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特表2024-508594直交送受信器を使用するレーダ・システムのための自動イメージ除去キャリブレーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】直交送受信器を使用するレーダ・システムのための自動イメージ除去キャリブレーション
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20240220BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01S13/34
G01S7/40 156
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541255
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2022051420
(87)【国際公開番号】W WO2022175864
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】17/180,778
(32)【優先日】2021-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ツァドク、アサフ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB18
5J070AC02
5J070AC06
5J070AH04
5J070AH31
5J070AH35
5J070AH40
5J070AK22
(57)【要約】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムの自動イメージ除去および監視方法が、二重出力FMCW信号発生器によって同相信号と直交信号とを含む直交FMCW信号を生成することを含む。同相信号と直交信号が送信される。送信された同相信号と直交信号とに応答して、応答同相信号と直交信号を含むレーダ信号が受信される。応答同相信号と直交信号はアナログ-デジタル変換器(ADC)に供給される。受信した窓信号に基づいてACDから同相ビート信号(Beat-I)と直交ビート信号(Beat-Q)が取り出される。Beat-IとBeat-Qとの相関に基づいて位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって、相対位相もしくは振幅調整値またはその両方が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムであって、
同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む、直交送受信器と、
前記送信器の前記同相入力に結合された第1の出力と、前記送信器の前記直交入力に結合された第2の出力とを含む、二重チャネルFMCW信号発生器と、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第1の出力と前記送信器の前記同相入力との間に結合された第1のスプリッタと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第2の出力と前記送信器の前記直交入力との間に結合された第2のスプリッタと、
前記第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む、第1のミキサと、
前記第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む、第2のミキサと、
前記第1のミキサの前記出力に結合された第1の入力と、前記第2のミキサの前記出力に結合された第2の入力とを含む二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)と、
前記二重チャネルFMCW信号発生器と前記二重チャネルADCとの間に結合されたコントローラと
を含む、FMCWレーダ・システム。
【請求項2】
前記二重チャネルFMCW信号発生器がプログラム可能である、請求項0に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項3】
前記二重チャネルFMCW信号発生器が、各周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を供給するように構成されている、請求項0に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信するように構成された直交キャリブレーション・ブロックを含む、請求項0に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項5】
前記二重チャネルADCの各入力チャネルにおけるローパス・フィルタをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記二重チャネルADCの前記第2の出力から同相ビート信号と直交ビート信号とを受信し、向上した信号対雑音比(SNR)を有するレーダ出力を与えるように構成された高速フーリエ変換(FFT)ブロックをさらに含む、請求項1に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項7】
前記直交キャリブレーション・ブロックが、位相キャリブレーション変数(θ)または振幅キャリブレーション変数(A)のうちの少なくとも一方を前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として供給するように構成されている、請求項4に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項8】
前記二重チャネルFMCW信号発生器がデジタル回路ブロックである、請求項0に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項9】
前記コントローラが、
初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択し、
前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として適用し、
適用された前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信し、
前記同相ビート信号と前記直交ビート信号との相関をとり、
前記相関が所定閾値未満であると判定すると、新たな直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択する
ように構成されている、請求項1に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項10】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムの自動イメージ除去方法であって、
二重出力FMCW信号発生器によって同相信号と直交信号とを含む直交FMCW信号を生成することと、
送受信器の送信器によって前記同相信号と前記直交信号とを送信することと、
前記送受信器の送信された前記同相信号と前記直交信号とに応答して、応答同相信号と応答直交信号とを含むレーダ信号を受信することと、
前記応答同相信号と前記応答直交信号とを二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に供給することと、
コントローラによって、生成された前記直交FMCW信号の周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を受信することと、
コントローラによって、受信した窓信号に基づいて、前記二重チャネルADCから同相ビート信号(Beat-I)と直交ビート信号(Beat-Q)とを取り出すことと、
前記コントローラによって、前記Beat-Iと前記Beat-Qとの相関をとることと、
前記コントローラによって、前記相関に基づいて、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を前記二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって、相対位相もしくは振幅またはその両方の調整値を生成することと
を含む、方法。
【請求項11】
閾値相関に達していないと判定すると、前記閾値相関に達するまで前記二重出力FMCW信号発生器への入力として前記位相キャリブレーション変数(θ)もしくは前記振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を反復的に調整することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のパワー・スプリッタによって、前記FMCW信号の前記同相信号を、前記送信器に供給される前記FMCW信号の第1の同相信号と、第1のミキサへの第1の同相入力としての前記FMCW信号の第2の同相信号とに分割することと、
第2のパワー・スプリッタによって、前記FMCW信号の前記直交信号を、前記送信器に供給される前記FMCW信号の第1の直交信号と、第2のミキサへの第1の直交入力としての前記FMCW信号の第2の直交信号とに分割することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のミキサによって、前記第1の同相入力を受信器によって受信された同相レーダ信号と混合し、結果を二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に第1の入力として供給することと、
前記第2のミキサによって、前記第1の直交入力を前記受信器によって受信された直交レーダ信号と混合し、結果を前記二重チャネルADCに第2の入力として供給することと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記FMCWレーダ・システムのキャリブレーション能力を強化するために、信号反射を増大させるように前記送信器の方向または前記受信器の方向の少なくとも一方を調整することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムをキャリブレーションする方法であって、
同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む直交送受信器を設けることと、
前記送信器の前記同相入力に結合された第1の出力と前記送信器の前記直交入力に結合された第2の出力とを含む二重チャネルFMCW信号発生器を設けることと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第1の出力と前記送信器の前記同相入力との間に第1のスプリッタを結合することと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第2の出力と前記送信器の前記直交入力との間に第2のスプリッタを結合することと、
前記第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第1のミキサを設けることと、
前記第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第2のミキサを設けることと、
前記第1のミキサの前記出力に結合された第1の入力と、前記第2のミキサの前記出力に結合された第2の入力とを含む二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)を設けることと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器と前記二重チャネルADCとの間にコントローラを結合することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記二重チャネルFMCW信号発生器によって、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を受信することと、
受信した前記位相キャリブレーション変数(θ)もしくは前記振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方に基づいて、前記二重チャネルFMCW信号発生器をプログラムすることと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記二重チャネルFMCW信号発生器によって、前記二重チャネルFMCW信号発生器の各周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を供給することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラの直交キャリブレーション・ブロックによって、前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラの前記直交キャリブレーション・ブロックによって、位相キャリブレーション変数(θ)または振幅キャリブレーション変数(A)のうちの少なくとも一方を、前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として供給することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラによって、初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択することと、
前記コントローラによって、前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として適用することと、
前記コントローラによって、適用された前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて、前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信することと、
前記コントローラによって、前記同相ビート信号と前記直交ビート信号との相関をとることと、
前記相関が所定閾値未満であると判定すると、前記コントローラによって、前記二重チャネルFMCW信号発生器に適用される新たな直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にはレーダ・システムに関し、より具体的には、周波数変調連続波レーダ・システムにおける直交不均衡をキャリブレーションするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周波数変調連続波(Frequency-Modulated Continuous Wave(FMCW))レーダとは、連続送信パワーを放射し、送信信号の周波数もしくは位相またはその両方を変調することによって測定時に動作周波数を変更することができるレーダ・システムに関するものである。典型的なFMCWレーダ・システムは無線通信には使用されない。それに対して、直交送信器TXもしくは送受信器TRXまたはその両方を使用するFMCWレーダ・システムは、無線通信に使用されるように構成することができる。そのようなシステムは、多くの場合、同相(I)と直交(Q)との2つのポートを備えたベースバンド・インターフェースを使用してデータを送信し、したがって、ベース周波数信号をはるかにより高い周波数に変換するために、この2つの信号が高周波信号とその直交信号とを用いてアップコンバージョン・ミキサを使用して混合される。次に、この合成出力がアンテナによって送信される。受信側では逆のプロセスが行われ、ダウンコンバージョン・ミキサがI出力とQ出力とを生成し提供する。IQ直交送受信器は、送信器(TX)と受信器(RX)とのそれぞれについてIチャネルとQチャネルのための別々の経路を含む。
【0003】
FMCWレーダにIQ送受信器を使用するために、ベースバンドIQ信号が互いに対して90度位相シフトされ、これは直交関係と呼ばれる場合がある。これには2つの主要な利点がある。すなわち、(i)必要帯域幅を半分に削減することと、(ii)受信側でのIQの回転に起因する信号変調を回避することである。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態によると、周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムが、同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む、直交送受信器を含む。二重チャネルFMCW信号発生器が、送信器の同相入力に結合された第1の出力と、送信器の直交入力に結合された第2の出力とを含む。二重チャネルFMCW信号発生器の第1の出力と送信器の同相入力との間に第1のスプリッタが結合されている。二重チャネルFMCW信号発生器の第2の出力と送信器の直交入力との間に第2のスプリッタが結合されている。第1のミキサが、第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、受信器の同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む。第2のミキサが、第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、受信器の直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む。二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)が、第1のミキサの出力に結合された第1の入力と、第2のミキサの出力に結合された第2の入力とを含む。プログラム可能な二重チャネルFMCW信号発生器と二重チャネルADCとの間にコントローラが結合されている。
【0005】
一実施形態では、二重チャネルFMCW信号発生器はプログラム可能である。
【0006】
一実施形態では、二重チャネルFMCW信号発生器は、各周波数ランプ・サイクルの開始と終了を示す窓信号を供給するように構成される。
【0007】
一実施形態では、第1のパワー・スプリッタと第2のパワー・スプリッタは2方向パワー・スプリッタである。
【0008】
一実施形態では、コントローラは、二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と、二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信するように構成された直交キャリブレーション・ブロックを含む。
【0009】
一実施形態では、二重チャネルADCの各入力チャネルにローパス・フィルタがある。
【0010】
一実施形態では、コントローラは、二重チャネルADCの第2の出力から同相ビート信号と直交ビート信号とを受信し、レーダ出力を与えるように構成された、高速フーリエ変換(FFT)ブロックをさらに含む。一実施形態では、信号対雑音比(SNR)を向上させるためにBeat-I信号およびBeat-Q信号のFFT前またはFFT後平均化を使用することができる。このようにして、レーダ出力の信号対雑音比を向上させる。
【0011】
一実施形態では、直交キャリブレーション・ブロックが、位相キャリブレーション変数(θ)または振幅キャリブレーション変数(A)の少なくとも一方を、二重出力FMCW信号発生器に入力として供給するように構成される。
【0012】
一実施形態では、二重チャネルFMCW信号発生器はデジタル回路ブロックである。
【0013】
一実施形態では、コントローラは、初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択するように構成される。初期直交キャリブレーション変数(θ,A)は、二重出力FMCW信号発生器に入力として適用される。適用された初期直交キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて、二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と、二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号が受信される。同相ビート信号は直交ビート信号と相関がとられる。相関が所定の閾値未満であると判定すると、新たな直交キャリブレーション変数(θ,A)が選択される。
【0014】
一実施形態によると、周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムの自動イメージ除去方法が、二重出力FMCW信号発生器によって同相信号と直交信号とを含む直交FMCW信号を生成することを含む。同相信号と直交信号は、送受信器の送信器を介して送信される。送受信器の送信同相信号と直交信号とに応答して、応答同相信号と応答直交信号とを含むレーダ信号が受信される。応答同相信号と応答直交信号は、二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に供給される。コントローラが、生成された直交FMCW信号の周波数ランプ・サイクルの開始と終了を示す窓信号を受信する。コントローラは、受信した窓信号に基づいて二重チャネルADCから同相ビート信号(Beat-I)と直交ビート信号(Beat-Q)とを取り出す。コントローラは、Beat-IとBeat-Qとの相関をとる。コントローラは、相関に基づいて、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって、相対位相もしくは振幅またはその両方の調整値を生成する。
【0015】
一実施形態では、閾値相関に達していないと判定すると、閾値相関に達するまで、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション値(A)またはその両方が反復して調整され、二重出力FMCW信号発生器に入力として供給される。
【0016】
一実施形態では、二重チャネルADCの各入力チャネルにおいてローパス・フィルタリングが行われる。
【0017】
一実施形態では、第1のパワー・スプリッタによって、FMCW信号の同相信号が、送信器に供給されるFMCW信号の第1の同相信号と、第1のミキサへの第1の同相入力としてのFMCW信号の第2の同相信号とに分割される。FMCW信号の直交信号は、第2のパワー・スプリッタによって、送信器に供給されるFMCW信号の第1の直交信号と、第2のミキサへの第1の直交入力としてのFMCW信号の第2の直交信号とに分割される。
【0018】
一実施形態では、第1のミキサは、第1の同相入力を受信器によって受信された同相レーダ信号と混合し、結果を二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に第1の入力として供給する。第2のミキサは、第1の直交入力を受信器によって受信された直交レーダ信号と混合し、結果を二重チャネルADCに第2の入力として供給する。
【0019】
一実施形態では、FMCWレーダ・システムのキャリブレーション能力を強化するために、漏れ電流または信号反射量を増大させるように送信器の方向または受信器の方向の少なくとも一方が調整される。
【0020】
一実施形態によると、周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムのキャリブレーション方法が、同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む直交送受信器を設けることを含む。送信器の同相入力に結合された第1の出力と、送信器の直交入力に結合された第2の出力とを含む二重チャネルFMCW信号発生器が設けられる。二重チャネルFMCW信号発生器の第1の出力と送信器の同相入力との間に第1のスプリッタが結合される。二重チャネルFMCW信号発生器の第2の出力と送信器の直交入力との間に第2のスプリッタが結合される。第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、受信器の同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第1のミキサが設けられる。第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、受信器の直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第2のミキサが設けられる。第1のミキサの出力に結合された第1の入力と、第2のミキサの出力に結合された第2の入力とを含む二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)が設けられる。二重チャネルFMCW信号発生器と二重チャネルADCとの間にコントローラが結合されている。
【0021】
一実施形態では、二重チャネルFMCW信号発生器が、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を受信する。二重チャネルFMCW信号発生器は、受信した位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方に基づいてプログラムされる。
【0022】
一実施形態では、二重チャネルFMCW信号発生器によって、二重チャネルFMCW信号発生器の各周波数ランプ・サイクルの開始と終了を示す窓信号が供給される。
【0023】
一実施形態では、コントローラの直交キャリブレーション・ブロックが、二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と、二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信する。
【0024】
一実施形態では、二重チャネルADCの各入力チャネルがローパス・フィルタリングされる。
【0025】
一実施形態では、コントローラの高速フーリエ変換(FFT)ブロックが、二重チャネルADCの第2の出力から直交ビート信号を受信し、その直交ビート信号に基づいてレーダ出力を与える。
【0026】
一実施形態では、位相キャリブレーション変数(θ)または振幅キャリブレーション変数(A)のうちの少なくとも一方が、コントローラの直交キャリブレーション・ブロックによって二重出力FMCW信号発生器に入力として供給される。
【0027】
一実施形態では、FMCW信号発生器はデジタル領域で動作させられる。
【0028】
一実施形態では、コントローラは初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択する。コントローラは、初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を二重出力FMCW信号発生器に入力として適用する。コントローラは、適用された初期直交キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と、二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信する。コントローラは、同相ビート信号と直交ビート信号との相関をとる。相関が所定の閾値未満であると判定すると、コントローラは、二重出力FMCW信号発生器に適用する新たな直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択する。
【0029】
本明細書に記載の技術は、いくつかの方法で実装可能である。以下に、例示の実装形態を以下の図面を参照しながら示す。
【0030】
図面は例示の実施形態のものである。図面はすべての実施形態を示してはいない。これらに加えてまたはこれらに代えて他の実施形態も使用可能である。スペースの節約のため、またはより効果的な例示のために、明白または不要と考えられる詳細は省かれている場合がある。実施形態によっては、追加のコンポーネントもしくはステップを使用するか、または示されているコンポーネントもしくはステップの全部がなくても、またはその両方であっても実施可能な場合がある。異なる図面に同じ番号が記載されている場合、同一または同様のコンポーネントまたはステップを指している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】例示の実施形態による、直交送受信器を使用する周波数変調連続波レーダ・システムの同相経路と直交経路の不均衡のキャリブレーションのアーキテクチャを示すブロック図である。
図2】例示の実施形態による、FMCWレーダ・システムの同相と直交の不均衡のキャリブレーションを示す概念ブロック図である。
図3】例示の実施形態による、位相および振幅キャリブレーション変数θおよびAパターンのために使用される経路の例示の表を示す図である。
図4】例示の実施形態による、直交送受信器を使用する周波数変調連続波レーダ・システムの同相経路と直交経路の不均衡のキャリブレーションのアーキテクチャを示すより詳細なブロック図である。
図5A】キャリブレーション前の直交送信器TXの出力のスペクトル応答の例を示す図である。
図5B】キャリブレーション後の直交送信器TXの出力のスペクトル応答の例を示す図である。
図6】例示の実施形態による例示のプロセスを示す図である。
図7】特別に構成されたコンピューティング・デバイスを実装するために使用可能なコンピュータ・ハードウェア・プラットフォームの機能ブロック図例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の詳細な説明では、関連する教示を十分に理解することができるように、例として多くの特定の詳細が記載されている。しかし、本教示はそのような詳細がなくても実施可能であることはわかるであろう。また、よく知られている方法、手順、コンポーネントもしくは回路またはこれらの組合せについては、本教示の態様が無用に不明瞭になるのを避けるために、詳細を省いて比較的概略的に説明している。
【0033】
本開示は、一般にはレーダ・システムに関し、より具体的には、周波数変調連続波レーダ・システムにおける直交不均衡をキャリブレーションするシステムおよび方法に関する。
【0034】
送信器または受信器における直交不均衡は、無線信号によって搬送される高速データを正常に送信もしくは受信またはその両方を行う能力を弱める可能性がある。たとえば、直交不均衡は、IチャネルとQチャネルとの位相関係が厳密に90度ではない場合、もしくはIチャネルの振幅がQチャネルの振幅と異なる場合、またはその両方である場合に発生し得る。したがって、直交不均衡は、FMCWレーダ・システムのIチャネルとQチャネルにおける高周波成分の利得もしくは位相不整合またはその両方によって生じ得る。たとえば、Iチャネルにおける受信器成分が、Qチャネルにおける受信器成分とはわずかに異なる位相もしくは振幅またはその両方を有することがあり、それによってIベースバンド信号とQベースバンド信号に不均衡または不整合誤差を生じさせることがある。これらの相違は通常はわずかであるが、このような利得および位相不均衡は、FMCWレーダ・システムの品質を低下させ、帯域幅を2倍にし、所与のデータ・レートのビット誤り数を増加させる可能性がある。
【0035】
直交アーキテクチャを使用する既知のFMCWレーダ・システムは、典型的には、毎秒最大500Mサンプルでより狭い200MHzの帯域幅を可能にする、二重チャネル直接デジタル合成器(DDS)を使用する直交における周波数ランプの生成を伴う。また、知られているアーキテクチャは、典型的には大きい帯域幅を要し、実装コストが高く、多くの場合、二重チャネルデジタル-アナログ変換器(ADC)に供給するフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または2ストリームのデータに供給する特定用途向け集積回路(ASIC)を必要とし、その結果、電力消費が大きくなる。しかし、このようなシステムは典型的には、直交における良好な二重チャネルFMCWを提供することにのみ焦点を合わせており、自動イメージ除去キャリブレーションおよび監視を提供しない。イメージ除去不良の結果、イメージ周波数における信号が送信され、それによって最終的にはレーダ応答変調が生じる。
【0036】
本明細書における教示は、受信器もしくは送信器またはその両方における直交不均衡に対応することができ、これは無線レーダ信号によって搬送される高速データの送信と受信を容易にすることができる。同相経路と直交経路との利得もしくは望ましくない位相不整合またはその両方が、イメージ除去キャリブレーションによって系統的に除去される。直交FMCW信号が生成される。二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)から2つのレーダ測定値が受信される。本明細書でBeat-IおよびBeat-Qと呼ぶ場合がある同相ビート信号と直交ビート信号を取り出すために、窓信号が使用される。2つのチャネルの相関がとられ、Beat-I信号とBeat-Q信号との相関が所定の閾値内になるかまたは最大相関に達するまで、反復的に繰り返される。本明細書で説明する概念により、イメージ除去パフォーマンスの連続的検証および追跡が行われる。送信器と受信器との間の有線ループ、または外部測定装置は不要である。本出願の特徴は、以下で詳述する図1から図4を参照すればよりよく理解できるであろう。
【0037】
図1は、例示の実施形態による、直交送受信器を使用する周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムの同相経路と直交経路の不均衡のキャリブレーションのアーキテクチャ100を示すブロック図である。アーキテクチャ100は、直交送受信器108の送信器(TX)110に供給される同相入力「I」と直交入力「Q」とを有する送受信器108を含む。直交送受信器108は、同相出力「I」と直交出力「Q」とを有する受信器(RX)112を有する。様々な実施形態において、送受信器は、802.11a/g/n(WiFi)、802.16d/e/m(WiMAX)、および3GPP(登録商標)リリース8/9(LTE)を含むがこれらには限定されない、OFDM信号を使用する様々な通信プロトコルに対応することができる。
【0038】
送信器110の同相入力Iに結合された第1の出力と、送信器110の直交入力Qに結合された第2の出力とを有する二重チャネルFMCW信号発生器102がある。二重チャネルFMCW信号発生器102は、以下で詳述するコントローラ140から受信された位相および振幅の入力キャリブレーション信号(θ,A)に基づいて、位相と振幅がプログラム可能である。二重チャネルFMCW信号発生器102は、コントローラ140に各周波数ランプ・サイクル138の開始と終了を示す窓信号を供給するように構成される。話を簡単にするためおよび乱雑を避けるために、マルチプレクサ、電源、ローカル発振器、デジタル・シグナル処理(DSP)要素など、送信器の様々な要素が省略されている。
【0039】
デジタル領域で生成されるため、二重出力FMCW信号発生器102によって生成される周波数ランプ138は、3.5GHzで動作する共通クロックを使用してデジタルで時間調節され、同期され、回線遅延と内部バッファによる両者の間のあらゆる相対的シフトが固定され、したがって一定しており、正確である。このようなランプ生成は、アナログ回路ブロックが典型的に受けるプロセス変動、動作温度などに影響されない。
【0040】
二重出力FMCW信号発生器の出力は、以下の式1および式2によって表される同相信号および直交信号(TX IQ FMCW)である。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
ここで
は開始周波数であり、
Tは周期であり、
bwは帯域幅であり、
tは、ランプ開始時からの時間であり、0からTの間の値である。
【0044】
前述のように、二重出力FMCW信号発生器102はプログラム可能であり、それによって同相経路もしくは直交経路またはその両方を調整することができる。たとえば、以下の式3は、キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて調整可能な直交経路を示す。
【0045】
【数3】
【0046】
上記の式3に示すように、直交経路は、送受信器108の送信器110に供給される直交(もしくは同相またはその両方)信号の調整を可能にする位相キャリブレーション変数θと振幅キャリブレーション変数Aとを有する。話を簡単にするために、本明細書で使用されるパラメータAは直交経路および同相経路に対して相対的な振幅を表す。これらのキャリブレーション変数は、以下で詳述するように、コントローラ140によってキャリブレーション変数信号として供給される。
【0047】
二重チャネルFMCW信号発生器102の第1の出力と送信器110の同相入力Iとの間に結合された第1のパワー・スプリッタ104がある。二重チャネルFMCW信号発生器102の第2の出力と送信器110の直交Q入力との間に結合された第2のパワー・スプリッタ106がある。第1および第2のパワー・スプリッタ104および106は、以下で詳述するように、それぞれが二重チャネルFMCW信号発生器102の出力から受信した信号を分割し、それを送信器と受信器RX112フィードバック経路におけるそれぞれ対応するミキサ120または122とに分配するという点で2方向パワー・スプリッタである。
【0048】
たとえば、第1のスプリッタ104は、二重出力FMCW信号発生器102から同相信号を受信し、それを、直交送受信器108の送信器110の同相入力に通じる1つの経路と、第1のミキサ120に通じる第2の経路との、2つの別々の経路に分割するように構成される。受信器112の同相出力および直交出力のイメージ除去が完全に近い場合の受信器112の出力(すなわちRX IQ FMCW)は、それぞれ式4および式5によって与えられる。
【0049】
【数4】
【0050】
【数5】
【0051】
上記の式4および式5は、イメージ除去が完全に近い場合のRX IQ FMCWを表す。例示のみを目的とし、限定を目的とせずに、3.5GSPS直接デジタル合成器(DDS)を使用する1.4GHz帯域幅を二重出力FMCW信号発生器102の一部として使用することができる。一実施形態では、二重出力FMCW信号発生器102に2つのDDSが使用される。
【0052】
第1のミキサ120は、第1の2方向スプリッタ104の第2の出力に結合された第1の入力を有する。受信器112の同相出力に結合された第2の入力がある。同様に、第2のミキサ122は、第2の2方向スプリッタ106の第2の出力に結合された第1の入力と、受信器112の直交出力Qに結合された第2の入力を有する。第1および第2のミキサ120および122のそれぞれが、二重チャネル・アナログ-デジタル変換器130に供給される出力を与える。
【0053】
第1のミキサ120は、第1のスプリッタ104から受信した分割同相信号を受信器112の同相出力Iと混合する。同様に、第2のミキサ122は、第2のスプリッタ106からの分割直交信号を受信器112の直交出力Qと混合する。両方のミキサ120および122の出力は、同相ビート信号(本明細書ではBeat-Iと呼ぶ場合がある)と直交信号(本明細書ではBeat-Qと呼ぶ場合がある)とを出力するように構成された二重チャネル・アナログ-デジタル変換器130に供給される。二重チャネル・アナログ-デジタル変換器130は、第1のミキサ120の出力に結合された第1の入力と、第2のミキサ122の出力に結合された第2の入力とを含む。二重チャネルADCは、ミキサ120および122から信号を受信し、本明細書でBeat-IおよびBeat-Qと呼ぶ場合がある、対応する同相出力信号と直交出力信号を出力する。一実施形態では、本明細書における教示は、典型的なレーダ・パイプラインに使用される同じ比較的低速のADC(たとえば100KPSないし10MSPS)に対応し、それによって設計の複雑さとコストを低減する。実施形態によっては、二重チャネルADC130の各入力にローパス・フィルタ(図示せず)がある。式6および式7は、フィルタリングされていないBeat-IQ FMCW信号をそれぞれ示す。
【0054】
【数6】
【0055】
【数7】
【0056】
二重チャネルADC130の出力でローパス・フィルタリング(LPF)を適用すると、以下の式が得られる。
【0057】
【数8】
【0058】
【数9】
【0059】
一実施例では、二重チャネルADC130の出力において供給される帯域幅は100KHzないし2MHzである。このような比較的低い周波数により、より複雑さの少ないより低コストのADC130を使用することができる。このアーキテクチャは、二重チャネルFMCW信号発生器102と二重チャネルADC130との間に結合されたコントローラ140を含む。一実施形態では、コントローラ140は、二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号(Beat-I)と二重チャネルADC130の第2の出力からの直交ビート信号(Beat-Q)とを受信するように構成された直交キャリブレーション・ブロック142を含む。コントローラ140は、二重チャネルADCの第2の出力から直交ビート信号を受信し、レーダ出力を与えるように構成された高速フーリエ変換(FFT)ブロック144をさらに含む。FFTブロック144は、FMCW処理パイプラインの実用形態であり、システムが様々な距離からの反射を検出することができるようにする。各単一のトーンが、対応する距離からの応答を表す。各ビン・ステップが、帯域幅によって決まるレンジ分解能に相当する。直交キャリブレーション・ブロック142は、位相と振幅のキャリブレーション信号(θ,A)を二重FMCW信号発生器102に入力として供給する。
【0060】
次に、例示の一実施形態によるFMCWレーダ・システムの同相と直交の不均衡のキャリブレーションの概念ブロック図200を示す、図2を参照する。なお、この図のブロックの多くは図1のものと同じであり、したがって簡潔にするためにここでは説明を繰り返さない。図1の説明の文脈で前述したコントローラ140の直交キャリブレーション・ブロック142に関連して、追加の詳細を示す。
【0061】
直交キャリブレーション・ブロック142のブロック240において、位相のキャリブレーションのための所定経路とキャリブレーション変数θおよびAとを有する表が提供される。様々な実施形態において、θおよびAのキャリブレーション値を与えるために異なる技術を使用することができる。非限定的な例として、表に記入し、最高相関値を有する選択肢を選択することによる総当たり手法が使用されてもよく、粗い推定(たとえば大きめのステップ)から開始し、より可能性の高い領域にズームインすることによる、粗から細式の手法が使用されてもよく、PVT変動に対応するために、メモリを使用して前の値を記憶し、それらの値を精緻化するなどしてもよい。
【0062】
例示の一実施形態による、本明細書で仮想ループまたはスネーク・パターンと呼ぶ場合がある、キャリブレーション値θおよびAのために使用される経路の表の例300を示す図3を参照する。本明細書における教示はキャリブレーション変数θおよびAを生成する他の方法にも対応しているため、表300は本明細書で例示のみを目的として示し、限定を目的としていないことを理解されたい。
【0063】
閾値キャリブレーションが得られるまで、表300からθおよびAの異なる値を反復的に適用することができる。横軸302は位相値θのインクリメント/デクリメントを表し、縦軸304は振幅値Aのインクリメント/デクリメントを表す。たとえば、初期キャリブレーション変数は、Corr1で表される(θおよびA)=(0,1)に基づいてもよい。次の反復回で、Corr2で表される変数(∂θ,1)が適用され、以下でさらに詳述するようにBeat-IおよびBeat-Qで示される同相経路と直交経路との所望の閾値相関または最大相関が得られるまで、以下同様に適用される。スネーク法を示しているが、本教示はこれには限定されないことを理解されたい。他の技術も使用可能である(インクリメント/デクリメントの選択を実施する異なる種類の方法については発明人に問い合わせられたい)。
【0064】
図2に戻って参照すると、ブロック242で、キャリブレーションを開始するために表300の初期直交キャリブレーション変数(θ,A)が使用される。上述のように、初期相関変数はたとえば(0,1)に設定されてもよい。これらの変数252は、図2のシステムのフィードバック・ループからのフィードバックを受け取るために二重出力FMCW信号発生器102に適用される。
【0065】
ブロック244で、二重チャネルADC130から受信されたBeat-IおよびBeat-Q出力が、これら2つの出力の相関(すなわち、2つのビート信号Beat-IとBeat-Qの相関)をとるために使用される。以下の式10に、この相関の一例を示す。
M(θ,A)=MAC(Beat-I,Beat-Q)/L (式10)
上式で、LはBeat-IとBeat-Qの共通相関ベクトルの長さである。
【0066】
FMCWレーダ・システムを周波数変調(FM)するために使用される周波数ランプごとに1つの相関がとられる。一実施例では、デジタル・ランプ発生器(DRG)のDDS機能が使用される。ランプ生成パラメータは、ユーザがランプの立ち上がり勾配と立ち下がり勾配との両方を制御することができるようにする。ランプの上方境界および下方境界と、ランプの立ち上がり部のステップ・サイズおよびステップ・レートと、ランプの立ち下がり部のステップ・サイズおよびステップ・レートとをすべてプログラム可能とすることができる。キャリブレーションは、直交キャリブレーション・モジュール142によって行われる「ビート信号」Beat-IとBeat-Qとの乗累算(multiply and accumulate operation(MAC))によって特定される、二重チャネルDAC130からのBeat-I信号とBeat-Q信号との類似度に基づく。
【0067】
ブロック246で、比較が行われ、相関が所定閾値内であるか否かが判定される。以下の式11および式12に、式の例を示す。
M(θmax,Amax)<M(θ,A)である場合 (式11)
θmax,Amax=θ,A (式12)
【0068】
たとえば、上記の演算は、イメージ除去が最適または所定閾値以内であることを調整および検証するために使用される。この目的のために、二重チャネルADC130によって供給されたBeat-I信号とBeat-Q信号によって表されるI経路とQ経路における受信レーダ応答が比較される。たとえば、目標が信号をビートさせるようにこれらの信号の類似度を最大限にすることである場合、Beat-I信号とBeat-Q信号との相関が測定される。従来の90度から開始する、送信信号間の相対位相の線形シフトが与えられてもよい。
【0069】
閾値相関が得られない場合(すなわち決定ブロック248で「No」)、プロセスはブロック242に戻り、(たとえば、図3の参照表300から)次の位相と振幅のキャリブレーション変数の対が使用され、反復プロセスが継続する。たとえば、信号間の振幅変化もしくは位相変化またはその両方を取り入れてさらなる反復が行われる。
【0070】
しかし、相関が所定閾値(最大閾値であってもよい)内である場合、その適切な直交キャリブレーション変数(θ,A)の対が、選択された変数252として適用される適切な(たとえば最大)変数250として採用される。この直交キャリブレーションは、様々な実施形態において同相経路または直交経路に適用することができる。したがって、一方の経路が他方に対して調整される、直交における2つの信号を生成するために二重チャネルプログラマブル信号発生器102が使用される。キャリブレーションは、Beat-IとBeat-Qとの類似度に基づく。このようにして、これら2つの経路間のより正確な相関が得られる。
【0071】
反射を測定するように環境が伝導性ではない状況では、キャリブレーションのためにビーム・ステアリングによってTX110とRX112との間に自然に発生する漏洩210を強化することができることに留意されたい。レーダ応答が弱い場合(たとえば、レーダが空に向いている場合)、強力なレーダ応答を生じさせるアンテナ・ベースのループを形成することによって、RX112およびTX110における位相を、クロストークを増大させるように設定することができる。たとえば、一実施形態では、システム200のキャリブレーション性能を評価できるようにするために、漏れ電流を明らかにするように、TX110もしくはRX112またはその両方のビーム方向を調整することができる(たとえば、TXを下方(すなわちRXの方向に向かって)に送信するか、または受信器RXをセンスアップするように(たとえばTXの方向で)調整するか、またはその両方を行う)。
【0072】
次に、例示の一実施形態による、直交送受信器を使用する周波数変調連続波レーダ・システムの同相経路と直交経路の不均衡のキャリブレーションのアーキテクチャのより詳細なブロック図400を示す、図4を参照する。図4のコンポーネントの多くは図1のものと類似しており、したがって簡潔にするために説明を繰り返さない。図4の実施形態では、アーキテクチャは、2つの単一出力DDSの使用にどのように対応することができるかを示している。
【0073】
初期設定において、両方の直接デジタル合成器(DDS)が、ランプ・レート、ステップ・サイズ、および帯域幅などの同一のランプ・パラメータでプログラムされる。図1の実施形態とは異なる顕著なパラメータは、同相に接続されている方が余弦波を生成し、直交に接続されている方が正弦波を生成することである。
【0074】
図4に示すように、クロック分配集積回路(IC)402が両方のDDS404および406に基準クロックを供給し、それによって内部位相ロック・ループ(PLL)の使用を回避する。図4のアーキテクチャでは、2つの別々のDDS(すなわち404および406)が使用されている。図4の実施形態では、DDSシステム・クロックの分割クロックが、両方のDDS404および406のデジタル・ランプの同期制御を生じさせる。
【0075】
DDSは、それぞれ410および412におけるランプが開始および終了する時点(DROVR)の出力信号を出力する。受信信号が十分に強くない場合、コントローラはTX110とRX112を互いの方を向くようにステアリングする。
【0076】
ADC130は、ミキサ120、122の出力を受信し、2つのアナログ入力と同期されるランプ標識信号のためのデジタル入力を有する。コントローラ140は、このランプ標識信号を使用して両方のアナログ入力を相関値のさらなる計算のために切り取る。
【0077】
本明細書における教示により、TX110とRX112との間のより良好なイメージ除去が実現される。一態様では、低周波信号における実際のイメージ除去の検証が、ビート信号Beat-IおよびBeat-Qにおいてすでに利用可能であり、高周波での手動スペクトラム・アナライザまたは専用回路の使用の必要がない。一実施形態では、図2のシステムは、直交キャリブレーション・ブロック142によって評価されるBeat-I信号とBeat-Q信号によって提供されるフィードバックを介して、受信信号の品質の連続追跡を提供する。
【0078】
次に、それぞれキャリブレーション前と後の直交受信器RXの出力のスペクトル応答を示す、図5Aおよび図5Bを参照する。図5Aに示すように、システム・キャリブレーションの前に初期IおよびQがしかるべく余弦波と正弦波に設定され、したがってTXイメージが抑制されない。これに対して、図5Bに、本明細書における教示に基づいてI出力とQ出力が同じであるように適正な振幅および位相補償によりキャリブレーションされ、それによって適切な25dB TXイメージ抑制が行われたシステム・レベルを示す。
【0079】
上記の例示のアーキテクチャ100、200および400の概要とともに、ここで例示のプロセスの概要について検討すれば有用であろう。そのために、図6に例示の一実施形態による、周波数変調連続波レーダ・システムの自動イメージ除去方法のプロセス600を示す。プロセス600は、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組合せで実装可能な動作のシーケンスを表す論理フローチャートのブロックの集合として示されている。ソフトウェアの文脈では、ブロックは、コントローラの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、記載されている動作を行う、コンピュータ実行可能命令を表す。一般に、コンピュータ実行可能命令は、機能を実行するかまたは抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。各プロセスにおいて、動作が記載されている順序は限定とみなされることは意図しておらず、プロセスを実施するために、任意の数の記載されているブロックを任意の順序で組み合わせることができるか、もしくは並行して実行することができるか、またはその両方が可能である。説明のために、プロセス600について図1のアーキテクチャ100を参照しながら説明する。
【0080】
ブロック602で、二重出力FMCW信号発生器102によって同相信号と直交信号とを含む直交FMCW信号が生成される。
【0081】
ブロック604で、送受信器108の送信器TX110によって、同相信号と直交信号が送信される。
【0082】
ブロック606で、送受信器108の送信同相信号と直交信号とに応答して、応答同相信号と応答直交信号とを含むレーダ測定値が受信される。
【0083】
ブロック608で、応答同相信号と応答直交信号とが、二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)130に供給される。
【0084】
ブロック610で、コントローラ140が、生成された直交FMCW信号の周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を受信する。
【0085】
ブロック612で、コントローラ140が、受信窓信号に基づいて、二重チャネルADC130から同相ビート信号(Beat-I)と直交ビート信号(Beat-Q)とを取り出す。
【0086】
ブロック614で、コントローラ140がBeat-IとBeat-Qとの相関をとる。
【0087】
ブロック616で、相関が所定閾値を上回るか否かが判定される。上回る場合(すなわち判定ブロック616で「YES」)、コントローラはブロック618に進み、コントローラは、相関に基づいて位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって相対位相もしくは振幅またはその両方の調整値を設定する。
【0088】
上回らない場合(すなわち判定ブロック616で「NO」)、プロセスはブロック620に進み、コントローラは、新たな位相キャリブレーション変数(θ)もしくは新たな振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって、新たな相対位相もしくは振幅またはその両方の調整値を判定する。次に、この反復プロセスはブロック602に戻り、相関が所定閾値を上回るまで継続する。
【0089】
上述のように、図1図2および図4に示すような、図6のプロセス600による周波数変調連続波レーダ・システムの自動イメージ除去に関する機能は、コントローラまたはプロセッサを必要とし得る。これに関連して、図7に、図1のコントローラを実装することができる特別に構成されたコンピューティング・デバイスを実装するために使用可能なコンピュータ・ハードウェア・プラットフォーム700の機能ブロック図例を示す。
【0090】
コンピュータ・プラットフォーム700は、中央処理装置(CPU)704と、ハードディスク・ドライブ(HDD)706と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)もしくは読み出し専用メモリ(ROM)708またはこれらの組合せと、キーボード710と、マウス712と、ディスプレイ714と、通信インターフェース716とを含んでもよく、これらはシステム・バス702に接続されている。
【0091】
一実施形態では、HDD706は、本明細書に記載のようにして直交キャリブレーション・エンジン740など、様々なプロセスを実行することができるプログラムを記憶することを含む機能を有する。直交キャリブレーション・エンジン740は、図1の文脈で説明したものなどの様々な機能およびその他の機能を実行するように構成された様々なモジュールを有することができる。たとえば、同相ビートもしくは直交ビートまたはその両方を取り出すために二重チャネルADCとやり取りするように動作する対話モジュール742があってもよい。二重出力FMCW信号発生器への入力として使用される適切な直交キャリブレーション変数θもしくはAまたはその両方を生成するように構成されたキャリブレーション変数生成モジュール744があってもよい。様々な実施形態において、直交キャリブレーション変数θもしくはAまたはその両方は、本明細書に記載のように、計算されるかもしくはスネーク・パターンを辿ることによって参照表から取り出されるか、またはその両方とすることができる。
【0092】
一実施形態では、二重チャネルADCから受信された信号をローパス・フィルタリングするように動作するデジタル・フィルタリング・モジュールがある。二重チャネルADCからの受信直交ビート信号に基づいてレーダ出力を与えるように動作するFFTモジュール748があってもよい。
【0093】
図7にはモジュール742ないし748がHDD706の一部として示されているが、実施形態によっては、これらのモジュールのうちの1つまたは複数のモジュールがコンピューティング・デバイス700のハードウェアで実装されてもよい。たとえば、本明細書で説明しているモジュールは、一部がハードウェアで一部がソフトウェアの形態で実装されてもよい。すなわち、図7に示す直交キャリブレーション・エンジン740のコンポーネントのうちの1つまたは複数が、トランジスタ、ダイオード、キャパシタ、レジスタ、インダクタ、バラクタもしくはメモリスタまたはこれらの組合せを備えた電子回路の形態で実装されてもよい。言い換えると、直交キャリブレーション・エンジン740は、本明細書に記載の特定のタスクおよび機能を実行する1つまたは複数の特別に設計された電子回路で実装されてもよい。
【0094】
例示のために本教示の様々な実施形態に関する説明を示したが、網羅的であること、または開示されている実施形態に限定することを意図したものではない。記載されている実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、当業者には多くの変更および変形が明らかであろう。本明細書で使用されている用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場にある技術に対する技術的改良を最もよく説明するため、または当業者が本明細書で開示されている実施形態を理解することができるようにするために選択されている。
【0095】
上記では、最善の状態もしくはその他の実施例またはその両方とみなされるものについて説明したが、それらには様々な修正を加えることができること、本明細書で開示されている主題が様々な形態および実施例で実装可能であること、および教示が多くの用途に適用可能であり、本明細書ではその一部のみについて説明していることを了解されたい。本教示の真の範囲に含まれるあらゆる適用、修正および変形を、以下の特許請求の範囲により特許請求することが意図されている。
【0096】
本明細書で説明したコンポーネント、ステップ、特徴、目的、長所および利点は、例示に過ぎない。これらのいずれも、また、これらに関するいずれの説明も、特許保護の範囲を限定することは意図されていない。本明細書では様々な利点について説明したが、すべての実施形態が必ずしもすべての利点を含むとは限らないことを理解されたい。特に明記されていない限り、以下の特許請求の範囲を含む本明細書に記載されているすべての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、およびその他の仕様は、近似値であり、厳密ではない。これらは、これらが関連する機能と、これらが属する技術分野において通例となっているものとに整合する、妥当な範囲を有することが意図されている。
【0097】
多くの他の実施形態も企図される。これらには、より少ないか、追加的であるか、もしくは異なるか、またはこれらの組合せである、コンポーネント、ステップ、特徴、目的、長所、利点を有する実施形態が含まれる。これらには、コンポーネントもしくはステップまたはその両方の配置もしくは順序またはその両方が異なる実施形態も含まれる。たとえば、本明細書に記載のいずれの信号も、スケーリング、バッファリング、スケーリングとバッファリング、別の状態(たとえば電圧、電流、電荷、時間など)への変換、または基礎にある制御方法を実質的に変更することなく別の状態(たとえば高から低へ、および低から高へ)の変換が行われてもよい。
【0098】
本開示の態様について、本明細書では本出願の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品を示すフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照しながら説明している。フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の図の各ブロックおよび、フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることを理解されたい。
【0099】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサにより実行される命令が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックで指定されている機能/動作を実装する手段を形成するようなマシンを実現するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに供給することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックで指定されている機能/動作の態様を実装する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、もしくはその他の装置またはこれらの組合せに対して特定の方式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0100】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、その他のプログラマブル装置またはその他のデバイス上で実行される命令がフローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックで指定されている機能/動作を実装するように、コンピュータ、その他のプログラマブル装置、またはその他のデバイス上で一連の動作ステップが実行されてコンピュータ実装プロセスを実現するようにするために、コンピュータ、その他のプログラマブル・データ処理装置、またはその他のデバイスにロードされてもよい。
【0101】
図面中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定されている論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、または部分を表す場合がある。一部の別の実装形態では、ブロックに記載されている機能は、図に記載されている順序とは異なる順序で行われてもよい。たとえば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には実質的に並行して実行されてもよく、またはそれらのブロックは場合によっては逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の図の各ブロック、およびブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の図のブロックの組合せは、指定されている機能または動作を実行するかまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実施する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装可能であることにも留意されたい。
【0102】
上記は例示の実施形態とともに説明したが、「例示の」という用語は、最良または最適なものではなく一例という意味に過ぎないことを理解されたい。直前に記載されている以外に、記載または図示されているものはいずれも、特許請求の範囲に記載されているか否かを問わず、いかなるコンポーネント、ステップ、特徴、目的、長所、利点、または同等物も公衆に提供されることは意図されておらず、そのように解釈されるべきではない。
【0103】
本明細書で使用されている用語および表現は、本明細書で特定の意味が別に記載されている場合を除き、対応するそれぞれの調査および研究の分野に関してそのような用語および表現に与えられている通常の意味を有するものと理解されたい。第1および第2などの関係語は、実体もしくは動作間のいかなる実際のそのような関係または順位も必ずしも必要とせず、または含意もせずに、1つの実体または動作を別の実体または動作から区別するためにのみ使用されている場合がある。「含む」、「含んでいる」という用語またはこれらのその他の変形は、列挙されている要素を含むプロセス、方法、物または装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないかまたはそのようなプロセス、方法、物または装置に固有の他の要素も含み得るように、非排他的包含を対象として含むことが意図されている。「a」または「an」が前置されている要素は、さらなる制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物または装置における追加の同一要素の存在を排除しない。
【0104】
「要約書」は、読者が技術的開示の性質を迅速に把握することができるようにするために提供されている。要約書は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するためには使用されないという了解のもとに提出される。さらに、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡素化するために、様々な実施形態において様々な特徴がまとめてグループ化されていることがわかる。本開示の方法は、特許請求される実施形態が各請求項に明示的に記載されているものより多くの特徴を要するという意図を反映しているものと解釈されるべきではない。そうではなく、以下の特許請求の範囲が反映しているように、本発明の主題は、単一の開示されている実施形態の特徴の全部ではなく一部にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書により「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、別個に特許請求される主題として独立している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムであって、
同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む、直交送受信器と、
前記送信器の前記同相入力に結合された第1の出力と、前記送信器の前記直交入力に結合された第2の出力とを含む、二重チャネルFMCW信号発生器と、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第1の出力と前記送信器の前記同相入力との間に結合された第1のスプリッタと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第2の出力と前記送信器の前記直交入力との間に結合された第2のスプリッタと、
前記第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む、第1のミキサと、
前記第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む、第2のミキサと、
前記第1のミキサの前記出力に結合された第1の入力と、前記第2のミキサの前記出力に結合された第2の入力とを含む二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)と、
前記二重チャネルFMCW信号発生器と前記二重チャネルADCとの間に結合されたコントローラと
を含む、FMCWレーダ・システム。
【請求項2】
前記二重チャネルFMCW信号発生器がプログラム可能である、請求項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項3】
前記二重チャネルFMCW信号発生器が、各周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を供給するように構成されている、請求項1または2に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信するように構成された直交キャリブレーション・ブロックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項5】
前記二重チャネルADCの各入力チャネルにおけるローパス・フィルタをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記二重チャネルADCの前記第2の出力から前記同相ビート信号と前記直交ビート信号とを受信し、向上した信号対雑音比(SNR)を有するレーダ出力を与えるように構成された高速フーリエ変換(FFT)ブロックをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項7】
前記直交キャリブレーション・ブロックが、位相キャリブレーション変数(θ)または振幅キャリブレーション変数(A)のうちの少なくとも一方を前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として供給するように構成されている、請求項4に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項8】
前記二重チャネルFMCW信号発生器がデジタル回路ブロックである、請求項1~7のいずれか1項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項9】
前記コントローラが、
初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択し、
前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)を前記二重チャネルFMCW信号発生器に入力として適用し、
適用された前記初期直交キャリブレーション変数(θ,A)に基づいて前記二重チャネルADCの第1の出力からの同相ビート信号と前記二重チャネルADCの第2の出力からの直交ビート信号とを受信し、
前記同相ビート信号と前記直交ビート信号との相関をとり、
前記相関が所定閾値未満であると判定すると、新たな直交キャリブレーション変数(θ,A)を選択する
ように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のFMCWレーダ・システム。
【請求項10】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムの自動イメージ除去方法であって、
二重出力FMCW信号発生器によって同相信号と直交信号とを含む直交FMCW信号を生成することと、
送受信器の送信器によって前記同相信号と前記直交信号とを送信することと、
前記送受信器の送信された前記同相信号と前記直交信号とに応答して、応答同相信号と応答直交信号とを含むレーダ信号を受信することと、
前記応答同相信号と前記応答直交信号とを二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に供給することと、
コントローラによって、生成された前記直交FMCW信号の周波数ランプ・サイクルの開始と終了とを示す窓信号を受信することと、
コントローラによって、受信した窓信号に基づいて、前記二重チャネルADCから同相ビート信号(Beat-I)と直交ビート信号(Beat-Q)とを取り出すことと、
前記コントローラによって、前記Beat-Iと前記Beat-Qとの相関をとることと、
前記コントローラによって、前記相関に基づいて、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を前記二重出力FMCW信号発生器に入力として供給することによって、相対位相もしくは振幅またはその両方の調整値を生成することと
を含む、方法。
【請求項11】
閾値相関に達していないと判定すると、前記閾値相関に達するまで前記二重出力FMCW信号発生器への入力として前記位相キャリブレーション変数(θ)もしくは前記振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を反復的に調整することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のパワー・スプリッタによって、前記FMCW信号の前記同相信号を、前記送信器に供給される前記FMCW信号の第1の同相信号と、第1のミキサへの第1の同相入力としての前記FMCW信号の第2の同相信号とに分割することと、
第2のパワー・スプリッタによって、前記FMCW信号の前記直交信号を、前記送信器に供給される前記FMCW信号の第1の直交信号と、第2のミキサへの第1の直交入力としての前記FMCW信号の第2の直交信号とに分割することと
をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のミキサによって、前記第1の同相入力を前記受信器によって受信された同相レーダ信号と混合し、結果を二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)に第1の入力として供給することと、
前記第2のミキサによって、前記第1の直交入力を前記受信器によって受信された直交レーダ信号と混合し、結果を前記二重チャネルADCに第2の入力として供給することと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記FMCWレーダ・システムのキャリブレーション能力を強化するために、信号反射を増大させるように前記送信器の方向または前記受信器の方向の少なくとも一方を調整することをさらに含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
周波数変調連続波(FMCW)レーダ・システムをキャリブレーションする方法であって、
同相入力と直交入力とを有する送信器と、同相出力と直交出力とを有する受信器とを含む直交送受信器を設けることと、
前記送信器の前記同相入力に結合された第1の出力と前記送信器の前記直交入力に結合された第2の出力とを含む二重チャネルFMCW信号発生器を設けることと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第1の出力と前記送信器の前記同相入力との間に第1のスプリッタを結合することと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器の前記第2の出力と前記送信器の前記直交入力との間に第2のスプリッタを結合することと、
前記第1のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記同相出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第1のミキサを設けることと、
前記第2のスプリッタの第2の出力に結合された第1の入力と、前記受信器の前記直交出力に結合された第2の入力と、出力とを含む第2のミキサを設けることと、
前記第1のミキサの前記出力に結合された第1の入力と、前記第2のミキサの前記出力に結合された第2の入力とを含む二重チャネル・アナログ-デジタル変換器(ADC)を設けることと、
前記二重チャネルFMCW信号発生器と前記二重チャネルADCとの間にコントローラを結合することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記二重チャネルFMCW信号発生器によって、位相キャリブレーション変数(θ)もしくは振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方を受信することと、
受信した前記位相キャリブレーション変数(θ)もしくは前記振幅キャリブレーション変数(A)またはその両方に基づいて、前記二重チャネルFMCW信号発生器をプログラムすることと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項10~14のいずれか1項に記載された方法をコンピュータに対して実行させるためのコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読な記憶媒体。
【国際調査報告】