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特表2024-508664エネルギおよび水の使用量の削減を支援する方法およびシステムならびに装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】エネルギおよび水の使用量の削減を支援する方法およびシステムならびに装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/08 20060101AFI20240220BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/254 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/136 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 4/04 20060101ALI20240220BHJP
   F24D 3/18 20060101ALI20240220BHJP
   F24H 1/48 20220101ALI20240220BHJP
   F24D 11/02 20060101ALI20240220BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20240220BHJP
   F24D 17/02 20060101ALI20240220BHJP
   F24H 7/02 20220101ALI20240220BHJP
   F24H 15/152 20220101ALI20240220BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20240220BHJP
   F28D 20/02 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
F24D3/08 K
F24H15/265
F24H15/375
F24H15/414
F24H15/254
F24H15/136
F24H4/04
F24D3/18
F24H1/48
F24D11/02 A
F24D17/00 B
F24D17/02
F24H7/02 601Z
F24H15/152
F25B30/02 H
F28D20/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547557
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 IB2022051078
(87)【国際公開番号】W WO2022168046
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111080.4
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】コノヴァルチク ピーター
【テーマコード(参考)】
3L070
3L071
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070AA06
3L070BB14
3L070DE09
3L070DF02
3L071CC02
3L071CD01
3L071CE03
3L071CF02
3L071CH01
3L071CJ01
3L071CJ03
3L073AA07
3L073AB12
3L122AA03
3L122AA23
3L122AA53
3L122AA62
3L122AA65
3L122AA71
3L122AA73
3L122AC11
3L122AC33
3L122BA04
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA33
3L122BA34
3L122BA42
3L122BA43
3L122CA13
3L122DA21
(57)【要約】
潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備えた加熱設備であって、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された温水供給システムと、設備を制御するプロセッサとを備えた加熱設備を提供する。プロセッサは、ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する潜熱エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御し、ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定するように構成されている。差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、プロセッサは、当該差し迫ったデフロストサイクル中のヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または設備の加熱流体を循環させること、のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギが蓄積されるよう、設備の動作を制御するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備え、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された加熱設備を制御する方法であって、
前記ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する前記潜熱エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御することと、
さらに、
前記設備のプロセッサを使用して、前記ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定することと、
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、該差し迫ったデフロストサイクル中の前記ヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、前記プロセッサの制御のもとに、
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させること、
のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギを蓄積することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記デフロストサイクルを実行する際に前記潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱することは、前記媒体の相転移温度の温度を少なくとも5℃上回る温度まで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記加熱設備が、前記建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させることは、前記サーモスタットによって設定された前記温度最大値よりも高いレベルまで前記1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることを含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記デフロストサイクルの見込みを推定することは、前記プロセッサにより、1つもしくは複数のセンサからの、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理することを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記デフロストサイクルの見込みを推定することは、前記設備のプロセッサとは異なるヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理することを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、前記付加的なエネルギを蓄積することは、前記建物に居住者がいることを前記設備のプロセッサが判別した場合にのみ行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサにより、前記建物内の1つもしくは複数の動きセンサを監視することをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記建物は、前記設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含み、
前記方法は、前記セキュリティ監視システムの状態が前記建物に居住者がいないことを示していない場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積することをさらに含む、
請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記加熱設備は、前記潜熱エネルギ蓄積媒体内にヒータを備え、該ヒータを用いて蓄熱媒体のより高いレベルまでの加熱が実行される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備えた加熱設備であって、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された温水供給システムと、前記設備を制御する1つもしくは複数のプロセッサとを備え、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、
前記ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する前記潜熱エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御し、
前記ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定し、
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、該差し迫ったデフロストサイクル中の前記ヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させること、
のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギが蓄積されるよう、前記設備の動作を制御する
ように構成されている、加熱設備。
【請求項12】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記デフロストサイクルを実行する際に前記ヒートポンプに前記潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用させるように構成されている、請求項11記載の加熱設備。
【請求項13】
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱する際に、前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記媒体の相転移温度の温度を少なくとも5℃上回る温度まで前記潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱させるように構成されている、請求項11または12記載の加熱設備。
【請求項14】
前記加熱設備が、前記建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記サーモスタットによって設定された前記温度最大値よりも高いレベルまで前記1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることにより、所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱させるかつ/または前記加熱設備の加熱流体を循環させるように構成されている、
請求項11から13までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項15】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、1つもしくは複数のセンサからの、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理することによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成されている、請求項11から14までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項16】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記設備の1つもしくは複数のプロセッサとは異なるヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理することによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成されている、請求項11から15までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項17】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記建物に居住者がいることを前記設備の1つもしくは複数のプロセッサが判別した場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積させるように構成されている、請求項11から16までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項18】
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記建物内の1つもしくは複数の動きセンサに接続されている、請求項17記載の加熱設備。
【請求項19】
前記建物は、前記設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含む、請求項17または18記載の加熱設備。
【請求項20】
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記セキュリティ監視システムの状態が前記建物に居住者がいないことを示している場合、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときに付加的なエネルギを蓄積させないように構成されている、請求項19記載の加熱設備。
【請求項21】
前記潜熱エネルギ蓄積媒体は、前記エネルギ蓄積部内に相変化材料塊を含み、前記エネルギ蓄積部は、前記温水システムと前記ヒートポンプとの間に結合された熱交換器を含む、請求項11から20までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項22】
前記1つもしくは複数のプロセッサのうちの1つは、前記温水供給システムの出口の開放に基づいて前記ヒートポンプに信号を供給するように構成されている、請求項21記載の加熱設備。
【請求項23】
前記相変化材料塊は、前記温水供給システムの出口の開放から少なくとも前記ヒートポンプが前記温水供給システムにおいて水の加熱を開始するまでの間に、所定量の水を所定の温度へ加熱するのに十分な潜熱容量を有する、請求項22記載の加熱設備。
【請求項24】
前記加熱設備は、蓄熱媒体内にヒータを備え、
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記潜熱エネルギ蓄積媒体をより高いレベルまで加熱するために前記ヒータを作動させるように構成されている、
請求項11から23までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項25】
前記設備の前記1つもしくは複数のプロセッサには、温水および/または暖房の需要がデフロストサイクル中の付加的なエネルギ蓄積を必要としない可能性が高い時間窓の識別を可能にするロジックが設けられており、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記時間窓中に差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときには付加的なエネルギを蓄積させないように構成されている、
請求項11から24までのいずれか1項記載の加熱設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、それぞれ、ヒートポンプに結合された相変化材料ベースのエネルギ蓄積装置を含む建物内温水供給システムを含む設備のための方法、システムおよび装置に関する。
【0002】
背景-一般
指令2012/27/EUによれば、建物は、エネルギの最終消費の40%を占め、EUのCO2排出量の36%を占める。2016年のEU委員会報告“Mapping and analyses of the current and future (2020-2030) heating/cooling fuel deployment (fossil/renewables)”によれば、EUの各世帯では、暖房および温水のみで総エネルギ最終使用量の79%(192.5Mtoe)を占めていることが結論されている。EU委員会はまた、「2019年のユーロスタットの数値によると、冷暖房の約75%はいまなお化石燃料に由来するものであり、一方、再生可能エネルギに由来するものは22%にすぎない」とも報告している。EUの気候およびエネルギの目標を達成するには、冷暖房分野においてエネルギ消費を大幅に低下させ、化石燃料の使用を削減しなければならない。ヒートポンプ(大気中、地中または水中から引き出されるエネルギによる)は、こうした問題に対処する際の潜在的に重要な寄与因子であるとされてきた。
【0003】
多くの国においてカーボンフットプリントを低減するための政策および圧力が存在している。例えば英国では、2020年に、英国政府が、2025年までに新設住宅からの炭素排出量を既存のレベルと比較して75~80%削減することを提案する将来住宅標準に関する白書を公開した。また、2019年初めには、2025年以降の新設住宅へのガスボイラの建付け禁止が発表された。英国では、本願の出願時点で、建物の加熱に使用される総エネルギの78%がガス由来であるのに対し、12%が電気由来であることが報告されている。
【0004】
英国では、2~3個以下の小さめの居室にガス燃焼式セントラルヒーティングを備えた建物が多数存在しており、これらの建物の大部分は、瞬間湯沸器として機能するボイラとセントラルヒーティング用のボイラとのコンビネーションボイラとして知られているものを使用している。コンビネーションボイラは、程度の差こそあれ瞬間的な「無制限の」温水源を提供する(20~35kWの出力を有する)小型のフォームファクタを組み合わせたものであり、温水蓄積部を必要としないため、広く普及している。このようなボイラは、評判の良い製造者から比較的安価に購入することができる。小型のフォームファクタで温水蓄積タンクなしに可能となる能力とは、一般的にこのようなボイラが多くの場合キッチンに壁掛けされることで小規模な集合住宅または住宅にも収容可能であり、新規のボイラを延べ1人の1日作業で設置できることを意味する。これにより、新規のコンビネーションガスボイラを安価にて設置することができる。新規のガスボイラの禁止が迫っているため、ガスコンビネーションボイラに代わる熱源の提供が必要である。さらに、以前に取り付けられたコンビネーションボイラも、最終的には何らかの代替手段に置き換えられなければならない。
【0005】
ヒートポンプは、化石燃料への依存を低減し、CO2排出量を削減する必要に対する潜在的なソリューションとして提案されてきたが、現在のところ、小規模の家庭用家屋(および小規模商業施設建屋)のガス燃焼式ボイラを置換することの問題、または多くの技術的、商業的および実際的な理由については適していない。こうしたヒートポンプは典型的にはきわめて大型であり、建物の外側に相当のユニットを必要とする。このため、典型的なコンビネーションボイラを備えた建物にヒートポンプを後付けすることは容易でない。典型的なガスボイラと同等の出力を提供できるユニットは現在のところ高価であり、大きな電力需要を要求しうる。ユニット自体に同等のガス燃焼設備の数倍のコストがかかるだけでなく、そのサイズおよび複雑性も、設置が技術的に複雑となること、ひいては高価となることを意味する。温水蓄積タンクも必要であり、このことも、小規模な家庭住居におけるヒートポンプの使用を妨げる別の因子である。さらなる技術的な問題は、ヒートポンプが需要に応答して熱を発生させ始めるまでに著しく長い時間を要する傾向があることであり、場合によってはセルフチェックのための約30秒に続いて加熱に幾らかの時間を要し、したがって温水を求めてからその供給までに1分以上の遅延が生じる。こうした理由から、ヒートポンプおよび/またはソーラーを使用して試みられる再生可能ソリューションは、典型的には(必要スペース、熱損失およびレジオネラのリスクを有する)温水蓄積タンク用の空間を有する大型の建物に適用されうるものとなっている。
【0006】
したがって、特に小さめの家庭住居用のガスコンビネーションボイラを置換する適切な技術を見出すという課題に対するソリューションを提供することへの需要が存在する。本開示は、この課題に対するソリューションを提案し、ヒートポンプによって加熱される設備の使用中に発生しうる問題にも対処する。
【0007】
概要
第1の態様によれば、潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備え、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された加熱設備を制御する方法であって、ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する潜熱エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御することと、さらに、設備のプロセッサを使用して、ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定することと、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、当該差し迫ったデフロストサイクル中のヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、プロセッサの制御のもとに、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または設備の加熱流体を循環させること、のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギを蓄積することとを含む、方法が提供される。このようにして、建物の居住者は、ヒートポンプのデフロストサイクル中、電動式もしくはガス燃焼式瞬間湯沸器に頼る必要なく、温水蓄積タンクを設ける必要のないヒートポンプの動力を受ける温水システムからの温水を使用し続けることができ、またヒートポンプの動力を受ける暖房の利益を享受することができる。
【0008】
任意選択手段として、方法はさらに、デフロストサイクルを実行する際に潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用することを含む。例えば、潜熱エネルギ蓄積部からのエネルギにより、ヒータ、例えばヒートポンプに組み込まれた電気ヒータを補助することができる。
【0009】
任意選択手段として、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱することは、当該媒体の相転移温度の温度を少なくとも5℃上回る温度まで、例えば相転移温度を5℃~15℃の範囲上回る温度まで、任意選択手段として相転移温度を8℃~12℃の範囲上回る温度まで、例えば相転移温度を少なくとも10℃上回る温度まで、潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱することを含みうる。このようにすれば、PCMに潜熱として蓄積されるエネルギに加えて、有用な余剰エネルギが顕熱の形態で蓄積される。
【0010】
任意選択手段として、加熱設備が、建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または設備の加熱流体を循環させることは、サーモスタットによって設定された温度最大値よりも高いレベルまで1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることを含むことができる。このようにすれば、サーモスタットの設定によって決定された通常の「設定」レベルを上回る温度まで空間温度を上昇させることによって、建物のファブリック内および/または暖房システムの循環流体内に大きな余剰エネルギを蓄積することができる。
【0011】
任意選択手段として、デフロストサイクルの見込みを推定することは、プロセッサにより、1つもしくは複数のセンサからの、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理することを含む。システムプロセッサは固有の専用の外部センサを有することができるので、ヒートポンプに関連付けられたこのような任意のセンサに頼る必要はない。
【0012】
任意選択手段として、デフロストサイクルの見込みを推定することは、設備のプロセッサとは異なる(設備のプロセッサに対して付加的な)ヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理することを含むことができる。ヒートポンプは、通常、エバポレータの温度を表す信号を提供する固有の専用の温度センサを有し、ヒートポンププロセッサは、当該信号または当該信号に関連する状態情報をシステムプロセッサと共有するように構成可能である。
【0013】
任意選択手段として、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積することは、建物に居住者がいることを設備のプロセッサが判別した場合にのみ行われる。建物に居住者がいる場合にのみ余剰エネルギを蓄積することにより、エネルギを節約することができる。
【0014】
任意選択手段として、方法はさらに、設備のプロセッサにより、建物内の1つもしくは複数の動きセンサを監視することを含む。例えばヒートポンプのデフロストサイクルの前に余剰エネルギを蓄積することが有意であるかどうかを判別する際に使用される居住状態情報をシステムプロセッサに供給するために、専用のまたは共有の動きセンサを建物内に配置することができる。
【0015】
任意選択手段として、建物は、設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含むことができ、方法はさらに、セキュリティ監視システムの状態が建物に居住者がいないことを示していない場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積することを含む。こうしたセキュリティ監視システムは、スタンドアロン型であってもスマートビルディングシステムの一部であってもよい。いずれの場合も、監視システムは、居住状態データを提供してこのデータを加熱システムコントローラと共有することができ(実際には同一のコントローラがスマートビルディングシステム/セキュリティシステムおよび温水暖房システムの双方を制御することができる)、これにより、居住状態データを使用して、暖房温水(もしくは暖房換気温水)システムの決定を通知することができる。例えば、セキュリティ監視システムが家屋に居住者がいないことを示す「アームドアウェイ」モードにある場合、設備のプロセッサは、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときにも付加的なエネルギを蓄積させないように構成可能である。
【0016】
任意選択手段として、加熱設備は、潜熱エネルギ蓄積媒体内にヒータを備えていてよく、当該ヒータを用いて蓄熱媒体のより高いレベルまでの加熱が実行される。このようにすれば、エネルギ蓄積媒体は、例えば1つもしくは複数のプロセッサの制御のもとに、例えば電気が安価であるかまたは無料である場合に、加熱可能となる。
【0017】
第2の態様によれば、潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備えた加熱設備であって、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された温水供給システムと、設備を制御する1つもしくは複数のプロセッサとを備え、当該1つもしくは複数のプロセッサは、ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する潜熱エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御し、ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定し、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、当該差し迫ったデフロストサイクル中のヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または設備の加熱流体を循環させること、のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギが蓄積されるよう、設備の動作を制御するように構成されている、加熱設備が提供される。よって、建物の居住者は、ヒートポンプのデフロスト中、温水蓄積タンクを必要とすることなく、別の瞬間湯沸器の源に頼らずに、依然として温水を享受することができる。同様に、ヒートポンプはデフロストサイクル中には暖房を提供できないにもかかわらず、建物の居住者が暖房の消失に気づくことはほぼない。
【0018】
任意選択手段として、1つもしくは複数のプロセッサは、デフロストサイクルを実行する際にヒートポンプに潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用させるように構成可能である。ヒートポンプは一般的にそのエバポレータをデフロストするためのエネルギを提供する何らかの種類のヒータを含むが、本開示の態様によれば、潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギをこの目的のために使用することができる。
【0019】
1つもしくは複数のプロセッサは、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱する際に、媒体の相転移温度の温度を少なくとも5℃上回る温度まで潜熱エネルギ蓄積媒体を加熱するように構成可能である。このようにすれば、エネルギ蓄積部のエネルギを潜熱として蓄積することに加えて、付加的なエネルギを顕熱として蓄積することができ、水の瞬間加熱に利用可能なエネルギの量が増大する。
【0020】
加熱設備は、任意選択手段として、建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、1つもしくは複数のプロセッサは、サーモスタットによって設定された温度最大値よりも高いレベルまで1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることにより、所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱させるかつ/または加熱設備の加熱流体を循環させるように構成可能である。したがって、暖房システムは通常の上方空間温度最大値に設定可能であるが、設備は、建物のファブリック内および場合により循環加熱流体(例えば暖房装置のラジエータ内および配管内の液体)内にエネルギを蓄積するために空間温度を上昇させることができる。
【0021】
第2の態様の加熱設備では、1つもしくは複数のプロセッサは、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表す1つもしくは複数のセンサからのデータを処理することによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成可能である。
【0022】
第2の態様の加熱設備では、1つもしくは複数のプロセッサは、設備の1つもしくは複数のプロセッサとは異なるヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理することによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成されていてもよい。
【0023】
第2の態様の加熱設備では、1つもしくは複数のプロセッサは、建物に居住者がいることを設備の1つもしくは複数のプロセッサが判別した場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積するように構成可能である。任意選択手段として、設備の1つもしくは複数のプロセッサは、建物内の1つもしくは複数の動きセンサに接続されている。
【0024】
第2の態様の加熱設備のサービスを受ける建物は、設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含むことができ、設備の1つもしくは複数のプロセッサは、セキュリティ監視システムの状態が建物に居住者がいないことを示している場合、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときに付加的なエネルギを蓄積させないように構成可能である。例えば、セキュリティ監視システムが家屋に居住者がいないことを示す「アームドアウェイ」モードにある場合、設備のプロセッサは、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときにも付加的なエネルギを蓄積させないように構成可能である。
【0025】
第2の態様の加熱設備は、ヒートポンプの内部機能を制御する第1のプロセッサと、エネルギ蓄積部に関連付けられ、かつ温水供給システムのセンサに接続された第2のプロセッサとを有することができる。
【0026】
第2の態様の加熱設備では、潜熱エネルギ蓄積媒体は、エネルギ蓄積部内に相変化材料塊を含み、エネルギ蓄積部は、温水システムとヒートポンプとの間に結合された熱交換器を含むことができる。1つもしくは複数のプロセッサは、温水供給システムの出口の開放に基づいてヒートポンプに信号を供給するように構成可能である。好ましくは、相変化材料塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒートポンプが温水供給システムにおいて水の加熱を開始するまでの間に、所定量の水を所定の温度へ加熱するのに十分な潜熱容量を有する。
【0027】
第2の態様の加熱設備は、蓄熱媒体内にヒータを備えることができ、設備の1つもしくは複数のプロセッサは、潜熱エネルギ蓄積媒体をより高いレベルまで加熱するためにヒータを作動させるように構成可能である。第2の態様の加熱設備では、設備の1つもしくは複数のプロセッサには、温水および/または暖房の需要がデフロストサイクル中の付加的なエネルギ蓄積を必要としない可能性が高い時間窓の識別を可能にするロジックを設けることができ、1つもしくは複数のプロセッサは、当該時間窓中に差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときには付加的なエネルギを蓄積させないように構成可能である。設備の1つもしくは複数のプロセッサは、世帯の過去の挙動パターンのデータベース、(例えば季節、現在のおよび予想される天候/気象、微小気候に基づく)種々の世帯もしくは平均的な世帯の比較可能データのデータベース、インターネットのうちの1つもしくは複数にアクセスすることができ、例えば天気予報およびエネルギ料金情報を受け取ることができる。
【0028】
以下に、本開示の様々な態様の実施形態を、単に例としてではあるが、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ヒートポンプエネルギ源に結合された相変化材料および熱交換器を含むエネルギバンクを示す概略図である。
図2】本開示の一態様による、エネルギバンクが組み込まれたインタフェースユニットのコンポーネントの潜在的な配置を示す概略図である。
図3】本開示の一態様による、建物内給水設備を示す概略図である。
図4】複数の制御可能な温水出口を有する温水供給設備を構成する方法を概略的に示す図である。
図5図1のエネルギバンクのようなエネルギバンクを含む設備によって実行される方法を示すハイレベルフローチャートである。
図6図1のエネルギバンクのようなエネルギバンクによって実行される方法を示すハイレベルフローチャートである。
図7図1のエネルギバンクのようなエネルギバンクによって実行される方法を示すフローチャートである。
図8図1のエネルギバンクのようなエネルギバンクによって実行される方法を示すフローチャートである。
【0030】
詳細な説明
ヒートポンプの適用性に関する多くの制約のうちの1つは、少なくとも瞬間ガス電気湯沸器、例えばコンビネーションボイラの暖房用の熱源としての強さに比べて、温水の需要を満たすその能力が制限されていることである。上述したように、典型的には、英国の中程度以下のサイズの住宅については暖房需要は通常6kWと低いが、ガスコンビネーションボイラは、小さめの1~2個の居室の場合であっても水の瞬間加熱のために典型的には20kW~30kWを提供する。欧州では、6kWの暖房需要は空気源ヒートポンプでも容易に達成可能であるが、20~30kWを供給できるユニットは許容不能なほど大きく高価となる。ヒートポンプは、家庭用温水供給部への適用に関して、ヒートポンプが開始信号を受信してから実際にヒートポンプによって温水が供給されるまでに長い遅延が生じるというさらなる制限を有している。一般に、この遅延は1分を優に超え、ときに2分以上もかかる。これは一見したところさほど大きな問題ではないように見えるが、手洗いなどについて考えてみれば(家庭環境では最も一般的な湯の使い方の1つであり、温水が流れる平均時間は30秒~1分である)、ヒートポンプが克服すべき大きな課題を有していることが明らかである。典型的には、この問題は、需要に応じて利用できるよう、温水を温水蓄積タンクに蓄積することによって対処される。しかし、こうしたソリューションは、現在概ね普遍的に外部の温水蓄積タンクなしで設置されているガスコンビネーションボイラを使用している、英国における1個、2個および3個程度の居室を有する小さな住居にとってはあまり魅力的でない。
【0031】
需要、特に家庭用の温水需要のためのヒートポンプの適用性を改善することのできる技術の1つは、温水蓄積の形態以外の熱エネルギの蓄積である。
【0032】
熱エネルギの蓄積のこうした代替形態は、相変化材料(PCM)の使用である。名称が示唆しているように、相変化材料は、熱によって誘起される相変化を示す材料であり、PCMをその相転移温度まで加熱すると、(顕性の)熱でなく潜熱としてエネルギが蓄積される。多くの種々のPCMが知られており、任意の特定の用途に対する選択は、とりわけ、必要とされる動作温度、コストの制約、健康および安全性の制限によって(PCMの毒性、反応性、可燃性、安定性など、またこれらの性質によってPCMの収容に必要となる材料などの物質に課される制約を考慮して)定められる。PCMを適切に選択することにより、ヒートポンプからのエネルギを(家庭内の)温水システム用の水の瞬間加熱に利用できるよう、熱エネルギ蓄積装置を設計することができ、これにより、大型の温水タンクを必要とすることなく、ヒートポンプの使用に固有のスロースタート問題への対処が支援される。
【0033】
PCMの使用に基づくエネルギ蓄積装置を紹介し、特にヒートポンプを使用して温水供給部の水を加熱する設備での使用に適したエネルギ蓄積装置について述べた。このようなエネルギ蓄積装置は、エンクロージャを有する熱交換器を備え、エンクロージャ内に、ヒートポンプなどのエネルギ源に接続される入力側回路、温水供給設備などのエネルギシンクに接続される出力側回路、およびエネルギ蓄積のための相変化材料を有する熱交換器を含むことができる。
【0034】
入力側回路が熱源、ここではヒートポンプによって加熱された液体を受け取り、この液体が熱交換器内の材料よりも高温であれば、この液体から熱交換器内の材料へエネルギが伝達される。同様に、熱交換器内の材料からのエネルギは、熱交換器内の材料よりも液体が低温であれば、出力側回路内の液体へと伝達される。もちろん、出力側回路を通る流れがない場合には、熱交換器から伝達されるエネルギの量は制限されるので、入力エネルギの大部分は熱交換器内に留まる。この場合、熱交換器は相変化材料、例えばパラフィンワックスまたは塩水和物(適切な材料の例については後述する)を含み、これにより入力エネルギの大部分がPCMに伝達される。相変化材料およびヒートポンプの動作温度を適切に選択することにより、ヒートポンプからのエネルギを使用して、PCMで表されるエネルギ「バンク」を「充填」することができる。任意選択手段として、ヒートポンプからのエネルギ供給は、1つもしくは複数の電気加熱要素を熱交換器に含めることによって補助することができ、この加熱要素は、システムプロセッサによって制御され、例えば電力供給に安価な料金が適用される場合、または例えば風力、水力もしくは太陽光発電などの局所的なもしくは家庭内の電気生産がある場合、温水の必要が予測されるもしくは予想される時点で「安価な」エネルギを提供することができる。
【0035】
相変化材料を使用するシステムを設計する際に考慮すべき相変化材料の特徴の1つに、相間の転移の際に生じる体積変化、例えば、液相から固相への相変化における膨張および固相から液相への相変化における収縮がある。典型的には、体積変化は10%のオーダーである。こうした体積変化は、相変化材料の収容に使用されるエンクロージャの注意深い設計に適応させなければならない欠点と考えられるが、肯定的に利用することもできる。PCMエンクロージャ内の圧力の測定値を提供する1つもしくは複数のセンサを設けることによってプロセッサにデータを提供することが可能となり、このデータからプロセッサが相変化材料の状態を判別することができる。例えば、プロセッサは、相変化材料のエネルギ蓄積値を決定することが可能となりうる。
【0036】
相変化材料のエネルギ蓄積量を決定する手段としてのエンクロージャ内の圧力測定に加えてもしくはこれに代えて、相変化の際にPCMで生じる光学特性の変化または音響特性の変化を利用することもできる。これらの代替的なアプローチの例については後述するが、まず、PCMのエネルギ蓄積状態に関する情報を収集する手段として、圧力センシングの使用を考慮する。
【0037】
図1は、熱交換器を含むエネルギバンク110を概略的に示しており、エネルギバンクはエンクロージャ112を含む。エンクロージャ112内には、エネルギ源に接続される熱交換器の入力側回路114(ここではヒートポンプ116として示されている)と、エネルギシンクに接続される熱交換器の出力側回路118(ここでは冷水供給部120に接続された温水供給システムとして示されており、1つもしくは複数の出口122を有する)とが設けられている。エンクロージャ112内には、エネルギを蓄積するための相変化材料が存在する。エネルギバンク110は、PCMの状態を示す測定値を提供する1つもしくは複数の状態センサ124も含む。例えば、状態センサ124のうちの1つもしくは複数は、エンクロージャ内の圧力を測定する圧力センサであってよい。好ましくは、エンクロージャは、相変化材料(PCM)内の温度を測定する1つもしくは複数の温度センサ126も含む。好ましい形態として複数の温度センサがPCM内に設けられている場合には、これらの温度センサは、好ましくは熱交換器の入力回路および出力回路の構造体から離間されて配置されており、PCM内で適切に離間されていることにより、PCMの状態の良好な「画像」が取得される。
【0038】
エネルギバンク110は、プロセッサ130を含む関連するシステムコントローラ128を有する。コントローラは、エネルギバンク110に組み込み可能であるが、より典型的には別個に取り付けられる。コントローラ128には、ユーザインタフェースモジュール131を、一体化されたユニットもしくは別個のユニットとして、またはコントローラ128を収容するボディに取り外し可能に取り付けることのできるユニットとして、設けることもできる。ユーザインタフェースモジュール131は、典型的には、例えばタッチセンシティブディスプレイの形態のディスプレイパネルおよびキーパッドを含む。ユーザインタフェースモジュール131は、コントローラ128から分離されているかまたは分離可能である場合、好ましくは、コントローラ128のプロセッサ130とユーザインタフェースモジュールとの相互通信を可能にする無線通信機能部を含む。ユーザインタフェースモジュール131は、システムの状態情報、メッセージ、アドバイスおよび警告をユーザに表示するためならびにユーザの入力およびユーザのコマンド、例えば開始命令および停止命令、温度設定、システムのオーバーライドなどを受信するために使用される。
【0039】
状態センサはプロセッサ130に接続されており、温度センサ126が設けられている場合、このセンサも同様である。プロセッサ130は、有線接続を介して、または関連する通信機134および136を使用して無線で、または有線接続および無線接続の双方を介して、ヒートポンプ116内のプロセッサ/コントローラ132にも接続されている。このようにして、システムコントローラ128は、命令、例えば開始命令および停止命令を、ヒートポンプ116のコントローラ132に送信することができる。同様に、プロセッサ130は、ヒートポンプ116のコントローラ132から、ステータス更新、温度情報などの情報を受信することもできる。
【0040】
温水供給設備は、温水供給システムにおける流れを測定する1つもしくは複数の流量センサ138も有する。図示されているように、このような流量センサは、システムへの冷水供給部120に、または熱交換器の出力側回路18の出力部の間に設けることができる。任意選択手段として、1つもしくは複数の圧力センサが温水供給システム内に含まれていてもよく、さらに、圧力センサが熱交換器/エネルギバンクの上流にかつ/または熱交換器/エネルギバンクの下流に、例えば1つもしくは複数の流量センサ138のうちの1つもしくは複数と共に設けられてもよい。当該流量センサもしくは各流量センサまたは当該温度センサもしくは各圧力センサおよび当該圧力センサもしくは各圧力センサは、有線接続または無線接続のいずれかもしくは双方によって、例えば1つもしくは複数の無線送信機または通信機140を使用して、システムコントローラ128のプロセッサ130に接続されている。様々なセンサ124,126および138の性質に応じて、これらのセンサは、システムコントローラ128のプロセッサ130から質問可能であってよい。
【0041】
任意選択手段として、図示されていない電気的に制御されるサーモスタット混合弁が、エネルギバンクの出口と温水供給システムの1つもしくは複数の出口122との間に結合可能であり、混合弁の出口に温度センサが設けられる。付加的な瞬間湯沸器、例えばコントローラ128によって制御される(誘導性または抵抗性の)電気ヒータは、好ましくは、エネルギバンクの出口と混合弁との間の水流路に配置される。瞬間湯沸器によって出力された水の温度と、コントローラ128に供給された測定値とを測定するために、別の温度センサを設けることができる。恒温混合弁は冷水供給部にも結合されており、所望の供給温度を達成するために温水と冷水とを混合するようコントローラ128によって制御可能である。
【0042】
任意選択手段として、図示されているように、エネルギバンク110は、エンクロージャ112内に、システムコントローラ128のプロセッサ130によって制御され、かつ状況によりエネルギバンクを再チャージするためのヒートポンプ116の代替物として使用可能な電気加熱要素142を含んでいてよい。
【0043】
図1に示されているヒートポンプは、周囲空気からのエネルギの抽出に使用される外部ヒートポンプコイルを備えた空気源ヒートポンプである。空気温度が低い場合にも周囲空気から熱を抽出することができるよう、ヒートポンプコイル内の冷媒は周囲空気よりも低温でなければならず、さらに効率の点で冷媒は周囲空気温度よりも格段に低温でなければならない。エアコンディショナは、コイルの上方に周囲空気を吹き出すファンを備えており、コイルの上方を空気が通過する際に、コイル内の冷媒に熱を与える。周囲空気中の湿分も冷却され、冷媒が十分に低温であれば、湿分はコイルの表面で氷へと変化する。コイルの上方を通過する空気が多くなるにつれてより多くの氷が形成され、熱伝導プロセスの効率を低下させる。熱伝導プロセスの効率を回復させるには、氷を除去する必要がある。当該除去プロセスは、デフロストサイクルまたはデフロストモードとして知られており、デフロストサイクル中はヒートポンプが有効に逆動作を行い、温度上昇した冷媒が外部のヒートポンプコイルへ送られて、コイルの外側に形成された氷が融解される。デフロストサイクル中は、通常、周囲空気をコイル117に吹き付けるファンは停止され、ファンが加熱コイル117に冷気を吹き付けることによる冷却が解除される。典型的には、コイル117は、約14℃または約15℃の温度に達するまで加熱される。空気源ヒートポンプは、典型的には、デフロストサイクルにおいて使用される冷媒を加熱する加熱要素を含んでいる。外部ヒートポンプコイル117に霜が付着しなくなると、ヒートポンプはコイルへの温度上昇した冷媒の送り込みを停止して通常動作に戻り、周囲空気から再び熱を抽出する。
【0044】
各デフロストサイクル間の時間は周囲条件(温度および湿度のレベル)とヒートポンプによって送出される熱量とに依存するが、各デフロストサイクルの完了にかかる典型的な時間が約5~10分であるとき、40分ごと以下の頻度であってよい。なお、デフロストははるかに短い時間で完了することもあるが、デフロストサイクル中、ヒートポンプが逆動作を行うので、周囲からエネルギが抽出されるよりも効率的にエネルギが周囲へ放出されることを理解されたい。
【0045】
水域(例えば湖、川、池、海)からエネルギを抽出するヒートポンプも、特に当該水域が浅いかまたは特に他の形態での制約を有する場合には、デフロストモードを提供する必要がありうる。本願に示す発明および着想は、空気源ヒートポンプに対してと同様にこのようなヒートポンプにも適用可能であることが理解され、本開示はこうした理解に従って読まれるべきである。
【0046】
もちろん、デフロストモードでは、ヒートポンプ116は、(図2を参照して後述するように)エネルギバンクを加熱するためのエネルギまたは暖房を提供するためのエネルギを提供することができない。
【0047】
図1は、単なる概略図であって、ヒートポンプから温水供給設備への接続のみを示している。世界の多くの地域において、温水と同様に暖房も必要とされることを理解されたい。したがって、典型的には、ヒートポンプ116は、暖房を提供するためにも使用される。ヒートポンプが暖房を提供して温水加熱のためのエネルギバンクと共に機能する例示的な装置については、本願において後述する。説明を容易にするために、例えば図1に示されているような本発明の一態様によるエネルギバンクの動作方法の以下の説明では、関連するヒートポンプが暖房を提供するか否かにかかわらず、エネルギバンク設備にも同様に適用される。
【0048】
図2は、本開示の一態様によるインタフェースユニット10の構成要素の潜在的な配置を概略的に示している。インタフェースユニットは、ヒートポンプ(この図には図示せず)、例えば図1の空気源ヒートポンプ116と建物内温水システム、例えば図1に示されているシステムとの間のインタフェース接続を形成する。インタフェースユニット10は、エンクロージャ(個別には番号を付さず)を含む熱交換器12を備え、このエンクロージャ内には、きわめて簡略化された形式で番号14にて示されている、ヒートポンプに接続される入力側回路と、同様にきわめて簡略化された形式で番号16にて示されている、建物内温水システム(この図には図示せず)に接続される出力側回路とが設けられている。熱交換器12は、エネルギを蓄積する蓄熱媒体も含むが、これはこの図には示されていない。ここで図2を参照して説明する実施例では、蓄熱媒体は、エネルギを潜熱として蓄積する(さらに顕熱としてエネルギを蓄積することもできる)相変化材料である。インタフェースユニットは、前述したエネルギバンクに対応することが認識されるはずである。特許請求の範囲を含めた本明細書全体を通して、文脈から明らかに別のことが要求されていない限り、エネルギバンク、蓄熱媒体、エネルギ蓄積媒体および相変化材料への言及は相互に交換可能であるとみなされるべきである。
【0049】
典型的には、熱交換器内の相変化材料は(融解の潜熱により蓄積されるエネルギ量として)2~5MJのエネルギ蓄積容量を有するが、より多くのエネルギ蓄積が可能でありかつ有用でありうる。もちろんより少ないエネルギ蓄積もありうるが、一般的には、インタフェースユニット10の相変化材料におけるエネルギ蓄積能力の(物理的なサイズ、重量、コストおよび安全性に基づく実際上の制約に従った)最大化が望まれている。適切な相変化材料およびその特性、またサイズなどについては、本明細書において後に詳細に説明する。
【0050】
入力側回路14は管または導管18に接続されており、この管または導管18自体は、ノード20を介して、ヒートポンプからの供給部に接続される継手24を有する管22から供給される。ノード20は流体をヒートポンプから管26へも供給し、この管26は、住宅または集合住宅の加熱網への接続、例えば床下暖房またはラジエータ網もしくはその双方への配管)への接続を意図した継手28において終端している。したがって、インタフェースユニット10が設置完了して動作できるようになると、(住宅または集合住宅の外側に配置された)ヒートポンプによって加熱された流体が継手24を通って管22に沿ってノード20へと通流し、そこから、3ポート弁32の設定に応じて、流体流が管18に沿って熱交換器の入力側回路14へと通流するかまたは管26に沿って継手28を通って住宅または集合住宅の加熱インフラストラクチャへと通流する。
【0051】
ヒートポンプからの加熱流体は、熱交換器の入力側回路14を通り、管30に沿って熱交換器12から流出する。使用に際しては、状況に応じて、ヒートポンプからの加熱流体によって輸送される熱が、そのエネルギの一部を熱交換器内の相変化材料へと与えられ、別の一部が出力側回路16内の水へと与えられる。その他の状況では、後述するように、熱交換器の入力側回路14を通流する流体が、実際に相変化材料から熱を取得する。
【0052】
管30は、入力側回路14を出る流体を電動式3ポート弁32へ、次いで、弁の状態に応じて管34に沿ってポンプ36へ、供給する。ポンプ36は、継手38を介して外部ヒートポンプへ流れを押し出すために用いられる。電動式3ポート弁32は、継手42を介して住宅または集合住宅の加熱インフラストラクチャ(例えばラジエータ)から戻る流体を受け取った管40からも流体を受け取る。
【0053】
電動式3ポート弁32とポンプ36との間には、3つのトランスデューサ、すなわち、温度トランスデューサ44、流量トランスデューサ46および圧力トランスデューサ48が設けられている。さらに、ヒートポンプの出力によって流体が導入される管22内に温度トランスデューサ49が設けられている。これらのトランスデューサは、インタフェースユニット10における他の全てのトランスデューサと同様に、図示されていないプロセッサに動作可能に接続されているかまたはこのプロセッサによってアドレシング可能であり、当該プロセッサは、典型的にはインタフェースユニットの一部として設けられているが、別個のモジュールとして設けることもできる。
【0054】
図2には示されていないが、付加的な電気加熱要素が、ヒートポンプの出力部から流体を受け取る継手24間の流路に設けられてもよい。こうした付加的な電気加熱要素は、前述した場合と同様に誘導加熱要素であってもよいしまたは抵抗加熱要素であってもよく、ヒートポンプの潜在的な故障を補償する手段として設けられるが、(例えば、現在のエネルギコストに基づき、暖房および/または温水に対して予測される)エネルギを蓄熱ユニットに付加する場合に可能な使用のためにも設けられる。付加的な電気加熱要素ももちろんシステムプロセッサによって制御可能である。
【0055】
管34には膨張容器50も接続されており、この膨張容器50には弁52が接続されており、この弁52を用いて、充填ループを接続して加熱回路内の流体を吸い上げることができる。インタフェースユニットの加熱回路の一部として、圧力逃し弁54、ノード20と入力側回路14との間の中間部、(粒子状汚染物質を捕捉するための)ストレーナ56、中間継手42、および3ポート弁32も示されている。熱交換器12には、少なくとも1つの温度トランスデューサ58を含む幾つかのトランスデューサが設けられているが、図示されているように、好ましくはより多くの(例えば4個以上の)温度トランスデューサ58が設けられていてよく、圧力トランスデューサ60も設けられている。図示の実施例の場合、熱交換器は相変化材料内に均等に分散配置された4個の温度トランスデューサを含んでいるので、温度の変動を測定することができる(したがって、バルク全体にわたる相変化材料の状態についての知識が得られる)。このような配置は、設計/実現のフェーズにおいて、付加的な熱輸送の配置構成の最適化を含む、熱交換器の設計を最適化する手段として、特に有益でありうる。しかも、このような配置構成は、複数のセンサを設けることにより、プロセッサと(インタフェースユニットのみの、かつ/またはインタフェースユニットを含むシステムプロセッサの)プロセッサによって利用される機械学習アルゴリズムとに有用な情報を提供できるので、展開されたシステムにおいても引き続き有益でありうる。
【0056】
次に、インタフェースユニット10の冷水供給部および温水回路の配置構成について説明する。継手62が、水道本管からの冷水供給部への接続のために設けられている。典型的には、水道本管からの水がインタフェースユニット10に到達する前にサイホン逆止弁を通過することとなり、その圧力が低下することがある。継手62から、冷水は、管に沿って熱交換器12の出力側回路16へ通過する。インタフェースユニット内の多数のセンサを監視するプロセッサが設けられていることを想定しているので、同じプロセッサに任意選択手段としてさらに1つのタスクを追加することができる。これは、主給水部から冷水が送出される際の圧力を監視することである。このために、別の圧力センサを、継手62の上流、特に家屋内のいずれかの減圧装置の上流で、冷水供給ライン内に導入することができる。この場合、プロセッサは、供給される水の圧力を持続的にまたは周期的に監視し、主給水部が法定の最小値を下回る圧力で水を供給する場合には、さらに水道企業からの補償を求めるように所有者/ユーザに促すこともできる。
【0057】
出力側回路16から、熱交換器を通過することによって加熱されうる水が、管66に沿って電気加熱ユニット68へ通流する。上述したプロセッサの制御のもとにある電気加熱ユニット68は、抵抗加熱装置または誘導加熱装置を含むことができ、これらの加熱装置の加熱出力はプロセッサからの命令に従って変調可能である。プロセッサは、相変化材料の状態およびヒートポンプの状態に関する情報に基づいて電気ヒータを制御するように構成されている。
【0058】
典型的には、電気加熱ユニット68は、10kW以下の定格電力を有しているが、幾つかの状況では、より強力な、例えば12kWのヒータが設けられてもよい。
【0059】
電気ヒータ68から、管70に沿って温水が通流し、継手74に、住宅または集合住宅の、タップおよびシャワーなどの制御可能な出口を有する温水回路が接続される。
【0060】
電気ヒータ68の下流、例えば電気ヒータ68の出口に、温水システムの出口の水温に関する情報を提供するための温度トランスデューサ76が設けられている。圧力逃し弁77も温水供給部に設けられており、これは、電気ヒータ68と出口温度トランスデューサ76との間に配置されているように示されているが、その正確な位置はさほど重要ではなく、実際には図2に示されている多くの構成要素と同様である。
【0061】
また、温水供給ラインのいずれかの箇所に圧力トランスデューサ79および/または流量トランスデューサ81が設けられており、これらの圧力トランスデューサ79および/または流量トランスデューサ81は、温水の呼び出しを検出するために、すなわちタップもしくはシャワーのような制御可能な出口の開放を検出するために、プロセッサによって使用可能である。流量トランスデューサは、好ましくは、例えば音波流量検出または磁気流量検出に基づく、可動部品を有さない流量トランスデューサである。この場合、プロセッサは、ヒートポンプに開始信号を送るかどうかを決定するために、記憶されたロジックと共に、これらのトランスデューサのうちの一方もしくは双方からの情報を使用することができる。
【0062】
プロセッサは、(例えば、プロセッサもしくは外部のコントローラに記憶されたプログラムに基づく、かつ/または1つもしくは複数のサーモスタット、例えば室内スタット、外部スタット、床下暖房スタットからの信号に基づく)暖房の需要または温水の需要に基づいてヒートポンプを始動させるために呼び出すことができることを理解されたい。ヒートポンプの制御は、単純なオン/オフコマンドの形態であってもよいが、これに代えてもしくはこれに加えて(例えばModBusを使用した)変調の形態であってもよい。
【0063】
インタフェースユニットの加熱回路の場合と同様に、3つのトランスデューサが、冷水供給管64に沿って設けられており、すなわち、温度トランスデューサ78、流量トランスデューサ80および圧力トランスデューサ82である。熱交換器12の出力側回路16の出口と電気ヒータ68とを中間接続する管66には、別の温度トランスデューサ84も設けられている。これらのトランスデューサも、全て、上述したプロセッサに動作可能に接続されているかまたはこのプロセッサによってアドレシング可能である。
【0064】
図示されているように、冷水供給ライン64には、磁気式もしくは電気式の水コンディショナ86、電動式調節可能弁88(全ての電動式弁が上述したプロセッサによって制御可能である)、逆止弁86および膨張容器92も設けられている。調節可能弁88は、(例えば温度トランスデューサ76によって測定された)温水の所望の温度を維持すべく、冷水流量を調節するように制御可能である。
【0065】
また、冷水および加熱された水をそれぞれ蓄積するための外部蓄積タンクへの接続のための弁94,96が設けられている。最後に、二重逆止弁98が冷水供給管64を別の弁100へと接続しており、この別の弁100がより多くの水または水と腐食防止剤との混合物を加熱回路へチャージするために、上述した弁52に接続される充填ループと共に使用可能である。
【0066】
図2には様々な管交差が示されているが、これらの交差がノード20のようにノードとして示されていない限り、上述の図のこれまでの説明から明らかなとおり、交差として示されている2つの管は相互に通流しないことに留意されたい。
【0067】
次に、潜熱エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部110と、デフロストサイクルを有するヒートポンプ116および117とを含み、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された加熱設備を制御する方法を説明する。方法は、ヒートポンプ116/117からの、水を加熱するための熱を蓄積するエネルギ蓄積部110への熱の供給、および建物内の暖房を提供する(例えば接続部28および42によって表されている)加熱回路への熱の供給を制御することを含む。方法はさらに、設備のプロセッサ130を使用して、ヒートポンプ116/117によるデフロストサイクルの見込みを推定することと、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、この差し迫ったデフロストサイクル中にヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、プロセッサ130の制御のもとに、エネルギ蓄積部110内の潜熱エネルギ蓄積媒体を、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで加熱すること、および/または所望の建物加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または設備の加熱流体を循環させること、のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギを蓄積することとを含む。これにより、ヒートポンプのデフロスト中、温水蓄積タンクを必要とせずかつ他の瞬間湯沸源に頼らずに、建物の居住者が温水を享受することができる。同様に、ヒートポンプはデフロストサイクル中に暖房を提供できないにもかかわらず、建物の居住者が暖房の消失に気づくことはほぼない。
【0068】
エネルギバンク110内の潜熱エネルギ蓄積媒体からのエネルギは、外部のヒートポンプコイルまたはエバポレータ117をデフロストするサイクルにおいて、ヒートポンプ116によって使用可能である。ヒートポンプに戻る液体においてエネルギバンク110から熱を輸送することができ、このエネルギはヒートポンプ内の熱交換器を介してエバポレータ117を通流する冷媒へと伝達される。例えば、潜熱エネルギ蓄積部からのエネルギは、ヒートポンプに組み込まれたヒータ、例えば電気ヒータを補助することができる。ヒートポンプ116/117は一般的にはスタンドアロン型のユニットであるため、一般的にヒートポンププロセッサ132の制御のもとにある従来の電気加熱要素を含む。プロセッサ132は、電気加熱要素を補助するために、または場合によりエバポレータ母材のデフロストの際に使用される全ての熱を提供するために、エネルギバンク110からの戻り供給で受け取ったエネルギを利用するように構成可能である。
【0069】
潜熱エネルギ蓄積媒体を、予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで加熱することは、潜熱エネルギ蓄積媒体を、媒体の相転移温度の温度を少なくとも5℃上回る温度まで、例えば相転移温度を5℃~15℃の範囲上回る温度、任意選択手段として相転移温度を8℃~12℃の範囲上回る温度、例えば相転移温度を少なくとも10℃上回る温度まで加熱することを含みうる。つまり、相変化材料を単にその相転移温度をぎりぎり上回る温度まで加熱するのではなく、顕熱として蓄積されるエネルギを付加することによって、温度を上昇させることができる。
【0070】
従来、加熱設備は、建物内の空間の温度を調節するために使用される1つもしくは複数の空間サーモスタットを有する。建物もしくは建物内の空間の居住者またはユーザが建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値を設定することができ、またはサーモスタット設定をシステムによって設定することもできるしもしくは遠隔で設定することもできる。いずれの場合にも、所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで建物を加熱するかつ/または加熱流体を循環させることは、1つもしくは複数の空間の温度を、サーモスタットによって設定された温度最大値よりも高いレベルまで上昇させることを含みうる。したがって、暖房システムが通常の最大空間温度に設定されていたとしても、設備が空間温度を上昇させて、建物のファブリックおよび場合により循環する加熱流体(例えば暖房システムのラジエータ内および管内の流体)にエネルギを蓄積させることができる。
【0071】
システムは、システムプロセッサ130により、1つもしくは複数のセンサからのデータ、外部温度を表すデータ、および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理することによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成可能である。したがって、システムプロセッサ130は、少なくとも外部温度を、好ましくはヒートポンプのエバポレータ117の近傍の外部温度を測定するために、建物の外部に配置された1つもしくは複数のセンサに直接にまたは間接的に接続可能である。
【0072】
付加的にもしくは代替的に、デフロストサイクルの見込みを推定することは、ヒートポンププロセッサによって提供されるデータを処理することを含みうる。ヒートポンプは、エバポレータ/コイル117に関連付けられた温度センサを含み、これにより、スタンドアロン型のユニットとして自身のデフロストサイクルを制御することができる。好ましくは、ヒートポンププロセッサ132とシステムプロセッサ130との間のデータ接続がヒートポンプのエバポレータ温度計からシステムプロセッサ130にデータを供給するために使用され、または関連するヒートポンプ管理データがシステムプロセッサ130に供給されて、このシステムプロセッサ130から制御信号および制御命令がヒートポンププロセッサ132に送信される。
【0073】
冬季または寒冷地では家を空ける場合でも暖房をオンのままにしておくことが一般的であるが、これは、水道管および湿性の暖房管の凍結ひいては損傷のリスクを防ぐ安全上の予防策と居住者が暖かい家に戻るためとの2つによるものである。デフロストサイクルに付随する熱供給の一時的な中断は短いので、暖房をオンにしたままの家では、中断中に家庭内の管が凍結するリスクは実際上存在しない。したがって、建物に居住者がいない場合には、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときにも、付加的なエネルギを蓄積するプロセスを行う必要はない。したがって、好ましくは、設備のプロセッサに、建物の居住状態に関する情報が提供される。当該情報は、スタンドアロン型もしくは建物をカバーするセキュリティ監視システムとしても機能するものであるPIR検出器などの動き検出器、または他の活動検出装置から得られる。したがって、方法はさらに、設備の1つもしくは複数のプロセッサにより、建物内の1つもしくは複数の動きセンサを監視することを含みうる。
【0074】
建物は、設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視/警報システムを含み、これにより、システムプロセッサ130は、監視システムから直接に居住状態を判別することができる。すなわち、例えば、警報システム/セキュリティシステムは、警報システムがアクティブでありかつ家屋に居住者がいない場合の「アームドアウェイ」設定と、警報が設定されているものの家に居住者がいる場合の「アームドアトホーム」設定とを有することができる(この場合、警報は典型的にはロックされた建物周りのこじ開けもしくは破壊によってのみトリガされる)。監視システムが「アームドアウェイ」状態にある場合、システムプロセッサ130は付加的なエネルギの蓄積が不要であることを認識し、これにより、ヒートポンプを、その制御のもとに通常のデフロストサイクルが実行されるよう、そのままとすることができる。これに対して、「アームドアトホーム」状態は建物に居住者がいることを意味しているので、付加的なエネルギを蓄積することが適切とされうる。したがって、方法は、セキュリティ監視システムの状態が建物に居住者がいないことを示さない場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積することを含みうる。
【0075】
上述したように、加熱設備は、ヒータ、例えばエネルギバンク110内のヒータ142を含んでいてよく、このヒータを使用して、蓄熱媒体をより高いレベルまで加熱することができる。このようにして、例えばプロセッサ130の制御のもとに、例えば電気が安価であるかまたは無料である場合に、エネルギ蓄積媒体を加熱することができる。プロセッサには、好ましくは、任意選択手段としてのインターネットリンクを介した電力供給のための料金情報と、国内または地域内の任意の発電施設または供給施設の知識とが提供され、これにより、システムプロセッサ130は、電力およびより一般的なエネルギの使用量に関して適切な選択を行うことができる。
【0076】
第2の態様の加熱設備では、潜熱エネルギ蓄積媒体が、エネルギ蓄積部110内に相変化材料塊を含むことができ、当該エネルギ蓄積部は、温水システムとヒートポンプ116/117との間に結合された熱交換器114/118を含む。1つもしくは複数のプロセッサ130は、出口の開放、例えば温水供給システムの出口122の開放に基づき、ヒートポンプ116/117へ信号を供給するように構成可能である。好ましくは、相変化材料塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒートポンプが温水供給システムの水の加熱を開始するまでの間に、所定量の水を所定の温度へ加熱するのに十分な潜熱容量を有する。
【0077】
加熱設備は、蓄熱媒体内にヒータ142を含むことができ、設備の1つもしくは複数のプロセッサ130は、潜熱エネルギ蓄積媒体をより高いレベルまで加熱するためにヒータ142を作動させるように構成可能である。設備の1つもしくは複数のプロセッサ130には、温水および/または暖房の需要がデフロストサイクル中の付加的なエネルギ蓄積を必要としない可能性が高い時間窓の識別を可能にするロジックを設けることができ、当該1つもしくは複数のプロセッサ130は、当該時間窓中に差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときには付加的なエネルギを蓄積させないように構成可能である。設備の1つもしくは複数のプロセッサ130は、世帯の過去の挙動のパターンのデータベース、(例えば季節、現在のおよび予想される天候/気象、微小気候に基づく)種々のまたは平均的な世帯からの比較可能なデータのデータベース、インターネットのうちの1つもしくは複数にアクセスすることができ、例えば、天気予報およびエネルギ料金情報を受信することができる。
【0078】
図2には示されていないが、上述したように、熱交換器12は、蓄熱媒体内に熱を導入するように構成された1つもしくは複数の付加的な電気加熱要素(例えば図1の142)を含むことができる。これは直感的には反対の作用を有するように見えるかもしれないが、次に説明するように、電気エネルギを使用して、経済的に有意である時点で蓄熱媒体をプリチャージすることができる。
【0079】
エネルギ供給企業の長年の慣行として、電力の単位あたりのコストが時間帯によって変動する料金制度を導入して、需要の増大または減少の期間を考慮し、需要と供給能力とのバランスを最適化するための顧客行動の形成を支援することが行われている。歴史的には、料金プランは発電技術および消費技術の双方を反映した比較的粗いものであった。しかし、太陽光発電(例えば、太陽電池、パネルおよび農業用太陽光発電施設から得られる)および風力発電といった電力再生可能エネルギ源の、複数の国の電力生成組織への組み込みの増大は、エネルギ価格のより動的な策定を促してきた。当該アプローチは、こうした天候依存性の発電に固有の変動性を反映している。当初、このような動的な価格設定は大規模なユーザのみに大きく制限されていたが、家庭消費者にますます提供されるようになってきている。
【0080】
価格のダイナミズムの度合いは、国によって、また所定の国内のそれぞれ異なる生産者の間でも様々である。ある極端な例では、「動的な」価格の設定が1日以内の各時間窓においてそれぞれ異なる料金を提案することにほぼ等しく、こうした料金が変動なしに数週間、数カ月もしくは数季にわたって適用可能である。しかし、幾つかの動的な価格の設定レジームによって供給者が1日以内に価格を変更できるため、例えば、顧客に対し、翌日の30分スロットについての本日の価格が提案されうる。幾つかの国では6分という短い時間スロットが提案されており、今後の料金を消費者に知らせるためのリードタイムは、エネルギ消費機器に「インテリジェンス」を含めることによってさらに短縮されると考えられる。
【0081】
短期および中期の気象予測を使用して太陽光設備および風力設備が生産することのできるエネルギ量と暖房用および冷房用の電力需要の見込みスケールとの双方を予測することができるので、極端な需要が生じる期間を予測することができるようになる。大きな再生可能発電能力を有する幾つかの発電企業は、電力に関する負のチャージを提案すること、すなわち、文字通りの余剰電力の使用のために顧客への支払いを行うことを提案することも知られている。多くの場合、電力は、通常のレートの小さな割合で提案されうる。
【0082】
例えば本開示によるシステムの熱交換器のようなエネルギ蓄積ユニットに電気ヒータを組み込むことにより、消費者は、供給期間が低コストであればその利益を享受し、エネルギが高価であれば電力への依存を低減することが可能となる。このことは、個々の消費者に利益をもたらすだけでなく、化石燃料を燃焼させることで大きな需要を満たさなければならないときに需要を減少させることができるため、全体として有益である。
【0083】
インタフェースユニットのプロセッサは、プロセッサがエネルギ供給者から動的な価格設定情報を受信できるようにするために、インターネットなどのデータネットワークへの有線接続部または無線接続部(またはその双方)を有する。プロセッサはまた、好ましくは、ヒートポンプへの命令の送信とヒートポンプからの情報(例えば状態情報および温度情報)の受信との双方のための、ヒートポンプへのデータリンク接続部(例えばModBus)を有する。プロセッサは、世帯の挙動の学習を可能にするロジックを有しており、これと動的な価格設定情報とを使用して、加熱システムをプリチャージするためにより安い電力を使用すべきかどうか、またいつ使用すべきかを決定することができる。これは、熱交換器内部の電気要素を使用してエネルギ蓄積媒体を加熱することによって行われうるが、代替的に、ヒートポンプを通常よりも高い温度まで、例えば40℃~48℃ではなく60℃まで駆動することによって行われてもよい。ヒートポンプの効率は、より高い温度で動作するときには低下するが、これは、より安価な電気をいつどのように使用するのが最良であるかを決定する際にプロセッサによって考慮可能である。
【0084】
システムプロセッサはインターネットおよび/またはプロバイダのイントラネットなどのデータネットワークに接続可能であるので、ローカルのシステムプロセッサは、外部の計算能力から利益を得ることができる。したがって、例えば、インタフェースユニットの製造者は、例えば予測される、居住状態、活動量、料金(短期/長期)、天気予報(一般的に入手可能な天気予報に対して望ましいとされうるもの;なぜなら、これらはローカルのプロセッサによって容易に使用されるよう前処理され、さらにインタフェースユニットが設置されている状況、場所、建物の面向きに合うように特に調整可能であるからである)の計算のため、また偽陽性および/または偽陰性の識別のために計算能力が設けられている場合、クラウドの存在(またはイントラネット)を有する可能性が高い。
【0085】
温水供給システムからの過熱水による熱傷のリスクからユーザを保護するために、熱傷保護機能を提供することが有意である。これは、冷水供給部からの冷水が熱交換器の出力回路を出る温水に混合されるように電気的に制御可能弁(調整可能弁)を提供する形態とすることができる(付加的な弁は、前述した既存の弁94および96が設けられているノード間に取り付けることができる)。
【0086】
図2には、インタフェースユニットの「重要部分(guts)」と考えられるものが概略的に示されているが、これらの「重要部分(guts)」のための容器は示されていない。本開示によるインタフェースユニットの重要な用途は、以前ガス燃焼式コンビネーションボイラが設けられていた(またはこのようなボイラが他の形式で設置されていた)住宅の暖房および温水需要の実用上の寄与物としてヒートポンプを使用できるようにする手段としての用途であり、従来のコンビネーションボイラと全く同様に、美観および安全性の双方のために容器を提供することが多くの場合に便利であることを理解されたい。さらに好ましくは、このような任意の容器は、多くの場合にキッチンキャビネットが共存するキッチンにおいて典型的には壁に取り付けられていた、コンビネーションボイラの直接の交換を可能にするフォームファクタに適合するように寸法設計される。高さ、幅および奥行を有する略直方体の形状(もちろん美観、人間工学または安全性の点で容器の表面のいずれかもしくは全てに曲面が使用されてもよい)に基づいて、適切なサイズは、高さ650mm~800mm、幅350mm~550mm、奥行260mm~420mmのおおよその範囲、例えば高さ800mm、幅500mm、奥行400mmとして認められるが、設備の収容が可能であれば、より大きいサイズ、特により高さの大きいサイズが提供されてもよい。
【0087】
ガスコンビネーションボイラに対する、本開示によるインタフェースユニットの1つの顕著な相違点は、ガスコンビネーションボイラの容器には一般的に高温の燃焼室が存在するため、鋼などの不燃性材料から作製されなければならないが、インタフェースユニットの内部温度は一般的に100℃未満であり、典型的には70℃未満であり、多くの場合に60℃未満である、ということである。そのため、インタフェースユニットの容器を製作する際に、可燃性材料、例えば木、竹、紙などを実際に使用することができる。
【0088】
燃焼が生じないことにより、一般的にはガスコンビネーションボイラの設置に全く適さないと考えられる位置にインタフェースユニットを設置する可能性も開かれ、さらにもちろん、ガスコンビネーションボイラとは異なり、本開示によるインタフェースユニットはガスを排出するための煙道を必要としない。つまり、例えば、調理台の下に設置されるインタフェースユニットを構成することができ、キッチンカウンタのアンダーコーナーによって表現される悪名高いデッドスポットを利用することまで可能となる。このような場所への設置のために、インタフェースユニットは、好ましくはキッチンキャビネットの製造者との協働により、実際にはカウンタ下棚に統合することができる。なお、展開のための最大のフレキシビリティは、インタフェースユニットへのアクセスを可能にするように構成された何らかの形態のキャビネットの後方にインタフェースユニットを効果的に据え付けることによって得られる。この場合、インタフェースユニットは、好ましくは、循環ポンプ36を入力側回路の流路から切り離す前に、この循環ポンプ36を熱交換器12からスライドによって取り外すことができるように構成される。
【0089】
また、システムキッチンにおいて無駄となっていることの多い他のスペース、すなわちカウンタ下棚の下方のスペースも考慮することができる。多くの場合に、高さ150mm超、奥行600mm程度、幅300mm、400mm、500mmまたは600mm以上のスペースが存在している(ただしキャビネットを支持する各脚部に余裕を設ける必要がある)。特に新規の設置の場合、またはコンビネーションボイラがキッチンの改装に併せて交換される場合、少なくともこれらのスペースをインタフェースユニットの熱交換器の収容に使用すること、または所与のインタフェースユニットに対して2つ以上の熱交換器ユニットを使用することが有意となる。
【0090】
特に、壁への取り付け用に設計されたインタフェースユニットについては、インタフェースユニットの用途が何であれ潜在的に有益であるが、多くの場合、インタフェースユニットを複数のモジュールとして設計することが望ましい。こうした設計では、相変化材料の存在により熱交換器のみで25kg超の重量となる可能性があるため、熱交換器を複数のモジュールのうちの1つとして設けることが便利でありうる。健康上および安全上の理由から、また1人での設置を可能にするために、インタフェースユニットを1つのモジュールセットとして提供することができ、その全重量が約25kgを超えないことが保証されることが望ましい。
【0091】
このような重量の制約は、モジュールの1つを構造体へのインタフェースユニットの取り付けのためのシャーシとすることによって支援することができる。例えば、インタフェースユニットが既存のガスコンビネーションボイラの代わりに壁に取り付けられる場合、他のモジュールを支持するシャーシを最初に壁に固定することができれば便利である。好ましくは、当該シャーシは、置換されるべきコンビネーションボイラの支持に使用されていた既存の固定点の位置で機能するように設計されている。このことは、通常のガスコンビネーションボイラの間隔空けおよび位置決めに従った固定孔が予め形成されている「ユニバーサル」シャーシを提供することによって行うことができる。代替的には、それぞれ特定の製造者のボイラの孔位置/孔寸法/孔間隔に適合する孔位置/孔寸法/孔間隔を有する一連のシャーシを製造することがコスト上有効となりうる。この場合、該当する製造者のボイラの交換に際して適正なシャーシを指定するだけでよい。当該アプローチには複数の利点がある。すなわち、固定ボルトを受けるプラグ用の多数の孔を穿孔する必要が回避され、これにより、マーキング、ドリリングおよびクリーンアップにかかる時間が不要となるだけでなく、さらに、設置が行われる住宅の構造の必然的な弱化も回避され、このことは、「スタータホーム」および他の低コスト住宅において使用されることの多い低コストの建築技術および建築材料が前提となる場合に、重要な考察となりうる。
【0092】
好ましくは、熱交換器モジュールとシャーシモジュールとが相互に結合されるように構成される。このようにすれば、分離可能な締結の必要を回避することができ、さらに設置時間が節約される。
【0093】
好ましくは、付加的なモジュールは、熱交換器12の出力側回路16を建物内温水システムに接続するための第1の相互接続部、例えば62および74を含む。好ましくは、付加的なモジュールは、熱交換器12の入力側回路14をヒートポンプに接続するための第2の相互接続部、例えば38および24も含む。好ましくは、付加的なモジュールは、インタフェースユニットをこのインタフェースユニットが使用されるべき家屋の加熱回路に接続するための第3の相互接続部、例えば42および28も含む。最初にシャーシに接続部を取り付けるのではなく、それ自体が壁に直接に接続されたシャーシに熱交換器を取り付けることによって、熱交換器の重量が壁により近接して保持され、インタフェースユニットを壁に固定する壁固定具にかかる片持ち荷重の効果が低減されることを理解されたい。
【0094】
相変化材料
相変化材料の1つの適切なクラスは、ヒートポンプと組み合わせて使用される家庭用温水供給部の関心温度で固相-液相変化を示すパラフィンワックスである。特に関心対象となっているのは40℃~60℃の範囲の温度で溶融するパラフィンワックスであり、この範囲において当該ワックスが特定の用途に適する種々の温度で溶融することが判明している。典型的な潜熱容量は約180kJ/kg~230kJ/kgであり、比熱容量はおそらく液相で2.27Jg-1-1、固相で2.1Jg-1-1である。溶融の潜熱を利用して、きわめて大量のエネルギを蓄積できることがわかっている。また、相変化液体をその融点を上回る温度まで加熱することによって、より多くのエネルギを蓄積することもできる。例えば、電力コストが比較的低く、温水が間もなく必要となることが予測可能である場合(電力量が大きくなる可能性が高い場合、または電力量が今後大きくなることが既知である場合には、コストも大きくなる可能性が高い)、ヒートポンプを通常よりも高い温度で運転して熱エネルギ蓄積部を「過熱」させることが有意となりうる。
【0095】
ワックスの適切な選択は、n-トリコサンC23またはパラフィンC20~C33などの約48℃の融点を有するものであってよい。熱交換器の前後で(ヒートポンプによって供給される液体と熱交換器内の相変化材料との間に)標準的な3Kの温度差を適用すると、ヒートポンプ液体の温度は約51℃となる。出力側でも同様に3Kの温度低下が可能となり、水温は45℃となるが、これは、一般的な家庭用温水にとって十分な温度であり(キッチンタップに対して十分な温度であり、シャワー/バスルームタップに対しては場合により少し温度が高すぎるかもしれない)、ただし、水温を下げるために冷水を水流に加えることができることも明らかである。もちろん、当該世帯がより低い温水温度を受容するとのトレーニングがなされている場合、または何らかの他の理由でより低い温水温度を受容できる場合には、潜在的により低い融点を有する相変化材料を考慮することができるが、一般的には45℃~50℃の範囲の相転移温度が良好な選択となる可能性が高い。本発明者らがこうした温度での水の蓄積によるレジオネラのリスクを考慮しようとしていることも明らかであろう。
【0096】
ヒートポンプ(例えば地熱源ヒートポンプまたは空気源ヒートポンプ)は、60℃までの動作温度を有する(ただし、冷媒としてプロパンを使用することにより、72℃までの動作温度が可能となる)が、45℃~50℃の範囲の温度で運転される場合、その効率は格段に高くなる傾向にある。したがって、本発明者らによる48℃の相転移温度からの51℃は満足のいくものとなるはずである。
【0097】
また、ヒートポンプの温度性能も考慮する必要がある。一般的に、最大ΔT(ヒートポンプによって加熱される流体の入力温度と出力温度との差)は、好ましくは5℃~7℃の範囲に維持されるが、10℃に達することもある。
【0098】
パラフィンワックスはエネルギ蓄積媒体としての使用にとって好ましい材料であるが、唯一の適切な材料ではない。塩水化物も本発明の潜熱エネルギ蓄積システムに適している。当該文脈における塩水和物は無機塩と水との混合物であり、その水の全てもしくは大部分を失うことを含む相変化を伴う。相転移時に、水和物結晶は、無水塩(または低水性の塩)と水とに分割される。塩水和物の利点は、パラフィンワックスよりも格段に高い(2~5倍高い)熱伝導率を有し、相転移に伴う体積変化が格段に小さいことである。本願に適する塩水和物は、約48℃~49℃の融点を有するNa223.5H2Oであり、これは、200/220kJ/kgの潜熱を有する。
【0099】
単にエネルギ蓄積の観点から、40℃~50℃の範囲を大幅に上回る相転移温度を有するPCMを使用することも考慮可能である。例えば、広範囲の融点を有するパラフィンワックス、すなわち、
約40℃の融点を有するn-ヘニコサンC24
約44.5℃の融点を有するn-ドコサンC21
約52℃の融点を有するn-テトラコサンC23
約54℃の融点を有するn-ペンタコサンC25
約56.5℃の融点を有するn-ヘキサコサンC26
約59℃の融点を有するn-ヘプタコサンC27
約64.5℃の融点を有するn-オクタコサンC28
約65℃の融点を有するn-ノナコサンC29
約66℃の融点を有するn-トリアコサンC30
約67℃の融点を有するn-ヘントリアコサンC31
約69℃の融点を有するn-ドトリアコサンC32
約71℃の融点を有するn-トリアトリアコサンC33
約58℃~60℃の融点を有するパラフィンC22~C45
約66℃~68℃の融点を有するパラフィンC21~C50
約69℃~71℃の融点を有するRT70HC
が利用可能である。代替的に、約58℃前後の融点を有するCH3COONa.3H2Oのような塩水和物も利用可能であり、226/265kJ/kgの潜熱を有する。
【0100】
図3には、複数の制御可能な水出口(詳細には後述する様々なタップおよびシャワー)と、制御可能な流出温度を有する少なくとも1つの出口307を有する温水供給部305と温水供給部305と複数の制御可能な水出口との間の水流路に配置された、流出温度を検出する少なくとも1つの第1の温度センサ309と、少なくとも1つの流量測定装置310と、少なくとも1つの流量調整器315とを備えた、建物内温水供給設備300が概略的に示されている。温水供給部305は、図1および図2に示したような設備によって提供されてもよい。
【0101】
プロセッサ320は、少なくとも1つの流量測定装置310および少なくとも1つの流量調整器315に動作可能に接続されている。図示の給水設備は、マスターバスルーム321、第1のエンスイートシャワールーム322、第2のエンスイートシャワールーム323、トイレ324およびキッチン325を有する住居を表している。マスターバスルームおよび第1のエンスイートシャワールームは住居の同じ階にあってよく、一方、トイレ、第2のエンスイートおよびキッチンは住居の別の階にあってよい。このような状況において、図示されているように、水を様々な出口へ供給するために、2つの別個の回路330および331を設けることが便利でありうる。2つの回路330および331は、温水供給部の単一の出口307から供給され、単一の温度センサ309を用いて調整されるものとして示されているが、2つの回路330および331がそれぞれ異なる出口307から供給され、各出口307にそれぞれ関連する固有の温度センサ309が設けられて2つの出口307の温度が別個に調整可能であるものであってよいことが理解される。出口307における水の温度は、固定もしくは可変の温度の源からの温水と冷水とを混合することによって調節可能であり、または電気加熱要素もしくはガス燃焼式ヒータのような熱源へ導入されるエネルギを制御することによっても調節可能である。一般的にヒートポンプと組み合わされるPCMエネルギ蓄積装置を備えた温水システムにつき後述するが、このようなシステムでは、一般的に冷水供給部からの冷水を種々の割合で混合することによって温水供給温度を調節することができる。このようなシステムは、PCMエネルギ蓄積装置の下流に配置されてシステムプロセッサによって制御される瞬間熱源(例えば電気加熱要素)を含むものもあり、このような設備では、温水供給温度の制御は、瞬間湯沸器に供給されるエネルギ量を制御することを含み、さらに場合により冷水供給部からの冷水を種々の割合で混合することによって行うことができる。
【0102】
マスターバスルーム321は、シャワー出口335、浴槽タップもしくは浴槽蛇口336、およびシンク用タップ337を含むものとして示されている。また、エンスイートシャワールーム322および323は、シャワー出口335およびシンク用タップ337を含む。これらとは異なり、トイレには、水洗便器(図示せず)と、タップ338を備えた手洗い器とが含まれている。最後に、キッチンは、タップ339を備えたシンクを有する。
【0103】
関連するメモリ341を有するプロセッサまたはシステムコントローラ340が、少なくとも1つの流量測定装置310と少なくとも1つの流量調整器315とに接続されている。2つの回路330および331のそれぞれに対応するそれぞれの流量測定装置310および流量調整器315が設けられていることを理解されたい。さらに、プロセッサは、任意選択手段として、1つもしくは複数の温度センサ343、すなわち回路330および331のそれぞれに対する1つずつの温度センサに接続されている。上述したように、当該プロセッサは、エネルギバンクに関連付けることができる。
【0104】
プロセッサは、Wi-Fi、Bluetoothなどを介した双方向通信のために、少なくとも1つのRF送信機および少なくとも1つのRF受信機を含むRF通信機342に接続可能であり、好ましくは、サーバまたは中央局345および任意選択手段としてのセルラ無線ネットワーク(例えばLTE、UMTS、4G、5Gなど)への接続のために、インターネット344にも接続可能である。RF通信機342および/またはインターネットへの接続により、プロセッサ340は、建物内給水設備を構成する(および任意選択手段としてマッピングする)ために設置技術者により使用される、例えばスマートフォンまたはタブレットであってよいモバイルデバイス350と通信することができる。モバイルデバイス350は、システムコントローラ340内の、また場合によってはサーバ345内の、対応するソフトウェアと協働するソフトウェア、例えば特定のアプリを含んでおり、これにより、本発明の実施形態による構成する方法(および任意選択手段としてのマッピングする方法)が可能となり、特に、技術者によって行われたアクションがシステムコントローラ340/サーバ345のクロックに同期される。メモリ341は、例えば新規の設備のコミッショニングプロセス中、プロセッサが建物内給水設備のプロセッサを構成する方法(および任意選択手段としてマッピングする方法)を実行することを可能にするためのコードを含む。
【0105】
コミッショニングプロセス中、温水供給設備300を構成するために、技術者に対し、特定の温水出口、例えば特定のタップまたはシャワー出口の下方の温度センサを直接にセットアップし、特定の時点で当該出口を完全に開放するように求めることができる。システムプロセッサは、流量、流出温度と供給温度との差、時間遅延、および好ましくは室外温度(外部の温度センサから供給されたデータ)を測定するように構成されている。これは、アルゴリズム(例えばMLA)が、分配システムを通ったことによる熱損失、温水源から出口(タップまたはシャワー出口)までの距離を計算することを可能にし、最終的には、該当する制御可能な出口(例えばタップ)において正確な水温を達成するために107での流出温度を正確に調節することを可能にする。例えば、世帯に子供が含まれる場合、例えばキッチンシンクを除く全ての出口に対する温度最大値を40℃または41℃に制限することができるのに対して、世帯内に乳児がいる場合、温度最大値を37℃に制限することができる。子供がいない場合でも、キッチンシンク以外の全ての出口の温度最大値を43℃に設定することができ、場合によってはシャワー出口の温度最大値を41℃に設定することができる。
【0106】
システムはまた、温水流出を手洗い器およびシンクなどの幾つかのクラスの水出口に制限し、場合によってはシャワーのみに制限するように設定可能であり、出口のクラスごとにそれぞれ異なる流量最大値を設定し、かつ/または特定の出口に対して特定の流量最大値を設定することができ、したがって、例えば子供が使用するバスルームおよびトイレに対してはより小さい流量が設定される。温度最大値および流量最大値の決定は、システム供給者から提供される規則に基づいて行われうる。ヒートポンプおよびPCMベースのエネルギ蓄積装置を使用する温水供給システムについては後述するが、このようなシステムは、温度および流量の制御の賦課から大いに利益を得る。なぜなら、中程度以下のサイズの1~3個の居室を有する住居の暖房必要に従って寸法設計されたヒートポンプは、一般的には、大型の温水蓄積タンクを設けることなく瞬間湯沸器の世帯需要を満たすことのできる加熱能力を有さないからである。温水の流量および温度を管理することにより、他の手段によって適応化されるべきエネルギ不足の規模を最小限に抑えつつ、温水蓄積部を設ける必要を排除することが可能となりうる。設備がPCMエネルギ蓄積装置およびヒートポンプを含む場合、システム供給者は、典型的には、出口タイプおよび世帯構成に基づいて、温度および流量の適切な値でプロセッサを事前にプログラミングする。
【0107】
出口タイプおよび世帯構成に基づく温度および任意選択手段としての流量のデータベースは、インターネットを介してシステムコントローラで利用可能であり、適切な時点ごとに更新される。システムコントローラに対するユーザインタフェースは、居住者および/またはサービス技術者が、世帯構成の変化、さらに乳児、子供もしくは高齢者もしくは弱者を含む客の到来に応じて、例えばユーザがより低い温度最大値および/またはより小さい流量を設定できるようにするために、様々な設定を調節する手段を提供することができる。
【0108】
図4には、このような、複数の制御可能な温水出口、例えば複数のタップと1つもしくは複数のシャワー出口とを備えた温水供給設備を構成する方法が概略的に示されている。設備におけるエネルギ使用効率を改善する目的で、システムプロセッサは、各出口の下に配置されるポータブル温度センサ800と組み合わされて使用される(ただし、全ての出口に対して同一のセンサが使用されるのではなく、2個以上のセンサを使用できることは明らかである)。
【0109】
設置者は、該当するタップを開放するように、好ましくは可能な限り迅速にその最大開放位置までタップを開放するように設置者に指示する命令をプロセッサから受信することのできる、スマートフォン上のアプリ、例えばまたは他の何らかの無線送受信ユニット(WTRU)上のアプリを有することができる。
【0110】
したがって、図4の時間に関する流量のプロットに示されているように、設置者の反応時間に起因して、温水システムを通って出口を出るまでに(1度に1つの出口のみが開放されるため)、ゼロからT1での最大値までにかかる初期遅延(時間T0~T1)が生じる(当該最大値は、温水システムの各出口に対して異なりうるものであり、かつ各出口に特有でありうる)。あるいは設置者は、WTRUを使用して、またはより典型的にはWTRU上のアプリを使用して、一致した/識別されたタップが現時点で開放されていることをプロセッサに通知することができる。
【0111】
いずれの場合にも、プロセッサは、制御可能な流出温度を有する出口を備えた温水源305の出口307における温度センサ309からの情報も受け取る。ポータブル温度センサ800は、さらに好ましくは、(好ましくはプロセッサのシステムクロックに同期された)内部クロックと、時間および温度の情報をリモートプロセッサ140と通信するためのRF部(例えばWi-Fi、BluetoothまたはIMS)とを含む。図4の時間に関する温度のプロットは、ポータブルセンサ800によってセンシングされる温度が最初は低いままであり、次いで時点T1後の幾らかの時間で、時点T2の安定した最大値へと上昇する様子を示している。また、ポータブルセンサ800によってセンシングされる検出温度最大値(時間T1~T3)は、制御可能な流出温度を有する温水源の出口107における温度よりもΔTだけ低いことも見て取れる。
【0112】
温度センサ800は、自身が収集したデータ(時間対温度)を、イベント後にのみ、すなわち有線ダウンロードプロセスまたはNFCを使用してシステムプロセッサ340に供給するように構成可能であるが、これは、一般的に、既述したような直接のRF通信部を設ける場合ほど十分ではないことを理解されたい。
【0113】
温水供給システムを構成する方法および温水供給設備から送出される水の温度を制御する方法につき上述した説明は適用を容易にするために意図的に単純なものとしたが、これらの方法は、図1図3を参照して前述したように、PCMエネルギ蓄積装置およびヒートポンプを含む設備にも同様に適用されることを理解されたい。
【0114】
ここで、本発明の一態様による設備を制御する方法を、図5を参照して説明する。図5は、本発明の第3の態様または第4の態様のいずれかの変形形態による設備に関連付けられた、プロセッサによって実行される様々な動作を示す概略的なフローチャートである。
【0115】
ここでの方法は、520において、1つもしくは複数の状態センサ24からの情報に基づいて、相変化材料に潜熱として蓄積されたエネルギの量を決定することから開始される。
【0116】
次いで、ステップ530で、上記の決定に少なくとも部分的に基づいて、プロセッサが、ヒートポンプに開始信号を供給するかどうかを決定する。PCMの状態に加えてプロセッサが考慮可能な様々の要因については、本明細書において後に紹介および説明する。
【0117】
図6は、本発明の第3の態様または第4の態様のいずれかの変形形態による設備に関連付けられた、プロセッサによって実行される様々な動作を示す別の概略的なフローチャートである。
【0118】
ここでの方法は、600において、プロセッサが温水供給システムの出口の開放を示す信号を受信することから開始される。当該信号は、例えば、温水供給システム内のまたは温水供給システムに対する冷水供給部内の流量センサ138から到来したものでありうる。602で、プロセッサは、例えば開放された出口のIDもしくはタイプに基づいて、または瞬時流量に基づいて、温水供給システムからの温水需要を推定する。プロセッサは、推定された需要と第1の需要レベル閾値とを比較する。推定された需要が第1の需要レベル閾値を上回る場合、プロセッサは、604で、ヒートポンプ開始メッセージを形成する。推定された需要が第1の需要レベル閾値を下回る場合、プロセッサは、この推定された需要を、第1の需要レベル閾値よりも低い第2の需要レベル閾値と比較する。推定された需要が第2の需要レベル閾値を下回る場合、プロセッサは、606で、ヒートポンプ開始メッセージを形成しないことを決定する。
【0119】
推定された需要が第1の需要レベル閾値と第2の需要レベル閾値との中間にある場合、プロセッサは、608で、エネルギバンクのエネルギ蓄積レベルを考慮する。これは、プロセッサがエネルギバンクのエネルギ蓄積レベルを新たに確立することを含みうるが、またはプロセッサがエネルギバンクのエネルギ蓄積レベルにつき最近形成した情報を使用することもできる。
【0120】
エネルギバンクのエネルギ蓄積レベルが第1のエネルギ蓄積レベル閾値よりも大きいことが判別された場合、プロセッサは、604で、ヒートポンプ開始メッセージを形成しないことを決定する。反対に、エネルギバンクのエネルギ蓄積レベルが第1のエネルギ蓄積レベル閾値よりも小さいことが判別された場合には、プロセッサは、606で、ヒートポンプ開始メッセージを形成することを決定する。
【0121】
ここで、本発明の一態様による設備を制御する方法を、図7を参照して説明する。図7は、図1に示したエネルギバンクに関連付けられた、プロセッサによって実行される様々な動作を示す概略的なフローチャートである。ここでのプロセスは、700において、プロセッサ130が温水供給システムにおける水流を検出した時点で開始される。検出は、好ましくは図1の流量センサ138のような流量センサからのデータに基づいて行われるが、代替的に、温水供給システムにおける圧力センサからのデータに基づいて行われてもよい。該当するセンサは、測定データをプロセッサ130に連続的に供給するように構成可能であるが、または測定データの変化のみを報告するように構成されてもよく、またはプロセッサが該当するセンサを連続的にもしくは周期的に(例えば1秒あたり少なくとも1回)読み出してもよい。
【0122】
702において、プロセッサ130は、センサからのデータによって示される流量が高い流量または低い流量を示すかどうか、例えば特定の閾値を上回る流量または下回る流量を示すかどうかを判別する。プロセッサは、流量を高、中または低としてカテゴリ分類するための2つ以上の閾値を使用することもできるし、またはカテゴリが超高、高、中および低を含むようにしてもよい。また、きわめて低い流量または最小限の流量のカテゴリも存在しうる。プロセッサ130には、温水供給システムの各出口122または各出口タイプでの流量および流れ特性に関する情報が(例えばデータベース、モデルまたはMLAの形態で)(例えば本願において後述するような技術を用いて)提供可能であり、この場合、プロセッサは、特定の出口122または特定の出口タイプ(シャワー出口、浴槽出口、キッチンシンク出口、手洗い器出口)に関連付けられる、検出された流量を特徴付ける。
【0123】
判別によって温水の需要が低いことが示された場合703、プロセッサは、ステップ704において、少なくとも状態センサ124からの情報に基づいて、パワーバンク110の状態を考慮する。プロセッサ130は、この段階で状態センサ124(例えば圧力センサ)に質問することができ、またはエネルギバンクが高エネルギ状態705(使用されるエネルギバンクの利用可能な潜熱容量の割合が大きい)にあるかもしくは低エネルギ状態706(使用されるエネルギバンクの利用可能な潜在的な潜熱容量の割合が小さい)にあるかにつき、最も新しく更新されたエネルギバンク状態を検査することができる。プロセッサはまた、例えばエネルギバンク110内に蓄積されている顕熱エネルギを考慮するために、温度センサ126からの情報も考慮することができる。プロセッサ130は、高エネルギ状態を判別した場合、ヒートポンプに開始命令を送信しないことを決定し、707でプロセスを終了する。プロセッサ130は、低エネルギ状態を判別した場合には、706において、開始命令をヒートポンプに送信すること722を決定することができる。
【0124】
判別によって温水の需要が高いことが示された場合708、プロセッサは、次いで、ステップ709において、少なくとも状態センサ124からの情報に基づいて、パワーバンク110の状態を考慮することができる。プロセッサ130は、この段階で状態センサ124に質問することができ、またはエネルギバンクが高エネルギ状態710(使用されるエネルギバンクの利用可能な潜在的な潜熱容量の割合が大きい)にあるかもしくは低エネルギ状態712(使用されるエネルギバンクの利用可能な潜在的な潜熱容量の割合が小さい)にあるかにつき、最も新しく更新されたエネルギバンク状態を検査することができる。プロセッサはまた、例えばエネルギバンク110内に蓄積されている顕熱エネルギを考慮するために、温度センサ126からの情報も考慮することができる。プロセッサ130は、高エネルギ状態710を判別した場合、任意選択手段として、ステップ714において、予測される温水需要を決定する。なお、代替的に、温水需要を予測することなく、(クロスハッチング矢印711によって示されているように)単に流量の大きさに基づいて、ヒートポンプを開始させるための命令を発する722ようにプロセッサが構成されてもよい。
【0125】
ステップ714において、プロセッサ130は、決定された水出口のID(すなわち特定の出口)またはタイプを考慮して、温水需要を予測することができる。例えば、出口がキッチンシンク出口であると識別された場合、タップが130秒超から数分にわたって作動される可能性は低い。一方、出口が浴槽タップである場合には、120リットル~150リットルの温水が必要となりうるので、タップは数分間開放されたままとなる可能性が高い。
【0126】
第1の状況では、プロセッサ130は、716で、開始信号をヒートポンプに送信しないことを決定し、これに代えて、プロセスを終了するか、またはより好ましくは流れがどれだけの時間続くかを見るために718において流量の監視を続行する。流れが予測された時間内に停止すれば、プロセスは720で終了するが、水流が予測よりも長く続く場合には、プロセッサは、719でステップ709へ戻る。第2の状況では、プロセッサ130は、721で、ヒートポンプへ開始信号を送信すること722を決定する(矢印711は、単に瞬時流量に基づいて、または単に温水供給システムからの温水の大量引き出しに関連しているとされる出口(または出口タイプ)の識別に基づいて、ヒートポンプを開始させる決定を示す)。
【0127】
722において(706または721における判別から)ヒートポンプを開始させた後、プロセッサ130は、724へ移行し、ここでの状態がヒートポンプをオフにする信号726を送信するためのいずれかのチャージレベル閾値に達する725まで、パワーバンクの状態を(周期的にまたは連続的に)監視する。
【0128】
図8は、図1のプロセッサ130のような、エネルギバンクに関連付けられたプロセッサによって実行される様々な動作を示す別の概略的なフローチャートである。図7を参照して説明した方法とは異なり、図8の方法は、温水の呼び出しの検出に依存せず、すなわち、温水システムの出口の開放に依存しない。全体として、図8は、設備を制御する方法を示しており、当該方法は、相変化材料に潜熱として蓄積されたエネルギの量を決定することと、この決定に基づいて、ヒートポンプに開始信号を供給するかどうかを決定することとを含む。理解されるように、任意選択手段であるが好ましいステップが、相変化材料に潜熱として蓄積されたエネルギの量を決定するステップと、この決定に基づいて、ヒートポンプに開始信号を供給するかどうかを決定するステップとの間に行われてもよい。
【0129】
ここでの方法は、ステップ800において、プロセッサ130がエネルギバンク110の相変化材料に潜熱として蓄積されたエネルギの量を推定することから開始される。熱量は、単位KJの絶対量であってよいが、同様に、単に現在利用可能な潜在的な潜熱容量の割合の尺度であってもよい。換言すれば、プロセッサは、依然として高エネルギ状態を有する相にある相変化材料の割合を効果的に決定することができる。したがって、例えば、相変化材料が液体から固体への相変化を伴うパラフィンワックスである場合、液相は、溶融の潜熱が組み込まれた高エネルギ相であり、固相は、溶融の潜熱が固化の際に解放された低エネルギ相である。
【0130】
潜熱として蓄積されるエネルギ量が十分である場合802、すなわち予め定められたいずれかの閾値を超過しているとプロセッサが判別した場合、方法は、プロセスを停止するステップ804へ進行し、プロセッサは次の検査800を待機する。
【0131】
潜熱として蓄積されるエネルギ量が十分でなく806、すなわち予め定められたいずれかの閾値以下であるとプロセッサが判別した場合、方法はステップ808へ進行する。ステップ808では、プロセッサが、到来する期間内(例えば、次の30分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内または4時間以内)の大きな温水需要の見込みを決定する。考慮される期間は、エネルギバンクの熱容量、決定されたエネルギ不足の大きさ、および当該状況下でエネルギバンクを再チャージするためのヒートポンプの容量についての要因である。予測されるもしくは予想される需要に対処できるようエネルギバンクを最適にチャージする(場合によってはフルチャージする)ために、考慮される需要期間は、ヒートポンプが当該期間内にエネルギバンクを十分に再チャージできる大きさとすべきであることを理解されたい。逆に、エネルギバンクが放射、伝導もしくは対流によって大量のエネルギを失うことになるので、予測されるもしくは予想されるエネルギ需要に対してあまりに長い時間先行して、エネルギバンクの再チャージにヒートポンプを使用するべきではない。
【0132】
プロセッサは、データベース、モデル、カレンダまたはスケジュールに依拠することができ、これらのうちのいずれかおよび全てが、学習された挙動および挙動パターンならびにスケジューリングされたイベント(例えば、スケジューリングされた不在もしくは幾つかの他の場所についてスケジューリングされたイベント)を含むことができる。プロセッサは、例えばインターネットもしくは無線放送を介してかつ/または外部温度計から(プッシュ方式または受信によって)提供される、局所的な天気予報へのアクセスを有することもできる。
【0133】
プロセッサが当該期間内の大きな温水需要の見込みが低いことを判別した場合810、方法は、プロセスを停止するステップ804へ移行し、次の検査800を待機する。
【0134】
プロセッサが当該期間内の大きな温水需要の見込みが高いと判別した場合812、方法はステップ814へ進行し、ここでヒートポンプがオンにされる。すなわち、例えば、プロセッサ130がヒートポンプ116に命令を送信し、ヒートポンププロセッサ132がヒートポンプ開始手順を開始し、その後、ヒートポンプが熱交換器の入力側へ熱を供給し、これによりエネルギが相変化材料内へ導入される。この場合、プロセッサは、ステップ816で、十分なエネルギが相変化材料の潜熱としてエネルギバンク内に現時点で蓄積されているかどうかを繰り返し判別する。十分なエネルギが相変化材料の潜熱としてエネルギバンク内に現時点で蓄積されていることをプロセッサが判別した場合818、方法はステップ820へ進行し、ヒートポンプは、例えばプロセッサ130が適切な命令を送信することによってオフにされる。蓄積されているエネルギが不十分であることをプロセッサが判別する限り、方法は続行される。
【0135】
再び図1を参照すると、エンクロージャ内の圧力を測定する1つもしくは複数の状態センサ124を設けることに代えてまたはこれに加えて、PCMの透明性、吸収度、屈折、屈折率などの光学特性を測定するための他のタイプのセンサを設けることができる。なぜなら、これらの様々な特性はPCMの相転移に伴って生じるからである。さらに、これらの様々な特性は、相変化に伴って変化する波長依存性を示しうる。
【0136】
したがって、エネルギバンクはさらに、光を相変化材料内へ入射させるための1つもしくは複数の光源を含むことができ、1つもしくは複数の状態センサ124は、光が相変化材料を通過した後、光源から出射した光を検出するための光センシング装置を含むことができる。相変化材料における各相間の変化は相変化材料の光学特性の可逆的な変化を生じさせるので、PCMの光学特性の観察を使用して、PCMの状態に関する情報を収集することができる。好ましくは、PCMの光学特性は、PCMの幾つかの領域において、好ましくは材料内のそれぞれ異なる方向で観察される。例えば、光源およびセンサを、この源からの光が1つもしくは複数の位置でPCMを長手方向に通過するように配置することができ、他の光源および他のセンサを、この他の源からの光が1つもしくは複数の位置でPCMを幅方向の1つもしくは複数の方向で(幅および/または厚さを通って)通過するように、配置することができる。
【0137】
光源は、それぞれ異なる色の光を形成するように制御可能であってよく、光学センシング装置は、それぞれ異なる色のうちの少なくとも幾つかを検出するように構成可能である。任意の用途のために選択された特定のPCMに基づいて、光の適切な色を選択することにより、PCMの相が変化する範囲をより正確に決定することができる。好ましくは、光源は、別個に作動可能な複数の装置を備える。光センシング装置を、この光センシング装置から受信された情報に基づいて相変化材料に蓄積されたエネルギの量を推定するように構成されたプロセッサに接続することにより、PCMに潜熱として蓄積されたエネルギの量を決定する手段が提供され、この情報をヒートポンプの制御に使用することができる。特に、当該情報により、PCMエネルギバンクのチャージにおけるヒートポンプをより効率的にかつ適切に使用可能にすることができる。
【0138】
別の任意選択手段として、相変化材料に潜熱として蓄積されているエネルギの量を表す測定データを供給する1つもしくは複数の状態センサ124は、相変化材料内へ音響を発するように構成された音響源と、この音響が相変化材料を通過した後に音響源から発せられた音響を検出する音響センシング装置とを含むことができる。相変化材料における各相間の変化は、相変化材料の吸音特性の可逆的な変化を生じさせるので、PCMの音響特性を観察を使用して、PCMの状態に関する情報を得ることができる。音響源は、超音波を形成するように構成されていてよい。
【0139】
図3を参照して説明したコミッショニングプロセス中、プロセッサ/システムコントローラ340により、全ての温水出口(例えばタップ、シャワー、バス、キッチン)を定義するように、または換言すればシステムをマッピングするように、技術者に求めることができる。当該プロセスにおいて、システムコントローラは、各出口(タップ、シャワー出口など)を順次に完全に開放し、それぞれ閉鎖してから次の出口を開放し、生じる水流を該当する流量測定装置310によって監視するように、技術者に求める。当該プロセス中、該当する流量測定装置310が水流を測定し、プロセッサがこれらのデータを受信して、結果をデータベースに追加する。これらの情報に基づき、システムは、いずれかの出口が開放されたときに該当する流れ制御装置315を制御することによって、各個別タップへの最も効率的な流れを引き続き提供することができる。
【0140】
ここで、本開示の第1の態様による建物内給水設備をマッピングする方法を、図3を参照して説明する。
【0141】
方法は、複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口を開放し、少なくとも第1の流れ特性が決定されるまで、少なくとも1つの流量測定装置310からの信号を処理し、その後、複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口を閉鎖することを含む。複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口の開放は、好ましくは、該当する技術者が携行するモバイルデバイス350へメッセージを送信するプロセッサまたはシステムコントローラ340によって指示される。例えば、Wi-Fiによって命令が送信され、マスターバスルーム321内の温水浴槽タップ336を開放するように技術者に指示することができる。この場合、モバイルデバイス350を携行した技術者は、マスターバスルームへ移動し、温水浴槽タップ336を完全に開放させる。モバイルデバイスは、技術者に対し、タップを開放すべき正確な時点を通知するためのプロンプトを、好ましくは可聴の形態で、またカウントダウンによって、提供することができる。
【0142】
代替的に、モバイルデバイス上のアプリを、タップ336が開放された時点で、技術者からの入力、例えばボタンの押下もしくは解放などを受け取るように構成することもできる。いずれの場合にも、アプリは、上記のプロンプトまたは上記の時点についてのローカル時間を捕捉し、次いで、該当する制御可能な出口のIDと共に、このローカル時間をシステムコントローラ340またはサーバ345に送信することができる。このようにして、プロンプトがモバイルデバイス350に到達した際の遅延、または命令がコントローラ340もしくはサーバ345に到達した際の時間遅延を考慮することができる(モバイルデバイス350およびシステムコントローラ340は、好ましくはマッピングプロセスの前または後にいずれかのハンドシェイク手順を実行し、2つの装置の各クロック間のオフセットを弱めることができるかまたはこれらを同様に考慮することができる)。
【0143】
次に、技術者は、家屋を巡回しながらアプリのリストまたはメニューから出口のIDを選択するかまたは一意の識別子を入力して、各出口を順に開放し、作業を行うことができる。あるいは、全タップのリストなど(一般的には「制御可能な出口」)がシステムコントローラに既に提供されている場合には、モバイルデバイス350に別のメッセージを送信することによって、該当する出口へ移動するように技術者に促すことができる。アプリは、好ましくは、技術者がシステムコントローラ340/サーバ345にメッセージを送信するための任意選択手段を含み、技術者は、所定の位置において次の制御可能な出口を開放するための命令を受け取ることができる。その後、全ての出口およびその流れ特性、すなわち流量検出までの遅延、流量の増大率、流量最大値および識別可能な任意の他の特性が捕捉されてデータベースに記憶されるまで、他の各温水出口に対して上記のプロセスが繰り返される。この場合、データベースに記憶された特性を使用することによって、プロセッサ340は、引き続き、検出された流れ特性と対応するそれぞれの流れ特性との類似度に基づき、複数の制御可能な水出口のうちの特定の1つの水出口の開放を識別することができる。
【0144】
また、プロセッサに、好ましい流量および任意選択手段としての流出時間に関する幾つかの規則を設け、出口タイプ(浴槽タップ、キッチンタップ、手洗い器タップ、トイレタップ)およびその位置(例えばメインバスルーム、エンスイート、子供部屋、大人部屋、トイレ、キッチンなど)に基づいて、検出された流れ特性から認識された出口IDと共に、こうした規則を使用する。この場合、目標流量は、該当する流れ制御装置315を制御することにより、システムコントローラ340によって課され、好ましくは対応する流量測定装置310によって監視される。このようにして、該当する出口の識別に基づいて、少なくとも1つの流量調整器を制御することにより、プロセッサ340は、識別された制御可能な水出口への水の供給を制御することができる。
【0145】
対応する流れ特性のそれぞれが、それぞれの安定した流量を含むことができる。この場合、方法はさらに、それぞれの安定した流量に基づいて、複数の制御可能な各水出口のそれぞれに対して少なくとも10%の流量カットが課されるよう、少なくとも1つの流量調整器315を制御するように、プロセッサ340を構成することを含みうる。任意選択手段として、方法はさらに、それぞれの安定した流量に基づいて、毎分7リットル超のそれぞれの安定した流量を有する複数の制御可能な水出口のうちのいずれかに対して少なくとも10%の流量カットが課されるよう、少なくとも1つの流量調整器315を制御するようにプロセッサ340を構成することを含みうる。このことは、タップが多くの場合に手洗い用の水の供給のために主に使用され、きわめて小さな流量を効果的に達成することのできる、バスルーム、エンスイートおよび特にトイレの手洗い器において用いられるタップに適している。
【0146】
温水供給設備をマッピングする上述した技術は、データベースまたはロジックトレイン、例えばニューラルネットワークまたは機械学習アルゴリズム(MLA)を形成するために使用可能であるが、これは、上述したエネルギバンクに関連付けられたプロセッサによって使用可能であり、これにより、プロセッサは、検出された流れ挙動から特定の出口もしくは出口タイプをより良好に識別することができ、ひいては温水供給部からの温水の需要をより容易に推定することができる。このことにより、さらに、ヒートポンプの制御およびエネルギバンクの使用の効率を改善することができる。
【0147】
これまで、熱エネルギ蓄積部につき、主として、それぞれ1つもしくは複数のコイルまたはループの形態の入力回路および出力回路を有する熱交換器内に単一の相変化材料塊を有するものとして説明してきた。しかし、例えば熱伝導率の観点から、複数のシールされたボディ内、例えば金属(例えば銅または銅合金)円筒(または他の細長い形状)内に相変化材料を封入することも有益であり、ここでの相変化材料は熱伝導流体によって包囲され、この熱伝導流体から(好ましくは(家庭内の)温水システムに温水を供給するために使用される)出力回路が熱を抽出する。
【0148】
このような構成では、熱伝導液体は、熱交換器に封入されていてもよいし、またはより好ましくはエネルギ蓄積部を通って流れてもよく、エネルギ蓄積部内で入力熱伝導コイルを使用することなく、グリーンエネルギ源(例えばヒートポンプ)から熱を伝導する熱伝導液体であってもよい。このように、入力回路は、単純に1つの(またはより一般的には複数の)入口と1つもしくは複数の出口とによって設けることができ、これにより、熱伝導液体は、コイルもしくはその他の通常の導管によって制限されることなく、熱交換器内を自由に通過し、封入されたPCMへ、または次いで封入されたPCMから出力回路へ(つまり出力回路内の水へ)、熱を伝導する。このようにして、入力回路は、熱伝導液体の1つもしくは複数の入口と1つもしくは複数の出口とによって定義され、自由形状の流路が封入されたPCMを通過し、エネルギ蓄積部を通る。
【0149】
好ましくは、PCMは、離間した1つもしくは複数の配置で(例えば離間した複数の管をそれぞれ有する互い違いの行列で)、複数の細長い閉端の管に封入されており、ここで、熱伝導流体は、好ましくは、入口から出口までの経路に沿って、または入力コイルが使用されている場合には熱エネルギ蓄積部内に設けられた1つもしくは複数のインペラによって配向されて、横方向に(または管もしくは管を包囲する他の封入物の長さに対する横断方向に)流れるように配置される。
【0150】
任意選択手段として、出力回路は、エネルギ蓄積部の上部に、かつ封入されたPCMの上方に配置可能であり、ここで、出力回路の容器は、水平方向では、入力ループ上またはコイル上に(対流がエネルギ蓄積部を通って上昇するエネルギ伝達を支援するように)配置可能であり、または熱伝導流体が到来する入口方向では、封入されたPCMに対向するように、さらに任意選択手段として上記の出力回路へ向かって、配置可能である。1つもしくは複数のインペラが使用される場合、好ましくは、当該インペラまたは各インペラは、外部に取り付けられたモータに磁気的に結合されるので、エネルギ蓄積部のエンクロージャの完全性が損なわれることはない。
【0151】
任意選択手段として、PCMは、20mm~67mmの範囲、例えば22mm、28mm、35mm、42mm、54mmまたは67mmの公称外径を有する、典型的には円形断面の細長い管に封入可能であり、典型的には、この管は、配管用途に適した銅から形成される。好ましくは、管は22mm~54mm、例えば28mm~42mmの外径を有する。
【0152】
熱伝導流体は、好ましくは水または水性液体、例えば流動添加剤、腐食防止剤、凍結防止剤、殺生物剤のうちの1つもしくは複数と混合された水であり、例えば中央加熱システムでの使用のために設計されたタイプの防止剤、例えばSentinel X100またはFernox F1(双方ともRTMである)を水中で適切に希釈した複合物であってよい。
【0153】
したがって、本願の説明および特許請求の範囲を通して、入力回路なる語は、文脈が明らかに他の意味を要求していない限り、上述した配置構成を含むものと解釈されるべきであり、ここで、入力回路の入力部から出力部への液体流路は、通常の導管によって定義されているのではなく、むしろエネルギ蓄積部のエンクロージャ内を実質的に自由に流れる液体に関するものである。
【0154】
PCMは、円形または略円形の断面を有する複数の細長い円筒に封入されていてよく、各円筒は、好ましくは1列以上の間隔を置いて配置されている。好ましくは、隣り合う列の各円筒は、熱伝導流体からの熱伝導および熱伝導流体への熱伝導を容易にするために相互にオフセットされている。任意選択手段として、複数の入力ノズルの形態であってよい1つもしくは複数の入力ポートによって熱伝導液体が封入ボディの周りの空間へと導入され、当該1つもしくは複数の入力ポートは、入力マニホールドによって供給される封入ボディへ向けて、また封入ボディ上へと、入力された熱伝導流体を配向する。出力部におけるノズル孔は、一般的に円形断面を有していてよく、または封入されたPCMにより効果的に熱を伝導する液体ジェットもしくは液体流が形成されるように細長くてもよい。マニホールドは、流量を増大させかつ圧力損失を低減する目的で、単一の端部または両側の端部から供給可能である。
【0155】
熱伝導液体はグリーンエネルギ源(例えばヒートポンプまたはソーラー温水システム)のポンプまたは別のシステムのポンプの動作の結果としてエネルギ蓄積部12内へと送り込むことができ、または熱エネルギ蓄積部が自身のポンプを備えることもできる。熱伝導液体は、入力回路の1つもしくは複数の出口でエネルギ蓄積部から出た後、直接にエネルギ源(例えばヒートポンプ)へ戻すこともできるし、または1つもしくは複数の弁の使用により切り替え可能として、グリーンエネルギ源に戻る前に、まず加熱設備(例えば床下暖房、ラジエータ、または他の形式の暖房)へ渡されるようにすることもできる。
【0156】
封入ボディは、水平方向で、出力回路のコイルが封入ボディの上方に位置するように配置可能である。これは多くの可能な配置構成および配向状態の1つにすぎないことを理解されたい。同じ配置構成は、封入ボディが垂直に配置される場合にも同様に良好に可能である。
【0157】
代替的に、PCM封入部を使用するエネルギ蓄積部は、ここでも前述した円筒状の細長い封入ボディを使用することができるが、この場合には例えばコイル状の導管の形態の入力回路が使用される。封入ボディは、その長軸が垂直方向に配置され、入力部14および出力部18のコイルがエネルギ蓄積部12の両側に配置されるように配置可能である。しかし、ここでの配置構成も、例えば底部に入力回路、また上部に出力回路を配置し、封入ボディの長軸を水平方向に配置するなど、代替の配向状態を使用することができる。好ましくは、エネルギ蓄積部12内に、エネルギ輸送液体を入力コイル14の周囲から封入ボディに向かって押し流す1つもしくは複数のインペラが配置される。当該インペラまたは各インペラは、好ましくは磁気駆動系を介して外部に取り付けられた駆動ユニット(例えば電気モータ)に結合されているため、エネルギ蓄積部12のエンクロージャに駆動軸を受容するための穴を開ける必要がなく、これにより、こうした軸をエンクロージャ内へ進入させる際の漏れのリスクが低下する。
【0158】
PCMが封入されることによって、エネルギ蓄積のために2種以上の相変化材料を使用するエネルギ蓄積部を構築することが容易に可能となり、特に、それぞれ異なる転移温度(例えば溶融温度)を有するPCMを組み合わせることのできるエネルギ蓄積部の作製が可能となり、これにより、エネルギ蓄積部の動作温度が拡大される。
【0159】
上記のタイプの実施形態では、エネルギ蓄積部12は、熱伝導液体(例えば、水または水/防止剤溶液)と組み合わされて潜熱としてエネルギを蓄積する1つもしくは複数の相変化材料を含有することを理解されたい。
【0160】
好ましくは、封入ボディの内部に、相変化材料の相変化によって生じる圧力の増大に応答して体積を減少させ、相変化材料の逆の相変化によって生じる圧力の減少に応答して再び体積を膨張させるように構成された複数の弾性ボディが設けられる(これらの弾性ボディは、本明細書の他の箇所において説明したように、「バルク」PCMを使用するエネルギバンクにおいても使用可能である)。
【0161】
本願は、多くの態様がより広い適用可能性を有するとしても、全体として共通の一連の問題に基づいた、相互に関連する自明の態様および実施形態を含む。特に、ロジックおよび制御方法は、必ずしも開示したハードウェアによる動作に限定されず、より広く適用可能であるが、その全てが様々なハードウェア態様およびその好ましい変形形態のハードウェアによって動作することに特に適している。特定の態様が他の特徴の特定の事例に関連し、また特定の態様において説明したもしくは請求した好ましい特徴が他の特徴に適用可能であることは、当業者によって認識されるであろう。相互動作のあらゆる点について明示の言及を行うと開示が膨大な量となってしまうので、明示的な別の言明がない限り、または文脈から明らかに不適切とならない限り、任意の態様の好ましい特徴が任意の他の特徴に適用可能であることにつき、当業者の理解に期待し、ここで明示的に指摘しておく。同様に、繰り返しを回避するために多くの態様およびコンセプトを方法の形態でのみまたはハードウェアの形態でのみ説明してきたが、方法の場合には対応する装置もしくはコンピュータプログラムもしくはロジックも、また装置の考察の場合にはハードウェアを動作させる方法も、開示されていると捉えられるべきである。上述した内容の一例として、流体ベース(典型的には空気源)のヒートポンプ、相変化材料および電気的な補助加熱要素の組み合わせならびに(ユニット内もしくはリモートでのもしくはこれら双方での)プロセッサによる制御に関するハードウェアおよびソフトウェアの双方の多数の特徴が存在する。このことは好ましい用途であるが、大部分の方法およびハードウェアは、より一般的に、他のヒートポンプ(電気熱源および地熱源)、他の再生可能エネルギ源(例えばソーラーアレイのポンプ)、(あまり好ましくないガスボイラなどの燃焼式ヒータの配置構成、またはさらに効率の悪い高温低COPヒートポンプを含む)代替の補助加熱部、ならびに多元温度蓄熱アレイを含む代替の蓄熱器に適用可能である。さらに、任意の構成要素の特定の配置構成またはその相互作用を定める態様は、システムの代替要素に焦点を当てた態様において自由に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備え、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された加熱設備を制御する方法であって、
前記ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する前記エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御することと、
さらに、
前記設備のプロセッサを使用して、前記ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定することと、
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、該差し迫ったデフロストサイクル中の前記ヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、前記プロセッサの制御のもとに、
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させること、
のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギを蓄積することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記デフロストサイクルを実行する際に前記エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加熱設備が、前記建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させることは、前記サーモスタットによって設定された前記温度最大値よりも高いレベルまで前記1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることを含む、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記デフロストサイクルの見込みを推定することは、
前記プロセッサにより、1つもしくは複数のセンサからの、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理すること、または
前記設備のプロセッサとは異なるヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理すること
のいずれかを含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、前記付加的なエネルギを蓄積することは、前記建物に居住者がいることを前記設備のプロセッサが判別した場合にのみ行われる、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサにより、前記建物内の1つもしくは複数の動きセンサを監視することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記建物は、前記設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含み、
前記方法は、前記セキュリティ監視システムの状態が前記建物に居住者がいないことを示していない場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積することをさらに含む、
請求項または記載の方法。
【請求項8】
前記加熱設備は、前記エネルギ蓄積媒体内にヒータを備え、該ヒータを用いて前記熱エネルギ蓄積媒体のより高いレベルまでの加熱が実行される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
エネルギ蓄積媒体を含むエネルギ蓄積部と、デフロストサイクルを有するヒートポンプとを備えた加熱設備であって、瞬間加熱される水および暖房を建物に供給するように配置された温水供給システムと、前記設備を制御する1つもしくは複数のプロセッサとを備え、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、
前記ヒートポンプからの、水を加熱するための熱を蓄積する前記エネルギ蓄積媒体への熱の供給および暖房を提供する加熱回路への熱の供給を制御し、
前記ヒートポンプによるデフロストサイクルの見込みを推定し、
差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、該差し迫ったデフロストサイクル中の前記ヒートポンプからの熱の欠如を補償するために、
予測される水加熱需要のみのために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記エネルギ蓄積媒体を加熱すること、および/または
所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱するかつ/または前記設備の加熱流体を循環させること、
のうちの少なくとも1つによって付加的なエネルギが蓄積されるよう、前記設備の動作を制御する
ように構成されている、加熱設備。
【請求項10】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記デフロストサイクルを実行する際に前記ヒートポンプに前記エネルギ蓄積媒体からのエネルギを使用させるように構成されている、請求項記載の加熱設備。
【請求項11】
前記加熱設備が、前記建物の1つもしくは複数の空間に対する温度最大値に設定されたサーモスタットを備え、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記サーモスタットによって設定された前記温度最大値よりも高いレベルまで前記1つもしくは複数の空間内の温度を上昇させることにより、所望の建物の加熱のために設定されたレベルよりも高いレベルまで前記建物を加熱させるかつ/または前記加熱設備の加熱流体を循環させるように構成されている、
請求項9または10記載の加熱設備。
【請求項12】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、
1つもしくは複数のセンサからの、外部温度および任意選択手段としての外部湿度を表すデータを処理すること、または
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサとは異なるヒートポンププロセッサにより、供給されたデータを処理すること
のいずれかによって、デフロストサイクルの見込みを推定するように構成されている、
請求項から11までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項13】
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記建物に居住者がいることを前記設備の1つもしくは複数のプロセッサが判別した場合にのみ、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるとき、付加的なエネルギを蓄積させるように構成されている、請求項から12までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項14】
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記建物内の1つもしくは複数の動きセンサに接続されている、請求項13記載の加熱設備。
【請求項15】
前記建物は、前記設備の1つもしくは複数のプロセッサに接続されたセキュリティ監視システムを含み、
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記セキュリティ監視システムの状態が前記建物に居住者がいないことを示している場合、差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときに付加的なエネルギを蓄積させないように構成されている、
請求項13または14記載の加熱設備。
【請求項16】
前記エネルギ蓄積部は、前記温水システムと前記ヒートポンプとの間に結合された熱交換器を含む、請求項から15までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項17】
前記1つもしくは複数のプロセッサのうちの1つは、前記温水供給システムの出口の開放に基づいて前記ヒートポンプに信号を供給するように構成されている、請求項16記載の加熱設備。
【請求項18】
前記熱エネルギ蓄積媒体は、前記温水供給システムの出口の開放から少なくとも前記ヒートポンプが前記温水供給システムにおいて水の加熱を開始するまでの間に、所定量の水を所定の温度へ加熱するのに十分な容量を有する、請求項17記載の加熱設備。
【請求項19】
前記加熱設備は、前記熱エネルギ蓄積媒体内にヒータを備え、
前記設備の1つもしくは複数のプロセッサは、前記エネルギ蓄積媒体をより高いレベルまで加熱するために前記ヒータを作動させるように構成されている、
請求項から18までのいずれか1項記載の加熱設備。
【請求項20】
前記設備の前記1つもしくは複数のプロセッサには、温水および/または暖房の需要がデフロストサイクル中の付加的なエネルギ蓄積を必要としない可能性が高い時間窓の識別を可能にするロジックが設けられており、
前記1つもしくは複数のプロセッサは、前記時間窓中に差し迫ったデフロストサイクルが予測されるときには付加的なエネルギを蓄積させないように構成されている、
請求項から19までのいずれか1項記載の加熱設備。
【国際調査報告】