求及び速度に基づいて、電気機械56が連続モード又はパルス化モードで動作すべきかどうかの判定がなされる。すなわち、所望のトルク要求が、現在の速度における最も効率的な出力トルク(すなわち、図1に示すモータマップの最大効率曲線16)を上回るか又は下回るかの判定がなされる。所望のトルクが最適トルクを上回る場合、機械は、パルス化モードではなく連続モードで動作する。最も効率的な出力トルクを下回る場合、電子機械は、パルス化モードで動作する。
【0072】
ステップ76では、要求されるトルクが、現在の機械速度における最も効率的な出力トルクを上回る場合、モータは連続モードで動作する。
【0073】
ステップ78では、要求されるトルクが、現在の機械速度における最も効率的な出力トルクを下回る場合、現在の機械速度における最大効率でのパルスの振幅が決定される。
【0074】
ステップ80では、オンパルスの平均トルク出力が、所望の出力に一致するように、パルス化モードでの動作におけるデューティサイクルが決定される。
【0075】
ステップ82では、パルス制御装置58によってパルス化周波数が確認される。前述の通り、パルス制御装置は、1つ又は複数の表40にアクセスすること、及び/又は計算モジュール62に依存することの何れかによって、パルス化周波数を確認する。前述の通り、入力(a)~(i)のうち1つ又は複数の入力は、NVHを低減するようにパルス化周波数が上方に調整されること、又は相対的に多くのNVHが許容可能又は容認可能な場合には下方に修正されることを示すことができる。
【0076】
電気機械56が動作している間は、上記ステップ72~82が連続的に実行される。任意の具体的な機械速度及びトルク要求においては、対応する最も効率的な出力トルクが存在することになる。瞬時のトルク要求及び/又は現在の機械速度が変化すると、必要に応じて連続モード又はパルス化モードの何れかでモータを動作させる決定がなされる。所望のモータトルクが、現在の機械速度における最も効率的な出力トルクを下回るとき、モータをパルス化することだけでなく、入力(a)~(i)を考慮に入れるようにパルス化周波数を調整することによって、モータの総合効率が改善される。その結果、電気機械駆動の車両においては、この車両の総合効率が改善され、このことは、許容可能なレベルのNVHを実現しながら、バッテリの再充電(又は、ハイブリッドでの燃料補給)間での、車両の航続距離が延びることを意味する。
【0077】
競合する入力
場合によっては、入力(a)~(i)のうちの2つ以上は、基本パルス化周波数が逆方向に修正又は調整されるべきであることを示唆してもよく、又は示してもよい。たとえば、第1のギアから第2のギアに切り替えることによって、パルス化周波数を下降させることができるようになる。しかし、ユーザが選択可能なNVH制御が、相対的に良好なNVHのために相対的に高い周波数を必要とする場合、パルス化周波数を下方に調整することは実現可能でない場合がある。その一方で、車両に乗員がいない場合には、パルス化周波数を下方に調整することは問題ではない。これら2つの例が示すように、パルス制御装置58は、すべての入力(a)~(i)及び環境の全体を考慮に入れた後に、ケースバイケースでパルス化周波数についての最終決定をおこなうことが好ましい。競合する場合、パルス化周波数は、NVHを低減するようにしばしば調整されることに留意されたい。しかし、これは決して要求条件ではないことを理解されたい。それどころか、所与の競合において、パルス化周波数を調整すると、NVHの増大又は低減をもたらすことができる。したがって、競合する2つ以上の任意の構成要素又は機能におけるパルス化周波数は、その競合に対処するように構成された任意の所定のアルゴリズムに従って調整することができる。
【0078】
リアルタイムフィードバック
図7を参照すると、別の実施形態による、パルス化周波数を調整するためのリアルタイムフィードバックを示す図が示してある。この実施形態では、実際のNVH、すなわち検知されたNVHが閾値と比較される。この比較に基づいて、パルス化周波数を上方又は下方に調整することができる。この実施形態を実装する場合、車両の車室内、又は車両のドライブラインに沿ったどこかなど、車両に配置された1つ又は複数の騒音センサ及び/又は振動センサによって、実際のNVHを測定することができる。検知されたNVHが閾値を下回ることを、この比較が示す場合、NVHが増大し、閾値に一致するまで、パルス化周波数を下方に調整することができる。その一方で、検知されたNVHが閾値を上回ることを、この比較が示す場合、NVHが増大し、閾値に一致するまで、パルス化周波数を上方に調整することができる。この実施形態の変形形態では、閾値も同様に調整可能とすることができることにさらに留意されたい。たとえば、車両が、NVH許容可能レベルの制御装置を有する場合、運転者がNVHのレベルを高く設定するか、又は低く設定する場合に応じて、閾値を上下に調整することができる。この閾値は、エコモード、スポーツモード、高級モードなど、他の入力に基づいて調整することもできる。
【0079】
非排他的な実施形態
一実施形態では、本発明は、車両に搭載された電気機械のパルス化を制御するための電気機械制御装置に関する。具体的には、電気機械制御装置は、この機械をモータとして動作させるためのトルク要求を決定し、機械をモータとしてパルス化動作させるための振幅を決定し、機械をモータとしてパルス化動作させるためのデューティサイクルを決定し、この振幅及びデューティサイクルによって、決定されたトルク要求を生成することになり、決定されたトルク要求を生成しながら、機械をモータとしてパルス化動作させるための周波数を確認するように構成され、この周波数は、(a)車両の測定可能なパラメータ、又は(b)許容可能な騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)の量を調整する、車両上の機能の何れかによって引き起こされるNVHを考慮に入れることによって確認される。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、車両で使用される電気機械をパルス化制御する方法に関する。この方法は、車両上の1つ又は複数の構成要素に起因する騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を考慮に入れるように調整されてきた周波数、又は許容可能なNVHの量の調整できるようにする周波数で、電気機械をパルス化することを含む。
【0081】
さらに別の実施形態では、本発明は、電気機械のパルス化を制御するための電気機械制御装置に関する。この機械制御装置は、騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)の大きさを示す信号を受信し、このNVHの大きさと閾値とを比較し、このNVHの大きさが閾値を超える場合には、電気機械をパルス化するのに使用されるパルス化周波数を調整するように構成され、このパルス化周波数は、NVHの大きさが閾値を下回って低減されるように調整される。
【0082】
他の機械のタイプ及び用途
説明されたパルス化機械制御は、多種多様な異なるタイプの電気モータ及び発電機のエネルギー変換効率を改善するために、多種多様な異なる用途において利用できることが、前述の説明から明らかになるはずである。これらは、ACとDCの両方のモータ/発電機を備える。説明したパルス化から恩恵を受けることのできる、いくつかの代表的なタイプの電気機械は、誘導機(IM)、スイッチトリラクタンス機(SRM)、同期リラクタンス機(SynRM)、永久磁石同期リラクタンス機(PMaSynRM)、ハイブリッドPMaSynRM、外部励磁AC同期機械(SynAC)、永久磁石同期機械(PMSM)、渦電流機械、AC線形機械、AC及びDCの機械的整流機械、アキシャルフラックスモータなどを含む、非同期型と同期型の両方のAC電気機械を含む。代表的なDC電気機械には、ブラシレス型、電気励磁型、永久磁石型、直列型、分路型、ブラシ付き型、複合型などが含まれる。
【0083】
追加の実施形態
車両推進用途の一例として自動車用途が使用されてきたが、説明した制御手法は、トラック、自動車、カート、オートバイ、自転車、ドローン、及び他の飛行装置を含む他のタイプの車両において使用される電気モータ、環境内で自律的に移動するロボット及び他の装置などにおいて使用される電気モータを含む、他の推進関連用途において等しく有益であることを理解されたい。したがって、「車両」という用語は、現在知られているか、又は将来に開発されるかにかかわらず、上記及び任意の他のタイプのモータ付き移動組立体のあらゆるものを含むように、広く解釈されるべきである。
【0084】
洗濯機、乾燥機、暖房、換気、及び空調(HVAC)用途などの機器で使用されるモータは、パルス化制御から恩恵を受けることのできる用途の、良好な別の例である。HVAC用途に良好に適合するパルス化モータ制御に寄与するいくつかの構成要素が存在する。これらは、(a)今日のHVAC用途で使用される機械が、主に永久磁石を含まない誘導モータであり、(b)具体的には、可変速HVAC凝縮装置及び/又は空気処理装置を含む、HVAC用途で使用されるモータの高い割合が、その高効率区域を下回る時間動作領域のかなりの部分を動作させ、また(c)ファン又はポンプの慣性が、通常、モータの慣性を支配し、これが、パルス化に関連する潜在的なNVH関連の影響をさらに軽減する傾向があるという事実を含む。
【0085】
本発明のほんのわずかの実施形態を詳細に説明してきたが、本発明は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、数多くの他の形式で実装されてもよいことを理解されたい。説明した様々なパルス制御装置及び他の制御要素は、様々な実施形態での多種多様な異なるアーキテクチャにおいて、実装、グループ化、及び構成されてもよい。たとえば、実施形態によっては、パルス制御装置は、モータ制御装置若しくはインバータ制御装置に組み込まれてもよく、又は別個の構成要素として設けられてもよい。同様にして、発電機については、パルス制御装置は、発電機制御装置又は整流器制御装置に組み込まれてもよく、組み合わされたモータ/発電機においては、パルス制御装置は、組み合わされたモータ/発電機の制御装置、又は組み合わせられたインバータ/整流器の制御装置に組み込まれてもよい。実施形態によっては、説明された制御機能は、たとえば、汎用プロセッサ及びマイクロプロセッサ、DPSなどを含む、任意の適切な形式をとってもよいプロセッサ上で実行される、ソフトウェア又はファームウェアにおいてアルゴリズムとして実装されてもよい。
【0086】
パルス発生器又は機械制御装置は、比較的大きい制御システムの一部分でもよい。たとえば、車両用途では、説明された制御は、車両制御に関連する様々な機能を実行する、車両制御装置、パワートレイン制御装置、ハイブリッドパワートレイン制御装置、又はECU(エンジン制御ユニット)などの一部分でもよい。このような用途では、車両又は他の関連制御装置などは、必要とされる制御のすべてを実行するシングルプロセッサの形をとってもよく、又は、パワートレイン若しくは車両制御モジュールの一部として近接配置された、若しくは車両内の様々な場所に分散された複数のプロセッサを備えてもよい。プロセッサ又は制御ユニットのうちの何れか一方によって実行される具体的な機能を、広く変更してもよい。
【0087】
一般に、パルス化モータ制御のための仕組みは、アナログ構成要素を使用して、又はハイブリッド手法を使用して、デジタル的に、アルゴリズム的に実装されてもよい。パルス発生器及び/又はモータ制御装置は、プロセッサ上で、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などのプログラマブル論理回路上で、ASIC(特定用途向け集積回路)などの回路において、デジタル信号プロセッサ(DSP)上で、アナログ構成要素又は他の任意の適切なハードウェアを使用して実行するコードとして実装されてもよい。実装形態によっては、説明した制御の仕組みは、インバータ制御装置(並びに/又は発電機における整流器制御装置、及び/若しくは組み合わされたインバータ/整流器の制御装置)に組み込まれたデジタル信号プロセッサ(DSP)上で実行されることになる、オブジェクトコードに組み込まれてもよい。
【0088】
したがって、これらの実施形態は、例示的なものあって限定的なものではないと考えられるべきであり、本発明は、本明細書において与えられた詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲及び均等物内で修正されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電気機械のパルス化を制御するための電気機械制御装置において、
前記機械をモータとして動作させるためのトルク要求を決定し、
前記機械を前記モータとしてパルス化動作させるための振幅を決定し、
前記機械を前記モータとして前記パルス化動作させるためのデューティサイクルを決定し、前記振幅及び前記デューティサイクルが、前記決定されたトルク要求の生成をもたらし、
前記決定されたトルク要求を生成しながら、前記機械をモータとして前記パルス化動作させるための周波数を確認し、前記周波数が、(a)前記車両の計測可能なパラメータ、又は(b)許容可能な騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)の量を調整する、前記車両上の機能の何れかによって引き起こされるNVHを考慮に入れることによって確認され、前記測定可能なパラメータ及び/又は機能が、
(a)ギアボックス状況において、第1のギアにおいて第1のパルス化周波数が使用され、第2のギアにおいて、前記第1のパルス化周波数とは異なる第2のパルス化周波数が使用される、ギアボックス状況、
(b)車輪駆動状況、
(c)前記車両が搬送する積載物の重量、
(d)選択可能なエコノミーモード、
(e)選択可能なスポーツモード、
(f)許容可能なNVHの様々なレベルを運転者が選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(g)検知された車両占有率、
(h)検知された温度、
(i)前記車両が経時変化するときの、前記車両のNVH特性をモデル化する第1のモデル、
(j)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する第2のモデル、
(k)アクティブ騒音制御システム、
(l)アクティブ振動制御システム、
(m)路面状態、又は
(n)(a)~(m)の任意の組合せ
を含むグループから選択されるように構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記車両上のギア装置であり、前記確認された周波数は、ギアボックスが第1のギアにあるときの第1の周波数であり、又は前記ギアボックスが第2のギアにあるときの第2の周波数であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機械制御装置において、前記ギアボックスの各ギアが、互いに異なる共振周波数によって特徴付けられ、前記周波数の前記確認が、前記ギアボックスの前記ギアのそれぞれについて、それぞれ互いに異なる共振周波数を回避するステップをさらに含むことを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記車両での前記測定可能なパラメータが、前記車両の車輪駆動状況であることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機械制御装置において、前記車両の前記車輪駆動状況が、前輪駆動(FWD)、後輪駆動(RWD)、及び全輪駆動(AWD)のうちの1つを含み、それぞれFWD、RWD、及びAWDで動作する前記車両用に、前記確認された周波数が調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記車両によって搬送される積載物の重量であり、前記車両によって搬送される前記積載物の前記重量が増加するにつれて、前記確認された周波数が調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機械制御装置において、前記車両、及び前記積載物の前記重量が、共振周波数によって特徴付けられ、前記確認された周波数が、前記共振周波数を回避するように調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、前記車両を動作させるための選択可能なエコノミーモードであり、前記車両が非エコノミーモードで動作しているときと比較して、前記車両が前記エコノミーモードで動作しているときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、前記NVHの伝達を軽減するためのパワートレインマウントの能力であり、前記NVHの前記伝達を軽減するための前記パワートレインマウントの前記能力が、それぞれ増加又は減少するにつれて、前記確認された周波数が下降又は上昇することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、占有センサによって測定される車両の占有率であり、前記車両において乗員が検知されるときと比較して、前記車両において乗員が検知されないときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の電気機械制御装置において、前記測定可能なパラメータが、温度センサによって測定される温度であり、前記確認された周波数が、検知された低温では上昇し、検知された高温では下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、選択可能なスポーツモードであり、前記車両が前記スポーツモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記スポーツモードで動作しているときには、前記確認された周波数が下回ることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記車両上の前記機能が、許容可能なNVHの選択可能なレベルを可能にする、ユーザ選択可能なNVH制御装置であり、相対的に多くのNVHが許容可能なものとして選択されると、前記確認された周波数が引き下げられることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能は、前記車両が経時変化するにつれて、前記車両のNVH特性をモデル化するモデルであり、前記確認された周波数が、前記モデルに対して上昇し、前記車両の前記NVH特性が増加していることを示すことを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項15】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、コールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化するモデルであり、前記コールドスタート後に前記車両が暖まるにつれて、前記確認された周波数が下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項16】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、アクティブ騒音制御装置であり、前記確認された周波数は、前記アクティブ騒音制御システムが騒音を能動的に低減又は追加しているときに調整されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項17】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記機能が、振動制御システムであり、前記確認された周波数は、前記アクティブ振動制御システムが振動を能動的に低減しているときに下降することを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記確認された周波数が、
(a)参照表、
(b)多次元参照表、
(c)スライディングスケール、
(d)乗算器、
(e)プロセッサ、
(f)論理演算装置、
(g)訓練済みニューラルネットワーク、又は
(e)(a)~(g)の任意の組合せ
のうちの1つを使用することによって選択されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記電気機械を前記モータ又は発電機の何れかとして動作させるようにさらに構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項20】
請求項1乃至20の何れか一項に記載の電気機械制御装置において、前記決定されたトルク要求が閾値を下回るときには連続動作で、又は前記決定されたトルク要求が前記閾値を上回るときには前記パルス化動作で、前記電気機械を動作させるようにさらに構成されることを特徴とする電気機械制御装置。
【請求項21】
車両上の1つ又は複数の構成要素に起因する騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)を考慮に入れるように調整されてきた周波数、又は許容可能な前記NVHの量の調整を可能にする周波数において電気機械をパルス化することによって、前記車両で使用される前記電気機械をパルス制御する方法において、パルス化周波数が、
(a)ギアボックス状況、
(b)車輪駆動状況、
(c)前記車両によって搬送される積載物の重量、
(d)選択可能なエコノミーモード、
(e)選択可能なスポーツモード、
(f)前記運転者が、許容可能なNVHの様々なレベルを選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(g)占有センサの出力、
(h)温度センサの出力、
(i)前記車両が経時変化するときの前記車両のNVH特性をモデル化する、第1のモデル、
(j)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する、第2のモデル、
(k)アクティブ騒音制御システム、
(l)アクティブ振動制御システム、
(m)路面状態、又は
(n)(a)~(m)の任意の組合せ
のうちの1つ又は複数に応答して調整されることを特徴とする方法。
【請求項22】
車両で使用される電気機械を制御する方法において、前記車両が第1のギアにあるとき、前記電気機械を第1の周波数でパルス化して、前記第1のギアで動作しているときの前記車両の第1の共振周波数を回避するステップと、前記車両が第2のギアにあるとき、前記電気機械を第2の周波数でパルス化して、前記第2のギアで動作しているときの前記車両の第2の共振周波数を回避するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法において、前記車両の前輪駆動(FWD)状況、後輪駆動(RWD)状況、及び全輪駆動(AWD)状況について、それぞれ前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21乃至23の何れか一項に記載の方法において、前記車両によって搬送される積載物の重量に基づいて、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21乃至24の何れか一項に記載の方法において、前記車両がエコノミーモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記エコノミーモードで動作しているときには、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21乃至25の何れか一項に記載の方法において、前記車両がスポーツモードで動作していないときと比較して、前記車両が前記スポーツモードで動作しているときには、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21乃至26の何れか一項に記載の方法において、許容可能な前記NVHの量が選択的に増加されるにつれて、前記周波数を相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項21乃至27の何れか一項に記載の方法において、前記NVHの伝達を軽減するためのパワートレインマウントの能力が、それぞれ減少又は増加するにつれて、前記周波数を相対的に高く又は相対的に低く調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項21乃至28の何れか一項に記載の方法において、前記車両が経時変化するにつれて、前記車両のNVH特性をモデル化するモデルの出力に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項21乃至29の何れか一項に記載の方法において、コールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化するモデルの出力に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項21乃至30の何れか一項に記載の方法において、アクティブ騒音制御システムによって実行される能動的な騒音相殺又は騒音追加に応答して、前記周波数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項21乃至31の何れか一項に記載の方法において、アクティブ振動制御システムによって実行される能動的な振動低減に応答して、前記周波数を下降させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項21乃至32の何れか一項に記載の方法において、前記周波数が、(a)~(m)のうちの2つ以上に応答して調整されることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項21乃至33の何れか一項に記載の方法において、2つ以上の構成要素又は機能から得られる、前記周波数の提案された調整が競合する場合、前記電気機械をパルス化するための前記周波数として、相対的に低いNVH量をもたらす前記提案された周波数を選択することを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項21乃至34の何れか一項に記載の方法において、2つ以上の構成要素又は機能から得られる、前記周波数の提案された調整が競合する場合、前記競合に対処するように構成された所定のアルゴリズムに従って、前記提案された周波数を選択することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項21乃至35の何れか一項に記載の方法において、モータ又は発電機の何れかとして、前記電気機械を動作させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項21乃至36の何れか一項に記載の方法において、前記NVHを考慮に入れるように調整された前記周波数において前記電気機械がパルス化される、連続モード又はパルス化モードの何れかで、前記電気機械を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項21乃至37の何れか一項に記載の方法において、前記車両が進んでいる道路の表面が荒れている場合、前記周波数を下降させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項22に記載の方法において、前記周波数が、少なくとも部分的に
(a)車輪駆動状況、
(b)前記車両によって搬送される積載物の重量、
(c)選択可能なエコノミーモード、
(d)選択可能なスポーツモード、
(e)前記運転者が、許容可能なNVHの様々なレベルを選択できるようにする、選択可能なNVH制御装置、
(f)占有センサ、
(g)温度センサ、
(h)前記車両が経時変化するときの前記車両のNVH特性をモデル化する、第1のモデル、
(i)前記車両のコールドスタート後の前記車両のNVH特性をモデル化する、第2のモデル、
(j)アクティブ騒音制御システム、
(k)アクティブ振動制御システム、
(l)路面状態、又は
(m)(a)~(l)の任意の組合せ
のうちの1つ又は複数に応答して調整されることを特徴とする方法。
【国際調査報告】