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特表2024-508599高アンチモン粗スズの分離・精製方法
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  • 特表-高アンチモン粗スズの分離・精製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】高アンチモン粗スズの分離・精製方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 25/08 20060101AFI20240220BHJP
   C22B 30/02 20060101ALI20240220BHJP
   C22B 9/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C22B25/08
C22B30/02
C22B9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541919
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2022107214
(87)【国際公開番号】W WO2023005810
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110854401.3
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523262330
【氏名又は名称】昆明理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】李一夫
(72)【発明者】
【氏名】張環
(72)【発明者】
【氏名】楊斌
(72)【発明者】
【氏名】劉大春
(72)【発明者】
【氏名】徐宝強
(72)【発明者】
【氏名】田陽
(72)【発明者】
【氏名】陳秀敏
(72)【発明者】
【氏名】徐俊傑
(72)【発明者】
【氏名】周生安
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA21
4K001AA24
4K001BA23
4K001EA02
(57)【要約】
本発明は、非鉄金属の乾式製錬の技術分野に属し、具体的には、高アンチモン粗スズの分離・精製方法に関する。本発明は、高アンチモン粗スズに対して真空気化処理を行うことにより、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化し、気化揮発させて混合金属蒸気を形成し、前記混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器の凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃、100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素の製品並びに気化揮発させて残った精製スズ製品をそれぞれ得る。本方法は、スズ精錬システムにおけるアンチモン元素の循環の問題を解決し、フローが短く、「3種の廃棄物」が発生せず、有価金属を最大限に回収し、処理コストが低く、金属回収率及び直接収率が高く、作業環境が良好で、過程が安全で制御可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アンチモン粗スズの分離・精製方法であって、
高アンチモン粗スズに対して真空気化処理を行い、気化揮発させて混合金属蒸気を形成するステップ1と、
ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発終了後に残った精製スズ製品をそれぞれ得るステップ2とを含むことを特徴とする高アンチモン粗スズの分離・精製方法。
【請求項2】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は70~95wt%、Sb含有量は5~18wt%、Pb含有量は0.5~10wt%、As含有量は0.1~5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は900~1400℃、システム圧力は1~100Pa、気化時間は30~200minであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は、1400℃、1200℃又は900℃であることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ1における真空気化処理において、気化時間は、200min、100min又は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ1における真空気化処理において、システム圧力は、100Pa、10Pa又は1Paであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1400℃、システム圧力は100Pa、気化時間は200minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は900℃、システム圧力は1Pa、気化時間は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は100minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は71.65wt%、Sb含有量は16.72wt%、Pb含有量は8.46wt%、As含有量は3.17wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は88.48wt%、Sb含有量は6.39wt%、Pb含有量は3.87wt%、As含有量は1.26wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は94.29wt%、Sb含有量は3.49wt%、Pb含有量は1.27wt%、As含有量は0.95wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は90.76wt%、Sb含有量は8.25wt%、Pb含有量は0.82wt%、As含有量は0.17wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ2における分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ2における分別凝縮器は、石英材質で作製されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年07月28日に中国特許庁に提出された、出願番号が202110854401.3、発明の名称が「高アンチモン粗スズの分離・精製方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、非鉄金属の乾式製錬の技術分野に属し、具体的には、高アンチモン粗スズの分離・精製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
中国内外のほとんどのスズ精錬企業は、乾式精錬プロセスを用いて粗スズ中の不純物を徐々に除去し、その主なフローは、凝析による鉄及びヒ素の除去、硫黄の加えによる銅の除去(硫黄スラグ)、アルミニウムの加えによるヒ素及びアンチモンの除去(アルミニウムスラグ)、結晶化分離による鉛及びビスマスの除去、並びに真空蒸留によるはんだの処理である。中でも、アルミニウムスラグは、一般的に、アルミニウム6%~12%、アンチモン10%~15%、ヒ素1%~3%及びスズ55%~70%を含有しており、有害廃棄物に属し、不適切な処理をすると猛毒のヒ化水素が発生し、人を死に至らしめる。
【0004】
アルミニウムスラグの大きくは、電気炉で溶錬されてスズ-アンチモン-ヒ素煙塵(スズ30~35%、ヒ素0.5~1%及びアンチモン2~4%を含み)、電気炉スラグ及び高アンチモン粗スズ(スズ80~85%、アンチモン3~12%及びヒ素1~2%を含み)を生成する。ヒ素-アンチモン含有煙塵は、脱ヒ素処理後に還元溶錬に戻され、アンチモンが再びスズ製錬システムに入って蓄積を引き起こし、スズ製錬プロセスの正常な運転に影響を与える。
【0005】
高アンチモン粗スズの主な処理方法は、以下の3種類がある。(1)銅スラグとアルミニウムスラグを混合して溶錬し、高銅アンチモン-鉛-ビスマスの粗スズを生成し、さらに真空蒸留により鉛とビスマスを分離する方法を用いて、バビットメタルを製造するが、バビットメタルの市場需要が小さく、一般的に受注生産であり、販売価格が低い。(2)電解法では、まず、高アンチモン粗スズ合金を陽極板に鋳造し、電解液濃度70g/L、Sn2+濃度60g/L、電流密度120A/mの条件下で常温で電解を行い、陰極は99.99%の陰極スズを生成し、アンチモンは最終的に陽極泥及び電解廃液に入る。陽極泥の成分が複雑であり、アンチモンやスズ等の有価金属を総合的に処理しにくく、同時に電解廃液に大量のヒ素元素が含まれ、環境に対して極めて有害である。(3)高温-低温二段連続真空蒸留法では、高アンチモン粗スズは一回の高温真空蒸留により粗スズ及びスズ-鉛-アンチモン合金I(Sn 25~30%、Pb 30%及びSb 25%を含み)を生成し、スズ-鉛-アンチモン合金Iは低温真空蒸留によりスズ-アンチモン合金(Sb 15.45%)及び鉛-アンチモン合金(Sb 40%)を生成し、この方法は、スズ-アンチモン及び鉛-アンチモンの別々の回収を実現し、一部のアンチモンの開路を実現したが、アンチモンの開路率は50%にすぎなかった。
【0006】
特許文献1には、アンチモン含有粗スズからアンチモンを分離する方法が開示されており、アンチモン含有粗スズ中のアンチモンの含有量が10%程度であり、分離過程が真空炉内で行われ、炉温が1200~1300℃に制御され、炉内の残圧が13Paより小さく、蒸留時間が30~120分間である。この方法により、不純物アンチモンが製品中のその含有量が1%以下に低下するように効果的に分離されるが、粗スズ真空蒸留の生産実践を通じて、蒸留温度が1200℃を超えると、スズが大量に揮発することが発見され、同時にSn-Sb二元合金相図から、スズとアンチモンの間にはSbSn金属間化合物が存在することが分かったため、アンチモンの揮発過程で同様に一部のスズも溶融物から取り出され、生成されたスズ-鉛-アンチモン合金は依然としてさらに処理する必要があり、最終的に金属スズの直接収率の深刻な低下を招いた。
【0007】
特許文献2には、鉛-スズ-アンチモン三元合金を分離する方法が開示されており、真空蒸留法を用いて鉛-スズ-アンチモン三元合金を処理し、蒸留温度が900~1200℃に制御され、蒸留時間が40~60minであり、真空度が5~15Paであり、合金中の3つの成分を一段階蒸留により処理することにより、高沸点のスズを液状に維持するが、低沸点の鉛-アンチモンを気状に合金から揮発させ、それにより液状スズと分離する。この方法は、前記特許文献1の拡張であり、スズ-鉛-アンチモン合金を処理するために用いられるが、得られた残留物は粗スズであり、依然としてスズ精錬システムに戻して精製する必要があり、揮発物中のSn-Pb-Sb三元合金は依然として共存しており、さらに処理しにくいため、金属の直接収率が高くなく、多元合金の単独回収という目的を達成できなかった。
【0008】
特許文献3には、アンチモン含有粗スズ合金を真空蒸留して鉛-アンチモン-ヒ素を除去する方法が開示されており、主な過程は、アンチモン含有粗スズ合金を連続真空蒸留して精製スズ及びスズ-鉛-アンチモン合金を得、さらにスズ-鉛-アンチモン合金を二次連続真空蒸留し、分別凝縮によりスズ-鉛-アンチモン合金及び鉛-アンチモン合金を得ることである。この方法は、一次連続真空蒸留を行う時に必要な温度が1500~1700℃であり、エネルギー消費量が高いだけでなく、通常の真空蒸留炉はこのような高温環境を実現しにくく、特殊な真空炉が必要となり、機器の汎用性が高くなく、一方、システム温度が真空下のスズの沸点(1521℃)より高いため、金属スズが大量に揮発し、その直接収率が高くない。
【0009】
特許文献4には、スズ-アンチモン合金を真空蒸留してアンチモンを分離する方法が開示されており、そのフローは、スズ-アンチモン合金を連続真空蒸留して、粗スズ及びスズ-アンチモン混合金属蒸気を得、さらに分別凝縮により粗アンチモン及びスズ-アンチモン合金をそれぞれ得ることである。この方法の欠点は、同様に、連続真空蒸留の温度が高すぎ(1000~1700℃)、同時に要件を満たす製品を得るにはこのフローを何度も繰り返す必要があり、労働強度及びコストが増加することである。
【0010】
特許文献5には、乾式プロセスと湿式プロセスを組み合わせてアンチモンをスズ製錬において開路させる方法が開示されており、粗スズの精錬過程においてアルミニウムを加えてヒ素-アンチモンを除去して生成されたアルミニウムスラグを電気炉で溶錬して高アンチモン粗スズを得、次に真空蒸留して真空粗スズ及びスズ-鉛-アンチモン合金を得、粗スズを電解精錬して精製スズを得るが、スズ-鉛-アンチモン合金を二次真空蒸留して二次真空粗スズ及び鉛-アンチモン合金をそれぞれ得る。この方法は、より経済的にスズを回収するが、得られた真空粗スズ中のアンチモン含有量が依然として高く(Sb<3wt%)、さらに電解精錬を行う過程において、大量のアンチモンが陽極泥に入り、後続の処理が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国特許出願公開第1156184号明細書
【特許文献2】中国特許出願公告第101696475号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第104651625号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第104651627号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第111575503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術の欠点を克服し、高アンチモン粗スズの分離・精製方法を提供することである。本方法は、スズ精錬システムにおけるアンチモン元素の循環の問題を解決し、フローが短く、「3種の廃棄物」が発生せず、有価金属を最大限に回収し、処理コストが低く、金属回収率及び直接収率が高く、作業環境が良好で、過程が安全で制御可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0014】
高アンチモン粗スズの分離・精製方法であって、高アンチモン粗スズに対して真空気化処理を行い、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化揮発させて、混合金属蒸気を形成するステップ1と、ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発終了後に残った精製スズ製品をそれぞれ得るステップ2とを含む、高アンチモン粗スズの分離・精製方法。
【0015】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は70~95wt%、Sb含有量は5~18wt%、Pb含有量は0.5~10wt%、As含有量は0.1~5wt%である。
【0016】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は900~1400℃、システム圧力は1~100Pa、気化時間は30~200minである。
【0017】
上記分別凝縮器は石英材料で作製されたものであり、分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられている。
【0018】
本発明により処理された精製スズ製品ではSnは99.9%より大きく、粗鉛ではPb含有量は90~95%、Sn含有量は4~10%、Sb含有量は0.3~3%、As含有量は1%未満であり、粗アンチモンではSb含有量は90~98%、Pb含有量は0.7~10%、As含有量は1%未満であり、粗ヒ素ではAs含有量は98~99%である。
【0019】
本発明では、スズ、鉛、アンチモン及びヒ素の金属回収率は、いずれも97%以上である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本方法は、粗スズの一段階精製・精錬の目的を実現し、同時にそれぞれ鉛、アンチモン及びヒ素等の有価金属を単独で回収し、スズ精錬システムにおけるアンチモン元素の循環の問題を解決し、企業の運営コストを大幅に削減し、処理過程において「3種の廃棄物」が発生せず、過程全体が安全で確実であり、操作しやすく、必要な装置がシンプルであり、コストが低く、金属回収効率が高く、作業環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では具体的な実施形態又は従来技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0022】
図1】本発明のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明をさらに説明するために、以下、図面及び具体的な実施例を参照しながら本発明の解決手段をさらに詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0024】
実施例1
【0025】
図1に示すように、該高アンチモン粗スズの分離・精製方法は、以下のステップを含む。
【0026】
ステップ1:1kgの高アンチモン粗スズ(その成分組成は表1に示す)に対して真空気化処理を行い、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化し、気化揮発させて混合金属蒸気を形成した。ここで、真空気化処理において、温度は1400℃、システム圧力は100Pa、気化時間は200minである。
【0027】
【表1】
【0028】
ステップ2:ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発させて残った精製スズ製品をそれぞれ得た。ここで、分別凝縮器は石英材料で作製されたものであり、分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられている。
【0029】
本方法で処理した後に得られた粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品の化学検査製品成分は表2に示し、ここで、スズ、鉛、アンチモン及びヒ素の金属回収率は、それぞれ98.7%、99.1%、98.8%及び99.4%である。
【0030】
【表2】
【0031】
実施例2
【0032】
図1に示すように、該高アンチモン粗スズの分離・精製方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップ1:1kgの高アンチモン粗スズ(その成分組成は表3に示す)に対して真空気化処理を行い、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化し、気化揮発させて混合金属蒸気を形成した。ここで、真空気化処理において、温度は900℃、システム圧力は1Pa、気化時間は30minである。
【0034】
【表3】
【0035】
ステップ2:ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発させて残った精製スズ製品をそれぞれ得た。分別凝縮器は石英材料で作製されたものであり、分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられている。
【0036】
本方法で処理した後に得られた粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品の化学検査製品成分は表4に示し、スズ、鉛、アンチモン及びヒ素の金属回収率は、それぞれ99.0%、97.3%、98.2%及び99.6%である。
【0037】
【表4】
【0038】
実施例3
【0039】
図1に示すように、該高アンチモン粗スズの分離・精製方法は、以下のステップを含む。
【0040】
ステップ1:1kgの高アンチモン粗スズ(その成分組成は表5に示す)に対して真空気化処理を行い、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化し、気化揮発させて混合金属蒸気を形成した。ここで、真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は30minである。
【0041】
【表5】
【0042】
ステップ2:ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発させて残った精製スズ製品をそれぞれ得た。ここで、分別凝縮器は石英材料で作製されたものであり、分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられている。
【0043】
本方法で処理した後に得られた粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品の化学検査製品成分は表6に示し、スズ、鉛、アンチモン及びヒ素の金属回収率は、それぞれ99.0%、97.3%、98.2%及び99.6%である。
【0044】
【表6】
【0045】
実施例4
【0046】
図1に示すように、該高アンチモン粗スズの分離・精製方法は、以下のステップを含む。
【0047】
ステップ1:1kgの高アンチモン粗スズ(その成分組成は表7に示す)に対して真空気化処理を行い、粗スズ中の揮発性不純物元素を最大限に気化し、気化揮発させて混合金属蒸気を形成した。ここで、真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は100minである。
【0048】
【表7】
【0049】
ステップ2:ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発させて残った精製スズ製品をそれぞれ得た。ここで、分別凝縮器は石英材料で作製されたものであり、分別凝縮器には、凝縮温度を制御するために抵抗線発熱体及び循環冷却水が設けられている。
【0050】
本方法で処理した後に得られた粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品の化学検査製品成分は表8に示し、スズ、鉛、アンチモン及びヒ素の金属回収率は、それぞれ98.6%、98.9%、99.2%及び99.1%である。
【0051】
【表8】
【0052】
以上、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、それは本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、当業者が有する知識の範囲内で、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アンチモン粗スズの分離・精製方法であって、
高アンチモン粗スズに対して真空気化処理を行い、気化揮発させて混合金属蒸気を形成するステップ1と、
ステップ1に記載の混合金属蒸気を真空気化炉に接続された分別凝縮器に導入し、分別凝縮器における凝縮領域の温度を550~700℃、300~450℃及び100~250℃にそれぞれ制御し、粗鉛、粗アンチモン及び粗ヒ素製品並びに気化揮発終了後に残った精製スズ製品をそれぞれ得るステップ2とを含むことを特徴とする高アンチモン粗スズの分離・精製方法。
【請求項2】
前記ステップ1における高アンチモン粗スズにおいて、Sn含有量は70~95wt%、Sb含有量は5~18wt%、Pb含有量は0.5~10wt%、As含有量は0.1~5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は900~1400℃、システム圧力は1~100Pa、気化時間は30~200minであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は、1400℃、1200℃又は900℃であることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ1における真空気化処理において、気化時間は、200min、100min又は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ1における真空気化処理において、システム圧力は、100Pa、10Pa又は1Paであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1400℃、システム圧力は100Pa、気化時間は200minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は900℃、システム圧力は1Pa、気化時間は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は30minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ1における真空気化処理において、温度は1200℃、システム圧力は10Pa、気化時間は100minであることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【国際調査報告】