(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】断熱製品
(51)【国際特許分類】
C09J 105/00 20060101AFI20240220BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240220BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240220BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240220BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20240220BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20240220BHJP
B32B 37/12 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C09J105/00
C09J201/00
C09J11/08
E04B1/80 A
B32B37/14
B32B5/28 Z
B32B37/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540596
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021077185
(87)【国際公開番号】W WO2022144107
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/088061
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500336306
【氏名又は名称】ロックウール アクティーゼルスカブ
【住所又は居所原語表記】Hovedgaden 584, 2640 Hedehusene, DENMARK
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バートニク ヨハンソン,ドルテ
(72)【発明者】
【氏名】ニコリッチ,ミロスラフ
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001GA12
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4J040BA192
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4J040KA16
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4J040NA12
(57)【要約】
本発明は、断熱製品及び新規な断熱製品の製造方法であって、接着剤を使用して、結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバットの少なくとも1つの主面に外装材を接着して、前記接着剤を硬化させることによって断熱製品が製造される、方法に関する。前記接着剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、以下を含む水性組成物である:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱製品の製造方法であって、前記方法は
結合剤を含むマトリックス中に人造ガラス質繊維(MMVF)のバットを供給することであって、前記人造ガラス質繊維のバットは少なくとも1つの主面を含むこと、
外装材を供給すること、
接着剤を使用して、前記外装材を前記人造ガラス質繊維のバットの少なくとも1つの主面に固定すること、及び
前記接着剤を硬化させること、を含み、
前記接着剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、かつ
1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)を含む、水性接着剤組成物である、方法。
【請求項2】
前記外装材が、織ガラス若しくは不織ガラス繊維ベール又は織物、スクリム、ロービング、ガラス繊維シルク、ガラスフィラメント織物、スパンボンドポリエステルウェブ、蒸気膜、防湿層、屋根下敷きホイル、アルミニウムホイル、及びハウスラップから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外装材が、30~150g/m
2の範囲内の面積重量を有する不織ガラスベールである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記外装材が、150~350g/m
2の範囲内の面積重量を有する鉱物被覆不織ガラスベールである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記外装材が、90~180g/m
2の範囲内の面積重量を有するガラス繊維シルク又はガラスフィラメント織物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記外装材が少なくとも1つの主面を有し、前記外装材及び/又は前記バットの主面に接着剤を塗布することと、次いで前記外装材の前記主面を前記人造ガラス質繊維のバットの前記主面に塗布することとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤をスプレーによって塗布することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤を硬化させる工程が、100~300℃、好ましくは170~270℃、より好ましくは180~250℃、さらに好ましくは190~230℃の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記バットの少なくとも1つの主面に前記外装材を固定する工程が、前記MMVF用の前記結合剤が未硬化の間に行われ、前記接着剤を硬化する工程が、MMVFの前記マトリックス中の前記結合剤も硬化させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外装材を前記バットの少なくとも1つの主面に固定する工程が、前記MMVF用の前記結合剤を硬化させた後に行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記バットの密度が20~200kg/m
3の範囲内である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記結合剤によって結合された前記人造ガラス質繊維のバットの強熱減量(LOI)が、0.5~8重量%、好ましくは2~5重量%の範囲内である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記断熱製品は、20~400mmの範囲内の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤が、40~400g/m
2、好ましくは50~200g/m
2、より好ましくは60~150g/m
2の量の液体接着剤で塗布される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記外装材を前記バットに固定した後、前記外装材にコーティングを塗布することをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記断熱製品が、外部ファサード、換気ファサード、室内天井断熱製品、内壁断熱製品、屋根断熱製品、換気ダクト、及びチャンネル吸音製品からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記人造ガラス質繊維(MMVF)のバット内の前記結合剤が、硬化前はフェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、かつ
1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
を含む水性組成物である結合剤組成物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
断熱製品の製造方法であって、前記方法は
未硬化結合剤を含むマトリックス中に人造ガラス質繊維(MMVF)のバットを供給することであって、前記人造ガラス質繊維のバットは少なくとも1つの主面を含むこと、
外装材を供給すること、
前記外装材を前記人造ガラス質繊維のバットの少なくとも1つの主面に適用すること、及び前記外装材を前記主面に固定するために前記結合剤を硬化させること、を含み、前記結合剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、かつ
1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
を含む水性結合剤組成物である、方法。
【請求項19】
請求項2~5、11~13、15、及び16に記載の追加の特徴のいずれかを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記結合剤を硬化させる工程が、100~300℃、好ましくは170~270℃、より好ましくは180~250℃、さらに好ましくは190~230℃の温度で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法により得られる断熱製品。
【請求項22】
人造ガラス質繊維(MMVF)を結合剤で結合したバットである断熱要素を含む断熱製品であって、前記人造ガラス質繊維のバットが、少なくとも1つの主面を含み、外装材を備え、前記外装材が、接着剤によって前記断熱要素の少なくとも1つの主面に固定され、硬化前の前記接着剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、かつ
1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
を含む水性接着剤組成物である、断熱製品。
【請求項23】
前記水性接着剤/結合剤組成物が、1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項24】
前記成分(i)が、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.05~0.6mmol/gのカルボン酸基含有量を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項25】
前記成分(i)が、成分(i)の数平均分子量を考慮して巨大分子あたり1.8基未満、例えば1.4基未満、例えば1.1基未満、例えば0.7基未満、例えば0.4基未満の平均カルボン酸基含有量を有する1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項26】
前記成分(i)が、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.3~2.5mmol/g、例えば0.5~2.0mmol/g、例えば0.5~1.5mmol/gのフェノール性水酸基(OH)含有量を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項27】
前記成分(i)が、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、1.0~8.0mmol/g、例えば1.5~6.0mmol/g、例えば2.0~5.0mmol/gの脂肪族水酸基(OH)含有量を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項28】
前記成分(i)が、リグノスルホン酸アンモニウム及び/又はリグノスルホン酸カルシウム、及び/又はリグノスルホン酸マグネシウム、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項29】
前記成分(i)が、リグノスルホン酸アンモニウム及びリグノスルホン酸カルシウムを含み、アンモニウムイオン(NH
4
+)対カルシウムイオン(Ca
2+)のモル比が、5:1~1:5、特に3:1~1:3の範囲内にある、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項30】
前記水性接着剤/結合剤組成物が、リグノスルホン酸塩及び糖の重量に基づいて、0重量%以上5重量%未満の量で添加された糖を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項31】
前記水性接着剤/結合剤組成物が、成分(i)及び(ii)の乾燥重量に基づいて、50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量で成分(i)を
含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項32】
前記成分(ii)が、
a.β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、及び/又は
b.オキサゾリン-架橋剤、及び/又は
c.アルカノールアミンなどの多官能性有機アミン及びヘキサメチルジアミンなどのジアミンからなる群、及び/又は
d.反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
e.脂肪族アミンからなる群から選択される1又は複数の架橋剤、及び/又は
f.脂肪酸アミドの形態である1又は複数の架橋剤、及び/又は
g.ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールから選択される1又は複数の架橋剤、及び/又は
h.デンプン、変性デンプン、及びCMCからなる群から選択される1又は複数の架橋剤、及び/又は
i.脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態である1又は複数の架橋剤、及び/又は
j.ヘキサキス(メチルメトキシ)メラミン(HMMM)系架橋剤などのメラミン系架橋剤から選択される1又は複数の架橋剤
から選択される1又は複数の架橋剤の形態である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項33】
前記成分(ii)が、β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤及び/又はオキサゾリン架橋剤から選択される1又は複数の架橋剤を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項34】
前記接着剤/結合剤組成物が、成分(i)の乾燥重量に基づいて、1~50重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量で成分(ii)を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項35】
前記成分(ii)が、
a.β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジパミド-架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド、及び/又は
b.アルカノールアミンなどの多官能性有機アミン及びヘキサメチルジアミンなどのジアミンからなる群、及び/又は
c.反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
d.脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態である1又は複数の架橋剤
から選択される1又は複数の架橋剤の形態である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項36】
前記成分(ii)が、
a.β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジパミド-架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド
から選択される1又は複数の架橋剤を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項37】
前記接着剤/結合剤組成物が、成分(i)の乾燥重量に基づいて、2~90重量%、例えば6~60重量%、例えば10~40重量%、例えば25~40重量%の量で成分(ii)を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項38】
成分(iii)が、
脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、及びステアリルアルコールからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
アルコキシレート、例えばエトキシレート、例えばブタノールエトキシレート、例えばブトキシトリグリコールからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
プロピレングリコールの形態である1又は複数の可塑剤、及び/又は
グリコールエステルの形態である1又は複数の可塑剤、及び/又は
アジピン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、シクロ安息香酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、ソルビン酸塩、セバシン酸塩、アゼライン酸塩、酪酸塩、及び吉草酸塩からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
アルキル又はアリール置換フェノールなどのフェノール誘導体からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
シラノール及びシロキサンからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
アルキル硫酸塩などの硫酸塩、アルキルスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、及びトリポリリン酸塩などのリン酸塩からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
ヒドロキシ酸の形態である1又は複数の可塑剤、及び/又は
アセトアミド及びベンズアミドなどのモノマーアミド並びにトール油アミドなどの脂肪酸アミドからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
トリメチルグリシン及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
ヒマシ油、パーム油、亜麻仁油、及び大豆油などの植物油からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
トール油、及び/又は
硬化油及びアセチル化油からなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
酸メチルエステルから選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
アルキルポリグルコシド、グルコンアミド、アミノグルコースアミド、スクロースエステル、及びソルビタンエステルからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される1又は複数の可塑剤、及び/又は
1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパンなどのグリセロールなどのポリオールの形態である1又は複数の可塑剤、及び/又は
トリエタノールアミン
の形態である、請求項23~37のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項39】
成分(iii)が、プロピレングリコール、フェノール誘導体、シラノール、シロキサン、ヒドロキシ酸、植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル
、トリエタノールアミン、又はそれらの任意の混合物の形態である、請求項23~38のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項40】
成分(iii)が、100~380℃、好ましくは120~300℃、より好ましくは140~250℃の沸点を有する1又は複数の可塑剤を含む、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項41】
成分(iii)が、150~50000g/モル、特に150~4000g/モル、より具体的には150~1000g/モル、好ましくは150~500g/モル、より好ましくは200~400g/モルの平均分子量を有する1又は複数のポリエチレングリコールを含む、請求項23~40のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項42】
成分(iii)が、前記結合剤組成物中に、成分(i)の乾燥重量に基づいて、0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する、請求項23~41のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項43】
前記接着剤/結合剤組成物が、有機官能性シランなどの1又は複数のカップリング剤の形態のさらなる成分(iv)を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項44】
前記接着剤/結合剤組成物が、成分(v)を、アンモニアなどの塩基、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)などのアルカリ土類金属水酸化物、アミン又はそれらの任意の塩の群から選択される1又は複数の成分の形態でさらに含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項45】
前記接着剤/結合剤組成物が、尿素の形態のさらなる成分を、成分(i)の乾燥重量に基づいて、特に5~40重量%、例えば10~30重量%、例えば15~25重量%の量で含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項46】
前記バットがさらに、1又は複数の反応性若しくは非反応性シリコーンの形態のさらなる成分(vi)を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項47】
前記バットが、アンモニア酸化リグニン(AOL)を含まない、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項48】
前記水性組成物が、
アルデヒド及び式R-[C(O)R
1]
xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(a.式中、
b.Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
c.R
1は水素原子又はC
1-C
10アルキルラジカルを表す、並びに
d.xは1~10で変化する)
から選択される架橋剤を含まないことを条件とする、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項49】
前記水性組成物が、ポリアミンから選択される架橋剤を含まないことを条件とする、請
求項1~48のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【請求項50】
前記水性組成物が、
a.500以下の分子量M
Wを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まないことを条件とする、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法又は製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音、断熱、防火などの用途のための断熱製品に関する。特に、本発明は、そのような断熱製品を製造する方法及びそのような断熱製品を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
防音、断熱、及び防火のための断熱製品を提供することは周知である。このような製品の通常の形態は、バット(batt)の形態をとり、バットの主面に外装材(facing)が接着された断熱要素である。
【0003】
外装材をバットに接着するために使用される接着剤が適切な特性を有することが重要である。特に、接着強度(多くの場合、剥離強度の観点から定義される)が適切であることが重要である。
【0004】
通常、フェノールホルムアルデヒド樹脂を外装材の接着剤として使用する。これは、フェノールホルムアルデヒド樹脂が既にこのような製品の結合剤として通常使用されているため、結合剤によって結合された人造ガラス質繊維(MMVF)のマトリックスで形成される断熱要素の場合に特に役立つ。フェノールホルムアルデヒド接着剤は良好な結果をもたらし、商業的に通常使用されている。
【0005】
フェノールホルムアルデヒド樹脂は経済的に製造可能であり、接着剤として使用する前に尿素で増量してもよい。しかしながら、ホルムアルデヒド放出の低減又は脱離を目的とした既存の法律及び提案されている法律により、例えば、欧州特許出願公開第583086(A)号、欧州特許出願公開第990727(A)号、欧州特許出願公開第1741726(A)号、米国特許出願公開第5,318,990(A)号、及び米国特許出願公開第2007/0173588(A)号に記載されるように、ポリカルボキシポリマー及びポリオール又はポリアミンをベースとする接着剤組成物などのホルムアルデヒドフリーの接着剤の開発が行われている。
【0006】
非フェノールホルムアルデヒド接着剤の別のグループは、例えば、国際公開第99/36368号、国際公開第01/05725号、国際公開第01/96460号、国際公開第02/06178号、国際公開第2004/007615号、及び国際公開第2006/061249号に記載されるような脂肪族及び/又は芳香族無水物とアルカノールアミンとの付加/脱離反応生成物である。これらの接着剤組成物は水溶性であり、硬化速度及び硬化密度の点で優れた結合特性を示す。
【0007】
国際公開第2008/023032号は、水分吸収が低減されたミネラルウール製品を提供するこの種類の尿素変性接着剤を開示している。
【0008】
これらは、原理的には、結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバット上の外装材用の接着剤として使用することができる。しかしながら、これらの接着剤の製造に使用される出発材料の一部はかなり高価な化学薬品であるため、経済的に製造されるホルムアルデヒドフリーの接着剤を提供する必要性が現在進行形で存在する。
【0009】
鉱物繊維製品用の既に公知の水性接着剤組成物に関するさらなる影響は、これらの接着剤の製造に使用される出発材料の少なくとも大部分が化石燃料に由来することである。消費者は、完全に又は少なくとも部分的に再生可能材料から製造された製品を好む傾向が続いており、したがって、少なくとも部分的に再生可能材料から製造された鉱物繊維又はミ
ネラルウール製品用の接着剤を提供する必要がある。
【0010】
鉱物繊維製品用の既に公知の水性接着剤組成物に関するさらなる影響は、それらが腐食性及び/又は有害な成分を含むことである。これには、ミネラルウール製品の製造に関わる機械の腐食を防ぐ保護措置が必要であり、この機械を取り扱う人の安全対策も必要である。これはコストの増加及び健康上の問題につながり、したがって、腐食性及び/又は有害な物質の含有量が低減された接着剤組成物を提供する必要がある。
【0011】
その一方で、鉱物繊維製品用の接着剤が数多く提供されており、それらは大部分が再生可能な出発原料に基づいている。多くの場合、これらの接着剤は大部分が再生可能資源に基づいており、ホルムアルデヒドフリーでもある。
【0012】
しかしながら、これらの接着剤の多くは、比較的高価な基本的材料をベースにしているため依然として比較的高価であり、外装材を断熱要素に接着するための接着剤として使用するのは非経済的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、出発材料として再生可能材料を使用し、腐食性物質及び/又は有害な物質を低減又は排除し、比較的安価に製造される、結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバットに外装材を接着するのに特に適した接着剤組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、結合剤を含むマトリックス中に人造ガラス質繊維のバットで形成され、それに外装材が結合された断熱製品であって、接着特性が良好であり、特にフェノール-ホルムアルデヒド結合剤によってもたらされる接着特性と同様に優れており、フェノール-ホルムアルデヒド結合剤の欠点が最小限に抑えられている、断熱製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1態様は、断熱製品の製造方法であって、前記方法は
結合剤を含むマトリックス中に人造ガラス質繊維(MMVF)のバットを供給することであって、前記人造ガラス質繊維のバットは少なくとも1つの主面を含むこと、
外装材を供給すること、
接着剤を使用して、前記外装材を前記人造ガラス質繊維のバットの少なくとも1つの主面に固定すること、及び
前記接着剤を硬化させること、を含み、
前記接着剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、以下を含む水性接着剤組成物である、方法を提供する:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
本発明のこの態様では、上記で定義した接着剤を使用する。これには、商業的に許容され、実際にフェノールホルムアルデヒド樹脂と同等の良好な接着特性が得られるが、付随する欠点がないという利点がある。
【0016】
本発明の第2態様は、断熱製品の製造方法であって、前記方法は
未硬化結合剤を含む人造ガラス質繊維(MMVF)のバットを供給することであって、
前記人造ガラス質繊維のバットは少なくとも1つの主面を含むこと、
外装材を供給すること、
前記外装材を前記人造ガラス質繊維のバットの少なくとも1つの主面に適用すること、及び
前記外装材を前記主面に固定するために前記結合剤を硬化させること、を含み、前記結合剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、以下を含む水性結合剤組成物である、方法を提供する:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
【0017】
本発明のこの態様では、上記で定義した結合剤を使用する。これには、商業的に許容され、実際にフェノールホルムアルデヒド樹脂と同等の良好な結合剤特性及びバットへの外装材の接着性が得られるが、付随する欠点がないという利点がある。
【0018】
バットの圧縮強度及び層間剥離強度は、フェノールホルムアルデヒド樹脂で結合されたバットと同等であり、したがって公知のホルムアルデヒドフリー結合剤よりも優れている。これにより、垂れが減少し、取り扱い性が向上し、密着性も向上するという利点がある。吸水性及び耐湿性もフェノールホルムアルデヒド樹脂で接着されたバットと同様である。これは、ホルムアルデヒドの放出がなく、フェノールホルムアルデヒド樹脂で接着されたバットと比較して室内環境が改善されるため、屋内での使用に制限がないことを示す。
【0019】
本発明の第3態様は、第1態様又は第2態様に記載の方法により得られる断熱製品を提供する。
【0020】
本発明の第4態様は、人造ガラス質繊維(MMVF)を結合剤で結合したバットである断熱要素であって、前記人造ガラス質繊維のバットが、少なくとも1つの主面を含み、外装材を備え、前記外装材が、接着剤によって前記断熱要素の少なくとも1つの主面に固定され、硬化前の前記接着剤が、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、以下を含む組成物を有する、断熱要素を提供する:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
【0021】
前記断熱製品の好ましい製造方法は、前記バットの少なくとも1つの主面に前記外装材を固定することを、前記MMVF用の前記結合剤が未硬化の間に行い、前記接着剤を硬化する工程が、MMVFの前記マトリックス中の前記結合剤も硬化させることを含む。
【0022】
本発明の第1態様及び第2態様又は本発明の第3態様及び第4態様の方法に従って形成された断熱製品を、互いに結合して複合断熱製品を形成することができる。
【0023】
前記断熱製品を、外部ファサード、換気ファサード、室内天井断熱製品、内壁断熱製品、屋根断熱製品、換気ダクト、又はチャンネル吸音製品に形成できる。
【0024】
前記断熱製品は、外部ファサード断熱製品に形成されてもよい。外部ファサード断熱製品は、空洞壁を断熱するために使用され得る。外部ファサード断熱製品は、換気ファサー
ドを断熱するために使用され得る。前記断熱製品は、20~80kg/m3、好ましくは30~70kg/m3の範囲内の密度を有し得る。前記断熱製品は、2~5重量%、好ましくは2.5~4重量%の範囲内の強熱減量を有し得る。好ましくは、前記外装材は、30~150g/m2、好ましくは30~100g/m2の面積重量を有する不織ガラスベールである。
【0025】
前記断熱製品は、音響減衰器及びスプリッター、空調、換気システムの吸収材として使用されてもよい。前記断熱製品の密度は30~150kg/m3の範囲内であり得る。前記断熱製品は、1.5~4重量%、好ましくは2~3重量%の範囲内の強熱減量を有し得る。好ましくは、前記外装材は90~180g/m2の面積重量を有するガラス繊維シルクベールである。
【0026】
前記断熱製品は、暖房換気システム及び空調システムの断熱に使用され得る。前記断熱製品の密度は30~150kg/m3の範囲内であり得る。前記断熱製品は、1.5~4重量%、好ましくは2~3重量%の範囲内の強熱減量を有し得る。好ましくは、前記外装材は、30~150g/m2、好ましくは30~100g/m2の面積重量を有する不織ガラスベールである。
【0027】
前記断熱製品又は前記断熱要素は、断熱システムに形成されてもよい。
【0028】
断熱システムは、建物の内壁又は外壁を断熱するために使用され得る。断熱システムは、暖房された建物の外部天井を断熱するために使用され得る。これらの用途の両方において、前記断熱製品は建物の内部からの熱伝達による熱損失を低減するように機能する。
【0029】
建物の外壁を断熱するために使用される外部断熱複合システム(ETICS)などの断熱システムの場合、断熱製品は、壁に面する層と外側に面する層の2層で外壁に配置され、壁に面する層の断熱製品が接着剤で外側に面する層に接着される。これは現場で行ってもよいが、2つの層を工場で事前に組み立て、説明される方法に従って相互に接着することが好ましい。
【0030】
このような断熱システムは、建物の外側に接着された断熱製品を備えていてもよい。断熱製品を風化の影響から保護するために、断熱製品にレンダー(下塗り)層が適用される。通常は、織布層で強化されたベースレンダーを適用し、その上を被覆用レンダーの層で覆う。合成樹脂レンダーが使用される場合、両方のレンダー層は合わせて約2~約7mm、好ましくは3mm未満の厚さで塗布されるが、鉱物性レンダーシステムでは約8mm~約20mmの範囲内の厚さに達し得る。断熱製品は通常、断熱ファスナーを使用して固定する、すなわち外壁に接合する必要がある。この際、断熱製品の支持基板、すなわち外壁への部分的な接着は、取り付けを補助するだけの役割を果たすが、同時にレンダーの収縮によって生じるせん断応力に耐える断熱製品の剛性も増加する。
【0031】
前記断熱システムは断熱製品又は断熱要素を含んでもよく、断熱製品又は断熱要素はさらにエアロゲルを含む。
【0032】
前記断熱システムは、少なくとも2つの断熱製品を含んでもよく、各断熱製品は、25~95重量%のエアロゲル、5~75重量%の無機繊維、及び0~70重量%の無機充填剤を含有する。前記断熱製品は、接着剤によって互いに接合されてもよい。適切なエアロゲルは、国際公開第2012/098463号に詳述されている。
【0033】
本発明の第1態様及び第2態様又は本発明の第3態様及び第4態様の方法に従って形成された断熱製品を、平屋根又は平坦な傾斜屋根の断熱及び/又は防音に使用することがで
きる。前記断熱製品は、屋根システムに形成されてもよい。
【0034】
前記断熱製品が屋根用途に使用される場合、前記断熱製品は標準の層状又は圧着(クリンプ)ベース断熱製品であってもよい。前記断熱製品は、100~200kg/m3好ましくは140~180kg/m3の範囲内の密度を有し得る。前記断熱製品は、3~8重量%、好ましくは3.5~5重量%の範囲内の強熱減量を有し得る。好ましくは、前記外装材は、150~350g/m2の面積重量を有する鉱物被覆不織ガラスベールである。
【0035】
前記断熱製品が屋根用途に使用される場合、前記断熱製品はラメラ状のベース断熱製品であってもよい。前記断熱製品の密度は80~120kg/m3の範囲内であり得る。前記断熱製品は、3~8重量%、好ましくは3.5~5重量%の範囲内の強熱減量を有し得る。好ましくは、前記外装材は、150~350g/m2の面積重量を有する鉱物被覆不織ガラスベールである。
【0036】
前記屋根システムは、本発明の第1態様及び第2態様の方法に従って、又は本発明の第3態様及び第4態様に従って形成された少なくとも1つの断熱製品と、断熱製品を支持する基礎構造と、屋根の主面を覆う膜とを備え得る。好ましくは、前記膜は防水膜である。
【0037】
前記屋根システムは、主な断熱材が屋根の被覆、すなわち防水膜の直下に配置される、いわゆる暖かい屋根(warm roofs)用のものであってもよい。単層屋根システムの取り付けの3つの主なオプションは、機械的固定、接着/冷間接着、及びバラストであり、断熱材及び膜は同じ方法又は異なる方法で取り付けてもよい。
【0038】
好ましくは、前記屋根システムは、鉱物被覆不織ガラスベール外装材を含む断熱製品を備え、より好ましくは、外装材は、150g/m2~350g/m2の面積重量を有する。
【0039】
前記屋根システムは、平屋根構造を断熱するために使用してもよい。これにより、断熱製品は平屋根上に上層及び下層の2層で配置され、上層の断熱製品は下層の断熱製品に接着剤で接着される。
【0040】
前記断熱製品は、本発明の断熱要素に加えて、多くの場合人工木材製品を含み優れた強度及び安定性を提供する、構造複合材料を含んでいてもよい。
【0041】
本発明の方法は、結合剤を含む人造ガラス質繊維のバットを提供することを含む。これは断熱要素の形態であり得る。人造ガラス質繊維のバットは、湿式材料又は流体材料を鋳造することによって作成できるが(例えば、湿式堆積鉱物繊維から作成できる)、通常はマトリックスに結合剤で結合されたエアレイド(air laid)鉱物繊維の断熱要素を形成することが好ましい。
【0042】
前記結合剤は、MMVFの結合に使用することが公知である結合剤のいずれであってもよい。好ましくは、前記結合剤は、フェノールホルムアルデヒド結合剤、尿素ホルムアルデヒド結合剤、フェノール尿素ホルムアルデヒド結合剤、又はメラミンホルムアルデヒド結合剤などの有機結合剤である。従来使用されているフェノール-ホルムアルデヒド又はフェノール・尿素・ホルムアルデヒド(PUF)系レゾール結合剤は、所望により糖成分を含有する。糖成分を含まないこれらの結合剤については、例えば欧州特許第0148050号及び欧州特許出願公開第0996653号が参照される。糖成分を含むこれらの結合剤については、国際公開第2012/076462号を参照される。ホルムアルデヒドフリー結合剤、例えば、欧州特許出願公開第583086(A)号、欧州特許出願公開第990727(A)号、欧州特許出願公開第1741726(A)号、米国特許出願公開第5,318,990(A)号、及び米国特許出願公開第2007/0173588(A)号に開示されているような、ポリカルボキシポリマー及びポリオール又はポリアミンをベースとする結合剤組成物であってもよい。
【0043】
MMVFマトリックスに使用できる非フェノールホルムアルデヒド結合剤の別のグループは、例えば、国際公開第99/36368号、国際公開第01/05725号、国際公開第01/96460号、国際公開第02/06178号、国際公開第2004/007615号、及び国際公開第2006/061249号に記載されるような脂肪族及び/又は芳香族無水物とアルカノールアミンの付加/脱離反応生成物である。これらの結合剤組成物は水溶性であり、硬化速度及び硬化密度の点で優れた結合特性を示す。国際公開第2008/023032号は、水分吸収が低減されたミネラルウール製品を提供するこの種類の尿素変性結合剤を開示している。
【0044】
好ましくは、MMVFの結合剤は、
フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリーであり、以下を含む水性接着剤組成物である:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
【0045】
前記結合剤のさらに好ましい特徴は、接着剤として使用される材料との関連で以下に記載される。このクラスの材料が結合剤を含む人造ガラス質繊維のバットの結合剤として使用される場合、同じ好ましい特徴の全てが適用可能である。
【0046】
結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバットの密度は、好ましくは6~350kg/m3、好ましくは20~200kg/m3の範囲内である。好ましい密度は、上記で論じたように、意図された用途によって決まる。
【0047】
MMVF製品は、概して、0.5~8%、好ましくは2~5重量%の範囲内の強熱減量(LOI)を有する。LOIは、欧州規格EN 13820:2003に従って決定される従来の方法で、結合剤含有量としてみなされる。結合剤には通常、主な結合成分に加えて、少量の油及びその他の有機結合剤添加剤が含まれる。
【0048】
結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバット中の鉱物繊維は、概して、3~8ミクロンの範囲内の平均繊維直径を有する。
【0049】
本発明で使用される人造ガラス質繊維(MMVF)は、例えばガラス繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、スラグウール、ミネラルウール、及びストーンウールなどの任意のMMVFであり得、これらは硬化した結合剤によって互いに結合される。結合MMVF(鉱物繊維とも記載される)は、概して、例えばスピニングカッププロセス又はカスケードロータープロセスなどの従来の方法で、適切な原料で作られた溶融物を繊維に変換することによって製造される。前記繊維は成形チャンバーに吹き込まれ、空気中に運ばれ、まだ熱いうちに結合剤溶液がスプレーされ、マット又はウェブとして走行コンベヤー上にランダムに堆積される。次に、繊維マットは硬化オーブンに移送され、そこで加熱された空気がマットに吹き込まれて結合剤が硬化され、鉱物繊維が互いに強固に結合される。
【0050】
本発明の製品は、フェノール及びホルムアルデヒドフリー水性接着剤(場合によっては結合剤も含む)組成物を使用し、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)。
【0051】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・500以下の分子量MWを有するエポキシ化合物。
【0052】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・アルデヒド及び式R-[C(O)R1]xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
R1は水素原子又はC1-C10アルキルラジカルを表す、並びに
xは1~10で変化する)。
【0053】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・ポリアミン。
【0054】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・単糖及びオリゴ糖。
【0055】
一実施形態では、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-以下から選択される1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii):
・β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジパミド-架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド、及び/又は
・アルカノールアミンなどの多官能性有機アミン及びヘキサメチルジアミンなどのジアミンからなる群、及び/又は
・反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1又は複数の柔軟なオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
・脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態である1又は複数の架橋剤、及び/又は
・Primid(登録商標)XL552
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・500以下の分子量MWを有するエポキシ化合物
・アルデヒド及び式R-[C(O)R1]xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
R1は水素原子又はC1-C10アルキルラジカルを表す、並びに
xは1~10で変化する)、
・ポリアミン。
【0056】
所望により、前記水性組成物はさらに以下を含む:
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)。
【0057】
一実施形態では、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)。
【0058】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)
(前記水性結合剤組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・500以下の分子量MWを有するエポキシ化合物。
【0059】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・アルデヒド及び式R-[C(O)R1]xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
R1は水素原子又はC1-C10アルキルラジカルを表す、並びに
xは1~10で変化する)。
【0060】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・ポリアミン。
【0061】
特に、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・単糖及びオリゴ糖。
【0062】
一実施形態では、前記接着剤は、フェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー水性組成物であり、以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-以下から選択される1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii):
・β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、及び/又は
・反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
・脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態である1又は複数の架橋剤、及び/又は
・Primid(登録商標)XL552
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii)
(前記水性組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする)
・500以下の分子量MWを有するエポキシ化合物
・アルデヒド及び式R-[C(O)R1]xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
R1は水素原子又はC1-C10アルキルラジカルを表す、並びに
xは1~10で変化する)、
・ポリアミン。
【0063】
好ましい実施形態では、前記接着剤はホルムアルデヒドフリーである。
【0064】
本出願の目的上、「ホルムアルデヒドフリー」という用語は、ミネラルウール製品からのホルムアルデヒドの放出が5μg/m2/h未満、好ましくは3μg/m2/h未満であるミネラルウール製品を特徴付けるものと定義される。好ましくは、アルデヒド放出試験に関するISO 16000に従って試験を実施する。
【0065】
好ましい実施形態では、前記接着剤はフェノールフリーである。
【0066】
本出願の目的上、「フェノールフリー」という用語は、前記水性組成物がフェノール:
【0067】
【0068】
を、15重量%の乾燥固体結合剤含有量を有する水性組成物の総重量に基づいて、≦0.25重量%、例えば≦0.1重量%、例えば≦0.05重量%の量で含むように定義される。
【0069】
一実施形態では、前記接着剤組成物は追加のホルムアルデヒドを含まない。
【0070】
一実施形態では、前記接着剤組成物は追加のフェノールを含まない。
【0071】
本発明の目的上、「単糖及びオリゴ糖」という用語は、10個以下の糖単位を有する単糖及びオリゴ糖を含むものと定義される。
【0072】
本発明の目的上、「糖」という用語は、10個以下の糖単位を有する単糖類及びオリゴ糖を含むものと定義される。
【0073】
成分(i)
成分(i)は、1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態(リグノスルホネートリグニンはその乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する)である。
【0074】
リグニン、セルロース、及びヘミセルロースは、植物細胞壁の3つの主要な有機化合物である。リグニンは、セルロース繊維をまとめる接着剤と考えることができる。リグニンには、親水基及び疎水基の両方が含まれている。これはセルロースに次いで世界で2番目に豊富な天然ポリマーであり、世界中で10億トンを超えるバイオマスに含まれる総炭素の20~30%を占めると推定されている。
【0075】
リグノスルホン酸塩プロセスでは、大量のスルホン酸基が導入され、リグニンが水だけでなく酸性水溶液にも可溶になる。リグノスルホン酸塩にはスルホン酸塩として最大8%の硫黄が含まれているが、クラフトリグニンには1~2%の硫黄が含まれており、ほとんどがリグニンに結合している。リグノスルホン酸塩の分子量は、15,000~50,000g/molである。リグニンの典型的な疎水性コアが多数のイオン化スルホン酸基と一緒になって、リグニンを界面活性剤として魅力的なものとし、しばしばセメントの分散などに応用される。
【0076】
リグニン系の付加価値製品を生産するには、まずリグニンをバイオマスから分離する必要があり、これにはいくつかの方法が使用できる。クラフト及び亜硫酸パルプ化プロセスは、木材からリグニンを効果的に分離できることが公知であり、世界中で使用されている。クラフトリグニンは、水酸化ナトリウム(NaOH)及び硫化ナトリウム(Na2S)の助けにより木材から分離される。亜硫酸塩パルプ化プロセスからのリグニンはリグノスルホン酸塩と称され、様々なpHレベルでマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、若しくはアンモニウムを含む亜硫酸及び/又は亜硫酸塩を使用して製造される。現在、リグノスルホン酸塩は商業用リグニン市場全体の90%を占めており、リグノスルホン酸塩の世界年間総生産量は約180万トンである。リグノスルホン酸塩は概してスルホン酸基を豊富に含むため、クラフトリグニンよりも硫黄の量が多くなる。スルホン化基の存在により、リグノスルホン酸塩はアニオンに帯電し、水溶性になる。リグノスルホン酸塩の分子量(Mw)は、クラフトリグニンの分子量と同等又はそれ以上となる。リグノスルホン酸塩は、その固有の特性により、動物飼料、殺虫剤、界面活性剤、石油掘削用添加剤、コロイド懸濁液の安定剤、及びコンクリート混和剤の可塑剤など、幅広い用途がある。しかしながら、新しいパルプ工場の大部分はパルプ生産にクラフト技術を採用しているため、クラフトリグニンは付加価値のある生産に容易に利用できる。
【0077】
一方で、リグノスルホン酸塩及びクラフトリグニンは、分離プロセスの違い、それによる官能基の分布の違いに起因する異なる特性を有する。リグノスルホン酸塩中の高レベルのスルホン酸基(通常、C9単位4つ毎に少なくとも1つ)により、水中のあらゆるpHレベルでリグノスルホン酸塩が強く帯電する。このイオン化可能な官能基の豊富さによって、他の工業用リグニンと比較した違いのほとんどが説明され得る。電荷密度が高いため、クラフトリグニンと比較して容易に水溶性となり、溶液中の固形分含有量が高くなる。また、同じ理由で、リグノスルホン酸塩は、同じ固形分含有量のクラフトリグニンに比べて溶液粘度が低く、取り扱いや加工が容易になり得る。一般的に使用されるリグノスルホン酸塩のモデル構造を
図1に示す。
【0078】
一実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.05~0.6mmol/g、例えば0.1~0.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0079】
一実施形態では、成分(i)は、成分(i)の数平均分子量を考慮して巨大分子あたり1.8基未満、例えば1.4基未満、例えば1.1基未満、例えば0.7基未満、例えば0.4基未満の平均カルボン酸基含有量を有する1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態である。
【0080】
一実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.3~2.5mmol/g、例えば0.5~2.0mmol/g、例えば0.5~1.5mmol/gのフェノール性水酸基(OH)含有量を有する。
【0081】
一実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、1.0~8.0mmol/g、例えば1.5~6.0mmol/g、例えば2.0~5.0mmol/gの脂肪族水酸基(OH)含有量を有する。
【0082】
一実施形態では、成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム及び/又はリグノスルホン酸カルシウム、及び/又はリグノスルホン酸マグネシウム、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0083】
一実施形態では、成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム及びリグノスルホン酸
カルシウムを含み、アンモニウムイオン(NH4
+)対カルシウムイオン(Ca2+)のモル比が、5:1~1:5、特に3:1~1:3の範囲内にある。
【0084】
本発明の目的上、リグノスルホン酸塩という用語はスルホン化クラフトリグニンを包含する。
【0085】
一実施形態では、成分(i)はスルホン化クラフトリグニンである。
【0086】
一実施形態では、前記水性組成物は、リグノスルホン酸塩及び糖の重量に基づいて、0~5重量%、例えば5重量%未満、例えば0~4.9重量%、例えば0.1~4.9重量%の量で添加された糖を含む。
【0087】
一実施形態では、前記水性組成物は、成分(i)及び(ii)の合計重量に基づいて、50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量で成分(i)、すなわちリグノスルホン酸を含む。
【0088】
一実施形態では、前記水性組成物は、成分(i)、(ii)、及び(iii)の乾燥重量に基づいて、50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量で成分(i)を含む。
【0089】
本発明の目的のために、リグニン官能基の含有量は、特性評価方法として31P NMRを使用することによって決定される。
【0090】
31P NMRの試料前処理は、ホスフィチル化試薬として2-クロロ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン(TMDP)を使用し、内部標準としてコレステロールを使用して行われる。積分は、Granata及びArgyropoulosの研究(J. Agric. Food Chem. 43:1538-1544)に準ずる。
【0091】
成分(ii)
成分(ii)は、1又は複数の架橋剤の形態のである。
【0092】
一実施形態では、成分(ii)は、β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤及び/又はオキサゾリン-架橋剤から選択される1又は複数の架橋剤を含む。
【0093】
β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤は、酸官能性高分子の硬化剤であり、硬性、耐久性、耐腐食性、及び耐溶剤性である架橋ポリマーネットワークを提供する。β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤はエステル化反応を介して硬化し、複数のエステル結合を形成すると考えられている。最適な硬化反応を得るには、β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤のヒドロキシ官能価は、平均して少なくとも2であり、好ましくは2より大きく、より好ましくは2~4であるべきである。
【0094】
オキサゾリン基含有架橋剤は、1分子内に1又は複数のオキサゾリン基を有するポリマーであり、概して、オキサゾリン含有架橋剤はオキサゾリン誘導体を重合することにより容易に得ることができる。米国特許第6818699(B2)号は、そのようなプロセスについて開示している。
【0095】
一実施形態では、成分(ii)は、反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化
油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテルの1又は複数である。
【0096】
一実施形態では、成分(ii)は、脂肪族アミンからなる群から選択される1又は複数の架橋剤である。
【0097】
一実施形態では、成分(ii)は、脂肪酸アミドの形態である1又は複数の架橋剤である。
【0098】
一実施形態では、成分(ii)は、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールから選択される1又は複数の架橋剤である。
【0099】
一実施形態では、成分(ii)は、デンプン、変性デンプン、及びCMCからなる群から選択される1又は複数の架橋剤である。
【0100】
一実施形態では、成分(ii)は、脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態の1又は複数の架橋剤である。
【0101】
一実施形態では、成分(ii)は、CX100及びNeoAdd(登録商標)Pax-521/523などのアジリジンの形態の1又は複数の架橋剤である。
【0102】
一実施形態では、成分(ii)は、ヘキサキス(メチルメトキシ)メラミン(HMMM)系架橋剤などのメラミン系架橋剤から選択される1又は複数の架橋剤である。
【0103】
そのような化合物の例には、Picassian(登録商標)XL 701、702、725(Stahl Polymers社)、ZOLDINE(登録商標)XL-29SE(ANGUS社(Angus Chemical Company))、CX300(DSM)、及びCARBODILITE(登録商標)V-02-L2(日清紡ケミカル株式会社)が挙げられる。
【0104】
一実施形態では、成分(ii)は、以下の構造を有するPrimid(登録商標)XL552である。
【0105】
【0106】
成分(ii)は、上記化合物の任意の混合物であってもよい。
【0107】
一実施形態では、前記接着剤組成物が、成分(i)の乾燥重量に基づいて、1~50重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量で成分(ii)を含む。
【0108】
一実施形態では、成分(ii)は、以下から選択される1又は複数の架橋剤の形態である:
〇 β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジパミド-架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド、及び/又は
〇 アルカノールアミンなどの多官能性有機アミン及びヘキサメチルジアミンなどのジアミンからなる群、及び/又は
〇 反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
〇 脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドの形態である1又は複数の架橋剤。
【0109】
一実施形態では、成分(ii)は、以下から選択される1又は複数の架橋剤を含む:
〇 β-ヒドロキシアルキルアミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド-架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジパミド-架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド。
【0110】
一実施形態では、成分(ii)は、成分(i)の乾燥重量に基づいて、2~90重量%、例えば6~60重量%、例えば10~40重量%、例えば25~40重量%の量で成分(ii)を含む。
【0111】
接着剤組成物の成分(iii)
前記接着剤組成物は、成分(iii)を含んでいてもよい。成分(iii)は、1又は複数の可塑剤の形態である。
【0112】
一実施形態では、成分(iii)は、炭水化物などのポリオール、ソルビトール、エリスリオール、グリセロールなどの水素化糖、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエーテル、フタル酸エステル、並びに/又はアジピン酸、バニリン酸、乳酸及び/又はフェルラ酸などの酸、アクリルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリウレタン分散液、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ラクトン、ラクタム、ラクチド、遊離カルボキシ基を有するアクリル系ポリマー及び/又は遊離カルボキシ基を有するポリウレタン分散液、ポリアミド、カルバミド/尿素などのアミド、並びに任意のそれらの混合物からなる群から選択される1又は複数の可塑剤の形態である。
【0113】
一実施形態では、成分(iii)は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ラクトン、ラクタム、及びラクチドなどのカーボネート、バニリン及びアセトシリンゴンなどのリグニンに似た構造を持つ化合物、並びにアルコールエーテル及びポリビニルアルコールなどの合体剤として使用される溶剤からなる群から選択される1又は複数の可塑剤の形態である。
【0114】
一実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエーテル、水素化糖、フタル酸エステル及び/又は他のエステル、並びにアルコールエーテル、アクリルポリマー、及びポリビニルアルコールなどの合体剤として使用される溶剤からなる群から選択される1又は複数の非反応性可塑剤の形態である。
【0115】
一実施形態では、成分(iii)は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ラクトン、ラクタム、及びラクチドなどのカーボネート、アジピン酸又は乳酸などのジカルボン酸又はトリカルボン酸及び/又はバニリン酸及び/又はフェルラ酸、ポリウレタン分散液、遊離カルボキシ基を有するアクリル系ポリマー、並びにバニリン及びアセトシリンゴンなどのリグニンに似た構造を有する化合物からなる群から選択される1又は複数の反応性可塑剤の形態である。
【0116】
一実施形態では、成分(iii)は、脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、及びステアリルアルコールからなる群から選択される1又は複数の可塑剤の形態である。
【0117】
一実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、及び/又は1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパンなどのポリオールの形態の1又は複数の可塑剤、及び/又はトリエタノールアミンからなる群から選択される1又は複数の可塑剤を含む。
【0118】
本発明で使用される接着剤組成物の別の特に驚くべき態様は、沸点が100℃を超える、特に140~250℃の可塑剤を使用すると、沸点を考慮するとこれらの可塑剤は鉱物繊維と接触している接着剤の硬化中に少なくとも部分的に蒸発する可能性が高いとはいえ、本発明の製品の機械的特性が大幅に改善されることである。
【0119】
一実施形態では、成分(iii)は、100℃を超える、例えば110~380℃、好ましくは120~300℃、より好ましくは140~250℃の沸点を有する1又は複数の可塑剤を含む。
【0120】
前記接着剤組成物中のこれらの可塑剤の有効性は、硬化プロセス中のリグニンの移動性を高める効果と関連していると考えられる。硬化プロセス中のリグニンの移動性の増加により、効果的な架橋が促進されると考えられる。
【0121】
一実施形態では、成分(iii)は、150~50000g/モル、特に150~4000g/モル、より具体的には150~1000g/モル、好ましくは150~500g/モル、より好ましくは200~400g/モルの平均分子量を有する1又は複数のポリエチレングリコールを含む。
【0122】
一実施形態では、成分(iii)は、4000~25000g/モル、特に4000~15000g/モル、さらに特に8000~12000g/モルの平均分子量を有する1又は複数のポリエチレングリコールを含む。
【0123】
一実施形態では、成分(iii)は、硬化プロセス中に成分(i)及び/又は成分(ii)と共有結合を形成することができる。このような成分は蒸発せず、前記組成物の一部として残存するが、望ましくない副作用、例えば硬化物の吸水などの副作用を引き起こさないように効果的に変化する。このような成分の非限定的な例は、カプロラクトン及び遊離カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーである。
【0124】
一実施形態では、成分(iii)は、脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、及びステアリルアルコールからなる群から選択される。
【0125】
一実施形態では、成分(iii)は、アルコキシレート、例えばエトキシレート、例えばブタノールエトキシレート、例えばブトキシトリグリコールからなる群から選択される
1又は複数の可塑剤から選択される。
【0126】
一実施形態では、成分(iii)は、1又は複数のプロピレングリコールから選択される。
【0127】
一実施形態では、成分(iii)は、1又は複数のグリコールエステルから選択される。
【0128】
一実施形態では、成分(iii)は、アジピン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、シクロ安息香酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、ソルビン酸塩、セバシン酸塩、アゼライン酸塩、酪酸塩、及び吉草酸塩からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0129】
一実施形態では、成分(iii)は、アルキル又はアリール置換フェノールなどのフェノール誘導体からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0130】
一実施形態では、成分(iii)は、シラノール及びシロキサンからなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0131】
一実施形態では、成分(iii)は、アルキル硫酸塩などの硫酸塩、アルキルスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、トリポリリン酸塩、及びリン酸トリブチルなどのリン酸塩からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0132】
一実施形態では、成分(iii)は、1又は複数のヒドロキシ酸から選択される。
【0133】
一実施形態では、成分(iii)は、アセトアミド及びベンズアミドなどのモノマーアミド並びにトール油アミドなどの脂肪酸アミドからなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0134】
一実施形態では、成分(iii)は、トリメチルグリシン及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0135】
一実施形態では、成分(iii)は、ヒマシ油、パーム油、亜麻仁油、トール油、及び大豆油などの植物油からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0136】
一実施形態では、成分(iii)はトール油の形態である。
【0137】
一実施形態では、成分(iii)は、硬化油及びアセチル化油からなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0138】
一実施形態では、成分(iii)は、1又は複数の脂肪酸メチルエステルから選択される。
【0139】
一実施形態では、成分(iii)は、アルキルポリグルコシド、グルコンアミド、アミノグルコースアミド、スクロースエステル、及びソルビタンエステルからなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0140】
一実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される1又は複数の可塑剤から選択される。
【0141】
一実施形態では、成分(iii)は、トリエタノールアミンからなる群から選択される。
【0142】
一実施形態では、成分(iii)は、プロピレングリコール、フェノール誘導体、シラノール、シロキサン、ヒドロキシ酸、植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、及び/又は1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、トリエタノールアミン、又はそれらの任意の混合物などのポリオールの形態の1又は複数の可塑剤の形態である。
【0143】
前記接着剤組成物中に可塑剤を含めることにより、本発明の製品の機械的特性が改善される可能性があることが判明した。
【0144】
可塑剤という用語は、材料をより柔らかく、柔軟性を高め(ガラス転移温度(Tg)を低下させることにより)、加工しやすくするために材料に添加される物質を指す。
【0145】
成分(iii)は、上記化合物の任意の混合物であってもよい。
【0146】
一実施形態では、成分(iii)は、成分(i)の乾燥重量に基づいて、0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する。
【0147】
一実施形態では、成分(iii)は、成分(i)、(ii)、及び(iii)の乾燥重量に基づいて、0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する。
【0148】
成分(i)及び(iia)を含む接着剤組成物の硬化により得られる接着剤
一実施形態では、前記接着剤組成物は以下を含む:
-1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
-1又は複数の改質剤の形態の成分(iia)、好ましくは前記水性接着剤組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする:
・500以下の分子量MWを有するエポキシ化合物、
及び/又は前記水性接着剤組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする:
・アルデヒド及び式R-[C(O)R1]xのカルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物
(式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状、若しくは環状の炭化水素ラジカル、5若しくは6個の炭素原子からなる1若しくは複数の芳香族核を含むラジカル、又は4若しくは5個の炭素原子及び酸素、窒素、若しくは硫黄原子を含む1若しくは複数の芳香族複素環を含むラジカルを表し、Rラジカルには他の官能基が含まれる場合がある、
R1は水素原子又はC1-C10アルキルラジカルを表す、並びに
xは1~10で変化する)、
及び/又は前記水性接着剤組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件とする:
・ポリアミン、
及び/又は前記水性接着剤組成物が、以下から選択される架橋剤を含まないことを条件
とする:
・単糖及びオリゴ糖。
【0149】
本発明者らは、1又は複数のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)(前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する)、1又は複数の改質剤の形態の成分(iia)、並びに所望により上記及び下記に言及される他の成分のいずれかを含む優れた接着特性は二液系でも実現可能であることを見出した。
【0150】
一実施形態では、成分(iia)は、反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含む、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドをベースとするエポキシ化油又は1若しくは複数の柔軟なオリゴマー/ポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテルからなる群から選択される1又は複数の化合物の形態の改質剤である。
【0151】
一実施形態では、成分(iia)は、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及び脂肪族アミンからなる群から選択される1又は複数の改質剤である。
【0152】
一実施形態では、成分(iia)は、脂肪族多官能性カルボジイミドなどの多官能性カルボジイミドから選択される1又は複数の修飾剤である。
【0153】
成分(iia)は、上記化合物の任意の混合物であってもよい。
【0154】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、成分(i)及び(iia)並びに所望のさらなる成分を含む前記接着剤組成物によって達成される優れた接着特性は、少なくとも部分的には、成分(iia)として使用される改質剤が少なくとも部分的に可塑剤及び架橋剤の機能を果たす効果によるものであると考える。
【0155】
一実施形態では、前記接着剤組成物が、成分(iia)の乾燥重量に基づいて、1~40重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量で成分(i)を含む。
【0156】
さらなる成分
いくつかの実施形態では、前記接着剤はさらなる成分を含む。
【0157】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、次亜リン酸、及び/又はリン酸などの無機酸、並びに/又は次亜リン酸ナトリウムなどのその任意の塩、並びに/又は硫酸のアンモニウム塩などのアンモニウム塩、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、次亜リン酸、及び/又はリン酸、並びに/又はポリリン酸ナトリウム(STTP)、並びに/又はメタリン酸ナトリウム(STMP)、並びに/又はオキシ塩化リンから選択される触媒を含む。このような触媒の存在により、前記接着剤組成物の硬化特性を改善することができる。
【0158】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、ルイス付加物を形成するドナー化合物から電子対を受け取ることができるルイス酸から選択される触媒、例えば塩化亜鉛(ZnCl2)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)、Sn[N(SO2-n-C8F17)2]4を含む。
【0159】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(
MgCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、塩化鉄(FeCl3)、及び塩化スズ(II)(SnCl2)などの金属塩化物、又は塩化アルミニウム(AlCl3)付加物などのそれらの付加物、例えば三フッ化ホウ素(BF3)エチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素(BF3)付加物から選択される触媒を含む。
【0160】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、チタン酸塩系触媒及びスズ系触媒などの有機金属化合物から選択される触媒を含む。
【0161】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、鉄イオン、クロムイオン、マンガンイオン、銅イオンなどの遷移金属などのキレート剤から、及び/又はジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物などの過酸化物から選択される触媒を含む。
【0162】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、亜リン酸アルキル、例えば亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸アリールなどの亜リン酸塩から選択される触媒を含む。
【0163】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、トリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノールなどの三級アミンの群から選択される触媒を含む。
【0164】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、1又は複数のシランの形態のさらなる成分(iv)をさらに含む。
【0165】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、有機官能性シランなどの1又は複数のカップリング剤の形態のさらなる成分(iv)を含む。
【0166】
一実施形態では、成分(iv)は、第一級又は第二級アミノ官能化シランなどの有機官能性シラン、ポリマー又はオリゴマーエポキシ官能化シランなどのエポキシ官能化シラン、メタクリレート官能化シラン、アルキル及びアリール官能化シラン、尿素官能化シラン、及びビニル官能化シランからなる群から選択される。
【0167】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、成分(v)を、アンモニアなどの塩基、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などのアルカリ土類金属水酸化物、アミン又はそれらの任意の塩の群から選択される1又は複数の成分の形態でさらに含む。
【0168】
一実施形態では、前記接着剤組成物が、成分(i)の乾燥重量に基づいて、特に5~40重量%、例えば10~30重量%、例えば15~25重量%の量で尿素の形態のさらなる成分を含む。
【0169】
一実施形態では、接着剤組成物は、スクロース、還元糖、特にデキストロース、ポリ炭水化物、及びそれらの混合物、好ましくはデキストリン及びマルトデキストリン、より好ましくはグルコースシロップ、より好ましくはDE=30以上100未満、例えばDE=60以上100未満、例えばDE=60~99、例えばDE=85~99、例えばDE=95~99のデキストロース相当値(dextrose equivalent value)を有するグルコースシロップからなる群から選択される1又は複数の炭水化物の形態のさらなる成分を含む。
【0170】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、スクロース及び還元糖からなる群から選択される1又は複数の炭水化物の形態のさらなる成分を、成分(i)の乾燥重量に基づいて、5~50重量%、例えば5重量%以上50重量%未満、例えば10~40重量%、例えば15~30重量%の量で含む。
【0171】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、1又は複数のシリコーン樹脂の形態のさらなる成分を含む。
【0172】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、1又は複数の反応性若しくは非反応性シリコーンの形態のさらなる成分(vi)を含む。
【0173】
一実施形態では、成分(vi)は、オルガノシロキサン残基、特にジフェニルシロキサン残基、アルキルシロキサン残基、好ましくはジメチルシロキサン残基からなる主鎖から構成されるシリコーンであって、接着剤組成物の成分の少なくとも1つと反応することができる少なくとも1つのヒドロキシル、カルボキシル若しくは無水物、アミン、エポキシ、又はビニル官能基を有するシリコーンからなる群から選択される、並びに接着剤固形分に基づいて、好ましくは0.025~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.3~8重量%の量で存在する。
【0174】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、1又は複数の鉱油の形態のさらなる成分を含む。
【0175】
本発明の文脈において、接着剤成分の総乾燥重量に基づいて50重量%以上の糖含有量を有する接着剤組成物は、糖系接着剤であるとみなされる。本発明の文脈において、接着剤成分の総乾燥重量に基づいて50重量%未満の糖含有量を有する接着剤組成物は、非糖系接着剤とみなされる。
【0176】
一実施形態では、前記接着剤組成物は、例えばポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、例えば大豆レシチン、例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの非イオン性及び/又はイオン性乳化剤の形態である1又は複数の界面活性剤の形態のさらなる成分を含む。
【0177】
接着剤にリグニン系スルホン化製品を使用すると、一部の接着剤及び最終製品の親水性が増加する場合があり、これは1又は複数の鉱物油、例えば1又は複数のシリコーン油、例えば1又は複数のシリコーン樹脂などの1又は複数の疎水剤が添加されることを意味する。
【0178】
一実施形態では、前記水性接着剤組成物は本質的に以下からなる:
-以下の群から選択される1又は複数のリグニンの形態である成分(i)
・リグノスルホネートリグニン(リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
及び/又は
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-1又は複数の可塑剤の形態の成分(iii);
-有機官能性シランなどの1又は複数のカップリング剤の形態の成分(iv);
-所望によりアンモニアなどの塩基、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などのアルカリ土類金属水酸化物、アミン又はそれらの任意の塩の群から選択される1又は複数の化合物の形態の成分;
-所望により尿素の形態の成分;
-所望により、より反応性の高い又は非反応性であるシリコーンの形態の成分;
-所望により炭化水素油;
-所望により1又は複数の界面活性剤;
-水。
【0179】
一実施形態では、前記水性接着剤組成物は本質的に以下からなる:
-以下の群から選択される1又は複数のリグニンの形態である成分(i)
・リグノスルホネートリグニン(リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する);
及び/又は
-1又は複数の架橋剤の形態の成分(ii);
-有機官能性シランなどの1又は複数のカップリング剤の形態の成分(iv);
-所望によりアンモニアなどの塩基、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などのアルカリ土類金属水酸化物、アミン又はそれらの任意の塩の群から選択される1又は複数の化合物の形態の成分;
-所望により尿素の形態の成分;
-所望により、より反応性の高い又は非反応性であるシリコーンの形態の成分;
-所望により炭化水素油;
-1又は複数の所望の界面活性剤;
-水。
【0180】
驚くべきことに、本発明者らは、上述されるように鉱物繊維製品中の結合剤として使用される場合の水性接着剤組成物を含む鉱物繊維製品(本発明の製品など)は、新たに製造された場合及びエージング条件後の両方で、非常に高い安定性を有することを見出した。
【0181】
さらに、本発明者らは、230℃を超える硬化温度を使用することにより、さらに高い製品安定性が得られることを見出した。
【0182】
本発明者らはさらに、以下の手段によって製品の安定性をさらに高めることができることを見出した。
- 少ないライン容量、すなわち長い硬化時間
- シリコーン樹脂の添加
- 多量の架橋剤の添加
- 2以上の異なる架橋剤の組み合わせの添加
- カルシウムなどの多価金属イオンなどの少量のカチオン種、及び/又はアミンなどの有機カチオン種、及び/又はアミン変性モンモリロナイト粘土などの有機変性無機化合物の添加
【0183】
使用される鉱物繊維は、ガラス質繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、スラグ繊維、岩石繊維、石繊維などの任意の人造ガラス質繊維(MMVF)であってもよい。これらの繊維は、例えば、ストーンウール製品のようなウール製品として存在する場合がある。
【0184】
繊維溶融組成物
人造ガラス質繊維(MMVF)は、任意の適切な酸化物組成を有することができる。前記繊維は、ガラス繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、スラグ繊維、又は石材繊維であってもよい。前記繊維は、岩石繊維、石材繊維、又はスラグ繊維として通常公知の種類のものが好ましく、石材繊維が最も好ましい。
【0185】
石材繊維は通常、重量%で以下の酸化物を含む。
二酸化ケイ素(SiO2):30~51
酸化アルミニウム(Al2O3):12~30
酸化カルシウム(CaO):8~30
酸化マグネシウム(MgO):2~25
酸化鉄(FeO)(酸化鉄(III)(Fe2O3)を含む):2~15
酸化ナトリウム(Na2O)+酸化カリウム(K2O):10以下
酸化カルシウム(CaO)+酸化マグネシウム(MgO):10~30
【0186】
好ましい実施形態では、MMVFは、酸化物として重量%で計算して、以下のレベルの元素を有する。
二酸化ケイ素(SiO2):30以上、32以上、35以上、又は37以上;51以下、48以下、45以下、又は43以下
酸化アルミニウム(Al2O3):12以上、16以上又は17以上;30以下、27以下又は25以下
酸化カルシウム(CaO):8以上又は10以上;30以下、25以下又は20以下
酸化マグネシウム(MgO):2以上又は5以上;25以下、20以下又は15以下
酸化鉄(FeO)(酸化鉄(III)(Fe2O3)を含む):4以上又は5以上;15以下、12以下又は10以下
酸化鉄(FeO)+酸化マグネシウム(MgO):10以上、12以上又は15以上;30以下、25以下又は20以下
酸化ナトリウム(Na2O)+酸化カリウム(K2O):0又は1以上;10以下
酸化カルシウム(CaO)+酸化マグネシウム(MgO):10以上又は15以上;30以下又は25以下
二酸化チタン(TiO2):0又は1以上;6以下、4以下又は2以下
二酸化チタン(TiO2)+酸化鉄(FeO):4以上又は6以上;18以下又は12以下
酸化ホウ素(B2O3):0又は1以上;5以下又は3以下
五酸化二リン(P2O5):0又は1以上;8以下又は5以下
その他:0又は1以上;8以下又は5以下
【0187】
本発明で使用されるMMVFは、重量%で以下の組成を有することが好ましい。
二酸化ケイ素(SiO2) 35~50
酸化アルミニウム(Al2O3) 12~30
二酸化チタン(TiO2) 最大2
酸化鉄(III)(Fe2O3) 3~12
酸化カルシウム(CaO) 5~30
酸化マグネシウム(MgO) 最大15
酸化ナトリウム(Na2O) 0~15
酸化カリウム(K2O) 0~15
五酸化二リン(P2O5) 最大3
酸化マンガン(MnO) 最大3
酸化ホウ素(B2O3) 最大3
【0188】
MMVFの別の好ましい組成は、重量%で以下の通りである。
二酸化ケイ素(SiO2):39~55%、好ましくは39~52%
酸化アルミニウム(Al2O3):16~27%、好ましくは16~26%
酸化カルシウム(CaO):6~20%、好ましくは8~18%
酸化マグネシウム(MgO):1~5%、好ましくは1~4.9%
酸化ナトリウム(Na2O):0~15%、好ましくは2~12%
酸化カリウム(K2O):0~15%、好ましくは2~12%
R2O(Na2O+K2O):10~14.7%、好ましくは10~13.5%
五酸化二リン(P2O5):0~3%、好ましくは0~2%
酸化鉄(III)(Fe2O3)(鉄合計):3~15%、好ましくは3.2~8%
酸化ホウ素(B2O3):0~2%、好ましくは0~1%
二酸化チタン(TiO2):0~2%、好ましくは0.4~1%
その他:0~2.0%
【0189】
ガラス繊維は通常、重量%で以下の酸化物を含む:
二酸化ケイ素(SiO2):50~70
酸化アルミニウム(Al2O3):10~30
酸化カルシウム(CaO):27以下
酸化マグネシウム(MgO):12以下
【0190】
ガラス繊維はまた重量%で以下の酸化物を含み得る:
酸化ナトリウム+酸化カリウム(Na2O+K2O):8~18、特にCaO+MgOを超えるNa2O+K2O
酸化ホウ素(B2O3):3~12
【0191】
一部のガラス繊維組成物は、酸化アルミニウム(Al2O3)を含み得る:2%未満。
【0192】
結合剤を含むマトリックス中の人造ガラス質繊維のバットは、硬化すると、本質的に平行な(XY方向に延びる)第1の主面及び第2の主面を有する。これらは副面によって接続されており、副面は通常主面に対して垂直である(したがってZ方向に延びる)。
【0193】
本発明の方法は、鉱物溶融物の提供を含む。鉱物溶融物は、鉱物材料を供給して、それらを炉内で溶融することによって従来の方法で提供される。この炉は、MMVF用の鉱物溶融物の製造で公知である任意の種類の炉、例えばキューポラ炉、タンク炉、又はサイクロン炉などのシャフト炉であり得る。
【0194】
繊維化によって鉱物溶融物からMMVFを形成するために、任意の適切な方法を使用してもよい。繊維化は、回転カップの壁のオリフィスを介して溶融物を遠心力によって押し出すスピニングカッププロセス(スピニングカップ、内部遠心分離としても公知)によって行うことができる。あるいは、繊維化は、1つの繊維化ローターの外面上に溶融物を投げ出して引き延ばすことによる遠心繊維化、又は実質的に水平な軸の周りを回転する複数の繊維化ローターのカスケード(カスケードスピナー)により引き延ばすことによって行うこともできる。
【0195】
繊維の繊維化は通常、各ローターの周囲に空気を吹き付けることによって促進され、繊維は空気に取り込まれてコレクターまで運搬される。結合剤は、好ましくは収集前に繊維にスプレーされる。この通常の種類の方法は周知であり、特に岩石繊維、石材繊維、又はスラグ繊維に適している。国際公開第96/38391号は、好ましい装置方法を詳細に記載しており、繊維の製造にも使用され得る繊維化プロセスに関する広範な文献に言及している。他の適切な装置及びプロセスは、国際公開第02/32821号及び国際公開第2015/055758号に記載されている。
【0196】
このようにして、溶融物は空気中に取り込まれた繊維の雲に形成され、繊維はコンベヤー上でウェブ(web)として集められ、繊維化装置から運び出される。次いで、繊維ウェブは圧密化され、これは、パイプ断熱用の円筒形製品を製造するためのクロスラップ及び/又は長手方向圧縮及び/又は垂直圧縮及び/又はマンドレル周囲への巻き取りを含み得る。他の圧密化プロセスも実施してもよい。
【0197】
結合剤組成物は、繊維が空気中に取り込まれた雲である場合に繊維に適用されることが好ましい。あるいは、コンベヤー上で収集した後に適用することも可能であるが、これはあまり好ましくない。
【0198】
外装材は、好ましくは、MMVF用の結合剤を硬化する工程の前に、第1主面に適用される。これは、外装材用の接着剤も結合剤と同じ硬化工程で硬化され得ることを意味する。しかしながら、MMVFのマトリックスの結合剤を硬化させた後に外装材を適用し、その後接着剤を硬化させる工程を行うことも可能である。
【0199】
一実施形態では、硬化は、100~300℃、例えば170~270℃、例えば180~250℃、例えば190~230℃の温度で行われる。
【0200】
好ましい実施形態では、硬化は、ミネラルウール製造用の従来の硬化オーブン内で行われ、好ましくは150~300℃、例えば170~270℃、例えば180~250℃、例えば190~230℃の温度で動作させる。
【0201】
一実施形態では、硬化は、30秒~20分間、例えば1~15分間、例えば2~10分間行われる。
【0202】
典型的な実施形態では、硬化は、150~250℃の温度で30秒~20分間行われる。
【0203】
こうして完成したMMVFの断熱製品は、ミネラルウール製品とも称され、建物の断熱に使用される場合は、欧州整合規格(harmonized European Standard EN 13162:2012 + A1:2015)「建物用断熱製品-工場で製造されるミネラルウール(MW)製品」(各要件を定義している)に従ってさらに規定されている。
【0204】
断熱製品の厚さは、製品の主面間の垂直距離である。これは通常20~400mmの範囲内であり、上述したように使用目的によって異なる。
【0205】
外装材は、独立して、断熱製品の外装材として使用されることが公知である材料のいずれであってもよい。
【0206】
外装材は柔軟であっても硬質であってもよい。柔軟な外装材が好ましい。外装材は、織ガラス若しくは不織ガラス繊維ベール又は織物、スクリム、ロービング、ガラス繊維シルク、ガラスフィラメント織物、スパンボンドポリエステルウェブ、ホイル、蒸気膜、防湿層、屋根下敷きホイル、アルミニウムホイル、及びハウスラップであってもよい。
【0207】
外装材は、鉱物被覆不織ガラスベールであってもよい。この種類の外装材は、ベール又は織物が断熱製品に追加の強度又は弾性を与える場合に使用してもよい。
【0208】
外装材、例えば鉱物被覆不織ガラス繊維ベールは、150~350g/m2の範囲内、好ましくは200~300g/m2の範囲内の面積重量を有し得る。
【0209】
外装材は、ガラス繊維シルク又はガラスフィラメント織物であってもよい。この種類の外装材は、空調システム及び換気システムの音響減衰器/スプリッターなど、吸音目的で断熱製品が使用される場合に使用され得る。上記の用途に使用されるガラス繊維シルク及びガラス繊維フィラメント織物は、特定の繊維浸食及び衛生基準を満たす必要があるため、不織布よりも堅牢である。
【0210】
外装材、例えばガラス繊維シルク又はガラスフィラメント織物は、90~180g/m2の範囲内、好ましくは100~160g/m2の範囲内の面積重量を有し得る。
【0211】
MMVFバットに外装材を適用する方法は公知であり、本発明において通常の方法で用いられ得る。外装材が柔軟な場合、通常はロールから供給される。その後、MMVFバットに連続的にインラインで接着される。
【0212】
この方法では、接着剤は通常、外装材が人造ガラス質繊維のバットの主面と接触する前に外装材に塗布される。しかしながら、外装材が接着される人造ガラス質繊維のバットの主面に接着剤を直接塗布することも可能である。
【0213】
液体接着剤の塗布重量は、好ましくは40~400g/m2、好ましくは50~200g/m2、より好ましくは60~150g/m2の範囲内である。
【0214】
好ましくは、前記接着剤はスプレーによって塗布される。別の塗布方法は、接着剤を含む被覆(コーティング)浴に外装材を通すことである。
【0215】
本発明の方法に従って製造された断熱製品、及び本発明の第4態様の断熱製品は、断熱製品として公知の任意の用途に使用され得る。
【0216】
例えば、それは、外部ファサード、換気ファサード、室内天井断熱製品、内壁断熱製品、屋根断熱製品、換気ダクト、又はチャンネル吸音製品であるか、その一部を形成していてもよい。
【0217】
本発明に従って使用される接着剤は、水性組成物の形態である。好ましい特徴については以下で説明する。結合剤で結合されたMMVFのバットも、以下に説明する種類のものであってもよく、同じ好ましい特徴が全て当てはまる。
【0218】
接着剤例
以下の実施例では、本発明で使用される接着剤の定義に該当するいくつかの接着剤を調製し、従来技術による接着剤と比較した。
以下の特性を、本発明で使用される接着剤及び従来技術による接着剤についてそれぞれ決定した。
【0219】
接着剤成分固形分含有量
硬化前の所定の接着剤溶液中の各成分の含有量は、成分の無水質量に基づいている。
【0220】
リグノスルホン酸塩は、ノルウェーのBorregaard社及びフロリダ州のLignoTech社から固形分含有量約50%の液体として供給された。Primid(登録商標)XL552は、EMS-CHEMIE社供給され、シラン(Momentive VS-142、40%活性)はMomentive社から供給され、簡便性のために100%として計算した。シリコーン樹脂のBS 1052は、Wacker Chemie社から供給された。水酸化アンモニウム(NH4OH、24.7%)はUnivar社から供給され、供給された形態で使用した。PEG 200、尿素、水酸化カリウム(KOH)ペレット、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパンは、Sigma-Aldrich社から供給され、簡便性のために無水であると仮定した。
【0221】
接着剤固形分
硬化後の接着剤の含有量を「接着剤固形分」と称する。
【0222】
ディスク状のストーンウール試料(直径:5cm、高さ1cm)を、ストーンウールから切り出し、580℃で少なくとも30分間熱処理して、全ての有機物を除去した。接着剤混合物の固形分は、接着剤混合物の試料(約2g)を錫箔容器内の熱処理したストーンウールディスク上に広げることによって測定した。接着剤混合物の添加前及び添加直後に、ストーンウールディスクを含む錫箔容器の重量を測定した。錫箔容器に入ったこのような接着剤混合物を充填したストーンウールディスクを2つ作製し、次にそれらを200℃で1時間加熱した。冷却して室温で10分間保管した後、前記試料の重量を測定し、接着剤固形分を2つの結果の平均として計算した。次いで、必要な量の水及び10%水性シラン(Momentive VS-142)で希釈することによって、所望の接着剤固形分を有する接着剤を製造することができた。
【0223】
機械的強度の研究
棒試験
接着剤の機械的強度(MMVFマトリックスの結合剤として試験した場合)を、棒試験で試験した。各結合剤について、結合剤及びストーンウール紡績生産からのストーンウールショット(未繊維化粒子)の混合物から16個の棒を製造した。
【0224】
15%の乾燥固形分を有するこの結合剤溶液の試料(16.0g)をショット(80.0g)とよく混合した。次いで、得られた混合物を、小型の棒を作製するための耐熱性シリコーン型の4つのスロットに充填した(型当たり4×5スロット;スロット上部寸法:長さ=5.6cm、幅=2.5cm;スロット下部寸法:長さ=5.3cm、幅=2.2cm;スロットの高さ=1.1cm)。次に、スロットに配置された混合物を適切なサイズの平らな金属棒でプレスして、均一な棒表面を生成させた。各結合剤から16個の棒をこの方法で作製した。次に、得られた棒を通常典型的には225℃で硬化させた。硬化時間は1時間であった。室温まで冷却した後、棒を容器から注意深く取り出した。前記棒のうち5個は、80℃水浴内で3時間エージングさせた。準備した棒を硬化するこの方法は、例えば表1.1、表1.2、表1.4、表1.5、及び表1.6で使用した。表1.3の結果は、90℃で2時間のプレコンディショニング工程及びその後の225℃で1時間の硬化を含むわずかに異なる方法に基づいているが、残りの手順は同じである。
【0225】
3日間乾燥させた後、エージング棒及び5個の未エージング棒を3点曲げ試験で破断させた(試験速度:10.0mm/分、破断レベル:50%、公称強度:30N/mm2、支持距離:40mm、最大たわみ:20mm、公称eモジュール:10000N/mm2)をBent Tram装置で使用して、機械的強度を調べた。前記棒を「上面」を上にして(すなわち、長さ=5.6cm、幅=2.5cmの寸法の面)、装置内に配置した。
【0226】
接着剤例:参考接着剤(尿素変性フェノールホルムアルデヒド樹脂、PUF-レゾール)
この接着剤は、PUFレゾールである尿素で変性されたフェノールホルムアルデヒド樹脂である。
【0227】
フェノールホルムアルデヒド樹脂は、37%ホルムアルデヒド水溶液(606g)及びフェノール(189g)を、46%水酸化カリウム水溶液(25.5g)の存在下で、毎分約1℃の加熱速度に続いて84℃の反応温度で反応させることによって調製する。前記樹脂の耐酸性が4になり、フェノールの大部分が変換されるまで、反応を84℃で続ける。次いで、尿素(241g)を添加し、混合物を冷却する。
【0228】
耐酸性(AT)は、混合物が濁る(接着剤が沈殿する)ことなく、所定の体積の接着剤を酸で希釈できる回数を表す。硫酸は接着剤の製造における停止基準を決定するために使
用され、耐酸性が4未満の場合は接着剤の反応が終了したことを示す。
【0229】
ATを測定するには、2.5mLの濃硫酸(99%超)を1Lのイオン交換水で希釈して滴定剤を生成させる。次に、試験対象の5mLの接着剤を、手動で振とうして接着剤を動かし続けながら、この滴定剤を用いて室温で滴定する。所望により、マグネチックスターラー及び磁気スティックを使用する。接着剤を振とうしても消失しないわずかな曇りが現れるまで滴定を続ける。
【0230】
耐酸性(AT)は、滴定に使用した酸の量(mL)を、試料の量(mL)で割ることによって計算される。
AT=(使用滴定量(mL))/(試料の量(mL))
【0231】
得られた尿素変性フェノールホルムアルデヒド樹脂を用いて、25%アンモニア水(90mL)及び硫酸アンモニウム(13.2g)、続いて水(1.30kg)を添加して接着剤を作製する。
【0232】
次いで、接着剤固形分を上記のように測定し、機械的測定用に混合物を必要な量の水及びシランで希釈した(接着剤固形分15%の溶液、接着剤固形分0.5%のシラン)。
【0233】
接着剤例:参考接着剤(アルカリ酸化リグニン系接着剤)
3267kgの水を6000Lの反応器に充填し、続いて287kgのアンモニア水(24.7%)を充填する。次に、1531kgのリグニンUPM BioPiva(登録商標)100を30分~45分かけてゆっくりと加える。混合物を40℃に加熱し、その温度で1時間保持する。1時間後、不溶化リグニンを確認する。これは、ガラス板又はヘグマンゲージ上の溶液を確認することによって行われ得る。不溶化したリグニンは、褐色の接着剤中に小さな粒子として見られる。溶解工程中に、リグニン溶液の色は褐色から光沢のある黒色に変化する。リグニンが完全に溶解した後、1Lの消泡剤(NCÅ-Verodan社のSkumdaemper 11-10)を添加する。バッチの温度を40℃に維持する。次いで、307.5kgの35%過酸化水素の添加を開始する。過酸化水素は、200~300L/hの速度で投与する。過酸化水素の最初の半分は200L/hの速度で添加し、その後、投与量を300L/hに増加する。
【0234】
過酸化水素の添加中、反応混合物の温度は、最終反応温度が65℃に達するように加熱又は冷却することによって制御する。
【0235】
最終生成物のカルボキシ(COOH)基含有量、乾燥固形分、pH、粘度、及び残留過酸化水素(H2O2)を分析した。この酸化リグニン60g(固形分18.2%)を、1.4gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び2.8gのPEG200(100%固形分)と混合した。0.6gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び17.4gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0236】
本発明で使用するための接着剤組成物
以下、接着剤例の記載番号は、表1-1~表1-6の記載番号に対応する。
【0237】
本発明に係る接着剤に使用される全てのリグノスルホン酸塩のカルボン酸基含有量は、31P NMRを使用して測定され、全てのリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.05~0.6mmoL/gの範囲内であることが判明した。
【0238】
実施例2
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて1.9gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)を加えて混合した。最後に、0.7gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び64.3gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0239】
実施例11
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて2.1gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び3.4gのPEG200(100%固形分)を加えて混合した。最後に、0.7gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び61.8gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0240】
実施例15
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて2.9gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び3.4gのPEG200(100%固形分)を加えて混合した。最後に、0.8gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び67gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0241】
実施例30
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて2.9gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び3.4gの1,1,1トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(100%固形分)を加えて混合した。最後に、0.8gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び67gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0242】
実施例33
100.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、ペレット形態の0.3gの水酸化カリウム(KOH)を加えて混合し、続いて10.8gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び11.3gのPEG200(100%固形分)を加えて混合した。最後に、2.6gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び228gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0243】
実施例41
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて1.9gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)、1.7gのPEG200(100%固形分)、及び1.7gの尿素(固形分100%)を加えて混合した。最後に、0.7gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び60.5gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0244】
機械的特性を表1.1~表1.6に示す。簡便性のために、他の全ての成分の量は、100gの乾燥リグニンに基づいて再計算されている。
【0245】
表1.1からわかるように、参考接着剤と同等の高い機械的特性(棒試験での未エージング強度及びエージング強度)を達成するには、架橋剤(Primid(登録商標)XL552)及び可塑剤(PEG200)の組み合わせが必要である(実施例11及び15対実施例2及び9対参考接着剤)。
【0246】
表1.2及び表1.3は、異なる可塑剤(実施例13及び15対実施例30)又は可塑剤の組み合わせ(実施例34対実施例41)を使用できること、並びにPEG200が好ましい可塑剤であることを示している。
【0247】
表1.4は、シランの添加により、参考接着剤と同等のエージング強度の達成を手助けできることを示している。
【0248】
表1.5は、接着剤は塩基が存在しなくても高い強度を有するが、強度に大きな変化を与えることなく製造機器を腐食から保護するために非永久塩基(NH4OH)又は永久塩基(KOH)を配合物に添加してもよいことを示している。
【0249】
表1.6は、様々なリグノスルホン酸塩を使用可能であることを示している。
【0250】
全体として、参考の系と同等の機械的特性を有し、より簡便かつ安価な方法で製造することができる、リグニンをベースとした再生可能材料を高含有したフェノールフリー及びホルムアルデヒドフリー接着剤組成物をベースにしたミネラルウール製品を製造できることを意味する。
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
実施例47~54
以下、接着剤例の記載番号は表2の記載番号に対応する。
【0258】
本発明に係る接着剤に使用される全てのリグノスルホン酸塩のカルボン酸基含有量は、31P NMRを使用して測定され、全てのリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて、0.05~0.6mmoL/gの範囲内である一方で、実施例47、実施例48、実施例49、実施例50、実施例51、実施例52、実施例53、及び実施例54で使用したこの特定のバッチでは、0.14mmol/gであることが判明した。
【0259】
実施例47
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(固形分50%)に、0.4gのNH4OH(24.7%)を加えて混合した。続いて、0.7gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び68.9gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0260】
実施例49
30.0gのリグノスルホン酸塩溶液(50%固形分)に、0.4gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて6.0gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)を加えて混合した。最後に、1.0gのシラン(
Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び102.6gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た後に、棒試験における機械的特性の試験に使用した。
【0261】
機械的特性を表2に示す。簡便性のために、他の全ての成分の量は、100gの乾燥リグニンに基づいて再計算されている。
【0262】
表2からわかるように、リグノスルホン酸塩及び架橋剤(Primid(登録商標)XL552)の組み合わせでは、架橋剤の量が多いほど機械的特性が向上する。
【0263】
【0264】
実施例51~53:ストーンウール製品の試験
低密度製品は、工場製ミネラルウール(MW)製品の製品規格DS/EN13162:2012+A1:2015に従って特性が試験されている。これは、ストーンウール製品の他の基本特性に加えて、関連する機械的特性を意味する。
【0265】
前記試験は、EN13162に記載されている様々な試験方法ごとに、寸法仕様及び1つの試験結果を得るために必要な試験片の数に従って切り出されたスラブ(厚板)上で実施されている。得られた機械的特性を示す各値は、EN13162に準拠した複数の結果の平均である。
【0266】
試験は、包装前に生産ラインから直接サンプリングされた製品又は試験片(ラインカット)及び/又は包装後24時間のパックからサンプリングされた製品又は試験片(24時間パック)に対して実施される。
【0267】
寸法
製品及び試験片の寸法は、関連する試験方法に従って実施されている。DS/EN822:2013:建築用途の断熱製品-長さ及び幅の決定、並びにDS/EN823:2013:建築用途の断熱製品-厚さの決定。
【0268】
結合剤含有量(強熱減量)
結合剤含有量の決定は、DS/EN13820:2003:建築用途の断熱材-有機含有量の測定に従って行われる。ここで、結合剤含有量は、所定の温度で燃焼して除去される有機材料の量として定義され、規格では500±20℃と規定されている。前記試験では、全ての有機材料が確実に燃焼するための温度(590±20℃、質量が一定になるまで少なくとも10分間以上)が用いられている。強熱減量の測定は、8~20個のカットアウト(切り出し)(最低8個のカットアウト)に相当する少なくとも10gのウールを使用し、コルク穴あけ器を使用して製品全体の厚さを確実にするように試験片上に均等に分散させる。結合剤含有量を、強熱減量(LOI)として見なす。結合剤には、油及び他の結合剤添加剤が含まれる。
【0269】
引張強度試験
低密度製品の引張強度は、EN1608:2013:建築用途の断熱製品-面に平行な引張強度の測定に従って決定されている。引張強度は、ラインカットからの試験片及び24時間パックからの試験片で測定される。
【0270】
自己偏向(f70)
自己偏向は、製品の正味重量によって生じる偏向を測定するための内部試験方法に従って測定される。試験片(長さ990±10mm及び幅(最小)270±5mm及び(最大)680±5mm)を、2つの可動支持装置を備えた、相互中心距離が700±2mmである2つの支持体(傾斜テーブル)上に水平に配置する。自己偏向は試験片の中央で測定し、機械的又は電気的(ディスプレイ付きトランスデューサー)で記録し、スケール又はデジタルディスプレイで読み取る。試験前の製品が990±10mmより長い場合は余長をカットする。自己偏向は試験片の両面で測定する。測定精度は、自己偏向<10mmの場合は、±0.2mm、自己偏向>10mmの場合は、±1mmである。
【0271】
自己偏向は、(f70、70cmスパン)=(f1+f2)/2 mmとして報告されている。式中f1は、面1を上に向けた場合の測定値、f2は面2を上に向けた場合の測定値である。
【0272】
試験は、ラインカットからの試験片及び24時間パックからの試験片で実施される。
【0273】
実施例51
ストーンウール製品は、実施例51の結合剤を使用し、硬化オーブンの温度を275℃に設定して製造した。
【0274】
730.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、8.5Lの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて撹拌した。その後、151kgのPrimid(登録商標)XL552溶液(予め調製した31重量%の水溶液)及び43kgのPEG200(100%固形分)を加えて混合し、続いて13kgのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び100kgのシリコーン(WACKER BS1052、水中12%)を加えた。
【0275】
本実施例の結合剤は低密度ストーンウール製品を製造するために使用される。厚さ及び密度は表3に示すように測定した。硬化オーブンの温度は275℃に設定した。
【0276】
実施例52
ストーンウール製品は、実施例52の結合剤を使用し、硬化オーブンの温度を275℃に設定して製造した。
【0277】
730.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、8.5Lの水酸化
アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて撹拌した。その後、151kgのPrimid(登録商標)XL552溶液(予め調製した31重量%の水溶液)及び43kgのPEG200(100%固形分)を加えて混合し、続いて13kgのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び100kgのシリコーン(WACKER BS1052、水中12%)を加えた。
【0278】
本実施例の結合剤は低密度ストーンウール製品を製造するために使用される。厚さ及び密度は表3に示すように測定した。硬化オーブンの温度は275℃に設定した。
【0279】
実施例53
ストーンウール製品は、実施例53の結合剤を使用し、硬化オーブンの温度を275℃に設定して製造した。
【0280】
609.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、8Lの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて撹拌した。その後、384kgのPrimid(登録商標)XL552溶液(予め調製した31重量%の水溶液)を加えて混合し、続いて14kgのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)を加えた。
【0281】
本実施例の結合剤は低密度ストーンウール製品を製造するために使用される。厚さ及び密度は表3に示すように測定した。硬化オーブンの温度は275℃に設定した。
【0282】
【0283】
実施例54
ストーンウール製品は、実施例54の結合剤を使用し、硬化オーブンの温度を275℃に設定して製造した。
【0284】
730.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、8.5Lの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて撹拌した。その後、151kgのPrimid(登録商標)XL552溶液(予め調製した31重量%の水溶液)及び43kgのPEG200(固形分100%)を加えて混合し、続いて13kgのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び40kgのシリコーン(WACKER BS1052、水中12%)を加えた。
【0285】
本実施例の結合剤は、厚さ100mm、密度145kg/m3の高密度ストーンウール製品を製造するために使用される。硬化オーブンの温度は275℃に設定した。
【図面の簡単な説明】
【0286】
【
図1】
図1は、リグノスルホン酸塩の一般的に使用されるモデル構造を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明による断熱製品の断面図を示した図である。
【
図3】
図3は、硬化オーブン段階前の本発明の方法の概略図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0287】
図2は、MMVFバット2によって形成された断熱製品1を示す。バットの下側には、第1外装材3が設けられている。第1外装材3は防湿性を有し得る。前記外装材3は、接着層4によって前記MMVFバット2に接続されている。この特定の実施形態では、本発明において必須ではないが、前記MMVFバット2の上面に接着剤層5が設けられる。この接着層5は、断熱製品を断熱対象物に固定するために使用される。保管及び輸送を容易にするために、熱安定性シリコーン材料の層を備えた取り外し可能な第2外装材6が接着層5上に設けられている。ここで、カバーシートの取り外しを容易にするために、接着剤層が断熱製品の端から短い距離だけ延伸している。
【0288】
このような断熱製品の製造は、
図3に示すように以下のように進められる。
【0289】
MMVFバット2を、MMVFウェブを結合剤とともにエアレイ(air-laying)し、固めることによって作製する(図示せず)。ローラー7によって形成されたコンベヤーベルトを介して供給されるこのMMVFバット2から出発して、ある量の接着剤を、ノズルを備えた噴霧装置11によって最初に供給し、本発明で定義される水性組成物の形態で、ローラーから供給される第1外装材3上に噴霧する。この場合、第1外装材は可撓性であり、例えば、織布又は不織ガラスベール、織物、ホイル、プラスチック、又はそれらの組み合わせの層の形態を取り得る。前記第1外装材3は、ローラー10によって前記MMVFバット2の下側に配置する。
【0290】
続いて、熱安定性シリコーンPEホイルの形態の第2外装材層6を、ローラー9によって前記MMVFバット2の上側に配置する。外装材3について説明したように、再びローラー7のコンベヤーベルトを介して供給されるMMVFバット2から出発して、断熱製品を断熱される物体上に固定するために使用される接着剤層5の接着剤4をスプレー装置8によって前記バット2の主面に塗布する。
【0291】
続いて、第1外装材3用の接着剤及びMMVFマトリックス用の結合剤を、前記MMVFバットを硬化オーブン(図示せず)に通すことによって従来の方法で硬化する。
【実施例】
【0292】
実施例1 - 剥離強度
フリース(Johns Manvilleガラス繊維不織布Evalith(登録商標)DH 50/20)を3cm幅のストランドに切断した。接着剤をローラーによってフリース上に40g/m2のローディングレベルで塗布した。接着剤を塗布したフリースを、密度145kg/m3の完成品のMMVF製品に、2500Paの圧力で押し付け、200~225℃で45分間硬化させた。MMVF製品における結合剤は以下の通り作製した。
【0293】
730.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、8.5Lの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて撹拌した。その後、151kgのPrimid(登録商標)XL552溶液(予め調製した31重量%の水溶液)及び43kgのPEG200(固形分100%)を加えて混合し、続いて13kgのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び40kgのシリコーン(WACKER BS1052、水中12%)を加えた。硬化オーブンの温度は275℃に設定した。
【0294】
接着剤硬化後、前記製品を室温で2時間放冷し、接着強度を測定した。測定は、Mecmesin社のフォースゲージを用いて、フリースの端縁をMMVF製品の表面に対して垂直な引張方向に引っ張ることによって行われ、接着強度はグラムで表される。
【0295】
この方法を、フリースをMMVF製品に結合する4つの異なる接着剤に対して実行した。
【0296】
本発明による接着剤1は以下の通り作製した。
200.0gのリグノスルホン酸塩溶液(固形分50%)に、2.5gの水酸化アンモニウム(NH4OH)(24.7%)を加えて混合し、続いて20.0gのPrimid(登録商標)XL552(100%固形分)及び23.0gのPEG200(固形分100%)を加えて混合した。最後に、120.3gの水を加えて混合し、固形分35%を得た後、接着力の試験に使用した。
【0297】
比較接着剤1は以下の通り作製する(PUF接着剤)。
フェノールホルムアルデヒド樹脂は、37%ホルムアルデヒド水溶液(606g)及びフェノール(189g)を、46%水酸化カリウム水溶液(25.5g)の存在下で、毎分約1℃の加熱速度に続いて84℃の反応温度で反応させることによって調製する。前記樹脂の耐酸性が4になり、フェノールの大部分が変換されるまで、反応を84℃で続ける。次いで、尿素(241g)を添加し、混合物を冷却する。
【0298】
耐酸性(AT)は、混合物が濁る(接着剤が沈殿する)ことなく、所定の体積の接着剤を酸で希釈できる回数を表す。硫酸は接着剤の製造における停止基準を決定するために使用され、耐酸性が4未満の場合は接着剤の反応が終了したことを示す。
【0299】
ATを測定するには、2.5mLの濃硫酸(99%超)を1Lのイオン交換水で希釈して滴定剤を生成させる。次に、測定対象の5mLの接着剤を、手動で振とうして接着剤を動かし続けながら、この滴定剤を用いて室温で滴定する。所望により、マグネチックスターラー及び磁気スティックを使用する。接着剤を振とうしても消失しないわずかな曇りが現れるまで滴定を続ける。
【0300】
耐酸性(AT)は、滴定に使用した酸の量(mL)を、試料の量(mL)で割ることによって計算される。
AT=(使用滴定量(mL))/(試料の量(mL))
【0301】
得られた尿素変性フェノールホルムアルデヒド樹脂を用いて、25%アンモニア水(90mL)及び硫酸アンモニウム(13.2g)、続いて水(1.30kg)を添加して接着剤を作製する。
【0302】
次いで、接着剤固形分を上記のように測定し、混合物を必要な量の水及びシランで希釈した(接着剤固形分15%の溶液、接着剤固形分0.5%のシラン)。
【0303】
比較接着剤2は以下の通り作製する(リグニン系接着剤)。
3267kgの水を6000Lの反応器に充填し、続いて287kgのアンモニア水(24.7%)を充填する。次に、1531kgのリグニンUPM BioPiva(登録商標)100を30分~45分かけてゆっくりと加える。混合物を40℃に加熱し、その温度で1時間保持する。1時間後、不溶化リグニンを確認する。これは、ガラス板又はヘグマンゲージ上の溶液を確認することによって行われ得る。不溶化したリグニンは、褐色の接着剤中に小さな粒子として見られる。溶解工程中に、リグニン溶液の色は褐色から光沢のある黒色に変化する。リグニンが完全に溶解した後、1Lの消泡剤(NCÅ-Ver
odan社のSkumdaemper 11-10)を添加する。バッチの温度を40℃に維持する。次いで、307.5kgの35%過酸化水素の添加を開始する。過酸化水素は、200~300L/hの速度で投与する。過酸化水素の最初の半分は200L/hの速度で添加し、その後、投与量を300L/hに増加する。
【0304】
過酸化水素の添加中、反応混合物の温度は、最終反応温度が65℃に達するように加熱又は冷却することによって制御する。
【0305】
最終生成物のカルボキシ(COOH)基含有量、乾燥固形分、pH、粘度、及び残留過酸化水素(H2O2)を分析した。この酸化リグニン60g(固形分18.2%)を、1.4gのPrimid(登録商標)XL552(固形分100%)及び2.8gのPEG200(固形分100%)と混合した。0.6gのシラン(Momentive VS-142、40%活性、水中10%)及び17.4gの水を添加し、混合して、15%の固形分を得た。
【0306】
比較接着剤3は以下の通り作製する(ホルムアルデヒドフリー、糖系接着剤)。
【0307】
75.1%グルコースシロップ水溶液(19.98g、したがって有効15.0gのグルコースシロップ)、50%次亜リン酸水溶液(0.60g、したがって有効0.30g、4.55mmolの次亜リン酸)及びスルファミン酸(0.45g、4.63mmol)の混合物を含む水(30.0g)を、透明な溶液が得られるまで室温で撹拌した。
【0308】
次いで、28%アンモニア水(0.80g、したがって有効0.22g、13.15mmolのアンモニア)をpH=7.9になるまで滴下した。次いで、接着剤固形分を測定した(21.2%)。
【0309】
結合剤混合物を水(0.403g/結合剤混合物1g)及び10%シラン水溶液(0.011g/結合剤混合物1g、Momentive VS-142)で希釈した。機械的強度研究用の最終結合剤混合物は、pH=7.9であった。
【0310】
結果を表1に示す。表1からわかるように、本発明の接着剤を使用してフリースをMMVF製品に接着すると、剥離強度はPUFより低いが許容可能であり、比較のホルムアルデヒドフリー結合剤と比較して改善されている。
【0311】
【0312】
実施例2 - 剥離強度
厚さ40μmのアルミニウムホイルを切断して幅3cmのストランドとした。結合剤を、ローラーを用いて30g/m2のローディングレベルでアルミニウムホイルストランド上に塗布した。前記結合剤を含むアルミニウムホイルを、実施例1のものと同様の完成品のミネラルウール製品上に4000Paの圧力で押し付け、200~225℃で90分間硬化させた。硬化後、前記材料を室温で2時間放冷し、接着強度を測定した。測定は、Mecmesin社のフォースゲージを用いて、アルミニウムホイルストランドの端縁をM
MVF製品の表面に対して垂直な引張方向に引っ張ることによって行われ、接着強度はグラムで表される。
【0313】
実施例1と同じ接着剤を使用した。結果を表2に示す。表2からわかるように、本発明の接着剤を使用してアルミニウムホイルをMMVF製品に接着すると、剥離強度はPUFより低いが許容可能であり、比較のホルムアルデヒドフリー結合剤と比較して改善されている。
【0314】
【国際調査報告】