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特表2024-508606高エネルギーカソード及び同カソードの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】高エネルギーカソード及び同カソードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240220BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20240220BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240220BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240220BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240220BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20240220BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20240220BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240220BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240220BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240220BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240220BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240220BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/48
H01M4/62 Z
H01M4/36 B
H01M10/052
H01M10/0569
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/66 A
H01M50/414
H01M10/44 P
H01M10/0565
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543304
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2022070632
(87)【国際公開番号】W WO2022174257
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/220,823
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/175,267
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523271778
【氏名又は名称】ワットリー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジャンウ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H029
5H030
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017EE01
5H017EE05
5H021EE02
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK04
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL13
5H029CJ16
5H029CJ22
5H029HJ18
5H029HJ19
5H030AA02
5H030AA10
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF41
5H030FF44
5H030FF51
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA10
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB13
5H050DA04
5H050DA10
5H050DA11
5H050DA18
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA18
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA14
5H050HA18
5H050HA19
(57)【要約】
式M(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)を有する金属化合物と、式M(式中、Mは金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、但し、金属化合物と金属酸化物とが接触していることを条件とする。高いエネルギー密度を提供することができる電池にカソードを経済的に組み込むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、a及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
(式中、Mは前記金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、
前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、カソード活物質。
【請求項2】
少なくとも1つのRが水素、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項3】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項4】
少なくとも1つのRが有機部分である、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項5】
金属化合物と金属酸化物とを含むカソード活物質であって、
前記金属化合物が、M(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、
前記金属酸化物が、M(式中、Mは前記金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、
前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触するようになっている、カソード活物質と、
電気導電材料であって、
前記金属化合物及び前記金属酸化物の一方又は両方が前記電気導電材料と接触するようになっている、電気導電材料とを含むカソード材料。
【請求項6】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項5に記載のカソード材料。
【請求項7】
前記電気導電材料が多孔性炭素材料を含む、請求項5に記載のカソード材料。
【請求項8】
前記多孔性炭素材料がホウ素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項9】
前記電気導電材料がカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項10】
ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を更に含む、請求項5に記載のカソード材料。
【請求項11】
(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
(式中、Mは前記金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、
前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、カソード活物質を含むカソードを有する電池。
【請求項12】
0.1mA/cm以上の電流密度で前記カソード活物質の量に基づいて少なくとも500mAh/gの放電比容量を示す、請求項11に記載の電池。
【請求項13】
0.1mA/cm以上の電流密度でLi/Liに対して少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる、請求項11に記載の電池。
【請求項14】
実質的に再充電可能である、請求項11に記載の電池。
【請求項15】
室温で動作可能である、請求項11に記載の電池。
【請求項16】
アノードを更に含む請求項11に記載の電池であって、前記アノードが、アノード材料の外部表面上のコーティング層によって少なくとも部分的に封止されるアノード活物質を含む、電池。
【請求項17】
液体、固体、又は半固体電解質を更に含む請求項11に記載の電池であって、前記電解質が電解溶媒を含む、電池。
【請求項18】
前記電解溶媒中の前記金属酸化物の溶解度が前記金属化合物の溶解度より小さい、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記電解溶媒中の前記金属酸化物の溶解度の、前記電解溶媒中の前記金属化合物の溶解度に対する比が0.5より小さい、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
液化され、電解質と接触しているか、又は前記電解質中に溶解される温室効果ガスを更に含む、請求項11に記載の電池。
【請求項21】
前記温室効果ガスが、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、六フッ化硫黄(SF)、パーフルオロカーボン化合物、クロロフルオロカーボン化合物、及びハイドロフルオロカーボン化合物のうちの1つ以上を含む、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
セパレーターを更に含む請求項11に記載の電池であって、前記セパレーターがポリマー材料を含む、電池。
【請求項23】
モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上の合金を含む集電体を更に含む、請求項11に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、カソード活物質に関し、カソード活物質、カソード活物質を含むカソード、及びこのようなカソードを導入する電池を製造する方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月12日に出願された米国特許出願第17/175,267号の35U.S.C.§120下での一部継続出願、2021年4月1日に出願された米国特許出願第17/220,823号の35U.S.C.§120下での一部継続出願であり、その内容のそれぞれを参照によってあらゆる目的のために本願明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
背景
電池は、現代技術において至るところに存在し、産業用及び医用デバイスのための小さな電池から電気車及びグリッドエネルギー貯蔵システムのためのより大きな電池まで広範囲の用途において使用されている。おそらく最もよく知られていて広範囲に使用される電池技術は現在のところはリチウムイオン電池であり、それは、一電極材料として挿入リチウム化合物を使用し、電解質の池内のカソードとアノードとの間のリチウムイオン往復を使用する。リチウムイオン電池は多くの利点を有するが、それらは、比較的低いエネルギー密度を提供し、製造のために高価な材料を必要とする場合がある。
【0004】
リチウム空気又はリチウム酸素電池は、「次世代」リチウムイオン電池技術であると考えられ、エネルギー密度及び材料コストなどの多くの観点において今日のリチウムイオン電池より性能が優れていることが知られている。これらの電池は酸素を消費し、カソード活物質として機能する活性酸素種を生成する。しかしながら、このような電池は、動作中に比較的低い温度で酸素脱着が生じる傾向があり、電池の再充電性をひどく妨げる電気化学的に不可逆的な副生成物を生じる。このような酸素脱着又は活性酸素種解離はまた、電池における熱暴走反応を引き起こし得る。
【0005】
必要とされるのは、改良されたカソード活物質を導入し、且つ使用中により大きい電気化学可逆性及び酸素発生に対する耐性を同時に示しながら、より大きいエネルギー密度、より経済的な製造コスト、及びより低い材料コストを提供することができる改良されたカソードである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概要
本開示は、カソード活物質及びそれらの製造方法、並びにカソード活物質を導入するカソード、このようなカソードを導入する電池を目的としている。
【0007】
一実施例では、本開示は、M(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、M(式中、Mは金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、但し、金属化合物と金属酸化物とが接触していることを条件とする、カソード活物質を目的としている。
【0008】
別の実施例では、本開示は、M(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、M(式中、Mは金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、金属化合物と金属酸化物とが接触するようになっている、カソード活物質と、電気導電材料であって、金属化合物及び金属酸化物の一方又は両方が電気導電材料と接触するようになっている、電気導電材料とを含むカソード材料を目的としている。
【0009】
別の実施例では、本開示は、カソードと電解質とを有する電池を目的としており、カソードが、M(式中、Mは金属であり、各Rは独立に、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるように選択され、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、M(式中、Mは金属化合物における同じ金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質を含み、ここで、金属化合物と金属酸化物とは接触している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示されたカソード活物質、カソード、及び電池の開示された特徴、機能、及び利点を本開示の様々な実施形態では独立に達成することができるか、又は更に他の実施形態では組み合わせることができ、そのさらなる詳細は、以下の説明及び図面を参照して見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】本開示によるカソード活物質を製造する例示的な方法のフローチャートである。
図2】本開示によるカソードを製造する例示的な方法のフローチャートである。
図3】本開示に従って製造されるカソードを含む例示的な電池の半略図である。
図4】実施例2で説明される、本開示によるカソード活物質を導入する例示的な電池の高い比容量及び高い電圧性能を示すプロットである。
図5】実施例3で説明される、本開示によるカソード活物質を導入する例示的な電池の有利に高い再充電性を示すプロットである。
図6】実施例4で説明される、本開示に従って作製されるカソードと比較して、選択された電池カソード材料の比容量を比較する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示は、安価に製造することができ、これを使用して電池において使用するためのカソードを作製することができる、高エネルギー密度カソード活物質を提供する。本開示に従って作製される選択されたカソードは、このカソードを備える電池の動作中にガス酸素を実質的に発生させない。いくつかの態様では、本開示に従って作製されるカソードは、このカソードを備える電池の全寿命の間に約1mg/1mAh未満の率でガス酸素を発生させる。本明細書中で用いられるとき、用語「電池の全寿命」は電池の寿命が、電池が初めてその元の容量の80%を示す時点であるとここでみなされる、その通常の有効寿命を超えたと考えられることを意味することが意図される。
【0013】
カソード活物質は、電池セルの正極を作る時に組成物における相違を決定し、したがって、電池のタイプを決めるのはカソード活物質である。例えば、LFP電池(deevs.com/news/563506/tesla-transition-ess-lfp-batteries)は、そのカソード活物質としてLFP(リン酸鉄リチウム、LiFePO4)を含む電池である。カソード活物質は、電池が充電している間電解質を通ってイオンを供給し且つ外部回路を通って電子を供給することに関与しており、電池が放電している間電解質を通ってイオンを受け取り且つ外部回路を通って電子を受け取ることに関与している。他方、アノード活物質は、電池が放電している間電解質を通ってイオンを供給し且つ外部回路を通って電子を供給することに関与しており、電池が充電している間電解質を通ってイオンを受け取り且つ外部回路を通って電子を受け取ることに関与している。カソード活物質とアノード活物質の両方とも、電解質を通ってイオンを及び/又は外部回路を通って電子を輸送することによって電気化学レドックス反応に関与する。
【0014】
電池の充放電の間電気化学レドックス反応に関与しないカソード活物質又はアノード活物質の表面上の任意の種類の任意のコーティング、天然又は人工層、保護層は、各活物質の一部としては考えられない。
【0015】
「レドックス反応」は、関与する原子、分子、ラジカル、又はイオンの酸化数が電子を得るか又は失うことによって変化するタイプの化学反応を意味する。レドックス反応は、化学種の間での電子の実際の又は形式的移動を特徴とし、非常にしばしば、別の種が還元を受ける間1つの種が酸化を受ける。
【0016】
「集電体」は、電気化学セルの回路の固定部分から移動部分に電流を搬送するように構成された電極に隣接した構成要素を意味し、又は逆の場合も同様である。集電体は、電極において生じた電流を集めて外部回路への接続を提供するブリッジング構成要素である。集電体は典型的に、カソード又はアノードに隣接している。いくつかの実施形態では、集電体は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンから選択され得る多孔性炭素材料である、電気導電材料を含む。
【0017】
「電解質」又は「電解液」は、電気化学セル内でのイオン輸送を提供する材料を意味する。電解質は、電極とのその相互作用によってイオン輸送のための導管として作用する。特に、電気化学セルの充電中、電解質は、カソードからアノードへのイオンの移動を促進することができ、放電時に、アノードからカソードへのイオンの移動を促進することができる。
【0018】
本明細書中で用いられるとき、「室温」は、大抵の人が屋内環境として好む温度の範囲内の任意の温度であり、それは、典型的な屋内用の衣服を着るときに快適に感じる温度である。より具体的には、室温は、15~30℃(又は59~86°F)の温度を含む。
【0019】
「実質的に」は、この用語によって修飾される特定の寸法、範囲、形状、概念、又は他の態様に多かれ少なかれ合致していることを意味し、特徴又は構成要素が正確に合致する必要はない。例えば、「実質的に円筒形の」物体は、物体が円筒に似ているが、真の円筒から1つ以上の偏りを有し得ることを意味する。
【0020】
「含む(Comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」(及びその結合)は、追加の、列挙されていない要素又は方法の工程を含むが必ずしも限定されないことを意味するために互いに交換可能に用いられ、これらを除くことを意図していない非限定的な用語である。
【0021】
「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などの用語は、グループ等の様々な要素を区別するか又は同定するために使用することができ、連続的又は数量的限界を示すことを意図していない。
【0022】
特定の実施例に関するものでない限り、量及び部分、特に本発明の範囲を定めるためのものに関する全ての列挙は±10%の許容度を示し、例えば:11%は、9.9%~12.1%を意味する。「溶媒(a solvent)」などの用語については、「a」という語は、数値的な語とみなされるべきでなく、文脈が他に指示しない限り、不定冠詞又は代名詞とみなされるべきである。
【0023】
用語:「組合せ(combination)」又は「組合せ(combinations)」は、特にことわらない限り、当該構成要素のうちの2つから出発して、このような構成要素の複数又は全てに至るまで全てのタイプの組合せを意味する。
【0024】
カソード活物質の調製
本開示による高エネルギーカソード活物質を製造する例示的な方法は、図1のフローチャート10に図示されている。方法は、フローチャート10の工程12において吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することと、フローチャート10の工程14においてカソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で溶液を加熱することと、フローチャート10の工程16において、沈殿したカソード活物質を集めることと、フローチャート10の工程18において、集められたカソード活物質を約400℃未満の温度で乾燥させることとを含む。沈殿物は、活性酸素種誘導体、吸湿性種と組み合わされた活性酸素種誘導体、又は吸湿性種と組み合わされた活性酸素種であり得る。
【0025】
カソード活物質を調製するために使用される吸湿性種は、溶液として適切な活性酸素種と共に加熱される時に沈殿物を形成する任意の吸湿性種であり得る。典型的に、吸湿性種は、化学反応によってか、水和水を混合することによって、又は物理的吸着によるかどれかによって水をその環境から引き抜く化合物又は物質である。特に、吸湿性種は、遷移金属を実質的に含まないことができる。特に有用な吸湿性材料は、1つ以上のイオン性材料及び/又は1つ以上の有機材料を含むことができる。
【0026】
吸湿性種が1つ以上のイオン性材料を含む場合、イオン性材料は1つ以上のイオン性化合物を含むことができ、ここで、イオン性化合物は典型的に塩であり、より典型的には塩化物、臭化物、五酸化物、硫化物、及び/又は硫酸塩の塩である。また、イオン性材料は、プロトンを供与することができる酸であり得る。
【0027】
吸湿性種が1つ以上の有機材料を含む場合、有機材料は、1つ以上の窒素又は酸素原子を導入する任意の適した有機化合物、又は有機化合物のフラグメントから選択することができる。例えば、1つ以上の有機材料は、トルキセノン、トルキセノン誘導体、フェノキサジン、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体、キノン、キノン誘導体、ジアミン誘導体、フェナジン、フェナジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、ジメトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン誘導体、シクロプロペニウム誘導体、及びアミド誘導体のなかから選択することができる。
【0028】
本開示のための吸湿性種の選択された例には、とりわけ、C14Cl(ベンゼンテトラミンテトラヒドロクロリド)、C1614(ヘキサケトシクロヘキサン八水和物)、C(テレフタル酸)、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、C1322NO(テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルメタクリレート)、LiCl(塩化リチウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、HCl(塩化水素)、HBr(臭化水素)、LiBr(臭化リチウム)、NaClO(塩素酸ナトリウム)、P(五酸化リン)、HS(硫化水素)、HSO(硫化水素)、HClO(塩素酸)、C(安息香酸)、CHF(トリフルオロ酢酸)、HBO(メタホウ酸)、C(サリチル酸)、C(酢酸)、C1632(パルミチン酸)、HSCN(チオシアン酸)、C(乳酸)、HPO(燐酸)、CH(蟻酸)、C1223N(ジシクロヘキシルアミン)、CN(ジメチルアミン)、CSH(チオフェノール)、C(ロジゾン酸)、C16(アントラキノン-2,3-ジカルボン酸)、CCl(クロラニル酸)、及びC2224(ナフタレンジイミド)が含まれ得る。
【0029】
活性酸素種は、1つ以上の活性酸素部分を含む任意の種であり得る。例えば、活性酸素種は、過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素などの1つ以上の活性酸素部分を含むことができる。本開示の一実施形態では、活性酸素種は少なくとも1つの過酸化物部分を含む。活性酸素種は、とりわけ、Li(リチウム過酸化物)、H(過酸化水素)、HOCl(次亜塩素酸)、O *-(超酸化物ラジカル)、NaO(ナトリウム超酸化物)、NO(ニトロキシルラジカル)、C(フェノキシルラジカル)、及び(一重項酸素)のうちの1つ以上から選択され得る。
【0030】
反応時に、活性酸素種は典型的に、活性酸素種誘導体に変換される。活性酸素種誘導体は、活性酸素種から誘導される任意の種であり得、活性酸素種誘導体は過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素などの活性酸素部分をもはや含まないという点で、活性酸素種から区別され得る。
【0031】
吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製する任意の方法は、フローチャート10の方法のために適した方法である。例えば、1つ以上の吸湿性種と1つ以上の活性酸素種との溶液を調製することは、所望の吸湿性種及び活性酸素種のそれぞれを単一溶液に添加して所望の組合せ溶液を形成することを含むことができる。代わりに、吸湿性種及び活性酸素種の一方又は両方を初期に溶媒中に溶解させることができ、次に、吸湿性種溶液と活性酸素種溶液を組み合わせて、組合せ溶液を形成することができ、又は両方を既存の溶液に添加して組合せ溶液を形成することができる。
【0032】
次に、得られた溶液を約400℃未満であるが所望のカソード活物質の沈殿物の形成をもたらすために十分高い温度に加熱する。加熱温度は好ましくは、約300℃未満、より好ましくは約200℃未満である。溶液を標準条件下で溶液の沸点より高い温度に加熱することは通常は可能ではないことが理解されるべきであり、それで、組合せ溶液は高圧下での加熱のために密封容器、又はオートクレーブに移されるのがよい。熱処理する間、密封容器、又はオートクレーブの雰囲気を高純度酸素ガスと取り換えることができる。
【0033】
カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間組合せ溶液を加熱したとき、カソード活物質を集めることができる。任意の適切な分離方法を用いて、カソード活物質沈殿物を集めることができるが、典型的には沈殿物混合物を濾過し、洗浄する。カソード活物質を集める工程において含まれる、濾過されて洗浄されたカソード活物質を約400℃未満の温度の真空下で又は不活性ガス雰囲気下で乾燥させることができる。乾燥温度は好ましくは約300℃未満、より好ましくは約200℃未満である。
【0034】
集められて乾燥されたカソード活物質の試験又は更なる取扱は、例えば約25%未満の相対湿度の、乾燥条件下で行われるのがよい。好ましくは、このような取扱は、乾燥室で行われる。
【0035】
カソード活物質
カソード活物質を調製する間、吸湿性種及び活性酸素種は典型的に、1つ以上の新しい材料を含むカソード活物質を製造するための反応を受ける。本開示の一態様では、吸湿性種と活性酸素種との組合せは、金属化合物と金属酸化物とを含むカソード活物質を製造する。カソード活物質が均一な混合物を含む場合など、金属化合物と金属酸化物は、カソード活物質の別個の構成要素であり得る。代わりに、又は更に、金属化合物と金属酸化物は、錯体において、クラスターにおいて、又は結晶質、疑似結晶質、又は非晶質マトリックスにおいて互いに結合していることができる。一実施形態では、吸湿性種の1つ以上は金属化合物である。典型的に、カソード活物質は、金属化合物と金属酸化物とが接触しているように、金属化合物と金属酸化物とを含む。
【0036】
カソード活物質の金属化合物は、実験式M(式中、Mは金属である)によって記述することができ、各R部分は、任意の適切な原子、分子、又はラジカルから独立に選択され、Mが無機又は有機金属化合物又は錯体であるようになっている。各R部分は、-1、-2、又は-3の形式酸化数を独立に有することができる。典型的に、各R部分は、-1の形式酸化数を有する。a及びbの値は独立に、0でない正の実数である。各Rは、より大きい化合物のフラグメント又は置換基であり得る。
【0037】
一実施形態では、1つ以上のR部分が独立に水素、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素のうちの1つ以上であるか又はこれらを含むことができる。代わりに、又は更に、各Rは独立に無機部分、又は有機部分であり得る。
【0038】
無機部分である各R部分は、とりわけ、水素化物、ハロゲン化物、酸化物、水酸化物、塩素酸塩、硫化物、硫酸塩、メタボレート、チオシアン酸塩、アミド、窒化物、及びアジドから選択され得る。
【0039】
有機部分である各R部分は、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素から独立に選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に更に含む。いくつかの実施形態では、有機部分である各々のRは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属を除く。いくつかの実施形態では、R部分は、炭素、水素、又は酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、R部分は、1~6個の炭素を有する有機部分である。
【0040】
本開示のための適したR部分の非限定的な例には、とりわけ、-H(水素化物)、-OH(ヒドロキシル)、-COOH(カルボキシル)、-CH(アルキン)、-CH(アルケン)、-CHO(アルデヒド)、-CO-(カルボニル)、-COO-(エステル)、-O-(エーテル)、-NH(アミン)、-CN(ニトリル)、アルキルハリド、オキシハリド、アルカン、アルケン、アルキン、アレーン、フェニル、チオール、チアール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、ケトン、アミド、ハロアルカン、メトキシド、エトキシド、エポキシド、フェノキシド、ニトリド、ニトレート、ニトロソ、キノン、イミン、イミド、アジド、ラクテート、ホスフェート、ホルメート、及びシアネートが含まれ得る。
【0041】
カソード活物質の金属化合物の選択された例には、とりわけ、LiOH(水酸化リチウム)、LiCl(塩化リチウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、LiBr(臭化リチウム)、NaClO(塩素酸ナトリウム)、LiS(硫化リチウム)、LiSO(硫酸リチウム)、LiCO(安息香酸リチウム)、LiC(トリフルオロ酢酸リチウム)、LiCHO(リチウムメトキシド)、LiBO(メタボレートリチウム)、LiC(サリチル酸リチウム)、LiC(酢酸リチウム)、LiC1631(パルミチン酸リチウム)、LiSCN(チオシアン酸リチウム)、LiC18N(リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド)、LiCO(乳酸リチウム)、LiPO(リン酸リチウム)、LiCHO(ギ酸リチウム)、LiBH(水素化ホウ素リチウム)、LiC1222N(リチウムジシクロヘキシルアミド)、LiNH(リチウムアミド)、LiH(水素化リチウム)、LiCS(リチウムチオエトキシド)、LiCHO(リチウムエトキシド)、LiCN(リチウムジメチルアミド)、LiCO(リチウムフェノキシド)、LiCS(リチウムチオフェノラート)、LiN(窒化リチウム)、LiN(リチウムアジド)、LiCO(リチウムイソプロポキシド)、Li(テレフタル酸二リチウム)、Li(ロジゾン酸二リチウム)、LiC16(リチウムジカルボキシレートアントラキノン)、Li(二リチウムジヒドロキシベンゾキノン)、及びLiC2224(リチウムナフタレンジイミド)が含まれ得る。
【0042】
カソード活物質の金属酸化物は、実験式M’(式中、M’は、金属化合物のMと同じであっても又は異なっていてもよい金属であり、且つx及びyは各々、0でない正の実数であり、同じであっても又は異なっていてもよい)によって記述することができる。金属酸化物は、金属超酸化物、金属超酸化物ラジカル、及び/又は金属過酸化物であり得るか、又はこれらを含み得る。
【0043】
M及びM’は、同じであっても又は異なっていてもよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択され得る。
【0044】
得られたカソード活物質は、組み合わせて考えられる場合クラスターを形成する、金属化合物の少なくとも一部と金属酸化物の少なくとも一部とを含むことができる。本開示の一態様では、得られたクラスターは、実験式MM’(式中、a、b、c、及びdの各々は、0でない正の実数であり、同じであっても又は異なっていてもよい)によって記述することができる。
【0045】
得られたカソード活物質組成物は、5:95~75:25に変化することができる金属化合物:金属酸化物の重量比を有することができる。M:M’xOyの組成比は、約10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、又は75:25であり得る。典型的に、カソード活物質は少なくとも25重量%金属酸化物である。好ましくは、カソード活物質は少なくとも約50重量%金属酸化物である。より好ましくは、カソード活物質は少なくとも約75重量%金属酸化物である。
【0046】
カソード活物質の平均粒径は約5nm~約50μmに変化することができ、約0.1nm~約1μmの平均細孔径を示す。典型的に、カソード活物質の平均粒径は約50μm未満である。好ましくは、カソード活物質の平均粒径は約500nm超及び約50μm未満である。より好ましくは、カソード活物質の平均粒径は約5μm超及び約50μm未満である。典型的に、カソード活物質の平均細孔径は約1μm未満である。好ましくは、カソード活物質の平均粒径は約1nm超及び約500nm未満である。より好ましくは、カソード活物質の平均粒径は約5nm超及び約200nm未満である。
【0047】
いくつかの実施形態では、カソード活物質は、外部表面においてコーティング層によって少なくとも部分的に封止される。コーティング層は厚さ約1nm~約1μmに変化することができる。好ましくは、コーティング層の厚さは約2nm~約500nmである。より好ましくは、コーティング層の厚さは約5nm~約200nmである。存在しているとき、コーティング層は炭素及び酸素を含むことができる。
【0048】
高エネルギーカソード
図2のフローチャート20に説明されるように、本明細書に開示されるカソード活物質を用いて、高エネルギーカソードを作製することができる。図示されるように、電池において使用するためのカソードを製造する方法は、フローチャート20の工程21において吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することと、フローチャート20の工程22において、カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で溶液を加熱することと、フローチャート20の工程24においてカソード活物質を集めることと、フローチャート20の工程26において、集められたカソード活物質を約400℃未満の温度で乾燥させることと、フローチャート20の工程28において、集められたカソード活物質を電気導電材料、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸の1つ以上と組み合わせることと、フローチャート20の工程30において、組み合わされたカソード材料を集電体上に堆積させてカソードを作ることとを含む。
【0049】
上記のような、フローチャート20の工程21、22、24、及び26は、フローチャート10の相当する工程12、14、16、及び18に全く類似している。
【0050】
フローチャート20の工程28において説明されるように、カソード活物質を電気導電材料、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸の1つ以上と組み合わせることができる。典型的に、カソード活物質は電気導電材料と組み合わせられる。更に、カソード活物質をポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上と更に組み合わせることができる。
【0051】
カソードが電気導電材料を含む場合、カソード活物質の調製前に吸湿性種若しくは活性酸素種の1つにそれを添加することができるか、又はカソード活物質を、形成された後に電気導電材料と組み合わせることができる。一般的には、カソード活物質は電気導電材料と接触している。
【0052】
カソード活物質が金属化合物と金属酸化物とを含む場合、金属化合物と金属酸化物のそれぞれが他方と接触しており、金属化合物及び金属酸化物の一方又は両方が電気導電材料と接触している。
【0053】
カソードがカソード活物質及び電気導電材料を含む場合、カソード組成物は、20:80~99:1に変化することができるカソード活物質:電気導電材料の重量比を有することができる。カソード活物質:電気導電材料の組成比は、約20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1であり得る。典型的に、カソード組成物は少なくとも20重量%カソード活物質である。好ましくは、カソード組成物は少なくとも40重量%カソード活物質であり得る。より好ましくは、カソード組成物は少なくとも60重量%カソード活物質であり得る。
【0054】
得られたカソードの性能を促進する任意の電気導電材料が、本開示の目的のための適した電気導電材料である。いくつかの実施形態では、電気導電材料は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、非晶質炭素、微孔性炭素、メソ多孔性炭素、多孔性炭素、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、グラフェンナノリボン、窒素ドープ炭素、窒素ドープグラフェン、及び窒素ドープ酸化グラフェンの1つ以上であるか、又はこれを含む多孔性炭素材料を含む。電気導電材料は、粒子、粉末、紙、フォーム、線維、シート、ディスク、ロッド、箔、又はそれらの任意の組合せなどの任意の適した且つ相溶性の物理的形態を有することができる。カソードが多孔性炭素材料を含む場合、カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノファイバー、及びカーボンナノチューブがその高いアスペクト比及び耐久性のために特に好ましい。
【0055】
一実施形態では、電気導電材料は、約5nm~約50μmの平均粒径又は直径を有する粒子を有し、且つ約0.1nm~約1μmの平均細孔径を示す多孔性炭素材料を含む。典型的に、電気導電材料の平均粒径又は直径は約50μm未満である。好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約50nm超及び約50μm未満である。より好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約500nm超及び約50μm未満である。典型的に、電気導電材料の平均細孔径は約1μm未満である。好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約1nm超及び約500nm未満である。より好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約5nm超及び約200nm未満である。
【0056】
いくつかの実施形態では、カソード活物質及び電気導電材料の平均粒径又は直径は反比例している。このような実施形態では、カソード活物質の平均粒径が約10μm~約50μmの範囲であるとき、電気導電材料の平均粒径は約10nm~約50nmであり得、逆の場合も同様である。典型的に、カソード活物質及び電気導電材料の1つ以上が、約50nm超及び約50μm未満、好ましくは約500nm超及び約50μm未満、より好ましくは約1μm超及び約30μm未満の平均粒径又は直径を有する粒子を含む。
【0057】
一実施形態では、カソード活物質を電気導電材料と組み合わせる工程は、カソード活物質を多孔性炭素材料と組み合わせることを含む。多孔性炭素材料は、ホウ素、酸素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子で任意選択的にドープされる。窒素及び/又はフッ素でドープされる多孔性炭素材料を含むカソードが、より低い電荷移動抵抗を可能にするので好ましく、窒素が特に好ましい。存在しているとき、多孔性炭素材料は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含むことができる。
【0058】
同じか又は異なる配合を有し得る、ここで開示されるカソードのために任意の適した電気導電材料を使用することができる。カソード活物質及び/又は電気導電材料は平面表面に造形され得、及び/又は粒状固体であり得る。カソード活物質、電気導電材料、及び/又は電解質が粒状である場合、粒子は、とりわけ、球形、立方体、直方体、円錐、角錐、円筒形、直角プリズム、六角柱、半球形、三角柱、五角柱、八角柱、環状体、八面体、及び十二面体などの任意の適した形状を有することができる。
【0059】
カソードがポリマーバインダーを含む場合、カソード活物質の調製前に吸湿性種若しくは活性酸素種の1つにそれを添加することができるか、又はカソード活物質を、形成された後にポリマーバインダーと組み合わせることができる。
【0060】
カソード活物質から固体カソードを形成するのを助けるためにポリマーバインダーを添加することができる。本開示の目的のための適切なポリマーバインダーは、とりわけ、ポリカプロラクトン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルピロリドン、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネートのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、ポリマーバインダーは、1つ又はポリ(エチレンオキシド)又はポリ(フッ化ビニリデン)を含む。
【0061】
代わりに、又は更に、カソードは可塑剤を導入することができ、それを使用して、得られたカソードをより軟質且つより可撓性にすることができる。可塑剤は、とりわけ、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、エチレンカーボネート、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、ブチレンカーボネート、フタレート誘導体、トリメリテート、アジペート、セバケート、及びマレエートのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、可塑剤はスクシノニトリルを含むことができる。
【0062】
代わりに、又は更に、カソードは、1つ以上のカルボン酸を導入することができる。存在しているとき、カルボン酸はモノカルボン酸又はポリカルボン酸であり得る。カルボン酸がポリカルボン酸であるとき、それは任意選択的にシュウ酸である。
【0063】
フローチャート20の工程30において説明されるように、カソード活物質を含むと共に導電材料、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を任意選択的に含む組み合わせられたカソード材料が、所望のカソードを形成するために集電体上に堆積される。
【0064】
集電体は、任意の適した且つ相溶性の導電材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、カソード集電体は、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、ポスト遷移金属、及びアルカリ金属などの1つ以上の金属を含む。いくつかの実施形態では、カソード集電体は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、二相鋼、ステンレス鋼のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、カソード集電体は、モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を更には含む金属又は金属合金を含む金属集電体である。代替実施形態では、カソード集電体は、カソード活物質と電気的接触している多孔性炭素を含む電気導電材料である。
【0065】
カソード集電体は、充実又は有孔であり得る。有孔であるとき、カソード集電体の細孔径は、約500nm~約1mmで変化し得、細孔間の分離距離は約10μm~約100mmである。
【0066】
任意の適した適用技術を用いて、存在する場合、追加の導電材料、ポリマーバインダー、及び可塑剤と共に、カソード材料を集電体に適用することができる。例えば、組み合わせられたカソード材料をフィルムにキャストし、所望の集電体上に堆積させることができる。
【0067】
図3に示されるように、得られたカソードを電池32に組み込むことができる。電池32は典型的に、本開示によるカソード34を備える。カソード34は、カソード集電体38に適用されたカソード活物質など、上記の組み合わされたカソード材料36を含むことができる。電池32のアノード40は、アノード集電体44に適用されたアノード材料42を含む。カソード34及びアノード40は典型的に、電解セパレーター46によって隔てられる。電池の構成要素は典型的に、電池の構成要素を密閉することができると共に電池の構成要素を所望のガス組成物又は雰囲気50下に保つことができる、電池ケース48内に保持される。電池32をここに図示する方法に関係なく、本開示の電池は、例えば、とりわけ、交互プレートの、又はゼリーロールの、ボタンセル、パウチセル、プリズム状セル、円筒形セル、フローセルとして形成されることによって、任意の従来の又は適した電池構成を取ることができると理解されるべきである。
【0068】
アノード40はアノード活物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、アノードは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、黒鉛、グラフェン、多孔性炭素、活性炭、ケイ素化合物、金属酸化物、及びそれらの組合せのうちの1つ以上を含む。アノード活物質は、コーティング、箔、メッシュ若しくはスクリーン、又は他の散在したアノード構成要素として存在し得る。代わりに、又は更に、アノード活物質を構成要素、又は構成化合物としてアノードに導入することができる。いくつかの実施形態では、アノード40は、アノード活物質として非金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、アノードは黒鉛を含むことができる。いくつかの実施形態では、アノードはケイ素、黒鉛、グラフェン、活性炭、若しくは金属、又はそれらの組合せを含むことができる。アノードが金属を含む場合、その金属は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり得る。いくつかの実施形態では、アノードは金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、アノードは、LiTi12、TiO、TiNb、Nb、LiVO、HTi13、LiMnBO、LiV0.5Ti0.5、Li、Li3+ 、LiMoO、Liなどの金属酸化物、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0069】
アノード活物質20は、例えば電解質30及び/又はその更なる成分などの電気化学セル10の成分の注意深い選択によって、及び任意選択的にアノード集電体26を電気化学セル10に適用することによってin situ生成することができる。選択される材料がイオンを貯蔵及び放出することができることを条件に、アノード活物質20の選択は特に制限されない。例えば、アノード活物質20は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、及び/又はカリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム及び/又はカルシウムなど)、両性金属(アルミニウム及び/又は亜鉛など)、メタロイド(ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、スズ、テルル、ポロニウム、及び/又はケイ素など)、金属錯体、無機炭素(黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、活性炭、カーボンナノチューブ、及び/又はカーボンドットなど)、硫黄、硫化物(金属二硫化チタンMV0.5Ti0.5(式中、Mは金属である)、金属硫化物(MS)、金属多硫化物(例えば、M、M、M、M)など)、硫黄含有化合物又は材料(硫酸塩又は有機硫黄化合物(例えば、ポリ(硫黄-ランダム-(1,3-ジイソプロペニルベンゼン))、硫化ポリアクリロニトリル)など)、酸化物(例えば、MTi12、TiO、TiNb、Nb、MVO、HTi13、MMnBO、M、MMoO、M、M’1-xM”O、M’1-w(M”M’”)O形態の材料、及び/又は金属チタネート)、有機材料又は化合物(例えば、トルキセノン、トルキセノン誘導体、フェノキサジン、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(例えば、10-アセチルフェノチアジン、10-[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]-10H-フェノチアジン)、キノン、キノン誘導体(例えば、2,2’-(2-ビニルアントラセン-9,10-ジイリデン)ジマロノニトリル、2-ビニルアントラキノン、アントラキノン-2,6-ジスルホネート、アントラキノン-1,8-ジスルホネート、アントラキノン-1-スルホネート、アントラキノン-1,5-ジスルホン酸、2,2’-(2-ビニルアントラセン-9,10-ジイリデン)ビス(1,3-ジチオール))、ジアミン誘導体、フェナジン、フェナジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、シクロヘキサン、シクロヘキサン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、メラミン、メラミン誘導体、ジメトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン誘導体、シクロプロペニウム誘導体、アミド誘導体、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ビオロゲン、ビオロゲン誘導体(例えば、エチルビオロゲン)、ニトロキシド誘導体)、有機基(例えば、ピペリジン誘導体(例えば、4-イソチオシアナト-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-(2-ヨードアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-メタクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-(2-クロロアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチル-4-(2-プロピニルオキシ)ピペリジン1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-カルボキシ2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-グリシジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-シアノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1-オキシル)セバケート、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル)、ピロリジン誘導体(例えば、3-カルボキシ2,2,5,5-テトラメチルピロリジン1-オキシル、16-DOXYL-ステアリン酸)、イミダゾリン誘導体(例えば、2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-3-オキシド-1-オキシル、2-(4-ニトロビフェニル)-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-3-オキシド-1-オキシル)、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、ガルビンオキシル)又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、アノード活物質は、上記のような、1つ以上の有機材料を含むことができる。アノード活物質が有機材料を含む場合、有機材料は、上記のような、任意の適した有機化合物又は有機化合物のフラグメントから選択することができる。一態様では、アノード活物質は、とりわけ、ホウ素、酸素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素などのヘテロ原子を含む有機化合物を含む。代わりに、又は更に、アノード活物質は、1つ以上の芳香族基を含む有機材料を含むことができる。
【0071】
電気導電材料、ポリマーバインダー、可塑剤、カルボン酸などのカソード活物質を除くカソードの一部分として使用される材料は、アノードの一部分でもあり得る。アノードが1つ以上の更なる材料、ポリマーバインダー、及び可塑剤と共に電気導電材料を含む場合、任意の適した適用技術を用いて電気導電材料を集電体に適用することができる。例えば、電気導電材料をフィルムにキャストし、次いで所望の集電体上に堆積させることができる。
【0072】
アノード40は、アノード活物質であるアノード材料42を含むことができ、ここで、アノード活物質は外部表面においてコーティング層によって少なくとも部分的に封止される。コーティング層は厚さ約1nm~約1μmに変化することができる。好ましくは、コーティング層の厚さは約2nm~約500nmである。より好ましくは、コーティング層の厚さは約5nm~約200nmである。存在しているとき、表面コーティングは任意選択的に電気絶縁性である。「電気絶縁性」とは、アノード表面コーティングは、10-3S/cm以下の電気導電率を示すことを意味する。好ましくは、アノード表面コーティングは、10-5S/cm以下の電気導電率を示す。より好ましくは、アノード表面コーティングは、10-7S/cm以下の電気導電率を有する。一実施形態では、アノード表面コーティングは、炭素、酸素、窒素、ホウ素、硫黄、ケイ素、スズ、セレンのうちの1つ以上を含み、ここで、各々の元素は、化合物又は錯体として存在し得る。
【0073】
アノード集電体44は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、二相鋼、ステンレス鋼、銀、銀合金、又はそれらの任意の組合せなどの金属又は金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では。アノード集電体44は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、非晶質炭素、微孔性炭素、メソ多孔性炭素、多孔性炭素、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、グラフェンナノリボン、窒素ドープ炭素、窒素ドープグラフェン、窒素ドープ酸化グラフェン、及びそれらの組合せであるか又は含む多孔性炭素材料などの電気導電材料と接触している(例えば、コートされる)ことができる。いくつかの実施形態では、電気導電材料は、粒子、粉末、紙、フォーム、線維、シート、ディスク、ロッド、箔、又はそれらの任意の組合せの形態である。
【0074】
いくつかの実施形態では、電池32はいわゆる「アノードを含まない」電池であり得、ここでアノード40は、アノード集電体44を備えるが、アノード材料42を有さない。このような実施形態では、アノード集電体44は、電解質及び/又はセパレーター上に又は中に配置され得、電解質及び/又はセパレーターがカソード34とアノード集電体44との間にあるようにする。代わりに、又は更に、アノード集電体44は、電池の外部ハウジング(すなわち、電池ケース48)であるか又はこれを備えることができる。
【0075】
電解セパレーター46はカソード34と接触していることができるか、又はセパレーター46は電解質と接触していることができる。電気化学セルがアノードを備える場合、セパレーター46をカソード34とアノード40との間に配置することができる。カソード34とアノード40との間、カソード34とアノード集電体との間、カソード集電体とアノード40との間、又はカソード集電体とアノード集電体との間の接触を避けるために、セパレーター46は、カソード集電体及びアノード集電体の一方又は両方よりもその幅及び長さの一方又は両方において長くなり得る。
【0076】
電解セパレーター46は、カソード34とアノード40との間に配置され得、典型的に、電池32内のイオン輸送を提供すると共にアノード材料42及びカソード材料36とのその相互作用によってイオン輸送のための導管として作用する電解質を含む。電解セパレーター46は、電解質と接触することができ、とりわけ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、又はポリ(塩化ビニル)などのポリマーフィルムなどのポリマー材料を含むことができる。典型的に、ポリマーフィルムは、存在しているとき、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含む。代わりに、又は更に、電解セパレーター46は、不織繊維(とりわけ、ナイロン、ポリエステル、及びガラスなど)、ガラス、セラミック、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、セパレーターはガラス繊維を含む。いくつかの実施形態では、セパレーターは、液体ベースの電解質の湿潤性を高める界面活性剤コーティング又は処理剤を含む。
【0077】
電解質32は、セルの電極とのその相互作用によって電池の電気化学セル内のイオン輸送のための導管として作用することができる材料である。電解質32は、イオン導電性である電解質材料を含む液体、固体、ゲル、又は液化ガスであり得る。電解質は電解溶媒を含むことができる。電解質は電解溶媒として水を含むことができる。電解質材料は、10-10S/cm以上のイオン導電率及び10-1S/cm以下の電気導電率を有するように選択することができる。好ましくは、電解質材料は、10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する。より好ましくは、電解質材料は、10-6S/cm以上のイオン導電率及び10-5S/cm以下の電気導電率を有する。
【0078】
電解質32が固体として電気化学セル内に存在している場合、電解質32は任意選択的に、フィルム、箔、テープ、紙、シート、層等の形態で存在している。固体電解質材料は、1つ以上のポリマー、ガラス、ホスフェート、フルオロホスフェート、カーボネート、アミン、ボレート、フルオロボレート、ハリド、ハレート(halates)、オキソハリド、酸化物(例えば、MO、M、M、MO、MOH、M、MCO、P、MPO、MM’、式中、Mは金属又はメタロイドである)、ペロブスカイト、反ペロブスカイト(例えば、MOBr、MOCl、MOHBr、MOHCl、式中、Mは金属又はメタロイドである)、LISICON型電解質(例えば、M1+xM’M”2-x(PO、M2+2xM’1-xM”O、M(3+x)M’(1-x)、M(4-x)M’(1-x)、M1+x+yM’M”2-xSi3-y12、M1+xM’M”Ti2-x-y12、M1+x+3yM’M”2-x(SiPO、M14M’M”16、M4-xM’、式中、Mは金属又はメタロイドである)、ガーネット(例えば、MM’M”12、M7-xM’M”2-xNb12、MM’3-xM”Zr2-xNb12、M6+xM’M”1+xTa1-x12、式中、Mは金属又はメタロイドである)、硫化物(例えば、MPSCl、M9.54M’1.741.4411.7Cl0.3、M10M’P12、MPS、M11、M3.250.95、M3+xM’1-x、式中、Mは金属又はメタロイドである)、チオ-LISICON型電解質(例えば、M(4-x)M’(1-x)、式中、Mは金属又はメタロイドである)、オキシ窒化物、窒化物等(LISICONは、リチウム超イオン導電体の頭字語である)を含むことができる。
【0079】
電解質32が固体として電気化学セル内に存在している場合、電解質32は任意選択的に固体粒子の組成物として存在している。適切な電解質材料の平均粒径は約5nm~約30μmに変化することができ、約0.1nm~約500nmの平均細孔径を示すことができる。典型的に、適切な電解質材料の平均粒径又は直径は約30μm未満である。好ましくは、電解質材料の平均粒径は約10nm超及び約20μm未満である。より好ましくは、電解質材料の平均粒径は約20nm超及び約10μm未満である。電解質30が固体粒子の組成物として存在している場合、電解質材料の平均細孔径は約500nm未満であり得る。好ましくは、電解質材料の平均細孔径は約0.5nm超及び約200nm未満である。より好ましくは、電解質材料の平均細孔径は約1nm超及び約100nm未満である。
【0080】
電解質32が液化ガスを含む場合、液化ガスは、メタン(例えば、メタン、フルオロメタン、ジフルオロメタン)、エタン(例えば、エタン、フルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、プロパン(例えば、プロパン、2-フルオロプロパン)、ブタン(例えば、ブタン、フルオロブタン)、エチレン、アセチレン、プロピレン、一酸化炭素、及び二酸化炭素のうちの1つ以上を含むことができる。液化ガスは、臨界圧におけるガスの凝縮温度以下の又は臨界温度におけるガスの蒸気圧以上のガスから製造することができる。
【0081】
電解質32が有機液体を含む場合、有機液体は、1つ以上の有機カーボネート、エーテル、エステル、アミド、ハロゲン化液体、ニトリル、又はイオン性液体を含むことができる。
【0082】
電解質32が有機カーボネートを含む場合、有機カーボネートは、例えば、とりわけ、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジプロピルカーボネート、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-クロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、ジエチル2,5-ジオキサヘキサンジオエート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、ジメチル2,5-ジオキサヘキサンジオエート、又はジブチルカーボネートであり得る。
【0083】
電解質32がエーテルを含む場合、エーテルは、例えば、とりわけ、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコール誘導体(ジグライム、トリグライム、テトラグライム)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、又はジオキサンであり得る。
【0084】
電解質32がエステルを含む場合、エステルは、例えば、とりわけ、トリエチルボレート、トリメチルボレート、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ボレート、2,4,6-トリメトキシボロキシン、トリブチルボレート、トリヘキシルボレート、又はトリプロピルボレートであり得る。
【0085】
電解質32がアミドを含む場合、アミドは、例えば、とりわけ、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、ジエチルプロピオンアミド、2,2,2-トリフルオロジメチルアセトアミド又はジプロピルアセトアミドであり得る。
【0086】
電解質32がハロゲン化液体を含む場合、ハロゲン化液体は、例えば、塩素化液体(ジクロロメタンなど)、又はフッ素化液体(例えば、フルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、メチル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、メチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、又はエチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテルなど)を含むことができる。
【0087】
電解質32がニトリルである溶媒を含む場合、ニトリルは、例えば、とりわけ、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、テトラシアノエチレン、3,3’-オキシジプロピオニトリル、3-エトキシプロピオニトリル、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,2,3-プロパンテトラカルボニトリル、マロノニトリル、フマロニトリル、バレロニトリル、アクリロニトリル、トルニトリル、メトキシベンゾニトリル、又は3-ブトキシプロピオニトリルを含むことができる。
【0088】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、とりわけ、イミダゾリウム誘導体(例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、2,3-ジメチル-1-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-デシル-3-メチル-イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムニトレート、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ビニルイミダゾールビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-3-n-オクチルイミダゾリウムトリフルオロ-メタンスルホネート、3-エチル-1-ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-3-n-オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロ-ボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロ-メタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタン-スルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-2,3-ジメチル-イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-3-(4-スルホブチル)イミダゾリウムビス(トリ-フルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチルイミダゾールビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1H-イミダゾル-3-イウムヘキサフルオロホスフェート、又は3,3’-(ブタン-1,4-ジイル)ビス(1-ビニル-3-イミダゾリウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど)であり得る。
【0089】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、ピロリジニウム誘導体、(例えば、とりわけ、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-1-ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-エチル-1-メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、又は1-アリル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど)であり得る。
【0090】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、ピリジニウム誘導体(例えば、とりわけ、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル-)ピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート、1-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、又は1,1’-ビス[3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]-4,4’-ビピリジニウムなど)であり得る。
【0091】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、ピペリジニウム誘導体、とりわけ、例えば、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、又は1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)-イミドなどであり得る。
【0092】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、アンモニウム誘導体、例えば、とりわけ、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル(3-メトキシプロピル)ジメチルアンモニウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、エチル(2-メトキシエチル)ジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン-スルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロ-メタン-スルホニル)イミド、テトラブチル-アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムビス(トリフルオロ-メタン-スルホニル)イミド、トリメチル-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、又はテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートなどであり得る。
【0093】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、ホスホニウム誘導体、とりわけ、例えばトリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル(2-メトキシエチル)-ホスホニウムビス(トリフルオロ-メタン-スルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチル-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、又はトリブチルメチル-ホスホニウムビス(トリフルオロメタン-スルホニル)イミドなどであり得る。
【0094】
電解質32がイオン性液体を含む場合、イオン性液体は、例えば、モルホリニウム誘導体、又はスルホニウム誘導体(例えば、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)など)であり得る。
【0095】
電解質32が、溶媒と溶媒中に溶解された溶質とを含む溶液として電気化学セル10中に存在している場合、溶質は、1つ以上のイオン性金属錯体、例えば、とりわけ、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、金属(フルオロスルホニル)(トリフルオロ-メタンスルホニル)イミド、金属トリフルオロメタンスルホネート、金属テトラフルオロボレート、金属ヘキサフルオロホスフェート、金属ビス(フルオロスルホニル)イミド、金属ノナフルオロ-1-ブタンスルホネート、金属ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、金属トリシアノメタニド、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物、金属ビス(オキサラト)ボレート、金属ジフルオロ(オキサラト)ボレート、又は金属過塩素酸塩などを含むことができる。
【0096】
電解質32は任意選択的に1つ以上の添加剤を含むことができ、ここで、添加剤は、ポリマー材料、可塑剤、ホスファゼン、ホスフェート、スルホニル、及びカルボン酸であり得る。存在しているとき、ポリマー材料は、例えば、任意の組合せで、ポリカプロラクトン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルピロリドン、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン-ブタジエン-ゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのうちの1つ以上を含むことができる。一実施形態では、ポリマー材料は、とりわけ、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(フッ化ビニリデン)のうちの1つを含む。
【0097】
添加剤が可塑剤を含む場合、可塑剤には、例えば、とりわけ、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、ブチレンカーボネート、フタレート誘導体、トリメリテート、アジペート、セバケート、マレエート、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0098】
添加剤がホスファゼンを含む場合、ホスファゼンは、例えば、とりわけ、ペンタフルオロ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、窒化塩化リン三量体、エトキシ(ペンタフルオロ)シクロトリホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロ-トリホスファゼン、又はヘキサフルオロシクロトリホスファゼンのうちの1つ以上を含むことができる。
【0099】
添加剤がホスフェートを含む場合、ホスフェートは、例えば、トリス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(2-ブトキシエチル)ホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリアミルホスフェート、トリ-o-クレジルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリ-m-クレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-p-クレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェートのうちの1つ以上を含むことができる。
【0100】
添加剤がスルホニルを含む場合、スルホニルは、例えば、イソプロピルメチルスルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルフィット、ジプロピルスルホン、1,3-プロパンスルトン、3-メチルスルホラン、1,4-ブタンスルトン、テトラヒドロチオフェン1,1-ジオキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシドのうちの1つ以上を含むことができる。
【0101】
添加剤がカルボン酸を含む場合、カルボン酸は、例えば、モノカルボン酸又はポリカルボン酸であり得る。カルボン酸がポリカルボン酸であるとき、それはシュウ酸であり得る。存在しているとき、カルボン酸は、約0.01重量%~約30重量%の間、好ましくは約0.1重量%~約20重量%の間、より好ましくは約1重量%~約10重量%の間の重量百分率で電解質中に存在し得る。
【0102】
電解質32がゲルであるかこれを含む場合、ゲルは典型的に、(上記のような)適切な液体電解質材料を(上記のような)適切な固体電解質材料と混合することによって得られる。適切なとは、液体及び固体電解質材料が物理的に及び化学的に相溶性であることと、選択された比で一緒に混合されるとき、所望のコンシステンシー及び電解特性を示す電解質ゲルを得ることができることを意味する。
【0103】
放電生成物28は典型的にこのような電解質により容易に溶解されるので、電解質32は好ましくは、液体、液化ガス、及び/又はゲルを含む。一実施形態では、電解質30は、約300g/モル未満、好ましくは約200g/モル未満、より好ましくは約100g/モル未満である分子量を有する溶媒を含み、より小さな分子量を有する溶媒は、得られた電気化学セルのより高いエネルギー密度をもたらすことができる。例えば、水は、18.01g/モルの分子量を有し、ジメチルアセトアミド87.12g/モル、ジメトキシエタン90.12g/モル、ジメチルカーボネート90.08g/モル、エチレンカーボネート88.06g/モル、ジオキソラン74.08g/モルである。
【0104】
いくつかの実施形態では、電池32は、「単一材料」電池と呼ぶことができ、ここで、本明細書に開示されるカソード活物質はまた、電解質及び/又はセパレーターとして使用することができる。このような実施形態では、電気導電材料又は集電体と接触していないカソード活物質は、電解質及び/又はセパレーターとして機能する。
【0105】
電池がカソード及び電解質を備える場合、その組成物は、15:85~95:5に変化することができるカソード:電解質の重量比を有することができる。カソード:電解質の組成比は、約15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5であり得る。典型的に、カソード電解質比は、少なくとも15重量%カソードである。好ましくは、カソード電解質比は少なくとも30重量%カソードである。より好ましくは、カソード電解質比は少なくとも45重量%カソードである。
【0106】
電池がカソード及び電解質を備える場合、電解質は、電解溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、電解溶媒中への本開示のカソード活物質の金属酸化物の溶解度は、本開示のカソード活物質の金属化合物の溶解度より小さい。いくつかの実施形態では、電解溶媒中の金属酸化物の溶解度の、電解溶媒中の金属化合物の溶解度に対する比は0.5より小さい。好ましくは、溶解度比は0.3未満である。より好ましくは、溶解度比は0.1未満である。いくつかの実施形態では、電池の動作前に金属化合物の一部又は総量が電解溶媒中に溶解され、金属酸化物は電解溶媒中に溶解されない。いくつかの実施形態では、金属化合物が電解溶媒中に溶解されるとき、金属化合物はまた、電解質の一部として作用することができる。いくつかの実施形態では、金属化合物が電解溶媒中に溶解されるとき、電解質は、いずれにしてもカソードのそばで且つ中を通って流れることができる。
【0107】
更に、電解セパレーター46の電解質及び/又は雰囲気50は、温室効果ガスを含み得る。電解質中に存在しているとき、温室効果ガスは、溶解又は液化温室効果ガスであり得る。用語「温室効果ガス」は典型的に、熱赤外範囲内の輻射エネルギーを吸収及び放射するガスを意味する。温室効果ガスの非限定的な例は、とりわけ、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、亜酸化窒素(NO)、オゾン(O)、六フッ化硫黄(SF)、三フッ化窒素(NF)、ハイドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、及びペルフルオロカーボンが含まれる。温室効果ガスがハロカーボン化合物である場合、それは、例えば、とりわけ、四塩化炭素(CCl)、テトラフルオロメタン(CF)、又はヘキサフルオロエタン(C)を含み得る。
【0108】
温室効果ガスが液体電解質中に溶解される場合、圧力計、ガス入口、ガス出口、及び液体電解質中に浸漬される化学的に耐性のフリット又はフォームを備える装置によって温室効果ガスを導入することができる。液体電解質は、少なくとも10秒~少なくとも100秒、又はそれより長い間標準大気圧を超える圧力の温室効果ガス雰囲気下に維持され得る。
【0109】
本明細書における様々な実施形態の説明は単一セルを有する電池の文脈で書かれているが、2つ以上の電池セル(すなわち、電池パック等)を備える電池組立体に同じ又は同様な原理を適用することができると理解されるべきである。このような複数電池組立体は本開示の範囲内にあると理解されるべきである。
【実施例
【0110】
実施例1. 高エネルギーカソードの製造
本開示によるカソードは、以下の手順を使用して製造され、試験される。
【0111】
強力に撹拌しながら水酸化リチウム(LiOH)一水塩及び塩化リチウム(LiCl)水和物を1:4シュウ酸(OA)-メタノール(MeOH)混合物中に溶解して0.1MLiOH/0.1MLiCl溶液を調製する。この溶液に撹拌しながら100mgのカーボンナノチューブ(CNT)を添加し、得られた混合物を10分間超音波処理してカーボンナノチューブを織り合わせる。過酸化水素(H)及びカルバミドペルオキシド(CH)の溶液を65℃の温度の反応混合物に強力に撹拌しながら滴下した。反応混合物の成分のモル比はНО:CH:LiОН:LiCl=1:1:1:1であった。
【0112】
次に、反応混合物をテフロン内張りステンレス鋼オートクレーブに移し、12時間の間130℃に加熱した。得られた沈殿物を濾過によって母液から分離し、アセトンで洗浄し、24時間の間110℃の真空下で乾燥させた。次に、集められた材料を最小の空気暴露でアルゴン充填グローブボックスにすみやかに移し、可塑剤として多孔性炭素、スクシノニトリル、及びポリマーバインダーとしてポリテトラフルオロエチレンと混合した。得られた混合物を0.05mmのワイヤー直径及び0.08mmのアパーチャを有する、316Lステンレス鋼メッシュ集電体上にキャストして、高エネルギーカソードをもたらす。
【0113】
作製されたカソードを、アノードとしてリチウム金属箔及びFEC-DMAC(1:1体積比)中の0.5Mビストリフルオロ-メタンスルホンイミデート(LiTFSI)/0.5M硝酸リチウム(LiNO)の電解質溶液で湿潤されたポリプロピレンセパレーターと共にコインセル(CR2032)内に置く。電解質溶液を使用前に5バール超の圧力のCO雰囲気下に7日間貯蔵した。
【0114】
実施例2. 高エネルギー電池の充電-放電プロファイルの測定
定電流を電池に印加することによって、実施例1において作製される高エネルギー電池を充放電サイクルにかける。電池の高容量性能は、比容量(mAh/g)に対する電圧(Li/Li+に対するV)の充放電プロファイルのプロットである図4のプロットにおいて実証される。
【0115】
図示されるように、実施例1の電池は、1mA/cmの電流密度でカソード活物質の重量を基準として500mAh/g超の比容量を達成する。また、プロットは、3.41Vの高い動作平均放電電圧を示し、約3.48Vに明確な放電プラトーがある。更に、約2.5Vで酸素還元反応の兆候がまったく無いことは、カソード活物質は充電中にガス酸素を発生させないことを示す。
【0116】
実施例3. 高エネルギー電池の再充電性の測定
実施例1において作製される高エネルギー電池を放電及び再充電の繰り返しに供する。図5に示されるように、電池は、1mA/cmの電流密度で15サイクル超の高容量を維持した。
【0117】
実施例4. 比容量の比較
実施例1において作製されるカソード材料の比容量は、金属酸化物カソードを有する従来のリチウムイオン電池の比容量と比較される。図6に示されるように、実施例1におけるように作製されたカソードは、LiFePO4(A)、LiNiMnAl(B)、LiNiCoAl(C)、LiCoO(D)、LiNiO(E)、LiMnO(F)、LiMnPO(G)、LiTiS(H)、及びLiMnO(I)から選択される金属酸化物カソードを有する従来のリチウムイオン電池よりも高い実用比容量を示す(公開文献から取られるグラフに示される従来の電池組成物についての値)(https://doi.org/10.1016/j.mattod.2014.10.040を参照)。
【0118】
実施例5. 追加の選択された実施形態
この欄は、一連のパラグラフとして制限なしに示される開示されたカソード活物質、カソード、及び電池の更なる態様及び特徴を説明し、それらの一部又は全てが、明確にするために及び効率のために英数字によって明示することができる。これらのパラグラフの各々を任意の適した方法で1つ以上の他のパラグラフ、及び/又は本出願のどこかからの開示と組み合わせることができる。下記のパラグラフのいくつかは、他のパラグラフを明確に参照し、それらを更に制限し、いくつかの適した組合せの実施例を制限なしに提供する。
【0119】
A1. M(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、M’(式中、M’は金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であり、ここで、金属化合物と金属酸化物とは接触している。
【0120】
A2. パラグラフA1のカソード活物質であり、ここで、M及びM’は同じであっても又は異なっていてもよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される。
【0121】
A3. パラグラフA1のカソード活物質であり、ここで、金属化合物の少なくとも一部及び金属酸化物の一部が組合せで、MM’(式中、a、b、c、及びdの各々は、0でない正の実数であり、同じであっても又は異なっていてもよい)の実験式を有するクラスターを形成する。
【0122】
A4. パラグラフA1のカソード活物質であり、ここで、各Rは独立に、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素から独立に選択される有機部分又はヘテロ原子である。
【0123】
A5. パラグラフA4のカソード活物質であり、ここで、Rが有機部分であるとき、Rが、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素から独立に選択される1つ以上のヘテロ原子を含む有機部分である。
【0124】
A6. パラグラフA1のカソード活物質であり、ここで、金属酸化物は、金属超酸化物、金属超酸化物ラジカル、及び/又は金属過酸化物を含む。
【0125】
B1. 金属化合物と金属酸化物とを含むカソード活物質であって、金属化合物がM(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、及び金属酸化物がM’(式中、M’は金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、金属化合物と金属酸化物とが接触するようになっている、カソード活物質と、電気導電材料であって、金属化合物及び金属酸化物の一方又は両方が電気導電材料と接触するようになっている、電気導電材料とを含むカソード材料。
【0126】
B2. パラグラフB1のカソード材料であり、ここで、M及びM’は同じであっても又は異なっていてもよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される。
【0127】
B3. パラグラフB1のカソード材料であり、ここで、電気導電材料は多孔性炭素材料を含む。
【0128】
B4. パラグラフB3のカソード材料であり、ここで、多孔性炭素材料はホウ素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる。
【0129】
B5. パラグラフB1のカソード材料であり、ここで、電気導電材料はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む。
【0130】
B6. ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を更に含む、パラグラフB1のカソード材料。
【0131】
C1. カソードを有する電池であり、ここで、カソードは、M(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、且つa及びbは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、M’(式中、M’は金属であり、且つx及びyは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質を含み、金属化合物と金属酸化物とは接触している。
【0132】
C2. パラグラフC1の電池であり、ここで、カソードが、電池の動作中に実質的にゼロのガス酸素を発生させる。
【0133】
C3. パラグラフC1の電池であり、ここで、電池は、0.1mA/cm以上の電流密度でカソード活物質の量に基づいて少なくとも500mAh/gの放電比容量を示す。
【0134】
C4. パラグラフC1の電池であり、ここで、電池は、0.1mA/cm以上の電流密度でLi/Liに対して少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる。
【0135】
C5. パラグラフC1の電池であり、ここで、電池は実質的に再充電可能である。
【0136】
C6. パラグラフC1の電池であり、ここで、電池が室温で動作可能である。
【0137】
C7. アノードを更に含む、パラグラフC1の電池であり、ここで、アノードは、アノード材料の外部表面上のコーティング層によって少なくとも部分的に封止されるアノード活物質を含み、コーティング層は炭素及び酸素を含む。
【0138】
C8. 液体、固体、又は半固体電解質を更に含む、パラグラフC1の電池であり、ここで、電解質は電解溶媒を含む。
【0139】
C9. パラグラフC8の電池であり、ここで、電解溶媒中の金属酸化物の溶解度は金属化合物の溶解度より小さい。
【0140】
C10. パラグラフC9の電池であり、ここで、電解溶媒中の金属酸化物の溶解度の、電解溶媒中の金属化合物の溶解度に対する比は0.5より小さい。
【0141】
C11. 液化され、電解質と接触しているか、又は電解質中に溶解される温室効果ガスを更に含む、パラグラフC1の電池。
【0142】
C12. パラグラフC11の電池であり、ここで、温室効果ガスは、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、六フッ化硫黄(SF)、パーフルオロカーボン化合物、クロロフルオロカーボン化合物、及びハイドロフルオロカーボン化合物のうちの1つ以上を含む。
【0143】
C13. セパレーターを更に含む、パラグラフC1の電池であり、ここで、セパレーターはポリマー材料を含む。
【0144】
C14. モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上の合金を含む集電体を更に含む、パラグラフC1の電池。
【0145】
利点、特徴、利益
本開示のカソード活物質は、経済的であり高い放電容量、高い放電電位を提供し、動作中に酸素を発生させない電池用の高エネルギーカソードの製造を可能にする。
【0146】
本開示の選択された電池は、0.1mA/cm以上の電流密度で、カソード活物質の量に基づいて少なくとも100mAh/gの放電比容量を示す。いくつかの実施形態では、本開示の電池は、0.1mA/cm以上の電流密度で、カソード活物質の量に基づいて200mAh/g超、300mAh/g超、及び500mAh/g超の放電比容量を示すことができる。
【0147】
本開示の選択された電池は、Li/Liに対して1.0Vより大きい平均動作放電電位を示すことができる。いくつかの実施形態では、本開示の電池は、Li/Liに対して2.0Vより大きい、3.0Vより大きい、又は更に4.0Vより大きい平均動作放電電位を示すことができる。典型的に、このような電池は、0.1mA/cm以上の電流密度でLi/Liに対して少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる。
【0148】
本開示に示される全ての電流密度は、カソードの平面面積によって正規化される。
【0149】
本開示の選択された電池は実質的に再充電可能であり得る。本開示の一態様では、電池は、100より多いサイクル数を示す場合、実質的に再充電可能であると考えられ得る。代わりに、又は更に、本開示の選択された電池は、一実施形態では15℃~30℃として定義され得る、室温で効率的に動作することができる。
【0150】
本開示の方法に従って作製されるカソードは、カソードを含む電池の全寿命の間に1mg/1mAh未満のガス酸素の発生によって動作することができる。いくつかの場合、本開示のカソードは、動作中にガス酸素の実質的にゼロの発生を示す。
【0151】
本開示のカソード活物質は、Li/Liに対して3.0V超の標準レドックス電位を示す。
【0152】
用語「組合せ(combination)」又は「組合せ(combinations)」は、特にことわらない限り、当該構成要素のうちの2つから出発して、このような構成要素の複数又は全てに至るまで全てのタイプの組合せを意味する。
【0153】
方法の工程の説明は、図面に示されるか又は明細書に記述されるかにかかわらず、順序が具体的に提供されない限り、方法の工程の特定の順序を説明すると考えられるべきではない。このような工程の順序は、図示及び記述されるものと異なり得、及び/又は別記されない限り、2つ以上の工程を同時に又は部分的に同時に行なうことができる。
【0154】
個々の実施形態及び実施例において記載される特徴及び代替形態を他の実施例及び実施形態の特徴及び代替形態と自由に組み合わせて、各実施形態又は各実施例の他の詳細を必ずしも含意せずにクレームにおいて本発明を特徴づけるために特に使用することができる。
【0155】
上に明らかにされた本開示は、独立の実用性を有する複数の異なった実施例を包含することができる。これらの各々は1つ以上の例示的な形態において開示されたが、本明細書において開示されて説明されるその特定の実施形態は、多数の別形態があり得るので、制限的な意味で考えられるべきでない。欄の見出しが本開示内で用いられる限りにおいて、このような見出しは、組織目的のためだけのものである。本開示の主題は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の全ての新規な且つ非自明な組合せ及び副組合せを含む。以下のクレームは、新規な且つ非自明とみなされる特定の組合せ及び副組合せを特に示す。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組合せ及び副組合せは、本出願又は関連出願からの優先権を請求する出願において請求され得る。このようなクレームはまた、元のクレームより範囲において広いか、狭いか、等しいか、又は異なっているかにかかわらず、本開示の主題内に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、且つxは、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
MyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、
前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、カソード活物質。
【請求項2】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項3】
少なくとも、前記金属化合物の一部及び前記金属酸化物の一部が組合せで、MaRcOd(式中、a、c、及びdの各々は、同じであっても異なっていてもよい0でない正の実数である)の実験式を有するクラスターを形成する、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項4】
各Rは独立に、有機部分又はハロゲンである、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項5】
Rが有機部分であるとき、Rが、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素から独立に選択される1つ以上のヘテロ原子を含む有機部分である、請求項4に記載のカソード活物質。
【請求項6】
前記金属酸化物が金属超酸化物及び/又は金属過酸化物を含む、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項7】
金属化合物と金属酸化物とを含むカソード活物質であって、前記金属化合物がMRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、且つxは、0でない正の実数である)の実験式を有し、前記金属酸化物がMyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触するようになっている、カソード活物質と、
電気導電材料であって、
前記金属化合物及び前記金属酸化物の一方又は両方が前記電気導電材料と接触するようになっている、電気導電材料とを含むカソード材料。
【請求項8】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項9】
前記電気導電材料が多孔性炭素材料を含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項10】
前記多孔性炭素材料がホウ素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる、請求項9に記載のカソード材料。
【請求項11】
前記電気導電材料がカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項12】
ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を更に含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項13】
カソードを有する電池であって、前記カソードが、MRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、xは、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
MyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質を含み、前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、電池。
【請求項14】
前記カソードが、前記電池の動作中にガス酸素を実質的に発生させない、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも500mAh/gの放電容量を示す、請求項13に記載の電池。
【請求項16】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる、請求項13に記載の電池。
【請求項17】
実質的に再充電可能である、請求項13に記載の電池。
【請求項18】
室温で動作可能である、請求項13に記載の電池。
【請求項19】
アノードを更に含む請求項13に記載の電池であって、前記アノードが、アノード材料の外部表面上のコーティング層によって少なくとも部分的に封止されるアノード活物質を含み、前記コーティング層が、炭素及び酸素を含む、電池。
【請求項20】
電解質を更に含む請求項13に記載の電池であって、前記電解質が有機アミド化合物を含む、電池。
【請求項21】
液化され、前記電解質と接触しているか、又は前記電解質中に溶解される温室効果ガスを更に含む、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
前記温室効果ガスが、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、六フッ化硫黄(SF)、パーフルオロカーボン化合物、クロロフルオロカーボン化合物、及びハイドロフルオロカーボン化合物のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の電池。
【請求項23】
セパレーターを更に含む請求項13に記載の電池であって、前記セパレーターがポリマー材料を含む、電池。
【請求項24】
モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上の合金を含む集電体を更に含む、請求項13に記載の電池。
【請求項25】
カソード活物質を製造する方法であって、
吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することであって、前記吸湿性種が1つ以上のイオン性化合物又は有機化合物を含み、各々のイオン性化合物が塩化物、臭化物、五酸化物、硫化物、又は硫酸塩を含み、且つ前記活性酸素種が1つ以上の過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素を含むことと、
前記カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で前記溶液を加熱することであって、前記カソード活物質の前記沈殿物が活性酸素種誘導体、前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種誘導体、又は前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種を含むことと、
前記カソード活物質を集めることと、
前記集められたカソード活物質を乾燥させることとを含む、方法。
【請求項26】
前記吸湿性種が遷移金属を実質的に含まない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記吸湿性種が、トルキセノン、トルキセノン誘導体、フェノキサジン、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体、キノン、キノン誘導体、ジアミン誘導体、フェナジン、フェナジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、ジメトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン誘導体、シクロプロペニウム誘導体、及びアミド誘導体から選択される1つ以上の有機化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記吸湿性種が、1つ以上の窒素又は酸素原子をそれぞれ独立に導入する1つ以上の有機化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記活性酸素種が少なくとも1つの過酸化物部分を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法を用いて調製されるカソード活物質。
【請求項31】
電池用のカソードを製造する方法であって、
吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することであって、前記吸湿性種が1つ以上のイオン性化合物又は有機化合物を含み、各々のイオン性化合物が塩化物、臭化物、五酸化物、硫化物、又は硫酸塩を含み、且つ前記活性酸素種が1つ以上の過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素を含むことと、
カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で前記溶液を加熱することであって、前記カソード活物質の前記沈殿物が活性酸素種誘導体、前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種誘導体、又は前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種を含むことと、
前記カソード活物質を集めることと、
前記集められたカソード活物質を乾燥させることと、
前記カソード活物質を電気導電材料、及びポリマーバインダーのうちの1つ以上と組み合わせることと、
組み合わされたカソード材料を集電体上に堆積させて前記カソードを作ることとを含む方法。
【請求項32】
前記カソード活物質を電気導電材料と組み合わせることが、前記カソード活物質をカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む多孔性炭素材料と組み合わせることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記カソード活物質を電気導電材料又はポリマーバインダーと組み合わせることが、前記カソード活物質を可塑剤と組み合わせることを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記組み合わされたカソード材料を前記集電体上に堆積させることが、前記組み合わされたカソード材料を、モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含む金属集電体上に堆積させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法に従って製造されるカソードを含む電池であって、前記カソードが、前記電池の全寿命の間に1mg/1mAh未満のガス酸素を発生させる、電池。
【請求項36】
前記カソードが、前記電池の動作中に実質的にゼロのガス酸素を発生させる、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも500mAh/gの放電容量を示す、請求項35に記載の電池。
【請求項38】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる、請求項35に記載の電池。
【請求項39】
アノードを更に含む請求項35に記載の電池であって、前記アノードが、アノード材料の外部表面をコートしているコーティング層を含み、前記コーティング層が炭素及び酸素を含む、電池。
【請求項40】
電解質を更に含む請求項35に記載の電池であって、温室効果ガスが液化され、前記電解質と接触しており、その中に溶解される、電池。
【請求項41】
前記温室効果ガスが、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、テトラフルオロメタン(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、六フッ化硫黄(SF)、四塩化炭素(CCl)、パーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、及びハイドロフルオロカーボンのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の電池。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、且つxは、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
MyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質であって、
前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、カソード活物質。
【請求項2】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項3】
少なくとも、前記金属化合物の一部及び前記金属酸化物の一部が組合せで、MaRcOd(式中、a、c、及びdの各々は、同じであっても異なっていてもよい0でない正の実数である)の実験式を有するクラスターを形成する、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項4】
各Rは独立に、有機部分又はハロゲンである、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項5】
Rが有機部分であるとき、Rが、窒素、塩素、臭素、フッ素、硫黄、リン、及びホウ素から独立に選択される1つ以上のヘテロ原子を含む有機部分である、請求項4に記載のカソード活物質。
【請求項6】
前記金属酸化物が金属超酸化物及び/又は金属過酸化物を含む、請求項1に記載のカソード活物質。
【請求項7】
金属化合物と金属酸化物とを含むカソード活物質であって、前記金属化合物がMRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、且つxは、0でない正の実数である)の実験式を有し、前記金属酸化物がMyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有し、前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触するようになっている、カソード活物質と、
電気導電材料であって、
前記金属化合物及び前記金属酸化物の一方又は両方が前記電気導電材料と接触するようになっている、電気導電材料とを含むカソード材料。
【請求項8】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムから選択される、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項9】
前記電気導電材料が多孔性炭素材料を含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項10】
前記多孔性炭素材料がホウ素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる、請求項9に記載のカソード材料。
【請求項11】
前記電気導電材料がカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項12】
ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を更に含む、請求項7に記載のカソード材料。
【請求項13】
カソードを有する電池であって、前記カソードが、MRx(式中、Mは金属であり、Rは原子、分子、又はラジカルであり、Rは-1の酸化数を有し、xは、0でない正の実数である)の実験式を有する金属化合物と、
MyOz(式中、Mは、前記金属化合物中に見出されるのと同じ金属であり、且つy及びzは独立に、0でない正の実数である)の実験式を有する金属酸化物とを含むカソード活物質を含み、前記金属化合物と前記金属酸化物とが接触している、電池。
【請求項14】
前記カソードが、前記電池の動作中にガス酸素を実質的に発生させない、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも500mAh/gの放電容量を示す、請求項13に記載の電池。
【請求項16】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる、請求項13に記載の電池。
【請求項17】
実質的に再充電可能である、請求項13に記載の電池。
【請求項18】
室温で動作可能である、請求項13に記載の電池。
【請求項19】
アノードを更に含む請求項13に記載の電池であって、前記アノードが、アノード材料の外部表面上のコーティング層によって少なくとも部分的に封止されるアノード活物質を含み、前記コーティング層が、炭素及び酸素を含む、電池。
【請求項20】
電解質を更に含む請求項13に記載の電池であって、前記電解質が有機アミド化合物を含む、電池。
【請求項21】
液化され、前記電解質と接触しているか、又は前記電解質中に溶解される温室効果ガスを更に含む、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
前記温室効果ガスが、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、六フッ化硫黄(SF)、パーフルオロカーボン化合物、クロロフルオロカーボン化合物、及びハイドロフルオロカーボン化合物のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の電池。
【請求項23】
セパレーターを更に含む請求項13に記載の電池であって、前記セパレーターがポリマー材料を含む、電池。
【請求項24】
モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上の合金を含む集電体を更に含む、請求項13に記載の電池。
【請求項25】
カソード活物質を製造する方法であって、
吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することであって、前記吸湿性種が1つ以上のイオン性化合物又は有機化合物を含み、各々のイオン性化合物が塩化物、臭化物、五酸化物、硫化物、又は硫酸塩を含み、且つ前記活性酸素種が1つ以上の過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素を含むことと、
前記カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で前記溶液を加熱することであって、前記カソード活物質の前記沈殿物が活性酸素種誘導体、前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種誘導体、又は前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種を含むことと、
前記カソード活物質を集めることと、
前記集められたカソード活物質を乾燥させることとを含む、方法。
【請求項26】
前記吸湿性種が遷移金属を実質的に含まない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記吸湿性種が、トルキセノン、トルキセノン誘導体、フェノキサジン、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体、キノン、キノン誘導体、ジアミン誘導体、フェナジン、フェナジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、ジメトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン誘導体、シクロプロペニウム誘導体、及びアミド誘導体から選択される1つ以上の有機化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記吸湿性種が、1つ以上の窒素又は酸素原子をそれぞれ独立に導入する1つ以上の有機化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記活性酸素種が少なくとも1つの過酸化物部分を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法を用いて調製されるカソード活物質。
【請求項31】
電池用のカソードを製造する方法であって、
吸湿性種と活性酸素種との溶液を調製することであって、前記吸湿性種が1つ以上のイオン性化合物又は有機化合物を含み、各々のイオン性化合物が塩化物、臭化物、五酸化物、硫化物、又は硫酸塩を含み、且つ前記活性酸素種が1つ以上の過酸化物、超酸化物、超酸化物ラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、ペルヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、一重項酸素、次亜塩素酸、及びアルファ酸素を含むことと、
カソード活物質の沈殿物が形成されるために十分な時間の間約400℃より低い温度で前記溶液を加熱することであって、前記カソード活物質の前記沈殿物が活性酸素種誘導体、前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種誘導体、又は前記吸湿性種と組み合わされた前記活性酸素種を含むことと、
前記カソード活物質を集めることと、
前記集められたカソード活物質を乾燥させることと、
前記カソード活物質を電気導電材料、及びポリマーバインダーのうちの1つ以上と組み合わせることと、
組み合わされたカソード材料を集電体上に堆積させて前記カソードを作ることとを含む方法。
【請求項32】
前記カソード活物質を電気導電材料と組み合わせることが、前記カソード活物質をカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含む多孔性炭素材料と組み合わせることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カソード活物質を電気導電材料又はポリマーバインダーと組み合わせることが、前記カソード活物質を可塑剤と組み合わせることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記組み合わされたカソード材料を前記集電体上に堆積させることが、前記組み合わされたカソード材料を、モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含む金属集電体上に堆積させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法に従って製造されるカソードを含む電池であって、前記カソードが、前記電池の全寿命の間に1mg/1mAh未満のガス酸素を発生させる、電池。
【請求項36】
前記カソードが、前記電池の動作中に実質的にゼロのガス酸素を発生させる、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも500mAh/gの放電容量を示す、請求項35に記載の電池。
【請求項38】
0.1mA/cm以上の電流密度で少なくとも3.0Vの平均動作放電電位を生じることができる、請求項35に記載の電池。
【請求項39】
アノードを更に含む請求項35に記載の電池であって、前記アノードが、アノード材料の外部表面をコートしているコーティング層を含み、前記コーティング層が炭素及び酸素を含む、電池。
【請求項40】
電解質を更に含む請求項35に記載の電池であって、温室効果ガスが液化され、前記電解質と接触しており、その中に溶解される、電池。
【請求項41】
前記温室効果ガスが、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、テトラフルオロメタン(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、六フッ化硫黄(SF)、四塩化炭素(CCl)、パーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、及びハイドロフルオロカーボンのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の電池。
【国際調査報告】