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特表2024-508614グラフェン系カソード材料のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】グラフェン系カソード材料のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240220BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240220BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20240220BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20240220BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20240220BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 B
C01B32/194
B82Y40/00
B82Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544347
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2022070242
(87)【国際公開番号】W WO2022159943
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/139,261
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523121624
【氏名又は名称】ネクステック バッテリーズ、インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523274148
【氏名又は名称】フェイバーズ, ザッカリー
(71)【出願人】
【識別番号】523274159
【氏名又は名称】パターソン, ダスティン
(71)【出願人】
【識別番号】523274160
【氏名又は名称】アルバーノ, ファビオ
(71)【出願人】
【識別番号】523274171
【氏名又は名称】バーガー, ビル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フェイバーズ, ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】パターソン, ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】アルバーノ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】バーガー, ビル
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB01
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AD25
4G146BC32B
4G146BC47
4G146CB10
4G146CB12
4G146CB20
4G146CB26
4G146CB32
4G146CB35
4G146CB37
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA11
5H050DA02
5H050DA10
5H050EA08
5H050EA21
5H050EA30
5H050FA17
5H050FA19
5H050GA02
5H050GA12
5H050GA14
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA10
5H050HA14
(57)【要約】
活物質を含む組成物、およびそれを形成する方法。活物質を製造する方法は、1種または複数のポリカルコゲン含有液体を調製すること、グラフェンナノプレートレット含有液体を調製すること、有機酸液体を調製すること、および液体、懸濁液、またはエマルジョンの形をとることができる様々な液体を混合して、混合物を形成することを含むことができる。さらに、方法は、混合物を濾過して濾液を生成すること、および濾液を乾燥して活物質を生成することを含むことができる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質を製造する方法であって、
ポリカルコゲン含有液体を調製すること、
グラフェンナノプレートレット含有液体を調製すること、
酸系液体を調製すること、
前記ポリカルコゲン含有液体、前記グラフェンナノプレートレット含有液体、および前記酸系液体のうちの少なくとも1種を、均一な混合物に混合すること、
前記混合物を濾過して濾液を生成すること、ならびに
前記濾液を乾燥して、乾燥粉末を含む活物質を生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリカルコゲン含有液体を調製することが、
ある量のカルコゲンおよび/またはある量のカルコゲン塩を、ある量の水と混合して、前駆体ポリカルコゲン液体を作製すること、
前記前駆体ポリカルコゲン液体を所定の温度に加熱すること、ならびに
所定の時間にわたり撹拌すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリカルコゲン液体がポリスルフィド液体を含み、前記カルコゲンが硫黄である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリカルコゲン液体がポリテルリド液体を含み、前記カルコゲンがテルルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリカルコゲン液体がポリセレニド液体を含み、前記カルコゲンがセレンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記グラフェンナノプレートレット含有液体を調製することが、
ある量のグラフェンナノプレートレットを、ある量の水と混合して、前駆体グラフェンナノプレートレット含有液体を作製すること、
前記前駆体グラフェンナノプレートレット含有液体を、所定の温度に加熱すること、および
高エネルギー法(浴超音波処理、プローブ超音波処理、キャビテーション、ボールミリング、および撹拌など)を使用して、前記液体を所定の長さの時間にわたり分散させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸系液体を調製することが、
酸を水に溶解して、所望の酸濃度を有する酸混合物を作製すること、
前記酸混合物を所定の温度に冷却すること、および
前記酸混合物に冷水を添加して、特定の濃度に到達させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ある量の水を所定の温度に冷却すること、
前記グラフェンナノプレートレット含有液体を前記水と混ぜ入れて、第1の混合物を形成すること、
前記ポリカルコゲン含有液体を前記第1の混合物と混ぜ入れること、
エチレンジアミンを前記第1の混合物と混ぜ入れること、
エタノールを前記第1の混合物と混ぜ入れること、
前記第1の混合物の温度が所定の温度範囲内にあることを決定すること、および
前記酸系液体を前記第1の混合物に混合すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を濾過して前記濾液を生成することが、ある特定のpHに到達するまで前記濾液を水で濯ぐことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記濾液を乾燥して前記活物質を生成することが、
前記濾液をオーブン内に、所定の時間にわたりおよび/または第1の所定の温度で配置すること、
前記濾液を炉内に、所定の時間にわたりおよび/または第2の所定の温度で配置することによって、前記濾液を熱処理すること
をさらに含み、前記炉内の気体組成が、実質的に不活性であり、アルゴンとすることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カルコゲン、およびグラフェンナノプレートレットを含む、活物質。
【請求項12】
前記グラフェンナノプレートレットおよび/または前記カルコゲンが、アミンと複合体を形成する、請求項11に記載の活物質。
【請求項13】
前記複合体が、アミン官能基と、前記グラフェンナノプレートレットおよび前記カルコゲンの少なくとも1種との間の非共有相互作用を使用して与えられる、請求項12に記載の活物質。
【請求項14】
前記グラフェンナノプレートレットが、前記活物質全体にわたり均一に分散する、請求項11に記載の活物質。
【請求項15】
前記グラフェンナノプレートレットの均一な分散が、前記カルコゲンと複合体化したアミンによって推進される、請求項14に記載の活物質。
【請求項16】
前記グラフェンナノプレートレットがアミンで修飾される、請求項11に記載の活物質。
【請求項17】
前記活物質中のカルコゲンの濃度が、30重量%から95重量%の間である、請求項11に記載の活物質。
【請求項18】
前記グラフェンナノプレートレットの濃度が、5重量%から70重量%の間である、請求項11に記載の活物質。
【請求項19】
アミンが、限定するものではないがEDA、EDTA、カダベリン、プトレシン、ジアミン、トリアミン、およびこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の活物質。
【請求項20】
前記カルコゲンの粒度範囲が、1nmから1000nmに及ぶ、請求項11に記載の活物質。
【請求項21】
前記グラフェンナノプレートレットの粒度範囲が、1μmから1000μmに及ぶ、請求項11に記載の活物質。
【請求項22】
前記カルコゲンが硫黄である、請求項11に記載の活物質。
【請求項23】
前記カルコゲンが、2種の元素、一次カルコゲン元素および二次カルコゲン元素を含み、前記一次カルコゲン元素が硫黄を含み、前記二次カルコゲン元素がテルル、セレン、別のカルコゲン元素、ポスト遷移金属、またはこれらの混合物を含む、請求項11に記載の活物質。
【請求項24】
前記二次カルコゲン元素の濃度が、1重量%から30重量%に及ぶ、請求項23に記載の活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、2021年1月19日に出願されかつその全体が本明細書に組み込まれる米国出願第63/139,261号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書は、一般に、リチウム-硫黄バッテリーカソード用の活物質を含む再充電可能バッテリーの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
再充電可能バッテリー、例えばニッケル-カドミウム、リチウムイオン、およびリチウム-硫黄(L-S)バッテリーについては多様な化学が提案されてきた。バッテリー駆動式車両およびモバイルデバイスが益々普及するにつれ、大規模で確実に製造することができる、高耐久性、軽量、効率的、および安価なバッテリーが求められている。リチウム-硫黄バッテリーは、約1675mAhg-1の極めて高い比容量および約600Whkg-1の高い比エネルギーを有するので、特に関心のあるものである。比較的稀なコバルトとは異なり、硫黄は豊富で容易に入手可能であり、安価である。硫黄は、無毒性でもあり、カソード材料として用いるのが比較的容易である。
【0004】
これらの利点にも関わらず、硫黄は非常に抵抗性がある。このため硫黄は、他の伝導性材料の添加がないと、カソード材料として困難になる。この抵抗性を克服するため、還元した酸化グラフェンからの高伝導性グラフェンを硫黄と混合して、硫黄の電気抵抗率を克服する研究が行われてきた。
【0005】
これらの伝統的な手法に限定すると、グラフェンは極めて疎水性である。その結果、スラリーに均一に混合することが難しい。酸化グラフェンは、グラフェンと同じ疎水特性を示さないが、酸化グラフェンをグラフェンに還元するプロセスは費用がかかり、予測不可能であり、高度に不安定となりやすい。還元した酸化グラフェンから形成されたグラフェンは、しばしば、有用なグラフェン-硫黄活物質を確実に生成することができず、しばしば、還元された酸化グラフェンから形成されたグラフェン中に典型的に見出される望ましくない不純物により、かなりの予測不可能性、プロセスの不確実性、高コスト、不十分な規模拡張性、および廃棄された資源がもたらされる。
【0006】
酸化グラフェン系活物質の使用は、非常に長い予測不可能な合成時間をもたらす。これは酸化グラフェンの不均一およびランダムな性質に起因する可能性がある。硫黄ナノ粒子が形成されかつ酸化グラフェンの表面に吸着される酸性化反応は、存在する酸化グラフェンの特定の性質に影響を受ける。これに起因して、合成時間は、そのバッチに存在する酸化グラフェンの特定の性質に応じて3時間から24時間に及ぶ可能性がある。Li-Sバッテリー用の硫黄酸化グラフェン複合体を作製することを記述する文献は、硫黄還元型酸化グラフェン生成物を得ることを主張する。さらに、合成プロセスにおける任意の硫黄種が酸化グラフェンを還元することを裏付ける、Li-Sバッテリーの文献での非常に少ない証拠しかない。炭素硫黄結合が硫黄と酸化グラフェンとの間に形成されることの典型的な証拠は、存在する場合には、不均質材料を分析するときに限界があるXPS分光法である。さらに、硫黄と酸素官能化黒鉛炭素との間の共有結合が、Li-Sバッテリー文献で提示される合成条件下で形成されることを示すまたは示唆する例は、化学文献にはない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の態様は、活物質および活物質を製造する方法を提供することによって、これらの問題に対処する。
【0008】
概要
例示的な方法では、活物質を製造する方法が:1種または複数のポリカルコゲン含有液体を調製すること;グラフェンナノプレートレット含有液体を調製すること;酸系液体を調製すること;ポリカルコゲン含有液体、グラフェンナノプレートレット含有液体、および酸系液体のうちの少なくとも1種を均一な混合物に混合すること;混合物を濾過して濾液を生成すること;ならびに濾液を乾燥して、乾燥粉末を含む活物質を生成することを含む、活物質を製造する方法を含むことができることが記述される。
【0009】
本明細書に記述される方法により作製された、カルコゲンおよびグラフェンナノプレートレットを含む活物質も開示される。
【0010】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体を調製することは、ある量のカルコゲンおよび/またはある量のカルコゲン塩を、ある量の水と混合して、前駆体ポリカルコゲン液体を作製すること、前駆体ポリカルコゲン液体を所定の温度に加熱すること;ならびに前駆体ポリカルコゲン液体を所定の時間にわたり撹拌して、ポリカルコゲン液体を形成することを含むことができる。
【0011】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体は、ポリスルフィド液体とすることができ;カルコゲンを硫黄とすることができる。
【0012】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体は、ポリテルル液体とすることができ;カルコゲンをテルルとすることができる。
【0013】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体は、ポリセレン液体とすることができ;カルコゲンをセレンとすることができる。
【0014】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体は、上記ポリカルコゲン液体の2種またはそれよりも多くの組合せとすることができる。
【0015】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製することは、ある量のグラフェンナノプレートレットをある量の水と混合して、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を作製すること、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を所定の温度に加熱すること、および前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を所定の長さの時間にわたり超音波処理して、グラフェンナノプレートレット懸濁液を形成することを含むことができる。
【0016】
さらに、または代わりに、有機酸液体(例えば、クエン酸液体)を調製することは、ある量の有機酸(例えば、クエン酸)をある量の水に溶解して、ある量の有機酸液体を作製すること、有機酸液体を所定の温度に冷却すること、および第2の量の冷水を有機酸液体に添加して、第2の量の有機酸液体を作製することを含むことができる。
【0017】
さらに、または代わりに、ポリカルコゲン液体、グラフェンナノプレートレット懸濁液、および有機酸液体を、エチレンジアミンおよびエタノールと混合して、混合物を形成することは、ある量の水を所定の温度に冷却すること、グラフェンナノプレートレット懸濁液を、ある量の水と混ぜ入れて、第1の混合物を形成すること、ポリカルコゲン液体を第1の混合物と混ぜ入れて、第2の混合物を形成すること、エチレンジアミンを第2の混合物と混ぜ入れて、第3の混合物を形成すること、エタノールを第3の混合物と混ぜ入れて、第4の混合物を形成すること、第4の混合物の温度が所定の温度範囲内にあることを決定すること、および有機酸液体を第4の混合物に混ぜ入れて、第5の混合物を形成することを含むことができる。
【0018】
さらに、または代わりに、混合物を濾過して濾液を生成することは、混合物をブフナー漏斗内に排出して第1の濾液を生成すること、および第1の濾液を、濯ぐことにより発生した流出水が濾液を形成する所定のpH範囲内になるまで水で濯ぐことを含むことができる。
【0019】
さらに、または代わりに、濾液を乾燥して活物質を生成することは、濾液をオーブン内に所定の時間にわたりおよび/または第1の所定の温度で配置すること、および濾液を炉内に所定の時間および/または第2の所定の温度で配置することにより濾液を熱処理し、活物質を形成することを含むことができ、炉内の気体組成は実質的にアルゴンである。
【0020】
実施例の活物質では、活物質は:カルコゲン、グラフェンナノプレートレット、およびアミンの1種または複数を含むことができる。
【0021】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットおよび/またはカルコゲンは、アミンと複合体を形成することができる。
【0022】
さらに、または代わりに、アンモニウムと、グラフェンナノプレートレットおよびカルコゲンの少なくとも1種との間の非共有相互作用を使用して複合体を与えることができる。
【0023】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットは、活物質全体にわたり均一に分散することができる。
【0024】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットの均一な分散は、カルコゲンと複合体化したアミンによって推進させることができる。
【0025】
さらに、または代わりに、活物質内のカルコゲンの濃度は、30重量%から95重量%の間にすることができる。
【0026】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットの濃度は、5重量%から70重量%の間にすることができる。
【0027】
さらに、または代わりに、キレート剤(エチレンジアミン)は、様々なアミン(ジアミン、トリアミン、テトラミン)またはアミノカルボン酸(APCA)の少なくとも1種を含むことができ、その例には、EDA、カダベリン、プトレシン、EDTA、DTPA、およびEDDSが含まれる。
【0028】
さらに、または代わりに、カルコゲンの粒度範囲は、1nmから100nmの間にすることができる。
【0029】
さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットの粒度範囲は、1μmから1,000μmの間にすることができる。
【0030】
さらに、または代わりに、カルコゲンは硫黄とすることができる。
【0031】
さらに、または代わりに、カルコゲンはドーパントを含むことができ、ドーパントは、テルルまたはセレンの1種または複数を含むことができる。
【0032】
さらに、または代わりに、ドーパントの濃度は、1重量%から10重量%の間にすることができる。
【0033】
前述の一般的概要および以下の詳細な記述の両方は、例示的であって本発明を制限せず、請求項に記載された通りである。
【0034】
本明細書に組み込まれかつ一部を構成する添付図面は、実施形態を示し、その記述と一緒になって本発明の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、活物質を製造するための従来技術の方法のフローチャートである。
【0036】
図2A図2Aは、本開示の実施形態による活物質を製造する方法のフローチャートである。
【0037】
図2B図2Bおよび2Cは、図1Aの製造プロセスから製造された活物質の顕微鏡写真である。
図2C図2Bおよび2Cは、図1Aの製造プロセスから製造された活物質の顕微鏡写真である。
【0038】
図3図3は、実施例による活物質を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0039】
図4図4は、実施例によるポリカルコゲン液体を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0040】
図5図5は、実施例によるグラフェンナノプレートレット懸濁液を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0041】
図6図6は、実施例による有機酸液体を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0042】
図7図7は、実施例による活物質混合物を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0043】
図8図8は、実施例による活物質混合物から濾液を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0044】
図9図9は、実施例による濾液から活物質を製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0045】
図10A図10Aは、実施例による追加の処理の前の活物質の顕微鏡写真である。
【0046】
図10B図10Bは、実施例による追加の処理の後の活物質の顕微鏡写真である。
【0047】
図11A図11Aは、実施例による追加の処理の前のセレンドープ型活物質の顕微鏡写真である。
【0048】
図11B図11Bは、実施例による追加の処理の後のセレンドープ型活物質の顕微鏡写真である。
【0049】
図12図12は、実施例による酸化グラフェン活物質およびグラフェンナノプレートレット活物質の比エネルギーとcレートとの間の関係を示すグラフである。
【0050】
図13図13は、実施例によるグラフェンナノプレートレット活物質およびセレンドープ型グラフェンナノプレートレット活物質の形成容量と電圧との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
本開示の実施形態は、活物質を作製するためのプロセス、ならびに活物質として使用するのに適した、結果的に得られる材料組成物を含む。活物質は、カソード活物質とすることができ、より詳細には活物質は、グラフェンナノプレートレット、アミンキレート剤、およびカルコゲンを含むことができる。グラフェンナノプレートレットは、グラフェンシートの実質的に平らな積層体である黒鉛粒子であって、その厚さ(z)がナノメートル程度、典型的には100nm未満であり、横方向サイズ(x,y)が厚さより大きいものと定義することができる。グラフェンナノプレートレットは、高い単層含量を含むことができ、例えばグラフェンナノプレートレットの少なくとも95%が単層ナノプレートレットであってもよい。グラフェンナノプレートレットは、高度な結晶化度(例えば、低い欠陥数)を含むことができる。グラフェンナノプレートレットは、親水性とすることができ、グラフェンナノプレートレット懸濁液の製造中の改善された分散が得られる。
【0052】
一実施形態では、本明細書に記述されるグラフェンナノプレートレットは、還元された酸化グラフェンから形成されたグラフェンよりも低い不純物含量を有する。本明細書で使用される不純物は、カルコゲン(例えば、硫黄、セレン、テルル);原始状態の、黒鉛状態の、およびプレートレット状態のグラフェン;およびアミンを除外する。
【0053】
アミンキレート剤は、EDA;EDTA;カダベリン;プトレシン;ジアミン;またはトリアミンの少なくとも1種を含むことができる。カルコゲンは:硫黄(S);テルル(Te);またはセレン(Se)の少なくとも1種を含むことができる。カルコゲンは典型的には、不十分な導電体であり、したがってドーパントは、活物質の導電率を改善するために活物質に含められてもよい。硫黄は特に、非常に不十分な導電体であり、硫黄よりも高性能の導電体であるTeまたはSeのようなその他のカルコゲンを添加することにより、活物質の導電率、バッテリー活物質に望ましい性質を改善することができる。ドーパントは:テルル、セレン、アンチモン、ヒ素、リン、ゲルマニウム、その他のp-ブロック元素、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、または遷移金属窒化物の少なくとも1種を含むことができる。
【0054】
実施例では、ドーパントは、活物質の導電率が増大する間、電気活性とすることができる。さらに、低次リチウム-ポリスルフィドは一般に、典型的な電解質溶媒(DME、DOL、TTE、BTFEなど)に不溶性である。ポリスルフィド骨格中へのTeまたはSeの組込みは、極性結合、ならびにポリスルフィドと比較したときにさらに全体的に分極可能な分子を創出する。この結果、増大した溶解度がもたらされる。TeまたはSeの添加を経た、この増大した溶解度は、酸化状態の変化およびセル内でのより高次から低次へのポリカルコゲナイドの変換の加速化のために、活性化エネルギーを低下させることができる。
【0055】
活物質は、銅またはアルミニウムの少なくとも1種を含む導電性ベースに付着させることができる。活物質は、「固体」(例えば、高度に粘性のある)電解質を含む固体バッテリー、または液体電解質を利用する「湿式」バッテリーで使用することができる。理論に拘泥するものではないが、非硫黄カルコゲンは、硫黄変換反応の動態を改善できることが予測される。
【0056】
本明細書に記述されるおよび請求項に記載される「液体」は、液体、懸濁液、エマルジョン、またはこれらの組合せを含むことを意味する。例えば、ポリカルコゲン含有液体の記述は、ポリカルコゲン含有液体、懸濁液、エマルジョン、またはこれらの組合せを包含することを意図する。同様に、グラフェンナノプレートレット含有液体の記述は、グラフェンナノプレートレット含有液体、懸濁液、エマルジョン、またはこれらの組合せを包含することを意図する。また、酸系液体の記述は、酸系液体、懸濁液、エマルジョン、またはこれらの組合せを包含することを意図する。
【0057】
活物質を製造する方法は、1種または複数のポリカルコゲン液体を調製すること、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製すること、および有機酸液体を調製することを含むことができる。調製は、必ずしも特定の順序で行う必要はなく、同時に行うことができる。
【0058】
液体および懸濁液を混合するために、方法は、少なくともポリカルコゲン液体、グラフェンナノプレートレット懸濁液、および有機酸液体を混合して混合物を形成することを含むことができる。混合は、エタノールおよび/またはエチレンジアミンなど、その他の材料の添加を含むことができる。
【0059】
混合物を濾過し乾燥するために、方法は、混合物を濾過して濾液を生成し、濾液を乾燥して活物質を生成することができる。
【0060】
本明細書のより良い理解を容易にするため、以下の例示的な実施形態を提供する。以下の実施形態は、本明細書の範囲を限定または画定するよう読まれるものではない。実施形態およびその利点は、同様の番号が同様のおよび対応する部分を示すのに使用される図を参照することによって、最も良く理解される。
【0061】
図1は、従来技術のリチウム-硫黄カソード材料に関する従来技術の方法を示すフローチャートである。
【0062】
図2Aは、本開示の実施形態による、材料を加熱し冷却する方法を示す、フローチャートである。
【0063】
実施形態では、方法は、電子活性硫黄-グラフェン複合材料(例えば、活物質)を生成することができる。方法は、1種または複数の粉末の機械的混合、次いで高温での1種または複数の粉末の熱処理を含むことができる。
【0064】
1種または複数の粉末は、硫黄および/またはグラフェンナノプレートレットを含むことができる。好ましくは硫黄の純度が99.9%またはそれよりも高い硫黄は、好ましくは200メッシュまたはそれよりも小さいミクロンサイズの粒度の出発材料として使用することができる。硫黄は、所定の比で、好ましくは質量で88:12の比で、グラフェンナノプレートレットなどの1種または複数の炭素材料に添加することができる。硫黄およびグラフェンナノプレートレットは、粒度をさらに低減させるよう、および2種の粉末を均質混合物へと混合するように、所定の時間にわたり運転することができる、イットリア安定化ジルコニアで作製されたボールミルなどのミリング容器内に配置することができる。
【0065】
その後、この混合された粉末を熱処理して、硫黄を溶融させかつ炭素表面上に拡散させることができ、これは混合物を約155℃の硫黄の最小粘度点まで加熱することによって実現することができる。得られる活物質は、硫黄-炭素複合材料を含むことができ、硫黄は、溶融によって炭素の表面に結合される。
【0066】
図2Bおよび2Cは、本開示の実施形態による、図2Aの方法から生成された活物質の顕微鏡写真である。
【0067】
図3は、実施例による活物質を製造する、例示的な方法100のフローチャートである。方法100は、1種または複数のポリカルコゲン液体を調製する方法200、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製する方法300、有機酸液体を調製する方法400、混合物を形成するために液体および/または懸濁液を混合する方法500、濾液を形成するよう混合物を濾過する方法600、および活物質を形成するよう濾液を乾燥する方法700を含むことができる。
【0068】
図4は、1種または複数のポリカルコゲン液体を製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック202で、方法200は、ある量のカルコゲンおよび/またはある量のカルコゲン塩をある量の水と混合して、1種または複数の前駆体ポリカルコゲン液体を作製することを含むことができる。実施例では、カルコゲンは硫黄を含むことができる。実施例では、第1のポリカルコゲン液体は、ポリスルフィド液体を含むことができる。カルコゲンの量は、約291gにすることができる。あるいは、カルコゲンの量は100gから312gの間の範囲内にすることができる。カルコゲン塩の量は、約750gにすることができる。あるいは、カルコゲン塩の量は、258gから804gの間の範囲内にすることができる。水の量は、約5Lにすることができる。あるいは、水の量は、1Lから10Lの間の範囲内にすることができる。
【0069】
さらに、または代わりに、ブロック202は、第2のポリカルコゲン液体を製造することをさらに含むことができる。カルコゲンは、テルルまたはセレンの少なくとも1種を含むことができる。さらに、または代わりに、第2のポリカルコゲン液体は、ポリテルル液体またはポリセレン液体の少なくとも1種を含むことができる。第2のポリカルコゲン液体を製造することは、約637.16gのNaSeOを約2.5Lの脱イオン水に添加することを含むことができる。脱イオン水の量は、2Lから3Lの範囲内にすることができる。
【0070】
ブロック204で、方法200は、第1のポリカルコゲン液体を所定の温度に加熱すること、および第1のポリカルコゲン液体を所定の時間にわたり撹拌することを含むことができる。加熱するための所定の温度は70℃にすることができる。さらに、または代わりに、加熱するための所定の温度は40℃にすることができる。あるいは、加熱するための所定の温度は、40℃から70℃の間の範囲内にすることができる。撹拌および/または加熱するための所定の時間は、約3時間(時)にすることができる。あるいは、撹拌および/または加熱するための所定の時間は、3時間から15時間の間の範囲内にすることができる。
【0071】
図5は、グラフェンナノプレートレット懸濁液を製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック302で、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製する方法300は、d10が1.3μmでありd90が9μmである近似的粒度直径および40g/Lから90g/Lの間の範囲内の見掛け密度を持つ、ある量のグラフェンナノプレートレットと、ある量の水とを混合して、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を作製することを含むことができる。グラフェンナノプレートレットの量は、約200gにすることができる。あるいは、グラフェンナノプレートレットの量は、67.54g(例えば、グラフェン硫黄複合体の30重量%の硫黄)から214.2g(例えば、グラフェン硫黄複合体の95重量%の硫黄)の間の範囲内にすることができる。水の量は、約4Lにすることができる。あるいは、水の量は、1Lから10Lの間の範囲内にすることができる。
【0072】
ブロック304で、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製する方法300は、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を所定の温度に加熱することを含むことができる。加熱するための所定の温度は40℃にすることができる。加熱するための所定の温度は70℃にすることができる。あるいは、加熱するための所定の温度は、40℃から70℃の間の範囲内にすることができる。さらに、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液は、所定の時間にわたり加熱および/または撹拌することができる。撹拌および/または加熱するための所定の時間は、約3時間にすることができる。あるいは、撹拌および/または加熱するための所定の時間は、3時間から15時間の間の範囲内にすることができる。
【0073】
ブロック306で、グラフェンナノプレートレット懸濁液を調製する方法300は、前駆体グラフェンナノプレートレット懸濁液を所定の長さの時間にわたり超音波処理して(20kHzから100kHzの範囲内、例えば35kHzの周波数で)、グラフェンナノプレートレット懸濁液を形成することを含む、高エネルギーおよび/または剪断技法を含むことができる。超音波処理するための所定の長さの時間は、約3時間にすることができる。あるいは、超音波処理するための所定の時間は、1時間から5時間の間の範囲内にすることができる。ブロック304の加熱および超音波処理は、同時に行うことができる。あるいは、加熱および超音波処理は、独立して行うことができる。グラフェンナノプレートレット懸濁液は、超音波変換器を使用して超音波処理することができる。超音波変換器は、懸濁液中に浸漬することができる。さらに、または代わりに、超音波変換器は、グラフェンナノプレートレット液体を含有する保持槽と連絡することができる。その他の高エネルギーまたは高剪断技法は:浴超音波処理、プローブ超音波処理、キャビテーション、ボールミリング、または撹拌の少なくとも1つを含むことができる。
【0074】
図6は、有機酸液体を製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック402で、有機酸液体を調製する方法400は、ある量の有機酸を、ある量の水に添加して、ある量の有機酸液体を作製することを含むことができる。水の量は約2.5Lにすることができる。あるいは、水の量は0.1Lから20Lの間の範囲内にすることができる。あるいは、水の量を0Lにすることができる。有機酸の量は、約1875gにすることができる。あるいは、有機酸の量は、5625gから1875gの間の範囲内にすることができる。
【0075】
ブロック404で、有機酸液体を調製する方法400は、ある量の有機酸を、ある量の水に溶解して、ある量の有機酸液体を作製することを含むことができる。その量の有機酸を、その量の水に溶解することは、液体を所定の長さの時間にわたり撹拌することを含むことができる。撹拌するための所定の長さの時間は、約30分にすることができる。あるいは、撹拌するための所定の時間は、1時間から5時間の間の範囲内にすることができる。
【0076】
ブロック406で、有機酸液体を調製する方法400は、有機酸液体を所定の温度に冷却することを含むことができる。冷却するための所定の温度は、約4℃にすることができる。あるいは、冷却するための所定の温度は、4℃から40℃の間の範囲内にすることができる。
【0077】
ブロック408で、1Lから120Lの間の範囲の有機酸液体を調製する方法400は、第2の量の冷水(5℃~22℃の温度範囲内)を有機酸液体に添加して、反応を完了させるのに十分な第2の量の有機酸液体を作製することを含むことができる。第2の量の冷水は、約15Lにすることができる。あるいは、第2の量の冷水は、1Lから120Lの間の範囲内にすることができる。あるいは、冷水は、有機酸液体に添加する必要がない。有機酸液体の量は、当業者に理解されるように、反応を容易にするのに十分な量にすることができる。
【0078】
図7は、活物質スラリーを製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック502で、液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、室温の水を容器に添加することを含むことができる。
【0079】
ブロック504で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、ある量の水を所定の温度に冷却することを含むことができる。冷却するための所定の温度は、約4℃にすることができる。あるいは、冷却するための所定の温度は、4℃から40℃の間の範囲内にすることができる。水の量は、約13Lにすることができる。あるいは、水の量は、0.1Lから100Lの間の範囲内にすることができる。あるいは、水の量は、0Lにすることができる。
【0080】
ブロック506で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、グラフェンナノプレートレット懸濁液を添加することを含むことができる。添加は:磁気撹拌子、インペラー、オーバーヘッドミキサー、シェイカーテーブル、または超音波処理の少なくとも1つを使用して、グラフェンナノプレートレット懸濁液をある量の水に混ぜ入れて第1の混合物を形成することを含むことができる。撹拌/混合のRPMは、25rpmから600rpmの範囲内、例えば120rpmにすることができる。
【0081】
ブロック508で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、第1のポリカルコゲン液体を添加することを含むことができる。添加は、磁気撹拌子、インペラー、オーバーヘッドミキサー、シェイカーテーブル、または超音波処理の少なくとも1つを使用して、第1のポリカルコゲン液体を第1の混合物と混ぜ入れて第2の混合物を形成することを含むことができる。
【0082】
さらに、または代わりに、ブロック508はさらに、第2のポリカルコゲン液体を添加することを含むことができる。添加は、磁気撹拌子、インペラー、オーバーヘッドミキサー、シェイカーテーブル、または超音波処理の少なくとも1つを使用して混合することを含むことができる。
【0083】
ブロック510で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、1種または複数のアミンキレート剤を第2の混合物に、第1の所定の時間に添加することを含むことができる。さらに、または代わりに、方法500は、エチレンジアミン(EDA)を第2の混合物と混ぜ入れて第3の混合物を形成することを含むことができる。さらに、または代わりに、キレート剤(例えば、エチレンジアミン)は、様々なアミン(例えば、ジアミン、トリアミン、またはテトラミン)またはアミノカルボン酸(APCA)の少なくとも1種を含むことができ、その例には、EDA、カダベリン、プトレシン、EDTA、DTPA、およびEDDSが含まれる。第1の所定の時間は、ある量の水が所定の温度に冷却してから約15分後にすることができる。さらに、または代わりに、第1の所定の時間は、ある量の水が所定の温度に冷却してから0.1分から30分の間の範囲内にすることができる。添加されるEDAの量は、約0.99Lにすることができる。あるいは、添加されるEDAの量は、0.25Lから2.5Lの間の範囲内にすることができる。
【0084】
ブロック512で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、1種または複数のアルコールを第2の所定の時間に添加することを含むことができる。さらに、または代わりに、方法500は、エタノールに第3の混合物を混ぜ入れて第4の混合物を形成することを含むことができる。1種または複数のアルコールは、エタノール、メタノール イソプロパノール ブタノール、またはt-ブチルアルコールの少なくとも1種とすることができる。第2の所定時間は、ある量の水が所定の温度に冷却された後、約20分にすることができる。さらに、または代わりに、第2の所定時間は、ある量の水が所定の温度に冷却された後、0.1から120分の間の範囲にすることができる。添加されるエタノールの量は、約2.49Lにすることができる。あるいは、添加されるエタノールの量は、0.1Lから10Lの間にすることができる。あるいは、エタノールは添加されなくてもよい。
【0085】
ブロック514で、1種または複数の液体および/または懸濁液を混合して混合物を形成する方法500は、混合物の温度が所定の温度範囲内にあることを決定すること、および決定に応じて有機酸液体を添加することを含むことができる。さらに、または代わりに、方法500は、有機酸液体を第4の混合物と混ぜ入れて第5の混合物を形成することを含むことができる。所定の温度範囲は、5℃から7℃の間の範囲内にすることができる。さらに、または代わりに、所定の範囲は、4℃から40℃の間の範囲内にすることができる。
【0086】
ブロック516で、第5の混合物は、第5の混合物中での反応を容易にするのに、所定の長さの時間にわたるさらなる処理がないままにすることができる。所定の長さの時間は、1時間から24時間の範囲内にすることができる。
【0087】
図8は、活物質スラリーから濾液を製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック602で、混合物を濾過して濾液を形成する方法600は、第1の濾液を生成するための蠕動ポンプまたは真空ポンプの少なくとも1つを使用して、混合物をブフナー漏斗内に排出することを含むことができる。さらに、混合物は、重力フィルター、ディスクフィルター、フィルタープレス、遠心分離フィルター、またはヌッチェフィルターの少なくとも1つを使用して濾過することができる。
【0088】
ブロック604で、濾液を形成するよう混合物を濾過する方法600は、濯ぎによって発生した流出水が濾液を形成する所定のpH範囲内になるまで、第1の濾液を水で濯ぐことを含むことができる。所定のpH範囲は、6から8の間の範囲内にすることができる。所定のpHは、約7にすることができる。
【0089】
図9は、濾液から活物質を製造する例示的な方法のフローチャートである。ブロック702で、濾液を乾燥して活物質を形成する方法700は、濯いだ濾液をオーブン内に、所定の時間にわたりおよび/または第1の所定の温度で配置することを含むことができる。所定の時間は、約12時間にすることができる。あるいは、所定の時間は、6時間から24時間の間の範囲内にすることができる。所定の温度は、約65℃にすることができる。あるいは、所定の温度は、4℃から80℃の間の範囲内にすることができる。
【0090】
図10Aを見ると、顕微鏡写真は、グラフェンナノプレートレットを含む、得られた活物質を示す。図11Aを見ると、顕微鏡写真は、グラフェンナノプレートレットを含む、得られたセレンドープ型活物質を示す。
【0091】
図9に戻ると、ブロック704で、濾液を乾燥して活物質を形成する方法700は、所定の温度でおよび/または所定の時間にわたって炉内で加熱された濾液を熱処理して、活物質を生成することを含むことができる。所定の時間は、約12時間にすることができる。あるいは、所定の時間は、1時間から16時間の間の範囲内にすることができる。所定の温度は、約155℃にすることができる。あるいは、所定の温度は、125℃から160℃の間の範囲内にすることができる。さらに、または代わりに、炉内の気体組成は、実質的にアルゴンまたは別の不活性ガス、例えばNまたはHeである。
【0092】
図10Bを見ると、顕微鏡写真は、グラフェンナノプレートレットを含む、得られた活物質を示す。図11Bを見ると、顕微鏡写真は、グラフェンナノプレートレットを含む、得られたセレンドープ型活物質を示す。
【0093】
方法100は、活物質をおよそ2.8kgから3.2kgの間で生産することができる。
【0094】
実施例において、得られる活物質は、カルコゲン、グラフェンナノプレートレット、およびアミンを含むことができる。さらに、グラフェンナノプレートレットおよび/またはカルコゲンは、アミンと複合体を形成することができる。さらに、または代わりに、複合体は、アンモニウムと、グラフェンナノプレートレットおよびカルコゲンの少なくとも1種との間の非共有相互作用を使用して与えられる。さらに、または代わりに、活物質は、30重量%から95重量%の間のカルコゲンの濃度を含むことができる。さらに、カルコゲンの粒度範囲は、1nmから100nmの間にすることができる。さらに、または代わりに、活物質は、5重量%から70重量%の間の範囲内のグラフェンナノプレートレットの濃度を含むことができる。さらに、または代わりに、グラフェンナノプレートレットの粒度範囲は、1から1000umの間の範囲内にすることができる。実施例において、グラフェンナノプレートレットは、活物質全体にわたり均一に分散することができる。さらに、グラフェンナノプレートレットの均一な分散は、カルコゲンと複合体化されたアミンによって推進することができる。別の実施例では、グラフェンナノプレートレットは、アミンで修飾することができる。実施例では、カルコゲンを硫黄とすることができる。さらに、カルコゲンは、テルルおよび/またはセレン、遷移金属、遷移金属化合物、および適切なp-ブロック元素、例えばヒ素、アンチモン、リン、またはゲルマニウムをドープすることができる。ドーパントの濃度は、1重量%から10重量%の間にすることができる。
【0095】
本明細書に開示された実施例には、多数の技術的効果がある。図12を見ると、酸化グラフェン活物質およびグラフェンナノプレートレット活物質に関する放電Cレートの範囲に対する比エネルギーのドメインが示される。グラフェンナノプレートレット活物質は、酸化グラフェン活物質の性能を実質的に反映し、実質的に類似する比エネルギーをある範囲のCレート放電速度で送出し、その範囲はC/20からC/2放電速度にすることができる。有利には、グラフェンナノプレートレットは、より低い製造コストの結果、酸化グラフェンのコストの10分の1未満で生成することができる。言い換えれば、生成されたグラフェンナノプレートレット活物質の各キログラムの$/kWhは、酸化グラフェン活物質のコストの10分の1未満にすることができる。
【0096】
図13は、セレンドープ型グラフェンナノプレートレット活物質および酸化グラフェン活物質に関する充放電電圧曲線を示す。図示されるように、セレンドープ型グラフェンナノプレートレット活物質は、より高い公称セル放電電圧を、C/20から10Cまでの連続放電のCレートで生成し、放電Cレートの増大と共に、より低い分極を生成することができる。図13はさらに、グラフェンナノプレートレット活物質に関する充放電電圧曲線を示し、これはCレートの増大と共に放電電圧プロファイルにおいてさらに高い分極を示す。
【0097】
明瞭化のため別々の実施形態の文脈で記述される本明細書のある特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供できることも理解される。対照的に、簡略化のため単一の実施形態の文脈で記述される本明細書の様々な特徴は、別々にまたは任意の適切な部分組合せで、または本明細書の任意のその他の記述される実施形態で適切であるとして、提供することもできる。様々な実施形態の文脈で記述されるある特定の特徴は、そのように述べない限りそれらの実施形態の本質的な特徴ではない。
【0098】
パーセンテージとして提供された全ての濃度は、他に述べない限り重量による。
【0099】
本明細書を、特定の実施形態と併せて記述してきたが、多くの代替例、修正例、および変形例は当業者に明らかであり得る。したがって以下の請求項は、請求項の表現の範囲内に包含されるそのような代替例、修正例、および変形例の全てを包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】