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特表2024-508618乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/10 20060101AFI20240220BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01N3/10
G01B11/16 H
G01B11/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544732
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2022054241
(87)【国際公開番号】W WO2022175523
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】LU102542
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ヨングブルート
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ティボー
(72)【発明者】
【氏名】ヨリス・ベールデン
【テーマコード(参考)】
2F065
2G061
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065BB05
2F065CC11
2F065DD13
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF11
2F065GG04
2F065JJ03
2F065JJ26
2G061AA05
2G061AB01
2G061AC06
2G061BA15
2G061CA15
2G061CB04
2G061DA01
2G061EA04
2G061EB07
(57)【要約】
本発明は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法に関する。本発明によれば、そのような前記方法は、少なくとも1つの開口部(10)を備えるタンク(1)を供給するステップと、少なくとも1つの開口部(10)からタンク(1)内に膨張要素(2)を導入するステップと、膨張要素(2)を液体(6)の送液管(3)に連結するステップと、膨張要素(2)に液体(6)を充填するステップと、液体(6)を充填した膨張要素(2)を用いてタンク(1)の内壁全体に圧力Pint.をかけるステップと、タンク(1)の変形(もしあるとして)を測定するステップと、膨張要素(2)に含まれる液体(6)を抜き取るステップと、少なくとも1つの開口部(10)を通してタンク(1)から膨張要素(2)を取り出すステップとを少なくとも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法であって、
・ 少なくとも1つの開口部(10)を有する乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)を供給するステップと、
・ 膨張要素(2)を長さ方向に引き伸ばすステップと、
・ 前記少なくとも1つの開口部(10)から前記乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)内に前記膨張要素(2)を導入するステップと、
・ 前記膨張要素(2)を液体(6)の送液管(3)に連結するステップと、
・ 前記膨張要素(2)に液体(6)を充填するステップと、
・ 液体(6)を充填した前記膨張要素(2)を用いて前記乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の内壁全体に圧力Pint.をかけるステップと、
・ 前記乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の変形(もしあるとして)を測定するステップと、
・ 前記膨張要素(2)に含まれる前記液体(6)を抜き取るステップと、
・ 前記少なくとも1つの開口部(10)を通して前記乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)から前記膨張要素(2)を取り出すステップと
を少なくとも含む、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法。
【請求項2】
前記膨張要素(2)が嚢状袋(20)である、請求項1に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法。
【請求項3】
前記膨張要素(2)に第1の結合手段(4)を組み立てるステップを含む、請求項1または2に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法。
【請求項4】
前記膨張要素(2)の前記引き伸ばすステップが、前記第1の結合手段(4)に対する第1の引伸し手段(5)の少なくとも1つの並進運動によって行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法。
【請求項5】
前記液体(6)による前記膨張要素(2)の充填管(3)が前記第1の引伸し手段(5)である、請求項4に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法。
【請求項6】
前記膨張要素(2)の前記液体(6)による充填管(3)の外径が、前記少なくとも1つの開口部(10)の内径に満たない、請求項5に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法。
【請求項7】
前記液体(6)が、水または水を主体とする溶液からなる液体の群の中から選ばれ、好ましくは、前記液体(6)は水道水である、請求項1から6のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定方法。
【請求項8】
前記膨張要素(2)が、アクリロニトリルブタジエン(NBR)ゴム、水素化アクリロニトリルブタジエン(HNBR)ゴム、カルボキシル化ニトリル(XNBR)ゴム、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、ポリシロキサンビニルメチルシリコーン(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)、パーフルオロ(FFKM)ゴム、クロロプレン(CR)、ポリアクリレート(ACM)、エチレンアクリレート(AEM)および天然ゴムからなる群の中から選択される材料を主体とするものである、請求項1から7のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法。
【請求項9】
前記膨張要素(2)に前記液体(6)を充填することからなるステップの前に、前記膨張要素(2)に前記液体(6)を予充填するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法。
【請求項10】
前記膨張要素(2)に前記液体(6)を充填することからなるステップの前に、前記膨張要素(2)を膨らませるステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法。
【請求項11】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定装置であって、
・ 前記乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)内に挿入することができる膨張要素(2)であって、前記タンク(1)内への挿入後は液体(6)を収容することができる膨張要素(2)と、
・ 前記膨張要素(2)と組み立てることができる第1の結合手段(4)であって、前記膨張要素(2)の第1の引伸し手段(5)と連結することができる第1の結合手段(4)と、
・ 前記第1の結合手段(4)と連結することができる液体(6)の送液管(3)と、
・ 前記膨張要素(2)および/または前記タンク(1)の中に含まれる気体の排出手段と
を含む、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定装置。
【請求項12】
前記膨張要素(2)が嚢状袋(20)である、請求項11に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定装置。
【請求項13】
前記第1の引伸し手段(5)が軸である、請求項11または12に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンク(1)の機械的強度の測定装置。
【請求項14】
前記軸が送液管(3)である、請求項13に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置。
【請求項15】
前記膨張要素(2)に含まれる前記液体(6)を排出できるポンプを備える、請求項11から14のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置。
【請求項16】
前記膨張要素(2)が前記第1の結合手段(4)の受け部位を備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、自動車、トラック、バス、列車、航空機、自動二輪車、さらには船舶などの乗り物の分野に関する。本発明は、より詳細には、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法に関する。本発明はさらに、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクは、ライナと呼ばれる内側ジャケットであって、タンク内に収められたガスの封止機能を有するジャケットを備える。ライナは少なくとも1つの開口部を有しており、その開口部には口金が被さる。ライナおよび口金は、熱硬化性ポリマーを主体とする複合材料、たとえば、ガラス繊維および/または炭素繊維を充填したエポキシ樹脂またはポリウレタン樹脂などを主体とする複合材料の帯を巻き付けることによって実現されるのが一般的な補強構造によって包まれる。このように、「プラスチック」タイプのライナは、タンクの充填および抜取りのための少なくとも1つの開口部を有する。こうしたライナは、ポリエチレン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリウレタン、シリコーンなどの熱可塑性または熱硬化性(「thermodur」と略記)ポリマー材料の射出成形、回転成形または押出しブロー成形によって製作される。このようなタンクはIV型と呼ばれる。代替法では、タンクは、単純に、ライナなしの熱可塑性複合材料製のシェルからなる。このようなタンクはV型と呼ばれる。
【0003】
これら乗り物用加圧ガス貯蔵タンクは、機械的強度試験にかけられる。試験は、前記タンクを公称圧力Pnのほぼ1.5倍の圧力Pint.にかけるというもので、この公称圧力Pnは、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの使い方によるが、一般におよそ350~700バールである。
【0004】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度試験の際、前記タンクの加圧は、一般的には水である液体によって行われる。試験対象のタンクには液体が満たされ、公称圧力Pnの1.5倍まで引き上げられた圧力Pint.がかけられる。試験圧力Pint.に到達した時点で、またはタンクが試験圧力Pint.に一定時間保持された後、タンクの変形の測定が行われる。こうした機械的強度試験は、欧州規格EC79などに規定された弾性膨張および永久膨張の測定に特に対応する。
【0005】
機械的強度試験を終えたタンクは、試験液体を抜き取られ、加圧ガス貯蔵のための使用などに備えて乾燥させなければならない。タンクの乾燥は完璧に行う必要があるため、その乾燥作業は比較的長く、複雑なものとなり、その結果、その作業によって製造サイクル時間は長くなる。また、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクは、吸水性を有するために水に対する感受性の高いポリマーであるポリアミド製の「ライナ」をしばしば備えており、そのためにポリアミドの性質が変わってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のそうした不都合を是正することを目的とする。
【0007】
より詳細には、本発明の目的の1つは、その実施形態のうちの少なくとも1つにおいて、既存の方法よりもサイクル時間の短い乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法を実施することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、その実施形態のうちの少なくとも1つにおいて、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置を供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの具体的な実施形態によれば、本発明は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法に関する。
【0010】
本発明によれば、その方法は、
・ 少なくとも1つの開口部を有する乗り物用加圧ガス貯蔵タンクを供給するステップと、
・ 膨張要素を長さ方向に引き伸ばすステップと、
・ 第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に膨張要素を挿入するステップと、
・ 膨張要素を液体の送液管に連結するステップと、
・ 膨張要素に液体を充填するステップと、
・ 液体を充填した膨張要素を用いて乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁全体に圧力Pint.をかけるステップと、
・ 乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)を測定するステップと、
・ 膨張要素に含まれる液体を抜き取るステップと、
・ 第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部を通して乗り物用加圧ガス貯蔵タンクから膨張要素を取り出すステップと
を少なくとも含む。
【0011】
本発明の基本原理は、機械的強度試験の際に乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に挿入した膨張要素を使用するところにある。この膨張要素は、試験の際には液体が充填され、液体と乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁とが直に接するのを避けながら乗り物用加圧ガス貯蔵タンクに圧力をかけることを可能にする。
【0012】
このように、本発明は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法を実施するための全く新しい発明的なアプローチに基づいており、試験実施後に試験対象タンクの長時間にわたる乾燥ステップを必要とせず、タンク内部を構成するライナが劣化するような事態を防ぐことができる。実際、試験後に膨張要素を乗り物用加圧ガス貯蔵タンクから引き抜くと、内壁はなお乾燥したままである。また、本発明による方法では乾燥機の使用を回避することができ、それによって乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの製造コストおよび試験コストを減らすことができる。
【0013】
膨張要素は液体に対して不浸透性である。液体に対して不浸透性であるとは、試験実施時に液体が膨張要素を通して拡散して乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁と接することがないことを意味する。膨張要素は、たとえば、液体の重さによって乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁を覆うことができる広い面積を有するシートである。
【0014】
膨張要素に含まれる気体および(必要に応じて)タンク内に含まれる気体の排出は、膨張要素に対する液体の充填ステップで予定される。この排出は気体排出手段によって行われる。この気体はたとえば空気であり、またはトレーサガスである。トレーサガスは、有利には、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度試験と封止試験とをあわせて行うことを可能にする。実際、たとえば膨張要素とタンクの内壁との間に一定体積のトレーサガスが閉じ込められると、膨張要素に圧力をかけたときに当該体積のトレーサガスに圧力が加わる。そこで漏れが生じると、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの外でトレーサガスを検出することができる。さらに、高圧になるトレーサガスの体積は従来の方法の封止試験よりも小さくなるため、タンクが破断したときに放出されるエネルギーは小さくなり、安全装置の設計が単純になる。そのため、サイクル時間、投資額および封止試験に固有の消耗品に関して大きな利得が生じる。
【0015】
膨張要素の連結ステップは、膨張要素を少なくとも1つの開口部を通して加圧貯蔵タンク内に導入するステップに先立って行われることが好ましい。
【0016】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)を測定するステップは、たとえばタンクの直径および長さを測定するタイプの寸法測定である。この寸法測定は、カメラ、3Dスキャナ、レーザによる距離測定またはLVDT(線形可変差動変圧器を意味する英語Linear Variable Differential Transformerの頭字語)タイプの探触子、コンパレータ型システムとの接触によって行うことができる。別の例によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)の測定は、圧力が増していく間に追加される液体の量の測定に相当する体積測定である。乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)の測定が寸法測定である場合、その測定は体積膨張の計算が可能なものでなければならない。乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)を測定するこのステップは、体積膨張が許容枠の範囲内に収まっているか判定することを目的とする。前記許容枠は、タンクが同一製造ロットのタンク全体の変形平均に対して10%を超える変形を生じてはならないというものである。
【0017】
有利には、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素が嚢状袋であるものである。
【0018】
そのため、嚢状袋タイプの膨張要素は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内への膨張要素の挿入をより容易に行うことを可能にする。
【0019】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素を長さ方向に引き伸ばすステップを含むものである。
【0020】
このように膨張要素を長さ方向に引き伸ばすことは、第1の開口部と呼ぶ開口部を通して膨張要素をタンク内に容易に挿入できるようにするものであり、とりわけ、膨張要素が、第1の開口部と呼ぶタンクの開口部であって、そこを通して膨張要素が挿入される開口部の内径よりも大きな外径をもつ嚢状袋である場合はなおさらである。このようなステップは、嚢状袋を長さ方向に引き伸ばすことによってその外径を小さくすることができる。また、膨張要素を長さ方向に引き伸ばすことで、膨張要素が加圧されるときに要素に加わる応力を均一にすることができる。それにより、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁全体にかかる圧力Pint.が均一になり、それが機械的強度の測定方法の再現性を高め、信頼性のある方法とすることに寄与する。
【0021】
この長さ方向の引伸しステップは、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内への膨張要素の挿入前、挿入時または挿入後に行われ、それによって膨張要素が乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの内壁全体、特にタンクの底により迅速に接触できるようになる。そのため、挿入口となるタンクの開口部の内径よりも小さい外径を有する嚢状袋の形の膨張要素の場合は、このステップは試験時間の短縮を可能にする。膨張要素の引伸しを可能にする第1の引伸し手段は、たとえば嚢状袋の内と外との圧力差である。
【0022】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素と第1の結合手段とを組み立てるステップを含む方法である。
【0023】
膨張要素と第1の結合手段とを組み立てるこのステップは、そうして得られる組立体で高い密閉度が得られるようにするとともに、膨張要素への液体充填ステップにおける膨張要素の保持を可能にする。結合要素はまた、膨張要素の内部容積を流体で加圧装置と接続することも可能にする。
【0024】
本発明の上述の実施形態の好ましい実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素を引き伸ばすステップが、第1の結合手段に対する第1の引伸し手段の少なくとも1つの並進運動によって行われるものである。
【0025】
そのため、第1の結合手段に対する第1の引伸し手段の少なくとも1つの並進運動によって行われる膨張要素の引伸しステップは、第1の結合手段を第1の引伸し手段のカウンタサポート(counter-support)として利用することができる。
【0026】
膨張要素の引伸しを可能にする第1の引伸し手段は、膨張要素内に挿入された球などの重りであることも、機械的強度試験を行うために用いる液体の一部の重量そのものであることもできる。膨張要素の引伸しを可能にする第1の引伸し手段は、膨張要素に続いて乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの開口部の中に差し込まれた軸または棒であることもできる。別法として、膨張要素の引伸しを可能にする第1の引伸し手段はそれぞれ、膨張要素の保持手段を備えた軸であることも、たとえば磁化された軸であって、膨張要素の導入口で第1の開口部と呼ぶ開口部に対してタンクの反対側に位置する第2の開口部から導入される軸であることもできる。磁化された軸である場合、その軸は、強磁性を有する金属球と相補的なものとして利用でき、磁化された軸と金属球は、膨張要素のそれぞれの側に位置する。
【0027】
本発明の上述の実施形態の好ましい実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、液体による膨張要素の充填管が第1の引伸し手段であるものである。
【0028】
そのため、充填管を第1の引伸し手段として使用することで、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法に関連した作業の数を少なくすることができる。同じ1つの手段が、膨張要素の引伸しとその液体充填のために使用される。
【0029】
本発明の上述の実施形態の好ましい実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素の液体充填管の外径が、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部の内径に満たないものである。
【0030】
そのため、そのような管は、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部を通してタンク内に導入することができ、それによって液体の充填がより容易となる。有利には、この管は、膨張要素に含まれる液体を抜き取るために使用される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素の液体充填管が第1の結合手段を通り抜けるものである。
【0032】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、液体が、水または水を主体とする溶液からなる液体の群の中から選ばれ、好ましくは、液体は水道水、より好ましくは液体はろ過され、軟水化された水道水であるものである。
【0033】
このように、水または水を主体とする溶液から選択される液体を利用することで、密度が高く、入手が容易な液体の利用が可能となる。有利には、水は、水よりも低い沸点をもつ共沸混合物が得られるようにアルコールのような追加の溶媒を含む。ろ過され、軟水化された水道水を利用することにより、膨張要素内または/および機械的強度試験の必要に応えるためにタンクが接続された液圧回路内に石灰分がたまるのを防ぐことができる。
【0034】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素がエラストマーを主体とし、とりわけ、アクリロニトリルブタジエン(NBR)ゴム、水素化アクリロニトリルブタジエン(HNBR)ゴム、カルボキシル化ニトリル(XNBR)ゴム、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、ポリシロキサンビニルメチルシリコーン(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)、パーフルオロ(FFKM)ゴム、クロロプレン(CR)、ポリアクリレート(ACM)、エチレンアクリレート(AEM)および天然ゴムの群の中から選択されるものである。好ましくは、エラストマーは、高い伸長性、たとえば約400%の伸長性を有する。膨張要素を構成する材料は、有利には、加圧ガス貯蔵タンクの内壁の材料との間の摩擦係数が低く、膨張時に膨張要素の破断につながりかねない局所的に過大な伸びを生じることなしに自由に滑動することができる。有利には、きわめて迅速に蒸発する傾向をもち、あとに湿気を残さない特別な物質を膨張要素の外側面に塗着することによって、摩擦係数を引き下げる。
【0035】
有利には、膨張要素の破断につながりかねない局所的に過大な膨張要素の伸びを避けるため、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内部の幾何学形状には鋭角がない。
【0036】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、結合手段が、第1の開口部と呼ぶ前記タンクの開口部に、ネジ山によって一体化されるものである。
【0037】
そのため、試験時に液体の圧力によって加わる後退力は、より具合よく吸収される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、前記タンクに含まれる空気などの気体が、膨張要素の充填時に排出されるものである。
【0039】
そのため、残留気体ポケットは最小限に抑えられ、膨張後の膨張要素の幾何学形状はよりよくコントロールされる。
【0040】
気体は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの開口部を通して自由に排出され得るか、または、結合手段がタンクの開口部と一体化される場合は、結合手段にそのために設けられたベント穴から排出され得る。さらに、タンクに2つの開口部がある場合は、気体は、第2の開口部を通して排出することもできる。
【0041】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素に液体を充填することからなるステップの前に、膨張要素に液体を予充填するステップを含むものである。
【0042】
予充填時、膨張要素の下方部位は、空気をタンク外に押し出して膨らみ、タンクの内壁と接触するようになる。そうすることで、予充填は、泡状の空気が膨張要素とタンクとの間に閉じ込められてタンクの機械的強度の測定方法がゆがめられかねない事態を回避することができる。それはまた、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法の実施時に、膨張要素の破損を防ぐことにも寄与する。
【0043】
本発明の有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法は、膨張要素に液体を充填することからなるステップの前に、膨張要素を膨らませるステップを含むものである。
【0044】
この膨らませるステップは、膨張要素とタンク内壁との間の均一な接触が得られるように膨張要素の均一な引伸しを果たすことができ、しかも膨張要素の表面に折り目が生じることがないようにする。それにより、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法の信頼性も再現性も高まる。それはまた、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定方法の実施時における膨張要素の破損を防ぐことにも寄与する。
【0045】
本発明は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置であって、本発明による方法を実施することのできる装置にも関する。
【0046】
本発明に基づく実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、
・ 乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に挿入することができる膨張要素であって、前記タンク内への挿入後は液体を収容することができる膨張要素と、
・ 膨張要素と組み立てることができる第1の結合手段であって、膨張要素の第1の引伸し手段と連結することができる第1の結合手段と、
・ 第1の結合手段と連結することができる液体の送液管と、
・ 膨張要素および/またはタンクの中に含まれる気体の排出手段と
を含む。
【0047】
膨張要素は、たとえ部分的にしか乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に挿入されていない状態であっても、液体を受け入れることができる。これは、液体の重量がタンク内への膨張要素の挿入を可能にするものである場合に言えることである。
【0048】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、膨張要素が嚢状袋であるものである。
【0049】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、第1の引伸し手段が軸であるものである。
【0050】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、軸が送液管であり、好ましくは管状体であるものである。
【0051】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、膨張要素に含まれる液体を排出できるポンプを備えるものである。
【0052】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、膨張要素が第1の結合手段の受け部位を備えるものである。
【0053】
この場合、膨張要素における第1の結合手段の受け部位は、第1の結合要素と膨張要素との間のよりよい組立てを可能にする。この部位は、嚢状袋として具体化される場合、その嚢状袋の外壁の最も直径の小さい部位に設けられた突起として実現することができる。
【0054】
有利な実施形態によれば、乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの機械的強度の測定装置は、膨張要素および/またはタンクへの気体の導入手段を備える。好ましくは、気体導入手段は、膨張要素および/またはタンクに含まれるガスの排出手段と対をなす。
【0055】
本発明のその他の特徴および利点については、もっぱら限定的でない説明のための例としてのみ示す好ましい実施形態についての説明および添付の図面を読むことによってより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】少なくとも1つの開口部から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に膨張要素を導入するための少なくとも1つの開口部を有する乗り物用加圧ガス貯蔵タンクを供給するステップと、膨張要素を送液管に連結するステップとを示した図である。
図2】膨張要素および送液管を乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの少なくとも1つの開口部に連結することができる第1の結合手段の実施形態を示した図である。
図3】少なくとも1つの開口部から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に膨張要素を導入するステップを示した図である。
図4】少なくとも1つの開口部から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク内に膨張要素を導入するステップの終了を説明した図である。
図5】タンク内で膨張要素に液体を予充填するステップを示した図である。
図6】タンク内で膨張要素を膨らませるステップを示した図である。
図7】タンク内で膨張要素に液体を充填するステップを示した図である。
図8】充填ステップの終了と、液体が充填された膨張要素によってタンクの内壁全体にPint.の圧力をかけるステップの開始とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1を参照しながら、少なくとも1つの開口部10を有する乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1を供給するステップと、膨張要素2を本発明による送液管3に連結するステップの実施形態について説明する。開口部10には、タンク1をタンクの充填および/または抜取り管路(図示せず)に接続できるようにする金属製の口金が被さる。機械的強度試験にかけられる乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1は、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部10であって、エラストマー材料製の嚢状袋20である膨張要素2の導入口となる開口部10を備える。タンクは、開口部10と反対側に位置する第2の開口部11であって、膨張要素2の導入口となる第2の開口部11を備える。第2の開口部11には、タンクの充填および/または抜取り管路(図示せず)へのタンク1の接続を可能にする金属製の口金が被さる。この第2の開口部11は開いたままの状態におかれる。エラストマー材料製の嚢状袋20は送液管3に連結される。送液管3は管状体30の形をとる。嚢状袋20は、第1の結合手段4と封止された状態で組み立てられる。送液管3は、第1の結合手段4を通り抜ける。この送液管3は、タンク1の内部長に匹敵する距離、たとえば2m以上の長さにわたって嚢状袋20の外に出ることができる。タンクの長さがそれに満たない場合は、送液管のはみ出しは少なくなる。剛性管状体の場合、嚢状袋20内部におけるこの送液管3の長さは試験対象のタンクの長さよりも短く、剛性嚢状袋20内部におけるこの送液管3の長さは、好ましくは試験対象のタンクの長さに近く、第1の開口部と呼ぶ開口部10に対して反対側となるタンク1の反対部位の距離まで、タンク1の内部半径とほぼ等価の距離まで、膨張要素2を引き伸ばすようにする。それにより、膨張要素2は、すべての方向にほぼ均等に引き伸ばされ得る。
【0058】
図2は、第1の結合手段4の実施形態を示している。第1の結合手段4は、全長にわたって送液管3が通り抜けることができるように中空である本体41を備える。本体41はまた、膨張要素2の開いた端部の一部分を本体41内の送液管3を取り囲む位置に置くことができる。
【0059】
第1の結合手段4は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1の少なくとも1つの開口部10に封止されて(ここではねじ込み式で)固定できるように構成される。そのため、第1の結合手段4は、本体41と乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1との間の連結の封止を確保するために少なくとも1つのOリング42を備える。第1の結合手段4はまた、本体41内における膨張要素2の端部のタイトな固定および封止が果たされるように構成される。この封止は、ここでは別のOリング42によって果たされる。
【0060】
第1の結合手段4は、部分的に本体41内で封止される形で継ぎ足された充填部品43を備える。封止は、ここでは追加のOリング42によって果たされる。充填部品43は、膨張要素2内への空気の注入と、膨張要素2に含まれる空気の膨張要素2からの抜取りとを交番で行える空気流路44を備える。充填部品43は、膨張要素の充填および抜取りの際に膨張要素内の空気の圧力を調節するように構成された減圧装置(図示せず)を備える。
【0061】
図3は、少なくとも1つの開口部10から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内に膨張要素2を導入するステップの実施形態を示している。エラストマー材料製の嚢状袋20である膨張要素2のこの導入ステップを行う前に、前記嚢状袋は、第1の引伸し手段5の移動によって長さ方向に引き伸ばされる。膨張要素2の引伸しステップは、第1の結合手段4に対する第1の引伸し手段5の少なくとも1つの並進運動によって行われる。この運動は破線の矢印によって示されている。この引伸しステップは膨張要素2の断面を小さくすることができ、それによって、第1の開口部と呼ぶ開口部10からの嚢状袋20のタンク1内への導入がより容易になる。第1の引伸し手段は、管状体30の形をなす送液管3からなることが有利である。このステップの間、第2の開口部11は開いたままの状態におかれる。
【0062】
図4は、少なくとも1つの開口部10から乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内に膨張要素2を導入するステップが終了したところを示している。第1の引伸し手段5の移動が終わり、管状体30の形をなす送液管3が前記第1の引伸し手段5に含まれていることがわかる。乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内への膨張要素2の導入ステップが終わると、第1の結合手段4が、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部10の位置に来る。第1の結合手段4は、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部10に挿入することができる第1の閉鎖手段40を備える。そのため、第1の結合手段4は、開口部10にねじ込むなどしてタンクと一体化され得、それによって機械的強度試験の際に圧力の作用で後退しないようにすることができる。エラストマー材料製の嚢状袋20である膨張要素2はまだ液体を含まない。次いで、開かれていた第2の開口部11が、第2の閉鎖手段110によって閉ざされる。膨張要素2をタンク1内に正しく位置決めするため、第1の引伸し手段5の移動は、第1の引伸し手段5が第2の閉鎖手段110によって衝止されるところに到達するまで行われ、第1の引伸し手段5と膨張要素2が第2の閉鎖手段110によって支えられる。
【0063】
図5は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内で膨張要素2に液体6を予充填するステップを示している。エラストマー材料製の嚢状袋20である膨張要素2の充填は、管状体30の形をなす送液管3を通して行われるが、前記送液管3は、膨張要素2の第1の引伸し手段5の役割を果たしたものである。送液管3は第1の結合手段4を貫く。第1の結合手段4は、第1の開口部と呼ぶ少なくとも1つの開口部10に挿入された閉鎖手段40を備える。この予充填ステップでは、送液管3を使ってタンク1の内部容積の約10%まで膨張要素2に液体が充填される。図5に示されるように、送液管3は、膨張要素内に対してその下方部位に液体を導入できるだけの長さをもつ。そのため、膨張要素2の下方部位が伸びてタンク1の内壁と接触する形となって、充填部品43の空気流路44からタンクの外に空気を追い出す。その空気の動きは破線の矢印で示されているとおりである。そのため、予充填は、泡状の空気が膨張要素2とタンク1の内壁との間に閉じ込められて、タンクの機械的強度の測定方法がゆがめられかねない状況を招かないようにすることができる。破線の矢印は、嚢状袋20内に液体6が入り込むところを示している。使用される液体は、水または水を主体とする溶液からなる液体の群の中から選ばれ、好ましくは、液体は水道水、より好ましくは液体はろ過され、軟水化された水道水である。第2の開口部11は、第2の閉鎖手段110を用いて閉ざされる。
【0064】
図6は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内で膨張要素2を膨らませるステップを示している。充填部品43に設けられた送気管44を通して膨張要素2内部の空気圧が約5バールに達するところまで空気が膨張要素に導入される。前のステップで嚢状袋20に導入された液体は、嚢状袋20の底にとどまる。この膨らませるステップは、膨張要素とタンク1の内壁との間の均一な接触が得られるように膨張要素の均一な引伸しを果たすことができ、しかも膨張要素2の表面に折り目が生じることがないようにする。
【0065】
図7は、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1内で膨張要素2の充填を行うステップを示している。送液管3によって膨張要素内に液体が導入される。この充填の間、減圧装置が、膨張要素2内に含まれる空気をそれよりも高い圧力の液体によって押し出すことによって、充填部品43内に設けられた送気管44から排出することができる。空気は、その排出時、減圧装置によって加圧状態に保たれて、前のステップで充填時に確立された膨張要素2とタンク1の内壁との間の均一な接触が損なわれることがないようにされる。
【0066】
図8は、充填ステップの終了と、液体6が充填された膨張要素2によって乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1の内壁全体にPint.の圧力をかけるステップの開始とを示している。嚢状袋20の形の膨張要素2は、液体6によって加えられる圧力の作用でタンク内壁に「貼り付いた」、または張り付いた状態で、タンクの内部容積全体を満たしている。そこで、第1の結合手段4の充填部品43を引き抜き、膨張要素2に高圧の液体を充填することができる「高圧」サブアダプタと置き換える。タンクはその開口部10、11のレベルで閉ざされる。第1の開口部と呼ぶ開口部10は、閉鎖手段40を介して結合手段4を用いて閉ざされる。第2の開口部11は、第2の閉鎖手段110を用いて閉ざされる。送液管3はタンク1の内部に残され、使用圧力、または公称圧力の1.5倍の圧力がタンク1の内壁に加わるように、液体回路に連結されたままにされる。タンク1には、少なくとも1秒から、場合によっては10分までの時間にわたって前記圧力がかかる。
【0067】
乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)を測定するステップは、タンクの直径および長さを測定するタイプの寸法測定であることができる。この寸法測定は、カメラ、3Dスキャナ、レーザによる距離測定またはLVDT(線形可変差動変圧器を意味する英語Linear Variable Differential Transformerの頭字語)タイプの探触子、コンパレータ型システムとの接触によって行うことができる。乗り物用加圧ガス貯蔵タンクの変形(もしあるとして)の測定は、圧力が増していく間に追加される液体の量の測定に相当する体積測定であることもできる。
【0068】
次いで、タンク1から、膨張要素2に含まれる液体6が抜き取られる。この抜取り作業は、送液管3を通してポンプによって行うことができる。続いて、少なくとも1つの開口部10を通して乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1から膨張要素2が取り出される。有利には、膨張要素2は、送液管3に張り付くように、あらかじめより強い吸引にさらされる。
【0069】
理想的には、乗り物用加圧ガス貯蔵タンク1の機械的強度の測定方法の実施に供される装置は、鉛直方向に向けることで、液体6の重量を受けた形での膨張要素2の、好ましくは嚢状袋20の均一な引抜きのために重力を利用することができる。タンク1内部の幾何学形状は、膨張要素、好ましくは嚢状袋20に破れを生じかねない局所的に他より大きな伸びを生じることのない形状と緩い曲率とを有するものであることが好ましい。たとえば、2つの開口部10、11を備えるタンクに対して試験を行う場合、第2の開口部11は塞がれて、膨張要素2、好ましくは嚢状袋20が尖った幾何学形状の中に挟まれたり、第2の開口部11からはみ出て破れたりすることがないようにする。有利には、第2の閉鎖手段110は、その第2の閉鎖手段からなるバイスの第2のジョーとして使用され、さらに、膨張要素2の第1の引伸し手段5の役も果たした管状体30を第1のジョーとして使用され、前記バイスは膨張要素2を締め付け、膨張要素2、好ましくは嚢状袋の引伸しをその枢要部位で確実なものとすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 乗り物用加圧ガス貯蔵タンク
2 膨張要素
3 送液管
4 第1の結合手段
5 第1の引伸し手段
6 液体
10 第1の開口部
11 第2の開口部
20 嚢状袋
30 管状体
40 第1の閉鎖手段
43 充填部品
44 空気流路
110 第2の閉鎖手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】