(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】分析物センサに対する固定された動作時間周波数スイープ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20240220BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547401
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 IB2022050488
(87)【国際公開番号】W WO2022167884
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522313879
【氏名又は名称】ノウ・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Know Labs, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】ボスア,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
(57)【要約】
電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲、または電磁スペクトルの可視範囲の光学周波数などの非光学的周波数を使用する分光技術を介して分析物を検出するセンサ。本開示の分析物センサは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含む。送信素子および受信素子は、アンテナまたは発光ダイオードなどの発光素子とすることができる。センサは、第1および第2の周波数スイープを実装するように制御され、周波数スイープは、第1および第2の周波数スイープ間で動作時間が同じである、少なくとも1つの重複する周波数範囲を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサシステムにおいて、
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイであって、少なくとも1つの送信素子は、送信信号をターゲットに送信するように配置及び構成され、少なくとも1つの受信素子は、少なくとも1つの送信素子による送信信号のターゲットへの送信から生じる応答を検出するように配置及び構成される、検出器アレイと、
少なくとも1つの送信素子に電気的に接続可能な送信回路であって、前記送信回路は、少なくとも1つの送信素子によって送信される前記送信信号を生成するように構成され、前記送信信号は、電磁スペクトルの無線周波数または可視範囲内にある、送信回路と、
少なくとも1つの受信素子に電気的に接続可能な受信回路であって、前記受信回路は、少なくとも1つの受信素子によって検出された前記応答を受信するように構成されている、受信回路と、
前記送信回路に接続され、少なくとも1つの送信素子によって少なくとも第1及び第2の周波数スイープを実装するように構成された、制御システムであって、前記第1の周波数スイープは、開始周波数から終了周波数までの第1の周波数範囲で発生し、前記第2の周波数スイープは、開始周波数から終了周波数までの第2の周波数範囲で発生し、前記第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は互いに重複する、制御システムと
を含み、
前記制御システムは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が重複するにあたり、可能な限り互いに同一に近接するべく、第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装するように構成される、
センサシステム。
【請求項2】
互いに重複する第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は、夫々、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップを有し、第1の周波数ステップは第2の周波数ステップと同じであり、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップの周波数ステップの各々は関連する動作時間を有し、第1の周波数ステップの動作時間は第2の周波数ステップの動作時間と実質的に同一である、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
第1の周波数ステップの少なくとも一部の動作時間が互いに等しくなく、第2の周波数ステップの少なくとも一部の動作時間が互いに等しくない、
請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項4】
第1の周波数ステップの動作時間が互いに等しく、第2の周波数ステップの動作時間が互いに等しい、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項5】
各々の動作時間が複数のサブ動作を含む、
請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項6】
動作時間の少なくとも1つのサブ動作が、少なくとも1つの送信素子による周波数の複数の送信を含む、
請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項7】
ターゲットが体液であり、センサシステムがグルコース、アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンを感知するように構成されている、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子が、アンテナを含み、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が、各々、電磁スペクトルの無線又はマイクロ波周波数範囲にある、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子が、発光ダイオードを含み、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が、各々、電磁スペクトルの可視範囲内にある、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含むセンサシステムを動作させる方法であって、
少なくとも1つの送信素子は、送信信号をターゲットに送信するように配置及び構成され、
少なくとも1つの受信素子は、少なくとも1つの送信素子による送信信号のターゲットへの送信から生じる応答を検出するように配置及び構成され、
少なくとも1つの送信素子に電気的に接続可能な送信回路は、少なくとも1つの送信素子により送信される送信信号を生成するように構成され、送信信号は、電磁スペクトルの無線周波数または可視範囲内にあり、
少なくとも1つの受信素子に電気的に接続可能な受信回路は、少なくとも1つの受信素子により検出される応答を受信するように構成され、
前記方法は、
少なくとも1つの送信素子によって少なくとも第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装するようにセンサシステムを制御することであって、
第1の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第1の周波数範囲で発生し、
第2の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第2の周波数範囲で発生し、
第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は互いに重複する、センサシステムを制御することと、
第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が重複するにあたり、可能な限り互いに同一に近接するべく、第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装することと
を含む、方法。
【請求項11】
第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装することであって、第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装することにより、互いに重複する第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が、夫々、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップを有するものとなり、第1の周波数ステップは第2の周波数ステップと同じであり、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップの各々の周波数ステップは、関連する動作時間を有し、第1の周波数ステップの動作時間は第2の周波数ステップの動作時間と実質的に同一である、第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装すること
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1の周波数ステップの少なくとも一部の動作時間が互いに等しくなく、且つ、第2の周波数ステップの少なくとも一部の動作時間が互いに等しくないように、センサシステムを制御すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の周波数ステップの動作時間が互いに等しく、且つ、第2の周波数ステップの動作時間が互いに等しくなるようにセンサシステムを制御すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
各々の動作時間が複数のサブ動作を含むようにセンサシステムを制御すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
動作時間の少なくとも1つについての、複数のサブ動作が、少なくとも一つの送信素子による周波数の複数の送信を含むように、センサシステムを制御すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ターゲットが体液であり、センサシステムがグルコース、アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンを感知するように構成されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子がアンテナを含み、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が、各々、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子が発光ダイオードを含み、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が、各々、電磁スペクトルの可視範囲内にある、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を含む分析物センサを使用する分光技術を介して分析物を検出する装置、システムおよび方法に関するものであり、送信素子と受信素子は、電磁スペクトルの無線若しくはマイクロ波周波数範囲で動作する、又は、電磁スペクトルの可視範囲で動作する。
【背景技術】
【0002】
ターゲット内の分析物を検出および/または測定し得ることに関心が示されている。例えば、生体組織中のグルコースの測定である。患者のグルコースを測定する例では、現在の分析物測定法は、指の検査や検査室ベースの検査のための血液などの体液、または侵襲的な経皮デバイスを使用して患者から採取された体液に対して測定を行うという点で侵襲的である。生体組織でのグルコース測定が可能であると主張する非侵襲的な方法がある。しかし、非侵襲的な方法の多くは、一般的に以下の問題を抱えている:グルコースなどの目的の分析物に対する特異性の欠如;温度ゆらぎによる干渉;皮膚化合物(すなわち汗)や色素による干渉;配置の複雑さ(即ち、センシングデバイスは患者の身体の複数の場所に存在する。)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、概略、電磁スペクトルの無線若しくはマイクロ波周波数範囲などの非光学周波数、又は、電磁スペクトルの可視範囲の光学周波数を、使用する、分光技術を介して分析物を検出する装置、システムおよび方法に関する。本明細書で説明する分析物センサは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含む。送信素子および受信素子は、アンテナ、または発光ダイオードなどの発光素子とすることができる。以下の説明では、送信素子と受信素子は、アンテナであれ発光ダイオードであれ、各々、検出素子と称することがある。
【0004】
送信素子は、少なくとも第1および第2の周波数スイープを実装するように制御される。追加の周波数スイープは、各々の周波数スイープが第1および第2の周波数スイープのようになるように実装できる。第1の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第1の周波数範囲で発生し、第2の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第2の周波数範囲で発生する。1つの実施形態では、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は少なくとも部分的に互いに重複する。別の実施形態では、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は互いに同一である。これらが重複する第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は、夫々、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップを有する。重複する範囲では、第1の周波数ステップは第2の周波数ステップと同じである。第1周波数ステップと第2周波数ステップの各々の周波数ステップは、関連する動作時間を有し、第1の周波数範囲の第1の周波数ステップの動作時間は、第2の周波数範囲の第2の周波数ステップの動作時間と同一である。各々の第1および第2の周波数スイープは、少なくとも互いに重複するところでは、互いに実質的に同一に行われるため、各々の周波数スイープの結果の間でより正確な比較を行うことができる。
【0005】
本明細書に記載の一実施形態では、センサシステムは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含み得る。少なくとも1つの送信素子は、送信信号をターゲットに送信するように配置及び構成され、少なくとも1つの受信素子は、少なくとも1つの送信素子による送信信号のターゲットへの送信から生じる応答を検出するように配置及び構成される。送信回路は、少なくとも1つの送信素子に電気的に接続可能であり、送信回路は、少なくとも1つの送信素子によって送信される送信信号を生成するように構成され、送信信号は電磁スペクトルの無線周波数または可視範囲内にある。受信回路は、少なくとも1つの受信素子に電気的に接続可能であり、受信回路は、少なくとも1つの受信素子によって検出された応答を受信するように構成される。制御システムは送信回路に接続され、少なくとも1つの送信素子によって少なくとも第1および第2の周波数スイープを実装するように構成される。第1の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第1の周波数範囲で発生し、第2の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第2の周波数範囲で発生し、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は互いに重複する。これらが重複する第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は、夫々、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップを有する。第1の周波数ステップは第2の周波数ステップと同じであり、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップの周波数ステップの各々は、関連する動作時間を有し、第1の周波数ステップの動作時間は第2の周波数ステップの動作時間と同じである。
【0006】
本明細書に記載の別の実施形態では、センサシステムを動作する方法が記載される。センサシステムは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含み、少なくとも1つの送信素子は、送信信号をターゲットに送信するように配置及び構成され、少なくとも1つの受信素子は、少なくとも1つの送信素子による送信信号のターゲットへの送信から生じる応答を検出するように配置及び構成される。送信回路は、少なくとも1つの送信素子に電気的に接続可能であり、送信回路は、少なくとも1つの送信素子によって送信される送信信号を生成するように構成され、送信信号は電磁スペクトルの無線周波数または可視範囲内にある。さらに、受信回路は、少なくとも1つの受信素子に電気的に接続可能であり、受信回路は、少なくとも1つの受信素子によって検出される応答を受信するように構成されている。この方法は、少なくとも1つの送信素子によって少なくとも第1の周波数スイープと第2の周波数スイープを実装するようにセンサシステムを制御することを含み、第1の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第1の周波数範囲で発生し、第2の周波数スイープは開始周波数から終了周波数までの第2の周波数範囲で発生し、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は互いに重複する。これらが重複する第1の周波数範囲と第2の周波数範囲は、夫々、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップを有する。第1の周波数ステップは第2の周波数ステップと同じであり、第1の周波数ステップと第2の周波数ステップの各々の周波数ステップは関連する動作時間を有し、第1の周波数ステップの動作時間は第2の周波数ステップの動作時間と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態によるターゲットに対する分析物センサを備えた分析物センサシステムの概略図である。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載のセンサシステムの一実施形態で使用できるアンテナアレイの異なる例の方向を示している。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載のセンサシステムの一実施形態で使用できるアンテナアレイの異なる例の方向を示している。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載のセンサシステムの一実施形態で使用できるアンテナアレイの異なる例の方向を示している。
【
図5】
図5は、使用できるアンテナアレイの別の例を示す。
【
図6】
図6は、本明細書で説明する分析物センシングを実行するために光の形で電磁エネルギを使用する分析物センサを備えた分析物センサシステムの別の実施形態の一部の概略図である。
【
図7】
図7は、本明細書で説明する分析物センシングを実行するために光の形で電磁エネルギを使用する分析物センサを備えた分析物センサシステムの別の例を示す。
【
図9】
図9は、一実施形態による分析物の検出方法のフローチャートである。
【
図10】
図10は、一実施形態による応答の分析のフローチャートである。
【0008】
同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、電磁スペクトルの無線周波数やマイクロ波周波数帯などの非光学周波数、または電磁スペクトルの可視範囲の光学周波数を用いた分光法による分析対象物の検出装置、システム、および方法について詳細に説明する。ここで説明する分析物センサは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を有する検出器アレイを含む。送信素子と受信素子は、アンテナ(
図1~
図5参照)または発光ダイオードなどの発光素子(
図6~
図7参照)とすることができる。以下の説明では、送信素子と受信素子は、アンテナであれ発光ダイオードであれ、それぞれ検出素子と呼ばれることがある。
【0010】
図1~
図5と共に以下の説明は、最初は2つ以上のアンテナを持つ検出器アレイを含むものとして分析物センサシステムを説明する。以下の説明の後半で、
図6~
図7とともに、分析物センサシステムは、発光ダイオード(LED)などの2つ以上の発光デバイスを含む検出器アレイを含むものとして説明される。2つ以上のLEDを有する検出器アレイは、LEDアレイと記述することもできる。
【0011】
一実施形態では、ここで説明するセンサシステムを使用して、ターゲット内の少なくとも1つの分析物の存在を検出することができる。別の実施形態では、ここに記載されたセンサシステムは、ターゲット内の少なくとも1つの分析物の量または濃度を検出することができる。ターゲットは、検出したいと思われる少なくとも1つの対象分析物を含む任意のターゲットとすることができる。ターゲットは、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物学的または非生物学的である。たとえば、ターゲットには、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、流体、遺伝物質、または微生物を含めることができるが、これらに限定されない。ターゲットの非限定的な例としては、体液、例えば血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液または尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、または微生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
本明細書に記載のセンサによる検出は、センサが人体のようなターゲットの外にとどまり、人体のようなターゲットからの液体の除去やその他の除去を必要とせずに分析物の検出が行われるという非侵襲的な意味を持ち得る。人体におけるセンシングでは、この非侵襲センシングをin vivoセンシングと呼ぶこともある。他の実施形態にて、本明細書に記載のセンサは、例えば人体から分析物を含む物質が除去されたin vitroセンサであってもよい。
【0013】
分析物は、検出したい任意の分析物とすることができる。分析物は、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物学的または非生物学的であり得る。例えば、分析物は、血糖、血中アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンの1つ以上を含むことができるが、これに限定されない。分析物は、化学物質、化学物質の組み合わせ、ウイルス、細菌などを含むことができるが、これらに限定されない。分析物は、別の媒体に含まれる化学物質であってもよく、そのような媒体の非限定的な例としては、少なくとも1つの分析物を含む流体、例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液または尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、または微生物が挙げられる。分析物は、鉱物や汚染物質などの非ヒト、非生物学的粒子であってもよい。
【0014】
分析物には、例えば、天然に存在する物質、人工物質、代謝物、および/または反応生成物が含まれ得る。非限定的な例として、少なくとも1つの分析物には以下のものが含まれるがこれらに限定されるものではない。インスリン、アカルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;α-フェトプロテイン;アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブスサイクル)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドレノステンジオン;アンチピリン;アラビニトールエナンチオマー;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビオチニダーゼ;ビオプテリン;c反応性プロテイン;カルニチン;プロBNP;BNP;トロポニン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;チェノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;共役1-βヒドロキシコール酸;コルチゾール;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMアイソザイム;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;脱エチルクロロキン;デヒドロエピアンドロステロン硫酸;DNA(アセチレーター多型、アルコールデヒドロゲナーゼ、α1-アンチトリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ/ベッカー筋ジストロフィー、アナライト-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、βサラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーバー遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジン還元酵素;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン; 遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(FT4);遊離トリヨードサイロニン(FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/ガラクトース-1-リン酸;ガラクトース-1-リン酸ウリジル転移酵素;ゲンタマイシン;アナライト-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリココール酸;グリコシル化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球炭酸脱水酵素I;17-α-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;乳酸;鉛;リポ蛋白((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルミシン;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;キニーネ;逆トリヨードサイロニン(rT3);セレン;血清膵リパーゼ;シソミシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、抗ゼータ抗体、アルボウイルス、オーイェスキー病ウイルス、デングウイルス、ドラクンクルス・メディネンシス、エキノコックス・グラヌロサス、エンタモエバ・ヒストリティカ、エンテロウイルス、十二指腸ジアルジア、ヘリコバクター・ピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、リーシュマニア・ドノバニ、レプトスピラ、麻疹/おたふくかぜ/風疹、レプラ菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、オンコセルカ、パラインフルエンザウイルス、マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(ツツガムシ病)、シストソーマ・マンソニ、トキソプラズマ・ゴンディ、トレペノーマ・パリディウム、トリパノソーマ・クルーズ/ランゲリ、水疱性口内炎ウイルス、ウクレリア・バンクロフティ、黄熱ウイルス);特異抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;チロトロピン(TSH);チロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンI合成酵素;ビタミンA;白血球;及び亜鉛プロトポルフィリン。
【0015】
分析物はまた、標的に導入される1つまたは複数の化学物質を含むことができる。分析物は、造影剤、放射性同位元素、または他の化学剤などのマーカを含むことができる。被分析物は、フルオロカーボンをベースとする合成血液を含むことができる。被分析物には、薬物または医薬組成物を含めることができ、非限定的な例としては以下のものがある;エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);覚せい剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、リタリン、サイラート、プレルーディン、ディドレックス、プレステート、ボラニール、サンドレックス、プレギーン);抑うつ剤(バルビツール酸塩、及び、メタカロン、並びに、バリウム、リブリアム、ミルタウン、セラックス、エクアニル、及びトランキセンなどの精神安定剤);幻覚剤(フェンサイクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、シロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、ペルコセット、ペルコダン、タウショネックス、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモチル);デザイナドラッグ(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンサイクリジンの類似体、例えばエクスタシー);アナボリックステロイド;及び、ニコチン。分析物には、他の薬物または医薬組成物を含めることができる。分析物には、例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、5-ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)など、神経化学物質または体内で生成される他の化学物質を含めることができる。
【0016】
図1~
図5及び
図6~
図7に示すセンサシステムは、送信アンテナまたは送信LEDなどの送信素子を使用して、(
図1~
図5の電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲の、または
図6~
図7の電磁スペクトルの可視範囲の)電磁信号をターゲットに向けて送信することによって動作する。送信された信号の送信による戻り信号は、受信アンテナや光検出器などの受信素子によって検出される。受信素子によって検出された信号を分析して、受信信号の強度と、分析物が送信信号を吸収する1つ以上の周波数における強度の減少に基づいて分析物を検出することができる。
【0017】
図1~
図5は、送信アンテナと受信アンテナを含む2つ以上のアンテナを使用する非侵襲分析物センサシステムを示している。送信アンテナと受信アンテナは、ターゲットの近くに配置し、ここでさらに説明するように操作して、ターゲット内の少なくとも1つの分析物の検出を支援することができる。送信アンテナは、無線またはマイクロ波の周波数範囲の少なくとも2つの周波数を持つ信号をターゲットに向けて送信する。少なくとも2つの周波数を持つ信号は、それぞれが個別の周波数を持つ別々の信号部分によって形成することができ、それぞれの周波数で別々の時間に別々に送信される。別の実施形態では、少なくとも2つの周波数を持つ信号は、少なくとも2つの周波数を含む複数の周波数を含む複素信号の一部であってもよい。複素信号は、複数の信号を混合または多重した後に、複数の周波数を同時に送信する複素信号を送信することによって生成することができる。複素信号を生成する1つの可能な技法として、逆フーリエ変換技法を使用することが挙げられるが、これに限定されない。受信アンテナは、少なくとも1つの対象分析物を含むターゲットへの送信アンテナによる信号の送信から生じる応答を検出する。
【0018】
送信アンテナと受信アンテナは、互いに分離されている(デチューンなどとも呼ばれる)。デカップリングとは、送信アンテナと受信アンテナ間の直接通信(できればシールドなし)を最小限に抑えるために、送信アンテナと受信アンテナの構成および/または配置を意図的に加工することを指す。送信アンテナと受信アンテナ間のシールドを利用できる。ただし、シールドがなくても送信アンテナと受信アンテナは分離される。
【0019】
電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲で動作する非侵襲分光センサを使用して分析物を検出する例がWO2019/217461に記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。受信アンテナによって検出される信号は、複数の信号成分を含む複素信号であってもよく、各信号成分は異なる周波数である。一実施形態では、検出される複素信号は、例えばフーリエ変換によって、異なる周波数のそれぞれで信号成分に分解することができる。一実施形態では、受信アンテナによって検出される複素信号は、検出された信号が分析物を検出するのに十分な情報を提供する限り、全体として(すなわち、複素信号を逆多重化せずに)分析して分析物を検出することができる。さらに、受信アンテナによって検出される信号は、それぞれが個別の周波数を持つ個別の信号部分にすることができる。
【0020】
ここで
図1を参照すると、非侵襲分析物センサ5を備えた非侵襲分析物センサシステムの一実施形態が示されている。センサ5は、対象となる分析物9を含むターゲット7に対して相対的に描写される。この例では、センサ5は、送信アンテナ/素子11(以下「送信アンテナ11」)と受信アンテナ/素子13(以下「受信アンテナ13」)を含むアンテナアレイを含むように描かれている。センサ5はさらに、送信回路15、受信回路17、コントローラ19を含む。以下でさらに説明するように、センサ5にはバッテリ(
図1には示さず)などの電源も含めることができる。いくつかの実施形態では、例えばセンサ5に接続されたコードを介してセンサ5を壁ソケットに差し込むことにより、主電源から電力を供給することができる。
【0021】
送信アンテナ11は、電磁スペクトルの無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲内の信号21をターゲット7に送信するように配置、配置、および構成されている。送信アンテナ11は、無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の電極またはその他の適切な送信機とすることができる。送信アンテナ11は、分析物のセンシングが行われるのに十分な、ターゲット7に対する任意の配置と向きを持つことができる。ある非限定的な実施形態では、送信アンテナ11は、実質的にターゲット7に向かう方向に向くように配置することができる。
【0022】
送信アンテナ11によって送信される信号21は、送信アンテナ11に電気的に接続可能な送信回路15によって生成される。送信回路15は、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するのに適した任意の構成を取ることができる。RFまたはマイクロ波周波数範囲の送信信号を生成するための送信回路は、当該技術分野ではよく知られているが、一実施形態では、送信回路15は、例えば、電源、周波数発生器への接続を含み、オプションとして、フィルタ、増幅器、又は、RF若しくはマイクロ波周波数の電磁信号を生成する回路に適したその他の任意の素子を含むことができる。一実施形態では、送信回路15によって生成される信号は、それぞれが約10kHzから約100GHzの範囲にある、少なくとも二つの離散周波数(すなわち複数の離散周波数)を持つことができる。別の実施形態では、少なくとも二つの個別の周波数のそれぞれは、約300MHzから約6000MHzの範囲にすることができる。一実施形態では、送信回路15は、約10kHzから約100GHzの範囲内にある周波数の範囲を通過するように構成することができ、別の実施形態では、約300MHzから約6000MHzの範囲を通過するように構成することができる。一実施形態では、送信回路15は、複数の信号成分を含み、それぞれの信号成分が異なる周波数を持つ、複素送信信号を生成するように構成することができる。複素信号は、複数の信号を混合または多重した後に、複数の周波数を同時に送信する複素信号を送信することによって生成することができる。
【0023】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11によって送信信号21がターゲット7に送信され、分析物9に衝突した結果として発生する1つ以上の電磁応答信号23を検出するように配置、配置、および構成されている。受信アンテナ13は、無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の電極またはその他の適切な受信機とすることができる。一実施形態では、受信アンテナ13は、それぞれが約10kHzから約100GHzの範囲、または別の実施形態では約300MHzから約6000MHzの範囲にある少なくとも二つの周波数を持つ電磁信号を検出するように構成される。受信アンテナ13は、応答信号23の検出を可能にして分析物のセンシングを可能にするのに十分な、ターゲット7に対する任意の配置と向きを持つことができる。一つの非限定的な実施形態では、受信アンテナ13は、実質的にターゲット7に向かう方向に向くように配置することができる。
【0024】
受信回路17は、受信アンテナ13に電気的に接続可能であり、受信アンテナ13からの受信応答をコントローラ19に伝える。受信回路17は、受信アンテナ13によって検出された電磁エネルギを応答信号23を反射する一つ以上の信号に変換するために、受信アンテナ13とのインタフェースに適した任意の構成を取ることができる。受信回路の構成はこの技術分野ではよく知られており、受信回路17は、信号をコントローラ19に提供する前に、例えば信号の増幅や信号のフィルタリングなどによって信号を調整するように構成することができる。したがって、受信回路17は、フィルタ、アンプ、またはコントローラ19に提供される信号を調整するためのその他の適切なコンポーネントを含むことができる。一実施形態では、受信回路17またはコントローラ19の少なくとも一つは、受信アンテナ13によって検出された、それぞれ異なる周波数の複数の信号成分を含む複素信号を、それぞれ構成信号成分に、分解または逆多重化するように構成され得る。一実施形態では、複素信号の分解は、検出された複素信号にフーリエ変換を適用することを含むことができる。ただし、受信した複素信号の分解または逆多重化はオプションである。代わりに、一実施形態では、検出された信号が分析物の検出を行うのに十分な情報を提供する限り、受信アンテナによって検出される複素信号を全体として(すなわち、複素信号を逆多重化せずに)分析して分析物を検出することができる。
【0025】
コントローラ19は、センサ5の動作を制御する。例えば、コントローラ19は、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するように送信回路15に指示することができる。コントローラ19はさらに受信回路17から信号を受信する。コントローラ19は、任意で受信回路17からの信号を処理して、ターゲット7内の分析物9を検出することができる。一実施形態では、コントローラ19は、例えば、Bluetooth、4 G、5G、LTEなどの無線データ接続、またはWi-Fiなどを介して、ユーザデバイスおよび/またはリモートサーバ27などの少なくとも一つの外部デバイス25と任意に通信することができる。提供されている場合、外部デバイス25および/またはリモートサーバ27は、例えば分析物9を検出するために、コントローラ19が受信回路17から受信する信号を処理(またはさらに処理)することができる。提供されている場合、外部デバイス25を使用して、センサ5とリモートサーバ27との間の通信を提供することができる。たとえば、有線データ接続を使用するか、外部デバイス25のワイヤレスデータ接続またはWi-Fiを介してリモートサーバ27への接続を提供する。
【0026】
図1を引き続き参照すると、センサ5は、内部空間31を定義する(破線で示す)センサハウジング29を含むことができる。センサ5の構成要素は、ハウジングに取り付けてもよいし、ハウジング29内に配置してもよい。例えば、送信アンテナ11と受信アンテナ13はハウジング29に取り付けられている。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、全体的または部分的にハウジング29の内部空間31内にあってもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13はハウジング29に取り付けてもよいが、少なくとも部分的または完全に内部空間31の外側に位置している。幾つかの実施形態では、送信回路15、受信回路17およびコントローラ19は、ハウジング29に取り付けられ、全体がセンサハウジング29内に配置される。
【0027】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の電磁結合が減少するように、送信アンテナ11に対して分離またはデチューンされる。送信アンテナ11と受信アンテナ13を分離すると、受信アンテナ13で検出された信号のうち、ターゲット7からの応答信号23の部分が増加し、送信信号21を受信アンテナ13で直接受信することが最小限に抑えられる。送信アンテナ11と受信アンテナ13を分離すると、送信アンテナ11から受信アンテナ13への送信は、送信アンテナと受信アンテナを結合したアンテナシステムと比較して、前方利得(S21)が減少し、出力での反射(S22)が増加する。
【0028】
一実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の結合は95%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の結合は90%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の結合は85%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の結合は75%以下である。
【0029】
送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の結合を減らす任意の技術を使用できる。例えば、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の分離は、送信アンテナ11と受信アンテナ13を互いに分離するのに十分な、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の一つ以上の意図的に作られた構成および/または配置によって達成することができる。
【0030】
例えば、以下で更に説明する一実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13を意図的に異なる形状に構成することで、送信アンテナ11と受信アンテナ13の分離を達成することができる。意図的に異なる形状とは、意図的な送信アンテナ11および受信アンテナ13の異なる幾何学的構成を指す。形状の意図的な違いは、たとえば製造上のエラーや許容範囲などによって、偶発的に又は意図せずに発生する可能性のある送受信アンテナの形状の違いとは区別される。
【0031】
送信アンテナ11と受信アンテナ13の分離を達成する別の技術は、アンテナ11、13を分離し、送信信号21の電磁力線の一部をターゲット7に強制するのに十分な、各アンテナ11、13間の適切な間隔を提供することであり、これにより、ターゲット7に移動することなく、受信アンテナ13が送信アンテナ11から直接電磁エネルギを直接受信することを可能な限り最小化または排除する。各アンテナ11、13間の適切な間隔は、送信アンテナ11からの信号の出力電力、アンテナ11、13のサイズ、送信信号の周波数または周波数、およびアンテナ間のシールドの存在を含むが、これらに限定されない要因に基づいて決定することができる。この技術は、受信アンテナ13によって検出された応答が分析物9を測定しており、送信アンテナ11から受信アンテナ13に直接流れる送信信号21だけではないことを保証するのに役立つ。幾つかの実施形態では、アンテナ11、13間の適切な間隔を、アンテナ11、13の幾何学的形状の意図的な違いと共に使用して、デカップリングを実現することができる。
【0032】
一実施形態では、送信アンテナ11によって送信される送信信号は、少なくとも2つの異なる周波数、例えば7から12の異なる個別の周波数を持つことができる。別の実施形態では、送信信号は、各々が単一の周波数または複数の異なる周波数を持つ一連の個別の、別途の信号とすることができる。
【0033】
一実施形態では、送信信号(または送信信号の各々)は、約300ms未満、等しい、または大きい送信時間に亘って送信することができる。別の実施形態では、送信時間は約200ms以下、またはそれ以上にすることができる。さらに別の実施形態では、送信時間は約30ms以下、またはそれ以上にすることができる。送信時間には、1秒、5秒、10秒など、秒単位の大きさを指定することもできる。一実施形態では、同じ送信信号を複数回送信した後、送信時間を平均化することができる。別の実施形態では、送信信号(または送信信号の各々)は、約50%以下のデューティサイクルで送信することができる。
【0034】
図2A~
図2Cは、センサシステム5で使用できるアンテナアレイ33の例と、アンテナアレイ33の向きを示す方法を示している。アンテナアレイ33の多くの方向は可能であり、センサ5が分析物9を感知する主要な機能を実行できる限り、任意の方向を使用することができる。
【0035】
図2Aにおいて、アンテナアレイ33は、実質的に平面であってもよい基板35上に配置された送信アンテナ11および受信アンテナ13を含む。この例では、アレイ33が実質的にX-Y平面に配置されている。この例では、X軸およびY軸方向のアンテナ11、13の寸法は横方向の寸法とみなすことができ、Z軸方向のアンテナ11、13の寸法は厚み方向の寸法とみなすことができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、その厚さ寸法(Z軸方向)よりも大きい横方向寸法(X軸方向および/またはY軸方向に測定)を少なくとも一つ持っている。言い換えれば、送信アンテナ11と受信アンテナ13は、X軸方向および/またはY軸方向に測定された少なくとも一つの他の横方向の寸法と比較して、それぞれZ軸方向に比較的平坦または比較的薄い厚さである。
【0036】
図2Aの実施形態を使用すると、センサとアレイ33は、ターゲット7に対して相対的に配置され、ターゲット7がアレイ33のZ軸方向の下またはアレイ33のZ軸方向の上にあり、これによりアンテナ11、13の面のいずれかがターゲット7の方向に向くようにすることができる。あるいは、ターゲット7は、X軸方向のアレイ33の左側または右側に配置することができ、これにより、アンテナ11、13の各端の一方がターゲット7の方向に向く。または、ターゲット7をY軸方向のアレイ33の側面に配置して、アンテナ11、13の各側面のいずれかがターゲット7に向くようにすることもできる。
【0037】
センサ5には、アンテナアレイ33に加えて、1つ以上の追加アンテナアレイを設けることもできる。例えば、
図2Aは、実質的に平面であってもよい基板35a上に配置された送信アンテナ11と受信アンテナ13を含むオプションの第2のアンテナアレイ33aも示している。アレイ33と同様に、アレイ33aも実質的にX-Y平面に配置することができ、アレイ33、33aはX軸方向に互いに間隔を置いて配置される。
【0038】
図2Bでは、アンテナアレイ33は実質的にY-Z平面に配置されているように描かれている。この例では、Y軸およびZ軸方向のアンテナ11、13の寸法は横方向の寸法とみなすことができ、X軸方向のアンテナ11、13の寸法は厚み方向の寸法とみなすことができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、(X軸方向の)その厚さ寸法よりも大きい(Y軸方向および/またはZ軸方向で測定された)横方向寸法を少なくとも一つ有する。言い換えれば、送信アンテナ11と受信アンテナ13は、Y軸方向および/またはZ軸方向に測定された少なくとも一つの他の横方向の寸法と比較して、X軸方向にそれぞれ比較的平坦または比較的薄い厚さである。
【0039】
図2Bの実施形態を使用すると、センサとアレイ33は、ターゲット7に対して相対的に配置され、ターゲット7がZ軸方向のアレイ33の下、またはZ軸方向のアレイ33の上にあり、アンテナ11、13の各端の一方がターゲット7の方向に向くようにすることができる。あるいは、X軸方向のアレイ33の前方または後方にターゲット7を配置することもでき、これによりアンテナ11、13の各面の一方がターゲット7の方向に向く。あるいは、ターゲット7をアレイ33のY軸方向のいずれかの辺に配置することで、アンテナ11、13の各辺の一方がターゲット7に向くようにすることもできる。
【0040】
図2Cでは、アンテナアレイ33は実質的にX-Z平面に配置されているように描かれている。この例では、X軸およびZ軸方向のアンテナ11、13の寸法は横方向の寸法とみなすことができ、Y軸方向のアンテナ11、13の寸法は厚み方向の寸法とみなすことができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、(Y軸方向の)その厚さ寸法よりも大きい(X軸方向および/またはZ軸方向に測定された)横方向寸法を少なくとも一つ有する。言い換えれば、送信アンテナ11と受信アンテナ13は、X軸方向および/またはZ軸方向に測定された少なくとも一つの他の横方向の寸法と比較して、Y軸方向にそれぞれ比較的平坦または比較的薄い厚さである。
【0041】
図2Cの実施形態を使用すると、センサとアレイ33は、ターゲット7に対して相対的に配置され、ターゲット7がZ軸方向のアレイ33の下、またはZ軸方向のアレイ33の上にあり、アンテナ11、13の各端の一方がターゲット7の方向に向くようにすることができる。あるいは、X軸方向のアレイ33の左側または右側にターゲット7を配置することもでき、これによりアンテナ11、13の各側の一方がターゲット7の方向に向く。あるいは、Y軸方向のアレイ33の前方または後方にターゲット7を配置することもでき、これによりアンテナ11,13の各面の一方がターゲット7の方向に向く。
【0042】
図2A~
図2Cのアレイ33、33aは、X-Y平面、Y-Z平面、X-Z平面などの平面内に完全に配置する必要はない。代わりに、アレイ33、33aをX-Y平面、Y-Z平面、X-Z平面に対して角度を付けて配置することができる。
【0043】
アンテナ形状の違いを利用したアンテナの分離
【0044】
前述のように、送信アンテナ11と受信アンテナ13を分離する技術の一つは、送信アンテナ11と受信アンテナ13を意図的に異なる形状に構成することである。意図的に異なる形状とは、送信アンテナ11、13の幾何学的な形状が意図的に異なることを指し、例えばアンテナ11、13を製造する際の製造誤差や公差などによって、偶発的または意図せずに発生する可能性のある送信アンテナ11、13の形状の違いとは区別される。
【0045】
アンテナ11、13の異なる形状は、多くの異なる方法でそれ自体を明らかにし、記述することができる。例えば、(
図3A~
図3Cなどの)アンテナ11、13の各々の平面図では、アンテナ11、13の周囲端の形状が互いに異なり得る。異なる形状により、アンテナ11、13は平面図で異なる表面積を持つことがある。形状が異なると、アンテナ11、13の平面図でのアスペクト比が異なり得る(すなわち、異なる寸法におけるそれらのサイズの比率;たとえば、以下でさらに詳細に説明するように、アンテナ11の幅で割った長さの比率は、アンテナ13の幅で割った長さの比率とは異なり得る。)。いくつかの実施形態では、異なる形状により、アンテナ11、13は、平面図における異なる周囲端の形状、平面図における異なる表面積、および/または異なるアスペクト比の任意の組み合わせを持つことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、周囲端の境界内に形成された一つ以上の穴(
図2B参照)、または周囲端に形成された一つ以上のノッチ(
図2B参照)を持つことができる。
【0046】
したがって、ここで使用されるように、アンテナ11、13の幾何学的形状の違いまたは幾何学的形状の違いとは、それぞれのアンテナ11、13を平面図で見たときの、形状、長さ、幅、サイズ、形状、境界(すなわち、周囲端)で閉じた領域などの意図的な違いを指す。
【0047】
アンテナ11、13は、任意の構成を持つことができ、ここに記載されているようにアンテナ11、13の機能を実行することを可能にする任意の適切な材料から形成することができる。一実施形態では、アンテナ11、13は帯状の材料で形成することができる。ストリップ状の材料は、アンテナを平面図で見たときに、ストリップがその厚さ寸法よりも大きい横方向寸法を少なくとも1つ有する構成を含むことができる(つまり、
図3A~
図3Cのようにアンテナを平面図で見た場合の長さや幅など、少なくとも1つの他の横方向の寸法と比較して、ストリップは比較的平坦であるか、比較的薄い厚さである。)。材料のストリップにはワイヤを含めることができる。アンテナ11、13は、金属および導電性非金属材料を含む任意の適切な導電性材料から形成することができる。使用可能な金属の例としては、銅や金が挙げられるが、これに限定されない。使用可能な材料のもう1つの例は、非金属材料に金属材料をドープして非金属材料を導電性にする非金属材料である。
【0048】
図2A~
図2Cでは、アレイ33、33aの各アレイ内のアンテナ11、13は、互いに異なる形状をしている。さらに、
図3A~
図3Cは、互いに異なる形状を持つアンテナ11、13の追加例の平面図を示している。
図2A~
図2Cおよび
図3A~
図3Cの例は網羅的ではなく、さまざまな構成が可能である。
【0049】
図3Aは、形状の異なる2つのアンテナを持つアンテナアレイの平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれ横方向の長さL
11、L
13、横方向の幅W
11、W
13、および周囲端E
11、E
13を持つ実質的に直線的なストリップとして示されている。周囲端E
11、E
13は、アンテナ11、13の全周囲に広がっており、平面図で領域を限定している。この例では、横方向の長さL
11、L
13および/または横方向の幅W
11、W
13は、
図3Aを表示しているときにページに/から伸びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きくなっている。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端の形状が互いに異なるという点で、互いに幾何学的に異なる。例えば、
図3Aを見ると、アンテナ11の右端42は、アンテナ13の右端44とは異なる形状をしている。同様に、アンテナ11の左端46は、右端42と同様の形状を有していてもよいが、右端44と同様の形状を有していてもよいアンテナ13の左端48とは異なる。また、アンテナ11、13の横方向の長さL
11、L
13および/または横方向の幅W
11、W
13が互いに異なる可能性もある。
【0050】
図3Bは、
図3Aに少し似た、異なる形状の2つのアンテナを持つアンテナアレイの別の平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれ横方向の長さL
11、L
13、横方向の幅W
11、W
13、および周囲端E
11、E
13を持つ実質的に直線的なストリップとして示されている。周囲端E
11、E
13は、アンテナ11、13の全周囲に広がっており、平面図で領域を限定している。この例では、横方向の長さL
11、L
13および/または横方向の幅W
11、W
13は、
図3Bを表示しているときにページに/から伸びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きくなっている。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端の形状が互いに異なるという点で、互いに幾何学的に異なる。例えば、
図3Bを見ると、アンテナ11の右端42は、アンテナ13の右端44とは異なる形状をしている。同様に、アンテナ11の左端46は、右端42と同様の形状を有していてもよいが、右端44と同様の形状を有していてもよいアンテナ13の左端48とは異なる。また、アンテナ11、13の横方向の幅W
11、W
13が異なる。また、アンテナ11、13の横方向の長さL
11、L
13が異なる可能性もある。
【0051】
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bにやや似た、異なる形状の2つのアンテナを持つアンテナアレイの別の平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれ横方向の長さL
11、L
13、横方向の幅W
11、W
13、および周囲端E
11、E
13を持つ実質的に直線的なストリップとして示されている。周囲端E
11、E
13は、アンテナ11、13の全周囲に広がっており、平面図で領域を限定している。この例では、横方向の長さL
11、L
13および/または横方向の幅W
11、W
13は、
図3Cを表示しているときにページに/から延びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きい。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端の形状が互いに異なるという点で、互いに幾何学的に異なる。例えば、
図3Cを見ると、アンテナ11の右端42は、アンテナ13の右端44とは異なる形状をしている。同様に、アンテナ11の左端46は、右端42と同様の形状を有していてもよいが、右端44と同様の形状を有していてもよいアンテナ13の左端48とは異なる。また、アンテナ11、13の横方向の幅W
11、W
13が異なる。また、アンテナ11、13の横方向の長さL
11、L
13が異なる可能性もある。
【0052】
図4A~
図4Dは、送信アンテナ11と受信アンテナ13の端部が幾何学的な違いを実現する必要がある、異なる形状の追加例の平面図である。アンテナ11、13の一方または両方の端部は、
図4A~
図4Dの形状を有し、
図3A~
図3Cの実施形態を含み得る。
図4Aは、一般的に長方形として端を示している。
図4Bは、一方の角が丸みを帯びている一方で、もう一方の角は直角のままであるように端を描いている。
図4Cは、端全体が丸みを帯びているか、外側に凸であることを示している。
図4Dは、端が内側に凹んでいることを示している。他にも多くの形状が可能である。
【0053】
図5は、実質的に直線状のストリップとして示された6つのアンテナを持つアンテナアレイの別の平面図を示している。この例では、アンテナの端の形状、アンテナの横方向の長さおよび/または横方向の幅が互いに異なるという点で、アンテナは互いに幾何学的に異なる。
【0054】
アンテナの分離を実現するもう1つの技術は、送信アンテナによって送信された信号の大部分またはすべてをターゲットに強制するのに十分な間隔で各アンテナ間に適切な間隔を使用し、それによって送信アンテナから直接受信アンテナによる電磁エネルギの直接受信を最小限に抑えることである。適切な間隔を単独で使用して、アンテナのデカップリングを実現できる。別の実施形態では、デカップリングを実現するために、アンテナの形状の違いと共に適切な間隔を使用することができる。
【0055】
図2Aを参照すると、示された位置の送信アンテナ11と受信アンテナ13の間に間隔Dがある。アンテナ11、13間の間隔Dは、各アンテナ11、13の(X軸方向などの)全長にわたって一定である場合もあれば、アンテナ11、13間の間隔Dが異なる場合もある。間隔Dが、送信アンテナ11によって送信された信号の大部分またはすべてをターゲットに到達させ、受信アンテナ13による送信アンテナ11から直接の電磁エネルギの直接受信を最小限に抑えるのに十分である限り、任意の間隔Dを使用して、アンテナ11、13を互いに分離することができる。
【0056】
さらに、送信アンテナ11と受信アンテナ13の間には、最大間隔と最小間隔があることが望ましい。最大間隔は、ハウジング29の最大サイズによって決定することができる。一実施形態では、最大間隔は約50mmとすることができる。一実施形態では、最小間隔は約1.0mmから約5.0mmとすることができる。
【0057】
図6は、非侵襲分析物センサシステムの別の実施形態の一部を形成する非侵襲分析物センサ50の別の例を概略的に示している。非侵襲分析物センサ50は、選択された電磁周波数における光波の形で電磁エネルギを使用して、ここで説明する非侵襲分析物センシングを実行する。センサ50は、ハウジング52と、それぞれが光の形で電磁エネルギを放出することができる複数の送信素子54を含むセンサアレイを含む。この例では、送信素子54は、光検出器となり得る受信素子56を囲むアレイに配置される。図の例では、受信素子56の周囲に円形アレイで配置された素子54の合計12を持つアレイとして描画されている。ただし、アレイ内の素子54の数はより多くても少なくてもよい。さらに、アレイは円形アレイ以外の配置を有してもよい。発光と光検出の両方の機能を持つLEDに関して、以下に詳述するように、素子54のいずれかが受信素子として機能するように制御されている場合、個別の受信素子56は必要ない。
【0058】
図7は、
図6と同様の別の実施形態を示している。
図7では、各素子54は、素子54のいずれか一つ以上が光を発することができ(、したがって送信素子として機能し得)、素子54のいずれか一つ以上が光検出器として機能することができ(、したがって受信素子として機能し得)るように、制御される。
図7では、素子54は送信素子または受信素子として機能できるため、
図6のように個別の受信素子56を使用する必要はない。ただし、必要に応じて個別の受信素子56を含めることができる。図の例では、アレイは3x4または4x3のアレイに配置された素子54の合計12を持つものとして示されている。ただし、アレイ内の素子54の数はより多くても少なくてもよい。さらに、アレイは、円形アレイに配置されている素子54を含む他の配置を持つことができる。
【0059】
一実施形態では、
図6および
図7の素子54は発光ダイオード(LED)であってもよく、LEDを含むアレイはLEDアレイと呼ぶことができる。発光(すなわち光エミッタ)や検出(すなわち光検出器)を選択的に制御できるLEDが知られている。Stojanovicらによる「発光ダイオードに基づく光センシングアプローチ, ジャーナルオブフィジックス:コンファレンスシリーズ 76 (2007)(An optical sensing approach based on light emitting diodes, Journal of Physics: Conference Series 76 (2007))、並びに、Rossiterらによる「光エミッタモードと光検出器モードの両方で動作するLEDのマトリックスを使用した新しい触覚センサ、第4回IEEEセンサ国際コンファレンス(IEEEセンサ2005)講演集(A novel tactile sensor using a matrix of LEDs operating in both photoemitter and photodetector modes, Proc of 4th IEEE International Conference on Sensors (IEEE Sensors 2005)」)を参照されたい。米国特許第4202000号も参照されたい。この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
図8を参照すると、
図6および
図7の実施形態では、一部またはすべての素子54をハウジング52の表面58と面一にして、各送信素子54によって放射された光がセンサ50から送信され、受信素子56(または受信素子として機能する素子54の一つ)が戻り光を検出するようにしてもよい。別の実施形態では、送信素子54の一部または全部をハウジング52内に埋め込むことができるが、各送信素子54からの光は適切に外部に送られ、戻り光は適切に受信素子54に送られる。さらに別の実施形態では、送信素子54の一部または全部がハウジング52の表面58から(部分的または完全に)突出してもよい。
【0061】
図6および
図7において、素子54がLEDである場合、LEDのいずれか一つ以上が発光するようにLEDを制御することができる。さらに、
図6の受信素子56は光検出器として機能するか、または
図6および
図7のLEDのいずれか1つ以上を光検出器として機能するように制御することができる。使用されるLEDは、少なくとも2つの異なる波長の光を放射できることが望ましい。別の実施形態では、少なくとも3つ以上の異なる波長の光を放射することができる。1つの実施形態では、各LEDは異なる波長の光を発することができる。1つの実施形態では、2つ以上のLEDが同じ波長の光を発することができる。LEDは、青色光、赤色光、緑色光、白色光、橙色光、黄色光、その他の色として可視的に知覚される波長を含むがこれに限定されない、人間の可視スペクトル(例えば、約380nmから約760nm)に含まれる波長を放射することができ、赤外線波長を含むがこれに限定されない、人間の可視スペクトルに含まれない波長を放射することができる。可視スペクトルと非可視スペクトルの波長の組み合わせを使用することもできる。センサ50から放射される光波は、
図1~
図5のセンサ5から放射されるRF波と同様に、いずれも電磁波であるため機能する。例えば、
図8を参照すると、素子54によって放出された光波60はターゲットに侵入し、ターゲット内の分析物から反射して戻ってくる光波62を形成し、これは例えば受信素子56(または受信素子として機能するLED)によって検出される。
【0062】
ここで
図9を参照して、ターゲット内の少なくとも一つの分析物を検出する方法70の一実施形態を示す。
図9の方法は、センサ5およびセンサ50を含む、本明細書に記載のセンサデバイスのいずれかの実施形態を用いて実行することができる。分析物を検出するために、センサ5、50はターゲットに比較的近接して配置される。比較的近接しているということは、センサ5、50がターゲットに近接しているが、ターゲットと直接物理的に接触していないことを意味するが、或いは、センサ5、50はターゲットと直接、密接に物理的に接触させてもよい。センサ5、50とターゲットの間隔は、送信される信号の電力など、多くの要因に依存し得る。センサ5、50がターゲットに対して適切に配置されていると仮定すると、ボックス72で、たとえば送信回路15によって送信信号が生成される。次に、送信信号は送信素子(11または54)に提供され、ボックス74で、送信信号をターゲットに向けて送信する。ボックス76では、分析物に接触する送信信号から生じる応答が受信素子(13、54、または56)によって検出される。受信回路は、受信素子から検出された応答を取得し、検出された応答をコントローラに提供する。ボックス78では、検出された応答を分析して、少なくとも1つの分析物を検出できる。分析は、コントローラ19で、及び/又は、外部デバイス25で、及び/又は、リモートサーバ27で、実行できる。
【0063】
図10を参照すると、方法70のボックス78の分析はいくつかの形式をとることができる。一実施形態では、ボックス80において、分析は単に分析物の存在、すなわちターゲット内に存在する分析物を検出することができる。あるいは、ボックス82では、分析によって存在する分析物の量を決定できる。
【0064】
例えば、センサがセンサ5で、信号が無線周波数範囲にある場合、送信された信号と分析物の間の相互作用は、場合によっては、受信アンテナによって検出される信号の強度を増加させ、場合によっては、受信アンテナによって検出される信号の強度を減少させる可能性がある。例えば、ある非限定的な実施形態では、検出された応答を分析するとき、検出されている対象の分析物を含むターゲット内の化合物は、送信信号の周波数に基づいて変化する吸収で、送信信号の一部を吸収することができる。受信アンテナによって検出される応答信号には、分析物などのターゲット内の化合物が送信信号を吸収する周波数での強度の低下が含まれ得る。吸収の周波数は異なる分析物に特有である。受信アンテナによって検出された応答信号は、対象分析物に関連する周波数で分析され、対象分析物による吸収に対応する周波数でそのような信号強度の低下が観測されるかどうかに基づいて、分析物による吸収に対応する信号強度の低下に基づいて分析物を検出することができる。分析物によって引き起こされる信号の強度の増加に関しても同様の手法を用いることができる。
【0065】
分析物の存在の検出は、例えば、分析物に関連する既知の周波数で受信アンテナによって検出された信号強度の変化を識別することによって達成することができる。その変化は、送信信号が分析物とどのように相互作用するかに応じて、信号強度の減少または信号強度の増加である。分析物に関連する既知の周波数は、例えば、分析物を含むことが知られている溶液のテストによって確立することができる。分析物の量の決定は、例えば、入力変数が信号の変化の大きさであり、出力変数が分析物の量である関数を使用して、既知の周波数における信号の変化の大きさを特定することによって達成することができる。分析物の量の決定は、例えばターゲットの既知の質量または体積に基づいて、濃度を決定するためにさらに使用することができる。一実施形態では、分析物の存在と分析物の量の決定の両方を決定することができ、例えば、最初に検出された信号の変化を特定して分析物の存在を検出し、次に、検出された信号を処理して変化の大きさを特定して量を決定する。
【0066】
図1~
図8のセンサ5、50のいずれかの動作で、1つ以上の周波数スイープまたはスキャンルーチンを実装できる。周波数スイープは、周波数の範囲にわたって多数の離散周波数(r周波数ターゲット)で実装できる。無線/マイクロ波周波数範囲の周波数を使用する非侵襲分析物センサにおける周波数スイープの例はWO2019/217461に記載されており、その全内容は参照によりここに組み込まれている。センサ50の場合、センサ50を用いて、LEDの異なる波長に基づく電磁周波数の範囲にわたって、可視波長範囲内の多数の離散的な電磁周波数で周波数スイープを実行することができる。応答スペクトルは、受信素子56または光検出器として機能する素子54によって検出され、応答スペクトルは特定の分析物および分析物濃度と相関している。
【0067】
周波数スイープの例を、周波数を時間に対してプロットした
図11に示す。スイープは、開始周波数から終了周波数までの周波数範囲で発生する。一実施形態では、無線周波数センサ5の場合、開始周波数は約10kHz、終了周波数は約100GHzとすることができる。ただし、周波数スイープの開始周波数は約100GHz、終了周波数は約10kHzにすることができる。センサ50の場合、開始周波数は約400THz(すなわち約380nm)、終了周波数は約790THz(すなわち約760nm)とすることができる。ただし、周波数スイープの開始周波数は約790THz、終了周波数は約400THzにすることができる。
【0068】
周波数範囲内の選択されたターゲット周波数で、送信素子は関連するターゲット周波数で少なくとも1つの送信信号を放射する。スイープには、複数の周波数ステップ1、2・・・nが含まれ、それぞれが1つのターゲット周波数から次のターゲット周波数への周波数の増分変化(増加または減少)を定義する。周波数スイープの周波数ステップは、互いに同じにすることも、一部の周波数ステップが互いに異なることもできる。例えば、一実施形態では、各周波数ステップは、1Hzまたは1kHzまたは1THz、5Hzまたは5kHzまたは5THz、10Hzまたは10kHzまたは10THzなどとすることができ、特定のターゲット周波数で信号を放出するという終了時に、コントローラは、次のターゲット周波数で1つ以上の信号を送信するために、周波数ステップによって周波数を増減させることによって、次のターゲット周波数へのステップ変更を開始する。
【0069】
各周波数ステップには、関連する動作時間がある。動作時間とは、あるターゲット周波数で動作が完了してから次のターゲット周波数(すなわち、あるターゲット周波数のプロセッサクロックの終わりから次のターゲット周波数のプロセッサクロックの終わりまで)で動作が完了するまで、またはあるターゲット周波数で動作を開始してから次のターゲット周波数で動作を開始するまでの合計時間(プロセッサクロック時間)のことである。各動作時間は、複数のサブ動作100と、動作時間のブロックを構成する内部の動作遅延である関連サブ動作時間で構成される。サブ動作100には、あるターゲット周波数から次のターゲット周波数に遷移し、次のターゲット周波数で信号を生成して送信するときに発生するすべての動作遅延が含まれる。例えば、サブ動作時間遅延の例には、以下のものを含め得るが、これらに限定されない。つまり、メモリチップにデータを書き込む時間;メモリ若しくはプロセッサからデータ/命令を読み取る時間;完了したターゲット周波数から次のターゲット周波数へのステップ時間;次のターゲット周波数で送信する信号を生成する時間;信号発生器から送信素子へ信号を送信する時間;次のターゲット周波数で送信素子によって1つ以上の信号を送信する時間;などである。運転時間の各ブロックにおけるサブ運転時間遅延の数と時間は異なり得る。
【0070】
一実施形態では、周波数スイープは、スイープ全体にわたる動作時間のすべてのブロックが互いに同じになるように、コントローラによって制御することができる。例えば、ある実施形態では、全周波数スイープにわたる動作時間の各ブロックは30μsとすることができる。別の実施形態では、周波数スイープ全体にわたる動作時間のブロックの少なくとも一部が互いに異なるように周波数スイープを制御することができる。例えば、ある実施形態では、動作時間の一つ以上を30μs、一つ以上を25μs、一つ以上を35μs、一つ以上を100msとすることができ、周波数スイープを制御する場合、制御装置は、所望の動作時間を達成するために、一つ以上の動作時間に遅延を導入することができる。例えば、特定のターゲット周波数でのサブ動作100の一つでは、その特定のターゲット周波数での信号は、単一の時間を送信する代わりに複数回送信することができる。別の実施形態では、コントローラは、一つ以上のサブ動作100を加速または除去することができ、それによって一つ以上の動作時間を加速することができる。例えば、特定のターゲット周波数でのサブ動作100の一つでは、その特定のターゲット周波数の信号を複数回送信する代わりに、一回だけ送信することができる。目的の動作時間を達成するための任意の技術を実装することができる。
【0071】
ただし、1つの実施形態において、複数の周波数スイープを実施する場合、各周波数スイープにおける各ターゲット周波数における周波数ステップの動作時間のブロックが互いに一致することが好ましい。たとえば、第1および第2の周波数スイープを想定すると、周波数スイープを制御して次のことを実現できる。
【表1】
【0072】
表1に示すように、2つの周波数スイープ内の動作時間の一部は、互いに異なるものとして示されている。ただし、各周波数スイープの同じステップが同じ動作時間を持つように周波数スイープを制御することが望ましい場合がある。例えば、ターゲット周波数F1における周波数スイープ1と周波数スイープ2の各々のステップ1の動作時間は同じである;ターゲット周波数F2における周波数スイープ1と周波数スイープ2の各々のステップ2の動作時間は同じである、などである。この記述の制御は、2つの周波数スイープが可能な限り同一に近い状態で実行され、各周波数スイープからの結果の戻り信号が可能な限り同一に近い条件で得られるようにするのに役立ち、これは、周波数スイープからの結果の戻り信号を比較および分析するときに、2つの周波数スイープ間のアップルツーアップルの比較を実行できるようにするのに役立つ。表1は2つの周波数スイープを示しているが、より多くの周波数スイープを行うことができ、各周波数スイープは周波数スイープ1と2に関して記述されている方法で制御することができる。
【0073】
各周波数スイープが同じ周波数範囲を含む必要はない。例えば、1つの周波数スイープは、開始周波数Fs1と終了周波数Fe2を持つことができ、2つの周波数スイープは、開始周波数Fs3と終了周波数Fe4を持つことができる。Fs1はFs3以下またはそれ以上で、Fe2はFe4以下またはそれ以上である。ただし、周波数スイープは、少なくともいくつかの重複する周波数範囲を互いに持つ必要があり、重複する範囲では、各周波数スイープの重複する範囲の周波数ステップが同じになり、重複する範囲の周波数ステップの動作時間が互いに同じになるように、上記および表1のように周波数スイープを制御する必要がある(すなわち、上記の表1に示されているように、重複する範囲において、第1周波数スイープの第1周波数ステップの動作時間は、第2周波数スイープの第2周波数ステップの対応する動作時間と同一である)。しかし、上記で説明したように、ある実施形態では、重複する範囲において、第1の周波数範囲の少なくとも一部の第1の周波数ステップの動作時間が互いに等しくない場合があり、第2の周波数範囲の少なくとも一部の第2の周波数ステップの動作時間が互いに等しくない場合がある。別の実施形態では、各周波数スイープの重複範囲または全範囲において、一方の周波数スイープの周波数ステップの動作時間は互いに等しくてもよく、他方の周波数スイープの周波数ステップの動作時間は互いに等しくてもよい。
【0074】
ここで説明する周波数スイープは、全体的に比較的短い時間枠で連続して発生する可能性がある。別の実施形態では、ここで説明する周波数スイープは連続して発生するのではなく、比較的長い時間にわたって互いに間隔を置いて発生する。たとえば、ある日に1つの周波数スイープを実行し、別の日に別の周波数スイープを実行できる。
【0075】
別の実施形態では、複数の周波数スイープを実施する代わりに、単一の周波数スイープを実施することができる。単一周波数スイープでは、動作時間のブロックが互いに同じであったり、動作時間のブロックの一部が互いに異なったり、し得る。
【0076】
別の実施形態では、非侵襲センサは、センサ5、50の両方の側面を含むことができる。たとえば、センサは、ここに記載されている2つ以上のアンテナと、ここに記載されている2つ以上のLEDの両方を含むことができる。アンテナとLEDを一緒に使用して分析物を検出できる。別の実施形態では、アンテナを使用して一次検出を実行する一方で、LEDはアンテナによる一次検出を確認することができる。別の実施形態では、LEDを使用して一次検出を実行し、アンテナを使用してLEDによる一次検出を確認することができる。別の実施形態では、アンテナ(またはLED)を使用してセンサを較正しながら、LED(またはアンテナ)でセンシングを行うことができる。
【0077】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を記述することを意図しており、限定することを意図していない。特に明示されていない限り、「a」「an」「the」という用語には複数形も含まれる。「構成する」および/または「構成する」という用語は、本明細書で用いる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在または追加を妨げるものではない。
【0078】
本出願において開示された例は、すべての点において例示的なものとみなされ、限定的なものではない。発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。また、クレームの意味及び同等性の範囲内にあるすべての変更は、そこに包含されることを意図している。
【国際調査報告】