(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】一体型ペイロードグリッパーを有する真空環境ロボット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240220BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240220BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B25J15/06 Z
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547339
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2022017461
(87)【国際公開番号】W WO2022182716
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】サー スリパティ
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ ヒマーンシュ
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CV07
3C707CW07
3C707FS10
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA32
5F131DB03
5F131DB23
5F131DB52
5F131DB57
5F131DB76
5F131DB99
5F131EB17
5F131JA03
5F131JA12
(57)【要約】
ある実施形態に従う装置は、駆動部と、第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクを有する可動アームと、前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせる第1のアクチュエータと、第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと、前記第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせる第2のアクチュエータと、前記第2のリンク上のグリッパーとを備える。グリッパーは、誘電体基板と、自身の表面にペイロードを引き付けるための引力を生成する電極とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と;
前記駆動部に接続された可動アームと;
を備える装置であって、前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;
前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーであって、ペイロードを運ぶように構成される、少なくとも1つのグリッパーと;
を備え、前記少なくとも1つのグリッパーは、
誘電体基板と;
前記誘電体基板上に配置され、自身の表面にペイロードを引き付けるための引力を生成するように構成される、少なくとも1つの電極と;
前記少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加するように構成される主電子モジュールと;
を備える、装置。
【請求項2】
前記電流源は交流電流を有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電流源と前記少なくとも1つの電極との間に電気カップリングを備える請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記電気カップリングは一対の誘導結合コイルを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記電気カップリングはキャパシタを有し、
前記キャパシタは環状に配置される外側円筒状電極であって内側円筒状電極に対して回転可能な外側円筒状電極を有し、
前記外側円筒状電極と前記内側円筒状電極とは、ギャップによって分離されている、
請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記電気カップリングは、軸方向に配置された第1のディスク及び第2のディスクを有するキャパシタを有し、前記第1のディスク及び前記第2のディスクはギャップによって分離されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記電気カップリングは前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記主電子モジュールは回路を備え、
前記回路は、前記少なくとも1つの電極に対して制御信号を生成するように構成されるか、又は、前記少なくとも1つの電極からステータス信号を受信するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記回路は、交流を直流に変換する整流器を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電流源は直流であり、前記電気カップリングはスリップリング構成を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記電流源はグランドに接続される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電極は誘電体基板材に埋め込まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのグリッパーは静電放電原理で動作する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
駆動部を提供することと;
前記駆動部に接続された可動アームを提供することと;
を含む方法であって、前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;
前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーと;
を備え、前記少なくとも1つのグリッパーは、
誘電体基板と;
前記誘電体基板上に配された少なくとも1つの電極と;
を有し、
前記方法は更に、電流源から前記少なくとも1つの電極に電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接し、前記少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるペイロードとの間に引力を発生させることを含む、方法。
【請求項15】
前記電流源は交流電流を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
交流を直流に整流することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電流源と前記少なくとも1つの電極との間に電気カップリングを提供することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記電気カップリングを用いて前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを誘導的に結合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
誘導電気カップリングを用いて前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電気カップリングを用いて前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを容量性結合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの電極に電流を印加することは、直流電流を印加することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのグリッパーは、前記少なくとも1つの電極と前記ペイロードとの間に引力を生じさせまた解放するために、静電放電によって動作する、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備える装置であって、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接するペイロードとの間に引力を発生させることを遂行させるように構成され、
前記ペイロードは少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるように構成される、
装置。
【請求項24】
前記電流源は交流電流を有する請求項23記載の装置。
【請求項25】
交流を直流に整流することを遂行させるようにされる、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記電流源は、前記少なくとも1つの電極に誘導的に結合される、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを遂行させるようにされる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記電流源は、前記少なくとも1つの電極に容量性結合される、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記電圧は直流電流を印加することにより印加される、請求項23に記載の装置。
【請求項30】
ロボットを使用してペイロードを運搬する方法であって、前記方法は、
ロボットのエンドエフェクタに配されるグリッパーに位置する少なくとも1つの電極に、電流源から電圧を印加し、前記電極に第1の電荷分布を生じさせることと;
前記少なくとも1つの電極にペイロードを載せることと;
前記少なくとも1つの電極上の電荷とは極性が反対の電荷による第2の電荷分布を前記ペイロードに生じさせることと;
前記ペイロードを前記グリッパーに引きつけることと;
前記エンドエフェクタに前記ペイロードを運搬させることと;
を含む、方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの電極に電圧を印加することは、交流電流から電圧印加することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
交流を直流に整流することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記電流源を前記少なくとも1つの電極に誘導的に結合することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを容量性結合することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記ペイロードを解放することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記ペイロードを解放することは、前記電極上の前記第1の電荷分布と前記ペイロード上の前記第2の電荷分布の静電放電を伴う、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
[技術分野]
例示的かつ非限定的な実施形態は、一般に、真空環境で使用するための原材料ハンドリングロボットに関し、より詳細には、真空環境で使用するための原材料ハンドリングロボットであって、統合された電気制御式ペイロード把持システムを有するロボットに関する。
【0002】
[先行技術の簡単な説明]
半導体ウェハ処理システムで使用される原材料ハンドリング真空環境ロボットは、通常、半導体ウェハのようなペイロードを、ペイロードとエンドエフェクタ間の摩擦力によって、ロボットのエンドエフェクタ上に受動的に保持する。利用可能な摩擦力により、エンドエフェクタの加速度は、エンドエフェクタ上でのペイロードの滑りが発生するレベル以下に制限されるため、原材料ハンドリング動作の所望の時間よりも長くなり、その結果、半導体ウェハ処理システムの生産性(例えば時間当たりのウェハ処理枚数)に影響を与える。しかし、積極的にペイロードを把持するようなシステムは、この種のアプリケーションでは使用されない。というのも、(a)真空適合性、電力供給、通信信号、熱除去の理由のために、真空環境においてアクティブコンポーネントをサポートすることが困難であることと、(b)可動機械コンポーネントの接触や相対運動により発生する粒子状物質によるペイロード汚染のリスクがあることのためである。
【摘要】
【0003】
ある見方によれば、装置は、駆動部と、前記駆動部に接続された可動アームとを備える。ここで前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;
前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーであって、ペイロードを運ぶように構成される、少なくとも1つのグリッパーと;
を備える。また前記少なくとも1つのグリッパーは、
誘電体基板と;
前記誘電体基板上に配置され、自身の表面にペイロードを引き付けるための引力を生成するように構成される、少なくとも1つの電極と;
前記少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加するように構成される主電子モジュールと;
を備える。
【0004】
別の見方によれば、方法は、駆動部を提供することと;
前記駆動部に接続された可動アームを提供することと;
を含む。ここで前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;
前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーと;
を備える。また前記少なくとも1つのグリッパーは、誘電体基板と、前記誘電体基板に配される少なくとも1つの電極を有する。
そして前記方法は更に、電流源から前記少なくとも1つの電極に電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接し、前記少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるペイロードとの間に引力を発生させることを含む。
【0005】
別の見方によれば、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備え、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接するペイロードとの間に引力を発生させることを遂行させるように構成される。ここで前記ペイロードは、少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるように構成される。
【0006】
別の見方によれば、ロボットを使用してペイロードを運搬する方法は、
ロボットのエンドエフェクタに配されるグリッパーに位置する電極に、電流源から電圧を印加し、前記電極に第1の電荷分布を生じさせることと;
前記電極にペイロードを載せることと;
前記電極上の電荷とは極性が反対の電荷による第2の電荷分布を前記ペイロードに生じさせることと;
前記ペイロードを前記グリッパーに引きつけることと;
前記エンドエフェクタに前記ペイロードを運搬させることと;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の捉え方や他の特徴について、添付図面を参照しつつ以下に説明する。
【0008】
図1は、真空環境で使用する原材料ハンドリングロボットの一例の略図である。
【0009】
図2Aは、収縮状態にあるロボットを示す
図1のロボットの略上面図である。
【0010】
図2B~
図2Dは、ロボットアームの2本の前腕のうちの上側の前腕を様々な角度で伸ばした状態を示す、
図1のロボットの略上面図である。
【0011】
図2E~
図2Gは、ロボットアームの2本の前腕のうちの下側の前腕を様々な角度で伸ばした状態を示す、
図1のロボットの略上面図である。
【0012】
図3は、
図1のロボットの内部構造を示す略断面図である。
【0013】
図4は、分散型アクチュエータを有するロボットの代替的な内部構造を示す略断面図である。
【0014】
図5は、真空環境で使用する原材料ハンドリングロボットの別の例の略断面図である。
【0015】
図6A~
図6Gは、
図5のロボットの前腕を様々な角度で伸ばした状態を示す略上面図である。
【0016】
図7Aは、真空環境で使用する原材料ハンドリングロボットの別の例の略断面図である。
【0017】
【0018】
図8A~
図8Gは、
図7のロボットの前腕を様々な角度で伸ばした状態を示す略上面図である。
【0019】
図9A及び
図9Bは、回転サーマルカップリングの例を示す切断面図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
図13は、回転電力カップリングと通信リンクを一体化した回転カップリングアセンブリの略図である。
【0024】
図14は、例示的なペイロード把持システムのアーキテクチャ例を示すブロック図である。
【0025】
図15A~
図15Mは、一体型ペイロードグリッパーの例示的な実施形態の略図である。
【0026】
図16は、一体型ペイロードグリッパーの単極構成の略図である。
【0027】
図17は、低抵抗率材料を使用した、出願当初の請求項16に記載の一体型ペイロードグリッパーの略図である。
【0028】
図18は、一体型ペイロードグリッパーのバイポーラ構成の略図である。
【0029】
図19は、位相オフセットを有する3相システムを採用したペイロードグリッパーの略図である。
【0030】
図20A及び
図20Bは、一体型ペイロードグリッパーを有するエンドエフェクタの略図である。
【0031】
【0032】
図22は、補助電子モジュールが回転カップリングに組み込まれたロボットの内部構造を示す略断面図である。
【詳細説明】
【0033】
これらの特徴について図面に示す例示的な実施形態を参照して説明するが、実施形態の多くの代替形態においてこれらの特徴を具体化できることを理解すべきである。また、要素や材料に関して任意の適切なサイズ、形状もしくは種類を採用することができることも理解すべきである。
【0034】
本明細書で開示される事項は、真空対応グリッパー(把持具)又は真空対応把持システムを有する真空環境ロボットの例示的な実施形態である。これらのロボットは、望まれるような高い保持力で、ロボットの各エンドエフェクタ上にペイロードを保持することができる。このため、エンドエフェクタの高加速を可能にし、原材料ハンドリングの操作時間を短縮し、ロボットによって行われる半導体ウェハ処理システムの生産性を向上させる。また、このようなロボットは、機械的接触や相対運動により発生する可能性のある粒子状物質によるペイロード汚染のリスクを増大させることなく、求められるような高いペイロード保持力を達成することができる。
【0035】
ここで
図1を参照すると、本発明による例示的な原材料ハンドリング真空環境ロボットの簡略化された図が一般的に100で示されている。このロボットを、以下「ロボット100」と称する。例示的なロボット100は、ロボットアーム105、駆動ユニット110、及び制御システム115を備えてもよい。駆動ユニット110は大気環境117に配置されてもよく、ロボットアーム105は真空環境118に配置されてもよい。ロボットアーム105は、駆動ユニット110を通り、大気環境117と真空環境118とを隔てる隔壁を通って延びる駆動軸Aの周りに回転可能であってもよい。ロボットアーム105は、1本の上腕120及び1本又は複数の前腕125を備えてもよい。
図1の特定の例では、2本の前腕125が示されている。前腕125の各々は、ペイロードを受け入れるように構成された「チャック」又はペイロードグリッパー(ペイロート把持具)135を有するエンドエフェクタ130を支持することができる。本明細書で開示されるどのような例においても、グリッパーは前腕に設けてもよいし、(例えば一体型として)前腕に埋め込んでもよい。ペイロードグリッパー135によって受け入れられ得るペイロードの例としては、半導体ウェハが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
次に
図2Aから
図2Gを参照すると、ロボット100の動作が示されている。
図2Aは、収縮状態にあるロボット100を図示している。この状態において、前腕125は上腕120の上に位置している。
図2B及び
図2Cは、上側の前腕125が下側の前腕125から135度の角度で回転した状態にあるロボット100を示している。
図2Dは、上側の前腕125が下側の前腕125から135度未満の角度で回転した状態にあるロボット100を図示する。
図2Eは、下側の前腕125が上側の前腕125から135度未満の角度で回転した状態にあるロボット100を示す。
図2F及び
図2Gは、下側の前腕125が上側の前腕125から135度の角度で回転した状態にあるロボット100を示す。
【0037】
次に
図3を参照すると、ロボット100における様々な構成要素とその内部構造の例が示されている。ロボット100の駆動ユニット110は、1つ又は複数の駆動シャフトを有するスピンドルアセンブリ180を有してもよい。駆動ユニット110には3つの駆動シャフト185a、185b、185cが同軸に配置されており、それぞれモータM1、M2、M3によって作動される。駆動シャフト185cが最も内側の駆動シャフトであり、駆動シャフト185aが最も外側の駆動シャフトである。実施形態によっては、駆動ユニット110は、スピンドルアセンブリ180を(Z軸に沿って)上下に移動させるように構成され得る、垂直(Z軸)リフト機構190を更に有してもよい。スピンドルアセンブリ180は、例えば、ボールねじ及びモータMzを用いて動くことができてもよい。
【0038】
ロボット100の駆動ユニット110は、ロボットアーム105が動作する真空環境118を封じ込めるために、ベローズ195と、モータM1、M2、M3のステータとロータの間の円筒形バリアとをさらに有することができる。ベローズ195は、スピンドルアセンブリ180の上下動に対応するように構成されてもよい。あるいは、ロボット100は、モータM1、M2、M3のステータとロータの間に隔壁が存在しないように構成されてもよく、モータM1、M2、M3のステータは、真空環境118内に配置されてもよい。モータM1、M2、M3の各々、及びMzには、位置エンコーダのような位置測定システムが組み込まれていてもよい。
【0039】
ロボットアーム105の上腕120は、最も外側の駆動シャフト185aと、1つ又は複数の前腕125とに接続され得る。前腕125は、同軸回転関節200(肘関節と呼ばれる)を介して上腕120に結合され得る。
図3の例では、2本の前腕125が示されている。上側の前腕125(前腕Aと示されている)は、第1の伝達機構を通じて、駆動ユニット110の中間駆動シャフト185bによって作動されることができる。一例として、第1の伝達機構は、駆動ユニット110の中間駆動シャフト185bに取り付けられたプーリ、前腕Aに取り付けられたプーリ、及び2つのプーリ間のベルト、バンド、又はケーブルを有することができる。同様に、下側前腕125(前腕Bと示されている)は、第2の伝動配置を通じて、駆動ユニット110の内側駆動シャフト185cによって作動させることができる。一例として、第2の伝達機構は、駆動ユニット110の内側駆動シャフト185cに取り付けられたプーリ、前腕Bに取り付けられたプーリ、及び2つのプーリ間のベルト、バンド、又はケーブルを有することができる。前腕125の各々は、半導体ウェハなどのペイロードを受け入れるように構成されたペイロードグリッパー135を有するエンドエフェクタ130を支持することができる。例えば、前腕AはグリッパーAを有するエンドエフェクタAを支持し、前腕BはグリッパーBを有するエンドエフェクタBを支持することができる。
【0040】
改めて
図3を参照すると、ロボットアーム105の1つ又は複数の同軸回転関節200は、実施形態によっては、同軸回転関節200を渡って熱を伝達するように構成される1つ又は複数のサーマルカップリング構成210によって補完され得る。オプションのサーマルカップリング構成210は、ペイロードグリッパー135に関連する構成要素であって熱を発生するあらゆる構成要素からの熱の除去を改善するために利用することができる。
【0041】
ロボット100の動きを制御するために、モータM1、M2、M3、及びMzに関連するエンコーダ信号及びモータ線は、制御システム115の主電子モジュール1405にリンクしてもよい。制御システム115(及び主電子モジュール1405)は、駆動ユニット110内に配置されてもよいし、
図3に概略的に示すように、駆動ユニット110のハウジングの外部に配置されてもよい。
【0042】
主電子モジュール1405は、例えば、ユーザ又はホストシステムから外部入力を受け取ると共に、位置エンコーダから個々の運動軸(モータM1、M2、M3、Mz)の位置を読み取る。そして、ロボット100の所望の運動を実行するため、及び/又はロボットアーム105の所望の状態を達成するために、モータM1、M2、M3、及びMzに電圧を印加するための情報を処理することができる。
【0043】
次に
図4を参照すると、例示的ロボット100に適用可能な代替的内部構成が例示的「ロボット300」に関して示されている。例示的ロボット300は、分散アクチュエータを有してもよい。ロボットアーム305は、肩関節で駆動ユニット310に接続された上腕320を備えてもよい。上腕320は真空環境118内に位置する。1本又は複数の前腕325が、同軸回転関節400(肘関節と呼ばれる)を介して上腕320に結合されてもよい。
図4の特定の例では、2本の前腕325が示されている。上腕320は、それぞれが前腕325の1つに結合された1つ又は複数のアクチュエータ(モータ)を収容することができる。上記の例示的なロボット100と同様に、前腕325の各々は、ペイロードを受け入れるように構成されたペイロードグリッパー335を有するエンドエフェクタ330を支持することができる。ペイロードグリッパー335によって受け入れられ得るペイロードの例としては、半導体ウェハが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
ロボット300の駆動ユニット310は、駆動シャフト385を有するスピンドルアセンブリ380を有することができると共に、実施形態によっては、垂直リフト(Z軸)機構390を有することができる。Z軸機構390は、モータMzを用いて、例えばボールネジを介してスピンドルアセンブリ380を上下に動かすように構成されてもよい。駆動シャフト385は、肩関節において上腕320に結合されてもよく、モータM1によって作動されてもよい。
【0045】
ロボット300の駆動ユニット310は、ロボットアーム305が動作する空間に存在し得る真空環境118を封じ込めるために、
図3の例示的なロボット100と同様に、ベローズ395と、モータM1の1つ又は複数のステータと1つ又は複数のロータとの間の円筒形バリアとを備えてもよい。ベローズ395は、ロボット300のスピンドルアセンブリ380の上下運動に対応するように構成されてもよい。あるいは、モータM1のステータとロータとの間に隔壁を設けず、モータM1のステータを真空環境118内に配置してもよい。
【0046】
ロボット300の制御システムは、マスターコントローラ315と、駆動ユニット310に固定的に配置された1つ又は複数の制御モジュール316と、スピンドルアセンブリ380に取り付けられた1つ又は複数の制御モジュール317と、ロボットアーム305に配置された1つ又は複数の制御モジュール318とを備えてもよい。マスターコントローラ315と制御モジュール316、317、318は、通信ネットワークによって接続されていてもよい。
【0047】
ロボット300の例では、ロボットアーム305の肘関節に関連するアクチュエータ(モータM2及びM3)は、上腕320内のモータに近接して配置された制御モジュール318によって制御される場合がある。
【0048】
駆動ユニット310のスピンドルアセンブリ380に配置されたアクチュエータ(モータM1)は、スピンドルアセンブリ380に取り付けられて共に上下動しうる制御モジュール317によって制御されてもよい。Zモータ(Mz)は、例えば、駆動ユニット310の基部に固定的に配置された制御モジュール316によって制御されてもよい。
【0049】
マスターコントローラ315を通じて、制御システムは、例えば、ユーザまたはホストシステムから外部入力を受け取り、位置エンコーダ(簡略化のため図示せず)から個々の運動軸(モータ)の位置を読み取り、その情報を処理して、モータに電圧を印加して所望の運動を行い、及び/又は所望の位置を達成することができる。
【0050】
例示のロボット300では、上腕320は真空環境118内に位置し、真空環境118に曝されうる。上腕320の内部空間は、真空環境118から封止隔離され、空気、別の混合気体、又は単一の気体、例えば窒素で満たされてもよい。
図4に示されるように、上腕320の内部空間は、その中に延伸する駆動シャフト385の上端を含んでもよい。駆動シャフト385は、下端で密封されてもよく、電気機械部品を収容し、(真空とは対照的に)気体環境においてそれらの接続を可能にすることができる密封空洞を形成する。一例として、上記密閉空洞は、制御モジュール317と回転カップリングモジュールの一部を収容することができる。
【0051】
図4に示されるように、上記密閉空洞は、モータM3及びM4のステータを収容してもよい。この場合、モータM3及びM4のステータとロータとの間の円筒形のバリアを利用して、上腕320の内部空間を外部の真空環境118から分離してもよい。あるいは、モータM2及びM3のステータは、真空環境内に配置されてもよい。この場合、密閉されたキャビティ内に配置されたM2/M3制御モジュールと接続するために、電気フィードスルーが利用されてもよい。
【0052】
さらに
図4を参照すると、モータM3及びM4並びに制御モジュール318は、上腕320に放熱するようにされてもよい。この構成において、モータM3及びM4並びに制御モジュール318によって生成された熱は、上腕320に伝わり、駆動シャフト385に伝搬し、スピンドルアセンブリ380のネック383に放射され、スピンドルアセンブリ380のハウジングに伝搬してもよい。
【0053】
次に
図5を参照すると、真空対応原材料ハンドリングロボット(及びその内部構造)の別の例が示されている。このロボットは「ロボット500」と呼ばれる。ロボット500は、開示されている他の例示的ロボットに類似している。例示的ロボット500は、ロボットアーム505と、駆動ユニット510と、駆動ユニット510に内蔵され得る制御システム又はコントローラ515とを備えてもよい。駆動ユニット510は、スピンドルアセンブリ580と、1つ又は複数の駆動シャフトとを備えてもよい。例えば、各々がそれぞれのモータによって作動される、同軸上に配置された3つの駆動シャフトを備えてもよい。実施形態によっては、スピンドルアセンブリ580を上下に移動させるために、垂直リフト(Z軸)機構590を備えてもよい。Z軸機構590は、モータMzを用いて、例えばボールネジを介してスピンドルアセンブリ580を上下に動かすように構成されてもよい。スピンドルアセンブリ580は、上腕520に接続され、モータM1によって作動される駆動シャフト585を備えてもよい。
【0054】
ロボットアーム505は、直列に配置され、回転関節502を介して互いに結合された2つのリンクと、1つ又は複数の追加のリンクとを備えてもよい。この1つ又は複数の追加のリンクは、例えば、上側の第3のリンク(リンク3A)及び下側の第3のリンク(リンク3B)であってもよく、これらは初めの2つのリンク(リンク1及びリンク2)と直列に配置され、同軸回転関節503を介して2番目のリンク(リンク2)に結合される。
【0055】
以下の用語は
図5のロボットアーム505を説明するために使用される。例示のロボットアーム505の第1のリンクはリンク1又は上腕520と呼ばれ、第2のリンクはリンク2又は前腕521と呼ばれる。上側の第3のリンクはリンク3A又は手首Aと呼ばれ、下側の第3のリンクはリンク3B又は手首Bと呼ばれる。スピンドルアセンブリ580とリンク1との間の回転関節501は肩関節と呼ばれ、リンク1とリンク2との間の回転関節502は肘関節と呼ばれ、リンク2とリンク3Aとの間の回転関節503は手首関節Aと呼ばれ、リンク2とリンク3Aとの間の回転関節503は手首関節Bと呼ばれる。ペイロードグリッパー535によって受け入れられ得るペイロードの例としては、半導体ウェハが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
図15Eに示されるように、上腕1は、駆動ユニット510のスピンドルアセンブリ580に収容されうるモータM1によって作動させられてもよい。リンク1は、リンク2を駆動するように構成されたモータM2を収容してもよい。リンク2は、それぞれが手首関節を介してリンク2に結合された追加リンクの1つを駆動するように構成された、1つ又は複数のアクチュエータ(モータ)を収容してもよい。
図5の特定の例では、リンク2は、リンク3A及び3Bをそれぞれ駆動するように構成されたモータM3及びM4を収容することができる。
【0057】
ロボット500の駆動ユニット510は、ロボットアーム505が動作する空間に存在し得る真空環境118を封じ込めるために、
図3の例示的なロボット100と同様に、ベローズ595と、モータM1の1つ又は複数のステータと1つ又は複数のロータとの間の円筒形バリアとを備えてもよい。ロボット500において、ベローズ595は、スピンドルアセンブリ580の上下運動に対応するように構成されてもよい。あるいは、モータM1のステータとロータとの間に隔壁を設けず、モータM1のステータを真空環境118内に配置してもよい。
【0058】
ロボット500の制御システムは、マスターコントローラ515と、駆動ユニット510に静止状態で配置された1つ又は複数の制御モジュール516と、スピンドルアセンブリ580に取り付けられた1つ又は複数の制御モジュール517と、ロボットアーム505に配置された1つ又は複数の制御モジュール518とを備えてもよい。マスターコントローラ515と制御モジュール516、517、518は、通信ネットワークによって接続されていてもよい。
【0059】
例示のロボット500において、肘関節に関連するアクチュエータ(モータM2)は、上腕520に配置された制御モジュール518によって制御されてもよく、手首関節に関連するアクチュエータ(モータM3及びM4)は、前腕521(リンク2)に配置された制御モジュール523によって制御されてもよい。また、制御モジュール523は、通信ネットワークによって、コントローラ515及び制御モジュール516、517、518に接続されていてもよい。
【0060】
駆動ユニット510のスピンドルアセンブリ580に配置された1つ又は複数のアクチュエータ(モータM1)は、スピンドルアセンブリ580に取り付けられた制御モジュール517によって制御されてもよい。制御モジュール517は、スピンドルアセンブリ580と共に上下動してもよい。Zモータ(Mz)は、例えば、駆動ユニット510の基部に固定的に配置された制御モジュール516によって制御されてもよい。
【0061】
図5に描かれているように、制御モジュール516、517、518は、例えば駆動ユニット510の基部に配置されてもよいマスターコントローラ515によって、例えば通信ネットワークを介して調整されてもよい。マスターコントローラ515は、
図4に示されるように、駆動ユニット510の外部に配置されてもよい。
【0062】
制御システムは、マスターコントローラ515を通じて、例えばユーザ又はホストシステムから外部入力を受け取り、位置エンコーダ(簡単化のため図示せず)から個々の運動軸(モータ)の位置を読み取り、これらの情報を処理して、モータに電圧を印加して所望の運動を行わせ、及び/又は所望の位置を達成することができる。
【0063】
図5の例示的ロボット500において、上腕520は、真空環境118内に位置してもよく、真空環境118に曝されうる。上腕520の内部空間は、真空環境118から封止隔離され、空気、別の混合気体、又は単一の気体、例えば窒素で満たされてもよい。
図5に示されるように、駆動シャフト585は、上腕520の内部空間内へと延伸してもよい。また駆動シャフト585は、下端で密封されていてもよく、電気機械部品を収容し、(真空とは対照的に、)気体環境においてそれらの接続を可能にしうる封止された空間を形成する。一例として、封止された空洞は、制御モジュール518と回転カップリングモジュールの一部を収容することができる。
【0064】
ロボット300で使用されたものと実質的に同じ上腕構成をロボット500で利用することができる。ロボット500の前腕521(リンク2)も、真空環境内に配置され、真空環境に曝されうる。この場合、前腕の内部空間も真空環境から封止隔離され、空気、別の混合気体、又は例えば窒素などの単一気体で満たされてもよく、電気機械部品を収容し、(真空とは対照的に、)気体環境においてそれらの接続を可能にする空洞を形成してもよい。
【0065】
ロボット500において、前腕521(リンク2)の封止された空洞は、モータM3及びM4のステータを収容してもよい。この場合、モータM3及びM4のステータとロータとの間の円筒形のバリアを利用して、上腕520の内部空間を外部の真空環境118から分離してもよい。あるいは、モータM3及びM4ステータは、真空環境内に配置されてもよい。この場合、封止されたキャビティ内に配置された制御モジュールと接続するために、電気フィードスルーが利用されてもよい。
【0066】
ロボット500において、モータM3及びM4ならびに制御モジュール523は、前腕521(リンク2)に放熱するようにされてもよい。この構成では、モータM3及びM4ならびに制御モジュール523によって生成された熱は、前腕521(リンク2)を通じて伝達され、肘関節を通じて上腕520に放熱されてもよい。
【0067】
ロボットアーム505に配置されたモータ及び制御モジュール518及び523によって生成された熱を除去するために、ロボットアーム505の1つ又は複数の回転関節は、対応する回転関節によって接続されたリンク間で熱を伝達するように構成された1つ又は複数の回転サーマルカップリング構成又は回転サーマルカップリング900によって補完されてもよい。ロボット500では、肩関節501及び肘関節502はそれぞれ、1つの回転サーマルカップリング900によって補完される。
【0068】
次に
図6Aから
図6Gを参照すると、ロボット500の動作が示されている。
図6Aは、収縮状態にあるロボット500を図示する。この状態において、前腕521(リンク2)及びエンドエフェクタ530は上腕520の上に位置している。
図6B及び
図6Cは、上腕520、前腕521(リンク2)、及び上側のエンドエフェクタ530が、駆動ユニット510から離れるように伸長した状態におけるロボット500を図示する。
図6Dは、前腕521(リンク2)及び上側のエンドエフェクタ530が、上腕520とは反対方向に伸長した状態におけるロボット500を図示する。
図6Eは、前腕521(リンク2)及び下側のエンドエフェクタ530が、上腕520とは反対方向に伸長した状態におけるロボット500を示す。
図6F及び
図6Gは、上腕520、前腕521(リンク2)、及び下側のエンドエフェクタ530が、駆動ユニット510から離れる方向に伸長した状態におけるロボット500を示す。
【0069】
次に
図7Aを参照すると、真空対応原材料ハンドリングロボットの別の例が示されている。このロボットは「ロボット700」と呼ばれている。ロボット700は、駆動ユニット710と、肩701を中心に回転可能な上腕720(リンク1)と、肘702を中心に回転可能な前腕721(リンク2)と、手首関節707を中心に回転可能なエンドエフェクタ730とを備える点で、機械的構造においてロボット300及び500に類似している。しかし、
図7B及び
図7Cに示されるように、ロボット700において、前腕721上の手首関節707の各々は、複数のエンドエフェクタ730を支持し得る。
図7B及び
図7Cに示されるように、各手首関節707は、2つのエンドエフェクタ730を支持する。これら2つのエンドエフェクタ730の各々は、横に並んだ配置で2つのペイロードグリッパー735を有する。各グリッパー735は、半導体ウェハなどのペイロードを受け入れるように構成される。
【0070】
ロボット700の駆動ユニット710は、駆動シャフト785を有するスピンドルアセンブリ780を有することができると共に、実施形態によっては、垂直リフト(Z軸)機構790を有することができる。ロボット700のZ軸機構790は、モータMzを用いて、例えばボールねじを介して、スピンドルアセンブリ780を上下に移動させるように構成されてもよい。スピンドルアセンブリ780は、上腕720に接続されたシャフト785を有してもよい。駆動シャフト785はモータM1によって作動され、上腕720を肩701を中心に回転させる。
【0071】
ロボット700の駆動ユニット710は、ロボットアーム705が動作する空間に存在し得る真空環境118を封じ込めるために、
図3の例示的なロボット100と同様に、ベローズ795と、モータM1の1つ又は複数のステータと1つ又は複数のロータとの間の円筒形バリアとを備えてもよい。ロボット700において、ベローズ795は、スピンドルアセンブリ780の上下運動を収めうるように構成されてもよい。あるいは、モータM1のステータとロータとの間に隔壁を設けず、モータM1のステータを真空環境118内に配置してもよい。
【0072】
ロボット700の制御システムは、マスターコントローラ715と、駆動ユニット710に固定的に配置された1つ又は複数の制御モジュール716と、スピンドルアセンブリ780に取り付けられた1つ又は複数の制御モジュール717と、ロボットアーム705に配置された1つ又は複数の制御モジュール718とを備えてもよい。マスターコントローラ715と制御モジュール716、717、718は、通信ネットワークによって接続されていてもよい。
【0073】
図7A~
図7Cの例示的ロボット700において、肘関節702に関連するアクチュエータ(モータM2)は、上腕720に位置する制御モジュール718によって制御されてもよく、手首関節707に関連するアクチュエータ(モータM3及びM4)は、前腕721に位置する制御モジュール723によって制御されてもよい。
【0074】
駆動ユニット710のスピンドルアセンブリ780に配置された1つ又は複数のアクチュエータ(モータM1)は、スピンドルアセンブリ780に取り付けられて共に上下動しうる制御モジュール717によって制御されてもよい。Zモータ(Mz)は、例えば、駆動ユニット710の基部に固定的に配置された制御モジュール716によって制御されてもよい。
【0075】
図7Aに描かれているように、制御モジュール716、717、718は、例えば駆動ユニット710の基部に配置されてもよいマスターコントローラ715によって、例えば通信ネットワークを介して調整されてもよい。マスターコントローラ715は、
図4に示されるように、駆動ユニット710の外部に配置されてもよい。
【0076】
マスターコントローラ715は、例えば、ユーザ又はホストシステムから外部入力を受信し、位置エンコーダ(簡単のため図示せず)から個々の運動軸(モータ)の位置を読み取り、その情報を処理してモータに電圧を印加し、所望の運動を行わせ、及び/又は所望の位置を達成することができる。
【0077】
図7A~
図7Cの例示的ロボット700において、上腕720は、真空環境118内に位置してもよく、真空環境118に曝されうる。上腕720の内部空間は、真空環境118から封止隔離され、空気、別の混合気体、又は単一の気体、例えば窒素で満たされてもよい。
図7Aに示されるように、駆動シャフト785は、上腕720の内部空間内へと延伸してもよい。また駆動シャフト785は、下端で密封されていてもよく、電気機械部品を収容し、(真空とは対照的に、)気体環境においてそれらの接続を可能にしうる封止された空間を形成する。一例として、封止された空洞は、制御モジュール717と回転サーマルカップリングモジュール900の一部を収容することができる。
【0078】
ロボット300で使用されたものと実質的に同じ上腕構成をロボット700で利用することができる。ロボット700のロボットアーム705の前腕721も、真空環境内に配置され、真空環境に曝されうる。この場合、前腕の内部空間も真空環境から封止隔離され、空気、別の混合気体、又は例えば窒素などの単一気体で満たされてもよく、電気機械部品を収容し、(真空とは対照的に、)気体環境においてそれらの接続を可能にする空洞を形成してもよい。
【0079】
ロボット700において、前腕721の封止された空洞は、モータM3及びM4のステータを収容してもよい。この場合、モータM3及びM4のステータとロータとの間の円筒形のバリアを利用して、上腕520の内部空間を外部の真空環境118から分離してもよい。あるいは、モータM3及びM4ステータは、真空環境内に配置されてもよい。この場合、封止されたキャビティ内に配置された制御モジュールと接続するために、電気フィードスルーが利用されてもよい。
【0080】
ロボット700において、モータM3及びM4ならびに制御モジュール723は、前腕721に放熱するようにされてもよい。この構成では、モータM3及びM4ならびに制御モジュールによって生成された熱は、前腕721を通じて伝達され、肘関節702を通じて上腕720に放熱されてもよい。
【0081】
ロボットアームに配置されたモータ及び制御モジュールによって生成された熱を除去するために、ロボットアームの1つ又は複数の回転関節は、対応する回転関節によって接続されたリンク間で熱を伝達するように構成された1つ又は複数のサーマルカップリング構成によって補完されてもよい。ロボット700では、肩関節701及び肘関節702はそれぞれ、1つの回転サーマルカップリング構成900によって補完される。
【0082】
次に
図8を参照すると、ロボット700の動作が示されている。
図8Aは、上腕720及び前腕721の両方が後退位置にあり、2つのエンドエフェクタ730が横並びに配置され、整列され、「準備完了」状態にある、ロボット700を示す。
図8B及び
図8Cは、上腕720及び前腕721が伸長すると共に、上側エンドエフェクタ730が前腕721と同じ方向に伸長する一方、下側エンドエフェクタ730が上側エンドエフェクタ730と反対方向に伸長する様子を図示する。
図8D及び
図8Eは、上腕720がある方向に伸長し、前腕721が反対方向に伸長したロボット700を示す。上側エンドエフェクタ730と下側エンドエフェクタ730とは、互いに180度の方向に配向されている。
図8F及び
図8Gは、上腕720及び前腕721が伸長すると共に、下側エンドエフェクタ730が前腕721と同じ方向に伸長する一方、上側エンドエフェクタ730が下側エンドエフェクタ730と反対方向に伸長する様子を図示する。
【0083】
ここで
図9Aを参照すると、例示的な回転サーマルカップリング900が示されている。回転サーマルカップリング900は、例えば、
図5のロボット500の例示的なロボットアーム505の肘関節502において回転カップリングとして利用されてもよく、また、
図7Aのロボット700の例示的なロボットアーム705の肘関節702において、において回転カップリングとして利用されてもよい。回転サーマルカップリング900は、2つの部分、すなわち、第1の部分902及び第2の部分904を有してもよい。第1の部分902及び第2の部分904はそれぞれ、1つ又は複数のフィン906又はフィン状突起を有することを特徴とする。第1の部分902と第2の部分904とが組み立てられるとき、第1の部分902と第2の部分904とは同軸に整列し、そして、第1の部分902上のフィン906は、第2の部分904上のフィン906と入れ子式に配置され、第1の部分902上のフィン表面は、向かい側の第2の部分904上のフィン表面に対向する。すると、対向するフィン表面の間に隙間が画定され、熱が、第1の部分902のフィン906から第2の部分904のフィン906へと、輻射によって伝達される。輻射による熱の伝達は、残留ガスが存在する真空環境で回転サーマルカップリング900が使用される場合、対向するフィン表面間の環境を通じた対流や伝導によって補われる場合がある。
【0084】
図9Aに示されるような例示的な回転サーマルカップリング900では、例示的な回転サーマルカップリング900によって占有される有効面積を増大させ体積を最小にするために、第1の部分902及び第2の部分904の各々にフィン906又はフィン状突起のアレイが設けられ、これらのアレイが交互配置されてもよい。
【0085】
図9Bには、別の例示的な回転サーマルカップリング950が描かれている。例示的回転サーマルカップリング950は、それぞれ内側ディスク及び外側ディスクとして配置される第1の部分952及び第2の部分954を有し、これら2つの部分はそれぞれフィン956又はフィン形状の構造を有する。第1の部分952のフィン956と第2の部分954の間には隙間が画定され、この隙間を横断して非接触熱伝達が行われる。別の代替案として、円錐形及び球形に限定されない回転サーマルカップリング900,950の有効な構造の任意の他の適切な形状、及びそれらの組み合わせが利用されてもよい。
【0086】
回転サーマルカップリング900の有効面は、熱放射率を向上させるように処理されてもよい。回転サーマルカップリング950も同様である。例えば、各回転サーマルカップリング900、950の第1部分及び第2部分はアルミニウム製であってもよく、有効面は陽極酸化処理されていてもよい。
【0087】
例示的な回転サーマルカップリング900がロボットアームの2つのリンク間の熱伝達を促進するために、第1の部分902及び第2の部分904の一方は、一方のリンク(例えば、
図5に示すようなロボット500におけるリンク1又は
図7Aに示すようなロボット700におけるリンク1)に取り付けられてもよく、第1の部分902及び第2の部分904の他方は隣接するリンク(例えば、
図5に示すロボット500におけるリンク2又は
図7Aに示すロボット700におけるリンク2)に取り付けられてもよい。第1の部分902及び第2の部分904は、2つのリンクを連結する回転関節(例えば、
図5に示すロボット500における肘関節又は
図7Aに示すロボット700における肘関節)と実質的に同軸に配置されてもよい。あるいは、回転サーマルカップリング900の特徴は、ロボットアーム505のリンク(又はロボットアーム705のリンク)に直接組み込まれてもよい。実施形態によっては、回転サーマルカップリング900は、上腕からスピンドルアセンブリ580又は780の首部に熱を伝達するという目的のために、同様の形態で利用されてもよい。開示された例示的な実施形態のいずれにおいても、回転サーマルカップリング900の代わりに回転サーマルカップリング950を使用してもよい。
【0088】
ここで
図4、
図5、
図7Aを参照すると、スピンドルアセンブリ380、580、780の首部の温度及びスピンドルアセンブリ380、580、780自体の温度を低下させ、上腕320、520、720から効果的に熱を逃がすことを実現するために、スピンドルアセンブリ380、580、780のそれぞれのハウジング、及び/又はスピンドルアセンブリ380、580、780のそれぞれの首部を液体冷却してもよい。一例として、水のような液体が外部供給源から冷却入口ライン960を通してロボット300、500、700に供給され、冷却出口ライン962を通してロボット300、500、700から取り出される、オープンループ構成の液体冷却システムが用いられてもよい。別の例として、液体冷却システムは、水などの液体がロボット300、500、700内で内部循環するクローズループ構成であってもよい。クローズループシステムを使用する例示的な実施形態では、液体を冷却システム内で強制的に循環させるようにポンプが構成されてもよい。ファン付きまたはファンなしのラジエーターが、液体から熱を取り出すために利用されてもよい。あるいは、液体の温度を下げるために、冷却ユニットが採用されてもよい。
【0089】
図4、
図5、
図7Aに示されるように、例示的ロボット300、500、700のそれぞれの駆動ユニット310、510、710は、サービスループ965を備えてもよい。サービスループ965は、スピンドルアセンブリ380、580、780を、それぞれの駆動ユニット310、510、710の静止部分と電気的に接続するように構成されてもよい。例示的ロボット300、500、700のそれぞれのサービスループ965は、電力及び信号伝送のためだけでなく、電気的接地の目的のためにも使用することができる。また、サービスループ965は、スピンドルアセンブリ380、580、780との間で冷却液を流すために使用することもできる。
【0090】
例示のロボット300、500、700は、1つ又は複数の回転カップリング980を採用することもできる。各回転カップリング980は、回転関節を介して動力を伝送するように構成されてもよく、及び/又は、回転関節を通じて通信信号を伝送するように構成された通信リンクを介して動力を伝送するように構成されてもよい。例えば
図4、
図5、
図7Aに示されるように、回転カップリング980は、スピンドルアセンブリ380、580、780からそれぞれの上腕320、520、720に動力を伝達するために利用されてもよく、また、スピンドルアセンブリ380、580、780とそれぞれの上腕320、520、720との間で通信信号を伝達するために利用されてもよい。別の例として、
図5及び
図7に示すように、回転カップリング980を利用して、上腕520及び720から前腕521及び721に動力を伝達し、上腕520及び720と前腕521及び721との間で通信信号を伝達してもよい。
【0091】
ロボット300、500、700のいずれかにおいても、回転カップリング980は様々な物理的原理及びそれらの組み合わせで動作するものであってよく、例えば、1つ又は複数の導電性ブラシにそれぞれ接触する1つ又は複数の導電性リングを有するスリップリング構成、イオン液体などの導電性流体により湿潤したスリップリング構成、非接触容量性カップリング、非接触誘導性カップリングなどの原理により動作するものであってよい。
【0092】
次に
図10Aを参照すると、容量性回転カップリングの一例が一般的に1000で示されている。容量性回転カップリング1000は回転カップリング980の代わりに使用することができる。容量性回転カップリング1000は、放射状の構造に構成されている。
図10Aでは、円筒様の環状構造が回転軸の周りに配置される。円筒様の環状構造は、外筒部1005と内筒部11007とを有する。外筒部1005の内周面には第1外側リング1010が配置され、第1外側リング1010に対向する内筒部1007の外周面には第1内側リング1015が配置される。同様に、第1外側リング1010及び第1内側リング1015と同様に、第2外側リング1020及び第2の内側リング1025が近接して配置されている。信号は、内側リングと外側リングを経由して供給される。
【0093】
次に
図10Bを参照すると、容量性回転カップリングの別の実施例が一般的に1040で示されている。容量性回転カップリング1040は、軸方向に配置されている。上側ディスク部1045及び下側ディスク部1050が回転軸の周りに配置されている。上側ディスク部1045は上側リング1055及び1056を有し、下側ディスク部は下側リング1060及び1061を有する。信号は上側リングと下側リングを通じて供給される。容量性回転カップリング1000は、容量性回転カップリング1040と同様に、電力カップリング及び/又は通信リンクとして利用することができる。
【0094】
誘導原理で動作する電力カップリングの例が、米国特許出願公開第2016/0229296号、同第2018/0105044号、同第2018/0105045号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。誘導電力カップリングの好適な例示的構成の簡略化された断面図が、
図11の1100として概略的に描かれている。以下これを、「電力カップリング1100」と称する。電力カップリング1100は、一次コイル1104を有する一次コア1102と、二次コイル1108を有する二次コア1106とを備え、一次コア1102と二次コア1106は回転軸を中心に配置されている。電源1120は、1次コイル1104に交流(AC)を入力し、2次コイル1108を経て整流フィルタ1125に入力する。電力カップリング1100は、制御モジュールに電力を供給するために使用されてもよく、また、ロボットアーム内の位置エンコーダや他のセンサなどの他のアクティブデバイスに直接又は間接的に電力を供給するために利用されてもよい。
【0095】
次に
図12を参照すると、通信リンクの一例が一般的に1200で示されており、以下これを、「通信リンク1200」と呼ぶ。通信リンク1200は、本明細書に開示される例示的なロボットのいずれかと共に使用するための光通信リンクであってもよい。通信リンク200は、回転軸を中心に配置された第1の光通信モジュール1210及び第2の光通信モジュール1211を有してもよい。これらの光通信モジュールのうちの一方は、通信リンク1200が組み込まれたスピンドルアセンブリのハウジングに対して静止しており、他方は、ロボットの上腕と共に回転可能である。
図12の通信リンク1200において、2つの光通信モジュール1210及び1211は、ロボット(例えばロボット700)の任意の回転関節のベアリングを利用してアライメントを維持してもよい。または、様々な静的及び動的負荷条件下でのロボットの構造の潜在的な変形に関係なく、2つの光通信モジュール1210及び1211の高度なアライメントを維持するために、追加のベアリングを通信リンク1200に組み込んでもよい。第1光通信モジュール1210は第1密閉型光学素子1230を備え、第2光通信モジュール1211は第2密閉型光学素子1231を備え、第1密閉型光学素子1230と第2密閉型光学素子1231は真空環境の一部を挟んで互いに向き合うように配設されている。第1光通信モジュール1210には第1光ファイバーケーブル1218が延び、第2光通信モジュール1211からは第2光ファイバーケーブル1219が延びている。
【0096】
通信リンク1200は、電気信号を光信号に、またはその逆に変換するオプションのエレクトロニクスを備えてもよい(銅線-ファイバ変換ブロック1216及びファイバ-銅線変換ブロック1220を参照)。変換エレクトロニクス(銅線-ファイバ変換ブロック1216及びファイバ-銅線変換ブロック1220)は、例えばプリント回路基板などの別個のモジュールの形態であってもよい。光通信リンク1200は、スピンドルアセンブリと(例えばロボット700)の上腕との間の非接触データ転送を可能としてもよい。実施形態によっては、通信リンク1200は、モータ制御モジュールとの間の双方向のデータ転送に役立つように、制御システムの通信ネットワークに組み込まれてもよい。
【0097】
次に
図13を参照すると、(
図12の)通信リンク1200は、(
図11の)電力カップリング1100と組み合わされて、一体化された回転カップリングアセンブリ1300になることがある。
【0098】
図13に描かれているように、一体型回転カップリングアセンブリ1300は、ロボット(例えばロボット300、500、700)のスピンドルアセンブリのハウジングに対して静止している下部1305と、ロボットの上腕(例えば上腕320、520、720)と共に回転する上部1310との2つの部分を有するという特徴を有する。一体型回転カップリングアセンブリ1300の2つの部分は、ロボットの回転カップリングのベアリングを利用してアライメントを維持してもよい。また、様々な静的および動的負荷条件下でロボットの構造が変形したとしても、光通信リンクの高度なアライメントを維持するために、追加のベアリングを利用してもよい。
【0099】
分散アクチュエータを有するアーキテクチャをサポートするために利用され得る上記の構造、ならびに追加及び代替の好適な配置のより詳細な説明は、2021年2月10日に出願された米国特許出願番号17/172209に見出すことができ、この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,569,430号及び第10,224,232号もまた、ロボット駆動部及びロボットアームを備えるロボット内の様々な位置に分散配置されたアクチュエータ及びセンサを渦示し、説明している。
【0100】
図1及び
図3に示すような例示的ロボット100は、統合されたペイロード把持システムを備えてもよい。ペイロード把持システムは静電放電(ElectroStatic Discharge, ESD)システムであってもよく、主電子モジュール1405と、肩関節に配される回転カップリング980と、1つ又は複数の肘関節に配される1つ又は複数の回転カップリング980と、各々がそれぞれの前腕125に関連付けられる1つ又は複数の補助電子モジュール990と、各々がそれぞれのエンドエフェクタ130に関連付けられる1つ又は複数のペイロードグリッパー135とを備えるシステムであってもよい。実施形態によっては、補助電子モジュール990はなくてもよい。また、実施形態によっては、回転サーマルカップリング900を関節部に採用し、システムの熱管理を改善してもよい。
【0101】
同様に、
図4の例示的なロボット300も、統合されたペイロード把持システム(ESDシステム)を備えてもよい。このシステムは、上腕320に取り付けられるか、又は上腕320内に配される主電子モジュール1405と、1つ又は複数の肘関節に配される1つ又は複数の回転カップリング980と、各々がそれぞれの前腕325に関連する1つ又は複数のオプションの補助電子モジュール990と、各々がそれぞれのエンドエフェクタ330に関連する1つ又は複数のペイロードグリッパー335とを備える。実施形態によっては、1つ又は複数の肘関節に回転サーマルカップリング900を採用し、システムの熱管理を改善してもよい。
【0102】
別の例として、
図5のロボット500も、統合ペイロード把持システム(ESDシステム)を備えてもよい。このシステムは、リンク2(前腕)に取り付けられるか又はリンク2に配される主電子モジュール1405と、1つ又は複数の手首関節503に配される1つ又は複数の回転カップリング980と、各々がそれぞれの手首関節503に関連する1つ又は複数の(オプションの)補助電子モジュール990と、各々がそれぞれのエンドエフェクタ530に関連する1つ又は複数のペイロードグリッパー535とを備えてもよい。実施形態によっては、1つ又は複数の手首関節503に回転サーマルカップリング900を採用し、システムの熱管理を改善してもよい。
【0103】
さらに別の例として、
図7のロボット700は、ペイロードグリッパー735の数を除いて、
図5のロボット500と実質的に同一の統合ペイロード把持システムを備えてもよい。グリッパーLA及びグリッパーRAのような左右把持モジュール(グリッパー735)は、同期して制御されてもよく、例えば、対応する補助電子モジュール990において並列に接続されてもよい。補助電子モジュール990が使用されない場合、グリッパーLA及びグリッパーRAは、対応する手首関節回転カップリングの後に並列に接続されてもよい。あるいは、グリッパーLAとグリッパーRAは、対応する補助電子モジュール990によって独立して制御されてもよい。補助電子モジュールが使用されない場合、グリッパーLA及びグリッパーRAは、別々の回転カップリング980を介して、又は共有のマルチチャネル回転カップリングを介して、主電子モジュール1405によって独立して制御されてもよい。
【0104】
図1~
図7Cに描かれた例示的ロボットで利用されるペイロード把持システムのアーキテクチャは、
図14のブロック図によって一般的に表すことができる。
図14のブロック図は、真空環境原材料ハンドリングロボットの様々な構造及び構成において利用され得る、ペイロード把持システムの追加構成を包含し、例えば、複数のリンク、様々なタイプの単軸及び多軸関節、複数のエンドエフェクタを有するロボットを包含する。
図14に描かれたアーキテクチャは、1つ又は複数のペイロード把持システム及びペイロードグリッパーが、本明細書に記載された例示的ロボットの様々なエンドエフェクタ上で、ペイロードの独立制御及び/又は同期制御を提供するように構成されることを可能とする。
【0105】
図14のブロック図に描かれているように、本発明によるペイロード把持システムは、一般的に1400で示されている。システム1400は、主電子モジュール1405、(並列配置及び/又は直列配置された)1つ又は複数の電気カップリング1410、及び1つ又は複数の把持モジュール又はグリッパー135を備えてもよく、実施形態によっては、1つ又は複数の補助電子モジュール1415を備えてもよい。グリッパー135は、上記で開示したグリッパー335、535、735と同様又は類似のものであってよい。
図14において、Nは、並列に配される電気ブランチ(電気分岐部)の数であり、Mi(i=1,2,・・・,N)は、各電気ブランチに直列に配置された電気カップリングの数であり、であり、Ki(i=1,2,・・・,N)は、各電気ブランチに接続されたグリッパー135の数である。
【0106】
図14に示されるように、ペイロード把持システム1400はさらに、ロボットの関節のベアリング及びロボットアームの伝達システム(プーリ、ベルト、バンド及び/又はケーブル)(符号1430が付されたブロックを参照)を介して提供され得る接地接続1425を利用し得る。接地接続1425の品質は個々の設計に依存し、実施形態によっては不完全であってもよい。すなわち例えば、断続的及び/又は望ましくない抵抗を示すものであってもよい。
【0107】
電気ブランチに接続されたグリッパー135の数が複数である場合(
図14のグリッパー135又は把持モジュール1-1~1-K1を参照)で、補助電子モジュールも存在しない場合、把持モジュールは並列に接続されていると考えてもよい。
【0108】
複数の並列配置された電気ブランチを同じカップリングを介して配線する場合、これらの電気ブランチに関連付けられる電気カップリングを1つのマルチチャネル電気カップリングに結合することができる。この場合、これらの電気ブランチの各々に専用の電気カップリングを用意しなくともよい。
【0109】
図14は、例示的な説明のみを目的としていることに留意すべきである。実施形態によっては、グリッパー135又はペイロード把持システム1400の実際の構成は、
図14のブロック図に示される構造を超えて拡張され得る。例えば、追加の電気ブランチが、モジュール(ブロック)のいずれかから、及び/又はその後に設けられてもよく、並列配置及び直列配置の任意の組み合わせを可能にしてもよい。
【0110】
図14に示されるように、主電子モジュール1405は、例えば、直流電圧又は交流電圧の形態で電力1440を受け取ってもよい。主電子モジュール1405はまた、例えばロボット100(又は他のロボット300、500、700)の制御システムから1つ又は複数の制御信号1450を受信してもよく、状態、ペイロードの存在、及び/又は把持の質などの情報を通信し返してもよい。
図4や
図5、
図7Aの分散型アクチュエータを有する例示的なロボットでは、最も近い制御モジュールが、1つ又は複数の制御信号を主電子モジュール1405に提供し、主電子モジュール1405から情報を受信するために使用されてもよい。あるいは、ペイロード把持システム1400の主電子モジュール1405は、制御システム115(ロボット300、500、700の制御システムでは、それぞれマスターコントローラ315、515、又は715)と直接通信してもよい。
【0111】
ある例示的な実施形態では、
図15Aに示されるように、主電子モジュール1405は、AC電源1518を備えてもよい。実施形態によっては、主電子モジュール1405は、ペイロードを検出するため、及び/又は、グリッパー135による把持の質を評価するための回路又は回路部分を有してもよい。
図15A~
図15Mを参照してグリッパー135が説明されるが、本明細書で説明される例示的な実施形態は、グリッパー335、535、735にも同様に適用可能である。主電子モジュール1405は、電力入力及び制御信号を受け取るように構成されてもよい。電力入力は、AC電源1518及び主電子モジュール1405の他の回路に電力を供給するために利用されてもよい。制御信号は、AC電源1518を活性化、非活性化、修正、又は他の方法で制御するために使用されてもよい。AC電源1518からの電圧は、電気カップリング1520を通して把持モジュール135に流されることがある。
【0112】
電気カップリング1520は誘導原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は、誘導的に結合された一対のコイル、すなわち一次コイル1522及び二次コイル1524を備えてもよい。コイル1522及び1524は、互いに対して自由に動くことができ、例えば、軸1525の周りに互いに対して回転することができる。このような回転構成では、
図11に関して前述したように、それらは軸方向に配置されてもよく、磁束は軸1525に実質的に平行な方向に一次コイル1522と二次コイル1524との間の(平面的な)隙間を横断して移動する。あるいは、コイル1522と1524は径方向に並ぶように配置されてもよい。この場合、コイル1522と1524の間の磁束は、コイル1522と1524の間の円筒形のギャップを放射状に移動する。
【0113】
必要であれば、電気カップリング1520のコイル1522及び1524は、主電子モジュール1405によって供給される電圧を昇圧するように選択することができる。
【0114】
図15Aに描かれているように、把持モジュール135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)基板又はベース1530と、少なくとも1つの電極、例えば、電極1535及び1540とを備えてもよい。これらの電極は、例えば、主電子モジュール1405から電気カップリング1520を介して受け取ったAC電圧を印加されると、把持モジュール135とロボット100のエンドエフェクタ130上に載置されたペイロード1550との間に引力を生じさせるように構成される。一例として、電極1535及び1540への交流電圧の印加は、電極1535及び1540上に電荷分布を生じさせうる。そしてこれらの電荷分布は、ペイロード1550上に反対極性の電荷を誘導しうる。これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0115】
図15Aの例示的なペイロード把持システム1400の動作は、以下のようにまとめることができる。主電子モジュール1405が、電気カップリング1520を通じてグリッパー135にAC電圧を印加すると、ペイロード1550とグリッパー135との間に引力が生じ得る。この引力は、主電子モジュール1405が交流電圧を印加し続ける限り、存在し続けてもよい。
【0116】
図15Bに示す別の例示的実施形態は、電気カップリング1520を除いて、
図15Aを用いて説明した例示的実施形態と実質的に同じ構成を有してもよい。
【0117】
図15Bの例示的な実施形態では、電気カップリング1520は容量性原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は2つの部分を備えてもよい。これら2つの部分は互いに対して移動、例えば回転してもよい。また、2つのチャネル1560及び1565を形成する対向電極を有することを特徴としてもよい。この回転構成では、電気カップリング1520は、
図10Aに関して前述したように、放射状に配置されてもよい。この場合、
図10Aに示すように、電気カップリング1520は、円筒形の隙間によって分離された外筒部と内筒部とを備えてもよい。上記2つの部分の対向電極は、円筒形の隙間を横断する径方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。実施形態によっては、電気カップリング1520は、
図10Bに関して前述したように、軸方向に配置されてもよい。この場合、
図10Bに示すように、電気カップリング1520は、平面的な隙間によって分離された上側ディスク部分と下側ディスク部分とを有してもよい。上記2つの部分の対向電極は、平面的な隙間を横断する軸方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。
【0118】
図15Cを参照すると、主電子モジュール1405はAC電源1518を備えてもよい。実施形態によっては、主電子モジュール1405は、オプションの回路又はその部分を備えてもよい。この回路は、補助電子モジュール1450-03のための1つ又は複数の制御信号を生成し、補助電子モジュール1450-03から1つ又は複数のステータス信号(状態信号)を受信し、及び/又はペイロード1550を検出し、及び/又は把持の質を評価する回路であってもよい。主電子モジュール1405は、電力入力及び制御信号を受け取るように構成されてもよい。電力入力は、AC電源1518及び主電子モジュール1405の他の回路に電力を供給するために利用されてもよい。制御信号は、AC電源1518を活性化、非活性化、修正、又は他の方法で制御するために使用されてもよい。AC電源1518からの電圧は、電気カップリング1520を通して補助電子モジュール1450-03に伝達されてもよい。
【0119】
図15Cに示されるような電気カップリング1520は、誘導原理で動作してもよい。これは、
図15Aに関して説明した例示的な実施形態と実質的に同じであってよい。電気カップリング1520は、主電子モジュール1405と補助電子モジュール1450-03との間で、制御信号やステータス信号などの追加信号を伝送するように構成されてもよい。この目的のために、(コイル1522、1524に加えて)追加のコイルが含まれてもよい。あるいは、主電子モジュール1405と補助電子モジュール1450-03との間の別の通信手段を使用してもよい。
【0120】
補助電子モジュール1450-03は整流器1570を備えてもよい。整流器1570は、電気カップリング1520を介し受け取った交流電圧を直流電圧に変換するために利用されてもよい。そしてこの直流電圧は、グリッパー135に供給されてもよい。補助電子モジュール1450-03はまた、例えば、主電子モジュール1405から受信した1つ又は複数の信号に基づいて、直流電圧をオン又はオフにするように制御する回路を備えてもよい。さらに、補助電子モジュール1450-03は、ペイロード1550を検出するため、及び/又は把持の質を評価するため、及び/又は主電子モジュール1405に状態を通信するために、回路、又はそのような回路の一部を有してもよい。
【0121】
図15Cを参照すると、グリッパー135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)ベース1530と、少なくとも1つの電極、例えば電極1535、1540を有してもよい。これらの電極は、例えば補助電子モジュール1450-03によって直流電圧を印加されると、グリッパー135と、ロボット100のエンドエフェクタ130上に載置されているペイロード1550との間に引力を生じさせるように構成される。一例として、電極1535及び1540への直流電圧の印加は、これらの電極上に電荷分布を生じさせうる。そしてこれらの電荷分布は、ペイロード1550上に反対極性の電荷を誘導し得る。これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0122】
図15Cの例示的なペイロード把持システム1400の動作は、以下のようにまとめることができる。主電子モジュール1405が電気カップリング1520を介して補助電子モジュール1450-03に交流電圧を印加すると、グリッパー135に直流電圧が印加され、ペイロード1550とグリッパー135との間に引力が生じうる。この引力は、主電子モジュール1405が交流電圧を印加し続ける限り、存在し続けてもよい。
【0123】
あるいは、主電子モジュール1405は、電気カップリング1520を介してAC電圧を補助電子モジュール1450-03に連続的に印加してもよい。そして補助電子モジュール1450-03は、主電子モジュール1405から受信した1つ又は複数の制御信号に基づいて、グリッパー135に供給されるDC電圧を制御し、ペイロード1550とグリッパー135との間の引力を制御してもよい。この引力は、補助電子モジュール1450-03が直流電圧を印加し続ける限り、存在し続けてもよい。
【0124】
図15Dに描かれる別の例示的実施形態は、電気カップリング1520を除いて、
図15Cを用いて説明した例示的実施形態と実質的に同じ構成を有してもよい。
【0125】
図15Dに示されるように、電気カップリング1520は容量性原理で動作してもよい。電気カップリング1520の動作は
図15Bに関連して説明したものと実質的に同じであってもよい。電気カップリング1520は、主電子モジュール1405と補助電子モジュール1450-03との間で、制御信号やステータス信号などの追加信号を伝送するように構成されてもよい。この目的のために追加の電極を有してもよい。あるいは、主電子モジュール1405と補助電子モジュール1450-03との間の別の通信手段を使用してもよい。
【0126】
補助電子モジュール1450-03は整流器1570を有してもよい。整流器1570は、電気カップリング1520を介し受け取った交流電圧を直流電圧に変換するために利用されてもよい。そしてこの直流電圧は、グリッパー135に供給されてもよい。補助電子モジュール1450-03はまた、例えば、主電子モジュール1405から受信した1つ又は複数の信号に基づいて、直流電圧をオン又はオフにするように制御する回路を備えてもよい。さらに、補助電子モジュール1450-03は、ペイロードを検出するため、及び/又は把持の質を評価するため、及び/又は主電子モジュール1405にステータス(状態)を通信するために、回路、又はそのような回路の一部を有してもよい。
【0127】
図15Eには別の例示的な実施形態が描かれている。この実施形態において、主電子モジュール1405は、AC電源1518の一方の出力がグランド(GND)に接続され、AC電源1518の他方の出力が、単一チャネル容量性電気カップリング1520を介してグリッパー135に送られ得ることを除いて、
図15Aに関して先に説明したものと実質的に同じであってもよい。
【0128】
図15Eに描かれているように、グリッパー135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)ベース1530と、電極1535及び1540のような少なくとも1つの電極とを備えてもよい。
図15Eに描かれているように、電極1540は、電気カップリング1520を介して主電子モジュール1405に接続されてもよい。また他方の電極1535には、グランドに対するその電圧を制御するために、グランド1555への有限抵抗経路が提供されてもよい。
【0129】
電極1540への交流電圧の印加により、ペイロード1550、電極1535、及び電極1540に電荷分布が生じ、これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0130】
図15Eに従った例示的なペイロード把持システム1400は、
図15Aに関して先に説明したのと実質的に同じ方法で動作させることができる。
【0131】
図15Fには別の例示的な実施形態が示されている。この実施形態において、主電子モジュール1405及び電気カップリング1520は、
図15Eを用いて上に説明したものと実質的に同じであってもよい。
【0132】
補助電子モジュール1450-03は、電気カップリング1520を介して、主電子モジュール1405のAC出力に接続されてもよい。
図15Fに示すように、補助電子モジュール1450-03にはグランド1555への有限抵抗経路も提供されてもよい。補助電子モジュール1450-03は整流器1570を有してもよい。整流器1570は、電気カップリング1520を介し受け取った交流電圧を直流電圧に変換するために利用されてもよい。そしてこの直流電圧は、グリッパー135に供給されてもよい。
【0133】
図15Fの例示的実施形態の把持モジュール135は、
図15Aに関して先に説明した例示的実施形態のものと実質的に同じであってもよい。
【0134】
図15Gに示される例示的実施形態においては、、主電子モジュール1405は、三相交流電源1575を備えてもよい。実施形態によっては、主電子モジュール1405は、ペイロードを検出するため、及び/又は、把持の質を評価するための回路又は回路部分を有してもよい。主電子モジュール1405は、電力入力及び制御信号を受け取るように構成されてもよい。電力入力は、AC電源1575及び主電子モジュール1405の他の回路に電力を供給するために利用されてもよい。制御信号は、AC電源1575を活性化、非活性化、修正、又は他の方法で制御するために使用されてもよい。AC電源1575からの電圧は、電気カップリング1520を通してグリッパー135に伝達されてもよい。
【0135】
電気カップリング1520は誘導原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は、誘導的に結合された複数のコイル、すなわち一次コイル1580及び二次コイル1585を有してもよい。一次コイル1580及び二次コイル1585は互いに対して自由に動くことができ、例えば、軸1525の周りに互いに対して回転することができる。このような回転構成では、
図11に関して前述したように、一次コイル1580及び二次コイル1585は軸方向に配置されてもよく、磁束は回転軸に実質的に平行な方向に一次コイル1580と二次コイル1585との間の(平面的な)隙間を横断して移動する。あるいは、一次コイル1580及び二次コイル1585は放射状に配置されてもよく、この場合、一次コイル1580と二次コイル1585の間の磁束は、一次コイル1580と二次コイル1585との間の円筒形のギャップを放射状に移動する。
【0136】
必要であれば、電気カップリング1520の一次コイル1580及び二次コイル1585は、主電子モジュール1405によって供給される三相電圧を昇圧するように選択されてもよい。
【0137】
さらに
図15Gを参照すると、グリッパー135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)のベース1530と、電極1600、1604、及び1608などの複数の電極とを有してもよい。例えば主電子モジュール1405から電気カップリング1520を介して受け取られるAC電圧をこれらの電極のうちの少なくともいくつかに印加することにより、これらの電極は、グリッパー135と、エンドエフェクタ130上に載置されるペイロード1550との間に引力を生じさせるように構成される。一例として、電極1600、1604、及び1608への三相交流電圧の印加は、これらの電極上に電荷分布を生じさせうる。そしてこれらの電荷分布は、ペイロード1550上に反対極性の電荷を誘導し得る。これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0138】
図15Gの例示的なペイロード把持システム1400の動作は、以下のようにまとめることができる。主電子モジュール1405が、電気カップリング1520を通じてグリッパー135に三相交流電圧を印加すると、ペイロード1550とグリッパー135との間に引力が生じ得る。この引力は、主電子モジュール1405が三相交流電圧を印加し続ける限り、存在し続けてもよい。
【0139】
図15Gに従う例示的な実施形態は三相システムとして図示されているが、二相を含む任意の適切な相数を使用することができる。
【0140】
図15Hには別の例示的実施形態が示されている。この例示的実施形態は、電気カップリング1520を除いて、
図15Gを用いて上に説明した例示的実施形態と実質的に同じ構成を有してもよい。
【0141】
図15Hの例示的な実施形態では、電気カップリング1520は容量性原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は2つの部分を備えてもよい。これら2つの部分は互いに対して移動、例えば回転してもよく、また、チャネル1610、1612、1614を形成する対向電極を有することを特徴としてもよい。この回転構成では、電気カップリング1520は、
図10Aに図示されたものと同様に、放射状に配置されてもよい。この場合、電気カップリング1520は、円筒形の隙間によって分離された外筒部と内筒部とを備えてもよい。上記2つの部分の対向電極は、円筒形の隙間を横断する径方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。実施形態によっては、電気カップリング1520は、
図10Bに図示されたものと同様に、軸方向に配置されてもよい。この場合、電気カップリング1520は、平面的な隙間によって分離された上側ディスク部分と下側ディスク部分とを有してもよい。上記2つの部分の対向電極は、平面的な隙間を横断する軸方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。
【0142】
図15Hに従う例示的な実施形態は三相システムとして図示されているが、二相を含む任意の適切な相数を使用することができる。
【0143】
図15Lに示される例示的実施形態においては、主電子モジュール1405は、三相交流電源1615を備えてもよい。実施形態によっては、主電子モジュール1405は、ペイロードを検出するため、及び/又は、把持の質を評価するための回路又は回路部分を有してもよい。主電子モジュール1405は、電力入力及び制御信号を受け取るように構成されてもよい。電力入力は、DC電源1615及び主電子モジュール1405の他の回路に電力を供給するために利用されてもよい。制御信号は、DC電源1615を活性化、非活性化、修正、又は他の方法で制御するために使用されてもよい。DC電源1615からの電圧は、電気カップリング1520を通してグリッパー135に伝達されてもよい。
【0144】
図15Iに示すように、電気カップリング1520は、チャネル1620及び1622などの2チャネルのスリップリング構造に基づいてもよい。一例として、スリップリング構造は、軸方向配置であってもよい。別の例として、スリップリング構造は半径方向配置であってもよい。
【0145】
図15Iに描かれているように、グリッパー135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)ベース1530と、少なくとも1つの電極、例えば、電極1535及び1540とを備えてもよい。これらの電極は、例えば、主電子モジュール1405から電気カップリング1520を介して受け取ったDC電圧を印加されると、グリッパー135とエンドエフェクタ130上に載置されたペイロード1550との間に引力を生じさせるように構成される。一例として、電極1535及び1540への直流電圧の印加は、これらの電極上に電荷分布を生じさせうる。そしてこれらの電荷分布は、ペイロード1550上に反対極性の電荷を誘導し得る。これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0146】
図15Iの例示的なペイロード把持システム1400の動作は、以下のようにまとめることができる。主電子モジュール1405が、電気カップリング1520を通じてグリッパー135にDC電圧を印加すると、ペイロード1550とグリッパー135との間に引力が生じ得る。この引力は、主電子モジュール1405が交流電圧を印加し続ける限り、存在し続けてもよい。
【0147】
図15Jには別の例示的実施形態が示されている。この例示的実施形態は、電気カップリング1520を除いて、
図15Iを用いて上に説明した例示的実施形態と実質的に同じ構成を有してもよい。
【0148】
図15Jの例示的な実施形態では、電気カップリング1520は容量性原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は2つの部分を備えてもよい。これら2つの部分は互いに対して移動、例えば回転してもよい。また、2つのチャネル1560及び1565を形成する対向電極を有することを特徴としてもよい。この回転構成では、電気カップリング1520は、
図10Aに関して前述したように、放射状に配置されてもよい。この場合、
図10Aに示すように、電気カップリング1520は、円筒形の隙間によって分離された外筒部と内筒部とを備えてもよい。上記2つの部分の対向電極は、円筒形の隙間を横断する径方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。実施形態によっては、電気カップリング1520は、
図10Bに関して前述したように、軸方向に配置されてもよい。この場合、
図10Bに示すように、電気カップリング1520は、平面的な隙間によって分離された上側ディスク部分と下側ディスク部分とを有してもよい。上記2つの部分の対向電極は、平面的な隙間を横断する軸方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。主電子モジュール1405に接続された電極に直流電圧が印加されると、対向する電極上の電荷分布に変化が生じ、その結果、グリッパー135の電極1535及び1540上に電荷分布を形成しうる。
【0149】
図15Kには別の例示的な実施形態が示されている。この例示的実施形態は、
図15Jを用いて上に説明した例示的な実施形態と実質的に同じであり得る。しかし、グリッパー135の複数の電極のうちの1つにグランド1555への有限抵抗経路が提供され得ることが異なる。
特に
図15Kでは例示的な電極1535に提供されている。これは、グランドに対する電圧を制御するためである。
【0150】
図15Lには別の例示的実施形態が示されている。この実施形態において、主電子モジュール1405は、DC電源1615の一方の出力がグランド(GND)に接続され、DC電源1615の他方の出力が、単一チャネルでスリップリングに基づく電気カップリング1520を介してグリッパー135に送られ得ることを除いて、
図15Iに関して先に説明したものと実質的に同じであってもよい。
【0151】
図15Lに描かれているように、グリッパー135は、1つ又は複数のペイロードに面する表面を有する誘電体(例えばセラミック)ベース1530と、電極1535及び1540のような少なくとも1つの電極とを備えてもよい。
図15Lに描かれているように、電極1540は、電気カップリング1520を介して主電子モジュール1405に接続されてもよい。また他方の電極1535には、グランドに対する電圧を制御するために、グランド1555への有限抵抗経路が提供されてもよい。
【0152】
電極1540への直流電圧の印加により、ペイロード1550、電極1535、及び電極1540に電荷分布が生じ、これらの電荷の相互作用により、ペイロード1550と誘電ベース1530との間に引力が生じうる。この引力は、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の法線力を増加させるために利用されてもよい。すなわち、ペイロード1550を保持し、エンドエフェクタ130上でのペイロード1550の滑りを防止するために用いることのできる、ペイロード1550とエンドエフェクタ130との間の摩擦力を増加させるために利用されてもよい。
【0153】
図15Lに従う例示的なペイロード把持システム1400は、
図15Iに関して先に説明したのと実質的に同じ方法で動作させることができる。
【0154】
図15Mに示す別の例示的実施形態は、電気カップリング1520を除いて、
図15Lを用いて上に説明した例示的実施形態と実質的に同じでありうる。
【0155】
図15Mの例示的な実施形態では、電気カップリング1520は容量性原理で動作してもよい。一例として、電気カップリング1520は2つの部分を備えてもよい。これら2つの部分は互いに対して移動、例えば回転してもよい。また、単一のチャネル1560を形成する対向電極を有することを特徴としてもよい。この回転構成では、電気カップリング1520は、
図10Aのものと同様に、放射状に配置されてもよい。この場合、電気カップリング1520は、円筒形の隙間によって分離された外筒部と内筒部とを備えてもよい。上記2つの部分の対向電極は、円筒形の隙間を横断する径方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。実施形態によっては、電気カップリング1520は、
図10Bのものと同様に、軸方向に配置されてもよい。この場合、電気カップリング1520は、平面的な隙間によって分離された上側ディスク部分と下側ディスク部分とを有してもよい。上記2つの部分の対向電極は、平面的な隙間を横断する軸方向の電界を通じて連絡していると考えることができる。主電子モジュール1405に接続された電極に直流電圧が印加されると、対向する電極上の電荷分布に変化が生じ、その結果、グリッパー135の電極1540上に電荷分布を形成しうる。
【0156】
上記の実施形態において,グリッパー135の様々な構成が使用されてもよい。グリッパー135の例示的なユニポーラ構成がペイロード1550と共に、
図16に示されている。
図16に示されるように、例示的なユニポーラグリッパー135は、誘電体ベース1530の内部に埋め込まれてもよい電極1535を備えてもよい。半導体ウェハのようなペイロード1550は、誘電体ベース1530を適切なパターンで完全に又は部分的に覆ってもよい薄い導電層1700の表面上に載置されているように描かれている。把持動作を行うために、導電体1710及び1720を用いて電極1535とペイロード1550との間に電位差を印加することができる。
図16の例では、この目的のために直流電源1725を使用している。電位差の印加により、電極1535の最上層1730とペイロード1550の最下層1732に、絶対値は実質的に等しいが符号が反対の電荷が誘導され、結果として電界1740が発生する。この電界は、ペイロード1550の最上層1730の表面及び最下層1732の表面1738において電荷粒子に作用し、引力(把持力)1755を生成する。
【0157】
把持力1755の大きさは、誘電体ベース1530を構築するために低抵抗率の材料を使用することによって増大させることができる。
図17に示されるように、抵抗率の低い誘電体材料は、電極1535の最上層1730から誘電体ベース1530の表面1735への電荷移動1750を可能にすることができる。表面1735と、(誘起される電荷の大きさが等しく符号が反対である)ペイロード1550の底部の表面1738との間のギャップが小さいほど、ペイロード1550と誘電体ベース1530との間に作用する電界1740及び把持力1755が強くなりうる。
【0158】
ペイロードの解放は、供給電圧をカットすることで達成できる。電圧の供給が切断されると、表面電荷は、等価電気回路のRC時定数に主に基づいて減衰する。電圧の供給が切られたときに残留電荷の蓄積を防止してペイロード解放時間を最小化するための設計要件に基づいて、誘電体材料や誘電体材料の厚さ、(1つ又は複数の)電極の面積などの構造パラメータを選択することができる。
【0159】
実施形態によっては、
図16や
図17の例における直流電源1725を交流電源に置き換えることもできる。これにより、誘導原理に基づく電力伝送のような、非接触電力伝送の追加オプションが提供され、ペイロード解放時間が改善される可能性がある。しかし交流電源の場合、各交流サイクル中に把持電圧が2回ゼロになるため、グリッパー135が振動の影響を受けやすくする可能性がある。
【0160】
別の例として、グリッパー135は多電極構成であってもよい。多電極グリッパーは、一対の電極又は複数対の電極を有してもよい。また、電極における電圧の印加が、極性が逆の電荷をペイロード1550に誘導してもよい。ユニポーラのグリッパー又は把持モジュールは、ペイロード1550に対して積極的な接触が維持されることを必要としうる。またこのため、ペイロード表面上の正味電荷がゼロにならない可能性がある。これらの点で、多電極構成のグリッパー又は把持モジュールは、ユニポーラのグリッパー又は把持モジュールよりも有利であり得る。
【0161】
図18を参照すると、ペイロード1550を有するグリッパー又は把持モジュールのバイポーラ構成が、一般的に1800で示されている。以下これを、「グリッパー1800」と称する。グリッパー1800は、誘電体ベース1530内に埋め込まれた2つの電極1535及び1540を備えてもよい。ペイロード1550、例えば半導体ウェハは、誘電体ベース1530の上面1732に載置されてもよい。電極1535及び1540は、誘電体ベース1530の内部で交互に又は互い違いに配されてもよい。このとき電極1535及び1540は、誘電体ベース1530の上面1732に露出する表面積が、実質的に同一となるようにされる。
【0162】
把持動作を行うために、導体1710及び1720を用いて電極1535と1540との間に電位差を印加してもよい。
図18の例では、この目的のために直流電源1725を使用している。電極に通電することにより電界1740が生じうる。そして、基板の下面に、実質的に大きさが等しく極性が反対の電荷が誘導されうる。電界1740は、誘導された電荷粒子に作用して、ペイロード1550とグリッパー1800との間に引力(把持力)を生成しうる。
【0163】
実施形態によっては、
図18に示した直流電源1725の代わりに交流電源を使用することもできる。交流電圧の周期的性質のため、発生した把持力は周期的変動を示し、各サイクルにおいてゼロを2回横切る。把持力のゼロ値は、交流波形の電位がゼロになる瞬間に対応する。矩形波ベースの交流電源を利用することで、把持力の周期的変動の影響をある程度低減することができる。
【0164】
別の代替的実施形態として、多相交流電力、例えば、個々の相の間に120度の位相オフセットを有する三相システムを使用して、把持力がゼロに低下するのを防止することができる。
図19は、ペイロード1550を有するグリッパー1900(又は把持モジュール)のそのような構成の一例を示す。グリッパー1900は、誘電ベース1530に埋め込まれた3つの電極1535、1540、1541を有しうる。電極1535、1540、1541は、それぞれ導体1710、1720、1721を介して通電されてもよい。これらの導体1710、1720、1721は、位相間の位相オフセットが120度である3つの異なるACラインによって電力供給を受けてもよい。把持力を発生させるために三相電力を使用することにより、単相交流電源を使用する場合に、把持力が1サイクルで2回ゼロに低下することによって引き起こされる振動を実質的に排除することができる。ペイロードの解放は、三相電源をオフにすることで達成できる。
【0165】
図3、
図4、
図5、
図7Aに示されるように、グリッパーは、対応するロボットの対応するエンドエフェクタに取り付けられた別個のアセンブリであってもよい。あるいは、グリッパーは、エンドエフェクタに完全に又は部分的に一体化されていてもよい。グリッパー又は把持モジュールが一体化されたエンドエフェクタの2つの例が、
図20A及び
図20Bに、それぞれ2000及び2050として示されている。
図20Aの例では、誘電体ベース2010が、把持面として動作するように丸い電極パターン2015が取り付けられた丸みを帯びた端部を有するものとして示されている。
図20Bの例では、誘電体ベース2060がフォーク状の端部を有するものとして示されており、この端部が把持面として動作するように、フォーク状又はU字状の電極パターン2065が取り付けられている。いずれの把持モジュール(2000又は2050)においても、把持面はエンドエフェクタの構造と組み合わされ、単一のアセンブリを形成する。
【0166】
図3、
図4、
図5、
図7Aでは、単一の主電子モジュール1405とペイロード把持システムの各把持モジュールとの間に1つ又は複数の可動関節が存在するが、
図21A、
図21B、
図21Cの略図では、主電子モジュール1405は、1つ又は複数のグリッパー又は把持モジュールに直接接続されている。また、
図21A、
図21B、
図21Cにも描かれているように、把持モジュール又は把持モジュールのセットの各々に対して1つずつ、主電子モジュールを利用するようにしてもよい。
【0167】
図3、
図4、
図5、
図7Aの例では、ペイロード把持システム1400のオプションの補助モジュール990は、対応するリンクの上部に取り付けられているように描かれている。これは、単に説明のためであり、描写を明瞭にするためである。オプションの補助電子モジュール990は、任意の適切な場所に取り付けることができる。例えば、対応する関節に嵌め込んだりパッケージ化したりしてもよい。一例として、
図22に模式的に示すように、対応する回転カップリングに組み込んでもよい。同様に、
図21の例における主電子モジュール1405も、対応するカップリングに嵌め込んだりパッケージ化したりしてもよい。
【0168】
ある例示的実施形態において、装置は、駆動部と、前記駆動部に接続された可動アームとを備え、前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーであって、ペイロードを運ぶように構成される、少なくとも1つのグリッパーと;
を備え、前記少なくとも1つのグリッパーは、
誘電体基板と;
前記誘電体基板上に配置され、自身の表面にペイロードを引き付けるための引力を生成するように構成される、少なくとも1つの電極と;
前記少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加するように構成される主電子モジュールと;
を備える。
【0169】
前記電流源は交流電源を含んでもよい。前記装置は更に、前記電流源と前記少なくとも1つの電極との間に電気カップリングを備えてもよい。前記電気カップリングは、一対の誘導結合コイルを有してもよい。前記電気カップリングはキャパシタを有してもよく、前記キャパシタは、環状に配置され、内側円筒状電極に対して回転可能な外側円筒状電極を有してもよく、前記外側円筒状電極と前記内側円筒状電極とは、ギャップによって分離されていてもよい。前記電気カップリングは、軸方向に配置された第1のディスク及び第2のディスクを有するキャパシタを有してもよく、前記第1のディスク及び前記第2のディスクは、ギャップによって分離されていてもよい。前記電気カップリングは、前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧してもよい。前記主電子モジュールは回路を備えてもよく、前記回路は、前記少なくとも1つの電極に対して制御信号を生成するように構成されてもよく、及び/又は、前記少なくとも1つの電極からステータス信号を受信するように構成されてもよい。前記回路は、交流を直流に変換する整流器を含んでいてもよい。前記電流源は直流であってもよく、前記電気カップリングはスリップリング構成を有してもよい。前記直流はグランドに接続されていてもよい。前記少なくとも1つの電極は、誘電体基板材に埋め込まれていてもよい。前記少なくとも1つのグリッパーは、静電放電原理で動作してもよい。
【0170】
別の例示的実施形態において、方法は、
駆動部を提供することと;
前記駆動部に接続された可動アームを提供することと;
を含み、前記可動アームは、
第1の回転関節において前記駆動部に対して回動可能な第1のリンクと;
少なくとも1つの前記第1のリンクの前記第1の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
第2の回転関節において前記第1のリンクに連結される少なくとも1つの第2のリンクと;
前記少なくとも1つの第2のリンクの前記第2の回転関節周りの回動を生じさせるように構成される少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第2のリンク上の少なくとも1つのグリッパーと;
を備え、前記少なくとも1つのグリッパーは、
誘電体基板と;
前記誘電体基板上に配された少なくとも1つの電極と;
を有し、
前記方法は更に、電流源から前記少なくとも1つの電極に電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接し、前記少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるペイロードとの間に引力を発生させることを含む。
【0171】
前記電流源は交流電源を含んでもよい。前記方法は更に、交流を直流に整流することを含んでもよい。前記方法は更に、前記電流源と前記少なくとも1つの電極との間に電気カップリングを提供することを含んでもよい。前記方法は、前記電気カップリングを用いて前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを誘導的に結合することを含んでもよい。前記方法は更に、誘導電気カップリングを用いて前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを含んでもよい。前記方法は、前記電気カップリングを用いて前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを容量性結合することを含んでもよい。前記少なくとも1つの電極に電流を印加することは、直流電流を印加することを含んでもよい。前記少なくとも1つのグリッパーは、前記少なくとも1つの電極と前記ペイロードとの間に引力を生じさせまた解放するために、静電放電によって動作してもよい。
【0172】
別の例示的実施形態において、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備え、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、少なくとも1つの電極に電流源から電圧を印加して、前記電極の表面に引力を発生させ、前記少なくとも1つの電極と、該電極に隣接するペイロードとの間に引力を発生させることを遂行させるように構成される。前記ペイロードは少なくとも1つのグリッパーによって運ばれるように構成される。
【0173】
前記電流源は交流電源を含んでもよい。前記装置は、交流を直流に整流することを遂行させるようにされてもよい。前記電流源は、前記少なくとも1つの電極と誘導的に結合されてもよい。前記装置は、前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを遂行させるようにされてもよい。前記電流源は、前記少なくとも1つの電極と容量的に結合されてもよい。前記電圧は直流電流を印加することによって印加されてもよい。
【0174】
別の例示的実施形態において、ロボットを使用してペイロードを運搬する方法は、
ロボットのエンドエフェクタに配されるグリッパーに位置する電極に、電流源から電圧を印加し、前記電極に第1の電荷分布を生じさせることと;
前記電極にペイロードを載せることと;
前記電極上の電荷とは極性が反対の電荷による第2の電荷分布を前記ペイロードに生じさせることと;
前記ペイロードを前記グリッパーに引きつけることと;
前記エンドエフェクタに前記ペイロードを運搬させることと;
を含む。
【0175】
前記電極に電圧を印加することは、交流電流から電圧印加することを含んでもよい。前記方法は更に、交流を直流に整流することを含んでもよい。前記方法は更に、前記電流源を前記少なくとも1つの電極に誘導的に結合することを含んでもよい。前記方法は更に、前記少なくとも1つの電極を跨ぐ電圧を昇圧することを含んでもよい。前記方法は更に、前記電流源と前記少なくとも1つの電極とを容量性結合することを含んでもよい。前記方法は更に、前記ペイロードを解放することを含んでもよい。前記ペイロードを解放することは、前記電極上の前記第1の電荷分布と前記ペイロード上の前記第2の電荷分布の静電放電を伴ってもよい。
【0176】
本発明は、固定された駆動ユニットを有する例示的なロボットを用いて説明されているが、本発明は、並進駆動ユニットのような可動駆動ユニットを有するロボットにも拡張することができる。そのような可動駆動ユニットは、例えば、米国特許第10,800,050号、米国特許第10,742,070号、米国特許第10,596,710号、米国特許同第10,269,604号に開示されており、また米国特許公開第220/0262660A1号及び同第2018/0108552A1号にも開示されている。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また本発明は、回転関節を有するロボットを用いて説明されてきたが、柱状(線形)関節などの他のタイプの関節を有するロボット(線形アームを有するロボット)に拡張することができる。
【0177】
上記の例示的な実施形態のほとんどは、独立して作動するエンドエフェクタを2つの有することを特徴とするが、1つの独立して作動するエンドエフェクタや3つ以上の独立して作動するエンドエフェクタを含む、任意の数のエンドエフェクタが用いられてもよい。またロボットアームは、固定された複数のエンドエフェクタによる1つ又は複数のアセンブリを支持してもよい。一例として、剛性的に接続されたエンドエフェクタのそのようなアセンブリは、単一平面内で横に並んで配置された一対のエンドエフェクタを有してもよく、または、実質的に互いの上に重ねられた複数のエンドエフェクタを有してもよい。
【0178】
上記の例示的な実施形態の一部として単一のZ軸機構が示されているが、任意の数のZ軸機構が使用されてもよい。Z軸機構を使用しない実施形態が存在してもよい。上記の例示的な実施形態は、ボールねじを経由して回転モータによって作動するZ軸を伴って描かれている。しかし、リンク機構またはリニアモータなどの任意の他の適切な構成が使用されてもよい。またZ軸の構成はこれらに限定されない。
【0179】
本書の図に示されているベアリング、ベアリングの構成、およびベアリングの位置は、説明のためだけのものであり、その目的は、個々の部品が一般的に互いに対してどのように制約され得るかを伝えることであることに留意されたい。ベアリング、ベアリングの構成及びベアリングの位置は、任意の適切なものを使用することができる。
【0180】
制御システムの様々な構成要素間の通信手段として通信ネットワークを説明したが、無線ネットワークやポイントツーポイントバスなど、マスターコントローラと制御モジュール間の任意の他の適切な通信手段を利用することができる。
【0181】
なお、上述の説明は単なる例であることも理解しなければならない。当業者は種々の変形および修正を考えることができるだろう。例えば、前述した様々な実施形態からの特徴を選択的に組合せて新たな実施形態とすることも可能である。本明細書は、そのような代替案、修正、及び変形をすべて包含することを意図している。
【国際調査報告】