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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20240220BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/32 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240220BHJP
【FI】
F24H4/02 C
F24H1/18 G
F24H15/219
F24H15/238
F24H15/31
F24H15/32
F24H15/414
F24H15/281
F24H15/375
F24H15/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547349
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 IB2022051085
(87)【国際公開番号】W WO2022168052
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】コノワルチク ピーター
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA42
3L122BA02
3L122BA14
3L122DA15
(57)【要約】
温水供給システム400は、第1経路406と第2経路408の流れの程度を決定する弁404に連結された冷水入口402から構成される。第1経路は、入口からの水を温めることができる熱交換器410を含むエネルギー蓄積装置からなる。第2経路は、入口からの水を温めることができる電気ヒータ422を含む。2つの経路はそれぞれ、それぞれの流量センサ416、428を含み、経路は、温度センサ418を介して供給システムから出口420を提供する前に再び合流する。コントローラ430は、センサ信号に応答して弁404と電気ヒータ422を制御し、蓄積エネルギーと電気エネルギーの適切な割合を使用して所望の温度で温水を供給する。ヒートポンプを使用してエネルギー蓄積装置を充電することにより、経済的で応答性の良い温水供給システムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の給湯システムであって、
冷水入口及び温水出口と、
ヒートポンプに接続するための相変化材料の塊を含むエネルギー蓄積装置と、
エネルギー蓄積装置に関連付けられた熱交換器と、
補助ヒータと、
温水出口、熱交換器の出口、及び補助ヒータの出口の少なくとも1つにおいて水の温度を検出するように配置された少なくとも1つの温度センサと、
温度センサからの信号に応答して少なくとも補助ヒータを制御するように配置されたコントローラとを備え、
前記熱交換器と前記補助ヒータは、冷水入口からの水が前記熱交換器と前記補助ヒータの少なくとも一方を通過して加熱され、温水出口に供給されるように配置される給湯システム。
【請求項2】
前記熱交換器は、入口と出口とを有する第1経路に配置され、前記補助ヒータは、入口と出口とを有する第2経路に配置され、
前記冷水入口は、前記第1及び第2経路の入口に連結し、
温水出口は、前記第1及び第2経路の出口に連結し、
前記第1及び第2経路における相対的な流量は、少なくとも1つの制御弁によって制御され、
コントローラは、温度センサからの信号に応答して少なくとも1つの制御弁を制御するように更に配置される請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記コントローラに連結された温度センサが、前記第1経路の出口と前記第2経路の出口とに設けられている請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記第1経路及び前記第2経路は、それぞれ流量センサを含む請求項2又は3に記載の給湯システム。
【請求項5】
少なくとも1つの制御弁は、前記各流量センサの出力に応答して閉ループ制御により生成されるPWM信号を用いて制御される請求項4に記載の給湯システム。
【請求項6】
少なくとも1つの制御弁は、前記第1経路に配置された弁と、前記第2経路に配置された弁とを含む請求項2から5のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記第1及び第2経路の各々に第2の弁を更に備え、前記第2の弁は、前記第1の弁と並列に接続され、重複動作を提供する請求項6に記載の給湯システム。
【請求項8】
コントローラが、少なくとも2つの温度センサ及び少なくとも2つの流量センサの入力を備え、前記温度センサ及び前記流量センサの出力から、出口に供給される水が所望の温度であるか否かを判断するように配置されている請求項2から7のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記コントローラは、電気料金情報の入力を更に備え、前記コントローラは、前記料金情報に応答して、前記補助ヒータを作動させる範囲と、前記第1及び第2経路における相対流量とを決定するように配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記コントローラは、少なくとも1つの流量センサからの出力に応答して、ヒートポンプ始動信号を生成するか否かを決定するように更に配置された請求項1から9のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項11】
前記冷水入口が前記熱交換器への入力に連結され、前記補助ヒータが前記熱交換器からの出力に連結され、前記補助ヒータの出力が前記温水出口に連結されている請求項1に記載の温水供給システム。
【請求項12】
前記エネルギー蓄積装置に接続されたヒートポンプを更に含む請求項1から11のいずれか一項に記載の温水供給システム。
【請求項13】
前記エネルギー蓄積装置の容量が少なくとも5MJである請求項1から12のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項14】
前記エネルギー蓄積装置が、コントローラによって制御される電気ヒータを更に備える請求項1から13のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項15】
請求項1から11の補助ヒータが電気ヒータである、請求項1から14のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項16】
少なくとも1つの温度センサ及び少なくとも2つの流量センサの入力を有し、前記温度センサ及び前記流量センサの出力から、第1経路及び第2経路の相対流量を決定するように配置されている請求項2から10のいずれか一項に記載の給湯システムを制御するためのコントローラ。
【請求項17】
電力料金情報の入力を更に備え、料金情報に応答して、前記補助ヒータを作動させる範囲と、前記第1及び第2経路における相対流量とを決定するように配置されている請求項16に記載のコントローラ。
【請求項18】
少なくとも1つの流量センサからの出力に応答して、ヒートポンプ始動信号を供給するか否かを決定するように更に配置された請求項16又は17に記載のコントローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相変化材料に基づくエネルギー蓄積装置を含む建物内給湯システム(HWSS)を含む設備のための方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用や小規模の商業施設では、ガス燃焼ボイラーや加熱炉によって温水の必要条件を満たすことが多い。温水は、何らかのタンクで加熱・貯蔵されるか、敷地内の温水蛇口(コック)を開けたときにオンデマンドで加熱されるかである。化石燃料の燃焼による環境破壊への懸念が高まる中、ヒートポンプなど、温水を供給する代替技術に注目が集まっている。
【0003】
ヒートポンプは、冷凍技術を利用して低温の資源から熱を取り出し、その熱を高温の資源に移動させる。ヒートポンプは、例えば摂氏15度の空気から熱を取り出し、水を摂氏50度まで熱することができる。このようなヒートポンプは空気熱源ヒートポンプと呼ばれるが、水熱源ヒートポンプや地面熱源ヒートポンプもあり、同じ原理で作動する。ヒートポンプの運転には(通常は電気)エネルギーが必要だが、ヒートポンプの効率は、例えば電気ストーブの4倍以上にもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ヒートポンプは電気ヒータやガスボイラーの応答性には及ばず、電源を入れてから温水が供給されるまでに最大数分の遅れが生じる。また、ヒートポンプは通常、作動回数に制限があり(例えば1時間に6回)、霜取りサイクル中など一定期間使用できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、以下の構成からなる住宅の給湯システムが提供される。すなわち、
冷水入口及び温水出口と
ヒートポンプに接続するための、相変化材料の塊を含むエネルギー蓄積装置と、
エネルギー蓄積装置に関連する熱交換器と、
補助ヒータと、
温水出口、熱交換器の出口、及び補助ヒータの出口の少なくとも1つで水の温度を検出するように配置された少なくとも1つの温度センサと、前記温度センサからの信号に応答して少なくとも補助ヒータを制御するように配置されたコントローラとを備え、
前記熱交換器と前記補助ヒータは、冷水入口からの水が前記熱交換器と前記補助ヒータの少なくとも一方を通過して加熱され、温水出口に供給されるように配置される住宅の給湯システム。
エネルギー蓄積装置と補助ヒータを設けることで、ヒートポンプの運転までの時間の遅れを埋めることができる。
【0006】
相変化材料の質量は、相変化材料の潜熱に基づいて、2&#12316;5MJoulesのエネルギー蓄積容量を有し得る。この範囲のエネルギー蓄積容量は、家庭用ガスコンビボイラーの代わりにヒートポンプを使用できるようにするためにエネルギー蓄積装置を使用する用途において、十分な瞬間温水を供給するのに適しているはずである。
【0007】
補助ヒータには、電気式とガス式がある。電気式ヒータは、ガス式ヒータより運転コストがかかるかもしれないが、ヒータにすでに電気が供給されているという利点がある。一方、ガス式ヒータは、電気式に比べてランニングコストが安いという利点があるが、化石燃料の燃焼という問題には対処できない。より柔軟だがコストのかかる代替案として、補助ヒータはどちらのエネルギー源からも作動することができる。
【0008】
コントローラは、ヒートポンプに始動信号を送信するように更に配置されてもよい。この場合、流量センサが流量測定値をコントローラに提供する。そして、コントローラは、温水需要の可能性が高い期間を考慮するようにプログラムすることができる。例えば、検出された流量が洗面台の蛇口に見合ったものであれば、給湯需要は短時間であり、ヒートポンプを作動させる必要はないと考えられる。しかし、シャワーや風呂の蛇口をひねった程度の流量であれば、より大きな需要が想定され、ヒートポンプに始動信号が送られる。
【0009】
コントローラは、エネルギー蓄積装置とヒートポンプが十分な温水を供給できない場合にのみ、瞬間湯沸かし器を作動させるように構成され得る。このようにして、ヒートポンプから供給される「グリーン」エネルギーを、化石燃料の燃焼によって生成された可能性のある(例えば)主電源から供給される電気と比較して優先的に使用することができる。
【0010】
コントローラは、相変化材料(PCM)及びヒートポンプの状態についての情報に基づいて、瞬間湯沸かし器を制御するように構成されていてもよい。例えば、PCMが消耗しており、ヒートポンプが利用できない場合(例えば、所定期間内に起動回数が多すぎるか、直近すぎる運転のため)、瞬間湯沸かし器は、PCM及びヒートポンプからのエネルギーの利用可能性の欠如を補うために使用され得る。一方、PCMが完全に「充電」されている場合、及び/又はヒートポンプが利用可能な場合、プロセッサは瞬間湯沸かし器を使用しないと決定することができる。
【0011】
コントローラは、瞬間湯沸かし器、ヒートポンプ、及び相変化材料からのエネルギーの使用を管理してエネルギー消費を削減するためのロジックを備えることができる。これにより、給湯のコストを削減することができ、また、化石燃料由来のエネルギーよりも「グリーン」エネルギーを優先することができる。コントローラがよりコストベースのアプローチを採用する場合、コントローラは、好ましくは、最新の料金情報を提供される。また、コントローラは、家庭の活動(過去、現在、及び計画)、占有情報、天気予報及び/又は現在の天候などに関する情報にアクセスしてもよい。
【0012】
コントローラは、(補助ヒータを作動させるのとは対照的に)十分な温水を供給するために、エネルギー蓄積装置に優先的に依存し、次にヒートポンプに依存するように構成してもよい。このようなアプローチは、効率を向上させ、ヒートポンプとその部品の破損を減らすことができる。
【0013】
熱交換器と補助ヒータの2通りの配置は可能である。
【0014】
第一の好ましい実施形態では、エネルギー蓄積装置(ESA)と補助ヒータが直列に接続され、流入する冷水がまず(熱交換器を介して)ESAによって加熱され、その後、必要に応じて補助ヒータによって加熱されるようになっている。つまり、流入した冷水は、まず熱交換器を介してESAから熱を受け取り、次に補助ヒータ(通常は電気ヒータ)を通過する。冷水が熱交換器を介してESAから十分な熱を得た場合、電気ヒータは作動しない。水温が十分であることは、熱交換器の出力にある温度センサによって検出される。少なくとも2つの制御方法が使用される。一つ目は、温度センサが熱交換器の出口の水の温度を検出し、補助ヒータを作動させるかどうか(そしてどの程度か)を決定する方法である。制御回路が、補助ヒータから出る水が所望の温度になるために、補助ヒータからの必要な熱量を決定できるように、流量センサも必要である。第2の制御戦略では、温度センサが補助ヒータの出力に設けられ、コントローラが、補助ヒータの出口にある水の所定の目標温度を満たすために、ヒータに供給される電力を調整する。
【0015】
直列配置は、水を温める経路が一本であり、センサや制御弁が少なくて済むという利点がある。
【0016】
しかし、水を温める経路が1つしかないため、2つの熱源を利用する際の柔軟性が低下する。
【0017】
第2の好ましい実施形態では、ESAと補助ヒータは並列に接続される。つまり、冷水入口はESAに関連する熱交換器と補助ヒータの両方に接続される。熱交換器の出力と補助ヒータの出力が組み合わされ、HWSSの出力となる。制御弁は、各経路の相対流量を制御するために配置され、例えば、三方弁又は2つの水経路のそれぞれに配置された2つの別々の弁である。
【0018】
この配置は、より多くのセンサと制御弁を必要とするが、直列配置において多くの利点を提供し、ESAからどれくらいの熱が引き出されるかを制御する。これは2つの例で説明する。
【0019】
第一に、(補助ヒータを経由して)冷水用に別の経路を設けることで、HWSSの温水出力における水の温度を下げることが可能である。直列配置では、加熱される水はすべてESAに付随する熱交換器を通って流れる。熱交換器によって流入水に移される熱量は、使用者が1以上の蛇口をどの程度開けたかによって設定される流量に完全に依存する。このため、(特に流量が少ない場合)熱の移動量が多すぎて、出口水が熱くなりすぎ、ESAに蓄えられたエネルギーが無駄になることがある。冷水の一部を(非活動状態の)補助ヒータに通すことで、出口温度を正確に制御することができる。
【0020】
第二に、ESAから熱を取り出すよりも補助ヒータを使用する方が望ましい場合がある。ある時期には電気代が安く、水の加熱のすべて(又は少なくとも大部分)を補助ヒータで行うことが経済的に理にかなっている場合がある。これは、直列配置では不可能である。なぜなら、すべての入水は必然的にESAに関連する熱交換器を流れるからである。
【0021】
好ましくは、コントローラに連結された温度センサが、第1経路の出口と第2経路の出口に設けられる。これにより、出力温度をより適切に制御することができる。
【0022】
好ましくは、第1経路と第2経路の両方が流量センサを含む。これにより、コントローラは、熱交換器及び補助ヒータを通る流量のバランスをとることができる。
【0023】
制御弁は、好ましくは、それぞれの流量センサの出力に応答して閉ループ制御によって生成されるPWM信号を使用して制御される。これにより、精密な流量制御を行いながら、より精度の低い弁を使用することができる。
【0024】
起こりうる弁の不良に対処するため、第二の弁が、第一と第二の経路のそれぞれに設けられる。第二の弁を第一の弁と並列に接続することで、重複した動作をする可能性がある。コントローラは、対応する弁の作動を試みたにもかかわらず流量がゼロ又は低いことから、一般に弁の不良を推測することができる。
【0025】
コントローラは、好ましくは、少なくとも2つの温度センサと少なくとも2つの流量センサの入力を備え、温度センサと流量センサの出力から、出口に供給される水が所望の温度であるかどうかを判断するように配置される。そして、コントローラは、2つの経路の流量をバランスさせて、所望の出力温度を得ることができる。
【0026】
コントローラは、電力料金情報の入力を備えることもでき、コントローラは、料金情報に応答して、補助ヒータを作動させる範囲と、第1及び第2経路の相対流量を決定するように配置される。これにより、コントローラは、利用可能な場合に安価な電力を利用することができる。
【0027】
温水供給システムは、エネルギー蓄積装置に接続されたヒートポンプを更に含んでもよい。
【0028】
エネルギー蓄積装置の容量は、好ましくは少なくとも5MJである。
【0029】
安価な電力から更に利益を得るために、エネルギー蓄積装置は、コントローラによって制御される電気ヒータを更に備えてもよい。こうして、ヒートポンプ又は電気ヒータのいずれかからESAにエネルギーを供給することができる。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による給湯システムを制御するためのコントローラが提供される。コントローラは、少なくとも1つの温度センサ及び少なくとも2つの流量センサの入力を備え、更に、温度センサ及び流量センサの出力から、第1経路及び第2経路の相対流量を決定するように配置される。
【0031】
好ましくは、コントローラは、電力料金情報の入力を更に備え、コントローラは、料金情報に応答して、補助ヒータを作動させる範囲と、第1及び第2経路の相対流量を決定するように配置される。
【0032】
コントローラは、少なくとも1つの流量センサからの出力に応答して、ヒートポンプ始動信号を出力するかどうかを決定するようにも配置されていることが好ましい。
本開示の様々な態様についての実施形態は、例示として、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の一態様による建物内給湯システムを含む設備の可能な配置を示す概略図である。
図2】本発明の一態様によるインターフェイスユニットの構成要素の可能な配置を示す概略図である。
図3】熱交換器と補助ヒータとを並列に配置した更なる実施形態を示す。
図4】平行配置を有する別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本開示の第1の態様による設置を概略的に例示している。設備100は、箱110で表される建物内給湯システム(HWSS)と、HWSS110内の水を温めるように配置されるヒートポンプ120(一般に建物の外部に配置される)とを含む。HWSSは、蛇口やシャワーの出口などの少なくとも1つの出口130を含む。HWSSは更に、相変化材料(PCM)の塊を含むエネルギー蓄積装置(ESA)140を含む。システムコントローラとも呼ばれ得るプロセッサ150は、出口130などの温水システムの出口の開口に基づいてヒートポンプ120に信号を供給するように配置される。
【0035】
相変化材料の質量は、給湯システムの出口が開いてから少なくともヒートポンプが給湯システム内の水を加熱し始めるまでの間に、所定量の水を所定の温度に温めるのに十分な潜熱容量を有する。相転移温度が50℃のパラフィンなどの相変化材料が適しているが、代替材料や適切な材料の組み合わせは当業者には明らかであろう。
【0036】
HWSS110には、例えば冷水供給装置160から加熱される水が供給され、加熱される水の供給と少なくとも1つの出口130との間の流路に少なくとも1つの流量変換器170が含まれる。好ましくは、ヒートポンプは、配管190によって概略的に示される閉ループ配置によってHWSS内の水を温めるように配置され、加熱される水の供給は、配管200によって示されるようにHWSSに直接接続される。流量変換器170は、温水システムの供給側に配置してもよいし、システム全体の出口側に配置してもよい。HWSSは、少なくとも1つの温度変換器210を備える。温度変換器210が一つしか設けられていない場合、これはエネルギー蓄積装置140と少なくとも一つの出口130との間の流路にあるべきである。
【0037】
HWSS110はまた、エネルギー蓄積装置140と少なくとも1つの出口130との間の流路に瞬間補助給湯器220を含む。瞬間湯沸かし器220がHWSSに含まれる場合、エネルギー蓄積装置と瞬間湯沸かし器との間の流路に温度変換器を含むことが好ましく、また、瞬間湯沸かし器と少なくとも1つの出口130との間にも温度変換器を含むことが好ましい。瞬間湯沸かし器220は、好ましくは電気ヒータである。
【0038】
プロセッサ150は、流量変換器170、メモリ151、各温度変換器210、及びヒートポンプに連結されている。更に、プロセッサがESAの状態を認識するように、ESA内の1つ以上の感知配置がプロセッサに連結されることが好ましい。プロセッサ150は、瞬間湯沸かし器220にも接続されている。
【0039】
ヒートポンプが閉ループ配置によってHWSS内の水を温める好ましい構成では、図示されていない熱交換器が、一方の側でヒートポンプによって加熱された液体を受け、もう一方の側で加熱されるHWSS内の水を受ける。好ましくは、熱交換器はESAの一部を構成する。好ましくは、熱交換器は、相変化材料の質量の一部又は全部を含む。
【0040】
図1に示すように、ヒートポンプは、そのサイズから、典型的には、HWSSを収容する建物の外に設置される。ヒートポンプは、屋外に設置されていても建物内に設置されていても、始動信号を受けてから熱供給を開始するまでに通常30秒から60秒かかる。これは、通常、ヒートポンプの内部プロセッサが複数のコンポーネントやサブシステムのチェックを行う必要があるためであり、また、コンプレッサーやヒートポンプのポンプなどの起動に固有のタイムラグがあるためである。ヒートポンプの始動後であっても、ヒートポンプからの熱がHWSSに到達するまでに、もちろん避けられない遅れがある。同様に、ヒートポンプから供給される高温の液体とHWSSで加熱される水との間で、熱交換器を介して熱が伝達されるにはある程度の時間が必要である。更に、ヒートポンプは、通常、1時間に6回以上の始動を避けるように構成されており(製造業者によって異なるが、製造業者間で数値は同様である)、システムのプロセッサ150は、接続されたヒートポンプに適用されるこの制約を認識しており、また、始動指示を送信した自身の履歴についても把握し、この情報を適用可能な様々な熱源の管理についての判断に反映している。
【0041】
HWSSのプロセッサ150は、流量センサ170から受信した信号に基づいてヒートポンプに始動信号を供給するように構成されている。本設備は、そのように構成することで、ヒートポンプへの始動信号の付与と、ヒートポンプによる温水システム内の水への加熱との間に時間差が生じるように構成されている。これにより、貯湯槽やその他の温水源がない場合、HWSSによって給湯される蛇口やシャワーのスイッチを入れると、出口から温水が出るまでに1分以上という長い待ち時間が発生することになる。これは利用者をイライラさせるだけでなく、水の浪費でもある。ヒートポンプからお湯が出るまで瞬間湯沸かし器を使うことで、お湯を待つ時間を短縮できる。しかし、このような配置では、(シャワーではなく)蛇口からのお湯の使用時間が60秒から90秒未満であることを考えると、使用されるお湯のほとんどは瞬間湯沸かし器(電気式かガス式のいずれか)から供給されることになり、ヒートポンプを提供することによるグリーンエネルギーの利点はほとんど失われてしまう。
【0042】
プロセッサ150は、温度センサ210から受け取った値に基づいて、電気エレメント220の出力を調節し、水出口130で正しい目標温度を達成することができる。
【0043】
ESAは、温水の要求(すなわち、蛇口又はシャワーの開口のコントロール)と、ヒートポンプによって加熱された温水の供給との間のギャップを埋める手段として提供される。システムは、好ましくは、ESAがヒートポンプからのエネルギーで充電されるように構成される。プロセッサ150は、温度センサ(210)からの温度情報及び流量センサ(複数可)170からの流量情報を使用して、出口130を介して供給される水を温めるためにESAを優先的に使用するように構成される。このようにして、プロセッサ150は瞬間湯沸かし器220の使用を最小限に抑える。
【0044】
したがって、プロセッサは、流量センサから受信した信号に基づいてヒートポンプに始動信号を提供するように構成され、設備は、ヒートポンプに始動信号を付与してからヒートポンプによって温水システム内の水が加熱されるまでの間に時間間隔が生じるように配置され、エネルギー蓄積装置は、少なくとも温水システム内の水がヒートポンプによって加熱されるまで、温水システム内の所定量の水を目標温度まで温めるのに十分な潜熱容量を有する相変化材料の塊を含み、始動信号の送信と温水システム内の水のヒートポンプによる加熱との間の間隔において、制御可能な出口から温水を供給できるようにする。目標温度は、システムの使用者の好みに基づいて設定することができるが、一般的には40~45℃の範囲となる。所定量は、最大の流量を有するHWSSの出口に使用される通常の流量、又は適切かつ許容可能であると考えられるより低い流量のいずれかに基づいて選択される流量での所望の給水時間に基づいて設定される。システム及びプロセッサは、好ましくは、これら2つの変数(温度及び量)をプリセット限界値内で調整できるように構成される(プリセット限界値は、システムの設置時に調整される可能性がある)。
【0045】
流量センサ170からの情報は、例えば、開けられた出口がシャワー出口であるか、洗面器出口であるかをプロセッサ150に伝えることができる。プロセッサ150が、シャワーの出口が開けられたと判断した場合、プロセッサ150は、シャワーが使われる何分間かヒートポンプを点ける価値があると考えられるため、ヒートポンプに始動信号を送信する。逆に、プロセッサ150に供給された流量情報から洗面台の蛇口が開けられたと示された場合、ヒートポンプは洗面台のタップが再び締められる前に温水を提供できそうにないため、プロセッサは、ヒートポンプに始動信号を送らないと判断する。
【0046】
プロセッサ150は、プロセッサがHWSSによってサービスを提供される施設の居住者の行動を学習することを可能にするロジック、及び例えば機械学習アルゴリズムと関連付け、プロセッサ150が時間帯、曜日、使用される水出口などによって温水需要/使用の量及び時間を確実に予測することができるデータベースの作成を可能にしてもよい。このようなアプローチは、例えば、HWSSの異なる水出口(一部又は全部、好ましくは少なくとも、クロークの手洗い器のような短時間の温水需要を有する水出口と、シャワーや台所の流し台のような長時間の温水需要を有する水出口とを容易に区別できるようにする)に関連する流量センサを更に設けることによって強化することができる。更に、冷水供給口に1つ以上の流量センサを設けることで、例えばトイレの洗浄に対応する冷水の使用を特定することができ、そこから手洗い用の短時間の温水供給に対する差し迫った需要を推測することができる。システムプロセッサ150は、好ましくは、最も効果的で経済的かつ効率的な方法で、すべての様々な加温資源(ESA、瞬間湯沸かし器、及びヒートポンプなど)を制御するロジックを備えている。
【0047】
ESA140、熱交換器、プロセッサ150、瞬間湯沸かし器220、及び流量変換器170と温度変換器210が一緒になって、ヒートポンプ120と建物内給湯システム110との間のインターフェイスを行うインターフェイスユニット250を構成していると考えることができる。図1には、ビル内給湯システムのための温水のみを提供するそのようなインターフェイスユニットが示されているが、世界の多くの地域では、多くのビル内で空間暖房の必要性があり、このような空間暖房にヒートポンプを使用することが魅力的であることが理解されよう。
【0048】
典型的には、小規模住宅でも使用されている現在のコンビボイラーは、シャワーや浴槽の流量に相当する24kW以上の温水を供給するのに十分な大きさだが、典型的なスペース暖房のエネルギー需要ははるかに低く、通常は4kW程度である。家庭用温水(DHW)と空間暖房の両方をヒートポンプのみで供給するシステムを設計する場合、DHWの要件を満たすために24kWのヒートポンプを指定する必要があるが、そのようなシステムは、ほとんどが間欠的な温水使用のみの空間暖房のニーズである典型的な1から3ベッドルームのフラットや住宅には非現実的な大きさであろう。
【0049】
図2は、本開示の一態様によるインターフェイスユニット10の構成要素の可能な配置を概略的に示している。インターフェイスユニットは、ヒートポンプ(この図には示されていない)と建物内温水システムとの間のインターフェイスとなる。インターフェイスユニットは、筐体(別途番号が付されていない)を備えた熱交換器12を含み、この筐体内には、ヒートポンプに接続するための、非常に簡略化した形で14として示す入力側回路と、ビル内温水システム(この図には示されていない)に接続するための、これも非常に簡略化した形で16として示す出力側回路とがある。熱交換器12には、エネルギーを蓄積するための蓄熱媒体も含まれているが、これは図には示されていない。これから図1を参照して説明する実施例では、蓄熱媒体は相変化材料である。
【0050】
通常、熱交換器の相変化材料は、2~5Mジュール(MJoules)のエネルギー蓄積容量(融解潜熱のため蓄積されるエネルギー量で)を有するが、それ以上のエネルギー蓄積も可能であり、有用である。もちろん、より少ないエネルギー蓄積量も可能であるが、一般的には、インターフェイスユニット10の相変化材料におけるエネルギー蓄積の可能性を(物理的寸法、重量、コスト、及び安全性に基づく実用的な制約を条件として)最大化したいものである。
【0051】
入力側回路14は、パイプ又は導管18に接続され、このパイプ又は導管18は、ノード20から順に供給され、ヒートポンプからの供給に接続するためのカップリング24を有するパイプ22から供給される。ノード20はまた、ヒートポンプからの流体をパイプ26に送り、このパイプ26は、例えば床暖房やラジエーターのネットワーク、又はその両方に配管するための、家屋やアパートの暖房ネットワークへの接続を目的としたカップリング28で終端する。従って、一度インターフェイスユニット10が完全に設置され動作可能になると、ヒートポンプ(通常、家屋又はアパートの外部に設置されている)によって加熱された流体は、カップリング24を通り、パイプ22に沿ってノード20に至り、そこから3ポート弁32の設定によって、流体の流れはパイプ18に沿って熱交換器の入力側回路14に至るか、又はパイプ26に沿い、カップリング28を通って家屋又はアパートの暖房インフラに至る。
【0052】
ヒートポンプからの加熱流体は、熱交換器の入力側回路14を通り、パイプ30に沿って熱交換器12から流出する。使用中、ある状況下では、ヒートポンプからの加熱流体によって運ばれる熱は、そのエネルギーの一部を熱交換器内の相変化材料に、また、一部を出力側回路16内の水に与える。他の状況では、後で説明するように、熱交換器の入力側回路14を流れる流体が相変化材料から実際に熱を取得する。
【0053】
パイプ30は、入力側回路14から出た流体を電動3ポート弁32に送り、その後、弁の状態に応じてパイプ34に沿ってポンプ36に送り出す。ポンプ36は、カップリング38を介して外部ヒートポンプに流れを押し出す役割を果たす。
【0054】
電動3ポート弁32はまた、カップリング42を介して、家屋又はアパートの暖房インフラ(例えば、ラジエーター)から戻る流体を受けるパイプ40からも流体を受ける。
【0055】
電動3ポート弁32とポンプ36の間には、温度変換器44、流量変換器46、圧力変換器48の3つの変換器が設けられている。加えて、温度変換器49が、ヒートポンプの出力から流体を取り入れるパイプ22に設けられている。これらの変換器は、インターフェイスユニット10内の他のすべてと同様に、通常はインターフェイスユニットの一部として設けられるが別個のモジュールに設けられることもある、図示されていないプロセッサに動作可能に接続されているか、又はプロセッサによって応答可能となっている。
【0056】
図2には図示されていないが、追加の電気加熱要素を、ヒートポンプの出力から流体を受け取る連結器24の間の流路に設けることもできる。この追加の電気加熱要素も、誘導加熱要素又は抵抗加熱要素であってもよく、ヒートポンプの不良の可能性を補う手段として設けられるだけでなく、蓄熱ユニットにエネルギーを追加するために使用することも可能である(例えば、現在のエネルギーコストに基づいて。そして加温及び/又は温水のために予測される。追加の電気加熱要素も、もちろんシステムのプロセッサによって制御可能である。)
【0057】
また、パイプ34には膨張容器50が接続されており、この膨張容器50には、加熱回路内の流体を補充するための充填ループが接続される弁52が接続され得る。また、インターフェイスユニットの加熱回路の一部として、3ポート弁32と入力側回路14の中間にある圧力開放弁54と、カップリング42と3ポート弁32の中間にあるストレーナー56(粒子状汚染物質を捕捉する)が示されている。
【0058】
熱交換器12はまた、少なくとも1つの温度変換器58を含むいくつかの変換器を備えるが、図示のように、より多く(例えば最大4つ以上)備えることが好ましく、圧力変換器60も備える。図示の例では、熱交換器には、相変化材料内に均一に分配した4つの温度変換器が含まれており、温度変化を判断することができる(したがって、相変化材料のバルク全体の状態に関する知識が得られる)。このような配置は、追加熱伝達配置の最適化を含め、熱交換器の設計を最適化する手段として、設計/実装において特に有益である。しかし、このような配置は、複数のセンサを有することで、プロセッサ及び(インターフェイスユニットのみ、及び/又はインターフェイスユニットを含むシステムのプロセッサのいずれかの)プロセッサによって採用される機械学習アルゴリズムに有用な情報を提供することができるため、配備されたシステムにおいても引き続き利益をもたらす可能性がある。
【0059】
次に、インターフェイスユニット10の冷水供給と温水回路の配置について説明する。カップリング62は、水道本管からの冷水供給に接続するために設けられている。通常、水道本管からの水がインターフェイスユニット10に到達する前に、水はアンチサイフォン逆止弁を通過し、圧力が低下している可能性がある。カップリング62から冷水がパイプに沿って熱交換器12の出力側回路16に流れる。インターフェイスユニット内の多数のセンサを監視するプロセッサを設けることを考えると、同じプロセッサに、任意でもう一つのタスクを与えることができる。それは、主水道から冷水が供給される圧力を監視することである。この目的のために、カップリング62の上流、特に構内の減圧装置の上流の冷水供給ラインに、更なる圧力センサを導入することができる。プロセッサは、供給される水圧を継続的又は定期的に監視し、水道本管が法定最低圧力を下回る圧力で水を供給する場合、所有者/使用者が水道会社に補償を求めるよう促すこともできる。
【0060】
出力側回路16からは、熱交換器を通過することによって加熱された水が、パイプ66を通って電気加熱ユニット68に送られる。前述したプロセッサの制御下にある電気加熱ユニット68は、プロセッサからの指示に従って熱出力を調節することができる抵抗加熱又は誘導加熱の配置で構成することができる。
【0061】
プロセッサは、相変化材料及びヒートポンプの状態に関する情報に基づいて、電気ヒータを制御するように構成される。
【0062】
典型的には、電気加熱ユニット68は、10kW以下の定格電力を有するが、状況によっては、より強力なヒータ、例えば、12kWが提供されてもよい。
【0063】
電気ヒータ68から、今度は温水がパイプ70を通ってカップリング74に至り、このカップリング74に家屋やアパートの蛇口やシャワーなどの制御可能な排水口を含む温水回路が接続される。
【0064】
温度変換器76は、電気ヒータ68の後、例えば電気ヒータ68の出口に設けられ、温水システムの出口の水温に関する情報を提供する。圧力逃し弁77も温水供給に設けられ、これは電気ヒータ68と出口温度変換器76の間に位置するように示されているが、図2に実際にたくさんの構成部品が例示されているように、その正確な位置は重要ではない。
【0065】
プロセッサは、空間暖房の需要に基づいて(例えば、プロセッサ内又は外部コントローラに保存されたプログラムに基づいて、及び/又は1以上のサーモスタット(例えば、部屋の統計、外部の統計、床暖房の統計)からの信号に基づいて)、又は温水の需要に基づいて、ヒートポンプの起動を要求できることが理解されよう。ヒートポンプの制御は、単純なオン/オフコマンドの形態であってもよいが、又は代替的に(例えばModBusを使用した)調整の形態であってもよい。
【0066】
インターフェイスユニットの加熱回路と同様に、冷水供給パイプ64に沿って、温度変換器78、流量変換器80、圧力変換器82の3つの変換器が設けられている。別の温度変換器84も、熱交換器12の出力側回路16の出口と電気ヒータ68の中間のパイプ66に設けられている。これらの変換器もまた、すべて、前述したプロセッサに動作可能に接続されているか、又はプロセッサによってアドレス可能である。
【0067】
また、冷水供給ライン64上には、磁気式又は電気式の水調整器86、電動式で調節可能な弁88(これは、すべての電動式弁と同様に、前述のプロセッサによって制御される場合がある)、逆止弁90、及び膨張容器92が示されている。調節可能な弁88は、温水の所望の温度(例えば温度変換器76によって測定される)を維持するために、冷水の流れを調節するように制御することができる。
【0068】
弁94と96は、それぞれ冷水と温水を蓄積するための外部蓄積タンクに接続するためにも設けられている。オプションとして、少なくとも弁96は、温水供給時間を短縮するために、敷地内で温水を再循環させるために使用することができるが、この機能性は、より高いエネルギー使用を伴う。したがって、前記機能性は注意して利用しなければならない。最後に、二重逆止弁98は、冷温水供給管64を別の弁100に接続する。この弁100は、加熱回路に多くの水又は水と腐食防止剤の混合物を供給するために、前述の弁52に接続する充填ループと共に使用することができる。
【0069】
図2には、交差する様々なパイプが示されているが、これらの交差が節(node)20のように節として示されていない限り、前述の図の説明から明らかなように、交差するように示された2つのパイプは互いにつながっていないことに注意すべきである。
【0070】
図2には示されていないが、熱交換器12は、蓄熱媒体に熱を入れるように構成された1つ以上の追加の電気加熱要素を含んでいてもよい。これは直感的理解に反するように見えるかもしれないが、これから説明するように、そうすることが経済的に理にかなっている時に、蓄熱媒体をプリチャージするために電気エネルギーを使用することを可能にする。
【0071】
エネルギー供給会社では、需要が増加又は減少する時間帯を考慮し、需要量と供給能力のバランスをより良くするために顧客の行動を形成するのに役立つように、時間帯によって電力料金単価が変化する料金プランを設定することが長い間行われてきた。歴史的に、料金プランは発電と消費の両方の技術を反映した粗いものであった。しかし、太陽光発電(太陽電池、パネル、発電所など)や風力発電など、各国における再生可能エネルギー電力源の発電設備への取り込みの増加により、よりダイナミックなエネルギー価格設定の発展に拍車がかかっている。このアプローチは、天候に左右される発電に内在する変動性を反映したものである。当初、このようなダイナミックな価格設定は、大規模な利用者に限定されていたが、次第に国内の消費者にも提供されるようになってきている。
【0072】
価格設定のダイナミズムの程度は国によって、また同じ国でも生産者によって異なる。極端な言い方をすれば、「ダイナミック」な価格設定とは、1日のうちで異なる時間帯に異なる料金体系を提供することにすぎず、そのような料金体系は、数週間、数ヵ月、又は数シーズンで、バリエーションなく適用され得るものである。しかし、ダイナミックな価格設定の中には、サプライヤーが1日以内の予告で価格を変更できるもの、例えば顧客が翌日の30分の時間枠の価格の申し出を今日受け得る、というのもある。また、6分の時間枠の提示がされる国もあり、エネルギー消費機器に「インテリジェンス」を組み込むことで、消費者に今後の料金体系を通知するリードタイムを更に短縮できる可能性もある。
【0073】
短期・中期の気象予測を用いて、太陽光発電や風力発電設備で生産されるであろうエネルギー量と、冷暖房のための電力需要の規模を予測することができるため、極端な需要の時期を予測することが可能になる。再生可能エネルギーによる発電能力が大きい発電事業者の中には、マイナス料金で-文字通り顧客に超過電力の使用にしはらいをするなどして-電力を供給するところもある。更に多くの場合、電力は通常の料金の数分の一で提供されることもある。
【0074】
電気ヒータを、本開示によるシステムの熱交換器などのエネルギー蓄積ユニットに組み込むことにより、消費者が低コストの供給期間を利用し、エネルギー価格の高い時期での電力への依存を減らすことが可能になる。これは個々の消費者に利益をもたらすだけでなく、化石燃料の燃焼によって過剰な需要を満たさなければならない時期の需要を削減できるため、より一般的にも有益である。
【0075】
インターフェイスユニットのプロセッサは、インターネットなどのデータネットワークへの有線又は無線接続(又はその両方)を有し、プロセッサがエネルギー供給業者からダイナミックな価格設定情報を受信できるようにする。プロセッサはまた、ヒートポンプに命令を送信し及びヒートポンプから情報(ステータス情報や温度情報など)を受信するために、ヒートポンプへの(ModBusなどの)データリンク接続を有することが好ましい。プロセッサは、家庭の行動を学習できるロジック*を備えており、これとダイナミックな価格設定情報により、プロセッサは、暖房システムのプリチャージに安い電力を使用するかどうか、またそのタイミングを決定することができる。これは、熱交換器内の電気エレメントを使用してエネルギー蓄積媒体を温めることによってもよいが、ヒートポンプを通常よりも高い温度(例えば40~48℃ではなく60℃)に駆動することによっても可能である。ヒートポンプが高温で作動すると効率は低下するが、これはプロセッサが安い電気をいつどのように使うのが最適かを決定する際に考慮することができる。
【0076】
*システムプロセッサは、インターネットやプロバイダのイントラネットなどのデータネットワークに接続可能であるため、ローカルのシステムプロセッサは外部のコンピューティングパワーの恩恵を受けることができる。そのため、例えばインターフェイスユニットの製造者は、例えば下記項目の計算のためにコンピューティングパワーを提供するクラウドプレゼンス(又はイントラネット)を持っている可能性が高い:
稼働率
活動
料金(短期/長期)
天気予報(ローカルプロセッサが利用しやすいように前処理が施され、また、インターフェイスユニットが設置されている敷地内の状況、場所、露出に合わせて特別に調整されている可能性があるため、好一般に入手可能な天気予報が好ましいかもしれない);
偽陽性及び/又は偽陰性の識別
【0077】
給湯システムからの過熱水によるやけどの危険性からユーザーを守るためには、やけど防止機能を設けることが賢明である。これは、電気的に制御可能な(調節可能な)弁を設けて、冷水供給装置からの冷水が熱交換器の出力回路から出るときに温水と混合させるという形をとることができる。
【0078】
本開示の1つの態様として、熱交換器、PCMエネルギーバンク、弁、ポンプ、及びコントローラを備えたその他のハードウェアの製造済みセット(ガスコンビボイラーの形状及び形態に適合する可能性のある箱の中のそれらすべて)によって、ガスコンビボイラーを置き換えることを提案する。このようなアプローチは、既存のガスコンビボイラーを交換する場合にも、ガスコンビボイラーの代わりに新規に設置する場合にも、設置時間と配管工事の複雑さの大幅な減少につながる可能性がある。
【0079】
図2は、インターフェイスユニットの「臓器」と考えられるものを概略的に示しているが、これらの「臓器」の容器は示していない。本開示によるインターフェイスユニットの重要なアプリケーションは、ヒートポンプを、以前はガス焚きコンビネーションボイラーが設置されていた(又は、そうでなければそのようなボイラーが設置されている可能性がある)住居の空間暖房及び温水要件に実用的に寄与するものとして使用できるようにする手段である。従来コンビボイラーと同様に、美観及び安全のために容器を設けると便利であることは理解されよう。更に、好ましくは、そのような容器は、コンビボイラーを直接交換できるようなフォームファクター内に収まるような寸法にされる。コンビボイラーは、通常、壁に取り付けられ、多くの場合、キッチンキャビネットと共存するキッチンに設置される。高さ、幅及び奥行きを有する概ね長方形の立方体(もちろん、美観、人間工学、又は安全性のために、容器の表面のいずれか又はすべてに曲面が使用されてもよい)の形態に基づいて、適切なサイズは、おおよその範囲、すなわち、高さ650mm&#12316;800mm、幅350mm&#12316;550mm、奥行き260mm&#12316;420mm、例えば、高さ800mm、幅500mm、奥行き400mm、に見出すことができるが、より大きな、特に背の高いユニットが、これらを収容することができる設備のために設けられてもよい。
【0080】
ガスコンビボイラーに関する本開示によるインターフェイスユニットの1つの顕著な違いは、後者の容器は一般に、高温の燃焼室が存在するため、鋼鉄などの不燃性材料で作らなければならないが、インターフェイスユニットの内部温度は、一般的に100℃よりかなり低く、典型的には70℃以下、しばしば60℃以下であることである。そのため、インターフェイスユニットの容器を製造する際には、木や竹、あるいは紙など、耐火性の低い他の材料を使用するのが現実的となる。
【0081】
また、燃焼がないことで、一般的にはガスコンビボイラーの設置に適さないとされる場所にもインターフェイスユニットを設置できる可能性が広がる。もちろん、ガスコンビボイラーとは異なり、本開示によるインターフェイスユニットは、排ガス用の煙道を必要としない。そのため、例えば、キッチンのワークトップの下に設置するためのインターフェイスユニットを構成することが可能になり、カウンター下のコーナーに代表される悪名高いデッドスポットを利用することもできる。このような場所に設置する場合、(好ましくはキッチンキャビネットの製造者との協働を通して)インターフェイスユニットをカウンター下の食器棚に組み込むこともできる。しかし、配置についての最大の柔軟性は、何らかの形のキャビネットの後ろに効果的に設置されるインターフェイスユニットを持ち、そのキャビネットがインターフェイスユニットにアクセスできるように構成されることによって保持されるであろう。そして、インターフェイスユニットは、循環ポンプ36が入力側回路の流路から切り離される前に、循環ポンプ36をスライドさせて熱交換器12から離すことができるように構成されることが好ましい。
【0082】
また、システムキッチンでよく無駄になるスペース、すなわちカウンター下の食器棚の下のスペースを活用することも検討できる。そこには高さ150mm以上、奥行き600mm前後、幅300mm、400mm、500mm、600mm以上のスペースがあることが多い(ただし、キャビネットを支える脚を考慮する必要がある)。特に新規に設置する場合、又はキッチンの改修に伴ってコンビボイラーを交換する場合、少なくともインターフェイスユニットの熱交換器を収納するためにこれらのスペースを使うことは理にかなっている。あるいは、インターフェイスユニットのために1以上の熱交換器ユニットを使うことは理にかなっている。
【0083】
特に、壁掛け用に設計されたインターフェイスユニットにとって、インターフェイスユニットの用途が何であれ潜在的に有益であるが、インターフェイスユニットを複数のモジュールとして設計することが望ましい場合が多い。このような設計では、熱交換器をモジュールの1つとするのが便利である。相変化材料の存在により、熱交換器だけで25kgを超える重量になる可能性があるからである。安全衛生上の理由から、また一人での据付を容易にするために、インターフェイスユニットは、どれも約25kgを超えないモジュールのセットとして運ばれることが望ましい。
【0084】
このような重量制約は、モジュールの1つを、インターフェイスユニットを構造物に取り付けるためのシャーシとすることで対応できる。例えば、インターフェイスユニットを既存のガスコンビボイラーの代わりに壁に取り付ける場合、他のモジュールを支持するシャーシをまず壁に固定すると便利である。好ましくは、シャーシは、交換されるコンビボイラーを支持するために使用される既存の固定点の位置と連動するように設計される。これは、一般的なガスコンビボイラーの間隔及び位置に応じて予め形成された固定穴を有する「ユニバーサル」シャーシを設けることによって可能性としてできる。代替的には、特定のメーカーのボイラーに適合する穴の位置/サイズ/間隔を持つさまざまなシャーシを製造することもコスト的に効果的である。そうすれば、該当するメーカーのボイラーを交換するのに適したシャーシを指定するだけでよい。この方法には複数の利点がある。すなわち、固定ボルトを通すためにプラグ用の穴を更に開ける必要がなくなるだけでなく、また、墨出し、穴あけ、清掃に必要な時間がなくなるだけでなく、設置する住宅の構造を更に弱くする必要がなくなり、これは、「スターター・ハウス」やその他の低価格住宅で頻繁に使われる低コストの建設技術や材料を考慮すると重要な事項となりうる。
【0085】
熱交換器モジュールとシャーシモジュールは連結するように構成されることが好ましい。このようにすることで、分離可能な締結具の必要性を回避することが可能となり、また、設置時間を節約することができる。
【0086】
追加モジュールは、熱交換器12の出力側回路16を建物内温水システムに連結するための第1の相互接続部、例えば62と74、を含むことが好ましい。
【0087】
追加モジュールはまた、熱交換器12の入力側回路14をヒートポンプに連結するための第2の相互接続部、例えば38と24、を含むことが好ましい。追加モジュールはまた、インターフェイスユニットを、インターフェイスユニットが使用される構内の熱回路に接続するための第3の相互接続部、例えば42と28、を含むことが好ましい。熱交換器を壁に直接接続されたシャーシに取り付けることで、接続部をシャーシに取り付けるよりも、熱交換器の重量を壁に近づけ、インターフェイスユニットを壁に固定する壁の固定具にかかる片持ち梁荷重の影響を軽減することができる。
【0088】
図3は、相変化材料エネルギー蓄積装置を使用して水を温める熱交換器と補助ヒータが並列に接続されている給湯システム(HWSS)の代替配置の概略図である。これにより、制御弁が増え若干複雑になる代わりに、前述の直列配置よりも大幅に柔軟性が向上する。
【0089】
HWSS300は、水道本管又はタンクから供給される冷水のための注入口302を含む。注入口302は、S1と指定された出力信号を持つ圧力センサ304と、S2と指定された出力信号を持つ温度センサ306に接続されている。これらの及び他のセンサ出力は、対応する番号の入力を介してコントローラ340に接続されるが、図を明瞭にするために接続は省略されている。センサ306の水出口には、経路308と経路310の両方に水を供給するTピースがある。経路308は、制御可能弁312を介してエネルギー蓄積アセンブリ(ESA)314に続いている。制御可能弁312は、コントローラ340から供給される信号SAに応答して、経路308を通る水の流れを制御する。コントローラへの接続は、分かりやすくするために図では省略されている。
【0090】
ESAは、経路308の水が流れる熱交換器316、蓄積バンク318、送り管HPSと戻り管HPRを介してヒートポンプ344に接続する加熱コイル320を備えている。蓄積バンク318は、ヒートポンプによって供給される熱を蓄積するための相変化材料(PCM)を含み、温度出力信号S3を供給する温度センサを内蔵している。なお、ESAは分かりやすくするため、純粋に模式的に示されている。実際には、加熱コイル、蓄積バンク、及び熱交換器は、密接な熱的関係に配置される。ESAの更なる特徴及び改良点は、前述の実施形態と共通である。
【0091】
経路308は、温度センサ322と流量センサ324を経由して、温水出口338まで続いている。温度センサ322は、温度出力信号S4を提供し、流量センサ324は流量出力信号S5を提供し、これらの信号はコントローラ340に提供される。
【0092】
温度センサ306の後及び経路308からの分離後、経路310は制御可能な弁326を経由して電気ヒータ328へと続く。弁326はコントローラからの制御信号SBに応答する。電気ヒータは、コントローラ340からの制御信号SCに応答する電力電子スイッチ332を介して、電力供給、例えば主電源330に接続される。電気ヒータ328の出口から、水経路は、温度出力信号S6をコントローラに供給する温度センサ334と、流量出力信号S7をコントローラに供給する流量センサ336を通って続く。流量センサ336の出口から経路310は経路308に再び合流し、温水出口338を提供する。
【0093】
コントローラ340には、前述のセンサからの入力S1&#12316;S7と、弁312、326及びヒータ328を制御するための出力SA、SB、SCが供給される。コントローラはまた、ヒートポンプ344の始動/停止を制御するための更なる出力SDも提供する。コントローラは、クラウドコンピューティング、料金データ、天候情報などへのアクセスを提供するインターネット342への接続も提供されることが好ましい。
【0094】
コントローラは、先の実施形態と同様の方法で操作可能であるが、二重経路又は並列配置により、更なる柔軟性がもたらされる。コントローラは、任意の割合で弁312、326の開口を指示してもよく、各弁が開口される程度は、流量センサ324、336からの流量信号に応答する閉ループ制御に従う。弁は、駆動信号のデューティサイクルがセンサ324、336からの流量信号に応答して変化するパルス幅変調(PWM)技術を用いて制御されることが好ましい。コントローラはまた、制御ラインSCを介して、電気ヒータ328が(もしあれば)作動する程度を制御する。これら3つの制御出力を使用して、コントローラ340は、出口338の水温が所望の温度になるようにすることができる。
【0095】
例えば、流入水の温度が摂氏10℃で、所望の出力温度が摂氏45度であるとする。蓄積バンクの温度(信号S3)の知識から、コントローラは、熱交換器が流入水の温度を40度まで上昇させることができると判断する。コントローラは、各弁312、326に同じ程度に開くように指示し(経路308、310の流量が等しくなることを意味する)、流入する水を50℃に温めるために電気ヒータが必要とする電力を計算する。それぞれの経路からの同量の温水は、温水出口で混合され、要求された45℃で供給される。
【0096】
コントローラは、所望の出力温度をどのように達成するかについて、大きな柔軟性を有している。例えば、コントローラは、経路308の流量を経路310の流量の2倍にするように調整し得る。上記と同じ出力温度を達成するには、電気ヒータからの出力を55℃にする必要があるため、一旦水経路が結合されると、出力温度は45℃になる。この制御戦略では、必要な水のより多くが(電気ヒータではなく)ESAによって加熱されるため、ESA314からより多くの熱を引き出す。電気ヒータがより高い温度まで水を加熱しなければならないにもかかわらず、電気ヒータによって加熱される水の量が少なくなるため、電気エネルギーの使用量は少なくなる。
【0097】
前述した直列の実施形態における1つの重要な利点は、HWSSが、ESA及び熱交換器のみによって提供されるよりも低い温度で水を提供できることである。コントローラは、ヒータ328を作動させることなく、経路310に沿って水を流すことができる。従って、冷水は、出口338で、熱交換器からの水と混合される。こうして熱交換器を流れる水が少なくなるため、蓄積バンク318のエネルギーが保持される。
【0098】
もう一つの重要な利点は、コントローラが、専ら又は実質的に電気ヒータを使って水を温める能力を持つことである。これは、例えば、安い料金又は現地で生み出された風力エネルギー若しくは太陽エネルギーにより、電力が安い時に適切となり得る。対照的に、直列の実施形態では、加熱される水のすべてがESAを通って流れ、必然的にESAに蓄えられたエネルギーを消耗させる。
【0099】
コントローラは、流量を絞ってコストを削減するために、消費者からの温水需要を完全に満たすのに必要な開度よりも小さい開度にするよう、弁312、326に指示することができる。
【0100】
弁312及び326は、それぞれの経路308、310のどこに配置してもよいが、硬水区域でのスケーリングを低減するのに役立ち、また弁作動コイルを低温に保つのにも役立つため、入口側に配置する(すなわち、冷水の流れを制御する)のが好ましい。圧力センサ304は、弁312及び326が開いているときにセンサ324及び326で検出される低流量から不十分な水圧が推測される場合があるため、状況によっては省略される場合がある。温度センサ306は、コントローラが温度センサ322及び334の出力に応答して動作することができるため省略することができるが、コントローラが入口における水の温度を知ることは有用である場合がある。これにより、コントローラは、2つの経路を通る流量及び補助ヒータを作動させるべき程度について初期推定を行うことによって、より迅速に応答することができる。コントローラ340が、入力温度(信号S2)、流量(信号S5)及び蓄積バンクの温度(信号S3)から出力温度を推測することができるので、熱交換器からの出口における温度センサ322は、省略することができる。
【0101】
2つの温度センサ322及び334は、温水出口338における単一の温度センサに置き換えてもよいが、この場合、コントローラ340は、熱交換器316によって提供される加熱量についてある程度推定を行う必要があり、電気ヒータ328の過剰作動を招き、その結果、コストペナルティが生じる可能性がある。
【0102】
流量センサ324及び336は、2つの経路308、310を通る流量の閉ループ制御を(それぞれ調節弁312、326によって)行うのに有用であるが、温水出口338に温度センサがある場合には省略することができる。使用時、水流はもちろん2つの経路308、310間で共有されるが、各経路の正確な流量は正確には分からない。その結果、電気ヒータ328が過剰に作動する可能性もある。
【0103】
温水の要求が短時間以上継続する場合、コントローラは始動信号SDによってヒートポンプを起動するように配置される。コントローラは、一方又は両方のセンサ324、336を通した流量を測定することで、温水需要の継続時間を推測し得る。流量が洗面台の蛇口に見合ったものであれば、消費者が手を洗っていると推測され、水の需要は短時間である。流量がシャワーや風呂の蛇口が開かれているのに相当する場合、コントローラは、需要がしばらく続くと推測し、ヒートポンプ344が作動する。ユーザーの活動に応じたヒートポンプの制御のための更なる戦略は、第1の実施形態の文脈で説明したものと同様である。
【0104】
ヒートポンプを作動させるよりも、蓄積バンク318に関係づけられている電気ヒータ(図示せず)でESA314を温める方が適切な場合がある。これは、電気料金が本当に安い場合や、現地で生産されたグリーン電力による場合である。この場合、コントローラは、蓄積バンクの温度(温度信号S3)が所望の温度に達するまで電気ヒータを作動させるように構成される。
【0105】
蓄積バンク318の状態は、図2を参照して説明したように、1つ以上の圧力センサによって、同様に決定することができる。
【0106】
好ましい実施形態では、センサがコントローラに接続されたHWSSの出口に、圧力センサ348が設けられている。圧力の低下に応答して、コントローラは、水の出口が開かれたと推測し、弁を開き、その他適切にHWSSを制御することができる。これにより、弁312及び326は、温水が供給されているとき以外は閉じたままにすることができる。
【0107】
代替的に、小さなバイパス経路346を使用することで、弁312と326の両方が閉じているときに、HWSSを通る流れを検出することもできる。構内の水出口が開口されると、一部の水が弁312の周囲を流れ、その流れが流量センサ324によって検出される。そして、コントローラは、弁312と326の少なくとも一方を開くことで応答して、HWSSを通る流量を判断し、上述のように水の加熱を指示することができる。バイパス経路346は、HWSSの運転への障害を最小限にするために狭いことが好ましい。バイパス経路は弁312の周りに示されているが、弁326の周りなど他の場所に配置することもできるし、流量センサが入口302と出口338の間の水の流れを検出できるような他の方法であってもよい。選択的に、HWSSが作動しているとき、バイパス経路は別の弁(図示せず)によって閉じられることもある。この弁は通常、常開弁で構成され、コントローラからの制御信号に応答して閉じられる。
【0108】
図4は、ESAと補助ヒータを通る別個の流路を有するが、図3に示すものよりも構成部品が少ない別の給湯配置400を示す。
【0109】
冷水入口402は、制御信号SAによって制御される三方弁404に接続されている。この弁は、水入口を第1経路406及び第2経路408に接続する。水が各経路に導かれる程度は、制御信号SAによって制御される。一方の極端な例では、水はすべて経路406に導かれ、他方の極端な例では、水はすべて経路408に導かれる。中間信号(PWM信号など)を提供することにより、2つの経路の相対流量を制御することができる。
【0110】
経路406は、図3を参照して説明したように、エネルギー蓄積装置(ESA)に続いている。ESAは、熱交換器410(経路406の水が流れることができるもの)、エネルギー蓄積バンク412、及びヒートポンプに接続するための加熱コイル414を含む。経路406は、出力信号S1を提供する流量センサ416に続いている。そして、経路406は経路408と再連結し、温度センサ418を通過して温水出口420を設ける。温度センサは、温度出力信号S3を提供する。
【0111】
弁404の後、経路408は、主電源426に接続され、制御信号SBに応答してスイッチ424によって制御される電気ヒータ422へと続く。電気ヒータの後、経路408は、流量信号S2を出力する流量センサ428へと続く。
【0112】
コントローラ430は、センサ出力S1、S2、S3を受け取るとともに、制御出力SA、SB、SCを供給し、SCはヒートポンプ(図示せず)の始動信号を供給する。
【0113】
使用中、弁404は、好ましくは、作動していないときに極端な位置の1つを採用するが、これは不可欠ではない。例えば、弁が水入口402と経路406を接続する位置を採用する場合、流量センサ416は、構内で水の出口が開かれたことを検知する。弁404が他の位置を採用した場合、流量センサ428は出口が開けられたことを検知する。弁が駆動されていない中間位置を採用した場合でも、流量センサ416、428の一方又は両方が、水出口が開口されたことを検知する。一旦コントローラが排出口の開口を認識すると、HWSSの出口における温度は、HWSSをどのように制御するかを決定する-主に、弁404を設定し、可能性として補助ヒータ422を作動させる。
【0114】
別個の弁312、316(図3)よりも三方弁404を使用することにより、弁を通して常に何らかの流れが発生するため、水出口が開いていたかどうかを検出するという問題は生じない。したがって、圧力センサ348(図3)やバイパス経路346(図3)は必要ない。しかしながら、HWSSのこの実施形態は、各経路に個別の弁がある場合に可能な流量を絞る機能を持たないため、ある程度の柔軟性は犠牲になっている。これは、各経路に常開弁を追加することで可能であるが、単純さを犠牲にすることになる。
【0115】
図では入口圧力センサ304(図3)が省略されているが、このようなセンサを容易に追加することができる。温度センサも、先の実施形態と同様に、蓄積バンク412に設けることができる。インターネット接続もコントローラに設けることができる。当業者であれば、図3に示した実施形態の他の特徴を図4の実施形態に組み込んで、上述したような性能及び経済性を向上させることが可能であることを理解されよう(より複雑になるという代償は伴うが)。
【0116】
本出願は、多くの態様がより広範な適用可能性を有するとしても、一般に共通の問題群に基づく、多数の自明で相互に関連する態様及び実施形態を含む。特に、論理及び制御方法は、必ずしも開示されたハードウェアでの動作に限定されず、より広範に適用され得るが、全て、様々なハードウェアの態様及びその好ましい変形例のハードウェアでの動作に特に適している。当業者には、ある態様が他の特徴の特定の例に関するものであり、特定の態様において説明又はクレームされる好ましい特徴が他の態様にも適用され得ることが理解されよう。互換性について全ての点で明示的な言及を行うと、本開示は手に負えないほど長くなるであろうし、当業者は、他に明示的な記載がない限り、又は文脈から明らかに不適切でない限り、任意の態様の好ましい特徴が他の任意の態様に適用され得ることを理解することが期待され、ここに明示的に理解するように指示される。繰り返しを避けるため、多くの態様及び概念は、方法の形態又はハードウェアの形態でのみ説明される場合があるが、対応する装置又はコンピュータプログラム又はロジックも、方法の又はハードウェアの操作方法の説明のケース、装置の議論のケースで開示されたものと捉えられる。上記が意味するものの一例として、流体ベースの(典型的には空気源の)ヒートポンプと相変化材料と電気補助加熱要素との組み合わせ、及びプロセッサ(ユニット内又は遠隔又はその両方)による制御に関するハードウェアとソフトウェアの両方の特徴が多数ある。これは好ましい用途であるが、ほとんどの方法及びハードウェアは、他のヒートポンプ(熱電式及び地中熱源)、他の再生可能エネルギー源(例えば太陽熱アレイ用ポンプ)、及び代替補助加熱(ガスボイラーなどの燃焼式ヒータのあまり好ましくない配置、又は更に効率の低い高温低COPヒートポンプを含む)、及び多温度蓄熱アレイを含む代替蓄熱に、より一般的に適用可能である。更に、構成要素又はそれらの相互作用のいずれかに特定の配置を与える態様は、システムの代替要素に焦点を当てた態様とともに自由に使用することができる。

図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】